○春日
委員 私は、
政府と国会が新しい法の制定、あるいは既存の
法律の改正を行おうとする場合、司法、立法、行政の各般を通じて最も重視すべきは、その経過
措置であろうと思う。たとえば司法
関係の裁判所においても、最高裁判所の判例とか何とかいうようなものは、
法律と同じような効力を存しておる、あるいは国会におけるいろいろな問題等においても、この先例いかんということで、先例というものは、国会法、衆議院規則と同じように重視されて、権威のあるものとされておるのです。こういうような諸般の事情から判断をいたしまするとき、あなた方のとられる道は、かつてこれらの単業計理士に税務代理士あるいは
税理士たるの資格をどういうような
方法によって付与してきたかというところの先例ですね、この経過
措置というものは、やはり今回のこの
法律改正に際しても十分重視されなければならぬと思う。特に私が強調いたしたいことは、当時登録されてから新しい登録が許されていないから、新しい計理士というものはないわけなんです。この間少くとも数年間というものは、当時そういう
特権を得ておったところの計理士に対してイクスぺリエンスというものがそれだけさらにプラスされておる。すなわち
税理士たるの適格性は、その分だけ経験を積むことによって加重されておる。すなわち濃化されておる、こういうわけなんです。だとすれば、かつてそういう特典が与えられた彼らに対して、今回も同様の趣旨に基いてそのような特典を与えることは、こうも差しつかえないことだと思うのです。だから、それをやりなさいということを私は強く主張いたしておるのであります。
それからもう
一つは、別の面より解剖して私の
意見を申し述べて、あなたの見解を
伺いたいのだが、いろいろ他の国家試験だとかいうことを言っておられる。いろいろ試験制度が設けられておるときに、このような計理士に対して無試験でそういう資格を付与することは、他との均衡上疑義がある、こういうようなことも言っておられるが、私がちょっと調べたところによると、この
法律の附則に、ずっと書いてあるのだが、その附則のうちの第三十三項に「第三十項の規定による
税理士試験の合格者を定める場合には、政令で定めるところにより、当該試験の成績によるほか、」「
業務に従事した年数を参酌して」云々と書いてあるわけなんです。これは何ら純粋の国家試験ではない。その国家試験の成績には恪順するのであろうけれ
ども、しかしながら試験成績だけにはよらないで、やはりその
業務に従事した年数をいろいろと参酌して、そうして資格を付与するところの認定条件の
一つにする、こういう工合にうたわれておって、これは試験制度であるのか、あるいは認定制度であるのか、いずれにしても明確でないと思う。試験がうんと悪くったって、年数が多くて、実際の実務の成績、あるいは社会の信望というものが非常に高い者であるならば、成績が悪くてもこれに与えようというならば、これは実質的に選考というもののウエートが、資格の認否の中において占める度合いは非常に高いわけなんですね。どうです。そういう
意味から考えれば、その当時わずか三カ月間の猶予しか付せられなかったので、この短かい三カ月間の中において、これらの選考を受けるための書類を整備することのできなかった諸君、これらの人々を今救済をして、そうして
税務行政に貢献させる、あるいは徴税行政の中においていろいろ紛議をかもしておる問題を抜本根塞的に
解決するためには、絶好の
機会ではないかと考えるのです。それで、これらの人々は
現実に長年の経験を積んでおる人々だから、私はそんなに弊害はないと思う。だから、そういうような立場に立って、純粋の試験制度でなければ何もかもいかぬというようなことをだれも言った者もないし、そうしてまた附則の中においても、これは選考というものが
相当高いウエートによって効力を持つような規定になっておりますから、伺うところによりますと、せっかく黒金君の方で何か修正案ができておるようですが、しょせんそんなものはずさんなものであろうから、もう一ぺん私の
意見も加えて、そうしてこれらの計理士諸君のかって得たところの権利といいましょうか、そうして現在もこれらの諸君が付随
業務として
税金の
関係の
仕事も
現実に取り扱わなければならないのだから、そしてまたさらに今回の
法律の修正案の中にも、公認会計士が通報によって随時そういうことが行われるようなフエーバーも与えられんとしておるのですから、やはり同じような趣旨によって多くの人々の
要請にこたえ得る、そういう完璧な法の体系を作る、こういうようなことは非常に意義のあることだと思います。本日はすでに時間もこんな調子になってしまいまして、この問題について十分な
結論を得ることはできないでありましょうから、本
委員の発言を聞いておられた自民党の諸君も十分心を開いて、
一つ問題の
解決に資するため最善の
努力をされたいということを強く要望いたしまして、またそれでなければ、われら日本社会党は断じてこの
法律案を通すものではないということを付言いたしまして、私の質疑を終る次第であります。