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1956-10-11 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第52号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年十月十一日(木曜日) 午前十時四十一分
開議
出席委員
委員長
松原喜之次
君
理事
有馬
英治君
理事
小山
長規
君
理事
荷見 三郎君
理事
藤枝
泉介
君
理事
春日
一幸
君 淺香 忠雄君 生田 宏一君
奧村又十郎
君 吉川 久衛君 竹内 俊吉君 内藤 友明君 古川
丈吉
君 坊 秀男君
前田房之助
君 横川 重次君
有馬
輝武君 石山 權作君
平岡忠次郎
君
横錢
重吉君 横路 節雄君 横山 利秋君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
南方連絡事務
局長
) 石井 通則君
外務事務官
(
アジア局
第一 課長) 針谷 正之君
大蔵事務官
(
大臣官房長
)
石原
周夫君
国税庁長官
渡邊喜久造
君
郵政事務官
(
貯金局長
) 加藤
桂一
君 参 考 人 (
沖縄外地引揚
者連合会事務局
長
在外資産補償
獲得期成会事務
局長
)
比嘉
一雄
君 専 門 員 椎木 文也君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
物品税法
を廃止する
法律案
(
春日一幸
君外十二 名
提出
、
衆法
第一五号)
酒税法
の一部を改正する
法律案
(
春日一幸
君外 一二名
提出
、
衆法
第一六号) 税制に関する件
外国為替
に関する件 —————————————
松原喜之次
1
○松原
委員長
これより
会議
を開きます。
外国為替
に関する件について
調査
を進めます。本日は
春日委員
よりの要求によりまして、
参考人
として
在外資産補償獲得期成会事務局長比嘉一雄
君の
出席
を求めております。
比嘉
君には、非常に困難な
事情
のもとにある
沖縄
からわざわざ上京されまして、今日御
出席
をしていただいたことに対して、厚く
お礼
を申し上げます。 それでは質疑を許します。
春日一幸
君。
春日一幸
2
○
春日委員
比嘉
君には、
沖縄
に在住いたしておりまする
日本国民
にして、はなはだ困難な
状況
にありまする
諮問題
を
解決
のために、一身を挺して非常な
努力
をされておりますることについて、非常な敬意を表するものでございます。先般御
陳情
を受けまして、
在外資産
の
処理
その他
在外預金
の
処理
、なお
郵便貯金
の
支払い促進等
に関する諸問題について、本
委員会
はそれぞれの
関係当局
に対して、これが
解決
の
促進方
を強く要望いたした次第でもありますが、その後それらの諸問題がどういうような工合に
現地
において
処理
をされておりましょうか。この機会にその概要について御
説明
を願いたいと存じます。
比嘉一雄
3
○
比嘉参考人
原稿を朗読いたしまして、
説明
にかえさしていただきたいと思います。「
宿命
の
島沖縄
に住む
外地引揚者
の
訴え
」と題しまして、
お話し
申し上げたいと思うのであります。 御紹介にあずかりました
比嘉一雄
であります。
先生方
には、日夜政務御多端にもかかわらず、われわれのために貴重なる時間をきいていただきましたことに対し、
沖縄在住
の十五万、約三万
世帯外地引揚者
にかわって衷心より感謝申し上げるものであります。 では、
宿命
の
島沖縄
に住む
外地引揚者
の
訴え
と題しまして、
お話
を申し上げることにいたします。
先生方
の御記憶にいまだ新しいことと思いますが、不肖私は、去年の十月以来、
沖縄在住
の全
外地引揚者
を
代表
いたしまして、生活苦にあえぐ子が御両親に御相談のつもりで上京すること、去る五月とこのたびで都合三回にわたって上京し、苦しんでいる
引揚者
の諸問題について御相談申し上げているのであります。まず、まっ先に
先生方
の親心によって
解決
していただいた預貯金問題について
お礼
を申し上げたいと思うのであります。この預貯金問題は、いまだ
支払い
の段階に至っておりませんが、
南方連絡事務局
の御依頼によって、近々に支払うべく、もうすでに十月五日から
調査
を始めておるようでありますので、あらためて
お礼
を申し上げますとともに、御安心下さいますようお願い申し上げる次第であります。 では未
解決
のまま残された問題について、御相談願いたいと思うのでありますが、その残された問題ということは、
沖縄在住
のわれわれ
外地引揚者
に対して、
特別援護策
を講じていただきたいということであります。私が申し上げる
特別援護策
ということは、
終戦
後設けられました
引揚援護法
によって、厚生省において
引揚者
の
生活更生
のため、無
担保
で一
世帯
三万円ないし五万円貸し出された
更生資金
を、
沖縄
におるわれわれにも今からでも貸し出していただいて、
本土
におられる
引揚者
と同等に
本国政府
の恩情に浴させていただきたいという
意味
なのであります。この
更生資金
の
実現
こそ、私
たち
四
代表
の上京した目的であり、また
重大使命
なのであります。どうぞ諸
先生方
、身売りした子に愛の手を伸ばす父母の御
気持
になっていただいて、この
更生資金
を
実現
させていただきますよう、重ねてお願い申し上げる次第であります。 もし引揚後十年も過ぎた今日、
更生資金
ということが筋が通らないということであれば、形を変えてでも御援助願いたいのであります。ぜひとも
特別援護策
を講じていただきたいとしつこくお願いしなければいかぬということは、御
承知
のように、
本土
におられる
外地引揚者
の
方々
は、
沖縄
におるわれわれとは全く
事情
を異にするからであります。
本土
の場合は
終戦
直後から、
政府
におきましても
引揚援護法
が設けられると同時に、
政府
の中に
援護局
があって、十分とはいえないまでも、常にあたたかい手が差し伸べられており、
国民金融公庫
に行けば、無
担保
で
生業資金
として
更生資金
が借りられたということも、
本土
におられる
引揚者
の
方々
の特典と申さなければならないのであります。その上、
引揚援護会
という
民間団体
や、その他
個人
的にも
同情
が守せられているのであります。ところが
沖縄
におきましては、そういった
法律
もなければ、全
住民
が
戦災者
であるために、
民間団体
であろうと
個人
であろうと、だれ一人われわれに
同情
を寄せるゆとりはないのであります。これだけ申し上げても、
本土
におられる
引揚者
と
沖縄
にいる
外地引揚者
の
生活状況
とを比較しても、いかに悲惨なものであるかが御想像できることだと思うのであります。さらに申し上げますならば、
本土
の
方々
は負けて裸で
引き揚げ
、
自分
の家や
財産
はないにしても、
親戚縁者
には家や
財産
が残っているのであります。
広島
や
長崎
の場合も、
都市地区
においては
人命
や
財産
も焼き払われて、生き残ったわれわれからして見れば、
原子爆弾
のためになくなられた
方々
に対し何ともいえない気の毒な
気持
を起すということも全
国民
の人情でなければならないのであります。でも
広島
や
長崎
のごときは、
土地
だけは完全に残っているのであります。 ところが、
沖縄
の場合は、
県下
ほとんどが
人命
と
財産
を失った上に、いまだ
米軍
から次ぎ次ぎと
土地
も取り上げられつつありますことも、全
国民
御
承知
の
通り
であります。
皆様
が
わが国
の
戦前
の
国策
を思い出していただきますれば、さぞ御納得のいくことだと思いますが、
戦前
の
わが国
の
国策
は、
南進国策
とか
海外発展
とかいいまして、
外務省
や
拓務省
は、
海外
におったわれわれ
在留邦人
に向って、今おる
土地
に根を張って、
わが国
の
海外発展
のために、新
日本
建設のために、その
土地
の
開拓事業
に
全力
を入れよといい、
母国
に送金する必要はないといって指導してきたのが、当時の
日本政府
の
移民政策
であったとするならば、当時も今日も
日本政府
に変りがないゆえに、
敗戦
によて
海外
から裸で
引き揚げ
て苦しんでいるわれわれ
外地引揚者
に対する全
責任
は、
政府
が負うべきであると断言してはばからないものであります。 今度の
敗戦
のため、三府四十三県という四十六人
兄弟
のうち、
沖縄
が一番
犠牲
になっているということに対しましては、全
国民
だれ一人として否定することはできないはずであります。よって私は、
沖縄在住
の
外地引揚者
に、
特別援護策
として、早急に
更生資金
の
貸付
、あるいはそれにかわるべき
援護措
を実施していただきたいとお願いしておるのであります。なお
南洋群島
やフィリピンからの
引揚者
が多数であるために、子供四、五人をかかえて困っている未亡人や、息子や嫁が
現地
で戦死したために、四、五人の孫を育てるのに苦しんでいる六、七十才以上の
老人家庭
がはなはだしく多いということも、御
参考
のために申し上げておきたいのであります。 しかし、申し上げましたごとく、
敗戦
のためにこういった悲惨な目にあっていることは、
母国日本
の
再建
に偉大なるプラスのあることも認識していただきたいのであります。同時に四十六人
兄弟
のうち、一番親のためになっているということもわかっていただけば幸いであります。なぜそう申し上げるかと言いますならば、かりに
鹿児島
でできる大根や菜っ葉をどれだけ大阪や東京に運んでも、
外貨獲得
にはならぬと言うことも
皆様
御
承知
の
通り
であり、
戦前
の
沖縄
は、それ
相当
に
野菜
や
肉牛
を
鹿児島
や神戸に出しておつたのであります。ところが今日の
沖縄
は、
野菜作り
に適しておった
土地
の良いところは
軍用地
にとられ、食べ余して
県外
に出しておった
肉牛
は、
アメリカ人
の
大量消費
によって、
住民
が食べて余るどころか、とても足りなくて、
野菜類
やその他
日用雑貨
一切が
本土
よりの
輸入
となっている現状であります。でありますがゆえに、全
住民
が朝から晩まで安い賃金で
アメリカ
にこき使われてかせぐ金は、ほとんど
生活必需品代
となり、
ドル
になって
外貨
として
母国
に送られていることも御
承知
願いたいのであります。戦後の
沖縄
の買切面と
日本
の
対外買易面
を見れば、
沖縄
が
母国再建
にいかに役立っているかがはっきりすることと思うのであります。正確の
数字
を持ち合せていないということも残念ではありますが、大略申し上げて御
参考
に寄与することができますれば幸いであります。
沖縄
が
本土
からの
輸入額
は七千万弗に対し、
沖縄
から
本土
への輸出はわずかに七百万弗にすぎないのであり、戦後
日本
の
対外貿易
による
ドル獲得
の面から、比率的にいって
アメリカ
が第一位で、
沖縄
が第二位を占めているようであります。という
意味
で、去る五月の
国会
のとき、
大蔵委員会
と
社会労働委員会
において、私は父よ身売りしている子に愛の手を伸ばせと
訴え
たのであります。 次に、人口問題の
解決策
として
海外移民
の送り出しを、
旅費資金
の面、あるいは
事務面
についても
本土
の他
県並
に取り扱っていただきたいことを切に御願いしてやまないものであります。三十万人しか収容できない島に、現在人口が八十三万に、毎年の
自然増加
が二万人以上になっておりますので、
大量移民
の送り出しが急を要するのであります。
沖縄移民
の
実現
のために
相当
の経費を要することでありましようが、
沖縄
に
現地出身
の
外務省嘱託
を任命していただきますよう、特にお願いする次第であります。
結論
といたしまして、先ほどから申し上げましたごとく、われわれ
外地引揚者
が再び
海外進出
の
実現
を見るまでの食いつなぎとして
更生資金
もしくは
特別援護措置
の
早期実現
を賜わりますよう繰り返しお願いし、なおついでに申し上げたいことは、今後もし
南方地域
に
遺骨収集団
を派遣なされる場合は、
沖縄代表
も参加できるようにしていただきますよう特にお願いするものであります。 最後に
全国外地引揚者
が十年も待ちわびている、
在外財産
の
暫定補償措置
を来年度予算に間違いなく
実現
させていただきますよう、
全国引揚者
の一員として特にお願いし、以上申し上げて
諾問題解決
の
促進方
を折り入ってお願いして、私の話を終ることにいたします。 弱輩の意見をお聞きとりいただきますれば、小生無上の光栄と存ずる次第であります。まことにありがとうございました。
春日一幸
4
○
春日委員
よくわかりました。
比嘉
君の御陳述は、
沖縄
に在住する
日本国民
に対して、
更生資金
の
貸付
を行なってくれという一点に集約されるかと存ずるのであります。国の
まつりごと
が、特に
沖縄
に何ら及ぼされることなくして、
沖縄
に在住しておりまする
日本国民
、
同胞諸君
がはなはだ
惨たん
たる
状態
にさらされておるということにつきましては、まことにお気の毒にたえないのでありまして、私
ども
も
国政
に参画をいたしておりまする一個の
国会議員
といたしまして、まことに
責任
を痛感いたしておる次第であります。今後この御
要請
に基きまして
政府
を鞭撻し、さらに
国会
の
理解
を深めつつ、御
要請
の
実現
のために
全力
を尽したい、こう考えますので、今後とも
一つ
なお
現地
の
事情
について、
国会
並びに
政府
に対してその
実情
があまねく
理解
できまするように、一そうの御
努力
をお願いいたしたいと存ずるのであります。 そこでこの
陳情
に関連をいたしまして、
政府関係当局
にお伺いをいたしたいと存ずるのでありまするが、この
比嘉
君の
陳情
は、
沖縄
に在住する
日本国民
に対する
更生資金
の
貸付
の一点にあると存ずるのであります。しかもその主張の根拠となるところは、
日本国内地
に居住をいたしておりまする
日本国民
に、その
引揚者
、
戦災者
、
生活困窮者
に対しては、それぞれ
更生資金
の
貸付
が行われておるのであるから、従って
法律
の前に
国民
平等であるという理念の上に立って、
日本国民
である
沖縄
に在住する
沖縄住民
に対しても、同様の
法律
の
救済
をしてくれ、こういうところにあると存ずるのであります。従いまして、この際
国民金融公庫
の
更生資金
が
貸付
をされるに至りました沿革、それから現在のその概況、こういうものについて、
一つ
その概略でけっこうでありまするから、この際お述べをいただきたいと存じます。
石原周夫
5
○
石原説明員
ただいま手元に、今
春日委員お尋ね
の
数字
を持ちませんので、至急作りまして
委員会
の方にお出しをいたしますが、大体の要旨は、この御
陳情
の点にもございましたように、一
世帯当り
三万円であったと思いまするが、
引揚者
の方で、
引き揚げ
て来られまして
生業
の
資金
の要る者に対しまして、当初は府県を経由してお貸し付けをいたしたと思うのであります。それを
国民金融公庫
ができるようになりまして、これを
国民金融公庫
の方で引き受けまして、
国民金融公庫
においてその
事務
を取り扱って参っておるわけであります。現在
相当程度回収
をいたしておるように思うわけでありまするが、それらの正確な残高、どういうような
回収状況
になっておるかということにつきましては、
至急表
をお作りいたしまして
提出
をいたしたいと存じます。
春日一幸
6
○
春日委員
私
ども
の
調査
によりますと、ただいま
官房長
から御答弁のありました
通り
、
昭和
二十一年、
終戦
直後
引揚者
と
戦災者
の
生活困窮者
に対する国の
援護措置
といたしまして、このような
措置
が講ぜられまして、その後三十年度の
実績
といたしましても、
相当
の額に上っておるのであります。三十年度におきましては、
申し込み件数
は二万七千五百件、
金額
で十億五千六百万円、
貸付
を行いました
実績
にいたしましても一万五千二百二十五件、
金額
で四億七千五百万円、
相当
の
金額
を動員いたしまして
相当
の
効果
が上っておると存ずるのであります。そこで
比嘉
君が主張されておりますように、
沖縄
に在住しておりますこれらの
日本国民
も同等の
救済
を、要求しておるということは、最近において
沖縄
と
日本
との
関係
が、いろいろな
委員会
の
論議
を通じて明らかになっておりますことは、すなわち
沖縄
の
施政権
はないけれ
ども
、しかし
潜在主権
というものが
日本
にある。
沖縄在住
の
住民
は、これは
日本国民
である、
日本国籍
を保有する、こういうことが実際厳然たる事実として、いろいろな
論議
を通じて明らかにされておると存ずるのであります。こういうような
見解
からいろいろ判断いたしますと、当然
沖縄
に在住しております
日本国民
に対しても、やはり同様の
援護措置
を今からでもとにかくおそくはないので、特にまた彼らの
困窮状態
がはなはだしく、そうして早急に何ら
解決
されるめ
ども
立っていないので、従って
本国
の
責任
において、当面しておりますこれらの
困窮状態
を解除するための諸策が講じられなければならないと私は考えるのでありますが、これに対する
政府
の
見解
はどうでありますか。
石原周夫
7
○
石原説明員
先刻来
お話し
のございました
現地
の
実情
は、とくと拝承いたしたわけであります。こういうような
困窮
の
状態
に対しまして、
国民金融公庫
の
更生資金
を、
内地
と同様に貸し出しを考えてはどうかという
お尋ね
であります。この点につきましては、先般、二、三カ月前の
委員会
の席上でも一応
お答え
をいたしておいたのでありますが、
春日委員
の
お話
の中にもございましたように現在のところ
施政
の権力と申しますか、権限と申しますか、
現実
に
施政
を行なっておりますのは
アメリカ
でありまして、現在
日本側
の
潜在主権
というとはございますけれ
ども
、
施政
までは及んでいないのであります。ただそのうちで、たとえば属人的な
効果
を明らかに持ちます
軍人恩給
でありますとか、先般
措置
をいたしました
遺族国債
の買い上げ、あるいは
在外預貯金
の
支払い
というようなことにつきましては、
内地
におきまして
処理
をいたしますことが可能なる限り
処置
をいたしておりますことは、
春日委員
御
承知
の
通り
であります。
沖縄
の
方々
においても御
承知
を願っておるかと思います。しかしながらその
程度
を越えまして、
沖縄
の中におきましてそういうような
更生資金
の
貸付
をいたすということは、現在まで私
ども
検討いたして参りましたところにおきましては、そこまで参りかねるのではないかというふうに考える次第であります。
春日一幸
8
○
春日委員
属人的な
保護法
は、いろいろ擬制的な
解釈
で、
沖縄
に在住する
日本国民
にも及ぼすべきものであると考えて、そういう
処理
をしたということでありますが、この
戦災者
というような
考え方
、
引揚者
というような、こういう
身分関係
というと語弊があるかもしれませんけれ
ども
、これは属地的な問題ではなくして、
海外
に居住しておりました
日本国民
があまねく
引き揚げ
を余儀なくされた事柄でございまして、従って広義に
解釈
するならば、属人的な
関係
を私は持っておるべきものと
解釈
もし得ると存ずるのであります。そういう
意味
合いから考えますと、属人的な
保護政策
については、今
お話し
のありました
在外預金
や
引き揚げ現金
、その他
郵便貯金等
の問題が
解決
できたということであるならば、私はこの
理解
を一歩進めて、そうしてやはり身分的にこれは
引揚者
であり、また
戦災者
である、そういう者に対しては、
日本国民
として平等の
取扱い
をしていくということは、私は
法理論
上困な
解釈
ではないと思うが、この点いかがでありますか。
石原周夫
9
○
石原説明員
戦災
あるいは
引き揚げ
というようなことによりまして
更生資金
の
貸付
をいたすということでございますし、申すまでもなく同じく
日本人
でございますので、かりに
内地
にお
引き揚げ
になったといたしますれば、そういった場合と同じような
措置
をとることは申すまでもないと思います。たた
引き揚げ
られた
土地
が
沖縄
でございますので、
貸付
をいたすということに相なりますと、やはり
沖縄
に
引き揚げ
た方、
内地
に
引き揚げ
た方ということで、そこに
地域
の区分が出て参りまして、そこにおのずから
施政権
が及ぶ及はないということのけじめがつくかと思います。今までやっておりますものは、純粋に属人的なものでありまして、
在外預貯金
の
取扱い
などにつきましても、先刻来御了解を願っておりますように、
内地
に持ってきて金を返してもらう。それを
為替勘定
を通じて返すという仕組みをとっておるわけでございまして、その辺からもお考えを願えるかと思うのでありますが、そういう
意味
で、やはりこの
更生資金
の
貸付
という問題に相なりますと、
施政権
の限界というものがどうしても出て参るというふうに考える次第でありまする。
春日一幸
10
○
春日委員
お互い
に
見解
の相違というたところで、これはものの
理解
、
同情
を加えての判断のいかんにあると私は思うわけであります。本来ならばこの
在外預金
の
処置等
につきましても、
現実
にはこれらの
当事者たち
が
沖縄
に居住しているということは、これは
政府
も認めているのだけれ
ども
、ただその
擬制解釈
上の便宜の手段として、特にそうすることが最も簡潔な
理解
である、こういうことで、彼らの
代表者
を
日本
に居住するものと擬制して、これに一括払いの形で便宜な
方法
をとっている。これは
お互い
に協力して、そういう便宜な
方法
によって承認をしているわけでありますけれ
ども
、問題は、
比嘉
君が今
陳情
されたように、かの地に住んでいる
困窮者たち
が、いずれもわれわれの
兄弟
である、
日本国民
であるということ、しかもそれが戦争の
犠牲者
であってかれらの
個人
の恣意によってそういう結果が招来されたものではないということ、こういうことを考えて参りますならば、ただ
一つ
の観念的な
属地論
、あるいは
属人論
で割り切つて捨てるべきものではないと私は考えるのであります。ただ私は、たとえば
独立国
には
外交保護権
があるのだから、それで
日本国政府
と
アメリカ国政府
との交渉において、
アメリカ国政府
の
政策
を通じて、
沖縄
に在住するところの
日本国民
が現在のような
困窮状態
からのがれることができる、
救済
されることのできるような
措置
を
アメリカ政府
に要求する力が
日本政府
にあるならば、これは別途の
解釈
で、すなわち何と言いましょうか、
施政権
を持つていない
土地
に対してそういうことができないから、ほかの
方法
を講ずるということも考えられるのでありまするけれ
ども
、
現実
には、対
米折衝
を通じては、こんな問題ではない、
土地
問題から補償問題から何
一つ
解決
されてはいない。
沖縄代表
が、
アメリカ政府
に対して、あるいは
アメリカ
の
国会
に対して、いろいろ
陳情
された結果によりますと、これは
行政協定
、
安保条約
によって、それらの一切の損害は
日本政府
が
責任
を負うべきものであって、
アメリカ政府
の関知しないところであるという明確なる断定的な回答を得て帰られてきておりまする立場において、これは結局在他国である、結局自国の
政府
と
外国
の
政府
によって問題を
処理
するよりほかに
方法
がない、こういう
考え方
に立ってその問題を判断するならば、これは
法律
上いろいろな
解釈
があるかもしれないけれ
ども
、
自分
の
国民
であるから、いろいろな便宜的な
解釈
をこらすことによって問題の
解決
をはかる、こういうところで
政府
の好意ある
努力
が試みられるのでなければ、いつまでたっても
沖縄
に在住するところのこれらの
犠牲者たち
は、ほんとうに
惨たん
たる
状態
の中に捨てておかれる、こういう結果になるであろうと思うのであります。私はこの際
速記録
を通じて
政府
の
関係責任者たち
に強く要望しておきたいことは、
沖縄
に在住しております
日本国民
、この
兄弟たち
がどんな
むざんな状態
に捨ておかれても、
政府
はてんとしてこれに対して何ら顧みないのだ、それはそれ、これはこれとして、われわれはそれに対して全然心を痛めない、
責任
も感じない、こういうことであるならば、これは全然別個の問題であります。けれ
ども
先般来各
委員会
において、強調されております
通り
、
沖縄
に居住しております
同胞
の困難なる
状況
を、何らかの
解決
を
国政
を通じて行なっていこう、こういう
まこと心
だにあらば、私は問題の
解釈
などというものは、どんな
方法
でもこの
要請
にこたうるの
結論
を作ることが、私は困難ではないと思うわけであります。ただいま申し上げましたよう
事情
によりまして、いずれにしても
外交保護権
を行使することもできないならば、とにかく擬制的な
解釈
でもって
内地
へ
引き揚げ
て来た
日本人
と、
日本
の
潜在主権
を持っております
沖縄
に
引き揚げ
て来た
日本人
と、そこに何ら差別的な処遇を受けるということのないような推置をこの際講ずるの
考え方
はないか、何かそういう
方法
を研究するの意思はないか、この際
石原官房長
からもう一ぺん伺いたいと思います。
石原周夫
11
○
石原説明員
ただいまの
春日委員
の
お話
でございまするが、
外交保護権
と申しますか、
施政
の
責任
を持っております
アメリカ側
におきまして、当然しかるべく
措置
をいたすのが
筋合い
であろうというふうに考えております。それの具体的の、どういうようなことに相なるのかというようなことにつきましては、これは
外務省
から
お答え
をいたすのが
筋合い
だと思いますので、私の方からそれ以上には申し上げませんが、そういうような
筋合い
でございますので、そこら辺にも、率直に考えまして
努力
の余地があるのではないかというふうに考えております。われわれが国内でできますことにつきましては、先般
遺族国債
につきましては、何とか
解決
の道を見出したのでありますが、なおそれ以外にも、何らか従来考えておりますワクの範囲内で可能なごとがございますかどうか、この点につきましては、私
ども
も今後研究をいたして参りたい。ただ現在私
ども
が考えておりまするところでは、
更生資金
の
貸付
という形に相なりますると、先ほど来申し上げております属地、属人というような
関係
がどうしても出て参るのではないかと考えております。
針谷正之
12
○針谷
説明
員 ただいま
お話
を承わりましたように、事実まことに困ることがあれば、その
施政権
者である
アメリカ
が、当然その住んでおる
住民
に対する
責任
を持っておるわけでありますから、これについては、
日本
国といたしましても十分話し合いをする余地が残っておるわけでございます。ただし
引揚者
という特殊の範疇に分けることは、これは話し合いの上に問題があるかと思います。ただ一般に
困窮
者の立場を
アメリカ
は見なければならないという点におきまして、事実問題がありましたら、それについては当然話し合いを進め得るものと考えております。
春日一幸
13
○
春日委員
それでいろいろの方策が検討されてせっかくの
陳情
でもあり、わけて事態は、これを傍観するに忍びないほど窮迫、窮乏をきわめておるのでありますから、
アメリカ
との交渉によって問題の
解決
が可能であるならば、これは当然その
方法
もあわせて講じていただかなければなりませんけれ
ども
、しかし今までの経過を見ますと、なかなか
日本
の
外務省
の物腰、またその冷淡なるやり方でもってしては、的確な問題の
解決
などというようなことは、これは早急に期待すべくもないと考えるのであります。そこで、一応
外務省
から
外交保護権
の立場に立って
アメリカ
国民
と同じような待遇をしろというような主張は、大いにやっていただくことは当然でありましようけれ
ども
、しかしそれも形式的にやったところで、そういう結果になってこなければ何にもならない。だから、これは結局
お互い
に
国民
同士であるのだから、交渉しても何の
解決
もつかないのだから、
解決
つくまで待てということでは、これはとてもわれわれとしては、そういうことで問題を糊塗するわけには参らないと存ずるのであります。従いまして何らかの国内的
措置
を構ずることによって最もすみやかなる
解決
をはかってこの
陳情
者
たち
の、
要請
にこたえていかなければならぬと考えるのでありますから、
一つ
大蔵省あたりが
責任
的にこの問題を取り上げていただいて、ちょうど予算編成期にも差し迫っておりますから、必要な財政
資金
をそういう方向へ、とにかく予算に計上されるということを強く要望するものでありますが、
一つ
の試案といたしまして私
ども
の
見解
をこの際申し上げて御
参考
に供したいと思うのであります。これを申し上げますならば、
日本
の
本国
においては、
引揚者
、
戦災者
、
生活困窮者
に対しては、財政
資金
を、
政府
金融機関であります
国民金融公庫
に委託
貸付
の形式で現在
更生資金
の貸し出しを行なつておる、これが
一つ
の
現実
であります。そこで
沖縄住民
に対しては同じような財政
資金
を、この際便宜かの地にあります特殊金融機関、それは協同組合中央金庫及び大衆金庫の二つがあるようでありますが、これに貸与いたしまして、そうして
日本
国土内において
国民金融公庫
が行なっておると同様な委託
貸付
業務をこれに行わしめるということが、適当ではないかと考えるのであります。それはどういうような
理解
の上に立ってこういう提唱が行われるのであるかと申しますと、およそ金融、それからその金融業務の国際性、こういう立場に立って、現在いかにいろいろの問題が
処理
されておるかということを見ますると、
日本政府
が
外貨
を
外国
銀行に預託しましたり、あるいは
外国為替
銀行が
海外
に支店を持ったり、特にまた
日本
輸出入銀行が
海外
における合弁会社に投
資金
融及び事業金融を行なっておりますし、また昨年
日本
海外
移住振興株式会社法が制定されてこの会社によって、単に渡航費の
貸付
だけではなくて、移住したところの諸君が
外国
において農業、工業に従事する、そういうことに必要な
資金
についての
貸付
をも行わしめる、さらに進んで投資や事業の経営等についても、これらの会社がその
法律
に基いて
外国
で金を出しておる、
一つ
の経済ベースで問題の
処理
を行なっておる、こういう事例も現在幾多あるわけであります。こういうような点から考えますと、そういうとき、もしそれが必要であると考えられるならば、
更生資金
貸付
業務を、
国民金融公庫
の
沖縄
支店開設というようなことでこういうような問題が
処理
をされましても、これは金融機関の国際性から考えまして、何らとがめらるべき
筋合い
のものではないと考えられる。ちょうどこれは、輸出入銀行が
海外
においてそういうような金融活動をし、特にまた
日本
海外
移住振興株式会社法の例等から考えましても、
国民金融公庫
がそういうような業務をも含めて、こういう
沖縄
に進出して同様の業務を新しく開始するということも、これは国際法上、あるいは金融の国際慣例上何ら支障のないことと考えられる。さらにこういうような方式によって、
沖縄住民
に対するいろいろな
要請
がとにもかくにも
一つ
ずつかなえられていくということについては、まことに喜ぶべき事柄であると考えるのだが、こういうような問題について、大蔵省はいかに考えられておりましょうか。さらにわれわれが
調査
したところによりますと、
国民金融公庫
のこれらの
戦災者
、
引揚者
、それから
生活困窮者
に対する
貸付
と、それからこの
回収状況
等を考えてみますると、これは必ずしも貸し倒れになってはいない。そういうような
状況
で、必ずしもこれは全額そういうような工合に支出してしつぱなしという形にはなりませんし、この回収金をもって恒常的にこういうような金融業務を行なっていくということは、はなはだ
沖縄
の窮乏を
救済
する上において貢献があると思うが、この点についていかように考えられておりましょうか。重ねて御答弁をお願いいたします。
石原周夫
14
○
石原説明員
ただいまの
春日委員
の御提案と申しまするか、
お話
でございまするが、今承わりましただけで、しさいに検討をいたすいとまもございませんので、とりあえずの感じだけを申し上げておきます。
春日委員
のおっしゃいますように、
海外
の事業活動をいたすということは、これは民間会社についてもございますし、
春日委員
の御指摘のような輸出入銀行、あるいは
海外
移住振興株式会社というようなものがあるわけであります。これらはいずれも、何と申しますか、その事業の採算ベースということで、その事業自身としてやっておられまして
更生資金
の貸し出しを、
国民金融公庫
というような
政府
が全額出資をいたしておりまする法人、それに
政府
の財政
資金
を委託いたしまして
貸付
をいたすということに相なりますると、これはまさに厚生福祉行政の
一つ
の態様になるかと思います。そういう
意味
におきまして先ほど来私の申し上げておりまする
施政権
というものが、
アメリカ側
にあつて、
日本側
には今そこに及ばないのであるということにやはりぶつかってくるのではないかというように考えております。ただ私今伺ったときの感じをとりあえず申しておきます。
春日一幸
15
○
春日委員
これは、
官房長
のぼくは研究が足りないのではないかと思うのです。と申しますのは、
施政権
というのは、不特定多数の
住民
を対象とするものでありまして、われわれがここに提唱いたしておりまするのは、特定少数の者を対象といたしておる。すなわち
引揚者
、それから
戦災者
、こういうものを対象としておるのでありまして特に
引揚者
については、これは三万
世帯
でありますが、とにかくそれだけの数に限定されておる。従いまして、これは広義の
施政権
の中に包含されるかもしれないけれ
ども
、さらにまた、これは広々義のいわゆる
日本国民
の身分に関するところの、あるいは特定の者の享受するところの特殊の権利、こういう形で、属人的なこれは
解釈
もできないことはないと私は思うわけであります。
沖縄
に在住する
生活困窮者
全体を対象とするのではなくして、
引揚者
、
戦災者
にしてなおかつその生活窮乏の
状態
にある者のみを対象として、しかもそれが
日本国民
であるから、国家の
犠牲
になったものであるから、なおかつ
アメリカ
の
救済
もその
施政権
を通じて行われないから、見るに忍びずしてこういう排置を講ぜんとするということなんだから、これは国際的に考えても、また
アメリカ
の良心に
訴え
ても何らとがめらるべきことではない。ことに進んでわれわれが、
日本国政府
がそれをことさら
アメリカ
に対するつら当てのようにやるというのではなくして、
アメリカ
がいろいろな
事情
があってやって下さらないのだから、それだから結局
日本政府
がこれをやらざるを得ないのだ。こういう
現実
の問題としてこれを取り扱わんとするのでありまするから、私は、問題の
解釈
は政治的に、さらにまた
法律
的にいろいろあなた方が専門的に検討されれば、私は可能な方策というものは生まれてくると思う。だからこういう問題は、今このような簡単な質疑応答を通じては、適切な
結論
は出てこないと考えまするから、どうか
一つ
政府
の内部においても、よく専門的に十分御研究を願いますと同時に、
現地
の
実情
等についても、さらに
当事者たち
から十分その
実情
を
調査
されまして、
現実
に困つておりまする
沖縄
の
同胞
たち
が、とにもかくにも生きていけるように何らかの方策を立ててやっていただくのでなければ、これはてんで問題にならぬと思う。どうか
一つ
そういうような
意味
合いにおきましてこの来年度の予算編成までには、これに対する的確なる対策が講じられて、
沖縄
の
陳情
者
たち
の
要請
にこたえる方策を立てられんことを強く、要望いたしまして私の質問を終ります。
石原周夫
16
○
石原説明員
ただいまの
お話
の点、私
ども
よく勉強いたしまして検討いたしたい。ただ申し上げておきますことは、やはり
施政権
の限界というものは、ある客観的なところに線が引かれると思うのでありまして、そのワクの中で
事務
的に検討いたすことに相なるかと思います。先ほど申し上げましたように、現在のワクの中で、できるだけのことは従来も検討いたして参りましたし、大体いろいろ考えてみまして今のところで思いつくものはやったつもりでおります。あるいはこれからやるつもりで仕事をしているわけでありますが、なお今後も、そういうようなことでやり得る余地が残っていれば、十分に検討いたしたいと思います。
春日一幸
17
○
春日委員
私は、もう
一つ
だけそれであるなら申し上げておきますが、とにかくいろいろな研究をこうしてもらいたいということなんです。ちょうど
在外預金
の払い戻しについても、いろいろとその問題がございました。けれ
ども
、これらの諸君が
沖縄
に在住するということでは問題の
処理
ができないから、
内地
に在住するという擬制的なこの
解釈
でもって、とにかく一括その
代表者
に払う、こういうような
方法
でその問題の
解決
をしようということでございまして、最終的にはそのようにされたかどうか、まだ報告は受けておりませんが、私はそういうような事例等も
参考
にいたしまして、
沖縄
に現在在住しておりまするこれらの
引揚者
たち
が一応
日本
に帰ってきて、そうしてその更正
資金
をとにかく借り受けてそれから
沖縄
へ行って、その居住地において簡易なその事業を始めていく、こういうような事柄等も、
日本国民
であります限り、彼らが往来するということも自由であるという立場から、そういうことも私は全然不可能の事柄ではないと考える。いずれにしても、
現実
に為替
関係
においても、今それだけの
外貨
に類似するものを向うに出したとしても、現在その
沖縄
は、
日本
の為替帳じりにおいては、
アメリカ
に次ぐ第二位の黒字貿易地にされているわけです。そういうような
関係
からしましても、私はここで十億や五億の金を出したところで、それはあまりやり過ぎたということにはならぬと思う。どうかそういう
意味
で、
困窮
度がひどいのだから、しかもそれは
国策
の
犠牲
になった諸君であって
アメリカ
もだれもその問題の
解決
をは、かってくれるのではなくして、
日本政府
が乗り出すのでなければ問題の
処理
ができないという最終的な判断の上に立って対策を考えるならば、私はいろいろな
方法
が生まれてくると考えますから、あれはだめだ、これはだめだと、ただその
施政権
というものを最高のものに考えないで、そこに生きている人間を中心として、そこから
外交保護権
も
施政権
も
潜在主権
も、いろいろな問題が相互にからみ合っていろいろな
処理
がされる。こういうことで、最高のものはそこに在住している
住民
であり、そうして問題となっているものはその
住民
の
困窮
である。ここでさらに問題の
解決
をはかるように、
一つ
御検討を願うことを強く要望いたしておきます。
松原喜之次
18
○松原
委員長
なお
横錢
委員より関連質問の申し出がありますので、これを許します。
横錢重吉
19
○
横錢
委員 今
比嘉
代表
から
沖縄
の
実情
並びに要望されております点について承わったのでありますが、今われわれに対して
訴え
られましたこういう問題は、
沖縄
の
米軍
あるいは
日本側
の
政府
というような面に対しては、どういうふうな
陳情
の
方法
をやっておられますか。またこれに対する答弁あるいは現状、こういう点はどうであるか、この点を承わりたい。
比嘉一雄
20
○
比嘉参考人
よくわかりました。実は
沖縄
現地
におきまして大衆金融公庫という、ほぼ
国民金融公庫
と似たような名前を持った組織があるのでありますが、この大衆金庫というものは、八十万
住民
に対してわずかに去年まで三千七百万円が、今年増資されまして五千九百五十万円になっておるわけでありますが、この五千九百五十万円の大衆金庫の金は、ほとんど中小企業者を対象にして貸し付けております。それが四千万円以上も貸し出し済みであり、またその増資前に、借り入れ人の要求を満たしきれなくて、貸し出しを中止したような実例もあるのであります。わずか六千万円足らずの金で三万
引揚者
の——一
世帯
一万円としましても三億円になりますので、三億円の要求を満たすことは絶対にできないのであります。そういう組織はあっても、実際面において不可能であるために、われわれが困り切って
本国政府
にお願いするのでありますから、そういう
実情
も御賢察下さいまして従来外地におきまして築き上げたところの
財産
は戦争のために放棄して、はだかで帰ってきてそのまま苦しんでおるわれわれ
引揚者
の
気持
をお察し下さいまして、この
更生資金
の貸し出しをぜひ
実現
さしていただいて、次に来る
移民政策
に貢献させていただきたいことを、この席でお願いいたしまして、
促進方
をお願いするのであります。
横錢重吉
21
○
横錢
委員 今の点わかりました。さらに
アメリカ
の軍政部の方からどういうふうな回答、あるいはまたどういうふうな
気持
を持っておるか、この点については触れられたことはありましたか。
比嘉一雄
22
○
比嘉参考人
アメリカ政府
には、まだそれを
要請
したことはありません。大体琉球
政府
というのが、
アメリカ政府
の代行機関でありますために、琉球
政府
を中心としておりますが、琉球
政府
は、われわれ
外地引揚者
に対して、まだそういったようなあたたかい
気持
を述べるまでに至っていないのであります。なぜかと申しますならば、
沖縄
は、この戦争で
惨たん
たる
状態
に陥りましたために、あらゆる諸問題の
解決
がまだ未
解決
に残されておるがために、われわれ
引揚者
にも、まだあたたかい手が延べられなかったということで、われわれもお願いしてもむだだ、また何ぼ全
国民
が
沖縄
政府
に頼んでも実行不可能であります。だから頼もしい両親にすがるよりほかに仕方がないのでありまして、親の前に子がお願いにきたという
気持
をお察し願いたいのであります。
横錢重吉
23
○
横錢
委員 もう
一つ
伺いますが、
引揚者
の人数は、大体どの
程度
になっておりますか。
比嘉一雄
24
○
比嘉参考人
人数は約三万
世帯
で、人口にして十五、六万人に及んでおります。
横錢重吉
25
○
横錢
委員
外務省
に伺いますが、
外務省
は、この
沖縄住民
が今
訴え
られましたような生活
困窮
の
状況
、あるいはまた
沖縄住民
の生活全般の問題、こういうことに対しては、現在までに
調査
をされたことがありますか、この点について伺いたい。
針谷正之
26
○針谷
説明
員 一般的の問題については、いろいろな資料などをいただいておりますが、特にこの
引揚者
の方がどういう地位におるかということについては、まだわれわれ伺ったことはありません。
横錢重吉
27
○
横錢
委員 それでは今後
調査
を行おうとする
気持
があるかどうか、あるいはまたそういうふうな対策を立てておるかどうか、この点について伺いたい。
針谷正之
28
○針谷
説明
員 ただいま初めてここで聞いた問題でございますから、これについては、また
関係
方面とも十分協議して、事実を確かめてみたいと存じます。
横錢重吉
29
○
横錢
委員 先ほどから
外交保護権
の問題が出されておるわけですが、
外交保護権
をどういうふうに出すかは別としても、ともかく
沖縄
の
住民
の生活がどうなっておるかということの
実情
をつかんでいなかったならば、
外交保護権
を検討する上においても問題にならないと思う。従って今の答弁では、
沖縄
の
状況
がよくわかっていないようであるけれ
ども
、これは今後もしばしば問題になってくる点であるから、十分
調査
をされるようにお願いをしておきたいと思います。 それからまた先ほどの
春日委員
に対する答弁では、
石原官房長
の答えにも、
現実
になかなかなしがたいというような点で答弁をされておるようであるが、これは現在までにおいては、
相当
困難な問題もあろうけれ
ども
、何とか開いていく道はないのかどうか、特に今
日本
の外交は、ソ連との間に国交回復の問題をやっておる。ソ連との国交回復については、
日本
の
外務省
は、どちらかというと臆病な態度をとっていると思う。しかしながら
アメリカ
との間には、そんなに困難な問題もないのであるし、従ってどしどし
日本側
の立場、あるいは
日本
としてはこういうふうにやってほしいというようなことを、
沖縄
の問題については言える立場にあるんじゃないか、こういうふうに考えておるのだが、この問題に対してどういうふうに
処置
されるつもりか、これは
石原官房長
から伺いたい。
石原周夫
30
○
石原説明員
先ほどから
外務省
から
お答え
のありまするように、本来
アメリカ
の
施政
の範囲に属することでございまするので、これは話し合いをしていただくということでございます。私も先ほど申しましたように、
筋合い
といたしましては、
アメリカ側
に当然考えてもらわなければならぬことでございまするので、この点は
外務省
において引き続き
努力
をしていただきたいというふうに考えております。
横錢重吉
31
○
横錢
委員
外務省
の針谷課長に伺いますが、今の
沖縄
の地位というものは、非常に不確定な地位なんです。信託統治に移す手前の
状態
で、
アメリカ
がこれを統治しておる、従って、それはどこまでも信託統治の精神をもって
沖縄
を統治しておる、こういうふうに一般的に了解をしておる。大体信託統治の精神というものは、軍事的なもの、あるいは政治的なもの、こういうふうな面については、
住民
の意思は認めないというふうな
考え方
で立っていると思うのです。しかしながら、その半面において平和の産業、平和な生活、こういう問題に対しては、全面的に
責任
を背負う。
住民
の生活に対しては、何ら政治、軍事に
関係
ないものについては、一切の
責任
を
住民
にかわってやるのだから、不足をなからしめる、こういうような立場に立っていると思う。ところがあにはからんや、
アメリカ
は信託統治を標榜しておりながら、実際は
沖縄
から搾取をしておるのです。信託をするというのは、
住民
にかわって政治を行なって、福祉を与えるのが目的だ。その福祉を与える目的にまるきり反して、
沖縄
の
住民
から搾取をする、こういうふうな印象を今日与えていることは、非常に遺憾だと思う。しかも今ここに持ち込まれてきている
現実
の問題を見たならば、生活保護者、あるいは
引揚者
、こういうものが、今日の
敗戦
国の
日本
の現状よりもさらにひどい
状況
に置かれておるが、何ら手が打たれていない。また
外務省
も
外交保護権
、あるいは
潜在主権
ということを知っておりながら、これに対して
調査
も不十分だ、対策も立てていない。おそらく先日
沖縄
の軍事基地の問題が出たときに、外務大臣が
アメリカ
に対して交渉したはずであるが、この交渉の中において、
住民
の生活の問題についても触れたかどうか、この点は大いに疑問がある。この点は、もし触れておられるならば
お答え
を願いたい。さらにこういうふうな信託統治に対する立場は、
日本
としては初めてであるけれ
ども
、しかしながら、今申したように、
日本
の現在の
外務省
と
アメリカ
の
政府
との間には、一体となったところの連絡がとれておるのではないかこういうふうに思う。従って、今までは困難であったかもしれない。しかしながら、
沖縄
の
住民
の生活を何とかしてもっとめんどうを見よう、こういうふうな
気持
があるならば、おのずからそこに打開する道がある。こういうふうな点を、もっと積極的に取り上げてほしいと考えるけれ
ども
、この点について御
見解
を
一つ
伺っておきたい。
針谷正之
32
○針谷
説明
員 外務大臣が
アメリカ
との話し合いにおきまして一般の生活に触れたかどうか、私特に直接に聞いておりませんが、そらく当然起ってくる問題として、触れているのじゃないかと解しております。ただいま起きております
土地
問題も、結局生活の問題に触れる問題であります。また今までも、いろいろ
米軍
の方の不法事件なんかがありましたけれ
ども
、そのつど、その事実がはっきりしました暁におきましては、それを取り上げて
アメリカ
と話を続けてきております。今後とも、また事実としていろいろの生活上の問題が起りましたならば、
外務省
におきましても、その
解決
に
努力
をいたしていくつもりております。
松原喜之次
33
○松原
委員長
それでは
比嘉
君に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、お忙しいところを長時間にわたり御
出席
を願って、貴重なる御意見を陳述していただき、
委員会
の審査に多大の
参考
となりましたことを厚く
お礼
を申しあげます。 —————————————
松原喜之次
34
○松原
委員長
次に、
春日一幸
君外十二名
提出
にかかる
物品税法
を廃止する
法律案
及び
酒税法
の一部を改正する
法律案
を一括議題として質疑を許します。奥村君。
奧村又十郎
35
○奧村委員 私はただいま本
委員会
で継続審議中の社会党の諸君の御提案である
物品税法
を廃止する
法律案
、酒税を引き下げる
法律案
、二案に関して提案者に対して御質問をいたしたいと存ずる次第であります。 特にただいま
政府
において税制の根本改正を企図いたしまして、いろいろ
調査
立案中であります。社会党におかれても、次期政権を目ざして
現実
政策
面において十分御検討中であろうと思いますし、特にこの税の根本改正なるものは、来年改正して再来年また改正するというわけにいかぬ。十年、二十年なるべく——税の改正というものはそうたびたびやるものではない。これはもう御
承知
の
通り
であります。そこで、社会党も次期政権近しと考えておられるし、またおそらくそういう時機も私
ども
あろうかと思いますけれ
ども
、自民党内閣で税制を改正した、社会党内閣においてまたそれを大幅に改正したというふうなことになって、そうたびたび税制を根本からひっくり返して改正していけば、
国民
が非常に困る。こういう
意味
から、願わくば社会党内閣がかりにできる場合においても、そう税制を変えるようなことのないように企図しなければならぬと私は思う。こういう
意味
合いから、特に税制については、十分社会党の諸君とも
お話し
合いの上で審議を進めたいと考えて、この両案について
お尋ね
をいたすのであります。 この両案は、
昭和
三十一年度予算の審議に際しまして、社会党から提案されたところの予算組みかえ案と一体になって御提案になったのであります。しかし、もうすでに予算は通過して実施している。従つて予算組みかえ案と一体になって出された以上は、もうすでに社会党の組みかえ案は否決されているのであるから、当然今この
委員会
に提案中の両案は、撤回されるべきものと思うのであるが、その点どう考えておられるか。
春日一幸
36
○
春日委員
ただいま奧村委員から御指摘のありました
通り
、社会党内閣への日はまさに近まっているのであります。過ぐる参議院選挙におきましては、われわれは圧倒的な
国民
の御信頼を得ましたが、それに続きます宮城県の知事選挙、富山県の知事選挙におきましては内藤君の格別の御支援をいただきまして、さらにはまた名古屋市長選挙等、連勝のこの
状況
は、
国民
大衆の社会党に対する御信頼が、日とともに高まっているのでありまして、それだけに、私
ども
はその
責任
の重きを痛感いたしているわけであります。このような
理解
の上に立ちまして、当然税制万般に関しましては、われわれはいつ何どき政権を担当いたしましても、それぞれ歳出歳入に事を欠かないように、具体的かつ的確なる方策をすでに検討いたしておるのでございまして、おおむねその立案を終つておるのであります。 そこでただいま御質問になりました、すでにこの予算組みかえ案が第二十四
国会
において否決されているから、この
法律案
は、もはや進んでこれを撤回すべきではないか、でなければ、歳出歳入に事欠いてくるではないか、こういう
お話
でありますが、昨日の
委員会
であなたもお聞きになりました
通り
、本年度の自然増収は、実に千億をこえんといたしておるのであります。そこでこの
法律案
によって本年度において減収されますものは、たしか百八十七億であります。そういうわけでありますから、一千億の自然増収をあわせ考えます場合、この百八十億余の減税というものは、何ら差しつかえないものでございまして、われわれの
考え方
は、この物品税を廃止して、同時にまた酒税に対しては減税を行なつて、
国民
の要望にこたえなければならぬ。またこの
法律案
がこの臨時
国会
でもし可決されましても、国の歳出歳入の上においては何ら障害を来たしてこないものである、こういう工合に考えておるものでありますから、従って両法案をみずから撤回するの意思はないのでございます。
奧村又十郎
37
○奧村委員
政府
は、税制の根本改正を企画しておる。その中には、物品税で増徴をしようという
考え方
もただいま検討中である、もちろん私
ども
自民党としては、そういう問題については、まだ一致した意見はありません。従って私がただいま
お尋ね
するのは、私
個人
の意見を開陳しながら
お尋ね
するのであります。しかし社会党としては、ただいま御答弁のように、すでにもうはっきり物品税は撤廃するのだ、しかもこの案は撤回しないということであります上、社会党としては、はっきりした態度をとっておられるのでありますから、そのはっきりした態度について、重ねて
お尋ね
をいたしたいと思うのであります。 そこでなぜ物品税を廃止されるのであるか、その
考え方
を
お尋ね
いたします。すでに物品税を廃止する
法律
の提案理由の
説明
は出ておりますが、その
説明
を読んでみましても、どうもはっきり納得ができません。それを読んでみますと、ただ物品税は戦時立法であるからということと、それから現在の七十数品目の中には、日常生活必需品がある、きわめて不均衡、不公正な課税であるからこの際やめるのだ、こういうことです。しかし物品税の七十数品目全部が日常生活必需品とは言えぬでしょうし、また日常生活必需品であるかどうかということは、これは比較的な問題であって、そう一がいに言うべきものではない。そこで七十数品目の現在の品目の中で、一部日常生活必需品があるというからこの際全部廃止するのだというのは、これは少し大ざっぱな荒っぽい議論であって、それでは、おそらく
国民
は納得できないだろう。もちろん税金はないに越したことはない。しかしできるだけ公平に、できるだけゆとりのある人から税金を出してもらうということは、これはやむを得ない
処置
であって、その
意味
で、奢侈品的なものについては、しんぼうして納めてもらわなければならぬ、こういうふうに考える。そこで、物品税をなぜ廃止するのか、日常生活必需品以外でも、
相当
奢侈品的なものもあろうと思うが、それを頭から全然物品税を廃止するということになさった理由を重ねて
お尋ね
いたします。
春日一幸
38
○
春日委員
この提案理由の
説明
書は、簡にして要を得ていると思うのでありますが、まず第一番に戦時立法であるということ、それから課税対象が公正を欠いておるということ、それからアンバランスであるということ、この三つが柱になっておるわけであります。 御
承知
の
通り
、この物品税の沿革をたどってみますと、これはまさしく
昭和
十二年でありましたが、とにかく北支事変特別税という形でもってこれが出て参りましてその後
昭和
十五年にこの物品税が体をなしたかと思うのでありますが、何といっても、この
法律
自体は北支事変特別税であって、すなわち戦時特別立法であるのであります。現在
日本
の行財政が、
日本
の経済の基準を
昭和
九年ないし十一年の水準に置こうといたしておりまして先般来税制の改正に当っても、
政府
からそれを基準としていろいろの権衡がはかられておりますが、
昭和
九年ないし十一年には、この物品税はありませんでした。従いまして戦争の残骸でありますから、戦争が終って平和的文化国家を建設しようとしておるこの段階においては、こういう戦争目的の上に立てられたところのこの税法は、当然平和的文化国家建設の理念からも一応廃止すべきである。これが戦時立法であるから廃止すべきであるという所論の骨子をなしております。 その次の公正を欠いておるという点でありますが、これは、その当時課税対象が御
承知
の
通り
高級品、奢侈品を対象とはいたしておりましたが、同時にその後戦争目的を遂行する上において、軍需資材を消費するようなものに対しては、特にこれを物品税の対象といたしたようないきさつ等もあるのであります。従いまして、生活必需品でも、それの原材料が戦争目的遂行のために必要上する原材料を使っております限り、たまたまこれが課税対象になったりいたしまして、そういうようないきさつ等もございまして、この原材料との
関係
から勘案いたしましても、その課税対象を捕捉する上において、これは歴史的に公正を逸しておりますし、さらにまた戦後においては、御
承知
の
通り
、あるものは撤廃されましたし、あるものは免税点が設定され、それが引き上げられたり何かいたしまして、その後いろいろな業界の運動が
政府
並びに
国会
に行われることによって、あるものはこれが軽減
措置
が講ぜられ、
陳情
の行われないものがそのままに捨て置かれて、今日に至っておるのであります。言うなれば、今日課税されておりますこの物品税の課税対象は、政治悪がそのまま一露呈している姿であると極言することもできると私は考えるのであります。従いまして
陳情
や運動をしたものに恩典と
救済
が及ぼされ、しからざるものはそのまま捨て置かれておるというこの現状については、これは公正な立場から、別個の角度からあらためて再検討が加えられなければならない。これが、その公正を欠いておるから撤廃を必要とする理由の内容であります。 それから均衡を失っているという問題でありますが、これもまたいろいろな内容があるのでございましてたとえて申しますならば、現在ラムネとか洋酒とか、比較的生活需要度の高いものに対してもこの物品税が課せられているわけでございまして、こういうような物品に課税せられているものと、課税せられていない物品との間において、非常に均衡を失してきているということは、これはもう
国会
においてもしばしば
論議
されたわけであります。また税法学者の諸君も、この問題については声を大にして叫んでいるところでもあるわけであります。従って、この提案理由は、この三つの理由を骨子とはいたしておりますが、同時に提案理由の
説明
の中でさらに敷衍して申し上げておりますことは、こういうような物品税は、この際抜本塞源的に全部廃止する、ちっとやそっといじくり回すだけでは、すなわちその公正を期し、さらに均衡を保つということは不可能であるから、この際全廃して、そうして課する必要があるならば別の角度から、新しい見地から、経済
事情
とそれから社会情勢とに即応してそうして別途にこれは策定されるべきものであつてこの
物品税法
というものは、ただいま申し上げました理由によつて、一日も早く廃止すべきものである、別個中小企業保護育成のための
政策
等もそこにからみ合せましてわが党は、この際あらゆる角度から慎重検討いたしました結果、この物品税がすみやかに廃止されるべきであるという
結論
の上に立って、この
法律案
を上程いたしたようなわけであります。
奧村又十郎
39
○奧村委員 ただいまの御零弁には、どうも納得いたしかねる点が多いのですが、あまり議論にわたってもどうかと思うので、なお進んで
お尋ね
を申し上げます。 それでは物品税は全廃して、新たなる見地から高級品、奢侈品に限って税をかける、つまり奢侈品税とでも申すべきものをかけるということでありますが、それならば、どういう品目に対してどの
程度
の奢侈品税をおかけになるか、その具体的な案を、すでに次期政権を目ざしておられるということでありますから、それを
一つ
はっきりと御示し願いたい。
春日一幸
40
○
春日委員
ただ申し上げておきたいことは、
一つ
の経過といたしましてこういうような高級品、奢侈品に新しい定義を設けて、ただいま申し上げましたようなあらゆる角度から検討を加えて、そういうものを課する必要がある、こういう工合にわれわれは考えているのであります。けれ
ども
、今奧村君が御指摘のように、これを廃止すると同時に、身がわりとしてそういうものを立法しなければならぬかどうかという問題になると、それはおのずから別個の問題でございまして、御
承知
の
通り
、本年度における一般自然増収は一千億もございます。しこうしてこの物品税の年間収入は二百八十億内外しかございませんから、従いまして、後日こういうものを対象にして課税する場合ありといたしましても、すみやかにそれに課税しなければならぬ、そうしてその収入を確保するのでなければ
国政
に破綻を生ずるというようなことではないのでございまして、別途一千億近い自然増収もございますし、さらにまたわが党独自の予算案をもつていたしますれば、防衛
関係
費等の大幅の削減等によつて余剰財源も大量に発生して参りますから、その辺の
措置
は、同時立法を必要としないということを
一つ
御
理解
願つておきたいと存ずるのであります。しかしながら、私
ども
が提案理由の
説明
中に申し述べております
通り
、高級品、奢侈品に限つて課税する必要ありと認めておるけれ
ども
、それを課税する上におきましては、幾多の考察が必要でございます。すなわちその税金が需要者に転嫁されないで、中小零細業者の負担にかかるような問題については、奢侈品でありといえ
ども
、これはおのずから別途の検討を加えなければならぬ。また奢侈品のごときに関しましても、高級品のごときに関しましても、たとえて申しますならば、テレビジョンのごときものでも、テレビを普及するためには、その
保護政策
として特別の猶予
措置
が講ぜられておる等の事例もございまして、こういういろいろな要素を考案いたしますならば、ただ観念的に高級品であるから、奢侈品であるから一律に課税するというわけには参らないのでございまして、この問題は業界、学界、あらゆる権威者の意見を十分網羅いたしまして、公正、均衡という角度から適切妥当な
結論
を得たい、こういう工合に考えておるのでございます。その内容につきましては、もとよりわが党において検討いたしておりますが、これは極秘の秘でございまして、なかなか自民党に対しては申し上げられない段階であるわけであります。
奧村又十郎
41
○奧村委員 提案者に申し上げますが、ここは神聖な
国会
の
委員会
で、これは
国民
全体が注視しておる。特にあなたの言われるように、すぐにでも政権を担当しようかという社会党の税
政策
をどうするのかということを、ここであなたが社会党を
代表
して公式に
説明
なさるのに、もう少しまじめになって……。(
春日委員
「いやいやまじめです。これ以上のまじめはない。」と呼ぶ)それなら
お尋ね
しますが、われわれ自民党にしても、ただいま
お話し
のように、物品税を施行するについても、なるべく奢侈品、高級品だけに限って課税をしようということで、社会党の諸君の御協力も得てだんだん品目を減らし、あるいは免税点を引き上げ、あるいは課税対象からはずしてきたものであります。従って、今ではなかなかこれ以上はほかとの均衡上はずし得ないというところまできておる。そこで、これを頭から全廃して、奢侈品、高級品だけかけようというならば、奢侈品、高級品と言ってできるだけわれわれはそういうものを残そうとしてきたものを、社会党がそういうことで頭からはずしてしまうなら、一体奢侈品、高級品というものはどういうものかということを明らかにしなければならぬ。それをはっきりとここで言明をしていただきたい。
春日一幸
42
○
春日委員
ただいま申し上げました
通り
、奢侈品、高級品というものの定義も、これは非常に複雑な要素を含んでおるということ、それからただいま申し上げましたように、これは極秘の秘であるということは、私は冗談で言つておるのではなく、これこれのものが奢侈品であり、これこれのものが高級品であるということをここで申し上げますと、そのことがその業界に対していたずらに衝撃を与えましてさらに猛
陳情
、猛反対、その他いろいろの業界の経済活動、政治活動に対して影響を与えてくる。だから、そういうものの発表は慎重を期して、なおかつ成案が完璧になってから発表すべきものであって検討の過程においては極秘の秘であって、これは容易に発表すべきでないということ、これはあなた方も政権を担当されておりましてそういう問題の
取扱い
については非常に慎重を期せられるだろうと思うのでありますが、私
ども
もそういう態度をとっておるのでありまして、ただ私
ども
が極秘の秘であるといって冗談を言っておるのではない。たとえば友禅な
ども
、これはだれが見ても奢侈品でありましょう。またそのほとんどは零細な屋内の職人がこれを作つておる。そうすると、なかなか需要者に税金を転稼することができないから、背負い込みになってきておる。こういうような奢侈品であっても、その製造過程、事業経営の
実情
等をいろいろ勘案いたしますると、これは、一がいに見て奢侈品とおぼしきものでも 課税対象としてこれは
法律
の中に加えていくべきであるかどうかという点については、多大の検討を必要とする。こういう
意味
でございまして、わが党は、もとよりこういうような
法律案
を提案いたしましたからには、並行的にその検討は十分加えておりますが、しかしそれは総合的に、かつ最終的に
結論
を得ておりませんので、従って今その中間的な御報告を申し上げる段階には至っていない、こういうことを申し上げているのでありましてあくまで真摯な態度で御答弁を申し上げておるのでありますから、この点は御了承いただきたいと思うのであります。 なお百八十億余を減税したら、その百八十億余の見返りになるような立法
措置
を必要とするかどうかという問題については、本年度は自然増収が一千億もあるし、さらにわが党が政権をとるならば、防衛予算等においてわれわれにおいて別個の考察があるので、従ってそういう
方法
を講ずることによって、財政の均衡が期し得るというのでございますから、この点も
一つ
明確に御了解を願いたいと思うわけでございます。
奧村又十郎
43
○奧村委員 物品税は廃止する、奢侈品税はいずれ検討の上で後刻かけるという、その間の、ズレの財源の穴埋めは、何ででもやりくりができる、それはわかります。しかし税はあくまでも公平でなければならぬ。一たん物品税を全部撤廃して、また半年なり一年なり先にいってからいずれかのものに奢侈品税をかけるのだということになると、半年なり一年なりには、その該当品目には全然税がかからぬことになる。そういうことで、果して公平が保てるかどうか。やはり奢侈品税をかけるのなら、奢侈品税の案を出して、奢侈品税を実施するから物品税を廃止する、それなら話がわかるのです。税というものを一たん廃止してまた税を新設するについては、なかなか困難なことくらいは、あなたも
国会議員
として御
承知
の
通り
であります。どうせ奢侈品税をやるんだということを言いながら、それは秘中の秘であっていつやるかわからぬ、ただ物品税は廃止する。これでは
国民
は何のことやらわからぬ。そこの点をもう少し納得のいくように
説明
してもらいたいと思います。
春日一幸
44
○
春日委員
申し上げておきたいことは、この物品税が、奢侈品、高級品をも含めていずれもが戦時立法であるということ、それから問題は、
昭和
の九年から十一年を基準年度といたしまして、その税制もこれに見合していろいろな調整が行われんといたしておるわけでございます。従いまして、
昭和
十二年に新設されましたところの北支事変特別税、これが物品税として
昭和
十五年に体をなしたんです。従いまして、この基準年度を目標とするところの現在のいろいろな行財政上の
努力
から考えますと、この奢侈品、高級品をも含めて、その基準年度には課税されていなかったのですから、従ってこれが全般的に廃止されたといたしましても、何ら公正を失するとか、均衡を失するとかいうようなことにはならない。もともとこれは廃止さるべきものである。ところが、やはりその国の歳入を確保いたしますために、財源確保のために、とにかくこの
程度
のものが必要でありとするならば、これは課税することが考えられる。しかしそれは、いつ課税するかという時期の問題、さらにまたどれを対象にするかという具体的な問題については漸を追うて、これは私が先ほどから申し上げているように、これを廃止したから同時にこれを立法しなければできないというような
筋合い
の問題ではない。これは全然別個の問題として、すなわち平和的文化国家を建設する上においてそういうような消費的高級品、あるいは文化的奢侈品、いろいろな問題等についても、こういう国家目的からさらにいろいろな整理が遂げられるでありましょうから、こういう問題はあくまで同時にやらなければならぬという、そういう
考え方
こそ間違っておるのであって、とにかくこの
昭和
九年−十一年の基準年度においては、こういう
法律
は全然なかったということを考えて、そうして新しい角度からわれわれは想を練って案を立てるべきであるこういう工合に考えておるのでありますから、この点を御了解いただきたいと思います。
奧村又十郎
45
○奧村委員
春日委員
の御答弁では、物品税は戦時立法であるからということを重ねて言われるが、戦時に新たに作られた税法なり制度なりというものは、
物品税法
だけでない、ほかにもたくさんある。現に所得税の源泉徴収の制度も、あれはたしか戦時中に初めて実施された。戦時中にやつたから全部これは悪法だということは、これはどうもあまりに子供だましの議論のように思われる。現に
昭和
二十七年に私が大蔵
委員長
をしておりました当時に、物品税を根本的に改めて、なるべく高級品、奢侈品に限ろうということで、その当時全般的に税率も引き下げた、あるいは免税点も引き上げた、そういう物品税の大改正のときには社会党も賛成をして全会一致で
国会
を通過しておる。戦時立法ならなぜそのとき反対せなかったか。どうもそこら辺は納得がいかない。
春日一幸
46
○
春日委員
あなたは何を言われるかとんとわからないが、ちょっとお伺いしますが、
昭和
二十七年にあなたは大蔵
委員長
でしたか。
奧村又十郎
47
○奧村委員 そうです。
春日一幸
48
○
春日委員
その場合、あなたはたしか社会党員だったと思うが……。
奧村又十郎
49
○奧村委員 いや違う。
春日一幸
50
○
春日委員
あなたが社会党員であられたのは……。
奧村又十郎
51
○奧村委員
昭和
二十一年。
春日一幸
52
○
春日委員
昭和
二十一年にあなたが社会党を脱党されて、それから自由党に入られたということだが……。(「よけいなことを言うな、からむようなことはよせ」と呼ぶ者あり)社会党の
政策
を尋ねられた限りにおいては、その当時社会党員であったならば、質同者は知っておるわけだから、私はその点念を押したのであって、それでは伺いますが、あなたが
委員長
であられたときに
物品税法
が改正されて、その改正されたときに社会党が賛成したのはどういうわけだ、こういうことなんですね。それはですよ。
物品税法
中の一部修正が行われたでしょう。それを修正の段階において賛成したのであつて、
物品税法
そのものを全般的に認めたとか認めないとかいう問題とは違いまして、
法律案
はその一部修正なんですよ。その修正個所に対して、それを賛成したことであって、それは
物品税法
の本質に
関係
する問題ではなくして、その修正条項に関する問題だから、それはそういう調整を加える必要がありということを認めたことになりますから、それは御了解を願えることと思う。
奧村又十郎
53
○奧村委員 答弁者の御趣旨はよくわかりました。それは私もよく了承します。
昭和
二十七年のときは、なるべく物品税を奢侈品なり高級品に限って、
国民
大衆が日常直接使うものはなるべく廃止しようという
意味
合いで品目を限定して整理した。その
意味
において社会党も賛成された。従って現在は、まあこの
程度
なら大衆課税——また今おっしゃいました一部には、大衆課税と言われるものもありますけれ
ども
、この
程度
はやむを得ないということできたものであります。そこで私
ども
では、そこまできたものなら、やはり社会党も全然廃止するのではなしに、奢侈品税というものを考えておられるなら、なお一歩進めて今提案者の言われるように不公平な、あるいは不均衡な部分を訂正して、やはり現在の制度というものはやめるわけにはいかぬということにお考えになるのが至当でないかと思いますが、しかしこれは私の議論になりますからやめておきます。 ただ一点
お尋ね
いたします。そこで、今度の
政府
の税制の根本改正の意図する焦点は、直接税において、特に年収五十万から百万
程度
の中所得階級以上の減税をやろう。税率を直そうということであります。この直接税は、御
承知
の所得そのものに累進して課税をするので、趣旨としてはまことにけっこうです。しかし昨日の
政府
の答弁のように、実際には申告所得などは、所得の的確な把握ができぬ。すなわち所得がみな逃げてしまう。そこに問題がある。そこで今度は、間接的に消費購買力に対して担税力があるとみなして、どちらかというと、
国民
生活にぜひ必要というものでもない、幾分豊かな人の使うものに対して課税をしよう、間接に税をかけようということでありますから、この間接税というものは非常にいいと思う。物品税において、これはテレビを
自分
の家に買う人、あるいはオルガンとかピアノを
自分
の家に持とうというような人は——
国民
八千万全部が、そんな豊かな生活をしておらぬ。そこでそういう笠かな人々には多少の税の負担をしてもらおう。間接税は直接税と違って、購買力にかけるのであるからして、納税者も知らず知らずに実際の税の負担ができる。それはもちろん税の転嫁という問題もありますけれ
ども
、これをもって直接税の不均衡を補てんするという
意味
においてどうしても私はこの物品税の
考え方
、名前は奢侈品税になってもよろしい、そういう
考え方
はぜひ必要だと思う。その点、社会党諸君においてはどう考えておられるか。
春日一幸
54
○
春日委員
間接税重点主義をとるか、あるいは直接税重点主義をとるかという問題については、昨日の
委員会
において、あなたと
政府
との間においていろいろと意見が交換されておりました。これは非常に深遠な問題でありまして私
ども
といたしましては、これは別個の
見解
を持っておりますが、私
ども
は所得のあるところに課税する、もうけた人から税金を納めてもらう、担税力の強きものに重き税金を背負ってもらう、こういう二つのカテゴリーから、その方策を推し進めんとしておるのでございまして、ただ今表題となっておりますこの物品税、これを廃止するからといって、これはわずか三百億
程度
のものでありますから、従いまして、現在間接税の総額の中において占めております度合いは、総括的にそう大したものでない。酒税あるいはタバコの間接税に見合うものを含めます中において占めております度合いは大したものでありません。今私はこの物品税を廃止せんとするのは、ただこの
法律案
の提案趣旨の
説明
の中にも申し述べております
通り
、戦時立法だからやめろ、不公正だからやめろ、均衡を失しておるからやめろという、この三つの線がその主張の骨子をなしておるものであって間接税重点主義、直接税重点主席という問題のらち外においてこの判断をいたしておるわけでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
奧村又十郎
55
○奧村委員 ただいま御答弁になりました事柄については、これは社会党の党議としてきまっていることなんですか、
春日委員
個人
の御答弁ですか。
春日一幸
56
○
春日委員
われら
日本
社会党の党議であります。 ————————————— 〔
委員長
退席、小山(長)
委員長
代理着席〕
小山長規
57
○小山(長)
委員長
代理 引き続いて税制に関する件について質疑を許します。
奧村又十郎
君。
奧村又十郎
58
○奧村委員
国税庁長官
に
お尋ね
を申し上げたいと思います。それは、現在の清酒その他酒類の密造の実態並びにそれに対する対策に関してであります。御
承知
の
通り
、残念ながら密造がいまだに全国的にしょうけつをきわめております。私
ども
大蔵委員会
において、閉会中全国各地方を五班に分れて
国政
調査
をいたしましたときも、たとえば九州においての島原地区等のごとき、
現地
近くを歩いてみたのでありますが、これでも法治国家かと思うような
状態
で、至るところ不愉快なことを聞かされております。農村地帯においては、今度はすでに小型の船を作って、どぶろくを船でしぼって清酒にしている。しかも農閑期には、どぶろくの巡回指導者が回つている。酒屋さんの杜氏の上りが、巡回指導でどぶろく醸造の指導に歩いている。これは高知県で聞きましたし、山陰地方で聞きましたし、北陸地方でも聞きましたが、そういうように、相変らずしょうけつをきわめているということで、本
委員会
としてもこれは一刻も捨ておけぬ。今までたびたび問題にしているが、これが
解決
できぬとあれば、この際何とか思い切つた
処置
をせなければならぬ。そこで実は当
委員会
には、農村のどぶろく密造が押えられぬのなら、戦時中にも一部ありましたように、いっそ農家から酒屋さんに米を持っていって、委託醸造をやらせてくれぬか、それならどぶろくはとまるがという声を聞いております。
政府
の方でどうしてもどぶろくその他の密造を押えることができなければ、これはやむを得ぬ、農家の委託醸造も一部許さなければならぬということもわれわれ考慮中であります。 その
意味
合いにおいてここで
一つ
密造対策をしっかりお聞きしたいと思うのでありますが、まず第一に、一体国税庁の方で見られた現在の全国各地の密造の
状態
を、
一つ
数字
によって概略、簡単でけっこうですから、それも年々ふえているか減っているか、またどういうふうに密造の実態が変ってきているかということを申していただきたいと思います。
渡邊喜久造
59
○渡邊
説明
員 酒類の密造が現在におきましてもなおかなり一般的に行われているということにつきまして、直接取締りの
責任
にありますわれわれとしまして非常に遺憾なことであるというふうに存じております。密造が一番盛んに行われましたのは、御
承知
のように
終戦
直後から数年間のことであります。
戦前
におきましても、農村密造、いわゆる濁酒の密造、濁密と称するものは
地域
的にかなり盛んであった
地域
もありまして、当時からその面につきましては、大蔵省としましてずいぶん熱心にこの絶滅につきまして
努力
して参ったところであったのですが、
終戦
直後、御
承知
のように社会秩序といいますか、経済秩序が乱れ、片方では酒類の供給が非常に少なかった、税率も高い、従って酒の値段も高かった、こういったような幾つかの要素が重なり合いまして非常に動いておった。
終戦
後における密造の姿は、私は大体大きく二つに分けて考えることができるのではないかと思います。
一つ
は、第三国人などが中心になってやっておりました、主として販売を目的とした密造ですね。販売密造とわれわれは簡単に読んでいます。それが
一つ
。それから農家が自家用のために作る、これも必ずしも厳密に他に供給するということが全然ないというわけではありませんが、大体主として自家用をねらった密造、この二つの形態に分けることができると思います。両者につきましては、もちろんわれわれは並行的に取締りを実行しておりますが、特に販売密造というものについて重点を置いた取締りというものが、従来かなりなされて参りました。その後酒の税金も下り、酒の値段も下った。それから供給面からいいますと、一応現在におきましては、蒸留酒などはむしろ出荷を統制しようといったような姿にありまして、供給能力としては、設備からいいましても、原材料からいいましても十分力はある。清酒につきましては、昨年くらいまでは、原料である米の
関係
から、どちらかといいますとやはり供給が少くて、市場でいえば売手市場の姿にありましたが、最近はそういうこともなくなりまして下手をすれば買手市場になつた。酒の供給がそういうふうにふえて参りましたし、同時に片方、われわれが警察当局の協力を得まして、
相当
取締りを強化した。そんなことも順次実を結びまして、既在の
状況
は、
終戦
直後に比べれば、だんだん滅ってきているのじゃないかとわれわれは思っております。密造が全国で一体どれくらいあるだろうか、これがはっきりわかれば密造でなくなるわけです。従いましてわれわれとしては、いろいろな資料から一応の推計をしてみる以外にはないわけでありますが、しかしその推計によりますと、
昭和
二十四年などはかなり多かったんじゃないか。その当時は、おそらく二百五、六十万石の密造があったんじゃないだろうか。これは酒類全体でございます。現在はそれに対しまして、大体半分
程度
には減っておるのじゃないだろうか。百二十万石見当になっているんじゃないだろうかというふうに、われわれの方の推計資料の
数字
からは出て参ります。ただこれに対しましては、いやもっとあるだろうという御意見もございますし、それ以下だという御意見もあろうかと思いますし、われわれとしては正確な
数字
として申し上げるよりも、一応資料から見ての推計であります。従って一時から比べればかなり減った、しかしまだまだ量としては非常に大きい、こういうことを申し上げることができると思います。
奧村又十郎
60
○奧村委員 その密造のやり方、そういうものも、何といいますか、時代に即して非常に巧妙になって、また
状態
も変ってきているということを各地で聞いているのですが、国税庁ではどういうふうに調べておられますか。
渡邊喜久造
61
○渡邊
説明
員
お話
のように、少くとも戦争前と比べますと、
相当
大きな違いになっておるのじゃないかと思います。先ほ
ども
ちょっと触れました販売密造、これはしょうちゅうなどを中心にして行われ、一部清酒な
ども
やっておる而もあるようでありますが、主としてしょうちゅうで、こういうような加工は、結局やはり蒸留機械を使ってやっております。大体販売密造は、主としてしょうちゅうが多かったのですが、最近は
お話
のように清酒について、これも濁酒じゃなくて、ときにはしぼりまして、そして清酒めいたものにして売っているといったような姿のものも出てきている、そういう話も聞いております。農家の
関係
は、われわれの方へ入ってくる情報としましては、やはり濁酒
関係
が中心で、それは飲む機会に、多少しぼるというか何というか、かすをとって飲むということもあり得ると思います。これはやはり
相当
濁っておりまして清酒そのものといつた姿とは違うのじゃないかと思いますが、農家
関係
は、どっちかというと濁酒
関係
が多いのじゃないか、こういうふうに思っております。
奧村又十郎
62
○奧村委員 私
ども
の
国政
調査
で全国的に視察した感じによりますと、戦後十一年たっていまだに密造を組織的にやっているような者は非常に悪質で、組織的で、ちっとやそっとじゃやめない。要するに悪質になったということが一般的に言えると思います。また農家の密造においても、だんだん密造のひどいところがはっきりしてきて、密造をやっていないところはほとんどやっていない。やっているところは相変らずしょうけつをきわめている。こういうように地区がはっきりしてきたと感じとれたのですが、国税庁はそういうように感じておりませんか。
渡邊喜久造
63
○渡邊
説明
員 今の、地区内に密造の盛んな地区というものの姿が順次はっきりしてきた、まだかなり一般的だとはいいましても、密造の地区というものが割合にはっきりした姿をとってきた、こういうことは私も言い得るのじゃないかと思います。戦争前におきましては、どちらかといいますと、大体密造の地区というものは一応きまっておりまして、その他の
地域
ではあまりやっておらなかったわけであります。
終戦
直後それがかなり一般化したが、また順次密造
地域
というものが、
相当
はっきりした姿をとってきたということは、われわれも言えると思います。ただ多少戦争前に比べますと、やはりまだまだ戦争前ほどの局部的な姿ではない、こういうことが言えると思います。
奧村又十郎
64
○奧村委員 今の御答弁の
通り
であるとすれば、清酒その他酒類の供給が非常にふえまして、売手市場が買手市場になつた。従ってもう密造するというような守旧が非常に薄れたわけです。しかもただいま
お話し
のように、やり方が悪質であり、また地区内に固まってきたということであるから、
政府
の密造対策もそれに即応して、適切妥当なな
方法
をとらなければならぬと思う。そこで、現在
政府
はどういう適切な対策をとっておられるか、またとろうとしておられるか。
渡邊喜久造
65
○渡邊
説明
員 全体としまして、順次密造
地域
というものの姿が、非常に濃淡がはつきりしてきたということは言えると思いますが、まだまだ地区的に見まして、かなり広い範囲に行われておると思います。結局密造の姿としましては、先ほど言いましたように、販売密造と自家用密造、これは
相当
性格も違いますので、われわれの方としましても、取締りといいますか、いろいろな面に場おいて多少ニュアンスの違った手をとるべきものじゃないか、こういうように考えておりまする結局密造対策の中心となりますと、やはり一面においては、何で密造が出てくるかという問題ですが、先ほ
ども
言いましたように、酒類の供給が少いから密造になるという線は、現在としてはもうほとんど考えられない
状態
であります。そうすると、なぜかということになりますと、御
承知
のように
相当
高率な酒税がかかっておりますから、結局値段の問題といいますか、そういうところに原因がある。米一升を農家が売れば百円前後というものが、酒一升になれば五百円くらいになる。一升の米からは必ずしも酒は一升じゃなくて、それ以上作れるわけですから、要するに税金のかかっている高い酒を飲むのがいやだといいますか、つらいといいますか、そんな
関係
から密造をやる、あるいはそこをねらって販売密造をやって、税金をまともに納めた酒に比べれば安いが、しかし
相当
大きなもうけになるような酒を作る。そのためには法を破るような危険もあえてする、こういうような姿になっていると思います。 従いまして、
考え方
といたしましては、前にも私は申し上げたと思いますが、密造対策というものは、結局二つの問題だと思います。酒に対する税金があまり極端に高くない、モデレートな税金である、要するにこれが高いか高くないかということで、密造する人の密造意欲といいますか、特に販売するものであれば、それによってもうけがきまるわけですから、できればこれの税率をもう少し引き下げるべきじゃないか。これは全体の構想がありますから、酒の税金をそれだけ先走ってすぐやることができるかできないかは別といたしまして、密造対策という面からいけば、やはり酒の税金をもう少し下げるべきじゃないか。これが
一つ
。それからもう
一つ
は、取締りの問題だと思います。取締りと酒の税金を下げるという二つの対策が相待つて、初めて密造対策も
効果
を上げていくのではないか。その場合におきましても、やはり販売密造の場合と自家用密造の場合とは、対策に少し違ったニュアンスがあっていいのではないか。というのは、販売密造の方は、先ほ
ども
言ったように、第三国人が中心にやつておつて、売ってもうけようという
関係
ですから、これはもうかるかもうからないかという問題に帰するわけであります。従って、そのもうけのために法を破ることもあえてしょうというわけですから、そのもうけを少くすることが第一の
一つ
の問題になるのですが、これは税率を下げるか下げないかという問題になる。第二の問題は、取締りを強化するという問題が、この面においてはどうしても強く出ざるを得ないのではないか、こういうふうに思っております。ただ遺憾ながらわれわれの陣容、あるいは警察の方にもずいぶん御協力を願っておりますが、現在におきまして、
相当
一時的にたたきましても、絶えずそこをねらって間断なくある期間たたくということをやりませんと、またもとのようになってくる、こういったような姿にあるわけでありまして、そこまで手が回りかねる問題がやはり
一つ
あるのであります。そこをさらに推し進めていきますと、現在そうした酒の密造によってやっと生計を立てている人
たち
もあるわけでありまして、この人
たち
の生活問題も、広い社会的な問題とすると、バック・グラウンドには出てくるのじゃないか。しかしわれわれといたしましては、そういう問題は別といたしまして、販売密造に対しては、やはり取締り強化という線が当然まず考えられなければならない。それから自家用密造の問題になりますと、これは数も非常に多うございます。同時にそういう人の密造の量というのは、必ずしも多くない。従つてわれわれの方は、取締りもやりますが、同時に啓蒙宣伝的な要素が強く出なければなるまい。 従いまして、われわれの方で考えております対策といたしましては、税率の問題ーーこれは結局
国会
の税法の問題でありますから、別といたしまして、われわれが当面
措置
している問題といたしましては、取締りの問題、取締りの線といたしましては、今言ったように、販売密造の方は、どちらかというといわば取締りが中心である。それから自家用密造の場合におきましては、取締りと同時に、密造酒というものは衛生的にもいろいろ欠陥もあるのですから、そういつた面も込めましての啓蒙宣伝、これの両者を並行しながらやっていく、こういった
考え方
でございます。
奧村又十郎
66
○奧村委員 ただいまの御答弁は、せっかく新長官の御答弁ですが、今までの
国税庁長官
もいつも同じようにおっしゃいます。そしてただそれだけで済んでしまう。それでは、おそらく聞いておる者も納得はできぬと思う。今の御答弁で、それじゃいよいよこれで密造がなくなるという確信は持てぬと私は思う。先ほど
お話し
の、まずもって酒税が高過ぎるということについて、長官も認めておられる。これは、先日来この
委員会
で主税
局長
も、各国の例を徴し、あるいはいろいろな資料をもって、酒税が高過ぎるということを重々言われたが、しかし一体それでは酒税を引き下げるのかということにいくと、いや実は、ほかとのからみ合いもあってということで、何とも言われないということになるのですが、少くとも
国税庁長官
として、密造を取り締らせる最高の
責任
者として、酒税の引き下げということを今度の税制改正にはっきり打ち出していただきませんと、おそらく密造は減らぬと思います。 それから第二段の取締りの点ですが、取締りの方針については、ただいまのお言葉でよくわかりました。方針としてはけっこうに思います。しかし具体的にはどういうことをしておられるか。それは、なるほど農村地帯では密造を撲滅しましょうという看板をかけて走っているトラックもときどき見かけます。しかし、今そんなことで密造が征伐できたりするものでないことは、長官も御
承知
のことと思います。また、たとえば
長崎
県の島原地区のように、山奥で部落
一つ
がこぞって組織的に密造をやっておる場合、税務官吏が
調査
にいくと、一里も離れたところから、せびろを着た税務官吏らしい人が来るということになれば、村の半鐘をたたいてあるいは合図の木をたたいて谷から谷に知らして、取締りに行かれた時分には跡形もわからぬ。あるいはまた取締りに行った税務官吏が頭から袋だたきにあうて追い返されたということなんです。そんなことは、私から申し上げるまでもなく、
国税庁長官
はよく御存じの
通り
です。そういう取締りを一年に三回か五回か七回くらいやったって、あくる日からまた同じように密造をやる。これもまた過去十何年間繰り返してきたでしょう。したならば、もうこういうことでは、今の悪質な密造は征伐できぬのだから、新たにどうするか、今まで
通り
のことをやられるのですか。そうして予算を聞きますと、密造対策費は一億二千万ほどである。そういうものでは第一問題にならぬです。そこで、長官も
お話し
のように、国税庁の推定で、全国で年間百二十万石の密造がある。これは、国税庁の
責任
上から非常に控え目に見ておる。私は、少くとも百五十万石あるいは二百万石の密造があると思う。かりに国税庁の言われる
通り
、百二十万石の密造として、これを二級清酒の税率に換算すれば、この密造が全部なくなって正規の酒を買うということになれば、約三百億の増収になるわけです。従つてこれを征伐すれば、百億や百五十億の税収をふやすことはできると私は思う。その征伐に当って、わずか一億二千万の密造対策費では、これは話にならぬ。この密造対災費を一億に、あるいは五億にふやせば、五億にふやして、その四億ふえた分の少くとも何十倍か何倍かは酒税の増収によっておつりがくる。こんなことは三つ子もわかるのだが、そういうわかり切ったことをなぜやらないか。思い切って密造対策費をふやしてそういう悪質な密造部落を征伐できないか。ただいま長官は、密造をやっておる者の生活問題もあると言います。これはこれでまた別に
方法
を講ずればよろしいので、そういうことを言われるということは、当の
責任
者である
国税庁長官
の
責任
のがれの言葉だ、そう私は思う。
渡邊喜久造
67
○渡邊
説明
員 私は、誤解を招くといけませんから、はっきり申し上げておきますが、生活の問題もあるということは、やはり物事をずつとながめていくと、そういう問題があるということを申し上げているわけで、そうだからといってわれわれの収締りの手をゆるめるとかなんとかいうことは、ちっとも考えておりません。それはあらかじめ申し上げておきます。それから密造の対策の問題ですが、これは、そう奇想天外なやり方があるというふうにはわれわれは思っておりません。やはり先ほど申し上げたようなそれはかっての
国税庁長官
も同じようなことを申し上げたと思います。私も結局同じようなことを申し上げるだけであります。しかし、それは結局いかにひんぱんに収締りの度数をどうふやすか、あるいは範囲をどの
程度
に広げていくか、こういうところに私は尽きると思つております。結局奇想天外な手段があるのではなくて、むしろ根強く取締りをやっていく。それで取締りの経費につきましては、確かにわれわれももつと多額を使いたいと考えております。まあこれは予算全体との
関係
もございますので、むしろ輿村委員から、現在のわれわれの要求が少な過ぎるのじゃないか、もっとたくさん使うべきじゃないかということをおっしゃっていただくことは、実はわれわれが同じようなことを言っているわけでして、しりをたたかれた
意味
において、恐縮ですが、ある
意味
では、われわれとしては非常にありがたい御鞭撻であるというふうに思っております。
奧村又十郎
68
○奧村委員 それでは来年度の密造対策費を、ただいま国税庁は主計局へ一億八千万円要求しているそうですが、これをどうですか、五億くらいに増額して要求しませんか。
渡邊喜久造
69
○渡邊
説明
員 それにつきましては、私は今ここでもって直ちに、そうですというわけにはちょっといきかねると思っておりますが、さらに検討してみます。
横山利秋
70
○横山委員 主税
局長
がまだおいでにならぬそうですから、私の質問を次会に回したいと思います。ただ長官もそこにおられますから、
一つ
だけ強く要望しておきたいことは、きのうの問題です。機械の耐用年数の圧縮の問題ですが、先般通産
委員会
及び当
大蔵委員会
で附帯決議をし、本
会議
においても全員了承いたしました耐用年数の圧縮の問題について、聞くところによりますと、まだその作業が十分進展をしてないようであります。また聞くところによりますと、あの問題が、単に当時の機械設備の制限に関する
法律
の欠陥を補うためにのみ決議をせられたというふうに誤解を生じている向きもあるようであります。当時云々されましたのは、ただにそればかりでなく、この際根本的に耐用年数の圧縮をはかるべきである、そして今日の中小企業の機械の更新をはかることが、それ自体にとっても、あるいは機械メーカーのためにとっても、
日本
の産業全般からいって必要なことである、こういう大原則によつて一歩を打ち立てられているわけでありますから、
政府
としては院議を尊重して、すみやかにこの実施をされんことを私は要望したいのでありますが、どういうように現状なっているのでありますか、お伺いをいたしたい。
渡邊喜久造
71
○渡邊
説明
員 繊維機械の制限の法案が
国会
で
論議
されましたとき、繊維機械の耐用年数だけを特に取り上げまして、耐用年数の圧縮といったようなことが御議論されましたのは、これはやはり、私はそのときの
論議
の中心は、これによって注文が非常に減って、機械メーカーの手があく、商売ができなくなる、従いまして、せめて耐用年数を短かくすることによって、その辺から機械の発注が生まれるようにというのがやはり議論の中心ではなかったかと思っております。当時われわれとしましては、繊維機械の耐用年数を短かくするだけで、まだなかなか機械の発注には結びつかないんじゃないかというような話を申し上げたように記憶しております。ただその後の様子を見てみますと、その面は幸いにしてと申してよいだろうと思いますが、機械メーカーに最近非常に注文が殺到しているようでして、機械メーカーの方の
関係
からは、いわば当面の対策として耐用年数をどうこうしなければならぬという必要は、現在のところではまだ見られないのじやないか、かように思います。しかし耐用年数の問題を検討するということは、これはひとり繊維機械だけでもございませんが、繊維機械については特に
お話
もございましたが、まあいろいろ機械の更新をすみやかにやるという問題は、
日本
経済を立て直す上において必要な面である、これは確かに
一つ
の御議論だと思います。そんな
意味
におきまして、現在その点につきまして、いろいろ資料を集めながら検討しておりますが、何と申しましても、耐用年数という問題は、
相当
広範な範囲にわたりますものですから、現在におきましては、目下検討中であるという
程度
をまだ出ておりません。これは、主として実は主税局でやっておりますので、私の方は一応そういう話を聞いている。従いまして、その辺の進行
状況
のこまかい点につきましては、主税
局長
が出ました折に御質問願つた方がいいかと思っております。
横山利秋
72
○横山委員 長官の
お話
には大分異論がございますが、何としても主税
局長
に、やはり院議尊重の問題についてはただすべきであろうと思いますから、次会に回します。
小山長規
73
○小山
委員長
代理 それでは本日はこの
程度
にとどめまして次会は来る十一月十三午前十時から開会することとしまして、これにて散会します。 午後零時五十七分散会