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1956-03-16 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十六日(金曜日)     午後二時十七分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       唐澤 俊樹君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    綾瀬 彌三君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       瀬尾 弘吉君    濱野 清吾君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     津守  巧君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 三月十五日  委員井上良二辞任につき、その補欠として坂  本泰良君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員堀内一雄君及び山崎巖辞任につき、その  補欠として濱野清吾君及び福井順一君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月十五日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一一号)  地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う  関係法律の整理に関する法律案内閣提出第一  二五号)  新市町村建設促進法案内閣提出第一三四号)  (予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律案内閣提出第六四号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して質疑を行います。  なお本日政府委員として出席の方は太田国務大臣奥野政府委員山内政府委員これは運輸省自動車局長、それに今連絡をとつておりまするが、運輸省政務次官が後刻出席されるとのことであります。  それでは通告順によりまして質疑を許します。濱野清吾君。
  3. 濱野清吾

    濱野委員 この前地方行政建設運輸委員会連合審査の際に、今度新しく課税されます軽油引取税の問題について課税対象になる計数について私ども政府意見が合致しないと聞いております。運輸省には運輸省見解がありまた自治庁には自治庁見込みもあり、さらにまた私は私としての見込みがあったわけであります。そこで結局人民側から税金を取り上げる税率の決定でありますから事はまことに重大であります。従いましてこの課税対象になる数字がどれが正しいか、こういうことについて運輸省自治庁十分協議の上で数字を出してみたらどうだ、こういうことで、しかも自治庁ではよく協議して確かな数字を出しましょうという答弁をしておったわけであります。従いまして本日はその点からお答えを願いたいと思います。
  4. 太田正孝

    太田国務大臣 濱野君の御質問に対してお答え申しますが、政府関係の方で数字の食い違いがあったというようなことはまことに申しわけないことでございます。お言葉の通り課税の中心になる消費量の問題でございますので、両省ともまた通産省とも相談いたしました結果本日閣議に出しまして了解を得た数字を申し上げるのでございます。まず第一に三十一年度における軽油消費量見込みから申し上げまして、次に課税対象となるべき数量を申し上げたいと思います。  第一の三十年度における軽油消費量見込みはどうかということにつきまして、御案内通り経済五ヵ年計画によって原油をどういうふうに使うかということが、基本の計画になるのでございます。それに基きまして三十一年度における消費量見込みは百万キロリットルと見込んでおります。その内訳を申しますと原油から精製するもの及び輸入するものと二つに分かれますが、精製する方の量が八十三万八千キロリットル、軽油として輸入されるものが十六万二千キロリットル、合計して百万キロリットルとなっているのでございます。申し上げるまでもなく、揮発油税及び地方道路税収入見込み額基礎となる三十一年度揮発油消費量見込みも同じく基本的に経済五ヵ年計画の線に沿って作つたものであることをつけ加えておきます。かように消費見込み量を見た上で今度は課税関係はどうなるか。これには免税等関係がございまするので、その点を申し上げます。  三十一年度における軽油消費量政府においては百万キロリットルと見込んでおるのでございますが、このうちで免税される数量がどのくらいになるか。免税関係のものはすでに御案内通り船舶の主たる推進機関動力源にどれだけ使うか、航路標識光源用にどれだけ使うか、鉄道車両等の主たる推進機関動力源にどれだけ使うか、農業関係動力耕転機等にどれだけの動力源を使うか、陶磁器の焼成用にどれだけ使うかなどに関するものをそれぞれ見積りまして、軽油数量として見込まれるものは三十五万五千キロリットルでございます。さらに油の動きます場合の分減り等を加えホして、合計三十六万一千キロリットルと見込みまするので、これを百万キロリットルから引きまして残りの六十三万九千キロリットルを三十一年度に吹けるこの税の課税対象とする数量といたしたわけでございます。
  5. 濱野清吾

    濱野委員 自治庁のあらためて出したこうした課税対象は約六十四万キロリットル、こういう数字大臣から御説明を受けたのでありますが、この拙掌になりますと私ども考えている計数とはだんだん幅が広くなってきて、ますます離れて参るのでございます。そこで私は先般の合同審査会におきましても申し上げました通り実際この課税対象になる軽油使用車の多くは運輸省関係ディーゼル関係なのであります。そこでこの間も自治庁に申し上げたのでありますが、この税を負相する人民側であるディーゼルを使用する方々を直接監督をしております運輸省からまずその課税対象になる大半の消費量を算出したらどうだろうか。農林省その他五ヵ年計画等においてはいろいろ実際問題としますと、年度中には変化があるものです。これは大臣もお認めであろうと思います。ですからいやしくむ新しく作る税でありますし、その税が非常に高率になっておることでありますから、ほんとうにどの人々がどれだけ使つているかというような問題ははっきり知っておかなければならぬしまた自治庁としてはその計算を誤まれば苛斂誅求のそしりを受けることは必至であります。そういう点から監督官庁である運輸省数字とと自治庁数字合議の上で出すべきである、こういうことを私は主張しておったわけであります。本日ただいま太田長官から御説明を聞きますと総じて六十四万キロリットルが課税対象になるということでありますが、私どもの方の考え方でいたしますと運輸省関係だけで約六十二万キロリットルの課税対象消費量があるということを主張しておるのであります。こういうふうになりますと全体の課税対象が六十四万キロである。しかしトラック関係ディーゼル関係以外のものは別として、ディーゼル関係のものだけでも六十二万八千六百五十六キロリントル、こういうような膨大な数字の差異が出てきておるわけであります。この点につきましては委員長初め委員各位も御承知通りでありまして、二十九年度ガソリン税の実際収入等をごらんになりますと、これはよくおわかりになろうと思います。膨大なる自然増という数字を示しております。私ははっきり数字を記憶しておりませんが、わずか三百億か幾らかの税の中に五十何億というような自然増数字が出てきておる。これはひつきようするに日本経済が好転した結果産業がいんしんをきわめ、産業基礎となる熱資源、ことに輸送産業日本産業の全体と並行して使われたのであろうという推定もつきますが、私はそればかりではないと思います。課税するときに課税対象になるガソリンというふうなものに、はっきりした数字をつかまないで税率などを決定しておったというところに、大きな苛敬謙求実態が現われてきていると思うのであります。役所側から見るならば、それはまことにいい傾向であつて自然増である、こう申しております。大体大蔵省やあるいは自治庁あたりはさようにお考えで、痛くもかゆくもないようにお考えだろうと思いますが人民側から申しますとそうしたむだな税金をよけいに取られて税率をたくさんかけられるというようなことは、非常に迷惑千万なことであります。私が三委員会合同審査会におきまして特にこの点を強調しておりますのは一昨年、昨年ありの自然増の形を知っているからであります。これを知る者はまたやつたかというような形になると思うのでありますが、こういう点につきましてもう一つ大臣立場から、この数字が一体ほんとうなのか、正しいのかこの点が一点、この問題は国務大臣立場から見ると、非常に広範な影響があるはずであります。ガソリン税熱資源である。しかも軽油税もやはり熱資源である。熱資源課税するというようなことは、今日の日本の実情からいけばやむを得ないかもしれませんけれども、非常に広範な影響があるということを御承知のことと思います。私は長官がおいでになつたらぜひとも申し上げたいと思いますが、国の産業はやはり輸送産業が活発にならなければいけません。そういう意味において、道路の改修あるいはその他にこうしたことが見積られるものであると思いますが、しかし道路を改修するとか修築するとかいう一方、軽油引取税というものが課税される事業、すなわち人員輸送であるとか、貨物輸送であるとかいりものが非常に大きい計数を出しているのであります。後刻国鉄と比較して大臣意見を聞くつもりでありますが、とにかくこの数字でよろしいのか、この軽油税の問題と、それから前のガソリン税自然増、これはすばらしい数字が出ておるが、そういう見地から見て、大臣は一体どういう考え方をしているのか、この一点を伺いたい。
  6. 太田正孝

    太田国務大臣 課税基礎ことに消費量の点が動きますと、これにかけられる税率その他の点が響いてくることは御指摘通りでありまして、もしそのために予算に合つたものを無理にやつたとすると、苛斂誅求のそしりを受けることは御指摘通りであります。過去のガソリン税につきまして、自然増収が多かったということは私も今知つたのでありますが、今回この軽油引取税につきましての実数を申し上げてみますと、二十九年度実数が六十五万キロリットルでございます。三十年度、これはまだ今月まで、全部年度としてはわかりませんので昨年一月から十二月までどのくらい消費されたかと申しますと、八十万キロリットル見込んでおるのであります。これを今度は年度に直した見込みを申し上げますと、九十万キロリットルでございますから、明三十一年度について九十万キロリットルに対し、百万キロリットルという見込み数は、自然増関係におきましては、普通見積られる苛敬謙求というような点も考えまして、大体私は百万キロリットル見込むのがいいじゃないか、こういうふうに考えた次第でございます。
  7. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと濱野さんに申しますが、今伊能運輸政務次官、それから津守整備部長出席になっております。
  8. 濱野清吾

    濱野委員 これは太田大臣が国の総量から計算したことであつて、その計算がこまかくどの部門にどれだけ使われるかということにつきましては、相当動的な性質を有することは大臣承知通りであります。その点私はこまかく申し上げませんが、いずれにしてもこういうことが考えられるでしよう。人民から税金を取るときに、どうしても正しく計算をしなければならない基本的な観念は承認ができると思汽のです。そうだとするならば、実際この課税対象となって税金を納める方の側が、一体どれだけ使つているのだというならば、それを一等よく知っている運輸省数字をまず第一に参考資料としてここにあげなければならないけずだ。五カ年計画でも通産省の一カ年の為替引当の逆算をして、ここに税率を決定するというようなことは、少々大まかなやり方ではないかと考先ますが、この点はどうお考えになりますか。
  9. 太田正孝

    太田国務大臣 御指摘のような問題がございましたので、運輸省ととくと相談いたしましてここに数字をあげましたので、その主務官庁と申しますか実際お取扱いになる運輸省との話し合いの結果でありまして、私ども考えではありません。そこはどうぞしかるべく御了解願いたいと思います。
  10. 濱野清吾

    濱野委員 私こういうことを言っていいかどうかわかりませんけれども、これは大臣大臣話し合い計数を動かせるものではございません。人民側の納める基礎となる数字大臣大臣話し合いで変更することはできません。これは何人といえども、王者といえども、この数字の変更はできないと思うのですが、そういうことをおやりになっているのではないか。
  11. 太田正孝

    太田国務大臣 今日閣議にかけて了解を得た数字は、事務当局及び政務当局でもって御相談なすつたので、私と吉野君の相談ではございません。ここはどうぞお間違いのございませんようにお願いいたしたいと思います。
  12. 濱野清吾

    濱野委員 運輸省にお尋ねいたします。運輸省合議の上というのでありますが、伊能政務次官がそれに参画しておったかどうかわかりません。閣議にあなたが出席するのは特別の場合でありましようから。しかしあなたは少くとも鉄道出身専門家であり、しかもこの計数についてはよく御承知のはずでありますが、運輸省のはっきりした御見解一つお述べを願いたいと思います。たとえば自動車は三十一年度には軽油を大体どれだけ使うか、この点だけでけつこうです。
  13. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいまお尋ねの問題については、一般論としては自治庁長官からお答え申し上げた通りでありまして、先般運輸省事務当局からも御説明申し上げましたが、この間には言え方と申しますか、政府の立て方としては何ら矛盾はなかったわけでありますが、ただそれぞれ主管立場と申しますか、運輸交通を所管する運輸省立場、また今回軽油引取税を設定し、今後徴税しようとする自治庁立場寺から、率直に申し上げましてそれぞれ算定基準等について過去において十分な打ち合せが行われていなかったといううらみもないわけではないのでありますが、総量においては先ほど大臣が申された形が昭和三十一年度における軽油生産額、これは経済企画庁、通産省自治庁運輸省、その間で十分協議を遂げて、最近決定いたした数字でございます。ただその内容につきましては、なお今後詳細に調査をすべきものも残るわけでありますと同時に、これは五カ年計画に基く一応の計画でありそれに基く徴税算定基準であるということでありまするが、将来自動車運送実態が百万キロでは足らないという事態が起れば、これはガソリンその他一般の油につきましても、常に年度の後半期等においてしばしば追加割当をいたしまして、ガソリンの需給の円滑を期しておりまするので、おそらく三十一年度においてもあるいはそういう事態が起るかと存じますが、今回は初めて軽油引取税というものを創設したときの算定基準でありますので、われわれの方といたしましても将来の問題において支障がなければ、百万キロのうち、大体自動車関係その他運輸省課税対象関係においては六十万キロ強というものについての確保についても、通産省その他十分政府部内において確保できると思いますので、この点了承いたした次第でございます。ただこれは過去の今日までの経緯を申し上げるわけでありますが、単に軽油引取税の問題だけではなくして、揮発油税の問題についてみましても、かような例はすでにしばしば算定基準現実徴税額というものが非常に食い違う。多きは二割以上にも当る。従って一昨年において揮発油税等について数量がふえたために余分に徴税せられたものが一般会計へ入るということは、目的税の趣旨に反するということで、この点は今回の法律改正を願いまして、翌々年度目的税の中へ入れていただくということで、来年度のごときも昭和二十九年度のものが五十億余り三十一年度道路関係の費用に目的税として充てられるというような事実に徴しまして、私どもはこの軽油引取税についても、さような事実が起らないように、なるべく実態に基いてさいぜん濱野先生指摘のように新たな税金設定に際しては、苛斂誅求の結果とならないような精密な調査が必要ではないかということで、政府部内でいろいろ検討討議をいたしました結果、最近におきましてようやく自治庁長官から御回答申し上げたような結論に到達したわけであります。われわれといたしましては、今後この問題につきましては実績を見た上で、あくまでこういうような特殊な税金を課する建前から苛斂誅求を避けるということについては、目下政府部内で研究を願つておりまするし、われわれもそれについては十分研究をいたすつもりでありますので、今のところ四十万キロ強ということで、百万キロのうちの内容十分部内としては一致をいたして、きよう御回答申し上げる次第であります。
  14. 濱野清吾

    濱野委員 どうも今の話はわかったようなわからないような話でありますが運輸省としては軽油を使うものに軽油割当を四十万キロ強だけは了承した、こういうことですか。私の聞いておるのはそうじゃない。毎年々々かくのごとぐ二十七年、二十八年、二十九年、三十年という統計を私はこの前の委員会において提示しておる。そうしてこの当時における自動車増加率、すなわち運輸省監督下にある軽油を使用するディーゼル自動車増加率をしかも自家用、営業用、それらのものの増加率を示して、そして運輸省監督しておるこのディーゼル使用計数は大体六十万キロ余になるであろう、こういう具体的な数字を、私はこの前の委員会年次割にして提出しておるわけであります。その年次割によりますと、ただいま自治庁課税対象の総数が六十四万キロリッターだと言うのだが、私ども考え方だと、各年度からずっと推算してきたその統計を見ますと、自動車だけでもすでに六十万キロ余の課税対象、すなわち軽油を使用するのではないか、この数字を一体伊能政務次官は何と見るか。この委員会においてそういうことを論議しておるのですから、これはあなたの方の主管であなたの監督下にあることですから、むやみに自治庁あたり数字を合わされたのでは、まことに私は迷惑千万だと思う。これは数字の問題です。役人になると非常に窮屈になるのか知らぬけれども伊能さん、この数字だけはそうごまかせるものじやございませんよ。一つ率直にお答え願いたい。あなたの方に計数があるはずです。私どものとは違うのですが、あなたの方で専門的に調べた年度割計数がちゃんと出ておるはずです。しかしそれよりは私の見込みの方が多いのです。ですから私は多くしてくれとは伊能政務次官に請願はいたしませんが、正直に、あなたの方の監督下にあるディーゼルに使用するところの軽油、すなわち今回課税対象になるところの軽油は幾ら必要なのか。分け前の四十万キロだけは話し合いが済んだ、それはわかりました。しかし今までの年次統計からしますと二十万キロリットルだけ現実に足らぬのです。これはあなた、むやみに政治的な解決では、わけのわからぬ答弁をされたのでは人民が迷惑千万だと言うのです。どうぞ一つ正直に御答弁願います。
  15. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私の答弁がやや冗長に失したきらいがあるかと思いますが、御質問の点については、私ども別数字をもてあそんだわけではございませんで、六十万キロ強が昭和三十一年度自動車関係用として使用さるべきものと、かようにお答えを申し上げたのであります。
  16. 濱野清吾

    濱野委員 自動車関係だけで六十何万キロというものが消費されるであろう、こう承わつていいわけですね。
  17. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 六十万キロ強ということであります。
  18. 濱野清吾

    濱野委員 あなたの方の書類だと六十一万キロになっておりますが。
  19. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 六十一万キロという数字を出しておりますが、この点につきましては先般いろいろ御報告申し上げましたように、一車当り走行キロ、一車一キロ当り消費量等についていろいろ検討いたしましたが、正確な六十一万キロとか五十九万キロとかいうことについての詳細な調べ等もありましたが、こういう点についてはあまりこまかい問題よりは、私どもとして一キロ前後の問題については六十万キロ強と申し上げる方が、かえつて正確かと考えまして、私はその点でお話しをいたしております。
  20. 濱野清吾

    濱野委員 よくわかりました。六十一万六百四十八キロでありますが、しかし六十万キロ強でもけつこうであります。ただいま運輸省責任者お答えになっておるのであります炉、太田日治庁長官、いかがですか。あなたの方は課税される総量を六十四万キロリットルと押えておるのでありますが、これは運輸省監督下にある自動車関係ディーゼル関係で、ほとんど使つてしまう数字になっておりますが、それで運営ができますか。
  21. 奥野誠亮

    奥野政府委員 たびたび申し上げますように、軽油自動車だけで使つているという実績統計がございませんで、運輸省でも一応の見込みを立てておられるわけであります。これをとやかく言うわけではございませんが、課税標準となりまする数量を今検討いたしますにつきましては、総量から今度課税をいたしませんもの自動車以外のものは大部分課税をいたさないわけでありますが、これを差し引きいたしまして、課税標準となる額六十四万キロを推定いたして参っておるわけであります。現在のところそういろ計算方法が、最も課税標準を把握するためには正確なものだ、かように考えておるわけであります。
  22. 濱野清吾

    濱野委員 ほとんどこの問題については自治庁側はゼロです。運輸省になくはない、ありますよ。この調査は大体民間の一会社でもわかつておるのです。ただいま運輸省は六十万キロ強が使用量である、こうおっしゃっておられますが、私の計算によりますと六十三万キロ、これだけは少くとも自動車には使われなければならないし、また使われる、とれだけは確信を持ってこの委員会において申し上げることができると思うのであります。実績統計がないとおつしやいますけれども、ああした精巧な機械がどういうふうに年間使つていくか、この数字運輸省専門部にはちゃんとできておるはずであります。私の統計を申しますと、運輸省とやや近いのですが営業用トラックで八〇%が実働するとして一車一日走行キロが百五十一キロです。そうしまますと一車一キロ当り消費量が〇・二六リットルです。そうして一年間の消費量は、少くとも一万二千リットルだけは当然に一車が使用することに相なっております。それに年央推定車両が一万七千十一両でありますから、これは少くとも二十万四千百三十二キロリットルというものが当然に出てくる。これはわれわれが勘でやるよりは機械が正確にこのガソリンを消費していくのでありますから、あなた方の答弁よりは機械であるだけに、はっきりしている。こういう実績統計運輸省にもありますし、われわれ業者間にもあるのです。業界にもあるのです。ですから明らかに六十万キロ余は、少くともディーゼル関係に使用されるものであるということだけは間違いない。これを無視して実績統計があるとかないとか、そういうような無責任な答弁をされることは人民側としては迷惑だと言うのです。これが基礎になって、しかも課税対象課税税率というものがきまるのであります。この点どうなんですか。
  23. 奥野誠亮

    奥野政府委員 自動車だけの軽油消費量につきましては、実績統計炉ございませんので、自然推計をもってお答えをしなければならないわけであります。従いましてまた軽油自動車だけの使う軽油見込みがどれだけかということにつきましては、運輸省のおっしゃっていることに対しまして、たてつこうという意思はございません。しかしながら私は、大ざつぱに申し上げまして、五十万ないし六十万と申し上げたわけであります。それに対しましてさらにいろいろお話がございますのでほんとう考えておりまする五十二万キロというところを申し上げたわけでございます。これもいろいろな仮定を置いての話でありますのでぜひこれでなければならない、こういうようなことを運輸省に申し上げるわけではございません。この計算がどうやつて行われたものであるかということだけをお話しさせていただきまして、御了解を願いたいのであります。石油便覧に載つておりますトラック営業用の年間の軽油消費量が七千八百八十四リットルであります。トラック自家用が六千百三十二リットルであります。バスが一万一千八百九十リットルであります。この数量運輸省でおっしゃっておりまする軽油自動車の台数五万八千三百四十八台をかけますと、五十一万二千九百七十一リットル、こういう数字になるわけであります。なお自動車便覧に載つておりまする年間の消費見込み数量、これは自動車局資料ということになっております。トラック営業用一台の年間の消費量が八千八百三十五リットル、自家用が六千五百七十リットルであります。バスが一万一千六百二十五リットルであります。これに運輸省でおつしやいます軽油自動車の台数をかけますと、五十三万一千十八キロリットル、こういうことになるわけであります。両方の中をとりますと、五十二万キロリットルということになります。しかしながらこのほかに洗い油等もございますし、いろいろなものもあろうかと思うのでありますが、こういう仮定を置いて計算をいたしまして、私たちとしましては、こういう文書になって公けにされております自動車一台当りの年間の消費量を使うよりいたし方がありませんし、こういうものをとつてみますと、今申し上げるような数字になるわけであります。運輸省はさらにいろいろとお調べ上げになってもおりまして、一そう正確な資料を年々お作りになっていらつしやるだろうと思います。別に運輸省にたてつく意思は毛頭ありません。ただ私たち炉いかにも全く根拠のない数字を言うように誤解されてはいけませんから、濱野委員のお話ではそういうことになるかもしれませんが、あえて私たちが推定した数字だけを申し上げたのであります。
  24. 濱野清吾

    濱野委員 まことに困つた参考資料を使つて税金をかけられるので、これはまことに遺憾であります。将来は十分運輸当局と合議して、実際いかほど使われるのかということを、責任ある官庁の数字をお求めになられることが適当だと思います。この点はどうおつしやられても、これは伊能次官が六十万キロ強ディーゼル関係には使うとおっしゃった通り、私は六十万キロ余が正しいと思うのであります。私が委員各位に御配付申し上げましたものは、私の業務上からの私見でありますが、これを申しますと約六十三万キロリットル、六十二万八千六百五十六リットルの数字が出てくるわけであります。ですから運輸省数字にも若干の不正確があるのではないか。と申しますのは、私は少くとも年間十二キロリットルだけは使つていく。最近のディーゼル工業が非常に進歩しまして、御承知通り、輸出にまで非常に飛躍しております。そういう関係で車種の問題は四トンから五トン車になり、六トン、七トン、八トン車とますます大きい車が経済的に利用されておるわけであります。こういう傾向から見て、キロ程においては変りはありませんけれども、一車一キロ当り消費量というものは少くとも〇・三と計算するのが正しいと思うのであります。これは私どもの実情の実績から見てきているわけなんです。そういう見地から見ますと、運輸次官の今お答えになりました六十万キロ強は、これは少しまだ少な過ぎる、少くとも六十三万キロリットルだけはこれは正しい数字である。責任を持って私はこの委員会で申し上げることができるのであります。いろいろ材料がないからとおつしやいますけれども、将来は責任ある運輸省統計、そうしてまた運輸省合議して、人民側税金をかけるときには比較的正しい数字で、それが推計であつても真実に近い数字をつかんで、課税標準というものを持ってもらいたいと思います。この点将来はどうですか。意地つばりで私は申し上げるわけでありません。
  25. 奥野誠亮

    奥野政府委員 運輸省ともよく打ち合せをしたいと思っております。
  26. 濱野清吾

    濱野委員 そこで運輸当局にお尋ねしたいのでありますがこの税率が六千円になるかあるいは四千円になるかは、この委員会が御決定になることとでございまして、この点については将来のことだと思いますから、私はよけいなことは申し上げませんが、かりにこうした税金が六千円かかるとしたときに一体運輸省自動車関係について定額制であるとかあるいは、バスの運賃率の免許とか認可とかいうようなことを現に法制上行っておりますが、この問題についてどう考えられますか。この影響が当然あるものと思いますが、この運賃料金の変更については私はいたさなければならぬと思うのでふりますが、この点どういうふうにお考えになりますか。
  27. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 単に本件の問題だけでございませんで、最近の自動車交通に関する諸般の原価計算等を調査いたしてみますると、今回のこの軽油引取税の問題につきまして、運賃にどういう影響をするかという点を、運輸当局としては本問題が起りました当初から調査研究をいたしております。その結果としては四%ないし五%の影響があるということが現われております。その上に御承知でもあろうかと存じますが、交通事業、ことに自動車運送事業等のような公益事業につきましては、運賃の問題は国民大衆に重大な影響を及ぼすものでありまするので国会といたしましても国鉄運賃の是正等については常に慎重な方向で臨まれておりますが自動車交通事業の基本的な運賃是正は、昭和二十六年の七月にいたしただけでございます。その後におきましては揮発油税の値上げあるいは自動車税の値上げ等について、それぞれ個々の会社の営業実態に徴しまして若干の是正は行っております。国鉄運賃が昭和二十六年以来二度も運賃値上げをいたしておりまするが自動車交通関係の運賃については、若干の是正を行なって参つただけで、基本的な運賃改正はなるべく控えておつたのでありますが、最近においていろいろな従来の自動車価格の値上げその他税関係の値上げ等の観点から、かたがたこの問題も起つておりまするので、この貨物自動車運送における確定運賃の問題、公定運賃の問題、また通運事業における同様の問題、またバス事業等における運賃問題については慎重に検討をいたしまして、この際是正を要すべきものについては、それぞれわれわれの方としても研究をいたしたのでありまするが、全般的な問題というよりは、個々の業体々々に即して、全体としての運賃が現在の運賃体系ではどうしても収支がペイしないというところについてはしかるべき是正をいたそう、また貨物自動車運送事業のごとき確定運賃として厳格なる拘束をいたしておるような運賃制度については、この際根本的な問題について原価計算等と見合せて、是正の必要があればその措置をとりたい、かように考えて目下調査中であります。
  28. 濱野清吾

    濱野委員 ただいまの伊能政務次官のお話はよくわかりました。しかし軽油課税されれば動力源課税されたことになります。それですから、今までのバス料金の変更、さらに小口輸送定期路線といいますが、われわれの日常品を盛んに運んでおります、それらの定額運賃、これは法令できまつておりますが、これらは当然に研究の結果ただいまおっしゃるように運賃の改正をすみやかに行わなければならぬと思うのです。しかるに国策と申しましょうか、あれほど危険な橋梁であるあるいはレールであると言われている国鉄につきましては運賃を上げないと言う、バスについては熱資源すなわち動力源課税されるために上げなければならぬと言う。こういう矛盾したことが新しく税を作られることによって紀きた場合、国務大臣として太田自治庁長官はどういうふうに考えておられるだろうか、これは非常に重要なことであります。なぜ重要であるかと申しますと、もう一ぺんお聞き取りを願いたいと思いますが、最近の日本における輸送関係計数を人によりあるいは貨物によって調べて参りますと、こういう数字が出ているのです。これは驚くべき数字です。最初人によって見ますと、国鉄が人を輸送しているこの推定人員を調べますと、三十五億四千六百九十九万五千四百二十人旅行者その他一切の動く人々の数字であります。ところが、最近すばらしく発展いたしました軽油を使つて動いておりますバス事業が輸送しております人員はどれほどであるか、その計数を示すと、二十三億七千三百六十六万八千七百四十二人であります。これらの輸送する。パーセンテージを比較いたしますと、国鉄が輸送している人員は五一%であつて、そうして軽油を使つて運んでおりますディーゼル車は驚くなかれ三五%です。ガソリンはわずか一四%、それでちようど一〇〇になりますが、国鉄が五一%、この軽油を使つているディーゼル車が輸送しているのが三五%でありますから、人員輸送のパーセンテージというものが、いかにこのディーゼル自動車すなわち軽油を使用するものに依存しているかという計数は、これは失礼な話でありますが、あなたは経済学博士でありますから、これはもう大臣十分考えなければならぬことだと思うのであります。これを軽視して、むやみにガソリンと均衡な課税をするというような、そういう乱暴なことをやつているところにとの議論が起きるわけです。しかもただいま伊能次官は、これは改正の免許、認可をしなければなるまいとおっしゃっておられますが、五一%の国鉄はそのままにしておいて、バスその他については燃料源に課税されるために運賃を上げなければならぬという、こういうへんなことをやらなくちやならないことになつたのでありますが、これは一体国務大臣は国策としてどういうふうにごらんになるのか。そればかりでは足らないかもしれませんから、国民の日常必需品を輸送しております国鉄の小口扱いと、それから路線トラック、要するにこの軽油を使つております路線トラックの貨物輸送トン数を私申し上げましょう。この数字を無視して政治をやる、あるいは税率をきめるなどということがあったならば、これは大へんな問題が起きると思うのです。すなわち国鉄の扱つております小口扱い、国民の日ごろ使つている食物であるとかあるいは日用雑貨の輸送は、四百三十三万トンです。ところがこの軽油を使つておりますディーゼル車の運んでおりますトン数は、国鉄の小口扱いよりはさらに多くて九百五十七万トンであります。こういうふうに最近の自動車貨物輸送というものは、とんでもない計数を出しておるのであります。すなわち、熱資源課税をすれば、これが当然に運賃として上げられてくることに相なりますが、その運賃として上げられることは、結局物価に影響してくるのであります。そうして小市民諸君の生活に影響してくるのであります。この計数をお聞き取り願つて国務大臣として太田自治庁長官はどういうお考えであじましようか。もう一度申し上げます。輸送トン数は、国鉄の小口扱い、われわれの生活物資の輸送が四百二十三万トン、ディーゼル車は九百五十七万トン、こういうふうに日本経済は変つてきております。これを人間について見ますと、国鉄は五一%、すなわち三十五億人余、ディーゼル車で運んでおりますのは三五%、二十三億人余、こういう数字を前にしておるのです。すなわち軽油というような熱資源課税しますと、こういうように国民経済の全般にわたって影響するということを、政府考えなければならぬと思うのです。この点一体どういうふうにお考えですか、所見をお尋ねいたします。
  29. 太田正孝

    太田国務大臣 傾聴いたしました。私は濱野さんほど詳しい知識を持っておりませんが、先ほど運輸政務次官の申されました通り、国民生活に運賃二いうものが重大な関係を持っておることは、私もその通りであると思います。従って、ずいぶん無理な状況にあるようでございますが、鉄道についても今回上げないという方針をとつて閣議でも決定したような次第でございます。揮発油税及び地方道路税が一万三千円でありまして、これが六千円、二分の一になっておる。なお揮発油と比べてみますと低くなっておりますが、私は大部分は揮発油自動車と聞いております。従ってこの部分についてはどうするかという問題になりますが、一般経済論としては、紋切り型のようであるが、もっと合理化の道はないかということ以外に、私専門的な知識を持っておりませんので、運賃は上らぬがいい、低いほど国民生活がよくなるという一般の理論以外にはもし上るような場合には、できるだけの合理化をはかつて、なるべくそれにマッチするようにしてもらつたらどうか、こういう考えを持っておるのでざいます。
  30. 濱野清吾

    濱野委員 私の質問に対して国務大臣としてのお答えはまことに不満足であります。私は不満足です。しかしそれを重ねて聞こうとはいたしません。ただお答えの中に、運賃は上げない方がいいという御決定だそうであります。私もその点におきましては国民二ともに同感です。しかしながら、仮字の問題ですが、よくお聞き下さいませ。もし国鉄に対して、国鉄の使用する熱資源である石炭そのものに取引税をかけたならば、太田自治庁長官どういろふうにお考えになりますか。ちようど今日のこの軽油税の問題は国鉄の熱資源である、すなわち機関車の使う石炭の取引のトン数に税金をかけるようなものです。そうして運賃が上らぬ、あるいは運賃を上げないのがいいというよろなことが、数字の性格としてできますか。できないでしよう。そういう矛盾したことをおやりになるということは当を得ない。これは何人も承服さぜることができない。私の仮定の問題でありますからお答えにならぬでもいいのでありますが、鉄道熱資源であります電力を何キロワットと買つたから、それに一万キロワット六千円かけたら何としても運賃を上げないわけにほいかないでしよう。それから貨物輸送をやつている全国の蒸気機関の使つ、おります熱資源の石炭に、国有鉄道か取引するたびに一トンに対して二千円なら二千円の税をかけたならば、これは今の低物価政策の意味でなくても鉄道運賃というむのは上げなければペイできないことになりましょう。それがたとい公企業であろうと私企業であろうとそろばんですから同じです。そういうことはよくないやり方です。しかもそのよくないやり方を軽油に関してのみ行なっておる。そうして運賃は上げないのがいい、運輸省は上げなくちやならないだろう、理論が合はない、数字が合わない、残念ながら国民の意思に反して上げなくちやならぬということになりますが、こういう点はどういうようにお考えになりましようか。
  31. 太田正孝

    太田国務大臣 だんだんのお話でございまして、私も数字の点につきまして、政府側の発表したものと濱野さんの御参考に出されたのとだいぶ食い違いがあることを認めました。先ほど石炭と鉄道運賃との関係を申しましたが、もっともこれは私も関係があるので知っていますが、なかなかむずかしい問題で、石炭はちょっと例が違うかと思います。何となれば需給関係その他によりまして、しよつちゆう価額が変つておりまするのでその点は違つておると思いますが、一般的に申しまして数字の根拠においての濱野委員の申されるのと政府の言っているところの違いが基本的な問題かと思います。私としては政府側で発表した数字を信用したために、かような提案をしている次第でございます。さよう御了承願います。
  32. 濱野清吾

    濱野委員 それで大臣の気持はよくわかりました。それですから私は使用トン数の問題につきましては、大臣も大体おわかりのことと思いますから税率の変更を委員会に諮つてお願いしたいと思います。またもっとも委員会がきめるのでありますからそれは差しつかえないが、ぜひ委員会の意向を聞いてもらいたい、こういうふうにお願いいたします。それからこれは非常に重要な点ですが、今仮定のもとに申し上げたのでありますが、動力源の引取税などといろものを、動力源にかけるということは非常に乱暴な課税だ。たといそれが目的税であつて日本の今日の現状においては、それは避けなければならぬということです。たとえばの話なんです。国有鉄道が非常に膨大な熱資源の石炭を買い入れる、取引するたびにそれに税金をかけたならば、国有鉄道は国策の上からいって運賃は上げないといっても上げざるを得ないだろう。消耗品の熱資源なのですから、ちようどそれと同じようにかくのごとく膨大な人を運び、御承知のように生活必需品であるところの貨物を運んでいるのに、この税金をかければ運輸省としては上げざるを得ないのです。そういうようなことは低物価政策を唱えていながら、そういうそろばんずくで上げざるを得ないようなところの政策ということなら、これは慎重にやらなければならぬというふうに考えているわけですけれども、どうなのですか。こういうことをやられたのでは将来大へんなことになるのです。
  33. 奥野誠亮

    奥野政府委員 できればなるたけ税が少い方がよろしいことは、大臣もたびたびお話になっておるわけでございます。ただ軽油課税の問題につきましては年来議論が起つておつたところでございまして、揮発油に対しては一キロリットル一万三千円の課税がなされるではないか。それにもかかわらず軽油に対しては一文の課税むないということは不合理だ、そういうことから御承知のように一昨年軽油使用の自動車に対しまする自動車税の税率を上げたわけであります。これはしかし形といたしましてはきわめて不適当な形と思うのでございまして、そういうような経緯から今回軽油課税を行おう、しかしながら揮発油税地方道路税税率の半分限りに押えておきたい、こういうことになつたのでございますので、その事情をぜひ御了承願いたいと思うのであります。
  34. 濱野清吾

    濱野委員 そういうことを言われると、私はまた言わなけばならぬ。日本に政治家がない、役所には経済の実情に通じた方がない。このディーゼルというのは歴史的な産物なのです。これはディーゼル税に間接な関係がありますから申し上げてもおしかりを受けないと思いますが、満州事変の当時から日本に油がないために、このディーゼルという機関をどうして成功させようかといって、われわれの先輩たる科学者、技術者、政治家が今日まで育成したのです。その結果今日では、三十一年度あたりでは一千万ドルに及ぶであろうという優秀なる輸出の一つ機械になつたわけなのです。これを税金をかけて国内のディーゼル使用を、もし押えていくということになれば、これほど苦心して輸出にまで出てきたところのディーゼル機関が、マスプロということができませんから、これはとても外国とは太刀打ちができぬのです。ドイツと甲乙のけんかができるのはこれだけなのです。それをただ税金が取りいいから、そして道路が悪いから、運送会社や運送する人々は当りまえだというような簡単な考え方で、あなた方がこの税を創設しようとすることは、これは事務官だから仕方がないけれども、やはり政治家的なそれから事業人的な考え方をもって、国の経営に当らなければ責任を果せないと思うので、そういうことは言わぬがよろしい。ただ単にガソリン軽油との均衡をとつていくのだという単純な管見者流の考え方は、すなわち事務的な考えなのです。とんでもない話なのです。満州事変以前からこのディーゼル工業を育成してきたのです。そうして今日ではディーゼル車が経済であるということで、日本では先ほど申しましたように使用率も高まつてきた。それがやがて外国から輸入してくる石油使用量影響し、その石油使用量影響するところは為替を外国にそれだけやらないで済むということなので、こういうことはただ一局部で見ただけでは困る。そういうわけですから自治庁はその点を一つこれから勉強して下さい。そして委員長に申し上げます、これは皆様にぜひお願いしたいのでありますが、自動車だけでも私の計算で参りますと六十四万キロリットルが使われることは間違いないのであります。これは専門的の立場に立って委員各位に申し上げます。これは間違いありません。そうして自動車以外に十五万キロリットルかあるいは十六万キロリットルか二十万キロリットルかわかりませんが、少くとも八十万キロリットル近くの軽油が使用されるということは必至であります。これは決して閣議の決定事項でもなければ、役人同士の打ち合せ事項でもありません。とにかくわが国の産業の必要があつて使われるいうことなのです。でありまするからこれを一つ算定の基礎にいたしまして税率の決定をお願いしたいと思います。すなわち六千円は高過ぎる、私の計算で行きますと、幾ら税収入の欠防がないようにといって、心配に心配重ねておいても、これは四千五百円くらいに決定されることが適切である、そうしても決して税収入の欠点は生ない、こういうふうに考えておるわけであります。これで質問を打ち切ります。
  35. 大矢省三

    大矢委員長 他に御質問はありませんか。私からもちょっと簡単に尋ねしますが、今濱野君の質疑応答中に、どうも現状でこのまま行きますると値上げやむを得ない、あるいは一般的に規制しなければなるまい、こういう運輸省政府委員意見であり出す。それに対して大臣は、値上げは好まない、ないようにしたいという、これは希望であります。もし値上げということになって閣議にかかった場合に、大臣はそういう意思を強く表明されるかどうか。私は大都市の運用についてちょっと聞きますると、どうしてもそれが東京で一億数千万円、大阪で約一億円近くのバスの交通事業の負担になる。今まで電車の赤字をバスでカバーしておった、ところがそういうことになりますると、またしても経営に非常に支障を来すから値上げ必至となる、それをみな心配されている。そこで運輸省の方では、この調子で行くならば、値上げはやむを得ぬだろうという。それはない方を希望するし、あつては困るからという大臣意見だが、もしそうであった場合には、大臣の意思に反して、値上げという結果になろと思いますが、この点について大臣の決意のほどを、私からも最後に聞きたいと思います。
  36. 太田正孝

    太田国務大臣 私の気持、考え方は先ほど申し上げた通りでありますが、専門的の立場から値上げ必至ということになります場合には、やはり専門家意見を聞いてきめなければならぬと考えます。私はどこまでも運賃は低い方がいいという期待を持っておるのでございます。もう一つ一般経済機関あるいは経済運行というものを見ますると、この事業だけでないかもしれませんが、相当まだ合理化という面はあるように存じ上げますので、その点は期待いたしておる次第でございます。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員 きょうはこのままで散会ど思ったのですが、今ちょっと値上げの問題が出ましたから。濱野さんはきょう臨時の委員ですから、前からの事情を御存じないのでありますが、数字でもって事実が三%か四%相違があれば値上げをするのは当りまえじゃないか、一応ごもっともだと思うのですが、しかしそういうことをお認めになるというと、今度国鉄は固定資産にかかる交付金、配付金もかかってきます。この配付税が、この間国鉄当局の説明では、一年の運賃収入の約三%強になっている。そうして運輸大臣は、昭和三十一年度は国鉄運賃の値上げはしないと断言しておる。閣議でも決定しておる。しかるに今政務次官は、四%から五%になるから、どうも自動車関係は値上げをしなくちやならぬというふうな、調査研究中であるというふうなお答えでありました。そうなりますと、この二の問題の間に非常な矛盾を私は感ずるのであります。この点についてどうですか。運輸省ではいういうふうなお考えであるか、もう少し詳細に御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  38. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私が今申し上げました点は、これは運賃値上げの一般論の際にも申し上げたかと存じますが、バス並びにトラック運賃につきましては、昭和二十六年七月以来基本的な運賃の是正というものを行わずに、政府部内においてな極力合理化の線で進めて参っております。その間に国鉄運賃については、運賃値上げの事実のあることは御承知通りかと存じまするが、その際には運輸省として、国鉄に並行した路線の、バス事業もしくはトラック事業というものについては、国鉄との運賃調整をはかりますので、その間についての若干の具体的な運賃調整を行なっております。従いまして、基本的には国鉄運賃が上ったから直ちに、バス運賃が上る、トラック運賃が上るという運賃政策の建前はとっておりません。個々の業態に応じ、常に原価計算その他合理化の線を十分に指導をしつつ運輸行政を行っておりますので、今日まで五年の間基本的な運賃改正を行わずに合理化の線を強力に進めて参ったのであります。最近においては御承知のように、ここ数年来ガソリン税あるいは自動車税あるいは今回の軽油引取税と、年々特に自動車交通事業に対する税負担並びに自動車の価格の値上りも予想されますので、最近の情勢においては、一応それぞれの業態に応じて運賃是正をやらなければならぬという事態が差し迫っておる。たまたま国鉄運賃の改正の問題については、ただいま御指摘もありましたし、大田からもお答え申し上げましたように、予算上は運賃値上げをしない方針をきめて進んでおりますので、この点は不可分な関連を従来からとっておるわけではございませんで、われわれは常に自治庁長官からさいぜん物価政策等に関連した考え方等についても御意見の御開陳がございましたが、われわれもその線に沿って指導はいたしておりますが、具体的な事業につきましては、原価計算を割って不健全な経営になるというものについては、その内容に応じた適当な運賃是正あるいは値上げ、あるいはときには値下げの措置をとっておるものもあります。そういう方向で今日参っておるのであります。
  39. 中井徳次郎

    ○中井委員 今お話しを承わると、二十六年の七月からは一般的なことはやっておらぬとおっしやるが、しかし具体的には個々に是正をやっておるということになりますと、どうもその間はっきりしないのですが、あなたは二十六年からやらないとおっしゃるが、二十六年のときの運賃の改正に際しましては、今問題になっておるのは、率直に申し上げて国鉄の運賃が、戦前の物価と戦後の物価との比率において相当低目にあると思う。低目にあるにかかわらず、政府は相当がんばっておられると思う。それと似たようなことで、バスの運賃などにつきましても、戦争前の運賃の比率と戦後の比率、それから国鉄の戦前の物価と戦後の物価に対する運賃の比率、そううものを今わかりましたら聞かせていただきたい。私どもは今この軽油引取税を審議いたしております際、実は運賃の値上げというものはなかろうという判断のもとにやっておったのでありますが、運輸省当局においてぬけぬけと運賃の値上げをやるということになれば、これまた大へんな問題に発展いたします。きょうは時間がありませんから次の委員会ででも私は運輸当局の御出席を求めまして、この点について尋ねたいと思いますが、もし今その資料がありましたら、国鉄の運賃の比率とバスその他の運賃の比率、そういうものについてお知らせをいただきたいと思います。
  40. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 正確な御説明を申し上げなければならぬと存じますので、次会までに資料を整えて御回答を申し上げます。
  41. 大矢省三

    大矢委員長 他に御質疑がなければ、本日は本会議が三時半の予定でございますから、この程度にいたしておきます。次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十六分散会