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1956-02-07 第24回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月七日(火曜日)     午後一時三十七分開会  出席委員    委員長 大矢 省三君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    川崎末五郎君       木崎 茂男君    櫻内 義雄君       渡海元三郎君    徳田與吉郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       森   清君    山崎  巖君       山中 貞則君    加賀田 進君       川村 継義君    五島 虎雄君       櫻井 奎夫君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 太田 正孝君  出席政府委員         自治政務次官  早川  崇君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 昭和三十年十二月二十三日  委員勝間田清一君、杉山元治郎君及び八百板正  君辞任につき、その補欠として櫻井奎夫君、中  村高一君及び坂本泰良君が議長指名委員に  選任された。 昭和三十一年二月三日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として野  田卯一君が議長指名委員に選任された。 同月七日  理事加賀田進君及び門司亮君同日理事辞任につ  き、その補欠として北山愛郎君及び中井徳次郎  君が理事に当選した。     ――――――――――――― 一月二十七日  地方交付税における高校単位費引上げに関する  請願永井勝次郎紹介)(第三三号)  地方公務員に対する期末手当増額に関する請願  (原茂紹介)(第八一号)  同(下平正一紹介)(第八二号)  漁業不振に伴う特別交付税交付に関する請願  (白浜仁吉紹介)(第九七号)  発電税の創設に関する請願鈴木周次郎君紹  介)(第九八号)  交通取締のための警察車両増強に関する請願  (原茂紹介)(第九九号)  同(下平正一紹介)(第一〇〇号)  農業事業税設定反対に関する請願原茂君紹  介)(第一〇一号)  同(下平正一紹介)(第一〇二号) 同月三十一日  地方交付税における高校単位費引上げに関する  請願中村時雄紹介)(第一五七号)  消防施設強化促進法に基く国庫補助増額等に関  する請願池田清志紹介)(第一七九号)  町村合併促進法の一部改正に関する請願池田  清志君紹介)(第一八〇号)  奄美群島復興予算確保に関する請願池田清  志君紹介)(第一八一号) 二月三日  交通取締のための警察車両増強に関する請願  (松平忠久紹介)(第二二三号) の審査を本委員会に付託された。 一月三十日  消防団員公務災害補償等に関する法律制定に  関する陳情書  (第三  号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書  (第四  号)  合併町村育成強化に関する陳情書外三件  (第五  号)  同(第四七号)  地方財政再建促進特別措置法制定等に関する陳  情書(第四〇  号)  地方自治確立に関する陳情書外四件  (第四一  号)  地方財政確立に関する陳情書外二十六件  (第四二号)  各町村法定外寄附金全廃措置に関する陳情書  (第四  三号)  地方税法の一部改正に関する陳情書  (第四四号)  消防施設強化費国庫補助増額等に関する陳情  書外三件  (第四五号)  地方交付税率引上げに関する陳情書外三件  (第四六号)  農業事業税設定反対に関する陳情書  (第七九号) 二月四日  地方財政確立に関する陳情書  (第二二号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第一一三号)  地方自治確立に関する陳情書  (第一一四号)  町村合併促進法の一部改正に関する陳情書  (第一一五号)  地方交付税率引上げに関する陳情書  (第一一六号)  農業事業税設定反対に関する陳情書  (第一六一号)  都市公平委員会設置に関する陳情書  (第一八八号)  地方財政再建に関する陳情書外二件  (第一九三号)  農業事業税設定反対に関する陳情書外一件  (第二〇一号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員会設置に関する件  地方財政再建促進特別措置法施行  状況に関する件     ―――――――――――――
  2. 大矢省三

    大矢委員長 これより会議を開きます。  日程に入りまする前にお諮りいたします。門司亮君及び加賀田進君より理事辞任申し出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢省三

    大矢委員長 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。つきましては両君の補欠を選任しなければなりませんが、これは先例に従いまして委員長より指名することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢省三

    大矢委員長 それでは理事北山愛川君及び中井徳次郎君を御指名いたします。     —————————————
  5. 大矢省三

    大矢委員長 次に小委員会設置に一いてお諮りをいたします。去る三日行われました理事会の申し合せによりふして、警察及び消防に関する小委員設置いたしたいと思います。これに対して御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なきものと認め、警察及び消防に関する小委員会設置することに決定いたしました。なおこの小委員会委員委員長の選任及びその人数でありまするが、その数は十一名とし、自由民主、社会両党に按分いたしまして、後刻公報をもって指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  7. 大矢省三

    大矢委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 大矢省三

    大矢委員長 次に地方財政再建促進特別措置法の成立後の施行状況について、当局から説明を聴取いたしたいと思います。後藤財政部長
  9. 後藤博

    後藤政府委員 地方財政再建促進特別措置法が成立いたしましてから、昨年末にその施行をいたしたのでありまして、その際政令を公布いたしております。ただ一カ所だけ政令で現在まだ協議中のところがございますが、一応政令がまとまりまして、さらに総理府令もつけ加えまして、本年度に入りまして各ブロック別にその法令趣旨説明をいたしております。すでに現在申し出をいたしました団体が、私どもの手元に正式に参っておりますものは四団体であります。府県二つ市二つ、しかし地力でさらに最近申し出の議決をしたというふうなところも少しは聞いておりますが、正式には四つであります。県で申しますると長崎県と京都府であります。それから市は鹿児島の川内市と宮城県の塩釜市であります。そのほか一、二あるようでありますが、はっきりいたしません。けささらに私のところに、鳥取市がきのう議決したという連絡をして下さった人がありますが、まだ法令趣旨内容がはっきりいたしません関係から、少し手間どっておるようでございます。多くの団体補正予算を組まなければなりませんので、補正予算の際か、あるいは来年度予算編成の際にいたしたいというふうな気持のところが相当あるようでございます。今のところどの程度団体再建団体になりますか、私ども見通しがつかないのでありますが、県で申しますれば大体十二、三くらいではないか、かように思っております。市町村関係はまだはっきりいたしません。大体百くらいではないかと私ども思っておりますけれども、いろいろ各団体とも模様を見ておる状態でありますので、はっきりしたことはまだわからないのであります。いろいろ地方ブロック会議に出て参りました者の報告を聞きますと、非常におそれている団体が多いようでございます。これは私どものかつての宣伝が悪かったのではないかと思いまして、いろいろ現在はその釈明をいたしておる状況であります。簡単でありますが、御報告申し上げます。
  10. 大矢省三

  11. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの御報告再建特別措置法について、地方団体が非常におそれておる、模様を見ておるというような情報でございますが、確かにその通りであろうと思います。しかしまた技術的に考えましても、政府昭和三十一年度における地方財政対策というものか明らかにならなければ、やはりこの再建法適用を受けるか受けないかというふん切りがつかない。技術的に見てもそうだと思います。きょうは再開後の委員会でもあるし、自治庁長官が参って、地方財政計画を御明になると私ども思っておりましたが、伝えられるところによれば地方財政計画がまだ立っておらないということでありますが、その事情について財政部長からお答えを願いたいと思います。
  12. 後藤博

    後藤政府委員 地方財政計画につきましては、大体計画はできておるのであります。ただ問題は歳入の方に問題が少しございます。税収入の方で問題かありますことと、それからもう一つ付属資料を作っております。財政計画だけでは昨年よりも少し変えたフォームにしておりますので、付属資料をつけなければ、よく説明ができないと考えまして、付属資料の作成をいたしおります。それと税の方がまとまらない。この二つ事情で、私どもはきょうはぜひやりたいと考えておったのでありますが、まとまりませんので、一応明日くらいに出すような準備を整えておるわけでございます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 地方団体が迷ういろいろな事情地方財政計画なり地方財政対策について新年度対策ができなければならぬと私どもは思うのでありますが、それ以外にいろいろ再建法適用について問題があるかと思います。まず第一に地方財政赤字につきましては、自治庁の発表では、昭和二十九千度の決算において、その実質赤字は六百四十八億である、こういうふうに発表され、それを基礎にしてわれわれはあの法案を審議してきたわけであります。ところが大蔵省の方では別個に地方団体赤字調査して、昭和二十九年度決算における赤字というのは三百七十三億である。両者の間に二百七十五億円も食い違いがあるわけです。従って政府全体としては二十九年反の赤字というものは六百四十八億が正しいのか、三百七十三億が正しいのか。これは全体の数字としてのみならず、これから再建団体になるとかならないとかいう場合の赤字措置につきまして、一体自治庁調査をとるのか、大蔵省調査をとるのか、どちらかわからない。こういう根本的な赤字数字赤字額そのものが明らかになっておらない。しかもその数字が少しばかりの食い違いではなくて、二百七十五億というような膨大な食い違いがあるわけなのです。一体どちらが正しいものとして政府としてはこれをおやりになるつもりであるか。その点を一つ自治庁長官から伺いたいところでありますが、後藤さんから一つ説明願いたい。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 赤字額の問題でありますが、これはいろいろ数字があろうと思いますが、私どもは六百四十八億の赤字額というのが正しいと考えております。大蔵省考えている赤字額と申しますのは、これは赤字額ではないりであります。赤字額の中で再建債を必要とする赤字をいう、こういう意味赤字でありまして、われわれの言っている赤字と概念が違っているのであります。これは昨年もそういう建った数字がございましたが、昨年はまあ大した差はありませんでした。前の二十八年度決算赤字のときに四百六十二億の赤字がございました。そのときに仏どもは三百四十億の赤字債を要するという計算を一応したのであります。ところがその際大蔵省は三百二十億という数字を出したのであります。この考え方をさらに六百四十八億の場合に持って参りますると、三百七十三億でのりますか、そういう数字になるのではないかと思うのです。しかし私ども再建債対象になる赤字赤字ではない、もっと赤字というものは大きいのだ、もっと広い範囲からとるべきではないかという主張をいたしております。ここでもう一つ問題は、再建債をやる場合に、実質赤字額から何を引くか引かないかという問題があります。その問題は現在議論をしておりますが、要するに向うの考え方赤字対象となる赤字再建債対象となる赤字、こういう意味赤字でありまして、別に六百四十八億を否定しているのではないと私ども考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 新しいことを承っているのですが、われわれは地方財政再建を論ずる場合には、やはり自治庁の六百四十八億なり、そういう数字基礎にしてこれだけの赤字があるのだからというので、たしか今まですっと一員してやってきたはずなんです。ですから、今のように大蔵省計算の方も、それはごもっともであって、再建法適用する場合の一つ基礎になるというようなお答えであれは、どうも非常に矛盾するのではないかと思うのですが、自治庁としては大蔵省赤字そのものも認めている。一体どちらでこれを実施しようとするのであるか、それらの点を明らかにしてもらいたいのです。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 私ども大蔵省のいう赤字を認めているのではありません。これは六百四十八億を基礎にすべさものだという考え方をしております。ただ大蔵省考え方では赤字対象になったものの中から、定額を引いたものを再建債として認めればいいではないかという観念があるのであります。二十八年度までの考え方で申し、及すれば、直轄の分担金等は直接再建債を必要としないものでありますから、従ってそれを差し引くことは、われわれ異存がないのであります。しかしさらに二十八年から二十九年にかけてふえました赤字の中にはそういう要素がほとんどございませんのでこれはネットで認めていく必要があるのではないかというのが、われわれの主張なのであります。つまり再建債を要しない赤字があるということは認めております。再建債対象にならないものを引いていくべきである。ここまでは一致しておりますが、さらにその上に何がしかの要素を見て、そうして赤字債を出すべきもののうちから、ある程度査定していく必要があるのではないか、こういう考え方に立っているようであります。その点につきましてもう少し私ども意見を率直に申し上げて、話をまとめていきたい、かように考えているのであります。ですから、昨年まではそう意見不一致ではなかったのでありますけれども、今年になりまして、さらに新しい査定要素というものをつけ加えて参るような傾向がございますので、その点についていろいろ議論しております。その差がこの数字の差となって現われておるものと考えております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、再建法赤字というものの一般的な基礎として、自治庁としては相変らず六百四十八億を基礎としておる。しかし大蔵省意見はこれは別で、まだ両者意見食い違い調整できておらぬ、こういうことになると思うのですが、われわれから考えるならば、結局政府全体として、この問題は自治庁だけで処理をするのじゃなくて、やはり大蔵省と一緒に相談をして、個々再建債許可をするとか、そういうことをするだろうと思いますから、両者意見が合致しなければ、実際問題として実行ができないということになろうと思うのです。そうであれば、やはり今に至るまで、この一番大事な再建法適用を受ける対象として、どのくらいのものになるかということについて、政府部内の意見不一致であることは根本的な問題だと思うのです。この調整は一体いつごろまでにつけられるか。少くともそういう赤字というものの見方について、政府部内の意見が不統一であるというようなことでは、地方団体が不安に考えるのも当然である。これだけで考えてみましても、一体いつごろ調整になって、どういうふうな結果になるか、大体の見通し等について、またあらためてお伺いします。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 この赤字債対象になる赤字につきまして現在交渉いたしております。できるだけ早くやりたいと考えておりまして、今週中には何とか目鼻をつけたい、話し合いを終りたいと考えております。
  19. 北山愛郎

    北山委員 それでは再建法に関連してでありますが、今後この地方債許可基準といいますか、そういう方針について変更があるやに聞いております。すなわち地方債というものは一般財源賦与というような観点ではなくて、その団体償還能力に応じて、償還し得るような力のある団体には地方債許可する、要求があっても償還見通しがつかないというような弱小団体に対しては許可をしないというような方針をとるやに聞いておるのですが、その通りきまっておるのですか。
  20. 後藤博

    後藤政府委員 地方債を本来の性格に返して、償還能力に応じてつけていくというのが、私ども理想としておるのであります。しかし一挙にそこに参るわけには参りません。従って漸次その財源的な起債を少くしていくという方向に、まず踏み出していこうということを、三十一年度財政計画からとったのであります。従ってそういう観点から申しますると、償還能力中心に現在つけておりますところの公益企業債をふやしていこうこういうことになるのであります。起債の絶対額は大体千億くらいのところでとめておきまして、その中で公益企業債をふくらませていって、一般事業債を落していこう、こういう考え方であります。これを純粋に財源的な考え方から脱却していくということには、まだ相当時間がかかると考えております。従って当分はやはりある程度財源的な考え方をせざるを得ないかと思いますけれども、しかしその財源的な考え方をする起債の量を押えていくことによって、現在までのいろいろな地方債をめぐるところの問題の悪影響を除去していこう、こういうふうに考えておるのであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのお言葉であれば、一般財源賦与としてのワクを減らしていって、公益企業などの方のワクをふやしていくという一般的な方針をとるだけであって、個々団体能力によって差等をつけるということは、当分とらないというように了解いたします。それから再建法規定の中に序付金負担金制限があるわけであります。国に対する寄付金負担金制限と、他の地方公共団体あるいは公共的な団体に対する制限があるわけであります。これは相当大きな問題であろうと思いますが、これについては体どういうふうな指導をやっておられるか、それを伺いたい。
  22. 後藤博

    後藤政府委員 法令に基かない寄付負担金制限につきましては、御存じの通り赤字団体に限って、そういうものを一定政令の定めるところに従って制限をいたすということで、国の出すものはむろん禁止規定がございますが、寄付負担金の非常に多い団体につきましては、一定の限度を政令で設けております。たとえば府県でありますれば、基準財政需要額の一考以内というふうな制限を付しております。市町村につきましては、段階を設けてその率を落しております。この内容につきましていろいろ問題があるものもございまして、一挙にこれをなくしていくということは不可能でございますので、総額でもって抑えていく、財政需要額の一%程度に押えてもらいたい、それ以上出るものについては許可をする、こういう考え方でありまして、大体法令に基かないもののうちで継ぎ足しの費用だとか、災害関係するものだとか、いろいろ種類がございますが、その種類に応じて出さなければならないものも相当あるかと思いますので、少し項目を分けて指導していきたい、かように考えて現在検討を調査課の方にお願いをいたしておるのであります。しかし、何と申しましてもこまかい負担金を私ども中央で押えるわけには参りません。従って総額でもって押え、その総額の中に入っておるものは、多少の問題があるにいたしましても認めざるを得ないのではないかというような気持で、研究指導いたしておるのであります。
  23. 北山愛郎

    北山委員 今の率に差等を設けておるということは、政令の中に規定されてあるわけでありますが、たとえばせんだって二つの港を見たのですが、一方の市では港湾の施設について国の補助が五割、県の負担が二割五分、地元が二割五分、これが普通の例らしいのですが、そのようにやっておる。ところが一方の市においては、県の負担する二割五分を全部地元の市が負担しておる。ですから県の負担がないのです。国の五割とあと地元の五制というような格好になっておる。予算措置としてはどういうふうになっておるかわかりませんが、とにかく県の負担すべき二割五分というものを、地元負担するというようなものも今の項目の中に入るべきではないかと思うのですが、そういう種類のものは入りますか。
  24. 後藤博

    後藤政府委員 法令に基いて寄付負担ができるものは、この負担金から除いております。法令に根拠のない負担につきましては、やはり寄付負担金制限の中に入っておる、かように解釈をしております。
  25. 北山愛郎

    北山委員 この問題の行政指導というものは非常にむずかしいのですが、実際問題といたしまして、この問題はどういうふうに指導されるのですか。再建団体になる場合でありますと、再建計画の中で予算の歳出の中のこの種類寄付金負担金の額を、政令基準範囲内にとどめるというような指導ができるわけです。ところがこの規定再建団体のみでなく、それ以外の一般的な赤字団体などに適用するのですから、実際問題としてどういうふうに指導なさるのですか。
  26. 後藤博

    後藤政府委員 各地方団体のうちで、赤字団体だけについての規定でございますので、おっしゃる通り一々こまかく指導はできないかと思います。従ってその範囲内であれば私どもは多少の問題のあるものでありましても差しつかえないと思う。各団体の最近の傾向寄付負担金を出したくないという傾向が強いのであります。従ってそういう団体傾向といたしましてはできるだけ抑えたいということでございますから、押えることのできないような寄付負担金だけを許可の形で持ってくるのではないか、かように考えておるのであります。従って法令適用につきましては、もちろん指導はいたしまするが、自主的にその範囲内において決定するような指導をいたしていきたい。そのはみ出るものだけをいろいろ持ってきて相談する。しかし相談をして参ります場合でも、私どもはその一つ一つ寄付負担金がいいか悪いかという問題ではなくて、全体としてこの程度に圧縮するように、こういうような言い方をいたしていきたい。さらに三十年度から法律施行されたのでありますから、三十年度の差し当っての問題がございます。これをあの率でもって制限していけるかどうかという問題があります。もうすでにはみ出しかけているところの団体もありますのて、本年度につきましては過渡的な措置もあわせ加えていきたい。漸次ワクの中で始末ができるようにいたしていきたい。個々のものがいいか悪いかという判断は私どもはしませんで、団体自体にさせる、こういうような考え方であります。
  27. 北山愛郎

    北山委員 たとえばこの前のこの委員会で問題になった兵庫県のある市の場合のように、行政整理計画した、ところがその予算を見ると、市が負担をすべきでない、本来は県が負担すべき高等学校建築費がちゃんと入っておる。それはそのままとしておいて、般行政費の縮減を計画している。そういうケースがいろいろあると思うのです。そういう際に、自治庁としては、すでに三十一年度一般予算編成方針やらそういうものを指示されておるのですが、そういうようなことも含めて御指示をなさる考えがあるかどうか。たくさんの団体においてはいろいろ行政費の圧縮と合理化を企図しておる。その際に、法令に基かない他の団体が当然負担すべきものは、まず落せというような指示をなさる考えがあるかどうか、これは当然すべきものだと思うのですが、どうでしょうか。
  28. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃるような例があるかと思いますが、私どもはその場合にその団体に、たとえば市と県の間の問題でありますれば、市に、そういう寄付をしなくてもよろしいとか、してはいけないというようなことは言いたくないのであります。それは団体同士の話し合いの問題でありまして、ワクの中に入っておる限りは、私どもは差しつかえないという気持でおります。ただそういうものを出すことによって他の出すべき費用を出さなかったというようなことがあれば、それは寄付金負担金の方をやはり押えていくべきだ、こういうような注意をいたしたいと考えます。
  29. 北山愛郎

    北山委員 規定上の制限は確かに総額についての制限でありますから、個個の問題は別かもしれません。しかし地方団体の財政の合理化というものを指示されるという場合においては、少くともこの点については必ず触れなければ順序としておかしいのじゃないかと思います。したくない、それは県と市の相談でというけれども、この規定の精神はそこにあるのじゃないかと思う。そのために県が困るかもしれませんけれども、これはまた別途解決すべき問題でありまして、建前としてはそのようないわば負担関係における混乱というものを、この際明らかにしていくというのも、やはり地方行財政の合理化の面においては絶対に必要なことではないかと思いますから、その点についてやはり何か具体的に指示をされた方がいいと考えますが、財政部長はどう考えますか。
  30. 後藤博

    後藤政府委員 お説のような例の場合に、二色あると思います。県が負担金一定率で押しつける場合と、市の方から頼んでいく場合と二つあります。しかもその学校はかつて市の学校であって、それを県に移管したような例もあります。そういう場合に市も出すから県で建ててもらいたい、こういう話し合いがかりにあったといたしますれば、それもまた当然の要求ではないかと思うのであります。従ってその場合にも市は出す必要が絶対ないと、ちょっと言い切れないのではないかと思います。従って先ほど申しましたように、それだけの問題ではなくて、他の問題がからんで参りますれば、これは別な問題になってくると思います。他の問題がからんで、他の当然支出すべきところの経費を出さないでおいて、そうしてそういうものを出すということになりますれば、これは問題は全然性格が変って参りますので、その場合にはそういう負担金はいけませんということが言い切れると思います。従って一般的に申しますれば、もちろん自由意思にまかせますが、しかしそれが他の経費に影響があるというような場合には、やはりお説のようなことに考えておるのであります。
  31. 門司亮

    門司委員 今の財政部長の答弁だけれども、そうあまり曲げてものを考えない方かいいのじゃないか。今の財政部長の答弁のようなことが実にあります。市で持っておるものを県に移管してもらう場合に、県の要求は高等学校としての一応体裁というか、条件というものを整えてもらいたいということが財政的な関係から自然的に起ってくる。そうした場合にはおそらく市なり町なりが、それに対してある程度の仕事をすると思います。しかしこれは移管に伴う一つの条件であって、負担とは違うということであります。これは全然性質の異なるものであります。それを何か同じもののように考えておられては困るので、今北山君から指摘したのはそういう場合ではない。いわゆる高等学校を建てるという場合に、その建てられる地域から負担金をとるということであって、これは全然別の問題だと思うのです。そういうふうに自治庁考えておるということになると、それは考え違いでありますから、その点は改めてもらいたい。現実にさっき申し上げたように市から県に移管するような場合には、県がもう少し完全なものにしてもらいたい、そうするともらった、すぐ新しい設備をしなければならぬ、そういう場合に県が建てられない、完全にしていかなければならぬ、それは身近なこっちでやるべきだ、こういう関係高等学校の性質から出てくる。しかし今北山君が質問したのは、県が建てようという場合に、寄付してもらえるならこちらで建てる、寄付してもらえないなら、そちらで建てろという取引が行われる。そのときやむを得ず市は高等学校になった方がいいから、負担金を出すということが起る。これは県と市の関係だけでなく、国と県の関係も同じことだと思う。その関係について自治庁はどういうふうに考えておるかということです。
  32. 後藤博

    後藤政府委員 前の移管のような場合はお説のように思っておりますが、しかし形式上から申しますれば、法令に基かない寄付負担金一つにはなるのであります。そういう解釈になるのであります。しかしあとの方の高等学校の新設のような場合に、お説のようなこともあろうかと思います。しかしそれががいにいけないと言い切れるかどうか、地元が非常に熱心であって、金を出すから一つ私の方に持ってきてもらいたいという住民の熾烈な要求があり、市会もそれを認めておるというような場合には、私はそれはそれとして解決してやる必要があるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。その際に絶対に寄付負担金はいけないとは、ちょっと言い切れないのじゃないかと申し上げたのであります。従って全体の財政の中のその一環の問題として取り上げないで、その町が非常に赤字であるとか、他の経費を節約してそういうことをやるというような他の面に不都合があれば、当然に私はとめるべきじゃないかと考えておりますので、その次第を申し上げたのであります。
  33. 北山愛郎

    北山委員 今門司さんからお話のように、この問題についてはどうも自治庁はちょっと奇妙に寛容を示しておる。その他の予算編成についてのいろいろな内示をする場合には、相当きついようなことを言っておるのですが、事この問題に関する限りは態度をあいまいにしているということは、実に割り切れない気持がするのですよ。少くともそれらの団体赤字団体でありながら、県が負担すべきものを負担しておる。県の方は健全財政を誇っておるというふうな例もあるわけです。たしか岐阜県で、県と市町村との関係において、それらの問題が出たはずでありますが、やはり財政の合理化というような問題を解決する場合におきましては、それぞれの団体負担すべき負担区分というものを明らかにしておくべきであって、地元の熾烈な希望というけれども、だれも進んで金を出したいという者はないのです。高等学校を作ってくれ、増築をしてくれというと、県の方では金を出すならやってやろう、こういうふうにくるから、仕方なく金を工面して出しているだけでありまして、何もこれは金を出したくて出すのではないということだけは明らかなのでありますから、この問題については、やはり少くともほかの経費を落すならば、まずもってそういうふうな経費から落すというような指導方針確立しておいていただきたい。これは今申し上げた兵庫県のある市の例においても、そういうものはそのままにしておいて、必要な一般行政費などを無理して落そうとしておるような話が相当ありますからして、この点は重ねてはっきりとした指導方針を立てて、そうして指示していただきたいと思うのであります。  それから再建法の直接の問題ではありませんが、この前の臨時国会で衆参両院の委員会で決議されました三十年度の補正についてであります。例の百八十八億のうち、百六十億の財源措置をした分以外のいわゆる広義の財源措置の分、それから〇・二五の財源措置の分、この二つについて決議をされて、そうして大蔵大臣並びに自治庁長官はこの決議を了承して善処を約束されたわけであります。ところがもうすでに三十年度補正予算は十一日ごろ提出になる、このように聞いております。そうしてその当時は税の自然増収はあまり出ないとひたすら強弁しておったにもかかわらず、相当に自然増収がふえて参る。この増収が食管会計の赤字の方に相当額行ってしまうというようなことも聞いております。従ってもしも自然増収が初め予想しておったよりも以上に出るという場合におきましては、まず第に当委員会のあの決議の趣旨に沿うて、政府としてはその実現を補正予算においてすべきである。これは当然のことだと思うのですが、その問題についてはどのように措置をされておるか承わりたいのです。
  34. 後藤博

    後藤政府委員 当委員会における前会の百六十億円の交付金の法案の議決の際の附帯決議につきましては、私どもはその意を体しまして、現在は補正予算で要求をいたしております。〇・二五分の地方公務員期末手当増額分の賞与額は三十五億二千七百万円であります。それからさらに附帯決議にございました地方債の引き当て分十四億合せたものを現在要求をいたしております。大蔵省の方では公共事業の節約分につきまして、各省との間にまだ話がついていないようであります。これがまだ未確定のものでありますから、はっきりと財源措置額が出てこない。こういうことで本格的な折衝にはならないのであります。しかし委員会の意を体して、私どもは現在交渉いたしております。今私どもが仄聞をいたしました関係では、三税のうち所得税の増収を立てるのではないか、かように聞いております。そのほかの増収を立ててどの程度補正予算になりまするか、けさの新聞を読みましたが、ちょっと見当がつきかねております。しかしどうせ国の方で歳入の増を立てますといたしますれば、その大きなウェートは税にかかってくるのであります。しかも三税にかかってこざるを得ないと考えております。そうなりますると、そのはね返りの分が、やはり交付税の形でもって出てくるのであります。そのはね返りの仕方によって、われわれはさらに交渉していきたい、かように考えている段階でございます。他の歳出要素ははっきり国の方できまらないために、ちょっと停頓いたしておりますが、ここ数日の間にそちらの方も片づくと思いますが、それと並行しながらわれわれの財源措置の要求を続けていきたいと考えている次第であります。
  35. 亀山孝一

    ○亀山委員 途中ではなはだ恐縮でありますが、実は御案内のように、先般閣議で国体の地方持ち回り禁止がきまったように聞いております。これに対しまして体育協会側にもいろいろ意見があるようでありますので、この禁止の理由が、地方財政を圧迫するという理由で閣議で問題となり、持ち回りが禁止になったということでありますが、一つこの委員会でこの際体育協会側の意見を聞いていただきたい。参考人として適当な人をお呼び願いまして、適当な時期に体育協会側の意見も聞き、あわせてわれわれのこれに関する態度もきめたい、かように思いますので、さようお取り計らい願いたいという提案を申し上げます。
  36. 大矢省三

    大矢委員長 亀山委員より国体の地方財政に及ぼす影響について、参考人より意見を聴取したいとのただいまの発言でございますが、後刻理事会に諮って決定することにいたしたいと思います。
  37. 北山愛郎

    北山委員 後藤さんを責めてもしようがありませんが、三十年度の補正はどのくらいになるか、われわれにもわからない。しかしすでに食管会計の補正予算はとってしまっておる。その中身の六十七億ですか、それだけは三十年度の補正で一般会計あるいは砂糖の利益金吸い上げの金というようなものから補てんするということだけはさまっているように聞いている。従ってああいう新しい問題がこの三十年度の補正から先取りをされてしまうということであれば、これは当然地方財政に対する決議の趣旨を実現する問題があわせて考慮されて、ああいう問題が決定されていかなければならぬじゃないか。先にどんどんとられてしまうんでは、あとに残るものは残らない。だからしようがないといというよな結果になっているのじゃないか。こういう点を私どもは非常に心配しておるんですが、すでにああいう一部分の補正を予定しているときに、あわせてこの四十九億ですか、この分についても何らかの取りきめが政府部内においてなければならぬはずではないか、こまかい部分は別として、そういうものを一部分でもきめるからには、その他の部分についても考慮されて、了解の上にああいうふうな食管会計の補正ができているのではないか、これは当然私どもはそういうふうに考えるんですが、そういうことは一体ないんですか。
  38. 後藤博

    後藤政府委員 お話ごもっともでありますが、先ほどお話しになりました食管会計六十七億の穴埋めと、われわれの方で当然見なければならない百六十億がございます。これを合せただけで二百二十七億になります。このほか義務教育の十二億とか生活保護の清算分とか、出ていくものはたくさんある。従ってどんなに数字をはじいても二百五十億くらいの補正予算になるのであります。その二百五十億くらいの財源を一体何に求めるかということであります。一部はもちろん節約、それから賠償関係の処理費の減を見るというようなことになると思いますが、大部分は私は税を立てなければならぬということになると思う。税を立てるとすれば、やはり主税を立てなければならぬ。その三税は当然に交付税にはね返って参ります。そのはね返ってくるのはどのくらいかということを見通さなければ、あとの交渉はできないのであります。まだ三税以外にも、たとえば道路税をどうするつもりか、揮発油税が伸びるか伸びないか、入場税が一体どううなるのか、こういう問題もあわせて地方財政の面から見ればあるのであります。従って五十億程度の要求に対して財源を充足する方法はいろいろな考え方があると考えております。どの方法をとるかによって、われわれの折衝の仕方も違ってくるのでありまして、その辺の出方を見ながら、今交渉を進めておるのであります。従って全然やっていないということではなくて、われわれはできるだけ三税を出してもらいたい、自然増収が将来にあるものであれば、現在自然増収を出してもらいたい、たとえば、二十九年の自然増収が三十一年に、はね返って参りますが、そういうふうなはね返り方をしたのでは、財源としては意味がないのであります。来年の財政計画の中にごらんに入れまするが、二十九年の三税の自然増収十二億分の交付税があります。こういう格好で財政計画に入って参りますれば、これはその金がふえるのでありますからいいことでありますが、わけのわからぬ格好でふえてくるということになります。従って、この際立てるのであれば、やはり自然増収分がはね返ってくる方法で立ててもらいたい。これが金を生かす道であり、地方財政を救う道ではないか、こういうふうに私どもは申し上げておるのであります。そういう線でどの程度やってもらえるかということがやはり問題なのでありまして、その辺の態度がまだはっきりいたしませんので、現在交渉をしながら大蔵省の出方を待っておるわけであります。
  39. 北山愛郎

    北山委員 これは、いろいろな歳出の事情について、補正予算の全体がきまっておらぬというのであれば、これからいろいろな出方を見てやるということも考えられますが、すでに食管の補正分については約束ができておる。食管会計の補正予算は通って、六十七億はそちらの方から補てんすることも認めておるのですから、その分だけ認めて、この地方財政の分についてはまだきまっておらぬということはまことにおかしいと思うのです。後藤さんに聞くよりは自治庁長官に聞いた方がいいと思うのですが、大体の了解とかワクとかが何もないということはまことにおかしいと思う。この点は長官に聞くことにいたします。自治庁長官は参りますか。
  40. 大矢省三

    大矢委員長 すぐ連絡をとらせます。五島君。
  41. 五島虎雄

    ○五島委員 長官が来られるまで措置法の問題について後藤さんが各団体陳情の人と話されたことがほんとうかどうかということを、ここでちょっと聞いておきたいと思います。さいぜんの御説明の中に、適用団体の申請は都道府県が二府県市町村も二市というお話があったが、あの問題は第二十二特別国会から臨時国会を経て、非常に目信を持って通過されたと思う。従って、もうすでに二カ月以上も経過しているのだから、もっと多くの団体から曲用の申請があったと思っていたら、わずかに二県と二市であった。後藤さんは将来のことについて非常に心配をし、模様を見ているのではないかというような予想が立てられたわけです。私たちはもっと多いじゃないかと思っていたのだけれども、まだわずか二県とか二市であるというようなことです。ところが、ある地方団体赤字で困っているので、適用を受けたいという意向を持って自治庁にいろいろお尋ねに来た。そうして、この適用を受けない場合やはり自治庁は財政のめんどうを見てくれるだろうかというようなことを聞いたところが、あなたのところは当然適用を受けなければならない団体だ、それにもかかわらず適用を受けないでおるならば、今後めんどうを見られない。しからば、めんどうを見るところはどこかというようなことについては、黒字団体及び赤字で困っていて適用団体になったところだ、赤字であっても適用を受けないこころはめんどうを見られないというようなことを言われたんで、非常にこわいけれども受けなければ仕方がないというように言っているところがあるわけです。そうすると、この特別措置法そのものは任意的な法規であるにもかかわらず、しまいには、やはりめんどうを見られなかったら、諸所方々が赤字であるから受けざるを得ないというようなことになるのですが、そのように、やっぱり各地方団体についてはそういうような指導と教育——教育と言うと語弊があるが、指導をされているのですか、その点についてここではっきり伺っておきたい。それが地方団体としては一番困っている問題じゃないかと思うのです。かるがゆえに、実際は二県と二市しか適用の申請をしていないのが、根本の問題ではなかろうかと思うのです。非常によい法律ならもっとあるはずだと思うのですが三……。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 再建団体申し出が遅れておりますのは、これは手続の関係と、一つはいつ議会を開くかという問題でおくれているものと思います。決心をしている団体は相当ございます。おくれておりますのは、もっとこまかくやるという意味と、それから市町村議会の開催をできるだけむだにならないように、予算と一緒にやりたいとか、補正予算の際にやりたい、こういうふうな関係からと考えております。もう一つの私が申し上げております指導ではないのでありまして、これは私どもにもいろいろ聞きに来られるのであります。具体的に県の名前を申し上げてもよいのでありますが、私は率直にこう申し上げております。それは、現在は、赤字団体赤字の多いところで金繰りの非常に困っているところ、そういうところを中心に金繰りのあっせんなんかをいたしております。しかし、再建団体というのができた場合に、今と同じように世話ができるかどうか、この辺を考えてもらいたいということを言っているが、全体の、たとえば、県で申しますと四つのグループくらいに分れると思います。一つは健全財政の団体、十二、三ございます。その次に赤字が五億以内、三%ないし五%以内の団体、これはちょっと努力すれば赤字の消えていく団体であります。これが第二のグループであります。第三のグループは、赤字が相当あって再建整備を要すべきでございますが再建団体にならない団体であります。それから、最後に再建整備をやる団体、この四つのグループくらいに大体分れると思います。その場合に一体どの団体を中心に物事を考えていくかということであります。もちろん全体のことを考えていくのでありますが、われわれの能力にも限りがある。従って、その再建団体と健全財政の団体、もう一つちょっとあれすれば赤字がなくなるという団体、この辺まではめんどうが見られるけれども、第三グループの団体についてはなかなか手が届かない。われわれ銀行や金融機関に対して、今では金を貸してあげてくれ、これはおそらく再建をするのであろうからと約束をして金を出してもらっておりますが、そういうことができなくなる、言えなくなる。従ってまず金繰りに困ってくる。それを覚悟でそういう措置をとられるのであれば仕方がない。われわれとしても再建団体ということになりますれば、やはり黒字団体と同じような考え方考えていかなければならない。たとえば、どちらへ起債をつけるかという場合も、苦しくやっている団体起債をつけていくのが人情ではないか、こういうようなことを申し上げたのであります。それを結論だけおっしゃいますとそういうことになるかもしれませんが、やはり人間でありまするから、手が届かないためにそういう結果になるおそれがある。だからといって、私は別に強制はしないのだということを、たびたび申し上げておるのでありまして、聞く人によりましてそれがいろいろな生き万をしておることは私は承知いたしております。
  43. 五島虎雄

    ○五島委員 強制はしていないといわれるんですけれども、にんまり笑っててう言われるのが強制になるんじゃないかと思うんです。だから地方団体では後藤さんがああ言ったけれども、これはやはり法律適用は受けたくないんだけれども受けざるを得ないんじゃないかなというところが多いんじゃないかと思いますから、今後はあまり脅威を与えないような指導をしてもらいたいと思うんです。  それから、これは再建措置法とは別ですけれども、きょうの新聞に後藤さんの名前が特に載っておりました。新聞紙上では学校施設組合という名で出ておりましたが、学校施設組合が各府県にできております。けさのラジオでも放送しておったわけですが、いよいよ自治庁からの通達によって地方自治法二百五十条の違反であるというようなことで、文部及び法務と連絡をした結果、通達を出すというような新聞の記事が載っていた。ところが私たちの県でもやはり二、三そういうような学校の増築あるいは改修というような問題で、今の地方団体赤字の問題で学校の増築や修築ができない。そこでPTAから金を借りて、そうしてこれを二年か三年かの後に地方の財政が確立したら返すのだというようなことで、一応借入金をもって学校を増築している。そうしてその募集中であるというところもあります。ところがラジオで発表されたところを見ると数県でしたが、これが一体どのくらいの府県がこれに類することをやっているかということを説明していただきたいと思います。
  44. 後藤博

    後藤政府委員 学校施設組合の問題につきましては、これは昭和二十三、四年ごろの、いわゆる六・三制が始まりましたころに一時流行したのであります。発祥地はたしか関西だったと思いますが、阪神地帯から発生して東京にもできたのであります。その後この種の施設組合というのもが漸次なくなって参っておったのであります。ところが昨年ごろからまた九州の方とか関西地方あたりにこの種の組合ができ——東京の近所にももちろんございます。これが適法であるかどうかという問題とあわせて法務省関係法律の違反ではないかという疑いがあるのであります。その点につきまして検討いたしておりましたが、法務省関係の出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というのがございます。いわゆる昔の貸金業法というやつです。この法律に触れる疑いがあるのであります。従ってこれの問い合せをいたしましたところが触れる場合がある。多分に疑いがあるということで、これはわれわれだけの問題ではなくなってきた。こういうふうに私ども考えたのであります。もともと自治法の二百五十条の許可規定に違反するものであることは、前から私どもは申し上げておったのであります。そういう他の違反にもなりまするし、これは相当の刑事罰がありまするので、やはり決意をする必要があると思いまして、最近通産を出すことにいたしたのであります。数がどれくらいあるか、現在調べておりますけれども、大体中以上の市じゃないか、古い市が多いようであります。新市にはまだないと私ども考えております。数はまだはっきりしたものをつかんでおりません。この善後措置をどうするかという問題が一つございます。これは起債のつけ方の問題にも関連がありまするし、またそういう団体ばかりを擁護するわけには参りませんが、現在の起債ワクの中で、また将来の起債ワクの中で、ある程度これを合理的なものにし、適法なものにしていくという措置をとる必要があると、私どもは現在のところ考えております。
  45. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると二百二十七条の借入金の規定によって借り入れた場合は、当該年度に収入をもって返済をすればいいということ、それは貸金業法に違反であるからというような通達を出されたわけでしょうがそ、うすると善後措置の問題について、現在やっているところは中止するように通達を出されたのか、そうですが。そうすると将来の問題で、起債ワクにそれを含むかどうかということは、まだ不確定な問題なんで、考慮中の問題なんです。ところがこういう組合をもって金を集めて、そうして実際建築中のところについての措置は継続してやらせるのですか。あるいは建築も中止されるつもりですか。それで問題は、どうして学校の父兄から金を借りなければならないかという問題が、違法とか適法とかを問わず、問題はそこにあるのではないかと思うのです。地方団体は非常に赤字に苦しんでいる。そうして学校の数はふえる。学校の校舎は腐触する。従って実際毎日の日常の教育の問題で、改修をしなければならない要件が出てきた。あるいは増築しなければならない必要が起きてきた。ところが県や市では、地方財政赤字なんですからどうしてもこれを改築したり増築したりするわけにはいかぬ。そこで問題は政府あるいは県、市町村がどうしてもやれないならば、結論として民衆の力においてこれを建設せざるを得なくなる要件がある。そこがやはり問題じゃなかろうかと思うのです。それで通達を出された。出しっぱなしでやめろといったら直ちに地方が困るでしょう。従って起債ワクあるいは子の他の措置自治庁がほんとうに渋滞なく見てやるということなら、これは違法は違法でしかたがないと思うのですが、ただもうすでに金を集め、あるいは増築に着手しているというようなところは、何だ政府が、あるいは県がということに民衆は思うだろうというようなことで、今後はっきりそういうようなところはそういう要件を広めて、でき得る限り万全の策が講じられるということを、ここで後藤さんは言い得ますか。
  46. 後藤博

    後藤政府委員 施設組合と一がいに申しますが、この内容はいろいろあるのであります。おっしゃる通り父兄から金を借りている場合、有力者から金を借りている場合、金融機関から金を借りている場合、いろいろなケースがあります。従いましてがいに施設組合と申しましても、内容は異なっておりますし、またその団体の財政が果してまかない得ないものであったかどうかという、からみ合いの問題もあります。従ってこれを適法化し、これを合理化していくにいたしましても、全部起債に肩がわりしていくという考え方ではないのであります。できるだけ肩がわりしていきたいと私ども思っておりますが、やはりそうしないと、他のこういうことをやらない団体との不均衡の問題が起って参りますので、その辺の不均衡にならない方法でもって起債措置をいたしていきたいというのが、私ども考え方であります。従来やみの中にあったものでありますから、表になかなか出てこなかったのであります。ただほのかにわれわれは話を聞いておったのであります。こまかく聞きますとみんな逃げてしまっておった。今度ははっきり違法であるし、やめてもらいたいという通達を出し、同時に実態の調査を現在やっております。従ってこの実態が今度ははっきりするのではないかと思っております。実態のはっきりしたところで、それぞれの性質のものに応じた措置をとっていくことを考えておるのであります。
  47. 川村継義

    ○川村(継)委員 私からも再建促進法の問題について、一つ二つお聞きしておきたいのですが、今五鳥委員から地方の実態について聞いたときに、言葉じりをとらえるわけではありませんが、財政部長は、おくれているのは手続の問題だ、あるいは議会開催の問題だ。わずかに府県にして二つ、市にして二つ申し出があっただけだ それは手続やら議会開催関係でおくれておる、そう答弁したようです。ところがさっき経過報告された言葉の中では、地方団体は足踏みしておる、模様を見ておる、大へんおそれているというようなことを話したようですが、実はわれわれが考えても、この模様を見ておる、どうしようかと考えておる、あるいはおそれておるというような団体気持が非常に強いのじゃないかと見ておるのです。財政部長は初めにおそれておるとか、あるいは模様を見ておるとか言われたのですが、自治庁としてはそういう地方団体状況をどういうように分析しておられますか。なぜ地方団体模様見の状態にあるのか、あるいはおそれておるというのは一体どういうところであるのか、この適用を受けるについてそういう気持になったのは一体どの点であるか、それらについての自治庁の分析あるいは見解を初めにお聞かせおき願いたいと思います。
  48. 後藤博

    後藤政府委員 再建申し出がおくれております理由は先ほど申し上げたのでありますが、趣旨の説明も実はおくれておったのであります。趣旨説明ブロック会議が終りましたのが先週の初めであります。従ってやっと各地方に出ておりました調査官が帰って参りまして、その報告を聞いてその結果を私は今申し上げたのであります。趣旨の説明がおくれたために全体がおくれておる。さらにその中でおくれておる理由をそれぞれ聞いてみますと、先ほど申しましたような理由でもっておくれておるのであります。手続の関係でおくれておる、決心はしておるのだという団体が相当あることも事実であります。ただ、模様を見ておる団体があるということも事実であります。模様を見ておるというのは、付近の団体模様を見ておるのでありまして、あの団体がやるのだったら自分もやろう、こういう意味模様を見ておるのであります。おそれておると申しますのは、議会の方々が私どものところに来て、いろいろこまかい指示自治庁がするのじゃないかという意味でおそれておるのであります。再建団体になりたいが、非常にこまかい指示をされると困る、こういう意味の質問がありますので、そんなにこまかくやらないのだという啓蒙を現在やっておるわけであります。おくれておる理由から申しますと、そういうようなことのように私ども考えておるわけであります。
  49. 川村継義

    ○川村(継)委員 団体によってはなるべく早く議会でも開いて議決でもして申し込みをしたい、特に理事者の方にはそういうような気持を持っておるのが非常にあるようです。ところが議会側になりますと、そうはなかなかいかない。議会を開こうとしても開けないところもあるようです。というのは、やはりおそれておるというような気持がこびりついておる、こう見ても差しつかえないと思う。実際自治庁ブロック別説明会におけるいろいろな話からいたしましても、また法案自体の内容からいたしましても、そういう気持を持つのは当然じゃないかとわれわれは思うわけです。ただ単に手続あるいは議会の開催で今おくれておる、こういうふうには言えない。そこには受けたいのだけれども、うっかりこれを受けたらとんでもないことになるというような点が非常にあると思うのです。それはどういうところにあるか、施行令であるとか、あるいは細則であるとか、あるいは法案それ自体に根本があると思うのですが、そういうところで初めて自治庁が予定しておられたようになかなか申し出団体が出てこないという結果になっておるのじゃないかと私たちも考えるわけです。  そこでこの法律について一、二お尋ねいたしますが、この法律の第二条関係で、これを見てみますと「二十九年度赤字団体の議会の議決を経て、その旨を政令で定める日までに」——これは五月三十日になっておったと思うのです。「自治庁長官申し出て、自治庁長官が指定する日現在により、財政の再建に関する計画を定めなければならない。」こうあるのですが、この法案は第二十二特別国会に出されて、おそらくあの二十二国会で通過をするならば、まあこの三十年度内、おそくとも十一月か十二月にはこういうような政令で定める日を策定できて、三十年度末までには全部この計画ができ上るだろうという想定で一応計画を立てて、この第二条の第一項という文章になっておると思うのです。ところが二十二国会でできなくて二十三臨時国会でできた。政令が発表になったのが十二月二十九日だった。そうなりますと三十年度はしまいになってしまう。そういう関係政令で定める日というのは五月三十日になったものだと思うのですが、自治庁長官が指定する日、これで計画を定めることになりますが、そうなりますと、受ける地方自治団体の立場からいたしますと、この三十年度のズレというものは計画を立てる場合に何らかの支障を生じませんか。この点について一つ自治庁考えをお聞かせ願いたい。
  50. 後藤博

    後藤政府委員 再建特別措置法の成立がおくれましたために、三十年度赤字につきましては自主財源の中に入れる、こういうことになったわけであります。従って三十年度出ました赤字再建債対象にしない、こういうことになったのでありまして、そういうような再建計画の中で、やはり再建債償還とあわせて三十年度赤字を消すところの方法を計画的に盛っていくことになるのであります。もう年度も詰まっておりますので、それを三十年度からやるか、三十一年度からやるかという点にも、やはり地方団体の迷いが一つあるのであります。この年度の終りの資金繰りが非常に苦しい団体はできるだけ年度内にやりたい。従って申し出も早く出てくると考えております。今出ておりますところの団体はみな三月の資金繰りができないのであります。従って早く申し出ておるのであります。その辺の資金繰りがある程度可能であれば三十一年から始める、こういうことになるのであります。従ってわれわれの方で指定する日というものは三十一年の一月一日というようなところも私は相当あろうかと思っております。この辺の資金繰りの見通しをどう見るかということも、やはりおくれている理由の一つではないかと思っております。今申しましたように、三十年度赤字再建債対象にならないということは、法律ではそうなっております。従ってこれは三十年から計画を進めるにいたしましても、三十一年から進めるにいたしましても、再建債ワク外の赤字の問題としてやはりそれを消していく計画を立てる、こういうことになるのであります。
  51. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうするともちろん再建債を受けてやるのは二十九年度団体ですね。三十年度を含めて再建計画を立てる場合、三十一年度から立てる場合、これはその団体考え方による、こういうわけですか。
  52. 後藤博

    後藤政府委員 その通りであります。
  53. 川村継義

    ○川村(継)委員 それからさっき財政部長の話の中に、この法律に基く政令は十二月二十九日に出された、この政令の中で一カ所だけきまっていないのがある、こういうふうに言われたと思うのですが、そり一カ所というのは十七条関係のものですか。
  54. 後藤博

    後藤政府委員 その通りであります。
  55. 川村継義

    ○川村(継)委員 そうすると、二十三条のものはどうなっておりますか。二十三条の「歳入欠陥を生じた団体政令で定めるもの」これは政令で定めてありますか。
  56. 後藤博

    後藤政府委員 お話の点、私が先ほど申し上げましたのは十七条でありまして、二十三条は「地方財政又は地方行政に係る制度の改正等により、地方財政基礎確立した年度以降の年度政令で定める年度以降においては、」と書いてあります。従ってこれはまだ地方財政基礎確立した年度以降の年度というふうに私ども考えておりませんので、これは当分見送る——初めから見送るつもりでおりましたし、相当先のことではないかと考えております。従って今政令に入れておりません。
  57. 川村継義

    ○川村(継)委員 そこで、さっきの地方団体がどうも足踏みしておるというような問題、あるいは三十年度赤字を出した、いわゆる歳入欠陥を生じた団体申し出をしなければ、結局起債地方債の大幅な制限を受けるというところに、地方団体が是踏みしている一つの大きな問題もあろうかと思うわけです。それでブロック会議の結果を総務部長あたりが話しておるのを聞いたんだが、申し出をしなければ絶対地方債をいうものはこないのだ。橋をかけようとしても、道路の修繕をしようとしても何もできないのだ。だから議会側はできるだけ自主的にあらゆる節約、あるいは計画を立てて再建をやりたいと思っておるけれども、受けなければそんな金はこないのだからやれないのだ、こういうふうに出ている向きがあるのですね。一体二十三条関係で歳入欠陥を生じた団体地方債制限、これは法にも書いてありますけれども、それを自治庁地方団体に一体どういう説明あるいは指導をやっているのか、総務部長がよく言っているように、もういかなるところがあっても申し出をしなければ、その団体に加入しなければ一切金を出さないのだ、こう言っているのがほんとうかどうか、一つその辺のところを詳しく説明して下さい。
  58. 後藤博

    後藤政府委員 この二十三条の規定は、ある一定年度以降に赤字を出した団体については、起債制限するという規定なのであります。これは再建をするとかしないとかいう問題でなくて、赤字の出た団体ということでありまして、この問題でそうおそれておるとは考えておりません。というのは、非常に誤解がありますのは、先ほど申しました申し出をしない団体地方債を受けることはできない、こういうふうなことを極端に考えておられる人がありますが、そんなことはできるものではないと私は考えております。ただ問題は、単独事業の起債というものをどの程度押えるか押えぬか、こういう問題にかかってくるのであります。災害でありますとか、学校施設でありますとかいうようなものは、これは赤字であろうとなかろうと、やはり必要なものは必要なものとして認めていかなければならぬ起債でございます。それから公共事業につきましても、ある程度の公共事業はもちろん認めていかなければなりませんし、その場合にやはり起債をつけていくというのは当然のことであります。これは財政法上もそうなっておるのであります。ただ問題は、単独事業をそういう団体がやる場合に、自己財源でやるか起債でやるかという問題であります。そういう団体起債を多く要求するというのは無理ではないかということは言えるかと思います。ほかの団体に比較して何もしないでおいて、のんべんだらりとやっておる団体よりも、やはりまじめに再建計画をやっておる団体、また健全財政をやっておる団体を中心に単独事業の起債を受けていくということが、私は公平を保つゆえんではないか、かように考えるのであります。従って単独事業ができないということではなくて、むしろ単独事業に起債のつかぬ場合がある、こういう言い回しの方がいいかと思います。それを極端に単独事業を認めないというふうに持ってくるのはちょっと言い過ぎであります。私どもはそういうふうには考えておりません。やはり必要な単独事業もあります。単独事業と申しましても、たとえば学校でも単独事業があるのであります。六・三制以外は単独事業ということになっております。従ってその単独事業はいろいろな内容を持っておりますことと、それから単独事業の事に自己財源でやる場合と、起債でやる場合と二つあるということもありますので、単独事業を認めないということではなくて、起債のついた単独事業はできなくなる可能性があるということを申し上げたのであります。
  59. 川村継義

    ○川村(継)委員 二十三条で今のようなお話を聞いて考えるのに、地方行政にかかる制度の改正等によって、地方財政基礎確立した年度以降の年度、何かしらん今の夢のような、野とも山ともわからぬような条文がここにあることさえ、今のような誤解を生むのではないかとわれわれは思うのです。財政部長は、今非常にやわらかな見解を述べましたけれども、さっき言いましたように、地方側ではそう受け取っていないのですよ。たとえば二十九年度赤字を出さなかった、三十年度はどうも赤字が出そうだ、そうなるとこの際申し出をしておかなければ、もう学校も建てられぬ、高等学校の修繕もできないのだ、こういうようなことで何とか受けなければならぬ、こういうような理事者側の出方を見受けるわけです。そういう場合には、くどいようですが、どうなりますか。その地方団体が、そういう点でいわゆる足踏みしておる。あるいは非常におそれておる。どうしたらよいかというようなところに出てくるのではないかと思うのですが、一つ親切に全部の地方団体の代表者を集めているような気持で、自治庁の見解を話して下さい。
  60. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申し上げましたように、地方団体、県で申しますと大体四つくらいなグループに分けられると思いますが、そういう場合に、やはり健全財政を堅持しておるところ、それから再建団体で相当経費が窮屈になっておるところ、そういうところにやはりある程度起債をつけていかなければならないということになりますと、やはりどこかは薄いところができてくるのであります。それで再建団体になるべかりしもので、ならなかったような団体については、その起債の額を多く要求することができないような状態になる。従って起債財源とするところの単独事業というものは多く見込んでもらっては困る、こういうことを私どもは言っておるのであります。そういうような言い方をしておるのでありまして、起債を認めないということは、単独事業がなくなるということではありません。起債なくして単独事業をやっておるものがたくさんあります。市町村には起債なしの単独事業がたくさんございます。県にも相当部分ございます。従って起債を当てにした単独事業というものは困る、こういう趣旨でありまして、単独事業を別に否定しておるわけではないのであります。そういう言い方をしておるのでありますけれども、ひつくり返して今度ぱそれを言いますと、単独事業ば全部認められないということになるのではないかと思うであります。事実府県を見ますと、県によりましては全部起債でもって単独事業をやるというような格好にして予算を組んでおる県もないではありません。最近注意しておりますので、単独事業の中に、起債財源としない部分もあるのが多くなって参りましたけれども、ひどい団体になりますと、一般財源がないと苦しくなって単独事業を全額起債でやるということにして予算を組んでおるところもあります。そういうところから見ますと、起債を押えることは単独事業がなくなる。こういう結果になりますので、そういう意味から単独事業を切り捨ててしまうと何もできなくなる、こういうことを言い出すのではないかと思っております。
  61. 川村継義

    ○川村(継)委員 地方団体は非常に財政に困っておりますから、やはり単独事業をやるにしても起債の力を借りてやりたいと思うのは当然のことだと思います。そこで今のお話に関連するわけでありますが、三十年度赤字を抱え込んでしまった団体には、三十一年度は全然起債は許さぬ、そういうわけじゃないでしょう。これはもう端的に聞きますが、三十年度幾らかの赤字を出した、しかし三十一年度は、赤字を出すから申し出団体になっておかなければ全然起債がないのだ、そういうわけではないと解釈していいのですか。
  62. 後藤博

    後藤政府委員 おっしゃる通りであります。今まで赤字のあります団体に単独事業の起債制限しておりましても、これはこういう考え方でやっておるのであります。昨年の事業の量よりも二割以上落しておる団体におきましては、たとい赤字がありましても赤字要素考え起債の率を落すこともしておりません。つまり絶対量を落しておるのでありますから、そういう団体につきましては、起債の額を別に落しておりません。ただ赤字のあるくせに事業量だけ相当持って依然として同じくらいの程度の仕事をやろうとしておるところの起債につきましてある一定限度、一割なり二割の起債を落していく、こういう程度のものでありまして、全然ゼロにするということではないのであります。
  63. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連してお尋ねするのですが、先ほどから私問答を伺っておったのでありますが、どうも後藤さんの御答弁を聞いておりますと、地方財政再建整備法が出ることによって、それの適用を受けなかった団体が、何らかの形でこれまで以上に圧迫を受けるのではないかというふうな印象を受けるのですが、そんなことがあってはこれは問題にならぬと思うので、地方財政再建整備法が出て、非常に赤字で困っておる団体でその適用を受けたものが幾分かは助かる、実は私どもは一向助かると思っていないけれども、まあまあ解釈の相違というか助かるとする。それ以外の団体でこれまで通りのものは、これまで通り政府方針でやる。そういうことははっきりしていることと思うのですが、その点でどうも誤解があるように思いますので、私の質問の通りの御答弁をいただけると思うが、一つ念を押してお尋ねをいたしておきます。
  64. 後藤博

    後藤政府委員 再建団体にならない赤字団体について別に圧迫を加える意思は全然ございません。ただ私どもの申し上げておるのは、そういう団体に対しても手が回らなくなる、今のような手の回し方ができなくなる、こういうことを申し上げておるのであります。
  65. 中井徳次郎

    ○中井委員 それじゃ一体再建整備法はなぜ出したかということになりますよ。再建整備法によって赤字で非常に困っておる団体だけは助かる、中間の団体はそのことによって窮屈になる。それじゃこれは大問題だと思うのです。これはそう簡単に私は答弁をしてもらいたくない、きょうでなくてもけっこうですが、一体これはどうですか。
  66. 後藤博

    後藤政府委員 赤字団体のうちで先ほど申しましたようにグループが三つくらいあるということを申し上げましたが、そのうちでほうっておいても赤字でなくなる団体はいいのでありますが、そうではなくて、赤字が相当継続して残っていく団体再建整備をやって、再建整備をやる以上は相当苦しい再生運営になる団体と、このどちらを見ていくか、どちらを助けていくかということになりますと、やはり第一次的には赤字団体再建団体になったものを、その目的が達成できるように私どもは援助していきたい、かように考えておるのであります。これは率直に申し上げておるのであります。そうしますとどうしてもそうでない団体に対して手が回りかねるというのが自然じゃないかと私どもは思っております。率直に私は申し上げたのであります。
  67. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の問題はたとえば自治庁の毎年々々の地方財政に対する起債その他のワク一定しておる。一定しておって、特にそういう法律を出したにもかかわらず、何も政府は全体としては措置をしない。自治体の内部で一つ取り合いをやれというふうな考え方ならそれは私は出てくると思います。しかしせっかくああいうものをお出しになって、私どもは反対したけれども通ったわけでありますから、何らか全体としてプラスになっていなければ、私は意味がないと思うのですが、その辺はどうですか。  それからもう一つ適用も何も受けない団体赤字であることを平気に思っておったり、それはまたそんなものは当りまえだ、どんどん赤字をふやせというような、そういう大それた考え団体があれば、それは大いにしかって下さい。そうじゃなくて、われわれはあくまで自主的にやろうというまじめな考え方で努力しておるにもかかわらず、それに入らぬために非常に迷惑をこうむるということになれば、これは地方自治体を中央政府が非常に圧迫をするということになるのですが、どうですか。
  68. 後藤博

    後藤政府委員 私どもいろいろ相談に来られる団体に——これは金を借りる借りぬは別でありますか、ならないのかよくわからないのであります。なぜならないのだ、ならないで、そして再建債を受けない団体になって、自主債券でやりたいという気持がよくわからないと申し上げるのであります。何か中でうまいことをやろうという気持ではないかということをひやかすのでありますが、しかしよくわかりません。同じような財政規模で、同じような赤字がある団体がなるものであれば、同じ程度赤字を持っておる団体再建団体となるのが当然じゃないかと私どもは思っておるのであります。そういう建前から同じような取扱いはてきないということを申し上げておるのでありまして、別にそれは圧迫ではなくて、自主的に再建計画ができるところのものはやはりやっていくべきである、またそれを助長していくのがわれわれの仕事だと考えております。
  69. 中井徳次郎

    ○中井委員 私はそれは後腰財政部長の大へんな誤解じゃないかと思うのです。大体受けない団体は少しずるいことを考えておるのじゃないか、どうしていいかわからない、こうおつしゃいますけれども、やはり地方自治体の身になって考えてもらわないとこの問題は解決できない。現に二十九年、三十年にわたりまして、全国の各都参道府県市町村とも苦しい中にあって、人員整理をやっておるところもありましょうし、いろいろと経費の節約をはかっておる、あの人たちはあの人たちで自主的なはっきりした施策を考えまして、その上に立ってやっておる。中には徹底的に税金の徴収を強度にやっておるところもありまするし、自主的に税金プラス寄付金というような形で取っておる団体も実はあるのであります。国のワクは毎年きまっておる、地方財政の方は整備法ができたために、整備法の適用を受けないものは、今度はそれだけワクが縮こまっていくというふうなことでは、何のために再建整備法を出したのか、まん中の団体が非常に困るというのでは、やはりこれは大問題になると思うのです。この点を重ねて一つお尋ねいたします。
  70. 後藤博

    後藤政府委員 再建団体の問題と、それからこれは過去の赤字の問題としてわれわれ考えております。将来の問題につきましては、三十一年度財政計画等についても相当是正をいたしたのであります。これは後日脱肛を申し上げますが、漸次財源を豊富にし、財政規模の適正化をはかっていくという方向に進んで参りたいと考えております。しかし過去の赤字を処理する団体のうちで、先ほど申しましたように——私どもは同じような気持指導していきたいのでありますけれども、やはり困った団体の人にある程度の差別ができるのはやむを得ぬ、こういうふうな気持でおりますことを申し上げたのであります。私の言い方が悪かったかもしれませんが、圧迫する気は全然ございません。
  71. 大矢省三

    大矢委員長 ただいま長官、政務次官が出席されておりますから……。
  72. 中井徳次郎

    ○中井委員 長官、途中でお見えになってあれでありますが、今問答いたしておりますのは、地方財政再建整備法ができたことによりまして、赤字団体のうちで申し込みが二県と二市もある、今後もまだあるであろうという後藤財政部長の誤答弁、それから非常に赤字で、再建整備法の適用を受けようか受けまいかという境の団体、いろいろ思案をしている団体に、受けないと非常に困るのじゃないかという説明が中央政府からなされておるということについてでありまして、私が今お尋ねしておりますのは、再建整備法が出ることによって、その法案の適用を受けない団体が従来以上の窮屈な目にあうというふうなことがあっては、何のために再建整備法が出されたのかわからないではないか、少くともこれまでの全国の地方自治体に対して中央政府がとられたような態度と同じ態度、プラス再建整備法による多少の政府の資金的あるいは財政的な支援というものがあるのでなければ、整備法が全然意味がないじゃないか、そういうふうでちょうど途中にある数多くの団体が、整備法が出ることによって迷惑をするというふうなことがあってはならぬがどうであるかということであります。ところが人情としては多少そういうことはあるかもしれぬというふうなことでありましたので、それはもってのほかであると今問答の途中でありますが、大臣におかれては——私どもすなおな気持でこういうふうにお尋ねをしておるのでありますが、私が今お尋ねいたしましたことについての御見解を、ここでちょっとお漏らしをいただきたいと思います。
  73. 太田正孝

    ○太田国務大臣 大へんおくれて申しわけございません。また今国会よろしくお願いいたします。  ただいま御質、問の再建措置の問題でございますが、昨年の暮れに法令を告示したり、またことしになりましてこういう法律の趣意を徹底さすようにいたしましたり、手続の点に及んでおる状況で、そうして四つこっちに申請があります。なお地方議会においてもこの問題について御研究なすっているところがあるようでございますが、後藤部長が申し上げましたことをここで聞いたのでありますが、言葉に少し行き過ぎた点があると思いますが、ほかに無理を押しつけるとか、迷惑をかけるというようなことは言葉の何でございまして、そういう心持を持っておりませんから、さよう御了承願いたいと思います。
  74. 大矢省三

    大矢委員長 川村君。
  75. 川村継義

    ○川村(継)委員 それではほかの委員の方からいろいろ御質問があると思いますので、あと一つ二つ簡単にお尋ねいたします。十二条の三項に「百五十億を限度として、なるべくすみやかに、」云々とあります。これはいわゆる肩がわりする問題だと思うのですが、三十一年度からやりますか。
  76. 後藤博

    後藤政府委員 お答えいたします。この十二条の三項の中の、政府資金の振りかえの規定でありますが、これは債権者の方が申出をした場合には申出に応ずるという建前になっております。最近の資金状況を見ますと、必ずしも従来の貸金を性急に取り立てておるような状況にもない状況に少し変ってきております。従って百五十億をそのまま振りかえないで、三十一年度は二百億の再建債を予定しておりますが、そのうち百億だけを政府資金でやる、その百億の中にこの中の振りかえ分は入っておる、かような気持で百億の金額を決定したのであります。従って百五十億を全額振りかえしておりません。
  77. 川村継義

    ○川村(継)委員 この前出ました法案では「百五十億円を限度として、」こう書いであるのですが、ことしは百億をやる、減ったわけですね。というのは希望者が少いからですか。
  78. 後藤博

    後藤政府委員 私申し上げたことは少し足りなかったかと思いますが、三十年度は御承知の通り百五十億の公募債と五十億の政府資金を用意しております。これがまだどのくらい要るかわかりませんが、三十一年度はさらにその上に二百億、政府資金百億と公募債百億を用意しております。従って合せますると、四百億の起債を用意しておるのであります。三十一年度の百億の中に三十年度の百五十億の公募債の振りかえ分が含んでおる、こういうようなことを申し上げたのであります。
  79. 川村継義

    ○川村(継)委員 もう一つこの十五条関係の利子補給の問題なんですが、施行令の七条に財政再建債の利子補給の基準というのがありますが、どうもこれを読んでも文章がめちゃめちゃでちょっとなかなかぴんとこないのですが、この辺をもう少し説明して下さい。
  80. 後藤博

    後藤政府委員 十五条の利子補給の政令でありますが、これは一つの方程式で出すということにしております。と申しますのは、区切って参りますと、境目の団体が利子補給が非常に低くなるということになりますので、そうならないようなことにいたしたい。つまりある一定団体は利子補給は二分、ある一定の限度以上は五分というふうにして、その中の団体一つの線になるようにするために、この方程式を作ったのであります。考え方は、再建計画が大体三年くらいで済むもの、もちろんこれは理論的に考えまして三年くらいで済むものは利子補給は二分の限度でやる、すなわち原案の程度の利子補給をやるそれ以上のかかる団体につきましては逐次上げていく、そうして五年以上、理論的にかかる団体につきましては最高の利子補給をやる、こういう考え方をこの方程式で表わしておるのであります。
  81. 川村継義

    ○川村(継)委員 というのは初めの再建をやって、そうして財政が健全化するに、二年かかる、三年かかる、あるいは七年かかる、そこから利子補給はやるのですか、あるいは利子補給花二分とか五分とか考えて期限を割り出させておるのじゃないですか、どっちですか。
  82. 後藤博

    後藤政府委員 結果的にこういうふうにしたので、何らかの方法によって利子補給の差をつけるという前提に立って、その場合に何を標準にしたらよいかということなんですが、その場合に全部の赤字につきまして基礎控除的な方法をとるという方法がございます。そういう方法でなくて、やはり赤字の多い団体再建計画は非常に苦しくなるから、従って利子の支払いも非常に窮屈になる、そういう意味赤字の多い団体、つまり再建計画の長くかかる団体赤字が絶対的に多いのではなく相対的に多い団体につきましては利子補給の額を多くしていこう、こういう考え方から出発いたしまして、しからば理論的に何年かかるかという標準を何に置くか、こういう問題を研究いたしました結果、これはかって当委員会で出されました、節約をするか増税をするかというときに使われました方式を基礎にいたしまして、それはここあります、府県でありますれば府県民税及び事業税収入額の合算額の八分の十の額の二割の額、これが節約し得る最高限度だ、その節約をしていけば赤字がどのくらい続くかということを考えまして、その二割の額で赤字の額を割っていくのであります。割って五年以上のところは五年、三年のところは三年、そういう理論的な計算をしたのであります。もちろん個々団体再建計画は、この理論的な数字を根拠にして再建計画年度にはしておりません。もっと長くかかる計画計画にしておりますが、一応理論的にはそういう従来の節約の数字がありますので、それを追って参りまして赤字額を割った。それが大体再建計画年度というふうに考えるわけであります。
  83. 川村継義

    ○川村(継)委員 さっきお尋ねした起債の問題あるいは今の利子補給の問題あるいは公募債の振りかえの問題、そういうような問題は一々こまかい自治庁考え方地方団体説明してあると思いますが、そういうようなことのために、そういう基準によっても結局自分の団体の財政再建をやるにはいろいろ制約を受ける、どうも完全にいくかいかぬかわからぬ、こんな点が結局財政部長も言っておるように足踏みしたり、あるいは恐れをなしておる一つの原因になっておるのではないかと思うのであります。こういう点はやはりもう少し自治庁としてはほんとうの再建のための考慮を払っていただきたいという希望を持つわけです。  なお三十一年度地方財政計画等出ますと、それらに付随して他にお伺いしたい点があるのですが、今日は私はこのくらいにして、他の委員の方々がお見えでございますから、あとは後日に譲ります。
  84. 五島虎雄

    ○五島委員 長官も御出席でありますが、長官に対する質問は北山君に譲りまして、主として施行規則の第二条ですが、申し込みをするときの再建計画書の様式は別記第三号様・式によるという規則があるわけです。その別記第三号様式を読んでみますと、細大漏らさず記入してある。増収、増税あるいは節約等々、その様式が書いてあります。規則の第二条によりますと、これを添えて申し込まなければならないとある。従ってこの様式の一つを欠除しておっても、自治庁としてはこれは様式を欠除したものと解釈されるかどうか、あるいはその中に一項、二項を欠除していても適用団体になるのかならないのかということを聞いておきたいと思います。
  85. 後藤博

    後藤政府委員 様式の問題でありますが、現行税法の税率による税の増収計画、滞納の増収計画については当然出していただきたいと思います。ただ増税の場合は、様式は作っておりますけれども、増税をやらない団体につきましては別に書く必要もございません。
  86. 五島虎雄

    ○五島委員 二十二特別国会においても、節約の面が結論として首切りになるであろうというようなことで、ずいぶん社会党からは質問が出ました。しかしこれは任意のことで首切ろうとは思わない、前長官はそういうように説明なれていたわけですけれども、そうすると節約の行為における再建計画の中で、何年まで公務員を何%首切るのだというようなところがなければならないのか、あるいは首切らないということを条件として、たとえば適用を受けようという申請を出す場合、これに対しては自治庁はどういう見解をもって臨もうとされるのか承わりたい。
  87. 後藤博

    後藤政府委員 節約は必ず立てていただきたいと考えております。しかし節約の内要でありますが、たとえば事業費を節約するか、人件費を落すか、これは任意であります。別に人件費を落さないからといって、その節約を認めないという気持はございません。促って人件費を削ると申しましても、整理をするということが要件ではないと考えております。
  88. 五島虎雄

    ○五島委員 それではそういうようなことを様式の中に記入をしていなくても、これはあなたたちは整理しなければ再建かできないのだというようなここを指示する、あるいは教示することは全然ないのですか。
  89. 後藤博

    後藤政府委員 再建計画は非常に短かい期間でできるものであれば、私どもは別に何も言いません。
  90. 五島虎雄

    ○五島委員 短かい期間ではない、長期を要するのだったら書けと言われますか。
  91. 後藤博

    後藤政府委員 非常に長期を要する計画については、大体八年にしております。八年の範囲内であれば私どもはいいと思っております。二十年も三十年もかかるということにして持って来られては困るという意味であります。
  92. 門司亮

    門司委員 私は大臣にあとからお聞きしますが、後藤君にちょっと聞いておきたいのです。一番大事な十七条の制令をまだ出していないということなんですが、この規定は非常に重要な規定でありまして、地方自治団体がどう動いていくかということについての問題はこういうことできまると思う。地方のほんとうの腹をきめさせるに必要な十七条の規定をまだ出していないというのはどういうわけなんですか。
  93. 後藤博

    後藤政府委員 これは一つ予算関係がありました。予算が確定しておりませんでしたし、これは三十一年度からの問題でありますので予算の確定を待っておったわけでありますが、大体きまりましたので、その予算基礎にして折衝いたしております。予算範囲内でやるか、それともこれを清算的に考えてやるか、翌年度清算する方式でやるかという問題があります。予算範囲内でやるといたしますれば、各省の協力がなかなかむずかしいのでありまして、われわれは大きな事業は全部入れたいと考えておりますが、各省は必ずしもわれわれとは同じ考えではございません。いろいろ話し合いをした結果、清算的な考え方で行こうという気持にわれわれはなって、その折衝もいたしております。翌年度清算せよということであれば、本年度予算には関係ないではないかということで、各省も少し事業を多く入れてくれというふうなことになって参っております。もうここ数日の間にこれも固めたいと思っております。大体各省の要求は出て参りましたが、農林省関係がほとんど入ってこなかったのであります。こういうことをしてもらわなくてもよろしいという気持が、農林省には強かったのであります。しかし清算的のものであれば農林省だって反対する理由はないということで強く押しておりまして、大体の話はつきそうでございますので、ここ数日のうちに決定したいと思います。
  94. 門司亮

    門司委員 ここ数日のうちにということでけっこうでありますが、この場合にもう一つ聞いておきたいと思いますのは、十七条からくる政令がどういう形で出るかわかりませんが、こういうものは直接経費に関係を持つものであり、仕事に関係を持って参ります。従って地方の自治体が非常に知りたいところなのです。三十一年度ではこんなものはやらないという考え方では困ると思います。満足な政令を出さないでおいて、そして法の適用を受けなさいといって一体何を説明しているのですか、これでは説明できやしません。あとで何とかするからといって、あいまいなことを言っているのではだめです。こういう問題についてはもう少し親切な態度がほしいと思います。  もう一つ聞いておきたいと思うのは、府県がこの法規の適用を受けた場合に、市町村に及ぼす行政財政上の影響を自治庁はどう考えておりますか。
  95. 後藤博

    後藤政府委員 第一点の補助金は、これは補助金が多くなるのであります。従って再建計画それ自体は、事業量を上げて参りますので歳入の方の補助金の額が多くなる、それだけ楽になる結果になります。従って有利になるものであればそう急ぐ必要はないということであります。歳入の方が多くなって参りますれば、それだけ楽になるのでありますから、再建計画の方で余裕が出てくることになるのであります。  それからもう一つ地方団体の中で府県市町村へこの規定が動いて参りまずと、市町村負担はむしろ減る傾向が出てくると思います。ふえることにはならぬと私は考えております。
  96. 門司亮

    門司委員 そういう事務的な考え方ではなくて、問題は受けるか受けないか、財政が楽になるということであれば受けてもいいという気持になり、財政が困難になって仕事が縮小されてやりにくくなるということであれば受けないという気持が、自治体で動くのであります。ですから財政上の関連性を持った条項の政令というようなものはできるだけ早く出す、そして受けるか受けないかということの腹をきめるということが最も必要です。これからくる地方自治市町村の影響というものは必ずある。だからその問題をどう取り扱うかということになっていないと、これはふえる方だからよかろうという考え方は私は間違いだと思う。  もう一つ自治庁指導の中で非常に危険だと思っているのは、自治庁法律ができたから、その法律適用をできるだけ範囲を広くすることにおいて、自分たちの仕事をふやしていこうという役人的な考え方があると思う。親切であるならば、この法律を受けることによって自治体に及ぼす影響を、いい面よりは悪い面を教えて、これでもいいですかと念を押しておかなければならぬと思う。これは指導の大きな問題だと思います。これはやがてわれわれがいかに審議の過程で反対をいたして参りましても事実上出てくる。しかも計画は八年でしょう。もしこの法律適用を受けるとしても計画というものは一年、二年過程を経ていく。自治体というものは成長いたしておりますから、去年までやらなくてもいい仕事でもことしはやらなければならないという仕事が出てくる。そういうことがあるから、できれば年度ごとに一応の査定を受けていくことが、私は正しい法律のあり方だと思います。しかしこれは当初に八年計画なら八年計画、五年計画なら五年計画を立てる、こういうことになっております。一応の計画の目安は必要であるが、しかし事業計画というものは私は年度ごとでよかったと思う。ところがその規定はこの中に入っておらない。従って今申しましたようなことが問題になると同時に、仕事にワクをはめる一つ法律を自治体に説明し、これを当てはめようとするときに、自治庁がこの法律を受けなければならないというような印象を与える指導の仕方は間違いだと思う。これは長官に一つ聞いておきたいと思うのですけれども、態度を改めてもらいたい。そうしませんと、この適用を受けたことのために、自治体がえらい損をしたというような考え方を持たしてはならぬと思う。せっかくの法律が生きてこない。悪法だったというそしりを受ける。これは必ずしも役人の手柄にもならなければ自慢にもならぬと思う。同時に国会の威信にも関係する。さっきからいろいろ心配されておりますような点を十分説明してもらって、法律でここはこうゆうふうになりますが、それでもいいかと念を押すぐらいの親切さがなければならぬ。もしこれを受けなければあとの財政的な金繰りに影響があるというようなことを言って、われわれから考えれば悪法だと考えられるものを、自治庁が押しつけるようなことはどうかと思うのですが、長官は一体この点をどうお考えになりますか。
  97. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お言葉のことは私も同感でございます。もちろん役人が仕事をふやしたいというためにやることはいけない。さらに不親切な態度をとるということはいけないと思います。これをやらなかったから、ほかの方でいじめるぞというような態度は断じて私の考えてもなく、また自治を指導もしくは助長していく役所の建前ではないと信じます。もしそういう点がありましたら遠慮なく御忠告も仰ぎたいし、また改めもしたいと思います。
  98. 門司亮

    門司委員 もう一点事務的なことで、後藤君に聞いておきたいと思うのですが、さっき博いました都道府県適用を受けた場合に、市町村に及ぼすすが、これは十七条を云々するのじゃありません。全体に県の持っております事業量が減って参ります。そうすると仕事をしようという市町村が出てくる。しかし仕事は国及び府県関係しない仕事はほとんどないわけであります。そこで市町村はやりたいのだが、県が再建整備を受けておるという関係上、そういうものについて県が気乗りしない、やっても困るというような場合が必ず出てくると思う。その場合の調整はどうされるつもりですか。
  99. 後藤博

    後藤政府委員 個々の問題でなくて、再建計画と申しますのは、たびたび申し上げましたように、たとえば補助事業をこの程度でやるというふうな大きなワクでございます。それを基礎にして、年々の具体的な補助事業を毎年予算でもってきめていくわけであります。そういう場合に、市町村関係のある事業、つまり府県がやるのではなくて、市町村に流れていって、実態は市町村がやる事業があることもわれわれは知っております。従ってそういうところに影響が参らぬようにできるだけいたしたい、これは年々の予算と財政再建計画とあわせるときの問題である。かように考えております。その場合に、市町村に行くところの事業を切らないように、できるだけ指導していきたい、かように考えております。
  100. 門司亮

    門司委員 できるだけという答弁ですが、私は必ず制限を加えなければならぬ事態が起ってくると思う。そういう場合に、その当該府県市町村から単独の事業がやりたいという場合、あるいは単独の事業をする場合に対する自治庁の取扱いですが、これをよく念を押しておぎませんと、今までのような自治庁考え方で、お前のところは赤字だから再建整備を受ける資格を持っておって受けないのだから、赤字団体としての十分の優遇策を講じない、やれるならやってみろというような態度で出られるであろうということが予想される。そういうふうに予想されて参りますとどうしても再建整備は受けないが、しかし県が再建整備を受けておるために、あの種の事業にワクがはめられておる。それに関連を持った市町村の仕事がやりにくくなる。しかし市ではどうしてもやらなければならぬという場合の調整なんですが、こういうふうに単独で市がこういう仕事がやりたいという場合に、県の再建整備計画にかかわらず市町村には何か財政上の起債をつけるとか、あるいは資金繰りをするというようなことで、今まで通りの態度を自治庁はとられますか。
  101. 後藤博

    後藤政府委員 補助事業の中で義務的なものはもちろん落していかざるを僻ません。これは認めていかざるを得ません。別に私はそれをしぼることはできないと考えております。奨励的なものがやはり問題ではないか、それを受け取らないというような場合があるかと思います。それで重要なもので、ほかの県であれば補助金がもらえたであろうというようなものについて、単独事業で出て参りますればそれはやはり考えていくべきではないか、かように私ども思っております。一番心配なのは、そういうことでなくて資金の関係でありまして、補助金は県までは来ておるのであるが、それが市町村に行かない。こういう例がこれまでもありますし、これから先もあり得る。これは資金の問題でありますが、そういうことのないように気をつけていきたい、こう考えております。
  102. 北山愛郎

    北山委員 自治庁長官、ことしは初めてですからどうぞよろしくと申し上げたいのですが、再開早々ですが、遺憾なことを申し上げなければならぬわけであります。一つの問題は三十年度予算の補正でございます。これはこの前の国会で、大臣が新しい財政計画の立場から財源措置と同様の効果を持つ財政措置だと言われるところの、例の百八十八億の中で百六十億を除いたあとの分についての処置、それから〇・二五の分についての年末手当の財源措置、これについてこの委員会が決議をして、大臣もできるだけ努力をすると言われ、また大蔵大臣も同様の言明をされた。ところが今度三十年度予算補正に当りまして、すでに食管会計の赤字については、何でも六十七億とか持っていかれてしまうことに、大体きまっておるというような話であります。私は自治庁長官は農林大臣よりも政治力が決して劣るとは考えません。ですから今回の修正において食管会計にそれだけの分が取られることが大体内定しておるという以上は、少くとも当委員会において決定をされ努力をされつつあるところの地方財政の三十年度分についての措置、これについては何らかの了解がついておるのじゃないか。これは当然じゃないか、かように考えるのですが、この点が一つであります。  それからもう一つは、実は本日まで委員会が待っておったのは三十一年度地方財政計画を待っておったのです。ところが今に至るまでできてこないのであります。この点ははなはだ遺憾に思うのでありますが、しかし地方財政計画の骨子になる三十一年度地方財政に対する対策というものは、もうすでに大体のことは御決定になっておるはずである。そこで新年度地方財政対策なるものは、大臣がこの前お述べになったように、三十年度は暫定措置をする、三十一年度において根本的な解決をするという言明に一致しておるかどうか。財政計画内容についてはあらためて御説明を受けた上でお聞きをしたいと思っておりますが、大体のところ所信といいますか、三十一年度地方財政対策についての大臣のお考えをお述べいただきたい。以上二点をお伺いします。
  103. 太田正孝

    ○太田国務大臣 御質問の第一の、三十年度補正予算につきましては、財源の問題につきましてただいま大蔵省と交渉しております。私も大蔵大臣も、言いました点につきましては、御趣意の点に沿うように財源調整しておるのであります。申し上げるまでもなく、たとえば所得税が非常にふえますと、そのはね返りとして交付税関係においてくることは当然でございますが、相当の額が出るようでございまして、こんな点についての念押しをしておる次第でございます。  第二の問題は、私も大蔵大臣も、ともに根本的な考え方を三十一年度予算に表わしたいと申し上げた通りでございます。また政府予算編成方針の中におきましても、地方財政を今までの予算編成方針にない重点を置いて、地方財政措置を中心としてということが、一つの今度の政府予算の柱であります。もう一つ地方財政に関する大きな柱は、赤字が七ないようにというような意味におきまして、私どもが言った根本的な対策が、三十一年度予算に盛られておるかということになります。私は昨日も関連して予算委員会の質問がございましたときに答えましたが、この問題につきまして、考え方として私は二つの点を根本的対象として考えたのでございます。その第一は、地方財政に直接する面からして、根本的対策を立てたい。これはいわば地方財政の収入支出、歳入歳出の関係になるのでございまして、言うまでもなくもうすぐにでも発表を——発表ということはできませんが、近く一日、二日のうちにごらんを願う財政計画の中に出ておるわけでございます。第二の問題は、国と地方財政とのつながりでどういうようにして根本的の策を立てるか、こういうことになります。  第一の問題につきましては、相当地方の自主財源等、歳入の方面においても、今まで幾たびか考えられて実行に移されなかった問題も、今回取り上げました。税の形になるかまだわかっておりませんが、これも一日、二日のうちにはっきりして参りますけれども、三公社に対する課税でございますとか、固定資産税もしくは固定資産税に相当する交付金の形で行くとか、これなども長年唱えられて、しかも地方制度調査会における要望の大きなものになっておりましたが、入れることにいたしました。それから目的税として都市計画税及び軽油引税を今回新たに設けることにいたしました。その他国有財産に対する課税等もあります。課税に類する交付金制度等もございます。これらの点は相当私は今まで加えられなかった大きな改革であろうと思い、皆様方の御審議を仰ぎたい問題でございます。また全面的には手が及びませんでしたが、入場税によって地方の余裕と申しますか、私は富裕という言葉は使いませんが、余裕財源を他に回すという方法もとりました。しかしこれは最初考えられた点よりも非常に範囲が小さくなりましたが、問題が一般税制の関係もございますし、ことに大きく手を入れれば地方事業税などに関係いたしますが、いわゆるコクのある税でございまして、これを動かすことには相当の問題がございますから、今回入れませんでしたが、少くとも世にいわゆる偏在是正の問題に手をつけたのでございます。また公債につきましても、将来増さないようにすること及びその負担がなるべく軽く行くようにすることなどの点につきまして、一応地方債政策を立てていった次第でございます。  歳出の方面におきましても、今回の地方制度の改正に伴いまして、いろいろな手を加えて参るつもりでございます。行政委員会あるいは行政の組織等につきまして、簡素化をはかり、合理化をはかっていきたい。また長年問題であり、要望であったところの停年制も断行していく考えでございます。そうしてもう一つの大きい歳出に関係のありまするものは、国庫負担による事業の地方に今まで相当高くかけられておったものを軽くする。地方負担を軽減する、こういう意味におきまして、たとえば河川、砂防等における国庫の負担率を多くし、地方負担率を軽くする、こういうようなことも今回実行に移されて、予算として御審議をお願い申し上げたい点になっております。そういうように歳出にも歳入にもやったものを御審議を仰ぎたい一応財政計画として現われるのでございますか、よく問題になります給与費につきましては、先般の実態調査の結果を尊重いたしまして、これによって給与の点の改革、国家公務員とのつり合いをとる問題及び人員の点につきましても、今までにない手を加えて参って、この実態調査の結果を反映するようにしております。さらに従来地方財政計画の欠陥といわれました昭和二十五年度決算をもとにしたやり方を変えまして、昭和二十九年度の一番新しい決算をよく調べまして、物件費その他において改革を加えた次第でございます。  かようにいたしまして、地方財政自体に関するものにつきましては、口幅つたいことを申し上げるのではございませんが、今まで手を加えられなかった点に相当の手を加え、今回の地方財政計画が一兆四百五十三億円という額に達しましたが、その収入面でも支出面でも相当面目を改めている点がある。またこれによって赤字を出さぬようにしようという方向に進んでいることを、私は確信するものでございます。  しかし国の財政との関係の第二点の問題になりますと、地方財政直接の面からかような改革がありましたが、国の財政から地方の財政へのかかわり合いと申しますか、つなぎ合いと申しますか、この点につきましては、国の財政の現情から見まして、私の要求したところのものよりは少いのでございます。不十分でございます。いろいろな点で国の財政と地方財政とのつながりがございますが、こまかい費用を別といたしまして、また投融資の関係を別にいたしまして、大きな線としていつも団の財政と地方財政のつながりとして取り上げるものは、何といっても交付税でございます。これによって国の財政から地方財政へ金が流れていく。他の一面は、文部省所管でございますが、義務教育費というものの額でございます。この二つが大きなパイプではないか。もちろん公共事業によって流れていく線もございますが、現実の金として入っているのはこの二つが大きい。地方交付税総額は千六百二十七億円でございます。それから義務教育の金が七百九十億円でございます。両方合せて二千四百十七億円でございまして、一兆何がしの国家予算に対する四分の一に近いものになっております。しかもまた交付税の本体になる酒の税、法人税、所得税というものに対する二割五分でございますから、やはり四分の一になっておるのでございます。国の財政から継ぎ足すところの金は、今日の地方財政赤字を直すために、また窮状を救うために、相当出してもらいたいという意味で私も考えたのでございますが、国家財政は御承知の通り一兆三百五十億円でございまして、昨年より五百億何がしがふえております。その国の財政にすがる場合と申しますか、出してもらう場合の地方財政との関係考えてみますと、五百数十億円ある中で、国家財政は最初に百五十億円を減税に天引きしてあります。残る三百五十億円か四百億円の中で、地方財政とあるいは地方公共事業、あるいは抜き差しのならない恩給費などを考え、また社会党の方がよくお取り上げになります防衛費の問題などを考えてみますと、全部この中へ入るのでございます。だがその中におきまして、国家財政の四分の一に当たる付税の中で本年ふやしました二百五十四億——ちょっと数字が違うかもしれませんが、大体二百五十何がしというものが交付税に入っております。この交付税の中には昨年の臨時国会で御賛成を願いました百六十億も入っておることはもちろんでございますが、前年度と比較すれば、国家財政の中で予算上においては最高といいますか、第一位に増した金でございます。言葉をかえていえば、三十年度の現在の予算を昨年作りますときに、百四十億円無理にしわ寄せされたということ——私はちょうど落選してまだ議会に出ておらぬときでございますが、百四十億円の押しつけと申しますか、節約で埋めろ、こういうので、三十一年度予算はしわ寄せがされておりました。従ってその結果を処理すべく、昨年の臨時国会において百八十八億、その中で百六十億が交付税の形式で出たのでございます。昨年と今年と比べてみますれば百四十億円のしわ寄せされたる心配を持った三十年度予算に対しまして、本年度は百六十億円が正確に交付税に入りましたので、去年心配されたような赤字発生の原因はないと私は考えるのでございます。かように考えまして私としてはまだ不十分な点——第一の地方財政に直面する問題でも、第二の国家財政からもう少し足してもらいたいという問題からも不十分でございます。従って根本策としては残されたる問題、たとえてみれば税につきまして地方制度調査会において第一位にあげておった農業事業税の問題、あるいは偏在是正のうち特に地方事業税に関する問題など、これは国、地方を通ずる税制改正の場合に譲るはかない状況でございましたので今回手は触れませんでしたが、こういう問題も残っております。また地方債のふえていくについては、大体において、もうこれから先、大体六百億円見当と私は見ておりますが、それ以上ふえないような策も考えており、あるいは負担の軽くなる問題を考えておりまするが、われわれが熱心に主張した利子補給の問題は残されております。こういった問題は根本に関する問題でございますので、地方財政に直接する問題、それから国の財政から地方財政へからみ合う問題、国の財政から出すべき問題、出し得る問題、こういった問題につきまして残されたる問題をさらに検討して、全体の政策の完成を期したい。はなはだ長いことを申し上げましたか、大まかに申し上げまして、地方財政に直接する方には相当思い切った策を立てたのでございます。国の財政かり地方に対する金も、健全財政の建前から五百億円以上増したが、その中でこちらへ回す金としては不十分な点があったかしれぬが、私としては精一ぱいの努力をして国の健全財政と地方の財政とのからみ合いはっけたように思います。けれどもこれで地方財政が全部いいというわけではなく、ただ赤字を生じないという意味におきまして、地方財政に直接する方策も考え、また国から地方へ渡す交付税等の関係をも考えまして赤字の出ないように、従って予算編成方針地方財政を中心とするという問題と、赤字の出ないようにという問題とは、私は予算方針によって作り上げたと思います。もちろん未熟でございましてまだ足らぬ点がございますが、完全なる地方財政を建設していくためにはさらに努力いたしたいと思います。
  104. 北山愛郎

    北山委員 非常に詳細にお答えを願いましたが、三十一年度地方財政対策につきまして、長官が非常に熱心にやられたその努力というものは新聞等でも拝見しておりまして、私は率直にこれを認めるものであります。しかし今のお話の中にも不十分であったというお話がございましたが、不十分だが赤字が出ないようにはしたいということは、その赤字の出ないように不十分な中でやるというのは、これは地方団体の努力によってやれというのであるか、そこら辺が、大ざっぱな話でございますが、少し明らかにしてもらいたいと思います。  それから三十年度の補正につきましては、大蔵省と折衝中と承わりましたが、何でも補正予算は十一日に提出になるというふうに聞いております。きょうは七日でありまして、もうあと数日でありますから、大体もう折衝でなくてきまっていなければならぬと私は了解するわけであります。十一日に出なければこれは別でありますが、それが出るとなれば、もうきまっていなければならぬのであります。その点ちょっとわからないようでありますが、重ねてお伺いしたいと思います。なおその補正の額というのは、先ほど財政部長から四十九億要求しておられるというふうに承わりました。これは例の〇・二五カ月分が三十五億と、あとその他の分が十四億、合せて四十九億、これで交渉なさっておられるとおっしゃいましたが、やはりすでにそういうふうに日も迫っておりますので、ある程度のめどがついておらなければならぬと思うのです。しかもその補正の中の一部というものは、少くとも食管会計を政府がおきめになるときに、六十七億というものは食管の方の赤字を埋めるというふうに決定なされているのですから、大体内定をしておるのですから、従ってそれ以外のいろいろな財政需要というものにつきましても、あわせて考慮の上で政府はおきめになったんじゃないか、こういうふうに想像するのが当然であろうかと思います。従って大体の金額、それからなおその見通し、なおその形式というのは所得税等が自然増になる、そのはね返りの交付税がふえるという形で全部行くものであるか、それから自然増収についても大体数字がわかっていなければならぬと思うのですが、どの程度になっておるものか、そういうような点をもう少し詳細に承わりたいのであります。
  105. 太田正孝

    ○太田国務大臣 第一の御質問でございました三十一年度赤字の出ないようにという財政計画につきまして、自治庁の心がまえとしてはもちろん親切に各自治体がおやりになることを希望もし、あるいは指導といってよいか、協力といってよいか、したいと思います。よく世間で、地方が放漫な財政をやるからというようなお言葉を承わりますが、最近におきましては相当、涙の出るような各地方団体の努力も私は承知しております。どうかこの期待に一沿うように、今回新しい税も出してもらって埋めていくというような建前でございますし、また市町村に多いと言われる停年制の問題でございますとか、あるいは委員会の整理でございますとか、さらに自治体としてはほとんど画期的とも言ってよい、本年の九月をもって終る新市町村ができ上るのでございますので、この機において、この赤字に対しまして、どうか地方自治体におきましても熱心にやっていただきたい。私は実はかような席で申し上げるのはどうかと思いますが、地方自治体というもののためには、実は自治庁プロパーの経費につきましても、もしこれがそっちへ響いては困るという意味におきまして、よく世間で言われる閣僚懇談会における復活要求というようなことを申しますが、自治庁自体に関しては一文も要求しない、もしそれがために地方自治体に渡る金が少しでも減るということを私はおそれたからであります。幸いに大蔵省もその点を察して、相当な点は見てくれたようでありますが、過去十何年にもわたって復活要求のなかったということは、自治庁に対して不熱心なわけではございません。一億でも一億でもふやしていただかなければ地方財政がうまく行かぬと思っておったからでございます。かようなことを別に感傷的に申し上げるのではございませんが、私の心がまえの一つとして御了解を仰ぎたいと思います。  なお補正予算の問題でございますが、おくれている原因は、主として公共事業のしりと申しますか、あとがこちらへ来ますの、その関係がおくれているのでありまして、今の今とて相談を進めておるところでございます。こちらの関係をどういう要求をしてどういうふうにおさまるかという後藤財政部長数字も今承わりましたが、交渉の結果はもう少しできまることと思いますから、それまでお許しを願いたいと思います。
  106. 北山愛郎

    北山委員 その先の三十一年度対策につきまして、地方団体にも十分努力をしてもらいたい。政府としてもできるだけのことをするというお話でございますが、不十分であったということでありますのでお伺いしますが、たとえば例の給与の実態調査をやった結果として、市町村関係において五万一千人ですか、計画よりも余分の職員がある、これをどうするかという問題について、大蔵省と折衝中であったようでありますが、これをやるについての財源措置は見られなかったのであるか、そういう点が不十分であるのか、それを伺いたい。
  107. 太田正孝

    ○太田国務大臣 私が国家財政とのからみ合いにおいて不十分と申しましたのは、むしろそういう点ではございませんので、たとえば公債の利子補給というような問題でございました。ただいま御指摘の給与の関係につきましては、国家公務員並みに給与の点を考える。それから今お話しの人員において五万一千人の差がある、こういう問題につきましては、三十一年度におきまして、三十年度町村合併等の関係もありましたから、その結果が三十一年度にも出てくるわけですが、一万五千人くらいをやっていきたい。もちろん一方に停年制の問題もありますし、また機構の簡素化等によって出てくる問題もございますので、それ以外にも進み得るかとも思いますが、がっちりしたところを言うと、その数字で行く。あと残ったのはどうするのか。今の簡素化方針にのっとりまして、なるべく早い機会に整理したい、しかしそのために非常な刺激とか、あるいは非常な混雑を来たすことは避けなければなりませんので、あるいは二年くらいかかるのではないか。なるべく早くしたいという希望のもとに、処理していきたいと考えております。
  108. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、今の市町村職員の計画を上回る数字という分は、三十一年度はそのうちとりあえず一万五千人を整理するということで計画をしておられる。その一万五千人がはみ出すのでありますから、もしも赤字を出さないように地方団体が努力をするということになれば、一万五千人首を切らなければならないということを地方団体に長官は御期待になっておる、こう了解してよろしゅうございますか。
  109. 後藤博

    後藤政府委員 ちょっと長官が申されましたことが間違っておるので、訂正申し上げます。一万五千人というのは、五万一千人の差を一万五千人だけ落すということでございまして、そのうち五千人分は昨年の町村合併の実績を見まして、落ちておるものであります。実態調査の昨年の一月以降において落ちたものであります。一万になりませんが、九千何人のものを三十一年度財政計画で整理すると、こういうことになっておるのであります。
  110. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、それ以上の人員についての財源措置財政計画上見ておる、その九千人の分は見ておらない、こういう意味ですか。
  111. 後藤博

    後藤政府委員 もちろん整理でありますから、退職金の関係がありますので、退職債の見合いの関係は立てております。
  112. 北山愛郎

    北山委員 一例としてお伺いしたのですから、あとは一つそういう具体的な問題は地方財政計画を拝見して、それからお伺いしたいと思います。なおもう一点だけお伺いしますが、先ほど後藤さんにお伺いしたところが、地方団体赤字の金額につきまして、自治庁大蔵省意見が違っておる。数字が違っておるわけです。自治庁の方は六百四十八億、二十九年度決算赤字、これは従来から言ってきている数字です。それを基礎にしてわれわれは再建の問題を論じた。ところが近ごろ伝えられるところによると、大蔵省調査では、六百四十八億ではなくてそれよりも二百七十五億も少い三百七十三億という数字を出しておる。こういうふうに再建基礎になる数字が、政府の部内において不統一だということは、一体どういうわけなんですか。これをどうするのかということを聞いたのですが、それは大蔵省と折衝して話を調整するということでありますが、こういう根本問題が、地方財政赤字々々と言っておるこの数字が何百億も政府の部内で食い違いがあるということでは、全くこれは困ると思います。この点長官はどういうふうにされますか。
  113. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどお話しましたように、赤字の額ではなくて、赤字の見方が違うのでありまして、赤字額というものは、六百四十八億とわれわれは考えております。大蔵省の言うのは、再建債対象になる赤字を三百七十三億ぐらいにしぼりたい、こういうことでありまして、ちょっと違うのであります。概念の違うものでありまして、これは概念の違うものを比較しておられるのはおかしいのであります。赤字額そのものは六百四十八億、これは私ども間違いないと考えております。別に政府内部の意見が違うということではないのであります。
  114. 北山愛郎

    北山委員 しかし大蔵省では赤字三百七十三億と言っておるし、自治庁は六百四十八億と言っておられるし、外部から考えるならば、別々な数字を言っておるのはおかしいと思う。これはぜひとも一致さしてもらわなければならぬ。それが再建債の例の融資率に関係するわけです。一体どのくらい貸してくれるのか、十億なら十億の赤字があるのに幾ら貸してくれるのか、案外貸さなそうだとか、いろいろ話があるわけです。これはやはり六百四十八億を基礎にするか、三百七十三億を基礎にするかということによって、全体としてもそうだし、個々団体についても見方が大蔵省自治庁と違うので、融資率に響くし、従って地方団体としても迷わざるを得ない。これは単なる議論するだけの数字ではなくて、実際に事務上の数字でもあるのですから、この点については長官は御存じないようでありますから、一つ大蔵省とこれらの点についての意見調整をはかっていただいて、食い違いのないようにしていただきたい。地方団体を迷わせるばかりです。その点をお願いしておきます。
  115. 大矢省三

    大矢委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後四時七分散会