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1956-05-29 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十九日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       大平 正芳君    奧村又十郎君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    福田 赳夫君       古川 丈吉君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       横川 重次君    有馬 輝武君       木原津與志君    竹谷源太郎君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    大月  高君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      谷川  宏君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      河魚 泰助君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新沢  寧君         日本専売公社理         事         (生産部長)  西山 祥二君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 五月二十五日  会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六九号)(参議院送付)  桜島の噴火降灰によるたばこ耕作被害措置に関  する請願池田清志紹介)(第二三四号)  うさぎ毛皮製品に対する物品税撤廃に関する請  願(田中織之進君紹介)(第二一三五号) 同月二十八日  貸金業高金利引下げに関する請願森三樹二  君紹介)(第二四七八号)  不渡小切手防止対策確立に関する請願森三樹  二君紹介)(第二四七九号)  小山地先海岸空地払下げ取消に関する請願(  久保田豊紹介)(第二四八一号)  中小企業財政投融資資金融資措置に関する  請願森三樹二君紹介)(第二五〇五号)  電話加入権の差押えに伴う措置に関する請願(  河野密紹介)(第二五〇九号)  中小企業者等に対する競売等に関する請願(森  三樹二君紹介)(第二五三一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  会計年度改正等に関する陳情書  (第八三〇号)  在外資産処理促進に関する陳情書  (第八三一号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  専売事業に関する件  金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  この際御報告いたします。当委員会において予備審査中の会計法の一部を改正する法律案につきましては、去る二十五日参議院において可決され、同日本院に送付されて当委員会に本付託となりましたから、御報告いたしておきます。     —————————————
  3. 松原喜之次

    松原委員長 次に請願審査小委員会設置の件についてお諮りいたします。今国会会期中当委員会審査を付託されました請願は約百二十件でございますので、これら各請願審査するため、請願審査小委員会設置することといたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお小委員並びに小委員長の選任につきましては、委員長より御指名いたすに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長におきましては追って公報をもって小委員並びに小委員長を御指名いたします。、第四十号     —————————————
  6. 松原喜之次

    松原委員長 専売事業に関する件について、質疑を許します。大平正芳君。
  7. 大平正芳

    大平委員 塩専売事業をめぐる客観情勢が相当変化したように思いますので、この機会に専売公社並びに大蔵当局の方に御注意を喚起しつつ、若干重要な点につきまして質疑を行いたいと思います。  まず生産でございます。塩の生産は皆さんの御努力で順調な推移をたどっておりますが、昭和三十年度には五十九万七千トンに達したと承わっております。今手をつけております入浜塩田流下式化計画は、今後何年間に完成させる見込みでおやりになっておるか、その流下式化が完成いたしました暁におきまして、塩田からの国内製塩は一体どのくらいになるのか、まずその数字を承わっておきたいと思います。三十一年度政府関係機関予算を拝見いたしますと、五十六万五千トンという数字が計上されておりますが、三十年度にすでにそれを上回る生産が出ておる。来年度、三十一年度は、よほどこの数字と違った数字が出てくるのではないかということを心配いたしておるの、でございますが、一体三十一年度にはどのくらいになり、完成年度にどのくらいになるかという点が第一点。  それから第三点は、最近機械製塩方面に内認可措置がとられたように承わりますが、現在まで内認可ないし内許可をいたしましたのはどこどこで、その製塩能力完成年度でどのくらいになりますか。この二つ数字を伺っておきたいと思います。
  8. 三井武夫

    三井説明員 大平委員からのお尋ねに対してお答えいたします。ただいまお話しのありましたように、従来塩田改良につきましては、各方面の御協力を得まして鋭意仕事を進めて参ったのでありますが、最近になりまして、ようやくそれが実を結びかけるような域に達したのであります。その上に、三十年度は御承知のように非常に天候に恵まれたことと、それから台風が比較的少かったというように非常にいい条件がそろいましたために、ただいまお話しのありましたように約五十九万五千トン、六十万トンに近い生産を上げることができたわけであります。終戦前には、これをこえる生産額も記録されておりまするけれども終戦後におきましては、申すまでもなく最大の記録でございます。ただこの数字は、ただいま申しまするように、いろいろないい条件が重なったのでありまして、必ずしもこのようないい条件が今後毎年続いて期待されるということは言えないのじゃないかと思いまするが、一応今後とも、お話しがありましたように、流下式転換を続けて参り、またそれと並行して、機械製塩の方も次第に稼働に入るということになりますれば、今後毎年度相当量生産増加が期待できると思うのであります。流下式転換につきましては、私どもといたしましては、一年でも早くこれを完成したいという念頭でおるわけでございまするけれども、これに対する補助金、あるいは国家資金といった点の制約もございまするので、三十一年度から始めまして数年を要する。そして、流下式転換し得るところが完全に流下式塩田となりまして、それがフルに稼動するのは、私ども予想といたしましては、昭和三十六年度ということに考えておる次第であります。  それから今年度生産の見込でございますが、本年度生産数量は、五十六万五千トンということで予算が組んであるのでございますが、これは御承知のように、本年の四月から収納価格引き下げをいたしたのでありますが、この予算では、引き下げ前のトン当り一万三千円で五十六百万五千トンという数字を組みましたの、引き下げ後のトン当り一万円をもって計算いたしますれば、約六十万トンの収納ができるという含みでこの予算が組まれてある。しかしながら、本年度の実際の生産見込みといたしましては、公社の各地方局からの見込みを集計いたしましたものは、七十三万八千トンという非常な大きい数字になっておるのでありまして、私どもの実行の上におきましては、この程度生産がありましても、十分にそれに事欠かないように処理をいたしております。しかしながら、七十三万八千トンというのは、やはり昨年と同じような天候その他の条件想定しての見込みというふうに考えておりますので、本年度天候あるいは台風状況等によりましては、その数字が減ってくる可能性もあり得るわけでございます。  それからもう一つお尋ね機械製塩でありますが、御承知のように、一昨年ごろから各地に、海水直煮の方法によりまして機械製塩をやりたいという計画が、ずいぶんだくさん出て参りまして、電気を用いましてやる方法と、それから石炭を用いましてやる方法と、この二つ方式によりまする海水直煮の製塩計画がずいぶん出て参ったのでありますが、ただいままでのところ許可をいたしましたものと、ただいま許可をする見込みでありますものと合せますると、合計八社になる。そうして各社の能力は三万五千トンということで一応取りそろえて、規模を同じにいたしてございますので、この八社の計画がすべて稼働に入りますれば、合計で二十万トン、これに公社の直営いたしておりまする小名浜の工場が一万二千トン、合計いたしまして二十一万二千トンという能力に相なる次第でございまして、機械製塩能力といたしましては、この程度のところが適当なところではないかというふうに考えまして、この八社だけを許可することにいたした次第でございます。  なお許可いたしました八社の地域的な分布を申しますると、北海道に一社、東北地方に一社、北陸に一社、九州に四社ということになりまして、電力の状況及び石炭状況考え合せ、なお従来の製塩地が主として瀬戸内海の沿岸に集中いたしておりましたために、公社といたしましては、相当遠隔の地に運びまするための輸送費を要したわけでございますが、これらの輸送費の面におきまして、相当節約が期待できるというような点を考慮いたしまして、以上の八社に限定いたしたわけでございます。
  9. 大平正芳

    大平委員 機械製塩の方はわかりましたけれども、私の質問した塩田の方の流下式が完成いたしました年度は、どのくらい生産量が見込まれるか、その点ちょっと今……。
  10. 三井武夫

    三井説明員 申しおくれましたが、三十六年度にすべての増産が完成いたしました姿を想定いたしてみますと、全体で約百十万八千トンという一応の計算に相なるのであります。総生産量は百十万八千トンという見込みをいたしております。このうちで塩田方式によるものが八十六万六千トン、そのうち流下式塩田によるものが八十五万一千トンであります。これは全国塩田のうちで、四千七百三十町歩流下式転換いたしまして、この塩田町歩当りを百八十トンとはじきまして、八十五万一千トンという生産量を見込んだのであります。そのほかに入浜式として残りまする塩田全国で三百町歩程度は想像されまするので、この三百町歩の入浜塩田に対しましては、非常に能率の悪い塩田が結局残ると考えられますので、平均町歩当り五十トンと計算して一万五千トン、合計いたしまして塩田方式による生産額は八十六万六千トンという想定をいたしております。そのほかに温泉熱を利用いたしまする製塩各地にございますが、これが合計で三万トン、それから海水直煮の機械製塩によりまするものが、ただいま申しましたように二十一万二千トン、この四つを合計いたしまして百十万八千トンという一応の想定をいたした次第でございます。
  11. 大平正芳

    大平委員 その生産量見込みは、需給計画を立てる場合にも、あるいは価格政策考える場合にも一番基礎になる数字なので、非常に大切な数字だと思いますが、一町歩当り百八十トンというようなこの想定は、去年の実績あたりから見ますとやや過小に過ぎるような感じがしますが、こういった数字基礎にして塩業政策を立てるについて、十分自信が持てる、こういうお考えなのですか、その点一つ確かめておきたい。
  12. 三井武夫

    三井説明員 御指摘がありましたように、流下式に直しました塩田生産量を一町歩当り百八十トンと計算いたました点につきましては、いろいろと御意見があろうかと思うのでありまするが、昨年度実績に基きますれば、お話しがありましたように二百トンに近い成績を上げておる。しかしながら昨年度成績は、前にも申し上げまするように、非常な好天候に恵まれました結果、でありまして、これを平年度平均的な成績といたしまするには、多少成績がよ過ぎるのではないか、かたがた全国流下式塩田平均いたしましての生産量といたしましては、やはり百八十トン程度に押えることが確実なところではないかというふうに考えまして、一応この計算には百八十トンということにいたしておるわけであります。平均を二百トンくらいに押えなければ過小に過ぎるという意見も有力でありますが、この点につきましては、なお私どもといたしましては、全国の四千数百町歩流下式平均数量といたしましては、一応現在のところは百八十トンというところを妥当と考えておるのであります。なお御参考までに申し上げますが、すでにこの流下式転換いたしました塩田でも、数年たちまして、多少その生産量が低下をし始めているような塩田も出ておるような状況でございまして、さような状況をも考えまして、一応この計画には百八十トンと押えたわけであります。
  13. 大平正芳

    大平委員 そういたしますと、その数字自信が持てるということになりますと、完成年度百十万八千トンという国内塩が確保されるわけでございます。今までの塩業政策目標は、食料塩は自国内の内地塩でまかなっていこうという大まかな目標でやってきたわけでございますが、今年度以降、さしあたって三十一年・度の塩の需給計画は、食料塩工業塩全体を通じまして一体どういう見積りでおるのか。それから三十六年度完成年度とすると、その年になりますと、今までの塩業政策目標通り内国塩で完全に食料塩を満たしきれるものか、あるいは足らぬものか余るものか、そのあたり公社の見解をちょっと聞いておきたいと思います。
  14. 三井武夫

    三井説明員 国内塩増産計画につきましては、三十六年度目標にいたしておるの、でありまするが、この三十六年度という年度目標を置きましたのは、先ほど申し上げましたように三十五年度までに一応流下式転換その他の増産計画を完成いたしまして、三十六年度において国内塩のいわばフルの生産能力が発揮できるというところを目標にいたしたのでありまするが、これと同時に、三十六年度におきましては、その生産されまする百十万トンの塩をもって、食料塩につきましては全体の需要をまかなえるという点をも計算いたしまして、三十六年度目標にいたした次第でございます。すなわち重ねて申し上げますれば、三十六年度におきまして、初めて国内塩数量をもちまして食料塩全量がまかない得られるということになるのであります。従って三十六年度に至りまするまでは、まだ三十五年度までは食料塩につきましても一部の輸入を必要とするという状況に相なるわけであります。  三十一年度予想を申し上げまするならば、大体三十一年度食料塩需要は百五万トン程度想定をいたしております。このうち先ほど申しまするように、七十三万八千トン見込み通り国内塩生産があるものといたしますれば、残るところの三十五万五千トンを輸入に待たなければならない。そのほかに約百七十五万トンの工業塩が必要でありまするが、これは申すまでもなく全量輸入に仰ぐ、こういう計画にいたしておる次第でございます。この三十一年度の三十五万五千トンという要輸入数量がだんだんと減って参りまして、三十六年度に初めてゼロになる、計画通りに参りますれば、かような結果に相なるわけでございます。
  15. 大平正芳

    大平委員 そういたしますと、完成年に大体内地塩をまかないきれるというお見込みでございますれば、もうこれからは新規塩田、あるいは機械製塩許可していくということはする必要がないことになるのでございますが、新規塩田機械製塩等の申請を押えていくという固い御決意でおられますか、その点をお聞きいたしたい。
  16. 三井武夫

    三井説明員 ただいままでに申し上げたような次第でございまして、現在確定いたしておりまする増産方策を完成いたしまするならば、食料塩全量国内塩をもって自給できるという見通しを得ましたので、ただいまお尋ねの点でございまするが、今後の製塩許可につきましては、新規許可あるいは増設の許可は押えることにいたしまして、新しい許可をいたさない。  なお、従来輸入塩でまかなっておりました食料塩の各種の需要につきましては、今後は生産がだんだんと増加して参ります国内塩転換して参ることが必要となってきますので、その点につきましての各方面の御協力を期待いたしたい、かような趣旨の公社総裁談話を過日発表いたしまして、今後の方針を明確にいたしました次第でございます。
  17. 大平正芳

    大平委員 それでは、生産方面はその程度にいたしまして、今度は価格政策の方を若干伺いたいと思います。このように内地塩がだんだん増産されてくることは、一面非常にけっこうでございますが、これは一万三千円もの高い塩でございまして、塩会計バランスから申しまして、相当大きな脅威になってくることはわかり切ったことだと思うのでありますが、輸入塩を解決する方式といたしましては、まず賠償価格を下げる方向にいくか、売価を上げる方向にいくか、二者択一の方法し  かないと思うのでありますが、ことしの予算書を見ましても、五十六万五千トンに一万三千六百円をかけて内地塩賠償価格を出して、価格政策基礎にしておりますが、三十一年度は、順調にいけば七十三万トンも出てくると一いうことになりますと、もうすでに予算執行の当初から脅威が全面的に現われてきているように思うわけでございます。四月一日に一万三千六百円を一万三千円に下げられたということでございますが、この程度下げ方では、とてもバランスがとれないのではないかという心配が一面するわけでございます。しかし塩業者にしてみれば、せっかく流下式転換をするために、膨大な資金を借り入れて、その償却と金利負担に今あえいでいるときなので、これを塩会計の都合からバランスをとるために一気に下げていくことは、非常に困難であるということになりまするし、塩の売り値を上げていくなんということは、客観情勢からいって不可能なことではないかと思うのでございます。輸入塩内地塩より割安の程度があまりひど過ぎますので、とてもそういうことは実施の点で困難、であろうと思うのであります。してみれば、救済の方法、対処の方法としては、結局塩の会計バランスを財政的にどうとるかということが大蔵当局の課題になってくるのではなかろうかと思うのであります。もっとも戦時中にいたしまして、戦後にいたしましても、一博バランスが破れたときがありました。−毎会計年度においてバランスがとれておったという実績でもないようでございますが、こういう情勢転換に即応いたしまして、専売公社としては完成年度見通しも立ったということでございますし、需給計画も、塩の需給でございますから、大体安定したものでございますので、どういう方法で今から考えていくのか、価格をどのように考えていくかという点のお見通しを聞くと同時に、大蔵当局として、この際塩会計の、バランスというものに固執いたしておりますと、どうしても無理がいくわけでございますから、財政的に、一定の期間はこうしてこれはカバーするのだというような御計画がないと、そろそろもう困る段階じゃないかと思いますので、公社の方の今後の販売売価決定のお見通し、これに対する大蔵当局のお考え方、これをあわせてこの際伺っておきたいと思います。
  18. 三井武夫

    三井説明員 ただいままでに御説明いたしました増産計画に伴いましての公社といたしましての最大の難問題は、今後の価格の点なのでございます。再々申しますように、国内塩をもって食料塩全量を自給したいということは、申すまでもなく公社の従来一貫して踏襲して参りました方針でありますが、しかしその方針の中には、ただ食料塩を自給するというだけの意味ではなしに、やはりできるだけ安い食料塩を供給したい、増産によりまして生産費を下げまして、従来よりは安い食料塩を、できるならば現在の輸入塩にも対抗できるようなところまで引き下げた安い価格での食料塩を供給いたしたい、かように考えておるのであります。従いまして、今後増産の効果の上りますに従いまして、公社といたしましては、できるだけ収納価格引き下げまして、安い食料塩を供給できるもとを作らなければならないという考えでありますが、さしあたり、現在の収納価格は一万三千円でありますけれども公社といたしましての目標といたしましては、これを何とか一万円以下に引き下げたいというふうに考えておるの、であります。塩田方式改良し、また煎熬方式をできるだけ合理化いたしました暁には、ただいま申し上げましたこの一万円以下という収納価格目標は、十分達成できるのではないかと考えておりますので、公社といたしましては、今後できるだけこの目標に向いまして努力いたして参りたいという考えでありますが、しかしこの価格引き下げにつきましては、生産を担当いたします塩業者の立場からいたしますれば、もちろん非常に大きな利害関係があるのでありますし、ことに私どもの一番苦慮いたしておりますところは、塩業者塩田改良のために非常に大きな負債を背負っておるのであります。ことにその負債相当部分は、国家資金をもってまかなわれておるのでありまして、この国家資金を初めとする多額の負債を次第に償還して参らなければならぬ。その負債の償還に支障がない範囲におきまして、今後収納価格をできるだけ引き下げるように努力いたしたいというふうに考えておるのであります。一応引き下げ目標といたしましては、一万円以下というところに目標を置いておるわけでございます。この収納価格を、今申しまするように一万円に下げて参りますに従って、できますならば売り渡し価格の方も下げて参る。しかし塩の会計といたしましてその際非常に困難がありまするのは、現在の塩の会計は、安い外国塩食料関係でも輸入することによって均衡を得ておりまするので、その安い外国塩輸入が減るに従いまして、収納価格引き下げましたとは申しましても、なお一万円という高い国内塩収納がふえて参りまして、なかなか塩の会計均衡を保つことはむずかしいのでありますが、その均衡のとれる範囲におきまして、売り渡し価格の方も引き下げて参りたい。特に業務用の塩につきまして、できるならば売り渡し価格を下げて参りたい。と申しますのは、これらの業務用には、現在相当外国塩が使われておるのであります。これを今後国内塩に振りかえてもらうためには、何とか少しでも値段を安くして、国内塩を使いやすくするようにし  て参らなければならぬというような点も考えまして、できるだけ主として業務用の塩の売り渡し価格引き下げることに努力して参りたい。そういたしまして、塩会計均衡を保持するということが究極の目的でありまするから、三十六年度目標を達成する経過期・間におきましては、この塩会計の赤字を出さないようなやりくりという、、ことについては、公社としてはいろいろと知恵をしぼっておるのでありますけれども、なかなかむずかしいのでありまして、その辺は大蔵省に対しましても多少のしんしゃくをしてもらいたいという要望を続けておるのであります。なおこの点は大蔵省当局とも十分に相談いたしまして、今後の価格の問題を慎重に考えなければならぬというふうに考えておる次第であります。どうしても収支の均衡を保持しなければならぬということになりますると、少くとも一部の売り渡し価格の引き上げというよろなことに相なって参らなければならないことになるのでありますから、この点は、御指摘もありましたようになかなか影響の大きい問題であります。私どもといたしまして、今にわかに売り渡し価格の引き上げを考えるということはできるだけ避けなければならぬというふうに存じておる次第でございます。
  19. 大月高

    ○大月政府委員 ただいまの国内塩増産に伴いまして塩の会計をどろ考えるかというお話でございますが、ただいま塩脳部長お話しになりましたように、将来この流下式転換が完了いたしますれば、コストも下ることでありますし、収納価格は次第に低減し得る、その目標は、とりあえず一万円見当を考えておるわけでございます。そういたしまして、売り渡し価格につきましては、これを引き上げることは適当でない、できるだけ会計の許す範囲におきまして引き下げることが適当だと考えておるわけでございます。  そういうことができるかということでございますが、転換を完了いたしますれば、輸入塩というものはございませんが、それまでの間少しずつ輸入塩が入って参る、そういう輸入塩国内塩との価格を調整し、次第に国内塩収納価格を下げていく。こういうような点を彼此勘案いたしまして、塩の会計にできるだけ負担を生じないように、しかも収納価格を下げて参りまして売り渡し価格はできるだけ上げない、できれば少し下げていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  20. 大平正芳

    大平委員 見通しとしてはそういうことになるのですけれども、私が先ほど申しましたように、生産の事情並びに需給の事情は一応はっきりしてきたので、三十六年度完成年度になるのだ。それから塩の需給、特に食糧塩の需給そのものは、毎年大きな変化がないということになれば、この経過期間は相当計画が立つのじゃないか。従って年次計画を立てられて、生産業者の方も販売業者の方も、将来に対する確たる見通しを持ってコストを下げるのに努力していくことになるわけでございまして、一万三千六百円から一万三千円に下った。しかしいつこれが幾らになるのか毎日非常に不安にさらされている。従って計画化ということはなかなかむずかしいけれども、塩の事業につきましては比較的計画が立てやすく、実行性のある計画が立てられると思うのでありまして、願わくは大蔵省並びに専売公社において、この数年間の確たる見通しを立てて天下に公示されて、みんなが安心して塩業に励むことができるようにぜひお願いしたい。非常に困難な仕事であれば要求いたしませんけれども、これは比較的やりやすいことだと思いますから、その点一つ要望しておきたいと思います。  最後に、今巷間の一部に伝えられております輸入塩の自己輸入という問題がございます。これはメーカーの採算から申しますと、自己輸入した方が専売会計でプールされるよりは得なことはわかりきつたことでございます。一部に強く要望されておるように聞いておりますが、われわれこの問題を考える場合に、一部商社の採算だけから考えてやってはいかぬと思う。これは塩の生産価格政策全体から見ていかないといかぬと思いまするし、またかねてわれわれが終戦後外国貿易で非常に辛酸をなめたのは、日本の商社があまり小さく分解されて、外商に適当にほんろうされたということが致命的欠陥であったと思うのであります。今せっかく専売公社が一本の独占的なバイヤー、として世界市場・に出ておるのに、これが数社に分れて国内的な競争をやるということになりますると、日本の得にならぬで、外国に適当にあやつられていくことになる。私が自己輸入をやるなと言うのは、そういう意味からいいまして、国全体からは損になるんじゃないかと思うからであります。だから、専売公社の手で一手に買い付けるという鉄則はどうしても守り切らないと、非常に日本の不利益になると思う。国内においてそれをどの程度に払い下げていくか、ソーダ工業その他の工業をどう保護し奨励していくかという問題は、これはまた別な産業政策の問題になるわけでございますので、自己輸入が得だからどんどんやるんだというようなことになりますと、私は塩業政策全体が根底からくずれると思う。だから、この点は大蔵当局公社もよほどしゃんとして、今までの購入のルートは確保していただきたい、非常な決意でもってやってもらいたい。産業政策上の考慮は、塩の会計との関連におきまして大蔵当局において産業上考慮しなければならぬような状態にあるのならば、これは財政政策、産業政策としてやってもらうのはけっこうでございますけれども、自己輸入というような便法で塩の事業全体を根底からくずしてしまうような形に持っていかれると、非常に危険でござい・ますので、その点は十分御留意願いまして、遺憾ないように一つお願いいたしたいと思います。  それから、先ほど申しましたように、計画を立てられて天下に公表されて、みんながその目標に向って安心して一生懸命にやれるような状態をできるだけ早く作っていただきたい。非常に不安にさらされているのが現状でございますので、そういったことのないようにとくと御注意願いたいということを申し上げておきます。
  21. 松原喜之次

  22. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 わが国のたばこ専売事業は、年女非常に発達して参りまして、毎年大体二千二百億に上る国庫収入をあげておるようであり、なお葉タバコを外国にまで輸出をしておる。このように国家財政並びに国際収支に寄与いたしておるのでありまして、この間における専売公社の努力に対しては敬意一を表するのでありますが、このタバコたるや、人間の嗜好も日新月歩しますし、また病虫害対策、あるいは耕作の方法、品種の改良、その他試験研究、品質の向上等を怠ってはならないのであります。これがために、専売公社では、全国に五カ所の国立たばこ試験場を持っており、それぞれ試験研究をしておるのであります。ところが関東以西と違いまして東北地方は、特殊の風土を持っており、最近では耕作面積が一万四千町歩をこえるような盛況でございます。そこで地元の耕作者は、栽培法の改善なり品種の改良のために、ぜひ国立の総合試験場がほしいという要望を多年持っておったのであります。しかしながら東北各六県が試験場の奪い合いをすのではいかぬというので、昭和二十八年に、福島県を除いた東北五県の耕作者の団体長会議でもって、どこか、一カ所にわれわれの意見を決定しようじゃないかというので、相談の結果、まず耕作地の中心地、でありまする宮域県に置くことが妥当であるという決議をし、これに対しましては、一大生産地であります福島県の耕作者も了承を与えており、そうして今日まで一運動を続けてきておるのであります。このような情勢にあります東北地方におけるたばこ試験場の設置の問題について、その後どのように進行しておるか、専売公社の事情を承わりたいと思います。
  23. 西山祥二

    ○西山説明員 お答えいたしいます。今日国内における葉タバコの生産面積は、全国におきまして七万五千八百余町歩に達しております。しこうしてその極数を大別いたしますと、従来から国内に生産せられます在来種と申しております種類と、アメリカより入りました黄色種、さらにバーレー棟、この三種類に分れておるのでございます。しかしてこれが技術の改善、普及のために設けておりますタバコの試験場は、ただいまお話しのございましたごとく、全国におきまして五カ所でありまして、その設置いたしました地区は関東以西に限られておるのでございます。しかるに最近、ことに戦後、東北地方における葉タバコの生産が急激に増進いたしました。しかもその栽培技術なり耕作方法の改善につきましては、なお今後多く研究努力をいたす必要を痛感いたしておりますので、新たに東北地方にタバコの試験場を設置いたしたいという考えを数年来持って参っておるのであります。幸いにいたしまして、本年の予算上その設置を認めらまして、一部所要経費の御承認を得たのでありますが、われわれが当面必要といたしております試験研究の主目標は、ただいま申し上げましたバーレー穂と称する新しいタバコの種類を対象と考えておるのであります。それの理由といたしましては、最近製品たばこの売れ行きが、御承知のごとく中、下級、品に片寄りまし、て従まして、これに必要なる原料葉タバコもできる限り値段も低廉であり、しかも製品の品質を著しく損傷することのないことが条件考えられるのであります。  バーレー種と申します。種類は昭和十三年以来、東北の二部において耕作せられて参ったのでありますが、遺憾ながらいまだ品質の面におきまして、またその重量の面におきましても十分満足すべき程度に達しておりませんの、で年々反別はきわめて面積が限られておったのでありますが、この製品たばこの最近の変化に呼応いたしまして、また一面におきましては、水戸の試験場におきまして数年来バーレン種の試験を継続いたして参っておるのでありますが、幸いにして格好な新しい品種の育成に成功いたしまして、これを産地に導入いたしましたところ、その結果は見るべきものがございますので、この際このバーレ一種を飛躍的に増産いたしまして、現下の原料需給に間に合わしたいと考えておるのであります。このバーレー三種は、今日岩手県を主体といたしまして、青森、秋田の三県下において千五百町歩を作付いたしおります。なかんずく岩手県が九百二十五町歩という大半を占めておるのでありますが、なお今後われわれの計、画といたしましては、さらに一千町歩の増反を予定いたしております。かような状決から、このバーレー種を主体といたしまする試験場を、まず当面の必要に迫られまして、設置いたすことに最近決定をいたしたのであります。  しかして試験場の設置条件といたしましては、第一には、この種類の栽培に最も、適しておる地域の中心でなければならないという点と、いま一つは、その試験場の試験の成績、あるいは技術を面接産地の農家が取り入れまして、技術の改善に利用し得る範囲であることが望ましいと考えるのであります。かような考え方から、このバーレー王種を対象といたします試験場を岩手県の盛岡市の周辺に設置いたすことに、最近決定をいたした次第であります。
  24. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 最近非常に需要の多くなったバーレー種を試験研究するための試験場を盛岡に設置しようというお考えのようでありますが、これは大へんけっこうなことであろうと思います。しこうして今一千五百町歩の耕作面積を将来一千町歩もっとふやしたい、すなわち二千五百町歩にしたい、これも機宜の措置であると考えるのであります。しかし現在東北全体の一割にすぎないのがバーレー種である。大体九〇%はいわゆる第三在来種という種類でありまして、これが輸出にも向けられるし、また関東以西と違った気候風士の東北地方といたしまして、これに対する試験研究が十分なされておらない。こういう観点からいたしますと、バーレー種の研究もさることながら、大部分の生産を背負って曲る第二在来種の試験を怠ってはならないと考える。こういう趣旨から、地元の耕作者も、長年にわたってこの試験場の設置を要望して参ったわけ、であります。盛岡のバーレー種の試験場を設置することはけっこうでございますが、その他の品種につきまして、東北全体の総合的試験をする試験場の設置について、専売局はどう考えておるか、盛岡のバーレ一種の試験場・は試験場といたしまして総合的試験場についてはどのような計画を持っておるか。  またもう一つ、今度盛岡に設置せんとする試験場のその予算全体の総経費は幾らであるか、あるいは何カ年にこれを完成する見込みであるか、また試験場に使う耕作する畑の面積はいかほどを予定しておるか、これも伺いたいと用心います。
  25. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいまお尋ねのございました第二在来種に対する試験場・の設置の問題につきましては、御意見のごとく、われわれもその必要を痛感いたしておるのであります。でき得る・限り早い機会におきまして、その試験場を設置いたしたいと考えておるのでありますが、当面必要に迫られまして、バーレー種の試験場を盛岡に設けます以外に、この在来種の試験場をいずこの地に設けるかということにつきましては、まだ予算見通しが立っておりませんので、確たる御答弁を申し上げ、かねるのでございますが、考え方とい、たしましては、東北六県を含めまして、第三在来種の主産地であり、大産地、先進産地である福島県を対象といたしますか、あるいはまた全地域の中心であり、また総合国立大学の設けられております宮城県を対象といたします一か、種々の角度より検討する必要があろうかと考えておる次第であります。  次に、今回予算を御承認いただきました東北試験場の予算の内訳でございますが、土地購入費として七千数百万円が認められておるの、でございます。しかしながら現地を調査いたしましたところによりますれば、現在農林省の東北農事試験場の構内の用地を一部譲り受けをいたすことによりまして、最も条件に適した地域を獲得できると考えますので、今後その折衝を重ねまして、幸いにしてわれわれの希望がいれられますならば、比較的安価に、総額一においても僅少の予算をもって用地の、購入をなし得るのではないかと考えております。従いまして、その残余をもちましてでき得る限り建物その他の設備に充てるつもりでございますので、将来の見通しにつきましては、現段階において、はっきりしたお答えを申しかねる次第でございます。なお作付の畑につき・ましては、大よそ五町歩を予定いたしております。それ以外に建物その他の用地のために一町歩計画いたしておる次第であります。
  26. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 試験場設置の総額の予算がまだきまらないということでありますが、そうすると、これは、専売局の予算のうちに施設費という項目があります。二十六億計上してありますが、それから今の七千数百万円を支出するのであるかどうか。また五町歩の試験地並びに二町歩の建物の敷地が必要である、七町歩でああるというのでありますが、あの辺は原野か畑でありますから、一反歩十万円と踏んでも七町歩、。七百万円、あと約七千万円の予算があるのでありますが、それで建物なりあるいは機械なり、そういう設備一切ができるのであるかどうか、、これをお伺いしたい。
  27. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいまお尋ねの点、でございますが、敷地の購入の実際の模様が判明いたしませんので、的確なる計画を今日立て得ない現状でございます。しかしながら、お話しのごとく安価にこれを入手し得ますれば、相当部分の施設は本年度分でこれをまかない得るのではないかと考えております。
  28. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 どうも、試験場を設置するのに、全体の計画予算、総工費か何ぼかわからぬというようなずさんな計画をやっておる。あるいは、手元にちゃんと案を持っておるが、ここで発表するのは差しつかえがあるというのですか、どうですか。大体見積りは持っていなければならぬし、また持っておるはずだと思う。どういうわけでこれは言えないのですか。
  29. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいまお尋ねのございました計画の総体的な見通しでございますが、本年国会に要請いたしました額は七千数百万円でございますが、われわれの現在予定いたしております腹づもりといたしましては、これを三カ年間をもって完成いたしたい。従いまして、明年度におきましても、でき得ればなお今年度と同額程度予算を御承認いただきたいと考えておる次第であります。
  30. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今全国に五つのタバコの試験場があるようでありますが、それらの試験場の試験地は大体十町歩前後、あるいは五町歩のところもある。宇都宮は非常に広くて六十何町歩あるが、これは終戦後の食糧難の時代に、そこでタバコ以外のいろいろな食糧作物などを作って、専売職員の厚生施設にも当てたということで、これは例外、である。大体五町歩ないし十町歩が、国立タバコ試験場の地域であるようであります。今回盛岡に設置せんとするこの試験場は、すでに七町歩ぐらい買うということであるが、そうすると、総合的な試験場と同格の試験場を持つことになるのである。ここに問題があるのであって、東北に総合試験・場を作りたいといいながら、この盛岡に作るバーレー三種の試験場をもってこの東北の総合試験場というもののかわりにしようという腹があるのではないかと、地方の耕作者は疑っておるわけであります。むろん今バーレー種が緊急の試験の必要があることは、われわれも認めるのでありますが、これは寒い地域の、そうし、て品質の悪いものであって、生活向上、嗜好の増進等によって、これはまたいつとだえてしまうかもしれない。昔東北地方にバーレー種を盛んに作らせたが、売れなくなって今度は在来種に変えたのであります。盛岡、岩手、青森、秋田というようなところで作っておるが、これはまた要らなくなる時代がくるかもしれない。そのような将来不安定な品種の試験のために、ほとんど総合試験場らしいものを持っていくということは、どうも適当、でないのではないか。岩手、青森、秋田等は寒冷地帯のために、従来の在来種等の試験地としても不適当である。そうなってくると、どうしても岩手県の南部以南に東北全体の在来種その他の・品種の試験場を作らなければならぬのであって、そうなりますと、バーレー種だけの試験場ができて、東北の九〇%の耕作面積を占めるところの在来種に対する試験場は、将来設置されないという危険が生じてくる。これを非常に、心配しておるわけなんです。今総合試験場についても好意を持って研究はしておるというような答弁がありましたが、これはどうも一時のがれと思わざるを得ない。とうてい盛岡試験場では東北全体のタバコの品種の試験は不可能であって、こういう点からいいまして、どうも第三在来種の東北地方における研究は放任されるのではないかという非常な心配を持っておるわけであります。そういうわけであるから、この盛岡の費用は一億五千万円、あるいは三億円というような金は要らないと思う。よろしくそのような金がありますならば、その半額くらいを、すでに東北全体の総合試験場を作る方向へ本年度から予算を持っていってはどうか。それまでの熱意を示す気持がないかどうか、それを承わりたいと思うのであります。
  31. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま御指摘のございました、従来公社のタバコ試験場の試験圃地の面積が一町歩ないし二町歩の僅少であるという点につきましては、全くその通りでございます。これは従来、専売局当時以来の考えといたしまして、タバコを作付いたしますの、は三年に一回の程度、でありますので、これに必要な面積を全部公社が最初から所有いたすということは不経済である。従って、大部分は農家よりその必要の年次にこれを悟り入れすればいいという考えのもとに、畑の面積は僅少であったのでございます。しかしながら、実際誠験をいたしますのには、その前作の肥料その他の事情等もございまして、ぜひとも完全に自己の所有である畑を誠験の用に供しなければ、確実な成績を収めることができません。従いまして、最近に至りまして、必要なる試験圃地は全部公社の所有にいたすという方針のもとに進めておるわけ、であります。従い「まして、戦後の宇都宮の試験場、あるいはまた今回の東北の試験場におきましても、従来に比べますと相当広い面積の画地を用意いたすつもりでございます。  次に、今後の第二在来種を主体といたします試験場の設置につきましては、われわれれも鋭意その実現を努力いたす決心でございます。ことに試験場の設置場所は、最初申し上げましたごとく、いろいろな観点から最も適したところに設けるのが当然、でありますので、今回設けましたバーレーの試験場とは別個にこれを考えていくつもりでございます。
  32. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 もう一つ私の、質問を落したのですが、盛岡に設置せんとする試験場でもって、東北総合試験場・のかわりにしようというのじゃないかという点と、盛岡に作りましても、それはバー  レー種の試験場であって、第二在来種の試験につきましては、今後熱意を持って専売局、でこれを予算化し、実現をされるという意気込みを持っておられるかどうか、その点についてもっと明確な答弁をお願いしたい。
  33. 西山祥二

    ○西山説明員 ただいま、お尋ねのござました第一点、盛岡のタバコ試験場はバーレー工種を試験目的とする試験場でございまして、第二在来種につきましては、他の適当なる地域に早急にこれが試験場の設置をはかりまして、産地全体の要望、生産成績の向上に努める決心でございます。
  34. 松原喜之次

    松原委員長 次に金融に関する件に一ついて質疑を許します。黒金泰美君。
  35. 黒金泰美

    ○黒金委員 いわゆる組合保険についてお尋ねしたいと思いますが、ことしは非常に不仕合せな年、でありまして、能代の大火を初めとして、あるいは福井県の常葉町、福井県の芦原温泉、あるいはまた下館、八戸、函館、小樽、留萌、いろいろな土地でもって相当の大火が起こっております。たとえばこの際における保険の支払い状況を能代について見ますると、保険会社でお支払いになったのは、これは被害後七日目にほとんど全額が支払われております。ところがいわゆる組合保険について見ますると、あるいはもうお払いになったのかもしれませんが、秋田県共済商工協同組合、あるいは日本社会保障協会事北総局秋田支局、これは未払いでございます。また能代山本地区消費生活協同組合、これも未払いでございます。おそらくこの両者は、通産、省あるいは厚生省の管轄下にあり、御監督を受けておる組合であろうと思いますが、このように、非常に局地的な組合におきましては相当多額の支払い予定額が払えずにおるような次第です。全国的な組合におきましてはこれと違って、たとえば全国タバコ販売生活協同組合能代支部、日本地業生活協同組合能代支部、全国酒販売生活協同組合秋田支部、こういったのはお払いになっておるのでありますが、このような局地的な組合の未払いが非常に多いのであります。なおほかの大火について例を拾いましても、枚挙にいとまがないような次第でございます。そこで、この問題について承わってみたいと思うのでありますが、いわゆる保険の事業と非常に地域が違う、あるいは保険の料率、あるいは保険金とのその相関関係、あるいはその積み金の運用方法、こう一いった問題につきましては非常に相違がありますので、この共済事業というものが保険事業で。あるかどうかということは非常にむずかしい問題であろうと思います。またこの共済の内容につきましても、一品十万円ずつお見舞金の程度に出すとかいうような、ほんとうの共済的なものもございましょうしあるいはまた実態につきましていろいろな相違がありましょうから、これは一がいに判定を下すことはむずかしいかと思いますけれども、何か実態から見ますと、保険事業とほとん  ど違っていない。違っていないものが、一方は保険業法の非常に厳重な監督を受けて、一方は、そう言っては失礼でありますが、野放しに近い状況になっている。ここに私どもは非常におかしい感じを持ち、またその結果といたしまして、このような非常におかしな、住民の方に非常に迷惑をかける結果が出てきておる。これでは困るのじ、ないかと思ってお尋ねする次第であります。  まず大蔵省に伺いたいと思いますが、この共済事業、いわゆる組合保険といわれておりますのは、保険業法でいっておる保険事業とどこがどう違うのか。何かその取締り監督規定で、これだけの相違がつくだけの実態の相違があるのかどうか、これをまず承わりたいと思います。
  36. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答えいたします。協同組合法によりまして共済事業として憎んでおりますものと、保険業法によりまして大蔵大臣の免許を受けて保険事業として営んでおるものとの区別の問題でございますが、これは保険の専門の学者の意見によりましても、非常にむずかしい問題であるということになっておりますし、また私どもも法制局、あるいは法務省ともいろいろ相談をしておるわけでございますが、どこに線を引くかということは非常にむずかしい。しかしながら大蔵省といたしましては、保険業法の第一条にいうところの保険事業というものと実態が非常に似通っておる、こういう協同組合法による災害共済事業、あるいは法律に基かない各種の類似保険というものにつきましては十分なる注意を払いまして、関係各省ともいろいろ御相談申し上げまして、できるならば保険業法の特別としての法律を作りまして、何らかの規制を講ずる必要があるのじゃないかということで進んで参ったわけでございます。しかしながら今申したように、共済か保険かという点の区別がなかなかむずかしいということからいたしまして、われわれが考えておる目的が達せられないわけでございますが、今お尋ねの点につきまして私ども考えております非常に大きい違いといいますと、片方の火災共済というものは、原則といたしましてその対象が特定の人に限られる。保険業法による保険事業の場合には、対象がすべて不特定なものであるという点、また第二には、現在の火災共済事業の中には、共済金の金額が相当大きなものもございますが、原則としては非常に小さいものである。保険業法の保険事業の場合には、それがある程度無制限であるというようなことが建前としては言われておりますが、しかしながら実態といたしましては、各種の類似保険及び火災共済事業の内容を個々に見ますと、保険業法による保険事業とほとんど違わないと見ても差しつかえないようなものも中にありますので、それらの点を十分考えまして検討をいたしてみたいと考えております。
  37. 黒金泰美

    ○黒金委員 今お話しになりました点で、多少の相違はあるように伺うのでありますが、同時に、正直に申して、危険率の算定もろくにできていない、保険料率と保険金との間の十分な計算もできていないという点から見まして、私は、保険というようなものにま、で至っていない、保険以前のものじゃないかと思うのでございます。しかし実際問題といたしまして、実際の作用において非常に保険に類似しておる、ここまでは私は言えるだろうと思うのであります。そこで、こういうものを、野放しといってははなはだ失礼でございますけれども、だいぶ金額が少いからといって、監督規定がほとんどない、能代の大火のあとで、厚生省と通産省でありましたかがあわてて通達をお出しになっておるよう、でありますけれども、これが果して実行できるものかどうか、私どもは非常に疑わしく思うのであります。そこで厚生省にお尋ねをいたしたいと思いますが、能代の山本地区消費生活協同組合、これは契約の口数が千品でありまして、契約人数が二百八十人、五千万の支払額がありながら、未払いになっています。これはいまだに未払いでございましょうか。同時に、第二の質問は、こういった地区的な協同組合も相当多いと思いますが、これについて、能代の場合にこりて一斉調査をなさったことがあるのかどうか。最後に承わりたいのは、このような通牒だけで、将来監督が十分にいくとお考えになっておるかどうか。この三点についてお答えを願いたいと思います。
  38. 河角泰助

    河魚説明員 お答え申し上げます。問題になりました能代山本地区消費生活協同組合でありますが、元来生活協同組合、共済組合にはいろいろ型があると黒金さんも申しておられましたけれども、この組合は、大体能代地方の勤労者を基盤とした生活協同組合でありまして、一般の供給事業あるいは理髪業に合せまして、火災共済事業を行なっておるのでございます。その行い方は、いわゆる事後徴収と申しまして、事故が発生したつど見舞金相当額を品数に応じて幾らということでやっております。従いまして、一般の共済事業とはちょっと性格が変っております。私どもも、御指摘のように、地区のこういった組合についての危険性は十分認識しておりまして、非常にしばしば都道府県知事を通じて概況をとるのでございますが、こういった組合が事後徴収であるという点と、それから免責条項と申しまして、こういった組合の習いとして、一般に大火が起きた場合には、当然支払い不能になるということで、組合自身、一定の要件が備わった大火が起きた場合には、十分の一まで共済給付金を減額できるという規定が設けてございます。そういう点から、大火が発生いたします前に秋田県知事からとりました報告では、あそこには能代山本地区協同組合と、いま一つ能代地区協同組合の二つがあったのでございますが、一つについては解散の処分をした、山本地区協同組合につきましては、今言った点で、、安定性を認めたというわけで処置をしなかった、その結果、今度の大火に見舞われたという事情がございます。現在五千万円の給付負担額を出しておりますが、これは当然その組合の支払い能力から申して無理でございますので、十分の一減額の免責条項を発動いたしまして、それによって処理していくということにいたしております。それの処理ができるまでは一応停止というような形になっておると思います。  それから第二には、こういった地域の生活協同組合の火災共済事業に対する監督態勢というような点についての御質問かと思います。確かにその特殊性にかんがみて、非常に危険な事業でございまするので、厚生省といたしましては、加入者の保護というものに力を尽しまして、最初ほとんど野放しでございました生活協同組合法の一部を  一昨年改正いたしまして、一般的な監督規定の整備強化を行なったわけでございます。  具体的に申し上げますと、まず厚生省の告示によりまして、共済金の最高限度を、共済事故一件に対して二十万円ときめてございます。これは、厚生大臣が必要と認めた場合には、限度外許可をいたすことがあるわけでございまして、そのつど許可いたすわけでございます。それからなお組合の規約その他について非常に不備な点がありますので、模範定款例というものを厚生省できめ、都道府県に指導いたしまして、これは一般の組合事業についてでございますが、特に共済事業については、必要な諸規定を極力定款に明記させる方法をとっております。それから消費生活協同組合の共済事業のために、特に財務処理規則というものを省令で作りまして、これは法律の委任によって作ったのでございますが、それ一によって責任準備金あるいは未経過共済掛金の積み立て、余裕金の運用方法等といったようなものを規制している次第でございます。さらに、最も問題の多いと考えられます地域の生活協同組合の火災共済事業につきましては、昭和三十年三月に認可基準というものを設定いたしまして、経営的基礎に関する基準をだいぶしぼっております。それによって、三十年三月以降は厳重な審査をいたしております。この基準ができましてから認可いたしました火災共済事業を行う生活協同組合の数は、たしか四つか五つだと思います。
  39. 黒金泰美

    ○黒金委員 一斉の調査はやりましたか。
  40. 河角泰助

    河魚説明員 これは都道府県を通じまして、資産表、事業報告書を提出させるようにいたしております。
  41. 黒金泰美

    ○黒金委員 今、いろいろやっていらっしゃるというのでありますが、その監督が実際に行き届いているのかどうか、私は非常に疑わしいと思うのであります。同時にまた、こういう非常に狭い範囲で作っておるということ自体に非常な欠陥があるのではないかと考えている次第でございます。  次に、通産省に承わりたいと思います。秋田県共済商工協同組合、同じく日本社会保障協会東北総局秋田支局というものも通産省の御管轄のように書いてありますが、これは誤まりであったならば、初めの方だけでもけっこうでありますが、これも未払いでございます。いまだに、未払いでありましょうか。それから、これに対してこういう状態でいいとお考えになっておるのか、どういう手段を講じておられるのか。また各地にいろいろと商工協同組合で共済事業をやっているところがありますが、この各地区的なものについて、厳重な御監督を省自体としておやりになったことがあるかどうか、これを一つ承わりたい。
  42. 秋山武夫

    ○秋山説明員 能代市の火災保険に関係のございます私どもの所管のものは、秋田県の協同組合だけでございます。先生の御指摘のように、あとのものは私どもの管轄ではないのでございます。  まことに残念でございますが、ただいま保険金の支払いは済んでおりません。私どもの方の火災保険の共済組合の場合には、少し事情が違いまして、県との間に一応の損失補償契約がございます。秋田県の場合は年額一千万円でございます。能代市の大火が起りました当時、ごくわずかでございますが、ございました余裕金は、すでにもう支払い済みでございますが、県との補償契約が履行されませんために、いませんために、いまだに支払いができないというような状態でございます。実は第二の御質問にも関連をいたしますが、私どもの方の保険共済組合というものは、生活協同組合の場合とはちょっと事情が違います。いわば自然発生的と申しますか、戦後数年たちましてから、非常に火災保険料率が高かった時代に、お互いで申し合せて作ったというようなもので、当時は協同組合が定款認証によって設立できる時代でございまして、監督規定等も、必ずしも十分でございませんでしたので、かなり危い組合もできたような事情もございました。しかしその後昨年の改正によりまして、組合の設立は認可制になりましたわけであります。その以後はそういう類のものは全然設立されておりません。従って現在の問題は、従来から定款認証制時代に作られておった古い組合の問題についてのものでございます。秋田の共済組合の場合も同様でございまして、組合自体の基礎を申しますれば、設立後必ずしも不健全な経営をせられておったとは私ども思っておりませんけれども、場所が場所であり、また秋田県と申しますけれども、実際上かなり契約者の範囲が集中しておるということがああいう結果を起したと見ておるわけであります。確かに保険金額とその後の組合経理、ことに準備金の積み立て方法等を見ますと、必ずしも十分でなかった点はございますが、一方、実は先ほど申し上げましたように、こういう自然発生的にできました組合でありまして、もちろん保険制度というものについての理解の程度もはなはだ低い人たちでございましたから、いずれかといえば、どうも事故が起ることを予想しないで、高い保険料を払うのはつまらないというような比較的簡単な動機から作られておったように思うわけであります。私どもといたしましては、一昨年の秋かなり厳重な通達をいたしまして、危険のあると思われるような組合につきましては、それぞれ県に指導善処方を促したのでございます。まだ当時は定款認証制でありました関係から、県も必ずしもそれほど強硬な措置はとれなかったと思いますが、最近、先ほども指摘かございましたように、能代の大火もございましたし、また一般的に状況を見ておりまして、必ずしも十分安全でないと思われるような組合がまだ幾つかございますのであらためて相当厳重な通達もいたしております。ただ何分にも、現に事業を営んでおります組合でありますから、これを直ちに解散させるとか、あるいは異常に厳重な条件によって組合経営そのものが成り立たなくなるほど監督を厳重にすると  いうことは、一挙にはなかなかいたしがたいという事情もありまして、徐々にこれを締めていくということによって、その間危険があります場合には、できるだけ県あたりから応援してもらうというようなことにいたさざるを得ないのではないかと考えております。秋田県の場合は、ただいま県と折衝しております。いずれ遠からず何らかの結論が出ると思っております。
  43. 黒金泰美

    ○黒金委員 今のお話では、自然発生的にできた、保険料率が高いからやむを得ないというようなお話で、今、三一十年ですかから取締りを厳重にして、もう今後は、ないだろうと言われますが、私どもの手元に今ありますだけでも、藤原温泉の場合には、これは何とか払っておるようでありますが、それから宮城県の共済商工協同組合、これは事業を中止しております。また石川県の共済商工協同組合も事業停止になっております。こういう例が随所に出てきております。もっともこの数から申しますと、厚生省所管の方が多いように見えますから、どうも今の監督規定では非常に不徹底ではないか。一方におきまして、保険の方は業法が非常にやかましい。ところがこれと親類筋といいますか、兄弟——だいぶ系統が違うようでありますが、違うところに非常に問題がある。私は、今のお話の自然発生的にできたものを決してつぶせというのでもなく、どうしてもやっていけないような措置をしろというのでもございませんが、何らか、共通した法規を作ってこれを統制していかないことには、今後こういう火災等不幸な事件が起れば、このようなうき目を見る善良なる組合員がだんだんとふえてくる、そのように私は考えるのであります。仄聞いたしますところでは、この立法の問題ついて、国会でもいろいろ議論があり、なかなかうま叩くいかなかったように聞いておりますし、またことしの通常会にも、大蔵省でいろいろ御提案になろうとしておったように聞いておりますが、これはもし間違いであれば恐縮でありますが、農林省なり通産省なり、あるいは厚生省の御反対、少くとも非常に気乗り薄ということによって、これが提出できなかったように聞いております。そこでこういう経過は、一体どこに難点があるのか、この難点についてどういう解決のめどがあるか。この点を銀行局長さんから一つ御説明いただきたい。
  44. 東條猛猪

    ○東條政府委員 黒金先生から、いわゆる組合保険の問題につきましていろいろ御注意をいただきまして、大へんありがたく存じております。先ほど来お話しのございますような問題もいろいろございますので、政府部内におきましても、各省と話し合いいたして参っておることは事実でございます。ただ先ほど来お聞き取りをいただいておりますように、関係各省の方でそれぞれの監督をいたしておられまして、私どもも、大蔵省の保険行政の立場から見ました考え方で必ずしも全部を律せずとも、それぞれの所管省の監督で何とかやっていけるだろう、またやっていきたい、こういろ意見が政府内でも、各省の方でも有力でございますので統一いたしました取締り法規と申しますか、監督法親と申しますか、そういうものをぜひ国会で御審議をいただきたいという運びには、実はただいまのところ参っておらないわけであります。しかし私どもといたしましても、この共済制度にいろいろ問題点がありますし、また十分これを監督をして参らなければならないというその実態の面におきましては、各省の間でもさして意見の相違もございませんので、今後なお十分話し合いを続けて参りまして、監督の実が上って参るように、政府の部内でも十分いろいろ相談して参りたい、かような考え方でおりますし、またさようないきさつに相なっておる次第であります。
  45. 黒金泰美

    ○黒金委員 今承わりまして、現状が決して望ましい状態にはなく、何らか改善を加えなければいけないじやないかという点では、各省ともに一致した御見解のように思うのですが、私は、内容、監督の程度の問題まで今申し上げたいと思いませんけれども、次の通常国会あたりまでに何らか政府において成案を出されまして、このような不幸な事態が二度と生じないように、一つ御協力を願いたいと思うのであります。大蔵省を初めといたしまして、きょう御列席の各省でこれに反対の御意見がありましたら、一つお教えいただきたい。もしなかったらば、ぜひ来国会にお出しを願いたいと思います。かように申し上げて私の質問を終ります。
  46. 新沢寧

    ○新沢説明員 農協の立場から申し上げたいと思います。反対といいますと、少し強く言い過ぎるかと思いますが、私ども考えております点は、協同組合組織と申しましても、いろいろ事業の内容によりまして、あるいはその目的によりまして、あるいはその沿革によりまして種々さまざまあると思うのであります。またそれぞれの組合におきまして、その組合固有の仕事に関連いたしまして、相互扶助と申しますか、そういう立場から、お話しに出ましたような共済の仕事もいろいろやっておるのでありますが、それらの仕事も、本来の仕事と密接な関係を持っておるわけでございます。また冒頭に触れました通り、組合によりまして、経営組織に強弱があり、従いまして、共済事業をやる場合におきましても、危険分散と申しますか、それの非常に円滑にいきます組合と、非常に小規模でありまして、必ずしも目的通りできないものといろいろあるわけであります。従いまして、小さいものがお話しのような非常に困難な状態に陥るということを、私ども見ないわけではございませんで、それを何とかしなければいけないということは痛感いたすのでございますが、大蔵省で今後御立案なり、私どもと御相談いただきます案は、画一的なお考え方でなく、一つそれぞれの組合の実態に応じた案をお考え願いたいということを農林省としては切に希望いたす次第であります。
  47. 黒金泰美

    ○黒金委員 農林省関係は、大体広範な組合が多いので、現実には弊害も現われていないと思います。全国精麦協同組合連合会というふうなものは、個個に少しまずいことがあったように聞いておりますが、そこで今お話しのように、画一的では確かに無理だと思います。これは実情に即しながらやっていただくことをお願いしておるので、あまり御反対は、願わないように願いたい。  それと同時に、最後に私忘れておりましたが、こういったものができて参りますのに、保険会社の保険料率がかなり高いということ、もう一つは、商工協同組合あたりには、金融難のために、一種の無尽みたいな考え方で、集まった金を使いたいというような考え方が出ておるものも相当あるように聞いております。あとの問題は、だいぶ金融が緩慢になって、そのためわざわざこれを作ろうというのも最近は出ないようでありますが、保険料率の問題について、将来の見通し、あるいは大蔵省としてのお考え方、これを一つ明らかにしておいていただきたい
  48. 東條猛猪

    ○東條政府委員 大体保険の料率が少し高過ぎるではないか、これがいろいろの保険類似の共済事業難の原因ではないかという御趣旨でございますが、私どもも、保険料率の引き下げということは、合理的な限度において常に業界に要望いたしまして、自発的に研究を願ってきておるのでございます。ただ御承知のように、過去の実績を料率算定会で計算をいたしまして、現在の料率が実績に比べまして割り高であるという場合には、その実績に合せていくという方針でただいままで参っておりますので、やはり過去の実績というものは、経営の成り立ちますように・よく検討しなければならぬと思いますが、また経費の面等におきましても、それぞれの会社でよほど御検討願わなければならぬ面もあると思いますので、今後の全体の心づもりといたしましては、実績を参考にし、また合理化の努力もやってもらいまして、合理的な限度においては業界において自主的に絶えず引き下げ方向で研究していただく、役所としてもその方向で指導していくという心づもりで処理いたしておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  49. 松原喜之次

    松原委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。春日君。
  50. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま黒金君が指摘されました問題は、やはり共済保険事業にかかるところの、いろいろな問題の一面を指摘されておると思いますので、これは当然そういう問題も解決を願わなければならぬとは考えます。けれども、およそ経済立法はその関連するところ影響するところも、これは複雑多岐にわたりますが、わけて信用事業というものはさらに深遠であり、デリケートであると思うのです。こういう意味から、この立法については特に慎重を期していただかなければならず、またこの問題を経過的に考えますときに、これはもう・数次国会にまたがって、法律案としては審議されたことはないかと思いますが、しかしこれは、政府並びに与党、野党を通じて、政策論議として、すでに深く専門的な域にまで進んで検討をされておることを特に重視願いたいと思うのであります。と申しますのは、たとえば信用事業の中において、これを金融機関、金融事業にその例を引きますならば、金融事業の中には、たとえば銀行法がある、あるいは相互銀行法がある、あるいは信用金庫法があり、労働金庫法等がある。さらにまた国営金融として、たとえば中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは半ば出資しておるところのその他の政府の財政投融資に待つ金融公庫もたくさんあるわけであります。ことほどさように信用事業というものは、これは非常に困難な問題であるけれども、しかしこれを一本でしぼっていくとか、あるいは一本の概念を押しつけていくということが、実情に即さないということの一つの証左であろうと思うわけであります。たとえば信用金庫なんかも、これは元をただせば信用組合でしがなかった、あるいは相互銀行も無尽会社でしがなかった。しかしいろいろな事業を実施する過程において、それぞれ必要に基いて、堅実なる段階を踏んで、それぞれ法律によってこれが裏づけされてきたということを考えまするならば、現在生活協同組香によって行われておる共済事業とか、あるいは事業協同組合法中の保険事業とか、あるいは農業協同、組合法の中における農業関係の共済事業とか、いろいろな問題がこれはあると思います。しかしながら、現在それぞれ一応法律のバック・ボーンを持っておる。軸とするところはあるけれども、しかし法律の単独的な解釈や監督をもってしては完全なる成果が上げ得られ、ず、また時に臨んで弊害を伴うてくるので何とかしょうということが、今政府並びに国会において検討されておるところの私は核心であろうと思うわけであります。そこで私は、黒金君御指摘のごとく、地方によっては、数の中には非常に弊害を残した例もありますけれども、しかし彼らがその弊害を彼らの他山の石として、よくこれを注意しなければならない例証として、みずからこれを戒めて健全に発展しつつあるというこの事実も、われわれは目をおおうてはならぬと思います。たとえば北海道における共済のごときは、先年稚内においてあのような大火がありまして、これまた数千万円の保険金の支払いの義務を負うたのでありましたが、これは完全に支払うことによって何らの弊害を残さなかった、あるいは愛知県において、福島県において、京都府において、岐阜県において、大阪府において、みなそれぞれ堅固なる発展をして、それが時には中小企業者のため、あるいはまたそれぞれ生活協同組合の趣旨目的にかなった成果を上げておるということ等も、これは現実の問題として重視せなければならぬ。功罪これを問うならば、私は当然その功績がはなはだ大きなものであるということを、率直にこれを認めて差しつかえない問題であろうと存ずるのであります。そこで問題は、会期末に至りまして、こういう問題についての結論を得ることができず、しょせんは来国会までペンディングの問題として、休会中に検討を必要とすることではありましょうが、そのときには、この法律がどうしてこんなに何回も何回も見送られるかというこの事実をよく理解願わなければならぬ。たとえば第十九国会においても、二十二国会においても、あるいは今次国会においても、政府の意向は与党を通じて内示されましたけれども、それはあまりに監督がきびし過ぎ、そのような監督法規を出されるならば、現在健全に運営されておるところのそれぞれの事業協同組合等も、これでは運営することができ得ない、現在貢献しておることも、結局大へんな後退をしなければならない。こういうようなことから全協会打っての陳情となって、遂にこれが与野党を通じての理解となり、ではもうしばらく実情をながめてみようかというようなことで立法がおくれておるのであります。言うならば、政府が考えておるところの監督法規がきびし過ぎることが、かくのごとくにしてその立法を遷延せしめておるということを一つ考慮願わなければならぬ。銀行には銀行の監督規定があるであろう、信用金庫ならば信用金庫程度の監督規定でいいのだが、こういうようなものは、いわば実情に即した監督規定というものを政府が考えて臨むのでなければ、この法律はいつまでたっても立法をされることは困難であろうし、従って数の中には、それぞれの脆弱な組合があって、よって大衆にその被害をもたらす、そういうようなことも考えられるわけであります。そういう意味において、漸を追って監督の完璧を期していく、そろして授信事業としての機能というものを充足していく、こういう方向をとっていただきたいと思うのであります。ただわれわれが心配をいたしておりますし、のみなら、ず指摘いたしたいことは、結局火災保険事業者団体が、自分の競争相手ができることを好ましく思わない。現実の問題として、彼らの法定しておる保険料率というものははなはだ高い。より安い料率によってその事業を行なっていくものは商売がたきとして、これに対して事業の成り立たないことのための陳情と政治運動が行われておるということはいなみがたい事実である。こういうような火災保険事業者団体というものが戦後十カ年間において膨大なる資本の蓄積を行なった。その資本の蓄積がいかにして行われたかというと、言うまでもなく、とほうもない高い料率によって大衆から収奪した。そうして払ったところの保険金というものはわずかなものであって、しかも今日不動産、動産、流動資産等を含めるならば、おそらく保険会社十八、九社によって蓄積された資本は七百五十億くらいをこえておるのではないかと思われる。こういうような保険事業のあり方というものは、当然経済政策の根本に触れる問題であり・同時に中小企業問題、さらにはまたいろいろの災害が起きたときに、自力更生を可能ならしめるところの厚生省の政策問題として深く検討されなければならぬ。ところが火災保険会社の政治力が強力、であることのために、そういう必要にして的確なる対策が講じられないために、結局こういうような組合保険というものが、そういうようなギャップを縫って存立し得るという経済的な態勢がここにあり得るわけなんです。どうかそういうような意味合いにおきまして、今度の立法については、そういう組合保険をやろうと思えばやれる、そして現在やっておる人々が、これによってさらに背骨を入れてやっていけるという銀行、信用金瞳、あるいは労働金庫、あるいは相互銀行等の、いろいろな段階的な一つの理解を持って立法されることを強く私は要望いたしておきます。  なお金額等の問題についても、保険会社は二十万、三十万、せいぜい五十万ぐらいなら反対しない、けれども百万とか三百万とかいうことだとわれわれの事業に影響を与えるから困る、こういうような猛烈な反対運動も行われておることもわれわれは承知をいたしておりますけれども、しかしながら、現在中小企業等のどんな動産、不動産でも、十万や二十万というものはありはしません。もう貨幣の単位というものがインフレートされております現在においては、昔の常識や概念でその保険金のマキシマムを設定するということは、実情に即さない面も多々あろうと思われます。こういうような意味で、一つ東條さん並びに厚生省、それから農林省、これらの諸君に特に申し上げておきたいことは、早期に立法することは必要欠くべからざる事柄ではあるが、しかしその事業者たちがやればやっていけるという監督規定で法律の構成をされるのでなければ、これはいつまでたっても立法されはしない、よってもって弊害が生ずる面等があるが、その責任はあげて政府にあるのだ、こういうことを強く要望いたしておきます。  なお農林省の諸君に申し上げておきたいが、この問題について、山手政務次官からの連絡によりますと、農林省が強力なる反対をしておるのでなかなかできなくて、全く困ったものだということだが、農林省は、この問題を十分そしゃくしておられないのではないかと思う。与党、野党の意見は、これは事業協同組合法中一部改正法律案でいこうとしておるのであって、農業協同組合によってやっておるものについては、何ら拘束しないような形でとりあえずスタートしょうではないか、それでスタートして、成果が上るならば、今後さらに保険協同組合法という単独立法に将来発展的に切りかえていくというようなこともあり得るじゃないか、こういろ工合で、あなたの方の立場も十分考慮しつつこれに理解を求めておるのだが、あなたの方はなかなかかたくなにして観会心的な反対をしておるということは、河野一郎の部下としてまことにもってけしからぬと思うが、いずれにしても、あなたの方は農共済なんかちゃらんぽらんで、ほとんど保険金なんかも該当農民に支払われていないということでありますが、本委員会において、これはずいぶん詳しく検討し、あなたの方の責任を追及したこと等もある。だから、そんな事業協同組合なんかに横やりを入れるひまがあったら、自分の方の共済組合の経理監督をもう少し完璧にされて、そうして保険金がその被害を受けた耕作農民に行くように、もう少ししっかりやられることを強く警告いたしまして、かれこれ申し述べて私は終っておきます。
  51. 松原喜之次

    松原委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕