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1956-04-19 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十九日(木曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    奧村又十郎君       川島正次郎君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       福田 赳夫君    古川 丈吉君       保利  茂君    坊  秀男君       前田房之助君    有馬 輝武君       石山 權作君    田万 廣文君       横錢 重吉君    横山 利秋君       石野 久男君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総         裁)      新木 栄吉君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月十七日  余剰農産物見返円の貸付に関する請願藤枝泉  介君紹介)(第一九三六号)  同(福田赳夫紹介)(第二〇〇二号)  中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願  (福田赳夫紹介)(第二〇〇一号)  同(藤枝泉介紹介)(第一九四九号)  在外資産補償に関する請願鈴木善幸紹介)  (第二〇〇三号)  酒税率引下げに関する請願田中武夫紹介)  (第二〇一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人より意見聴取の件  金融制度調査公設置法案内閣提出第七六号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  金融制度調査会設置法案を問題といたします。本日は、特に本法律案について御意見を伺うため、参考人として、日銀総裁一木栄吉君の御出席を願っております。質疑を許します。横錢重吉君。
  3. 横錢重吉

    横錢委員 日銀総裁に、若干お伺いをいたしたいと思います。大へんお忙しいところをわざわざ御出席いただきまして、ありがとうございました。今度の金融制度調査会設置法案の全般的な問題について伺うつもりでしたが、時間を制約されておりますので、主として金融機関維持育成について御所見を一つ承わりたい、かように存じます。  そこで、先般来大蔵大臣に対して、現在の日本銀行中心として、日本金融機関を公平に維持育成をしていないのではないかというふうな観点質問をいたしておるわけであります。というのは、日銀中心として、普通銀行に対しては相当の特典を与えておる。しかしながら、そうでない中小企業対象としたところ金融機関に対しては、差別待遇を行なっておる。この差別待遇というものは、現在の政策を進めていくならば、ますます開きが出てくるのではないか。こういうふうな大蔵大臣が免許をしておる金融機関というものは、すべて公平に育成をしていかなければならないのではないか、こういう観点から承わっておるわけです。総裁としては、この意どういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。
  4. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまのお尋ねお答え申し上げます。  金融機関全体に対しましては、何もその間に差別とか、そういった考え方がないことはもちろんでありますが、ただそれぞれその職能を異にいたしておりますことは、御承知通りであります。そこで、その職能に応じていくことのできるように、日本銀行としては考えておるようなわけでありまして、ただいまお尋ねの、ことに中小企業金融関係の深い金融機関方面におきましては、御承知通り日本銀行の最も大きな使命であります通貨価値維持という問題、信用調節というような問題から申しますと、まずどういうものに資金融通をはかっていくか、またどういう方法によって、どういう場合に金融の引き締めあるいは緩和をはかるかというような、つまり世間で普通申します量的調節ということが、中央銀行としては非常に大きな問題であるわけであります。これは、最も重視すべき問題であるのでありまして、従ってその見地から申しますと、大きく資金の移動がある方面、またことに外国貿易関係が深い方面、あるいはまた国内の商工業関係の深い方面に対して量的な閥節をはかっていく、これは大体どこの国でも自然にそういうことになるわけであります。従って中央銀行といたしましては、個個の金融に対してその取扱いをやるということは、非常な例外の場合にのみ限定すべきことでありまして、原則といたしましては、そういう個々融資あるいは投資という方面中央銀行としての働きをすべきじゃなくして、通貨全体あるいは信用全体を目標としまして量的な調節をはかる、こういうことになりますから、どうしてもどこの国におきましても、大きな金融機関というものがまず中心になるわけであります。それが一つでございます。  いま一つは、中央銀行といたしましては、通貨発行する日本銀行貸し出しというものは、通貨発行となって世の中に出ていくわけなのであります。あるいはまた少くも通貨発行のもとになります預金勘定というふうなことになるわけでありますから、従って中央銀行融資はどういう方法によってやるか、もっと具体的に申しますと、どういうものを担保として日本銀行融資をするか、どういうものを割引いていくかということが非常に大きな問題なのであって、これはひとり日本銀行に限らず、世界じゅうの中央銀行は、そういうことに非常に重大な注意を払っておるわけであります。外国では、そういうことを手形のアヴェイラビリティと申します。つまりどういうものに資金をアヴェイルするかということなのであります。そこで、自然にそこに一つのルールがありまして、つまり何どきなりとも回収のできる、また期限が到来すれば必ず回収ができる、そういうようなものに融通をはかっていくというような最も厳正な方針をとるのが各国の例であります。日本銀行といたしましてもそうでありまして、一つの基本的な方針があるわけでございます。そういう方針から申しますと、中小企業金融などをはかっております場合の金融機関では、そういう日本銀行に直ちに持ってくることのできるような担保物件というものが比較的少い。全然ないことはむろんありませんが、比較的少いというのが普通であろうと思う。おそらく世界中そういうことであろうと思う。そこで、そういう金融機関は、やはり大き金融機関との間に一つ関係を結びまして、たとえば実例で申しますと、あるいは不動産担保とか、あるいはその他中央銀行で特別に普通の場合において取り計らうことのできないようなものでも、そういう大きな銀行の話し合いにおいて、そういう銀行とのふだんの関係において、それらの銀行から融通を受けるというふうなことが行われるわけで、それが世界を通じての一つの傾向であると思います。わが国におきましても、戦前も常にそうであつたのでありますが、戦後においてもむろんそういう事情がございまして、小さな金融機関は大きな金融機関との間に密接な関係を結び、そうして必要な金融を受ける。つまり大と小との間に互いに助け合うというか、協力をする、こういう格好が自然にできるわけです。そこで日本銀行が比較的量的調節という見地から処置いたしますことが、そういうルートを通じて、やはり小規模な金融機関の方に影響して参るということが自然に行われまするし、また日本銀行では手の届かないようなことが、そういうふうな方法によって手が届いていき、必要なめんどうを見ていくということが。おのずからできるわけであります。大体そういうことになっておりますので、決してそういう中小金融機関に対してそれを差別待遇をする、こういったような考え方ではないので、おのずからその職能に応じた行き方によつて発展してもらう、そういう気持で行つておる。実はずつと昔からの行き方なのでありますが、今日にもやはりそういう考え方が及んでおります。そのことは、同時に他の国においてもそういう状態であるというわけであります。
  5. 横錢重吉

    横錢委員 普通銀行は、今日金が余ってきたといわれておるわけです。この金の余ってきた原因には、日銀が戦後十年間これを育成し、協力をし、援助をし、いろいろな形で行なつた結果が、今日の大をなしてきたのだと思う。銀行において日銀との取引がある、あるいは歳入代理店をしておる、こういうふうな点は、対外的な非常な信用でありまして、このためにまた大をなす道ができたと思うのであります。  そこで、今日普通銀行に金が余ってきたので今度は金利引き下げというようなことも現実に出てきておる。そこで金利引き下げ普通銀行で行われた場合に、普通銀行はそれでよいけれど一も、現在日銀との取引のない相互銀行であるとか、あるいは信用金庫であるとか、こういうふうなところでは、この影響を悪くこうむることになるわけです。というのは、金が余ってきた、金利が安くなる、このために相互銀行信用金庫のいい客を普通銀行の方に取られる、相互銀行の方では、従つて金利引き下げといつて現実に下げられない、こういうふうなことになりますと、これは全金融機関対象として日銀がその中心的存在でなければならないのですが、現実にはその役割を果していないのではないか。ところが今のお説ですと、順次ルートを通じて行うという考え方のようですが、たとえば信用金庫が何百あっても、信用金面連合会というものがあって、その連合会を通じれば、やはり取り扱いができるのではないか。相互銀行の場合においても、協会もあれば、これはまた相互銀行も地銀に劣らないだけの力のものも現実にはでき上ってきておる。こういうようなものをやはり通じて行うならば、政府金利引き下げということが、悪影響中小機関に与えずに実施できるのではないか、こういうふうに考えるわけです。従って、こういう問題を考えるときには、現在の日銀のとってきた政策というものを、歳入代理店、あるいは日銀との取引、あるいは相互銀行手形というものを普通銀行が持ち込んできた場合に日銀が再割をする、こういうことについても行うべきではないか、こういうふうに考えているのですが、この点御意見はいかがですか。
  6. 新木栄吉

    新木参考人 お説の通り、最近の一金融情勢によりまして、相互銀行とか信用金庫というふうな方面貸し出しも、やはり普通銀行の方で融資をするというようなことも行われるだろうと思うのでありますが、これは結局片方の金利が高いということになりますと、自然に安い方の金利を借りるということになる。それはいかぬというわけにはどうしてもいかぬのでありまして、金融緩慢が行き届きますと、どうしてもそういう結果にならざるを得ぬ。これは今日の経済機構がそういう工合で、だれでもどこから必ず融資を受くべきだというふうなことを規定するわけにはいかぬのですから、そういうことがありましても、これは自然の勢いで、従ってまた相互銀行等方面におきましては、一段の経費節約をはかり、資金コストを下げて、そうしてこれらとやはり競争できるような態勢をとつていくということが、今日から言うと絶対に必要であると思います。これは金融機関全部を通じての事柄でありまして、特に相互銀行とか信用金庫に限つた問題では決してございません。同じ普通銀行の中でも、同様なことがあるわけでありまして、全体の金融機関に向つて、私ども立場からは、この際極力経費節約をはかって、資金原価を下げてもらうということを慫慂いたしておるのは、そのためでございます。  それから歳入代理書店等についてのお尋ねでございますが、歳入代理店はもっぱら歳入を納付する人の便宜というふうなことが中心でございまして、そのためにただいま全国で四千九百の歳入代理店ができておりますが、いずれもみな納税者便宜をはかることが主たる眼目で削り振ってあります。それからあるところに多くダブってあることをなくして、比較的まんべんなく行き渡るようにするということも一つ目標となつておりまして、ただいまその四千九百のうち、相互銀行としては四十五の歳入代理店を持っております。それから信託銀行が百二ばかりございます。そのほかは普通銀行になつておりますが、この上さらに歳入代理店をふやしていく必要があるかどうかということは、これはやはり検討する必要があるわけであります。もし必要があるとすれば、それはふやしますけれども、しかし相当の数に上つておりますから、ただいまのところでは、それをふやそうというふうなことを考えておりません。またどういうところを取り上げて歳入代理店とすべきかということは、やはりただいま申し上げましたように、納入者便宜を考慮するということで個々のそれぞれの場合に応じて検討を加えるわけでありますが、しかしプリンシプルとして、どういう方面に特に重視するとか、どういう方面はこれを疎外するとか、そういったような考えは少しもないわけであります。
  7. 横錢重吉

    横錢委員 納税貯蓄組合法がありまして、そうして納税組合納税貯金をする場合には、金融機関はこれを拒否できないようになつている。また現実に利子も一分だと思いましたが、高く取り扱うことになっておる。そこで納税貯金を持ってこられた場合、金融機関というものは非常に損をするわけです。これはサービス業務に属しまして、実際にやっておると手間だけがかかつて損になる。そこで、これがもし歳入代理店の道が開けておるならば、そこで若干の期間預かつた金を投入することができる。それで手数料をカバーすることができるわけです。一面に納税準備預金というようなものを必要とするのはどういう層かというと、中小企業の層だ。中小企業の層は、相互銀行等が一番これを扱つている。現実納税準備預金というものは、相互銀行が一番扱つておるようです。その相互銀行においては、いわゆる歳入代理店制度は開けていない。今四十五は相互銀行が開けているというお説でしたが、銀行数からいうならば、七十一行のうち日本相互一つでしょう。ほかの相互銀行にはいていない。従つて木支店で四十五ということを言われておるのじやないかと思うのですが、現実の割からいくと、日本相互一つしか開かれていない。ところが今言つたように、納税預金というものは非常に手数のかかるもので、サービス業務に属する。しかもこれを一番担当している相銀というものにこの制度が開かれていないということは、少しく今日の取扱い方としておかしいのじやないかというふうに考えるわけです。四月十二日の大蔵委員会で、私は大臣にこの点についての質問をいたしました。そこで大臣は、「たとえば中小企業に対する金融機関である相互銀行等も、日本銀行と漸次取引をしていく数をふやしつつある。これも、やはりこれらの銀行の一資金の需給について発券銀行の機能を利用できる、活用できる、かように考えている。」というような点で、漸次ふやしていこうというような趣旨の御答弁があつたわけですが、当座貸し越しの制度の開設、あるいは相互銀行手形の再割を日銀が認めるということ、あるいは歳入代理店を許していくというようなことは、きわめて今日の相互銀行にとつてコストを下げるというごと、信用を増すというごとに非常に重要な役割を果すと思うのですが、これを近いうちにできるだけ開いていく御用意がおありかどうか、承わりたい。
  8. 新木栄吉

    新木参考人 お尋ねの点に関しましては、日本銀行としてはむろん十分に検討をいたすつもりでございます。先ほどお話し歳入代理店の問題でございますが、これはそういう貯蓄組合との関係においてのお話でございますけれども歳入代理店そのものは、つまり納入者に対する便宜ということなのでございまして、従つて貯蓄組合の問題と結びつけてお考え願うことは、ちよつと無理かと思うのでありますが、その辺は、しかしながら同時に私どもの方としましては、御趣旨でございますからよく検討いたします。  それから相互銀行との取引関係でございますが、先ほど大蔵大臣お話の引用を伺いましたが、私どもも大体そういう気持でおるわけでありまして、その個々のケースに応じて考えていくつもりではむろんございますから、よく実情に沿うように考えるつもりでおります。
  9. 松原喜之次

    松原委員長 次に春日一幸君。
  10. 春日一幸

    春日委員 現在政府が提案をいたしておりまする金融制度調査会設置法案、さらにこの法案の前提にもなつているかと思われる昨年国会に出された金融機関資金運用調整のための臨時措置に関する法律案、こういうような金融立法がいろいろ政府並びに与党の間で検討が加えられ、さらに今回閣議決定によつて資金審議会制度が設置されました。こういうような国会のいろいろな論議の背景の中におきまして、これから主たる要点について日銀総裁の御意見一つ伺いたいと思いますので、できるだけ一つ簡明な御答弁を願いたいと存ずるのであります。  第一点は、今回のこの金融制度調査会設置法政府が意図しておりますのは、金融情勢の推移にかんがみて、金融制度改善のためにこういう機関調査をしていきたいということであります。そこで日銀総裁は、わが国中央銀行管理者といたしまして、現行金融法令の中におきまして、どういうような点について改善を必要とすると考えられるか、その衝に当られておりまする総裁の御意見をこの際項目的に列挙されてお示しを願いたいと思います。
  11. 新木栄吉

    新木参考人 お答えを申し上げます。私ども考えから申しまして、金融制度としては問題が多々ございますが、まず第一に支払い準備制度の問題でございます。第二の問題は日銀法改正問題であります。十七年にできたただいまの現行法には、いろいろな点において改むべきところがあろうと思います。第三には銀行法問題でございまして、銀行法としては、最低資本金の問題、大口貸出しの規制問題、不動産取得の制限問題、政府監督あり方の問題というようなことがあろうと思います。その次には、金融機関分野調整問題でございまして、たとえて申しますと、兼営信託などの問題、相互銀行信用金庫等あり方の問題、そういったような業務調整の問題、一応そういうことが考えに浮ぶのであります。
  12. 春日一幸

    春日委員 ただいま改善のために検討を要する項目についてお示しがありました。私どももまた日銀総裁のお示しなつたような条件については、特に改正法律案を本国会に提示をいたしましたり、その他すでに歴年にわたりまして問題を指摘いたしていること等にかんがみまして、同感の点もあるのであります。そこで特にお伺いをいたしたいことは、日銀法の中において、特にあなたが改善を必要とされる問題、これをさらにあげて、この際一つ示しをお願いしたいと存ずるのであります。
  13. 新木栄吉

    新木参考人 日銀法の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、戦時中の戦時立法でございまして、まずその基本的観念というようなことに相当な重要性があると思います。  それから、このごろよく新聞等に出ますことでありますが、政策委員会の問題でございます。これらについても、金融制度調査会において御検討になることと思うのでありまして、また御検討いただいてしかるべきことと思うのであります。  それから、ただいま申し上げました支払い準備制度、これはすでに日銀法に直接の関係を待つ制度、つまり日本銀行運用すべき制度と私でもは解釈いたしますので、これも日銀法の問題の中に包含されて同時に考えられてしかるべきことと思うのであります。  それから、あるいは通貨発行制度あり方の問題、ただいまのあり方でいいかどうかというふうなことを検討していく必要もあろうと思います。しかしその他、まだ詳しくいろいろ検討を願わなくちゃならないことがありますので、これらはそれぞれ金融制度調査会において一つ十分に各方面か御検討いただくようにお願いしたいと思うのであります。
  14. 春日一幸

    春日委員 ただいま、この日本銀行法中特に日銀政策委員会制度あり方について検討を必要とすべき段階にあるという総裁のお言葉でございました。これにつきましては、すでに累次の国会において、私ども見解は相当述べられておると思うのでありますが、私ども見解は、むしろこの日銀政策委員会は拡充強化すべきもの、であって、これの存在に対して非難的な批判を加える向きと意見が対立をいたしておることをあらかじめ御承知を願って、私の質問お答えを願いたいと存ずるのでありますが、これを要約いたしますると、この中央出行は政治的に中立を堅持せしめる必要があり、そういう意味から、内閣の任命を受けられるところ総裁だけに日銀運営管理の全責任をゆだねてしまうことについては、やはり、政治的な、政党的な影響下にこれをさらす、こういう意味で危険ありといたしまして、そこに日銀政策委員会というクッションを、政権とこの中央銀行との間に置くことによって、この政治的中立性を堅持しよう、こういうことで、むしろわれわれの主張は、日銀政策委員会の存続を強く要望し、かつその足らざるところを補いたい、こういう立場において、私どもはしかじかの主張をいたして参りました。  そこで私はお伺いをいたしたいのでありますが、特に私どもの要望として、この日銀政策委員会の中に、中小企業利害代表者を一人加うべしという主張を年来いたして参ったのであります。ただいま横錢委員からも強調されました通り、ともすれば日銀金融政策の中で、中小企業金融あるいは中小企業金融機関が何となく冷飯を食っておるようなもてなしを受けておることについて、いろいろと非難はあるのでありますが、この日本銀行政策委員会の中に、正当に中小企業利害代表する者が入れられていない、ここに主たる原因が胚胎をいたしておるのではないかとわれわれは考えておるのであります。  申し上げるまでもなく、日本銀行の目的は、国家経済総力の適切なる発揮、こういうことになるのでありまして、もとより日本産業経済の大きな場面を占めておるのは中小企業であります。雇用量から、生産量からしかりでありますが、こういう場合、日本経済総力の中に大きな分野を占めておりまする中小企業金融こそは、当然日本銀行金融政策の中において最も慎重に検討を加えられなければならない事柄一つであろうと存ずるのであります。ところが、法律の中において、農業者代表も特に加えられておる、その他官庁関係代表もみな加えられております。農業者代表が加えられていないということであれば、これはやはり金融技術面の問題だけに限つて検討がされるというような点から、あるいは了恕すべき点もあるかもしれませんけれども、これらはやはり現存しております。農業者農業経済を論ずる立場において、その代表が参画する必要がありといたしますれば、当然中小企業階層主張を述べるための代表が加えられてしかるべきだと確信をしておるのであり、これがないがために、中小企業金融の問題がとかく円滑を欠きまして、これが中小企業金融難原因とも相なっておると存ずるのであります。総裁は、この日銀政策委員会の中に、特に法律改正して中小企業代表を加えられるのお考えをお持ちになったことはないかどうか、そういう必要をお考えになられたようなことは実際の運用を通じてないかどうか、その点一つ率直に御見解をお示し願いたいと存じます。
  15. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまのお尋ねに対して率直にお答えを申し上げますが、なるほど選出方法において、そういう中小企業金融代表というような名目はございませんけれども、しかし事実先ほどお話し通り中小企業というものは、日本経済の母体というほどの大きなものであって、非常に大事なものであり、各委員はその選出の基盤がどうであろうとも、みなことごとく中小企業問題に対しては非常な関心を持たれておりまして、私ごときも、至るところでだいぶ演説をさせられておりますが、いつも中小企業金融重要性について話をしておるような次第でございます。でございますから、ただいまのお話のようなことがかりにないといたしましても、その点において欠くるものがあるとはちっとも存じておりません。その上に、なおただいまのところ政策委員会に通産省からと大蔵省からそれぞれ特別の委員が来ておられまして、通産省は御承知通り中小企業金融に対しては非常に重大な関心を持たれておる官庁であり、また大蔵省としても、同様に中小企業金融について重大な関心を持たれておる。それらの政府からの委員方もこの点に関しては同様に深い関心を持たれておるのでございまして、ただいま御心配のような点はまずないと私は存ずるのであります。しかし、これは打って一丸としてやはり金融制度調査会の問題として十分に検討を加えていただくことは、私の深く希望する点なのでございます。しかしそれは、今の方法が悪いからと、必ずしもそういう意味じやないので、さらにこれをよくしていくためにはどうしたらよいかというような考え方だと御了承願いたいのであります。
  16. 春日一幸

    春日委員 それは、よって立つ立場が違うことによりまして、あるいはその見解の相違を来たすかもしれないとは存ずるのであります。もとより日銀政策委員会は、利害関係者が意見主張する代表機関であるとは私は考えません。当然大所高所に立つて国家的な経済の点からこれが判断されてよろしいと考えまするけれども、しかしながら、現実にされておりまするところ委員会の構成は、たとえばあなたをそのキャプテンにいたしまして、都市銀行代表、地方銀行代表、それから産業界の代表として安川君、農業会の代表として荷見君、あとは大蔵省、経済企画庁、こういうような工合に、やはりその階層の内容に最も通暁しておるところのエキスパートが、公正な立場からその意見主張いたして影響力を与えるような構成に相なつておるのであります。大企業の衝に当っておるところの産業人が、その経験をひっさげてその主張がなし得る。農政に通じておる荷見君を通じて、またその実情を十分強調し得るというこの委員会構成の中において、当然中小企業代表する者がみずからその痛いところ、かゆいところのわかる経験をこの日銀政策委員会の中に大きく強調することによって、委員会全体としての検討が出て、国の金融政策が円満、公正なる結論を得るということが、私は最も好ましいと存ずるのであります。  ただいま中小企業金融が何ら支障なく行われておるという総裁の御見解ではございました。しかしながら、この三月の東京手形交換所の不渡り、名古座、大阪の手形交換所の不渡りが戦後最晦の記録を示しておるということも御承知通りでございます。本日新聞の経済面においては、金融が非常に楽になつたといわれております。大企業、都市銀行、そういうような面において相当それは緩慢にはなつて参りました。けれども、真に中小企業に対して金融が円滑化されておるならば、かくのごとき不渡りは発生しないのでありまして、なおかつ業者団体の代表たちも口をそろえて、さらに中小企業金融難を解決するための施策を要望いたしておるのであります。私は、あなたが日銀総裁室の中に、象牙の塔にこもつているとは考えないけれども、あなたのお仕事が多岐多端にわたつて、十分町の中小企業の実態を把握することができないような場面なしとはしない、こういう意味から、あなたが誤またざる施策を決定する立場において、そういうような現実に現存するところ中小企業の的確なる意見をも把握するということについての必要性を、私は大いに考慮されるべき段階であると思う。どうかそういう意味において、現在中小企業が必要にして十分なる資金の供給を金融機関から得ておるかどうかということについては、その現象となって現われております手形不渡りの事実、彼らの金融灘の実情等もよく検討されまして、私は今あなたとの間において結論を得ようとは考えませんけれども、こういう要求が強く叫ばれておるという事実も、あなたに一つよくご判断を願っておきたいと思うのであります。  それから次に私がお伺いをいたしたいのは、ただいま述べられました支払い準備制度に関する問題でございます。私どもはいろいろこの問題を論議いたしておるのでありますが、私どもが最も心配をいたしますることは、通貨調整のためにこういうような制度を設ける、あるいは預金者の安全のためにこういうような保全措置を講ずる、これは特に必要ではありましょう。ところがこれが自然発生的に、いろいろな方面へ発展的に進んでいくということについて神経を使っておるのであります。それは、現金によつて一定率が日銀に預託される、こういうような場合は、私は、それはそれで一つ政策目的が達し得ると考えるのであります。ところが将来公債の問題、やはりこれは国の行財政を通じて論じられる段階に立ち至るということを想定せなければならぬ、恒久立法であります限りあらゆる事態を想定しなければならぬが、そういうような場合に、日銀に預託をいたしまする支払い準備金が、現金もしくは確実な公債その他証券というような工合になって参りますると、そういうような支払い準備制度を置くことによって、財政インフレーションの温床を作り上げるような形になりはしないかということを案ずるのであります。この問題は、私どもの単なる杞憂ではなく、あなたも総裁に着任早々でありましたから御検討になったかどうかは存じませんが、昨年一萬田大蔵大臣が確信を持って提案をいたしました法律案の中に、金融機関資金運用調整のための臨時措置に関する法律案というのがありましたが、その中には、債券の保有に関する命令というようなことで、結局債権を保有せしめることによって公債政策へ転進せんとするところ政府考え方が瞥見れたのであります。そこで私は、この機会にあなたの御見解を参考に伺っておきたいことは、支払い準備制度というものは現金に限るべきであるというのがあなたの御主張であるか、現金もしくは公債、そういうようなものであってもいいというお考えであるのか、そのお考えについてあなたの理論の根拠となりまする理由等について、一つこの際御見解を伺っておきたいと存ずるのであります。
  17. 新木栄吉

    新木参考人 支払い準備制度の問題に関するただいまのお尋ねにつきましては、これは金融制度調査会において十分な検討を遂げていただく必要があることであります。従って、私が今ここでこの問題に特に触れてお話しをするということは差し控えたいと思うのでありますが、ただいまのお尋ねでありますから、その点について自分の私見をここに簡単に申しますと、支払い準備制度というものは、つまり現金を日本銀行に積むということによって調節するのが本則であり、それがまた今日世界のどこの国においても行われている方法でありまして、ただごくわずかな国において  イタリアだけでありますが、例外があるのであります。しかしこれに対しては、相当な批判が行われております。私は、やはり日本の場合においても、他国と同様に、また日本の実情から申しましても全くそうでありまして、現金、つまり日本銀行預金によって支払い準備を立てる、いわゆる現金準備を立てるということが支払い準備制度の本則であろうと思うのであります。しかし、これは今ここで特にお尋ねがありましたから申し上げる私見でございまして、これは金融制度調査会において十分に御検討を願う、こういうように私は考えております。
  18. 春日一幸

    春日委員 この際私がお伺いいたしておりますのは、当然国策としてはそういうような審議会に付議されて、その答申を得ることによって国策は決定するでありましょうが、あなたは中央銀行総裁として、そういうような支払い準備制度を置くべしとの答申がなされるような場合、当然あなたはその委員として抱負経綸を述べられるでありましょうが、そのときに、これを現金に限るべきであるというお考えをお持ちになるか、あるいは現金もしくはこれに匹敵する公債というようなものでも——これは要するに通貨調整、預金者の保護という立場で目的が達しられさえすれば、現金もしくはこれにかわるものでもいいとお考えになっているか、あなたの経験と、それからあなたの識見においてどういうようなお考えをお持ちになっているか、この際参考に権威あるお考えを承わって、われわれの今後の審議の資料にいたしたいと存ずるのであります。どうかそういう意味で、あなたの御見解一つ承わつておきたいと思います。
  19. 新木栄吉

    新木参考人 ただいま申し上げました通り、私見でございまして、これはまだ公式の日本銀行総裁としての意見を申し上げる段階ではないと思うのであります。これは、金融制度調査会お尋ねがあれば、またそのときに申し上げますが、しかし私見は、ただいま申し上げました通り、現金に限定すべきだ、こう思うのであります。
  20. 春日一幸

    春日委員 了解をいたしました。  それでは次にお伺いをいたしたいことは、今回閣議決定によって資金審議会という制度が発足をいたしました。この審羨会の主たる任務は、今回政府が予定をいたしております財政資金の千数百億円を民間資金によって調達をしたい、そういう意味で、その調達をする過程においてこの審議会の働きに待ちたいというのが、その構想のごとくであるのでありますが、私が総裁にお伺いをいたしたいことは、少くとも一つ金融ベースにおいて貸し出しがなされておる、またなされなければならないという現行法規のもとにおきまして、法律によらずしてその融資あるいは投資をこういう機関によつて閣議決定によって拘束をせんとする、こういうあり方について、金融の衝に携わり、かつその元締めであられますあなたは  すなわち法律によらずして資金の規制を行わんとする、融資に対して拘束力、影響力を政治的に与えんとするこういうやり方について、あるいは憲法の理解の上において、あるいは関係金融法規のいろいろな関連性の上において、何ら疑義をお持ちにならないかどうか、この点を一つ伺いをいたしたいと存じます。
  21. 新木栄吉

    新木参考人 法律的にあるいは制度的にと申しますか、そういう拘束力を持つというようなことは不適当であると思うのでありますが、しかしながら高所から、また大局から判断をして、資金運用に対してこうあってほしいという見解が述べられ、それが一つの結論となって出てくる、そうしてそれが金融機関資金運用一つの指導目標を与える、こういうことならば、私はしごくけっこうなことであろうと思うのであります。だから、今後の資金運用審議会の運用のいかんでありまして、その点は私、実は何もここで申し上げる資格はございませんですが、つまりそういうふうな方向にできることがけっこうであるのじやないか、こう思うのであります。
  22. 春日一幸

    春日委員 私どもは、やはり問題は明確に処理をされなければならぬと存ずるのでありまして、申し上げるまでもなく、国民は何人も法律によらずして拘束を受けるということはない、ところが今度の予算案においても御承知通り、今回政府は、千数百億のものは民間資金によって財政資金を調達いたそうといたしておるのであります。これは、拘束力を持たないと言われますけれども政府対象といたしておりますところ金融機関全体に対して千四百何十億というものだけはこれこれの公社、公団に対して融資をしてもらわなければ、財政計画が成り立たないわけなんです。結果的には、個人を対象とはいたしておりませんけれども金融機関全体に対して、千四百億はまず天引きして公団、公社、これこれの機関に出してもらいたい、こういうことで、結果的には拘束力と同じような影響力をこの中に含んでおることは、現実の問題として総裁も御理解が願えると思うのであります。この前、そういうような問題を処理する必要もあろうと一萬田大蔵大臣考えたのでありましょうか、俗称資金委員会法という法律を設けて、すなわち債権保有に関する命令を大臣金融機関に発し得るという制度をしようとしたわけです。ところが、これは剛承知通り金融機関の猛反対、そうして委員会におけるやみ取引によって、この法律案は審議未了になり、今回再提案をされて参っております。この前、法律によって金融にそういう拘束力を持たすことによって、民間資金によって財政資金を得ようとした。そのためには、こういう法律でとにかく命令を発し得るようにしたのだが、今回はそれをなさずして、すなわち立法措置を講ぜずして、千四百億円のものを拘束を持たそうといたしておる。このことにむろん法律上疑義があります。法律上の疑義は、われわれがこの場においてただしておるわけでありますが、金融の衝に当られるところの、またその元締めの日銀総裁として、法律によらずしてどこどこへ融資しろ、しかもそれを国の予算の中に計上する、こういうあり方について、あなたの御見解はどうですか、そんなことはへっちゃらで何ともない、当然のことであるとお考えになるのか、少くとも金融ベースでわれわれが検討する際においては、公団、公社といえども融資したければ融資するし、融資したくなければしないのだ、そういうような財政計画をお立てになることについては、金融機関としては大いに異議がある、こういうぐあいにお考えにはならないものか、この点を一つ伺いをいたしたい。
  23. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまの御心配の点について、今日の現状から申しまして、法的規制をいたさなくても、その目的を達することは必ずできる。なぜかと申しますと、各金融機関は、それぞれ今日は前と違つて資力もできておりますし、また金融の根本義は、国家のために健全な事業の発展をはかるということでありまして、この点に関しては、金融業者としてはだれも異議があろうはずはないのであります。従って、ここに一つ委員会ができて、その委員会の結論が、こういう方向へこの金を回すことが、国のために必要である、また日本経済の発展のためにそれがいいのだ、日本経済を堅実にするためにはこうすべきだというような総合的な、大局的な考えが出てくるということは、金融機関としては、その資金運用する上において非常に便宜なことなんでありまして、その方向に沿つて互いに協調する、つまり協力関係によって、この問題は実現していくと思うのでありまして、何も特にそういう規則を設けて縛るというようなことをいたさなくても、十分その目的を達し得るのではないかと思います。
  24. 春日一幸

    春日委員 私が今お伺いをいたしておることは、目的とする事柄が可能であるか可能でないか、そういうことではないのです。というのは、昨年の二十二国会からの、こういう問題をめぐりますところの立法上の取扱いをめぐって明確であります通り政府はすでにそういうことを意図しておった。ところがそういう処理を行うためには、その法律を作らなければならないというので、前国会において資金委員会法が提案されたことは御承知通りです。ところがその法律が出されたという現実は、そういう法律の拘束力を打つことによって、国家目的に金融機関協力せしめるとか、協力するしないはともかくとして、国家の財政計画とそれから金融政策との間において、こういう法律によつてその必要を満たすための調整がはかられたわけであります。そういう立場において公団、公社の資金が調弁されるということなら私どもは疑義がない、法律の根拠があるのだから、法律があれば、国民はむろん拘束を受けなければならない、またどんな機関でもその法律を守らなければならないから、問題はないけれども、私どもは、この法律を作らずして、今回のごとくこの法律案を撤回してしまって出さないでおいて、そうして同一の目的を遂げようとするところに、私は法律上疑義があると思う。そこであなた方が、今の場合は相手が公団、公社でありますから、これは常識的に考えて当然国の裏づけもあることであり、また経済ベースとしていろいろ検討されれば当然融資対象となり得るものでありましょうから、従ってその資金の調達は当然結果的にはできるんだが、しかしどこに金を出そうと、現在の制度のもとにおいては、金融機関は自由であり得べきものなんです。ところが千何百億とかいうものは、すでにその予算案の中において、この公社に三十億、この公社に二十億、この公団に三百億という工合に計上されておる。従って好むと好まざるとにかかわらず、とにもかくにもそれだけの金を金融機関全体として調弁をしなければならない。それでなければ、政府の財政計画というものは成り立たないのです。法律によらずしてこういうような予算を組み、その予算のしりを金融機関がふかなければならぬという状況に対するあなたの批判は何であるか。そういうしりをふく上において、あなた方は何ら支障を感じられないのか、疑義をお持ちにならないのか、この点をお伺いいたしておるのです。
  25. 新木栄吉

    新木参考人 お答えを申し上げます。きわめて簡略に申しますと、疑義を持ちません。それは必ずできます。
  26. 春日一幸

    春日委員 できることはできるのです。当然のことだからできますが、そういう法律も何もなくして、何も法律の根拠も基準になるべきものもなくしてそこに金を出すということは、また出さなければならないような立場に置かれることについて、あなた方は何も痛痒を感じないか、こういうことをお伺いいたしておるのであります。
  27. 新木栄吉

    新木参考人 金融機関は、その問題に対して進んで協力をすると私は思うのであります。
  28. 春日一幸

    春日委員 協力をするということは、資本家政府のもとにおいて、その金融機関が八百長 そういうわけならば、私は申し上げなければならぬけれども政府のおっしゃる通りに、そういう法律がなくても当然協力をするから、どうかこの資金委員会法を撤回してくれということが、国会の外において、金融機関政府並びに与党との間に話し合いがなされたことは、これはもう天下周知の事柄である。私はこのことに触れてあなたにお伺いをいたしておるのです。問題は、そういうことがなし得るか、結果的にそういう予算案が執行できるかどうかということをお伺いしておるのではない。この前融資規制、すなわち資金融通政府が拘束力を持つような法律案が十九国会で出されたのです。そのときに、そんな法律をお出しになると、われわれは非常に困りますから、そんな法律がなくても、私どもはあなたの方がおっしゃれば協力をしますから、この法律案一つ握りつぶしてもらいたい、審議未了にしてもらいたい、こういう猛烈なる運動が政府並びに保守党になされて、そして院外におけるやみ結託によって、この法律案は審議未了になりましたけれども、今回同じ一萬田大蔵大臣のもとにおいて、自分が確信を持って出した法律案を現に本国会に出されていないじゃありませんか、そうでしょう。この前は非常に困った。それはその法律が出たから困った。本来ならば、その法律を出さずして、一般資金を財政資金に振りかえるということはあり得ないのです。すなわち国民は、法律によらずして何人も拘束を受けるものではない。金融機関は、法律によらずしては、どこに金を出そうと、そんなことは自由自在という現在の銀行法の建前になっておる。そこで、それでは困るからというのでその法律を出さんとした。ところ金融機関が猛烈な反対をして、結局これはさたやみになったのです。そこで、むろんあなた方は、そのときの約諾がありまするから、財政資金について進んで協力するということは、前の法律をとにかく圧殺した立場において当然の義務だから、協力されるでありましようが、金融というものは、本来の立場において、政治的に中立でなければならぬ。時の政府がなんであろうともかんであろうとも、また政策がなんであろうとも、金融経済ベースにおいて預金者の金を扱うという立場において、断じて公正でなければならぬ。たとえば政策的に反対するならば、そんな機関には出さぬという金融機関もあり得ていいと思うのです。ところが結局、今回は出すという形にはなるから出るではありましようが、そういうような財政の立て方と、法律によらざるところ資金審議会なるものの機関の任務、こういうものは法律に抵触する。すなわち憲法において、あるいはまたいろいろな金融関係立法において、抵触するかしないかは別問題として、先国会以来のいきさつにかんがみまして、はなはだけしからぬことだ、こういうふうにあなたはお思いにならぬかどうか、一つ答弁を願いたい。
  29. 新木栄吉

    新木参考人 私はそういう法律が出なくても、それは業者の自主的な協力によって、また金融上から見ても、妥当な方法によって金融をして、その目的を達することができると思う。つまり、そういう法律が出ないでやっていくようにすることが、最も理想的であると思うのです。
  30. 春日一幸

    春日委員 それでは、極端な例を申し上げますが、たとえば社会党内閣になるとする、社会党内閣になりまして、社会党が独自の政策を立てて、そうしてその機関の必要とする資金を予算案の中に盛った、そしてそれに対しては金融機関から調達をしてもらう、ところがそのあっせんの労とか、そういうような作業をこの資金審議会がやる、こういうことになりますね。現在は、これは公団、公社の関係でありまして、またそれもいろいろの政策目的にかなう資金でありますから問題はないでありましょうけれども、たまたま現在の日本金融機関考えておりまする方向と相反するような方向も、これは政策的に立ち得るわけなんです。独自の見識において立ち得るわけです。そういうような場合に資金審議会が、千四百億の金が要るから一つどうだ、こういう工合に金融機関にこれを頼んだ場合でも、そういう結果が得られると思いますか。たとえばこの法律が、この前の資金委員会法ならば、大蔵大臣が命令をすれば出さなければならなかった。だからそういう場合には疑義はございません。私の申し上げておるのは、こういうような法律によらずして、政府が勝手に政策を立て、財政計画を立てて、そうして何らの法律上の裏づけなくして、その資金の調達を金融機関におっかぶせていく、こういうやり方は、財政法の立場からも、あるいはまた金融事業の実体の上からも、これは全く違法なやり方である、こういう考え方の上に立つておるのです。そういうことで、お伺いをしていることは……。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)金融行政の衝に当る者の実感を聞いておる。参考人だから参考意見を述べられい。
  31. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまのお尋ねは、私はいかなる場合でも同様に考えるのでございます。
  32. 春日一幸

    春日委員 この問題はヒョウタンナマズになりますが、問題は何といっても、資金委員会法を院外におけるやみ取引で殺してしまったという立場において、その程度の御答弁しかできないと私は考えます。  ではこの問題は後日に残しまして、先をお伺いいたしますが、現在の銀行法、あなたもこれに対しては検討を要するという御批判がありました。わが党は、銀行法の中で、要するに偏向融資、集中融資の悪い実態を是正するための法律改正案を出しておることは、あるいは御承知になっておるかもしれませんが、少くとも相互銀行法あるいは貯蓄銀行法等において融資規制があるのに、一般銀行法だけには融資規制がない、このことだけは一つすみやかに解決をせなければならぬと思います。すなわち、少くともアメリカの連邦準備銀行法ですか、その他貯蓄銀行法相互銀行法は、自己資金の一割を越えて云々という規定がありますが、この項目だけはすみやかに改正をすることによって、銀行と同じ系列産業への偏向的な、情実的な融資あり方は、とにかく緊急に是正せなければならぬ。そういうような資料は公取の資料でもずいぶん出ておりますが、これに対して、積極的に日銀総裁立場において、これは預金者の安全という立場からも、この項目だけは緊急に一つ修正され、その法律改正が行われるように、日銀総裁として働きかける御意思はないかどうか、この点を一つお聞きしておきたいと存じます。
  33. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまの問題は、一つの緊急の項目と思うのでありまして、それはよく委員会において一つ検討願う。私はこういうふうに考えております。
  34. 松原喜之次

    松原委員長 石野久男君。
  35. 石野久男

    ○石野委員 新木さんにお尋ねいたします。日銀法改正点について、先ほど春日委員からの質問に対してのお答えでは、四、五点を指摘されております。その中で、日銀法戦時立法であるから改正しなければならないという意味のことがございました。先ほどのなにでは、一萬田蔵相からもその点は指摘されておったのでありますが、今改正しようとする考え方は、日銀法の第一条の目的になっている点などについて改正しようという意図をお持ちになった、あなたの私見がそういうのであるかどうか、この際ちょっと閲かせていただきたい。
  36. 新木栄吉

    新木参考人 第一条なんかも問題の中に包含されると思うのであります。
  37. 石野久男

    ○石野委員 その第一条の中で特になにされるのは、やはり国家統制的なものが非常に強いから、戦時立法的な統制が非常に強いから、それで中立性を確保しようとか、あるいはまた政治性からなるべく抜け切れようという方向へ、その目的へ持っていこうという意味でおっしゃるのですか、どうですか。
  38. 新木栄吉

    新木参考人 そう思います。
  39. 石野久男

    ○石野委員 政策委員会についての問題があるのだ、こう言われたのですが、その政策委員会について、今総裁として特に改正しなければならないというような内容点については、どういうような点なんでございましょうか、その点、ちょっと私見でいいから聞かせていただきたい。
  40. 新木栄吉

    新木参考人 ただいまの政策委員会の運営ということについては、私は格別悪いところはないと思うのであります。大体よくいっておると思うのでありますが、しかし世間でいろいろ新聞その他にも論議されておりますし、こういう問題は当然世間に論議されておるだけ、それだけ調査会としても取り上げてよく検討していただいて、さらにベターな、さらにいいものにするということで一つ検討していただきたい、こう思うのです。
  41. 石野久男

    ○石野委員 一萬田蔵相は、この調査会の問題については、屋上屋を架するものであって、とにかく週に一回か二回くらい来て、そんなところ金融政策をきめられるのはもってのほかだというような意見のことをこの前言つておられたのですが、総裁もやはりそういうことをお考えでしょうか。
  42. 新木栄吉

    新木参考人 一萬田大臣はどう言われたか私存じませんですけれども日本銀行としましては、いろいろの経験を持たれた方が日本銀行政策に対して寄与していただく、考えを持っていただくというようなことはけっこうなことだと思う。それがすなわち民主的なものの考え方になると思うので、従って別によけいだというようなふうには考えておりませんです。
  43. 石野久男

    ○石野委員 総裁は、今のところ政策委員会については、それほど運営の上からいって、また日銀法の第一条の目的に従って日銀を運営していく。自分が統轄していくという立場から見る日銀政策委員会の行き方というものに対しては、そう大して可もなく不可もなくというような考えでいるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  44. 新木栄吉

    新木参考人 それは、可もなく不可もなくではなくして、やはり各方面意見が聞かれるわけでありまして、そういう見地から法律がああいう政策委員会を規定した。つまりその目的を達しておると私は思うので、相当な効果が上っているのじゃないか、こう思うのです。
  45. 石野久男

    ○石野委員 いろいろと問題がありますが、もう一度政策委員会の問題でお聞きしておきたいのですが、大蔵大臣は、その構想として漏れ聞くところによれば、あるいはまたこの前の委員会における答弁を見ると、なるべく副総裁を多くして、そうし今のような制度はやりたくないという、こういう考え方なんです。この点について、今の制度をやめて、副総裁を多数制にするというような形でいく方が、かえって政策委員会の現在持っておる中立性がゆがめられてしまうのじゃないかという危惧をわれわれは持つのです。あなたは、そういうことについてはどういうようにお考えですか。
  46. 新木栄吉

    新木参考人 私は、それらの問題はすべて制度調査会で十分にその御検討を願う、こういうふうに考えておるのでございます。
  47. 石野久男

    ○石野委員 それは制度調査会ができたときに、そこで述べられるのはまた別なんです。われわれは、そういうことを内容として調査会を作られるということを知っているわけです。それだけに、それを作る前のあなたの意見を聞いておきたい。ですから、あなたの私見を一つこの際忌憚なく申し述べていただきたい。
  48. 新木栄吉

    新木参考人 制度調査会ができるのでありますから、それで私は、今その制度調査会に、つまりそれらの問題を十分に検討していただくために——制度調査会から質問を受ければ私十分述べたいと思いますが、しかしお尋ねでありますから申し上げますが、大体政策委員会の運営というものは先ほど来申し上げました通り、今日までのところ順調にいっておりまして、そうして日本銀行の施策の上に各方面から問題の検討をするということが行われますので、けっこうであると、実はこう思っておるのであります。
  49. 石野久男

    ○石野委員 いや、けっこうであるということは、別に副総裁なんかを置くということよりも、いいことになるのだと、そう私は受け取ります。これは、またあとで大蔵大臣との話ももう一ぺん聞きたいと思っているのですが、今総裁からは、とにかく今の日銀政策委員会については不満は持っておらない、大蔵大臣が言われたような不満はない。総裁は自分個人ですが、そういうような意味のことを思つていないと私は理解します。  それからもう一つ聞いておきたいのですが、日銀が中央発券銀行として持っているその性格上からいって、非政治性、中立性というものは厳に保持しなければいけない、こういうようにわれわれは考えるわけです。そういう建前から、この政策委員会というものの持つ価値は非常に高いものだというふうに私は考えております。そしてこれは、廃止するよりも廃止しない方がいいのだというふうに私は考えておるのですが、あなたは、やはりそういうことについては御意見があるでしょうか。
  50. 新木栄吉

    新木参考人 お話通り、中性の維持ということは中央銀行としては非常に大事なことだと思います。そうして政策委員会は、そういう問題について相当貢献することができる、私はそう思っております。
  51. 石野久男

    ○石野委員 一萬田大蔵大臣は、この政策委員会の問題については、それはもう廃止したいということをはっきり言っているわけです。これは制度調査会を作るというときに、そのことをはっきり前提として言っているわけです。私は、やはりこの問題は、今の政治的な諸情勢の中で、あるいはそういう制度ができてしまいますと、それは無言の圧力になって、制約になってくる非常に危険なものであると思う。私はそういうことがあります場合に、特に日銀総裁である新木さんに、そういう態度に対してのあなたのはっきりしたここでの意見を聞きたいのだけれども、それは返事ができるかできないか、それをはっきり所見を伺っておきたい。
  52. 新木栄吉

    新木参考人 それは調査会の席上で私の意見を聞かれれば、私は申し上げるつもりでありますが、今はとにかくそういう段階にないように思うので、これほどにしておいていただきたいと思います。
  53. 石野久男

    ○石野委員 それでは、支払い準備制度の問題でちょっとお尋ねいたします。先ほど支払い準備制度の問題を話したときに、これは日銀が運営すべきものという頭をつけておっしゃられた、私もまたその通りだと思うのです。そこで、この支払い準備制度ができましたときに、いろいろな問題がそこに出てくると思います。支払い準備制度ができて参りますと、当然そこに準備率の問題もありまするし、それに対する変更権の問題が出てくると思います。こういう問題は、日銀の持つ機能と、それからとにかく量的調整手段として支払い準備制度がここではっきり必要だという観点に立ちまして、これらの準備率並びに変更権というようはものは、日銀自体が持っておるのがいいのじゃないだろうかというふうに仏は考えるけれども、それに対してあはたのお考えはどうですか。
  54. 新木栄吉

    新木参考人 これも金融制度調査会で御検討願う問題でありますが、しかし、私の私見をお聞き下さるならば、やはり法定された範囲内においてそれを運営することは、日本銀行がすべきだと思うのでありまして、それの運営の中には、準備率の変更というようなことも当然入るわけであります。
  55. 石野久男

    ○石野委員 もしこの準備率の上限と下限とを政府がきめるというよう形の中で、変更権だけは、その範囲の中での変更権を日限が持つというような場合に、果して日銀の非政治性と中立性は確保できるだろうかということを私は非常に疑問に思います。この上限と下限を決定されるということに、私たちは政治色が非常に入ってくるという危険性を考えたわけです。われわれかそういう危惧を持つということは、しろうと考えで、間違つているかどうか、あなた自身が準備率の変更権を、実際に政治からも離れ、中立的な金融の操作の中枢における役割を果す上からいって、どういうふうにお考えになるか、その点についてのあなたの意見を聞きたい。
  56. 新木栄吉

    新木参考人 私見を申し上げます。上限、下限を決定するということは、法律によって決定されていいものであって、またそうすべきものだと思うのです。しかしその範囲内においては、これは中立性を維持した中央銀行が独自の見地で、すべてのことをよく判断して、そしていろいろな意見もよく聞いて、いわゆる政策委員会ども一つ活動して、そして決定するということだろうと思います。
  57. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの総裁お話のような上限と下限とが法律できまるという場合と、大蔵大臣がその権限を持つということではだいぶん違うと思うのです。もし大蔵大臣がそれを持ったときでも、今あなたがおっしゃったそれでよろしいのですか。
  58. 新木栄吉

    新木参考人 それは、法律のきめ方の問題であると思うのですが、外国の立法例では、法律で決定している例もありますから、その辺は調査会でよく調べて検討していただきたいと思います。
  59. 石野久男

    ○石野委員 わかったようで非常にわからないのだ。だから、率を法律できめるということと、法律はその率を上限と下限を決定する権限を大蔵大臣にまかすというふうにきめることでは これもやはり法律できめる、しかし内容は非常に違ってくると思うのです。だから、前者と後者について、あなたの立場で、どちらがほんとうに非政治性、中立性の立場でいいかどうかということを聞いている。
  60. 新木栄吉

    新木参考人 私は、それはやはり調査会一つ考えていただきたいと思います。
  61. 石野久男

    ○石野委員 あなたの意見を聞いている。これが実際問題として非常に重要なのだ。この問題は、先ほど春日氏からも質問があったように、現金で準備金をやるというあなたの考え方、これはその通りだと私は思う。しかし私たちは、準備金制度を作るときに今非常に心配することは、やがて財政的な必要によってその準備金制度が巧みに利用されるようなことがないかということなのです。われわれは、そこでその問題について財政的に準備金制度がなされるということの意味は、準備金の中に、現金のほか国債というようなものが入ってくるということが非常に危惧される一つの問題になるわけです。日本の現段階におけるところの実情からいうと、まだ国債を実際に準備金の中に含ますような情勢でないことは、事実わかっていると思うのです。しかしもし国債が準備金の中に現金と同様に預金されるというような形になってくると、ここでは昨常に赤字財政の基礎を作っていく危険が出てくるとわれわれは考えるわけなのです。この点は、やはり調査会が作られる前に、そういうことが調査会の審議内容として予見されているだけに、われわれは今ここで十分各方面意見を聞いておく必要があると考える。そこで私が総裁にお伺いしたいことは、この上限下限を大蔵大臣が握るということは、政治の要求によっていつでもこれが変えられることになるから、そういう点を今からとめておくべきではないかというようにわれわれは考えるわけなのです。事実上あなたが金融の衝に当って、その責任者として、そういう問題を将来の安全を期する上からいってどういうふうにお考えになるかということを、私は聞いているわけなのです。調査会に行つてあなたが意見を出すのはかまいません。けれども、私たちはここで必要によってあなたに聞いているのだから、あなたはそれに対する私見でもいいから言って下さい。
  62. 新木栄吉

    新木参考人 重ねて申しますが、これはやはり調査会一つ検討していただくということが最も妥当であつて、払が今ここでそれを明確にするということは適当でないように思います。
  63. 石野久男

    ○石野委員 どうも新木さんはほんとうに外交官で、政府にあまり遠慮しているのじやないか。一萬田蔵相ははつきり言つているわけなのです。(「言ってやせぬよ。」と呼ぶ者あり)言つているよ。上限と下限は大蔵大臣が握りたいとはつきり言っているのに、あなたはそれに対して今ここではつきりした所見を述べなかつたら、制度調査会ができてしまえばいやおうなしにそのワクをはめられてしまうのです。それだから、今のうちにあなた自身の御意見をよく聞いて、実際こういうようなものは、そう思つているなら作らさない方がいいのだから、われわれはそれに対するあなたの意見を聞きたい。  もう一つ、準備金の率の問題ですが、この準備金の率の問題で、預金通貨通貨に占める率の比からいいますると、都市と地方とでだいぶ違うと思うのです。そういうとぎに、準備率を都市銀行と地方銀行との間に差をつけたらいいのじやないかという意見が非常にあるようです。そういう問題について総裁はどうお考えですか。
  64. 新木栄吉

    新木参考人 だいぶディテールに入りますが、そういうこともよく研究すべきことでありますが、それはある段階を設ける方法もあります。ですから、実情に即するようにやっていかなければならぬので、よく一つ事情を検討してやるべきだと思います。
  65. 石野久男

    ○石野委員 総裁は、先ほど通貨発行制度の問題等もここで考えなければならぬ、やってもらわなければいけないというようなことを話されました。私は、日銀法改正、特に政策委員会などを政府考え方では廃止するというところまではっきり言ってるくらいなんでありますから、そういう政策委員会などを廃止するとかなんとかいう前に、やはり日本の現状からいいますと、日銀と大蔵省との関係をはっきりさして、そういう基本的な立場を明確にしておいた上でわが国通貨制度について、たとえば管理通貨制度でよいのか、あるいはまた金ないし金為替準備を加えるような必要があるのかどうかというような問題も、あらかじめはっきりした態度の中で、こういう制度調査会というようなものを作っていく腹がまえをはっきりしておかねばならぬと思うんですよ。そこで総裁は、今の通貨制度の問題点なんかについて、管理通貨のままでずっといいのか、あるいは金ないし金為替準備のところまで必要な段階にきているんじゃないかという点についての、あなたの見解一つ伺っておきたいのです。
  66. 新木栄吉

    新木参考人 これはだいぶん大きな問題になるので、相当時間を要すると思うんですが、実はそこらの問題をやはり制度調査会というものはよほど検討していただかなくちゃならぬと思うんです。これはいろんな角度から見るべき問題でありますが、たとえば、ごく簡単に申しますと、ただいまの管理通貨制度というものは、よほど進歩した制度であるから、十分に敬意を払って現在やっております。管理通貨制度というものを進めていくということも一つの案でしょうけれども、それを今ここで論じておってもしようがありません。これは制度調査会の問題として考えていきたいと思います。
  67. 松原喜之次

    松原委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際参考人の方に一言お礼を申し上げます。本日は御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたり御出席をいただき、貴重かつ忌憚のない御意見をお述べいただきましたことは、当委員会の審査のため大いに参考になりましたことを厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
  68. 松原喜之次

    松原委員長 この際暫時休憩いたします。  直ちに理事会を開きますから理事の方は御参集を願います。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後零時二十五分開議
  69. 松原喜之次

    松原委員長 体感前に引き続き会議を開きます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時二十六分散会