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1956-03-13 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       堀内 一雄君    川村 継義君       五島 虎雄君    櫻井 奎夫君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         専  門  員 圓地與田松君     ――――――――――――― 三月九日  委員福井順一辞任につき、その補欠として永  田亮一君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として松  田竹千代君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松田竹千代辞任につき、その補欠として  櫻内義雄君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として田中  稔男君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員田中稔男辞任につき、その補欠として坂  本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  理事永田亮一君同月九日委員辞任につき、その  補欠として同君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月九日  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  地方自治法の一部改正反対に関する陳情書  (第三三六号)  木材引取税存続に関する陳情書  (第三六〇号)  地方財政確立に関する陳情書  (第三六一号)  昭和二十七年度以前分の国直轄工事負担金の支  払措置に関する陳情書  (第三六二号)  新市の育成強化に関する陳情書  (第三さ三号)  合併町村の小、中学校に対する財政措置に関す  る陳情書(  第三六五号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第三八八号)  市町村公平委員会存続に関する陳情書  (第三九三号)  日本電信電話公社固定資産に対する課税反対  に関する陳情書  (第四二四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員補欠選任  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律案内閣提出第六四号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六九号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号)     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  地方財政法等の一部を改正する法律案議題として、提案理由説明を聴取いたします。太田国務大臣
  3. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいま提案されました地方財政法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  御承知のように、政府は、地方財政の窮乏を打開し、その再建を促進するため、今般地方行財政制度についてあとう限りの改革措置を講ずることといたしたのでございます。その一環として、多年の懸案事項でありました義務教育職員の恩給に要する経費の半額を国庫が負担する制度を創設することといたしましたことに伴いまして、地方財政法経費負担区分に関する規定を整備する必要が生じて参りましたのと、同法中の都道府県が実施する事業につき、受益市町村から負担金を徴収することができる旨の規定に関し、事業範囲について疑義の生ずるおそれがありますので、これを「土木その他の建設事業」に改め、その範囲を明確にいたす必要がございますので、同法の一部に所要改正を行うことといたしたのであります。また地方財政再建促進特別措置法成立予定よりおくれました関係上、同法の成立を見越してすでに職員整理を実施した赤字団体退職手当財源に充てますため起した地方債につきましては、現行法では、財政再建債としての取扱いができないために利子補給対象とならないのでございますが、これらの団体財政再建を円滑に促進いたすためには、これらの退職手当債につきましても利子補給を行う必要がございますので、同法の一部に所要改正を加えることといたしたのでございます。  以上が、本法律案提案する理由及びその内容概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決せられんことをお願いいたす次第であります。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 大矢省三

    大矢委員長 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。北山君。
  6. 北山愛郎

    北山委員 交付税法等関連をいたしますが、この前お伺いしました地方財政赤字につきまして、大蔵省自治庁との間に若干見解の食い違いがある。自治庁の方では六百四十八億というものが赤字だ、ところが大蔵省の万では別個に計算をしまして、三百七十三億というような内輪な数字を持っておる。そういう両者の食い違いがあるということがございまして、これにつきましては自治庁大蔵省がたしか先月の末までには急いで話し合いをつけるというような御答弁をいただいたと思っております。この点についてどういう話し合いがついたか、その後の経過を後藤さんからお伺いをしたいのであります。
  7. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。赤字額の問題につきまして大蔵省では三百七十三億、われわれの方では六百四十八億と二十九年度決算を通じて申しておりますが、これは赤字額そのものがが六百四十八億であるということは大蔵省もはっきり認めております。従って赤字額そのものについては問題はございません。ただ大蔵省は、この前も申しましたように、赤字額のうちで再建債対象になる額を幾らにするかという問題につきまして、三百七十三億という数字を出したことが経過的にあるのでありますが、これも大蔵省が明確に公示したところの数字ではないということを大蔵省で申しております。従ってこの三百七十三億という数字も、別にはっきりした根拠があって申しておる数字ではないとわれわれは考えております。従って赤字額そのものにつきましては、すでに問題はなくなったのであります。個々団体につきまして再建債幾らつけるかという問題になって参りますと、これは資金という観念から見るか、赤字そのものをとらえていくかという二つ考え方がございます。その点につきまして、少し団体を当ってみようじゃないかというので、現在までこの申し出がありました団体に当っております。その上で一応将来の申し出団体に対する基本的な線を出そう、こういうことで作業をいたしておるのであります。できれば今週中にはこの程度のものはつけるということをはっきりさしたいと考えております。もうすでに再建計画のきまった団体もございますので、われわれとしては赤字額をそっくりそのままつけてもらいたいというように主張しております。もちろん団体側の希望がそれより低ければ、それをとっていいと思いますが、その辺のところでやはり再建債対象の問題は、まだはっきり話がきまったところには行っておりません。
  8. 北山愛郎

    北山委員 私も単に赤字の形式的な額、表に現われた金額相違ということを問題にしているんじゃなくて、これが今度の再促進法適用の場合に融資率といいますか、その赤字のうちでどの程度再建債をつけ得るかということに関連をしてお伺いをしておるわけであります。赤字の形式的な額については、大蔵省との間に意見相違はないというお話でございますが、やはり今申し上げたような、どの程度にこの赤字団体再建団体について再建債を認めるかということについては、結局まだ結論が出ておらないというような模様でありますが、何でも伝うるところによりますと、大蔵省ではその際に従来のその団体の税の滞納額はこれを差っ引くんだ、まあ一つ受け取り債券であるというような意味合いから差し引くということを申しておると聞いておりますが、それらの関係はどのようになっておりますか。
  9. 後藤博

    後藤政府委員 ごく最近の大蔵省意見は、滞納額という問題は別に問題にしないようになったようであります。しかし違う観点からある程度資金という考え方を非常に強く持ちまして、そちらの方面から多少制限しようとする考え方があるようであります。しかしまだはっきりそれが公式的な意見であるかどうか確かめておりませんが、今大体一応の申し出団体作業を終ったところであります。これから具体的な方針をきめるという段階であります。まだはっきりしたことは申しておりませんが、おっしゃいますような滞納額という観念はやめたのではないかと私ども思っております。
  10. 北山愛郎

    北山委員 はっきりしておりませんが、やめたのではないかということは、従来滞納額を債権として赤字から差し引くということを大蔵省の方で主張しておったというふうに反面うかがえるわけであります。当然理論的にいいましても、滞納額というもののうち次年度に徴収できる分は財政計画上においても次年度の普通の税収の中に見込まれるという関係になるのでありまして、当然それぞれの年度税収のうちに逐次見込み得るというような形で見なければならぬので、赤字の方から滞納分を差し引くということは理論的にはおかしいのではないか、こういうふうに思いますので、その点は一つさらに大蔵省を啓蒙していただくようにお願い申し上げます。今その作業をしておられる、こういうふうに言われましたが、これは具体的に再建団体再建予定団体、こういうものの再建計画というものを土台にして、それを材料にして作業をやっておられる、こういうふうな状態でありますか。
  11. 後藤博

    後藤政府委員 審査いたしておりますのは、再建計画そのもの審査よりも、赤字内容問題であります。赤字内容を大きく分けますと、繰り上げ充用事業繰り越し支払い繰り延べと三つあります。今まで審査してきました作業というのは、その繰り上げ充用の中にわれわれの考えている繰り上げ充用と違ったものがあるのではないか、それから事業繰り越しそのものの中に赤字と見るべき事業繰り越しがあるかないかという問題で、支払い繰り延べは大体問題ありませんが、この二つにつきまして個々団体の現実の決算の状況を調べておったのであります。その作業が一応予定しております団体について終りましたので、この辺で一つ方針をきめようじゃないかという段階にきているということを申し上げます。
  12. 北山愛郎

    北山委員 この問題は結局再建団体に対する再建債融資率の問題でありまして、今全国の再建法適用を受けようかどうかと思って迷っている団体にとっては、非常に重要な問題であろうかと思うのです。一体どの程度再建債を出してくれるのかということは、これは再建計画を作ろうとする場合においても、個々団体については前提になる問題であります。それでこれは至急再建債をどの程度にどの範囲で認めるか決定していただきたい、こういうふうに希望するわけであります。近いうちに決定するというお話でありますから、その機会をお待ちすることにいたします。  それから次に財政計画関係でありますが、退職手当債、これは三十一年度は六十億となっておりまして、そのうち三十億というのは、いわゆる整理等退職人員として九千五百人の分で、あとの三十億は毎年の新陳代謝、いわば一定の率でもって見た自然の退職である、こういうふうなお話でございますが、こういう自然の新陳代謝等退職について退職手当債を課してもいいというような根拠をどこに求めておられるか。初めは地方財政法の一部改正の中へ含めるというような立法措置がやはり必要だというお話がございましたが、その後においてはそういう必要がないというような御解釈のようでありますが、この点を明らかにしていただきたいのであります。
  13. 後藤博

    後藤政府委員 退職手当債のうちで新陳代謝の場合が現在の二十四条の規定で読めるか読めないかという議論があったわけであります。それで二十四条の解釈で読めるという解釈になりましたので、財政法改正をやめたわけであります。読めなければ財政法改正をして新陳代謝についての退職手当債を認めよう、こう考えておったのであります。現在二十四条の規定で読めるということになりましたので、財政法改正を落したわけであります。
  14. 北山愛郎

    北山委員 そうすると第二十四条の「地方公共団体は、当分の間、職制若しくは定数の改廃又は予算減少により職員退職させる場合」そのどこに当るわけですか。
  15. 後藤博

    後藤政府委員 「予算減少により」これで読むわけであります。
  16. 北山愛郎

    北山委員 そうすると新陳代謝というのは、いわば予算のいかんにかかわらず、自然にやめる者が出たらそれを補充する者が出たりするということであって、初めから計画をされて出てくるものではないと思うのです。ところが二十四条の「予算減少により」というのは、やはり職制改廃とかいうことと同じように、計画的に予算でもって何人の予算定員を減らすというようなことがなければいけないのじゃないかと思うのです。私の考えでは、どうも二十四条の「予算減少により」ということを、そのように都合よく読むわけには参らぬのじゃないかというふうに思うのですがどうですか。
  17. 後藤博

    後藤政府委員 そういう御意見もございます。われわれの中にも一部そういうふうにすぐに読めないのじゃないかという解釈をとる者もおったのであります。しかし実質的に予算減少が伴うような大量の新陳代謝が行われた場合には、やはりこの条文で読める、こういうふうに私ども解釈し、そういうふうな統一的な解釈になったわけであります。従って個々自然退職が全部この対象になるという意味ではありません。三十億の起債の中で、たとえば定率でもって落します分でも、町村分は半分くらいしか考えておりません。従って個々自然退職が全部起債になるのではなくて、ある程度大量に新陳代謝が行われた場合には起債対象にする、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
  18. 北山愛郎

    北山委員 大量であろうが少量であろうが、それは性質としては別個の問題だと思うのです。要するに起債対象になる一つの単位の数字になるかならないかという問題でありまして、この二十四条の「予算減少により」というものを当てはめ得るかどうかということは別個の問題じゃないかと思う。たしか地方公務員法の中に、その意に反して退職をさせる場合というようなことがあると思うのです。お説のように二十四条の「予算減少により」ということを読むとすれば、結局地方公務員法のそういう制限というものは何もならないことになりはしないか。要するに結果として予算減少を伴えばいいのだ、それは予算減少によりという意味であるということになれば、その意に反して退職ができる事態というものは幾らでもできる。地方公務員法のそういう制限というものにはそういう大きな穴が明くような結果になりはしないか、私はそう思うのですがどうですか。
  19. 柴田護

    柴田説明員 この二十四条の条文でございますが、通常行政整理の場合の表言といたしましては、その意に反して職員退職せしむる場合というのが通常文言でございます。二十四条の場合におきましては、その意に反して職員云々という文言が抜けております。そこでこの条文でそういった大量の新陳代謝が行われました場合を含めるかどうかというので、実は今回の予算措置をいたします場合にどうするかという問題で議論をしたのでございますが、予算減少によりということは、結局大量の新陳代謝がありました場合におきましても、予算平均単価というものは実質的に下るわけでございます。そういう場合におきましては予算減少によりということで読めるという解釈に大体なりましたので、立法的な措置をとりやめたわけであります。
  20. 北山愛郎

    北山委員 私は地方公務員法の同じような言葉と両方関連せしめて考えると、予算減少によりというのは、初めから計画的に予算人員はこれだけ減らすんだということによって起るその退職なり整理でなければならぬ、こういうふうに私は解釈するのが当然だと思う。今後藤さんがお話のように、新陳代謝の場合でも結果的には予算減少を伴うからこれで読めるということは、地方公務員法規定を非常に拡大してしまって、どんな場合でも予算減少を伴えばその意に反して首が切れるということになってナンセンスになってしまうと思うのです。だからそういう観点から見れば予算減少によりということは、やはり予算定員等の人事上の方針予算の中で数学的に示したその根拠に基いた整理なり退職という場合に限るというように解釈しないと、私はとんだことになると思うのですが、その辺はよく考えた上でそう御解釈になったのですか。
  21. 後藤博

    後藤政府委員 一般職員の場合は大して問題はないのでありますが、教員の場合に問題がある。教員の場合は御承知通り生徒児童がふえております。ふえておりますが、しかし新陳代謝が行われておる。増員をしなければならないという要請が片一方ありながら、やはり新陳代謝が行われておる。その新陳代謝に対して起債を認めてくれという要求があるわけであります。従ってその場合に一体起債がこの条文で認められるかどうかということが問題であります。その場合に予算減少により、一円でも下っておればそれでいいじゃないかということが言えるわけであります。しかし一円でも下っておればそれでいいということよりも、実質的に予算減少があればそれでいいのじゃないかという説が一つできるわけであります。従って一応新陳代謝によって給与の平均が落ちていくというような場合は、これは明らかに実質的な予算減少である、こういうふうに解釈してもいいのじゃないかという考え方一つありまして、もしも読めないようだったら法律改正しようということでいろいろ議論しておったのでありますが、読めるということになりましたので法律改正はやめたのであります。地方公務員法の方はその意に反してというのがついておりますから、これは別な要素が入っております。われわれの方の退職起債の方はそういう要素がありませんが、やはり地方団体要求にこたえる方がいいのじゃないかという意味で、私どもは広く解釈するという説をとって法律改正をしなかったのであります。
  22. 北山愛郎

    北山委員 しかしやはり同じような言葉を使っている。いわゆる「予算減少により」というのをそのように拡大して読むということは、結果としては公務員法の同じような言葉拡大解釈になってしまう。私はそういう関連からも逆に、やはり「予算減少により」というのは、新陳代謝で結果的に一円でも予算が減りさえすればいいのだというような便宜解釈では、はなはだもって危険ではないかと思うのです。従って、法制局がどのような解釈をされたか知りませんが、どうでしょう、後藤さん自身この二十四条の条文をそういうふうに読むことは、やはり適当でないと腹の中ではお考えになっておるんじゃないですか。
  23. 後藤博

    後藤政府委員 私はもう前からこれは読めるじゃないかという説なんであります。読めないという説の人ももちろんありました。しかし私は初めからこの条文で読めるから新陳代謝の場合もつけたらどうか。ところがそれについてはいろいろ疑義があったのでありまして、まあ読めるという統一解釈になりましたので、これももちろん法制局に相談した結果でありまして、現行法退職債がつけれるというふうに考えた次第であります。
  24. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、予算減少というのは、結果的に一円でも減ればいいのだということになれば、何と比べて減るのですか。昨年度予算と比べて減るのですか。あるいは総体の金額において減るのですか。だから、もしもかりに新陳代謝というものを予算の中で見込んでおっても、総額において予算が昨年と比べて一円でも減少にならぬということになれば、その場合には退職手当債はつけられないのですか。
  25. 後藤博

    後藤政府委員 もちろん前年度予算と比較するわけであります。前年度予算と比較して平均単価が落ちておれば、一円落ちておってもやはりつけれるという解釈であります。これは実際問題として新陳代謝がありますれば、必ず平均単価は落ちて参ります。落ちない場合は、もちろん実質的な予算減少ということになりませんから起債がつけられない。一般財源で出す。こういうことになるわけであります。
  26. 北山愛郎

    北山委員 その予算減少というのは、平均単価が落ちればいいという意味ですか。どこにそんなことを書いておりますか。予算総額というのが普通じゃないですか。平均単価というのはかってな解釈じゃないですか。
  27. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申しましたように、実質的に予算減少を伴えばよろしいという解釈であります。それを打ち割って申しますれば平均単価が落ちればよろしい、こういうことになるわけでありますが、途中を抜かして話しましたのでそういうことになったわけであります。
  28. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、結果的というお話ですが、初めの予算の上では減少にならなくても、結果的に減少になればいいというのであるか、あるいは初めから平均単価を低めるような予算で組む場合でなければだめというのであるか、どっちですか。
  29. 後藤博

    後藤政府委員 初めから予算平均単価を落して組む場合もございましょう。それからそうでない場合も私はあると思います。両方あると思います。
  30. 北山愛郎

    北山委員 そうでない場合というのは、これはつまり年度末までやってみなければ、落ちるか落ちないかわからないじゃないですか。そういう途中ではわからぬことで意味のないことになるのではないですか。
  31. 後藤博

    後藤政府委員 年度末にならなければわからないかもしれません。しかし起債は大体年度末につけるのでありますから、それ前は前借りの格好で出すのですから、実際に落ちた場合に初めて起債に切りかえる、そういうことになるわけであります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 二十四条の「予算減少により」というところに入れて解釈するために、非常に無理な解釈がそこにあるのではないかと思うのです。そしてこれがさらに地方公務員法二十八条の方に逆に疑義を生じてくる。だから、いわゆる予算単価が落ちればその意に反して首を切れるということにも、あるいは拡大解釈して読めないか、読めることになるのではないか、非常に危険ではないかと私は思うのでありまして、その辺を初めからお考えになって、それでも差しつかえない、読める、こういうことであったのですか。
  33. 後藤博

    後藤政府委員 その辺の問題がございますので、法制局にいろいろ打ち合せした結果、現行法で読んで差しつかえないということにきまったのであります。
  34. 北山愛郎

    北山委員 この点につきましては、公務員法との関係もございますから、やはり今お伺いしたところでは、どうも二十四条の「予算減少により」という言葉を、不当に拡大して、便宜的にこれを解釈しておるような関係もあり、また地方公務員法二十八条という非常に重大な規定拡大解釈を起してくる危険もありますからして、あと法制局を呼んでさらにお伺いしたいと思います。  それからきょうお出しになった地方財政法をちょっと拝見しますと、地方財政法の第三十三条を削っておるようですが、これはとういうわけですか。
  35. 後藤博

    後藤政府委員 三十三条は地方債の特例の規定であります。それは前に第五条の改正を行いました際当然削っていくべきものであったのでありますが、その二十三条の中に自治体警察に関する起債の問題が入っております。従って、その自治体警察の規定がありましたので、一応形の上では残しておいたのであります。市町村の自治体警察が府県の方に移って参りましたので、実質的に前から動いておらない条文でありまので、この際規定の整備をはかる上からこの条文を削ったのでございます。
  36. 北山愛郎

    北山委員 第三十三条は、「地方公共団体は、当分の間、左に掲げる経費については、第五条の規定にかかわらず、地方債をもってその財源とすることができる。一義務教育年限の延長に伴う施設の建設費 二自治体警察の創設及び整備に伴う施設の建設費 三消防の強化に伴う施設の建設費」ということになっております。そこで三十三条を削りますと、これらの臨時的な地方債財源とすることができないということになるのではないか。しかし第五条第一項第五号に消防だとか文教だとか、そういうものはございますが、自治体警察の方は完全にできなくなる。義務教育と消防の方は第五条の条件を満たす場合にのみ起債が許されるというように結果はなるのではないか、ということになれば、今後自治体警察の廊舎等の整備、建設等は起債対象にならない、こういうことに解されるのですが、それでよいのですか。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 そういうことではございません。五条でもう読めるから、この条文を削っても、別に実質的に変更を来たさないという意味でありまして、自治体警察の廊舎を起債でやることは五条の規定でできると解釈しております。
  38. 北山愛郎

    北山委員 五条のどこでできるのですか。
  39. 後藤博

    後藤政府委員 五条の五号の「土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費の財源」ここで読めると考えております。
  40. 北山愛郎

    北山委員 そうすると今の三十三条を削ったということは三十三条の方はこの第五条に掲げる税率、標準税率以上でなければならぬという条件以外は条件がつけられますね、それ以外はやはりこの三十三条を削っても第五条によって地方債は許される。これは自治体警察についても消防施設についてもみな同じだ。ただし標準税率以上はとらなければならぬということになっておる。そういうことになると、たとえば東京みたいなところで、標準税率に達しないような場合にはできないということになるわけですか。
  41. 後藤博

    後藤政府委員 標準税率の制限はございますけれども、全部五条で読めるというところから、これを規定の整備で削ったのでございます。現実の問題として、やはり標準税率以上のところに起債を認めております。東京も標準税率もございます。従って実質的には、これを削りましても変化はないと私どもは考えております。
  42. 北山愛郎

    北山委員 もう一点お伺いしますが、この前地方債の一般事業債の減少についてお伺いしたことがありますが、昨年よりも百八十五億ですか、減少しておる。その結果として地方債の一般事業債等の起債の率は、どの程度減るかとお伺いしたところが、一割くらいじゃないかというお話しだったんです。しかし実際には昨年度に比べて、金額において三%くらい減っておるんですよ。三〇%減るものが現実に一〇%の減額にとどまるということはどういうことなんです。
  43. 後藤博

    後藤政府委員 起債の充当率がどのくらい下るかという問題ですか。
  44. 北山愛郎

    北山委員 そうです。
  45. 後藤博

    後藤政府委員 充当率で行きますから、一般財源との伸びと関連がございます。従って一般財源個々の伸びを計算に入れて充当率をきめておりますから、県によりましては非常に異なったものが出て参りますが、大体一割くらいは落ちるものと考えてもらいたいということを、私はこの前申したのであります。もっと落ちる団体もあるかもしれません。これは団体によって非常に違ってくると思います。
  46. 北山愛郎

    北山委員 この前も申し上げましたが、これは相当重大な問題だと思うんですよ。後藤さは今度は税の自然増収も相当あるし交付税もふえたんだから、そこで公共事業費等の地方負担分は一般財源の方から相当これを振りかえ得る。従って起債が減っても事業はそう影響を受けないというようなお考えのようでありますが、どうもわれわれから見ると、こういうふうな急激な、総額において三割もの減額でありますから、その分を地方団体の一般税収等の財源から持ってきて、しゃにむに事業をやるというような団体はなかなかこの節ないと思うんです。従ってこういうようなことをやりますと、公共事業の補助率を高めましても、おそらく地方負担が工面できないために事業をやらない。あるいはそこに政府の方のねらいがあるのかもしれませんけれども、やらないという団体が相当出てきやしないかということと、やれる団体事業が集中していくんじゃないかという懸念があるわけですが、そういう懸念はないかどうか。  それから同時に、一説によりますと、今まで補助事業については、補助金がきまればそれに付随して起債を一定率でつけた。ところが今度はそうじゃなくて、たとい補助金がついてもそれに伴って一定率の起債をつけるんじゃなくて、起傾は起債分として、別個にその団体の償還能力等を勘案してきめていくんだ、こういう方針に切りかえたという話を聞いておるのですが、そういうことはありませんか。その辺の関係一つ伺いしたい。
  47. 後藤博

    後藤政府委員 三つの御質問があったようでありますが、一つ財政計画の上で起債を多く見て参りますれば、それだけ一般財源が減るわけであります。従って一般財源をふやしていくという方針で参りますれば、どうしても起債が減る。それが起債の将来の償還額を減少していくという建前から、一般財源をふやすことに力を入れました関係で、起債総額が減ってきた。財源的な起債が減ってきた。こういう意味で私は、量はなるほど昨年よりは減っておりますけれども、財政計画の上から申しますれば、私は改善されたものと考えておるのであります。  第二の点の、起債が少くなったので事業をやらなくなるのではないかというお話でありますが、これは一般財源との見合いの問題もありますし、他の経費との見合いの問題もございます。一般財源の多寡によりまして、それぞれの団体事業を自分の財源を判断しながらきめていくということになり、起債は特殊な場合しか使わないという考え方に持っていく過程としては、やはりだんだん少くしていくのがいいのではないか、かように私は考えておるのであります。  それからもう一つは、起債をつけます場合に、一定率でつけると申しておりますが、その一定率でつけます場合は、やはり一般財源を考慮して率をきめてつけておりますが、それぞれの団体考えますと、余裕財源の量を十分に考え起債の率をきめております。もう一つ申しますと不交付団体起債の充当率は低く、交付団体の方を高くしております。交付団体の中でも、それぞれ財政の事情によって充当率を従来加減しております。補助事業についてはそういう方針を一応とりますが、そういう場合にはやはり起債でありますから、償還能力を織り込んで行かなくてはなりません。公債費の累増しておるような団体につきましては、そう多くの起債をつけるとさらに苦しくなって参ります。その辺もやはり考えなくてはならぬ。従って全然別個に離れて、償還能力だけでつけるという考え方はいたしておりません。定率でつけながらやはり個々起債の償還能力を考え、あんばいしていくという考え方とって行きたいと考えております。
  48. 北山愛郎

    北山委員 そうすると補助事業についての起債のつけ方については、方針においては大体従来と変らない。要するに補助の方はついた、しかし起債の方は、償還能力等も考えるからつくとは限らない、というような事態になって困るのでありますから、そういうふうにならない、いわゆる従来と同じような方針で、補助がつけば起債も大体それに相応じてつけるというような、従来の方針については変更はない、このように了解してよろしゅうございますか。
  49. 後藤博

    後藤政府委員 原則的にはやはり従来と同じような考え方で行きたいと思うのであります。ただ個々の特殊な団体については、定率でつけますと、将来の公債費に償還が非常に多くなって参ります団体につきましては、償還能力をやはりあんばいしていくということに考えております。私は一挙に償還能力中心のものに切りかえていくということは不可能であると思いますから、理想としては起債は漸次償還能力に応じて考えていくべきだと考えておりますので、そちらの方向に行きたいと思っておりますけれども、現在の段階ではそういう変革をいたしますればいろいろ因ることもありましょうから、一応原則的には従来の方針をとりながら、やはり償還能力をある程度織りまぜていくという考え方をとりたいと思っております。
  50. 北山愛郎

    北山委員 そうすると原則的には従来の方法でやるが、多少は三十一年から起債のつけ方が変ってくる、こういうように受け取れるのですが、特別の場合に償還能力を考えてやるということになると、補助の方は一応きまった、ところが起債の方は、償還能力を考えますから、償還能力のないような団体は、もちろん一般財源でもって自己負担分を見て、その負担分を一般財源に振りかえるというような力がないのですから、そうするとせっかく補助をもらっても、起債が今のような考慮によってつかないために、その事業を返上しなければならぬという事態が起り得ると思うのですが、そういうことを予想してかかっておるのですか。
  51. 後藤博

    後藤政府委員 別に予想するわけじゃございませんが、償還の額が非常に多くなっておる団体につきましては、一定率でつけてやりますれば、さらにふえて参る場合ができて参ります。もちろんその団体事業量の問題と関係がございまするけれども、そういう場合にはやはり償還能力を中心に考え、ある程度要素に入れて、そして起債はこの程度しかつけないということもあり得ると思います。具体的にどの団体をどの程度ということは今考えておりませんが、つまり償還能力という要素をある程度考えていきたいということであります。
  52. 北山愛郎

    北山委員 この前も若干これに触れたと思うのですが、再建団体再建団体にならない団体との間に、こういう補助事業等について一体どの程度考えておるのか。これは非常に地方団体が関心を持っているわけです。再建団体になった方が一定の仕事を保証されるから再建団体適用を受けよう、この際自力再建もできないわけではないけれども、再建団体適用を受けた方が事業の保証がある、補助ももらえるし起債もつけられる、だから再建団体になっておる、こういううわさが相当地方でも飛んでおります。また一方からいうと、再建団体適用を受けないというともう仕事は何にもやれない、こういうような宣伝も行われておるわけですが、もう少しその点を的確に、地方を迷わさないように、どういうふうな御方針なのか、一つはっきりお伺いをしたいのです。
  53. 後藤博

    後藤政府委員 私は補助事業につきましてはやはり定率でつけますから、再建団体であろうとなかろうとそう変らないと考えております。ただ単独事業の場合はやはり問題であります。単独事業起債である程度——再建計画を組んでおる場合と全然再建計画を作らないでおる団体とどちらを考えるかという場合には、やはり事業を絞って細々ながら単独で事業をやっていこうという団体にやはり優先させるということになるのじゃないか。もちろん事業にもよりますが、やはり再建団体として財政の全体を圧縮しておる団体の方に優先してつける方がいいのじゃないか、かように考えております。補助事業についてはそう大きな差は私は出てこないと考えます。
  54. 北山愛郎

    北山委員 補助事業については、大体再建団体であろうがなかろうが大した違いはない、単独事業については多少差がつくかもしれない、こういうお話ですが、なおこれに関連しまして、どの県でしたか、ある県では県が補助金をプールして補助金の調整財源みたいなものを持って、それを手持ちにして合併町村とその他の町村とが政策的にもこれを運営するという団体があるやに聞いておるのですが、こういうことはいいことですか。
  55. 後藤博

    後藤政府委員 合併を促進するために補助金を各地方団体に分ける場合に、各省の補助金をやはり合併町村に優先してもらいたいという希望は自治庁としても申しております。従ってそういう意味で補助金が合併町村の方に優先されていく場合もあると思います。それから県の補助金の場合もやはり同じような方式で合併町村に優先的な取扱いをしている県もあると考えております。
  56. 北山愛郎

    北山委員 この問題はそういうふうな補助金のプール財源をどういうふうに運用するのかよく調べて見ないとわかりませんので、私もどういうふうな方法でやるのであるかその方法いかんによってはやはり行き過ぎがあるのじゃないか、こういうふうに思うのですから、その点よく調べてみたいと思います。  なお最後に一つだけ、先ほど退職手当債の六十億に関連いたしますが、これは今度の財政計画上は給与費の中に六十億というのが退職手当として入っているだろうと思うのですが、給与費全体の内訳は何か資料として出ておりますか。その六十億を含んでの給与費計算の基礎というものがここに資料として出ておらなければ、それを出していただきたいと思うのです。
  57. 後藤博

    後藤政府委員 承知しました。
  58. 大矢省三

    大矢委員長 五島君。
  59. 五島虎雄

    ○五島委員 簡単にお尋ねしたいと思います。財政計画方針を見ると教育職員の三十一年度の増員、それから児童数の増加、これを見ますると五十一万人の生徒がふえる。そこで七千二百学級ふやさなければならぬ。それで小学校の先生を五千九百七十人、中学校の先生は千四百四十大人、盲ろう学校において五百一人というような増員をするそしてこれは義務教育国庫負担金の算定の基礎によって算定されたんだという説明があり、そしてその所要金額を二十一億円ばかり見込んでおるわけです。ところが実際の各地方団体の来年度予算の審議状況を見ていると、自治庁はこういうように見込んでおっても、実際の問題として教育職員の定員をふやされないというような状況が諸々方々に出てきているわけです。生徒数は自然増加がどんどんある。そうすると教職員の労働過重というような問題もそれに伴って現実に生ずるわけです。それで学級当り小学校五十人あるいは中学校四十七人ですか、そういうような平均の中から割り出されたこの方針と、実際の各地方団体で教職員の定数とか何とかをきめているわけですがその方針に、全国は沿って定員数とか何とかが実施されているかどうかということを聞いておきたいと思います。
  60. 柴田護

    柴田説明員 義務教育教職員増員の計算は従来は財政計画上の計算だけ別の計算を立てておりました。ところがその計算を立てました結果が義務教育費国庫負担金との関連で、財政計画の計数が非常に変な形に相なる。そこで本年度からはそういう方針を改めまして、義務教育費国庫負担金の計算に乗っかっていく、そうして参りますと従来との行き方が違いますのは、従来の方針で行きますと財政計画上の計数を作りまして、国庫負担金は特定財源として計算をする。そうすると国庫負担金が、不足をいたしておりまして年の途中で補正されますと、それだけのものは財政計画上補正されない、いわば財政計画上において完全な形において計数が見積られておったけれども、特定財源が不足しておったのだ、その不足をしておった特定財源を国庫予算が補正をしたのだから、言いかえれば財政計画を実際に当てはめて見ました場合に、地方団体赤字になっている部分を、国庫負掛金を補正して直したのだ、こういう考え方になるわけです。ところがそういう考え方をとりますと、財政計画と国庫予算との両方が並行いたしました場合には非常に不利な形になってくるのであります。本年度はそれをやめまして、国庫負担金というものの基礎によって財政計画上の数字を組んでおりますので、もし年の途中におきまして国庫負担金が不足をいたしまして、補正をされますと、その分に応ずる部分が、財政計画上修正されなければならない、こういう格好になるわけであります。その場合の増加教職員数の見積りにつきましては、一応は最近の大体平均の学級当り児童数というものを基礎にいたしまして、国庫負担金の方は計算いたしておるわけでございます。それが今お話の一学級当り四十六人とか四十三人とかいう数字であります。この数字が実態に合うかどうかという問題でありますが、実態には必ずしも合っておらないと私は思います。また合うはずはないのでありまして、一応こういう計算で財源的には見ておるということは、地方団体に連絡いたしますけれども、地方団体がそれぞれの事情によりまして将来の児童数の増減状況も考えて、教職員数の増加をはかっているわけであります。従って本年度の児童生徒数はふえるけれども、将来は三十三年ごろからずっと減るのだということになりますれば、一応の義務教育職員の育成も行われましょうし、それによって必ずしも全国一律に平均的に突っ込みました仮定学級数の計算をしていないところもたくさんあると思います。現に非常にふえておるところもありますが、しかし去年当りから児童生徒数の増加に伴いまして、教職員数を一向にふやさなかったところは、今年は若干ふやさなければならない。去年ふやしたところは今年は押えるという傾向が見られております。
  61. 五島虎雄

    ○五島委員 昭和三十三年ごろになると、児童数が減っていく、これは日本全人口の動態の中からそういうことが言えるわけですが、これはあくまで基準の問題ですからいいのですけれども、実際の問題として今まで一学級当り五十人の生徒数には大体一人の先生が要るのだ、これをもって労務量、教育の向上というものの算定基準になっていると思うわけです。ところが現実の問題として五十名をはるかに突破して、五十九名あるいは六十名というような生徒数をもって一学級当りの人数だというように、各地方団体は地方の財政の中では組み、そしてそれらが実際の定員というような問題で処理されておるわけです。ところがここで私が質問する要点は、今北山さんが質問されたところの再建特別措置法の適用をめぐって、こういうような問題が非常に混乱するのじゃないか。そうするとこれは一片の方針だけだ。そうして二十一億円予定した。そうすると現実の赤字の問題とそれをカバーするところの方針というものは、自治体の方には現実に生きて動かない、波動しないというようなことにもなりかねないのじゃなかろうかという疑問が生ずるわけです。というのは、地方自治体は非常に財政で困っておる。ところがこれの適用を受けなければならない。適用を受けるというためには、定員をふやしていけば、やはりそれだけ支出が増になる。だから今まで五十九名という一学級当方の生徒数に比例して、教職員の定員をきめておったのだけれども、昭和三十一年度は人口の自然増がある。それでこういうところから行くと、数百名は定員をふやさなければならぬ理屈にはなるけれども、生徒数を一学級によけいに押し込んで、そうして教職員の数はふやさない。それがいわゆる地方財政の節約というような意味にも合致してくるというような方面から、義務教育等々が運営されていったら非常に事は重大ではなかろうかというように私は思うわけです。ところが全国各都道府県あるいは市町村における教育の実態においては、某県は一学級当り六十四名を一人の先生が受け持っているところもあるでしょうし、あるいは一学級当り五十五名を平均として教職員の定員をきめているところもあるでしょう。そうすると日本全体の教育の立場からするならば、やはりそこに今重大な問題となっているところの教育の平均化、教育の均衡化という問題は、この財政の面からその実態が消えていってしまうおそれがある。そうすると教育が単に財政の面からもてあそばれて、昭和三十一年度では数万人の生徒がふえるけれども、財政の面からはふやせない。だから一学級当りの生徒数を増大することに対して教職員の定員をふやさなくてもいい。こういうように財政が欠乏しているという面からするならば、財政の問題はもちろん重要でしょうけれども、実際教育の面からするならば、先生の一日当りの労務過重になり、生徒の側からはやはりその手を取って綿密な教育のやり方というのが粗悪になるおそれがある。それは優秀な先生たちですから、六十一名になっても、六十五名になっても、それは十分やれるとは思いますが、そうすると全体の教育——これは文教関係になるでしょうけれども、教育の面からして財政は基準を示しただけだ、それは地方団体がやるんだというような、こういう重大な問題が一面にはありながら、ただ基準を示して野放しにされるつもりでありますかということを質問しているのです。
  62. 柴田護

    柴田説明員 そういうような懸念がありますので、従来のやり方を変えたのであります。従来のやり方からいいますと、財政計画上で一方的に経費を見て、そうして特定財源としての義務教育費を引いてそれで事足りる、あとは文教費の国庫負担金が足るか足らぬかという問題で仕事をするというやり方であったのでありますが、お話のような問題があるわけであります。それで財政計画上の計算の基礎を変えまして、義務教育費国庫負担金で予想した職員数と見合う額を上げた、つまり国庫負担金と同じ扱いをしたわけであります。そうするとやがて教職員の増員の実態がわかって参りまして、負担金自身が足るか足らぬかという問題が起ってくる。そうすると補正の問題が起る。それに合せて財政計画を直していくということになります。お話のような問題は、結局教職員の合理的な標準定数というものを考えるほかにはないのであります。これは文部省でやっておりますが、まだ結論に至っておりません。私たちにいたしましても、一般職員の給与費をきめますのには、最後には一般職員の標準定数を考えなければならない。そういう問題とあわせて一環の問題として処理していきたい、かように考えております。
  63. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると具体的に三十一年度までは一学級五十九名の生徒数をもって一人の教職員を配置した。これを昭和三十年度まではやってきて、そして昭和三十一年度予算の編成に当っては、あるいは特別措置法の適用団体になるためには、どうしても生徒数をふやさなければならない。そして先生の増をカバーしていかなければならない。それでなければどうしても七年か八年かにこれを健全財政化する方針さえもつかないという面が出てくる県があるとするならば、そういう場合はどういう処置をされるつもりですか。
  64. 柴田護

    柴田説明員 具体的な県につきまして、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、教員の増と申しましても、ここにあげておりますのは、今義務教育費国庫負担金の計算の基礎に合せておるわけでありますが、要するに児童生徒数の自然増加だけを考えて、そうして仮定学級数を割り当てて教職員を出しておる。現実に地方団体では社会増もあるわけであります。つまり都市におきましては、自然増以上の生徒増も起りますし、農村におきましては学校統合の問題も起ってくる、さような問題も考えて、各県々々の具体的な方法を講ずるわけであります。ただ一概にここで統一的な方針をどうこうということは、現実に申し上げることはできないのであります。
  65. 五島虎雄

    ○五島委員 大体それはわかりました。そうすると、この交付金等々を考慮されるときは、現実に地方の一学級当りの生徒数が非常に多くて、他府県よりも多くても、たとえば三万人児童数がふえていったら、それに対して考慮されるわけですね。そうすると実際の問題として、五十九名をたとえば六十一名というふうに、一学級当り生徒数を二人だけふやすというようなことの方針を各都道府県が採用しても減少するという変なことになるわけです。たとえば五十九名をもって一学級当りとして予算を組めば、数百名の人員増が伴わなければならない。しかし一学級当り二名だけ生徒数をふやしたがゆえに、今度は逆に百数十名は減少してもいいという理屈になるわけであります。そうするとその中に教育問題というものは非常に重要だ、それが再建特別措置法の適用を受けたがゆえにこういうような問題があり、あるいは学級数はふやさなければならない実情があるにもかかわらず、こういうような措置が講じられて、そうして学級数はふやさないという現実の地方団体の実情があるとすれば、やはり日本全体の文教関係の面から見ても、非常に重大な問題ではなかろうかと思うわけです。ですからそういうことを考慮して基準等々を立てられたかどうかということを聞いているわけですけれども、現実に地方団体では、再建法適用をめぐって非常に民衆との問題が生じてくるおそれがあるということを私たちは危惧するわけです。ですからこういうようなことを一応聞いて、そして今後の処理の一つの腹構えとしたいがために質問をしておいたのです。  以上で終ります。
  66. 柴田護

    柴田説明員 ちょっと補足いたしますが、ただいま実際の御質問でございますが、実際の問題といたしましては、形式的にここでは義務教育国庫負担金を基礎にして計算をいたしておりますが、実際問題といたしましては、各県では実際の学校につきまして、教職員の状況を把握して、学級数が不足しておるかあるいは十分か、あるいは余っておるかということを見ております。そうしてその個々の学級の状況につきまして増加教員数を定めていくという方法を最近とっております。先ほどお話になりましたように、機械的に仮定学級幾らにして計算するという段階は、数年前のことでありまして、最近ではそういう計算はやっておりません。それから再建計画を立てます場合でも、現実には一応必要な教職員数というものは確保されて、それに見合う  一般財源との関連において必要な教職員数かどうかということが問題になるわけであります。国庫負担金そのものといたしましては、実給与額の半分になっておるわけでありますから、かりに財政計画とずれておっても、いつかはそれが来るわけであります。従いまして実際の再建段階になって参りますと、特に義務教育費というものは、地方団体では基本的な経費でありますから、御心配になるような点はあまりないと考えております。
  67. 大矢省三

    大矢委員長 川村継義君。
  68. 川村継義

    ○川村(継)委員 時間がありませんから、簡単な問題を一つ確かめておきたいと思うのですが、後藤財政部長にお願いします。  自治庁の方でも御存じだと思うのですが、政府が農林省を通じて、農山漁村建設総合対策というようなことで、新しい村の対策を立てて、三十二億か三億、数字は私の記憶に間違いがあるかもわかりませんが、三十二億か三億の予算でやろうとしているのですが、それらの内容を御存じでございますか。
  69. 後藤博

    後藤政府委員 農林省で農村振興計画というものを作りまして、額も大体おっしゃる程度の額だっと思いますが、資金プールをして出していくというような計画があるということを承知しておりますが、その内容は、私どもまだはっきりつかんでおりません。
  70. 川村継義

    ○川村(継)委員 私の申し上げることが間違っておったら、あと一つお調べになって訂正して下さい。今年度政府は今の三十二億か三億を予定いたしまして、三十一年度だけで五百町村を指定する、そして一ヵ町村に六百五十万円見当で、今の計画を遂行させる。ところが六百五十万円というても、このうちの四割、二百六十万円だけを農林省が補助しようというわけですね。これが私の計算ですと大体十三億になるわけです。ところが残りの分の六割、十九億五千万円でありましようか、それは結局指定された町村の持ち出上分になるのじゃないか、こう思うんですよ。今年五百町村を指定し、来年また七百町村、これを五ヵ年計画でやろうというわけですが、こうなると、まあ本年度は五百町歩でありますけれども、市町村の財政上相当大きな問題となってくる、こう考えられるのですが、この点について財政部長はどういうふうに検討しておられるか、お聞かせおき願いたい。
  71. 後藤博

    後藤政府委員 私どもが伺っておりますのでは、新市町村の建設計画の補助が出ますのは、団体にたくさん出ておりまして、農山漁村建設総合対策費という費目じゃないかと思いますが、これは団体補助が大部分でございまして、市町村に直接行く部分はありましても、ごくわずかではないかと考えております。団体補助のものが多いというふうに私ども考えております。
  72. 川村継義

    ○川村(継)委員 私は団体補助であるかどうかはっきりわかりませんけれども、今私が申し上げましたように、農山漁村建設総合対策の中に、いわゆる新しい村の一つの振興対策という意味で六百五十万円出させるわけですよ。一町村当り六百五十万円、そのうちの二百六十万円というのを補助するわけです。そうすると残り三百九十万円というものの出上分がどこから出てくるか。これは結局六百五十万円予定しておりましても、農林省がするのは二百六十万円ですから、三百九十万円市町村の持ち分になる。実際市町村の農村対策をやるのに、では一体農業協同組合から出させるのかどうかということになると、これもおかしなものでして、必ず市町村自体にこれはおいかぶさってくる問題だと見当をつけるわけです。こうなりますと、これはわれわれとしましても、また自治庁としても、このままやすやす見過ごされない大きな問題だと思う。市町村財政に大きな問題がのしかかってきておる。おそらく地方財政計画の中にも、そういうようなことは検討されていないのじゃないか、こういうことを心配するわけですが、そういう点を一つよく聞いておきたいと思うんです。
  73. 後藤博

    後藤政府委員 先ほども申しましたように、団体補助の形式をとって参ります。農業団体に補助する、従って農業団体が負担をする、こういう格好のものが大部分であります。従って市町村には直接は関係がございません。もちろん市町村と農業団体との間で、多少市町村から持ち出す部分があるかもしれませんけれども、一応負担関係はそういうことになっておりますので、われわれの万から見ますと、やはりこれは市町村のワクの外でやるので、財政的にはそういうことが言えると思うのであります。しかしその負担を市町村がある程度かぶっていく可能性はもちろんあるかと思いますけれども、財政計画の上ではそうものは一応見ておりません。
  74. 川村継義

    ○川村(継)委員 われわれの方も一つそれも確かめますけれども、よく調べておいていただきたい。これは市町村にすると少い額ではございません。お願いします。
  75. 中井徳次郎

    ○中井委員 今川村さんがお尋ねになった新農村建設計画、これは現実の問題として全国各地で、一つおれのところは入れてもらわなくちゃということで運動が始まった。突然のお尋ねで、あなた方も十分資料がないことはわかりますが、これはそういう計画を推進されると、地元がどれくらいの金額を負担するのであるか、また市町村との関連はどうか。これは一つ自治庁においてさっそく連絡をしてもらいたい。というのは、この新農村建設計画は、だんだんわれわれが研究してみますと、ここ二、三年来自治庁が鳴りもの入りで大いに宣伝して、議会が超党派的に推進をしました町村合併促進法に対する一つの大きな抵抗運動のような形になって現実に現われている。この点は自治庁としてもっと注意して検討をしていただきたいと思います。と申しまするのは、一市町村単位でやるにかかわらず、あまり大き過ぎるというので、部落単位のそういうものを盛んに考えておる。部落単位でやるということになれば、同一市町村の中で一つの部落だけは数百万円の補助金をもらう、他の部落は全然もらわないというふうなまことに奇妙な結果になるのですよ。今それで方々でもめております。これはもしこういうようなことを政府考えているのであるならば、町村合併促進法に対する大きな問題が起ってきますから、この際自治庁側としては強力に農林省の方に働きかけてもらいたい、こういう意味において、今関連しまして至急計画の実情を調査をして、この次に報告してもらいたい。必要あればわれわれは、農林大臣と自治庁長官二人並べてお尋ねしてみたいと思います。
  76. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと話は違いますが、ことしは財政計画の中に臨時雇いをかなりたくさん、九十億ばかり一応見ておるようだけれども、その臨時の下にもう一つ臨時というのが実際にはある。これがどういう作用をしておるかというと、これの作用がいわゆる失業救済事業費を食ったり何かして一つの大きな問題になっておる。これは地方公務員だけではない。国家公務員の中にもある。ことに建設省、農林省にたくさん持っておる。その身分は従ってはっきりしておらない。手続としては大体職安からきたような手続を一応とって法的ないろいろな処置をのがれようとしておる。実際は三万人も四万人も働いておる。こういうものを財政計画の一面で一体自治庁はどう見ておるか。身分関係あとの問題として、財政計画上これをどう見ておるかということなのだ。臨時については去年の財政計画、ことしの財政計画で多少見てきておるようだけれども、ここまでまだ下りていない。財政計画上のあなた方の見方を一応話してもらいたいと思う。
  77. 後藤博

    後藤政府委員 臨時職員の下にもう一つ臨時があるとおっしゃいますが、おそらく人夫賃ではないかと思いますが、これは投資的経費の中に入っておるわけであります。従ってその計画の中では財政的には見ておるわけであります。これは身分上の問題は別な問題でありますことはおっしゃる通りであります。しかし、コンスタントに投資的経費というものがある自治体におきもしては、そういうものは財政的に見ただけで、ある程度財政的にはそれでよいではないか、こういう考え方をしております。それを身分的にどう臨時職員に持っているか、他のちゃんとした格好に持っていくかということは、別な問題としてあるように私どもは考えております。
  78. 門司亮

    ○門司委員 私もそれはそう考えるんです。身分の問題は公務員法関係の問題で整理すべきであるということであるが、実際問題としては、さっき言ったようにこれが一番下のものから事業計画についてはかなり大きな災いをしておる。だから今の臨時職員の中には、これをだんだん減らしていくという方針で、一般の職員に採用のできる分がある。この分はなかなか一般職員に採用できるものが少い。事実少いが、雇った形というものはさっき言ったような形になっておって、これが事業費の中だけで操作されるということになると、やはりこれが失対費を食っていくという形がだんだん出てくると思う。やはり財政計画の中で、事業費というものの中に見てあるからいいということだけでなくて、多少の人件費を一応見るべきではないかということが考えられる。同時に事業費の中に見るなら、事業費の内訳にどれだけの人件費を見ておるということがやはり考えられておらぬと、この問題の処置がなかなかつかない。小さな都市にはないかもしれませんが、大都市ではどこでも一つの大きな悩みになっておると思う。だから、今のところ何もなければ何もないでよいのだが、ここでもう一つ突っ込んで聞いておきたいことは、財政計画の上でそういうことが考えられるかどうか。
  79. 後藤博

    後藤政府委員 事業費のうちで労務雑費的なものを抜き出して、それを給与費にはっきり出していくということは、これは事業によって非常に違って参りますから、財政計画の上でそれを明確にするのは不可能ではないかと考えます。     —————————————
  80. 大矢省三

    大矢委員長 それではこの際理事補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち、理事でありました永田亮一君が去る九日一たん委員辞任せられましたため、理事が一名欠員になっておりますので、この補欠選任を行わなければなりませんが、この指名は先例に従って委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、理事は従前通り永田亮一君を御指名いたします。  次に、小委員補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち、地方税法改正に関する小委員でありました福井順一君が去る九日委員辞任せられました結果、小委員が一名欠員になっております。この補欠選任をしなければなりませんが、これを委員長より指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 大矢省三

    大矢委員長 御異議がなければ、委員長より纐纈彌三君を小委員に御指名をいたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十八分散会