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1956-03-23 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君    理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    川島正次郎君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    中山 榮一君       福田 赳夫君    保利  茂君       坊  秀男君    星島 二郎君       前田房之助君    山本 勝市君       山村新治郎君    有馬 輝武君       木原津與志君    竹谷源太郎君       平岡忠次郎君    横錢 重吉君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (管財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (為替局長)  石田  正君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月二十三日  委員古川丈吉君及び山本勝市君辞任につき、そ  の補欠として星島二郎君及び横川重次君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十二日  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四三号) 同日  中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願  (伊藤卯四郎紹介)(第一五一三号)  純粋果実水に対する物品税撤廃に関する請願(  關谷勝利紹介)(題一五二七号)  旧豊川海軍工廠跡地価引下げに関する請願(  八木一郎紹介)(第一五八七号)  旧外貨債有効化に関する請願中川俊思君紹  介)(第一五八八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  補助金臨時特例等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三八号)  特定物資納付金処理特別会計法案内閣提出第  六〇号)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付)  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第二九号)  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四三号)     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  昨二十二日当委員会審査を付託されました税理士法の一部を改正する法律案議題として審査に入ります。  まず政府側より提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました税理士法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明を申し上げます。  この法律案は、税理士業務運営適正化をはかるため、税理士所得税法人税等申告書作成した場合に、税理士申告書作成に関して計算し、または整理した事項等記載をした書類を添付することができる制度を創設するとともに、今後五年間に限り、一定年数以上実務経験を有する計理士税務職員等について、一般税理士試験にかえて、特別な税理士試験によって税理士となる資格を与えることとする等のため所要改正を行おうとするものであります。  以下改正案内容につきまして簡単に御説明を申し上げます。  まず、税理士所得税法人税等申告書作成した場合に、その申告書作成に関し、計算し、整理し、または相談に応じた事項記載をした書面を添付することができることとする制度を創設しようとしているのでございます。税理士税務書類作成する場合におきましては、単に納税者作成した決算書に基いて申告書作成のみの依頼を受ける場合もあり、また税理士納税者帳簿書類内容に立ち入って課税標準となる金額計算し、これにより税務書類作成する場合もあり、その形態はいろいろと異なっておるのでありますが、この際税理士が関与した事項範囲を明確にしてその責任を明らかにするため、税理士所得税法人税等申告書作成した場合には、申告書作成に関して計算し、整理し、または相談に応じた事項記載した書面申告書に添附することができることとするとともに、その申告書について更正または決定をする場合において、その更正または決定基因となる事実がその添付書面により税理士計算し、整理し、または相談に応じたものとされている意見であるときは、税理士に対して意見を述べる機会を与えることとし、これにより税務行政円滑化に資するとともに、税理工業務の向上をはかることといたしているのであります。  なお、この制度により税理士意見を述べる機会を与える措置の有無と更正決定効力との関係につきましては、上述のような趣旨に顧み、更正決定効力影響を及ぼさないものと考えられるのでありますが、この際その旨を法文上明らかにすることとしているのであります。  次に、一定年数以上実務経験を有する計理士または税務職員等について、今後五カ年間に限り、一般税理士試験のほかに特別な税理士試験を行うことにより、税理士となる資格を与えることとしようとしているのであります。現行の税理士法昭和二十六年七月一日に施行されたものでありまして、同法の施行により、税理士となる資格原則として試験制度により与えられることとなったのであります。ただ税理士法施行の際において、経過的措置として、同法施行の日から三月間はなお旧税務代理士法による税務代理士許可申請をすることができるものとし、これにより実務経験二年以上になる計理士は、その申請によって税務代理士許可が与えられ、税務代理士は当然に税理士となる資格が与えられたのであります。また税理士法施行の際において、もっぱら十五年以上国税に関する行政事務に従事した者及び二十年以上地方税の賦課に関する事務に従事した者については、税理士試験委員の認定により、税理士となる資格が与えられたのであります。この際、当時においてこれらの税理士となる資格についての条件に該当しなかった計理士または税務職員であっても、すでに相当の年令に達し、実務経験により税理士となる資格があると認められる者について、実務を中心とした特別の税理士試験により税理士となる資格を与えることが適当と考えられますので、今後五年間に限り、特別な税理士試験制度を設けることとしたのであります。特別な税理士試験を受けることができる者は、このような趣旨及び税理士法施行からすでに五年を経過していること等に顧み、計理士については十年以上実務経験を有する者とし、税務職員については二十年以上で、その従事した行政事務内容により一定年数以上の実務経験を有する者とすることとしておるのであります。  以上のほか、税務官公署職員税理士の代理している事項について、納税者にその日時場所を通知して調査する場合には、従来青色申告書を提出している場合に限り、税理士に対しても通知していたのでありますが、今回その範囲を拡大し、青色申告書以外の申告書を提出している場合についても通知することとする等、税理士法について所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。  以上この法律案につきまして、提案理由内容の概要を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようにお願いを申し上げます。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。本法律案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 松原喜之次

    松原委員長 次に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案特定物資納付金処理特別会計法案国有財産法の一部を改正する法律案及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案の四法律案一括議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。
  6. 横山利秋

    横山委員 特定物資納付金処理特別会計法案について、政府にお伺いをいたしたいと思います。この特定物資差益金は、どのくらいこの会計法案に関連をして入るわけでありますか。
  7. 宮川新一郎

    宮川政府委員 十六億でございます。
  8. 横山利秋

    横山委員 その十六億は、これによりますと行政措置で入るわけでありますが、どういう方法で人ってくるわけですか。
  9. 板垣修

    板垣政府委員 この特別会計に入ります物資は、御承知のようにバナナパイナップルカン詰時計及びスジコでございますが、バナナから十億九千万円、パイナップルカン詰から一億八千万円、時計から一億五千万円、スジコから千四百万円、合計十四億三千九百万円という数字になりますが、三十一年度内に徴収されます額は、割当時期と輸入時期とのズレの関係上、ただいま申し上げました数字は大体四分の三が入るという計算になっております。しかしながら、三十年度にただいま申されました行政措置による分が一部入ります。これが大体五億二千三百万円、合せまして十六億という数字になる計算になっております。
  10. 横山利秋

    横山委員 本来一般国民から徴収をいたしますものは、税によるのが原則になっておるわけでありますが、この行政措置によってこれを徴収するという憲法上の根拠というものは、どういうふうに理解をいたしたらよろしいか。
  11. 板垣修

    板垣政府委員 今仰せの通り、税に類似のものは法律によって取るわけでありますが、御承知のように、バナナ輸入につきましては、従来もリンク制度その他によりまして、これによる特殊の利潤日本からの台湾への輸出とかみ合せて消化しておったわけてありますが、このリンク制度実施が、種々の関係上非常に弊害を生じておりましたので、二十九年度の上半期でこれをやめることにいたしました。そういたしますと、バナナを片道輸入いたしますと特殊の利潤を生ずる。これをこのまま放置することは、社会公平の上から言えば非常におもしろくないというところで、やむを得ず行政措置でその利潤を吸収するという措置をとった次第でございますが、すぐ引き続きまして、それを法制化するために前国会におきまして法案を提出した次第でございます。これが審議未了になりました結果、その行政措置の分を繰り入れることになりました。今回もしこの法律案通りますれば、これを法制化したいという考えでおるわけでございます。
  12. 横山利秋

    横山委員 私の質問しておる点は、その行政措置によって取るということについて、これは強制力を持っておるのでありますか。
  13. 板垣修

    板垣政府委員 これは行政措置でありますが、行政権で強調をしたわけではございませんで、業者との一種の契約、承諾によって実施をした次第でございます。
  14. 横山利秋

    横山委員 契約と申しましても、実際問題としては、それは相当強制力を持っておるわけであります。強制力を用いて、結局は徴収をいたしますのに行政運用においてこれをやるということに根本的な矛盾があると思うのであります。もしその矛盾を円滑にいたしますためには、話し合いによってこの徴収金額を上下する、ないしは政治情勢ないしは経済情勢客観的要素を加味をいたしまして、その金額が上ったり下ったりする、こういう可能性があると存じますが、その点はいかがですか。
  15. 板垣修

    板垣政府委員 それは、そのときの経済情勢によって上ったり下ったりするわけでありますが、それは業界の内諾によってそういう処置をとったわけでございます。いずれにいたしましても、行政措置ば非常に異例な措置でございますので、できるだけ早くやめたいというところで、法律案をご審議を願っておる次第でございます。
  16. 横山利秋

    横山委員 バナナパイナップルスジコ等々がこういう行政措置によって適当に額がきめられて、適当に政府に吸収され、それがまた国家収入の源泉としてこれから得られるということについては、非常に私は今後に及ぼす悪影響というものを感ぜざるを得ないわけです。本来これを行政措置のほかにやる方法は、ほんとうにないのかどうか、お考えになったことがございますか。
  17. 板垣修

    板垣政府委員 行政措置以外でやるとしますれば、方法はないわけでございます。結局台湾との輸出に結びつけるという以外方法はないわけでございますが、これは非常な弊害を生じますのと、このバナナの見返りで従来出ておりました雑貨類等は、必ずしもバナナあたりに結びつけなくても、正常輸出で出るようになりましたので、そのために、どうしても弊害の多いリンク制度はやめるということになりますと、バナナ輸入量を非常にうんとふやしますれば別でおりますが、これは通商協定関係上、バナナその他の物資が特殊な関係からして、急にふやすこともできない。そうしますと、数量は制限されている結果、必然的にある特殊の利潤が出る。従って、法律ができまする前の緊急やむを得ざる措置といたしまして、行政措置徴収した次第でございます。
  18. 横山利秋

    横山委員 行政措置でやむを得なかったとおっしゃるのでありますが、これは初めのうちから考えておれば、そういうことにはならないと思うわけであります。ところで一月六日ごろ、一コリがたしか六千五百円程度であったものが、三月十日ごろになると七千九百円というふうに、バナナ相当の根上りをしているわけであります。こういうようなやり方を今後どういうふうに政府としてはされるのか。今回の措置によってバナナがドンドン高騰していく。そして今回全販連が契約をいたしました金額については、予想外に高い。そしてその間にとかくの問題が出て、すでに商工委員会においても参考人を呼んで議論がされておるわけであります。従って、単にこの法律上の問題をきめても、実際問題としてはバナナがどんどん高くなって、さらにその差益がたくさんになって、その間いろんなトラブルがそこに生じて、複雑な問題が生じて、まずい問題が出てきておる。その点について政府側としては、その根本的な解決の対策を考えておられるかどうか、この点をお伺いいたします。
  19. 板垣修

    板垣政府委員 御指摘通り、前回の行政措置による差益徴収の場合には、従来の輸入業者加工業者との間の話し合いが十分つかなかったために、やむを得ず入札制度施行した次第でございます。その結果今御指摘通り、非常に高いビッドの値段になりまして、弊害が生じたということは私どもも認めざるを得ないと存じます。従って、今後の実際の徴収方法といたしましては、入札制度はできる限り避けまして、輸入秩序に不当の混乱を与えないような処置をとりたいというふうに考えております。
  20. 横山利秋

    横山委員 入札を避けろとおっしゃるのですが、それでそのバナナが下りますか。本来バナナ本年度どのくらい一体輸入をして、そしてバナナ価格の安定をはかろうとするのであるか、その点をお伺いいたします。
  21. 板垣修

    板垣政府委員 入札制度なり、あるいは定額徴収の方の方法によりまして、特にこの差益徴収によりまして、バナナ価格消費者に非常に大聞く転嫁されることはないと考えております。と申しますのは、このバナナ価格は、従来も需給関係できまっておりまするので、その関係で、差益徴収いたしましても、これがすぐ消費者に転嫁することはないと思っております。もっとも今お話しの通り、もっとバナナを多量に入れますならば、もっと価格を下げ得るわけであります。この点先ほど申しましたように、砂糖等物資と違いまして、急に多量に入れることも不適当だという状態にございますので、ただいまのところは、ある程度戦前などよりバナナ価格が高いことは事実でありますけれども、この制度によりまして、バナナ価格が不当に上ることはないと私どもに判断をしております。なお今後のバナナ輸入量につきましては、ただいま国民政府との間に通商交渉をやっておりますので、確定はいたしておりませんが、従来の協定では、四百五十万ドルずつ入れる協定になっておりますので、少くともこの程度は今後も入れることになると思っております。
  22. 横山利秋

    横山委員 四百五十万ドル輸入をするというのですが、本年度は、この間二百二十五万ドルしか輸入をしなかったじゃないですか、そのあとをどういうふうにするつもりですか。
  23. 板垣修

    板垣政府委員 三十年度は、今御指摘通り二百二十五万ドルしか輸入しなかったわけであります。これは実は三十年度の上半期における台湾の方の作柄の影響のために、ついに上半期輸入することができなかったのであります。従って上半期外貨割当分は、予算がいわゆるステールを来たしたわけであります。先般輸入をいたしましたのは、下半期分の半分二百二十五万ドルであります。残りの分は、三月三十一日まで期間がございませんので、輸入をせずに、来年度の分につきまして、できる限り早く、四月になりましたら輸入をしたいと考えております。
  24. 横山利秋

    横山委員 本来バナナパイナップルについては、昨年以来非常に問題をはらんだものでありまして、ここにこの法律案並び特別会計法の問題が出ているわけであります。しかし一方におきましては、バナナの非常な高騰を呼んで、しかも商工委員会においては、契約をめぐっていろいろなことが話題に上り、さらに野党がおりませんときに強行採決をして問題を生じておるわけであります。従いまして政府側としては、本法案実施に当り、また会計法運用に当っては、格段の注意をもってこの運用をはかってもらいたい。特にこれを強く私は要望いたしまして、この法案についての私の質問を終ることにいたします。
  25. 松原喜之次

  26. 石村英雄

    石村委員 特定物資関係でお尋ねいたしますが、商工委員会で十分審議されているとは思いますが、この特別会計法でなしに、本法の方を見ますと、大部分が実施面については政令にゆだねられているように思うわけです。この間のバナナなんかは入札のような形だったと思いますが、今後のこの法律を見ますと、入札でなしに、政府の方で、政府一定のそのときの価格によって余剰利益と見るものを取るということになっているかと思いますが、やはり入札で取るんですか、それとも一定価格をはじき出して、今回の輸入についてはこれだけの余剰利益があるんだといって、それを政令で取り上げるのかどうか、その点御説明を願います、
  27. 板垣修

    板垣政府委員 法律案では「適正かつ確実」に取るということが規定されているわけでありますが、この適正かつ確実という意味の中には、もちろん入札制度もとり得る余地は開いてあるのでございます。しかしながら、私ども経験にかんがみまして、入札制度は非常に輸入秩序を混乱させるおそれがあるということで、今度はできる限り入札制度はとらずに、その他の方法、大体運用において定額徴収方法によりたいと考えております。
  28. 石村英雄

    石村委員 それで、この政令にまかせられているが、実は実施面では非常に問題があるんじゃないかと思いますが、政令内容なんかについて、商工委員会か何かにすでにお出しになっておりますか。
  29. 板垣修

    板垣政府委員 政令内容につきましては、ただいま法制局審議中でございまして、まだ商工委員会説明する段階にはなっておりません。
  30. 石村英雄

    石村委員 要綱程度はお出しになっているのではないのですか。
  31. 板垣修

    板垣政府委員 要綱も、この二、三日中にきまる程度でございますから、まだ説明もしておりませんし、説明の要求もない次第であります。
  32. 石村英雄

    石村委員 特定物資の対象は、さしあたりはバナナとかパイナップルカン詰とか、あるいは時計とか、スジコとかいうような不急不要の物資と認めたものについてやる、こういうことなのですが、そうして原材料などについては、これは適用しない、こういう御方針のように商工委員会での説明を拝見いたしたのでありますが、やはりそういう御方針ですか。
  33. 板垣修

    板垣政府委員 この特定物資に今指定いたしまするものは、やはり不急不要物資であって、元来ならば入れなくても済むものを、通商協定その他の理由で入れなければならぬ、しかもそれが数量を限られている、従ってそこに必ず超過利潤ができる、こういう物資でございます。原材料的なものは、国の生産を興すために必要なものでありますから、そういう意味で、差益も現実に起りませんから、こういう制度に乗せることは不適当だと考えております。
  34. 石村英雄

    石村委員 原材料については差益が起らない、こういうお話ですが、たとえば羊毛などの話を聞いてみましても、非常な余剰利益と申しますか、例をあげますと、商工委員会でも問題になっておったといいますが、手編み毛糸羊毛は、昨年か一昨年でしたかに、五〇%値が下っております。ところが日本国内手編み毛糸は二〇%反対に値が上っておる、そうして、それはただそのときの小売価格原料との開きですが、その原料をそのままこちらへ持ってきて、普通の利益計算してみても、手編み毛糸は一ポンド小売価格について相当利潤を見ても、千円足らずが正当な値段だ、こう業者は判断しておる、それが昨年の秋でしたか、千八百円からした、最近時期はずれか何かで下っても千六百円、大体六百円は余分な高い価格で売られておるとうことです。これは紡績会社がもうけておるか、どこがもうけておるか知りませんが、少くとも原材料の原価から計算してみますと、諸掛り、マージン、利益を含めても千円足らずで売られるはずのものが、現在春になって千六百円余りで売られておる、そこに少くとも余剰利益というものが、——だれが取っておるかは別として、余剰利益が発生しておるということは言われると思います。ただいまの説明だと、原材料については余剰利益がなしということですが、この一つの羊毛の例の異常な価格差というものは、どこに基因しておるわけですか。
  35. 板垣修

    板垣政府委員 ただいま余剰利益がなしと言ったのは、全然なしという意味ではございません。従来原材料につきましては、確かに御指摘通り羊毛などについては外貨事情関係輸入量が実際の国内の需要よりは少ししぼられぎみであったという関係から、確かに価格は上っておった。その結果、余剰利益が出たということは確かにございます。これらの点につきましては、昨年の下半期外貨予算から、こういう国家で必要な輸入原材料については、現在外貨事情も漸次好転して参りましたので、でき得る限り十分に入れる。それによりまして、こういう余剰利益の発生する余地をなくしていこうという考え方でありますので、今後はこういう原材料につきましては、いわゆる異常な特殊利潤というものは出ないようにしていきたいと考えております。
  36. 石村英雄

    石村委員 そういたしますと、羊毛については輸入方式をお考えになるという御意思ですか。
  37. 板垣修

    板垣政府委員 輸入方式を変える意味ではございませんで、数量をできるだけ多く入れるということでございます。ただこれにつきましても、あまり入れ過ぎると、国内中小羊毛業者などの関係を混乱し、いわゆる産業の安定を害する点もございますので、その点の調整は多少必要でございますけれども、必要な原材料はでぎる限り入れるという方針で進みたいと思っております。現にただいま編成中の外貨予算も、その方針で検討中でございます。
  38. 石村英雄

    石村委員 そういたしますと、これは仮定ですが、昨年の——本年度になりますか、豪州羊毛値段関係をそのままだと仮定します。豪州羊毛が上れば別ですが、現在の価格通りとすると、千円程度小売価格がこの秋にはなる、こういうようにお考えですか。
  39. 板垣修

    板垣政府委員 具体的に一ポンドの手編み毛糸がどのくらいになるか、また私ども算定はいたしておりませんが、今期といいますか、三十一年度は、羊毛相当一ぱいに入れますので、お話のような点に近づくのじゃないかというふうに考えております。
  40. 石村英雄

    石村委員 この羊毛について、いろいろすでに通産局長御存じだと思いますが、今までは設備割当なんかありまして、ところが聞いてみると、機械は全然動かない、それについて設備があるというので、羊毛割当を従来しておった。そうしてその割当を受けた人が、その割当を他の業者に売って非常なもうけをしておる。こういう話を聞いておるのですが、そういう事実を御承知なんですか。
  41. 板垣修

    板垣政府委員 私はその事実を存じません。設備割当でございますが、実際の事務は繊維局でやっております関係もありますので、私ども任じませんが、しかし割当の当初におきまして、設備のない者に割ち当てることは全然ないと思います。ただ最初割り当てられまして、後に操業を休止して、それを権利だけを売るというようなものが絶対ないとは私は保障できませんけれども、そういう弊害が起るのも、過去において羊毛輸入量が制限されておったということから起ったわけでありしまして、今後そういう弊害をなくする意味におきましても、でき得る限り豊富に羊毛を入れて、そういう弊害の全然起らないようにして参りたいというふうに考えております。
  42. 石村英雄

    石村委員 この問題は、一つは割当を受けた外貨を他に転売するということから起ってくると思いますが、通産省では、外貨割当の転売を黙認しておるのではないか、こういう話を聞くのです。そんなことはないと言われればそれまでですが、大体通産省としては、外貨割当あるいは内示書を他に売り渡すというようなことを認めておるわけなんですか、どうなんですか。
  43. 板垣修

    板垣政府委員 外貨割当を転売する、他に譲渡するということは、全然許しておりません。
  44. 石村英雄

    石村委員 許していないにしても、そういう事実が行われておる、こう世間ではうわさされておる。それについて、通産省はその事実があるかないかということをお調べになったことがあるのですか。転売を認めていないといっても、事実上その転売が行われておるのを調査も何もしないで、ほったらかしておれば、これは黙認しておるという結論になると思います。商工委員会で問題になりました中島という人の陳情書を、実は私はある紡績に関係のある人に見せたのです。中島という人は全然知らない人でありますから、この人の言うことがほんとうかどうかわかりませんから、見せたわけです。そうしたところが、その人の言うのには、おそらくこれは事実だろう、それは通産省が転売を黙認しておるから、一つはこんなことが起る、いわゆる羊毛輸入が少いということも、そのことの起る原因ではありますが、黙認しておるから、またこんなことも起るのだ、こういう話だったのですが、通産局長はそんなことはあり得ないことだとして、全然お調べにも何にもなっていないのですか。
  45. 板垣修

    板垣政府委員 承認もしておりませんし、黙認もしていないわけであります。われわれといたしましても、もちろん随時調査はいたしておりますが、しかしながら、あるいはわれわれの調査の届かないところで行われておるかもしれませんが、われわれといたしましては、あくまでもそういう調査をした結果、発見いたしますれば、これは厳重に処分する次第でございます。
  46. 石村英雄

    石村委員 調査せられて、発見されたことはないのですか。
  47. 板垣修

    板垣政府委員 あると思いますが、私自身、個人としましては、まだ承知はいたしておりません。
  48. 石村英雄

    石村委員 これは繊維局の関係かもしれませんが、手編み毛糸が千円足らずで売れるものが、千六百円で売られておる。これは一般の家庭においては、手編み毛糸ほど重要なものはないと思う。普通の着物を子供に着せれば、一年たてば着られなくなってしまう。手編み毛糸ですいて着せれば、幼稚園の子供が小学校の六年になるまで編みかえていけば着られるのです。これほど重宝なものはないのです。それが一ポンド六百円も七百円も高く売られるという事実を通産省がほうっておかれたということは私は実にけげんにたえない。主婦会とかなんとかいうものが、昨年だったか一昨年かに、十円牛乳だとかなんとかいってやりましたが、それよりも実は大きな問題ではないか、手編み毛糸が二千万ポンドから作られておるそうですが、二千万ポンドに六百円をかければ百何十億という金になるはずです。それだけのものが、通産省の怠慢の結果、国内の一部の業者に不当の利益を与えてきたということについては、十分お考え願いたいと思うのです。今後論人のやり方を変えるからそういうことはないだろうという御説明でございました。われわれも、そういうことのないように政府として御処置なさらんことを希望いたしますが、油断をしておられると、黙認はしていない、認めないと言われても、事実は売られて、設備だけ持って動かさない工場が、一台持っておれば何百万円という外貨割当でもうけてきたという事実、このことをよくお考えになって、今後こうした暴利を一部の者が取ることが起らないように十分な処置をお願いしたいと思いますが、一つ通商局長としての決意のほどをお示し順いたい。
  49. 板垣修

    板垣政府委員 確かに御指摘通り、毛糸が非常に高いということに実は気がつきまして、通商局といたしましては、三十年度の下半期予算相当思い切って羊毛をふやしたわけであります。今後三十一年度の予算におきましては、もっとふやすつもりでございますから、今御指摘の点は解消すると思います。  なお、ただいまの外貨割当の譲渡の件につきましては、私どもも至急調査をいたしまして、事態をはっきりさせたいというふうに考えます。
  50. 石村英雄

    石村委員 この問題につきてましては、大蔵省の国税庁の方が見えていないと思うのですが、過去のこうした外貨の割当のやみ譲渡によって暴利を取っておる人に対して、脱税行為が相当あるだろうと思うのです。聞いてみると、ほとんど帳簿には載せずに、重役のポケット・マネーとして入れられておるという話です。これは世間のうわさですから真実かどうか知りませんが、国税庁はこんなことも調べて、こんな不当な利益を取っている連中は徹底的に追及していただきたいと思う。これはお調べになればすぐわかると思います。横浜か神戸かの回漕店を調べて、外貨割当を調査して、どの品がどこに入ったかということを一々調べれば、簡単にわかるはずのことです。決してどこへいったかわからないというものではありません。内示書や外貨割当のやり方を見ますと、転売は自由にできる方法になっております。しかしその事実を調べれば必ずわかる、羊毛にはいろいろ規格がありまして、使い道のできるできないということもはっきりわかるはずです。割当は、ただ洗い上げとかなんとか、ばく然とした羊毛割当にすぎませんが、事実上その工場で使えるものであるか、ないかということは、はっきりわかる。どこにその品がいったか、原料がいったかということも、回漕店やその他をお調べになればはっきりわかると思うのですが、国税庁はどうかこの点もお調べを願いたいと思います。  次に、特定物資関係を終えまして、補助金のことでちょっとお尋ねいたしますが、この補助金は、この前も申しましたように、時限立法でしておいて、毎年もう一年もう一年で延ばす。仏の顔も三度と申しますが、人間は凡人だから、三度目にはみんな鈍感になって、補助金問題なんかあまり考えなくなってしまったのですが、しかしこの補助金を地方財源の方に回した、こういう御説明があります。たとえば定時制の高等学校の職員なんかについての補助金、これを地方の自由財源に回したということですが、それは具体的にどこにお回しになっておるのか、御説明願いたい。
  51. 宮川新一郎

    宮川政府委員 その点につきましては、補助金といたしまして交付いたしませんで、地方財政計画を立てます際に、地方のいろんな財政需要がございますが、その中に、たとえば定時制の教育関係職員の費用はどれくらいである、その補助金を打ち切りましたものにつきまして所要額を計算いたしまして、財政需要を見ていく、こういうふうな計算をいたしまして、それに対しまして、その他のいろんな財政需要をあわせまして、それと歳入との差を交付税でもって補てんしていく、こういうやり方をとっておる次第であまりす。
  52. 石村英雄

    石村委員 その財政需要を見るということなのですが、交付税法の財政需要の中には、定時制の高等学校の職員が幾らだということは書いてありません。これについて見たといえば、それはどこにお入れになったのですか、交付税法にはそんなことははっきり書いてないわけなのです。二十九年度に交付税法は改正なっておりますが、二十八年かに事が起ったのですが、そのころからあの交付税法の規定の中のどこに入れられておるか。
  53. 宮川新一郎

    宮川政府委員 積算の基準といたしまして計算いたしたわけでございます。
  54. 石村英雄

    石村委員 そうすると、人口について幾らというあの中に入っておるという意味ですか。
  55. 宮川新一郎

    宮川政府委員 そういう要素を加味しまして計算いたしております。
  56. 石村英雄

    石村委員 要素を加味せられたのは、人口について幾らというあの金額の中に入れられておるということなのですかというのです。
  57. 宮川新一郎

    宮川政府委員 たとえば、補助金を打ち切りまして、地方の交付税回しにいたします。たとえば三億なら三億というものが出て参りました場合に、これは地方財政計画の歳出の中に、その所要額の中に三億を見るわけであります。それで全体の財政需要額を見まして、それと歳入と比較して、どれくらい地方財政に穴があくかということを見るわけでございます。
  58. 石村英雄

    石村委員 そうすると、交付税としては算定自体には入っていないでも、大蔵省の財政計画でそれを見ておる、こういう意味なのですか。
  59. 宮川新一郎

    宮川政府委員 交付税の配分の場合は、別に定められておる基準によってやるわけでございます。石村先生が御指摘になったいろんな基準でやるわけでございます。交付税全体の額をきめます際に、地方財政計画を自治庁で作りますが、大蔵省が一緒になりましてそれを作る際に、これだけのものは地方の財政負担として新しく出て参るということを、計算に入れて計算するわけでございます。
  60. 石村英雄

    石村委員 どうも説明がはっきりしないのですが、交付税の全体の額をきめるときそれを考える、こういう意味なのですか。
  61. 宮川新一郎

    宮川政府委員 交付税の全体の額をきめる前の地方の財政需要額をきめるときに、それを織り込むわけでございます。
  62. 石村英雄

    石村委員 財政需要額をきめたって——財政需要額で足りないところへ回すという、その出すところが出てこなければ、幾らきめられたって意味はなさない。大蔵省で幾らお作りになっても、計算だけして、渡すところの金の出場を言ってもらわなければこれはわからないことになる。それは交付税で出てくる、こういうことになると思うのですが、その交付税なら交付税のどこに入っているということを御説明にならなければ困る。
  63. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘通りでございますが、交付税を配分いたします場合に、中学校一人につき幾らという計算がございます。これを逐次変えていくわけでございます。
  64. 石村英雄

    石村委員 私の持っておる交付税法は、これは古い、現在使っておるかどうか知りませんが、調べてみると、この通りのように思われるのです。違っておれば一つお教え願いたいのですが、交付税の基準財政需要額の算定方法の中には、別にそんなことはありません。ただ私の予想するのは、たとえば府県の場合には、教育費にしてありまして、人口があって、単位費用が一人につき六十二円五十銭、これは現在変っておるかもしれませんが、この六十二円五十銭をはじかれる中に入っておるのじゃないかと実は誘導質問をしているわけなのです。どうなのですか。
  65. 宮川新一郎

    宮川政府委員 さようでございます。ただ、おそらく御指摘になると思うのでございますが、たとえば全体で一億なら一億という補助金が出されまして、それによって職員が五十人なら五十人今まで従事しておったと仮定いたしました場合に、補助金を打ち切りまして交付税回しにいたしますと、その分は、たとえば教育費につきまして、人口一人につき幾らという基準が定められまする場合に、全額それが織り込まれるかどうかということは疑問でございまして、それによりまして、ある財政力豊かでない府県におきましては、今まで補助金をもらっておって職員をかかえておったよりは、若干低めに職員をかえるというような事態が起って参ることがありますが、これは地方自治の関係を勘案いたしまして、国の財政と地方の財政の区分を明らかにいたしまして、必ずしも国から補助金を出す必要のないものは地方の固有財源で見ていただく、それに対して、打ち切りました際に、必要な移しかえました分につきましては基準の中に織り込む、こういうやり方をとっておるわけでございます。
  66. 石村英雄

    石村委員 結論は六十二円五十五銭なら六十二円五十五銭をはじき出した中に入っておる、簡単に言えばそういうことなのですね。  それでお尋ねいたしますが、この交付税の基準を作るのは、人口十万の都市標準にして作っておるということなのです。ところが補助金をこういうふうに基準の十万の都市でやられると——今までの補助金としては、大都市であろうと中都市であろうと小都市であろうと、同じように現実に補助金が出ておる。これになると、交付税をもらっていない市町村は全然補助はない、現実にはほとんど金は入らないということになってくるのですが、そうなのですか。
  67. 宮川新一郎

    宮川政府委員 そういう事実も起って参ろうかと思います。
  68. 石村英雄

    石村委員 こういう地方財源に回す補助金の事業の内容は、昨日横錢君も言っておりましたが、もうこういう仕事は地方団体が自治的にやるべきことであって、国としてそういうことやってもやらなくてもいいと考えておることだ、財政の豊かなところはおやりなさい、豊かでなければやらなくてもけっこうだこういう考え方でこの地方財源にしたものは処理せられておるということで、国としてその仕事についての責任は負わないというものがこの方に回されておるという結論になると思うのですが、そうなのですか。
  69. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘の点は非常に極端な場合でございます。一応私ども財源計算をいたします場合に、財政需要として見ておるわけでございますが、富裕団体ならばやれるが、貧困団体ならやらなくてもいいという趣旨のものではございませんで、考え方の基本といたしましては、地方が自己の財政の範囲内において所要の額を見ていってもよろしい、国が必ずしも補助金出してやっていくまでの必要はない、こういう認定の上に立ったもののみにこういう措置をしておるわけでございます。
  70. 石村英雄

    石村委員 だから、結局地方の富裕でない貧乏なところは、その事業を都合によればやらなくてもいいというお考えだということになると思うのです。宮川さんは非常に婉曲にお話しになっているのだが、事実上結論はそういうことに落ちつくと思うのですが、どうですか。
  71. 宮川新一郎

    宮川政府委員 婉曲に申し上げましたが、端的に申し上げますとそういう結論に相なります。
  72. 石村英雄

    石村委員 そうしますと大蔵省は、この高等学校の定時制などというものは、まあどっちでもいいことだ、定時制というのは、いわば昼間の学校に行かれない人が夜間の学校にでも行って勉強をしたいと考えておる、そういう人たちにこそ、何らかの教育施設をして教育を受けさせるのが国の義務ではないか。それを、まあ富裕団体でやれるならおやりなさい、やれなければやらなくてもいいというのは、教育に対する政府の……。(「大蔵省だ」と呼ぶ者あり大蔵省も政府のうちだ。金を握っていらっしゃるのだから一番肝心なんですが、はなはだ教育に対する考え方がいいかげんだと思う。また、教育費ではありませんが、例の精神衛生の問題でも、精神病関係のことはやはり国として処置すべき問題で、地方自治体が責任を持ってやれやれなければやらなくてもいいというような、また性病関係のことも話が出ましたが、そうした専業の内容ではないとわれわれは考えるのですが、大蔵省は、精神病なんかも、そんなものは地方自治体がやればいいのだ、国としてはめんどうみてやらぬ、どっちでもいいのだといういいかげんな考えでいらっしゃるのですか。
  73. 宮川新一郎

    宮川政府委員 決していいかげんに考えておるわけじゃございません。ただ、これだけの金を出すからこれだけの人間を置けというふうに、ひもつきでやるものじゃございませんで、こういうものにはそれぞれ基本法がございまして、都道府県がその事務をやりなさいと定められておることでございますし、たとえば定時制の教育につきましても、これは地方平衡交付金に移しかえました際に、きちんとその額は計算いたしておる次第であります。そのほか、たとえばただいまご指摘のありました精神衛生——精神病院関係等も、いろいろ補助金を打ち切りましたものの、その後の地方の実施の状況を見ましても、決してその打ち切りました以前にかわりまして減っておるという事実はございません。さよう御了承願いたいと思います。
  74. 石村英雄

    石村委員 決してそうでないといっても、金の出し方をそう変えられれば、事実上飯が食えやせぬ。飯を食わせるといっても、金をくれなければ、金を出さなければ食堂に行っても飯を食わしてくれない、そんなことで、話にならないと思います。どうもこの補助金の上整理対象の中をみますと、国としてやるべきことを政府の方で地方自治体にまかしてしまう、金額が少いからというようなことでやっていらっしゃるように思われる。またあの内海水面の関係にいたしましても、おもに貝類のことだそうでございますが、実は日本で一番零細といいますか、言葉は失礼ですが、極貧というのは、あの内海関係の漁民でございます。この漁民の生活程度は、世間でいわれているよりもはるかに悪い、これの対策が何ら政府においてないといっていい。それで、その区域の零細な漁民が、貝でもたくさんふやしてとって、何とかその日のたつきを立てよう、こう考えておる補助金を地方自治体の方に回して、地方自治体で適当にやれというのは、大蔵大臣は人頽のために政治をやっておるとおっしゃったのだが、あまりに零細な人間のためにはやっていらっしゃらないという結論が事実出てくる。こういうことをもっとお考えになって処理していただきたい。国としてこういう事業をやるべきだと考えれば、わずかであっても——わずかではない、むしろそれを増額してやるべきことだと思うのです。今度の補助金関係で、例の小学校の新入学生徒に対して本をやることをやめてしまいました。この補助金等の特例では、ただ一年の延期になっておるのだが、別に貧困児童か何かの法律案出して、これは打ち切って廃止いたしております。こういう処置は、貧困児童に対して教科書をやるという問題と新入の一年生にやるという問題とは、性質の違うものだと思うのです。義務教育は無償とするという憲法の建前からいいましても、それは、今の日本では金がないから憲法通りにはやれない、無償にするわけにはいかないが、せめて一年に入った子供には、算数の本と国語の本だけはやって、一ついい子になりなさい、こういって作った法律を、貧困児童に対する教科書をやるという問題にすりかえて削ってしまうということは、どうも大蔵省だけではなく、政府の問題だと思うのですが、政府考え方として遺憾に考える次第でございます。  そこで、幾ら文句を言ってもおやりにならぬことだから、あきらめてしまわざるを得ないのですが、しかし、どうかこういう一年限りの法律というものを、来年になってまた一年、また一年、子供の頭をそるときに、もうちょっと、もうちょっとというような、そんなやり方でごまかしていくことだけはやめていただきたいと思うのです。補助金をこういう見地からやめるならやめる、はっきり法律をちゃんと変えてしまって、一年限りだから何とかこれを聞いてくれというような、非常に卑怯なやり方をしてわれわれをごまかすわけじゃないでしょうが、やっておいて、そうすると既成事実で、翌年はもう去年やったからというので、何の気なしにこれを通す。これは、補助金等を昨年までは特別委員会まで作って本気でやった。ことしになったら、もうあんまり繰り返されるもんだから鈍感になってしまって、特別委員会もやめにしちまって、うやむやでこれをやってしまおうという結論になってくる。それをねらっているのかもしれませんが、まあそういう悪い気持があるとは私は考えませんが、どうかこういう時限立法は、厳重にその期限を守っていただきたい。そうして、やる場合には根本の法律をあっさり変える、その変えることの是非を国会に諮るというやり方を私はとるべきだと思うのです。こういうインチキな方法で、もう一年もう一年とごまかして既成事実を作って、いつのまにか新入生との何をおじゃんにするという結論において陰険なやり方だけは、もうこれを今日を限りおやめになっていただくことを、これは特に政務次官にお願いいたしておきますが、政務次官のお考えはどうですか。この時限立法をおやめになりますかどうですか。
  75. 山手滿男

    山手政府委員 先ほどからお尋ねのございました点は、中央・地方を通ずる行政の非常にデリケートで、むずかしい点であろうと私ども考えております。法律そのほかがございまして、一つ一つ補助金等につきましても、その事業に地方でこういうふうにしなければいかぬということで、はっきりきまっておりますので、中央といたしましては、もちろんこれをないがしろにする意思はございません。ただ地方の方におきましても、理事者そのほかはできるだけ補助金をもらって、法律実施いたしますについても、その地方地方の特色もございますし、できるだけ地方の理事者として、その地方の実情に応じたような行政の運営もしたいというふうな、いろいろなご希望もございまするし、国の方の財政関係もいろいろございまして、交付金等も一つ一つ内訳をきっちりやって、これは何、これは何万円は何というふうにきめて参りますことも、いろいろ事情もございまして、おもしろくない関係もあって、さっきから御説明を申し上げておるような状態になっておるわけでございますが、まことにさっきからのお示しの通でございまして、できるだけもう今年で片づけるものは片づけ、すっきりさせまして、皆さん方の御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  76. 松原喜之次

    松原委員長 次に星島二郎君。
  77. 星島二郎

    ○星島委員 はなはだおそくなって済みませんけれども、二点だけお伺いしたいのですが、国有財産の処分に関する件です。その一は、政策に関しますから政務次官よりお答えをいただき、また第二は、具体的な問題でありますから、管財局長よりお答えを得れば満足するのでございます。  政府は、国有財産の処分、ことに飛行場とか滑走路を含む土地の売却につきましては、どういう方針でおられますか。従来ありましたものを全部存置するようなことは、なかなかむずかしいと思いますけれども、今後の航空の発達の情勢にかんがみまして、私はこういうものはむやみに売り急ぐのは惜しいと思うのです。こういうことにつきまして、政府は一体どういうふうに考えていますか。
  78. 山手滿男

    山手政府委員 お尋ねの点でございますけれども、終戦前に旧軍が作っておりました飛行場等につきまして、国有に属しますものについて、防衛庁あるいは運輸省等から特に飛行場として将来もこれを利用したいとか、あるいはこういうふうにしたいとかいうふうな希望の申し出がありましたものについては、従来もみだりにそれを飛行場以外の目的のことに払い下げたりなどをしないように特別の留意をいたしております。いろいろな情勢から、全然飛行場そのほかに将来も使う意思のない、そういう飛行場として使う用途が明らかになっておらぬと申しますか、使う価値のないと思われるようなものにつきましては、農地そのほかに開放をしようというふうなことで方針を立ててやって参っておったわけでございますが、しかし情勢もいろいろ変って参りますことでございますし、飛行場等については、それを一たん作ろうということになりますと非常な資金も要ることでございまするし、特別の研究をいたし、むだのないように十分練って払い下げそのほかの処分をいたさすことにしておるわけでございます。
  79. 星島二郎

    ○星島委員 岡山県の倉敷市水島地区にあります旧三菱重工業の飛行場の跡にありました滑走路は、八十メートルの幅員を持っておって、千四百メートルの長さを有しておる。十分な基礎工事、五尺も割りグリをかまして、上は二十センチ以上の舗装をしておりまして、排水口も設けて、今これを建設すると六億五千万もかかるという予想でございまするが、これが昨今国有地から離れて県有地となり、県がこれを工場誘致のために、一切そういうことをかまわないで処分をしておるのであります。すでに国有地から一応県に移管されましたから、国有財産とはいわれぬのでありますが、しかしそれは一部分でありまして、大部分はまだその付近に国有地がのこっておるような現状でございまして、私ども将来航空の発達から見ましても、また県そのものが工場誘致の熱心の余りに、それをつぶしたらしいのでありますけれども、これははなはだ目先の見えぬ話で、最小限度の飛行場を持っておりますと、かえって工場誘致にも私はプラスになるとかたく信ずるものでありまして、今こんなりっぱたものがつぶされることは、ほんとうに惜しく思うので、まだ工場は建っておりませんから、その付近にはたくさんの国有地が残っておるのでありますから、県がせっかく処分されたものではありますけれども思い直して、やはり飛行場は残したいというようなことをもし希望してきました場合には、管財局といたしましても十分の考慮をしていただけるかどうか、この点を局長にお伺いしたいのであります。
  80. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。一般方針といたしまして、先ほど政務次官からお答え申し上げた通りでございます。御指摘の岡山県水島飛行場につきましても、運輸省あるいは防衛庁におきまして、これは民間あるいは防衛庁用の飛行場として使用する計画はあるかどうかにつきましては、かねてからそれぞれ連絡をとっておったわけでございますが、たまたま当時におきましては、その計画がなかったものでございますから、昨年の十月に、ただいま御指摘のように岡山県と土地の交換をいたしました。ご指摘の土地の一部を岡山県の方に提供いたしたわけでございます。ただいまお話しのように、飛行場は相当の施設があることでございますから、万一この施設を活用するようなことを県として考える場合には、管財局においても、これに対し相当の考慮をするのが適当ではないかという趣旨のように拝聴いたしたのでございますが、これは交換に際しまして、この土地の使用につきまして別に用途指定をつけておるわけではございません。従いまして、県におきまして自主的にいろいろと計画をお作りになることは御自由でございます。また一部の土地は、いまだ国有地に残っております。この土地は、御承知のように県有地と、それから県が埋め立てをいたしております土地との間にちょうどはさまれて介在をいたしておるような形になっております。この土地の活等につきましては、目下県あるいは地元財務局においてそれぞれ研究をいたしておるような次第でございます。従いましてただいま御指摘のような、県においていろいろ将来のことを御研究になりまして計画をお立てになるような場合には、地元においての未処分地の活用等ともあわせまして、なお慎重に研究をいたしたい、かように思っております。
  81. 松原喜之次

  82. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 山手政務次官にお尋ねをいたします。最近の外貨手持ちの内容、これをお示しいただきたいのであります。
  83. 山手滿男

    山手政府委員 ごく最近の外貨事情につきましては、私きょうその資料を持ってきておりませんが、為替局長が参っておりまするから、内容数字為替局長からご説明し上げます。
  84. 石田正

    ○石田政府委員 今最近の数字を探しておりますので、探しましてから申し上げますが、大体の概数を名目的に申し上げまするならば、日本の持っておるところの外貨の大体の額は十三億五千万ドル前後、こういうふうにご了承願いたいと思います。
  85. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 その大体の内訳、具体的には米ドル、それからポンド、それからもう一つは米ドル建オープン勘定の残高、この三つにつきまして……。
  86. 石田正

    ○石田政府委員 概数について申し上げますので、多少入り違いがございますれば、御了承願いたいと思いますが、そのうちオープン勘定が大体二億四千万ドルであったかと思います。それからボンドにつきましては、一億二百万ポンドくらいではないかと思っております。それからその余がいわゆる純然たる米ドルでございます。かように御了承順いたいと存じます。
  87. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 米ドル建のオープン勘定の残高が二億四千万ドルですか。
  88. 石田正

    ○石田政府委員 大体二月末におきましてのオープンの残高、いわゆる手持ちの純ネットは二億四千五百万ドルであります。これは、要するに債権面だけ考えますれば、二億九千四百万ドルに相なりまするけれども、債務の側が四千九百万ドルばかりございますので、ネットといたしましては二億四千五百二万ドル、こういうふうになっておる次第であります。
  89. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それにはあなた方のいわゆる非流動的債権も含んでおりますか。
  90. 石田正

    ○石田政府委員 御指摘の通でございます。
  91. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ちょっと数字が合わないように思うのです。というのは、インドネシアが一億八千万ドル、それから板垣さんがおられましたら御確認願いたいのですが、対アルゼンチンの帳じりが一億ドル、それから韓国が四千八百万ドル、これを合せましても二億四千万ドルをこえますが……。
  92. 石田正

    ○石田政府委員 御指摘数字は、通常大体の数字として申し上げましたものを御集計になっておるのだろうと思います。この中で、特にお話しがありました数字と違っております点は、アルゼンチンの貸し越し、これは現実の貸し越しを、二月末におきましては五千三百六十四万七千ドルを基準にいたしておりますので、それが大きな違いかと思います。それから韓国の債権につきましても、大体二月末におきましては、四千六百七十五万二千ドルに減っております。インドネシアにつきましても多少減ってきておる。そういう点からその相違が出てきておるのだろうと思います。
  93. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いずれにいたしましても、輸出によって得た外貨、これに見返る円が発行されておると思うのです。外貨に見合う円貨はどうして調達したかにつきまして、これは山手政務次官からお答え願います。
  94. 山手滿男

    山手政府委員 これは、御承知のように外為証券を発行して円を作っておるわけであります。
  95. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 外為証券だけですか。国庫余裕金の方からの借入れはございませんか。
  96. 石田正

    ○石田政府委員 国庫余裕の繰りかえ使用と、外為の証券と両方が円調達のもとになっておる次第でございます。大体従来は、国庫の資金余裕が多かったものでございますので、大部分は国庫余裕金の繰りかえの方を使っておったのであります。最近国庫の手元もだんだん逼迫して参りましたので、国庫余裕金を使うことがないというのではございませんが、大部分外為証券でまかなっていく、かような工合になってきておるわけであります。
  97. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 予算総則では、昨年と比べまして一千億円余分に、外為証券の額と余裕金の借り入れの額との総計において、限度額をふやしておると思うのです。現実には今の両者を合せての残高はどのくらいでしょうか。
  98. 石田正

    ○石田政府委員 先ほど御質問がありました、二月末におきますところの国全体としてどのくらい外資を持っておるか、これは大蔵大臣勘定もありますし、日本銀行の勘定もありますし、為替銀行の勘定もありますが、そういうふうな公的な保有分を、もう一ぺんこの機会数字をはっきり申し上げておきたいと思います。これは、米ドルにおきましては八億四千二百七十八万ドル、英ポンドにつきましては、ポンドにいたしまして九千八百十二万二千ポンド、これをドルに換算いたしますと、二億七千四百七十一万四千ドル、これは一ポンド二ドル八十セントとして換算してございます。それからオープンの債権のネットは二億四千五百五十三万五千ドルであります。これが、まだ一部推定が加わりますが、わが国の二月末外貨保有額として一応考えておる数字でございます。それから、お尋ねになりましたところの外為証券が現在どうなっておるかということですが、これは日によりまして違っておるのでございまして、大体年度末には千四百億くらいになりはしないかと思っておりますが、現在のところでは千百億台のところではないかと思っております。
  99. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そのほかにインベントリー・ファイナンスの戦後から現在までの累積があろうと思うのですが、これはいかがですか。
  100. 石田正

    ○石田政府委員 外為会計におきましては、御承知通り、何といいますか、司令部時代から外貨のまま引き継いだところのもの、従ってその円資金の見返りという問題を生じない問題が一つと、貿易特別会計から受け入れましたものがございます。そのほかにインベントリー・ファイナンスからは千五百億、こういう計算に相なっております。
  101. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうすると、両方合せて二千六百億になりますね。
  102. 石田正

    ○石田政府委員 大体勘定はそういうふうな、いわゆる資本蓄積に当るところのものが二千二百七十四億円ある、こういうふうに考えております。
  103. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いずれにしましても、外資に見合う円貨の発行によりまして、私どもは通貨政策上インフレーションの懸念がないかどうかにつき心配するのでありますが、現状をどう御判断されますか。
  104. 石田正

    ○石田政府委員 普通の状況におきましては、大体輸出がふえる、あるいは国際収支が受け取り超過である、そうなりますれば、国内通貨がふえましてインフレ的になってくる、それからその逆の場合はデフレ的になってくる、こういうのが一般的であろうと思います。ただ三十年度以降の経過におきましてはそういうふうな形に推移するのであるかということを心配したのでありますが、結果におきましては、むしろそれと違った工合に動いておった。ということは、そこに余って参ったところの円資金というものが、金融機関の日本銀行からの借り入れの返済に大部分向うというふうな形で、金融の正常化というものが促進される、そうして心配されるようなインフレは起らなかった、こういり状況で推移したことは御承知通りでございます。今後の問題につきまして、これから先の国際収支がどうなるかということをはっきり数字的に申し上げることは困難でございますが、われわれといたしましては、大体昭和三十一年度におきましても、国際収支はやはり順調であろう。ただ順調でありましても、三十年度におけるごとき多くの順調というわけにはいかないだろう、そのことを頭に考えました場合におきまして、その順調の程度からくるところの国内資金のふえて参るという点でございますが、この点は別にインフレを心配するほどのこともないのではないか、かように考えている次席でございます。
  105. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ついでですからお尋ねしておきますが、輸入操作のためのスタビリゼーション・ファンド、これは大体どの程度にとどめるお考えでありますか。
  106. 石田正

    ○石田政府委員 大体先もど申し上げましたが、十三億五千万ドルないし六千万ドルというような外貨を持っておるわけでありますが、その反面におきまして、いわゆる滞り債権がある、これもはっきりした事実でございます。従ってわれわれが考えておりまするのは、やはり総額の外貨の中からそういうものを引いたものが、これがほんとうの稼働的な外貨である、かように考えなければならぬと思うわけであります。その中におきまして、一体どれだけが日本の国際収支を運営していく上に必要な外貨であるか、そのほかに、何と申しますか、さしあたりは使わないでもよろしい、しかし国際収支が一時悪くなりましたような場合の非常的なものといたしまして見合うべき部分であるか、こういうことがおそらく問題の焦点であろうと思うのであります。この点については、われわれといたしましても、一体どう考えていいかということにつきましては種々頭を悩ましておるわけでございます。しかし幾ら頭を悩ましておりましても、これはいろいろな思想が入りますので、実際的にどうということはなかなか言えないと思います。そこで今われわれがやっておりますことは、政府が持っているところの外資資金、たとえば十三億五千万の中で、これを日本銀行に一部持ってもらう、そしてそのあとの運用をやっていってみる。そうしてやっていきますれば、大蔵大臣勘定として持っているものは普通の運営に必要な金だ、それから日本小銀行に買ってもらって手をつけないでおるところのものは一つのリザーヴ的なものだ、こういうことがはっきりしてくるのではないか。また世間からごらん願っても、その方がはっきりするのではないか、そういう考え方をもちまして、実は昨年度におきまして、相当大きな額のものを日本銀行に売ったわけでございます。これは売りましても、もし大蔵大臣勘定において運営が窮屈であるという場合には、一時買い戻すということも当然あり得るわけでございますが、幸いにして今のところでは、それが過去のものを加えて、昨年中に大体五億ドルくらいのものを日本銀行に買ってもらって、しかも残ったところのものを大蔵大臣勘定に置いて、これは貿易外を通じまして、国際収支の運営に支障を来たしておらない、かような状況でございます。今後なお外貨が大蔵大臣勘定においてふえます場合には、もっと日本銀行勘定をふやした方がよいのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  107. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 一部のエキスパートが、輸入の操作用としての運転資金は五億ドルくらいで間に合う、自余のものはむしろ輸入を増大して、それによる国内総生産の増大、それに伴う雇用量の増加、こういう点を顧慮すべきだという説を出しておりますが、これに対するあなたの御見解を承わりたい。
  108. 石田正

    ○石田政府委員 今大蔵大臣勘定として持っておる米ドルは、二月末におきまして約四億五千万ドルでございます。それからポンドにおいて大体一億ポンド、こういうことになっております。これは先ほどの九千八百万ポンドと違っているということは、為替銀行勘定において赤があるからそういう結果になるわけでございます。今申しました現実の数字から申しますと、大体六億ドルくらいのドル及びポンドを大蔵大臣勘定として持っておるわけであります。それで、今やっておるものにゆとりがあるかどうかという問題は、私は率直に申しまして、現状であればまた少しゆとりがあると思います。しかしながら、これから先におきましては、日本の国際収支の規模は大きくなるだろうと思います。それから御承知通りLUA、その他いろいろ異常なものがございます。そういうふうなものをだんだんと整理していかなければならぬ。そういうふうな点から申しまして、五億ドルならばよいとか十二億ドル要るのだとか、そういう理論的な問題でなく、現実の運営として解決していくことが一番大切なんじゃないか、かように考えております。
  109. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 次にそれでは通商局長にお尋ねいたしますが、最近あなたはアゼンチンからお帰りになったそうでありますが、あなたがアルゼンチンへ旅行された主たる目的はどこにあるのか、遊びに行つたのか、調査に行ったのか、交渉に行ったのか。
  110. 板垣修

    板垣政府委員 御承知のように、アルゼンチンと日本との貿易は昨年非常な伸び方をしておりまして、年間大体鉄鋼を中心といたしまして八千万ドル台という非常に大きな数字に上ったのであります。ところが昨年は、アルゼンチン物資、特に小麦粉の割高のために、日本輸入が思うように進まなかった。その関係から、先ほど御指摘もございましたように、相当多額の貸し越し状態になったわけであります。この点につきましては、政府としても憂慮いたしまして、昨年の夏ごろからこういう問題の検討のために交渉団を派遣したいということをアルゼンチン政府側に申し入れていたわけでありますが、御承知のように、向うで革命が起りました結果、結局十一月ごろになりまして、調査団という目的で向うに派遣になったわけであります。それで、私どもが参りまして向う側と折衝いたしました結果、貸し越しそのものを、日本とアルゼンチンの問題だけを取り上げて討議する段階には、向うの政府としても革命早々のことでありましたので、そういう状態でなかったために、わが方といたしましては、まずさしあたりアルゼンチン物資の買付を促進するというところに主眼を置いたわけであります。従って今小麦と羊毛というものが主たるものとなると思うのであります。小麦につきましては、ただいま申し上げましたように、どうしてもアルゼンチン側の物資が割高であり、距離も遠いということで、カナダとの協定関係上なかなか買い付けにくかったわけでありますが、日本側といたしましても、燻蒸あるいは虫害率の保障というような点を向うに要請いたしました。これに対しましてアルゼンチン側は協力してくれました。幸い価格の方も、北部の小麦に関する限りは、だんだん値段が下って参りまして、カナダのマニトバ三号と比較して、大体国際価格で買い得るという状態帳になりましたので、小麦の方の買付の問題は軌道に乗ったわけであります。ただ日本側の船腹能力の関係上、十分というほどは買えませんが、小麦の問題は質付がきまりました。それから羊毛につきましては、向う側も貴重な物資でありましたので、だいぶ出し渋っておりましたけれども、累次折衝の結果総額を承諾せしめまして、小麦と羊毛というものの貸付を軌道に乗せ得たと思います。  それから今後の貸し越し債権の問題につきましては、私が参りました当時では、向う側としてはまだ具体的な考えはまとまっておりませんでしたが、その後最近になりまして、アルゼンチン政府側としてもいよいよ方針がきまりまして、できるだけ早く清算勘定を廃止いたしまして、対外決済制度を多角化の方向に持っていくという方針をきめまして、ただいまヨーロッパ各国、日本にもその提案が来ております。従いまして、今後その点につきまして交渉をいたしまして、場合によってはあるいは清算勘定を廃止いたしまして、アルゼンチンとの両国間の貿易を多角化、あるいは自由化の方向に持っていきたいというように考えております。
  111. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あなたのお答えですと、アルゼンチンにおる非流動的債権に対して、非常に楽観的なお見通しでございまするが、私はもしさように事が運べば大へんけっこうと思うのです。しかし私はさように考え得ません。この際あなたにお伺いしたいことは、十二月末における対アルゼンチン貸し越し債権と、二月末とは、どのくらいの差がありますか。
  112. 板垣修

    板垣政府委員 十二月が大体四千八百万ドル、二月末で五千三百万ドルという貸し越しの数字になっております。
  113. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それから最初におっしゃった八千万ドルというのは、そのあとのものでございますか。
  114. 板垣修

    板垣政府委員 ただいま申しました八千万ドルというのは、これはポテンシャルということでありまして、先行きの見通しでございます。現実の貸し越しじゃございませんで、たとえば七月、八月の先まで日本の鉄鋼輸出がそのまま実行された場合、それから輸入が十分にいかなかった場合のポテンシャルの先行きの数字が八千万ドルという数字になるのであります。その点につきましては、先ほど為替局長もお答えしましたように、二月末あるいは三月末で五千四、五百万ドルという数字になるわけでありまして、この辺でアルゼンチン側と今後の貸し越し債権の処理の協定ができますれば、その程度で貸し越し債権はとまる。今後はそれをどういう形でアルゼンチン側からなしくずしに返してもらうかという問題になるのであります。
  115. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そこでお伺いしますけれども、私どもは、アルゼンチンの焦げつきはそれほど楽観すべきものではないと考えております。というのは、フランスとか西独に対しましてもやはり焦げつきをやっておるのであります。こういう点が確認されておる以上、たといシッパーの方が先物を売っておるということがありましても、一応輸出承認をチェックするというような処置が必要だと思うのです。そういうことを野放しにしておいて、不良債権を累増させることをあえて放置しているあなた方の指導に対しまして異議を持つのでありますが、この点はどのように御解明なさいますか。
  116. 板垣修

    板垣政府委員 先ほど申しましたように、アルゼンチンへの輸出の大宗は鉄鋼素材類であります。この点につきましては、アルゼンチンと日本との債権債務の状態からいいまして、昨年ごろから特に鉄鋼素材の一部分につきましては、常に運用によって輸出抑制措置を実はとっておるのでございます。従いましてわれわれといたしましては、若干その他の物資で出ておるものもございまするが、大宗の物資につきましては、事実上運用によりまして調整措置をすでにとっております。  なおただいまの問題につきましては、これは一つの根本問題がございまして、刻下の貸し越し債権の処理という問題も非常に重要でありますが、一方輸出政策の面からいいますると、伸びんとする輸出を非常に無理に押えてしまって全部ストップするというのは、輸出振興の見地からいいまして非常に問題でございますので、この点の調整をとりながら、貸し越し債権があまり不当に増加しないというような措置を今までとってきておった次第でございます。
  117. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あなた方もおそらく精一ぱい努力されてやってきたと思うのです。それで、しかも結果におきましては十三億五千万ドルのうち二割五分に近い三億ドル、これが非流動的状態になっておることに御反省を願わなければならぬと思うのであります。この点につまして御所見をもう一度承わらしていただきます。
  118. 板垣修

    板垣政府委員 確かに御指摘の点がございまするので、ただいま新しいアルゼンチン側の提案に基きまして、これ以上非流動的債権がふえないように、かつその非流動的なものもできる限早い時期にアルゼンチン側から返済してもらうという線で交渉に人りたいというふうに考えております。
  119. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 通商局長としては、ただ数字的に輸出が伸びればいいということでなしに、これが完全に回収されるということまでよく顧慮される必要があろうと思うのです。結局流動的状態になった債権というものは、簡単にいえば焦げつき債権でありまして、しょせんは国民の税金に肩がわりされるのであります。だから特定の業者は売らんかなの方針でじゃんじゃん出す、そのけつは全部国民の血税に肩がわりされるというのでは、私どもは呼号する政府の貿易政策の成果に対して拍手を送るわけにいかぬのです。この点は、あなたは非常に楽観的にものを言い、しかも通商産業省の特性かもしれませんが、国内メーカーの圧力といいましょうか、そういう点に盲従し過ぎる点があろうと思うのです。そこで為替局とよく連絡をとって、こういう不良債権がなくなるような形を真剣に考慮してもらいたいと思います。
  120. 松原喜之次

    松原委員長 次に、平岡委員の質問に関連して、石村委員から関連質問の申し出があります。これを許します。石村君。
  121. 石村英雄

    石村委員 ごく簡単に、ただ調査をお願いしておくことですが、ただいま外貨は十三億何ぼとかあるということですが、その中に焦げつき債権もありますが、それよりももっと悪性なものがあるのではないかと思うのです。と申しますのは、日本繊維新聞、これは先ほど御質問になった星島さんが社長で、繊維界では最も権威のある新聞だそうですが、それに「昨年の十月ごろ某在日中国と連絡をとって毛織物の価格を二倍または三倍にしてリンク羊毛輸入外貨資金とっていた、」こういう新聞記事がある。また産経時事の二月十六日には、やはりこれと同様なやり方で三十億からの不正の利得を上げておるという記事があるのですが、十三億五千万ドル外貨がありましても、一方でそういうことをやられておっては、十三億五千万ドルは、焦げつき債権を除いても、なお日本国内に隠れて円が向うに所有されておる、こういうことになって、日本の経済に及ぼす影響というものは恐るべきものがあるのではないか、こう思うのです。きょうは詳しく質問はいたしませんが、通産省、大蔵省で、こういう事実についての御調査をなさっておいていただきたい。他日本委員会で質問いたしますから、御調査をお願いしたいと思います。
  122. 松原喜之次

    松原委員長 次に春日一幸君。
  123. 春日一幸

    ○春日委員 バナナ法律に入りまして、板垣さんにお伺いをいたします。  現在この法律の指向いたしますのは、こういう特定物資を高い価格にあることを認めた態度に政府は出ておると思うのであります。こういうような経済ベースを離れた高い価格にあるということは、為替管理の機構を悪用して、わずか少数のものが輸入許可を受けて、その独占利潤の造成を認めた形になっておると思うのであります。私はこういう特定物資であるから、不急不要の——生活必需的な性格を持っていないといえばそれっきりのものでありますが、しかしながら、こういう字柄はひとり不急不要の物資のみならず、ときに羊毛あるいは銅、その他いろいろな基礎物資等にも現に及ぶわけなんです。だから、こういうような為替管理の方式については、相当抜本根塞的な解決がはかられ、あるいは行政的改善が行われていかなければならぬと考えております。こういう基本的な問題はいずれ別の機会に譲りまして、この際バナナの事柄にのみ局限してお伺いをいたしますが、バナナがそんなに高いとするならば、これは稀少物質であるから高い、だから、そのバナナをうんと台湾から輸入したらどうでしょう。五割増しとか、さらに倍増しとか輸入することによって、日本の子供に易い値段でいい栄養を与えていくというような通商行政というものが考えられてもいいいと思うのですが、四百五十万ドルに局限をして、日本にさらに大きな需要があるにもかかわらず、それらをバナナ関係業者の不当な利潤の巣くつたらしめておる。こういうことについてどういうお考えをお持ちでしょうか。どうしてもっと必要を満たすに足りるだけの輸入の手当をなさらないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  124. 板垣修

    板垣政府委員 バナナなどにつきましても、現在不急不要物資とはいいながら、もし事態が許しますならば、できるだけたくさん人れて、国民生活を豊かにしたいということは私ども考えております。しかしながら、何といいましても、原材料その他の必要物資とは違い、ことに台湾との通商協定によってきまっておる数字でございまして、大体四百五十万ドル入れて、それに似たような日本の雑貨、水産物を輸出したいということで、交渉上のバーゲンになっております。従ってやはり私どもの方も、これよりふやすことは異存ないのでありますが、やはりそれだけ日本から見返りの品物が出るという見通しがつきますれば、今後ふやしていきたいと思っております。今のところまだその段階に至っておりませんのと、台湾側にも戦前と違いまして、だいぶバナナの作柄がぐっと落ちて参りまして、うんとたくさん入れて戦前ほどの値段にすることは、事実上不可能であります。従いまして、多少ふやしましても程度の問題で、依然としてかような超過利潤は出るというのが現状でございますので、そういう点はかたがたにらみ合せまして、ただいま四百五十万ドルと考えておる次第でございます。
  125. 春日一幸

    ○春日委員 そこで問題は、輸入量をふやそうと考えても、向うにそれだけ供給するところの生産がない、こういうところに問題があろうと思うわけであります。そこで私は板垣さんにお伺いをしたいことは、広東バナナの問題です。これは先般内藤さんや加藤さんあたりと一諸に中共、ソビエトを視察して参りました。ところが広東地帯におきましては、バナナがたくさんとれております。ことに中共と日本との貿易の増進という問題は鳩山内閣の公約でもあり、ことに日本の経済が発展をいたして参りますためには、どうしてもこの大陸貿易に対して特別の施策をこうしていかなければならぬことは御承知通りであります。そこで向うから米だとかマンガンだとか大豆、塩というようないろいろな基礎物資輸入も当然はかられなければなりませんでしょうけれども、しかしながら日本側からも、やはり向うの特にほしがる物以外の、たとえば玩具だとか陶器とかメリヤス類というようなものの輸出もはかっていかなければならない。そういうようなものの見返りになるためには、やはり向うからこういうバナナのようなものを輸入して、君の方のバナナを買うから、おれの方からもおもちゃを買えよ、こういうような状態によって貿易量を増大していく方途も講じられなければならぬと思う。  そこで問題になりますのは、日本バナナの需給の実態でありますけれども、これは需要を満たすことはるかに及ばなくて、希少物質として、こんなバナナみたいなものが、とにかく超過剰潤を彼らが独占しておって、これを法律によって徴収しなければならぬというような事態がここに起きておる。あなた方は、これを高い価格で安定さして、いや、安定というよりも高い価格であることを容認して、そうしてその超過利潤を国にとるというようなことではなく、そういうような超過利潤に対しては、超過所得徴収の税法等もあるのでありましょうから、それは税務署のあれにまかして、そうして需要を満たすに足るだけの輸入の方途をはかるという問題であります。台湾に供給するだけの生産がないとすれば、これは他に生産現地を求めて——現にわれわれはこの眼でよく見たのですが、バナナがヤシの木にふさふさと実って……。(笑声)これはどうも大失言をいたしました。(笑声)バナナの木に実っておった。とにかく南支一帯はバナナの生産がきわめて豊富であります。その地方の人々は、日本にもバナナを買ってもらうことによって——安易な貿易方式を一つ考えてもらいたいということを要請しておりました。私はこの際、一つは日本の子供たちに安いバナナと栄養を供給するために、さらには大陸貿易の絶対量を増大するという二つの方策をかねて、台湾から買えないところの量を広東から買うことについて、特別の施策を講ずる意思はないか、こういう問題についてのあなたの方の検討はどんな工合に進んでおるのか、この点をお伺いいたします。
  126. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまの広東バナナを入れて、それの見返りに、今まで中共が入れないものを入れさせようというのは、確かに一案と存じますが、まず第一に数量の点からいきますと、台湾の需給量から需要がまかなえない、また相当買える余地があって、これを買い入れても、なお足りない場合には、広東バナナを入れることも将来は考えられましょう。そういう点が一点。もう一つ最も重要な点は、中共と日本の貿易関係は、御承知のように非常に入超でありまして、日本側の今年度の見込みにおきましても四十万ドルと八千万ドルで、倍の入超になりますし、特に輸入物資をふやす——どちらかといえば不要不急物性の輸入をふやすということは、貿易政策上困難な点がございますので、お話しの点は検討いたしたいと思いますが、今直ちに広東バナナを入れるというところまではいかないと思います。
  127. 春日一幸

    ○春日委員 それは、問題の背後にいろいろな利権が介在しておるということが、巷間報道喧伝されておるのであります。すなわち農林大臣のねえさんのお婿さんが、バナナの組合の理事長さんでいらっしゃって、ここらが今回特にこの輸入の権利の一部を得られた。こういうことから、バナナ価格を高い価格に一応くぎどめしておかなければならないというようないろいろな配点が、業界と政府の内部においてこれがとり進められておる。これがデマゴーグであればそれに越したことばないのであるが、そういうふうな風説が伝わっておるということをあなたは十分銘記して、この問題の処理にかかっていただきたいと思うのであります。そこであなたの御答弁によりますと、これはかの地からバナナ輸入せしめるという段階ではないと言われておりますけれども、しかしながら、私どもは中共貿易についてはいささか検討を加えておりますが、なるほどこの輸入超過を解消するためには、いろいろな施策が講じられなければならぬではありましょうが、しかし問題は、ココム・リストの緩和というような問題とあわせて、なお向うがやはり建設資材以外のもの、あるいは軍需資材的性格を帯びないものなどの輸入もでき得るところの素地を、日本の側から、また進んでそういう態度をもって臨んでいくということは、商売が相対的なものであります立場において、これは必要欠くべからざる事柄であろうと思う。たとえば向うから塩しか買わない、米しか買わない、あるいは鉄鉱石、マンガンしか買わないというようなことでは、なかなかその有無相通ずる貿易という間口が狭くて、そうして狭い範囲内においては輸出の量もなかなかふえていかないのです。そこで向うから気楽なバナナというようなものを買って、こちらからいろいろなサンドリーズを出していく。こういうことで、こういうような偏向しておりますところのアンバランスも逐次調整ができていく。バナナを買ってくれたから、こっちもおもちゃを買おう、あるいはメリヤスを買おうというようなことにも私はなっていくと思うのです。もちろん台湾からそれを買うなというわけじゃないけれども台湾との協定によって、その四百五十万ドルのベースが大体マキシマムであるならば、しいて台湾というものを対象にしないで、日本においては、供給し得るところの産地を他に求めて、そして一つは日本バナナ値段を下げて、一つは日中貿易の増進の面に寄与する、こういう二つの効果をねらった施策が、今スタートを切ってもよい段階ではないかと私は思う。ところがこういう私の意見に対してあなたの答弁は、買えるものなら台湾から買った方がいいという話だけれども、これは何も台湾からばかり買わなくても、同一物品が同じような方向から買えて、しかもそれが日本の貿易の進展のために寄与するというのならば、バナナの問題については、何も台湾だけに固定した輸入計画をお立てになる必要は断じてないと思う。ただよそから輸入することによってバナナ値段が暴落して、ただいま冒頭に申しましたような、特定の業者たちが損をする、そのことがはなはだ困るということなら別なんだ。けれども私の主張は、日本バナナ値段を下げて、子供たちを喜ばして、そして中共との貿易がその面においていささかでも前進することができるならば、これははなはだけっこうではないか、まあこう考えておるわけなんだが、この点はいかがでございましょう。通産委員会における速記録もいささか瞥見をしてみたのだが、台湾の生産量も、大体現在の日本に対する輸出量というものが輸出限度力のほぼ限界であるようなことにもあなたから述べられておったと思うのだが、そうだとすれば、こんな広東バナナを対象としてこの対策を考えるというようなことは、私はあえて奇想天外なことだとは考えない。いかがでありましょうか、重ねて御答弁願います。
  128. 板垣修

    板垣政府委員 台湾輸出余力が現在の四百五十万ドルくらいだということはございません。まだまだあと五割やそこらくらいは入れ得ると思います。ただ戦前ほどの数量にはたらぬという意味でございます。従って中共のバナナを入れる問題につきましても、さしあたりの考え方といたしましては、日本台湾への貿易伸張の意味から申しまして、やはり台湾バナナ輸入ということを先に考えてみたいというふうに考えまするが、ただいま御提案の広東バナナを入れることによりまして、日中の貿易が非常に進展するというようなことになりますれば、また並行いたしまして検討いたしたいというふうに考えております。
  129. 春日一幸

    ○春日委員 台湾における生産量がなお供給余力があるから、優先的に考えたいということは、一つのマンネリズムであります。私は、やはりそういうようなことではなく、新しい情勢の展開に応じて、すなわち今中共貿易、大陸貿易をとにかくふやしていかたければならぬ、わけてこの問題は、鳩山内閣の公約の白眉でもありました。従って、そういうような方向へ公約を誠実に果していくための努力を積み重ねていくという、そのことの一つに、こういう広東バナナの問題等も取り上げて、しかもバナナを安く、そうしてこういうような特殊物資でありとはいえ、やはり食生活をにぎわしていくというようなことは、私はいい政治のあり方だと思う。申し上げると大へんくどくはなりまするけれども、私が今お伺いをいたしました範囲、御答弁を得ました限度内においては、よそからバナナを入れると、バナナが安くなってしまってそれで関係業者が大きな損失を生ずるようなことになると大へんなことなので、従ってこの問題については、今触れたくないというような御答弁でありました。従いまして、この問題は、大きな政治的な問題をも含んでおりますから、おそらく適当な場合にすごくアッピールいたしまして、われわれの立場を明らかにしたいと存じます。私の質問はこれで終ります。
  130. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となっております四法律案につきましては、その質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了し、討論を省略して、ただちに採決されんことを望みます。
  131. 松原喜之次

    松原委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これにより採決に入ります。まず補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 松原喜之次

    松原委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。  次に、特定物資納付金処理特別会計法案国有財産法の一部を改正する法律上案及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案の三法律案を一括して採決いたします。お諮りいたします。これら三法律案を原案の通り可決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よって三法律案は全会一致をもっていずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました各法律案に関する委、員会報告の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 松原喜之次

    松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十九分散会