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1956-02-20 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十日(月曜日)    午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎 秀二君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    灘尾 弘吉君       丹羽 兵助君    森   清君       山中 貞則君    加賀田 進君       勝間田清一君    川村 継義君       中村 高一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         参  考  人         (神奈川県副知         事)      矢柴 信雄君         参  考  人         (横浜市第一助         役)      田中 省吾君         参  考  人         (日本体育協会         国内部長)   吉田  清君         参  考  人         (日本体育協会         専務理事)   東  俊郎君         参  考  人         (日本水泳連盟         会長)     田畑 政治君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月十七日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として北  山愛郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員小澤佐重喜君及び坂本泰良辞任につき、  その補欠として川崎秀二君及び勝間田清一君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  地方公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五四号)(予) 同月十八日  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律案内閣提出第六四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四四号)  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律案内閣提出第六四号)  国体開催地方財政に及ぼす影響について参考  人より意見聴取     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対して質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 質疑がなければ、これにて質疑は打ち切りたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければ、これにて本案質疑は終局いたしました。  次に討論に移りまするが、別に討論の通告もございませんので、討論は省略して、直ちに採決いたしたいと思います。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君起立を求めます。   〔総員起立
  5. 大矢省三

    大矢委員長 起立総員。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 大矢省三

    大矢委員長 次に一昨十八日国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案が本委員会に付託されましたので、本案議題といたし、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。早川政務次官
  8. 早川崇

    早川政府委員 ただいま議題に供されました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  この法律案は、国または地方公共団体が、その所有する固定資産のうち貸付け資産国有林野及び発電施設について国有資産等所在市町村交付金を、また日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社のいわゆる三公社がその所有する固定資産のうち固定資産税を課せられないものについて公社有資産所在市町村納付金を、それぞれ当該固定資産所在市町村に対して交付し、または納付することとする制度を創設しようとするものであります。御承知のように、現行の地方税制のもとにおきましては、国及び地方公共団体の所有する固定資産に対しては全面的に固定資産税が課せられず、また三公社の所有する固定資産のうちほとんどその大部分を占める直接その本来の事業の用に供するものについては、固定資産税が課せられておらないのであります。しかしながら、これらの固定資産といえども当該資産所在市町村の消防、道路、その他の施設から受益していることは、現に固定資産税の課せられている他の固定資産と同様でもありますので、一面には自主財源の増強を必要としている地方財政の現況にかんがみ、他面には、他の同種固定資産との間に負担均衡を保持していく必要があることにかんがみ、これらの資産についても当該資産所在市町村に対し、相当負担を求めることといたしますことはやむを得ないところと考えるのであります。  しかしながら、国や他の地方公共団体市町村との関係を考慮いたしますならば、直ちに固定資産課税の形式をとることもいかがかと思われますので、固定資産税に準じて計算した額を国等から資産所在市町村に対し交付金として交付することにするのが適当であると考えたのであります。三公社につきましても、その沿革及び現在の性格等から国の場合に準ずることといたしたのでありますが、多少公租公課のにおいを強くするため、交付金の用語によらないで、納付金と称することといたしたのであります。  これらの問題につきましては、すでに旧臘地方制度調査会及び臨時税制調査会から国または地方公共団体が所有する固定資産について納付金制度を創設しあるいは三公社の所有する固定資産に対し、全面的に固定資産税を課すべき旨答申されておりますので、その答申の趣旨を尊重し、以上申し述べました考え方に立脚して、この制度を創設することとしたのであります。  以上がこの法律案提案する理由であります。  次にこの法律案内容について概略説明いたします。  この法律案内容は、前にも申しましたように、国または地方公共団体の所有する固定資産にかかわる国有資産等所在市町村交付金及び都道府県交付金と、公社が所有する同定資産にかかわる公社有資産所在市町村納付金及び都道府県納付金に大別されます。  まず第一に、国有資産等所在市町村交付金は、国または、地方公共団体が、その所有する固定資産のうち公用または公共用等に供していない資産で、一、当該国または地方公共団体以外のものに使用させている固定資産、二、国有林野に係る土地、三、発電所変電所または送電施設の用に供する固定資産につきまして、当該固定資産交付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を交付金額として当該固定資産所在市町村交付するものでありまして、その収入見込額昭和三十一年度におきましては、十一像二千八百万円であります。交付金算定標準額固定資産価格によることとし、その固定資産価格は、原則として、国有財産台帳または地方公共団体財産台帳に記載された価格によるものといたしております。しかしこの台帳価格当該固定資産に類似する固定資産固定資産税を課されるものにかかわる固定資産税課税標準基礎となるべき価格と著しく異なると認める場合におきましては、当該固定資産を管理する各省各庁の長または地方公共団体の長にあっては、台帳価格と異なる価格資産所在地市町村長交付金算定標準額基礎とすべき価格として通知することができ、また、資産所在地市町村長にあっては、各省各庁の長または地方公共団体の長に対し台帳価格と異なる価格交付金算定標準額基礎とすべき価格として通知すべき旨を申し出ることができることとしております。  なお、住宅用土地及び家屋につきましては住宅建設に対する国の補助政策をも考慮して右の価格の十分の四(政令で定める住宅については十分の二)の額とし、発電所変電所または送電施設の用に供する固定資産につきましては、固定資産税を課される同種固定資産との均衡及び公営発電事業における多目的ダム特殊性等にかんがみまして、固定資産税において設けられている課税標準特例措置と同様の方法によって算定した額の二分の一の額とすることといたしているのであります。乗率の百分の一・四は固定資産税標準税率として定められている率によっております。  なお、国が所有する固定資産のうち他に使用させているものにかかわる昭和三十一年度分及び昭和三十二年度分の交付金額の計算につきましては、これらの国有資産についての再評価が、いまだ実施されていない事実等にかんがみ若干の特例措置を定めております。  次に、公社有資産所在市町村納付金は、三公社がその所有する固定資産のうち固定資産税を課せられないものにつきまして納付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を納付金額として当該固定資産所在市町村に対して納付するものでありまして、この収入見込額は、昭和三十一年度においては、四十六億四千四百万円、平年度においては、九十二億八千八百万円であります。  納付金額算定基礎となる価格は、固定資産価格によることといたしておりますが、その固定資産価格は、自治庁長官が、固定資産評価基準に準じて評価を行なって決定した価格総理府令で定めるところによって関係市町村に配分したものによることといたしております。  納付金算定標準額は、公社がその公共的性格からあえて非採算路線を建設維持している等の事情もありますし、かつ、負担の急激な増高は緩和する必要もありますので、当該価格の初年度四分の一、平年度二分の一の額をとることとしております。  乗率の百分の一・四は交付金の場合と同様に固定資産税標準税率として定められている率によっているのであります。  なお各省各庁の長が管理し、または一つ地方公共団体若しくは一つ公社が所有する償却資産地方税法における大規模償却資産相当するものにつきましては、固定資産税における大規模償却資産特例に準じ、一定限度を越える額につきましては、当該市町村を包括する都道府県国有資産等所在都道府県交付金交付し、または都道府県納付金納付することといたしているのであります。  さらに、交付金交付方法または納付金納付方法につきましては、市町村交付金額または納付金額算定し、これを記載した交付金交付請求書または納付金納額告知書各省各庁の長もしくは地方公共団体の長に、または、公社に送付して交付金交付または納付金納付を求めることといたしております。  以上が国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案提案理由及び内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法律案の成立をみますようお願いいたす次第であります。
  9. 大矢省三

    大矢委員長 本日は説明聴取にとどめ、質疑は後日に譲りたいと思います。     —————————————
  10. 大矢省三

    大矢委員長 これより国体開催地方財政に及ぼす影響について参考人より意見を聴取いたします。  本日御出席を願いました参考人は、諸君の手元に配付いたしました名簿の方々でございます。参考人の皆さんに一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ本委員会のために御出席下さいましてありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  なお参考のために申し上げますが、まず参考人方々によりごく簡潔にそれぞれ御説明を願い、その後に委員諸君より質疑を行うことにいたしたいと思います。  それでは日本体育協会専務理事東俊郎さん。
  11. 東俊郎

    東参考人 国民体育大会昭和二十一年から毎年行われまして、去年第十回を終りまして、本年第十一回を兵庫県でいたすということになっております。最初は関西で行いましたが、その後石川県になりまして、この間国家の方から大体四十万円の補助金をいただきまして、それを主催者としての体育協会が、地方国体運営並びに中央におけるその準備運営の費用に充てて参ったのでありますが、ちょうど石川県で第二回をやりましたときに、そのあと各県で国体開催要望が非常にありまして、各県が自分の方でやりたいということで一つの競争の状態になりました。それで体育協会といたしましては、各県の実情を調査いたしまして、その次の回、その次の回をきめるようにして参ったのでありますが、回を重ねるに従って、その開催希望県が多くなりましたので、遂にブロック別にやるということで九ブロックをきめまして、その九ブロックでやって参りました。これが第九回の北海道をもって一回りしたのでありますが、その前からさらに地方持ち回りをやるべきであるという全体的の地方の御意見でありまして、第十回以後はこれを六ブロックに分けまして、そのブロック間で調整していただいて開催希望県をきめる、そういうふうな申し合せになりまして、一昨年から第十回以後の開催県をきめたわけであります。今日まで各県の要望が強く、すでに第十回から十六回まで、つまり六地方ブロックが全部自分の方でやりたいということを地方ブロック会議においてきめられまして、予算書その他計画書提出されまして、国民体育大会委員会というのがございますが、これは各県から代表者が一人ずつ出ております。それと三十二の競技団体代表者と集まりまして、そこでいろいろ審議いたしまして、適当な県をきめる。すでに第十六回まで、一応体育協会側としてはやれるならそこでやりたいということを昨年内定いたしておる次第でございます。昨年の九月に自治庁の方から地方財政赤字解消の問題にからみまして、この国民体育大会地方財政に非常に負担をかけるということで、これは一応地方財政が建て直るまでは見合せたらどうかというような川島自治庁長官お話がありました。それにつきまして私たちは、すでに各県の方においてこういうふうなことも勘案して、自分の方でやりたいということをきめておる。この際われわれが地方財政赤字というものを十分に考えまして、なおかつ各県の負担能力があるならば、やはりこの線を私たちとしては持っていきたい。地方持ち回り意義というものを私たちは非常に大きく買っておりますので、これを続行していきたいということを申し上げました。  そこで十月に自治庁長官と時の文部大臣厚生大臣と私たちとが集まりまして、いかにすれば地方持ち回りが可能であるか、果して地方持ち回りをやるのがいいかどうかということを徹底的にお話し合いをいたしまして、その結論といたしまして、当時新聞紙上にも伝わりました申し合せ事項をきめたのであります。それで地方持ち回りはやはり原則としてやる方がいい。しかしながら地方財政というものを勘案して、十分財政的にこの影響を練って、そうして負担能力ありと認めたところならやらすということでもう一ぺん検討する。ただし兵庫県と静岡県はすでに準備も進んでおる、従ってここでは今直ちにやめるということよりも、これは既定方針通りやらしたらいい。富山県以降につきましては、もう一ぺん計画検討して、文部省と自治庁と十分折衝せられてやる。原則として地方持ち回りは第十六回までは、六ブロックできめただけはやっていこうこいうふうなことになったのであります。その後本年一月になりまして、閣議で地方持ち回りは現在の状態においては無理である、兵庫県はもうきまっており、すでに準備も進んでおるかち、兵庫県はやるとして、静岡以降はこれを取りやめたらよい、こういうようなお話になったので、私たちといたしましては、すでに静岡は十月のときの申し合せで大体やるということをきめて、地元もその線に進んでおりますし、すでに七割以上の施設はできてきておる、すでに実際のこの具体的の開催準備に入っておる、従って静岡まではそのときの申し合せもあるのだから、これは私たちとしてはやりたい、それ以降についてはあのときの申し合せ通り、もう一度この予算について十分な審議をいたしまして、できるものならその既定方針でやっていきたい、こういうふうな考え方で現在おるわけなのであります。問題となる地方財政の点につきましては、もちろんこれは地方財政の方に十分な責任もありますし、またお考えもあることと存じます。私たちといたしましては、できるだけ現在の事情から考えまして、財政上の負担をかけないでこの問題が解決するような工合にその計画書をさらに検討いたしまして、むだな施設あるいは将来あまり利用価値のないような施設、無理にこしらえなければならないような施設はこれを取りやめて、現在の施設、それを幾分か拡充するなり、あるいは将来その地方において十分に活用できるようなもの、たとえば学校施設だとか、あるいは地方公共団体施設、こういうふうなものを十分活用いたしまして、各競技団体ともお互いに自粛して、この国民体育大会を続行していきたい。そして地方でやることによりまして、地方で初めてこういうふうな正しい競技を見る機会を与えるということは、将来その地方人々スポーツというものを理解さす、また身近かに見させてスポーツを行う機会を与える、こういうふうな意味で、また一方国民体育大会というものは、国民的、全国的な行事で、そういうことがなければほとんど何もこない地方に与えますことは、全体的、精神的の面からいいましても、また健民運動と申しますか、その地方スポーツ振興に対しても非常にいい影響を与える。これは今日まで十回の経験で私たちは十分信じておりますので、この際地方持ち回りということ、これを地方財政とにらみ合せて可能な限りにおいて行うということを一切に念願しておるわけであります。  大体そういうふうな事情で今日参っておりますので、この委員会でお取り上げ下さいましたにつきましては、十分一つ審議下さいまして、地方財政の今後の再検討、そして並行して国民体育スポーツ振興とが達成いたされますように御審議願えれば非常に幸いと存じます。
  12. 亀山孝一

    亀山委員 全参考人の御意見を逐次伺うべきだと思いますが、たまたまその結論東参考人からお話がありましたので、質問をしつつ、いろいろ御意見を伺いたいと思います。国民体育大会国民の団結と独立の精神を大いに振興して、愛国の情熱を振起しておるということは、ただいま拝見いたしました体育協会側のパンフレットでもよくわかるところでありますが、その体育大会がすでに昭和二十一年から十回の回を重ねて今後とも大いに各地方持ち回りをせられようという折から、たまたま地方財政の窮迫のために先般、昨年十月十二日の申し合せとなったと思うのでございますが、その申し合せの点につきまして一応自治庁当局からどういう御趣旨なのかはっきりと一つお伺いしたいと思います。もしおわかりにならなければ大体のお考えでもけっこうでありますが、一つお伺いしたいと思います。
  13. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。昨年の秋の申し合せにつきましては先ほど東先生からおっしゃいましたような経緯でもって、昨年度状態におきまして地方財政の観点からいろいろお願いをいたしまして、ああいう申し合せになったのでありまして、おっしゃいましたことは大体私どもも承知いたしております。
  14. 亀山孝一

    亀山委員 あの申し合せを読んでみますと、「国体の成果が国民に浸透しつつある実績から今まで通り毎年開くことにし地方財政との調和をはかるため次の通り申し合せた。一、国体は従来通り毎年実施する。二、開催場所は当分の間地方持ち回りとする。三、開催地財政負担能力を考慮するが、三十二年度までは既定方針通りとするが、三十三年度以降はさらに実施計画検討の上最終決定する。四、経費節約を主眼とし、種目、設備について再検討する。五、国庫補助を増額する。」右申し合せに出席された方々松村文部大臣川島自治庁長官及び川崎厚生大臣、これに体育協会の本日の東参考人及び田畑参考人でございますが、それをさらにこの一月に変えられたというのは、今後藤政府委員は、その当時の地方財政によるということでございますが、現在の地方財政からお考えになりまして、どうこの申し合せをお考えになりますか、一応お伺いしたい。
  15. 後藤博

    後藤政府委員 昨年の年度半ばの状況でありますれば、私は財源のある程度豊富な団体におきましては赤字が出ないのではないかという見通しは、ある程度持っておったのであります。ところが現実に昨年の終りになって参りますと、われわれが相当財源があると思っておりました団体においてすら、赤字を出さざるを得ないような状況になってきましたので、客観情勢が非常に変ってきたということが言えるかと思います。具体的な例をあげますと、静岡県の場合にいたしましても、昨年度の当初におきましては私は赤字がそう出ない、こう考えておったのであります。従来出ておりません。二十九年度の決算を見ましても大した実質的な赤じゃありませんので、私はこれは三十年度において返せると考えておったのであります。ところがその後の経過を見ますと、現在の状況から見ますれば、相当赤字が出そうだということになってくるのではないかと考えております。それからたとえば大阪にいたしましても、福岡にいたしましても、財政力のある団体がすでに赤字の方に転して参る可能性があるのであります。大阪は警察が動きました関係上非常に苦しくなって参ります。福岡も災害その他の関係からことしも赤字を出さないように努力しておりますが、少しぐらい赤字が出はしないか、かような心配をいたしておりまして、私どもといたしましては、地方持ち回りが絶対にいかぬという立場はとりたくないしまたそういう立場ではないのでありますから、やることはやってもよろしいが、しばらく休んでもらいたいいとうふう考えておったのであります。その際に多少富裕な団体におきましては可能性があるのではないかというふうに考えておりましたが、それが今申しましたような状況でもって、全体的に財政が苦しくなってきたというところから、本年度は当分休んでいただくようにお願いしたい、こういうふうな希望を持っておったのであります。
  16. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま後藤政府委員の御説明で大体は了承いたしましたが、いずれ他の参考人にお伺いして、最後に太田自治庁長官からこの問題に関するはっきりした御見解をあとでお伺いいたします。そこで東参考人もしくは田畑参考人どちらでもけっこうですが、国民体育大会地方持ち回り意義及びこれがどのくらい一般国民に非常にいい影響を与えているかという問題を、一つ拝聴いたしたいと思います。
  17. 東俊郎

    東参考人 今地方持ち回り意義についてお尋ねがございましたが、これは数字でどうこうというふうにはっきりしたことは申し上げられない性質のものだろうと存じますが、私たち考えておりますのは、地方でこれを行うということは、一つはそうでなくても現在のところ学校施設にしろ地方体育というものに関する施設は非常に貧弱である、そのためにスポーツあるいは体育運動を行いたいという人々が、十分な施設がないために行えない、そういうふうな現状にかんがみまして、地方に少しでも体育施設を残したい、それを機会学校運動場あるいは体育館というものが補修され、改修されあるいは一部拡張される、そうしてその後それが学生生徒に十分に使われるというような一つのきっかけを作りたい、こういうふうなことが一つの念願であります。もう一つスポーツあるいは体育を行います場合に、指導者というものが非常に必要である。正しく体育的にスポーツあるいは運動を取り上げる場合に、やはり正しい指導者がなければその効果はなかなか上らない、また精神的の教導もできない、こういうふうな意味で地方体育指導者あるいは体育を率先してやる人々を少しでも多く作りたい、このためには地方へ持っていきまして、その機会にそういうふうな人々を養成するために講習をいたしまして、審判なりあるいはその他の技術の指導者を養成する、その人ともとをその土地へ植え付けていくということが将来の日本のスポーツ振興に非常に役立つ、こういうふうなつもりで地方持ち回り考えたのであります。もう一つは東京でこれを毎年やるといたしますと、東京の人々競技にいたしましても最高度のものしか興味を持たない。国民体育大会はむしろ国民大衆全体の層を目当てにやっておりますので、必ずしも選手権のような内容のものではございません。むしろ大衆的な運動でございます。しかしながらやっておる形は競技であります。そういうふうな意味で、もしも東京で毎年やりますと、そういう競技は東京の人は見なくてもいい非常に恵まれた環境にあるのであります。それでむしろ恵まれない環境、そして非常に貧弱であり、やろうと思ってもその施設がなかったところに、これを機会にということの方がいいのではないか、こういうつもりで第二回以後地方持ち回り、そしてそれは地方施設を植え付けるということを大きく掲げてやってきたのであります。そういうふうな意味で私たち地方持ち回りまして、施設並びに人的資材を全国に植え付けるということ。もう一つ地方でやりますと、その地方々々の体育行政の面から言いまして、これをきっかけに地方民に一それは昨年神奈川でもやりましたような全県民運動を企画する、あるいはそのほかの県におきましてもこれを機会に健康保険の面でいろいろな催しをやる、これを全面的な一つの催しにつけ加えるということで運動の推進をしておられる、こういうふうなことが一体になりまして行われるということは、地方持ち回りの場合に非常にやりやすいし、また効果的である。地方でこういうことをやりますと、普通一般には自分たちの届かないところにこういうスポーツがあると思っておられた村の青年あるいは工場の労務者が、これを機会に非常に身近に考えてやっていく、これは現に各競技団体でそういう実例を持っております。そういうふうな意味で、すべてそういう精神なり運動を植え付けていくという意味におきまして、この地方持ち回りが非常に私は有効な効果をあげておる、こういうふうに考えております。
  18. 亀山孝一

    亀山委員 ただいまいい方面のお話でありましたが、私どもが耳にいたしますのは、どうも国民体育大会は金がかかり過ぎるという非難が第一点。それから第二点は、国民は今非常に貧乏していて、その日の生活に追われておるのに、スポーツ人のみが遊びごとをしておるのではないかという感じを与えておるということが第二点、それから第三は、せっかく国民体育大会施設ができても、その使用したあとの管理問題があまりよくない。ことにあれだけの莫大な費用をかけて作った競技場が、あくびをしておるというような現状だからむだではないか、こういうような非難があるのでありますが、これにつきまして、東参考人もしくは田畑参考人、いずれからでも一つお答えを願いたい。
  19. 東俊郎

    東参考人 今の国が困っておる、人民が貧乏しておる、それにこういうことをやるのはどうかということでございましたが、私たち考えといたしましては、決してぜいたくなことを望んでおるのじゃない。国民はすべてやはり学問もしなくちゃならぬ、食事もしなくちゃならぬ、住うことも住わなくちゃならぬ、働くことも働かなくちゃならぬ。しかし根底に横たわっておるところの国民の健康というものを考えますときに、たとい幾ら貧乏しておっても、その耐えられる範囲において、スポーツ振興ということは当然行うべきものではないか。私たちスポーツ関係しております者は、そういうふうな意味合いで、その貧度に応じたスポーツの奨励ということをやっていきたい。そういうふうなつもりで、国民体用大会もできるだけ質素にやっていきたいということを考えております。最初はいろいろな点で非常に勃興してくるようなつもりで、はでにもなって参りましたし、われわれから見ましても、行き過ぎというような点もありましたが、一昨年あたりから、そういう点につきましては、十分私たちとしても注意しております。まだ行き届かない点もありますが、こういうことにつきましては十分今後も心がけていきたい、こういうふうに思います。  それからこれが単なる一部の人間の遊びではないか。これはスポーツ全般にわたって、たえず聞く批判であります。そういう批判をなくしたいために地方持ち回りをやって、そしてことに市町村単位で予選をやりまして、それから漸次全県下の予選をやって選手を選ぶ。つまり選手になるものは一部分の選ばれたものかもしれないけれども、それを選ぶ層というものは、普通の競技団体が普通の選手権大会でやっておるものと違って、市町村単位でできるものはできるだけ市町村単位でやってもらいたい、また教員は教員の組でやってもらいたい、一般社会人は一般社会人の組でやってもらいたい。大学生は、これはほかに機会がありますので、国民体育大会には大学生としては出ないということを考えてやっております、できるだけ広く層を広めたい。そういうふうなつもりでやっておりまして、一部の者のなぐさみでなくして、国民全体のなぐさみである。こういうふうな方針を、私たちは持っておりますし、将来強く持っていきたい、こういうふうに思っております。なお施設のことでございますが、確かに施設のうちには、今までの施設で膨大過ぎて、あと管理上もてあましておるというところはございます。私たちも十分それは存じております。しかしその施設でございますが、これは結局いわばその県が国体開催する場合に、当然将来その施設がその県の地元において有用に使い得るという確信のもとに、これをやられたものではなかろうか。それがいろいろな関係で膨大になっていったということが二、三考えられるのでありますが、私たちといたしましては、計画のときに、その国民体育大会をやるときにできた施設は、将来のその地元の体育施設として、あるいはほかの文化活動の拠点として、それが十分に管理され運営されることを望んでおるのでありまして、今後もこの点につきましては十分考えて、そういうふうな将来遊休な、あるいはペンペン草のはえるような、そういうふうな膨大な、もてあますような施設は作りたくない。そういうものがなくても、競技団体はその地方に当てはまった状況のもとにやっていきたい。競技団体の方が自粛いたしまして、それを十分に生かしていきたい、こういうふりなつもりでおります。これは管理の問題でありまして、県の方も、今後やられる県としては、その後の管理については十分考えていただきたいということを再三申しておる次第であります。
  20. 大矢省三

    大矢委員長 亀山君に申しますが、一応参考人意見を聴取したあとでそれぞれ皆さんからあると思いますが……。
  21. 亀山孝一

    亀山委員 それはけっこうだと思いますが、大体は今の東参考人の御説を中心にして、各参考人にお伺いしたい。特に神奈川県副知事及び横浜市の助役には、昨年の御体験から、いろいろ御質問申し上げたいと思うのです。お許し願いたいと思います。
  22. 大矢省三

    大矢委員長 まあ、一ぺん全部やって……。
  23. 亀山孝一

    亀山委員 大体総則は同じなんです。それをこっちから聞きながらやれば、あとで私が質問するのを省略しますし、簡単にやりますから……。今の東参考人お話、大体わかりましたが、これにつけ加えていただくという意味で、ことに水泳の方に多年功績あられます田畑参考人から、そういう方面からのこの問題に対する御所見をお伺いしたいと思います。
  24. 田畑政治

    田畑参考人 一つ今のことの全く補足でありますけれども、東京でやったらいいじゃないかということ、これは一応外から見ておる者は、そういうふうにお感じになることはもっともだと思うのでありますけれども、今の日本におきまして、東京でやって、金の問題を離れて、一般民衆の関心を競技に集め得るものは水泳しかないのであります。水泳だけは選手権大会というものを東京でやり、インター・ハイというものを東京でやりまして、これで満員の人が来ます。しかし日本で一番普及されています陸上競技でさえ、選手権大会を東京でやっては人が見に来ないのであります。またインター・ハイもそうなんであります。ということは、水泳以外のものは、陸上もまだ戦前までレベルが達していないので、東京でやるというが、東京でなんかやってみても——新聞なんかを見まして、世界で一番高いところがみんなの頭の中にあって、世界記録を破るというならば、東京で選手権大会をやるということに対する一般的関心も高まるかもしれませんけれども、今の現状は、今申し上げましたように、一番歴史の多い陸上でさえ、東京でやってはだめなんで、全国を持ち回っておる。そうしながらだんだん地方から盛り上げていこうというのが今の現状であります。ここにいらっしゃる唐澤さんも御存じでありますけれども、われわれが戦前神宮競技大会というものをやったのであります。これは全然入場料をとりませんでした。だから入場料という頭は全然なくてずっとやっていったのでありますけれども、初めの二、三年は、あの神宮大会ができて無料でやりましたので、非常に関心も多いし、人も入ったのでありますけれども、その後無料でやっておるにかかわらず神宮大会はだんだんさびれまして、地方の青年は郷土を代表してくるのだと張り切ってきながら、出てきて、その競技場にいる者は自分たちだけというように、だんだん出てくる意欲も、また選手を送る意欲もなくなりまして、これは何かのチャンスに神宮大会というものをやめなくちゃならぬか、あるいはやりかえなくちゃならぬかということになっておるときに、戦争がありまして、これが幸いにして、そういう醜態を出さないうちにやめざるを得なくなったのであります。おそらく東京で国民体育大会をやったら、この前の神宮大会と同じように、結局初め一年くらいは行くかもわかりませんけれどもあとは見る人もなくて、地方から出てきた人たち競技場で自分たちだけ競技をやるというふうで、何の感激も持たなくて、国へ帰るということになるのじゃないかと思うのであります。そういう意味では、どうしても地方で持ち回ってやっていって、地方全国からの人たちの熱を盛り上げていく、もしくはスポーツが甘い良薬であるならば——これが道楽であって、これがつまらぬというなら別でありますけれどもスポーツ振興というものが国のためにもいいというならば、少くとも現在においては、地方持ち回りというものを除いては、今の国民体育大会意義はないと思うのであります。  もう一つの皆様方と私たち考え方の違いは、膨大な競技場を作ってあとは使いものにならぬというのでは作る方が悪い。少くとも競技場やプールを作るのであったならば、これが図書館とか教室と同じように扱われる必要はありませんが、公園ないし皆のレクリエーション・センターになるくらいの気持で維持費は出してやる。作りっぱなしにして作った金を返すというならば、これはプロ・スポーツで、スポーツ振興のために作るならば、それまである程度の維持費というものは考えて下さらなくては無理だと思います。ただ作りっぱなしにしておいて、これは利用価値がないじゃないかというのでは無理で、それが一つの教場の延長として、従ってある程度の維持費を入れて見ていただくようにしていただかないと、後楽園のように五年間で償却したと同じように、国民体育大会施設にこれを要求することは無理だと思います。そういうことで私は、今の場合において、スポーツというものを振興するということは、少しでもお国のためになるならば、どうしても地方持ち回りをやる以外には、有効な方法はないというふうに確信しているものであります。
  25. 亀山孝一

    亀山委員 ところで、今まで国体持ち回りにつきましては、いろいろこれに要します費用が問題になって、これが地方財政を圧迫するというような問題になったのでございますが、これにつきまして国内部長吉田参考人から、一つ国民体育大会の費用の問題、ことに負担の問題等を御説明願いたいと思います。
  26. 吉田清

    吉田参考人 経費がどのくらいかかるかということにつきまして、これだけかかるということはその地方の実情でいろいろございますので、きまった数字を申し上げることはきわめて困難な状況でございます。しかし大体の見当をつけるという意味から、昭和三十四年度、第十四回の大会を希望し、また内定しております熊本県の経費につきまして簡単に御説明させていただきます。もちろんこれから申し上げます数字は、熊本県から出ました数字でございまして、この数字はまたいよいよ開催を決定いたします前に、あらかじめ必要なものと削除すべきものにつきましてよく協議しなければならないという前提のもとでございます。  熊本県の場合は、全総額二億七千万円というのを計上しております。そのうち施設に要する費用が約一億八千万円、運営費用がその残りの九千万円ということになっております。そこでこの施設の費用の一億八千万円というものは、一体何に使うのだろうという内容を見てみますと、一番大きいのは熊本市と水俣市と山鹿市に公民館を作ってその公民館を体育館に兼用して、保健体育振興と公民的な利用に供するということで、それが両方合せますと七千四百万円になります。そういう費用のほかに、さらに学校施設として使う費用を中身をよく見てみますと、全体で熊本県で三十種目ばかりの競技をやりますと約四十カ所を使います。その四十カ所のうち半分の二十カ所は学校のグラウンド、学校体育館を使うのであります。従いましてそれを使うに当ってそのまま使えるところと幾らか補修をしなければならないところもございます。これらの費用が約五千五百万円ほどになっております。そのほか。プールを新設する費用二千六百万円、それから山小屋を作ったり、ボートのコースとして電力のダムを使う費用があるわけでございまして、すべてで一億八千万円になりますが、このうち国体が来ようと来まいと、学校の補修をしなければならない五千五百万円を別に考えますと、一億二千五百万円という費用になって参ります。この一億二千五百万円のうち、市の施設として計画してる公民館、それを差し引きますと、結局ほんとうに国体の費用として要る金は約五千万円となって参ります。しかも熊本ではそれを四カ年をもってこれから準備していこうというわけでございます。算術でこれをやっては無理な点がありますが、一応の御参考までにそれを四カ年計画でやるといたしますと、ほんとうに国体の要る費用は一千二百万円、それからこれを一市でやるのではありませんで、県下全体の市、熊本の予定しておりますところは八市ございますが、それで分担いたしますと、平均百五十万円程度になって参ります。もちろん今のは施設費でございまして、これに運営費が約八千万円か九千万円か見積ってあるわけでございます。これらにつきましても、中味をよく県側と相談いたしますと、もう少し減少し得るものだと信じているようなわけであります。
  27. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま吉田参考人の御説明で一応見当はつきましたが、この費用の問題で、とかく国体が悪口を言われるのは、私にははっきりしませんけれども、入場料か何か一千万円程度地方から吸い上げているというような非難があるのでありますが、その点はどういう事情でありますか、吉田参考人からちょっと伺いたい。
  28. 吉田清

    吉田参考人 この点は第一回を開きますときから一応申し上げた方がよくはないかと思っております。第一回を近畿地方で開きましたときは、政府の補助金もなく、昭和二十一年の混乱の際でありましたので、会場自体が寄付金を募集し、さらに体協に国家から維持費として補助されておりました四千万円のうちからこれをさきまして、近畿地方で第一回の大会を開いたわけであります。第二回、第三回から、これに対しまして補助金が参りました。ところが昭和二十三年だったかと思いますが、憲法の条項から団体補助金を出すことはできないということになりまして、今まで体協の方に直接受けておりましたものを、国体開催する委託費ということで、昭和二十二年の第二回には百万円、二十三年は二百五十万円、二十四年は四百万円、二十五年は八百万円、二十六年は八百五十五万円、二十七年は八百七万五千円、二十八年は六百七十二万九千円、第九回の二十九年度は六百三万円、昨年は五百三十万円、そういう費用が国からきております。全部体協の補助金というものをやめて国体のためにやるということになりますと、体協の維持費というものが一面窮迫を生じて参りますので、これは各開催県で全部使ってよろしい、しかし大会に伴う入場料というものがありますから、その入場料のうちから、そういう意味でこちらへさいてほしいということで、大体補助金程度の内容のものを、こちらへ納めていただいておったような実情でございます。ただいまの質問に対して以上お答えいたします。
  29. 亀山孝一

    亀山委員 そこで次に昨年国体をやられました神奈川県及び横浜市の方から、昨年の御体験から、この国体に要した費用あるいはそれに対する御意見を伺いたいと思いますし、われわれが耳にするのは国体機会に便乗的施設予算相当あるやにも聞きますので、そういう点もお触れを願いまして一つ説明を願いたいと思います。まず矢柴参考人から一つ
  30. 大矢省三

    大矢委員長 それでは神奈川県の副知事の矢柴参考人
  31. 矢柴信雄

    矢柴参考人 ただいま御質問のございました神奈川県におきます国民体育大会開催に要しました経費でございますが、その内容は、運営費におきまして一億三千万円強、それから施設費におきまして六億八千三百万円強、合せまして八億一千六百九十万円、こういった金額に相なっております。ただいまの金額は、たとえば入場料でありますとか、あるいは講演会収入でありますとか、あるいは国体開催のために馬を買いましたり、ボートを買いましたりいたしました、それを、済みますと売っ払ってしまうわけでありますが、そういうものを差し引きました大体純支出という形に相なっております。このうちで一番大きなものは施設費でございますが、六億八千三百五十三万円というきわめて大きな施設費が使われておるのであります。これはそのうち県が支出いたしましたものが二億五千六百万円、市町村の出しましたものが四億二千七百万円というような金額でございます。これでどういうことをいたしましたかと申しますると、体育館を五個所、プールを一個所、陸上競技場を五個所、ホッケー、ラクビー、テニス・コート、それらのコートを数個所、それからヨット・ハウス並びにボート・レース用の艇庫の新設一個所、その他県下全面にわたりまして四十九の会場がございましたが、それらの場所におきますそれぞれの整備というようなものに使われておる次第でございます。このうちでやはり一番大きくかかっておりますのが体育館でございます。体育館に要しました金額というのは、概算でございますが約三億であります。それからプールに使いました金額が約七千万円であります。その他ともかく各方面に使っておるという内容に相なっております。神奈川県の場合におきまして体育館の施設等に非常にたくさん金がかかっておるのでありますが、私ども率直に申し上げまして、通常の県におきまして国民体育大会開催だけのためならば、これだけの施設は必要ないと思います。また必要ないようにしていただかねばならぬし、できると思うのであります。神奈川県の場合におきましてこういうふうに多くの体育館ができましたということは、実は神奈川県の特殊性からきておるのでございまして、たとえば川崎市でございますが、人口四十五万もございまして、昔ながらに約六百人くらい収容できる木造の場末の映画館程度のもの——というと怒られるかもしれませんが、そういう公民館が一つあるだけなのであります。あれだけの近代都市でありまして公会堂もなければ大ぜい集会する場所もない、体育施設もない、こういうことでございまして、これは非常に熱望をいたしまして、実は川崎の、このうちで約一億二千万円かけました非常に大きな施設でございますが、これは国民体育大会には練習用に役に立っただけでありまして、実際にでき上るのは、多分このごろでき上る程度だろうと思います。そういうものは、地元の非常な熱意によって作られたものであります。これはもちろん県が三分の一補助をいたしておるのであります。  同様のことが横須賀市でもいえるのであります。今回の大会で作りました体育館以外に、人口二十七万ございます横須賀市に、公会堂もなければ公民館もなかった、こういう状況であったのであります。さらにまた鎌倉市、藤沢市にそれぞれ体育館を作ったのであります。これも、いわゆる文化都市と申しますか、比較的文化的水準の高い人が住んでおるといわれながら、両方ともにそういう施設は何らなかったのであります。鎌倉におきまして何らかの会合があります場合には、小学校の講堂でやっておった、木造のきわめて古い建物の中で会合をするはかなかったというのが実情であったのであります。藤沢市におきましても、これも人口十一万に達する市でありますが、なかったのであります。こういう状況でございまして、従ってそういうところでは、体育館であり、公民館であり公会堂である、こういう意味で、元来欠けておった施設——地方の県に参りますと、その県の主都には、たといそれが人口十万の都市でございましても、必ず一通り施設は持っておるのであります。これが全然なかった、こういう特殊の状況にあったということが一つの原因でございます。  ただ、平塚市におきまして、実際は少し大き過ぎたものができた傾向がございます。これは、バスケット・ボールのコートで、四面一個所でやれるようなきわめて大きなものができたのであります。先ほど来お話の出ましたように、現在神奈川県の作りました施設の中で、これはちょっと大きくて将来もてあますぞというふうになるかと思われるものは、この平塚の体育館だけでございまして、これの将来はよほどわれわれ県も市も努力して考えて参らねばならぬと思っておるのであります。これは、たまたま昔海軍の持っておりました大きな工場がありまして、それを古いのを安く買ってしまって、そのまま移築した、こういう内容に相なっておるのであります。ただ、国体におきましては、実際問題については、バスケット・ボールが現在インドア・ゲームでありますために、非常にこれで幸いをいたしたのであります。国体としては幸いをいたしたのでありますけれども、実際残った施設としては大き過ぎたということが実情かと思います。これらにつきましては、もし普通でありましたならば、こんな大きなものは作らなかったのでありまして、また作らないでしんぼうしていただくべき性質のものであると考えます。そのために必要な規模の縮小でありますとか、あるいはやり方の変更でありますとか、そういうことは体育関係をしたものでお願いしなければならぬ性質のものであった、こういうふうに率直に考えておるのであります。  また、鎌倉にプールを作りました。これのごときもよくこういう批判を聞くのであります。鎌倉のような海が横にあるところヘプールを作る、何というばかなことをするかという批判があるのであります。しかし、これは率直に申し上げまして、やったあとの話であります、国民体育大会をやりましたときに私が参りましたところが、前市長の時代にやりまして、新しい市長がこれを完成したのであります。その市長がにこにこいたしておるのであります。どういうことかと申しますると、これは一日に三千人も入って、まるでふろ場みたいだ、一日に大体十万円くらい売り上げがあるような日があった、こういう話であります。そういうことでございますので、これは半額は県から補助をしたものでありますけれども、残りの半額についてはあるいは相当部分自力で消化できるのではないか、こういった感じのするほど利用されているところであります。鎌倉のプールにつきましても、私ども考え方は——これはお笑いなるかもしれませんが、水につきましては、ハワイにおきましても海浜に大きなプールがあるように聞いておるのであります。またアメリカにおいても同様なものがあるように聞いておるのであります。水のメッカと申しますか、そういう形において水に関する施設の整備をしたい。それからまたあの地方は御承知のように土用波がございまして、八月になりますともう泳げないのであります。ことに子供なんか泳ぐとなると非常に困るのであります。遊びに来た人がプールで子供なんかを泳がせる、こういうことを望んでおるのでございます。従いまして先ほど申し上げましたように、ふろ場になるほどに人がそこに入るというような状況にあるわけでございます。  以上申し上げましたような次第で、この施設について便乗というお言葉がございましたが、悪い意味でなく、われわれとして本来やりたい、地方としてこれだけのものはなければいかぬのだというものを特にやったのが、今回の神奈川県の施設費が膨大に上った理由でございまして、国民体育大会だけのためだというふうに問題を考えますならば、はるかに小さい規模で済んだし、また済ませるべきものであった、こういうふうに考える次第でございます。  それからこれは御質問の中にございませんでしたけれども、先ほど来お話のございました国からの補助でございますが、これは私ども国民体育大会をやってみまして、入場式からその後の各種の行事の進行の状況を見ますと、やはり国民体育大会というものは一つの感激がございまして、しかもそれは国民的感激である。単なるスポーツ振興というような問題以上のものがあるように思うのであります力全国の人が集まりまして、ここで日章旗を掲げ、君が代を奉唱いたしましてやることは、これは非常に大きな一つ意義があるのではないか、こういうふうに考えるのであります。その意義をここでくだくだしく申し上げぬでも御賢察いただけることと存じます。これは行幸の話でございますけれども、行幸のときに日本鋼管で幾らかの金を使ったという話があるのであります。そのときに日の丸の旗を作った。日の丸の旗がたしか二十万円とか三十万円とかかかったという話があります。これは全工員に日の丸の旗を持たせたのであります。そのときに日本鋼管のある職員の人が、これに二十万円日本鋼管が使ったからといって、これくらい安い費用はないのだ。かねがね実は行幸の場合には金を一切使っちゃいかぬという強い指示があったわけであります。その際に日の丸に二十万円かかったという話がたまたま話題になりましたときに、これくらいはかんべんしてくれ、これくらい安い費用はないのであって、日本が負けましてから今日まで、何かほかの色の旗は振ったことはあるけれども、二万数千の職員とその家族が、日の丸の旗を振って全員が熱狂したのはこれが初めてである、こういうふうな話があったのであります。そこに二十万円やそこらの値打は問題にならないという話がございました。同じような感じが国民体育大会のときに私にいたしましたことも、ここで申し上げたいと考えるのであります。さような意味でございまして、これに大きな国家的意義があるといたしますならば、これをひとり地方財政の問題として問題をお考えいただくのはどうか。かりに国が問題をお取り扱いいただきまして、国全体としてこの国民大会の価値というものを、どの程度に御認識下さるかは存じませんけれども、五百三十万円の値打だけではなかろうと思うのであります。これの運営に対して相当の補助を出して、文部省が主催者であるかのごとく国が費用を負担いたしますならば、これはひとり地方財政の問題として地方が勝手にやっているかのごとく言われることはなくなるのではなかろうか、こういう感じを持っておる次第であります。
  32. 大矢省三

    大矢委員長 それでは次に横浜市の助役田中参考人
  33. 田中省吾

    ○田中参考人 昨年横浜で行われました第十回国民体育大会状況の御報告を申し上げたいと存じます。  昭和二十六年の秋に神奈川県において国民体育大会を誘致しょうという相談が始まりました。そのときに横浜市といたしましてはもう皆様御承知の通りその当時から横浜市の財政は非常に困難でございましたので、あまり金のかかることでは横浜市は参加いたしがたいのでございました。そこで横浜市としては二つの条件をはっきり申し上げて、この誘致運動に賛成をいたし御協力をいたしたのでございます。その一つの条件は、横浜市にある現存施設によってこれを受け入れよう、国体を誘致するために新しい施設はしない、ただ現存施設に多少の改善をするということはやむを得ないけれども、新しい施設はしないということが第一点でございます。この現存施設と申しますのは何も横浜市有のものでなくてもよろしい。県立の学校のものでもよろしい。私立の学校施設でもよろしい。会社、工場の施設でもよろしい。とにかく横浜市内にある施設を活用するということで受け入れをやろうじゃないかというのが一点でございます。それから第二点は、これはまことに口はばったい言い方であったかもしれませんが、川崎、横須賀、平塚、小田原その他、県内の他の市がほしいと思う種別をまずおとりなさい、残ったものを横浜で引き受けましょう、何でも引き受けましょう、こういう方針をきめまして、種目の取り合いというようなことは横浜としてはやらぬというこの二つの条件で参加いたして御協力申し上げたのでありますが、その結果、開会式及び閉会式は横浜でやる。それから陸上競技、ボクシング、体操、ラグビー、バドミントン、射撃、高等学校野球、軟式野球という八種目を横浜市でやって、そのほかに芸術競技というものをやることに相なりました。幸いに一番大きな行事でございます開会式、閉会式及び陸上競技を行いました運動場は、昭和二十六年にすでに一通完成をいたしておりまして、第一種の公認競技場としてもう公認されておりましたので、これを使えば非常にたくさんの金は要らぬで済むということでこれを充てたのでございます。それから一つ金のかかりましたのは、この開会式、閉会式をやりますのには、全国から集まった約三万の選手、役員が広場に集まって、そしてその開会式場に入らなければなりませんが、その適当の広場ができておりませんでした。そこで敷地は十分あります。これは広い公園の中にある陸上競技場でございますから、敷地はもう買う必要はないので地ならしをすればよろしいのでありますが、その広場をどうしても作らねばならぬ。そのときにラグビー協会から、せっかく広場を作るなら、これをラグビー場として使えるようにしてほしいという要望がありまして、これは初め予定になかったのでありますけれども、自然の地形を利用すればスタンドもできますし、割合に金もかからぬというので、広場兼ラグビー場というものを作りました。これが国体機会に作った一つのものであります。このラグビー場は、今日においてはラグビーばかりでなしに、サッカーだとかいろいろな方面から非常に申し込みがありまして、それを使うのに日割をきめて協議をしてフルに使っておるというような次第でございます。それから野球場はすでに御承知のようにございまして、これを改修すればよろしい。それからボクシングなどは三菱造船所の体育館の中に仮設のスタンドを作ってやれば間に合う。バドミントンは、私立の鶴見の総持寺の系統で作っております高等学校体育館が、ちょうどその当時竣工して一年ぐらいたったところでありますから、これを借りる。もう一つ財団法人で県と横浜市とで作っておりまする神奈川体育館というものがありますが、これも多少の改修をすればできる。この二カ所に分けてバドミントンをやる。それから体操でありますが、これも県立高等学校の校庭に仮設のスタンドを作りまして、これで間に合わせる。この仮設のスタンドは買ったわけではございませんので、仮設のスタンドを使って使用料を出して、済んだらすぐそれを返すというやり方をいたしております。その他競技場付近の道路の改修などをいたしましたが、これはこの機会に改修、舗装をいたしたのでございますが、いずれこれはやらなければならぬ舗装をしたわけでございます。そのようなわけで、初めからただいま申し上げましたような方針でやりましたので、特別に金はかけぬという方針でやりましたが、しかしそれでも改修その他で施設費として八千五百万円余りかかりました。そのうち県の補助、国の補助等を差し引きまして、横浜市として支出いたしましたものは五千七百五十万円余でございます。これが施設費でございます。それから運営費として横浜市内で使われましたものは二千四百九十万円でございますが、そのうち入場料として市が収入いたしましたものが八百八万余円、寄付金が六百二十三万円、プログラム代その他雑収入が四十五万余円、従って市が運営費として出しましたものは一千万円、両方合せまして六千七百七十万円というものが昨年の国体に要した金でございます。  こういう次第でございますから、横浜市としてはあまり新しい施設はいたしませんでした。ただラグビー場が広場を兼ねてできたというだけであり、その他施設の改善はいたしましたけれども、これは国体がなくてもどうせやらなければならぬ程度のことを——それは少しはいいでしょうが、大して新しいことをせずに、これを済ましたというような次第で、ただいま副知事から述べられましたように、この国民体育大会の閉会式を初めおもなる数種目が横浜市内において行われたということは、市民に対して非常な喜びでありまして、その効果は一々申し上げませんけれども、非常にうれしかったということを申し上げる次第でございます。
  34. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと申しますが、大臣がほかの委員会から出席を求められておりますので、参考人に対する質疑あとからにして、大臣を先にして、それを済ましてから、・・・。
  35. 亀山孝一

    亀山委員 最後の私の質問として、ただいま各参考人からいろいろ御陳述を伺いまして、結局国体持ち回り制限という問題は、地方財政との調整にあると思うのでありますが、今矢柴、田中両参考人から多少のものはあっても、さほどわれわれが考えておりましたような圧迫はないと思いますが、この際新しく太田自治庁長官にこの問題をどういうようにお考えになりますか、それだけをお伺いして、私の質問を終りたいと思います。
  36. 太田正孝

    太田国務大臣 だんだんのお話を承わりまして、体育の大切なること、同時に地方財政の面からして、どうして持ち回りのこのとうとい行事がやめになったか、こういうお話でございます。少し長くなるかもしれませんが、第一に、体育に対する私の心構えを申し上げなければなりません、第二に、今亀山委員が言われたように、地方財政が窮乏しているということがこの持ち回り競技を延ばすことと、どういう関係にあるかということを申し上げなければなりません、第三に、とかく誤解があるようでございますが、閣議決定の趣意、この三つに分かって申し上げたいと思います。  第一については、私はごらんの通り小さいからだでありまして、運動もほとんどできませんけれども、この間文教委員会でも申し上げましたが、山登りはぼくは一年も欠かしたことがないほどでございます。富士山も十八回登ったということを自分の自慢にしております。それだけでなく、ほんとうに国の立場から見て体育の大切なことは、とくと承知しております。第二次戦争前のドイツが、悪い世界征服の考えを起したが、体育にどれだけ力を入れたか。ベルリン郊外のグリューネワルドのあのスタジアムを見、私のつたない筆で幾たび書いたことでございましょうか。また田畑さんも、また東俊郎さんのお兄さんに当ると思いますが、東龍太郎さんも、死んだ同窓の末広厳太郎さんも知っておりまする通り、新聞事業をしておりまするときに、初めて外国の水泳を呼んだことも私の誇りの一つだと思います。金栗君とか、死んだ日比野君も、また閣僚の一人も、当時早稲田の学生でございましたが、マラソン競走をしたことさえ今日思い出すのでございます。私は体育は非常に必要と思います。しかもこの体育の問題につきましては、所管は文教の府であるところの文部省でございます。その文部省がこのことについてやるかやらぬか、またどういうふうにして効果的に文教の面に扱うかということは、これは申し上ぐるまでもないことで、所管は文部省でございます。しこうして地方持ち回り意義が、地方自治体の仕事と関係すると思いますが、その効果のあることは東参考人、また田畑参考人のお方々から申されたと存ずるのでございます。これに何らの異議を持つものではございません。しかし大切なる体育であり、しかし大切なる地方持ち回りのこの行事でございますが、これを受け入れる地方財政がどうであるかということについては、私の立場としてもどうしても申し開きをいたさなければならないのでございます。  地方財政赤字かどうかということは、もう皆さん方よく御承知と思いますが、本年現在どんなことをしておるかといえば、たとえば地方におきまして支出面においてどんなことをしておるか、また今後収入面においてどうやっていくのであるか。その一端を申し上げましたならば、停年制をしくということも今度新しく三十一年度において計画しておることでございます。いかに年をとったとはいいながら、国家公務員にない停年制を、地方公務員にことしやろうというのも、私としては気持のいいこととは思いません。また支出の面におきまして寄付金という問題がございます。今再建整備をやっておりまして、二十九年度までの赤字の県に対しましては、ここで今までの借金をたな上げにしていく、国家はこれに対して利子補給をして、さらにその赤字の県がこの団体に入ります場合においては、寄付金さえ制限しておるのであります。これは支出における大きな事柄であります。また地方財政を救うために本年新しい税をかけました。国は、少いという批判もございますが百五十億円の減税をするときに、地方は増税しておるのでございます。私としてはこの増税ということを決しておろそかに考えることができない。  さらに三公社の課税と申しますか、運賃収入をどうするということは別として、相当経理のむずかしい国鉄が、十何年の間叫ばれた国有資産に対する税を出そう、こう言っております。また全国に電話のない村が非常に多いのでありまして、電電公社は十二億の金を出してことしこれにかかろうとしたのを、それもがまんしてもらって、その一部分、二億ばかりの金を町村合併のために継ぎ足してもらうように、三公社課税につきまして三回にわたり、私が閣議に訴えたような次第でございます。かようにいたしまして、出る方の面では停年制と寄付金などのことをやり、収入の方面において国には減税があるが地方財政においては増税しなければならぬ、三公社の課税までもやっていくということを考えまして、しかもその結果はどうであるかというと、地方財政に対する根本策を立てると申しますが、国から出す金が不十分でございますために——これは社会党の方々の御批判の通りでございまして、私も不本意でございますが、国家財政の現状においてがまんしておるような状況であります。かように不十分で、かような赤字の、支出においても収入においても相当ひどい面になってやっております。私自身の心がまえといたしましても、自治庁としては自治庁自体の経費が要ります。同時に地方財政にやる金、たとえば交付税というものを考えなければなりません。自治庁に対する金は、年々繰り返されることですが、あそこの人をふやすとか、あるいはこうこうこうしたいというような事業がありましたが、一文も復活要求をいたしません。各省とも本年予算に対する不足を訴えておられましたが、自治庁自体に金が出れば地方へ行く金が少くなる、わずかな金であったと申しますが、二割二分を三分にするに当りましてどれだけ気を配ったか、自分の部下とも言っていい自治庁自体の仕事に復活要求一文もしなかったということは、私過去の予算編成にも関係した一人でございますが、私自身としても非常に苦しかったのでございます。そこまでやらなければ地方財政はうまくいかないじゃないか、こう私は考えたわけでございます。しかも赤字に直接関係する国体地方持ち回り関係考えてみますれば、徳島県において宮城県において、この体育の催しをしたあと赤字がいかなる姿になっておるかということは、あるいは後藤財政部長からよくお聞きを願いたいと思いますが、これは現実でございます。何の偽わりもございません。また世間で東京都は俗に富裕県などと申しますが、私はそうとっておりません。この大都市をやっていく上におきまして、今回入場税をとるにつきましてもなかなかの御非難がありました。東京都のする仕事を考えますと、これは黒字団体ではない。日本では赤字団体がもう八割であります。しこうして大阪、神奈川が残っておるのでございますが、大阪は警察費がふえてきた関係で、これがこのあといつまで続くでありましょうか。また神奈川県におきましてはこの関係とは申しませんが、今のところわずかな金の余裕と申しますか余力しかない現状であります。これが偽わらざる地方財政の現状でございます。東京都は富裕と申しますが、富裕の状況もかくのごときものであり、決して楽観すべきものではないと思います。国の財政自体と申しますか、基本は、地方財政ができなければどうにもならないのでございます。今少しく景気がよくなった、米がとれたなどといって、健全財政はもう底をついたようなことを考える方がございますが、今のままでうっちゃっておきましたならば、この借金の多い地方財政が、この赤字の多い地方財政が、どうして持ちこたえていくことができましょう。国家財政から見ても、地方財政から見ても、この際において地方財政の実に切実なる状況を、私といたしましては御了解願いたいと思うのでございます。  第三点に申し上げますのは閣議の問題でございます。閣議におきまして三回この問題を出しました。それで決定いたしましたのは予算閣議でございます。いろいろな議論がもちろん出ました。先ほどお聞きいたしたところによれば、自治体というものは国でやる仕事をこなしていくところでございます。サービスでございます。この体育の問題もそうでございますが、農業の問題にしても教育の問題にしても、ほんとうにこれを事業にしてこなしていくところは地方自治体でございます。従ってこの意味から私は三公社課税もねらうのです。これは閣議において三回に及びました。また増税の問題もやむを得ずやるのだ。マラソン選手が走っていくあの道路、これが今までどうなっておるかを考えれば、軽油税までも今日増税しなければならぬ状況でございます。従って閣議におきましては、かような状況を御了解になりまして、国体地方持ち回りの問題につきましては延ばすということが決定されたのでございます。しかし、現在兵庫県かやっておりますが、相当多額の金を使ったということは皆様方も御承知のことと思っております。これをすぐやのるということはできない。現に本年度予算におきましてはたしか文部省所管において七百万円の金が出ることになっておると承知しております。問題は、私情で申すのではございませんで、来年行われる静岡県——、はっきりと申しまして私は静岡県の選出議員でございます。同じ閣僚の石橋湛山君も静岡県の者でございます。県のやる仕事を私どもがそんなに簡単に切れるものではございません。むろんこのことについては県会議員の方々の陳情もございまして、また同時に地方財政の当局者から反対の陳情もあるのでございます。どうしたらばいいかということは、石橋君も私も切に考えたのでございます。全体今日の地方財政をやっていく上におきましては、その場を預かる私といたしまして、決して体育の重要なることを忘れるにあらず、今ここでふんばらなければ——しかもいかにふんばってもなおろくなことができないじゃないかと政治的非難を浴びせられている私といたしましては、この際閣議にお願いいたしたような次第でございます。しかし文部省がどこまでもやるということに、私が反対すべき理屈は毛頭ございません。その当時、あるいは山口県へ持っていったらという説も承わりました。山口県は赤字県でございます。しかし数億の貯金を持っております。これは中国電力からの株であったと記憶いたしましたが、売れば数億の金が出るところでございます。この話をしたときに石橋湛山君怒っていわく、静岡県にやらないものを山口県にやるということを閣議で決定したのではないのだ、金があればという意味ではないのだ、こういうことを閣議で言われたのでございます。私はかようなことをあけすけに何も隠さずに申します。ただし地方を強制するということは閣議ではできません。昔の内務省が地方団体に対したような立場は、今日の新憲法下における自治では計されないのでございます。従って県議会等がやろうということをとめるここはできません。しかしそのやる事柄は、われわれ交付税を取り扱ったり、地方財政赤字を消そうという立場かり見ますれば心よく思わないのですけれども、権能的に地方の議会がこれをやろうとすることをとめる立場は今日においてはございません。閣議の決定はかような意味でございまして、私どもが申し上げました事柄も決して体育を軽んずるのではない、ただ地方財政を預かる私としては、すべてのものに先だって、今ここの踏み切りをしなければならないという状況でございます。  終りにもう一ぺん言います。体育を軽んずるにあらず、地方持ち回り意味なきにあらず、大いに効果があると思いますが、同時に全国の八割以上に及ぶ地方財政赤字の現状、一歩誤まれば国の財政がまたもって悪くなるというのが私の見方でございます。むろん見方の違いもございましょうし、皆様方の御支持を仰ぎたいと思う次第でございます。
  37. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私は、参考人の先ほどの答弁をいろいろ聞いておりましたから、これに関連をしまして、太田自治庁長官に対して質問をしたいと思うのとあります。  今太田さんからいろいろ真情を吐露されたのであります。太田さんの見解について理解ができないわけでもございません。しかし私はもっと胸を広げて、もっと背伸びをして、日本の大きな文化政策についてものを考える必要があると思うのです。先ほど来からお話があったように、この問題は単なる地方財政の問題からのみものを考えるべきではないと思う、たとえば日本は今日までオリンピックなりその他のものの誘致運動をやって参りました。日本の政府も大いに協力をして、これが実現のために努力をいたして参っております。しかし日本は結局財政上できないというようなことではなかった。今日地方が同じような意味で国体をやろうといったときに、地方財政の面から、もしこれを圧迫していけば、私は誘致運動の趣旨をあわせ考えてみると、そこに大きな矛盾を生ずるのであります。問題は何か。問題は日本の体育政策というものをどうとるべきか、どう評価すべきかという問題に私は帰着すると思います。先ほども太田自治庁長官は、これは文部省の所管であるとはっきり言われた。私をもってすれば、これは内閣の文化政策に対する態度の問題であると思う。地方自治の問題はその一分派の問題にすぎない。ただ自治庁長官とすれば、地方財政の上から見て、いかなるアジャストをするかというところにむしろ問題がある。その意味におきましては、今日政府のとっておる態度を考えますと、一つの大きな立場を忘れて小さな立場でものを考えられておる。早くいえば、今の太田長官の悲壮な御意見も、私をして言わしむればコップの中の争いにすぎない。今日二百数十億の剰余金を持っておる国防費はそのままにしておいて、わずか二億や三億の国体ができないなどというような今日の財政とはわれわれは考えておらない。そういう点を考えてみると、これは単なるコップの中の争いにすぎないという感じを持たざるを得ない。これを現在の地方財政が措置できないはずはないと私は思う。ましてや先ほどお話があった通り、一地方財政の問題ではなくて、国民体育の問題でもあり、文化の問題でもあることは明白であります。その見解に立って政府の態度をきめるべきだと私は思う。一太田自治庁長官にすべてを押しつけて、首切りをやらなければならぬ、増税もしなければならぬ、私は庁費の増額を一銭も要求しなかった、だから私としては一億、三億の金を出すことについては困るのだ、ここまで追い詰めておるにすぎないのであって、私は国家の立場というものは確立されておらないと思う。従って私ははっきり申しますけれども太田自治庁長官が先ほど言われた通り、これは一地方財政の問題ではないということ、同時にそれは国の文化政策の大きな問題であるということを、再確認してもらいたいということが一つ。  それから地方自治体がこれを行うということでありますならば、それを国家が制限することはできないというのは当然であろうと私は思う。またそれを太田自治庁長官は言われたのでありますから、一地方自治体が行うものを制限する理由はないけれども、しかし国はそれに協力しなければならぬ義務があると私は思う。私はその点を聞きたい。地方自治体がみずからの意思によってこれを行わんとする場合においては、国はできるだけの力をもってこれに協力するほどの国家的な行事である、この点については太田自治庁長官は認めるにやぶさかでないと思う。私はこの点を聞いておきたいと思います。  そうして同時に現在すでに指定されておる地域につきましては、相当準備も行われておるのであるから、その事実を尊重しなければならぬということも私は明らかだと思う。ただいたずらに太田長官が悲壮な決意だけを申されるのではなくて、もっと大きな見地に立って、わずか数億の問題についての処置ができないなどという問題でないと思うから、その立場に立っての太田自治庁長官の決意を一つお尋ねしたいのであります。特に地方自治体がこれを行う場合において、単に地方にまかせるべき問題ではなくて、国家がこの大きな行事に対してできるだけの支援を与えなければならぬということを、太田自治庁長官考えておると思うが、一つその点をお尋ねして、私の質問を終ります。
  38. 太田正孝

    太田国務大臣 だんだんのお言葉拝承いたしました。私もこの問題を単なる自治庁立場のみから申し上げたのではございません。閣議におきましては、むろん今のコップの中の騒ぎの問題でなく、国全体の問題として閣議にかけられたのでございます。地方財政小なりという言葉もありますが、実は規模においては国の財政よりも大きいのでありまして、国の一兆三百五十億円に対しまして地方全体の財政は一兆四百五十億円になっておるのでございます。決して小さいものではないのです。これは地方財政を軽くお考えになった意味ではございますまいが、この点もよくお考え願いたいのでございます。この意味におきまして、地方財政だけからこうしたというのではない。また国家の立場から見て、防衛費等を削るならばというようなお言葉もちょっと出たのでございますが、これは政治上の意見の違いでございまして、私がここに申し上げる段ではございません。私としては教育のこと、体育のことに金を出すことをいやがるのではありませんただ、勝間田さんからごらんになれば狭いとお考えになるかもしれませんが、地方財政の現状はあまりにもひどいということをつけ加えておきたいと思うのでございます。お言葉の点は私もよく考えたいと存じます。
  39. 勝間田清一

    ○勝間田委員 一つの質問の点が長官から返事がなかったのでございますが、地方自治体が決議等によってこれを行う場合にというお話が先ほどありました。そのお話の場合に一つ重要なことは、そういう場合においてもお前にまかせ切りだというような無責任なことはできないと思う。私はその考え方一つ聞きたいのであります。
  40. 太田正孝

    太田国務大臣 自治庁から直接補助金が出る筋でもございませんで、出します場合には文部省からの補助金となることは勝間田さんもよく御了解のことと思います。私はその出たときに文部省の費用をどうこうという考えは持っておりません。ただ自治体がここで金を使っていくということだけ、また赤字がひどいということだけが私の言い分でございまして、その点は私は勝間田さんの意見をよく了解しておるつもりでございます。
  41. 勝間田清一

    ○勝間田委員 私はその点をもう少しはっきりしておきたいと思いますが、地方交付税というような問題がある、また自治庁とすれば県の財政をよく調べていろいろ監督する必要があると思う。しかしここでもし地方自治体が自発的にこの地方持ち回り国体をやるといった場合に、自治庁がこれを不当に抑圧していくというようなことがあったのでは、地方自治体としてはなかなか直接にはやれないことになる。たとえば国体をやることによって地方自治の方で自治庁が圧迫を加えてくるということになれば、私はこれはとんでもないことだと思う。従って文部省の助成金であることは明らかであるが、自治体がそこに自治体として自発的に国体地方でやっていくというようなことになった場合には、自治庁はこれに協力的な態度で進んでいかなければならぬことは当然だと私は思う。その際に、国体をやっていながら赤字を出しているようではだめだ。お前は金を貸してくれといっているじゃないか、こういうことでいってこられたのでは、せっかくの国家的ないい行事が圧迫を受けるから、そのときには自治庁は協力する義務があると私は思うのですが、この点を太田自治庁長官に聞きたいのであります。
  42. 太田正孝

    太田国務大臣 先ほど私は閣議決定をしていることはできないということを申し上げましたが、その言葉に尽きるかと思います。ただいま勝間田さんの言葉じりをつかまえるわけではございませんが、監督という言葉がございました。今監督ということは一切政府として自治体に対してできません。ただ総理大臣が技術的意味においての指導あるいは助言ができるという程度のものでございます。従って地方自治体が信念を持ってやる場合におきましては、私どもじゃまするなんというような考えは持ちません。けれども積極的に国の方から金を出すという問題になりますと、ただいま申しました赤字地方財政状況である。決してじゃまをするというような意思は毛頭持っておりませんから、さよう御了解願いたいと思います。
  43. 永田亮一

    ○永田委員 私は太田自治庁長官の今のお話を伺いまして、長官が特に地方財政赤字の解消のために熱烈たる意気を持っておられることに対し、敬意を表するわけであります。実は私も昨年自治庁の役人をいたしておりましたときに、この国体地方持ち回りということが、地方赤字を増大する大きな原因であるという見地から、地方持ち回りを一応考え直すべきではないかという意見を持った張本人の一人であります。太田長官が今申されましたように、スポーツの重大性というものについては、われわれもその考えにおいては全く同感であります。特に戦後の社会悪の増加、青少年のヒロポン熱とかエロ雑誌とかそういうものの跳梁に対して、スポーツを盛んにしてこれを守っていこうという意見、われわれは太田長官と同様の考えを持っております。ただ地方持ち回りをしていこうということが戦後においてきまった理由は、戦前のいわゆる中央集権のやり方から地方分権へ持っていこうという民主主義の基本的な考え方から、こういうようなことが行われるようになったと思うのであります。しかしその後の地方財政がだんだんと赤字がふえてくる、にっちもさっちも動かなくなってくる。そのために国の重要な施策であるところの義務教育でも、警察のことでも、住宅の建設でもすべてこれが円滑にいかない、そういう国民の日常生活に直結する問題が、結局地方団体を通じて行わなければならないときに当って、腹を減らしてまで体操をやる必要があるか、こういう世論が起ってきておるようであります。私が太田長官に伺いたいことは、この地方持ち回りということについて、東京でやってなぜ悪いかということなのでありまするが、府県にスポーツ・センターができるということは、まことにけっこうであります。先ほどから体協関係の人が、スポーツという観点からのみ考えられて、日本中に、日本国民全部にスポーツを普及していこうという見地からいろいろと御意見を言われた。これはスポーツ関係者として当然のことだと思うのであります。ところが今まで体育大会をやって、その後の状況を私も見てみたのでありまするが、たとえば大きな体育館が町の中にこしらえられる。こういう場合はその後においてもかなりの利用度があるようであります。ところが私が見てきましたところ、名前は言いませんが、そこの体育館などは、町から非常に離れた山の中のようなところにべらぼうに大きな体育館を建てておる。行ってみるとガラスがこわれておったり、クモの巣が張っておる、こういう状態であります。これはあるいは体育館を作るときに、土地を買収する関係かなんかで、そういうへんぴなところへ持っていったのかもしれませんが、私どもはこういう状態を見たときに、ただ一度だけ国民体育大会をやるために、何億もの金をかけて大きな体育館を作ってあとは遊ばせておくという現状を見まして、非常に考えさせられたのであります。たとえば非常に貧乏な人が結婚式をやるときに、十二ひとえをこしらえる。一生に一度だけ着てあとはもう全然使わない、こういう不経済なことをやる余裕は、今の日本にはないと思うのであります。東京でやるならば、今の施設で十分間に合うだろうし、また後においても十分に活用ができるのじゃないかと私は思うのであります。それなら東京でこの国体をやった場合にどのくらいの経費がかかるか。今もらったパンフレットを見てみますと、施設その他で六、七千万円かかるということが書いてありまするが、私はそんなにかからないと思うのです。今の明治神宮その他の施設を使って、競技場のほかに観覧場のようのものを作る必要があるかと思うのでありまするが、これもただ初めの一回だけ作っておけば、あと来年、再来年、その後においては、この施設は一度作ればよいわけでありまして、ほとんど経費がかからないのではないかと思うのであります。さらに地方持ち回りで大会をやった場合に、体協の役員の出張旅費だけでもずいぶん金がかかるだろうと思うのです。あとでこういうこまかいことについて体協の方にお尋ねしたいと思いますが、今は太田長官お急ぎのようでございますから、太田長官にだけお伺いしたいと思います。この体育大会を東京で行うということがよいか悪いか、こういう点についての太田長官のお考えを伺いたいということと、それからもう一つは、よい方の面でありまするが、先ほど神奈川県の副知事の矢柴さん、横浜の田中さんもおっしゃいましたが、国体地方で行なったときに、国民スポーツを通じての愛国心と申しまするか、国民の気持を一致させるという点であります。私は実は兵庫体育会長の田村享さんからけさ手紙をもらった。それは地方持ち回り賛成論でありますが、その中に私も同感であったことは、天皇陛下が国体の各地方において行われるときにいつもお出ましになる。そうして次の世代を背負って立つ若い人たちスポーツを通じて交歓をされるということであります。このことは私は日本の象徴としての天皇のためにもよいことであるし、また日本の将来のためにもいいことだと思うのです。君が代を歌って——これは社会党の諸君意見が違うかもしれませんが、国民の団結心、こういう愛国の熱情を振起するという意味におきましては、私は地方国体を持っていくということも一つ意義があると思うのであります。こういう二つの点、よい面もあり悪い面もありまするが、太田長官として、自治庁立場としては経費の立場からだけ御判断になると思いますが、そういう観点からは東京で開くのがよいか悪いかということと、それからさらに大きな日本の将来ということについての国体地方持ち回りするという是非について、御所見を承わりたいと思います。
  44. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の御質問の点については、大体閣僚の中でも、地方でやらないからといってやめてしまうわけにはいかないという意見もありましたが、文部大臣から何か設備のことについてむずかしいというようなお話も承わりました。大体の意向はやめてしまうという意向でなくて、中央で——中央と申しますか、東京都は一つ地方になりまするが、こういう意味におきまして、中央ではどうしてもやっていかなければならない、こういう考え方でございます。  第二の問題は、将来地方持ち回りはどう考えるかということでありますが、私は地方が楽になりますときまでやってはいかぬなんという考えは起しません。その日の早からんことをお願いする次第でございます。
  45. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと一、二点お尋ねいたします。先ほどから参考人の皆さんからは非常にいい御意見を承わりまして、またそれに対して国務大臣からは、地方財政を原因とされまする非常に心情を吐露されたごあいさつがあったと思うのでりあます。そこで大臣にちょっとお尋ねしますが、あなたの御意見を要約いたしますると、地方大会を中止いたしましたのは、かかって経費の面だけである、それ以外はない、こういう御趣旨のように承わったのでありますがそれでよろしゅうございますか。
  46. 太田正孝

    太田国務大臣 私の言葉が足らなかったかと思いますが、そういう意味じゃございません。全体として地方財政の窮状ということが考え方でごいます。
  47. 中井徳次郎

    ○中井委員 地方財政の窮状といいますが、結局具体的には経費の面になりましょう。そういうことになりはしませんか。
  48. 太田正孝

    太田国務大臣 むろん理詰めくさく言えば経費の面もあり収支の面もあるわけでございます。結局うまくいかない。金が入ればむろんけっこうでございます。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員 収支の面だけでありまして、地方財政が改善されると明くる日にでも再開をしたいというふうなお気持であろうかと思うのでありますが、それから見ますと実は私も先ほどから御説明を承わって、神奈川県等におきましては数億円ですか、まことに膨大な経費をお使いになったというのであります。また先ほど大臣からのお話にもありましたが、宮城県においては非常に経費を使われてそのあと始末をやっていないというふうなことでありますが、こういう国体開催するに要する各府県市町村負担計画その他につきまして、これまで各府県市町村が体協とは連絡されたと思うが、自治庁はこれまでどういうふうな関連にありましたか、その実情をちょっと伺ってみたいと思います。
  50. 後藤博

    後藤政府委員 私どもといたしましては大きな計画は最近は持ってきておるようでありますが、それもなかなか請求しなければ持ってきておりません。先ほど熊本の話を聞きまして私も初めて二億七千万円という数字を聞いたのでありますが、私どものところにはそういう大きな経費の話をしないで、できるだけ既存設備を使って、ちょっとした運営費ぐらいでやりたいから許してもらいたいという非常にささやかな要求を従来持ってきております。しかし現実には先ほどからお話がありましたように、非常に大きな数字になりまして、私どもから考えますと、通常の場合、過去の経験から見ますと県、市町村を通じて大体五、六億の経費を使うだろう、今非常に体協がおしぼりになっておりますから、熊本は三億くらいでいいのではないかというお話のようでありますが、大体当初の計画からどんどん伸びて参ります。この伸びる事情を聞いてみましても、私は地方団体側としましてもなかなか理屈があるように思います。従って根本にさかのぼって私どもはしばらく休んでもらいたいという結論にならざるを得ないのであります。詳しく申し上げてもいいのでありますが、大体そういうことになります。
  51. 中井徳次郎

    ○中井委員 今お話を伺ってみますと、要するにこの問題は経費の問題にしぼられて参りまして、その経費の見方そのことが、まだ体育協会側自治庁側とで一致をしておらぬ、そういうはなはだずさんなことで、閣議がささっと決定したというふうにわれわれは了解せざるを得ないのでありますが、これはどうですか。これは国家的な非常に大きな行事だと私は思います。終戦後日本国民が非常に萎縮をいたしておりましたときに活況を添えましたのは、私はこの国体の各地方における大会であると思います。こういう問題をただ単に経費の面だけしかもその経費もどうもはっきりいたしておらぬ、体育協会側では熊本県は二億七千万円というが、自治庁では実際よけいかかっておる。私どもはこういう重大なものを決定いたしますには、もっと研究をし直してやられる必要があるのじゃないかと思うのであります。特に承わりますと兵庫県はもう準備をしたからやるのだといいますが、赤字の問題から言いますと、兵庫県は日本一の赤字だといわれておる。二十五億円もあるといわれておる。静岡県は少々赤字があるかどうか私は記憶いたしておりませんが、兵庫県あたりと比べものになりません。去年の十月に何か申し合せをいたしたというのを東先生から承わりますと、兵庫静岡はやる、富山においては研究をするというふうなことのように伺っておるのであります。経費の面だけからということになりますと静岡はできる。大臣は静岡県の出身だからわが身をまず切って範を示すというまことにりっぱな御態度であるかもしれませんけれども、どうも経費の面そのものがはっきりしないし、そしてまた私が言いたいことは、これは文部省が主催で府県が担当するのでございましょうけれども、この金の出し方いかんによりましては、府県そのものに影響が大きくあるというふうになるかならぬか、これは私は今後のやり方一つであると思う。そこで府県が赤字の府県であれば何かいろいろな方法考えていく、県民全体からそういう運動を盛り上げていくというふうないろいろなやり方があろうと私は思うのでありますが、そういうものを簡明直截に閣議で当分たな上げということにしたのは、どうも少し軽率であったと思うのでありますが、どうでございましょうか、経費の面その他もう一度そういう面について、よく御研究なさるというお考えは今の自治庁にはおありじゃないのでしょうか。
  52. 太田正孝

    太田国務大臣 静岡県の例も出ましたが、その以外に市町村でひどいところがあるのでございます。先ほど神奈川県の例を聞いたときに思い出したのでございますが、ある市のごときはもう絶対に困るとまで泣いておるのでございます。それならばその市の財政をどうしたらいいか、これは私にはできることではございません。全般的にもこういう経費というものは見積り方が大へんむずかしいことは中井さんも御承知のことと思います。軽率にこれをきめたというのではなく、私は三回までもこの問題はどうだろうとみなに相談を持ちかけたような次第でございます。何百万円かかるからどういうふうにするというような意味を私申したのではございませんで、これも相当考えた上でのことであります。少しぼおっとした御返事かと思いますが、御了承願いたいと思います。
  53. 後藤博

    後藤政府委員 熊本県の話を先ほど申しましたが、これは昭和三十四年にやる計画であります。従って現在のところはその計画を持っておるのでありますが、過去私どもの経験から申しましてだんだんふくれていますので、ほんとうの計画は前年度ぐらいでなければはっきりいたしません。兵庫県も約束した以上はやるということで、三十年度たしか二千万円ぐらいの予定いたしております。それ以外に使っている金が一千万円ぐらいあると思います。あと三十一年度に入りまして、ことしの秋やります経費をどんなに節約しても七千万円はは要る、こういうことを言っております。従って一億くらいはどんなにしてもかかるということを申しておるのであります。私どもはやる以上はそれは経費としてやむを得ぬだろうという気持は持っておりますが、しかし兵庫県が金を出さない場合に一体どこが負担するのだということになりますと、今度は市町村の方に圧力がかかって参りまして、市町村の方の支出が相当ふえていく、従って県がいいからやってもいいということは私すぐには言えないと思います。先ほど言いましたように大体施設が四十カ所ぐらいになるようになります。県としては大体県内にばらまかなければならない、そういたしますと均衡の問題が起ってきます。やはり県内部でありますと施設のあるなしを超越した問題があるのであります。あそこが体育館を作るのだからおれの方も作りたい、中の施設はもちろん違います。そういうことから金がだんだんふくれていって、当初計画いたしましたものよりもどんどんふえていく、そのふくれます場合に規格がやかましいので、規格に合せなければならないというような問題もございます。従って体協として御指摘になった以上のものが結果的にできるのであります。そういうことは、この地方財政の現況におきまして困るということを私は申し上げておるのです。体協の方には前からいろいろお話し申し上げまして、できるだけ質素に金のかからぬようにやっていただきたいということで東先生にも何べんか申し上げた、そういうことになっておるのであります。ところが下へ下へおりて参りまして、今度は県のそれぞれの体育団体になって参りますと、そういうわけには参らない。市町村のそれぞれの格というものがあります。市町村同士の間の体面の問題がございますし、いろいろな問題が錯綜して、経費は当初計画したよりも非常にふえていくというのが、私は実情だと考えております。従ってこういう際に自粛していただきたい、そういう意味から出ているのでありまして、具体的な計画に入ってやるという立場に立てば、ある程度のことはやらせる必要があると考えております。従って将来の問題でありますので、数字は私は初めて聞いたような次第でありますので内容検討いたしたいと考えております。
  54. 中井徳次郎

    ○中井委員 先ほどからいろいろ伺いますが、体協側と自治庁側と絶えず数字も合いません。そこで大臣も忙しいそうですから、けっこうですが…。体育協会の皆さんにお尋ねするのですが、これまでやりました何回かの国民体育大会、今後政府としてこのような経費節減の大きな旗じるしを出しております限りは大いに節約をはかって、これまでのようにこれも要るこれも要る——施設でありますから多きに過ぎるということはなかろうと思いますが、せいぜい節約してやるというふうな立場からでも、やはり東京でやる上りは地方でやった方がいいというふうにお考えになっておるのかどうか、その辺のところをちょっと伺っておきたいと思います。
  55. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 ちょっとその前に、大臣に聞きたいのですが、経緯は存じておるのであります。勝間田君の第二問は私はきわめて重要な質問だと思うのです。そこで伺いたいのですが、本年度限り地方回りをやめるということになれば、政府は方針として来年度予算では国体に対する補助費を出さない、こういうことですか。
  56. 太田正孝

    太田国務大臣 御質問の趣旨は、三十一年度ですか、三十二年度ですか。
  57. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 要するに地方回りをやめるわけでしょうが……。
  58. 太田正孝

    太田国務大臣 現在予算には七百万円が三十一年度予算に入っております。
  59. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 三十二年度以降は、国民体育大会というものが地方回りで開催されるということに対して反対である。従って政府の今後の方針としては、国民体育大会地方で行われても、これに対して協力はしないということに相なりはしませんか。
  60. 太田正孝

    太田国務大臣 その点について先々のことは私は断言しかねますが、今の赤字財政、再建債でも八年を計画しておりまして、一年、二年でこれがすぐ片ずくというふうに、私は地方財政の面から見ると考えられませんけれども、よくなった場合はどうかというと、これはしごくけっこうであると申し上げるよりほかない、三十二年はむずかしかろうと思います。
  61. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 大へん地方財政の問題についての腕曲なる御説明でございましたが、私が聞いておるのは、本年限りで地方回りをやめるということでありますから、国民体育大会地方回りをやめるということになれば、中央でやる以外はないのであります。けれども、なおかつ先ほど勝間田君が言われるように地方県議会当局が、自発的に発議をして当局をしてやらしめる、すなわち静岡県当局なら静岡県当局をしてやらしめる。国民体育大会開催についてこれを強権的にやめさせるという意思は政府にもないし、また強権がないのであるからして、地方回りでやられることについて拘束力はないと言われたが、私はお尋ねしておるのは、地方回りにおいてこれをやるということになり、また体育協会もこれと協力していわゆる今日のような共催の形でやる場合に、そういうような方針で行きますと、政府では費用は出さないということになりますね。
  62. 太田正孝

    太田国務大臣 その通りでございます。
  63. 後藤博

    後藤政府委員 川崎先生のお尋ねの七百万円というのは、たしか運営費のように聞いておるのであります。従って国民体育大会地方持ち回りにするとしないにかかわらず、東京でやりましても、やる以上は運営費は予算に出るのじゃないかと思います。施設費でありますと、その問題がありますけれども、大体運営費でありますれば将来もやればやはり出るのじゃないか、かように考えるのであります。
  64. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それはあなたの勝手な想像だと思うのです。閣議にはそれまできめておりませんが、たとえば期年以降の国体に対する今後の運営方法ということについての決定がなくして、本年だけで地方回りをやめた、明年以降に対する具体策が何もないのがということじゃないと思うのですけれども、どうなんです。
  65. 太田正孝

    太田国務大臣 お話通りでございまして、中央の方においてなるべくこれを埋め合せていきたい、こういう考え方でございます。
  66. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 それでありますと、深い研究が足りておらぬようなんですね。つまり明年東京でやることについて、これが地方回りをやめたいという希望は河野農林大臣にもあり、あるいは大蔵大臣にもあったかもしれない。文部大臣地方回りをやりたいと思うけれども財政自治庁長官が反対するからどうしてもできない、事実また閣議の国務大臣としての立場から同調せざるを得なかった、こう私は想像いたしておりますが、たとえば明年東京でやるといいましても、その中心のスタジアムである国立競技場は私どもの熱心なる主張によりまして、本年の十月から改装されて、メイン・スタジアムは明年は東京にはないということになるのであります。これはおそらく勘定に入れてのことと思うけれども、そういう思慮を払わなかったのではないかというふうに考えられるので、おそらくそういうような事態に立ち至れば、明年は国民体育大会は中央地方ともに行われないであろうということになり、それが国民精神に与えるところの影響を私は非常に憂慮いたしておるのであります。もとより将来地方財政の回復とともに地方相当持ち回りをやった方が国民体育の普及の状態からしてよろしい、ことに田畑君から非常に専門的な見解がありました通り、これらの問題については今日体協の方方とともに私は専門的なお話も聞いてみたいと思っておりますけれども、明年はそういう空間ができる可能性がここに一つ生じてきたのであります。これは何人も私は異論はない状態に立ち至ると思うので、そのことの及ぼす影響は非常に甚大であります。また中井君も非常にいいところを指摘されまして、私も先ほどから傾聴しておりました。文部省と自治庁と大学の三者に対して国体運営に関する予算基準というものが今まで示されておらなかったので、神奈川県では八億、九億の費用を投じてやる、それは神奈川県は力があったからそれでいいでしょう、しかしこの傾向を助長していけば、毎年毎年もっと盛大なものをやりたいということになって、その影響するところは地方財政の非常な負担に相なるわけでありますから、これは主管省たる文部省が一つの基準を示していかなければならぬのであります。私が昨年スポーツ局の問題を登場させましたのも、文部省においてスポーツに対する構想が非常に薄弱である、意欲がない、それから自治庁に対しても基本的な構想を申し述べる機会を失っておるというところに大きな原因があったのであるが、これらについてはいずれ次の機会に申し述べたいと思いますが、そういうような問題も登場させてみますと、中井君が御指摘になったようにあるワクをきめて、そして国体の経費というものを、たとえば熊本県が二億七千万円、私は二億七千万円というものは熊本がその通り行くかどうか知りませんが、二億程度において運営費並びに施設費をまかなうということであるならば、国体というものは私は十分地方回りを続けることができる。そしてこれだけの意義からしても、五百七十万円とか七百万円とかいう補助費であってはならぬ。私はやはり国体の補助費というものは、政府が文部省の予算において、少くとも二分の一は持つべきだ。そうすれば、政府が一億持ちますれば、その残りというものはわずかに一億でありますから、そういうような意味での今後の続け方をもう少し研究されて、問題を最終閣議で、もし明年度のことに対する最終決定というものがないのでありますれば、お考えを願いたい、そういう点について御考慮をわずらわしたいと思いますが、これは答弁をしいて求めるわけではございませんが、感想がありましたならば承わっておきたい。
  67. 太田正孝

    太田国務大臣 お言葉傾聴いたしました。よく……。
  68. 大矢省三

    大矢委員長 東参考人から、ちょっと中井君に対する答弁がありますから……。
  69. 中井徳次郎

    ○中井委員 繰り返しましょうか。お尋ねいたしましたのは、経費を大いに各府県で節約をされまして、今あなた方、最小限度のものでごしんぼう願うということで、やはり各府県に持ち回られた方がいいとお考えになるか。それともそういうけちな施設なら、毎年東京でやった方がいいというふうにお考えになるか、その点をちょっと伺っておきたい。
  70. 東俊郎

    東参考人 ただいまの御質問にお答えしますが、私たちはこの今の情勢から考えまして、地方を持ち回る場合に最少限度の規格でやっていきたいという気持を持っております。その最小限度というものを、それではどこから出すか、どの標準で出すか——実は一昨年国体委員会国民体育大会基準要綱を作りまして、その際に最小限度の施設というものを、各競技団体とも相談して出しております。その構想は大体参加人員一万人ないし一万二千人ということで考えております。それを最小基準としておりますが、その最小基準を昨年も一昨年も非常に上回った施設ができておる事実がございます。もしもこの最小基準でやれるならば、国民体育大会地方持ち回りは先ほど来るると申しましたような意味で達成できる。それ以上に切り詰めるということにつきましては、開催期日、期間を今大体五日にしておりますが、これを一日減らすかしなければ、一日に午前中だけで終ってしまうというような競技ができてくる。この点は内容と関連いたしますので、十分研究してみなくちゃならぬと思いますが、私たち競技団体側といたしましては、とにかくその許される範囲、現在きめましたその最低基準よりもさらに下回っても、内容的に検討いたしまして、国民体育大会にふさわしい、全国の大会にふさわしい競技会ができるならば、さらに切り詰めてもいいのではないか、その施設だけではなくして、それに付随する、いろいろな今日まで割合に放漫に考えておった費用でずいぶん節減できるものがある。先ほどどなたか指摘されましたような、東京から行く役員の費用なんというものはどうか。われわれは先般も各競技団体全部責任者が集まりまして、国民体育大会地方持ち回りのために、費用が地方に非常に膨大になるということであるならば、自分たちは手弁当でもやる。地方の、自治庁の面には御迷惑をかけない、そこまでしてでもやりたい、こういうふうな気持でおりますので、施設につきましては国民体育大会規模というものを考えまして、現在その最低基準まで切り下げていく考えでございます。もっと基準を下げることも、競技の種類によってはできるというふうに存じます。また一つ地方におきまして現在ない、非常に金をかけて新しく作らねばならないような競技、たとえばヨットのようなもの、あるいはポートのようなもの、あるいは山岳部、こういうふうなものにつきましては、その将来性を考えまして、その県がやる場合には、それはやらなくてもいい、こういうふうな申し合せもいたしております。そういうふうなことで、できるだけ切り下げて、地方持ち回りをやはり私たちはやっていきたい、その理由は先ほど申しましたようなふうで、東京でやるよりも、地方へ持ち回った方が、私たち考えておる国民体育大会意義が深いのじゃないか、こういうふうに思っております。
  71. 大矢省三

    大矢委員長 ちょっと、大臣に、鈴木君。
  72. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 もちろん私の質問は個人的な質問であります。またわれわれの党の地方行政部会においても、国体持ち回り地方財政の問題は検討いたしておりません。でありますから、これは個人的な質問ですが、一国民として考えれば、国体持ち回りということが非常に意義あることである、やめる必要はない、こう考えておる一人なんであります。そこで閣議で突如としてそういうことが言い出されてきめられたということでありますが、それは閣議だけで各大臣の御意見できめられたことであるか、あるいは各省において積み上げられた見解として、閣議でそれがきまったのであるかどうかという点が一つ。もう一つは、その決定というものは法律的にどんな意味を持つのであるか。先ほどのお話によれば、これは何も地方団体に対する何らの権限もあるものじゃないということでありますが、先ほど川崎さんからもお話がありましたところの閣議決定というものの意味でありますが、それは要するにそういう決定をした限りにおいては、政府側としては、将来地方持ち回りのための国費は出さない、あるいは地方財政に対して地方交付税その他の措置はしない、こういう意味をなすものであるか。もしそうであるとするならば、来年度からのものを今きめるということは少し早いようである、おそらく今回のいろいろな財政措置の経過を通じて、大臣としてはそういう態度を持たなければ、先ほど申しました数項目に対しての決定をしにくいという立場から申されておるのであるかとも思うのでありますが、要するに閣議を決定せられましても、そうわれわれは重大な問題だとは考えておらないのですが、どういう効果をなすものであるか、その二点についてお伺いしたい。
  73. 太田正孝

    太田国務大臣 第二の点は後藤部長から申し上げますが、第一の、閣議で決定した意味と申しますが、先ほど申し上げました通り予算閣議決定でございます。そのときに予算編成方針を定めました。その予算編成方針の、本年のこの内閣としての考え方は、地方財政の再建を中心としというのが、今年の予算編成問題の重点でございます。しこうしてそれと並びまして、赤字の出ないようにしよう、この二つが今年の国家の予算編成方針の中心になって、地方財政再建を中心としと——文句は少し違うかもしれぬが、中心としという字が正確に入っているのでございます。地方財政の建前から見ての問題は、大となく小となく非常に重きを置いて考えたということを御了承願いたいと存じ上げます。従って閣議できめたことはどうか、法律上の問題はもちろんございません。政治上の問題だけでございます。
  74. 鈴木直人

    ○鈴木(直)委員 下から積み上げられたものか。
  75. 太田正孝

    太田国務大臣 積み上げられたものといっていいと思います。三回にわたって閣議にかけました。各相みんなそこにおりまするから、さよう御了承願いたいと思います。今年の編成方針は、実は従来にない例でございまして、第二段のところでございましたか、一番長くそれが書いてございます。だからこれを攻撃なさる方も、それだけやったのにこれかと、こういうような御質問も出てくるわけでございます。閣議の状況は、川崎さんよく御承知と思いますが、その通りでございます。何の隠すところもございません。
  76. 加賀田進

    ○加賀田委員 大臣にお尋ねいたしますが、今までの説明の中で、もちろん閣議決定されたけれども、法的には何ら効力はない。いわゆる自治体あるいは協会の協力に基いて、政府の閣議決定に努力してもらうという程度だと思います。しかし、もう一つお尋ねいたしたいのは、そういう状態の中で、昨年の臨時国会で決定されました地方財政再建促進特別措置法に基いて、再建団体になろうとして、今後七年間あるいは八年間の財政計画を立てる、議会の決議の文書を出す、この二つを提示して、長官の承認を求めることになっております。そこで、もしそういう財政再建案の財政計画の中で、こういう国体開催予定地で経費の財源が含まれていたとするならば、長官としてはそれに再建団体としての許可を与えない方針なのかどうか。もう一つ、途中で、財政計画に基いた計画以外の支払をした場合には、長官はその停止を命令することができる、あるいはそれで聞かなかったら、利子補給は停止する、こういう罰則がついているわけですが、いわゆる再建計画国体の費用が載っていないで、途中でこういう計画を載せるような場合には、そういうような罰則措置を適用する腹を持っているのでありますか。これは重大な問題で、法的には拘束しなくても、地方団体の実質的な今後の運営を拘束する懸念があると思う。その点を明確にしてもらいたいと思います。これは表を見ますと、三十二年度静岡、三十三年度は富山と計画を立てておりますが、これは県だけではなくして、県下の市町村にも経費の持ち出しがあるわけですから、赤字団体に対して大きな影響があると思います。この際、その点に対して大臣からお答えをいただきたい。
  77. 太田正孝

    太田国務大臣 第一の問題でございますが、予算で閣議できめたことが、法律上の意味がないと私は申しましたが、法律とおそらく同等に考えらるべき予算という意味におきましては、すでに予算案が出ているのでございますから、予算法律関係から見ても、また予算総則に書いてある理由から言っても、その意味の効果があるということは、非常に重大なものと思います。また私どもとしては、責任を負わなければならぬと思います。それから再建団体等のなした場合の問題は、もちろん全体として考えなければならぬ問題で、変にえこじでこの問題を処理しようとは、私は思っておりません。ただあの再建法の中にも、寄付にまで制限をしております。赤字になった団体は、寄付する場合においても制限しておる、これを出す場合には、自治庁長官の許可というようなことまで出ておりますから、そういう意味で考えるので、全体としてこれを処理しなければならぬと思います。変なえこじな考えは持っておりません。こまかい手続のことがございますから……。
  78. 後藤博

    後藤政府委員 再建整備団体との関連において、二つの問題があると思います。一つは、団体ではっきり再建整備をやるということを考えておる団体、たとえば先ほどお話がありました熊本県あたりは、考えておる団体であります。昨年まで赤字が六億ありまして、本年まだ二億くらいはふえるのじゃないか、八億くらいになるのであります。そういう団体が再建計画を立てます場合に、二億とか三億とかいう金を入れるか入れないかという問題があります。一体これは何に財源を求めていくかという問題とも関連があるかと思います。しかしわれわれは技術的な助言をする場合には、やはり国体をやめるべきではないかという意見を申し述べざるを得ないと考えておるのであります。  それから途中でもっと赤字団体になった場合に、同じような問題があると思います。再建団体になりますれば、やはり財政的な助言ということになりますと、財源をどこに求めたか、その特殊な特定財源がない限りは、一般財源でやる限りにおいては、たとえば整理をするとか何とかということと、どちらをとるかということになりますれば、やはり中止すべきではないか、こういうふうな財政的な助言を与えざるを得ないと考えております。
  79. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、私の懸念したように、再建団体になろうとする地方公共団体は、政府に赤字債を求める場合には、そういう実質的な拘束があるのであって、閣議で決定されただけで、あとは法的な拘束はないのだという逃げ方は、これは少し甘くわれわれに考えさそうとする一つの手段だと思います。実際問題として、自治庁長官のそういう拘束力が再建をしようとする団体に対して実際に加わってくる、こういうおそれがあるのではないか。その点どうですか。
  80. 後藤博

    後藤政府委員 法律的な効果は私はないと思っておりますが、結局問題は何に財源を求めるかという問題にかかってくると存じます。それに見合う特定財源を作っていくのであれば、別にこれを押える必要はないと思います。
  81. 中井徳次郎

    ○中井委員 最後に体協の方にちょっとお伺いしたいのですが、こういうふうに地方財政が非常に赤字だというので、その犠牲になって、地方回りが廃止になっておるのは、私まことに不本意なのであります。そういう救済方法といいましょうか、そういう面で私は先ほどお尋ねをいたしまして、非常に経費を節約してでもやるおつもりがあるかと伺ったところが、それをやるつもりだという御返答でございましたが、第二の質問といたしまして申し上げたいことは、非常に貧弱な府県で、しかもそういうものを大いに誘致をして、県民の要望に沿いたいという府県も多かろうと思います。たしか一回くらいあったのじゃないかと思いますが、一つの府県だけでなくして、二、三の府県が合同をして一つやろうじゃないか。先ほどもブロックの話がございました。それに関連があるわけでありますが、たとえば島根県と鳥取県、これはおのおの人口百万以内でありまして、まことに貧弱な県でありますが、一つ山陰地方に持ってきてもらおうじゃないか、あるいは和歌山県と奈良県、そういうふうな考え方も私は起ってこようと思うのでありますが、そういう点についてこれまでそういう交渉がありましたか、そういうお話があれば体協は喜んでお受けになるだろうと思いますが、ちょっと伺っておきたいと思います。
  82. 東俊郎

    東参考人 国民体育大会は第一回を近畿でやりましたが、これは京都と大阪兵庫に分散していたしました。これは第一回で、全然こちらの方としても組織ができておりませんで、やれるところでやっていただいたわけであります。たまたま第二回は石川県が自分の県一つでやるというお申し出がありまして、石川県でやりまして、それから結局やりたいというのが、県単位でみな候補者が出ましたから、県単位でやって参りました。たまたま東北地方でやりました場合に、宮城県と福島県が非常にやりたいということで、私たちもどちらともきめかねたような次第でございます。そのときに、東北ブロックでやればいいじゃないか、そのうちで現在やりたいという宮城と福島と山形、この三県でやろうということになりまして、こちらはうまくいくならけっこうだということでやりました。それと同じ例がその次の四国四県でありました。これをやって参りましたところが、非常に膨大になって参るのでございます。私たちが見ましても、予算的にも、また施設の面も膨大になっておる。また県と県の連絡調整というものが非常にむずかしうございまして、それよりもやはり国体を永続さすためには、日本としてはおのずから規模がある、それはやはり一県でできる範囲じゃないか、こういうことで、先ほど申しましたような最低基準も作り、一県でできる範囲とすれば大体一万人程度、県にもいろいろありますから、一万二千人ぐらいまでの参加人員でやればこなせるのじゃないかということで、あまり膨大になるのを憂えまして、一県ということにまたしぼったわけなのであります。やって参りましたところが、最近こういうふうな財政上の問題もありますし、また今度中国の岡山県が十六回をやりたいということを言っておられますが、山口県と両方でどちらも譲られない。こういうふうなことを私たち考えますと、両方半分ずつやってもらえば一番いいのじゃないか、こういう気持もまた起ってくるのでありますが、少くともこれは将来の問題でございまして、地方持ち回りとして実際具体的に方針をきめるということになれば、当然そういうことを考えなければならぬと思っております。少くとも隣県あるいはその主催の県にごく近いところで、競技場を持っておるところが、協賛するとか、あるいは協力するという形で、一部分費用を分け合うというふうにする方が、あるいは県の負担も少いのじゃないか、やりいいのじゃないかという意見も出ておりますので、私どもも十分そういう点も考えていきたいと思っております。
  83. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 大臣がおられませんから、少し専門的なお話を聞いてみて、大体の衆議院としての考え方が超党派的に出るような方向に進めたいと思うのであります。第一に体協並びに体協の責任者にお伺いしたいのは、現在のところ三十二年度静岡がやるといった場合に、体協では、これに協力をして政府の援助がなくてもやるという考えは今日ありますか。
  84. 東俊郎

    東参考人 体協でありますが、国体に関しましては、四十六都道府県代表者競技団体代表者国体委員会がすべて事をきめるのでありまして、先般その総会におきまして、国民体育大会地方持ち回りをできるだけこの際円満な形で政府の方との話し合いも十分つけて、実行してもらいたい、そのために常任員はせっかく奮励努力せよというふうなことを申し渡されたわけでございまして、私どもといたしましては、そういうふうな事態になった場合に、政府の方の考えを無視して、私たちでやっていくということについては、まだはっきりした態度は表明上ておりませんが、私たち常任委員会の間では、何とかして助成金がなくてもできるものなら、これは続けていきたいという気持は持っているのでございます。三十二年度にそういうふうな状態に置かれてもどうしても完遂するということは、もっとここで折衝する余地があるのじゃないかという気持であります。
  85. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 そこでお伺いしたいのは、体協の最低限度の今日の要求、つまり三十二年度までは少くとも地方回りをやりたいということであるのか、それとも連続地方を回りたい、たとえば国立競技場が完成した後においても、国体地方持ち回りが至上主義であって、東京で開催するのは反対であるという御見解なのですか。
  86. 東俊郎

    東参考人 三十二年度静岡はぜひやりたいという気持をもっております。それから富山以降につきましては、あらためて出されました計画予算というものを文部省と十分打ち合せまして——先ほど自治庁の方でも熊本の金額は聞いておらぬと申されましたが、これは十月の申し合せを再検討するということで、熊本、富山から出してもらいまして、それを文部省と一緒になって削れるものは削る、縮小するものは縮小して最低限度を出したものであります。これを文部省が自治庁と十分打ち合わそうということになりましたところへ一月の閣議になったもので、そのままになっているので、それを後藤さんはまだ御存じなかったと思いますが、これはあの線で御相談いたしたいというふうに思っておったわけであります。従って富山以降につきましては、今申しましたように、もう一ぺん再検討して、できる県では内定した線で進んでいきたい。もしそれでもどうしてもできないというところが出てきましたならば、そのときはどこか東京でやるということは絶対反対じゃありません。東京でやる場合には、いろいろ内容についても、もっと考えなければならない。その場合これができた場合には二年に一ぺんなりに東京でやるということも考えられるという意向を持っております。
  87. 川崎秀二

    川崎(秀)委員 私の質問に関連して東さんの考えを伺って、私もすこぶる同感の線を出したいところであります。ことにこの際自治庁後藤部長にも聞いていただきたいのは、すなわち今年度において地方回りが打ち切られますから、政府の方針通りに従って、民間団体もこれに呼応する意欲を喪失するという段階になれば明年は東京で開催するしかないわけであります。ところが東京では、先ほど私が指摘したように、国立競技場が改装途上で、明後年の一月あるいは明年の十二月でなければ完成をしない。従って国体夏季大会は開催する場所を失うわけです。武蔵野競技場はありますが、これはペンペン草が生えておって、武蔵野あたりでやってみたところで意味はないわけです、野球場でこの国体開催するわけにも参りません。御承知とは思いますけれども、念のため申し上げておくわけでありますが、そのような経路をたどるから、従って明年度開催については、特に答弁を求めませんけれども地方回りの復活ということについて非常に大きな問題が、本質的な問題ももとよりてすけれども、明年度という特殊の年度を限って起っているということを御承知おき願いたいと思います。  それから体協の方に、今後の国体のあり方というものに対して私の考え方を交えつつ、さらに御所見をこの際承わっておいて、今後の進め方に対して国民に行く道を明らかにしてもらいたいと思うのです。私は、終戦後の国民体育大会というものが、従来の明治神宮大会の様式とは違って、各種目を網羅して、しかしてひとり競技本位、競走本位とするばかりではなく、年令別に分けたり、あるいは特殊の種目を設けて多くの人々を動員して、いわゆる民族の祭典的なものに組みかえたという、そういうことについてはまことに共感をするものでありまするし、またそれゆえにこそ国民体育の普及というものの精神がたっとい姿となって国民体育大会に現われている、こういうように感ずるのであります。それに錦上花を添えているのが陛下の行幸などということもありましょう。これは私は、永田君の考え方とは別の考え方を持っておりますけれども、今日地方の民衆に与えている国民感情の上から見れば、見のがすことができないという事実だけは永田君と同じであります。そういうようなことで今日までの経路を見ますと、全国民体育を普及するというような意味の体育施設を各地に残す、ことに貧弱なるわが国の地方都市に体育施設を拡充していくという、この二段の効果が今日まで上ったということは見のがすことはできない大きな功績ではありますけれども、もうこの辺で主要都市で開催するということに切りかえる方がよろしいのではないか。すなわちこれは地方財政に与える影響だけの面ではなくして、従来世界各国の体育大会とか、あるいは主要な競技、選手権大会の開催場所考えてみますと、日本のように福岡でも開催するし、静岡でも開催する、あるいは神奈川県でも開催するというような各ブロックのすみずみにわたるような開催をしている国は、かつて私はその例を見ておらないのであります。今日では、こういう国民体育大会というものは、ソビエト連邦それから南米の一、二の諸国を除いて、それ以外に体育大会をやるところはない。アメリカは、御承知の通り競技中心で選手権大会はもう各地でやっておりますけれども、こういうまとまった総合体育大会はありません。イギリスにおいてもしかり、あるいはその他の諸国においてもしかりであります。しかしこれは日本独特の行事だから、この構想を生かすにしても、今後貧弱な地方府県もその主催都市をきめるというような考え方は、地方財政の問題とからみ合せて、私は相当問題があるのではないかというふうに考えるわけであります。もとよりソ連のように、常にモスクワでやらなければならぬ、こういうふうな中央集権的な考え方を持ったところと、私ども考え方を異にしておりますけれども、理想的に言うならば、かつてドイツにおいて陸上競技の選手権大会というものが、やはり全国各地において催された。これはヒトラー治下ではあったけれども、全国の青年層に与えた影響というものは非常に大きくて、これを各国ではまねるようになっております。しかしこれもベルリンを中心として、フランクフルトであるとか、デュッセルドルフであるとか、あるいは、ミュンヘンであるとかいうところであって、全国の二十都市とか三十都市に分散して毎年行うというような考え方は、ドイツにもない。従ってこの辺で一応中央に返るという考え方は当然持たれるべきでありまして、その意味で、私は、国立競技場が完成する三十三年以降においては、主としてやはり東京でやるべきが、国民体育大会としてのまとまりをする意味において、よろしいのじゃないかというふうに考えます。しかし田畑君の御指摘の通り、東京都ではなかなか入場者は入らない——これは工夫によって私は相当に入り得ると思う。たとえば水泳の選手権大会を兼ねておやりになるのも一つ方法でありましょうし、水泳、野球というような入場者の多いところで収入をあげていただいて、野球などは大学の野球というものを組み合せをうまくすれば相当な収入の上ることは御承知の通りであります。そういう組み合せをして、他の競技は普遍的なものをするとか、そこには相当な工夫があってしかるべきで、いつまでも地方に行って——中には体協の幹部のこういう悪口を言う人もあるのです。国民体育大会のときに天皇陛下について行っていい顔をする、あるいは地方へ行って名士みたいな顔をして回っておる、ああいう国民体育大会を利用してのいろいろな動きは不愉快だという——これはあなた方の勘にさわることであろうけれども、そういう悪口を言う者もあって、地方回りするということは体協の幹部の物見遊山だというようなとんでもない悪口を言う者も、中にはあるのであります。従って私は、地方持ち回りということに対しては、この程度において転換すべき時期が来ておったと思う。たまたま地方財政の深刻な問題からこの問題が発展をしてきたのであって、この点について相当な考慮を加えてしかるべきではないかと思います。  それからもう一つ、私の意見も申し上げて御見解を伺いたいのは、このようにスポーツ行事というものが多くなってくると、国際的な行事あるいは国家的な行事というものが錯綜しまして、国民としては本年は何が中心であるかということを、やはり気持の上において持つことの方がいいのじゃないか。オリンピック大会もあれば一方国内における国体もあるというようなことでは、スポーツに対する集中度というものも、国民の側においてもスポーツマンの側においても欠けるところがあるのじゃないか。私の考え方でありますが、こういうことは考えられないか。たとえば本年はオリンピック大会があります。また国民体育大会もあるけれども、これは決定したことだから、両方とも遂行されるわけであります。ことに一方は国際的大会であるから変更することはできない。明後年度以降、すなわち三十三年度以降のことを考えてみますと、三十三年度にはアジア大会というものがある。これはアジアの若人が集まって行う非常に大きなアジア民族の祭典である。その年に国体を一方においてまた行うということは、それは意味は違うけれども国民にとって非常に錯綜した感じを与えるのではなかろうかということから、やはりこれについてはスポーツの大きな行政の意味においての一つの規制が必要だというふうに考えるのであります。従ってアジア大会のあった年には開催しない。オリンピック大会のあった年には開催しない。すなわち隔年開催にして、そのうちの一年を東京でやるとすれば、四年に一ぺんしか地方に回らないということになりますが、この点を十分勘案されて進められることが、民族感情にも合い、経済のバランスもとれ、また地方に与える影響相当調整されていくのではないかというふうに考えるのでありますが、これらの点について最後的に御意見を伺い、私の質問を終ろうと思います。
  88. 東俊郎

    東参考人 ただいまの川崎さんの御意見まことにごもっともなことと思います。私たち国民体育大会をやっておりますといっても、私たちも無理にやらされてやっておるのでありまして、本職は別にあるのでございますから、ない方が便利であります。国民体育大会をやって、今日までいろいろな形になって参ったにつきましては十分反省もし、どういうふうにすればほんとうの国民体育大会であるかということを考えております。ただいま申されました東京都でやる、あるいは二年おきに東京都でやるというようなことにつきましても、私たちは十分謙虚な気持でこの御意見を受け入れて反省し、考えていきたいと思います。どうしたならば地方財政負担をかけないか、どうしたならば国民体育大会がほんとうの国民体育大会意義を発揮できるかということを基準にいたしまして、どこでやるかということをきめていきたい。またその規模も構想も考えていきたい。とにかく十回を重ねました今日、一応白紙に帰って十分検討するということは私たちも十分認識し、考えております。そうしなければ将来育たない、こういうふうにも思っておりますので、そういうふうにやっていきたいと思います。
  89. 永田亮一

    ○永田委員 今川崎スポーツ大臣から非常にうんちくのあるところを伺いまして感銘を受けたのでありますが、東さんが謙虚な気持で白紙に帰って考えられるという御意見、これもまことにけっこうであります。ただ私は一つ率直に申し上げてみたいのでありますが、この体協の方々国体地方持ち回りしたいということを強く主張されておった理由でありますが、これか表面はとにかく日本の全国に日本人全体のスポーツ熱を盛んにして体位も向上する。これはまことにけっこうでありましてだれも異存はないわけであります。ただ巷間伝えられるところによりますと、国体から上ってくる入場料の問題です。体育協会の維持費、経営費というものが今まで昭和二十二年まですか、国から補助をされておった。ところが新しい憲法によって、こういう体育団体に対して国が補助するこいうことを禁止されたために、この体育協会の経費が出どころがなくなった。その経費を捻出する一番大きな根源として国体地方に持って回る、入場料のピンハネというと言葉が悪いですけれども、そこから持ってこようとしておるのではないか。東京で体育大会をやった場合には、東京の人はみんな目が肥えておるから入場者が少い、そうすれば入場料も上らない、地方でやれば相当多額の入場料があるために体育大会の経費もそこから生まれてくる、こういう隠れた一つ理由があって、国体地方に持ち回った方がいいということを体協が主張されておるのではないかという意見があるのであります。これを私は申し上げるわけでありますが、これにつきまして体協の経費と申しますか、一年間の経営費がどのくらいかかるものか、人件費が幾らくらいか、事務費が幾らくらいか、事業費がどのくらいか、その中で国体の入場料から上ってくる分が何パーセントくらいそれをまかなっておるか、こういうような点についてお伺いしたいと思います。
  90. 吉田清

    吉田参考人 国体をやって地方から入場料の上がりをとって、それで維持していきたいために地方へ回しておるんじゃないか、こういうことが伝えられておるというお話でございます。結果的にはそうなるのでございますが、そういうようになったということにつきましては、決してそれを目標にしたということにはならないのでございます。こう言いますと、大へん逃げ言葉のようになりますけれども、先ほど私から申しましたように、国が補助していたのを補助ができない、従って国体にそれを補助するから、こういうお話になりました結果、そういう持ち回りが行われることになったのでございます。  それで、体協が一年間の経営費としてどのくらい使うか内容を知らせろということでございますが、詳しい予算案を手元に持っておりませんので、大へん失礼でございますが、全体の経費といたしまして、一年間一千三百万円でございます。そのうち人件費が約四百万円くらいでございます。あと国体そのものを開催するために、やはり本部といたしまして、そのほかに人を入れたり、あるいは会議を催したり、そういうような費用が約二百五十万円ほどでございます。そのほか会そのものを運営していきますために、御承知のように会館もございますし、給仕も小使いもいるわけでありますので、そういうもののために全体で一千三百万円ほどでございます。  加盟団体から加盟費として収入を得ておるのが、約三十万円くらいでございます。これは三十三ほどの加盟団体か拠出しておる金でございます。それから地方支部、つまり沖繩がやはり体育協会として加盟しておりまして、四十七ございます。それの経費が一県五十円でございまして、これが二十三万幾らかになります。結局お話のように、それでは一千三百万円のうちのほとんど一千万円近い分は国体じゃないかということになりますが、事実内容はそうでございます。繰り返して申しますが、これを地方開催したいために、それを得んがために開催しておるという動機が、先ほど申しましたような次第になっておりますことを御了解釈いたいと思います。
  91. 田畑政治

    田畑参考人 今の入場料をとるということに関連して。今のアマチュア団体というものは政府からの援助もありませんし、大きな寄付もありませんので、すべての団体が入場料で、協会の運営費や選手の費用等をまかなっておるわけであります。たとえば水泳でありますと、ことしの冬のオリンピックのために、六十何人かの選手をこの正月に十日間合宿きせ、この四月には女と男を合せて約百人の選手を合宿させてオリンピックのために備えますけれども、その全部の費用が選手権大会の入場料であります。それ以外に一銭もほかから寄付されてはおりません。だから日本における競技団体というものは、入場料によってまかなっていく以外に方法がないのでありますから、根本的に、国民体育大会の入場料で体協が運営されているということは当然だと思います。ところが前には一番重要な四十万円、今にして三百倍、およそ一億二千万円くらいの補助金があって、そのうちのほぼ半分くらいを国体で使ってやってきたのですが、その後政府の援助がどんどん少くなってしまって、国体をやる費用よりも少い額になってしまった。それで今体育協会方々から金をとっておるという印象を与えておるが、これは非常にまずいと思う。  そこで、ここで私たちの今後の考え方を申し上げますと、今の岸体育館は、岸氏がなくなるときに百万円寄付されまして、あの体育館ができた。この敷地が約三千坪、これを三十万円で買った。これは今明治大学、中央大学、日本大学等買い手があるから、これを手離せば三億円くらいですぐ買い手がある。これを銀行などに運営させれば、二億円ならば一年に一割の利子としても三千万円ということでやっていける。そうして体協を改めてそういう非難を受けないようにしていきたい、入場料だけでまかなうということでなく、今後はそういうようにしたいと思います。  もう一つ今の川崎さんのお話ですが、これは確かに国民体育大会を東京でやるということにするよりは、これを日本オリンピック大会にしなければいけないと思う。国民体育大会の一番いいあり方は、私の私見から申しますと、川崎さんの言うように年に一ぺん、あるいは四年に一ぺん日本オリンピックを東京でやる。その間、こっちの小学校の校庭、あっちのグラウンドというようなところでかけっこでも何でも全部やるんだというのが、ほんとうの国民体育大会のあり方だと思うのです。それを今の場合のように地方持ち回りをやってみても全部のいい選手を集めてやろうということはなかなかむずかしいのです。結局小学校の先生や何かが幾らやってみたところで、世界のレコードは十秒三だ、なんだあいつは十三秒で走っているじゃないかというんでは、入場料を払ってまでだれも関心を持たない。こういうように現実と理想との開きがあると思うのであります。一番いいのは日本オリンピックにしてしまって、その週間だけ日本中で鎮守の森の広場ででも何でもやるということになれば一番いい姿だと思うのであります。
  92. 永田亮一

    ○永田委員 先ほどの吉田さんの御説明ですと、体協の一年の費用が千三百万円、そのうち加盟している競技団体の方から三十万円くらい、それから地方支部四十七団体からも二十何万円ですか入ってくるだけだ。そうすると合計五十万円ぐらいしか入ってこない。千三百万円の体協の経費の中で入ってくるものは五十万円ばかりだということになりますと、差引千二百五十万円というものは、国体の入場料から入ってきた経費でまかなっているということですね。
  93. 吉田清

    吉田参考人 そのほかにもちろん寄付金でありますとか預金の基本財産の利子だとか、そういうのがございまして、そうして九百万円から一千万円の入場料があればそれで成り立っていくということになっております。
  94. 永田亮一

    ○永田委員 そうするともしも地方でやらずに東京で開催をした場合に、東京の人の目が肥えておってほとんど入場者がない、入場料を払う者がないということになってきますると、体協は経営費も出てこないということになるわけですね。
  95. 吉田清

    吉田参考人 結果的にそういうことになります。従って東京で開催する場合、これを体協自体が入場料でその開催を実施するということは不可能であります。
  96. 永田亮一

    ○永田委員 そこが非常に大切なところだと思うのです。それで私は地方赤字解消という問題と合せてこれはよく考えてみなければいけないと思います。先ほど川崎スポーツ大臣がおっしゃったように、このやり方を東京でやるということは、これは地方赤字解消の問題とは非常に重大な関係があるのですが、東京でやる場合に、今川崎さんも提案されましたが、非常に人気のある水泳の競技であるとか六大学の野球をあわせて行う、そういう工夫を何かやって入場者が相当あるような方法考えていく、これが今後のやり方としては一番いい方法ではないかと思うのです。今田畑さんもおっしゃいましたが、東京オリンピックですか、そういうような構想にこれから持っていく方が、私は地方財政赤字問題と同時にこれを一挙に解決する問題じゃないかと思います。私の私見をちょっと申し上げておきます。
  97. 田畑政治

    田畑参考人 それをやりますと結局体協の維持費は出るわけです。各参加団体競技団体そのものは全然動きがとれなくなってしまう。今水泳とか陸上とかいうものは、競技団体の選手権大会の入場料でやっていくわけなのです。二十八か何かの競技団体がありまして、それが集まって日本体育協会というものを作っておる。日本体育協会がやるものはオリンピックとアジア大会と国民大会だけであります。各競技団体に要する費用が今申し上げたように一切で千二、三百万円であったと思うのです。ところが各競技団体というものは、これも全然収入の道はないわけなのです。選手権大会だけで一年をまかなっていく。選手協会をやっているわけですが、それを一本にしてしまって、水泳も陸上もラグビーもバスケットも全部選手権大会に集めてしまうということになると、おそらく千万円から二千万円程度のものが入ると思うのです。体育協会はやっていけますけれども、その母体の競技団体というものは全然収入のないところなのです。だから今お願いというのは、松村前文部大臣が、何とか単独法を作って、昔みたいに体育だけにできるようなことを考えようということでやってくれていたのですが、これはおやめになりまして実際は文部省でも考えているのじゃないかと思いますけれども、そういう問題が解決しない限りにおいてなかなかその点はむずかしいと思います。東京でやる場合においては、入場料が千万ないし二千万あるとしましても、それで運営するとしたら、おそらくそれではやっていけない。国民大会自体をやっていく運営費が入場料ととんとんにいけば、一ぱいじゃないかと思います。それから千万円余るにしても、これは体協の運営だけであって、各日競技団体は全然金がないということになってしまう。結局、前の松村さんが考えていられたように国庫補助をしてもらうか、そうでなければあそこを売ってしまってやっていく道しかない、その両方を真剣に考えております。
  98. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日はこの程度にいたします。  参考人の皆さんにごあいさつを申し上げます。本日はきわめて長時間にわたっていろいろ実情をお述べいただきまして、委員参考になったことと思います。ありがとうございました。  本日はこれをもって散会いたします。なお次会は公報をもってお知らせいたします。    午後四時五十五分散会      ————◇—————