○清井
政府委員 先ほど御指摘のありました点について、ちょっと
説明をつけ加えさしていただきたいと思います。ただいまの
関税の問題につきましての御指摘の点でございますが、大蔵、農林両
政務次官からお答え申し上げた点に尽きるのでありますが、数字にわたった点をちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。
最近の私
どもの一応試算をいたしました数字でございますが、大体
大豆の
輸入価格がだんだん下って参る、同時に問題は、この
大豆によって
生産される
大豆油と、かすがまた下ってくるということになるのでありますから、
大豆の
輸入価格の
値下りと、それから
製品の
値下りとの
関係がどういうふうになっているかということが、
関税を
賦課するかしないかということの
一つの問題点になることは御
承知の通りであります。私
ども一応の試算をいたしましたものがあるので、ごく概略申し上げてみたいと思いますが、大体半期ずつに区切って申し上げますと、二十九年、すなわち一昨年の後半期、七月から十二月までは、大体
輸入のシフ
価格の平均が百三十ドルであったのであります。相当高い
価格であったのであります。それで
輸入諸掛り、工場引取費、加工賃等を計算いたしますと、結局トン当りで五万七千九百九十二円という一応の支出になるのであります。それに対する収入は、当時の
大豆油
価格、大
豆かす価格が非常に現在よりも高い
価格でございまして、六万二千九百四十円という収入が出るのでございます。そこで大体差引が四千九百円、約五千円、こういうような一応の計算になるのであります。もっとも、この計算が絶対正しいということは申し上げません。いろいろ問題があるのですから、絶対額の数字とそのまま受け取られると困るのですが、大体集計してどのくらいの
関係になるかという御判断の資料としてお聞き願いたいのであります。二十九年の七月から十二月の間に、一応収入と支出の差が約五千円という
値段が出ております。その後三十年の上半期、すなわち昨年の上半期でありますが、昨年の上半期はシフ
価格が百二十四ドル、すなわち前年の下期が百三十ドルでありましたものが、昨年の上半期は百二十四ドルで、六ドル下った。そこで先ほど申し上げたような
輸入諸掛りから加工賃等を引きますと、支出が五万五千六百六十一円という支出になるのであります。ところがそれに対する収入が、その後かすなり油の
価格がずっと下ってきている、そこで収入の方は五万九千六百六十二円ということになります。差引四千円ということになるのであります。すなわち約五千円の収入支出の差が昨年の上半期で四千円になったということです。それから昨年の下半期でございますが、昨年の下半期は
輸入のシフ
価格が百十五ドル、また下ったのであります。従ってその結果支出が約五万二千円、ところが収入の方は、先ほど申し上げたように油と、かすの
価格がどんどん下って参っておりますので、五万三千六百円というふうに下っております。そこで結局収入と支出の差が千五百円、こういうことになるのであります。従って一期ずつに区切って申し上げますと、五千円から四千円、四千円から千五百円というように収入、支出の差が減って参っておる、一応こういう計算があるのであります。これは標準的な
大豆の製油工場についての一応の計算でありまして、むろん絶対額だということは申し上げられないのでありますが、傾向としてごらん願えばけっこうであります。そういうことで、かりに昨年の下半期をとってみますと、
輸入価格が百十五ドル、それを円で換算いたしますと四万一千五百五十円ということになります。四万一千五百五十円というシソの円貨換算の
価格で
大豆を買いまして、それを製油いたしまして、
大豆と、油と、かすに分けて売却した収入と支出の差が千五百円ということになるのであります。そういうことで逐次下って参る傾向のあるときに、これに
関税を
賦課いたします場合どういう
影響があるだろうかということを、私
どもといたしましても十分考えなければならぬだろうと思って
検討したのであります。ただいま申し上げたように四万一千円の円貨換算で、一割にしても四千円ということになります。ところが収入、支出の差が千五百円、これは絶対額とは申し上げられません。大体この程度という傾向として考えたのでありますが、これに
関税がかかった場合に、
製品の油や、かすの
価格に
影響しないで済むだろうか。これはある程度むろん工場の経費の中に含ませるという努力は必要あります。
業者もむろんいたすでありましょう。けれ
ども、果してこれが全部吸収で、きるかどうかということは、やはり判断しなければならぬ問題ではないか、こういうふうに実は考えておるのであります。従って、ただいま申し上げたようなわけで、ただいまの
状況で、
割当再度を全然考えないで
関税をかけることによっても、これはどうしても油なり、かすなりの
製品価格に
影響があるだろうと、実は私
どもは事務的に判断いたしておる。大体こういうような
状況になっておることを御了承願いたいと思います。
おもう
一つ申し上げますが、ただいま申し上げましたように、
輸入のシフ
価格が百三十ドルから、百二十四ドル、百二十四ドルから百十五ドルというように平均して下って参ったのでありますが、実は最近のアメリカの
大豆の市況を調べてみますと、また少しずつ上りぎみになっておるのであります。たとえば最近アメリカから買いました
大豆の
価格は、百十ドルから百十二ドルくらいで、これはシー・アンド・エフでございます。それが、最近のアメリカのシカゴのニュースをとって参りまして先行きを調べてみますと、だんだん引き合い
価格が高くなって参りまして、百十五ドルから百二十ドル見当になりはしないかといわれております。これは傾向でありますからはっきり申し上げられませんが、この低落傾向がこのままずっと続くであろうかどうかといろ問題が
一つありますので、今回
関税を今のままの
状況で直ちにかけるということをきめることは問題があるのじゃないかという考え方をとったわけであります。
以上申し上げたような
理由からいたしまして、私
どもの事務局といたしましても、現在のまま
関税をかけるということは、やはり
製品価格に
影響する、
製品価格に
影響があれば、やがてこれが消費する
方面にも
影響があるだろうから、これはしばらく慎重に考えるべきであろうという結論に達しましたので、その点について御了承願いたいと思います。