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1956-04-24 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十四日(火曜日)    午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       生田 宏一君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       福田 赳夫君    保利  茂君       坊  秀男君    前田房之助君       横川 重次君    有馬 輝武君       石山 權作君    井上 良二君       田万 廣文君    平岡忠次郎君       横錢 重吉君    横山 利秋君       岡田 春夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月二十日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として山  口丈太郎君が議長の指名委員に選任された。 同月二十四日  委員山口丈太郎君及び石野久男辞任につき、  その補欠として横山利秋君及び岡田春夫君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十日  国の債権管理等に関する法律案内閣提出第  一四九号)(参議院送付)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融制度調査会設置法案内閣提出第七六号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    ○松原委員長 これより会議を開きます。  この際御報告いたします。当委員会において予備審査中の国の債権管理等に関する法律案につきましては、去る二十日参議院において可決され、同日本院に送付されて当委員会に本付託となりましたので、御報告いたしておきます。     —————————————
  3. 松原喜之次

    ○松原委員長 次に、金融制度調査会設置法案を議題として、質疑を続行いたします。石村英雄君。
  4. 石村英雄

    石村委員 金融制度調査会法案について、大蔵大臣にお尋ねいたします。実は、従来この法案委員会に付託せられまして、いろいろ論議が重ねられてきたのでございますが、大体断片的な論議にすぎなかった。それで、もう大体与党の方では早くあげたいというようなお考えもありますので、一つ総括的な質問をいたしましてわれわれの態度をきめたい、こう考えておったのでありますが、けさの新聞を見ますと、大蔵大臣はこの金融制度改革について、相当具体的に腹案を述べていらっしゃいます。現在大蔵委員会でこの法案審議しておる最中、しかもほぼ最終段階に来ておるというときに、こうしたことを新聞に御発表になった理由はどこにあるのでございましょうか。これは、委員会においてむしろ発表せらるべきことだと思います。大蔵大臣発表になった御趣旨を一つ御説明願いたいと思います。
  5. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今朝新聞に出ておりますことは、昨日記者諸君に話したのでありますが、これはしかし何も新しいことではないのであります。あれはいずれもすでに予算委員会その他の委員会で御答弁申し上げてあることを質問されましたので、一応さらったということであります。
  6. 石村英雄

    石村委員 いろいろ断片的には各委員会でお触れになっておるとは思うのでございますが、この法案のかかっている大蔵委員会で、こういうようにまとめてのお話しはまだなかったわけでございます。悪く解釈すれば、大蔵委員会審議を無視していらっしゃる。こうもとれるわけです。大蔵大臣は、大蔵委員へ会の審議なんかはどうでもいいというようなお考えなのでありますか。
  7. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決してさようなことではありません。昨日記者諸君金融の問題についていろいろ質問された。さしあたりやはり質問をするとすれば、ああいう問題に触れるということはやむを得ないだろうと思う。そして、事柄はもうすでに国会委員会で、みんなあれは私が御答弁を申し上げたことばかりであります。決して大蔵委員会をどうというわけではございません。私はきわめて軽い意味で答えたのであります。
  8. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣は各委員会ですでに述べた古いことだ、こうおっしゃいますが、そんな古いことなら、新聞がこのように出すはずはありません。やはり国民として、これは大きな問題として、大蔵大臣のお考え発表になったものと判断したからこそ、各新聞が大々的に取り上げたのであって、古いニュースなんかどこも出す新聞なんかないわけであります。現在の国民に対する影響の大きいことを判断したからこそ、新聞は出したのだ。大蔵大臣は、これはもう古いことで、何も百新しいことはない、どうでもいいことだ、こういうふうにお考えになったかもしれませんが、世間はそうとらない。だからこそ、こう新聞に大きくあげられておるわけです。私は、大蔵大臣が何も大蔵委員会審議国会審議をどうでもいい、こうお考えになっておるとは思わないのですが、おそらくこういう発表をせられて、世間の世論を打診してごらんになったのだ、こう判断するのでございますが、いかがですか。
  9. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 決して何か他意があったようなことではありません。私の話について、時によると、私は割合に問題が大きいと思うておることを、新聞は小さく扱うこともありますし、私が何とも思わぬことでも大きく扱う。これは新聞社の方のいろいろ工場もございましょう。私が昨日話した事柄は、先ほどから御答弁申し上げた通りでございまして、決して何か特別な考えでああいうふうな話をしたわけでは毛頭ありません。
  10. 石村英雄

    石村委員 これは、せんだってこの委員会でも、日銀新木総裁参考人としてお呼びいたしまして、いろいろ御意見を聞かしていただきましたが、それに対して大蔵大臣のお考えが相当違っておるという点もあるわけです。そこで、新聞一つは大きく取り上げたと思います。大蔵大臣は、金融制度のことなんかおれにまかしておけばいいのだ、お前たちそんなことを問題にしなくてもいいのだというようなお考えかもしれませんが、これは実に重要な問題だと思います。それを、大蔵委員会に総括的にまとめて発表なさらずに、われわれがこれから質問をしてそれを明らかにしたい、こう考えておったやさきに新聞発表なさいますと、われわれとしても、もう聞きたいことは新聞をごらんなさい、いつかの内田さんの答弁のように、詳しくは新聞に出ておりますというようなことで、われわれは何も大蔵委員会を開かなくてもいい、もう少し新聞を二、三日ゆっくり読んで、また世間意見を聞いて、慎重に審議すればいい、こう考えるわけです。どうも大蔵委員会審議する気力がもうわれわれにはなくなってしまう。何も大蔵大臣にここで聞かなくてもいい、新聞さえ読めばいい、こういう内田さんの答弁と同じことになってしまう、こういうおそれがある。いかがですか。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 繰り返して申し上げますが、あの話はもうたびたび実は国会で話したことであるのでありまして、たとえば何か日銀総裁が先般ここでお話しになったことについて、私が話したというようなことではないのであります。むしろあの問題については、ああいうふうな問題の提起の仕方は、すでに私が前にしておることなのでありまして、しかもあの事柄については、何も問題の解明は与えていない。ただ問題点を提起しておるのでありますから、あの問題について御議論なさろうと思えば、これはたくさんこんこんとして尽きない問題があるのであります。決して問題がきまっておるわけではないことを申し上げておきます。
  12. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣が昨日こういう新聞発表をなさったことに対するわれわれの考え方というものも、お互いでもう少し相談してみなければならぬと思います。それで新聞をたよりに、二番せんじみたいで、まことにおかしなことになりますが、お尋ねしていきたいと思うのであります。  まず、この調査会で二十名の委員を「金融又は産業に関して深い知識と経験を有する者その他学識経験のある者」こう規定してありますが、大体こういう二十名の構成範囲はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。金融界と申しましても、都市銀行あり、地方銀行あり、あるいは長期信用銀行あり、また中小企業関係銀行もあります。また産業界と申しましても、中小企業の方もあります。この方でも、大体どういう構成でこの二十名をお作りになるお考えであるか、もう少し具体的な点——これは新聞に出ていないようでございますが、お尋ねいたします。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 委員をどういうふうにするかは、まだ具体的にきめておるわけではありませんか、金融産業関係しまして、できるだけ広い範囲で、各利害関係を代表されるような方々で委員構成したいと考えております。
  14. 石村英雄

    石村委員 あまり具体的に考えていないということですが、二十名というように人員まで限定していらっしゃるのですから、かなり具体的に判断せられて人数も出てきたのだと思う。そんならこっちも具体的にお尋ねしますが、中小金融制度とか、農林漁業金融制度とか、こういう方面代表者をお入れになる御意思がありますか。
  15. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん参加をお願いするつもりであります。
  16. 石村英雄

    石村委員 金融界のこうした中小金融の方というだけでなしに、産業界においても、中小企業の者、あるいは農林漁業関係の人、これは産業代表意味でやはりお入れになる御意思がありますか。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業につきましては、できるだけ事情をよく御存じの方に委員に御参加をお願いする、かように考えております。十分適当な方を考えたいと思っております。
  18. 石村英雄

    石村委員 もう少しはっきりお答え願いたいと思うのですが、中小企業関係金融の方、あるいは農林漁業金融関係の方というのは、産業界中小企業のもの、農林漁業のもの、二つに分けて、何方お入れになるというお考えかどうか。
  19. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは二十人の委員ということもありますが、私の気持としては、それぞれ一人ずつぐらいはお願いをしても、二十人のうちに入る、だろう、かように考えております。
  20. 石村英雄

    石村委員 これは金融界、または産業界、あるいは学者ということになりますが、一般庶民と申しますか、特に国民金融公庫とかあるいは相互銀行とか、そういうものの対象になる庶民階級の人、受ける方ですね、そういった方面の人も、これは代表者といえばなかなかむずかしいかと思いますが、お入れになる御意思がありますか。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は御参加を願っていいと思う。
  22. 石村英雄

    石村委員 よく聞えなかったのですが、もう少し明瞭に大きな声でお願いします。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 適当な方がありますれば、御参加を願ってもいいと思っております。
  24. 石村英雄

    石村委員 適当な方があればということですが、もちろん不適当な人を入れるわけにもいかないでしょう。しかし適当な方があれば入れるじゃ、入れるのか入れないのか、われわれはさっぱりわからない。そのとき見つかりませんでしたといえば、それきりになってしレ孜う。あなたの方で積極的にそういう人を探して、適当な人をお入れになるという、そういう腹案があるかどうか。積極的と消極的とでは、結果においては非常な違いが出てくると思いますが、その点どうお考えになりますか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今なかなか選択がむずかしかろうというお話もありましたから、そういうふうに申し上げたのでありますが、私としては入れることに努力いたします。
  26. 石村英雄

    石村委員 それで、この委員の点は一つ善処を期待するといたしまして、この調査会諮問せられる内容ですが、まずこの調査会は、本文を見ますと、諮問に応じ、調査審議し、必要と認める事項を建議すると、こういうようにありますが、これは諮問による答申と、また調査会が積極的に調査審議しての建議というものと二通りあると解釈していいですか。ただすべてこの建議という意味は、諮問に応じての建議にすぎない、答申にすぎない、こういうことになるのですか、二通りありますか。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 原則的には、諮問を申し上げてお答えを願う、これが原則でありますが、しかしその他調査会で御意見があることは、十分御建議も受けて私はけっこうと考えます。
  28. 石村英雄

    石村委員 それからこの調査会諮問せられる場合に、その諮問案というものは、金融制度を何とか改善する方法ありやというような何かばく然とした諮問をなさるお考えですか。あるいは具体的に、たとえば日銀法について、何々についてはどう考える、あるいは中小企業についてはどう考える、為替銀行についてはどう考える、あるいは長期信用銀行関係についてはどう考えるというように、具体的な問題を提起して諮問せられる御意思があるかどうか、この点をお尋ねしておきます。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のところ私の考えとしては、諮問する場合には、具体的に問題を提起いたしまして御審議を願いたい、かように考えております。
  30. 石村英雄

    石村委員 この諮問に対して当然答申が出てくると思いますが、この金融制度調査会というものは、今まで臨時金融懇談会というようなものが大蔵省内にすでにあると思うのであります。それがあるにもかかわらず、こういう法律をもってちゃんとお作りになるということから考えますと、今度の調査会答申というものは、大蔵大臣としては相当重要視せられるのではないか。そのためにこそ、こういう法律お作りになったのではないかと考えますが、答申がありましたら、その答申を全部御採用になるかどうか。大蔵省として、それは答申にすぎないのだから、気に入らぬことは採用しないということも一つ考え方でございます。しかしそうなりますと、ちょうどあの選挙制度調査会みたいに、都合のいい小選挙区という一つの結論だけ取り出して、そして自分で勝手な選挙法を作っておやりになるということも考えられる。金融制度調査会がだしに使われるにすぎないという懸念も出てくると思います。答申については、大蔵大臣は全面的に、大蔵大臣として気に入らぬことでも、これは法律で作った権威ある調査会の答中であるからとして採用せられるというだけの通帳のもとに、この諮問をなさるのかどうか、お尋ねいたします。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この調査会はむろん諮問機関でありますから、この調査会の御決定を全部そのまま採用するということはお約束いたしかねます。できるだけそうあることを希望いたしますが、しかしその答申の結果を尊重いたしますことは言いうまでもありません。
  32. 石村英雄

    石村委員 まあ答申ですから、あるいは政府立場として等申を一切がっさい何でもかんでもというわけにもいかないと思うのでありますが、そういうことになるとすると、選挙制度調査会のなまなましい事件もあるわけでありますから、大蔵大臣としてどうしても金融制度に対する改革をしなければならぬというお考えがあるならば、それをお示し瀬いたい。また反対に、こういうことは絶対にしてはならぬというお考えもまた同時にあると思う。答申は、どんな案が出てくるか、それはわかりませんが、大蔵大臣がこうしたことはぜひともやりたい、こうしたことは絶対にやりたくない、こういうことがあると思うのですが、それを実はこの大蔵委員会で御発表願いたかったのであります。その大部分が昨日の新聞に出てしまっておるわけなんです。それで新聞発表を確認する意味で、一つ大蔵大臣から、具体的にその積極的なもの、あるいは消極的に否定せられるもの、それを明らかにしていただきたいと存じます。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体この調査会ができた場合に、どういうことを具体的に諮問するかという御質問と心得るのでありますが、これは、なおこの調査会がいよいよ活動いたしますまでの間において慎重に考え検討いたし、かつまとめたいと存じておりまして、何もこれだけであるとか、あるいはこれは必ず諮問するというわけでありませんが、大体今こういうことを一つ諮問しようというような私の考えをここに申しますと、たとえば一般銀行関係については、支払い準備預金制度の創設について一つ審議を願う、また銀行などの自己資本の充実に関しましていろいろと御審議を願う、あるいはまたこれは少しこまかくなりますが、銀行自己資本に対して業務用その他の不動産の所有比率等考えてもらう、あるいはまた銀行取引先に対する融資限度というようなものを考えていいのかどうか、考えるとすれば一体どういうふうに考えるべきか、その他特に今後銀行の経営を健全にしていくということは、なかなかいろいろとむずかしい事情もある、そういうふうな方面について今後銀行はどうあるべきか、こういうことについても一つみんなの知恵を拝借したい、かようにも考えております。  さらに日本銀行法等につきましては、一体日本銀行の吸血の意思決定機関というものは、日本においてはどうあるべきか、どうあるのが日本国情に最も適するか、こういうふうなことを一つやはり研究してもらいたい。その他日本銀行法には、戦時立法部分も少くありませんので、そういうようなもろもろの規定の申請あるいは民主化、こういうことも考えております。  あるいはまた今日金利につきましては臨時金利調整法がありまして、この法律に基いて金利をきめておるのでありますが、この金利規制の方式はあれでいいのか、もう少しその後の国情の変化に応じた規制方法がとられないのかどうか、こういうふうな点。さらにまた全体の金融機関について、今日あまりにも何と申しますか、独自性というとあるいは言葉が悪いかもしれませんが、非常に入り組んでおりまして、どの金融機関も同じようなことをやっておるというふうな状況があるのでありまして、業務の分野を調整することの可否とか、あるいは調整するとすればどういう範囲にこれが可能であるか、こういうふうな事柄について、その他いろいろと問題点があろうと思うのでありますが、今こういう点の、一つ審議を順おうという若干について申し上げました次第であります。
  34. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣のただいまの御答弁は、ほぼ新聞に出ておることでございますが、ただいまの大蔵大臣お話を聞きますと、戦時中のああいうナチス的な考え方で、できておる日本銀行法を改めたい、こういうことなんですが、結局その意味は、日本銀行が現在はすっかり国家目的と申しますか、そういう形に縛られる、戦時中にできたのでああいうことになっておりますが、これを変えたいということは、現在のあまり国家の何にくっつくことを、やめて、もう少し金融中立性と申しますか、これはもちろん以前のようなことは、今日の状態では不可能ではあろうと思いますが、しかし何とかしてもう少し中立性を与えたい、こういう御意思があるわけなんですか。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、金融中立性は十分尊重していきたい、また尊重すべきだという立場を持っているものであります。ただし問題は、財政と金融とか、あるいは金融と経済とか、いろいろな関連において、中立性とは一体どういうふうに概念をして、また具体的にはどういうふうにあるべきか、これは私は問題があると思う。一口に中立性と申しますが、なかなかこれは明確でありません。ひとり日本だけではありません。どこの国でも、どこの金融首脳者、あるいは当局者と談合しても、なかなかむずかしい点があるのであります。しかし、私はできるだけの範囲において、金融中立性を持たしていきたいと考える。今日日本金融といたしましては、日本銀行法自体は非常に中立性を欠いております。これは先ほどからお話しがあり、私も申し上げるように、戦時立法であります。国家意志に従って日本銀行が動くような規定がそのままに残って、改正されておらないのであります。しかし、実際には中立性を守るような制度、言いかえればば、金利というようなものについても、事実上日本銀行において決定ができる、こういうふうな形に非常に強くなっているのではないか、かように考えているわけであります。こういうふうな合は、今後日へ銀行法審議願う場合にも十分尊重されるたろうと思っております。ただ何分今日のいろいろな制度は、敗戦の日本あるいはその後の占領政策、いろいろな事態を織り込んで誕生したものも少くないのであります。従いまして、こういうふうな点について検討を加え、再検討する。これはいつの時代でも必要なことであるのであります。が、特に日本銀行法のごとき基本的な法律の改廃について御審議を願う場合においては、すべてについてやはり見直していく、そうして新しい時代感覚、新しい国情をもって見直す、そうして将来どうなるであろうかという将来の見通しとともに見る必要がある、これは私は何人も異論のないことであろう、かように考えまして、調査会でいろいろ御審議を願いたいと考えているわけでます。
  36. 石村英雄

    石村委員 日本銀行法の改正に当って、戦時中の立法を改めたいということなんですが、大蔵大臣日銀総裁として身をもって体験して、いらっしゃることだと思うので、そういう一種の中立性と申しますか、金融自主性日本銀行自主性と申しますか、そういう点は、現行法のどの点をどのように改正すべきではないかというような御腹案があるのではないかと思う。これは、しろうと大蔵大臣なら何もこんなことはお尋ねしませんが、あなたは日銀総裁としての深い体験を持っていらっしゃる。日本銀行法をさらに国家意思に従わせるというふうに改正するというのならわかりますが、これに中立性を与えるように改めたいという大体、実際はうまくいっているという話ですが、改めたいというならば、どこか改める場所が具体的にあるはずだと思う。一条の間なんかを見ても、どこをどのように書き改めたい、またその他いろいろ保証発行限度についての公債関係、あるいは割引手形限度大蔵大臣が決めるとかいろいろありますが、どの点を改めなければならぬことだとお考えになっていらっしゃるか、その片りんでけっこうですが、お示し願いたい。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことを、一切あげまして調査会に御審議を願いまして、私は私の立場として虚心たんかいに、そういう意見を十分取り入れるべきものは取り入れるようにしたい。私が先走っていろいろなことを言うのは、これはやはり慎しむべきだ、かように考えております。
  38. 石村英雄

    石村委員 しろうとが先走って言えば問題があると思うのですが、大蔵大臣のような日本銀行総裁として多年の体験のあられる方がそう遠慮せられては、調査会も困ると思います。一つあなたの御意見を、御腹案をお示しになる必要がやはりあるのではないか、こう考えるのですが、この委員会にその腹案をお示し願うことはできないのですか。新聞の方にはすでに発表せられておりますが、新聞発表せられるなら、大蔵委員会発表していただきたい、こう考えます。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この決定について、一番力といいますか、影響力を持つ大蔵大臣が先にかれこれ言ったら、これは私適当でないと思う。そういう雰囲気を作っておかずに、ごく百中な雰囲気において衆知を集めて、最後にいろいろとまた御相談申し上げる、これが私はとるべき道だと思います。私か新聞に何か行ったからどうというお話でありますが、新聞にはただ問題を提起しただけで、こういうことが問題になるだろう、かように申し上げたわけであります。
  40. 石村英雄

    石村委員 調査会検討になるべくまかせたい、こういうことですが、調査会答申しても、大蔵大臣は間かれないこともたくさん出てくるんじゃないかと思うのです。そこで、私は腹案示していただきたい、こう申し上げておるのですか、どうもお話しになりませんから、次の問題に移ります。  支払い準備制度について、新聞を見ますと、これは一切現金に限る、公債有価証券などを認めることは邪道だ、こう言っていらっしゃる。支払い準備制度を採用するかせぬかで一番問題になるのは、国債その他有価証券を認めるか認めぬかということが、一番重要な論議の的であろうと思います。その点について大蔵大臣は、このように、はっきりこれは認めない、こう言っていらっしゃるのですが、この新聞発表は違いありませんか。それから、これは大蔵大臣の個人的な御見解であるのか、それとも自民党の党議によって国債を入れることは認めないということが決定されておることかどうか、この点をはっきりとお示し願いたいと存じます。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、支払い準備制度は現金ということを申し上げましたが、これは支払い準備制店そのものについて、支払い準備制度というものはこういうものだということを申し上げたわけであります。
  42. 石村英雄

    石村委員 支払い準備制度はこういうものだという説明ですが、それは公債を認めないものが支払い準備制度だ、こういうことをおっしゃったという意味ですか。支払い準備制度に一は祝金しか認めない制度もあろうし、また国債を含めて認める制度もあると思うのです。大蔵大臣は、国債は認めない、こういう新聞発表していらっしゃるか、そうすると、この新聞発表が間違いである。もう一つ、この次に国債を含める支払い準備制度もあるんだということが漏れておるのですか。世界には両方の支払い準備制度があるか、日本として採用すべき点は、国債を含めることは認めないのだというお考えで大臣はお話しになったのかどうか、これは非常に重要な問題だと思う。支払い準備制度を採用するかせぬかの論議の分れる点は、この点にあると思うのです。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、新聞にどういうふうにここのところを書いてあるか、けさ読んでおりませんから、御答弁しかねる点もありますが、私が先ほど申し上げましたのは、支払い準備制度というものはこうあるべきものだ、支払い準備制度というものは、流通資金量の調整ということを百的とするものであるから、いわゆる流通資金量の調節作用、従いまして、これはやはり現金を吸い上げ、あるいはその下を低めて現金を緩和する、こういうのが、これが支払い準備制度だ、こういうふうに私は申しておいたわけであります。どういうふうにそれをとっているか、私新聞を読んでおりませんから……。
  44. 石村英雄

    石村委員 新聞にはやはりその通り書いてあります。それは間違いないのですが、ただ支払い準備制度というと、よそには国債を入れ支払い準備制度もあるのだから、日本でこれを採用するというときに、大蔵大臣の御説明のように、国債は認めないというこの方法による支払い準備制度を採用するとすれば、国債は含めないのだということが、自民党の党議で決定していることか。あるいは大蔵大臣の個人的な意見にすぎないのか。もう世界のどこを探しても、支払い準備制度というものは現金だけしかないということなら、それはただいまのお話だけでわかるのです、かよそでは、俗に支払い準備制度といわれている中に、国債を入れている国もちゃんとあるわけです。制度は二通りのものを持っているのです。日本で今度採用しようとするかせぬか、これは調査会答申により、また政府の判断によることではありましょうが、それについて国債を入れた方法を認めないということが、大蔵大臣の個人的なお考えであるのか、それとも自民党の党議におしてもそれが認められていることであるかという点を、繰り返してお尋ねして、いるわけなんです。その点だけのご答弁でけっこうです。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 支払い準備制度が現金と、これは私理論的にそういうふうに思っております。しかしながら、これを日本銀行法を改正する場合にはどうするか、そのことには何も関連がないので、それは今後調査会諮問申し上げて、そういう御意見もよく拝聴して、どうするか決定すべきことで、私はただ、支払い準備制度という本来の姿はどんなものかといえば、こういうものだという私の見解を申し上げたので、これは私大蔵大臣であろうがなかろうが、一学究としても、また一経済人としても当然言えるだろうと思ってております。
  46. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣の御答弁では支払い準備制度というものは現金に限るものだ、こういう御答弁であります。それは、支払い準備制度金融調節のためのみに考えれば、その通りになるでしょうが、しかし預金に対する支払い準備ということになると、国債を入れたってけっこうのはずでございます。国債を入れたって、預金に対する支払い準備になるはずです。ただその国債を入れるか入れぬかということによって、今後の日本のインフレというか何というか、国債発行の道に対して非常な影響を持つことになる。支払い準備制度に国債を含めることを認めるということになれば、国債発行が非常に容易になるでございましょう。そういう重大な点があるからお尋ねしている。大蔵大臣は、支払い準備制度というものは現金に限るものだ、こういうお話なんですが、実際はそうではない。どういう方法をとるかということか肝心のことですから、それをお尋ねしているのですが、大蔵大臣は、国債を含めた支払い準備制度というものはあり得ないことだ、こうお考えなんですか。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから申しますように、そういう点について、今大蔵大臣がここで見解を申す筋はないのでありまして、そういういろいろな問題がありますので、それを金融制度調査会という法律を作り、その金融制度調査会にかけて十分御意見を拝聴して、そうして大蔵大臣が自分で決定するとなれ、ば、自分の所信に向って決定すればいいのでありまして、その決定する人が、初めからかれこれ言わない方が——それは言うていいものもあるかもしれませんけれども、すべてをまず調査会に御審議をお願い申し上げる、こういたすべきが筋だ、かように私は考えております。
  48. 石村英雄

    石村委員 形式的にはその通りだと思うのです。調査会制度というものは、調査するのだと言うのだったら、これは別に何も文句を言うこともないと思うのですが、そういうことによって、調査会を作って支払い準備制度答申をさせる、そうして、その中に国債を含ませるということをずるっと忍び込ませるのではないかという懸念があるからこそ、この調査会法案も問題になってくる。大蔵大臣がそんなものは絶対に認めない、自民党の党議としても、そんなものは認めないのだという確約があるならば、この問題についての論議はなくなってくると思う。そこをあいまいにしていらっしゃると、あるいは調査会で、支払い準備制度を置くべし、これは現金に限る、こういう答申があっても、政府はその中に国債を含ませるのじゃないかということを懸念してくるわけです。そこで重要な問題であるからこそ、大蔵大臣の正式な御見解を述べていただきたい。それがまた党としての正式な見解であるかどうかということもあわせてお尋ねしておる。ただ調査会論議して答申してくれば、そんなものはそれでいいのだということでは、われわれはこの調査会を簡単に認めるわけにはいかない。これは重大な問題だと思うのです。憲法調査会でも、ただ調査するということなら、何もへんてつもないことだが、調査会を作っておかしなことをするんじゃないかと思うから、問題になってくる。調査しますと言うなら、何でもみな調査すればいい、何も問題はない。しかし、そのことによってわれわれが改悪だと思うことをやられるんじゃないかと思うからこそ、問題になってくるわけです。この重要な問題について、大蔵大臣の見解をもっとはっきりおっしゃっていただきたい。どうですか、これは調査会にまかせるので、どうもはっきり言うことはできぬというお考えですか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは繰り返すことになりますが、調査会を作りまして、そうして、審議に待つ。責任あるこの調査会答申は十分尊重せよというお話でありますが、全くその通りなんであります。私は、あるものは審議会にかけ、あるものは大蔵大臣が先にかれこれ言う、そういうことは適当でないと思う。ただ私が言うのは、先ほどから申し上げましたように、支払い準備制度というものはかくあるべしだ、これだけは私は申し上げることが可能である、かように思っておるわけであります。
  50. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣立場でなかなか言いにくい点もあると思いますが、この支払い準備制度については、大蔵大臣は国債の充当は絶対に認めないというお考えと私は推測いたしまして、この問題を次に移したいと思います。  次に、大蔵大臣日銀の政策委員会についても、これは当委員会でもお話しかありましたが、アメリカのように多くの連邦準備銀行があるのと違って、日本には日本銀行だけだ、従って屋上屋を重ねるようなこうした日銀政策委員会はあったわけであります。新聞にもそのように出ておりますが、この日銀政策委員会は、やはり大蔵大臣は、屋上屋を重ねるもので、これは日本銀行の重役会で万事決定していけばいいことだ、こういうお考えで現在もいらっしゃるのかどうか、お尋ねいたします。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御質疑の点について、何も私は結論を出しておりません。しかし、これは政策委員会のできた経過から見ても、またいろいろと検討を要すべき事由も十分にあるから、しかもこれは中央銀行意思決定機関でもあるから、十分検討をして、ほしい、こういうふうに申しておるわけであります。
  52. 石村英雄

    石村委員 大蔵大臣は、アメリカの連邦準備銀行が十二あるとかなんとかいうようなことを言っていらっしゃいますが、これは考え方の問題だと思うのです。現在の日銀政策委員会があっても、何もそんなことで支障があるとは考えられない。これは日本銀行総裁としての体験上、あるいはこれは検討すべきことだとお考えになったのかもしれませんが、日銀政策委員会は一極の決議機関であって、重役会は執行機関だ、こう考えれば、何も屋上屋を重ねるものでもないと思う。やはり日本銀行総裁のかつての経験から見て、決議機関と執行機関は二つにしないで、一つでやった方が便利だ、あるいは便利ではないかというようにお考えになっていらっしゃるのか。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申しますように、何も結論を出しているわけではないのでありまして、いろいろとまた御意見があり得る点がございます。従いまして、調査会ができますれば、衆知を集めて、十分御検討を願うがよかろう、かように申しております。
  54. 石村英雄

    石村委員 それからさっきの御説明の中に、割引の限度をきめるようなことのお話があったのでありますが、これは、具体的な現在の制度のことで私はお尋ねいたします。たとえば西ドイツなんかでは、朝鮮動乱が始まったあと、非常な金融の引き締めをいろいろやっております。調べてみますと、手形の信用くぎづけであるとか、手形の割引残高の一〇%削減とか、あるいは貸し出し準則の指示、短期貸し出しは自己資本の二十倍以内、こういうような非常なきびしいやり方をとっておりますが、こうしたことは、現在の日銀法等ではできないことになっておるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 日本銀行がそういうふうな金融政策をとる場合は、申すまでもなく、今日では貸し出し制度、いわゆる金利制度、あるいはいろいろとある程度の話し合い、いろいろな形でやっているわけです。しかし今日のように金融が緩慢になり、貸し出しが減ってくると、その点についての調整は結局オペレーションをやる、あるいはまた将来予想されるであろう支払い準備制度というものを基本にしていく、こういうような方法をとる以外に私は確実な道はないであろう。金融統制は別個であります。
  56. 石村英雄

    石村委員 私のお尋ねしたのは、こういうことが現行法でできるかできないかということをお尋ねしたわけです。この点どうなんですか。西ドイツのレンダー・バンクが、朝鮮動乱後非常にきびしいインフレ抑制政策をとっている。ところが、これは日銀総裁であった一萬田さんのその当時の処置はよろしきを得なかった、こう判断しておりますが、そうしたことは法規上とり得なかったかどうかということをお尋ねしているのです。せんだって新木さんか見えたとき、これをお尋ねしたいと思たんですか、時間がないので聞かなかった。この点、現在の法規上どうなっておるかということをお尋ねいたします。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 法律の上から、直接に貸し出しをどうしようこうしようということはできません。これは、やはり今日金利政策、あるいは担保の関係、あるいはまた特に私の当時では高率適用、こういうふうないろいろな形においてしておったのであります。特に朝鮮動乱後における場合においてのむずかしさは、今日でも若干似ているんですが、会社が非常に利益を上げまして、それで会社が自分の金でもって設備の拡張をやる、これはいかんともしがたい。そこで、当時としては、銀行にできるだけ貸し出しを回収するようにという指導をいたして、貸出金の回収をはかるようにしたわけでありますが、何分ああいうふうなブーム的な景気ですから、銀行勘定に現れているのは、自分の金でもって自分の設備をして、その後に今度は金が足らなくなって、銀行から借りる。どうしても、銀行の勘定にああいったような景気の関係が現われるのがおくれてくる、こういうふうな事態であって、その点非常に困難があるのであります。今回、若干ああいうふうな状況とは質も変っておりますが、今日会社等が利益を上げつつあります。私は、この際やはり銀行の回収を促進するような道をとるのがよかろう、かように考えておるわけであります。
  58. 石村英雄

    石村委員 次に、大蔵大臣にお尋ねしますが、現在の管理通貨制度、これを改めたらどうかというようなお考えがあるのですか。どこかの新聞には、ちょっと触れておったと思うのですが、管理通貨制度を改めて、昔のような正貨準備というわけには、あるいはいくかいかぬか知らぬけれども、何とか現在の管理通貨制度は改むべぎだというお考えは持っておるのですか。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 将来については、幣制について何とか考えなければならぬと思っておりますが、今ここで幣制についてするのは、時期尚早で、適当でないと考えております。
  60. 石村英雄

    石村委員 具体的な内容は、新聞にも出ていないのでわかりませんが、またいずれ新聞発表されるでありましょうから、そのときにお聞きすることにいたします。この発券制度の問題も考慮には入っているようですが、いつか外国為替をこの準備にしたらどうかというような意見が一部にあったと思うのですが、こうした意見について、大蔵大臣の御見解をお示し順いたい。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その幣制については、私今言うのは、時期が適当でない、かように思っております。
  62. 石村英雄

    石村委員 僕は、大蔵大臣一つの権威ある御答弁、御説明を願いたいと思ったのですが、お述べになりませんから、遺憾ながら続いては聞きませんが、この関係でお尋ねしたいのは、現在政府において、外為の特別会計があります。これをやはり今後も存続せられる意思があるかどうか。という意味は、全部日一本銀行にやらせてしまう、特別会計をやめて日本銀行にやらせる。こういう考え方もあるいはあるのではないかと思うのですが、大蔵大臣は、この点についてはどう考えますか。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 筋としては、これは日本銀行に移すのがいいと思っております。ただしかし、いろいろ時期がありまして、そういう点について今検討を加えておる。特にこの金融の情勢といいますか、金融が急激に緩和しつつあるというような情勢等を十分にらみ合せて進んでいきたいと思っております。しかし筋は、日本銀行にやらすべきだという考えに変りはありません。なるべく早い機会にさよういたしたいとも思っております。
  64. 石村英雄

    石村委員 そういたしますと、金融制度調査会への諮問事項のうちに、こういうことも入ってきますか。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、金融制度調査会諮問するには及ぶまい、かように考えております。
  66. 石村英雄

    石村委員 最後に、一つ大蔵大臣のお考えをお尋ねしておきますが、岸幹事長が山口県の山口にいらっしゃって、三月の二十四日にこういう談話を発表していらっしゃる。「今後は積極財政に転換し拡大再生産に乗り出す。まず手持外貨を産業の基礎部門に投入し、建設公債を発行する。これは、おそらく自民党の党議できまっておるのだと思いますが、この具体的な内容をお示し願いたい。外貨をどういう手段によってこういうやり方をなさる考えであるか。外為の持っておる外貨を見返りに公債をお出しになるということになると、これは二重に金が出てくる。それはどういうお考えであるか。どうもわれわれ判断に若しんだのです。これは、大野伴睦さんがこういうことをおっしゃったならば、そういうことでも済まされますが、かつて東条内閣の商工大臣か何かをやられたような、こういう経済について明るい岸さん、しかも神事長がこういう談話を発表せられたとすると重ねられておる問題だと思いますので、具体的にそのお考えを御説明願いたいと存じます。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も実はまだ何にも存じませんので、いずれまた幹事長とお会いした場合にいろいろお聞きいたすことにいたします。
  68. 石村英雄

    石村委員 この問題は、私は非常に重要な自民党の考え方だと思うのです。大蔵大臣がそういうようにつんぼさじきにいらっしゃるということは、困ったことだと思いますが、一つ積極的に、早く手おくれにならぬうちに岸幹事長にお尋ねになって、大蔵大臣の御意見発表せられて、誤まっておれば是正するように御努力を願いたいと思います。長期取引みたいに、あとになってからあわてられるようなことでは手おくれになるおそれがありますから、御忠告申し上げておきます。  私の質問はこの程度にいたします。
  69. 松原喜之次

    ○松原委員長 春日一幸君より関連質問の要求がありますので、これを許します。春日一幸君。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 朝刊各紙に発表されました金融改革に関する一萬田構想、これは、私は重大な意義を持つものだと思うのであります。すなわち、わが国の金融制度がいかにあるべきかということを調査審議するために、今ここに金融制度調査会が新しく設置されんといたしておるのであります。従いまして、この際政府当局としては、当然この金融政策がどうあるべきかということについての積極的な音心志表示、こういうようなものは厳に慎しまるべき、慎重に取り行わるべき段階にあると思うのであります。ただいま同僚石村君に対する御答弁によりますと、これは従来しばしば本委員会並びに予算委員会を通じて等介したところであって、別に事新しいことではないということではありましたが、私どもの理解をもってするたらば、答弁するということと、それから構想あるいはその方針を発表するということとは、これは全然意義が違うと思うのであります。答弁するということは、私はかく考えるということであり、構想、方針を発表するということは、われはかく行わんとするという、こういう積極性を持っておる。そこで私が申し述べたいことは、ここで新聞発表されております各項目は、先般来の本委員会の質疑を通じても明らかなる通り、いずれもこれは調査会諮問が発せられんとしておる事柄はかりであります。そういうような事柄に対して、大臣がこういうふうにやりたいと考えておるという御答弁をなさることは、答申を求める相手に対して、すでにその答えを出しておるようなものなんです。すでに大臣がその答えを出して、そうしてその相手に答申を求めるというようなことは、いうならは調査機関をしてまさにロボット視しておるものであると思うのであります。私はこういうような立場から、ほんとうにあなたの方針がきまっておるならば——今朝の新聞各紙は、非常に強く、かつ明確にあなたのその構想を発表いたしております。たとえば日銀政策委はかくかく、あるいは支払い準備制度は設けるべきだ、さらに細目にわたって現金に限る、さらに一段とそれを進めて上下のワク云々。それから臨時金利調整法は将来なくして、銀行の自主的な協定にまかせる云々というような工合に、すべて細目にわたってあなたの方針というものが明示されておる。いずれの新聞も同様の報道をいたしておる限りにおいては、これは新聞の誤報とは言えない。そういうふうに政府の方針がきまっておるならば、私が今ここに申し上げたいのは、今さら金融制度はいかにあるべきかというようなことを他人に調査研究を委託するような必要は全然ないと思うが、この点はいかかでありますか。われわれの最も近い経験をもってすれば、さきには選挙制度調査会という機関が設けられて、これにわが国の選挙制度はいかにあるべきかの諮問を発せられたが、その答申がいかに取り扱われたかは、あなたも閣僚の一人として御承知の通りである。そういうような全然答申というようなものを当てにしない、ただ形式的にちょっとやって見る、試みてみて、その責任を民間の者にも転嫁できるというだけのしゃれならば、私はこの際こういうようなぎょうぎょうしい法律まで設けて、ここに金融制度調査会などのごときものを設置する必要はないと思うが、この点に対する大臣の御見解はいかがでありますか。
  71. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 新聞のことが非常にお気にかかるようでありますが、私は何もあれは——見出しはいろいろと新聞でおつけになるのですが、あれはごらんになればわかりますように、私の構想というようなそんな大それたものでもありません。方針でもないのであります。ただいろいろと問題になりそうな点を質問されたことにつきまして、こういうところは問題であろうというふうに話した、それだけであります。何も日本銀行といいますか、日本金融制度を今後どういうふうにするかということについて、私は構想を示したり方針を示したりしたことはないつもりであります。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 あなたはそういうような答弁をされております。ここに私どもが思いあたることは、先日もここに新本日銀総裁の御出向を願って、参考意見を聴取いたしました。そのとき、われわれが日銀総裁に対して、あなたが触れられておりますことごとくの項目について、総裁の意見はいかがであろうかと質問いたしました。それはあなたもあとで速記録をごらんになって、御検討になってしかるべきでありますが、そのときの総裁の答弁は、そのことごとくに対して、これは今や法律によって金融制度調査会が設置されようといたしておる、従って、わが国のたとえば日本銀行法がいかにあるべきか、あるいは銀行法、あるいは臨時金利調整法等がいかにあるべきかというような重要な金融政策については、これはいずれもその調査会にすべからく諮問が発せられるべきものであって、そのとぎもしも委員になったならば、委員の一人として適切な意見を申し述べたい、そこで、私の意見日銀総裁立場においてここで申し述べることは、はばかる。こういうことで、積極的な意見をその責任の重大性にかんがみてお述べにはならなかったのであります。こういう責任ある立場にあるところの口日銀総裁の態度、さらにより多い責任をお持ちになる大蔵大臣、これのあなたが新聞記者団に発表されたところのその態度は、これはまさに相対立するものである。あなたは、かくかくのごとし、かくかくあるべしということを新聞に明確に明示されておる。両者の態度をここに比較検討して、われわれは一個の批判が浮んでくるのであります。どうも大臣は、この金融制度調査会のようなものは、ただ一つの形式的に、いうならば第二十二国会にあなたが提出して参られました金融機関資金審議会、この審議会法なるものが、院外における金融機関とのやみ結託によって、今次国会にこれが提出されてはいない、この法律案が撤回されたことに対する、当面の問題を糊塗する。悪くいうならば、てれかくしにこの金融制度調査会という資金審議会の代案を出してこられたものではないかとすらわれわれは想像せざるを得ない。そんなような考え方法律をもてあそばれるとするならば、われわれはまた重大な決意を持たなければならぬ。この際われわれは、あなたにお伺いいたしたいことは、どういうようなボリュームを期待して、そして金融制度調査会というものの必要をあなたは考えられておるのであるか。さらにまた、ただいま石村君への答弁の中にもありしたけれども、その答申というものか、あなたのさきに発表された方針と相異なる答申がされた場合、それに対しては一体どの程度の調整をはかっていかれるお考えであるか。この際やがて生まれで調査会の権威のためにも、あなたの御所見を明らかに示しておいていただきたいと思います。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 調査会答申につきましては、先ほどから御答弁申し上げましたように、十分尊重いたします、かように申し上げておるわけです。どういう答申が出るかわかりませんので、今どういう調整をするかということは、お答えする段階ではございません。  それから金融制一度調査会の設置でありますが、これは私から申すまでもないのでありますが、やはり終戦後十年を経まして、この間におけるいろいろな変化というものは激しいものもあります。そして金融はだんだんと正常化を進めてきた、特に金融情勢百体は、全く違った様相を呈しておる。こういうようなところにきますれば、どうしても一ぺん従来そのままにしておきました金融行政全体について、この情勢並びに今後の情勢に最も適する方途を衆知を集めて考えたい、かような考え方から、この金融制度調査会というものの法案の御審議をお願い申し上げておる次第でありまして、なお前回出した法案を今回出していないというような点につきましては、これは客観的な金融情勢が非常な変化をいたしておるのであります。その結果とりやめたのでありまして、決して法律をもてあそぶというふうな考えは毛頭持っておりませんことを、御承知願いたいと思います。
  74. 春日一幸

    ○春日委員 私が申し上げたことが、あなたの心に十分触れていないと思うのだが、あなたは金融制度調査会を作って、そこで金融制度の諸問題について答申を求めようとしておる。そのために、法律の権威に基いてその調査会が設置されようとしておるのです。そのようなやさきに、単なる答弁ではなく、かくのごとくにさるべきものであるという、金融改革に関するあなたの構想が示された場合、この金融制度調査会が冷静に、かつ白紙でそういうような諸問題を取り扱うことができるかどうか。相当の影響力を受けて、これが公正なる判断を欠くような結果になりはしないかどうか、この点を尋ねておるのです。この点についていかがでありますか。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、繰り返して申しますように、問題となるような点を若干示したというにすぎないのであります。従いまして、それが調査会ができてきた場合の今後の審議に悪い影響を与えるというようなことは毛頭考えておりません。
  76. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、特にこの点を明らかにいたしておきたいのだが、又払い準備制度を設けるべきだ、これは現金だけを対象とし、法律で上下のわくをきめ、その範囲内で白銀が操作するのが望ましい、こういう一つ意見決定的に述べられております。先般本委員会で、この問題については、現金だけを対象とするという段階までは、おおむねわれわれとの意見も合致をいたしておりました。しかしながら法律でその率の上下のワク——アローアンスの操作を政府がするか、日銀がするかという問題についても相当議論のあったところです。ところがあなたは、これを日銀が操作をするのが望ましいと、ここに断定していらっしゃる、こういう意見発表された事実があるかどうか。こういう意見金融行政の最高責任者である大蔵大臣によってすでに示されておる状況下において、金融制度調査会がこれを審議しようとする場合、いかなる影響を受けるであろうか。これは、あなたとしても当然お考えになることであろうか、この点の経緯について、あなたの所見をさらに伺いたいのであります。
  77. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この支払い準備制度というものについては、大体今日実施されておる国々の実際から見まして、ああいうふうに上下の限を設けて、その中で中央銀行が操作するのが一番よかろうという一般的な今日の状況であります。そういう点を一つ取り上げて、私自身もやるとすれば、そういうことが一番よかろう、こういうふうな話をいたしたのであります。
  78. 春日一幸

    ○春日委員 上下のワクを日銀が持つか、大蔵大臣が持つかという点については、いかがですか。
  79. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 上下の限につきましては、法定をする、それから大蔵大臣がきめる、さらにまた中央銀行が全部やる、いろいろ考えられると思うのです。私は、そういう点を挙示したつもりであります。そういう点は今後どうすればいいか、調査会で十分自由な立場で御審議を願いたい、かように考えております。
  80. 春日一幸

    ○春日委員 時間が迫っておりますから、私も協力的に問題を簡潔にしぼりますが、金融三法の基本法の一つともいわれておるこの臨時金利調整法は、将来これを全廃して、銀行金利協定にまかせる、こういうことが述べられておる、これはまことに重大な事柄であろうと思う。しかし、あなたがそういうことをやるのだ、大蔵大臣の権威において、確信を持っておられるならば、——おられるでありましょうが、おられるならば、一体何をこの金融制度調査会諮問されるのであるか、すでにあなたの方針がきまっておるではありませんか、きまっておって今さら諮問を発しなければならないという理由は、一体どこにあるのでありますか。あなたは金融行政にうとい人とは思わないし、あなたもみずからそれは自負されておるところでありましょうが、一体金融制度調査会をことさらに作ってすでにあなたの方針は決定しておるのに、そこから質問をとらなければならないという必要性は、どこにあるのか、この点を一つ明確に願いたいと思います。
  81. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私がきめておるわけでは毛頭ないのであります。御承知のように、臨時金利調整法は、従来は貸出しあるいは預金の金利協定はみな民間でやっておったのであります。ただ独占禁止法ですか、この関係から、こういう公益的なごく一般の、個々の企業の利害に出ない一般の公益的な意味を持つ話し合いも、やはり禁止されておる、こういう点はどうであろうかということが、ほとんど金融界においては常識で、これは何とかしてもらいたいというのはほとんど異論のない事柄であります。そういう点を私考えまして、これは従来のような協定に返すことが望ましいではないか、かように言ったわけで、これは一つも問題はないだろうと考えております。
  82. 松原喜之次

    ○松原委員長 平岡委員より関連質問の申し出があります。これを許します。簡単に願います。
  83. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 石村委員質問に対しまして、大蔵大臣は、外為会計の日銀移管を示唆されました。これは重大な御発言でありますので、次の機会にその理由を詳細に御説明願いたいのであります。外貨管理を中央銀行にやらせるか、あるいはイギリスが現在やっておるように、政府による平衡資金制度を確立したらいいかは多くの議論の存するところでございます。次の機会に十分御解明をこの際要請申し上げておきます。
  84. 松原喜之次

    ○松原委員長 それでは、委員長から一言大蔵大臣に申し上げたいと思いますが、ちょうど時も時、本法律案がまさにこの委員会を通過しようとするときに当りまして、新聞にかくのごとき記事が載ったという点につきましては、単に野党の委員がこの問題について非常に不快を感じておるということのみならず、与党の諸君といえども、これは穏当を欠くという意見が多いのであります。かような誤解を生ずるような新聞発表等は、法案委員会にかかっておる間においては、特にお慎しみ下さるように委員長から希望を申し上げておきたいと思います。  岡田君。
  85. 岡田春夫

    岡田委員 委員長から御注意もあったわけですが、先ほどから、あなたがおられない間に、委員会の始まる前に、だいぶいろいろと問題になっておったのです。だいぶ問題になっておったということは、与党の中でも、今度の問題は不謹慎だ、こういう意見が出ておる。与党の中では、一萬田氏は大蔵大臣として適格でないから、やめさせるとまで言っておる。そこまでなっておるのに、平然として、こういうことは何でもないのだと言われることについて、一私は不可解である。特に先ほどあなたの見える前に、山手政務次官が来て、この内容についてはさほど変だとは思わないけれども、こういう時期に、つまりこの法案がこの委員会にかけられているときに、大蔵大臣がこういう発言をしたのは軽率であったということを言っておる。あなたの子分までかこう言っておる。(「子分とは何だ」と呼ぶ者あり)あなたの下にいる政務次官までこう言っておる。それなのにあなた自身は、委員長からも特に注意があったのであるが、この注意に対して、どのようにあなたはお考えになっておるか、率直な御心境を伺いたいと思います。
  86. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御注意をいただきまして、私も非常に恐縮に存じております。なるほど私率直に申しまして、ごく軽い気分で新聞記者の質問に答えたのでありますが、なるほど時期的に見まして、いろいろと悪い点があったものと思います。その点は、特に私からも遺憾に存じておりますということを申し上げます。
  87. 岡田春夫

    岡田委員 さっきのあなたの春日君に対する答弁を聞いておっても、たとえば、この支払い準備率の上下の問題について、新聞発表によると、あなたは大蔵大臣がきめるべきだと言った、このように書いておる。ところがあなたが今言っておるのは、そういう意見もあるというので、必ずしも自分の意見ではないのだ、こういうようなあいまいな態度をとっておる。あなたの意見は、この新聞発表のように言ったのか、あるいはそういう意見でなくて、新聞が間違っておるのか。間違っているなら、新聞に対してどういう扱いをするのか、こういう点をもっとはっきり伺いたい。こういう点を、あなた自身があいまいな態度でごまかされているならば、われわれがこの委員会審議をするのに、進められない状態になる。なぜならば、こういうあいまいなことを発表しておいて多数の力で押し切っていくというようなことでは、これは民主主義じゃないと思う。その点が第一点。それからこの点について明確でない、あなた自身の態度がきまっておらないならば、の間公聴会で日銀新木総裁は、この上下の問題について、は法律できめるべきだ、このようにはっきり言っているんだが、新木総裁の見解をあなたはどのようにお考えになるか、この点が第二。第三は——質問の時間があまりないので、一ぺんに言うのですが、政策委員会についても、これを廃止したいというようにあなたが言ったと各新聞は伝えている。そういうように暗示したんだといっている。これは、あなた自身の気持はそうなんじゃないかと思う。ところが政策委員会を作ったのはいつなんですか、あなたが日銀総裁のときに作ったんじゃないか、あなたが日銀総裁だったときに、この政策委員会は適当でないとなぜ言わなかったか、卑怯じゃありませんか。アメリカのいるときには言えないでいて、今になってから廃止したい、今度自分が大蔵大臣になったらこれをやめる、こういうような卑怯な態度でこれを変えるというのですか。政策委員会を作るというのは、日本の経済界の民主化のためにという考え方で作られたんじゃないか、財閥の解体と間近しで作られているんじゃないか。それをやめるということは、民主主義を否定する方向に進みつつある、こう言わざるを得ないじゃないか。こういう点については、あなたはどのようにお考えになっておるか、第三点はこの点であります。まだ私もいろいろ伺いたいけれども、時間の制約を受けておりますから、この三点だけ伺っておきます。
  88. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 質問のあとから答弁を申し上げますが、政策委員会についてこれを廃する——私は特に断わってお話ししてあったわけです。廃止するとかしないとか言ってない。ただ中央銀行意思決定機関というものは、中央銀行法を改正する場合に一番大事なところだから、新しい事態において再検討をすることはやはり必要じゃないかということを申しておったのであります。これは新聞記者諸君にもくれぐれも念を押しておる。廃止を宣伝していない。新聞記者なんかはいかにも廃止するような気持が出たようにおっしゃられるので、私はちょっとおかしいなというふうにも考えておりました。私はさようなことは申しておりません。それは念を押してよく言っております。  それから支払い準備、これは今後調査会にかけるのでありますから、私は両限界を法定でする、それから大蔵大臣がきめる。それれから中央銀行で全部をやる。こういうふうなことが考えられるということを申したつもりであります。日本銀行総裁が、上下限は法定できめるべきであるという意見も、一つ意見であります。先ほど申し上げましたように、三つばかり考えられるので、日本銀行総裁として考えるのも、それは日本銀行総裁としてのお考えでありましょう。こういうことは一切調査会にかけてみたい、こういうことを考えております。
  89. 岡田春夫

    岡田委員 だから、私がさっき伺っているのは、支払い準備率の問題にしても、あるいは政策委員会の問題にしても、あなたの考えていることと違うことが新聞に出ているのならば、あなたは新聞に対して、どのように態度を明らかにされるか。取り消しを要求されるのか、あるいはそのままあなたはほおかむりでいくのか。こういうようなことで、かえって自分の意思が達成したと思って、ほくそえんでいるのは一体どういうことなのかと伺っているのです。取り消しを申し込む気持があるのかどうか伺っているのです。この点に対して答弁がないじゃありませんか。
  90. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、何も今新聞に取り消しを求める考えは持っておりません。よく読んでおりませんから、一応よく読んでみます。大体私がきのう話したところは、前の委員会等で十分申し上げた半桶なんでございます。
  91. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております金融制度調査会設置法案に対する質疑は、この程度にて終了せられんことを望みます。
  92. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  討論の通告がありますので、これを許します。岡川春夫君。
  94. 岡田春夫

    岡田委員 私はこの法律案に反対をいたします。この反対の理由を簡単に申し述べたいと思います。  金融制度調査会の設置それ自体については、本米反対する洲山はございません。しかし この運営がよろしくなければ、この運営に基いて金融制度調審査会という美名のもとに、結果において逆の結果がもたらされることを心配いたすのであります。私がこの運営の問題を……。(発言する者あり)静粛に願いますよ、討論中だよ。静粛にしないとやらないぞ。遺憾ながら政府調査会設置の意図が、委員会を通じて、この調査は次の点においていろいろな立案を準備しているものがあるという点で、われわれは賛成できないのであります。  その次の点というのは、委員会の席上においてしばしば日銀政策委員会に対する不満論を述べておるのみならず、きょうの新聞においても、実質上政策委員会を廃止する方向に金融制度調査会を指導するという意図をもって、このような新聞発表が行われておる。このような点についても、しかもこれに対して何ら取り消す意向もないような、このような態度である限り、明らかに見通しとしては、金融制度調査会というものを通じて政策委員会を廃止しようという考えである。この制度調査会を作ったというそもそもの目的は、政策委員会を廃止するという目的のもとにおいて作られておる。従って、法律の条文の上においてはきわめてきれいであるけれども、そのもとに隠されておるものは、きわめて醜悪なるものであると言わざるを得ない。こういう点においても、われわれは賛成することができない。  支払い準備制度についても、大蔵大臣は、少くとも準備率の上限、下限を政府がきめるというようなことを委員会答弁をいたしておる。ところが先ほど答弁を求めると、こういう点について、必ずしも自分の考え方はきまっておらないというような、きわめてあいまいな態度をとりつつある。こういう点でも、先ほど申し上げたように、金融制度調査会を通じて、上限、下限を政府考え方である大蔵大臣決定によって、これをきめていこうという魂胆が出ていることは明らかである。  第三、準備率の対象に現金のほかに国債を加えるかどうかという問題についても、先ほど質問が出ておりましたがこの点についても、きわめてあいまいである。こういう点から考えても、いずれ国債を準備の対象とするように考えて、そして今後において、財政の脱出路としてそれが利用されていくというようなことも考えられる、こういう点から見ても、われわれは容易に賛成ができない。  第四、他方、日銀国家経済の総力の適切なる発揮をはかるために、国家の政策に即して通貨の調節、金融の調整及び信用制度の保持育成に任ずるをもって目的とするというような、きわめて反動的な、いわばナチスばりの日銀法の第一条などについては、今度の金融制度調査会においてこれをかけて改正するというようなことは、全然考えておらないし、また日銀総裁以下に対するきびしい解任規定のある日銭法の第四十七条についても、ほとんどこれを今度の調査会にかけるという考え方を持っておらない。  こういうような点を考えても、われわれは今度の金融制度調査会というものは、法文の美名のもとにおいて、自由民主党並びに一萬田大蔵大臣考えておる金融民主化から逆行する方向に日本金融制度を持っていこうとする意図のもとにおいて、これが設けられようとしている。こういう意味においては、われわれは賛成ができないのであります。  以上簡単に申し述べまして、私は反対の討論を終りといたします。
  95. 松原喜之次

    ○松原委員長 これにて村論は終局いたしました。  これより金融制度調査会設置法案について採決いたします。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 松原喜之次

    ○松原委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。  この際小山長規君より、金融制度調査会設置法案に対する各派共同提出の附帯決議について発言を求めておられますので、これを許します。小山長規君。
  97. 小山長規

    ○小山委員 金融制度調査会設置法案に対する附帯決議案を読んでみます。お手元に配ってある通りでありまするが、これを見ますると、    金融制度調査会設置法案に対する附帯決議案   金融制度調査会の設置に当っては、中小金融農林漁業金融等又は中小企業農林漁業等に関して深い知識と経験を有するもののなかからも、特に委員若干名を選任して、中小金融制度農林漁業金融制度等の改善に資せられたい。  右決議する。これは小会派も含めまして、全員の共同の決議案であります。御審議をお願いいたします。
  98. 松原喜之次

    ○松原委員長 ただいま小山表現君より提出されました、各派共同提案の附帯決議案について採決をいたします。本附帯決議案を可決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本附帯決議案は可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提唱手続等につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松原喜之次

    ○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時五分散会