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1956-02-28 第24回国会 衆議院 大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       生田 宏一君    大平 正芳君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       夏堀源三郎君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山村新治郎君    有馬 輝武君       石山 權作君    井上 良二君       木原津與志君    竹谷源太郎君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君    石野 久男君  農林水産委員会    委員長 村松 久義君    理事 笹山茂太郎君 理事 白浜 仁吉君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    石坂  繁君       大野 市郎君    大森 玉木君       木村 文男君    楠美 省吾君       原  捨思君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       稲富 稜人君    石田 宥全君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    久保田 豊君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (大臣官房長) 谷垣 專一君         食糧庁長官   清井  正君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君  委員外出席者         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四〇号)     —————————————     〔松原大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより大蔵委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  私がこの連合審査会委員長の職務を行いますから、御了承願っておきます。  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題として審査に入ります。まず提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和二十九年に制定されました関税定率法の一部を改正する法律の附則の規定による関税暫定的減免措置につきまして、原子力研究用物品を新たに免税品に追加するとともに、従来免税されていた物品の一部について軽減税率により課税することとし、その他昭和三十一年三月三十一日に減免税期限が到来するものについて、その期限延長すること等を目的とするものであります。  以下、改正内容について簡単に御説明申し上げます。  まず、原子力研究につきましては、その必要性にかんがみ、国が特定研究に対して補助金を交付することになっております事情等を考慮いたしまして、政令で定める原子力研究の用に供される物品に対しましては、関税を免除することとしているのであります。  次に、給食用乾燥脱脂ミルクにつきましては、従来、小学校もしくは盲学校等小学部または保育所の児童の給食の用に供されるものに限り関税を免除しているのでありますが、別途御審議を願う予定であります学校給食法改正におきましては、学校給食の範囲を中学校及び盲学校等中学部にまで拡大することになっておりますので、これに伴って、これらの中学校等の生従の給食の用に供されるものについても、関税を免除することとしているのであります。  また、主として輸出向け繊維製品染色用として使用されるピグメント・レジン・カラーベース及びそのエキステンダーにつきましては、従来関税を免除していたのでありますが、最近輸入品とほぼ同品質のものの国内生産が可能となってきた事情にかんがみ、国内生産保護育成輸出産業の助長との調和を考えまして、この際基本税率の半額の税率による関税を課することとしているのであります。  その他、昭和三十一年三月三十一日で免税または減税期限が切れる重要機械類等につきましては、最近の事情にかんがみまして、その免税または減税期限を一年間延長することとしているのであります。なお、このうち大豆につきましては、国産大豆との関係もありますので、別途昭和三十一年度における輸入方式確定を待って適宜の措置をとり得ることとするため、とりあえず、一年以内で政令で定める日まで免税を続けることができるようにしているのであります。  以上が、この法律案を提出した理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。  引き続き質疑に入ります。質疑は、両委員長の協議によって定めた順序によってこれを許します。芳賀貢君。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま説明のありました関税定率法の一部改正の問題につきましては、この法案全体の御審議は、これは当然当該委員会である大蔵委員会審議が尽されるものと思いますが、私ども農林水産委員会関係といたしましては、この関税定率法の一部改正によって大きな影響のあるところの大豆中心としての質問をしたいと思うのであります。  この法案によりますと、大豆関税に対する特例措置は、本年の三月三十一日をもって復活することになるのでありますが、提案趣旨によりますと、さらにこれを一カ年間延長するというのが趣旨であるというふうに考えられるわけであります。この大豆関税の免除のさらに延長の問題につきましては、実は昨年の国内における大豆生産豊作であった関係もあり、もう一つは、三十一年度の輸入大豆計画が例年に比べまして非常にその数量計画の面に増加しておったという二つの理由がありまして、国内産大豆価格というものは、平年次の価格に比べまして一俵について一千円以上の暴落示しておったわけであります。その当時当委員会におきましては、国内産大豆価格を維持するために、政府に対しまして最も適切なる具体的な方策を確立すべきであるということをわれわれは要求したのでありますが、その応急対策一つといたしまして、昭和三十一年の四月一日からは大豆関税が復活して、一〇%の課税をすることになるので、こういうような関税復活等により、国内大豆価格に対する影響というものは好転するであろうということは、しばしば政府当局が言明されたのであります。われわれといたしましては、当然四月一日からは一〇%の大豆に対する関税賦課されるものという期待を持っておったのでありますが、この法案によりますと、さらに一カ年間の延長を行うということになっておるわけであります。それで、政府の昨年の暮れにおける方針とこの法律内容とが大きな食い違い示しておることは見のがすことができませんので、この点につきまして、大蔵当局並びに関係当局の具体的な説明をまずお願いしたいと思うのであります。
  6. 山手滿男

    山手政府委員 お示しのよう意経緯があったようでありますが、大豆は、御承知のように、しょうゆとか、みそ等いろいろな方面原料にもなりまして、そういう面からいたしますと、価格が下って、国民生活になくてはならない必需品であるそういうものができるだけ安く安定をしていくことが好ましいという議論にもなります。しかし反対に、農民の立場から申しますと、大豆があまり下るということは農家経済にいろいろ悪影響もあるということで、お示しのようないろいろ御議論もあり、政府といたしましてもいろいろ困って、その取り扱いには慎重な態度で臨む必要があるという考え方できているのでございますが、製油業者なんかは、むしろ外国大豆AA方式によってでも入れてもらいたいというふうな議論どもございまするし、もう少し研究した方がよかろうということで、その輸入方式確定をするまでもうしばらく現状のように免税を続けるという態度でいって、そのうちに適宜の措置を講じたい、こういう考えにいたしておるわけでございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 私のお尋ねしている点は、政府部内において、大豆関税に対する意見の不統一があるのではないかということを指摘したいのであります。それで、ただいま大蔵政務次官からはそのような答弁がありましたが、農林当局通産当局等においても同様な見解でこれに同意されておるか、その点をしさいに御説明願いたいと思います。
  8. 山手滿男

    山手政府委員 大豆価格は、確かに下落をいたしておりまして、農村方面にも必ずしもいい影響を与えておらぬ面もあるということは、私どももよく承知をいたしておりますが、いろいろ海外の大豆価格も変動をいたしますし、大豆輸入上のある程度の操作と申しますか、ある程度輸入量制限したりなどする方法をとることによって、できるだけ農家経済へは悪影響がいかないように、あるいは出回り期との関係を調節するような措置ども講ずるならば、まあまあある程度の目的は達するであろうというふうなこともあわせ考えまして、さっき申し上げたような措置を今検討いたしておるわけでございます。
  9. 安藤覺

    安藤委員 ただいま芳賀君から質疑になっておる点について、関連してお尋ねしたいのでありますが、昨年の秋以来、大豆値下りにつきましては、大豆生産地方農民、ことには開拓農民のあの値下りによる困窮は非常なものでございまして、当時当農林委員会においても重要問題として取り上げ、これを二日間にわたって審議いたしたのでございます。その審議の結果といたしまして、農林当局は、あらゆる苦心をして辛うじて大豆価格維持をいたしたわけであります。この間において農林当局がこの大豆価格を維持するために払った苦心、そしてそのなした手段、方策、これらについて農林当局から詳細なる御説明をいただきたいと存じます。  昨年の十二月特別融資が行われて、なおかつ大豆が値上りせずして、その融資を受けた返還期間が迫ったにかかわらず、開拓農民はこれを返済することができないという現状にありまして、非常な焦慮の事実を示しておりました。しかもこの間、輸入制限を言いましたが、その輸入制限は、すでに割当がきまって許可になってしまったのだからどうすることもできない、こういうことであったわけであります。そういたしますと、今お答えになりました山手大蔵政務次官のおっしゃるように、輸入等のことについて手かげんというようなお話でございましたが、そのことについては、すでにこの秋以来のできごとにおいてみごと失敗して、あの苦杯をなめているのです。これらの点を明らかにするためには、昨秋以来農林当局が払ってこられた政治的かつ事務的処置について、詳細漏れなくここに御報告下さることが、この大豆輸入についての将来における方策を生み出すために最もよき審議材料となると存じますので、この点特に政務次官並びに官房長から御報告願いたいと存じます。
  10. 大石武一

    大石(武)政府委員 昨年の秋に大豆暴落いたしまして、われわれ農林当局でも皆様とともに非常な苦心をして、何とかして暴落を正常な価格に直したいと念願して努力して参ったのでございます。その一端といたしまして、ただいまお述べになりましたように、ことに開拓者農民に対しまして融資をして、売り急ぎをしないようにさせるというような処置も講じましたし、ある程度割当計画を発表しました輸入大豆を、一時これを押えるようにし、あるいは食糧として輸入する大豆を、飼料の方に回すというような方法をとりまして、いろいろ努力をいたしたわけであります。なお詳しいことは事務当局からお答えいたさせますが、そのような方策を講じさせましたし、その他いろいろな要件が重なり合いまして、ようやく現在の三千円台に押えることができたわけであります。今後とも、われわれはこの大豆価格生産者の赤字にならないようにということを目途として、同時に消費者のことをもあわせ考えまして、十分な正しい値段にまで持って行きたいと考えるわけでございます。これにはいろいろと考えておるわけでありますが、とりあえず関税をかけるということは、今の方式ではそう妥当ではないと思いますので、われわれは当分は関税をかけないようにしようと考えておる次第であります。なお詳しいことにつきましては、官房長よりお答えいたさせます。
  11. 谷垣專一

    谷垣政府委員 昨年の秋から暮れにかけまして、国内産大豆が非常に暴落をいたしました。農林省といたしましてはその対策といたしまして、未発表分外貨割当大豆に対しましては、これをたな上げいたしまして保留いたしておく、そういう措置をとったわけであります。それから既に割当済みになっておりました輸入業者割当大豆で、まだ未到着の分の中から、その一部を飼料用大豆にいたしまして、食管で買い上げをいたしまして市場から隔離いたしたい、そのように考えて、その措置をとったわけであります。これは、関係商社をそれぞれ個別に、数十社にわたりまして、私たち食管当局中心にいたしまして交渉をいたしたわけでございますが、これは、残念ながらすでに食いつなぎ等の事情がありまして、さらに商取引関係等々から、とうとう当初の私たちの考え方が実現するに至りませんでした。これは非常に残念でございますが、そのような状況であったわけであります。それからなお、輸入いたしました大豆外貨割当の際の条件にいたしておりまするところの需要者の方に渡らない、つまりその間に横流し等の実情があっては市場を撹乱すると思いますので、それを厳重に監視いたしたいと思いまして、それぞれ関係通産当局とも相談をいたしまして、農林省といたしましても、それぞれのところに厳重な通牒を出し注意を発したわけであります。さらに全国の食糧事務所等に対しましても、これが監視をいたさせるようにいたしたわけであります。  それからなお開拓者に対しましては、融資をいたしましてその場の危急の状況を何とか措置いたしたい、かように考えまして、それぞれ融資をいたして参ったのであります。それからなおその後の状況におきましても、開拓者の方といたしまして、開拓者協同組合手持ちにいたしておりました大豆を何とか売り払いたいという希望が強くありましたが、当時の市況が梗塞をいたしておりまして、なかなか思うようにならなかったのであります。それに乗じまして、地元におきまする買いたたき等がかなり横行いたしまして、開拓者といたしましても非常に割安な値段でたたかれておったよう意状況でございましたので、それぞれ実需者でありまする東京におきまする大きな団体等に話をいたしまして、開拓者組合手持ちいたしておりました数量を売りつなぎをして、それらのところに売却ができまするようにあっせんをいたしました。当時開拓者協同組合の持っておりました大豆が二万四・五千俵あったかと思いまするが、それらをみそ、あるいはとうふ等の実需団体の方に販売いたすあっせんが大体成功いたしまして、現在その手持ちは大体はけたような状況に相なっている次第でございます。そのような状況で現在まで推移しておるわけであります。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、先ほどの大蔵政務次官説明によると、大豆に対して輸入関税をかける場合には、これが国民生活あるいは国内産業等に対して悪影響を及ぼしてはならぬからしてさらに延長する、そういうような趣旨だったと思うのです。ところが輸入大豆価格の趨勢は、ここ三カ年くらいを通じて非常に低落しておるわけです。値段が下っておる。それにもかかわらず、国内における大豆原料とするあるいは油、あるいはみそしょうゆとか、そういう製品値下り示していない。国内産大豆も、昨年は価格が非常に暴落しておるにもかかわらず、その原料を使って製品化している製品、特に国民生活の上において不可決なこれらの製品値下り示していない。こういうような傾向の中において、さらに保護する意味において関税賦課を一年間延長するということは、これはどの層を対象にして関税を引き下げなければならぬか。そうすると、国民生活じゃないのですよ、特定輸入業者とか、これに関連する業者に対してさらに大きな利益を提供するために、この関税賦課をさらに一年間延ばす、そういうことに尽きておるのです。だから私は、そこに問題があると思う。あなたのような論法でいくと、たとえば砂糖に対しても関税をかけない、あるいは外国から輸入するところの麦類等に対してもそこから食管において差益を取らないということにして、国民生活に寄与するような方策をとらなければならぬことになるはずなのです。ところが砂糖の場合においても、今度は、砂糖関税の引き上げの形で差益金の吸収はやめたようでありますが、関税をさらに引き上げることによって、砂糖輸入によって国家財政にそれを相当吸い上げるという計画を立てておる。あるいは外麦輸入等に対しても、輸入価格は非常に下っておるわけでありますけれども、そこから食管会計の中における操作として、外麦から相当の差益を吸い上げて、そうして食管会計の採算のバランスをとるという思想の上に立っておるじゃないか。ところがひとり大豆のみは、これは関税をかけた場合においては、国民生活に悪い影響があるからしてさらに延長するのだ、理由が明確に立たぬじゃないですか。しかもこのことは、何ら国民生活に対しても好影響をもたらさぬし、もう一つは、国内大豆生産者に対しましても非常に悪い影響を及ぼしておる、こういう点があるわけです。それで政府といたしまして、おそらく三十一年度の予算を編成される当初においては、大豆関税賦課するということを計画されて、この面からおおよそ二十億程度の収入を見積っておったと私は記憶しておるわけです。それが、どういう理由大豆に対して関税をかけないということになったか、その内容経緯というものが示されていないのです。ですから、その内容についてもう少し具体的に率直な説明が必要でないかと思うわけですが、いかがですか。
  13. 山手滿男

    山手政府委員 先ほど申し上げましたのは、ただみそしょうゆなどの価格が騰貴をするという理由だけでどうこうということではないのでありまして、みそしょうゆ等につきましても、そのほかの原因、たとえて言えば塩などが相当売り渡し価格も上ったというふうなことなどもあって、いろいろ価格の構成についての問題はあろうと思いますが、そういう関係業者の皆さんは、私がさっき申し上げましたように、国内価格の安いところに安定をすることをむしろ好むということで、さっき言ったようなことを希望するでありましょうし、またほかの業者におきましては、むしろAA制で入れてもらって、できるだけ安くということを考える面もありましょうし、いろいろ問題もあるのでありますから、どの業者どうこうということではなくて、もう少し検討をしようということでそういう据え置きの態度をとったわけでございます。一年以内で、政令で定める日まで免税をするということでございまして、よく検討をいたして御期待に沿うようにしたいと思います。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が不明朗なのです。たとえば、さらに一カ年間延長するというのならばわかる、延長しておいて、今度は政令の定むるところに従って、その期間内にいつ復活させるかわからぬ、そういうことを大豆にだけ適用されておる、そこに必ずからくりがある。そうじゃないですか。今次官が肯定されたように、関税をかけないことを一番希望しているのは業者であります。そうじゃないですか。ですから業者の要請にのみこたえて、むしろ国民生活に対しては、これを名目には利用しておるけれども、実際の腹は、やはり業者とのくされ縁の上に立って、ではもう一年延ばそうじゃないかということにおきめになったのが政府態度であると、われわれは推測しておる。これは的はずれはないと思うが、どうですか。
  15. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省側としましては、関税をとることも一応検討したことは事実でございますが、輸入方式につきまして、農林省側の方がどういう方式をとるかということもまだ未決定、間に合わないというふうな事情もありましたために、こういうふうな決定をした次第であります。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 では農林政務次官にお尋ねしますが、これは、実は各大臣出席されて答弁の衝に当るべきだと思いますが、出席がないので大石次官にお尋ねします。先ほど大石さんは、去年は大豆関税をかくべきである、かけなければならぬというふうに考えておった、今の段階では、これはかける必要がないという結論が出てきたということをあなたは言うておられたのですが、ほんとうにあなたはそう思っておられるのですか。農林政務次官として確信あって言っておるのか、だれかに知恵でもつけられて、何の確信もなくて言っておるのか。あなたの昨年の答弁と非常に食い違いがあるわけです。これは軽視することのできない発言ですから、もう一回慎重に考え直して答弁願いたい。
  17. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。昨年の大豆暴落の際に、農林水産委員会においてもいろいろ議論、御意見がございました。その節は、たとえば滞貨融資をせいとか、あるいは関税をかけろとか、あるいは輸入をもっと減らせとか、あるいは中には、保税倉庫に入れてしばらくの間売り渡しを延ばしたらよかろう、いろいろな御意見がありました。その節われわれも、一々もっともな御意見でございますので、それを十分検討いたしまして、そのときは支持価格をきめようというお話がございまして、もっともな御意見が非常に多かったので、われわれはそれを参考にして何らかの方策をきめたいと考えて訪ったわけでございます。その際私どもは、別に来年から関税をかけますということを申し上げた覚えはございません。御記憶違いじゃなかろうかと思うのでございます。でありますから、そういうことは一応調べてみますけれども関税をかけるということは申し上げなかったと思います。  ただいま大蔵政務次官にもお尋ねがございましたけれども、昨年は非常な大豆豊作でございます。輸入も、輸入計画より上回った輸入があったわけでございます。それにもかかわらず、大豆値段は非常に暴落しましたが、おっしゃるように油であるとか、豆かすであるとか、とうふであるとか、その他いろいろな小売価格はほとんど下らないということである。これは明らかに国内大豆供給が多過ぎて大豆暴落したのではなくて、何かほかの要因が加わって六三の値段暴落したのではなかろうかと考えられるのでございます。もし国内大豆供給が余って暴落したものならば、とうぶの値段でも油の値段でも必ず下るはずでございます。それがないところを見ると、単に供給が多かったというのではなくて、むしろ何かはかの——いろんな要素がございましょうけれども、たとえば取引関係とか、投機の関係とか、いろんなことがございましょうが、そういうことが土台になって大豆暴落を来たしたのだろうと思うのでございます。従いまして、そういうことを突きとめて、そういう問題を解決していくことが、大豆価格の一番大きな問題だろうと考えております。去年でさえ、あのように豊作大豆がたくさん輸入されても、消費者に対する価格は下らないのでありますから、今ここに関税をかければなおのこと、私は、飼料にしてもあるいは油にしても、消費者に対する値段がはね上って、国民大衆のいろんな負担を重くすることが多かろうと考えられます。従いまして、われわれは何らかの方式を考えなければなりません。その方式ができ上りますまでは、やはり一応このような措置をとっていただくことが一番妥当な方法であろうと考える次第であります。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 大石さん、そうじゃないのですよ。昨年の農林委員会における御答弁は、そうじゃないのです。大豆価格維持をする当面の緊急対策としては、まず滞貨融資を行う、それから下期の割当分に対しては、まだ入荷してない分に対しては割当を中止する、そういう措置をとるという点と、それから輸入分に対しては、食管会計飼料用に二万四千トンを振り向けるという点、それとあわせて、四月一日からは関税が当然復活することになるので、そういうことによって相当価格支持が行われると思うということを、あなたは政府を代表して答弁されておるわけです。これらのことは、当然政府の責任において実行しなければならぬことなんです。  当時さらに問題になった点は、農産物価格安定法の対象品目名に大豆を指定して、そして最低の価格支持を国の責任をもって講ずべきである、こういう点ももちろん審議されたわけです。ところが、大豆を農産物価格安定法の中に指定することに対しては、農林当局、特に河野農林大臣一人が反対しておったわけです。与党の諸君は、これは一日も早くやらなければならぬということを唱えておったのですが、河野農林大臣だけの反対にあって、それに押しつぶされてしまって、今日においても、まだ安定法の中に大豆を入れることができないほど無力な状態にあるというのが現実であります。ですから、当然可能なことはやれるのじゃないですか。当然四月一日から関税がかかるようになるし、その分は当然国の収入になるのです。業者の利益になるのじゃなくて、国の財政面にそれだけ収入がふえるわけです。その収入をもって、さらに国民生活の安定とか、国内における農民のためになるような施策を講ずるとすれば、それをさらにまた支出に向ければいいんじゃないですか。あなたが今言われた通り、これは国内における需給関係だけの原因によって製品値下りしておるのではない。そういうことを今言ったでしょう。すると、そのほかに原因があるということをあなたは知っておるわけです。その原因というものは、これは政府の責任において解決しなければならない原因であるというふうに考えるわけです。その大きな原因の一つは、当然大豆輸入方式をもう少し明朗な、国民の納得のできるような形に早期に是正しなければならぬということだと思う。その点に全然手を触れないという考え方はどこにあるのですか。
  19. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。初めの方のいろいろな融資の問題であるとか、あるいは食管で買い上げてこれを飼料の方に向けるとか、三つばかりのことは確かにお約束申し上げましたが、四月から関税をかけるということは、確かにお約束してないと私は信じております。なおこれは、いずれ官房長なり食糧庁長官なりから、そのことがあったかなかったかお答えさせてよろしいと思いますが、そのことはなかったと思っております。  なお価格安定法に入れまして、支持価格をきめるということは、これも考えられることでございます。確かに芳賀さんも御熱心で、われわれ与党の中にもこのような御意見の方がございまいました。しかし農林大臣を初め農林省当局におきましては、大体において、これはいま少し検討しなければならぬ、なぜかと申しますと、むしろ国内産の出回りの少い大豆を安定法に入れて支持価格をきめるということは、妥当であるかどうかということも検討しなければならぬし、また支持価格をどの辺にきめるかということも非常にむずかしい問題でございます。従いまして、これを慎重に考慮しなければならぬので、これは今すぐに御返事申し上げることはできなかったわけであります。そんな程度でやって参ったのでありますが、そんなわけで、関税をかけるということは、確かに御説のように政府の収入になりますから、一つはけっこうなことと思いますけれども、一面において、輸入大豆国内における値段が値上りすることは確かだと思います。そうすれば、おのずから油かすも上って参りましょうし、飼料も高くなりまして、農民悪影響を与えることも確かであります。その利害得失を十分に検討しなければならぬ。やはり簡単には方式はきめられないと思いますので、われわれは、目下鋭意どのような輸入方式がよろしいか、どのような管理方式がよろしいかということを研究中でございます。このようなわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 それは詭弁に類するのですよ。どうやればいいかということは、あなた方は結論を持っておると思う。それをやれないだけなんです。たとえば、昨年当委員会において、大豆価格問題が論議されておった当時、安定法に入れるとか、四月一日からは当然関税がかかるとかいうようなことが論議されておった当時、業界はどういうような態度示したかということです。業者はあげて、もし関税が四月一日からかかるような場合においては、当然輸入方式AA制にしなければいけないとか、価格支持問題に対して反対の態度示し、猛烈な運動を展開したことはあなたも御承知の通りなんです。こういうような一連の動きとこれを関連して考えた場合において、政府は、当然輸入大豆輸入方式をもう少し合理的に適正に改めなければならぬという考えを持ちながら、あえてそれを行えないという点は、やはり今までのそういう特定業者との関係を断ち切ることができないために苦慮しておるというふうにわれわれは判断しておるわけです。それをいつまでもちゅうちょしておる場合には、今後国内における大豆生産に対する期待とか、大豆生産によって農業経営をささえておる多くの農民諸君の不安というものは、いつまでたっても解消することはできないのです。そういう場合においては、農林当局があなたの説明いたしたような態度であった場合には、われわれは期待を寄せることは全然できないわけです。農林省は、当然農業政策の上に立って、国内農民に対して一つの安定を与えるということを中心にして、しかもそのことが国民生活全体に対しても寄与するというような方策をはっきり確立しなければならぬと思うわけです。今の段階では、輸入価格が昨年一昨年に比べて非常に低落しておるわけです。ですから、たとえば一〇%の関税をかけても、過去の輸入価格とそれを対比した場合においては、それが国内における原料高ということには全然ならないわけなんです。そういう点に疑点があるとするならば、通産当局からも出席しておると思いますから、過去三カ年を通じての輸入価格の変遷等に対して、数字をあげてここで一応の御説明を願いたいと思うんです。
  21. 板垣修

    ○板垣政府委員 急に言われましたので、ここ三年の価格などの資料を持ち合せておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、農林省からお答え申し上げます。
  22. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまお示しのありました点につきまして、ごく概略でございますが、傾向について申し上げてみたいと思います。輸入価格、ことに大豆輸入価格につきましては、過去において相当の波動と申しますか、波を描いたのでありますけれども、大体の傾向といたしましては、これが逐次漸落の傾向にあるということは御承知の通りであります。特に一番高かったのが二十九年の四月でございまして、六十キロ当りの価格が三千三百円、それが五月、六月になりまして急に二千四百円までに下りました。それからまたすぐ翌月は二千八百円までに値上りいたしまして、自後二千七、八百円をずっと継続いたしまして三十年に至ったのであります。三十年になりましてからは、一月以後逐次低落をいたしておりまして、三十年の一月が六十キロ当り二千八百円程度の値段でありましたものが、三十年の後半、すなわち昨年の秋ごろにかけましては二千五百円の程度を維持しまして、ただいま二千五、六百円の間を維持しておるような状況であります。すなわち漸落の傾向にある。二十九年の三月ごろに非常に上り、また翌年一時下ったというような非常な変動を示しましたけれども、その後は逐次低落の状況にある、こういうふうなことになっておるの。あります。先ほど御指摘がありました外国産大豆値段は、そういう傾向でございますが、しからば外国産大豆によって生産されるもの、主として大豆油、大豆かすというものの値段がどうなっておるかということが、御指摘の一つの問題点であるわけであります。特に先ほど来御指摘がありました点でありますが、大豆油の値段及び大豆かす値段も、これまた同様に非常な値下りを実は示しておるわけであります。試みに数字を申し上げてみますと、大豆油の植民は、これは日銀調査の三十年一月の大豆油の卸価格であります。十六・五キロの単位でありますが、一月、二月と三千五百円、それがずっと下りまして、五月になりまして三千二百円、それから四、五カ月置きまして昨年の九月に三千百五十円、それから十月に三千円ちょっと、それから十一月に二千九百円、それから最近になりまして二千八百五十円というふうに、大豆油の値段は急激に下っておるような状況になっておるのであります。それから大豆かすでございますが、大豆かす値段もまた同様でございまして、これは十貫目の卸価格、日銀調査でありますが、これが三十年一月が千八百円でありましたものが、これまた漸落の傾向を示しまして、昨年の五月には千五百五十円程度、それから昨年の九月が千五百円、昨年の十一月が千四百円、ただいまその千四百円台を大体維持している、こういうような状況でございまして、国産大豆値下りいたしましたけれども、それによって生産されるところの大豆油及び大豆かす値段も、ただいま申し上げたような非常な下落の傾向を示しているのであります。なお御参考のために申し上げますが、一方まる大豆としての、主として国内産及び中共大豆が用途に充てられますところのみそしょうゆ、とうふ等の値段を申し上げてみます。みそととうふは、大体持ち合いの価格示しているのであります。みそにつきましては、十貫目大体二千二百円から三百円——二千三百円程度をずっと持ち合っております。最近ちょっと五十円ばかり下っておりますが、大体二千円ぐらいにずっと持ち合っております。しょうゆは一斗でありますが、一斗の卸値段が千四百円にずっと持ち合って、最近四、五カ月にそれが百円か二百円下っている。とうふにつきましては、消費者値段でございますが、百匁二十円程度でずっと持ち合っている。実はこういうような状況になっておりますので、先ほど来御指摘のありました点、主として国産大豆値下り、外国産大豆原料とする製品大豆油、大豆かす値下り、こういうものが並行して下っているということを御了承願いたいと思います。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの食糧長官の説明によりましても、輸入価格が毎年のように低落していることは事実なのです。ですから、こういうような傾向をたどっており、しかも世界的に見た場合、農産物が過剰生産の傾向をたどっているわけです。特に日本の場合は、余剰農産物の圧迫に非常に大きな影響を受けているわけです。そういう場合において、大豆だけを野放しに全然関税障壁も何も設けないで、過剰農産物の自由輸入のままにこれをまかしておくという政策は、とるべきでないと考えるのです。たとえば今日六十キロ二千五百円ないし六百円としても、一〇%の関税をかけた場合においても二千八百円程度にしかならぬわけです。そういたしましても、二十九年度よりもまだ下回っているということになるのですが、その点からみて、今日大豆関税をかけた場合、これが原料高という形になって国民生活に対する負担が増大するという現実は現われてこないのではないかというふうに考えるわけです。こういう判断が立った場合においては、関税をかけることによって、それがまた国内大豆価格の安定に対しても大きな作用をなす一石二鳥の役割を果すのでありますから、やはりこれは当然のこととして、四月一日からは延長をしないままに、大豆に対しては関税がかかるという措置を講ずるのが、政府の責任においても最善の策でないかと考えるのですが、そういうお考えはありませんか。
  24. 山手滿男

    山手政府委員 先ほど来のいろいろ御指摘の点等もございますし、輸入方式そのほかいろいろな面をよく関係各省とも検討をいたしてみたいと思います。法案関係もございますし、一応一年以内で政令の定める日まで免税をする、こういう法案のままに御審議を願い、通していただきたい。その今後の処置につきましては、よく関係各省と協議をいたしまして善処したいと思います。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵省は、従来税金もよけいとるとか関税もよけいとるとか、収入の面に対しては相当熱心に努力されているのですが、この大豆に対してはばかに消極的になって、これだけは遠慮したいというのはどうなんですか。これは当然他の外麦あるいは砂糖輸入方式と切り離して考えることはできないと思います。そういう全体の食糧関係輸入品目との関連の中において、これは明確に検討する必要があると思うのですが、もし政務次官にはっきりした答弁ができないとすれば、後日大蔵大臣出席を求めてこの点をただしてみたいと思いますが、いかがですか。
  26. 山手滿男

    山手政府委員 ただ関税をかけるだけでは、内地大豆への決定的な好影響ということにはならぬと私ども思います。やはり数量そのほかいろんな問題をあわせ考えなければならぬと思うのでありますが、従価一〇%という関税をかけるということになり、あるいはAA制度をすぐ採用していくというふうないろいろな事態が起きますと、それから起きます内地大豆への影響というものは、果して農民にプラスであるかどうか、いろいろな問題があるのではなかろうか、私はこう思いますので、よく検討をしたいということでございます。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまAA制の問題が出たのですが、関税賦課したから必ずしもAA制をとらなければならぬということじゃない、どうですか。業者は、関税をもしかける場合はやむを得ぬ、そのかわり、方式AA制にしてもらわなければならぬということを言っておることは、われわれも承知しておるのですから、その点に板ばさみになっておるのじゃないですか。関税をかけた場合には、今度はAA制にしてやって、さらに業者に利益を提供しなければならぬ。これもちょっと困るから、一日延ばしにもう少し延ばしたいというのがお考えだと思う。そういうことでなく、むしろ一方積極的にこれを考えた場合においては、この食料大豆のごときは、やはりその重要度というものは麦類等に劣らないと思うのです。ですから、今日やっぱり食管輸入外麦は扱っておるのですから、麦と同じような方式、むしろ輸入大豆食管特別会計でこれを扱う、管理する、そういうことまでにこれを発展させれば、いろんな複雑な問題はなくなる。そして食管がこれを管理して、国内価格との相関的な関連の上に立ってその払い下げ価格等をきめるということにすれば、一挙に問題は解決すると思うのですが、今の政府のお考えでは、そういうことをやることはなかなかできないと思うのです。せめて関税をかけるとか、あるいは国内大豆に対しましては価格安定法の対象にするとか、輸入計画に対しましては、国内生産と見合ったところのはっきりした輸入計画を立てて、それによって運営していく、こういうことの程度しか今の政府に対してわれわれは期待を持つことはできないという判断の上に立って言っておるわけです。ですから、これは可能の限界なんですよ。不可能をわれわれは言っておるのではないのです。今の鳩山内閣としてやれる程度のことを、われわれはなぜやれないかと言っておる。どうなんです。
  28. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。どうもはなはだ御期待に沿い得ないで申しわけない次第でございます。ただ、芳賀さんもよく御存じの通り、大豆の増産をさせるということとか、あるいは支持価格をきめるということとか、あるいは関税をかけるとか、今言ったような食管会計価格をどうするかということは、個々ばらばらにできないことでございます。これを総合して初めてほんとうの効果が出るものでございますので、これを総合した、一貫した政策を行わなければ、ほんとうの意味はないのであります。そういうことでございまして、これはわれわれも単に支持価格をどうきめるとか、あるいは、関税をかけるとかいうことは、個々ばらばらの政策はとりたくないと思うのであります。もっと一貫した増産を期待する、価格の面も、十分にあらゆる方面から検討して総合的にやるという方法を今考えている次第でございまして、おっしゃるように、食管会計においてすべてを買い入れまして、これを操作するという一つ方法も今考えております。あるいはAA制にして関税をかけるということもいろいろ考えております。このうちの徹底した、総合した一番いい政策をとりたいという方針でございますので、単に個々ばらばらに関税をかけるとか、あるいは安定をはかるというばらばらの方針はとりたくないと考えております。  なお、業者に左右されているだろうというお話でございますが、いろいろ私の方に業者の陳情が参りますが、さっぱりわからぬ。たとえば、AA制検討をしておるということが新聞に出ておるが、あれは絶対反対であるという陳情がたくさん参りますが、何だかわけがわからないから、われわれはほんとうにその意見を正しく受け入れまして判断いたします。業者に左右されるということは絶対にないのでございまして、くれぐれも御了解願いたいと思います。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 今の政務次官説明ですが、そのばらばらに考えているというのはあなた方の方なんです。われわれは、これは全部統一した方策のもとにおさめてやらなければいかないということを、前々から指摘しておるのです。それをあなたの方でやらないんですよ。やらないという原因がどこにあるかということを聞いているのです。そういう農林省とか大蔵省とか通産当局意見が不統一の場合においては、これはばらばらになるから、政府として一貫した方針をおきめになって、そうしてこの大豆問題の解決をはかるべきではないかということをわれわれは指摘しておるわけです。あなたの答弁を聞くと、最近は河野さんと同じように、目下検討中というような、そういう意味のことばかり言っておるのですが、それではいけないのです。これは何もむずかしい問題ではないのです。はっきり、やるならやるとか、やらないならやらないということを言えば、それでいいわけなんです。どうやらなければならぬということは、これはわかっているんですよ。そうじゃないですか。特に農林省としては、今のような答弁ではわれわれは了解できないのです。国内の農産物の価格安定に対しても、一貫した信念がない。それから食糧輸入方式に対しても、明確な態度を示すことができない。何を根拠にして今後食糧行政をやっていくつもりなのですか。もう少し責任のある答弁をされたらどうですか。あなたにできなければ、農林大臣にかわって出てきてもらえばいいわけです。
  30. 清井正

    ○清井政府委員 先ほど御指摘のありました点について、ちょっと説明をつけ加えさしていただきたいと思います。ただいまの関税の問題につきましての御指摘の点でございますが、大蔵、農林両政務次官からお答え申し上げた点に尽きるのでありますが、数字にわたった点をちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。  最近の私どもの一応試算をいたしました数字でございますが、大体大豆輸入価格がだんだん下って参る、同時に問題は、この大豆によって生産される大豆油と、かすがまた下ってくるということになるのでありますから、大豆輸入価格値下りと、それから製品値下りとの関係がどういうふうになっているかということが、関税賦課するかしないかということの一つの問題点になることは御承知の通りであります。私ども一応の試算をいたしましたものがあるので、ごく概略申し上げてみたいと思いますが、大体半期ずつに区切って申し上げますと、二十九年、すなわち一昨年の後半期、七月から十二月までは、大体輸入のシフ価格の平均が百三十ドルであったのであります。相当高い価格であったのであります。それで輸入諸掛り、工場引取費、加工賃等を計算いたしますと、結局トン当りで五万七千九百九十二円という一応の支出になるのであります。それに対する収入は、当時の大豆価格、大豆かす価格が非常に現在よりも高い価格でございまして、六万二千九百四十円という収入が出るのでございます。そこで大体差引が四千九百円、約五千円、こういうような一応の計算になるのであります。もっとも、この計算が絶対正しいということは申し上げません。いろいろ問題があるのですから、絶対額の数字とそのまま受け取られると困るのですが、大体集計してどのくらいの関係になるかという御判断の資料としてお聞き願いたいのであります。二十九年の七月から十二月の間に、一応収入と支出の差が約五千円という値段が出ております。その後三十年の上半期、すなわち昨年の上半期でありますが、昨年の上半期はシフ価格が百二十四ドル、すなわち前年の下期が百三十ドルでありましたものが、昨年の上半期は百二十四ドルで、六ドル下った。そこで先ほど申し上げたような輸入諸掛りから加工賃等を引きますと、支出が五万五千六百六十一円という支出になるのであります。ところがそれに対する収入が、その後かすなり油の価格がずっと下ってきている、そこで収入の方は五万九千六百六十二円ということになります。差引四千円ということになるのであります。すなわち約五千円の収入支出の差が昨年の上半期で四千円になったということです。それから昨年の下半期でございますが、昨年の下半期は輸入のシフ価格が百十五ドル、また下ったのであります。従ってその結果支出が約五万二千円、ところが収入の方は、先ほど申し上げたように油と、かすの価格がどんどん下って参っておりますので、五万三千六百円というふうに下っております。そこで結局収入と支出の差が千五百円、こういうことになるのであります。従って一期ずつに区切って申し上げますと、五千円から四千円、四千円から千五百円というように収入、支出の差が減って参っておる、一応こういう計算があるのであります。これは標準的な大豆の製油工場についての一応の計算でありまして、むろん絶対額だということは申し上げられないのでありますが、傾向としてごらん願えばけっこうであります。そういうことで、かりに昨年の下半期をとってみますと、輸入価格が百十五ドル、それを円で換算いたしますと四万一千五百五十円ということになります。四万一千五百五十円というシソの円貨換算の価格大豆を買いまして、それを製油いたしまして、大豆と、油と、かすに分けて売却した収入と支出の差が千五百円ということになるのであります。そういうことで逐次下って参る傾向のあるときに、これに関税賦課いたします場合どういう影響があるだろうかということを、私どもといたしましても十分考えなければならぬだろうと思って検討したのであります。ただいま申し上げたように四万一千円の円貨換算で、一割にしても四千円ということになります。ところが収入、支出の差が千五百円、これは絶対額とは申し上げられません。大体この程度という傾向として考えたのでありますが、これに関税がかかった場合に、製品の油や、かすの価格影響しないで済むだろうか。これはある程度むろん工場の経費の中に含ませるという努力は必要あります。業者もむろんいたすでありましょう。けれども、果してこれが全部吸収で、きるかどうかということは、やはり判断しなければならぬ問題ではないか、こういうふうに実は考えておるのであります。従って、ただいま申し上げたようなわけで、ただいまの状況で、割当再度を全然考えないで関税をかけることによっても、これはどうしても油なり、かすなりの製品価格影響があるだろうと、実は私どもは事務的に判断いたしておる。大体こういうような状況になっておることを御了承願いたいと思います。  おもう一つ申し上げますが、ただいま申し上げましたように、輸入のシフ価格が百三十ドルから、百二十四ドル、百二十四ドルから百十五ドルというように平均して下って参ったのでありますが、実は最近のアメリカの大豆の市況を調べてみますと、また少しずつ上りぎみになっておるのであります。たとえば最近アメリカから買いました大豆価格は、百十ドルから百十二ドルくらいで、これはシー・アンド・エフでございます。それが、最近のアメリカのシカゴのニュースをとって参りまして先行きを調べてみますと、だんだん引き合い価格が高くなって参りまして、百十五ドルから百二十ドル見当になりはしないかといわれております。これは傾向でありますからはっきり申し上げられませんが、この低落傾向がこのままずっと続くであろうかどうかといろ問題が一つありますので、今回関税を今のままの状況で直ちにかけるということをきめることは問題があるのじゃないかという考え方をとったわけであります。  以上申し上げたような理由からいたしまして、私どもの事務局といたしましても、現在のまま関税をかけるということは、やはり製品価格影響する、製品価格影響があれば、やがてこれが消費する方面にも影響があるだろうから、これはしばらく慎重に考えるべきであろうという結論に達しましたので、その点について御了承願いたいと思います。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 時間の関係もありますので、いま一、二点にしておきますけれども、見通しとしては、世界的農産物の過剰傾向は、当然食糧輸入する場合においても価格が低落するということは明らかなんです。ですから、輸入大豆の場合においても、下った原料大豆を用いて製品化する場合においては製品価格も下るのは当然のことなんです。これは決して好ましくない傾向ではないのですが、その結果として国内の農産物価格に対して大きな影響を与える事態が生ずるわけです。ですから、その調節をどうするかという明確な施策が講ぜられなければ、今後外国からの輸入食糧等によって、日本の農業は根底から破壊されるような事態が必ず近く来るのです。ところが現在政府の施策の中には、そういう施策は全然確立されておらないわけです。ですから、こういう場合においては、やはり輸入農産物との間における安全弁の作用をするような機能をどうしても設けなければならぬわけです。ところが現在の大豆輸入方式を見ると、そういう調整作用というものは少しも行われておらないわけです。だからわれわれは、この輸入農産物の値下り傾向を機会にして、これは原則として当然一〇%の内税をかけることに定率法もなっておりますので、もうそういう特例の措置を講ずる必要はないから、四月一日からは当然関税をかけてもいいのではないかという論拠の上に立っておるわけです。それにもかかわらず、農林当局においてさえ、関税をかけることにちゅうちょされるようでありますが、しからばそれよりも大事な、農業生産を今後維持するための最低の農産物の価格維持に対してはどういう対案があるかというと、何ら案を持っておらないわけです。ですから、もし関税をかけないというような場合においては、それに対応する国内の農産物の価格支持はこういうような具体的な方策によってやるんだという明らかな施策をここに提示してもらいたい。これをやるから絶対心配はない、そして関税はかけないということであれば、まだわれわれは検討の余地がある。その方策があれば示してもらいたい。
  32. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま芳賀委員の仰せられましたことは、ごもっともでございます。われわれもそのように思っております。決して大豆を野放しにしておいて、そして国内農民の一部を苦しめるということはよくないと思います。何とかしてできるだけ早く手を打たなければならぬと思っております。その施策につきましては、関税をかけるということも確かに一つ方法だろうと思います。あるいは支持価格をきめることも一つ方法であります。いろいろの方法がございましょうけれども、だれが考えましても、別に農林省だけが奇想天外の案を持っておるということはありません。皆さんがお考えになっておることと同じであります。ただそれをどのように組み合せるかというところに問題があると思います。われわれも早急に仰せの通り方策をきめたい、何とかして、農民が安心できて増産に励めるような方策を考えておりますので、もう少しお待ちを願えれば、必ず御期待に沿えるような案ができると思います。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことであれば、検討はするが、関税定率法の一部改正という中に大豆を入れる必要はない。まず関税をかけておいて、対案が出た場合において、また必要であれば特例を設けて税をかけないようにするということなら、まだ順序はいいのです。何らの具体案ができないで、たださらに延長するということは、けしからぬじゃないか、ですから、これをやるとすれば、はっきりした具体案を示しなさいというのです。それがないならないと言ったらいいじゃないですか。
  34. 大石武一

    大石(武)政府委員 同じことを繰り返してはなはだ申しわけありませんが、誠意を持って検討中でございまして、できるだけ早く成案を得て実施したい。ただこれにつきましては、今まで関税をかけないでおって急に関税をかけるということは、やはりいろいろな波紋を投げると思います。従いまして、幸いに関税をかけるいうことにわれわれの案が決定すればけっこうでございますが、また別の方法をとるかもしれません。そこのところは、今のままでもう少し見送りを願いたい、こういうことでございます。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうような答弁に対しては、われわれは納得することができない。  もう一つ御注意申し上げたい点は、この大豆関税の問題は、これから定率法の中へ入れてかけるということじゃない。本則はかけることになっておるのですけれども、特例を設けて、当分の間かけないようにするということでしばしば延長が行われた。去年の場合においても、六カ月延長するという措置が講ぜられたにすぎない。だから今の段階からいうと、当然そういう特例の措置をはずしてしかるべき時期に到達しておるということを一つお考え願いたい。  もう一つは、これは砂糖あるいは外麦等の主要食糧に類する輸入品目と関連してこれを考えて、この方式を処理する必要があるということが一点。もう一つは、こういうような野放しの輸入方式影響によって、今日及び今後においても、国内における畑地農業をやっておる農民、特に開拓者の諸君が中心でありますが、安心して営農ができないような不安な状態がここから生じてくるわけです。ことしの営農についても、また秋になって、一生懸命に大豆を作ってよけいとった場合には豊作貧乏になるに相違ない。しかし、ほかに転換する作物もないというような不安な状態に農民を追い込むことになるわけです。  この三点を十分に考えた場合において、これは政府の責任において、当然四月一日から国税をかけるというのは賢明でもあるし正しいということで、繰り返して私たちは反省を求めておるわけなんです。これは、必ずわれわれの期待に沿うような修正が行われることを信じておるわけでありますが、これ以上あなた方と論争することは、所管大臣が来ない限りなかなか論議が尽きぬと思いますので、今後適当の機会に大蔵大臣、農林大臣、通産大臣出席を求めて、さらに明確にならぬ点に対しましては審議をさせてもらいたいということを委員長に申し上げて一応これで打ち切っておきます。
  36. 松原喜之次

    松原委員長 次に石野久男君。
  37. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの大豆の点について、ちょっとお聞きしたいのですが、関税を免除すということは、理屈はどうあろうとも、結論としてはやはり輸入を増大することになるということは、両次官も認めたと思うのです。そしてその輸入を増大するということが、今畑作農家に対して非常に大きな脅威になっている、もうすでに国税をかけてもいい時期にきているのではないかとわれわれは見ているわけです  そこで問題は、この関税をそれにもかかわらず免除するということについては、その間に介在する業者の方の関係と、もう一つ輸入する方の側の問題があると思うのです。それで、ただいまの御質問でいろいろな点は出ておりますが、私のまず最初に聞きたいことは、今度大豆輸入しているのは、主としてどこの国からかということであります。
  38. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。先ほどの問題でございますが、われわれは別に輸入を増大するということは、特に考えておりません。国内需給状態を勘案いたしまして、それの足りない場合においては輸入をしますが、多い場合には制限します。われわれはそのような方法をとっております。  なお現在輸入いたしております大きな国々は、アメリカと中国であります。
  39. 石野久男

    ○石野委員 国内の需給状況をよく見て輸入の問題は考えたいということについても、もう少し論議しようとするならば、先ほどの論議の上にまた重なる問題がたくさんあると思うのです。われわれは、もうすでに関税をかけていい段階にきているというふうに見ている。また農民自身も、輸入大豆によって非常に大きな脅威を受けていることは、農林次官はよく知っているはずです。ですから、その問題について弁解されるということは非常に解せない。そうすると、問題は結局業者と輸出する側、いわゆるアメリカと中国との問題にかかってくると思うのであります。私どもは、昨年の大豆輸入につきましては、中国の大豆について相当問題があったことを記憶しておるのですが、ことしの大豆については、通産省ないし農林省は、こういう免税をした上でどういう形でこれら両国から入れようとしておるのかという点をちょっとお聞きしておきたい。
  40. 大石武一

    大石(武)政府委員 詳しいことは食糧庁長官よりお答えいたさせます。
  41. 清井正

    ○清井政府委員 私から便宜お答え申しますが、中共並びにアメリカ、アメリカの方が数量は多いのでございますが、両国から大豆を大部分入れているというのは、ただいまお答え申し上げたところでありますが、昨年の下半期からグローバル形式によって輸入いたしておるのであります。そこで来年度におきましても、ただいまのところは、私どもといたしましてはグローバル形式を継続していきたいと考えているわけであります。
  42. 石野久男

    ○石野委員 それはわかっている。だから、どの程度入れる見込みであるかということを聞いているのです。
  43. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの総数量の御質問でございますが、総数量につきましては、ただいま部内並びに通産省と相談いたしておる最中でございまして、はっきり数量的な問題についてはお答えいたしかねるのでありますが、昨年度の総輸入量は、御承知のように六十四万トンでございますが、これは、主として総需要量のうち、国内でどのくらい供給があるかということを見まして、それを差し引いた数量でございます。従いまして、来年の需給数量につきましては、実は年々油の消費がふえているので、その状況を見ながら、同時に国内大豆がどのくらい出回るであろうかということで、国内大豆の作況と見合って輸入しなければならないので、総数量については、今部内で検討いたしおります最中でございまして、ただいまのところはっきりした数量を申し上げかねる次第であります。
  44. 石野久男

    ○石野委員 先ほど来問題にしておりますように、国内大豆にどの程度の脅威を与えるかということが関税免除をすることの当否の分れ道になってくるわけです。われわれとしては、ことしの輸入はどういうふうになってくるかということによって、日本農家、特に畑作農家の諸君に脅威を与えないような状態であれば、問題はそう深刻に考えないでもいいと思います。しかし事実は、そういう問題が非常にきびしいものになってくると見るから、私たちは、今免税をこのまま続けていくのはよくないという考え方を持っておる。だから政府としては、この問題を提案する以上は、当然ことし輸入大豆がどの程度であるかということを明確にここで示してもらわなければ、われわれとしてはそれに対する考え方がきまってこない。資料があるはずですから言って下さい。
  45. 清井正

    ○清井政府委員 御質問の点は、来年の総輸入額のことかと思いますが、ただいま申し上げた通り、今検討いたしておるのであります。はっきりした数字につきましては、全然まだ触れておらないのであります。ただいま申しました通り、油の総需要量から必要な大豆を算出いたしまして、国内大豆生産出回りを見てから輸入する、こういう考え方でございます。ただいま部内で相談いたしておるのであります。来年度の総輸入必要量については、決定いたしておりませんので、しばらく御猶予いただきたいと思います。
  46. 石野久男

    ○石野委員 関税を免除するということは、結論としては、どういう理屈があろうとも、とにかく大豆輸入を容易にするということであるとわれわれは考えまするが、その点はどうですか。
  47. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問の点でありますが、御承知ように、ただいま輸入のワクを外貨で押えております。ことしは、御承知のように六十五万トンと輸入ワクで押えておりますが、関税をとらないから輸入数量がふえるということには、すぐにはならないと私は思うのであります。総数量は、これはAA制ではございませんので、年間これだけしか輸入は認めないということで押えるわけであります。各半期半期別に関係諸国と相談いたしまして、国内生産の出回りに影響がないようにやっておるのでありますから、関税輸入総数と直接関係はないというように考えております。
  48. 石野久男

    ○石野委員 そこで問題になってくるのは、外貨割当の問題です。三十一年度予算の中には、外貨割当については相当の計画を持っているはずだと思いますが、その外貨割当をはっきり示していただきたい。
  49. 板垣修

    ○板垣政府委員 ただいま政府委員よりお答えいたしましたように、三十一年度の外貨予算の計画につきましては、これから物資別に検討する段階でありまして、ただいま御指摘の大豆につきましては、どれくらいの数量を入れるか、従ってどれくらいの外貨を割り当てるかは、一つ農林省検討いたしましてこれからきめる段階であります。今のところ、まだ全然数字の大ワクもきまっていないわけであります。
  50. 石野久男

    ○石野委員 外貨割当もまだきまっていない。そこで昨年われわれの見解では、もうことしは関税免税しなくてもいいという考え方をしているにもかかわらず、政府がどうしても関税免税をやらなければならぬという点については、大豆輸入はどうしても必要なんだという考え方があると思う。本年度の大豆生産の見通しと不足量の見通も持たないで、こういう関税免税をやることは——日本の農民の意思に反してこういうものが出てくるはずはないと思う。政府の見解はあるはずだから、その点農林省の方から明確に見解を承わりたい。
  51. 清井正

    ○清井政府委員 たびたびの御質問でございますが、ただいま明確に数字はきまっておりませんが、ただやみくもということではございません。これはむろん過去の実績が基礎になるのでありまして、三十年度の油の総需要量を推定し、それに基いて大豆の消費量を算定いたし、国内の出回りを見て、そこで不足分を入れるということになっておるわけです。全然けたはずれの数字にはならないのでありまして、ただいま検討中でありますので、その点については、まだ何とも申し上げられないのであります。
  52. 石野久男

    ○石野委員 これは予算審議上、またこの法律案審議する上において非常に重大なんです。われわれは、検討中だということをここでたびたび聞いても仕方がないので、それでは早急に政府の資料をもらいたい。  そこでちょっと開いておきたいことは、昨年度の輸入量よりもふえるのか、減るのかという見当はついているはずだから、それを御答弁願いたい。
  53. 清井正

    ○清井政府委員 その点につきまして、ただいま検討いたしておるのであります。御承知通り、昨年度の油の需要量を推定し、その結果に基いて消費量を計算して、国内にどれくらい出回るかということがわかるのであります。従いまして、三十年度における油の総需要量が幾らであったかという問題が一つと、国内大豆がどれくらい出回るか、それから蛋白と油脂資源、油と、とうふ、みそしょうゆ、そういうものの消費量を勘案いたしまして、その要素はいろいろございますが、はっきり数字は言えないのであります。ただ人口がふえるとか、あるいはその他の関係もございますので、それらの点を基礎として検討いたしておるわけであります。
  54. 松原喜之次

    松原委員長 関連質問の要求がありますので、これを許します。生田君。
  55. 生田宏一

    ○生田委員 ちょっとお聞きしたいのですが、昨年の末だと思いますけれども、自由民主党の政調農林部会でこの問題が取り上げられまして、そのときに農林当局の御意見を聞いたのによりますと、直ちに関税をかけては困るという理由は何もなかった。そして何か一つ二つ理由を言ったのは、たとえばとうふの値に影響するといったのですが、これも一つ理由です。そしてこれは、常に大豆が高くなってとうふが上るのだが、今大豆が安くなっているのにとうふは下っていないじゃないか、こういうことで、この話はぺちゃんこだった。それからもう一つ話のあったのは、外貨の割当をしてある。ところが十万トンばかり三十年度に入れる余地がある。それを押えたらどうなるかといったら、それは、業者の方ですでに輸入計画をしておるから、業者に損をさせるからいかぬということで、あとの十万トンを押えるわけにはいかぬというお話でした。そうすると、価格の調整ができない、大豆は下ってくる、それにはお手あげで、どうにも仕方がないのだというような話でした。そこで農林部会では、もうこれは問題にならぬから、関税を一割かけようじゃないか、かけてみたところで、やはり大豆値段というものは、生産者に引き合うだけ上ってこないのだ。こういうことになったわけです。そこで、ほとんど一人の異議もなく、関税だけはかけようじゃないか、こういったときに官房長が出てきて、理由はないけれども一つ考えさせてくれ、そういうことで、ほかの理由は何にもなかった。そういうことになってくると、ここに二つの問題があるのです。一つ農民が困るということ、一つ業者というのは、上ったときには文句を言ってくるけれども、下ったときには知らぬ顔をして、みそでも、とうふでもしょうゆでももうけるということであって、そのことを言うと、きたなくなるから言わぬけれども農民の問題だけを取り上げて言うのは正しいですよ。しかし通産省にしても農林省にしても、そういうことをほおかぶりして業者の言うことばかりを聞いておるという態度は好ましくないと思う。そういうような余地があるならば、こういう余地をこしらえてはいかぬのであって、関税をかけて安定帯物資にした方がよいのではないかということになるわけです。考慮中ということは、大ていの場合は反対だというのが理由がないから考慮中、こう言っておるのです。(「その通り」)これは両委員会がこうして連合して審査しているんですから、一つ農民本位に考えてもらいたいと僕は思うのです。
  56. 大石武一

    大石(武)政府委員 私はちょうど都合が悪くて、昨年末の自由民主党の農林部会に出席できませんでしたので、どのような議論が行われたか詳しくはわかりませんけれども、一応官房長からは様子を聞いておりましたが、そのことについては、もう一ぺん官房長からお答えをさせます。  なお関税をかけようというお考え、それから安定支持価格をきめようということ、それも一つの正しいりっぱなお考えだと思います。われわれも全然悪いとは考えない、一つのいい方法だと思います。ただ、しかしそのほかにもいろいろなことが考えられます。それを総合的に一番効果的な方法でやろうということと、それは当面の問題だけで、もう一つは長期的な増産をはかるということ、この二つをあわせ考えなければ、農民あるいは国民の生活安定が期せられませんので、その面も十分に検討するということで、決してわれわれは絶対に関税をかけないとか支持価格をきめないとか、あるいは食管で買い入れないとか、そういうことは言わないのです。どのような方法を総合的に取り上げれば一番よいかということを考えておるのであります。いずれにしても結論が出るわけでございますので、必ず御期待に沿うだろうと思うのであります。なお詳しいことは官房長よりお答えいたします。
  57. 谷垣專一

    谷垣政府委員 私の名前が出ましたのでちょっと申し上げます。農林部会のときに出て申し上げましたのは、先ほど食糧庁長官が申し上げましたような詳しい数字は、私は申し上げませんでしたけれども、しかしその当時の大豆油等の価格から逆算してみますと、やはりこの関税をかけました場合に、大豆の油あるいはかす等の価格にそれが必ず消費者価格として影響があるであろう、もちろんその場合に、全部が全部そのままに、一割関税をかけましたときに消費者価格に転嫁されるのではないのであって、生産者の費用の中にも吸収されるところがあるであろう、しかし関税がかけられた場合に、それが消費者価格に降りかかってくるということを考えなければならぬ、そういうことを私は申し上げたはずでございます。これは、当時関係しておりましたので、私はそう申し上げたと思います。
  58. 生田宏一

    ○生田委員 大豆関税をかけたからといって、消費者価格影響してくるというお話は、具体的にとうふだとか、みそだとかいうことで、そのときに議論があって、われわれが主張したのでなく、大蔵省の中の課長と課長の間で議論をしたのであって、あなたの方の中に、影響してこないということを主張する課長があって、この問題は解決した。何もあなたは、そんなことは全然一言も言わなかった。     〔発言する者多し〕
  59. 松原喜之次

    松原委員長 静粛に願います。
  60. 生田宏一

    ○生田委員 ですから、農林省の中のあなた方の意見が違うのだ。それをわれわれがここで聞いていてみたところで、これはもう了解できないのです。そこで関税をかけてみても、三千円を少々上回る程度であるから、とれでもなおかつ大豆値段としては、日本の農民にとっては安過ぎるのだ。もっとも二割もかけていくとちょうどいいかもしれぬけれども、一割しかかけていない。しかし一面、それだけの利益を農民に与えるからいいではないか、むしろこういう議論をしたのであって、一割はむしろ安過ぎると言ったくらいで、そのときにあなたの方では、いやそうではないといって抗弁する理由はちっとも出ていなかった。そして、何か生産をした、それを原料として作った製品が値上りする場合には、あなたの方の課長と課長の間で、そんなばかなことはないじゃないかという議論があって、問題がぺちゃんこになった。そんなことをあなたの方から言うのは間違いだと思います。
  61. 谷垣專一

    谷垣政府委員 その当時のお話を申し上げて申しわけないのでありますが、私どもの課長の間の話はよく存じません。ただ関税をかけました場合に、たしか二千七百円くらいであったかと思います。一割かけますから三千円見当になるだろう、こういうお話を申し上げたことは事実であります。ただし消費者価格等に関税をかけた場合に影響があるということは、私は申し上げたのです。それは確かに申し上げてあります。ただ私どもの方の課長同士で話があったことは、よく存じておりません。
  62. 石野久男

    ○石野委員 ただいまのいろいろな質疑応答の中でも見られるように、この問題については与党内部でもなかなか問題があるし、事実上この問題は、農業に従事している生産者の間でも重大な問題だと思う。私どもは、今の段階ではやはり関税をかける、もう特免を廃止すべき時期に来ているというように考える。政府の方では資料が不十分だと思います。今度の場合は、政府説明からいくと、業者だとか、あるいはまた輸出する国の立場、特にアメリカの事情などが政府の頭の中に非常に響いているのじゃないか。そういうことになると、日本の農民はきわめてつらいことになる。私は、やはり先ほど来要求しましたような資料を十分出してもらって、そしてこの問題を農民の立場から考えてもらうようにお願いしたいと思っております。われわれとしては、まだいろいろの意見がありますけれども、あとの何があるそうですから、私は資料の要求だけをしておいて、私の質問は一応終ります。
  63. 松原喜之次

    松原委員長 久保田委員より関連質問の要求がありますので許します。久保田君。
  64. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 農林省一つお聞きしますが、今のお話を聞いていると、農林省はどこへ日本の大豆を持っていこうとするのか。大体五カ年計画で、内地の大豆を一応どの辺まで持っていったらいいかということは見当がついていると思う。しかもそれをやるには、今次官からいろいろお話があったような補助策なんか何もないじゃないか。結局価格政策でやるよりほかない。大体二千五百円で日本の大豆作はできますか。こういう点をはっきり考えれば、もう計画は出て——出ないで、そうして一年間関税をもう少し研究するから、その間延ばしてくれ、その間野放しでもって——野放しじゃないにしても、外貨割当があるにしても、それでもってやろうなんといって、何回もそれでもって延ばしてきているじゃないですか。これでは、農民がことし大豆を幾ら作っていいかわかりませんよ。その大豆を幾ら作っていいかわからないような状態にしておいて、出回りを見てから大豆輸入をきめよう、そんなばかなことはないでしょう。今清井長官からも、まずどのくらい出回るか、なるほど大豆は天候によってでき、ふできは相当ありましょう。ありましょうが、何といっても日本の農民は、特に開拓地農民はほとんど大豆作によらなければならない状態です。しかも、それは昨年以来借金も払えないというような状態ではないですか。大豆作を安定させるには、農林省が一応日本全体の状況から見て、この程度まで生産をさせよう、それは地方によっていろいろな違いはありましょうけれども、大体目標を立てて、その目標のもとに安定をさせるには価格としてはこのくらいだ、その立場から関税を一割かけても、一割かけた程度では、おそらく日本の大豆作は育たないと思う。そのくらいの判断が農林省でできておらぬで、もう少し当分研究するから、関税をかけるやつだけはもう一年延ばしてくれ、これでは話はわからぬので、そういう点について、農林省ははっきり、幾らの価格なら日本の大豆作がことしは幾らできるか、出し得るかということを、ここで資料を出して説明してもらいたい。
  65. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答えいたします。先ほどから政府がいろいろと御答弁申し上げたことで大体尽きておると思いますけれども、もちろん価格を安定させることは非常に大事であります。その点私どもも十分に考えております。これにつきましては、もちろん関税を取ることも一つ方法でありますが、そのほかにもいろいろと方策はあるはずであります。これは皆さんも十分に御研究のことと思っております。しかし、なお大豆価格だけではだめでありまして、価格を安定させることが最も重要でありますと同時に、増産をはかることも一つの重要な方策であります。われわれはこの点もあわせて考えていきたい、こう思っております。
  66. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 なるほど価格だけではだめだ、増産をはからなければならぬ。しかし増産をはかるには、価格が幾らということをきめなければ、百姓の立場からいいますと、増産ははかれませんよ。どうしようというのですか。あなた方としては、これは関税を一割かければ、たとえば二千五百円として一応二千八百円見当です。二千八百円で日本の大豆作が安定すると思っておりますか。ことをはっきり聞いておるのです。あなた方は、価格安定の基準をどこに置いているのですか。それと連関して、増産するにはどの程度の増産をさせようというのか。この具体的な目標がはっきり立たずに、輸入計画も何も立たぬはずです。来年度の大豆は幾らにしようというのですか。これをはっきりお聞きしたいのです。どれだけ増産をさせようというのですか、この点ははっきり政府計画しているはずです。去年はあれだけの苦杯をなめさせておいて、農民はどうかというと、ことしもまた大豆を作るが、また押されるのではなかろうか、こう心配している。これに対するはっきりした方策を立てなければ話にならぬと思うのですが、この点についての政府のお考えはどうですか。
  67. 谷垣專一

    谷垣政府委員 大豆生産価格に関しましては、これはいろいろな計算があるかと思いまして、現在いろいろやっておりますが、やはり三千円くらいの価格のところが今一応のめどの数字になるのではないかと思います。しかしこれは非常に原価、生産費の高いところもありますし、いろいろありますので、一がいには申し上げかねます。ただいま申し上げました数字も、はっきりとしたものに伴って申し上げますと、またいろいろなデータが出て参ります。たとえば北海道の生産費はかなり安い。それから競合作物等のことを考えますと、競合作物の取り方によってもいろいろ数字が出てくると思いますが、それらを彼此勘案いたしますと、やはり三千円程度の数字が出るのではないか、こういうふうに考えております。
  68. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私どもは大体最低三千円というものを押えなければならぬと思うのです。それでなければ、日本の大豆作は増産しようといったってできませんよ。さっきからいろいろお話を聞くと、輸入大豆が安くなる、関税をかけなければ安くなることは当りまえです。そうすれば、消費者の方が消費者の方がと言うが、それを待っておったら日本の大豆は消えてしまいますよ。どうしても今日の段階では、ところによってはいろいろ違いましょうけれども、少くとも三千円というものは価格維持の基本線としなければ増産はできませんよ。その観点から、たとえばことしは二千五百円であるとすれば、かりに一割かけると幾らになりますか。消費者価格もある程度は上りましょう。上りましょうけれども、その点をはっきり割り切っておらないところに問題があるのだ、こういう点がはっきりしないから、輸入計画もまだ立たないというようなことになってしまうと思うんです。私は、政府の方としてこの点をはっきりきめて、それからあらゆる政策を立てるのが根本だと思う。ところがその点には触れずに、次官のように、あれも考える、これも考える。一体何をおやりになっておるのか。何もやっていないじゃありませんか。この点をはっきりして、そうして増産計画を立てなければ、すべての問題は解決しないと思う。そういう前提に立てば、今の二千五百円程度だって、多少の値上りはあるかもしれないけれども、さしあたります今までの法律で特例でもって免除しておった一割の関税をかけるのは当然です。それだけでは不十分だと思う。これをまず第一にやって、後に増産態勢を保障しつつ、その間において消費者価格のあれを保障していくということが政府のとるべき方策だと思う。この点に今まで何ら触れておらないので、非常に議論になると思う。この点のはっきりした態度があなた方でもってきまらなければ、大臣においで願って、この点をはっきりきめてもらうことが一番根本だと思うのですが、どうでしょう。
  69. 大石武一

    大石(武)政府委員 久保田委員の仰せの通り、われわれも何とかして農民大豆を安心して生産できるような政策を決定したいと念願しております。遠からずその方法決定する決意でございます。ただそれにはいろいろな方法がございます。関税をかけることも一つ方法でございますが、それ以外にもいろいろな方法があることは、私から申し上げなくてもおわかりのことと存じます。そういうことを目下検討いたしておりまして、そして農民が安心して生産していくことができるように持っていこう、こういう決意でございます。
  70. 松原喜之次

    松原委員長 先ほどの芳賀委員の御要望に対しましては、後刻両委員長協議の上取扱を決定いたしたいと思いますので御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十二分散会