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1956-05-10 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十日(木曜日)    午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 藤枝 泉介君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    大平 正芳君       奧村又十郎君    川島正次郎君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       保利  茂君    坊  秀男君       前田房之助君    有馬 輝武君       石山 權作君    木原津與志君       竹谷源太郎君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    石野 久男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君  委員外出席者         文部事務官         (管理局学校給         食課長)    宮川 孝夫君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 五月八日  委員中山榮一辞任につき、その補欠として渡  邊良夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として中  山榮一君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員坊秀男君、有馬輝武君及び横錢重吉辞任  につき、その補欠として福永一臣君、和田博雄  君及び大西正道君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員福永一臣辞任につき、その補欠として坊  秀男君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員大西正道君及び和田博雄辞任につき、そ  の補欠として横錢重吉君及び有馬輝武君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四三号)  物品管理法案内閣提出第九七号)(参議院送  付)  国の債権の管理等に関する法律案内閣提出第  一四九号)(参議院送付)  税制に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  まず税理士法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。奧村又十郎君。
  3. 奧村又十郎

    奧村委員 私は政府提案税理士法の一部改正法案に関連いたしまして、特に大蔵大臣お尋ね申し上げたいと存ずるのであります。  この法律案は、税理士制度をこの際非常に強化拡充しようとしております。監査証明制度を新たに作るとか、特別試験制度を作るとか、いろいろあります。この監査証明制度をとるとすれば、申告納税制度に非常な影響がある、ここに問題がある。また特別試験制度によって、税務職員を特に税理士にする恩典を与えようとする、これは非常に重大な問題であります。税務職員に対してこういう身分上の特権を与えるということにつきまして、これは同じ大蔵省の役人の方々立案をし、説明をするということは、どうもお手盛り法案のような感じがいたしますので、これは特に大蔵大臣お尋ねをいたしたい。今まで税法立案、御説明につきましては、主税局初め特に大蔵省方々は、非常に公平な態度でやっておられるということに常に私は敬意を表し、この国会でも税法案をほとんど無傷で通しておるようなことであります。しかし今回の税理士法案については、特に大蔵省職員身分に関することであり、しかもかつ税理士会あるいは計理士会あるいは税務職員組合、そういうものの内部の妥協に走って、いささか私ども納得を欠くような規定が多いように思うのでありまして、以下特に大蔵大臣の御答弁をわずらわすことについて、お尋ねを申し上げたいと思うのであります。  現在の税理士でも、六千数百名の税理士の中で、かつて税務官吏であった方々はその半数以上を占めておると思うのであります。この税務官吏をしておられた方々が、その職場をやめて直ちに税理士になって、業者となって、今度は役所に出入りする。かつての職場にあってなさっておった事柄に関連することを、今度は業者となって外から入ってきてお話しをなさる。そうすれば、かつては同僚であった、かつては部下であった税務職員と、今度は税理士として業者立場お話し合いをなさる。かつては税金をとる、納めさせる側であった、今度はむしろ納税者の味方になって、税金をなるべく合理的に軽減させようという立場立場が全然違う。こういうふうに、税務官吏税理士になられるということについては、税務行政上非常に弊害が多いのではないかということを私はかねがね心配しているのであります。この点についての大蔵大臣のお考えお尋ねいたしたい。しかも今回のこの改正法案では、なお一段と税務官吏税理士にかわることを促進しようとしておられるのでありますから、こういうことについての弊害大臣はどう考えておられるか、お尋ねいたしたい。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答え申します。今御心配なさった点は、私も全く同感に思います。従いまして、税務職員税理士になるについては、そういう弊害の起らないような措置が私は必要である、かようには考えているわけ輝あります。どういうふうな措置が必要であるか、私ども考えでは、いろいろと今日税理士法についても制約があるように思っております。たとえば「在職自己の関与した事件について税理士業務を行ってはならない。」という規定もあります。こういうところで、御心配の点は一応防げるのではねいかとも考えておるのであります。御心配の点については、私はやはり十分な用意は必要であろうかと考えております。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 税務職員がその職をやめてすぐ税理士にねれるということについては、弊害のあることは認めるという大臣の御答弁でありますから、そこでその弊害をなるべく防ごうとしているのだ、その防ごうとする方法としては、税理士法規定の中に、第四十二条があって、かつて職場で関与した事件については、税理士になってもかかわることはできないという規定がある。しかしこの条文は、現行法というものは、あまり効果がない条文のように私ども考えておるのであります。かつての職場に関与した事柄ということは、一体どういうことを意味するのか。たとえば税務署長をやっておった人が、かつての職場で関与したといえば、その税務署の管轄内の税務全般にかかわるのではねいか。あるいは国税庁の本庁の職員であれば、しかもそれの上の方の幹部の方であれば、全国的な全部の問題にかかわるということになって、この規定は明確でない、かように思うのであります。これをもう一つ改正すべきでないか。前の税務代理士法のときは、税務署をやめて一年間は税理士はできない、こういう規定があった。これなら、一年間はかつての税務事柄に関与できないのですから、これははっきりしておるのです。今回特に税理士機構を強化拡充する際において、その弊害を除去する意味において、この以前の規定にさかのぼって、一年間は税理士ができないということに改めたらいかがですか、お尋ねいたします。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私としましては、今退職後一年以内には税理士業務はできない、こういうふうに禁止する考えは持っておりません。しかしもし今問題になっておる「在職自己の関与した事件について税理士業務を行ってはならない。」ということでなお不十分であるとすれば、さらに行政上の監督を何らかの形で徹底させるということによって、その目的を達するのじゃないかと私は考えておるのであります。一年内はできないというふうに持っていくのは、私としては少しどうであろうか、かように考えております。しかし御趣旨の退職した者がこういうふうな一つ——私は特権とは思っておりません。これは適所適材といいますか、そういう人がそういう仕事をするのは適当であろう、こういうふうに思っております。しかしやはり仕事関係で、御心配のような弊害も必ずしもないとは保せられませんし、また往々そういうこともあり得るのでありますから、それをどういう範囲でなるべく防ぐことが可能であるか、それは私十分検討を加えたいと思いますが、従来この立案について検討を加えた過程におきましては、あの規定もありますし、さらに行政上の監督をすれば十分であるという結論であるのであります。さよう御了承を願いたいと思います。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 言葉じりをつかまえるわけじゃありません。大臣とじっくり話し合うつもりでありますけれども、今回の改正でもって、特別試験制度税務職員特権ではないということですが、これは私は特権であると思いますので、その点については、あとでなお大臣の御意見を確かめておきたいと思います。  先ほどからお尋ねする、その弊害を除去する方法について、もう少し私ども納得のいくような御答弁を願いたい。ただいまの規定と、それからその上は行政上の処置でこの弊害を防ぐことができると言われるが、それでは私は十分納得ができない。現に国家公務員ば、公務員をやめて、在職国家機関と特に関係の深い営利事業に対しては、その重役となることはできない。逃げ道はありますが、こういう規定もあって、やはりかつての職場と直接関係のある仕事は、なるべく避けていこうということで、国家公務員規定もできている。従ってこの税理士法で、今回なお一そう税理士機構を強化拡充しようとする以上は、もっとひどくなるであろうこの弊害に対して、これを除去することのできる適切な施策を法律の上に盛り込まれるべきである。しかしこれ以上お尋ねしても御答弁がありますか、あればお答え願いたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私率直にお答え申しますが、私も御趣旨は全く異論はないのです。同感であります。ただ税務職員で、従来税理士になっている人もずいぶんあるわけです。そういう人の実績といいますか、そういうような点を国税庁あたりで十分把握していると思いますが、そういう人の従来の実績によって、こういうふうな一応の結論が出ております。私も実を言うと、これははなはだ率直な話で、あるいはおしかりを受けるかもしれませんが、税務職員から税理士になった人の実際の弊害が、どういうふうに具体的に現われてきているか、その非常に詳しいことを、実は私まだ十分具体的な話を聞いておりません。大体国税庁の方に、それはどうだと言って、いやこういうふうな程度でということしか私は聞いておりません。しかし、これはなかなかそんなことじゃないというような実際の状況がありますれば、これはまた考えなくちゃならぬと思います。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 具体的な弊害は、あまり考えておられぬと言われるが、私の案ずる点ですから、重ねて申し上げます。特に案ぜられることは、今度の法律によって、税務職員が二十年勤続すれば、特別試験によって——特別試験というのはあまり大した試験じゃない。特別恩恵的な試験ですが、それで税理士にねれるという規定になりますと、たとえば勤続十九年になった、あるいは勤続十八年になったもうあと一、二年で税務署を出てすぐ税理士になるのだ、もうすでに税理士の数も多い、そこで税理士になった直後、お客さんがつくかどうか。そこで、すでに税務署にいる間に、その職務と関連して、大きな会社やあるいは納税者と密接に結んで、すでに税務署をやめて税理士になったときの用意を、税務署在職中に心がけはしないか、これは人情としてあり得る。これを押えることができるか、これは全国各地でそういう不安を問いでいる。これを除去する方法をお考えになっておられますか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは若干根本的な方針よりも、具体的な、またある意味において対策についての、技術的と言っては悪いのですが、そういう点になりますので、あるいはもう少し専門的に、国税庁長官あたりから御答弁申し上げた万がいいかと思いますが、私の今考えますことは、試験は、これはどういうふうに受けますか、全部が試験を受けるとも限らぬ。また受けた者が、全部合格するとも限らぬ。また合格した者が、すべて開業するとも限らない。そういういろいろな状況、それと従来の、すでに税務職員から税理士になっているそういうふうな人々が、どういうふうな実績を示しているのか、今御指摘のような弊害ほんとうに具体的にたくさん現われているか、こういうふうなことによって判断をするのが適当であろう。かように考えて、そういう点について、実際そういう方面を行政監督している長の意見を聞きまして、まあこれでよかろうということで、私も納得しておるわけであります。
  11. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは次に移ります。特別試験という制度を今度初めてお作りになろうとするのでありますが、この制度を作ろうとする理由と、その制度そのものはどういうことなんですか。御承知のように、現行法で、すでに税務職員一定年限を勤めた者は、その携わっておった、大ざっぱに言うて税法試験は免除されておる、そこで会計に関する試験だけを受ければ税理士になれる。そういう規定があるにかかわらず、今回なお新たに特別試験というものを設けて、計理士及び税務職員一定方々だけを特別の試験を受けさせる。一般方々税務職員との間にどうしてそういう差別をつけようとするのか。税務職員なら税法についてはなれておられるから、税法はすでに免除しておる。そこで特別試験という制度は、その上に会計に関する試験も免除しよう、こういうお考えであるのか。この特別試験制度を新たに作ろうとするその特別試験内容制度お尋ねいたしたいと思います。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この特別試験を、一定資格のある者に対してさらに租税または会計に関する実務試験を実施しよう、こういうのでありますが、実際非常に経験を持っておるということだけで、すぐに税理士資格があるとしていいか。やはり実際その実務について経験を持っておるが、そういう人について、実際の実務について一ぺん試験をかけて、そうしてその試験に合格した人というような過程を私はやはり経させるのがいいのじゃないか。何年か実務をやっておれば、当然一つ資格を得るというのが私はやはり一つ特権のようになる。実務を持っておるのはけっこうだが、だれが見ても、この人はほんとう実務を持っている、そのほんとうのいい資格を持っているというその試験に合格してからその資格を与えるのがいい、こういう考え方特別試験を今度置くものだと考えております。私の言うのは、わかりにくいかもしれませんが、間違っておれば、また訂正を申し上げますが、長い間税務について精通しておる、しかし一定年限そういうふうな仕事をしておっても、当然私は何も試験経ずし税理士なら税理士資格を得るのは、適当でない。これはやはり当然特権になると思う。勤めておれば、二十年になれば税理士になるということはちょっといかない。しかしそういう実務を持っておる人にあらためて試験を施して、こういうような試験に通過すれば、この人の実務に対する力というものがはっきりしてくる、いわゆる適格者であるということがわかる。そういう意味で、私はやはり一つ試験をやるべきだ、こういう考えであります。あるいはまた私の考えとこの特別試験という意味が違っておれば、専門家から補足させます。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 大臣特権でないと言われるが、これは明らかに特権です。それを大臣はおわかりにならぬので、どうも御答弁があいまいなんですが、大事なところですから、重ねて申し上げます。税務職員一定年限税務にたれているから、税法上の試験はすでに現行法で免除してある。ただ残されている試験は、会計に関する試験なんです。この会計試験は、これも特に税務職員に免除するという理由は成り立たぬ。税務職員会計に慣熟しておるならば、事業会社会計係はそれ以上なれている。なぜ税務職員会計学まではずそうとするのか。これは特権でしょう。この法律案を見ると、特別試験というものは、会計及び税務に関する実務についての試験実務試験なんか、実務をやっていたら要らぬはずです。その理論的な試験を免除しようというのが、特別試験内容です。大臣はその内容御存じないのです。その点の御答弁——これば政府職員身分に関することでありますから、職員の御答弁あとから伺いますが、大臣は、大蔵省職員に対してこういう恩典を与えるということは、大臣として妥当であるかどうかという裁定を下されるのでありますから、大臣の確たる信念をお伺いいたします。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えは、今申しましたようでありますが、実務に精通しているから、何から何まですべてについて試験をするということもないと思うのでありますが、しかしそれだからといって、実務に精通しているから何も試験をせぬでもいいというわけにはいかぬのではないか。それで、実務についている者について、たとえば租税とか会計学というようなものについて、一つ総合的にどういうふうな力があるか試験をしてみようというふうにして、それで資格を与えていこう、こういうことであろうと私は考えるわけです。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 現行法の上になぜこういう特別試験制度というものをつけ加えるのか。現行法ですでに税法は免除して、会計学だけを残してある。そこで新たにこの制度を設けるならば、その会計学試験についても手心を加えようというのか。その試験制度内容大臣御存じないのである。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今度特別試験考え方を出しましたのは、御承知のように、税理士法、できましたときに、当時在職十五年以上の者につきましては、無試験税理士にねれる資格を与えたわけです。その後の者につきましては、一応奧村委員のおっしゃるように、試験を受ける。ただし一定資格を得れば、税法試験は受けなくとも済む、これが現行法規定であります。ところがすでに税理士法ができました当時、在職十五年ではありませんでしたが、たとえば十四年だったり十三年だったり、こういうような人が相当あるわけですが、現在の税理士試験はやはり相当理論中心になっておりますがゆえに、いわば暗記物的な感じがいたしまして、若い者でございますと、記憶力がそこに十分ありますがゆえに、一応そういう試験が比較的受けやすいわけでありますが、すでに税務職員になりまして十年以上実務に携わっている者、こういう者におきましては、激烈な競争の現状においてはなかなか合格しにくい。しかし、それではそういう人たちは将来ずっと税理士としての資格を与えなくともいいだろうかというふうに見て参りますと、やはり相当実務的には能力もございますし、またかなり仕事もやっていける。従って将来ずっと経常的なものとしてこういう特別試験をやろうということは、われわれも考えておりません。結局、経過的な、そうした十五年というところで切ったこと自身は、一応この程度ならということで切ったかと思いますが、当時すでに十年くらいたっていた程度の人まではもう少し何か考えてやった方がいいんじゃないだろうか。この場合においても、先ほど大臣お話しになりましたように、ただ単純に、それだけの年限がたっていたら無試験でもって税理士資格を与える、税理士法の施行当時におきましては、そういうことはやったのでありますが、それは少し行き過ぎだろう。そこで、やはり理論実務を結び合したような特別試験をやることにいたしまして、こういう人たちの中で、ほんとう能力のある人は考えてやっていいんじゃないだろうか、いわばそうした二十六年に十五年在職の者につきましては無試験であった、そうした時代の制度を補足する意味におきまして、経過的に五年間、こういう制度考えたらどうだろうか、これが現在の御提案申し上げている案でございます。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長の御答弁は、それは昭和二十六年の当時のいきさつによって、その当時十五年在職しておった者と、あるいはその中の不公平とか不均衡とかいうことを言われるのであります。しかし私のお尋ねするのは、そういう計理士国民との間の差別はどう触るのか。税雅職員に対しては、税法には慣熟しておるのですから、もうすでに現行法では抜いてある。会計法律試験をなお抜こうとするその国民との間の不公平をどうするのか。会計について税務職員一般国民よりも慣熟しておると必ずしも言えるかどうか、そこであります。特にだんだん法人なんかがふえて、複式簿記の必要がふえて参ります。そういう場合に、会計の頭がなかったら、真に税理士は勤まらない。その際に、しかも税理士法を強化拡充しようとする場合に、現行法会計試験をなおその上免除しよう、特別試験というものはそういう意味じゃないですよ。
  18. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 特別試験というのは、これは試験を免除する意味におきまして、いわば言いわけ的に何か格好を作るといったものとは考えておりません。一応普通の試験とは違います。ただ、しかし今申しましたように、その人たちは相当長い税務経験を持っている。従って、その意味からすれば、これは二十六年のことをそう幾度も持ち出すのはどうかと思いますが、かってはそれだけでもって税理士資格が与えられた。しかし今度の場合におきましては、それをそのまま踏襲するのは少し行き過ぎたろう。従って試験はする。しかしその試験をする上におきましては、もちろん今お話しのように、片方で税務官吏である者につきましては、税法の方は免除されておりますから、従って実務中心とした試験とはいいましても、やはり税務官吏の場合におきましては、会計学がおもなものになる。それから計理士の場合におきましては、今度の案は税務職員だけでございますので、御承知のように計理士あるいは会計士補で十年以上経験のある者につきましては、やはり同じような見方でもって、特別な試験を受けることになるわけでございますが、この場合におきましては、御承知のように普通の場合であれば、会計の方は免除され、税法の方は免除されない、こういうことになりますから、こういう場合においては、やはり実務中心としながらも、税法に重きを置いた試験、こういうふうな考え方をしていったらどうであろうか、こう考えております。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 私のお尋ねしたいことは、まだまだありますし、特にきょうは大蔵大臣お尋ねしたかったのですが、大臣、どうも御答弁に立ってくれませんので、こういう質問は、いずれ主税局長初めほかの政府委員の方にお尋ねをいたします。  最後に、時間の関係もありますから、一つだけ大臣の御答弁をわずらわしたいと思います。と申しますのは、この法律案は、来年度の税制根本改正を前にして、今直ちに急いで国会を通過さして施行しなければならぬ必要はなかろうか。私どもはこれを継続審議にして、税法根本改正と並行して来国会に審、決定すべきである、かように考えるのでありますが、大臣はそのようにお考えにならないかどうか、この点であります。と申しますのは、これもこまかい議論になりますので恐縮でありますが、監査制度は、実質的には、申告納税制度が非常にぼけてくるという問題と関連してくる。現に大蔵大臣は、来年度に所得税法を根本的に改正するということを、この間通過した所得税法提案理由の中にはっきり述べておられる。従って、現在の申告納税制度をこのまま実施するかどうかも検討しなければらぬ。その問題に関連する税理士制度、これをこの税法改正を前にして今直ちに通さなければならぬ理由は、どうも私は明らかでないように思う。しかもいろいろ問題が多い。先ほどの主税局長の御答弁によっても、税理士会計理士会、あるいは税務職員との間の妥協の問題の御答弁であって、一般国民納得のできるような御答弁でない。従って、こういういろいろな問題は、直ちに大蔵委員会において継続審査にいたしまして、国会が終了いたしましたら、休会中に国政調査をいたしまして、税務行政実態税理士業務実態を一度よく把握した上で、この法案を審議したい、そのように存ずるのでありますが、どうしてもこの国会法案を通さなければならぬとするならば、特に取り急ぐ理由大臣から御答弁していただきたいと思います。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 税理士法改正について提案いたします際に、税制根本改正関係についても十分検討させ、また私も考えたのでありまするが、いろいろ見方、考え方もありましょう。しかし必ずしも税制改革と同時にしなければならぬということでもありません。私としましては、税理士法改正をぜひとも今国会に御審議を願って御通過をお願いしたい、かように考えております。     —————————————
  21. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、物品管理法案及び国の債権の管理等に関する法律案の両法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。石山権作君。
  22. 石山權作

    ○石山委員 私は物品管理法案について、大臣がいるうちに、大臣関係する点を三つばかりお尋ね申したいと思います。  この物品管理法案の提案の趣旨にもあるように、これは明治二十二年以降のいろいろな法律を集約したような法律案でございます。たとえば、物品管理法の規則、あるいは会計法、国有財産法、会計検査院法、財政法等を寄せ集め、あるいはその体系を一貫したものであります。私は大臣にお聞きしたいのですが、これによって、官庁の中でも一番に汚職があるといわれている大蔵省の管理の問題などは、こんな法律によってうまく直るものかどうか、そういう意図があってこういうふうな法律を作ったのか、これを一つお聞きしたい。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いろいろと御批判がありましたが、私は大蔵省にいて、むろん悪いことは改めて参らなければなりませんが、特に大蔵省がどうということは、当らないと思っております。これは、会計検査院等の検査の毎年の御報告の結果から見まして、どうしてもやはり物品につきまして、あるいは債権等もありますが、物品につきまして、管理を一層厳重にすることが必要である、こういう意味で実は提案をいたしておるわけであります。
  24. 石山權作

    ○石山委員 この提案理由の中に、「物品の過大な、または不適当な調達や、不適当な管理、保管の「事例」「金銭の経理、国有財産の管理と並んで物品経理の制度」とありますが、これが目的を達することができる、この法律を施行することによってできるということは、言葉を返すならば、この法律が適用されると不公平なるもの、不正なるもの、汚職につながる不正なもの、こういうものは全然なくなるというふうな意図を持っているようですが、この法律は、先ほど申したように、明治二十二年以来のあらゆる関係各省の法律を集約大成したにすぎないのである。ですから、ほんとうに官吏が善良な——善良という言葉をよく使っておりますが、善良な意思のもとで自分の職場を十分に守れば、こんな法律を作ろうが作るまいが、私は汚職や不正、不公平はなかったように思うのです。法律を作ることによって、官吏が簡単に不正、不公平、不適正なことをやらないということは考えられないのです。この名目からすれば、非常にいいことをうたっておるのですが、これができることによって、果して大臣はそれをなくすという自信を持っておるかうどか。  それからもう一つは、これは特に大臣でなければ御答弁ができないと思うのですが、提案の趣旨には、この法律を施行することによって不正、不公平不適正なことがなくなるということを提案しながら、国有財産のいろいろな問題で行政管理庁から大蔵省に勧告が出ていましたのですが、こういうこととにらみ合せてみますと、これは新聞記事ですから、大臣が果してそういうことをおっしゃったかどうか知りませんけれども、国有財産審議会を設ける、ある新聞によりますと、不動産公団を設ける、こういうことを言っておるところを見ますと、この物品管理法によって大へんに官吏の行いとか、あるいは管理の方法とか、そういうものはよくなると言いながら、一方では、大臣は官吏のやり方ではとてもこれはやっていけないのだ、どんなに法律を出してもこれはとてもやっていけないのだ、取締りなんかできるものじゃないのだ、だから、民間の銀行で育った一萬田さんは、これを公団に移してみるとか、あるいは審議会にかけてみるとか、官吏から離してしまう、こういう意見がその中にあるのではないか、こう思っているわけなんですが、いかがでございますか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 物品の管理ということが最も適正に行われる、それについてはむろんいろいろな点があると思います。順法精神もむろん旺盛でなければいかぬし、モラルというものとか、いろいろあります。ありますが、しかし同時に物品管理についての一つの基準を置く従来とも全然なかったとは申しませんが、法律で明確にこういうふうに取り扱うべきだという基準を与えることは、親切なやり方であり、また当然考えられなくてはならぬ。私に言わせれば、こういうようなものが出されてうまくいけば、むろんそれにこしたことはありませんが、従来の会計検査院等の御報告から見ても、むしろこういうものを出すことがおそきに失しておるのではないかと考えるようなわけであります。なお国有財産についてのことでありますが、新聞にどういうことを出しておるか私何も存じませんが、これは今審議会に諮って、国有財産については制度自体から——単に管理とか活用ということでなくて、制度自体から一つの根本的にこれでよいのかというふうに考えてもらいたということで、せっかく御審議を願っております。その答申を待ちまして改めて政府としても考えをきめていきたい、かように考えておるわけであります。
  26. 石山權作

    ○石山委員 これは、物品と国有財産というふうにきちんとして私の方で質問すればよいのですが、大臣はなかなか忙しいし、お目にかかる機会がないから、私も一つお聞きしたいの、ですが、行政管理庁から国有財産管理に関していろいろな案が出て、皆さんの方からは答弁が出ております。私その答弁の出た新聞を六つぐらい調べてみたのですが、その中で大蔵省の一番手落ちとなった点は、つまり生計局の予算の作り方と国税庁の徴収の仕方で非常にちぐはぐがあったということが、第一に指摘されておるようであります。次には、旧軍部から大蔵省に返還されたものの不当評価の問題、そういう点があった。ただ私ここに一番疑問に思い、大蔵省の責任のように思うのは、財産税によるところの物納の評価であります。これは、忙しいといっても、事税金に関する限りは大蔵省ではちゃんとしていなければならないだろうと思っていたのですが、これが、大蔵省の所管に移るときに帳簿漏れがあったとか、不正記載があったというふうに新聞では報じておりますが、そういう点は、回答の中にもあるわけなので、これははなはだ不審にたえません。軍部からきたものとか、あるいは主税局の徴税の不手ぎわとかいうこととは別に、物納財産の帳簿に不正があるということになりますと、納税の意欲というものは全然なくなるのではないか、これはどういう理由でこういうことになったか、その理由をお聞かせ願いたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの御質疑の点でありますが、たとえば大蔵省で人手が足らないから、あるいは忙しいからという理由をもって、たとえば国有財産の管理が不十分である。これは言いわけにならないのであります。その点、私も実はかれこれ言いわけ申し上げることはありません。これははなはだ相済まぬと思っております。実は管理庁にもその旨を申したのであります。ただしかし、今後もそういうことのないようにぜひともしなければならぬというので、今いろいろと対策を講じておるわけであります。
  28. 石山權作

    ○石山委員 もう一つお聞きしたいのは、大蔵省は、各省のうちでも非常に権力を持っているというふうに一般にいわれておりますが、この法案が通りますと、予算権と執行権を持つような印象を私は受けてならないわけなのです。こういう点は大臣はどういうふうに解釈されておりますか。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今御注意下すったような点は、大蔵省としては十分注意をいたしまして、そういうことが起らないようにしたいと思っております。これは物品管理の基準を示し、こういうふうにやってほしいということで、各省においてその趣旨に従っておやりを願えばけっこうであるので、決して何か大蔵省が、さらにこういうことをして権限をどうこうということは考えておりません。一にこれは国の財産の使用に関することであります。国民に対して、それは最も有効かつ適正に管理かつ使用されるということをこいねがっておる以外の何ものでもないのであります。
  30. 石山權作

    ○石山委員 それは、おそらく大臣は、この条文をよく読んでいないようなところもあるんじゃないか。たとえば三条の四項、五条の二項、あるいは十五条の三項、こういうような点を拾ってみますと、こまかいところまで大蔵大臣が、各省大臣の実行予算に悪い面があれば、関与できる態勢があるわけなんでございますが、こういう点はどういうふうにお考えになっていられますか。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま御指摘の各条の事柄であります。これは、大蔵省としては技術的に考えておるわけで、各省においてばらばらにならないように、統一して処理していきたい、こういう精神から出ておるわけであります。
  32. 石山權作

    ○石山委員 もう一つあとこれで大臣答弁はいいのですが、あまりこまかいことに触れるといかぬですが、先ほどこの法律でいろいろないいことが生まれるというふうに指摘されておりますが、その場合に、その言葉の中に、不適当な調達という言葉があるわけなんですが、たまたま不適当な調達の中に、私は防衛庁の中古エンヂンなどの場合を見るわけでございますが、はたしてこの法律を適用して、不適当な調達というものは押えることができるというふうな自信を持っていられますか。事例を一つだけ上げて私はお聞きしておるわけですが。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 何が、あるいはどういうことが不適当であるかどうか、これは別個の問題ですが、いやしくも不適当ということがはっきりしたその事柄については、十分押えられると私は考えます。
  34. 石山權作

    ○石山委員 大臣には、私もうそういう話をしても、なかなかほんとうのことも言わないようだし、言ってもぐるぐる回って、中身がつかみにくいような答弁を繰り返して——私は適当とか不適当とか、公正とか、不公平とか、正義感とか悪いとかということは、もっとはっきり話していただかなければ、話の核心がそれちゃって困りますが、あなたに何べん聞いても回りくどうございますから、大へん御苦労でございました。     —————————————
  35. 松原喜之次

    ○松原委員長 両法案に対する石山権作委員の質疑は一応保習いたしまして、次に税制に関する件について質疑を許します。春日一幸君。
  36. 春日一幸

    ○春日委員 文部省からだれが来ておりますか。
  37. 松原喜之次

    ○松原委員長 宮川学校給食課長です。
  38. 春日一幸

    ○春日委員 局長はなぜ出ないのですか。
  39. 松原喜之次

    ○松原委員長 文教委員会の方へ今出席中でございます。
  40. 春日一幸

    ○春日委員 委員部に私は委員長を通じて伺いますが、はたして文教委員会が開かれておるかどうか、速急に確かめてもらいたい。私はこの関税脱税問題について、少くとも文部当局がこれに重大なる関連を持っておりまする立場において、特に責任者たる管理局長の出席を求めておるわけであります。ところが先般来文教委員会において質問を受けておるので、暫時猶予を願いたいということで、時間を待っておりましたが、本日ただいまに至るまで出席がありません。仄聞するところによりますと、文教委員会はすでに終っておるということで、もし終っておるなら終っておる、続行中であるならばやむを得ないと思いますが、この点を一つすみやかにお確かめ願いたい。
  41. 松原喜之次

    ○松原委員長 今使者を派遣いたしましたから、すぐに判明いたします。
  42. 春日一幸

    ○春日委員 そこで私は、使者の報告がもたらされますまで、一つ宮川君にお伺いいたしたいと思うのであります。先般来新聞紙上でもずいぶん報道され、特に本院の文教委員会、農林委員会等において特に重大視されて論議をされております学校給食用脱脂粉乳の脱税事件、われわれが聞き知った範囲によりますと、これは明らかに文部当局の監督の不行き届き、あるいは共同謀議をしたか、いずれその問題は後日の問題といたしまして、その結果末端機関に広範囲な、全国各地にまたがってああいう非常な事態を巻き起していることは、文部当局も御承知の通りであろうと思います。  私は、この際渡邊主税局長にお伺いをいたしますが、一体この事の真相はどういう工合のものであったか、あなたの手元へ参っております事の真相について、その概要をこの機会にお述べを願いたい。
  43. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 お話しの件につきましては、私の方で文部当局の方と共同いたしまして、一応どういう姿のものになっているかにつきまして数字を持っておりますが、ただいま手元に持っておりませんので、至急取り寄せまして御説明申し上げたいと思います。
  44. 春日一幸

    ○春日委員 それでは問題の概要を宮川課長からこの際明確に述べられたい。
  45. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 横流れ事件につきましては、非常な御迷惑をかけまして、われわれ非常に恐縮に考えております。ただいま春日先生の御質問に対しまして、私の方で調査をいたしました事故品のミルクの払い下げ数量につきまして、御報告申し上げます。昭和二十八年度に払い下げましたものが、三十一万七千五百五十三ポンドであります。二十九年度に十二万六千三百五十ポンド、三十年度に五万五千二百七十六ポンド、合計いたしますと、三カ年で四十八万九千百七十九ポンドになっております。この中で税関の手続を経ましたものが、合計で二十二万四千九百七十六ポンド、税関の手続を経ませんで処置をいたしたものが、二十六万四千二百三ポンド、かようにたっております。  この払い下げをいたしました用途別を申し上げますと、三カ年の合計で、飼料用といたしまして四十五万五千七百十三ポンド、加工用に八千七百五十六ポンド、用途不明のものが二万四千七百十ポンド、こういう調査になっております。これは各県で払い下げました数でございます。この中には、長崎県で横流れしました数量は、この調書を作りましたときに報告未済のために入っておりません。大体三十五万ポンド程度が長崎で横流れをされた、かように承知をいたしております。  それから学校給食会の本部におきまして二十八年度に払い下げました数量が、これはトンで出ておりますが、百六十九・四トンでございます。二十九年度が五十六・二トン、三十年度が六十・七トン、かようになっております。
  46. 春日一幸

    ○春日委員 渡邊主税局長にお伺いいたしますが、大体これの推定脱税金額は、三カ年度で幾らくらいになるのですか。
  47. 渡邊喜久造

    渡邊政府委員 今的確な数字は申し上げかねますが、大体推定千二、三百万円の数字ではないかというふうに思います。
  48. 春日一幸

    ○春日委員 文部当局は、少くともこういうような学校給食用の名のもとに輸入されましたこの脱脂粉乳が、不当に、かつ法律に違反をして不正に処分をされておるということについて、この事案が実に三カ年にわたって連続的に行われておったことを何ら知らなかったのか、あるいは知っておったのに黙認しておったのか、そういうことを助長しておったのか、この際その真相を明らかにしていただきたい。
  49. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 私どもは全然この事情を承知をいたしておりません。ただ事故ミルクにつきましては、払い下げますことは大蔵省令でもきまっておりますので、それについては、保健所もしくは衛生試験所等の証明をもらいまして、それにおいて事故ミルクであるということの確認を得ましてから、税関の承認を得て、飼料用あるいは加工用として払い下げをするということで、絶えずこの点につきましては指導をしておったわけでございます。横流れ事件とか、あるいは税関長の承認を得ないで処理したものがあるというようなことにつきましては、今回の事件が出まして、初めて調査の結果、承知いたしたような次第でございます。
  50. 春日一幸

    ○春日委員 局長といい、特に課長といい、少くともその衝に直接当っておる者の責任は重大であります。少くとも国はあなた方にそういう大きな権限を信託しておるのであって、あなた方が長年にわたって、しかも大量にわたってこのような不正なことが行われておるということを善良に監督しないということがありますか。まるであなた方の目は節穴みたいなものだ。そんなことで、本日のうのうとしてその職にとどまっておるというがごときは、恥を知らざるもはなはだしいものだと思う。私はもう少し職責の何たるかを考えて、すべからくみずから善処されんことを要望したいくらいだ。こういうようなばかげた不正不当な処分が行われて、ああだこうだと言ってなまいきなことを言っておる。僕ばこの際申し述べたいのだが、党の中小企業部において、最近市中の特に製菓業者、あるいはアイスクリームの業者、あるいはまた製パン業者、こういうようなこの学童給食用の脱脂粉乳というものに依存をしておった業者たちが、今回これが司直の手によってつまびらかにされることによって、これのルートが遮断された。そこで一方市場の独占をしておる四大商社答が値段のつり上げをはかって、その市場に品物を出していない。そういうことで非常に困った諸君が、文部当局に対してそれぞれの陳情をしておるはずだと思う。その陳情の趣旨については、われわれにおいても責任的に、そうして公正な立場からいろいろと検討を加えてみたのだが、これは協同乳業株式会社取締役社長横井広太郎君という人、これは名古屋精糖の社長を兼ねておられると思うのだが、この長野県における、日本においても屈指の信用の置ける会社が、それをリフレッシュして、そうして殺菌をし、一切の夾雑物を除去して再製して、品物がないならば一つお間に合せできるような協力をしよう、そういう作業引受書を添えて、あなたの方に陳情しておる。それに対する君たちの回答は、何でも文教委員会、農林委員会等において、社会党からずいぶん責められたので、こんな責められた以上、こういうものは腐ろうと何しようとかまったものではない、われわれは断じてそういうようなものを相手にしないというようなことを答弁したそうですが、果してそうか、この機会にその真相を明らかに述べてもらいたい。
  51. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 陳情を私が伺いましたことは事実でございます。ただ文教委員会等におきまして、この問題について非常に深く御質疑がございまして、そのときに、加工用または飼料用として払い下げたものが、果して熱加工等が十分にされて市場に出ておるものであるかどうか、そういう面について文部省としてはどこまで監督をし、見ておるかというような御質疑をいただいたわけであります。これは、日本学校給食会といたしましては、従来払い下げをいたします契約のときには、十分に熱加工をする、飼料用のものにつきましては、加工用には一切回さないというような念書をとりまして、実施をしてきておったわけでございまして、形式的には責任はないと私どもは毛えるわけでございますが、いろいろお話を承わっておりますと、やはり学校給食用として受けましたものが、たとい払い下げた後におきましても、かりにそのまま還元されて一般用に供されるというようなことでもございますれば、やはり道義的に責任を感ずべきではないか、こういうような気持を深くいたした次第でございます。従いまして文部省といたしましては、この際は、農林省で、御承知のように飼料用としての脱脂ミルク輸入資金として五千トンもだけ、えます経費を予算に計上いたしておりますから、むしろその方に飼料として買っていただきまして、そうしてほんとうに飼料として使ってもらうということができますれば、それが一等われわれとしても気持の上においても非常に軽くなりますので、そういうふうな処置をとりたいということで、農林省とお話を続けておるわけでございます。そういう方針を持っておるものでございますから、先ほどのような御陳情を受けましたけれども、これは私どもとしては、そういうふうな方針で進む、あしからずお願いをしたいと申し上げた次第でございます。
  52. 春日一幸

    ○春日委員 私は、問題をやはり国家的立場において、あらゆる局面においてその責任者たちが検討を加えて、合理的にその処分をされるべきであると考えておるのです。そこで、この問題についていろいろわれわれが調査をしたところによると、あなたが処分して用途を考えておられまするこの飼料用というものは、これは全国酪農連合会、これは本年度五千トンの輸入を決定して、なかんずく六百トンがこの四月に輸入されて、さらにこれが追い追いと輸入されてくるという形において、今そういうようなものをもらっても困る、現実にそれは要らないのだ、こういうことが明確に答申されておる。だから、結局あなたの方が払い下げをしようと思っても、この全酪連はそんなものは要らないのだ、こういうことを明確に、これは農林省を通じてあなたの方にいっておるはずなんです。私の申し上げるのは、そのことがいいとか悪いとかいうことは別問題にして、従来長年にわたって、一つの商習慣になってはいけないのだけれども、しかし現在において現実の問題として、町の製菓業者やアイスクリーム業者、そういうような零細業者たちが、こういうような方面から流れてくるものに期待をしておったというこの現実、これはやはりとらえて何らかの救済策を講じてやらなければ私はならぬと思う。これらの諸君の事業計画は、この不良品のコストに、さらにこれを二百度の高熱処理によって殺菌を施すその加工料、それから税金、こういうようなものを加えても十分現在ならば市場採算に合うと言っておる。そうしてまたそれをもらわなければ、パン屋の生業もアイスクリーム屋の事業もビスケット屋も商売が成り立たないで困っておると言っておるんですよ。それで一方飼料屋は、これをもう手当はしているから要らないといっておる。それから業者は、飼料の独占を期して市場に出していない。だから業者は成り立たなくて困っておる。現在ここに何百トンかの品物を政府が手持ちしておる。だからそれをくれといったら、なるほどそういうような意見もあるかということを冷静に判断して、そうしてそういうことの適否についてこれを白紙で検討して、そして処理ができるかできないかを論ずべきものであって、こんなものは腐ろうとどうしようと、国会でやっつけられたから絶対にやりません、こういうようなかたくなな偏狭なヒステリックな答弁をするということがありますか。少くともあなたは文部省の学校給食課長として、ここに述べられただけでもすでに何十万ポンド、トータルにして三カ年間に五十万ポンド、こういう大きな量を扱ってきて、しかもそれの中には、避けがたきいろいろな不良品が出てくる、その不良品を合理的に経済的に処分するというようなことは、あなたの職責の中の付帯事項として当然考えられていいことだと思う。飼料用としてやるということも、それは考えられることだけれども、飼料用は飼料用として初めからそういう成分のむのが作られるのであって、少くとも学童給食用に作られた優良な品物が、輸送の途中に破損したり夾雑物が入ったら、そういうようなものを除去して、そうして完全なものにして、それが国民の栄養のために役立つというのだったら、そういう方向へも向って大いに研究をしていくという態度が私は当然期待されることだと思うのです。それを、国会で問題になったから、もう腐ろうとどうしようとわしの知ったこっちゃない、あなた方の陳情は受けないといって、中小商工業者たちが団体を作って、正当のルートを踏んであなた方に陳情しているというのに、そういうようなふてくされた答弁をするということがありますか。こういうようなことについては、一体どういうような考え方を持っておられるか。あなた方の考え方一つ述べてもらいたい。なおあなたの答弁によると、酪農の方に出すといっておるけれども、酪農の方は、現実に五千トンの輸入の割当が計画されて、すでに六百トン入ってきておって、この秋になれば過剰になるから、あれは要らぬといっておる。要らぬところにやる必要がありますか。これは飼料用として輸入したものじゃないんだから、学童給食用に充てることができないならば、次善の策として、最も高い効率を考えて、その品物を国家的立場においてどういうことに使ったらばいいかということを考えるのが、あなたの責任じゃありませんか。それを、腐ろうとどうしようと知らぬということは、一体どういうわけだ。それを一ぺん答弁してみなさい。
  53. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 私は、腐ってもほうっておくというようなことを言ったように、ただいまは記憶しておりませんが、そういうふうにお聞きになったような表現がかりにあれば、これは私の不用意でありまして、この点はお許しをいただきたいと思います。ただ学校給食用ミルクにつきましては、御存じのように、アメリカから一ポンド二セントで、特別の価格で購入をいたしております。従いまして、学校給食用に使えないものでも、加工用としてりっぱに使えるものでありますならば、われわれとしては、むしろ加工したものとして学校給食用に充てることが妥当ではあるまいか。最近そういうふうな考え方を持ってきておるわけでございます。と申しますのは、ミルク事件がアメリカ側にもかなり強く響きまして、ただいま二セントで買っておりますミルクにつきましても、かなり値上げ問題とか、そういうことも起りそうな気配も見えますし、この事故ミルクの処分の結果につきましては、やはり相当注目をしておるように見受けられる節もございます。従いまして、少くも食用に充て得るというものであるならば、むしろこれを学校給食用に充てるのが当然ではないかというようなことを言われるおそれもあるのではないか、こういう考えを頭の中には持っておりますので、飼料としてならば、これは食用には供し得ないもので、従って学校給食用にも当然供し得ないものだということで、十分アメリカ側に対しましても、かりに何らかの話がありましても、弁明もできるであろうというような考えを持っておるわけでございます。そういうようなことを考えておりますものですから、陳情に対しましても、実はお受けできないとはっきり申し上げたような次第でございます。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 これは専門的な問題であるから、十分合理的に検討されてしかるべきだと思うが、今あなたの御意見によると、そういうふうに加工して食用に供されるものならば、加工して学校給食に充てたいということだけれども、問題は、学校給食の場合は、粉ミルクそのものを高い密度においてこれを学童に直接支給するという形になると思う。ところがこれを加工用に回していけば、パンの中に混入するとか、あるいはお菓子の中に混入するとか、チョコレートの中に入れるとか、しかもその生産過程において、高い熱度の処理がさらにダブって加えられていくということで、学童給食には多少の危惧があるかもしれないけれども、しかしながら、そういうような加工用ならば、全然食用に供しても支障はない、こういうようなことは、だれが考えたって常識的に出てくる結論だろうと思うのです。それで、今あなた方の当初の方針は、これは飼料用に出していくのだけれども、現在そういうような町の中小商工業者が品物が全然なくて困っておるのだ。しかもその現物はあるのだ。そうして町工場ではなく、一流の大会社が、デンマークから高性能の機械を買い入れた長野県の協同乳業が責任を持って一つ危険のない状態、りっぱなものにすることに協力いたしますという引受書も出ておるならば、こんなものは、白紙の問題として当然検討してやるべき問題であって、そんなことを言下に拒絶すべき性質のものじゃないと思う。別にアメリカから持ってきたからといって、アメリカが宮川個人に対して好意で送ってきたものじゃないのだから、国と国との関係においてそういう品物ができたら、そうしたら、この品物がこんなふうに障害品ができたが、これをどうしたらいいだろう、あらゆる意見を取って、そこの中から最もいい結論を出して国家的立場、総合的経済的高度の立場からこれを検討して、そうしてこれを急速に処分すべきであって、国会で問題になったから意地でもそういうような方向へやらないということなら、うっかり国会に陳情できないじゃありませんか。そういうような見解をとって、ヒステリックな回答を国民に対して与え、しかもその業者が全国的に団体を作って——個人が自分が何か利権に関係をして、これによって処分しようというのではなく、現実に今東京も名古屋も大阪もそういう品物がなくて、この夏を越すのに非常に困っておる。そうして危険のない状態に加工するということで、業者相互間のこういうような加工に関する綿密なる打ち合せも遂げてあなたのところに行ったならば、あなたの方はそれを受けて立って、国会の論議に付するなり、あるいはまたあなたの方の正当な委員会の協議に付するなりして、そうして問題を処理すべきものであると私は考えるが、依然としてあなたの考えは変らないのであるかどうか、この点をもう一ぺんお伺いをいたしたい。
  55. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 先ほど申し上げましたように、大体従来の方針でやっていくようにしたい、こういう考えでございます。
  56. 春日一幸

    ○春日委員 従来の方針とは何ですか。
  57. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 飼料用といたしまして、農林省の方に買ってもらうというような方向で参りたい、こう考えております。
  58. 春日一幸

    ○春日委員 農林省の方に買ってもらいたいといったところが、農林当局も酪農協会も、そんなものは要らぬと言っている。初めから飼料用として作られたものが五千トン入ってくる、それがすでに六百トン入ってきて、そんなものは要らぬと言っておる。要らぬと言っておるところに、何のために買ってもらうのか、そのわけを聞かしてもらいたい。
  59. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 私どもが現在農林省と話をしております段階では、要らぬということは聞いておりません。ただ五千トンの範囲内において、学校給食用の事故品が年間二百トンとか三百トンできる見込みでありますから、それをあらかじめ計算に入れて輸入の方を考えていただくというようなことに話し合いを進めておるのでありまして、現在のところ、余っておるから要らぬということは私は聞いておりません。現に農林省の夏季牛乳製品の需要対策に対しましても、学校給食用の脱脂粉乳の不良品を飼料用に転用することにより、増産によってこの需給緩和をはかる、こういうことが要綱の第二であります通り、大体飼料用として学校給食用の不良品のミルクを充てるのだという構想は、農林省当局も持っていて下さるわけでございます。
  60. 春日一幸

    ○春日委員 日本乳製品協会は、国産品の二百トンの不良品が出てくる、さらに外国から五千トン入ってくる、こういうことで、すでに需要を満たして余りあるものがあるのだから、今そういうようなものを分けてもらう必要はないと言っておる。これは私が調査したところの大体の状況であるが、しかしあなたは、農林省は要らぬということは言っておらぬという前提に立って基本方針を貫こうとしておられる。私はこの機会にお伺いしたいことは、もし農林省並びに酪農協会が私が調査をしたごとく、それは要りませんというた場合はどうするか、これを一つ伺いたい。
  61. 宮川孝夫

    ○宮川説明員 私はそういうことはないと考えておりますので、そういう場合のことを現在では考えておりません。五千トンの輸入量の中に、学校給食用ミルクの不良品として出ますものをあらかじめ入れまして輸入をしてもらうということであれば、その五千トンのワク内でございますから、これ以上に出る、プラス・アルファになるのじゃなくて、ワク内としてそういうふうにしてもらう、こういう考えを持っておるわけでございます。
  62. 春日一幸

    ○春日委員 私、問題は処理の仕方が非常に官僚的で、これはけしからぬと思う。現実の問題として、われわれが調査した範囲内では、酪農協会もそれは要らない、すなわち口内産で二百トンの事故品が明らかに出るのであるから、それを優先的に振り向けるので、この際学校給食用の不良品は飼料用として介在する余地はないということを明らかに言ってきておるわけです。一方、町の中小零細業者たちは、こういうものが入ってこないことによって、また今回のこの脱税事件に便乗をして、四大商社が値段のつり上げをはかっておる、品物の出し惜しみをする、こういうようないろいろなしわ寄せで非常に困っておるというこの段階において、当然国は何らかの形で、できるものならば救済の措置を講ずべきものであると思う。しかしながら、こういうような高度の政策については、課長相手に話しておってもなかなか問題の解決はつかないと思いまするし、本日は時間もだいぶたっておりますから、いずれこの次の機会に清瀬文部大臣、それから局長の出席を願いまして、この処理を国家の高い経済的視野に立ってされることのために、一つ論議を行いたいと思います。本日は私の質問はこれにて一応留保いたします。
  63. 松原喜之次

    ○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時四十五分散会