○春日
委員 ただいま黒金君が
指摘されました問題は、やはり共済保険事業にかかるところの、いろいろな問題の一面を
指摘されておると思いますので、これは当然そういう問題も解決を願わなければならぬとは
考えます。けれ
ども、およそ経済立法はその関連するところ影響するところも、これは複雑多岐にわたりますが、わけて信用事業というものはさらに深遠であり、デリケートであると思うのです。こういう意味から、この立法については特に慎重を期していただかなければならず、またこの問題を経過的に
考えますときに、これはもう・数次国会にまたがって、
法律案としては審議されたことはないかと思いますが、しかしこれは、政府並びに与党、野党を通じて、政策論議として、すでに深く専門的な域にまで進んで検討をされておることを特に重視願いたいと思うのであります。と申しますのは、たとえば信用事業の中において、これを金融機関、金融事業にその例を引きますならば、金融事業の中には、たとえば銀行法がある、あるいは相互銀行法がある、あるいは信用金庫法があり、労働金庫法等がある。さらにまた国営金融として、たとえば
中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは半ば出資しておるところのその他の政府の財政投融資に待つ金融公庫もたくさんあるわけであります。ことほどさように信用事業というものは、これは非常に困難な問題であるけれ
ども、しかしこれを一本でしぼっていくとか、あるいは一本の概念を押しつけていくということが、実情に即さないということの一つの証左であろうと思うわけであります。たとえば信用金庫なんかも、これは元をただせば信用組合でしがなかった、あるいは相互銀行も無尽会社でしがなかった。しかしいろいろな事業を実施する過程において、それぞれ必要に基いて、堅実なる段階を踏んで、それぞれ法律によってこれが裏づけされてきたということを
考えまするならば、現在生活協同組香によって行われておる共済事業とか、あるいは事業協同組合法中の保険事業とか、あるいは農業協同、組合法の中における農業
関係の共済事業とか、いろいろな問題がこれはあると思います。しかしながら、現在それぞれ一応法律のバック・ボーンを持っておる。軸とするところはあるけれ
ども、しかし法律の単独的な解釈や監督をもってしては完全なる成果が上げ得られ、ず、また時に臨んで弊害を伴うてくるので何とかしょうということが、今政府並びに国会において検討されておるところの私は核心であろうと思うわけであります。そこで私は、黒金君御
指摘のごとく、地方によっては、数の中には非常に弊害を残した例もありますけれ
ども、しかし彼らがその弊害を彼らの他山の石として、よくこれを注意しなければならない例証として、みずからこれを戒めて健全に発展しつつあるというこの事実も、われわれは目をおおうてはならぬと思います。たとえば北海道における共済のごときは、先年稚内においてあのような大火がありまして、これまた数千万円の保険金の支払いの義務を負うたのでありましたが、これは完全に支払うことによって何らの弊害を残さなかった、あるいは愛知県において、福島県において、京都府において、岐阜県において、大阪府において、みなそれぞれ堅固なる発展をして、それが時には
中小企業者のため、あるいはまたそれぞれ生活協同組合の趣旨目的にかなった成果を上げておるということ等も、これは現実の問題として重視せなければならぬ。功罪これを問うならば、私は当然その功績がはなはだ大きなものであるということを、率直にこれを認めて差しつかえない問題であろうと存ずるのであります。そこで問題は、会期末に至りまして、こういう問題についての結論を得ることができず、しょせんは来国会までペンディングの問題として、休会中に検討を必要とすることではありましょうが、そのときには、この法律がどうしてこんなに何回も何回も見送られるかというこの事実をよく理解願わなければならぬ。たとえば第十九国会においても、二十二国会においても、あるいは今次国会においても、政府の意向は与党を通じて内示されましたけれ
ども、それはあまりに監督がきびし過ぎ、そのような監督法規を出されるならば、現在健全に運営されておるところのそれぞれの事業協同組合等も、これでは運営することができ得ない、現在貢献しておることも、結局大へんな後退をしなければならない。こういうようなことから全協会打っての陳情となって、遂にこれが与野党を通じての理解となり、ではもうしばらく実情をながめてみようかというようなことで立法がおくれておるのであります。言うならば、政府が
考えておるところの監督法規がきびし過ぎることが、かくのごとくにしてその立法を遷延せしめておるということを一つ考慮願わなければならぬ。銀行には銀行の監督規定があるであろう、信用金庫ならば信用金庫
程度の監督規定でいいのだが、こういうようなものは、いわば実情に即した監督規定というものを政府が
考えて臨むのでなければ、この法律はいつまでたっても立法をされることは困難であろうし、従って数の中には、それぞれの脆弱な組合があって、よって大衆にその被害をもたらす、そういうようなことも
考えられるわけであります。そういう意味において、漸を追って監督の完璧を期していく、そろして授信事業としての機能というものを充足していく、こういう
方向をとっていただきたいと思うのであります。ただわれわれが心配をいたしておりますし、のみなら、ず
指摘いたしたいことは、結局火災保険事業者団体が、自分の競争相手ができることを好ましく思わない。現実の問題として、彼らの法定しておる保険料率というものははなはだ高い。より安い料率によってその事業を行なっていくものは商売がたきとして、これに対して事業の成り立たないことのための陳情と政治運動が行われておるということはいなみがたい事実である。こういうような火災保険事業者団体というものが戦後十カ年間において膨大なる資本の蓄積を行なった。その資本の蓄積がいかにして行われたかというと、言うまでもなく、とほうもない高い料率によって大衆から収奪した。そうして払ったところの保険金というものはわずかなものであって、しかも今日不動産、動産、流動資産等を含めるならば、おそらく保険会社十八、九社によって蓄積された資本は七百五十億くらいをこえておるのではないかと思われる。こういうような保険事業のあり方というものは、当然経済政策の根本に触れる問題であり・同時に
中小企業問題、さらにはまたいろいろの災害が起きたときに、自力更生を可能ならしめるところの厚生省の政策問題として深く検討されなければならぬ。ところが火災保険会社の政治力が強力、であることのために、そういう必要にして的確なる対策が講じられないために、結局こういうような組合保険というものが、そういうようなギャップを縫って存立し得るという経済的な態勢がここにあり得るわけなんです。どうかそういうような意味合いにおきまして、今度の立法については、そういう組合保険をやろうと思えばやれる、そして現在やっておる人々が、これによってさらに背骨を入れてやっていけるという銀行、信用金瞳、あるいは労働金庫、あるいは相互銀行等の、いろいろな段階的な一つの理解を持って立法されることを強く私は要望いたしておきます。
なお金額等の問題についても、保険会社は二十万、三十万、せいぜい五十万ぐらいなら反対しない、けれ
ども百万とか三百万とかいうことだとわれわれの事業に影響を与えるから困る、こういうような猛烈な反対運動も行われておることもわれわれは
承知をいたしておりますけれ
ども、しかしながら、現在
中小企業等のどんな動産、不動産でも、十万や二十万というものはありはしません。もう貨幣の単位というものがインフレートされております現在においては、昔の常識や概念でその保険金のマキシマムを設定するということは、実情に即さない面も多々あろうと思われます。こういうような意味で、一つ東條さん並びに厚生省、それから農林省、これらの諸君に特に申し上げておきたいことは、早期に立法することは必要欠くべからざる事柄ではあるが、しかしその事業者たちがやればやっていけるという監督規定で法律の構成をされるのでなければ、これはいつまでたっても立法されはしない、よってもって弊害が生ずる面等があるが、その責任はあげて政府にあるのだ、こういうことを強く要望いたしておきます。
なお農林省の諸君に申し上げておきたいが、この問題について、山手政務次官からの連絡によりますと、農林省が強力なる反対をしておるのでなかなかできなくて、全く困ったものだということだが、農林省は、この問題を十分そしゃくしておられないのではないかと思う。与党、野党の
意見は、これは事業協同組合法中一部改正
法律案でいこうとしておるのであって、農業協同組合によってやっておるものについては、何ら拘束しないような形でとりあえずスタートしょうではないか、それでスタートして、成果が上るならば、今後さらに保険協同組合法という単独立法に将来発展的に切りかえていくというようなこともあり得るじゃないか、こういろ工合で、あなたの方の立場も十分考慮しつつこれに理解を求めておるのだが、あなたの方はなかなかかたくなにして観会心的な反対をしておるということは、河野一郎の部下としてまことにもってけしからぬと思うが、いずれにしても、あなたの方は農共済なんかちゃらんぽらんで、ほとんど保険金なんかも該当農民に支払われていないということでありますが、本
委員会において、これはずいぶん詳しく検討し、あなたの方の責任を追及したこと等もある。だから、そんな事業協同組合なんかに横やりを入れるひまがあったら、自分の方の共済組合の経理監督をもう少し完璧にされて、そうして保険金がその被害を受けた耕作農民に行くように、もう少ししっかりやられることを強く警告いたしまして、かれこれ申し述べて私は終っておきます。