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1956-04-03 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月三日(火曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       山崎  巖君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       櫻井 奎夫君    西村 彰一君       門司  亮君  出席政府委員         国家消防本部長 鈴木 琢二君         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         建設政務次官  堀川 恭平君  委員外出席者         総理府事務官         (国家消防本部         総務課長)   横山 和夫君         総理府事務官         (自治庁税務部         府県税課長)  細郷 道一君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         建 設 技 官         (計画局都市建         設課長)    高谷 高一君         専  門  員 圓地與四松君     ――――――――――――― 三月三十日  人事委員会廃止に関する陳情書  (第四三〇号)  軽油引取税設定反対に関する陳情書外二件  (第四三二号)  地方財政再建に関する陳情書  (第四三四号)  地方財政確立に関する陳情書  (第四三五号)  同(第  五〇二号)  公営発電事業の起債わく増額に関する陳情書 (第四三六号)  消防施設強化費国庫補助増額等に関する陳情  書  (第四七二号)  市町村公平委員会の存続に関する陳情書  (第四七三号)  教員の停年制反対に関する陳情書  (第四七八号)  地方自治法の一部改正反対に関する陳情書  (第四九九  号)  合併町村育成強化に関する陳情書  (第五〇〇号)  地方公務員停年制法制化に関する陳情書  (第五〇一  号)  同(第五  一七号)  各町村法定外寄付金の規制に関する陳情書  (第五〇  三号)  公立学校老朽校舎改築費に対する起債わく増額  に関する陳情書  (第五〇七号)  町村合併に伴う負債持込額国庫補助に関する陳  情書(第  五一五号)  合併町村建設促進法制定に関する陳情書  (第五一六号)  合併町村の小、中学校に対する財政措置に関す  る陳情書  (第五二二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)  消防団員等公務災害補償責任共済基金法案(内  閣提出第一四二号)  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号)(参議院送付)  小委員長より報告聴取の件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  消防団員等公務災害補償責任共済基金法案を議題といたします。警察及び消防に関する小委員長より審査経過並びに結果について報告をいたしたいとの申し出があります。これを許します。唐澤君。
  3. 唐澤俊樹

    唐澤委員 消防団員等公務災害補償責任共済基金法案に関する小委員会審議経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。  本小委員会は去る三月二十六日、二十八日及び三十一日に開会して、鈴木国家消防本部長及び各担当課長より詳細なる説明を聴取して慎重なる審議をいたしました。  最も問題になった点は、この法案予算措置のないことでありますが、これについて大蔵省宮川主計局次長を招いてただしたところ、三十一年度予算が成立した後のことであるから今年度予算には計上できなかったが、今後補正予算等で適当な措置をとるつもりであり、今年度も四千万円程度補助金として支出し得るとの言明がありました。  なお、借入金あるいは精算払い等方法についても論議せられましたが、さしあたりこの程度でもやむを得ないのではないかということでありました。また現在の一部事務組合任意組合経過機関としてそのまま利用されるのであり、消防団員及び協力者災害補償審査については、当該市町村の提出する診療録その他の資料及び意見に基き調査して支払うことになっているが、このために中央統制にならないよう現実の状況に適応した民主的取扱いに注意すべきであるとの意見がありました。  なお、水防団員及び協力者に対しては災害補償規定がないが、これも同様に本法案規定を適用し得るよう法律改正その他の必要措置をとるべきであるとの意見がありました。  協議の結果、以上の諸点に関して政府善処方を要望すべく、次のごとき附帯決議を付すべきであるという意見の一致を見た次第でございます。  附帯決議案は次の通りでございます。     附帯決議(案)  政府は左の事項の実現に努力すべきである。  一、本制度の運営については、中央集権弊害に流れざるよう努めること。  一、共済基金に対する国の補助金については、基金の運用を十分ならしめるよう速かに予算措置を講ずること。  一、水防団員等に関しても本法と同様の措置を速かに講ずべきである。  右決議する。  以上の通りでございます。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 質疑の通告がありますからこれを許します。なお建設省から堀川政務次官国宗水政課長大蔵省から森永主計局長が出席されております。中井徳次郎君。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 今、警察消防の小委員長報告においても大体において明らかになったと思うのですが、基本的にただいま上程になっております法案審議、この前一回やりましたが、そのときの議論といたしまして、日本におきましては特に終戦後毎年大へんな火災の連続である。住宅が三百二、三十万戸不足であって、ことしあたり二百七十万戸というふうな数字の趨勢になっておるが、現実には建っておる家の何十パーセントというものは毎年焼けておるというふうなことで、これに対する政府の基本的な施策というもの、特に消防の面から言っての基本的の強力な施策というものが、ちっとも推進されておらぬというふうなことが前会の討論において問題になったわけでございます。それはきょうはそういう基本的な問題は一応基本的の問題といたしまして、おいでを願った建設省大蔵省の皆さんに少し私ども確めておきたい、こう思うのであります。そういう意味から言いまして、まず堀川さんに一つお尋ねをいたしたいのでありますが、消防というものを広義に解釈いたしますと、これは私は自然に対する一つの戦いであろうと思うのでありますが、そういう面から言いますと、単に火災だけではなくて、一般災害につきましても、全国消防団その他が非常に災害の発生のときには努力をされておるのでありますが、それと同時に利根川の流域であるとかあるいは淀川の流域であるとか、信濃川とか、そういう面におきましては昔から水防団というものがあるのであります。そこで前会のこの法案審議に際しまして、水防団は一体どうなっておるかということになりますと、どうも所管が一方は建設省であるし、一方は国家消防本部というふうな関係からこの法案の中に水防団が入っておらぬ、それはどうも国会としましては公平な立場審議をするという面から言いまして、まことに片手落ちではないか。水防団というものについて何もこれに関連がないということはまことに片手落ちである。これについては建設省の方でもおそらく私は真剣にお考えをいただいておるとは思うのでありますが、現在水防団に対してどういうお考えであるかということを一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。その前に一つ参考までに、私どもは大体のところの様子はわかりますが、伺ってみたいと思うのですが、全国水防団というものは何カ所くらいあって、そうして団員はどれくらいであろうか、そういうことについて概略その水防団についての一般概念一つお話をいただいて、そうして今の私どもお尋ねを申し上げておるところの水防団について、現在の段階消防に対してこのような案が出たわけでありますが、建設省はどういうふうに考えておられるか、この二点を一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  6. 堀川恭平

    堀川政府委員 御質問にお答えさせていただきます。市町村管理団体といたしまして全国で大体五千七百八十一団体あるのであります。なおそれは一般団体でありまして知事が指定した水防団体が一千八百六十あります。そうしてほんとうに水防団として確実にやっておるのは一千二十一になっております。そうして大体消防団水防団を両方兼務してやっておられる人が相当あるのであります。消防団は御承知のように二百万人もおるのであります。水防消防と兼ねてやっておられる方々が百四十万、これは消防公務災害補償に入っておられると存じます。しかし水防団員のみをやっておる団員の数は約二十四万人であります。こういうことになっておりまして、昨年水防法制定いたしますときも、災害のいわゆる補償をしてもらいたいということは、建設省といたしましても実は望んでおったのでありますが、現在水防法によりますと市町村はこれを補償しなければならぬ義務がありますが、国は補償する義務を持っていないのであります。そういう意味から行きまして昨年この法律が通過するときには、これは国が補償しなければいけないというような御要求があり、御要望があったのであります。今回消防団員等公務災害補償責任共済基金法案がここへ提出されて、そして水防団員に対しましても皆様方の熱望ある御要求によりまして、われわれも実に喜んでおるのでありますが、この法案の中に盛り込んでいただきますか、別途水防法を改正して補償制度をとっていただきますか、どっちかにさせていただきたい、建設省といたしましてはかよう考えております。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 今大体水防団の全貌について、団体の数と人数とを伺いましたが、純粋の水防だけで、消防関係ないのは二十四万人ということであります。私どもはその数字が意外に大きいので今驚いておるのであります。特にまた去年水防法制定されましたときに、すでにこういう話があったということを伺いますと、私どもはじゃ今回この消防法を出しますときに、どうしてこれに手をかけなかったか、基本的に考えてみますと、消防というのはおもに火災でありますが、火災は何といっても一市町村に限られて、ほかの市町村にまで飛び火をするというふうなことはないわけです。いわば災害は限定されておりますが、水防関係は非常に地域が大きいのであって、従って水防に従事する人から考えますと、消防以上に国家的な意義があると私は思うのでございます。そういう意味から言いまして、どうもその辺ははなはだ解せないのであります。しかし今の御答弁で、できれば一緒にあるいはぜひともというふうなお考えでありますが、先ほどの小委員長報告をお聞き取りいただいたと思うが、早々の際でありますから、これにさらに水防を入れるというふうな空気には残念ながら今なっておりません。そこで建設省としては、どうですかこれに対して少くとも来年は同様のものを作るとか何とかいうことについてのはっきりとした意思表示を伺えれば伺いたいと思います。と同時にこれは消防本部長並びに主計局長に伺いたいのですが、この法案審議をされる過程において、私は必ず水防法との関連が問題になったと思うのでありますが、どうしてこれが政府の原案として入れられなかったのか、その辺の事情をちょっと伺ってみたいと思うのであります。
  8. 堀川恭平

    堀川政府委員 御説のように、私ども建設省といたしましては、実は二十八年には六人、これによってなくなっております。それから二十九年には三人、昨年は一人というように、現実といたしましてはあまり大きな問題ではないのであります。しかしながら、これらに対してわれわれは補償しなければならぬということは、これは義務づけられるものと、かように存じておりまして、来年の国会には建設省といたしましても、これが補助規定か、あるいは補償規定か、こういうものをつけて、そうして水防団員に満足していただきたい、かよう考えております。
  9. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 この制度制定立案当時、建設省とも事務的には打ち合せたのでございますが、水防団だけで消防団関係のない人で、従来災害を受けた実例が比較的少いという点もありましたし、また予算措置の問題もありました。そんなことで建設省と打ち合せいたしました結果は、建設省でもいずれ考えるから、とにかく消防関係だけでやっていこうということになったわけでございます。
  10. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。今の堀川政務次官の話では、来年度というのんきなことを言っているのですが、これは御存じのように、水害が起って水防に従事いたしますと、消防団員はそういう災害補償が受けられるけれども水防団員のみの人あるいは協力者は受けられないことになります。あってはならないことですが、災害に見舞われた場合に、消防団員方々は相当大幅の災害補償を与えられて、同じよう水防作業をしていた人が、そういう災害の少額なものを町村から受けなければならぬという矛盾が起って参ります。こういう矛盾は、この法案制定されるとすぐ起るわけであります。われわれとしては、来年度といわずに、いずれ参議院の選挙が終りますと臨時国会も召集されると思いますから、できるだけ早く、できれば臨時国会でそういう問題に対する処置をしていただきたいと思いますが、次官の御答弁を願います。
  11. 堀川恭平

    堀川政府委員 さよう処置をさしていただきたいと思いますし、またさよういたす考えでございます。
  12. 中井徳次郎

    中井委員 この法案制定過程におきまして、多少折衝されたが、結局所管が違うのでというふうなことであったろうと思うのでありますが、この法案が出まして前会の審議の際に問題になりましたのは、予算のことであります。私どもは当然これは予算に計上されておるものというふうなことでお尋ねを進めましたところが、一向に計上してない。ただ四千万円程度借入金か何かについて十分考えるというふうな、この前の大臣並びに消防本部長の御回答であったと思うのであります。ところが私あくる日朝日新聞か何か見ましたところが、非常にこの法案を出すについて大蔵省と折衝して苦労したというような、エピソードみたいな記事が載っておりましたので、私はまた驚いたのであります。予算措置も何もしていない。四千万円の借入金の約束ぐらいしたのでありましょうが、それがどうしてそういうふうな大へんな努力をされたことになるのか、私どうも一向わからなかったのであります。予算が通ってからそれで法案を出したというふうな事情もあろうと思いますが、こういう面について大蔵省考え方を伺いたい。私は小委員ではございませんが、そういう意味からいって、金額もわずかなものであります。しかもこれはおそらく私ども社会党といえども、こういう法案については、いろいろ細目については議論がありますけれども、根本の行き方につきまして、消防団員に対しては国家が何らかの災害の手を打つという基本方針に対しては、もとより反対ではないのであります。そういう意味において、大蔵省のこの法案に対する考え方を、この席ではっきりと御答弁を願いたいと思います。
  13. 森永貞一郎

    森永政府委員 この法案重要性につきましては、私どもといたしましても十分認識いたしておるわけでございまして、その点につきましての御懸念は全然御無用にお願い申し上げたいと存じます。ただ何分にも本年度の予算が提出されまして、また衆議院を通過いたしました後での提案でもございまして、私どもといたしましては、三十一年度におけるこれがための予算措置をどうするかということについて当惑いたしたわけでございます。その点につきましては、この法案重要性並びに従来の経過もございますので、事務当局立場としてもちろんここで確言を申し上げることは、これは僭越の次第でございまして、それは差し控えますが、ただ気持を申し上げますれば、可能なる最も早い機会に私どもといたしましても、できるだけ優先的に本問題を処理いたしたい、さよう考えておるわけでございます。一つには、補正予算を出す機会が必ずある——これはこれだけの問題ではなくて、全体の問題でございますが、ということを事務当局立場として申し上げるわけにも参りませんから、その点は不明なわけでございますが、もし補正予算を出す機会がございますれば、その最も早い機会にできるだけのことを考えたい、そういう気持でその問題の処理に臨んでおる次第でございますので、御了承いただきたいと存じます。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 金額は大体どれくらいの予定でございますか、その点をちょっと……。
  15. 森永貞一郎

    森永政府委員 その点も事務当局として、はっきりしたことを申し上げることは僭越のきわみでございまして、はっきり申し上げることは差し控えなければならぬと存じますが、先般来この小委員会で問題になり、先ほど小委員長報告にもございましたが、四千万円程度ということでございましたが、その程度のことは考えたいと存じております。ただしこれにはやはり政令の内容その他がきまりまして、その上ではっきりいたして来るわけでもございますので、事務当局立場といたしまして、今の段階ではっきり確言をいたすことは僭越でございますから、差し控えたいと存じます。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 実力派森永主計局長が意外にえらい自信のない御答弁ですが、そんなわずかな、——どうせ四千万円か五千万円の金だと思うけれども金額をどれくらい予定されたか、私は事務当局回答を求めておるので、大臣回答を求めておりませんから……。
  17. 森永貞一郎

    森永政府委員 はっきり申し上げておしかりを受けるかと思いまして、そう申し上げたのでございますが、三、四千万円ということで消防庁の方と前から話し合いをしておりますので、消防庁の方では四千万円ぐらいという希望を承わっております。そう大きな意見の食い違いはないのでございまして、四千万円程度のことはぜひ考えたいと存じておりますが、それについては事務的な積算その他をもう少しいたしてみなければなりませんので、その意味も兼ねまして、はっきり申し上げることは遠慮をさしていただきたいと存ずる次第であります。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 堀川さんに最後に私は意見を申し上げたいのですが、先ほどあなたは水防に関する死者六人、三人というふうに御説明がありました。これは大した数字ではないと言われましたけれども消防の方といえども負傷者はずいぶんあります。災害でたまたまその家の中で寝ておって死んだという人はたくさんありますが、消防に従事をして死んだというふうな人は、実はそう大した数字ではなかろうと思います。そういう意味から言いますと、水防における人命の危険が起りまする時期は、暴風その他たいていきまっておりまするが、その危険率水防の方が高いというふうに考えて間違いないのじゃないかというふうに思うのであります。この点は今大蔵省主計局長が珍しく金額を値切らぬで四千万円とか言っておるのでありますから、ぜひ今度は水防も入れてもらって五千万円か六千万円——ぜひ私はそういうことを要望いたしておきます。これで私の質問を終ります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 今補助金につきましてお話があったのですが、ただこの問題は、小委員会でも、昭和三十一年度において四千万円なら四千万円というものを補助するということがはっきりしなければならぬということで、いわばそれが条件のような格好になっておるわけなのです。その点でもう少しわれわれとしては確かめておかなければならぬ。森永さんの御意見は、事務当局意見だというようなことであります。また考えたいというようなことを言われておるのですが、その程度ではどうもはっきりせぬのではないか。補正予算お話もされている。もしも補正予算という機会がなければ、たとい考えたとしても四千万円は計上するチャンスがなかったということでも困ると思う。こういう、いわば予算を伴う法案を出す以上、これを認めておる以上は、補正予算が出ても出なくても、予備費等でこれこれのものは出すというようなはっきりした言明をいただかなければならぬ。ですから補正予算によらなければ予備費で出すか、それらの関係をもう少し突っ込んでお話を願いたいと思います。
  20. 森永貞一郎

    森永政府委員 予備費は、予算ができましたときに予想していなかった事態が起ったときに使用するという性質の金でございまして、本件ように、予算ができました後ではございますが、予算の成立前の提案にかかるものにつきまして予備費を出すということにつきましては、いささか会計法上疑問があるわけであります。そこで、予備費本件に支出するということにつきましては、私ども消極的な気持でおるわけでございますが、さりとて本案を実施いたしますればもちろんこれについて一日も早く補助金を出す必要があるということもよくわかっておるわけでございます。ただども立場として、年度内に必ず補正機会があるかどうかということを開き直って聞かれますと、それはちょっとわからぬということを申し上げざるを得ないわけでございまして、その意味で可能なる最も早い機会にというようなことを申し上げたわけでございます。その点は事務当局立場を何とぞ御了承いただきたいというふうにお願いをいたす次第でございます。先ほど来申し上げておりまするように可能なる最も早い機会に、最も優先的に考慮をいたしたい、そういう気持でおるわけでございますので、その気持一つ買っていただきまして、それ以上必ず補正を出すかということを問い詰められますと、ちょっと困る立場にあることを御了承いただきたいと思います。
  21. 北山愛郎

    北山委員 珍しく大蔵省からお願いをされる立場になってはなはだ恐縮でございますが、ともかくこういう法案を出すことについては、大蔵省といえどもイエスと言って判こを押されたに違いないと思う。そうすると、可及的すみやかにといったって、これは来年度になるかもしれぬし、そういう抽象的なことじゃしようがないと思う。この法案を実施する以上は、補助めどがつかなければ取りかかれない。なぜならば、市町村掛金というもの、いわゆる消防団員一人について三十円なら三十円という掛金をきめなければならぬのですから、それをきめる際に国からの補助がどの程度出るかというめどが前もってつかなければ、やはり事業計画も立たぬというよう関係にあるのであって、この法案の通過すると同時に、大体のめどをつけていかなければならぬのです。補助予算の方はあとで可及的すみやかに考えたいという程度では、実際この仕事を進める場合に困りはしないかと思うのです。いろいろお説はごもっともなような点もございますけれども、どだい予算がまだはっきり成立する以前に出された、あるいは審議中に出されたというような点は多少矛盾がございますけれども、少くとも法案を出した以上は、補正予算があろうとなかろうと、とにかく四千万円なら四千万円は何らかの形において出すというようなはっきりとした言明をいただきたいのです。何も予備費でなければならぬとか補正予算でなければならぬとか、そういうことは申し上げませんが、いずれにしても今年度四千万円は出すということを明言していただかなければ、われわれ小委員会としての結論がそういう前提に立っておったのですから……。その点もう少し、方法はどうでもいいです、とにかく四千万円出すということをはっきりしてもらいたい。
  22. 森永貞一郎

    森永政府委員 この政令の内容が今後固まって参るわけでございまして、もちろん私どもも御相談にあずかるわけでございますが、その政令の内容が固まって参りますれば、おのずからどの程度補助が必要であるということはさまっていくわけでございます。決してその金額までもいつまでも不明確な状態にしてなおざりに付するという考え方はいたしておりませんので、その点は御安心いただきたいと存じます。ただ、先ほど来申し上げておりまするように、必ず補正機会があるということも言い切れないわけでございまして、今お答えをいたすということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、可能なる最も早い機会考えるということを繰り返してお答えする以外にないわけでございます。その辺で一つ御了承いただきたいと存じます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 どうもはっきりしませんが、政令でもって定まればそれにつれて自動的にといいますか、自然に国が出すべき範囲がきまってくるというお話でありますが、そうすると、この法案がかりに通れば政令はいつどういう格好でお出しになるか、これは消防本部の方からお伺いしたいと思います。
  24. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 政令案は目下事務的に審議中でございますので、これは法制局とも事務的に連絡して、なるべく早く政令をきめたいと思います。
  25. 北山愛郎

    北山委員 予算の方はそれくらいにしまして、次に、先ほど水防関係のことを建設省にお伺いしたわけですが、政務次官のお答えでは、この法案の中に入れてもいい、ほかの方法でもいずれでもよろしいというようなお答えがあったので、どうもそういうお答えでは私ども困ると思うのです。御随意に、御修正なさるなら修正をおやりになってもけっこうだし、またわれわれの方で考えてもいいというようなことでは困る。そうなりますと、ここで修正するチャンスがあるのですから修正せよということになってくる。政府がわれわれにおまかせするというならわれわれ修正いたしますよ。そうせざるを得なくなってくる。政府としては確固として、単に建設省だけの問題じゃないのですから、水防団についてはどういう方法で行くのが好ましい、たとえば水防は、これは別個だから別個に補償方法考えるとか、あるいは消防団と一緒にした方がよろしいとか、何かはっきりとした方針、お考えがなければならぬと思うのです。いずれとも御随意というような御答弁では、どうもたよりないような感じがする。げたを預けられたような格好で、はなはだ迷惑だと思うのですが、その点はっきりしていただきたい。
  26. 堀川恭平

    堀川政府委員 お答えいたします。建設省といたしまして、この水防団に対しましていわゆる災害補償をすることは当然のことだと存じておるのであります。ちょうど今回法案が出て、そうして消防団員には、こういう災害補償をしてやるんだということがはっきりいたしましたので、私といたしましては、ここで今小委員会で御決議になったような、水防団にもそういう処置をとれというような御要望があったのであります。それに対しまして私といたしましては、ここで水防団に対しての処置をとるよう法案を差し入れていただくということもけっこうでありますが、しかし水防法といたしまして別途の処置を講じて、次の機会法案を提出いたしたいということを私どもは強く考えておる次第でありますので、その点を御了承願いたいと存じます。
  27. 北山愛郎

    北山委員 この機会建設省にお伺いしたいと思うのですが、この前の能代市の大火の場合、伝えられるところでは、能代市は昭和二十四年にも大火災があった。しかし水道の施設がなかったということです。今度の火災の場合におきましても、水道がなかったために貯水槽の水がなくなってしまって、消防機能がもう動けなくなったというようなことが指摘されておるわけです。建設省は水道にも御関係になっておりますので、これはどういうわけで能代市の水道がなかったのであるか。私ら聞いているところでは、能代市は水道計画を立てて申請をしておった。ところが認められないというので、今まで水道の施設ができなかった、こういうふうなことを聞いておるのです。そうするとほかの市でも同様でございましょうが、特に能代についてはすでに数年前に大火災もあり、当然国の方から勧めても水道の施設をさせるべきじゃないか。今回また同じようなことを繰り返して、しかもまた水道がなかった。それが大きな障害となったということは、どうも受け取れないのです。もしも建設省でその点についておわかりでありましたならば、この際御説明をいただきたいと思います。
  28. 高谷高一

    ○高谷説明員 能代の大火につきまして、私大火の翌日参りまして、現地の復興計画を立ててきたのでありますが、能代市は、今御指摘のように水道施設がありません。前の大火のときもやはり水道施設がなくて、市は前の二十四年の大火の際に、至急水道施設を設備したいということで準備を進めておって、水道の設計認可は三年ほど前に、昭和二十八年か九年でございますか、認可をとって建設の準備をしておったのでございますが、何分にも市の財政もよくありませんし、それから新規事業とかいうよう関係で今日まで押えられておったそうでございます。それで市当局といたしましても、もうこの際万難を排して、至急水道施設をしていきたいということを、市長さん初め皆さんおっしゃっておりました。それから、水道がありませんので、前の昭和二十四年の大火におきましても、やはり防火貯水槽を設備いたしまして、それからなお消防庁の方の関係からも、その後火災を受けていない場所にも数カ所設置してありました。ただしその日はちょうど、先ほどだれかから御説明があったかもしれませんが、六時ごろ工場が焼けまして、そして今度の大火になった発火地点付近の貯水槽の水を全部使い切っておったというようなことで、消防活動が、水利がありませんので非常におくれたというようなことが原因のようでございます。
  29. 北山愛郎

    北山委員 これはやはり問題だと思うのです。ただいまのお答えで、建設省あるいは厚生省の、いわゆる水道の計画をされる担当の官庁としては、すでに三年前において認可をしている。おそらく市としては、認可を受けただけで、起債その他の申請はしなかったというわけじゃないと思うのてす。おそらくその水道事業の起債が認められなかったとか、そういう関係で今まで事業ができなかったのである、こういうふうに想像されるわけでありますが、この点については、やはり自治庁並びに大蔵省関係があると思いますので、その水道ができなかったという原因について、やはりわれわれとしては相当徹底的にこれを追究していかなければならぬ、こういうふうに考えております。建設省についてはただいまお伺いして、水道の認可計画はできておったということですから、私了承をいたします。  それから、この際森永さんにお伺いしたいのですが、こういうよう火災につきましては、あるいは消防施設の強化等については、財政的な面でいろいろな制約を受けているわけです。市町村は、教育あるいは道路、あるいは河川というように、いろいろな仕事がたくさんあって財政状態もよくないので、消防についてまでなかなか力が及ばない。そこで今の水道にしてもそうでありますが、そういうものを整備する場合に、資金がなくてやりたいと思ってもできないでいる。ところが今度政府としては、この国会の前に、地方税の案を作る際に、消防施設税というものを自治庁の税務部では考えたわけです。これは御承知の通り火災保険会社に消防施設税というものを課して、約二十億というものを取って、そしてこれを地方の団体消防施設等の強化の資金に配当しよう、こういう案を自治庁で出したわけです。ところが大蔵省でこれに反対したという話ですが、なぜ反対したか、それを一つ明らかにしてもらいたい。
  30. 森永貞一郎

    森永政府委員 消防施設税の問題は、実は主税局長の主務範囲の問題でございますが、私もその問題が議論になったときに一緒に議論いたしておりましたので、多少抜ける点があると思いますが、その当時私が聞いておりましたことを申し上げて御答弁にかえることにいたします。消防施設税の御趣旨もよくわかるのでございますが、ただその担税者が保険契約の加入者だけになる。その点が税の建前からいっていかがなものであろうか。租税負担を公平に分ち合わなければならぬその場合に、消防施設の整備はもちろん急務でございますが、これを保険契約に入っている者だけが負担するというのはいかがなものであろうか。その場合、もちろん直接には保険会社が払うわけでございまして、保険契約者は間接な負担になるわけでございますが、もし保険会社にそれだけの担税力がありとすれば、これは保険料の低減に充てるべき性質の金になるわけでありまして、それを保険料でまかなって消防施設に充てるということになると、いわば保険契約者のみがこの消防施設の整備充実の金を負担するということになるわけであります。租税の理論から考えましていかがなものであろうか、さよう議論が大筋であったというふうに私は記憶いたしております。そういう意味で私どもといたしましては、この税の創設に賛成をいたしかねたわけでございます。ただ消防施設の急務であるということにつきましては私ども十分認識しておるつもりでございまして、三十一年度の予算におきましては、御承知のように三十年度の予算よりも消防施設の整備費、補助金は約五割の大幅な増加をしておるわけでございます。なおまた水道につきましてもお話がございましたが、これは現在は補助金ではなくてもっぱら起債でまかなっておりますが、この起債が従来とかく少いというような声もございましたので、三十一年度以降におきましては相当ふやしたいというよう考え方で、この問題の処理にも臨んでおります。これは理財局の関係でございますが、あわせて申し上げましてお答えにかえたいと存じます。
  31. 北山愛郎

    北山委員 この問題はこの機会にさらに追うて行くということは適当でないと思いますけれども、今の消防施設税につきましても、ただいまのお話では保険加入者だけに転嫁されるというお話でありますが、しかし自治庁の見解は必ずしもそうではなくて、現在の火災保険会社が十分それだけの担税力があるのだ、保険会社に課すのだというよう議論なんです。ですからそういう点で食い違いがあるのです。外部から見た場合に、われわれ考えることは、この施設税を自治庁が取り上げて、この資金をもって地方の消防施設等に利用しよう、こういうプラン——われわれから見ればきわめて不満足なプランでありますけれども、少くとも従来より一歩踏み出したプランに対して、火災保険会社と大蔵省反対してつぶされた、こう聞いておるのです。しかも保険会社からこういう税金を取ることをやめてもらえば二、三億の寄付金なら出すというような話を聞いておるのですけれども、その程度でやめてしまったというふうに聞いておるのです。反対したのはやはり大蔵省火災保険会社、こういうふうに聞いておるのですが、その通りですか。
  32. 森永貞一郎

    森永政府委員 その辺になりますと私はよく存じませんけれども、私が聞いておりますのは、保険会社の問題になりますと銀行局になるのですが、銀行局の段階に行く前に主税局の段階、いわば租税理論の段階反対をいたしておったようでございます。保険会社も反対しておったかどうかわかりませんが、大蔵省の内部ではむしろ銀行局よりも主税局の段階議論して参っておったというふうに記憶しております。
  33. 北山愛郎

    北山委員 森永さんは次官にもおなりになるということで、大蔵省全般を代表してお答えがあるものと私は考えておったところが、主計局は主計局というようお話であります。この問題はまた別の機会にやりたいと思いますが、今の能代の点をお伺いしましても、結局その原因を追及していけば、やはりその責任は国の方にあったのじゃないかということが言われる。だから消防施設税についても、やはりこういう問題を取り上げる際に、必ずしもこのままの形でなくてもいいが、少くとも消防を強化しよう、今のいろいろな事情から、火災を防ぐという点から必要な事務である、こう考えるならば、こういう消極的なことはなさらぬはずだ、そういう点で非常に私ども不満に思っておりますので、森永さんの担当でなければ、いずれほかの担当の方を呼ぶなり、あるいは大蔵大臣に来ていただいて、この点はさらにお伺いしてみたいと思います。  以上で私の質問を終ります。
  34. 門司亮

    ○門司委員 さっきから北山君の質問を聞いておりまして、大蔵省答弁、一向はっきりしないんだが、要綱には予算の範囲内で出すということをちゃんと書いておるじゃないか。だから四千万円なら四千万円出せるとはっきり言った方がいい。どうしても大蔵省が出せぬということになると、この法案の要綱の中に書いてあることがおかしくなる。「第八、国は市町村の行う補償の的確な実施を図るため、予算の範囲内で、基金の業務に要する経費の一部を補助することができること。」こう書いてある。「補償の的確な実施を図るため、」ここに私は問題があると思う。補償の的確な実施をはかろうということになれば、大蔵省がその処置をとるかどうかということが、この法案が生きるか死ぬかという問題のポイントになってくる。その場合に大蔵省が今のよう答弁ではこの法案を認めるわけにはなかなかいかないと思う。結局大蔵省考え方一つなんです。われわれからいえば法案の中にはっきりどれだけのものを補償すると書きたい、二分の一あるいは三分の二なら三分の二を補償するということを書きたいのだが、それは書いてない。書いてないからきょうは大蔵省意見を実は求めているわけなんです。もう少しはっきりした答弁をしてもらいたいと思う。補正予算があればどうだなんということを言わなくて、要綱の中にもちゃんと予算の範囲内ということは書いてある。私は今問題になっている四千万円程度のものが出ないはずはないと思う。その点もう少しはっきりしておいてもらいたい。
  35. 森永貞一郎

    森永政府委員 予算の範囲内と書いてございますが、三十一年度の予算には遺憾ながらこのための予算は計上いたしてないことは御承知の通りでございます。そこでできるだけ早くその予算を計上せよという御要請があるわけでございまして、それに対しましては私ども気持の上ではそうしたいと思っておりますが、事務当局立場として、本年度補正予算機会があるかどうかという問題につきまして断定的に申し上げることは、きわめて僭越でもございますし、また実際問題として今から必ず補正機会があるとも言い切れないわけでございます。その意味で非常に遠慮した申し上げ方をいたしておりますのでおしかりを受けたわけでございますが、私ども気持は先ほど来申し上げておりますことで、大体おのみ込みいただけるのではないか、そういう気持で、はなはだどうも恐縮でございますが前言を繰り返すということに相なるわけでございます。
  36. 門司亮

    ○門司委員 いよいよもってけしからぬ。大蔵省か満足にものを実行したことはありはせぬ。だからはっきり聞きたい。予算に、なるほどこの問題を提示してないと言うけれども予備費もあるわけなんです。出せば出せる道がある。出せる道がなければ、私は必ず補正予算を出さなければならないことが因縁づけられるようなこの法案を、政府提案として出してこないと思う。もしこの法案を通して三十一年度から実施するということになれば、今の森永君の答弁によれば、いやがおうでも補正予算を出さなければ、この法律案は何にもならぬだろうと思う。少くとも閣議できめて政府提案として出してきた以上は、その腹はあるはずなんです。その腹がなければ一体どうなる。大蔵大臣に来てもらうか総理大臣に来てもらわなければわかりはしない。わけのわからぬものを出してここで審議して、そうしてそれが実行ができないということになったらだれがそしりを受けるか。議決機関のわれわれがそしりを受ける以外にないではないか。だからそれを審議過程においてはっきりしておいてもらいたいということなんだ。そうすれば二分の一とか三分の二というものを書かないでも、われわれは一応大蔵省を信用するのだ。もう少し信用される程度を増したらどうなんです。
  37. 森永貞一郎

    森永政府委員 予備費から出すことにつきましては、先ほど申し上げましたよう会計法の解釈その他から考えまして問題があるわけでございまして、やはり補正予算を必要とすると存じます。その補正予算を出したいと申し上げられれば一番御満足を願えるわけでございますが、それは私の立場として今ここで補正予算を出すということを申し上げることは僭越しごくにわたるわけでございまして、申し上げられないことでございます。そこではなはだ御不満を買っておるわけでございますが、可能であります最も早い機会に、最も優先的に考えるということで、御納得をお願い申し上げているわけでございます。
  38. 門司亮

    ○門司委員 だんだんなおわからなくなってくる。そうすればもう少し突っ込んで聞いておかなければならない。可能な範囲内というのはどういうことです。予備費から出せない、補正予算を組むかどうかわからない。それなら可能な範囲というものはどういう範囲ですか。どこが一体可能な範囲ですか。可能な範囲というものはどういうものかわからないではないか。
  39. 森永貞一郎

    森永政府委員 形式的に申しますと、予算がきまらなければ補助もできないわけでございまして、予算を幾らにするということを国会で御議決願った後に、その補助金金額が固まってくるわけでございますが、その点につきましては先ほど私が申し上げましたように、予算を待たないで基準等に関連して政令でお出しになるわけでございまして、基準等に関連した政令が出て参りますれば、予算金額そのものは、これは予算が出なければきまらぬにいたしましても、おのずからその予算規模等についてはわかってくるというようなことに相なるわけでございまして、その意味で先ほど北山委員にもお答え申し上げたわけでございます。
  40. 門司亮

    ○門司委員 それがわからぬのだよ。明確にしておいてもらいたいと思うのです。実際から言うと、これから政令をこしらえてやるのだから三十一年度はずれてくるからあるいは四千万円要らないかもしれない。しかしながらこういうばく然とした法案で、そうしてその処置を政令に譲っておる以上は大体の額だけぐらいは、ここで大蔵省言明しておかぬと、この法案をそう簡単に認めるわけにいかぬのだ。法案は実施した、政令はこしらえた、しかしそれは動かないというようなことでは困るのだ
  41. 森永貞一郎

    森永政府委員 こういう委員会におきまして一主計局長補正予算を必ず出すとか、あるいは補正予算を出します場合にその金額をどういたしますとかいうことを今から申し上げることは、これは主計局長の分を越えた問題であろうと思います。大蔵大臣にいたしましても大臣だけが予算をきめて国会に出すわけではないのでございまして、そこまで申し上げることは大臣の権限でないわけでございます。その意味でこういう委員会の席上でのお答えということに相なりますると、先ほど来繰り返して申し上げるようなことにならざるを得ないのじゃないかと存ずる次第でございまして、その点どうぞ御了承いただきたいと思います。
  42. 門司亮

    ○門司委員 そうなるとこの法案を通しても、法案に賛成してわれわれが議決しても実行されない、こんなばかばかしい法案を認めるわけにはいかない。一体消防庁はどう考えておるのですか。
  43. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 国家消防本部といたしましては四千万円程度の国庫補助を将来予算措置をするという事務的な大蔵省との折衝に基いて案を作ったわけでございます。
  44. 門司亮

    ○門司委員 今の消防庁の話を森永君はそのまま肯定しますか。
  45. 森永貞一郎

    森永政府委員 消防庁との間にそういう話し合いもいたしておりますし、私ども気持も先ほど来申し上げておる通りでございまして、ここで速記録に残してどうこうするということを、これ以上はっきり補正予算を出せとおっしゃられましても、それは私の分を越えておりますからお答え申し上げることはできないと申し上げておるわけです。
  46. 北山愛郎

    北山委員 私が先ほど大体了承したというのは、今から予備費で出すということは言明できないけれども法案ができてしまってあとで補正予算が出ればそれは補正予算だが、もし出なければ必要経費四千万円なら四千万円は予備費で出し得る、こういうふうな解釈からそういうふうな趣旨に伺ったので、それならば今はっきりと予備費で出すとかなんとかいうことは言明してもらわなくても大丈夫出してくれるのだと思っておったのです。しかし今局長が言われるよう予備費というものでは出せないのだということになれば、補正予算以外にはないので、しかもその補正予算は出すか出さぬかわからないのだということになれば、その四千万円はことしは当てにならないという結果になるのです。それじゃ納得できないことになってしまうのです。だから予備費で出せないのか、今はっきり予備費で出しますとは言明できないにしても、法案が通ったあとで、しかも政令ができればその義務が出てくる。従ってそれは補正予算が出なければ予備費でまかなえる、そういうふうな解釈でいけないかどうか、今のお話ようであれば会計法予備費で出すということは許されない、補正予算一本やりだ、その補正予算も出すか出さぬかはっきりしないということになれば、せっかくのお話だけれども四千万円はことしは当てにならないという根拠の上に立って、われわれはこれに賛成するわけにはいかぬということになってくる。これは小委員会でもそういう話だったのですから振り出しに戻ってしまうのですよ。もし森永さんがその点をはっきり言えないというなら大蔵大臣にでも来ていただいて、そうして予算的裏づけについて言明していただかなければいかぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  47. 森永貞一郎

    森永政府委員 非常に恐縮なんですが、私どもといたしましては可能なる最も早い機会に、最も優先的にこの問題を処置すると、先ほど来お答え申し上げておる通りでございまして、御趣旨が実現されるように最大の努力をいたすということを申し上げておるわけでございますが、それで一つぜひ御了承願いたいと思います。
  48. 門司亮

    ○門司委員 一応そういうことがあなたの立場では言えるかもしれません。しかし少くとも最近の国会における予算関係した法律案の提出には、議員提出にしてもやっぱり五十名あるいはそれ以上の賛成があって、そうして政府が了承しなければなかなか通過困難である。ところがこの案は議員提案じゃない、政府から出てきておる。しかも予算を伴うことは最初からわかっていることだ。だから了解ができているからという程度だけでなくて、この場合必要なのは、少くとも政府から出てきた以上は、そういうことについての裏づけがなければならないと私は思う。議員の方から出すものにはやかましく制約をつけて、政府の方から出すものがどうなるかわからぬということになると、これはどうにもならぬと思う。議員提案のものを持ってきても、政府予算措置がなければ無理でございますというと委員会も通らぬし、本会議通りゃせぬ。政府の出したものが予算の裏づけがないものを出してきて、その予算はこっちを信用してくれと言っても、うっかり信用すると何をやるかわからない。その機会をうかがっていたが、ないと言われればそれまでです。最も近い機会に、最も優先的にというその範囲が一体どの範囲かというのを、もう少しはっきりしておいてもらいたい。
  49. 森永貞一郎

    森永政府委員 その点は、大体私が申し上げようとした腹のうちはおわかり願っておるのだと思います。最も早い機会というのはいつかというお尋ねでございますが、それは多分年度内にくるだろうと思いますが、それは必ずくるということを私の立場として今申し上げるわけに参りませんので、先ほど来非常に苦労しておるわけでございます。その点一つ御了承願いたいと思います。
  50. 門司亮

    ○門司委員 そういうことを言える立場はだれか、大臣ですか。
  51. 森永貞一郎

    森永政府委員 それは大臣としても今は申し上げられないと存じます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 そうだとこの法案を閣議で決定された閣議の責任が出てくるのです。だれの責任でこれを出したのですか。閣議で決定して出てきたのに間違いないと思う。閣議の責任ということになると総理大臣の責任でしょう。それなら総理大臣に来てもらいましょう。そうして聞きましょう。
  53. 森永貞一郎

    森永政府委員 冒頭の御答弁で申し上げましたように、予算措置が実はこの法案関連しては非常に問題でございまして、私どもいろいろ苦労いたしました。工夫も重ねました。そのあげく万一補正予算がない場合には、予算措置が延びるというような場合も考えて、こういう考え方のものがよかろうという結論で実は政府部内ではこの閣議決定をされたわけでございまして、御質問の御趣旨もよくわかるのでございますが、現在の段階ではこの程度答弁で、ぜひ一つ御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  54. 門司亮

    ○門司委員 このことばかり議論していても始まらないが、私はそれだけでは了承できません。この前の小委員会は公開でなかったから四千万円くらい出してもよかろうというあなた方当局者の意見もあったが、少くともこの問題はやはりはっきりしておかぬと、ここまで来まして法律となって現われて来ますと、これが基礎になってできるものでございますから、そう今簡単にこれを取り上げるわけにいきませんから、いずれあとで議論いたします。これ以上議論してもしようがありませんが、何か言うことがありますか。
  55. 森永貞一郎

    森永政府委員 御答弁申し上げることもないのでありますが、先ほど私といたしましては、先ほど小委員長の御報告もございまして、その御報告に対して別に異議をさしはさむようなお答えの仕方もいたしていないわけでございます。また金額につきましても、消防本部長との間にそう意見の食い違いがないというようなことも申し上げているわけでございまして、るる申し上げたことによりまして、大体御理解いただけたのではないかと思う次第でございます。
  56. 北山愛郎

    北山委員 これは理解できないのですよ。なぜかというと、ちょっと前も申しましたけれども、今度地方自治法の改正案の中に、こういうことを地方団体に教えておる。二百三十九条の四に「普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件が新たに予算を伴うこととなるものであるときは、この法律に特別の定があるものを除く外、これがため必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込が得られるまでの間は、これを議会に提出することができない。」となっております。つまり予算上のめどが的確に講ぜられる見込みが得られるまでは、その予算を伴う議案というものは、議会に提案することはできない、こういうことを地方団体にはやらせるよう地方自治法の改正案をやっておきながら、そして自分が提案する今度の法案については今のようなお答えでは、私どもは納得できない。だからこれはやはり大蔵大臣に来てもらって、——納得が得られるかどうかは別として、とにかく大蔵大臣に来てもらわねばならぬ。そうして今年度内に何らかの方法で四千万円くらい出すという言明がなければならぬ。小委員会の趣旨はそこにあるのだから、はっきりしてもらわなければできないと思います。委員長、どうぞそういうお計らいを願いたいと思います。
  57. 門司亮

    ○門司委員 建設省にちょっとお聞きしておきたいのでありますが、もう質問は終ったかと思いますが、問題は、水防団員消防団員がダブっておるという一つの事実であると思います。従って水防関係で問題が起った場合に、たまたま消防団員であれば、この補償の適用が受けられる。たまたま消防団員でない場合に、この法の適用が受けられないという場合が出てくる。その場合に、建設省は何かお考えになっていますか。
  58. 堀川恭平

    堀川政府委員 前にもお答えいたしたのでありますが、両方またがっておる団員は百四十万、水防団員としてのみの団員は二十四万、この団員の中から毎年少い数ではありますが、災害を受けておるのであります。こういう意味から、昨年制定しました水防法では、市町村災害補償しなければならぬという法律は出ております。市町村はこれを義務づけられておるのでありますが、国からの補助はないのであります。こういう意味から行きまして、われわれの建設省といたしますれば、水防法を改正して国の補助を受けるようにしなければならぬ、かよう考えておる次第であります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 それはお考えはそれでよろしいのでございますが、ただ応急の処置として、そのお考えが実現するまでの間に、私は必ず差が出てくると思う。その差が出てきますと、消防団の方が都合がいいということになりますと、さっきお話しのよう法律があるといたしますと、自治体の負担が事実上それだけふえるわけでございます。従って私の聞いておりますのは、その間の処置をどうされるかということです。新しく法律ができてくればけっこうであるが、その間の処置をどうされるか、これはごく短かい期間だと思いますけれども、それだけ聞いておきたい。
  60. 堀川恭平

    堀川政府委員 できるだけ早くその処置をしたいと思いますが、その間にもありますれば、多少差がつくことは事実であります。前にも申し上げたのでありますが、ここで修正してもらって、この中へ入れてもらえば一番けっこうであるのでありますが、そういうわけにも行きませんので、われわれといたしましては、次の国会に必ずこれを改正いたしたい、かよう考えております。
  61. 門司亮

    ○門司委員 私は今の次官の御答弁を聞きますと、ちょっと変な気がするのですが、実は修正しよう考えたのです。水防という字を入れれば大体まとまる。法律の第一条の中に入れればいい。幸いにしてこれには消防団員等と書いてあるので、水防という字を第一条の中に入れたところで、大した問題も起りそうもない。ところが建設省の意向がそうでないらしいので、修正がちょっとむずかしそうな話を聞いたので、そのままになっておる。これは入れられれば入れた方がいい。建設省建設省考え方があるので、別にしたい、こういうお話を私は承わったのですが、ここに「非常勤消防団員に係る」と書いてありますが、この辺に三字か四字加えればそれでいいのじゃないか、こう考えておりますが、その辺はどうなんですか。
  62. 堀川恭平

    堀川政府委員 お説の通り、直接の補助がないので、これは差がつくと思うのであります。今聞いてみますに、やはり水防法を改正いたしたい、こういうことを建設省では念願いたしておるそうであります。そこでそういう場面が来たときには、地方交付税か何かによってやりたい、こういうことを言っておりますが……。
  63. 門司亮

    ○門司委員 そんな答弁ではちょっと困ります。地方交付税をむやみやたらに持って行かれては減るばかりです。わずかな金でも、建設省処置がよくなかったことで野放しで使われてはほかが迷惑します。もし建設省が修正してもらいたいという御意見ならば、まだ審議過程ですから、われわれも与党と相談して修正してもけっこうです。その辺の腹を一つ聞かしていただきたい。
  64. 堀川恭平

    堀川政府委員 地方交付税の中にも水防費が若干入っておるので、そういうことを言ったのでありますが、実はわれわれといたしましては、早急にこれを改正いたしたいということで、その間はどうもやむを得ぬのではなかろうか。ただ、今施設費に対しての補助だけやっておりまして、その他の補助はやっていないのであります。そういう予算がありませんので、若干日にちの差がつくと思いますけれども、やむを得ぬところだと思います。
  65. 加賀田進

    加賀田委員 今建設省の方で、次期国会でこの消防団員と同じよう基金制度法案を提出するという言明があったのですが、そこで大蔵省にお聞きいたしたいと思います。すでに消防本部長との具体的な折衝の過程を通じても、補助金の問題に対して本委員会では明確な答弁がない。消防本部長はうなぎをつかんだような、逃げられたような顔をして、困り抜いておるのですが、この法案と同じよう水防団員基金制度等を、もし建設省が設置するならば、大蔵省としてはこれに協力するかどうか、この点明確にしていただきたいと思います。
  66. 森永貞一郎

    森永政府委員 消防団員補償制度が確立をいたしました暁におきまして、水防団員についても同じようなことを考えるというような具体的な提案がございますれば、私どもといたしましてもこれに協力することにやぶさかでございません。
  67. 大矢省三

    大矢委員長 それでは先ほど委員要求もありましたので、政府提案の本案に対する財政上の裏づけ、予算上の措置に対しては、内閣総理大臣が責任があるのですが、しかし予算でありますから、大蔵大臣を……。(「休憩々々」と呼ぶ者あり)それでは休憩してよく相談いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後零時三十四分開議
  68. 大矢省三

    大矢委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。  私から政府に最後にただしておきたいと思いますが、先ほど来お聞きの通り、各委員から本案に対する財政措置についてお尋ねがありましたが、最終的な政府の態度をこの際表明せられんことを願います。
  69. 森永貞一郎

    森永政府委員 本法施行に伴う四千万円程度の経費につきましては、政府において措置いたします。
  70. 大矢省三

    大矢委員長 他に質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は打ち切りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、本案に対する質疑は終了いたしました。  午前中の会議はこの程度にいたし、午後は一時半に再開いたします。これにて休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  72. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。北山愛郎君。
  73. 北山愛郎

    北山委員 この前要求した資料をいただいたわけですが、これについて一つ説明をしていただきたい。
  74. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 お配りいたしました資料につきまして簡単に御説明申し上げます。  第一表は町村職員恩給組合概況変遷調べで、組合ができましたのは昭和十八年、それからずっと組合員数と平均率、掛金率は組合員が納付する金額で、負担金率は、地元の市町村が負担する金額でございます。それから掛金の収入、負担金の収入、給付費はこの組合が給付する各種の給付金の合計です。それから資産は、結局その差額で蓄積されていく資産の概況でございます。そこで組合員の掛金率は、当初から千分の二十という数字で来ております。負担金率は最初千分の九十でしたが、その後組合の経費関係の計算上、それを是正しまして、百四十、百五十五となったことがありますが、二十九年に百三十五に下げ、三十年にさらに百十五に——この数字はここに出ておりませんが、現在では百十五でございます。これは北山委員かねてからのお話通り、われわれといたしましても、町村の財政の現況から考えて、負担金率はなるべく許せる限り下げさせた方がよかろうというので、この恩給組合の連合会にも勧告をして参りまして、現在は百十五、それで給付費の総額が大体ここに出ている状況でございます。  それから今後これが推移を見ますのが第二表でございます。給付額積立金等の概算、同じ掛金率、負担金率で行ったとして給付額の推移が、どうなるか。昭和三十年度十三億が、第十年度で二十六億、それから第五十年度で、だいぶ先でありますが、六十一億、それからずっと六十一億と続きます。それから積立金は百六十億からずっとこういう数字になるわけでございます。それから一番右の自然保険料率調べというのは、北山委員がかねておっしゃっておられます、つまり現実に得る給付額をその年度でそのまま取るとした場合の保険料率でございまして、現在は千分の五十一でいいのでありますが、これからだんだん退職者がふえて行きまして、恩給がかさんで行きますのに応じまして、その金額が次第にふえまして、十年目には千分の百十一になり、十五年目に百四十五と現在の率に達し、上回り、それから百九十一、二百三十五と倍以上の率になって今後推移する、こういう数字になるわけでございます。  そこで現在の組合での考え方は、給付が最高額に達した場合においても、現在の料率でそのまま並行して推移して行く数字を保険数理の上から計算して、現在の保険料率を算定いたしておるのでございます。それでありますから、現在のままの推移で行けば、千分の百十五でかりに済みますが、これをほうっておけば、今言う千分の二百五十幾つという時期が来るわけでございます。  そこでもう一つ参考に、第三番目に共済組合等長期給付関係概要というのがございます。これは町村職員恩給組合と類似の共済制度につきまして、その関係がどうなっているかというのを参考に調べたのでありまして、国家公務員共済組合法に基く各種の非現業共済組合、現業共済組合につきまして、組合員の掛金率、それからそれぞれの雇用者の負担金率、それから積立金と適用人員、並びに参考までに事業開始年月日を書いてあるのであります。新しくできたものと古いものとでその状況が違うわけであります。  それからさらにもう一つの問題は、新しくできたもの、過去にさかのぼるものと、さかのぼらぬものと両方あるわけでございまして、過去の勤続年数にさかのぼってやるものは、勢い負担金率が高くならざるを得ない。そうでないものはみんな小さい数字になっておるのであります。昭和二十四年にできたものをごらん願えば、掛金率と負担金率が非常に安いのは、これは過去にさかのぼらぬからであります。明治四十何年にできておる郵政省とか印刷局は、合計いたしますと千分の百五十を越しております。百五十を越すというのは、大昔からの退職年限をみんな通算されますから、そういう数字になってくるわけでございます。一番下に現在の町村職員恩給組合の数字を出してございますが、これはごらん願いますとわかります通り、組合員の掛金率は一番低いのでございます。千分の二十、ほかはみんな千分の三十とか四十——これはそれぞれ組合規約できめておるわけでございますが、それと町村の負担金が千分の百十五で、これは団体によっては必ずしもこう低くない数字でございますが、この恩給組合は恩給年限全部通算いたしておりますので、給付が非常にいい結果、こういう数字が出ておるのでございます。  大体お配りいたしました資料につきましての説明はその程度にとどめたいと思います。
  75. 北山愛郎

    北山委員 この保険数理といいますか、これは四十年も五十年も先のことまで、制度的に今の状態で進むものとして、一つの単位企業といいますか、一つの企業みたいな考え方でやっておるのですが、われわれから言うと、あと三年かあるいは五年くらいの間には、公務員だけが恩給をもらうというのでなくて、やはり公務員以外の人も年金をもらえるというよう——これは社会党政権ができれば、そういうことになると思うのですが、そういうことも考えてみれば、四十年、五十年先まで現在の制度でこれを見通して、その上に立ってこの料率を定めるということは、どうしても納得がいかない。それからまた、そのままじゃいかぬと思うんですよ。公務員だけが恩給をもらって、それ以外の、社会的にいろいろな働きをして年とってしまった人について社会保障、生活保障がないというようなことをこのまま続けておくのでは、これは近代国家ではない。だからおそかれ早かれそうならなければならぬし、その時期としては、四十年も五十年も先じゃ困るというよう考え方からしましても、どうもこの算定の方法というものは納得がいかない。  それからもう一つは貨幣価値の問題であります。貨幣価値についても、明治、大正、昭和以来の貨幣価値の変動ということが、今までの日本の恩給制度に及ぼした影響というようなことも考えてみれば、やはりその点から見ても、今の資本主義がそのまま続くものとしても、やはりこういう長期の算定をするのは適当でないというような感じがするのですが、その点については小林さんはどういうふうにお考えになっていますか。
  76. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今北山委員のおっしゃいましたのは一つの御意見で、われわれもいろいろ考えなくちゃならない問題だと存じております。実はこれは社会保障制度が全部でき上っても、御承知のように現在の厚生年金の制度もやはり同じ積立方式なのでございまして、全部社会保障を予算式に直してしまって、毎年国が予算でみんな払うという形にでもなる暁が——いつ来るか知れませんが、来れば、そういう問題は全部吹っ飛んでしまうかもしれません。しかしそれはだいぶん遠い将来のことだと思うのでありまして、現在の一般の厚生年金制度並びにここに列挙しましたような共済組合制度は、みんな実は同じ方式でやってきておるのでございます。そこで町村職員恩給組合の制度も、そうした制度にいわば右へならえをして運営をいたしておるわけであります。しかしながら、根本的にそうたくさん積立金を作って、そうしてそのうちで数十年後にその利子でまかなうのだというよう考え方をとることが、貨幣価値の変動とかまたいろいろな社会情勢の変動を見通せばいかがかという御議論は、私は当然にあり得ることだと思うのでございます。従いましてわれわれといたしましても、特に現在の町村の財政の状況から見ましても、できるだけ軽い経費で、計算上許せる限度にとどめたいという基本的な考え方は持っておるのでございますが、この制度の基本的な建前というものを直ちにどうこうするということはまあいかがか。まだまだ相当研究を要すべき問題で、その時期でもあるまい。ともかくも現在の制度で続く限りは現在の制度を基礎にして最大限の合理化をはかるのがさしあたりの措置じゃないだろうか、こういうふうに存じておるのでございます。
  77. 北山愛郎

    北山委員 どうもあまりに保守的というか、あきれるのですが、現在の制度だって、このままで行ったとしても三十年後には六百億くらいの積立金があるので、従ってこの運営収入なんかを見れば、必ずしも自然保険料率も千分の二百五十までも上らぬのではないかと思うのです。だからこういう点、今の制度のまま行ったとしても、必ずしも今の料率のように高い料率をとる必要がないのじゃないかという議論にもなってくるし、特に貨幣価値の問題はやはり現実の問題として起きてきたことでありますから、せっかく積立金をしたり掛金をしても、それを積み立てておっても、何年か先には貨幣価値の変動によって大きな足し前をしなければ、一向制度の目的を達しないということは現実に起ってきたことなんです。しかもこれは大体の傾向としては貨幣価値というものは長期的に見ても逐次下っておるというのが法則ではないか、こういうことを無視して現在の制度をとりあえず維持していこうという考え方はその日暮らしであって、進歩的な小林さんのとらないところであると思うのですが、それは別として、一つそういう点を検討なさるお気持があるかないか、これは根本的な問題でありまして、今度の改正案とはまた別個なことでありますが、しかしいろいろな角度から考えてみて、しかも国家公務員についてはこの制度と違うやり方をとっておるのですから検討する気持がないかどうか、これを一つお伺いしておきたい。
  78. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私もこの積み立て方式そのものについては、町村などについてある程度やむを得ぬという気はいたしておりますが、現在の計算方法なり、金額なりというものがこのままでいいのかどうか、これはこの前もちょっと申しましたが、私自身も疑問を持っておるのでございまして、これは恩給組合の当事者の専門家にももう少し根本的に検討の余地があるんじゃないか、積極的に検討すべきことを要望しておるのでございまして、われわれ役所の方といたしましても、その問題はもう少しぜひ考えたいという気はあるのでございます。ただこの積立金の方式そのものを、今すぐさらに根本的にひっくり返して予算方式でやるかということになれば、そこまでの踏み切りは今持っておりません。今申しました厚生年金制度とか、その他の共済制度、これは全般の問題として、さらに今おっしゃいました通り、社会保障制度全般の大きな問題の一環として、その方向にわれわれとしても研究は進めたいと思います。いずれにいたしましても現在の運用を基礎にいたしまして、現在の保険率その他につきましては、もう少し積極的に研究を進めていきたいと存ずるのでございます。
  79. 北山愛郎

    北山委員 次にお伺いしますが、自治庁としてはこの二月に全国町村職員恩給組合連合会の総会において、この組合法の改正案に対して反対の要望を決議をした、こういうことを御承知になっておると思うのですが、この関係団体の連合会が総会において反対決議をしておるということを、われわれとしては見のがすわけにはいかぬのです。それでその後どういうことになっておるか。それから特にこの総会の記録ですかを見ると、自治庁がこういうような改正案を立案する際に、恩給組合の連合会等とは連絡をとらないで起草してしまったというようなことで、大分総会の方では不満なんです。それで現在の関井理事長は、自治庁の中にはどうも事務官の中にファッショ的な分子があって、きわめて不満であるというようなことをすら言っておるようであります。この間の関係一つお伺いしたいのです。
  80. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 この総会の決議は知っております。私もこういう決議を準備しておるという話を聞きましたから出かけて行ってこれを見まして、逐一こっちの趣旨を説明し、大分誤解があるようでございますから誤解を説くことに努めたのでございます。しかし一応何かこういうものを作ったから出さざるを得ぬということで、それなら適当にお出し願いましょうかということであったのでございます。そこで実はこの反対はごらん願えばわかります通り、今度の改正の重点は今資料でお配りしたように、相当多額の資金でもありますので、資金の管理運営はやはりきちんとやらなければいかぬ、こういう趣旨でございまして、会計規定の基本を整備しよう、特に従来の経理方式に簿記の制度を採用しようということにいたしたものですから、簿記の制度は少しめんどうくさいというか、うるさいというか、そういう考え方がありまして、仕事をやっておる事務当局反対があったのであります。今まで予算制度で適当にやっておるのにめんどうくさいじゃないかという意見があったのでございます。これは事実でございます。しかしながらこれだけの多額な金があればやはり資金の動き、流れというものはきちんとしていかなくちゃいけないのでありまして、またこういう会計制度はむしろ進歩的な会計技術をだんだん導入して使っていくことが、町村の行政を進歩させるゆえんでありまして、これは多少は勉強してもらってやってもらわなくちゃいかぬ、こういうことで御了解を願っておるのでございます。現に共済組合制度につきましては、もうすでにその方式を初めからとっておるのでございまして、それはそれほどむずかしいものではないのでございます。その点が実は中心になってこの反対意見が出たのでございます。それからなおこういう連合会があるのに、十分連絡をとらなかったじゃないかということでございますが、これはもちろんわれわれも連合会との連繋にはそれぞれ意を用いておったのでありまして、役員会その他で話はしておったのでありますが、こういう公式の総会の席で、精細に説明したということがなかったのは事実でございます。その点私の方でももう少し手を加えておけばよかったということは考えておるのでございまして、その間の事情も総会で逐一述べまして了承を願ったような次第でございます。今日におきましては大体われわれの趣旨も御了承願っておるはずだと存じておるのでございます。なお関井会長が何かおっしゃったそうでございますが、そういう点はどういうことでおっしゃったのか知りませんが、全然御心配のないように私からお願いいたしておきます。
  81. 北山愛郎

    北山委員 最近も私これに疑問を持ちまして、町村会の意向も電話等でお伺いしたのですが、ただいまの小林さんのお話であれば、もう恩給組合の方は釈然としておるというようお話ですけれども、必ずしも釈然としておらないらしい。全体として反対であるかどうかは別として、内容的に、この要望の中に盛られておるいろいろな事項があるのですが、その事項がある程度改正案の中にくみ取られて、その要望がしんしゃくされておるならいいでしょうが、必ずしもそうじゃなくて、やはり自治庁が一方的に作ったような案をそのまま出しておるかに見えるわけで、われわれとしては釈然としないのです。関井さんが、自治庁の若い事務官の中にはファッショ的な傾向があって、このような案を秘密にしておいた、けしからぬというようなことを言ったのがそのまま正しいかどうかは別としまして、やはりこの問題についてはこの委員会としても、こういう正式の要望を総会で議決しておるのですから、参考人として町村会の恩給組合連合会の人に来てもらって意見を一応聞きたいと思うのです。必ずしも釈然としておらない。特にこの内容に触れますけれども、この前もちょっと申し上げましたが、この恩給組合の業務範囲を職員の保健、保養、教養の施設あるいは貯金の受け入れというように、福利施設等にまで広げておるのです。この点についても連合会の方ではたしか希望があったと思うのですが、連合会の方はこの問題については了承したのですか。
  82. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 連合会のお話がいろいろ出ましたから、もう一ぺん重ねて申し上げます。  連合会の方で最初意見のありましたのは、今の簿記の制度の採用についての意見が基本的であります。それからいま一つは、北山委員のおあげになりました福祉事業についてこの改正はどうだ、こういう問題でございます。これは申し上げるまでもなく共済組合制度におきましては、国の場合も府県の場合も町村の場合も、それぞれの資金の運用の一つの方式として、できるだけ組合員の福祉のために金を使った方がよかろう、こういうので福祉事業を現にやっておるのでございます。でありますから町村におきましても、主として雇用員を中心にした長期給付、それから一般職員の短期給付がありますが、この雇用員の資金を基礎にして、こういう仕事を現にやっておるわけであります。恩給組合は御承知の通り吏員を対象にした長期給付でありますから、同じ役場で、それぞれの組合で、それぞれの資金の運用上必要があればこういう道を開いておく、こういうことは組合員の積み金でありますから、なるべく組合員の福祉のために使ってやるのが当りまえの話でありまして、われわれはもっぱら福祉を頭に入れまして、そういう運用の方法の道を開く、これがなければ法律上これは許されません。しかし事実上やりたいというので、そういう要望のあるところも現にあるのでありまして、ともかくもやりたいところはやり得るようにすべきじゃないか、これは当然組合員のための福祉になるゆえんだとわれわれは考えておるのでございます。それが一つの問題でございます  それからもう一つ、何か監査委員規定につきまして疑問があったようでございますが、実はこれは何でもないことでございまして、こういう金を多く預かる団体ならば、監事と申しますか監査役と申しますか、そういう意味の管理監督をする職制があって、資金の運用を見張っていくのは当りまえの話でありまして、それで監査委員制度が自治法にあって、現在組合規約でみな置いておるのでございます。その制度をきちんとしなければいかぬじゃないか、こういうのでこの規定を置いたわけでございます。その他かねて町村連合会の方から要望のあった合併に伴う資金の移しかえその他の規定を実は入れたのでございます。なお一部の人のうちには特に簿記制度の採用等につきましていまだ百パーセント了承というところまで行っておらぬ方はおありだろうと思います。現に参議院におきましてこの問題が論議されましたときに、北山委員と同様に、この関係の問題が論議になったことも実はございました。しかし事情を十分御説明し、連合会の意見のあるところも十分に申し述べ、それについてのわれわれの考えも申し述べまして、御了承を願って今日に至っておる次第でございます。
  83. 北山愛郎

    北山委員 その福祉事業のことなんですが、恩給組合の方としては、恩給組合の本質的な性格というものはなるほど福利ではあるけれども、やはり退職後における身分、生活の保障制度なんであります。そこに主眼点を置くべきであって、在職者に対する福祉事業は別個に共済組合等でやるべきである。従って、もしもそれだけの財源があるということになったならば、それは町村財政の窮迫の現況にかんがみて、やはり恩給組合の町村負担を軽減する方に向けるべきである、こういうよう意見でありまして、根本的に考え方が対立するわけなんです。さっき小林さんからもお話があったように、現在の恩給組合がこういうようなやり方で行っておる、しかも掛金、負担金等の算定については現在の制度で行っておること自体に小林さんも疑問をお持ちになっておるのであって、これをすぐではないとしてもやはり根本的に検討しなければならぬとするならば、この際業務範囲を広げるということは適当ではないのじゃないか。やはり恩給を中心の目標として、根本制度の検討をすべきであって、かりに金があったとしても、それをどんどん福祉事業等の方に向けて行くということは、むしろ将来における改革を困難にするかもしれぬ、そういう点で、私はどちらかといえば恩給組合の方の意見も一理ある、十分な理由があるというよう考えるのですが、こういう点では納得しておるのですか。そういう意見はやはり同じように恩給組合の方も持っておるのじゃないかと思いますがどうですか。
  84. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今北山委員のおっしゃいましたところまで考えておるかどうかわかりませんが、現在共済組合では、実はこういう仕事をある程度やっておるのです。しかし先ほど申し上げました通り共済組合の資金は雇用員の長期給付が主体になっておるわけです。短期給付はもちろんありますが、短期給付は大体とんとんで行っておりまして、こういう福祉経理に回し得るのは大体雇用員の長期資金の運用の剰余金でございます。しかしこの仕事は、御承知の通り健康診断をやったり、場合によってはその他の保健施設を作ったり、貯金の受け入れとか運用をある程度やったりしておる状態でありまして、こういう問題は何も雇用員だけの問題ではなしに、一般吏員につきましても、同じ役場におって同じ必要があり得るのでございます。それでありますから、町村としてはそういう必要を考えてやろうとすれば、共済組合だけの資金を動かすのはむしろ不自然というか、不合理なのでありまして、やはり一般吏員の積み金の運用資金もそこに充当することを考えなければ、これはかえって不均衡にもなるのでございます。それからまた今おっしゃいました通り負担金も高いのに、こんなところに全部回してというのはごもっともでありまして、これはあくまでも長期退職給付が基本でございます。基本でございますが、その積み金の運用上の一つ方法として福祉事業をやることが考えられるのでございまして、それぞれの一定の率というかワクと申しますか、共済組合で考えておるような同じワクの範囲内において、もし組合員が希望するならばこういうこともやり得るようにしてやろう。これは何もみんな強制的にやらせる必要もなければ、特に奨励する必要も私はないと思います。しかしながら組合員がやりたいというのならば、その道だけは開いておいてしかるべきではないか、こういうふうにわれわれとしましてはきわめて軽い気持でございます。これによって基本的な制度をどんでん返しやるときに大きな差しさわりになるかということは、そういう御懸念は全然ない問題でございます。その点は一つ御安心願いたいと思います。
  85. 北山愛郎

    北山委員 第六条に「正規の簿記の原則に従って、」とあるんですが、この正規の簿記というのは政令か何かで基準を示すとかするのであるか。正規の簿記の原則といえば、もうすぐ、こういう帳簿だ、こういう整理をするんだということがわかるのか。どういうことを要求しているのか。また特に恩給組合について正規の簿記でなければならぬという理由ですね。これは相当繁雑であり、恩給組合の方としてもこの点について若干異論があるようでありますから、「正規の簿記の原則に従って、」と書いてあるのはどういうものを要求しておるのであるか。これを明らかにしてもらいたい。
  86. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 この規定町村職員の共済組合法にも、全然同じ規定があるのでありまして、これで多額の資金を扱うといたしますれば、計理の基本原則だけははっきりしておく必要がある。それでほとんど同じ規定をここに入れたのであります。結局正規の簿記というのは、簡単にいえば複式簿記ということになるのでありまして、複式簿記によって資金の処理の実情、管理の状況というものを、もっと明瞭にさしていこう、こういう考え方なのでございます。  財務の問題は、第六条の七に財務に関する事項は政令にまかしておりまして、必要な規定は政令で書きたい。これは今の共済組合制度に採用しておる制度を、そのまま右へならえをして考えたいと思うのでございます。
  87. 北山愛郎

    北山委員 それから現在積立金としてある——この表によれば百三十四億ですが、この金は府県の組合においては、それぞれ独自の方法で管理をしておると思うんです。その管理の状況ですね。地方銀行に預けておるのもあれば、勧業銀行に預けておるのもある。あるいはまたそれを運用して町村等に貸付をしておるものもある。いろいろてんで勝手な運営をしておるんじゃないかと思うんですが、この状況についての何か調べがあれば御説明を願いたい。
  88. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは今お尋ね通りでございまして、現在はこの資金の運用につきましては、もう全然規定、制約がございません。それぞれの組合がそれぞれ思い思いにやっておるのでございます。そこにわれわれとしてはやはり一つの問題があり得る。それで一般の共済制度と同様に、ある程度資金運用の基本原則というものを明らかにして、そのワク中において一つ適切な管理を願いたい、こういうのがこの法律の改正の要点の一つなのでございます。  ここに昭和二十九年の資料がございますが、それを見ますと、多くは預金をいたしておるわけでございます。また金銭信託、有価証券で持っておるものもございます。それから一部は短期の貸付、これは十九億という数字がありますが、これは町村に対する短期の貸付でございます。それから有価証券、投資信託なり、信託なり定期預金なりという長期の運用をいたしておるのが大半でございまして、八十五億ございます。それから流動資産として持っております金が四十七億、大体そういう数字が出ております。  そこでこれにつきまして、大体共済組合制度では大蔵省が中心になりまして資金の運用のワクを従来きめておりまして、どういうものに幾ら、どういうものに幾らと、そういうことをこちらの方でもそれに準じたことを政令できめて、運用の基本だけを明らかにいたしたい、そういうふうに存じております。
  89. 北山愛郎

    北山委員 その資産の中の固定資産がどのくらいになっておるかということ。もう一つは、この改正案の第六条の七によって恩給組合の財務に関し必要な事項は、政令で定める、この際に運用の基準などを政令で指示するつもりであるかどうか、これをお伺いしておきたい。  それから、もしもそうするつもりであるならば、大体どういうふうな基準で、この積立金資産の運用をさせるつもりであるか、これをお伺いしたい。
  90. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 二十九年度の百三十億余の資産合計の中で、固定資産に関するものは四千百万円あります。大した数字じゃありません。  それから財務に関する細則は政令にまかしておりまして、これは大体共済組合制度通りのことを考えまして、資産の管理、保管の原則を書き、余裕資金の運用の基準を書き、特に経理の資産運用の割合を明らかにいたしまして、目的別にたとえば長期の銀行預金、郵便貯金、または金銭信託ならば三分の二とか、有価証券は十分の一とか、あるいは地方債、地方公共団体の一時借り入れの貸付金は十分の三とか、こういう式に、従来共済制度でやっております公式に準じたものをここに定めたいと存じております。  そこで、これは公共団体の金でございますから、確実かつ有利である限りは、なるべく町村へ還元をするように、運用の方法としてはそういうことを別に頭に入れながら物事を考えたい、こういうふうに存じております。その他会計に関する政令では、事業計画書の作り方とか、あるいは契約の基本原則とか、そういう規定もあわせて必要なものを入れたいというふうに存じております。
  91. 中井徳次郎

    中井委員 町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案につきまして、先ほどからいろいろ御議論を伺っておったのでありますが、私のは大へん基本的な素朴なお尋ねでありますが、私ども伺っておると、この法案の内容は、何というか、金が少しできてきたからほかの事業も一つやってみたい。それについては、これまでのようなルーズな運営では困るから、国は一定のワクを法律できめてやっていきたい、こういうことであろうかとも思うのでありますが、どうですか。恩給という基本的な考え方からいくと、それも一つの行き方かもしれませんけれども、むしろ公務員全体として、他の地方自治体、すなわち府県の職員あるいは市の職員との関連において、この法案考えていくという考え方の方が、私は筋が通っておるように思うのです。そこで伺いたいのだが、県や市とそれから町村との関連はどういうふうになっておりまするか、そういう点についてちょっと説明を願いたいと思います。
  92. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今中井委員からお尋ねがございましたが、その最後のことに御答弁する前に、金が余ったからほかの事業をやっていく、そういう趣旨では全然ございません。福祉事業はそれほどの大した——われわれはこの仕事の目的からいえば、副の副のまたその副だと考えておるのでございまして、要するにこれだけの資金がございますれば、資金そのものの管理運営はある程度やはりきちんとしなければいかぬので、これが基本であります。そこでただ福祉事業につきましては共済等でもそういうものがあるから、これは欲するものならばみんなのためになる道を開こうではないか。それだけでございまして、これはきわめて平易な仕事でございます。従来の実例から見ましても、健康診断をやったり、場合によっては診療所の小さなものを作っているところがあります。海の家を作ったり山の家の経営をやったり、それから一部の貯金の受け入れとか臨時の貸付をやっておる、こういう程度でございまして、基本の制度にはほとんど影響がございません。  それから今の、その他府県一般吏員に対するこういう制度との関連は実はわれわれも一番頭を悩ます問題でございまして、この種の制度はいささか複雑に過ぎるのでございます。正直に申しまして、たとえば都道府県につきましては恩給法の動いておるものが現に多い。恩給法が動いておらぬものについては、府県の退職年金の条例でやっておるものが多い。それから雇用員につきましては町村職員共済組合というものがある。これは国家公務員全般にある雇用員の共済組合に以たようなものでありますが、市につきましては市で単独で、あるいは恩給組合に入って退職年金をやっておるものもあるし、それから雇用員につきましては市町村職員の共済制度というものがあるわけです。それもまた単独で自分で同じ式の共済制度を作ってやっておるものもあるわけであります。それから町村につきましては、吏員についてこの恩給組合があり、雇用員につきまして共済組合があるのでございます。その他警察職員とか消防職員とか教育職員になっても恩給法があったり、こっちの教職員の共済組合が働いたりというような形で、年金の問題並びに一時金の問題につきましては市町村あるいは都道府県の地方公務員全般として見れば、実は制度はかなり複雑になっております。そこでそういう複雑な制度をわれわれといたしましてもなるべく早く統一、一元化すべきものだというのが基本的な考え方でございます。しかしこれは今の社会保障制度の基本の問題にからんでくるわけでありまして、公務員につきましてそうした制度考えるときには、当然に社会保障制度の一環として国及び地方を通じて考えなければいかぬ問題で、現に社会保障制度審議会でもこういうものにつきましていろいろ検討を続けておられ、一部答申も出ておる。それから公務員制度調査会におきましてもそういうものにつきましてやはりいろいろ考え方も出ておるところでございまして、基本的に検討すべき問題がきわめて多いと思うのでございます。しかしそれは結局公務員制度そのものの官吏吏員制度をどうするか、雇用員の制度をどうするか、そういうものの身分上の問題との関連もあり、それから今申しました全体の国家の社会保障制度の一環として考えなければならぬという、きわめて大きな問題にからみついておりまして、なかなか速急に結論は出ておりませんが、基本的にはそうした問題を一歩一歩前進させて、統一的な全体的な保障制度の確立に近づくべきものであるということだけは、私は確信をいたしておるわけであります。
  93. 中井徳次郎

    中井委員 今るる大へん親切な御答弁があったのでありますが、あなたは冒頭のやつは、——私の考え方は公務員全般としての恩給制度というものは総合的に判断して、そういうものに近づけて行くというか、そのことについてはあなたは賛成である、だから今のやつはちょっと直すだけであって大したことはないという冒頭の説明があったが、この四条の三などを見ますと、小林さん、あなたのよう説明をよほどしないことには、今度法律が出てこれができるということになると猛烈に始めますよ。私はこのことを言うのです。さっきの御説明を聞くと百三十億の積み立ての中で固定資産が六、七千万円で大したことはないと言いますが、結局北山君も心配しましたようにそういう金が余るのならば掛金を少くするとか、あるいは町村の負担金を少くするというのが本筋であって、こういうことを始めますと喜んでどこでもやる。これは悪いことではありませんからやるということになって、特に三の職員の貯金の受け入れ、また運用とか、四の職員の臨時の支出に対する貸付というふうなことになりますると、心を大いにこちらの方に奪われたら現実の仕事は大へんなことになって来はしないか、また一の問題でも海岸に近いところは一つ大きな建物でも建てようといって、基金の運用についてはプラスにならないような面にまで進んで、横の方にだんだん伸びて五、六年たってくると抜き差しならぬようになっていって、まだ足りないから今度は少し率を上げねばならぬというふうなことになってくることを私は非常に心配するのですが、そういう意味で四条の三に「次に掲げる事業を行うことができる。」と簡単にやっておりますが、こういうものについては相当な制限とか審査とか一定の資格とか、そういうものを付する必要があるのではないか、これが一つ。  それからついでに関連してお尋ねしたいのですが、百三十億というのは全国的に見て非常に大きな数字でありまするけれども、これは各府県で組合ができておると思います。従って各府県単位で、これの積立金の一番多いところはどれくらいのものですか。その辺のところを二、三の府県を例にとって一つ答弁ただきたい。私はこの四条の三のような、こういうことを書かれますると五億や十億の金は五、六年たったらすぐ使ってしまう、大へんなことになって、四十六都道府県の中で一県や二県は大失敗をして、大穴をあけるというふうな事件が起りやせぬかということを、率直に言えば憂えるのであります。そういう点について明確に聞きたいと思うのです。
  94. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 その点は卒然とこの条文の一番頭の前にこういうものが出ましたから、御心配は無理もないかと思います。これは先ほど来申しました通り市町村職員共済組合法でも現在第四章に福祉事業というのがございまして、その六十五条に「規約で定めるところにより、左に掲げる事業を行うことができる。」というので、同じ規定があるわけでございます。それから国家公務員の共済組合法にもみんな同じ規定がございます。それでは国家公務員や市町村職員はこれで実際何をやっているかということを見ますと、実はそれほど活発に仕事をやっておるわけではございませんで、それぞれ組合単位で、ところによっては保養所のようなものを一つ作っているところもございます。それから健康保険をやったり、常備薬の配付をやったりしておるところもございます。それから貯金をやっておるところは、われわれ府県の共済組合を見ますと数府県ございます。それから貸付も貸付の条件をきめまして、町で資金を借りるよりもかなり低利で運用いたしております。そういうことをやっておるところもございます。しかしいずれも先ほど申しました経理の資産構成の基本の割合というものを、国、府県を通じて定めておる率を基礎にして資産割合をきめまして、そしてそのもとの割合の範囲内においてやり得ることにして、それはなお組合規約できめることにし、組合規約は知事の承認を受けることになっておりまして、運用の実際から見ましても、現に御心配になるよう事情がございます。そういう点はわれわれも一番注意いたしておるところでございますが、その大ワクだけはきちんとして運用上誤まりなきを期したいと存じておるのでございます。何分にも雇用員について現にやっておることでございますから、それを吏員について道をふさいでおくというのは、いかにも市町村制度としておかしいじゃないか。そこに基本的な事情があるわけでございまして、雇用員につきまして御心配のないような運用を現にやっておりますから、御安心を願いたいと思います。  それから、今の組合の資産は、府県によりまして相当開きがございます。一番多いのは北海道でございます。北海道は資産総額十一億ございます。これは多いのは、前に御承知の北海道の二級町村制といったような時代がございまして、公務員の制度が基本的に違っておって、そこではこれをずっと前からやっておりまして、それで資産が非常に多いのでございます。その他二、三、たとえば青森は二億五千万、岩手は三億一千万、鳥取などは一億、そういう程度でございます。
  95. 中井徳次郎

    中井委員 今のお答えで、ちょっと関連してお尋ねしたいのですが、そうすると四条の三を行われまするときには、知事の認可とか何とか、そういう手続は必要なんですか、どうなんですか。
  96. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは組合規約できめることになっておりまして、町村組合は自治法でやるわけでありますが、自治法では、組合規約を定めるときには知事の許可を受けることに現になっております。自治法の二百八十六条……。そこで必要な調整もできますし、その大もとを、先ほど申しました政令で基本のワクをそれぞれきめたい、こういうふうに存じております。
  97. 中井徳次郎

    中井委員 組合規約一本で、知事の承認か何かを得る、こういうことになっておるのですか。——そこで問題は、具体的に何か仕事を始めるときに、さらにまたそういう承認を得るとか何とかいう手続でなくて、全く自主的な判断にまかされておるのであるか、その点をもう一度確かめておきたいと思います。
  98. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 組合規約には具体の事業を書かせることにいたしております。その意味で知事の承認になっています。あとは、行うのは事業計画の問題になりますが、事業計画は組合にまかして、自主的な運営ということになっております。
  99. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっとまだわかりにくいが、そうなると規約の中に、たとえば四条の三のようなものを全部含めておれは、実際どこの海岸にどういうふうな家を建てるということについては、もう知事の承認とかそういうものは要らない、こういうことになるのかどうか、その点を用いておるのです。
  100. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 海の家を設けるということは規約に書かなくちゃいかぬと思いますが、どこへ設けるというようなことまでは書く必要がないのじゃないか、事業の実体的な中身だけが特定されるように、事業の種類だけが特定されるように組合規約に書かせる必要があろうじゃないかと存じております。
  101. 中井徳次郎

    中井委員 最後に冒頭の質問に戻るわけですが、どうもあなたも同感のようであったが、地方公務員国家公務員合してまことに複雑で、私ども審議をいたしまする場合に、また何かおかしな、似たようなものの修正案が、毎年々々二つか三つ出て——与党の議員はこれを称して雑件と言っておる。(笑声)けれども、今内容を検討してみますと、個々の公務員にとっては非常に重要な問題をはらんでおるように私は思います。そこで総合的な、何か大きな方針といいまするか、そういったものを——こういう法案を各個にたくさん出すよりも、一本にまとめるとか、何かについての努力をぜひお願いしておきたい。  特にまた国の官吏の恩給との関係で、府県との間に、この間もまた何か連係の問題その他が出ておりましたが、これは町村といえども理論的には同じであろうと思いますので、町村からは町村の吏員が官吏になるということは具体的には少いだろうと思いまするが、起った場合も十分考えておかなければならぬということになりますので、私ども実は雑件と思ってやりましたが、運用の仕方によりましては、四条の三など人の問題です。具体的に組合長になった人とか、その県の特殊な風潮であるとか、そういったものによっておもしろいこともできるでありましょう。しかし一たびつまずいたら取り返しのつかぬことでございますから、そういう意味で私どもはさらに慎重な検討をいたしたいような実は今気がしておるのですが、どうぞ一つ冒頭に言いましたよう考え方で、この際はあまりそういう横にふくれるということ——そのことは、そのことだけ考えますと、まことにいいことのように思うわけですが、全体から見ると、率直に言うて、どうもまだそこまでは早過ぎる。まだまだ基金が足らない。やるのならば、もっと余裕をもって、少々金が余って困っておるんだという段階にまで、恩給法の本来の性格を逸脱しないようにぜひお願いしたいと思うのです。この点は私どもまだこの法案に対する態度は決定はいたしておりませんが、最後に一つ希望を申しておきます。
  102. 北山愛郎

    北山委員 もう少しこの積立金運用についてお伺いしておきたいのですが、そうすると、現在の積立金の利回りといいますか、それはどのくらいになるか、今後自治庁としては運営の基準といいますか、それを示すというような御方針のようですが、特に町村の組合の資金でありますから、町村の財政需要に対する一時貸付というような方面には、やはり運用させるおつもりだろうと思いますが、一体どういうふうな割台でやらせるつもりであるか、町村への貸付は、実際組合としてはやりたいが、しかし一応のめどはないとやりにくい。それから確実な金融機関等に預ける場合においても、これが利息を生むということを本意とする場合、それからそうじゃなくて、資産の確実を期するという場合と、いろいろと実際の運用上理事者としても迷うし、またそこに重要な問題があると思うのです。おそらく現在の組合の中にはどうかと思われるような運用をしておる場合もありはしないかと思うのですが、町村同士の財政資金にこれをどの程度に活用を指導されるお考えであるか、それから金融機関に預金をする場合には、どういうふうな性格の機関に預けさせるという考えであるか、それをもう少し立ち入ってお伺いしておきたいのです。
  103. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 それは、利率は現在国家公務員の場合においては全体として五分を下らぬように運用しろ、こういう基本の規定ができておりまして、それで国家公務員の共済制度以下が全部動いております。全体として五分です。そこで北山委員のおっしゃいました通り、個々の運用の仕方によって、安全を考える場合あるいは高利率を考える場合、それから逆にいえば、むしろもっと市町村なり職員なりの福祉を考える場合と、いろいろあり得るわけでございまして、先ほどちょっと申しました通り、共済組合制度におきましては、長期経理における資産の運用の基準というものは、大体長期の銀行預金とか郵便貯金または金銭信託が十分の二、有価証券が十分の一、地方債または地方公共団体の一時借入に対する貸付金が十分の三、他の経理単位に対する不動産の取得を目的とするものに対する貸付金が十分の一、他の経理単位に対するその他の貸付金が十分の三というのが一応共済制度において設けられておる基準でございます。そこでさらに長期の銀行とか信託とか申しましても、どこへ預けるかというようなことまでは、もちろん制度に書くわけに行きませんので、それはそれぞれの団体で、自主的に安全かつ効率的に運用されることができるという基本的な規定を置くにとどめたいと思うのでございます。あとはそれぞれ組合で自主的にやっていただきたい、こういうふうに考えます。
  104. 大矢省三

    大矢委員長 本会議が開かれているそうでありますから、暫時休憩いたします。     午後三時二十二分休憩      ————◇—————     午後四時二十四分開議
  105. 大矢省三

    大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、項目別に質疑を行います。総則について質疑を続行いたします。質疑はございませんか。
  106. 中井徳次郎

    中井委員 議事進行のようでありますが、今度の地方税の改正の内容にない税種目につきましても、私ども社会党の方からいずれ修正案が出される関係等もありまするので、できましたら今の地方税の各種項目別についてずっと進めていただいたらどうであろうかと思うのであります。都道府県民税、あるいは市町村民税と……。最初府県民税からでもけっこうでありまするが、そういうことでお進めをいただきたいと思うのであります。
  107. 大矢省三

    大矢委員長 今の中井君の御意見通り、税種別で審議して差しつかえございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 大矢省三

    大矢委員長 それでは都道府県民税について質疑を行うことにいたします。
  109. 中井徳次郎

    中井委員 この都道府県民税は、住民税、市町村民税と関連しての問題になると思うのでありますが、いつも住民税関係の不均衡につきましてこの委員会で問題になっておるのであります。従ってそういうものと関連して、これは財政計画とも関連があるのでありますが、例の前年度の所得税の百分の十八でありましたか、それを両方に分けておるわけであります。そういうものについてオプション・ワン、ツー、スリーとありまするが、大体金額にいたしまして百分の十八という従来の線で行っておる。それをずっと計算いたしますると、国全体としてどれくらいになるか。ところが現実には各市町村におきまして、オプション・ツー、スリー、その他いろんな方法を使っておりまするので、百分の十八の数字現実の地方税の姿とは相当金額が違うと思うのであります。その差額が一体どれくらいあるか、資料は出ておるのではないかとも思いますけれども、そういうものについて差額はどれくらいあるかということと、そういうことについて政府は当分の間この不均衡の状態をほおかむりにしてそのまま続けて行く腹であるのかどうか、こういう点についてきょうは総括の最後の仕上げのようなものでありますから、私は一般論としてこういうものについて、もう一度念を押しておきたいと思うのであります。
  110. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村民税が問題になっておりますが、県民税の場合は御承知のように所得税額の五・五%ですが、これを各市町村に配分するだけでございますから、総額に変りはありません。
  111. 中井徳次郎

    中井委員 具体的には非常に入り組みますね。
  112. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村民税につきましては、第二方式等を採用することによって、所得税額を課税標準にして、標準税率を採用した方式のみの場合よりも総額において収入額が増加してくる。それが今度の計画では九十三億円程度多くなるだろうというふうに見込んでおります。問題は所得税額を課税標準とした場合には課税されないような人も所得割の負担をする、それともう一つは、実質的に所得税額を課税標準にした場合よりも、課税の限度額がふえてくる人たちがある、この二つの問題から収入額がふえてくるわけであります。しかし所得税額そのものにつきましても、給与所得者と事業所得者、事業所得者につきましても事業の内容によりまして均衡を欠いているじゃないかというふうな意見がずいぶん多いことは、その通りだと思います。従いまして、このこと自体は私たちは市町村民税のあり方として必ずしも不当だとは考えていないのであります。ただ問題は施設のおくれておるよう市町村における住民の所得割の負担がかえって実質的に重くなっている、この点じゃないか、こういうふうに思っております。この点につきましては、一つは地方交付税制度の問題にも関連してくるわけでございまして、施設のおくれておる自治体についての基準財政需要額を現状よりも幾らか多く見ながら、施設の均衡を一歩前進させるべきではないか、こういう問題があろうかと思います。それについてはまた前提として地方財源がある程度増額してこなければ、一方から削って他方へ回すだけでは解決にならないと思うのであります。そういう点につきましても今回若干地方財源が増額された機会に、基準財政需要額につきましても施設に要する経費を若干増額するというふうな改正も、別途行われておるわけでございまして、従ってこれで満足をすることはございませんが、将来ともこのような方向で解決をはかっていくべきだろうというふうに存じております。
  113. 中井徳次郎

    中井委員 今まず第一に金額を伺ったのですが、九十三億というふうな、そのような少額ですか。これは私は非常に疑問だと思うのですが、大体住民税の総額は幾らくらいか数字がすぐ出ると思います。千五百億ぐらいあるでしょう。それでもって百分の十八以外のもので取ったその差額が九十三億という、これは財政計画上無理にそういう数字を出しておるのか、それともその実績はそうだと考えておるのか、どっちです。実績はそうらしいと考えておったという、そんな甘いことではいけません。これは五割も六割も高くなっておるところがたくさんあるのですから、その辺のところをもう少し詳しく一つお答え願います。
  114. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 計画がそうでございますし、実績も大体この程度だろうと思っております。第一方式によります部分と、第一方式以外の方式によります部分と大体収入額にして半々だろうと思っております。第一方式によります部分についての徴収見込額が現年度分で百五十億三千三百万円、第二方式によります分が二百四十三億三千七百万円、大体六割、平均一・六倍くらい見込んでおるわけであります。数年前におきましては御指摘のように百数十億もよけい徴収しているというふうな事態がございました。ところがその後府県民税と市町村民税とに分けたわけでございます。分けた際に総所得金額の一〇%が課税の限度額であったのでありますが、これを七・五%に引き下げております。従いまして所得税額を課税標準とした場合よりも増徴される部分が少くなる。その結果お考えになっておりますよう数字が百億円を割るのじゃないだろうかというふうに見込まれるようになってきておるわけでございます。
  115. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、見込みも実績もその程度であろうというお答えであるが、しかしながら九十三億という数字考えてみれば私は非常に大きな数字だろうと思います。これをそのままにいたしておいて、さっき奥野部長が問わず語りに言うておられたが、重税を取っているところはその税金によってどんどん施設も拡充し、道路もよくなり、学校もよくなるというならいいのでありますが、その逆であります。非常に困難であるからやっておる。さらにわれわれが指摘したいのは、それがほとんど恒久化しておる。これは私は非常に大きな問題であろうと思うのであります。これが臨時的なものでありますならば、私はあの制度はまことにけっこうだと思います。恒久化しておるということ、こういう状態を、もう四、五年になりますが、そのままほおっておくということについてはどうも解せない。特に大都市の周辺の部落におきましては、そういうことのためにたとえば現実には周辺の部落に住んでおるけれども、税金は大都市へ納めておるとかというふうなことはもうたくさんあると思う。特に東京の近郊、大阪の近郊、名古屋の近郊というものはたくさんあろうと思うのでありますが、こういう点について、もう少しはっきりした政府としての意欲と言いますか、具体的な考え方、たとえば明年度において何とかしたいと思っているあるいはその点については早急に十分な検討をして、このへんぱな実情というものを何とか修正したいというふうなお答えがあってしかるべきだと実は考えるのでありますが、きょうは大臣がお見えにならぬし、早川政務次官、あなたが最後の責任をとってどうだというお考えもあろうかと思いますが、これはあなた自身もよく御案内だと思いますから、とにかくわれわれとしましては今回の地方税法の改正方法につきましては、まだまだ不満でありますが、政府といたされましては一大改革があって、これによって一応地方財政の赤字は埋めたというのでありますから、そういうお考えでありますならば、われわれはまずこれを先にやれという意見でありますが、その次に来たるべきものはどうしてもこの間の地ならしでなければならぬと思うのであります。そういう点から早川政務次官の率直な見解を御発表いただきたいと思うのであります。
  116. 早川崇

    ○早川政府委員 お答えいたします。市町村住民税も住民税自体として考えるということに、私は若干無理があろうと思うのです。町村内で所得税を納めていないような村、納めていても非常に少い村もございます。従って本年度の末に税全般の改正をいたしますので、今後の税のアンバランスをどうするか、また私の故郷その他で問題になりますのは、国鉄の勤め人には住民税が高い、片一方は所得はないけれどもあらゆる資産を持っている人は、固定資産税を納めることを前提としても、住民税がかからぬとかいうような社会政策上の不公平の問題を常に耳にするところでございます。従ってそういう面もあわせて考えまして、従来の戸数割的なものにするという意味ではございませんが、もう少し実情に沿うような改正ということも当然考えたいと思っております。
  117. 中井徳次郎

    中井委員 大体お気持はわからぬことはないのでありますが、現在の日本の税体系のうちで、何としても一番目立ってはっきりとでこぼこの感じを持たしておりますのは、私はこの税体系だと思う。今早川さんもお答えになったが、それは市民税だけでということもどうかと思うという御意見については、それはそうでありましょう。一方固定資産税があるからそれの総合ということになりましょうが、ただしかし固定資産税というものの内容を見ますと、たとえば田地田畑などにかかっておるかと思えば、今度はまた住宅にかかっておるというふうな次第でございまして、どうもその辺のところも現実には固定資産の種類によりましてでこぼこがずいぶんあります。総合して考えてどうもあの辺のところは納得できないというのがここ四、五年間の税体系の一番大きな問題だと私は思います。さらにその次にはそういうものを整理して、われわれの主張としては、国税においては法人税その他大へんな基礎控除などをいたしまして、資本の蓄積に名をかりたいわゆる大資本の方の税体系には大いに意見があるわけでありますが、今の議論といたしましてはそれを一応横へのけておきましても、一般庶民大衆の間において非常なる不平不満がある。これがいわゆる農民の人と勤労者の人との間に話が合わない根本的な原因であろうと私は思うのであります。そういうことについて私はこれまで歴代の内閣がほおっておかれたということは、実際よくわからないのであります。そういう意味で今御答弁はありましたが、もっとはっきりと、あなたは昔の戸数割には返らないというような御意見で、それもけっこうでありますけれども現実に即して税金というものは不平不満のない、まあまあ納得できるというふうなことになりまするというと、私はどうも今の制度をそのままにしておくということはどうかと思う。実際地方に参りますると、地方の政治の平和をかき乱しておりまするのは、私はこの税体系であるとさえ言うていいと思うのであります。そういう意味から、もっと積極的な考え方を持ってどうしてもやっていただきたいということを、最後にもう一度私は念を押しますが、どうでございましょうか。
  118. 早川崇

    ○早川政府委員 この問題は非常にむずかしい問題でありまして、たとえば給与所得者、サラリーマンというものの方々は住民税あたりで非常に文句を言うのてす。それは中小企業者という独立経営者の方が非常に少いんじゃないか。——しかし独立経営者が毎日お客さんが来るのに非常に気苦労し、夜夢にも商売のことが出てくるというような中小商工業者の苦労という面から見ますると、またいろいろ御意見があるので、むしろサラリーマンなんかの方が楽な報酬を得ておるのじゃないかという御議論で、常に町村会などへ行きますと中小業者と論争になりまして、実は結論を得ないのであります。このことは同時に、農業事業税を本年度課そうという問題の場合に、今度は中小企業者には事業税がかかって農民にはかからないのはけしからぬじゃないかという論争ということもございまして、これまたそれぞれ御議論の根拠がなかなかあるわけでございまするので、たいまだ御質問の趣旨を尊重いたしまして、どうという結論はここで申し上げませんけれども、私といたしましても何とかこの問題にもう少し論争の起らない公平なめどをつけたいと考えておりますので、事業税等も総体的な税制改革のときにあわせて考慮いたしたい、かよう考えておるわけでございまして、物事の重要性は自治庁としてはよく理解しておる次第でございます。
  119. 中井徳次郎

    中井委員 これに関連しまして、あなたは先ほども中小企業の方も重いということでありましたが、率直に言って私どもは、それじゃ農民の税金が軽いのかというたら、私どもはやつぱりそうだ、軽いとは言えません。中小企業の税金はそれじゃ軽いのか、もっと取っていいのかというたら、とんでもないと言う。結局勤労者の住民税だけは非常に重過ぎるというふうに私ども考えたいと思うのであります。そこで問題はほかの方にも関連を持つわけなんだが、どうも去年の下半期以来日本経済としては私はやはり大へんな上昇であろうと思います。従って、国の予算等におきましても、昭和三十一年度は相当の自然増収なんかを見ております。ところが、地方財政の計画を拝見いたしますると必ずしもそうではありません。これは地方財政全体として非常に困難であるから、この際確実に見るというふうな意味において、わからないわけではないのでありまするが、そういう私どもの観点からいきますると、私はこの住民税の率というものについて、もうぼつぼつこれを引き下げていくというふうな方法でないといけないよう考えておるのであります。今の御議論の中にもあったが、たとえば中小企業は中小企業で、農業には事業税はかかっておらぬと言う、農業は農業で、おれの方は供出というふうな非常な負担があると言う、勤労者は勤労者で、市民税はめちゃめちゃに高いと言う、この論争の中で、歴代の政府はお互いにけんかをさせておいて、その上であぐらをかいておった。中小企業の連中が来たら、実は勤労者の方はなかなか高うございますよと言う、勤労者が来ると、あなた方には事業税はありませんよというようなことを言ってごまかしてきた。これは早急に何とかしてもらいたいというふうに考えるのであります。私は住民税について、さっきのオプション・ワン・ツー・スリーというような問題と、それからその次にこういうふうに給与所得なども、実績は所得が全体としては相当上っていると思いますから、自然増収が相当ある——一年おくれになるかもしれませんが、相当あるという面から行きまして、率においても百分の十八というふうなもの——これは私は府県民税と合せての話でございますが、率においてもぼつぼつ検討の時期になっているのではないかというふうにさえ考えているわけでありますが、そういう点についてどうでありましようか。
  120. 早川崇

    ○早川政府委員 お答えいたします。地方自治体がみずからのことはみずからで処理するという基本理念から申しますと、国の方から相当な交付税とか、いろいろなものを与えられている現状においては、理論的にはそういう場合に、自主的財源である住民税というようなものを、特に低くしろという理論は成り立たないと思いますけれども、今御指摘のように、自然増収というものが三十一年度約百億ほど見込んでいるわけでございまして、経済事情の好転によってさらにそれを上回る事態が参りましたならば、その程度の軽減ということは考えられるかと思います。
  121. 中井徳次郎

    中井委員 この問題については、私最後にもう一度またお尋ねしたいと思いますが、一応道府県民税に関連しましては終ります。
  122. 大矢省三

    大矢委員長 他に道府県民税に対して御質疑はありませんか。
  123. 門司亮

    ○門司委員 道府県民税ですが、私が政府にこの際税金のことでよく聞いておきたいと思うことは、将来の税を一体どうするかということです。道府県民税と市町村民税とのバランスをどこで合せるかということです。これは今の税法を見てみますと、府県民税が非常に従来貧弱であった。それから、その上に問題の警察を移管したことのために、従来府県民税を比較的納めていなかった農村にこれがかかってきておる。それからもう一つは、大規模の固定資産税というものが、市町村にあった分をある程度府県に委譲してきておるということです。この関係は、警察法の通ったときの事態から考えれば、府県の負担はふえないという一つのものの見方の上に、あるいは数字的な上にこれが通っております。通ってしまった現実は、御承知のように、二十九年度で四十億ばかり足りない、三十年度でも七十何億、補正ただけで約五十三億ぐらいあるはずです。これだけ足りない。こういうことになっておる。三十一年度も同じよう経過をたどっておる。従来富裕県といわれておった神奈川県あるいは大阪、福岡というようなところでも、結局警察をしょい込んだおかげで七億赤字になっておる。神奈川県では優に十億以上使っておることは明らかな事実であります。こういう問題との関連性は一体自治庁ではどう考えておるかということです。制度が変ったことのために地方の自治体がよけいに負担をしょわされておるという結果が生まれておる。この点に対する自治庁の考え方はどうですか。
  124. 早川崇

    ○早川政府委員 そういった制度によるところの前に負担しなかった経費の増につきましては、最終的には国からの交付税において考慮しております。
  125. 門司亮

    ○門司委員 最終的に交付税で見ておるというが、交付税で足りないから毎年おかしなことをやっておるんです。二十九年度も補てんするし、三十年度も出さなければ追っつかなくなっておる。交付税で補てんしていかなければできやしない。同時に、交付税というものはそうあるべきものではないかと私は思う。もしそうだとするなら、これは交付税の率をもう少し上げてもらわないと困る。交付税の率の上げ方というものはきわめて少いのであって、われわれは納得するわけにいかない。従って国と府県と市町村との間の財政需要、こういう問題について、自治庁は考えているかどうかということなんです。交付税をとるというなら交付税をとるように、交付税についての増額要求すべきであると思う。もしそうでないとするならば、ほかに国との間の財政調整というものが十分に行わるべきだと思う。こういうよう考えるのですが、今のような交付税でこれをカバーしているなんということでは、これはどうにもなりません。そのことのために迷惑しているのは市町村ですから。府県も損をしているし、市町村も損をしている。だから陳情書がたくさんきているのです。大規模の資産を府県に取り上げられたら困るから、市町村に戻してもらいたいという陳情がたくさんあるのです。しかしこれは国の制度が変ったから、そういうことになっておる。もう少しこれははっきりして、税制の面で何かお考えになっておることがあるなら、交付税というようなことだけでなしに、一つはっきりしておいてもらいたいのです。
  126. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御承知のように二十九年に警察費の負担をめぐりまして、かなり財政需要の面においても大きな改正がございました。これに伴いまして、府県に対しまして、府県民税をもちますとか、たばこ消費税を創設いたしますとかいうふうな処置をとったわけであります。一応都道府県も市町村も完全な自治団体ということになっておりまするので、基本的には自治運営に伴って地方の繁栄がもたらされる。それに伴って税収入もふえていく。そういう意味において応益的な課税、それが一つの基本になると思うのでありまして、府県につきましては事業税、市町村につきましては固定資産税、こういうような税源の配分になっております。  もう一つは自治団体でありますから、住民全体が自治の推進のために協力をして行かなければならない。その費用の負担というものは能力に応じてしようじゃないか、こういう意味で応能的な課税ということになるのだろうと思いますが、府県につきましては、府県民税、市町村につきましては市町村民税があるわけであります。しかしこれだけでは十分でないために、これに配するにいろいろな税をもってしておるわけでありまして、たばこ消費税その他のものがあるわけでありますが、こういう配分につきましては、都道府県の財政需要はどのくらいであり、市町村の財政需要はどれくらいであるということで、税率に若干の差等を設けておるわけであります。しかし個々の団体につきましては、最終的には地方交付税制度で調整せざるを得ない、そういうよう事情につきまして、基準財政需要につきましては、毎年度改正を加えて参っておるわけであります。もとより地方財政の全体の分量をどうするかという基本問題があるわけでございまして、年来地方財源の充実のためには、政府としても非常に努力を払って参っておるわけでございます。
  127. 門司亮

    ○門司委員 それで都道府県税の中で問題になりますのは、今も話が出ておりました事業税の問題があります。税総体として都道府県税であろうと市町村税であろうと、地方の自治団体が税財源だけではやっていけないことはわかっております。従って応能性があるとかないとかということは、とっくの昔になくなっておって、その議論は今通用しません。府県は財政計画の二五%内外しか実際持っていない。あるいは四千億とすれば、三分の一持っているくらいになるかもしれぬ。しかしそういう貧弱な税財源しか持たない地方の自治体の財政というものは、私は税によってここで議論するということは実際ナンセンスだと思っておる。そんなものをとったってとらなくたって、足りないものは足りないのです。もし自治庁がほんとに腹があるなら、とにかく少くとも半分以上というものは自治体が自主財源でまかなえるという建前をとらないと、ほんとの意味の応能的なんという能書きは言えないと思うのです。だから府県税の中で一番問題になっておる事業税にしても、法人事業税というものが大部分であって、個人事業税については、その数字はきわめてわずかであります。この中にはかなり無理なものがある。しかし政府はこういうことを改めようとしないのですか。事業税に対して、どの程度まで今度の国会ではできなかったが次の国会では改めようというような御意思がありますか、それを一応聞いておきたいと思います。
  128. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 事業税の問題につきましては、特に個人事業税において零細な所得者の負担が過重だというようなことから、基礎控除を毎年々々上げて参ってきておるわけであります。その基礎控除額が、昭和三十年度では十万円になったのでありますが、昭和三十一年度からは十二万円に引き上げられることになっております。この関係の減収が二十数億ではなかったかと思っているのでありますが、そういう改正をいたしたわけでありますので、これである程度緩和されるんじゃないかというふうに思っているわけであります。
  129. 門司亮

    ○門司委員 私が今そういうことを聞きましたのは、これは早川さんに聞けばいいと思うんだが、今度の国会政府与党の中にかなり公給領収証を中心とする問題があったと思うのですが、一体これはどうなっていますか。一応は与党も税制については修正案を出すということを新聞で発表した。これが長い間もたもたして、結局出さないということにきまったらしいから、そのときの与党の構想はどうであったか、発表できますか。
  130. 早川崇

    ○早川政府委員 公給領収書は、前の国会でおきめになった修正条項でございますので、最初からわずか二カ月という短期間の実情のもとにおいては、政府としては初めから廃止する意思を持たなかったわけであります。今回の地方行政委員会の修正によりましても、もう少し実績を見て公給領収書の是非を論ずる期間を与えてほしいという自治庁の要望をおくみ取りいただきましたことは、まことに御同慶にたえないと私は思っているのでございまして、政府といたしましては最初から廃止する意思はなかった次第でございます。
  131. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、それだけでなくして、何か改正案を出されるという御意思があったように新聞で私は拝聴しておったので、それが与党の方で修正がないということですから、政府と与党との間にそういう話し合いがあったかということです。ほかの税金についてでありますが、私の方は修正案を出しますので、一応あなたの方の意向を聞いておきたいと思います。
  132. 早川崇

    ○早川政府委員 政府としてとやかく言うべきものじゃございませんが、あるいは付帯決議かなんかで将来公給領収書の悪いところがあれば直すというような決議をされるやに聞いておりますが、本法律自体におきまして、これに対する修正はないと聞いております。
  133. 門司亮

    ○門司委員 それについて聞いておきたいと思いますが、府県税としても、いわゆる軽油税ですか、これは建設か運輸の委員会で、全会一致で、もう少し安くしてもらいたいという要望書が当委員会に来ておりますが、それに対する政府の見解はどうなんです。
  134. 早川崇

    ○早川政府委員 軽油の年間所要量が百万キロリッターという基本数字が動かない以上、六千円を五千円に下げたり、あるいは三千円に下げたりする意思は、政府としては毛頭持っておりませんし、また当委員会においても、与党の委員の方で修正するということも聞いておりません。
  135. 門司亮

    ○門司委員 これには相当異論があるようにわれわれ聞いております。連合審査過程におきましても、建設委員からもかなり強い意見が実はあったわけであります。従って先方の委員会では、与野党を問わず、全会一致で、もう少し下げてもいいという意見が、大体本委員会意見であったように私ほ思う。そこで問題になりますのは、課税の客体になっております輸入量が、一体どのくらいかということがおそらく問題になってくると思います。この数量は、自治庁の数量が正しいのだという話もあるし、正しくないという話もある。あるいは自治庁の数字で行けば、もっとよけいとれるから税率はもっと低くてもいいのだという結論に私はなっていると思うわけですが、これは一体どれが正しいかということは、われわれもはっきり言い切れないのだが、問題は税収自体というものは、こちらで政府が一応予定した額より以上上回って、明らかに取れると思うものについて、もし課税率が定められておったとするならば、それは私は税の本質については非常に大きな誤まりだと思う。少くとも政府予算をまかなうだけの金があればいいのであって、より以上のものを税金をきめる場合にきめて、これを徴収したということになれば、それだけやはり苛酷な、必要以上に苛酷な処置をとったというそしりは私は免れないと思う。従って課税の客体がどれくらいあるのか、これに課税率はどれくらいにしていいのかという率をきめます場合は、非常に慎重を要すると思う。とってみて、そうして百億よけいあった、五十億よけいあったということは、政府としてはやりいいかもしれませんが、納める方からすれば、これは苛酷な税金をとられたということになると思う。だからこの点については、やはりわれわれは慎重に討議をする必要があると思っている。でありますので、きょうここで直ちに私は結論を出そうとは考えておりませんが、運輸委員会あるいは建設委員会政府との間、自治庁との間に何か御協議されたことがあるかどうか。ここの小委員会あるいは連合審査会では、いろいろ意見がございましたが、その他にあなた方の方に話し合いがあったかどうか、もしあったなら、その点を一つここで御発表を願っておきたいと思います。
  136. 早川崇

    ○早川政府委員 委員会との折衝は、正式の連合審査会の委員会以外に、裏で折衝したことはございませんが、政府部内におきましては、運輸省といわゆる百万キロリットルか百十万キロリットルか、あるいは三十万キロリットルかというようなことで、若干調整協議をいたしまして、その結果主管省でありまする通産省の百万キロリットルということが、正式の三十一年度の需要数量ということに確定をいたしたわけでございまして、われわれとしては、もっとたくさん需要があることを見越して、よく吉田内閣当時やりました、自然増収がたくさん出るということは、極力われわれは避けたい、かよう考えておりますので、百万キロリットルという数字は、過少見積りでもなく、また過大見積りでもないという結論に達しておりますので、御了承願いたいと思います。
  137. 門司亮

    ○門司委員 そのことは私は妥当な数字と解釈しておいた方がいいと思う。上でもなければ下でもないが、あまり正確な数字ではないと私は思う。  その次に、この税金でもう一つ聞いておきたいのは、この税の中のいわゆる五大市の分です。この分は、法律に基きますと、主要な県道というものが大体中心になって配分されることになっております。ところが五大市の中には、一般の概念からくる主要な県道よりも、市道の方がむしろ重要なものがたくさんあると思う。従ってこの税の配分をもし五大市に行おうとするならば、私は主要な市道というものが、当然この分の中に含まるべきだというよう考えるのだが、その点の解釈はどうです。
  138. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 さしあたり主要な幹線道路の整備から始めるべきだというふうなことから、国道、府県道を管理しております府県の財源として予定しているわけでございます。その場合に五大市の長は国道、府県道を管理しておりまして、その市内に関しまする限りは、府県知事は管理権を持っておりませんので、五大市の部分だけは五大市に府県から交付させる、こう考えているわけであります。その場合に道路の面積で府県分と五大市分を按分するわけでありますが、御指摘のように五大市の中には一般市道よりは重要ないわゆる指定市道というのがございます。この指定市道も府県道並みに扱ったらいいのじゃないだろうか、こういう意見が地方道路譲与税の配分をめぐりましても、現に五大市側からは出されているわけでございます。しかし、指定市道は、たしか五大市以外に福岡市でありましたかについても同じよう制度があるようでございまして、そうしますと、これを広げていくと、地方道路譲与税の財源を府県と五大市だけではなしに、さらに多少他の市にも広げていかなければならない。そうしますと、道路の整備を重点的にやっていかなければならない現状においては、あまり適当なことにはならないのじゃないだろうか、そういう心配も持っておるわけでございます。従いまして、もし指定市道を府県道に認定してもらう、こうなれは、もうすっかりそのものが配分の基準になっていくわけでございますので、そうやっていただけぬものだろうか、こういうふうな考え方を持っております。しかし指定市道を入れませんでも、御承知のように自動車の台数等によって道路面積を補正するというふうなやり方もやっておるわけでございますので、五大市の関係につきまして、指定市道が道路面積に算入されない結果、譲与額あるいは交付額が不当に軽小になってくるという場合には、補正係数につきまして十分な配慮を加える余地もあるのじゃないだろうかというふうに思っておるわけでございます。一般の市にまで広がってくることをおそれておりますために、指定市道は重要な道路ではございますけれども、やはり府県道と同じ扱いにすることは避けたい。従って解決の道としては、これを府県道に認定してもらうか、あるいは補正係数において若干の配慮を加えるか、こういうふうな問題になるのじゃないだろうかと思っております。今後とも五大市の問題につきましては、検討しながら、実情に即するような配分に努力して参りたいと思っております。
  139. 中井徳次郎

    中井委員 今は件名別にやっていますから、そこまで行っていないわけですが、今御答弁があったから関連してお尋ねするのですが、あれは説明のときには——今の金の配り方は、あなたのおっしゃる通りでいいが、配ってもらった金は、五大市や各府県の知事は、それをどのように使おうと、道路に使えばいいのでありましょう。その点はどうですか。
  140. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 その通りであります。
  141. 北山愛郎

    北山委員 遊興飲食税のことを今お話がありましたから、なお補足して伺っておきますが、自治庁の方から、今の遊興飲食税の昨年改正されたやり方、公給領収書のやり方、これについての数カ月の成績が発表されたわけで、資料を私どもただきましたが、その結果については、やはり一応好ましいような結果が出ておるように、この実績から見ましても、あるいは地方の——この前参考人に呼んだ大阪府の税務部の方からのお話によっても、大体において公給領収書の制度を採用したということは、初めねらっておった目標が実際にこの数カ月の間だけでも現われておる、こういうふうにわれわれは自治庁の資料によって、またいろいろな御意見によって、了解しておるわけです。従って将来はともかく、少くとも現在までの実績は、現在の制度を廃止するという理由はそこからは出てこないと私どもは思っておるのですが、自治庁としても当然そのようにお考えだと私は思うのですが、それについてはどういうお考えですか。
  142. 早川崇

    ○早川政府委員 これは国会修正でございますので、とかく批判を避けたいのでありますが、少くともこの二、三カ月の税収面から見ました収入は確かに上っております。ただしこれに対して、手続の点、あるいは官吏がいばるとか、いろいろ欠点も指摘されておりますが、現在におきましてはわずか二、三ヵ月でこの是非を判断する時期ではないと思います。従って今後いま少しこの公給領収書の制度の実施の状況を見た後に判断をする。現在これを変更する意思は毛頭ないのでございます。
  143. 北山愛郎

    北山委員 今は収入が上ったという点だけを申されましたが、しかしそれより先に、従来の徴収の仕方、すなわち組合等を通じて割当制でやるという、いわばば税法によらない、違反しているようなやり方を徴税当局がやらなければならなかった。これはもう奥野さんからも再々、そういうやり方では困る、何とかこれを直したいというふうな御意見もあったわけでございます。そういう点においては、今度の公給領収書制度を採用することによって、いわば徴税当局自身が、今度こそ法律規定に従って公正にとにかく課税をすることができる、これが大きなプラスである。まず第一にそのプラスがそういうふうに出てきておると私は思うので、地方の府県当局などに聞きましても、その点が同じように言われておるのです。これが一番大事な点ではないか。次に徴税の成績も上っておる、増収になっておる。これはしかし大都市においては上っておりますけれども、地方の府県においてはそのように総額においてはふえているとも言えないと思いますが、少くとも今申し上げたような第一点においては、これはプラスになったのではないか。だから私の申したいのは、自治庁から発表された今まで数カ月間の成績によって、これはやはりいい方の結果がよけい出ている。もちろん領収書というものを使うのでありますから、そこに事務的な煩瑣もある。なければないに越したことはないのですが、それを別にすれば、従来のやり方よりも今度はプラスになっている、こういうふうに私は自治庁としてはお考えになっていると思いますが、そういう積極的な御意見はないのでありますか。
  144. 早川崇

    ○早川政府委員 むろんわれわれといたしましては、少くとも現在までは公給領収書制度を廃止する意思はないのであります。いま少し状況を見まして、長短を判断する時間をかしていただきたい。現在はこれを廃止する意思は毛頭ございません。
  145. 北山愛郎

    北山委員 それではお伺いしますが、せんだって政府与党の最高幹部が、この地方税の特に公給領収書の制度の問題を中心として協議をしたのであります。その結果を新聞に発表している。地方税法というのは、当委員会におけるじみな存在でございますけれども、大政党の幹部あるいは政府の首脳部が、この問題を中心として数回協議をされたということは、地方税法のために喜ぶべき事実である、こういうふうに考えますが、ともかくその最終決定の結果として、幹事長の談話として発表されたところでは、次の国会では修正するというような、いわば公約をしておるのではないかと思います。これはただいまの早川さんの御意見ですと、これを廃止をするという考え政府としては持っておらぬというのですが、今の与党の幹事長の談話というものは、もう次の国会で直すと、こういうふうにはっきり言っておる。これについて、一体自治庁としてはどういうふうなお考えなのですか。今までのところでは、直す考えはない、こう言っておる。ところが政府首脳部は与党と相談をした結果、今ではないが、次には直すのだ、こういうことをはっきりきめている以上は、これは現在までのところで好ましからざる、改廃をすべき理由があるから、そういう決定をしたのだと思うのです。これは与党だけの決定ならばまだしも、政府の首脳部が参画している。だからただいまの早川さんの御意見とは食い違っておるのじゃないかと思いますが、そういう岸声明なるものについて、一体どういうふうにわれわれは解釈したらいいか、一つ教えていただきたいと思います。
  146. 早川崇

    ○早川政府委員 われわれといたしましては、本国会で遊興飲食税を改良することも改悪することもいずれも困るという根拠は、朝令暮改である、少くとも二カ月の実績では是非を判断できないというので、断固としてこれは拒否したわけでございます。将来の問題は、これをよりよくするというのであれば、これは党の方で御決定になれば、政党内閣ですから、われわれはその通り承服しなければなりませんけれども、どういうように改良のするのか、具体的なことは聞いておりませんから、是非の判断は差し控えたいと思います。
  147. 北山愛郎

    北山委員 これは与党と相談された自治庁長官に、さらに親しく率直な御意見を承わっておきたいと思いますので、次の機会にお伺いしたいと思います。  なおもう一点、府県民税についてお伺いしたいのですが、この府県民税を設定するときには私ども反対したわけです。反対の理由は、新しい税金を設けると、必ず増税の道を開くのだということで反対をしたのですが、奥野さんはそういうことにならない、こういうその当時の答弁でございました。ところがやってみると、元の市町村民税が所得税額に対して百分の十八でございます。今度は府県民税と市町村民税を加えますと、百分の二十以上になってきている。徐々にいろいろな理由をつけて、府県民税は府県民税で、市町村民税は市町村民税で少しずつそれぞれ率を上げるのですから、増税になってきておる。ただ自然増というわけではなく、税率そのものが上っておる。百分の二十を突破しておる。制限税率を入れますと百分の二十四になりますか、しかも方式が第二方式のただし書きというようなものが大多数を占めておりますから、そういう面からもまた増税になってくる。要するに結果としては、道府県民税を置いたために、増税になったということだけは認めなければならぬと思いますが、これは早川次官からも奥野さんからも御所見を承わりたい。
  148. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 二十九年に府県民税を作りましてから後、三十年に所得税の大幅な減税が行われたわけであります。従いまして所得税額を課税標準にいたしまして、税率を据え置きますと、減収になりますから、従前通りの額を維持できるということを目途に、税率の引き上げを行なったわけであります。従いまして増税という言葉をどういう意味で使うか、もし単に形式的に率の引き上げられたものを増税と言いますならば、それは増税に当るでありましょう。しかし実質的に現実の税負担額がどう変ったかという意味で言いますならば、増税ではなかった、こうお答えをいたしたいのでございます。なお先ほど中井さんの御質問に対してお答えいたしましたように、第二方式によって増収を得る部分は、道府県民税を設けることによってむしろ少くなって参ってきておるわけでございます。なおまた第二方式をとりました場合に、ただし書きを採用した場合でございますが、給与所得者につきましては、若干負担を緩和する規定も、国会で修正でございましたが、挿入され、現在におきましては、勤労控除がさらに本国会で引き上げられておるわけでございますが、さしあたりこれに手をつけないでおいたわけでございます。
  149. 北山愛郎

    北山委員 それからもう一つは、二十九年度の決算なんかを見ますと、道府県民税と市町村民税の賦課された調定金額は一千百億です。実際に収入されたのは九百二十億ですが、賦課されたいわゆる調定額は、二十九年度の決算では一千百億ばかりになるのじゃないかと思います。ということは、実際に税を納める人、納税者の側から見ればとにかく一千百億の徴税令書をもらったことになる。実際に収入したのはその中の八十何パーセントでしょう。そういうふうに非常にふえていっておるのです。こういう率で三十年、三十一年ということになれば、今年度の地方税の収入見込額の方は、住民税の関係は九百何十億かになりますが、実際の調定額というのはずっと越しているのじゃないか、こういうふうな気がする。こういうような点でも増税ではないかと思うのです。見込額でわれわれ見るわけにいかぬ。住民の苦痛は切符の方なんです。それを納め得ないから何十パーセントしか徴収できぬのであって、やはり令書をもらえば納税者にとってはそれは負担なんです。そういう点で調定額というものをやはり同時に見なければならない。二十九年度は一千百億くらいになったはずです。そういう点はどうなんですか。自治庁の方は徴収の方も税収が逐次上っている、こう言うのですけれども、調定額で見ると、やはり住民税というのは府県と市町村の両方を入れますと、相当な重圧になっておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点の説明お願いしたい。
  150. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御指摘になっておりまする住民税の中には、法人税割がかなり大きく入っておるわけでございます。正確に申しますと、二十九年度の調定済額が、個人分で道府県民税は六十四億四千百万円、法人分が百四十億八千六百万円、法人の方がだいぶ多いわけでございます。それから市町村民税は個人分が六百八十六億八千三百万円、法人分が二百二十二億四千七百万円、合計いたしまして九百九億三千万円、こういうことになっておるわけでございます。
  151. 北山愛郎

    北山委員 あとはあしたにしたいと思いますが、こういう資料はできておりますか。私のよく聞くことは町村合併をすれば住民税やほかの税金が安くなるんだ、こういうことで合併したところが多いわけなのです。ところが合併したその後の経過を見ると、市になった、その市の住民税の取り方が従来は第一方式であったものが第二方式に変ったとか、あるいは第二方式のただし書きに変ったとか、そういうふうにして税金がぐんと上ってくる。町村合併で税金の安くなるはずのところが、逆に高くなったということで、非常な失望を招いている市町村が少くないと思うのですが、それらの資料、町村合併と税負担といいますか、税の調定の方式、特に住民税の第一方式、第二方式との関係において、統計資料というものがありましたならお示しを願いたいと思います。
  152. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 町村合併の結果、税負担が若干ふえたり減ったりする団体は御指摘のようにございます。どちらかといいますと、私たちはむしろ負担は緩和されてきているというふうに思っておるのでございます。具体的の数字は、合併した結果どちらかにきまってしまわないで、不均一になっておる。言いかえれば従前通りのやり方をそのまま据え置いている、こういう団体の数が幾らあるかというのはございます。均一課税をやりました市の数は三十三、それから……。
  153. 北山愛郎

    北山委員 あとでもいいです。
  154. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 まあ数字を整理してお答え申し上げます。
  155. 門司亮

    ○門司委員 私はちょっと当局にお願いをしたいことがあるのです。これはめんどうな問題で、できるかできないかわからぬということを前もって断わっておくのですが、税が新たに創設されたということは町村の道路関係については非常にいいと思うのだが、ただ日本の道路行政自体を見ていくと、自治体の意向にかかわらず、問題は道路の上を走っておるトラックの大きさというようなものは全然別に考えられておる。道路の耐用度というものとトラックの大きさというものが、全然かけ離れて考えられておる。たとえば日本の国道の昔の定義からいいますと、十七センチが一号国道としての一応のコンクリートの厚さであって、大体重量からいうと六トン、橋梁が十二トンということが一応の規格になっておったと私は考える。そうなっていくと、今走っているトラックというものははるかに越えておる。従って今日の日本の道路行政というものは、昔のそうした一つのものを乗り越えた新しい角度における道路の施設関係というものが行われなければ、いつまで修繕をやっておったって間に合わぬ。これは今具体的に言えば、ばかばかしいと思われるような厚いコンクリートをやっておっても、より以上大きな、連合軍が今引っぱって歩いているような二十何トンもある戦車を持ってきて、ごろごろころがされたら一ぺんに参ってしまう。あのブロックになっているコンクリートが全部、がたがた動き始めるからどうにもならない。普通の一般貨物の輸送にしてもトレーラー——うしろにマークをつけているのでも大体七トンから八トンぐらい持っておる。これでは道路がぶっこわれるのは当りまえだ。そのあと道路を追っかけ追っかけ、あとからあとから幾らこういう新いし税金をこしらえて修理しようと思っても、事実上追っつかぬのです。これは建設省の管轄だとあなた方は言うかもしれないが、実際は、たとい道路は建設省の管轄であっても、これを修理しなければならぬのは都道府県であり、五大市である。従ってこれの関連性を政府部内で一体相談されたことがあるかないか、日本の道路の規格は一体どうするのかということを——どうもわれわれが考えてみると、道路の規格はやりっぱなしにしておいて、そしてトラックはどんどん大きくしていく、これが今日の日本の道をこわしている最大の原因だと思う。こういう面を自治庁、運輸省あるいは建設省の間で話し合われたことがあるのですか。その点は話し合われたことがあるのかないのか。
  156. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 建設省と運輸省との間で意見が対立しながらも絶えず協議をいたしまして、新聞紙上にも昨年なんかもかなり大きく載った問題だと思います。今後もなお御指摘の問題が残っておるわけでありまして、一そう十分に連絡をしながら、いい方向に持っていかなければならないというふうに思っております。
  157. 門司亮

    ○門司委員 そういう政治的なおざなりの答弁ではなく、ほんとうにやったことがあればある、なければない、これから考えたいというなら考えたい、——もう一つ私ははっきり言っておきますが、日本の今持っておる国道並びに都道府県道を一応修理するとすれば、一体どれくらいの費用を見積っておるのか、建設省でなくて自治庁でわかるなら、その数字一つはっきり出してもらいたい。こういうふうな法案審議する上において非常に問題になる。こんなものを幾らこしらえたって、片っ端からこわすのでは何にもならぬ。問題はこういうものによって修理されるものが、完全なものができ上るという処置をしなければならないと思う。これが一つ。  それからもう一つ資料を出してもらいたいと思うことは、これも自治庁に頼むのはあるいは無理かもしれないが、もしなければ建設省に相談して出してもらいたいと思う。日本の現在の都道府県道を、大体普通のトラックが通るだけの道路に改修していくにはどれくらいの費用がかかるか。これは自治庁でもわかっていると私は思うのだが、もしわからなければ建設省との間に話を進めてもらいたい。もし資料があるならこの機会一つ出してもらいたい。これは地方財政に非常に大きな問題を投げかけている現実の問題ですから……。
  158. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 道路の実態によりまして、そこを通過する車両の規格についての制限、これはたしか道路法の根拠に基きまして昨年建設省が指示をして、大へん議論を巻き起したことを記憶しております。しかし詳しい内容は、建設省の方に御意見があったことを連絡いたしまして、そちらから答えるようにしていただきたいと思っております。  なお道路整備にはどれだけを要するかという問題につきましては、具体的の数字を今持っておりませんが、道路整備五カ年計画、これは閣議決定を経ておりますが、この総額がたしか二千六百億円であったと思います。この二千六百億円によりまして、現在国道と府県道の未改修部分のどれくらいが改修されるかというと、道路延長でたしか一割足らずじゃなかったかというふうに思っております。しかし道路延長だけでは実際の経費の推定には役立たぬわけでありますけれども、ある程度推定できるのではないだろうかというふうに思っております。この数字の方の問題については、なお建設省によく連絡いたしたいと思います。
  159. 大矢省三

    大矢委員長 質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  160. 大矢省三

    大矢委員長 最後に参考人招致の件についてお諮りいたします。町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案について、先ほど北山委員より、町村会代表より意見を聴取いたしたいとの要求がございました。町村会代表を本委員会に参考人として招致するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお日時は明四日とし、町村会の会長もしくは事務局長に出席をお願いすることにいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十二分散会