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春日委員 それは、よって立つ
立場が違うことによりまして、あるいはその
見解の相違を来たすかもしれないとは存ずるのであります。もとより
日銀政策委員会は、
利害関係者が
意見を
主張する
代表機関であるとは私は
考えません。当然大所高所に立
つて国家的な
経済の点からこれが判断されてよろしいと
考えまするけれ
ども、しかしながら、
現実にされておりまする
ところの
委員会の構成は、たとえばあなたをそのキャプテンにいたしまして、都市
銀行の
代表、地方
銀行の
代表、それから産業界の
代表として安川君、農業会の
代表として荷見君、あとは大蔵省、
経済企画庁、こういうような工合に、やはりその階層の内容に最も通暁しておる
ところのエキスパートが、公正な
立場からその
意見主張いたして
影響力を与えるような構成に相な
つておるのであります。大企業の衝に当っておる
ところの産業人が、その経験をひっさげてその
主張がなし得る。農政に通じておる荷見君を通じて、またその実情を十分強調し得るというこの
委員会構成の中において、当然
中小企業を
代表する者がみずからその痛い
ところ、かゆい
ところのわかる経験をこの
日銀政策委員会の中に大きく強調することによって、
委員会全体としての
検討が出て、国の
金融政策が円満、公正なる結論を得るということが、私は最も好ましいと存ずるのであります。
ただいま
中小企業の
金融が何ら支障なく行われておるという
総裁の御
見解ではございました。しかしながら、この三月の東京
手形交換所の不渡り、名古座、大阪の
手形交換所の不渡りが戦後最晦の記録を
示しておるということも御
承知の
通りでございます。本日新聞の
経済面においては、
金融が非常に楽に
なつたといわれております。大企業、都市
銀行、そういうような面において相当それは緩慢にはな
つて参りました。けれ
ども、真に
中小企業に対して
金融が円滑化されておるならば、かくのごとき不渡りは発生しないのでありまして、なおかつ業者団体の
代表たちも口をそろえて、さらに
中小企業金融難を解決するための施策を要望いたしておるのであります。私は、あなたが
日銀総裁室の中に、象牙の塔にこも
つているとは
考えないけれ
ども、あなたのお仕事が多岐多端にわた
つて、十分町の
中小企業の実態を把握することができないような場面なしとはしない、こういう
意味から、あなたが誤またざる施策を決定する
立場において、そういうような
現実に現存する
ところの
中小企業の的確なる
意見をも把握するということについての必要性を、私は大いに考慮されるべき段階であると思う。どうかそういう
意味において、現在
中小企業が必要にして十分なる
資金の供給を
金融機関から得ておるかどうかということについては、その現象となって現われております
手形不渡りの事実、彼らの
金融灘の実情等もよく
検討されまして、私は今あなたとの間において結論を得ようとは
考えませんけれ
ども、こういう要求が強く叫ばれておるという事実も、あなたに
一つよくご判断を願っておきたいと思うのであります。
それから次に私がお
伺いをいたしたいのは、ただいま述べられました
支払い準備制度に関する問題でございます。私
どもはいろいろこの問題を論議いたしておるのでありますが、私
どもが最も心配をいたしますることは、
通貨の
調整のためにこういうような
制度を設ける、あるいは預金者の安全のためにこういうような保全措置を講ずる、これは特に必要ではありましょう。
ところがこれが自然発生的に、いろいろな
方面へ発展的に進んでいくということについて神経を使っておるのであります。それは、現金によ
つて一定率が
日銀に預託される、こういうような場合は、私は、それはそれで
一つの
政策目的が達し得ると
考えるのであります。
ところが将来公債の問題、やはりこれは国の行財政を通じて論じられる段階に立ち至るということを想定せなければならぬ、恒久立法であります限りあらゆる事態を想定しなければならぬが、そういうような場合に、
日銀に預託をいたしまする支払い準備金が、現金もしくは確実な公債その他証券というような工合になって参りますると、そういうような
支払い準備制度を置くことによって、財政インフレーションの温床を作り上げるような形になりはしないかということを案ずるのであります。この問題は、私
どもの単なる杞憂ではなく、あなたも
総裁に着任早々でありましたから御
検討になったかどうかは存じませんが、昨年一萬田
大蔵大臣が確信を持って提案をいたしました
法律案の中に、
金融機関の
資金運用の
調整のための
臨時措置に関する
法律案というのがありましたが、その中には、債券の保有に関する命令というようなことで、結局債権を保有せしめることによって公債
政策へ転進せんとする
ところの
政府の
考え方が瞥見れたのであります。そこで私は、この機会にあなたの御
見解を参考に伺っておきたいことは、
支払い準備制度というものは現金に限るべきであるというのがあなたの御
主張であるか、現金もしくは公債、そういうようなものであってもいいというお
考えであるのか、そのお
考えについてあなたの理論の根拠となりまする理由等について、
一つこの際御
見解を伺っておきたいと存ずるのであります。