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1956-02-09 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 大矢省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 重延君 理事 北山 愛郎君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    唐澤 俊樹君       川崎末五郎君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    灘尾 弘吉君       山崎  巖君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       櫻井 奎夫君    西村 彰一君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 二月七日  農業事業税設定反対に関する請願原捨思君  紹介)(第三二二号)  市町村職員共済組合法の一部改正に関する請願  (多賀谷真稔紹介)(第三六七号)  同(石坂繁紹介)(第三八七号)  公衆浴場業に対する固定資産税軽減に関する請  願(杉山元治郎紹介)(第三八四号)  公衆浴場業に対する事業税軽減関方行政一す  る請願杉山元治郎紹介)(第三八五号)  公営住宅起債増額に関する請願野田卯一君  紹介)(第三八六号)  合併町村育成強北に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第三八九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度地方財政計画に関する件     —————————————
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  昭和三十一年度地方財政計画について政府当局より説明を聴取いたします。太田国務大臣
  3. 太田正孝

    太田国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和三十一年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十一年度地方財政計画策定に当りましては、わが国経済及び地方財政の現況にかんがみまして、地方制度調査会などの答申の趣旨をも尊重の上、国の予算編成方針に即応いたしまして、今後地方財政赤字の発生を見ないよう、地方財政計画合理化をはかることを根本方針といたした次第であります。この方針に基きまして、計画策定具体的指針といたしましたのは次の七項目であります。  第一点は、給与実態調査の結果に基きまして地方財政計画上の給与費算定適正化するほか、物件費その他の経費についても、昭和二十九年度決算を基いといたしまして再算定を行い、その合理化をはかることにするのであります。  第二点といたしまして、各種国庫補助負担金補助負担率引き上げ補助負担単価及び対象の合理化をはかることによりまして、地方負担軽減をはかることにするのであります。  第三点といたしまして、教育委員会委員公選制廃止、その他地方行政機構及び運営簡素合理化をはかることにしております。  第四点といたしまして、自主財源増強地方交付税税率引き上げ等措置を講ずることによりまして、地方財源充実をはかることにしておるのであります。  第五点といたしまして、公債費累増を緩和するため財源充実措置と相まちまして、普通会計における地方債の額を漸減することとするのであります。  第六点といたしまして、公営企業会計地方債を増額することにしております。  第七点といたしまして、合併市町村育成をはかることにするのであります。  また本計画策定前提といたしました地方行財政制度改正点のおもなるものは、次の点であります。  第一に、地方自治法改正して、地方団体機構及び運営簡素合理化をはかることであります。  第二に、地方公務員法改正しまして地方公務員について停年制実施する道を開くとともに、市町村公平委員会廃止統合を行うことにしております。  第三に、教育委員会委員公選制廃止し、及び教育委員会制度簡素合理化をはかることにしております。  第四に、義務教育職員恩給費につきまして、その半額を国庫負担する制度を創設することにいたします。  第五に、河川砂防等にかかわる国庫補助負担率引き上げまして、さらに国の直轄事業にかかわる地方団体分担金軽減することにしております。  第六に、受益者負担制度を拡張いたしまして、施設充実に要する財源を確保するため、目的税として軽油引取税及び都市計画税を創設するとともに、国及び地方団体の所有する公用及び公共用以外の固定資産につきまして国及び地方団体から当該固定資産所在市町村に対しまして固定資産税相当する額の交付金を交付する制度を創成するなど、地方税源充実をはかることにしております。  第七に、入場譲与税法改正いたしまして、入場税全額を譲与することとするとともに、地方交付税の不交付団体に交付する入場譲与税につきましては、これを制限いたしまして他の府県に再譲与することといたしまして、財源調整の機能を強化することにしたのでございます。  第八に、地方交付税法の一部を改正いたしまして、交付税率を百分の二十二から百分の二十五に引き上げまするとともに、算定方法合理化をはかることなどの諸点でございますが、右のほか国の予算におきましては、補助基本額及び補助単価につきまして、なるべく是正措置を講じ、公債費の重圧を緩和するため既発行地方債の借りかえの実施起債条件合理化をはかりまして、普通会計における地方債はなるべく一般財源に振りかえるとともに、公営企業会計地方債を増額することといたしました。また財政再建債増加しまして、地方団体財政再建に遺憾なきを期することといたしたのでございます。  以上のような前提のもとに昭和三十一年度地方財政規模算定いたしました結果、その歳出規模は一兆四百五十六億七千万円となりまして、昭和三十年度修正地方財政計画財政規模に比べてみますると、約五百三十億七千七百万円を増加することになるのであります。  次に歳出及び歳入のおもなる事項につきまして簡単に申し上げます。先づ第一に歳出であります。その一つ給与費でございます。給与費につきましては、給与実態調査の結果が判明いたしましたので、これに基きまして給与単価職員数昇給率等につきまして所要の改訂を行い、その適正化をはかりますとともに、明年度増加する児童生徒数に対応する義務教育職員にかかわる増加額を見込みまして、総額四千十一億六千九百万円と算定いたしました。その結果、前年度に比べまして二百七十九億一千七百万円の増加となっております。ただ職員数につきましては、町村合併の推進、停年制実施等によりまして、なお相当合理化が期待せられますので、できるだけすみやかに標準職員数算定し、差額の縮小を行うことといたしまして、とりあえず明年度におきましては約一万人程度整理を期待することといたしました。また、適正給与総額を上回る部分につきましては、地方団体自主的処理を期待することといたしているのでございます。  その二は恩給費であります。恩給費につきましても、かねてその算定合理性が問題とせられまして、すでに昭和三十年度修正地方財政計画におきましてその大部分是正したのでありますが、今回さらに昭和二十九年度決算の分析の上に立って是正を行うこととしたのであります。その結果、前年度に比べまして七億五千三百万円の増加となっております。  その三は、公債費であります。公債費につきましては、その累増地方財政の窮乏を激化するものとして、つとに改善が叫ばれていたのでありますが、本計画におきましては普通事業債を百八十五億円減ずるほか、借りかえ債八十億円を準備することによりまして、その緩和をはかることといたしたのであります。  その四は、その他の消費的経費であります。このうち国庫補助負担金を伴います経費につきましては、それぞれの予算額に基きまして積算を行い、その他の経費につきましては、昭和二十九年度決算基礎として再算定を行なったのであります。国庫補助負担金を伴うものにつきましては、国庫補助負担金基本について合理化が行われておりますが、前年度に比べまして二十六億四百万円の増、その他の経費につきましても相当額増加となっておるのであります。なお、その他の経費算定基礎には、増加義務教育職員旅費の増三千二百万円、町村合併の進行に伴う減三十七億四千百万円、人口増等による経費の増二十四億四千二百万円が含まれております。  その五は、公共事業費であります。公共事業費につきましては、国の予算額に基き積算したのでございますが、昭和三十年度修正地方財政計画事業費総額に比べまして六十一億三千三百万円の減となっております。特に国庫補助負担率におきまして相当大幅な引き上げが行われておりますので、地方負担額のみについては八十一億四千八百万円の軽減がはかられたことになります。  その六は失業対策事業費でございます。失業対策事業費につきましても、公共事業費と同様の方法により積算を行ったのでありますが、前年度に比べまして事業費総額において十六億三千五百万円の増加となっております。  その七は、単独事業費でございます。単独事業費につきましては、昭和三十年度修正地方財政計画において、相当修正が行われておりますので、この額を基本とし、災害復旧事業等当然の減少及び合併市町村建設事業費の増を加減した結果七百三千三億五千五百万円となりまして、前年度に比べて、一億六千四百万円の増加となっております。  その八は、不交付団体における計画外歳出でございますが、給与費是正等によりましてその額は百三十五億五千二百万円となりまして、前年度に比べまして約百七十四億円の減となっております。  第二は歳入でございます。  その一は税収入でございます。税収入につきましては昨年行いました税政改正の平年度化一般経済状況の推移、昭和三十年度中における国民所得増加等によりまして約二百七十七億七千四百万円の自然増加が予定せられるのでございますが、地方税源充実措置により約百十二億四千四百万円の増収が期待せられるので、合計三千九百七十六億八千四百万円となって、前年度に比べまして、三百九十六億六百万円と大幅な増加を見ておるのでございます。  その二は譲与税であります。譲与税収入地方道路譲与税率の平年度化による減、昭和二十九年度分の揮発油譲与税清算分及び入場税収入全額を譲与することとしたことによる入場譲与税の増を見込みまして、二十八億三千三百万円の増となっております。  その三は地方交付税であります。地方交付税は、税率を三%に引き上げることにいたしました結果、自然増収分をも含め一千六百十五億九千百万円となりこれに昭和二十九年度分の清算分十二億七百万円を加えた額でありまして、前年度に比し二百五十三億九千五百万円の増加となっております。  その四は、国庫補助負担金でございます。国庫補助負担金は、普通補助金において六十二億四千三百万円、公共事業費補助金において十二億七千八百万円の増となっております。増加のおもなるものは、義務教育費国庫負担金生活保護費警察行政費公共事業費失業対策事業費でございます。  その五は地方債でございます。地方債につきましては、地方財政の現状にかんがみまして、地方財源増強ともにらみ合せ普通会計における地方債はこれを漸減し、公営企業会計地方債増加することを基本方針とした結果、公共事業費地方負担額軽減ともあわせまして、普通会計における普通事業費は五百七十五億円といたしまして、これに借りかえ債八十億円、退職手当債六十億円を加え七百十五億円としたのであります。この結果地方債は前年度に比し七十五億円を減ずることになりました。  なお明年度における地方債は右の外公営企業債三百六十五億円、財政再建債二百億円を準備いたしまして合計一千二百八十億円となります。前年度に比べまして十四億円の減、その資金別を申しますと内訳政府資金八百四十億円、公募四百四十億円となるのでございます。  その六は、雑収入でございます。雑収入は、昭和二十九年度決算をも勘案の上に前年度規模基礎とし、これに人口自然増による増加額各種使用料、手数料の料率の改訂等による増加額を加減いたしました結果、昭和三十年度に比べまして五十億六百万の増加となっております。  以上が昭和三十一年度地方財政計画概要でございます。この計画によりまして従来問題とされていました、いわゆる既定財政規模是正の問題は、ほぼ解決を見たものと考えております。最近の地方財政は一段と健全化への努力を重ねまして、再建の実は日に月にあがりつつありますが、政府といたしましては、さきに制定を見た地方財政再建促進特別措置法適実実施によりまして、既往の赤字整理に努めまするかたわら、この計画実施を通じまして、地方財政健全性の回復になお一そう努力いたして参りたい所存でございます。
  4. 大矢省三

    大矢委員長 次に財政部長より補足説明を求めます。後藤財政部長
  5. 後藤博

    後藤政府委員 お手元にお配りいたしております書類につきまして補足説明をいたしたいと思います。なおこまかくは三十一年度地方財政計画説明に載せているのでありますが、便宜ただいまお配りいたしました計画と、もう一つ現行制度による収支見込額、こちらの方を中心にお話し申し上げたいと思います。計画ができます経緯をお話し申し上げた方がいいと思いますので、参考の「昭和三十一年度地方財政収支見込額に関する調」、こちらの方からお話しを申し上げます。  これは現行制度で参りました場合にどの程度不足が出るか、どの程度財政需要増加しているかという調べでございます。三十一年度地方財政収支計画をきめます場合に、まず、先ほども大臣から御説明がございましたように、二十九年度決算基礎にいたしまして、二十九年度決算を洗って、その中から従来の計画是正を行なったのであります。もう一つ先ほどもお話がございましたように、給与実態調査基礎にいたしましてその内容を反映させまして、新しい給与費算定がえを行なったのであります。この参考の一の歳出の方からごく簡単に申し上げます。  まず消費的経費でありますが、このうちで給与費現行制度で参りますと四千三十八億二千九百万円になります。これは三十年度計画から見ますと約三百五億ばかりふえております。その内訳は議員、委員報酬等が七十億、これは従来のものに〇・二五の手当分を加えたものをここに掲げております。それから義務教育職員が千五百三十億七千三百万円、この義務教育職員関係は(a)として児童生徒増に伴う教員の増を二十一億五千六百万円掲げております。これは御存じの通り児童生徒が三十一年度になりますと約五十一万人増加いたします。この増加に伴いまして、七千二百十八学級ばかり学級がふえることになります。これに見合うところの小、中学校先生増加を見込んだのでございます。小学校の先生の増は五千九百七十二人、中学校は千四百四十六人の増加を見込んでおります。そのほかに盲学校に五百一人の増を見込んでおります。この小、中学校盲学校を合せまして、七千九百十九人の教員の増を見ておるのであります。その下の(b)その他の方には、従来の職員昇給分とそれから〇・二五分と、お産のために休みますところの女子職員の補填のために要する経費約一億ばかりを入れております。それからその次の警察職員は、これは三十一年は警察官整理をすることになっておったのでありますが、その警察職員のうちで警察官だけは整理をやらないことになりましたので、事務職員整理だけを千二百三人見込んでおります。そのほかに昇給分と〇・二五分のものがここに入っているわけであります。昇給は従来は一般職員もそうでありましたが、全体の職員につきまして二・五%の昇給率を見ておったのでありますが、国の方の昇給の実積を見ますと四%になっておりますので、三十一年度計画の中では昇給率は四%の計算でやることに直しております。それからその次の一般職員及び義務制以外の教員等二千六十三億五千百万円の中には、いわゆる一般職員給与費が全部入っているわけであります。一般職員の総数は県市町村を合せまして五十九万三千五百十四人であります。それから義務制以外の教員は十万五千三十人、そのほか消防職員が三万二百七十八人、合せまして職員総計が七十二万八千八百二十二人になっております。その給与費がここに入っております。で実態調査の結果、今申しました七十二万八千人のうちで一般職員が五十九万三千人と申しましたが、その五十九万三千人の数を出しましたのは、昨年の一月の実態調査の人員は六十二万八百六十七人であります、このうちで昨年の一月から本年度の終りまでに従来の既定整理計画及び合併等によりまして減少するものが一万七千八百一人であります。それを引きますと六十万三千六十六人になります。さらに来年度停年制も設けられますし、県市町村ともそれぞれ給与費合理化をはかっておりますので、市町村及び府県それぞれ、府県は約一%、市町村は約二%の整理を行うものといたしまして、その数九千五百五十二人を引きますと、五十九万三千五百十四人になります。その給与費であります。従来大蔵省と自治庁との間に五万一千四百六十人開きがあるということをいわれておりましたが、この五万一千四百六十人のうち一万四千八百十人を落した三万六千六百五十人、この分だけが是正された形で、ここに入っております。  次に恩給費及び退隠料でありますが、これは昨年より七億ばかりふえております。次の公債費は昨年よりも百十二億ばかりふえております。  次の物件費及びその他の経費、これは二十九年度決算基礎にいたしまして、県が一五%、市町村が一〇%くらいの物件費の減を三十年度で見ましたので、その数を引きましてここに掲げております。三十年度から見ますと、総額で五十二億ばかりふえております。あと計画の方で申しますが、三十年に比べまして、旅費物件費だけを見ますと百四十八億ばかりふえたことになっております。  次の人口等増加に伴う経費の増、これも二十九年度決算基礎にいたしまして二年分の増加を見ております。総額二十四億四千二百万円。  次の教育委員会委員及び海区漁業調整委員会委員選挙費十六億四千五百万円、これは現行制反で参りますと選挙があるということになっておりますので、十六億四千五百万円の額を掲げたのであります。これは教育委員会関係あとで落しております。  次の市町村合併に係る経費の増減、これは従来の計算で参りますと三十七億四千百万円だけ減になるのであります。  総計消費的経費は七千五百八十九億九千六百万円になります。  次に投資的経費でありますが、公共事業費が千八百三十七億四千三百万円で、これは前年に比べますと四十一億ばかりふえております。これは現行制度で行ったわけでありますのでふえるのであります。  それから失業対策事業費が二百九十億五千四百万円、これは大体同じで、一億くらいふえたことになっております。  単独事業費は七百三十三億五千五百万円、これも昨年よりも二、三億増加しております。  投資的経費の計は二千八百六十一億五千二百万円、昨年よりも総額において四十四億ばかりふえております。  歳出合計が下にございますが一兆四百五十一億四千八百万円、昨年の歳出の計は九千九百二十五億九千三百万円でありますので、それと比較しますと五百二十五億円の歳出の増になっております。  次の歳入でありますが、歳入現行制度で参りますと地方税が三千八百七十二億四千万円、昨年よりも二百九十億ばかりふえております。これは自然増収分であります。それから譲与税は二百二十億一千九百万円で、昨年よりも十二億ばかりふえております。それから地方交付税は千四百三十四億七百万円、昨年の当初予算は千三百七十四億でございましたので、六十億ばかりふえております。この六十億の内訳は、四十八億が基礎となりました三税の自然増収あとの十二億が二十九年の決算によりまして三税の自然増収のうちで約二〇%のものがはね返って参ります。その十二億があります。従って六十億ばかり昨年の当初よりもふえているわけであります。それから次の国庫支出金二千七百八十六億六千三百万円、これは昨年の当初から見ますと八十三億ばかりふえております。それから地方債は七百九十億、現行制度で参りますと昨年と同額七百九十億をここに掲げております。雑収入は千九十億三千三百万円、これは昨年の当初よりも十八億ばかりふえた数字になっております。歳入合計が一兆百九十三億六千二百万円になります。その歳出歳入との差額三百四十四億八千八百万円、これだけが財源不足という格好になるのであります。  その三百四十四億八千八百万円をどうして措置したのかというのが次のページにございます。その不足財源に対する措置のうち、第一は歳出でありますが、歳出は都道府県及び市町村教育委員会委員公選制廃止をいたしたいと考えておりますので、その額十五億二千万円であります。それから地方自治法の一部改正に伴う経費の減を四億一千九百万円、それから公共事業費補助率が変って引き上って参りますし、また公共事業費節約等によりまして経費の減が、八十七億三千四百万円であります。公共事業費の率の変りましたのはお手元に配付しております説明資料の十四ページに事項別にこまかく載せております。たとえば中小河川が五割補助が六割になりますとか、海岸堤防関係もやはり五割が六割になりますとか、主として従来非常に負担の多かった河川砂防造林等各種事業費補助率が一せいに上って、負担が非常に減少して参ります。そういう関係で八十七億だけ地方負担が減じて参ります。それから次に普通補助金整理等に伴いまして経費が四十億ばかり落ちて参ります。しかしその次の項の補助金整理に伴って地方一般財源に振りかえたものもございます。事業をやめてしまうわけに参らないものは地方一般財源に振りかえておりますので、新しく十七億三千二百万円の増になります。歳出の方で総計いたしまして百三十億三千万円だけ措置したことになるのであります。  歳入関係でありますが、歳入関係におきましては、譲与税を含んで地方税税源充実をはかって、百二十億六千六百万円の増収を見込んでおります。そのうち地方税制度合理化によりましてこまかい非課税のものがふえて参りますので、八億ばかり歳入の方は減少になります。  それから地方税源配分合理化、これは入場譲与税配分合理化いたしますが、その関係で十六億二千二百万円だけ出て参ります。  それから次の地方税等充実、これは百十二億四千四百万円ございます。三公社国有林野等交付金等によりまして五十八億七千三百万円の増加を見込んでおります。このうち三公社関係は四十六億、平年度九十二億であります。それから軽油引取税は二十四億五千四百万円、軽油一キロリットル当り六千円の税率でもって課税をいたすことになっております。それから都市計画税、これは二十九億一千七百万円、この税率は土地及び家屋の評価額の〇・二%であります。以上によりまして地方税の増を百二十億六千六百万円見込んでおります。  それから地方交付税の増、これは税率が二二%から二五%になります関係で百九十三億九千百万円だけ増加になります。  それから次は公共事業費補助率引き上げ及び節約等に伴いまして国庫支出金が少しふえて、五千百万円ばかりふえて参ります。  それから普通補助金整理等に伴う国庫支出金の減、これは普通補助金整理されました関係国庫支出金が八億八千四百万円だけ減になります。  それから地方債を七十五億ばかり減らしております。先ほど申しましたのは、現行制度で参りました場合に七百九十億と申しましたが、今年は地方債増加を抑制するために全体的に地方債の考え方を変えまして、一般会計分で七十五億円落しております。がその七十五億分が減になります。  それから雑収入の増三十一億八千四百万円、これは受益者負担制度充実が五億、そのほか高等学校の授業料の二割の引き上げ、それから警察の自動車関係の手数料の引き上げ、その他政令によるところの各種の手数料が上って参りましたのでその増収を見込みまして、二十六億八千四百万円見込んでおります。  歳入の計が二百六十三億であります。上の歳出歳入を合せまして三百九十三億三千八百万円の不足財源に対する措置を行なった次第でございます。  こういう措置によりまして、もう一枚あります財政計画ができたのでございます。できましたものをもう一度、従来と非常に違っているところだけをごく簡単に申し上げますと、三十一年の財政計画給与費が昨年に比べて非常に伸びております。給与費総額は四千十一億六千九百万円でありまして、昨年よりも二百七十九億一千七百万円ふえております。この中には給与費是正分と、従来の昇給率引き上げその他いろいろな措置によるところの額が入っておるわけであります。  次に非常にふえますものは、歳出のその他のうちの維持修繕等国庫補助負担金を伴わないもの、これは旅費物件費と称するものでありますが、これが百四十八億ばかり昨年よりふえております。それから公共事業費関係は六十億ばかり昨年より減っております。単独事業費で一億ばかりふやしております。投資的事業総額では四十三億ばかり減ったことになっております。その差引の項目別の増減は、お手元に配付してございます資料の七ページにあります。  歳入の方の関係から申しますと、先ほど措置を含めました地方税を初めとするところの税、交付金国庫支出金地方債等の増減もやはりその表に出ております。簡単に大きなところだけを申しますと、三十年三十一年との地方税関係では、昨年よりは、三百九十六億ばかり増加いたしております。それから譲与税は二十八億ばかり増加いたしております。それから地方交付税は二百五十三億九千五百万円増加いたしております。国庫支出金は七十五億ばかり増加いたしております。地方債は、先ほど申しましたように、当初から見ますると七十五億ばかり減っております。それから雑収入は、五十億ばかり増加しております。  それから次に三十一年度地方債計画が三ページございますが、普通会計分が五百七十五億、財政再建債等が百九十億、公営企業会計分が三百六十五億、合せまして千百三十億、これが投融資計画の中に載っております。そのほか投融資計画のワクの外に百五十億の公募債を載せております。従って地方債総額は、ワク外にございます百五十億を加えた千二百八十億でございます。昨年の地方債総額よりも十四億少くなっております。このうち普通会計分、昨年は七百六十億でございまして、三十一年は五百七十五億でございまするので、普通会計分は百八十五億だけ減少いたしております。再建債等は、昨年は二百億、それから退職債六十億でございます。本年はさらにそのほかに借りかえ債八十億ございます。公営企業会計分は、昨年は二百七十四億でございまして、来年は三百六十五億でございますので、九十一億ばかりふえることになります。要約して申しますると、地方債総額で十四億減って、一般普通会計分で七十五億減ります。それから普通事業債関係で百八十五億減ります。公営企業で逆に九十一億ふえて参ります。それから八十億の借りかえ債がある、これが昨年と違ったものでございます。われわれは最初から考えておりました地方債普通会計分を大体六百億程度に押えて、一般財源地方債を振りかえていくという方針は大体この目的を達したことになるのでございます。  それからその次に税の表をつけております。税収入の三十年と三十一年の現行法と改正法案によりますところの増減表を府県市町村別につけております。この中で大きく変りますものは、府県の税では府県民税が三十三億ばかりふえて参ります。それから事業税が六十四億ばかりふえて参ります。特に法人関係の税が伸びて参ります。市町村民税が十九億ばかり増加して参ります。固定資産税等、これは三公社及び国有財産関係のものが入っておりますので、百八億ばかり増加して参ります。それから電気ガス税が二十二億ばかり増加いたします。それから新税の新設を見た府県におきましては軽油引取税が二十四億、それから市町村では都市計画税が二十九億ばかり新しく増加するものがございます。先ほど申しましたように、歳入の増は、三十年に比べまして三百九十六億ばかり普通税でふえ、譲与税で二十八億ばかりふえることになります。なお詳細につきましては地方財政計画説明資料にございますので、お読みをいただきたいと考えております。
  6. 大矢省三

    大矢委員長 これで政府説明は終りました。質疑は後日に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
  7. 北山愛郎

    ○北山委員 ちょっと一点。詳細な説明を聞きましたが、ちょっとわからぬところがあります。地方債で、さきに説明があった三十一年度地方財政収支の見込み額に関する調べという中の三枚目ですが、現行制度における不足額に対する措置に関する調というところで、地方債の削減が七十五億と書いてあるわけです。ところが今年度普通会計分の五百七十五億の中には借りかえを含んでおる。借りかえ八十億というのは、やはり同時に財政需要というか歳出になるのじゃないですか。だから歳出の方にも載せておかないとおかしなことになるのじゃないかと思うのですが、どうもその点納得がいかないから、ちょっと聞いておきます。
  8. 後藤博

    後藤政府委員 借りかえは債務にだけあげております。これは期限の参りましたものを借りかえるのでありますから、やはり歳入の方に考える方がいいのじゃないか。それだけ歳出が減るわけであります。
  9. 北山愛郎

    ○北山委員 しかしその期限の参ったものというのは、ことしの公債費の六百二十三億の中に入っておるのでしょう。そうするとおかしいじゃないかと思うのですが……。
  10. 後藤博

    後藤政府委員 今年度の、たとえば県で申しますと、五億償還費がございます。その五億償還費がありますものの中で、たとえば三億なら三億を借りかえます。そうするとその本年度支払い額というのは利子分だけでありまして、元金は後年度に延びていくわけであります。従って債務だけあげておけばいいということになります。
  11. 北山愛郎

    ○北山委員 だけれども、初めに借りかえというものを予定しなかった場合の今年度公債費というのは、六百二十三億でしょう。ですから、それに変動が出てくるわけです。ことし期限がくるというものを全部入れて六百二十三億という需要額をいっているのですから、借りかえてそれを返さなくてもいいということにすれば、八十億減ってこなければならぬでしょう。
  12. 後藤博

    後藤政府委員 現行制度によりますと、六百二十三億だけ支払わなければならぬということであります。その支払いすべきものを借りかえによって支払いしないのであります。元金の方を延ばすわけであります。そうすると、利子分は払わなければなりませんが、元金は支払わなくてもいいのでありますから、一種の財源措置のような格好になるのであります。従って歳入の方だけ載せておけばよろしいということになるわけであります。
  13. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、第一ページの歳出公債費の六百二十三億には変動がないというわけですか。六百二十三億というものは、八十億というものを払わぬでもいいものとして計算したのですか。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 八十億分だけは元金につきましては支払わなくてもよろしい、こういうことになるわけであります。
  15. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、借りかえ措置がなければ地方団体が返さなければならぬ起債の元利償還というものは、六百二十三億プラス八十億だ、こういうことになるのですか。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 六百二十三億には変りございません。その支払うべきものを借りかえでもって将来に送るわけであります。
  17. 北山愛郎

    ○北山委員 とにかくこの八十億というものを起債の削減の中に計算されていないというのは、どうも私は納得いかないのです。というのは、減らない分として八十億見ているでしょう。七十五億に入っていないのです。減らない分として見ている。ところが実際には地方団体はこれは使えない金なんですよ。返さなければならない金なんだから、借りかえなんですから財源にはならぬのですよ。どうもそこら辺の関係が入ってなければおかしいと思うのですが、どうですか。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 一応歳入にあげておりますから、八十億円だけ支払いが少くなるのであります。それを初めから落していくやり方もあるかと思いますけれども、一応財政需要としてはあげておきまして、その支払いが将来に延びますから、それが一種の財源措置というような格好になるのであります。財政計画上はそうなるのであります。その団体から見ますると、その財源がそれだけ浮くということになります。支払いをしない関係で、一般財源はそれだけ浮くという格好になりますので、やはり一般財源がそれだけ増加したということになるのであります。
  19. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の北山さんの質問ですがどうなんですか。もし借りかえの八十億ということがなければ、歳出公債費が七百億になるのですか。それともならぬのですか。六百二十三億ですか。これは株式会社のバランス・シートを一回やっておるとすぐわかる。官庁会計と違うことはわかりますが、借りかえというやつは両方なんですね。実際計算すると、ことしは七百億要る。支払い七百億要るというなら、それを初めから落してやるというならわかります。しかしそれだけ要らない、初めから六百二十三億であるならば、やはり両方にあげないことにはおかしいと思います。この点は別にどうこうというのじゃなしに、一ぺん頭を冷して研究してみなさい。それを私は要望するのです。
  20. 後藤博

    後藤政府委員 これは一つの団体についてお考えになると、すぐわかるのであります。たとえば五億なら五億支払わはなければならない県があるといたします。元金と利子と合せまして五億だけ三十一年度に償還をしなければならない団体があるといたします。そうしました場合に、その団体が、たとえば元金が三億といたしますと、その三億を借りかえいたしますと、本年度は支払わなくてもいいということになります。それだけ一般財源が浮くわけであります。従って歳入だけ入れておけばいいというように私どもは考えております。
  21. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういう考え方なら、借りかえなければ七百億要るのでしょう。そういう説明しないことには通らない。借りかえしないのならば公債費はことしは七百億要るのでしょう。それならわかる。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 借りかえなければ六百二十三億要るのであります。七百億要るのじゃないのです。六百二十三億の公債費は、これは元金、利子合せて払わなければならぬのであります。借りかえは歳入の方の関係であります。歳入だけ載せておけば、それで財源の振りかえということになるのであります。そういう考え方であります。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 今の問題は説明を聞いてとっさに変に思ったので聞いてみたのであって、御説明をいただきましたけれども、どうもふに落ちない点が残っておるのです。ですから、これはなおよく研究して質問をいたします。  それから公債計画の詳しいところがわからないわけです。今の八十億に関連をいたしまが、やはり今年の地方団体普通会計分として財源として与えられたものが幾らというような点について一つもう少し、地方債計画というものが詳しくできているなら、これをお示し願いたい。今の問題と関連するのですよ。だから八十億というものを一応起債の今年のワクとして、その分を見て、昨年より七十五億しか減っていないというならば、地方団体としてはそれを普通会計事業費として使える分の財源としては八十億は使えないのですから、そこでいろいろ内容的に昨年とどういう変動があるか、特に公共事業関係では補助金事業費の食い違いというか、それは五十億ばかり楽になる、負担が減るわけですね。公共事業補助率が高まったり、事業が圧縮されたために五十億負担が軽くなります。ところが起債の上で、起債のワクがどの程度になるか。特に公共事業関係についての地方債計画というものを一つお示し願いたい。
  24. 後藤博

    後藤政府委員 地方債内訳につきましては、目下大蔵省とこまかい事業別の内訳を今作っております。一般会計及び普通事業債関係分という大ワクだけはきめておりますが、大ワクの中の配分の問題、たとえば補助事業債と災害債、特に単独関係、それから一般単独の関係、義務教育の関係、これは六・三と単独とございます。そういうものの振り分け、それから公益事業債の、電気、水道、交通、病院または市場とか何とかいうようなものの内訳を現在話し合いをしております。でき上った上でお示ししょうと思っておつたのであります。ちょっとお待ち願いたいと思います。できるだけ早くやりたいと思っております。これは地方団体に示す必要がございますので。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 それではその点はなるべく早くしてもらいたい。そうでないと政府は公共事業を節減して、しかも補助率引き上げる、だから地方団体負担が減ると言いながら、一方において財源の起債を減らしてしまえば、地方団体は公共事業について一般財源から持ち出しをしなければならぬということになって、かえって苦しくなる。従って少くとも公共事業なら公共事業、単独事業なら単独事業について、起債の配当が去年とどういう変動があるかということが、非常に問題なんです。財政計画上は一応バランスが合っていたとしても、実際の事業場はこれと関連があるから早くきめてもらいたい。そうでないとその点についての審議ができないわけです。お願いします。
  26. 門司亮

    ○門司委員 後藤君にちょっと伺っておきます。この財政計画をずっと見ていて、政府の一番大きな誇りとされておる問題の一つの中に、補助事業に対する単価の問題が出ておるのだが、これは昨年からどのくらい単価か変ってきたか、学校の費用を二万七千円になっているのを二万八千円にしたというのだが、一応実態の表を出してもらいたい。実態がわからないとその議論ができないと思う。  もう一つ表として、公共事業費の減額が勢い地方債の減額の原因になっているように一応考えられるのだが、その公共事業費は一体どのくらい減っておるのか。もし事業別にわかれば、事業別に国の方のものを見せてもらいたい。地方のはいいから国の方のを出してもらいたい。  それからもう一つ、これはついでに頼んでおくのだが、公債費の今問題になっている借りかえの分は、一体どういうものを引き当てにしているのか。ただ単に八十億借りかえたいというのでなくて、どういう性質のものを借りかえることにしておるのか、これをはっきりしておきたいと思う。そうしないと地方の団体でトラブルを起す危険性がある。勝手にこの団体にはこの分を、この団体にはこれを借りかえをするということになると困るから、ここで一応明らかにしておいてもらいたいと思います。
  27. 後藤博

    後藤政府委員 第一の点につきましては資料で御説明申し上げたいと思います。  それから第二の点は、お手元に配付してあります資料の中にございます。計画説明資料の十五ページに、公共事業費の国、地方を通じての比較表がございます。  それから第三の点の借りかえでありますが、借りかえは一般的にやるつもりではなくて、やはり公債費の非常に累増する団体を選んでやりたい。全体的に借りかえをやるのではなくて、公債の重圧が非常に多い団体についてやりたいと考えております。もちろんその場合には財源的な見方をしておりますので、普通事業につきましてやりたい。公営企業はもちろん除外するつもりでございます。普通事業の中でどの事業を選ぶかということは、それは個個の団体によりまして、たとえば河川なら河川をとるとか、なるたけ負担の多いものを選んでいきたい、かように考えております。まだこまかくどういうふうにするか、現在検討をいたしております。
  28. 門司亮

    ○門司委員 それで私がお聞きしたいのは、問題になる点は、地方の自治体の起債からくる圧迫を受けておる限度と、それから地方の自治体の持っておる財政規模との間に大きな開きを持っている。はっきりした例を申し上げるなら、たとえば兵庫県の尼崎市のようなところは、富裕団体で交付金をやっておらない。ところが借金がうんとふえておる。そうして再建整備法の適用を受けようかというような団体になっておる。なぜ一体そういうものができたか。国が富裕団体と言っておって借金がうんとできて、再建整備を受けなければならないというのはおかしな話なんだが、あそこには当然国の責任に帰属すると考えられる土地の沈下の問題がある。土地が一年に一尺ずつ下っていく。従って全市をおおう防潮堤を作らなければ市が水害から守れない。これは当然国の仕事なんだが今市がやっている。そのために非常に大きな負債を持っている。その公債費がやはり市の財政全体を圧迫する。だから国が考えておる財政需要額と財政収入額とのバランスをとっていけば当然成り立つのだ。そういう特殊の仕事を持っている。そして非常に大きな借金を背負っている。これは尼崎市だけでなく、山口市もやはり同じような形をとっているので、各市を調べてみると、そういう実態がたくさんある。だからもし借りかえをするならばそういう点を自治庁で十分考えられて、そしてこの借りかえをすることによって、その市の財政というものがある程度立ち直るという形がとられるということが適切な方法だと思う。だからその点について自治庁はどういうお考えをお持ちになっておるかと今聞いたのであります。今の御答弁では一向あいまいでわからないのでありますが、一つそういう点は借りかえをするなら十分考慮してもらいたい。そこでもう一応そういう考え方で考えられておるかどうかということを確かめておきたいと思う。
  29. 後藤博

    後藤政府委員 門司先生のおっしゃいます、いわゆる公債費に私は二色あると思います。一つは従来の公共事業補助事業、単独事業、われわれの起債を受けております事業の償還費と、もう一つは金繰りのために一時借入金をして、その利子の支払いというものがあります。われわれが公債費と称しておりますのは、起債を許可したものの公債費の元利でありまして、おっしゃいますようなものの中にある一時借入金の利子というのは、その他の経費の中に入っております。公債費の中には入っておりません。それはその金繰りの問題でありますので、財政計画上はその他の経費の中にぶち込んでおります。従って公債費の借りかえというときは、起債をちゃんと許可したものを中心に考えていくということになります。その場合に許可した公債の元利償還費が、一般財源に比較して多い団体、特に来年に累増するところの団体を選んでいきたい、かような考え方をしておるのであります。  そういうふうに見ていきますと、大体大きく分けますと、特殊な団体は別でありますけれども、市町村の方は一般財源に比較して公債費の償還額はまだそれほど大きくはございません。小さい県で一般財源の少い県に、財源的に従来起債を受けました影響が今出てきておるのであります。そういう県を選んで借りかえというものを認めていくということにせざるを得ないのじゃないか。もちろん市町村の場合にも、一般財源と比較して、災害その他で公債償還費が非常に多い団体がございますが、そういう団体を市町村の場合にも選んでいく、こういう考え方に立っておるのでございます。
  30. 門司亮

    ○門司委員 あなた方が責任をある程度軽くしようというものの考え方から見れば、そういうことは言えると思う。しかしそれはあなた方がお考えになった、要するに自己の責任の範囲の問題であって、個々の自治体にとってはそういうことではいけないと思う。個々の自治体にとっては、さっき申し上げましたようなことが一つの大きな問題になる。その問題が金繰りであろうとなかろうと、これも実際は金繰りであります。八十億だけの一時の支払いを一年延ばすということだけであって、事実上の金繰りであります。もし政府がほんとうに借りかえというような形で、公債の負担を軽くしてやろうというならば、借りかえでなくて、実際は支払いを一応待つということであります。借りかえということは、ただ一年だけの融資であって、実際の効果というものは変らないのであります。借りかえによってやることが融資と違うんだというようなものの考え方は、自治庁としてはおかしいと思う。ただ融資をするのに、一応借りかえという形をとったというにすぎないと思う。もしほんとうに地方の自治体のことを考えて、この公債費を何とかしようというのなら、これは当然支払いを延期するということが正しいと思う。それ以外に救う道はないのであります。一年だけの金繰りで、そのまま翌年から払わなければならぬという、要するに再建整備法と同じ考え方、そういうことであってはならないと思いますので、今お話のような点は、自治庁から考えればそういうことが言えるかもしれませんが、自治体から考えれば、やはりそういうさっき申し上げましたような形が出てくるのであります。従ってその点をぜひ十分に考慮しておいてもらいたい。そうしませんとせっかく金繰りしても、八十億何とかしようという政府の意図が私はくずれてくると思う。この点は一つ特にお願いをしておきたいと思います。  もう一つこの場合に聞いておきたいと思いますことは、これは大臣がおいでになったときによく聞くことにいたしますので、政務次官から特に注意をしておいてもらいたいと思いますが、ことし公債に手がつけられなかったという理由をもう少しはっきりしておいてもらいたい。大臣の説明書の中に書いてないのであります。その点を一つ政府はこの機会にはっきりしておいてもらいたい。地方財政の今日の行き詰まり打開の一番大きなかぎは、何といっても公債費をどうするかということであります。それが今お話のように、ただ金繰りにひとしい八十億の借りかえだけでは、実際問題として解決になっていない。この点は一つ明日でも大臣がお見えになりましたら、特に大蔵省と打ち合せの上で、一体将来どうされるつもりか、はっきりと答弁をこの機会にしていただきたいと思います。
  31. 大矢省三

    大矢委員長 本日はこの程度にいたしまして、次回は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会