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1956-03-28 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十八日(水曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 古井 喜實君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       生田 宏一君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       丹羽 兵助君    山崎  巖君       山中 貞則君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       坂本 泰良君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 三月二十七日  委員櫻井奎夫君辞任につき、その補欠として田  中利勝君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員青木正君、坂本泰良君及び田中利勝辞任  につき、その補欠として生田宏一君、原彪君及  び櫻井奎夫君議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四六号)  町村合併に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  まず市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案議題として、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。早川政府委員
  3. 早川崇

    早川政府委員 ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに内容概略を御説明申し上げます。  市町村職員共済組合法は、市町村職員に対しても、国家公務員及び都道府県の職員並み共済給付を保障することを目的として一昨年制定されたものでありますが、今回、健康保険法及び国家公務員共済組合法改正が行われるに伴い、これに照応して必要な改正を行い、その他組合運営実情にかんがみ、若干の改正を行う必要があると認めましたので、本法律案提案した次第であります。  次に、本法律案内容概略を申し上げます。第一は、健康保険法改正に伴う改正でありまして、療養の給付について、健康保険の例にならい、組合員にその費用の一部を負担させるものとし、組合は、当分の間、これにより生じた余裕財源の範囲内で、一部負担金の払い戻しその他の措置規約で定めるものを行うことができることとし、その他必要な改正を行おうとしております。  第二は、国家公務員共済組合法改正に伴い、必要な改正を行おうとするものでありまして、そのおもなものをあげますと、その一は、退職一時金を受けた者が再び組合員となり再退職した場合において、組合員であった前後の期間を合算すれば年金を受けることができる年数に達することとなるときは、恩給法におけると同様に、期間の合算をしようとするものであります。その二は、退職年金を受ける権利を有する者の再就職による年金改定額は、従前の年金額に再就職期間にかかる部分についての加算を行なった額を下回らないものとしようとするものであります。その三は、廃疾一時金を受けた者の廃疾程度退職の時から五年以内に増進し、廃疾年金を受けることができる程度となったときは、廃疾年金を支給しようとするものであります。その四は、直系姻族の養子となつたときは、遺族年金を受ける権利を失わないものとし、その五は、船員保険の被保険者である組合員に対しては、原則として共済組合法による給付を行い、本人が選択した場合にのみ船員保険法による給付を行うようにしようとするものであります。  第三は、その他組合運営実情にかんがみ必要な改正を行おうとするものでありまして、その一は、組合規約変更のうちで軽易な事項については、自治庁長官の認可を要しないものとし、その二は、組合福祉事業を行うに当っては、町村職員恩給組合と共同して行う等市町村職員福祉を増進するための事業が総合的に行われるように努めなければならないものとし、その三は、組合を組織している市町村とその他の市町村とが合併した場合における組合健康保険組合との関係調整に関する規定を整備しようとするものであります  以上本法律案を提出いたしました理由並びに本法律案内容概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 本日は説明の聴取にとどめ、質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 大矢省三

    大矢委員長 次に町村合併に関する問題について調査を進めます。発言の申し出がありますから、これを許します。生田宏一君。
  6. 生田宏一

    生田委員 この際町村合併関係しまする徳島県に起きました事態につきまして、一言お尋ねをしておかねばならぬと思うのであります。徳島県の富岡町の合併に際して、加茂谷地区紛争が起きましたために、ここ両三年地元においては非常な問題が起っておりますが、一昨日私の手元へ国から参りました新聞によりますと、合併反対委員長である片山某という男が、津峰神社という神社で死の抗議をして町村合併反対分村要求しておるようであります。これについては裏面に非常に込み入った事情も伏在しておりますし、私もその事情は存じておりますが、事は人命に関する問題でございますので、必ずしも不問に付しがたいと思うのであります。本来町村合併地方公共団体の良識に待って、その実行が行われるようにわれわれは考えておるのでありますが、このような事実につきましては、自治庁の方ですでに御調査あるいは事情が判明されておることでございますならば、事情を伺いたいと思うのでございます。
  7. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ただいまお尋ね事件につきましては、われわれの方でも、事態理由のいかんを問わず放置しがたい状況にあると思いましたので、きのうさっそく県の方にも電話連絡をしたのであります。その結果、ゆうべの情報でございますが、県の方でも各方面と連絡をいたしまして、本人の今までの行為本人の了承を得てやめさせた、そして断食行為は現在行われていない、あとはこの問題をどう処置するか、こういう問題で、なお実情に沿うように考えたい、電話だけの簡単な報告でありまして詳細はわかりませんが、とにかくも今断食行為はやめたそうでございます。この点だけ御報告申し上げておきます。
  8. 生田宏一

    生田委員 それは大へんけっこうなことでございます。これは新聞でありますから真偽のほどはわかりませんが、十四日以降断食を続けておって、十一名次いで断食を始めた者がある。また百名が一日あるいは二日と短期間でございますが、断食をやっておるそうでございます。これは全く全村的な断食抗議だと思われるわけでございます。そこでお尋ねをしておきたいのは、町村合併につきましては、分村要求がありましたときには、知事分村要求に対する事情を見きわめた結果、住民投票勧告がなされるようになっておると承知しておるのでありますが、もともと本件は、合併をいたすときに、加茂谷村の村議会においても一票を争うてかなり入りくんだ伏在する事情があったらしい。そして一票の相違で村会は合併賛成にきまったのでございます。しかし住民の七割以上がこれに反対をしておる。そして徳島市に遠い冨岡町の町役場には三里も行かなければならない、徳島市に近い小松島市なら一里半ばかりで行けるし、交通上、産業上その方がいいのだ、また住民生活状態におきましても小松島市の方が従来関係が深かった、こういう事情がありますので、合併反対をしておった模様でありますが、その後いよいよ昭和二十九年の十二月にはこの問題をどちらかにきめなければならなくなりまして、そして時の県会議長の森口氏が中へ入って、とりあえず村議会議決は一票の違いであるけれども議決があったのであるから、これを尊重して一応は合併する、しかし三カ月間の冷却期間を置いて、なおかつ分村要求するならば、そのときには住民投票をしようじゃないか、そのときの条件としては、五分の三の反対があれば1法律からいえば三分の二でございましょうけれども、しかし五分の三の分村要求があれば、これを認めてやろうじゃないかということでたしか調印もしておるはずであります。その後この問題が徳島県議会の方でも取り上げることができなくなるような事情ができ、県の方もこの問題については触れることを避けてきた模様がある。そしてもう一年半を経過してきておるのでありますが、そういうようないきさつがありますものにつきましては、自治庁としましては、徳島県あるいは富岡等関係地方公共団体に対して町村合併促進に関する法律等の諸規定を十分に誠実に行わしむるよう御配意がありまするならば、私は円満な解決ができるものと思うのでございますが、その点につきましてはどのようなお考えを持っておられますか。
  9. 小林與三次

    小林(與)政府委員 実はこの事件は、私ども前から承知しておりませんで、現在の事態が起ってから初めて承知いたしたのでありますが、いずれにしろ問題は今の地域分村をめぐる問題が根源のようでありますので、その問題を円滑に解決しなければならないと思います。それで合併のときからいろいろ経緯もあり、その後いろいろ問題があったようでございますが、これはできるだけすみやかに実情に合うように円滑に事をさばくように、私の方も県の方に注意を喚起いたしたいと考えております。きのうちょっと聞いた電話によりますと、今地域的に賛否がだいぶ分れておる模様で、分村といっても部落押え方もなかなかできないし、そこに問題があるのだということを、これは簡単な電話でございますのでよくわかりませんが、そういうことを言っておったそうでございます。いずれにいたしましても現在の自治法には住民投票規定があるわけでありますが、直ちに住民投票に持っていって問題が円滑にいくとは限らぬわけでございまして、われわれとしては、もう少しその前段において調停とかあっせんとかいう手続を踏む方法制度的にも考えなければいかぬじゃないかということで、実は今度の新市町村建設促進法、今参議院で御審議を願っておりますが、その法律におきまして町村合併、ことに分村をめぐる問題につきまして紛争調停あっせん制度を設けまして、なお究極においては住民意思できめなくちゃならぬ、投票制度もなお補完的に入れてありますが、こういう制度をすみやかに活用いたしまして実情に合うような解決をはかるように、この上とも県の方に御連絡いたしたい、かように考えております。
  10. 生田宏一

    生田委員 私は今のお話しを承わりまして、ちょっとお聞きしますと大へんもっとものように思われるのです。しかし町村合併実情というものは、小林行政部長が言われるような実情ではございません。というのはたとえばこの町村合併にいたしましても、六カ町村合併した人口四万を超える大きな町でございます。加茂谷村は人口が四千ほどでございますから、約その一割に該当する。ところがあとの九割の町村は、何と申しますか最近の合併はできるだけ多くの地域一つの市なり町なりに包みたいという気持が多いものですから、わずか一割の中で紛争が起きましたものでありましても、九割の地方の町長でありますとか、役場理事者はこれを離すまいとする気持が強いのです。それがいつの間にか感情的になる、感情的になりますと、これは理屈を通り越して分村を認めないとか、合併をそのままにしておきたいという気持になるわけです。その場合小林行政部長が言われるようにあっせんをするということになりますと、感情の問題を抜きにしたあっせんでなければなりませんけれども、常に利害が伴ってきて、知事にしましても一をとって九を捨てるというわけにいきませんから、理屈はちゃんと整っておっても、この分村に対してはさわることは避けようじゃないか、こういうことで今までやってきておるわけです。私はよく事情も知っておりますが、富岡町は新しい町会議員を出しますときに、前の町村の区割で町会議員の割当をして選挙をしておりますが、それで反対派賛成派とがはっきり分れて立候補したのでありますが、賛成派の方は二人しか当選できない。合併反対分村賛成派が四名か五名当選しておる。明らかに三分の二というものは合併反対意思表示をはっきりしておるわけです。これは昨年四月の選挙でそうなっておるのです。この事実は厳として動かしがたい事実なんですが、なおかっこの事実に目をおおうて、この問題の解決に乗り出さなかったのは、その他の九割の町村意向考えて、地方公共団体首脳部の人が、問題を取り上げることをようしないのです。そうしますとこういうような事態を救うのは、感情論利害論抜きにして、町村合併法律案の示すところによって、従来の行きがかりなどは捨てて解決をしていくという、強い決意がなければ、この問題は調停に入っても解決できないのではないか。そうしますと住民投票による以外に道がないわけです。はなはだお恥しい話で、私の県はしばしばいろいろな問題を起すのですが、たとえば徳島市の市会議員選挙には、選挙管理委員会職員ども投票のすり変え事件を起して、それが百票であるとか五百票であるとかわからないのですが、それをしも不問に付そうとする様子がある。断固こういう問題は法律の示すところによって処置しなければならないとする意向があって、これが今全部の選挙のやり直しになるのではないかという見通しを私は持っておるのですが、この問題もそうです。こういう問題をなおざりにしておきましたならば、悪い因襲や悪い習慣が残っていって、町村合併によって出てきた地方公共団体の円満な運営はできぬと思うのです。むしろあっせんとかいうことでなく——あっせんということは町村合併法律によって事を処置する、それに至るまでの単なる手続であって、双方の主張を聞いて折り合いをつけてみて、円満な妥協点を見出そう、こういうことでは私は問題の解決はできないと思うのです。そこが今あなたの御意見は少しどうも意に満たないのですが、もう一度そこをお聞きしたい。
  11. 小林與三次

    小林(與)政府委員 お気持はよくわかりました。個々の具体町村実情によっては、もはやあっせん段階を過ぎてしまっておるものもありましょう。ただ今度の制度改正でそういう道を開いた、あっせん段階もあれば、調停段階もあり、最後には投票段階もある、こういうことだけ私は申し上げたのでありまして、今の具体の問題につきましては、現地の実情に即するような解決方法を講ずるように、これは私の方からも強く県の方に注意を喚起いたしたいと存じております。
  12. 生田宏一

    生田委員 断食が終ったというのは、おそらく昨日くらい終ったのではないかと思うのですが、これは人間の命を助けることでございましたので、非常にいいことであったと思います。私もただ一昨日の晩郷里から送ってきた新聞を見ただけでありますので、何も郷里情報は聞いておりませんが、自治庁の方でそういうことに乗り出していただいたならば、徳島県なり県議会に対して誤らざる指導をお願いしたい、こう希望する次第であります。
  13. 大矢省三

    大矢委員長 小林さんにちょっとお尋ねいたしますが、今の断食がやめられたというのは、何か得心のいく条件があってやめられたのか、その点わかりませんか。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そこのところは詳しくはわからぬのですが、今まで最初お伺いしておったところでは、今までただそう言うて問題を延ばすからということで、断食をがんばって延ばしたという話もあったのですが、日も重なりまして、保健所の方でも心配する。警察の方でも心配する。県の方ももちろん心配をしまして、ともかく断食はやめてあとのことはあとで相談しようということでやめたのじゃないかと思います。具体的な条件をきめたようなことまでは聞いておりません。
  15. 生田宏一

    生田委員 委員長からお尋ねがありましたから、私からちょっと何しておきますが、私の手元へ来ておる新聞では、富岡町の助役断食の現場へ行って、そこで取りあえず一つ断食をやめて下山をして御相談しようじゃないか、こういう話を持ちかけたということが載っております。そのときに片山という断食者は、それは従来自分に話があったことと少しも変らない、自分たちは常にその言葉によってだまされて一年半ここまできておる、具体的な解決策というものの意図が明示せられぬ以上は、私はこの断食をやめるわけにいかぬ、こう言って答えておる。それで勢井という助役はもはやそれ以上語る言葉がなかったので、そのまま引き下ってきたのだ。それを新聞記者がそばにおって取材しておるのですが、町当局断食者に対する考え方は従来の考え方を一歩も出ていない、これではおそらくこの断食をやめることはできないのではないか、町当局考え方にも非常に暗い影があった、こういって報道して載せております。おそらく委員長が今言われたことは一番問題なのであって、精神がもうろうとした死期に近づいたよう状態で、何か本人にはそういう誠意がある言葉がなきままに断食をやめさせた、あるいは警察あたり勧告が強く響いて、そしてやはり本人が完全に健康を回復してこの問題を取り上げても、再び同じようなところに低迷するのではないかという心配が私はあるわけです。ところで断食をやめたということなんですが、それはどのように話し合いがついたのか、そこのところをあなたの方でもう一度徳島の方へよくお問い合せしていただいて、一歩解決へ近づいておるならばけっこうでありますが、もしそういうように多少のごまかしがあって断食だけをやめさしたということならば一そう紛糾するに違いない。私はその連中とはそう懇意ではありませんけれども、些少の面識がある程度ですが、その決意たるや、われわれは想像以上の決意を持っておるように見ております。もしごまかし断食だけをやめさせたというのならば、一そう紛糾するから、至急に御調査願って、御報告願えればけっこうだと思います。
  16. 徳田與吉郎

    徳田委員 富岡町の町村合併で今断食までしておる。おそらく町村合併促進法ができまして三年たちまして、七割、八割は進行した。これからは調整段階に入ってくる。単に富岡町だけでなくて、全国におそらくこういうケースがたくさんあるのではないかと思うのです。今のところこういう分村の問題について、すでに合併して、合併した後で分村するとかしないとかいうふうな雰囲気のうちに合併したところが、その後いろいろ問題を起しておるのではないかと思われるのであるが、これらのことは全国で一体どれくらい現在のところあるか、小林さんから一つ御承知なら聞かしていただきたいと思います。
  17. 小林與三次

    小林(與)政府委員 実は合併関係書類を持ってきませんでしたので資料がありません。後でお配りいたします。大体今の問題は分村をめぐる問題です。具体的に解決しつつあるものもありますが、まだ残っておるものもあるのは事実であります。それらの状況数字にしてお配りいたします。
  18. 徳田與吉郎

    徳田委員 大体の数字あとでお聞かせを願いたいと思いますが、この問題はいずれ新市町村建設促進法のときにお尋ねするのがほんとうだと思いまするし、またお尋ねしますが、ちょうど関連がありますので……。実は私の方でも二つばかり分村問題が起っております。今承わりますればその方にもあるし、全国にもいろいろ問題があるのではないか。特に分町の問題は合併のときと違いまして、合併のときならば部落を分けるという手は考えられますけれども、分町になりますと、部落の中に反対賛成のあった場合は、その賛成反対を分けるというところに非常な深刻な、単に政治的な問題よりもそこまでいく間には感情の問題になって、今のようなあるいは断食をやるとか、学校へ子供を通わせないとか、商売人がお互いに品物を買わないとか、往来を通さないとかいうところまで深刻になってきているのではないかと思うのです。ただ今の問題に関連して、小林さんは第一段階としてはあっせん勧告等によってこれを解決する、最終段階には投票によってやる、こういうようなお話でありますけれども、もう勧告あっせんは、私どもの問題に関する限りは、ここまでくる間には三年、二年、あるいは一年、あらゆる面から———あるいは勧告あっせん行政権能でやるやらぬは別として、あらゆる面からあっせん勧告をもって和解に努めてきながら、だんだん泥沼の中に入って、抜き差しがならないところが多いのではないか。それを勧告あっせん解決しようとあせっても、私はきわめて少数のものはどうかと思いますけれどもあとのものはなかなか解決できないのじゃないか。ところがまた今おっしゃるように投票でやるということになりますと、これまた、一つ部落の中で血の出るほどけんかをした後にどっちかへくっつかなければならぬということは、その後に非常に大きなしこりが残って、いずれにしても問題が残るのではないか。こういうことについて、—なるほど勧告あっせんということは非常に穏やかでいいけれども、その上に何か一つのはっきりした筋を立ててみれば、いいことか悪いことか知りませんが、分村は絶対に許さないというくらいの一つの線を立てて合併してしまえば、分村できないのだという一つのはっきりした印象があってトラブルが少くなる。今できたものは別です。必ずしもそれは今の段階において妥当だとは思わないのですが、何かそういうふうなお考え方はないのですか。やはりあっせん勧告投票という以外は解決の道がないというふうにお考えですか。こういう深刻な問題をもう少し何かあきらめができるような形において、自治庁は指導するお考え方はありませんか。
  19. 小林與三次

    小林(與)政府委員 われわれもこの問題は非常に遺憾で心痛の種にいたしておるのでございますが、だいぶあった問題も逐次解決しつつあるのも事実でございます。特にこの四月—三月の市町村からの合併の問題は、境界変更が非常に多いのです。その資料も今整理いたしておりまして差し上げますが、境界変更が行われておるということは、分村問題の書類は大てい全会一致で来ております。投票をやっておる例というのは少いのでございます。やはり時間がある程度たてばおのずからその間に話がついておるケースが多いのでありまして、問題が次第にしぼられつつあるというのが真相だろうと思います。結局あとに残る幾つかの問題が非常に深刻になっておるのでございまして、こいつをどう始末をつけるかということは悩みの種でございます。やはりそれぞれの地域実情がございまして、地域的に見ればやはり分村した方が無理からぬというところもあろうと思います。そうすればほかの地域人たち反対をしておってでも、そこは分村さした方がいいものはさせるべきじゃないか。問題は部落の中で意見が分れる場合が一番困るのでございまして、その困る場合は、なるべく穏やかに行けばいいのですが、なかなか話のつかぬ場合は結局多数の意思できめざるを得ぬということに私はならざるを得ぬと思うのでございます。しかしそれにいたしましても、そういう問題がいつまでも尾を引いておっちゃケリがつかない。そこで今度の参議院提案いたしております促進法では、あらゆる法律上必要な道は全部開く。それで調停制度でやってもよし、最後には投票をやらざるを得ないかもしれない。しかしそれについても一応の時間的なけりをつけておこうじゃないか。だからやるものならやるで、ある一定の期間内に必要なものは取り上げることにして、それが済めばもう今の促進法という特例措置では考えられないことで、時間的なけりはある程度つけまして、問題の解決をはかったらどうだろうか。今おっしゃいましたような御意見も加味された方法考えておるわけでございますが、これはそのうちに衆議院の方にも参りましょうから、十分御審議を願いたいと思います。
  20. 生田宏一

    生田委員 一般的なお話が出たようでありますから、ちょっと申し上げておきたいと思うのでありますが、町地合併が混乱した原因を探ってみますと、一番多いケース住民合併町村合併でなくして、町村指導者の合併ということになっておるわけです。町村指導者が自分の身の振り方がりけばとたんに合併が促進する、あるいはまたそういう利害関係があって町村の指導者の利害調整がつけばすぐに問題が解決する、こういうのが町村合併の一番悪い面であると思います。そしてあらゆる混乱が大ていこの原因から出ているように思うのです。今のような法律案がかりに国会で成立して、調整に当てられる場合でも、こういうふうな原因があったということをよくお考えにならなければ、調整がつきがたいと私は思うのです。もう一つは都道府県の地方化と申しますか合併促進に非常に熱心である人たちがおります。私し県にもその実例があります。これがいいか悪いかということになれば、職務をまじめにやったということになりますし、それがひいては多少行き過ぎをこしらえておる問題もあります。しかし一番大きな問題は、指導者の合併に終って、住民合併でなかったというところにあるのです。この点だけは多少政治問題に関係を持ちますので、自治庁としては厄介な問題であろうと思いますけれども、この含みというものはよく考えておいてもらいたい、こういう気持がありますので、一つ希望と申しますか、先ほど申しましたことはよく調査して御報告願いたいと思います。
  21. 北山愛郎

    ○北山委員 町村合併の問題が出ましたから、関連してちょっとお伺いしますが、ただいまいろいろ質疑されましたように各地で、町村合併については、分村問題のみならずいろいろごたごたがあるわけであります。ただいま生田さんが的確に指摘したように町村合併に伴った紛擾というものは、やはり大きな原因は住民合併でなくて、指導者合併にあるのだと言われたのですが、私もそう思うのです。その原因をもう一つもとに戻って見ると、やはり合併促進法の適用について政府が非常な拙速主義をとって、三カ年に多数の合併をやろうという合併の基本計画を作って、大急ぎで合併を指導したというところにあるのじゃないかと思うのです。そうすると合併の目標というものは、住民の中によく浸透する時間を十分与えないで、そうして町村理事者なり議会議員等の間で合併が論議されて進められていく。住民の方は何だかわけがわからないが、まあこの際はバスに乗った方がいいのだということでやっていた、ここに大きな原因があると思います。それからもう一つの原因は、建設計画というものが合併という大きな理想を目標として、いわば関係町村一つの公約といいますか憲法みたいに、合併をすればこれこれの事業をするのだということで、条約みたいにしてやったのにかかわらず、その建設計画がさっぱり進まないというところにも大きな原因があると思うのです。そういたしますと住民はすっかり失望してしまう。合併して税金が安くなるとか、あるいは仕事がどんどんできるとか、そういうお題目があったにもかかわらず、すべて裏切られておる。ここに分村の起ってくる大きな原因があるのではないかと思うのです。従ってこれらの根本的な問題は今後新市町村建設促進法ですか、その際に徹底的に審議をしなければならぬと思いますが、こういうことをわれわれは審議したいと思って、実は去年の国会でも一昨年の国会におきましても、いろいろ資料をお願いしていたはずなんです。ところがどうもその資料が十分いただけない。たとえば建設計画についてでありますが、この建設計画というのは、全国の建設計画が内閣総理大臣のもとに提出をされているのですから、その集計がなくてはならぬのですが、大体大ざっぱにいって建設計画の総体の事業費の額というものはどの程度になっているか、それをお答えを願いたい。
  22. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のような資料は、促進法審議の際にみなお届けいたしたいと思っておりましたが、その前に御要望がありましたので、大体できておりますから、お配りいたしたいと思います。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 建設計画の大ざっぱな総体の数字はどの程度になっているのですか。
  24. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今ちょっとここに数字を持ってきませんでしたから間違ってもいけませんが、今まで来ております二十九年度、三十年度を集計いたしまして、それからその仕事の従来の進捗状況のパーセンテージを出しました印刷物、さらに事業別の中身を作った印刷物を作りましたから、これをお配りいたしたいと思います。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 それではその資料をいただきたいと思うのです。分村のいろいろな計数の資料、それから赤字に関する資料、これは合併以前の赤字が出てきたというものもあるでしょうし、合併後における赤字もあるでしょう。合併した団体の赤字の状態、それから税金の問題、合併したために増税になったということをよく聞くのです。減税になるはずのところが、逆に住民税が上りたという話をよく聞きますから、その資料もいただきたい。それから今の建設計画の総体の大きさ、各年度における年次別の計画の数字と、それからその進捗率というようなものについての資料をいただきたいのです。  それからあわせてお伺いしておきたいのですが、今度の新市町村建設促進法の中にはないようですが、少くとも合併によって起きた一つの新しい事態というのは今もお話がありましたが、人口が四万ないし五万といったような大きな町かできている、あるいはまた自治法の第八条にきめている市の要件に当てはまらぬような市ができている。この事実だけは認めなければならぬと思うのです。ですから、現在の自治法の要件に当てはまらぬ市ができているというこの事態に対して、法律の方を改正していく考えがあるのかないのか、どう考えても町でもない、あるいは市でもないというような町ができている。これをどうしようというのか、こういう点については今度の促進法においても何ら触れていないのです。また自治法の中にもないのですが、これはどういうふうなお考えでいるのですか、
  26. 小林與三次

    小林(與)政府委員 合併に伴いまして相当規模の大きい団体ができたのは事実でございまして、特に市と町の問題につきましては北山委員のおっしゃいましたように、現在の自治法は一昨年でしたか改正しまして、人口五万というようなことになったのでありますが、その前の三万というときにもそれぞれ自治法の要件がありましたが、人口三万になった町村自治法の解釈上許せる限度というので、現地がどうしても希望するところは、市にした例が相当ございます。そこでそういう新市は、つまり従来の市がら見れば、実態というか、格というものがだいぶんぼけておるものがあろうと思います。それで市街地ばかりでなしに、農村地帯を相当包括した、つまり郡部と市部、市街地を総合したような一つの共同組織という形で新市ができておるのがたくさんございます。現在は五万になっておりますから、今後そういう問題はほとんど起らぬだろうと思いますが、従来そういう市ができたのは事実でありまして、そういう市町村の育成が、これからの一番大きな問題だろうと思います。今お尋ねになったのは、そういうものを今後行政自治団体として、どう考えていくかという問題でございますが、これは町というか、村というか、市というか、そういうことに制度上本質的なものを今後考えていくか、それともひとしく市町村として——それはそれぞれの経営の中身とか、その構造というものは違いますが、それぞれ団体の構造に即した経営を自主的にやっていくという形で問題を考えていくか、そこらは基本的に大きな問題があろうと思います。それらの問題は、促進法の問題でもありませんし、今後市町村というものを根本的にどう考えていくかという大きな問題につながっていくのでありまして、われわれといたしましては、今日の段階では、それぞれの市町村の実態に即した建設計画を作りて、そして都市、市街地、農村を一体にした共同組織としての経営を合理的にやっていくことを期待いたしておるわけでございまして、今すぐ制度上それをどう振り分けるかというところまでは考えておりません。もう少しこれは必要があれば、さらに基本的な問題として検討いたしたいと思っております。
  27. 北山愛郎

    ○北山委員 人口五万ということじゃなくて、人口が五万になったことはわかるんですけれども、それ以外の市の要件というのがあるわけですよ。結局市街地的な形態の部分の人口、あるいは商工業等の業態の人口、こういうものが六割以上というような規定があるのです。だから今まで実際自治庁がやってきた、あるいは指導してきた法の運営というものは、法律から少し離れておるのです。これは厳密にいえば、自治法の第八条に該当しないものも、町村合併を促進する意味において、実は目をつぶってきたのが実態だろうと思うのです。だけれどもこの結果として、やはりこの法律があり、しかもそれに合わないような市が出てき、またそういう市が出れば、また人口が五万といったような市に匹敵するような、村でもなし、何だかわけのわからぬような町もあるというような実態が出てきているのですから、これについてわれわれは考えないでおるわけにはいかぬと思うのです。少くとも市なり町なり、あるいは村なりという一つの区別がある以上は、それを将来どうしていくのか、実態がこの自治法規定に多少踏みはずれておるような事実をどうしていくのか、これはまつ先に考えなければならぬ問題じゃないかと思う。ところが、なるほど促進法の問題ではありませんけれども、今度の自治法改正にも、このことには何ら触れておらぬでしょう。だからどういう考えなのか、これは地方としても実際上困る。事務執行上は困ることはないでしょうけれども、しかし団体の性格として今後どうやっていく「仕事の範囲を、あるいは財政力というものをきめていく場合に、実態に沿うような団体の性格というものを何らか考えていかなければならぬということは、やはりばく然と地方民といえども考えてい出るのです。従って、これについて何らかの考えがないということは私はおかしいと思うのですが、これらの問題は、またあと自治法改正また建設促進法の場合にお伺いすることにしまして、今の資料だけは一つ早急に出していただきたいと思います。それで私どもは、今度の国会こそ時間が十分あるようですから、この町村合併の実態というものを十分検討していきたい、こういうふうに考えております。また自治庁としては、選挙法の改正については、地方のこまかい点まで相当迅速に資料を整えて、区割りなども、非常に短かい時間におやりになったようでありますから、町村合併についても一つ思い切って馬力をかけて、今後の町村合併をどういうふうに持っていくかと、いうことを、今度の国会で一つ審議されるように協力してもらいたい、こういうことを要望いたします。
  28. 大矢省三

    大矢委員長 中井君。
  29. 中井徳次郎

    ○中井委員 町村合併の問題について、新しい法案が出るように聞いておりますので、その節お尋ねするつもりでおりましたが、生田さんの質問に関連してちょっと一、二点だけ伺っておきます。今の町村合併は、指導者の合併のような傾向があるということは、私はまことに至言だろうと思うのであります。  それと同時にもう一つ言いたいことは、合併については県が一応策定案を作っておりますが、その策定案をよく見ますと、どうもやはり県の御都合のいいような策定案になっている。これが今日町村合併がもめておりますもう一つの大きな原因であろうかと私は思うのであります。そこでお尋ねいたしたいのだが、この県の策定案がまだ出されておらぬような県があるやに私は伺っているのが一つと、それから、策定案に非常に無理があるものだから、一向にどうも進んでおらぬ県が全国においてあるのじゃないか。全国平均の比率でずっと進んでおれば、一応そういうこともいわれないのでありますが、ある県においては非常に進捗している、他の県においてははなはだどうも進捗程度が悪いという事態が起っているように私どもは伺っているのでありますが、その点について小林君の意見、それから事実策定案をまだ発表しておらぬ県がどれくらいあるのかという、実情をちょっとお聞かせいただきたい。
  30. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の県の合併計画の問題でございますが、これは今中井委員おっしゃいました通り、促進法自治法にいっている正式の合併計画として知事勧告をしていない県は相当多いのです。むしろ数の方からいえば、その方が多いと思います。ただ一応審議会の議にかけて、審議会の案として大体きめているのでありまして、それ以上踏み切るだけの自信がないというところの県がかなりございます。われわれといたしましては、合併計画自身は審議会の議を経て、関係町村意見も聞いて、大体現地の実情に合うように一応作っていると思いますけれども、これは実際合併をやっていきます段階におきましては、やはりいろいろ問題がありまして、そう百パーセント正しいともいえぬので、現地の実情に応じて相当調整すべきものがあるだろうと私は思うのでございます。それで、それらのことも率直に私ども考えております。県の計画と地元の意見が食い違って動きがつかぬというものも、われわれの耳に入っておらぬわけじゃございません。それで、合併もこのように全体的に進んで参りまして、促進法の有効期間もそろそろ末期になってくるこの段階は、いわば最後の仕上げの段階でございますから、私はこの際には、従来の計画に必ずしもこだわらずに、その後の現地の事情の推移に応じて再検討すべきものは再検討をして事を進めようというのが、われわれの考え方でございまして、そういう意味で地方にもその趣旨を流しております。それでございますから、ただ個々の町村の言い分通りかといえば、われわれといたしましては、全体としてすべての町村が均衡がとれて再編成されればいいのでありまして、残されたり何かされては困る。しかしどの方法がそうであるかということは、これは現地によっていろいろ方法はあり得るわけでありますから、そういう意味で具体的な調整考えてもらってしかるべしという考えでおります。大体そういう動きに次第になりつつあると思います。各県ごとの合併状況とか、審議会の今の計画の状況とかいうものも、先ほど北山委員から御注文がありました資料もありますので、そういうものはあらためてなるべく早い機会に御提出いたしたいと思います。
  31. 中井徳次郎

    ○中井委員 今のお話で私は少々あきれるのだが、どうです、まだたくさん県でもって合併案を示しておらぬ県があるというようなことは県当局として怠慢です。裏から見ると非常にこずるいと思うのであります。それで実際問題といたしましては、昨年大体全国的に県知事県議会選挙がありまして、具体的にはこれに関連しまして、この策定案は、ちょうど今やっております小選挙の区割りのようなもので、非常に問題があったように私どもは伺っておるが、それも去年済んだわけでありますから、早急にこういうものはやってもらわなければいかぬ。それで今のままでほうっておいては、全く合併の精神がすなおに住民のところまで届いておらぬということになるのでありますから、大きな問題であろうと思うのであります。そこで、それに関連しまして、あなたから先ほどちょっと意見があったが、県の考え方と地元の考え方が食い違う場合には、自治庁としましては、もとより促進法の精神にのっとって、その地元の意見というものを重視するという形で、これまで進めておるのであろうと思いますが、それに間違いはないでありましょうか。
  32. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の最後お尋ねの前にちょっと合併計画の話でございますが、私が申しましたのは、合併計画は審議会の議にかけてみな一応きめておるわけです。ただ自治法で特別にこの通り、勧告をしろという手続までとっておらぬ県がありまして、一応きめたものは発表してその線に沿うて自主的な合併を進めておる、こういうのが実情でございますから、その点御了承願いたいと思います。  それからなお、合併計画と個々の町村と食い違った場合はどうするかという問題は、私が今ちょつと申しました通り、合併はもう客観的にはおのずからだれでも考え一つの案が出てくるだろうと思います。しかし現地の実情、人の考え方によっては、こうでなければならないという絶対的な案が必ずしもできるわけではないのでありまして、どっちこっちの案があり得ると思うのでございます。そういう場合に、地元の意見と県の最初の案とが食い違う場合でありまして、それはその後の合併の進捗を見て調整すべきものは調整していいんじゃないかと思うのでございます。ただそこで常に残ります問題は、その場合にも特定の町村意向だけでなしに、そこを取り巻く全体の町村の組織が全体として合理的におさまる、こういう前提でさえあれば、現地の意向をもちろん十分に参酌して、従来の案に必ずしもとらわれる必要はないというのが私の考えであります。でありますから、全体がおさまる形でぜひ意見調整してもらわなければいかぬし、すべきだという考えでおるわけでございます。
  33. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体そういう御意見で推進をされておるのであればけっこうだと思うのでありますが、今のお話でも策定案は一応できておるが、最後勧告とまでは行っておらぬ。これは法的にそうでありましょうが、県によりましては、それを発表していない県もあるように私は伺っておる。案はあって自治庁の方には報告されておるかもしれぬが、県民には発表しておちぬ。発表すると大へんなことになるから、もうちょっと様子を見ようというような県があるやに伺うのですが、その点はないのですか。
  34. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはできておれば、どういう形で発表するかという方法の問題はありましょうが、もちろん審議会にかけて公開の席で作った案ですから、当然に知られておる。ただその形のとり方が多少県によって扱いが違うということだと思っております。
  35. 中井徳次郎

    ○中井委員 最後にもう一点伺いますが、実は県境にあります町村が他府県へ行きたいという問題でありますが、これにっいては全国的に方々で問題があろうと思います。広島県と島根県でありましたか、非常に上手に行ったところもあるし、はなはだもめて困っておるところもあるというふうに伺うのですが、過去において県境の変更をいたしましたような実例、それから今もめておりますところなど、御存じであれば参考に一つ御披露を願いたいと思います。
  36. 小林與三次

    小林(與)政府委員 県境の合併は今までわれわれのところへ全然来ずに県同士、地元同士で円滑に話がついてしまった例も相当あります。今おっしゃいました広島と島根にもございますし、茨城と千葉でしたか栃木でしたか、そこにもあります。ちょっと今記憶しておりませんからその事例は調べて申し上げます。それからなお岐阜県と愛知県にもございます。これは私の方でも関係をして口をききましたが、ともかくも両県両町村円満に話がついております。それからなおその後問題が片づいておらぬ事例も全国にかなりございます。これはつまり正式に関係町村議決して、そして県会で否決になったものだから総理大臣に審査を求めてきておるものも一件ありますが、それ以外はまだ地元で話がそれぞれ進んでおるという程度だろうと思います。事実上耳にはかなり入っております。われわれの考え方といたしましては、県界の問題は最後の問題として、県内の合併が落ちつくものは落ちついたあとで最終的な調整考えるべきではないか、その標本として、御存じでしょうが、静岡と神奈川との間に問題があって自治紛争調停委員の手にかかったという事件もございます。いずれにいたしましても、大体県内の合併が終ったところで最終的な調整の必要なものはこの機会に解決すべきだ、これは当然促進法の精神でもあれば、町村の規模の適正化の趣旨でもあると存じております。ただその考え方一つは、あくまでもこれは町村合併の問題として取り上げるべきであって、むしろ府県間の境界変更であると見られるような、町村同士はどっちでもいい、むしろ府県としてどっちかというふうな問題は、この際取り上げるべきではない、町村としてこれ以外には規模の適正化の方法がない、そういうものだけに限るべきであるというのがわれわれの基本的な考え方で、その考え方で問題を処理して行きたいと存じております。
  37. 門司亮

    ○門司委員 私はこの機会に、ほかのことですが、自治庁の見解を明らかにしておきたいと思うのは、すでに自治庁も承知だと思うのですが、きのうの朝、時間をはっきり言えば午前五時ですが、墨田区の区会が議員の退職条例を決定いたしております。それでその条令の内容は、退職した者が満期でやめる場合にはその最終の年の報酬の〇・五、結局具体的に言うならば一カ月二万円の歳費をもらっている者は、十二万円もらえる。途中でやめた人についてはその方の規定を設けております。これは特別の議員に対する条例であって、しかもその条例の施行は昭和二十二年以降にさかのぼる、こう書いてある。従って議員だけでなくして、教育委員それから監査委員、公安委員というものに全部それを適用する、こういうことできのうの朝午前五時に決定をしておる。このことは条例できめる一つの問題であって、議会の議員に対する、あるいはその他の委員に対する問題は、いろいろ私は問題があると思う。しかしさかのぼって出すことができるかどうかということは、問題だと思うのです。これについて自治庁の見解を一応聞いておきたいと思うが、それは地方自治法の施行令の百四十六条の規定をそのまま読んでもらうと大体わかると思うんだが、その年度の属するあるいは支給を起さなければならない年度の属する分については支払うことは私はできると思う。しかし二十二年までさかのぼって支払うということは、施行令の百四十六条との関係は一体どうなるんですか、このへんを一応聞いておきたいと思います。
  38. 小林與三次

    小林(與)政府委員 実は今お尋ね具体の問題につきましては、われわれもはなはだ遺憾に存じております。これは御承知の通り提案になっております地方自治法の一部改正で、いろんな給与は法律で種類を法定して、それ以外のものは出せないという規定になっておるのでございまして、その法律がまだ実施になっておらぬものですから、それを見込んで——そこのところの意図はわかりませんが、やってしまったわけでありまして、特に今までそういう制限規定、禁止規定もありませんから、われわれは適当じゃないと思っておりますけれども、やってもいわば文句の言いようもなかったのですが、今度の法律改正しようとして国会にも出ているやさきにこういうことをやられるのは、われわれとしても遺憾しごくでございます。ただ法律の問題として特に門司委員が御指摘になりました通り、過去にまでさかのぼって適用して、今まで数年前にやめておったものにも、どんな金か知りませんが、金を出すということになっておりまして、ここらに至れば、いよいよまことにこれは不都合なことだと言わざるを得ないと思います。ただいま法律問題で施行令の百四十六条をお引きになりましたが、この所属年度の区分の精神から言っても、それはまことにおかしいと思いますが、ただこれは三百代言のようなことになるかもしれませんが、純粋に理屈だけを言えば、結局この条例で、あとはこの支出をきめるわけですから、そのときに債務が発生する。それは理屈だけです。それでありますから、全く理屈だけですが、その債務の発生した年度という理屈に私はなろうと存じます。しかしながら事柄自体は、まことにそれはおかしいし、適当じゃないと言わざるを得ないと存じております。
  39. 門司亮

    ○門司委員 今の施行今の解釈ですが、私は非常におかしいと思うのです。発生の日というのは、法律を定めるときに現に職にあるものはこれは別ですよ。しかし条例にきめたから何年さかのぼってもいいということは、私はあり得ないと思う。だから今の施行令の解釈は、これは自治庁の解釈か。もしそうだとすれば、もう少しさかのぼって一応考えなければならぬ、そうすると、法の二百四条の関連はどうなるか。これは本法です。本法の二百四条には給与規定をちゃんと設けて、二百五条は退隠料その他の規定を設けておるわけです。そして二百四条にその給与すべき旅費及び給与の規定をずっときめておる。そしてその範囲をきめておる。退隠料についても、前条の規定に当てはまる者には退隠料を出すと書いてある。しかも問題はその給与規定の中には、委員会の委員が含まれておる。監査委員が含まれておる。そうすると、墨田区のものは議員並びに監査委員その他の委員がずっと書いてある。だからおそらく私はもし退隠料を出すとするならば、そういう一つの市の事務あるいは区の事務を執行する、いわゆる執行者の立場にある諸君においては当然この二百四条の旅費規定あるいは給与規定によって、条例を設けられてそして二百五条でまたそれを受けて退隠料を出すことができるということになると思います。だからそういうすでに、義務が発生しておるとすれば、本法の二百五条で発生しておるわけです。議員は別ですよ。出すんならそこで条例でどのくらい出すかということをきめて行かなければならぬと思う。今ごろそれが出てきて、化けものが出てきたように、昭和二十五年からというのですから、ずいぶんだくさんある。それとの関連性はどうなりますか。
  40. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは私も事柄はまことに不都合でけしからんと思っております。制度としてこういうことはあり得べからざることだと思っておりますが、ただ法律の形式的な解釈だけということになれば、つまり従来こういうものはなかったが、勤労表彰条例という名前のようでありますが、こういう条例を今度新しく作りまして、そのときに現におる公務員で、今後発生するものについては、なお許し得るのでありますが、過去にやめた者に対しても表彰するという条例を作ったわけであります。それでよしあしは別として、作れば、その条例に基いて過失にやめた者に対しても表彰をやるということは、これは私は法律的には成り立ち得ると思うのでございます。たとえば死んだ人を表彰するために、あとから表彰条例をかりに作ったとすれば、これをさかのぼってやるということを禁止することが法律上可能か、こういう議論になれば、私はそこまでは可能とは言えぬじゃないかという気がいたすのであります。ただそんな立法そのものが適当か不適当かという議論になれば、これは非常に議論があり得ることであります。これはこういう退職金でありますから、大へん問題になっております。これは退職金ではありませんが、表彰条例と似たようなことで、給料などについてもさかのぼって昇給などしておるということが実はこれはないわけでもないのであります。これも同じ問題でございまして、給料を過去にさかのぼってあげるなどという問題も、私ははなはだけしからぬ。これは同じで、やはり制度としては今後の問題に常に適用のあるものについて作るべきだ。いわゆる既得権を侵害してはいかぬとともに、過去に片ついたものにまでさかのぼってどうこうするということは、私は事柄の性質はよくないというふうに考えておるわけでございます。
  41. 門司亮

    ○門司委員 そうなってくると、もう一つ議論が出てくるんだがすでに、黒田には今部長の言ったような表彰条例はあるのであります。これは表彰条例じゃないということなんだ。それは明らかに退職金条例なんだ。別個のものなんだ。現在各都道府県あるいは市町村で行なっておりますが、われわれそれはけしからぬということで、自治庁もそれをやめたいというので新しい法律でこれを制限しようとされておるのでありますが、その場合は多く自治功労者はこれを表彰することができるというばく然とした規則を適用して、いわゆる条例はそれだけしか書いてない。あと知事なり市町村長なりの考え方でこれを表彰するということで、そういう議員に退職金が出ているということは事実です。これは表彰として出ている。これは退職金なんです。全然趣きを異にしている。問題はそこにある。だから一方の方には二百四条から二百五条の関係で、当然監査委員だとか、あるいは教育委員だというものには退職金が出せると書いてある。退職金を出しておいて、そのあとでもう一度退職金をさかのぼって出すということにならざるを得ないようになってくる。従って表彰規定じゃない。全然別個のものの考え方である。しかも別個のものの考え方で、過去にさかのぼって出すということは、これは私は非常に大きな問題だと思う。もしこういうことが各府県に実行されたら、どういうものができあがるか。おそらく墨田など何千万円という予算が必要だろうと思うのです。しかも二十二年からずっとです。その中には何らの制裁規定がない。表彰規定じゃない。退職金だから、刑事被告でやめた者でも出さなければならぬということになっております。しかもそれは遺族にも及ぶと書いてあるのです。これを持ってきて、この条例を読んで下さい。はっきり遺族にもやると書いてある。そういうばかばかばかしいものが現実の姿でできているのです。きのうの朝の五時に議決したというのです。だからこういうものに対して自治庁はもう少し態度を明確にすべきだと思うのです。表彰規定であるなら今の部長の言われるようなことが言えると思う。しかし表彰規定はほかにちゃんとあるのです。これは明らかに退職金です。退職金をさかのぼって出すということは——法の二百四条から二百五条によって退職金として出せるのだから、その分は私は出してもいいと思う。しかしこれをさかのぼって出すことはどうかと思う。この分に対しては、今の部長の言い分でいえばこれは一つの功労金みたいな形になる。議員の諸君には明らかに退職金である。条例には退職金と書いてある。間違いがない。その使い分けを一体どうするのかということです。だから私は施行令百四十六条違反の疑いがないとはいえないと思う。これはきわめてずさんなものです。刑事被告であっても免職された職員でも、何でもとにかく出すということになって、制限はしていないのです。それからさらにそういう人に対しては、遺族があれば遺族にも出すと書いてある。これは一つの遺族扶助料なんです。そういう混同されたものを自治庁の中のいわゆる歳出の規定から当てはめるならば私は明らかに違法だと考えるのだが、当局の意見がそうだとすればこれは将来に非常に問題を起すと思う。そしてこういう条例に対して法律的にはチェックの方法はないのです。いわゆる都知事勧告することができるという規定はあるが、許可権というものはないのです。届け出なければならないということだけで、届け出さえすればあとはそれでいい、こういう規定法律はなっているのです。そうするとどこでこれをチェックするかということになればやはり一応施行令の百四十六条をひっぱってくる以外に私は方法がないと思うのだが、それが今の当局の答弁のようになってくると、これはどうにもしょうがないということになってくる。残された問題は、不当手段として行政措置をするかあるいは監査の請求をするか、これは住民意思によってそういうことが行われるかどうかということだけが残されている。その点自治庁考え方は一体どうなんですか。
  42. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはしごくごもっともなことでございます。この条例が手元にありますが、「議会議員、教育委員委員選挙管理委員会委員、監査委員勤労表彰条例」こういう名前で三条ございます。そこで第一条には、それらの者が「任期満了または任期満了前に退職したときは、この条例の定めるところにより表彰する。」第二条は、「前条によって表彰される者に対しては、表彰状および記念品または功労金を贈呈することができる。ただし、被表彰者死亡の場合はその遺族に贈呈する。」これが今お話の条文です。それから第三条は、「この条例施行に関し必要な事項は、別にこれを定める。」附則で、「この条例は、公布の日から施行し、昭和二十二年四月三十日から適用する。」これが条例の全文であります。あとは別にこれを定めるというから、おそらく細則を作ってそして今おっしゃいましたような基準をきめて出すつもりだろうと思います。それに伴って予算も追加予算を出しておりまして、勤労表彰費として八百七十八万七千円の予算を組んでおります。これが事柄の実相でございますが、それは私もまことに遺憾だし、これは不都合だと思います。不都合だと思いますが、この条例そのものにつきましてどう押えるかといえば、結局自治体の自主的な判断にまつよりほかないのでありまして、こういうものを押える手段方法は今法律的に認められておりません。結局条例について認可制、承認制をとるかとらぬかという問題になるから、しからずんば最小限度監督官庁にこれは妙だから考え直せという再審査の権限でも与えるか、こういういろいろな方法考えなければ法律的にはこれは動きがつかぬと思います。われわれとしてもこんなばかなことがこれで波及するかということになれば、まさかなんぼなんでもそういうことはあるまいと思います。まあすみやかに一つ自治法改正案をお通し願えばこの問題はなくなってしまうだろうと思います。
  43. 門司亮

    ○門司委員 自治庁改正案が通っても間に合わぬでしょう。これは大体きのうの朝の五時から発効しておるのだから間に合わぬ。もちろん特別区でありますからおそらく都知事にこれを申請というか届出をするということになると私は思う。規定からいえば届出をすればそれで済みますが、法律的に残された問題は都知事勧告権です。従って都知事勧告権が一体どの程度まで力と効力を持っておるかということについて、一応自治庁の見解を聞いておきたい。
  44. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは勧告権でありますから勧告的な効力しかありません。しかしまあこれはどうせ公正な世論というものが基礎になっておりますから、そういう勧告によって実施がチェックされるということも同時に期待されるところだろうと思います。ただもう一つ申しますと、これは新しくこういう事情が出る前にやったのですから一つ問題がありますが、どうもほかの区でもまさか従来にさかのぼることはやっておりませんが、多少やめた人に対してはやっておる実例もあるのじゃないかと思います。そういう問題とのからみ合いもあろうと思いますが、私はともかくも二十二年四月にさかのぼって、やめてしまった人にまでやるというようなことはだれが考えてもむしろ不都合といってよい措置で、この実施については当区自身も一つ公正な世論を聞いて善処されることを私も期待しておるわけでございます。
  45. 門司亮

    ○門司委員 もう一つその点聞いておきたいことは、ほかに表彰規定はあるのであります。たから適用すれば当然その条項が適用される。ところが今度の場合はこれだけに限ったということで私は退職金と見るんだが、そこに一つの問題があるんですよ。自治功労者に対して表彰することができるという漫然たる規定で、大体現在各区の自治体で行われておる議員に対する新たな退職金であるとわれわれは見るんだが、これを功労金というようなことで出しておる。そういう規定一つある。条例がある。しかし自治功労責表彰して悪いという規定はどこにもない。また規定して悪い筋合いでもない。だからこれは認定の問題で、問題がばく然としておる。しかしこの場合はこの問題に限られておるのであって、そのほかのものはほかの同じ条例でやられることになる。従って同性質の条例が特別の区だけに限られて出すということが一体合法的であるかどうか。二つ重ねて出ておるのです。ほかに自治功労者に対する表彰の規定はあるはずです。また今度それと別にそういうべらぼうなものが出てきておる。だから正直だといえば正直かもしれない。しかしやることはきわめて乱暴なことである。だから一体そういう自治体の同じような表彰規定が二つあっていいかどうか。
  46. 小林與三次

    小林(與)政府委員 実はもう一つの表彰規定は私は見ておりませんので、法律上明白に矛盾するのかどうかという私のはっきりした見解を申し上げくねますが、ともかくも同じ表彰を二つ別々にダブってやるということは、立法としてはもうすこぶる適当じゃないかと思います。ただ表彰の対象なり目的なりが違えば二つの条例でやることも、これは理論上成り立つわけでございます。単なる法律論の問題なのか、むしろそういう実体論の問題なのか、そこらのところはもう少し両方の条例を並べ合わさなければ、私としてしっかりしたことを言いにくいのでございます。
  47. 門司亮

    ○門司委員 今の問題ですが、言いにくいところをはっきり言わぬからいかぬと私は思う。表彰の規定は二つも三つもある。事柄によって違うと思う。橋をかけたからといって、その請負者に出すのも一つの表彰だ。これは一つ事業自体に対する表彰だ。これは事業に対する一つの功労者である。しかし条例で定める一つの功労者というものは、それとは全然別個なものだと私は思うそれは当然に自治に対する功労でなければならぬ。自治の功労でなければならぬ退職規定だとすれば、そういう規定がほかにあれば、何もダブった規定を設ける必要は毛頭ない。ダプつた規定を設けた以上は——文字は、今お読みになったような表彰規定になっているけれども、事実上は退職金に間違いない。そうして矛盾をするのは、さっき申し上げましたように教育委員、監査委員、あるいはその他の委員は、一応二百五条の規定退職金をもらうことができる。今度はその上に表彰金をもらうということになれば、これは結局ダブるでしょう。当然二百五条を適用すれば、それらの職員には出すことができると二百四条に書いてある。二百四条に書いてある給料及び旅費規定に相当する者は、退職金を受けることができるとあって、二百五条は二百四条を受けている。そういう問題が出てくるのです。だからこれは功労金とはいえない。実際は明らかに一つ退職金に間違いないと思うのです。そうすると、議員の方にもそういう規定退職金を出したということで、この辺は非常に巧妙に文字を使い分けしていることは事実です。だから今聞いておりますように、片方にそういう表彰規定があり、そうして特定のものを限った表彰規定というものがあるということは、今非常に遺憾だと言っておりますが、遺憾だけで済むのか、あるいはこれは全然違法と考えられるのか、その辺をもう一度聞いておきたい。
  48. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この二百五条の問題は、今おっしゃいました通りでございます。これは実際この区ではどうしておるのか私わかりませんが、これをわざわざ出したゆえんは、おそらくそっちの方の一般規定では、きっと入っておらぬのじゃないか。これは私の推測でございますから、調べてみなければわかりません。それだから、おそらく特別に出したんじゃないかという私の推測でございます。それからもう一つは、一般の自治功労者の表彰規定があるという話でございますが、その中身を見ないとわかりませんけれども、一般の表彰規定のうちに、そういう議員とか、各委員会の委員についても当然入っておるのか、入っておらぬのか、それともう一つ、向うの表彰規定は、永年勤続に対する表彰の形でやっておるのか、やっておらぬのか、そこらの問題を形式的な法律論だけで申し上げておりますが、そういう点はもう一ぺん検討する必要があろうと思います。それでそういうものを見ておりませんから、私は言いにくいと申し上げただけでありまして、別に答弁を逃げたわけでも何でもありません。そこで結局純粋の法律論になってきますというと、さっきの施行令の歳十年度区分の問題では、直ちに違法だとは言いにくいのじゃないか。今のほかの条例との関係で、かりに矛盾する結果になったといたしましても、それならばこの条例は違法か無効かということになれば、ぎりぎりの法律論になってくると、違法、無効であるということは、形式的には言いにくいんじゃないか。結局こういうことをやることがけしからぬ、不都合で、これは考え直せるものなら直してくれということを私は言いたいところでありますが、それ以上直ちに違法問題にまでなるということについては、私は相当検討すべき要素かあろうこういうふうに存じておるわけであります。
  49. 門司亮

    ○門司委員 もう一ぺん一番最初に戻りますが、施行令の百四十六条の規定は、結局歳出の区分年度というものが明らかにされております。従ってその規定をまま読めば、さかのぼってやるということについては、私はいろいろ異論があると思う。それから自治庁の今の部長の答弁では、これは施行の日からと書いてある。施行の日がきようであるから、きょうから発生したものだと解釈すればそれでいいというお話ですが、これは非常に大きな問題だと思う。しかしそういう解釈の成り立つ場合も考えられないわけじゃありません。たとえば一つの問題で訴訟が起ったという場合に、その訴訟の解決が三年後、五年後についた。しかしそれは支払わないわけにはいかない。それは当然支払うべき義務が、その前の年にあったということです。それが法律上の解釈でうやむやになっておって、裁判所に行って初めてそれが確定した。従って支払う責任は当然さかのほって、その事件の起ったときから支払うべき責任があった。その責任の所在が明確でなかったから払わなかったというものについては、これはさかのぼって当然だと思う。しかしこの場合はその場合と非常に違う。何らの義務もなければ問題もないわけなんです。それをただ、それではさかのぼって払うことができると書けば、それで支出ができるということになると、将来において非常に大きな問題を起すと思う。こんなことがもし許されるとすれば……。これは支払う義務があったときですからね。従ってこの場合はもらう方だからいいけれども、支払いを要求して訴訟を起したという場合には、かりに金をもらうにいたしましても、十年前から訴訟していれば、十年前の金額だけしかもらえないということです。これを時価には換算できないということです。この場合も同じような形で出てくると思うのです。だから支払いの義務が一体あるかないかというと、二十二年にさかのぼって支払いの義務などどこにもありません。ただ法は万能だから、法に書けば何でもかでもできるということになると、非常に大きな問題だ。私は施行令の百四十六条の規定は、そこまで拡張解釈すべきじゃないと思う。もし拡張解釈するならば、今私が申し上げましたように、当然支払いの義務が生じておった年度があった。しかしそれは明確でなかったからここまで引きずってきたということなら、これは支払いの義務があったはずだ。ただこの場合は義務がなかったが、法律に書いたからさかのぼってもいいんだ、そのときから効力を発生したんだということになると、これは一つの大きな問題だと思う。墨田区の方は何も今始まったものでたい。もっと前から始まったはずですから、もし適用すれば、区ができて以来全部適用すればいい。それならまだ話がわかる。ところが、二十二年からこっちだけのものにこれを適用するというところに、そういう大きな問題が出てくると思う。その点をもう少し自治庁は検討してもらいたい。法律の解釈なら、それは法制局に来てもらってもいいが、私はかなり大きな疑義を持っているわけです。ところが現実の問題は、すでにこれが発効すれば、予算が適っているからあるいはきようにでも金を出してしまうかもしれない。だからその辺に対して、自治庁はその当事者に対して勧告できるのですから、東京都の知事に対して勧告をする意思があるかないかということを、もう一応私は聞いておきたいと思います。
  50. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私も、これは年度区分の規定から申しましても、御趣旨はその通りだと思います。そもそもこの規定を作った、特に費用弁償とか給料などというものは、むしろ発生した事実で押えるのが趣旨でありまして、その点は、私はちっとも疑いも何も持っておりません。ただこれをやったのに対して、これは当然違法か、無効か、こういう議論になると、そこまでは私は言いにくいと思うのです。これは拡張解釈すべきじゃないということは、当然言うて差しつかえないと思っているのでございますが、そこまでで、それ以上は、残念ながら非常に言いにくいじゃないかということを申し上げたのでございます。だから、結局条例は、すべきじゃないような妙な条例を作ったということは言い得るのであります。またそういうばかなことをしないように考えろということも、これは一般的に考えられるわけでございます。今都知事を経由してどうこうというのが最後お尋ねでございますが、こういう個別的な問題で、自治庁がどうこうという勧告権まではありませんが、われわれといたしましては、事実上知事を経由して勧告することは、これはやっても差しつかえないと存じます。
  51. 大矢省三

    大矢委員長 私から最後に、きのうの新聞参議院議員の選挙は七月の八日に行われると発表されておるのですが、これは何か閣議で決定があったのか。これは大臣に聞くのが当然だと思うけれども、大臣がお見えにならぬから、何か閣議で問題になり、そういう政府の方針かどうかということを早川政務次官に伺います。
  52. 早川崇

    早川政府委員 まだ自治庁としては聞いておりません。     —————————————
  53. 大矢省三

    大矢委員長 それでは最後に小委員補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち、地方税法等改正に関する小委員でありました纐纈彌三君、徳田與吉郎君、及び警察及び消防に関する小委員でありました櫻井奎夫君がそれぞれ一たん委員辞任せられましたため、小委員が欠員になっておりますので、この補欠選任を行わなければなりませんが、これは先例に従って委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ委員長より地方税法改正に関する小委員には纐纈彌三君、徳田與吉郎君、警察及び消防に関する小委員には櫻井奎夫君をそれぞれ指名いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十二分散会