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1956-03-13 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 有馬 英治君 理事 小山 長規君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    内藤 友明君       中山 榮一君    夏堀源三郎君       古川 丈吉君    保利  茂君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       石山 權作君    井上 良二君       木原津與志君    田万 廣文君       平岡忠次郎君    石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長事務代理)  中尾 博之君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      佐々木庸一君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月九日  物品税法を廃止する法律案春日一幸君外十二  名提出衆法第一五号)  酒税法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一六号)  外資に関する法律の一部を改正する法律案(春  日一幸君外十二名提出衆法第一七号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一八号) 同月十二日  関税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一一七号)(予)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(予) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法  律の実施に関する陳情書  (第三三九号)  在外資産補償に関する陳情書  (第四〇七号)  釣竿釣用具に対する物品税撤廃に関する陳情書  (第四〇八  号)  互助組合掛金の非課税に関する陳情書  (  第四〇九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物品税法を廃止する法律案春日一幸君外十二  名提出衆法第一五号)  酒税法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一六号)  外資に関する法律の一部を改正する法律案(春  日一幸君外十二名提出衆法第一七号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出衆法第一八号)  関税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一一七号)(予)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(予)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三八号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)  金融制度調査会設置法案内閣提出第七六号)  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第二九号)     ―――――――――――――
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  去る三月九日、当委員会審査を付託されました春日一幸君外十二名提出にかかる物品税法を廃止する法律案酒税法の一部を改正する法律案外資に関する法律の一部を改正する法律案及び銀行法の一部を改正する法律案の四法律案、並びに昨十二日予備審査のため本院に送付され、同日当委員会予備付託となりました内閣提出にかかる関税法等の一部を改正する法律案及び国有財産法の一部を改正する法律案の合計六法律案一括議題として審査に入ります。  まず提出者並びに政府側よりそれぞれ提案理由説明を聴取いたします。春日一幸君。     —————————————
  3. 春日一幸

    春日委員 ただいま議題となりました物品税法を廃止する法律案外三法案提案理由を御説明いたします。  まず物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  物品税は、周知のように、戦時中に立法されたいわゆる戦時立法でありまして、現在七十数品目を残すのみとなりました。物品税が課せられている七十数種の品目の中には、日用生活必需品があり、きわめて不公正かつ不均衡な課税となっております。この際このような物品税を全廃し、新たな見地から高級品奢侈品に限って税を課す必要があると思います。これがこの法律案提出する理由であります。  次に、酒税法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  現在酒類に対しましては相当の重税が課せられている現状にありますが、今度大衆酒と目される合成二級酒、しょうちゅう甲乙雑酒二級酒、ビール等の税金をそれぞれ引き下げようとするのがこの法律案の主旨であります。  すなわち、合成二級酒については、現在石当り一万七千六百円の課税がされているものを、これを一〇%引き下げて一万五千八百円とし、しょうちゅう甲類については、現在石当り一万四千三百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて一万二千二百円とし、しょうちゅう乙類については、現在石当り一万二千七百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて一万八百円とし、ビールについては、現在石当り二万円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて一万七千円とし、雑酒二級酒については、現在石当り一万二千五百円の課税がされているものを、これを一五%引き下げて一万六百円とするものであります。  次に、外資に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  諸外国資本わが国に次々と導入されておりますが、最近中小企業を不当に圧迫するがごとき資本の提携が行われる傾向にあります。この法律案は、そのように中小企業事業活動に著しい影響を及ぼし、その中小企業をはなはだしく圧迫するおそれがあると認められるような外資の導入を禁止しようという法律案であります。この法律案によりわが国中小企業は保護され、ひいてはわが国経済にも重要な寄与をなし得ると信ずるものであります。  最後に、銀行法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  最近、わが国金融界では、集中融資傾向が著しく現われ、中小企業金融がややもすれば圧迫される状態にあります。かかる金融界の悪弊を一掃し、わが国金融を正常な軌道に乗せることが必要であります。かかる情勢下にあって、この法律案は、融資の偏向を是正し、金融円滑化をはかるとともに、銀行の経営の健全性を保持するため、銀行は一人に対し資本及び準備金の総額の十分の一をこえて金銭の貸付をなすことができないようにすることを内容とするものであります。  以上四法律案について提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重審議の上、一日も早く可決されんことを希望いたします。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 山手大蔵政務次官。        —————————————
  5. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま議題となりました関税法等の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  最初関税法等の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。  この法律案は、税関手続簡素化及び関税行政適正化に資するため、関税法及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正しようとするものであります。  以下、改正内容について簡単に御説明申し上げます。     〔委員長退席春日委員長代理着席〕  第一に、関税法につきましては、外国貿易船等簡易手続により入出港することがきるで場合を拡張し、福島小名浜港及び娘本県水俣港を開港に、福岡板付空港税関空港にそれぞれ指定するほか、所要規定整備を行うこととしているのであります。  まず外国貿易船等の入出港手続につきましては、従来外国貿易船または外国貿易機開港または税関空港に入港し、その船用品または機用品以外の貨物の積みおろしをしないで出港する場合に限り、簡易な入出港手続によることが認められておりましたのを、船用品または機用品のほか、乗組員携帯品及び郵便物のみを積みおろしする場合にも簡易手続を適用することとして、税関手続簡素化をはかることとしているのであります。  次に、従来不開港でありました福島県の小名浜港及び熊本県の水俣港につきまして、これらの港における貿易実績及びその将来性にかんがみまして、これを関税法上の開港に指定するとともに、福岡県の板付空港につきましては、日本航空株式会社福岡—那覇線の開設に伴い、これを税関空港に指定することとしているのであります。  その他、外国貨物刑事訴訟法規定により売却等の行われたものは、関税法の適用上輸入を許可された貨物とみなして手続簡素化をはかるほか、収容貨物を廃棄処分できる場合を拡張し、また収容貨物換価代金所有者に交付する場合におけるその貨物についての質権者及び留置権者の保護に関する手続を明確にする等所要規定整備を行うこととしているのであります。  第二に、関税定率法の一部を改正する法律に関する改正点を申し上げます。  従来、学校等給食用乾燥脱脂ミルクにつきましては、関税を免除しているのでありますが、免除を受けたミルクが実際に給食の用に供されるまでには、輸入者以外の者の手を経る関係上、他に転用されるおそれが少くない実情にかんがみまして、その用途外使用を制限するとともに、違反者に対する罰則を整備することとしているのであります。  次に、国有財産法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  国有財産管理及び処分につきましては、原則として国有財産法に基きまして運営されているのでありますが、今般同法に若干の改正を加え、合同庁舎等管理に関する特例を設けるとともに、別途御審議を願っております物品管理法案と関連して、国有財産範囲調整するほか、行政財産について各省庁相互の間における使用調整をはかります等のため、この法律案提出いたした次第であります。  次に、その概要を申し上げます。まず第一に、合同庁舎等管理に関する特例を設けようとすることであります。現行国有財産法においては、合同庁舎等二以上の各省各庁の長において共同して使用する行政財産につきましては、これを所管する者が明確に定められていないのでありますが、これらの財産管理の適正を期するため、統一的に管理を行う必要のある行政財産のうち、大蔵大臣が指定するものにつきましては、これを使用する各省各庁の長のうち大蔵大臣が指定する者の所管に属させることといたしたのであります。  第二に、国有財産範囲を拡張いたしまして、これに航空機を加えたことであります。これは、今般物品管理法案におきまして、従来国有財産として取り扱われて参りました事業所学校研究所等の施設の用に供する機械及び重要な器具は物品として取り扱うことにいたします等、国有財産として管理するものと物品として管理するものとの範囲調整いたす必要を生じましたことに伴いまして、従来物品として取り扱われて参りました航空機につきましては、航空機が近時国においてその用に供することが顕著となりましたこと等にかんがみ、これを国有財産として規定することが適当と考えたからであります。  第三に、行政財産について各省各庁の組織相互の間における使用調整についてでありますが、行政財産管理の斉一を期するため、各省各庁の長がその所管に属する行政財産を他の各省各庁の長に使用させようといたします場合には、国有財産を総轄する大蔵大臣に協議を要することといたしたのであります。  以上、関税法等の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 春日一幸

    春日委員長代理 これにて提案理由説明は終りました。これら六法案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  7. 春日一幸

    春日委員長代理 次に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、質疑を続行いたします。石村英雄君。
  8. 石村英雄

    石村委員 質疑に入る前に、委員長にお伺いいたしますが、いつか委員長も警告を発せられたと思うのですが、本日もまことに出席状態が悪い。こういう状況で委員会をやっていくということは、果して適当であるかどうか。委員長の所見を一つ……。
  9. 春日一幸

    春日委員長代理 きわめて重要な、しかも剴切な御質問でございまして、委員長といたしましても遺憾やる方なき思いであります。委員会出席の事柄につきましては、先般与党野党責任者間において、重要法案が次々と審議されております経過にかんがみまして、特に出席をするよういろいろな措置が講ぜられ、なお当委員会におきましても、先般与党側に対してこの旨を強く要請をいたしておることであります。このようなたび重なる措置にもかかわらず、さらに委員長からの強い要求にもかかわりませず、与党側においては、その後依然として出席率の悪いことはまことに遺憾しごくでございまして、この問題は、いずれ党の機関に諮りまして、議運等に強力にこの実情を申し入れることにいたしたいと存じます。  なお与党責任者理事にお願いを申し上げておきますが、本委員会におきましては、なお重要議案が山積をいたしておりますので、いたずらに紛争を起すような原因となるこういうような不出席ということでなく、与党野党も、いずれも多忙であることにかわりはないのでございますから、お繰り合せ御出席になることを強く要請をいたしておきます。
  10. 石村英雄

    石村委員 では与党の方の善処を期待いたしまして、質問を続けます。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について御質問申し上げますが、この法律は、最初出されたときには期限をつけずに出された。それを衆議院で二カ年ということの時限立法になって参議院でさらに一カ年に短縮されて決定されたものでありますが、それが昨年期限が来てまた一年延期された今度またこれを一年延期する、こういうのですが、衆議院及び参議院の意見は、こうした法律時限立法にした趣旨から申しまして、期限が来ればそういつもいつも一年一年と延ばしていくというのは院議を無視する態度だ、こう考えられるわけですが、政府としてはどういうわけでこれをまた一年延期しなければならぬか、ただ、どうもうまくいきませんから、もう一年がまんをお願いしますというのでは説明が不十分だと思います。期限が来たら、元の法律にそれぞれ返るようにするのが当然のことと思います。またそれを返さないとすればその根本法改正する態度に出るのが当然であろうかと存じますが、いかがでありますか。
  11. 山手滿男

    山手政府委員 御承知のように、政府といたしましては、零細な補助金等につきましては、順次これを整理いたしまして、すっきりしたものにいたしたいという考えを持っております。ただいまお示しの通り、これは国会において修正そのほかいろいろ議論があったところでございますけれども、今日といたしましては、政府がそういう考えを持っております関係上、院議を無視するということではなくて、政府考えておるところを法案にして提出をいたしまして御審議をいただき、御賛成をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  12. 石村英雄

    石村委員 院議を無視するわけではない、こういうことですが、院議は大体一年にきめられたわけなんです。それを、ただ期限が来たが、まだできないからもう一年というのは、院議を無視することになる、こう私は考える。法律が今度一年延期するというように出したから、政府院議を無視することにはならないというように私は今受け取ったのですが、それはどうも理屈に合わないと思います。一年延ばさない、もう期限が来たら来たで新しくほかの法律を出すというなら、これはわかりますが、ただ一年々々で延ばしていくので、これは院議を無視するわけじゃないということは、どうも政務次官の御説明としては納得がいきかねる。
  13. 山手滿男

    山手政府委員 今お話しを申し上げましたように、政府といたしましては、補助金を順次整理をいたしたいという考えを持っておるのでありますけれども、あの当時いろいろ議論もございまして、修正を受けたりいたしましたが、この法案提出いたしまして皆さんの御賛成を得たいということでございますから、別に他意はございません。
  14. 石村英雄

    石村委員 賛成してくれとおっしゃっても、賛成しなければならぬという理由をよく説明してもらわないで、ただ賛成してくれじゃ困るわけです。われわれが喜んで賛成できるように、納得のいくような御説明をお願いしたい。この補助金整理については、与党間にも私は相当問題があると思う。だから、昨年はわざわざ補助金についての特別委員会を作ってまで審議しておる。今度は、大蔵委員会に付議されたわけですが、そのように重大視せられておる法律案でございます。去年一年延期したから、ことしも一年というぐらいの説明でこれを賛成しろと言われてもちょっと困るわけです。
  15. 山手滿男

    山手政府委員 今申しましたような意図を政府は持っておりますが、整理いたしまして、恒久的立法をきちっとするというほどの段階でもございませんので、こういうふうないろいろな令細補助金や何かたくさんありまして、その見通しが立つまでこういう処置をとろうといたしておるわけでございまして、その点は御了承をいただきたいと思いますが、いろいろ事務的なこまかいこともございますので、担当官から御説明をいたさせます。
  16. 石村英雄

    石村委員 担当官から詳しい御説明を聞く前にお尋ねしておきますが、そういたしますと、政府は、この法律関係するものについては、近いうちに本法そのものを出すというようなお考えを持っていらっしゃるのですか。
  17. 山手滿男

    山手政府委員 これは御審議を願っておりますから、今年すぐ本法を出すということではございませんけれども、全部が全部そういうふうに、それじゃ本法を将来出すかと言われますと、必ず全部出すとは申し上げるわけにも参らないと思いますが、あるものについては、本法を出す所存でございます。
  18. 石村英雄

    石村委員 それでは、担当官の御説明を聞きたいと思うのですが、ただ一年延期するというだけはわかっておるですが、その延期するもとの法律ですね。この内容を十分御説明願いたいと思うのです。御説明の便宜上申し上げておきますが、昨年の特別委員会補足説明として村上法規課長が、この法律について三つグループに分けて説明していらっしゃいます。その一つは、地方自由財源を確保するという考え方一つ、これは職員設置等関係一つ。それから次に、奨励的な補助金については、その奨励する事業が普及してくれば、自然補助率を引き下げるということが考えられるというグループ。それから、民間団体補助金はとかく乱用され、不正に使用されるということから、必要不可欠なものを除いては漸次整理していくという考え。この三つ考え方で大体この法律はできておるのだという御説明であったわけでございます。現在もおそらくその通りであろうと思うのですが、説明が変っておれば別ですが、大体同じ考えであれば、この三つに分けて一つそれぞれの法律について御説明願いたいと思います。
  19. 中尾博之

    中尾政府委員 最初ちょっとお断わりしておきますが、御質問に対しては、逐条で簡単に申し上げるのが適当かと思いますが、実はこの法律は、いわゆる補助金整理いたします主として予算上の措置でございますが、それの大きな作業を実はいたしておりまして、その大部分は、予算措置をいたしておるのでございますが、法律特例を必要といたします分だけがここに出ておるのでございまして、大まかに申し上げますと、予算上の措置に基きまして、補助金を検討いたしました結果、三十一年度の予算におきまして、あるいは補助率を引き下げたり、例外的には補助率を引き上げたり、そこで調整を加えます。それから事業量を圧縮したりというようなことをいたしまして、補助金整理をいたしました金額が約三十六億五千万円ございます。そのほかに二十二億というものがありまして、大体この二十二億という金は、この法律関係整理が行われておる、こういうことになります。従って、合わせまして約六十億の補助金整理の全体の計画がございますが、そのうちの約二十二億に相当いたします分が、御審議を願っております法律関係でございます。漫然と一年延ばすのではないかというような御趣旨の御質問がございましたが、この法律だけを決して延ばしておるのではございませんで、補助金整理ということで全体の作業を進めておりまして、まだ作業の途中にあるわけでございます。何分にも補助金の数が多うございますから、一年間ですっきりした姿に整理をするということは、なかなかむずかしゅうございます。順々に手の届く限り整理を進めておる次第でございまして、先ほど政務次官からお答えいたしましたような時期がいずれ来ると存じますが、それまでの間はなお作業中である、こういうふうに御了承願いたいのでございます。  中身について申し上げます。最初は、公立学校定時制課程職員費補助でございますが、これは地方交付税財源回しになっております。先ほどのお話にございました地方の自由な財源に回す、普遍的、恒久的な経費に対する補助金は、逐次地方財源にゆだねるという一つの方針の分であります。  それから公民館、図書館、博物館関係補助でございますが、これにつきましては、従来経常費補助がございました。それから本やそういう中の設備を買うものに対しても補助がございました。これにつきましても、そういうような経常的な運営に要する経費地方財源に回す方がよろしい、ただし新たに設置いたします場合には、これは臨時費といたしまして相当金もかかることである、こういうものは新しく国の補助対象に入れた方がよろしいというようなことでございます。これは、そういうことから経常費整理をいたし、臨時的な経費については、むしろ奨励的にこれをプラスしておるわけでございます。しいて分類いたしまれば、地方自由財源に回すべきものが半分、それから奨励的、これはまだ始まったばかりでございまして、将来もっとそういう習慣が固定いたしますれば、いずれは補助金整理対象になると思いますが、現在はまだこの設備費の方の補助は始めたばかりという状態にございます。  それからその次は、産業教育教科用図書発行費補助でございます。これは民間に対する補助であるという先ほどの分類がございましたが、いわばそれに該当するものでございまして、産業教育振興法に基きまして、約四百万円程度補助を組んでおったのでございますが、これがいわゆる価格補給的な補助でございます。しかもほかのものと違いまして、前からもいろいろあり、配分も必ずしも適切に行われませんし、産業教育については、年々別途九億程度の国の金も出ておりますから、こういう工合の悪いものは差しとめよう、こういうことであります。産業教育関係の教科書は数が多うございまして、部数が出ないということからコストが上るということでありますが、毎年々々年度が経過するに従いまして発行部数が累積して参りますので、コストが次第に下ってくるというような事情も、一方にあることを考えてもおりますが、しいて分類をいたしますれば、第三の民間に対するというところでございます。民間に対するものでも、もちろんやみくもに切っておるわけではありませんで、いろいろ事情を見てやっておるわけであります。そのうちの一つでございます新入学児童教科用図書がございます。これは、基本法の方では、国語、算数無償給与ということになっておるのでございますが、二十九年度から停止いたしました。停止いたしました趣旨は、これはできればもちろんけっこうなことでございまするが、何分にも国家財政能力が十分でございませんので、重点的に効率的な予算の編成をいたしたい、ついては支払い能力の有無にかかわらず支給するということよりかは、貧困な児童に対して別途措置するということの方が先決であるというような事情でございました。従って、これは停止はいたしておりまするが、別途貧困児童のみを対象として給与いたしまする就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律というのを提出いたしまして、別途御審議を願っておるところでございます。予算も、その分におきまして一人六百円、二十一万人分というものを計上いたしてございます。こういうようなものにつきましては、先ほどもお話がございましたが、将来これを調整いたしまして、恒久的な姿に持っていくこともあろうかと思います。しかし無償という線も、必ずしもつぶすわけにいかぬかと思いますから、その辺がむずかしいところでございまして、一年間漫然と延ばすという姿にあるいは見えるかと存じまするが、なお検討いたしておるところでございます。  それから次は、国立公園の整備費の補助金であります。これも分類いたしますれば、地方負担を助けるという口に入るものと思います。国立公園法の規定に基きまして、予算で二分の一の施設費の補助を出しておったのでございますが、これはやはり場所が集中いたしまするので、関係地方団体の負担が相当増額いたします。こういうようなものはなるべく国でいっそやってあげた方がよかろう、基本的な施設に限るとともに、直接国費の方の事業費を相当増額をいたしまして、補助金整理を行なっておるわけであります。  その次が母子手帳の作成費の補助金でございまするが、これはまさに習熟しまして、奨励的な補助地方行政といたしましてとうとう一本立ちになったというようにうかがわれる補助金でございます。児童福祉法に基きまする母子手帳の作成費の補助でございます。交付税に回しましたきわめて普遍的なものであり、恒久的なものであります。地方の本来の仕事としてきわめてふさわしいものでございますので、これを回した次第であります。回した以後の結果を見てみますると、様式を簡素化した県が、静岡県でしたか、一県あるそうであります。あとはおそらく、これも必要な限りで簡素化したものと思います。いろいろ配給関係などで複雑な手帳でございましたが、だんだんそういう点がなくなった関係だと思います。こういうような報告がある程度でございまして、順調に地方財源で——こちらの方から回しました地方財源をお使いになってやっておられるということでございます。  次は、性病予防安の補助金及び精神衛生費の補助金であります。いずれも性病予防法及び精神衛生法に基きまして、性病診療所及び精神衛生相談所に要する経費の二分の一を補助いたしておったわけでございますが、これを四分の一に落してあるわけでございます。これも恒久的な普遍的な事務でございまして、しかも経常費でございますから、なるべく地方財源をつけて差し上げて、地方の自主的な運営でやっていただくという方向に持って行こうという線のものでございます。なおここで申し上げますが、性病の関係は、今回例の売春対策の関係がありまして、相当これは重要性がふえるんじゃないかという懸念が多少あったわけでございます。これについては、御意見のある向きもあると思いまするが、一応そういう取り越し苦労にいたしましても心配もございまするので、そういった見地から、性病診療所につきまして、現行の法律では四分の一にいたしておりますのを、そのままにいたしまするが、別途三十一年度におきまして、性病診療所につきまして単独で設置いたしておりまする分の補助率を二分の一、それから保健所施設の三分の一補助ということに臨時に引き上げる措置をいたしておるのであります。  次は、母子相談員設置費の補助金でございますが、これも恒久的、普遍的な事務に従事する職員経費でございます。これは地方財源措置をいたしまして、地方の計画でおやりになるというふうに回してあるものでございます。第一の分数ということになっております。この措置を講じましてから、母子相談員の仕事は順調に伸びておるということが報告されております。  その次が、漁業調整費の補助金でございます。これは、漁業法に基きまして漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会に関する費用の全額を負担いたしておったのでありますが、委員手当以外の経費について、負担率を三分の二に落したのでございます。これは、例の昭和二十七年の三月に終りましたところの漁業権の調整事務という臨時的な事務がございました。これが終りましたので、以後は経常的な事務になるというところから、これを機会といたしまして引き下げをいたすべきであったのでありまするが、若干時期がおくれましたけれども、そういう見地から、この補助金臨時特例法で補助率の引き下げをいたしておる次第でございます。こういうようなものは、将来もこういう形で固定化していく傾向にある分だと存じます。  それから家畜伝染病予防費の補助金であります。いろいろのものが出て参りますが、このうちで寄生虫病の分につきまして、従来急性伝染病と同じ取扱いにいたしておったのでございますが、これはいささか性質が違いますし、伝染性の度合いが違いますし、きわめて地方的なものでもございますので、予防衛生の見地から、取扱いを別にすべきであるという検討がございまして、負担率を、ほかのものは全額でございますが、寄生虫病の関係のものは二分の一にいたしております。これあたりも、これによってその後の経過を見ておりますと、何ら差しつかえないようであります。将来これを恒久化する際には、そういう方向で考えていきたい、こういうふうに考えております。  それから水産増殖事業補助金でございます。これは保護水面の管理費であります。水産資源保護法に基きまして、保護水面管理費の全額を負担いたしておりましたが、これを二分の一に下げております。これは、地方の利害と非常に緊密なものでございますので、二分の一に低下をいたしましたということであります。これあたりも、最初は奨励的な意味で全額であったと存じますが、次第に本来の姿、国も助け地方もその地元が負担する——大体保護水面でとるのは貝でありますから、そこら辺に固定しておるわけであります。関係の各団体が負担するのが適当であるというので、二分の一に切り下げておるわけであります。  それから漁船保険特別会計への繰り入れであります。これは、漁船再保険特別会計の普通保険勘定への繰り入れでございます。漁船損害補償法の規定に基きまして、保護することを義務といたしておりまする漁船の義務保険料の百分の五十を負担いたしておりまするが、そのうち——これは要するに中小の漁業者の所有する漁船につきまして、その保険料を軽減して生産力の増強と中小業者の保護育成ということを趣旨といたしておったのでございます。その中に中小とはちょっと称しがたいような、水産協同組合以外の法人でございまして、従業員の数が三百人以上、使用漁船の合計総トン数が千トン以上のものが有する漁船というものも、従来から同じ取扱いになっておりますが、これは適当じゃないということで、その分をはずしてあるわけであります。大きな業者の分で、わずかなものでございます。これあたりも、詳細に調査いたしまして、制度を精密にいたしたいということでございまして、必ずしも全部先ほどお話しのございました三原則に割り切るわけにも参りません。しいていえば、民間に対する補助であるというようなことであります。  それから外航船舶建造融資利子補給金でございますが、これは、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基きまして、開発銀行に対しまして、同行の通常の融資利率と三分五厘との差額を利子補給することができることになっておりますが、政府の全額出資の銀行でございまするし、収支の残額は国庫納付させる開発銀行に対してかかる利子補給を行うことは、適当でありませんので、これを停止いたしております。かかる状況は今後当分変りはないと存じますので、さようにいたしたいと存じます。  地方鉄道軌道整備補助金でございまするが、これも二十九年以来地方鉄道軌道整備法によりまするというと、新線及び改良線につきましては、営業用固定資産の六分相当額、欠損線につきましては、欠損金相当額を予算範囲内で補助することができるということになっておりましたが、これらの補助率を六分相当額を限度とし、及び欠損相当制を限度として、それ以下でもよろしいということに特例としていたしてあるわけであります。これは実際問題といたしましては、予算上そういうようなことで従来取り扱っておりましたので、実際の取扱いにこれは合せておるのでございます。むしろ法律を見れば予算の実態がよくわかるというふうに、はっきりさせたというものでございます。従って、これもこのまま恒久的な姿に近い姿に移りやすい部類のものだと存じまするので、なお検討いたしたいと存じます。  それから、建設省関係でございまするけれども、第一種公営住宅建設費補助でございます。これが高層耐火住宅というものに対する補助率は、従来二分の一でございましたが、これを二分の一以内ということにいたしておるわけであります。これはいわゆる三階、四階以上の高層住宅を作ります場合の補助率を同じ補助率にいたしておったのでございますが、これはやや試験的に作ったものでございまして、あまり奨励し過ぎますと、一戸当りの建設費が高いものでございますから、むしろこういうようなものは抑制いたしまして、普通の三階ないし四階ということで戸数をかせいでいきませんと、当面の需要に合いませんので、そういう配慮からこの補助率を下げまして——下げると申しましても、一般の普通住宅に対する補助金と同じに、補助金は一戸当りいくようにはいたしておるわけであります。そのほか、公営住宅法に基きまして、都道府県知事が行う指導監督費を交付しなければならないことになっておりますが、これも、国及び都道府県が共同して行うという趣旨をはっきりいたしますために、国かその都道府県ということにいたしております。府県の方でも措置する、国も措置する別途地方財源を講じたわけであります。目新しいものは別にございませんので、実はそういうようなことになっております。  以上が、この法律によりまする分でございます。大体御質問にございましたような大きな三つの原則によりまして、全体の補助金整理を今進めておる最中であります。もちろん政府といたしましても、みそもくそも全部切るということではございません。一つ一つ念査をいたしまして仕事を進めておる次第であります。そういう経過的な措置であるということを御了承願いたいと思います。
  20. 石村英雄

    石村委員 ただいま詳細な御説明をいただきまして内容はよくわかりましたが、一つ聞きとりにくい点があったのです。今後はく部国庫負担でやることになる、それでさしあたり補助の停止をやっておるのだというような御説明があったと思いますが、どのものに当るのですか。
  21. 中尾博之

    中尾政府委員 国立公園の施設整備費の関係でございます。ちょっと数字を申し上げますと、国立公開の施設整備費の関係は、二十九年度におきまして、国費でもって四百九十五万円を出しております。それから不動産購入費におきまして五百九十万九千円を出す。それからいわゆる対象になる補助金で三千六百万円を出しておったのでございます。これを三十年度におきましては、国の直接出します金四百九十五万円を三千四百八十万円に増額いたし、三十一年度におきましてはさらに七千万円に増額いたしております。不動産購入費五百一万五千円、大体同額ぐらいで従来通り国がやっております。補助金の方の三千六百万円は三十年度以来停止いたしております。要するに、地方負担を廃しまして、大事なところだけは国が直接やっていくという体制になっておるわけであります。
  22. 石村英雄

    石村委員 政務次官にお尋ねしたいと思ったのですが、参議院の方へおいでになられるそうですから、次の機会にお尋ねしたいと思います。ただ、補助金というものをわれわれが見てみますと、大部分といっていいかどうか、とにかく奨励的な補助金と、中には本来国がやるべきことを地方自治体にやらせておる、それに対して補助という形でやっておるという二つの性校を補助金は持っておるように思うのです。この法案を十分審議するとすれば、補助金の根本性格を究明していかなければならないと思うのですが、今度のこの中にも、考え方によると、国がやるべきことを従来補助で出しておった、それを停止するようなものも、私の個人的な意見でありますが、あるように思うのです。その点について十分御研究になって——現在すでに御研究になっておると思いますが、この次の機会に政務次官から御答弁願いたいと思っております。奨励的なものについては、あまり論議の余地はないかと思うのです。
  23. 山手滿男

    山手政府委員 零細な補助金がたくさんございまして、その性格を一々吟味をいたしますと、奨励的な意味もありましょうし、国が直接やった方がよろしかろうというものもありましょうし、なかなか複雑だと思います。ただ、その補助金の出し方、あるいは現実に出しますと、補助金だからということで必ずしも所期の目的が逸せられないような問題も起きてこようし、いろいろな問題が起きてくると思いますので、今担当官から御説明申し上げましたように、そういう性格を一つ一つ念査究明をいたしまして、国が当然やっていかなければいかぬし、また今後もやる必要があって、補助金を与えた方がよろしかろうというようなものを、いきなりぱっと切ってしまうというような意図でやっておるわけではございませんので、その点は御了承を願いたいと思います。     —————————————
  24. 春日一幸

    春日委員長代理 次に、金融制度調査会設置法案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案一括議題となし、質疑を続行いたします。小山君。
  25. 小山長規

    ○小山(長)委員 日本輸出入銀行法改正に関しまして、一、二疑点をただしておきたいと思うのであります。貿易振興、外貨収入増加の政策監見地から、海外における土木建築に関する建設工事を促進することはきわめて重要であり、この政策を円滑に、かつ強力に具体化していく必要があると信ずるのであります。海外における建設工事は、それ自体外貨収入を増大する点で大いに振興する必要がありますが、さらに東南アジア、中近東地域の後進国の開発工事を日本が担当いたしますると、開発された港湾、道路、鉄道等を通じてわが国の商品輸出やプラント輸出がきわめて有利に、効果的に実現できるのであります。この意味において、建設工事の輸出は、一般の商品輸出やプラント輸出の先駆をなすものであって、貿易政策振興上所期の効果を上げるために不可欠であり、ほんとうに重要な意義を有するものであると思うのでありますが、政府はこれに対してどのような考を持っておられるか、一般的にお答えを願いたいと思います。
  26. 東條猛猪

    ○東條政府委員 ただいまの御意見まことにごもっともでありまして、私ども一般的な方針といたしましては仰せの通りである、かように存じております。
  27. 小山長規

    ○小山(長)委員 次に、これに関連いたしまして、日本輸出入銀行の業務範囲と海外建設工事の所要資金の調達との関連について、一、二政府の所見をただしておきたいと思うのであります。まず第一に、現在の法制から申し上げますると、現行の日本輸出入銀行法によりますれば、建設工事のうちで日本から鉄筋とかセメントとか等の資材が輸出される場合は、いわゆる設備等の輸出に伴う技術提供ということで、日本輸出入銀行融資対象となり得る建前となっておって、現実にも、たとえば東南アジアにおける橋梁架設等の建設工事について融資の実例あると承わっておるのでありまするが、日本から資材が輸出される場合には、輸銀の融資対象となり得るという解釈には間違いないのでありますか。
  28. 東條猛猪

    ○東條政府委員 仰せの通りでありまして、日本から資材が出、またそれと付加一体的に日本から技術が提供せられるという場合におきましては、現在の日本輸出入銀行法の第十八条におきまして、その技術の面につきましても、ただいま仰せの通りに輸出入銀行法融資対象になる、かような解釈でございます。
  29. 小山長規

    ○小山(長)委員 そういたしますと、それはこういうことになるわけですね。日本から資材が輸出される場合という定義の中には、いろいろの場合がありますが、たとえば建設工事を担当するのはA建設株式会社である、それから資材の輸出を担当するのはB株式会社であるというふうに別々の会社であっても、そのB会社の輸出する資材をA会社が使って、そして海外建設工事を進めるというときには、AB両会社を総合的に判断して、資材輸出のある場合に該当するものとしてA建設株式会社が輸銀の融資の相手方になり得るということが、大蔵当局においても、輸銀においても異存はない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか
  30. 東條猛猪

    ○東條政府委員 名目的と申しますか、形式的に同一契約である、つまり建設工事のうちの物資の面と技術の面とは形式的、名目的に同一契約である必要は必ずしもございませんで、それらの各契約に聴きまする結果が総合的に集められまして一つ設備を完成するという場合におきましては、ただいまの仰せの通りに、その技術の面も現在の法律において融資対象になり得る、かような解釈でございます。
  31. 小山長規

    ○小山(長)委員 こういうふうに資材の輸出が伴う場合には、輸銀の対象になり得るということでありますが、問題は、建設資材の輸出が伴わない海外建設工事というのが相当あるのであります。このタイプを大体二つに分けて考えてみますると、第一のタイプは、建設工事の現場の調査及び工事設計だけが国際入札に付される場合で、この場合には測量とか地質調査とか、こういうことになるのでありますが、本格的な工事の方は、設計が完了後に別の入札に付される場合があるのであります。たとえば中近東地域のシリア、トランスヨルダン、サウジ・アラビアの三カ国にまたがるヘジャース鉄道について、調査設計のみの入札が昨年十二月に行われて、わが国の建設来者も入札をいたしました。このような入札だけの場合には、わが国から資材の輸出はないのでありますが、わが国の技術者の技術を売ることになるのでありまして、技術の対価として二億円ほどの外貨収入があったといわれておる。またヴェトナム国やビルマ国の水力発電所の調査設計につきましても、日本の会社が調査設計のみを請け負って外貨をかせいだ事例があるのであります。調査設計のみを請け負う例は、東南アジア諸国、中近東地域で今後相当予想され、貿易振興、外貨の収入増加の政策的見地から見てきわめて重要なものであると確信するのであります。調査設計だけの場合をとってみましても、数十人ないしは百数十人が現地におもむき、一年以上の期間にわたって調査設計に当るのですから、数千万円ないし一、二億円の資金が一年以上にわたって必要であり、その資金需要は長期的の資金需要なのであります。また国際競争入札に勝つためには低利の資金でなければならないのでありますが、この場合に、現行の輸銀法によれば法制上融資が可能であるかどうか、若干疑わしい点がある。調査設計を請け負うということは、後に行われるところの本工事の国際競争入札に勝つために必要であります。調査設計をわが国で確保しておけば、わが国の建設業者が本工事を落札しやすくなり、わが国の資材が輸出されやすくなることは自明の理であります。西独が調査設計を担当すれば、西独が工事を落札するに有利であり、英国が調査設計を担当すれば、英国が工事を落札するに有利であることはきわめて明白である。建設工事の調査設計のみの場合でも、貿易振興の見地からきわめて重要であることは今申した通りであります。この場合に、輸銀の融資によって長期かつ低利の資金を提供することが不可能であるとするならば、わが国の入札態勢がはなはだしく不利であり、法制的にも片手落ちのはなはだしいものであります。輸銀の融資を可能ならしめるところの法律改正を急ぐ必要があると信ずるのでありますが、政府は、これに対してはどのようなお考えであるか、念のために伺っておきたいのであります。
  32. 東條猛猪

    ○東條政府委員 日本の技術がかりに設備あるいは資材の輸出を伴わない場合におきましても、その技術単独の海外進出ということが、いろいろな観点からきわめて望ましいことは、ただいまの仰せの通りであります。また現在の輸銀法の規定におきまして、単に技術のみの海外輸出という場合におきまして、輸銀の融資対象に現行法におきましてなりかねる点も御指摘の通りであります。     〔春日委員長代理退席、石村委員長代理着席〕 ただ、ただいままでの実例をいろいろと私どもの方でも検討いたして参っておるのでありますが、そういう単に技術のみの海外進出の場合に、ほんとうに何年にもわたりますところの長期的な資金を輸出入銀行から提供することが、ぜひ必要やむを得ざるものであるかどうか。日本の為替銀行も相当海外に店その他コルレスを打っておるのでありますが、さような市中為替銀行融資対象にならないものでありますかどうか。むしろ私どもの方の従来からの感覚からいたしますると、この輸出入銀行融資対象にならない場合におきましては、さような一般の金融ルートでもってぜひとも必要な資金の調達に事欠かないようにしたい、かように存じておりまするので、ただいまお話のありましたような現実の事例が起きますれば、その個々の事例につきまして必要な資金の確保ができますように、今後ともできるだけの努力をいたしたいと考えております。しかしただいまもお話しがありましたように、そういう事柄が重要でございますので、もしもさような市中金融ルートの措置をできるだけやってみましてもなお事柄が十分でない。この輸出入銀行融資対象に乗せることが必要であるということが個々の具体的な事例ではっきりいたしまして、ぜひ輸出入銀行法の改訂の必要があるというような結論が出て参ります場合におきましては、今後の問題といたしまして、その際輸出入銀行法の改訂を考えてまた御審議をお願い申し上げたい、かように存じておる次第でございます。
  33. 小山長規

    ○小山(長)委員 政府の大体の御趣旨のほどはわかりましたが、もう少し明細に申し上げてみたいのです。建設資材のない場合の第二のタイプ、先ほどのタイプは第一のタイプを申し上げましたが、第二のタイプとして考えられることは、この中に二つ分類できると思うのでございます。すなわち本格的の工事をすることが、工事の性質上わが国からの資材輸出を伴わない場合がその一つのタイプであり、国際競争入札の条件書に使用すべき資材などが特に指定されておるために、わが国からの資材輸出がなし得ない場合、これが一つのタイプであると思います。前者の例をとってみますと、たとえば道路建設工事であるとか、あるいは発電関係、海潮関係等の場合、土堰堤工事あるいは石堤堰堤工事等の場合があるのであります。また後者の方について言えば、たとえばインドのコイナ水力発電所工事のごときであります。この前者、後者双方を通じて、外貨の収入の期待額は相当大きいし、輸銀融資対象とする必要があるにかかわらず、現行法では不備であって、輸銀の融資対象として取り上げておりません。これもすみやかに法律改正の必要があると考えるものであります。  以上述べ来たったところを要約いたしますと、海外建設工事の重要性にもかかわらず、現行の日本輸出入銀行法による業務範囲規定が狭きに失しまして、設備等の輸出に伴ってなされるもの以外は融資対象からはずされておる、これが現状であります。私は、今国会の会期中にこの法律改正をすることが、わが国貿易振興の政策上必要であると確信するものでありますが、大蔵事務当局において、ただいま事務局長からお話があった通り法案提出の準備はしておるけれども、まだ実情の調査が間に合わないということでありますから、一歩を譲って、次の国会に必ずこの法律改正を出していただきたいと思うものでありますけれども、それまでの間に、ただいま局長が申されましたように、外国為替銀行の支店を通じて、あるいはコルレス先を通じて外国に輸出する方法もあるだろうというお話でありますが、そのような事態になるかどうかの判定、個々の問題に対する判定はどういうふうにしておやりになりますか。たとえば建設業協会などというものがありますが、これらから、たとえばインドにおいて、あるいはビルマにおいてこういう工事がある、それについて、たとえばインドシナ銀行、あるいはニューヨーク・ナショナルというようなところで融資を受けたいと思う、あるいは三菱のコルレス先で融資を受けたいと思うが、向うとなかなか話がつかない、ついては、銀行局の方で一つあっせんしてくれないかというようなことがありました場合に、このあっせんの労までお取りになりますか。
  34. 東條猛猪

    ○東條政府委員 個々の具体的事例が起りました場合におきましては、御承知のように為替専門銀行もできておることでございますので、十分にビジネスに乗りますように、積極的に個々の事例の内容に即しますように、できるだけの努力はいたしたいと思います。申すまでもなく将来の問題でございますので、役所がどの程度まで積極的にあっせんするか、これは多少問題でありますが、私どもの方としては、通常役所がいろいろと間に立って実情の補足的な説明をいたしてみたり、あるいはいわゆる行政指導の範囲内でございますれば、できるだけ海外進出に資金面から障害が出ないような積極的な努力をいたしたい、かように考えております。
  35. 小山長規

    ○小山(長)委員 だんだんそのような事例が出て参りますと、あなたの方でも、これはどうしても輸出入銀行法改正しなければならぬとかいうようなところまでいくような情勢にあったときには、この為替銀行などに対しましても、将来いずれこのような資金は輸出入銀行対象になると思うから、その間ちょっとつないでおいてくれぬかというくらいまでのことはおやりになって、そうしてこの海外建設工事が円滑に進むような配慮をわずらわすことが、日本の輸出貿易振興上必要だと思いますが、そのようなところまでの御決心もついておいでになりますかどうか、一言追加しておいていただきたいのであります。
  36. 東條猛猪

    ○東條政府委員 事案を見まして、それがほんとうに日本の技術進出のために必要であるということであり、またいろいろ判断いたしまして、これはやはりどうしても輸出入銀行法改正が必要であるという心証を得ましたならば、今のお言葉のところまで踏み込んでやっていいと思っております。
  37. 小山長規

    ○小山(長)委員 外国為替がただいまのような場合に、為替銀行外国為替を持っていない場合、あるいは非常に手当が窮屈だというようなときには、為替局としてもそのような協力をなされるわけでしょうね。
  38. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 御指摘がありましたように、為替銀行にはいろいろな外貨資金が扱われる道が講ぜられております。そのうちで非常に目立ちますものは、政府の方に預金をいたしまして、安い金利で為替取引ができるようになっている次第でございます。その為替資金につきましては、御指摘のような設計、工事、監督というようなことのために短期に回転いたします金融をつけます上におきましては、制度上今のところ障害は何も設けていないと思っております。ただ利用し得る資金量が限られておりますために、特定の銀行におきましてはそういう余裕がなく、特定の銀行についてはそういう余裕があるという、具体的のケースにつきましていろいろな場合が生ずるかと思います。そういう場合におきましては、資金の緩急を見まして、なるべくあっぜんをいたして参りたいと考える次第でございます。
  39. 小山長規

    ○小山(長)委員 その点でちょっと私今為替の預託のやり方をよく知らないのでありますが、たとえば、海外の建設、工事は重要である、これは政府考えておる、銀行局もそう考える、具体的な場合としまして、たとえばインドシナならインドシナ、ビルマならビルマで非常に有利な技術提供契約が結ばれておる、そのことについて当該建設工事者がわが国銀行に協力を申し出た、ところがどうもその銀行があまり協力的でない、Aの銀行は協力的でないが、Bの銀行に申し出たところが、Bは非常に好意的だ、ところがBの銀行に為替資金がないというような場合に、あなたの方は、おそらくABCといろいろ預託してあるのだろうが、Aの預託を引き上げてBの預託に変えるというようなこともできるのですか。
  40. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 特定の銀行がある仕事をやらないために引き上げるということは考えておりません。現状において十分余裕のある銀行も為替専門銀行なんかにはある、こういうふうに考えておる次第であります。取り上げるまでもなくできる余裕はあると考えております。
  41. 石村英雄

    石村委員長代理 春日一幸君。
  42. 春日一幸

    春日委員 この際金融制度調査会設置法案に関連をいたしまして、わが国金融制度のあり方について疑義の存するところをただしてみたいと思います。  第一番は、銀行法に基く銀行の経営のあり方に対する主務大臣の監督の実情についてお伺いをいたします。銀行法第五条は「銀行ハ担保附社債信託法ニ依リ担保附社債ニ関スル信託業ヲ営ミ又ハ保護預リ其ノ他ノ銀行業ニ附随スル業務ヲ営ムノ外他ノ業務ヲ営ムコトヲ得ズ」と、ここに銀行の専業主義をきびしく法定いたしておると思うのであります。さらに同法第十三条におきましては、「銀行ノ常務ニ従事スル取締役又ハ支配人が他ノ会社ノ常務ニ従事セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」これまた責任者が常務に専念すべき事柄を厳粛に規定をいたしておると思うのであります。そこでお伺いいたしたいことは、第五条と第十三条の法律の条章並びにその指向する精神は、銀行金融事業に専念すべきであって、他の営利事業に関与してはならないということが厳粛に規定されておると思うのであるが、東條銀行局長は、この私の見解について変った御意見がありといたしますならば、この際お述べをいただきたいと思います。
  43. 東條猛猪

    ○東條政府委員 銀行は第五条に示された以外の業務は営んではならないということにつきましては、私は疑義がないと思います。
  44. 春日一幸

    春日委員 そこでいろいろと疑義の生じますのは、もとより銀行が表から堂々と第五条を破ることは当然許されてはいないと思うのでありますが、この第五条の精神が、さらに厳粛に貫かれておるかどうかという問題について、私はお伺いをいたしたいと思うのであります。と申しますのは、いわゆる企業の銀行管理についてであります。たとえば銀行がある企業体に融資をいたしておりまして、そして貸し出した金額がだんだんと重なって参りますに従いまして、銀行としては、その債権保全という立場から、銀行内部から車役を派遣してその企業を支配する、あるいは監督する、こういう事柄は、現在各所において見受けられる現象でございます。なるほど銀行はそれぞれ人事の上におきまして、明確に銀行からの関係を遮断して、退職せしめて派遣をした形にしても、一応人事的には明確な処理が行われてはおるでありましょうが、しかし世間的には、特にまた関係者におきましては、親銀行からこういう管理者が派遣をされてきた、従ってこの経営の責任は逐次その銀行側にある、こういうような工合にだんだんと考えて参りますことは人情の必然であります。私の申し上げますことは、ただ銀行とその企業との間の情報交換とか、あるいはさらに実情を把握するための一、二の重役を派遣するというような場合でありますならば、これは必要に基いての措置ということも考えられましょうけれども、私がここに一つの事例を持ち、なお重大な疑義を抱くに至りましたことは、社長、専務、総務部長、常任監査役、これらの全重役を銀行から派遣をいたしまして、その企業を全面的に管理運営をした実例があるのでございます。このことは、すでに銀行の支店長であった者、あるいは銀行の枢要なる地位にあった者が、一応形式的にその名儀を銀行から退任した形にいたしましても、これら一群の責任的立場にある人々がその企業体に派遣をされて、そしてその企業がこれらのチーム・ワークによって行なわれておる、こういうような場合は、これは明らかに銀行法が第五条に禁止いたしておりまする、すなわち禁止事項を行なっておると私は考えるのであります。法律上はいろいろな抜け道があるかもしれませんけれども、その企業の資本金は、一応貸付という形にはなっておりましても、その企業の流動資本のほとんどを銀行が出しておる。そして運営に携わる全重役は、これまたその銀行から派遣されておる。こういうような場合は、だれが見ても銀行の経営であり、その責任が銀行にあるという工合に考えるのはいなみがたいことである。私は、こういうようなあり方は、明らかに銀行法が禁止をいたしておりまする第五条の専業主義に相反する事柄であると思いますが、東條銀行局長は、これについていかなる見解をお持ちでありましょうか。
  45. 東條猛猪

    ○東條政府委員 今春日委員の仰せの具体的の事例で、社長以下全重役が銀行から派遣されておったかどうかというその事実論の問題は、私はしばらく離れたいと思いますが、銀行からかりに会社に経営の責任者を派遣するという場合におきましては、今お話しのように、銀行の常務に従事する取締役等の役員がその身分のまま他の企業会社の常務に従事しておることを認可したということは、記憶いたしておりません。そこで、おそらく御指摘の場合は認可でなくて、実際には銀行の身分を離れましてほかの会社の経営者になった、そうすれば、私はこの第十三条の役員の兼職制限の規定に違反いたしたことにはならないと存ずるわけであります。それから相当数の役員が企業の経営責任者として銀行からある会社に派遣された、その結果ちょっと見ると、いかにもその事業の経営について、その派遣された元の銀行自体が責任を負うような感じを与える場合が自然ではなかろうか、こういう仰せのように思いましたが、むしろ身分を持ってはいけないというこの十三条の規定に基きまして、銀行からある役員が別の企業会社に派遣せられたというときにおいて、銀行と会社とのそういう責任の帰属関係は断ち切れておるのであって、もし銀行からその会社に対する貸付債権等がありといたしますならば、銀行は会社に対する貸付債権者としての立場はもちろんあるわけでありますけれども、その企業のいろいろの債権債務の総合的な責任が帰属するという意味の関係は、法律的に成り立つものではない、またさような感じを対外的に与えることは、この十三条の趣旨、あるいはこの五条の規定というものから見てさようなことがあってはならない、私はかように感じております。
  46. 春日一幸

    春日委員 私は、この際東條銀行局長に申し上げたいことは、もとより法律の条章は厳粛に守らなければならない。同時に、その法律の精神も同じように尊重されなければならないのでありまして、その監督の任に当りまするあなたの心がまえは、この両面に対して十分なる配意がなされなければならぬと存ずるのであります。私は、あなたに法律論をお伺いいたしておるのではない。これは、もう明確に申し上げておりまする通り、いずれも銀行にはそれぞれの顧問弁護士等がおって、一応形式的な法律の問題は疑義のない処置を講じてあることについては、私は論議の余地はないと思います。けれども、われわれが本委員会において論じまするのは、この立法機関といたしまして、この法律の条章とその精神が十二分に守られておるかどうか。もしも守られていないとするならば、そのことが法律の条承上の欠陥でありとするならば、われわれはその法律自体をも直してかからなければならないという立法以前の立場において、われわれは問題を取り上げておるのであります。私があなたに申し上げましたのは、この十三条における責任者の専従主義、それから第五条の、銀行金融業務に対する専業主義、こういう精神がこの法律範囲内において現在守られておるかどうかということを私はお伺いいたしておる。そうして私が、今具体的に申しましたことは、この経営の資本も、いつしか銀行がどういう関係であるか知らないけれども、その企業の流動資本の、おそらくは一〇〇%近いものを銀行が出してしまっておる、貸し付けた形によって出資した形になっておる、社長、専務、監査役、総務部長以下全重役がその銀行から派遣されておる、この企業の実態が、卸五条の専業主義の法律の精神に何ら疑義がないかどうか、このことを私はお伺いいたしておる。なお参考のために申し述べるが、私は、本問題については先般予算委員会において、一萬田大蔵大臣と石橋通産大臣に事例をあげてその見解をただしました。そのとき石橋通産大臣の明確なる答弁は、お説のごとくであれば、これははなはだもってけしからぬ、これは速記録に明確に記載されております。私は、あなたがその法律管理者といたしまして、こういうような実態がこの法律の精神に照らして何ら疑義はないものであるかどうか、まずこの一点をお伺いいたします。
  47. 東條猛猪

    ○東條政府委員 具体的な事例の問題になって参りますれば、何がゆえにさような事実が起ったか、またどういう経路においてそういう事実が起ったか。今申し上げておりますのは、金の関係、重役全部が派遣されておるという前提に立って申し上げておるのでありますが、そういう原因のよって起ってきた実情をよく調査いたしまして、銀行側として行き過ぎがあるかどうかという事実を具体的に調査いたしてみませんと、一般的な抽象論ではどうかと思いますが、五条及び十三条の運用につきましては、個々の事例にわたって、何ゆえにそういうことになったかという事実をよく判定いたす必要がある、かように存じております。
  48. 春日一幸

    春日委員 きわめて同感であります。そこで私は、具体的な事例についてさらに銀行局長の見解をもただしたいと思うのでありまするが、ここに、名古屋に資本金七千五百万円をもって自転車の製造を業といたします岡本工業株式会社という会社がございます。これの融資銀行は日本勧業銀行であります。ところが日本勧業銀行は、この会社に対しまして五億一千三十万円の貸付を行いました。これはまことに集中融資、偏向融資といたしまして、すでに当委員会において年来糾弾しておる事柄ではありまするが、どういう経路をたどったか知りませんが、いずれにしても五億一千万というこの巨大なる偏向融資が行われました。その結果銀行といたしましては、この企業体を経営者たちにゆだねていくことは不安とえたのでありましょうか、しばしばここへ重役を送って参ったのでありまするが、そこで最近におきまする現状を申し述べますと、その社長である長山三男君、これは工学博士であり元陸軍少将でありましたが、これは開銀並びに勧銀の嘱託であった、これを勧銀の推薦によって、長山氏が社長に推薦されました。それから専務取締役の鎌田君、これは元勧銀の仙台支店長でありましたのが、一応この岡本の専務になりましたために退任をいたしまして、この専務に就任をして現在に至っております。それから次は松本常務取締役でありますが、この人は元勧銀の福山支店長でありました。この人は勧銀を退任いたしまして、この会社の総務部長に就任し、常務になって現在に至っております。そのほかに監査役に光村君というのがおりますが、これは元勧銀の静岡支店長であって、勧銀を退任して岡本工業に入社して、現在その清算業務に携わっておるのであります。  さらに私はこの際強調いたしたいことは、さきに退任をいたしましたところの中取締役、この人は勧銀から派遣をされて、それから岡本の取締役になって、取締役の任を果して勧銀へ帰って、中君は今勧銀の大阪支店長であります。さらにはまた神戸というかつての取締役、これも勧銀から推薦されて岡本自転車に入って、その重役となり、それからその岡本を退任後勧銀に戻って、現在豊橋支店長から名古屋の桜町の支店長等を歴任いたしておるわけであります。すなわち勧銀は、この岡本工業に対して資本をほとんど八〇%以上出しておると同時に、社長、専務、監査役、総務部長、こういうようなものを勧銀から支店長をやめさしてそこへ送り込み、適当な年月を経るとそれを勧銀へとり戻して、勧銀の枢要なポストにつけておる、そういう人事交流が現実に行われておるのであります。問題は、私はこういうような事柄が銀行の債権保全の立場から必要にして欠くべからざる処理としてなされて、それがよい結果を生んでおりまするならば、私はこれは別の論議として、この際とがめるところではございません。けれども、問題は、ここにこの岡本自転車工業なる会社が勧銀から五億何千万の債務を背負い、ことに愛知、岐阜、三重三県にわたって四百五十軒の下請企業に対し、実に二億一千万円という債務を背負うに至った、こういうような状況下において、彼らがみずから破産をして、そうして手をあげたのであります。これら下請関係四百五十軒の人々の言葉を総合いたしますと、勧銀から金が出ている、専務、社長、監査役、総務部長、その他全部勧銀から来ておられる、従ってこれは勧銀経営である、全責任は勧銀にあるから仕事をしても心配はない、代金を受け取ることに対して貸し倒れの心配はないという絶対安心感を持ってその下請にいそしんで参ったのであります。その結果、ここに二億一千万円というような債務を生じて参りました。そこで、勧銀が今どういうような態度をもってこれらの債権者に臨んでおるかと申しますると、彼勧銀は、これらの重役陣を岡本工業に送り込むことによりまして、すなわち債権債務に対するいろいろな法律的な処置を完了いたしました。そうして五億一千万円の債権に対しては、この担保物件の登記を完了いたしまして、すなわち大垣工場財団、一宮工場財団、その他建物、宅地、機械類一切を担保として設定いたしまして、評価額は四億八千何百万円、これはわずか三、四百万円の損害でありましょうが、しかしながら、これをさらに適正に時価に換算して、売手と買手との好条件でこれを売却いたしますれば、勧銀はこの処置によってむしろ膨大な利潤をおさめ得るという可能性がある。損をするという場合があるといえども、それは微細なものである。ところが四百五十軒の下請中小企業者に対するこれの清算方法は何であるかと申しますると、債権者会議において発表されたところの整理案は、実に驚くなかれ、この二億一千万円の九割の債権の放棄をしなさい、されば一割だけは一つお払いをいたしましょう、こういう整理案の発表をされたことによって、この四百五十軒の下請中小企業の諸君は、ために倒産をした者がたくさんあります。ここにこもごも陳情書を寄せて参っておりまするけれども、これはいずれ時間をかけてさらに深く御検討を願わねば相なりませんが、ために破産をした者もあり、給料を払えない者もあり、一家離散のうき目にあった者が、それをここに切々たる文章でたくさん訴えておる。私はこのことをあなたにお伺いをいたしておるのです。とにかく銀行法第五条が厳粛に規定いたしておりまする法律のその条章の精神は、銀行は厳にこの金融業務にのみ専念をする——営利事業にタッチすることによって、銀行の持っておるところの信用により不当な影響力を第三者に与えてはならないということ、さらにはまた、その企業が失敗をいたすような場合がありますと、預金者に対して大きな迷惑をかける結果にもなりますので、預金者の安全を守るためにも、他の営利事業に関与することを厳粛に規制しておると思う。問題は、こういうような運営が行われたことによって、しかもそれが主務大臣によって見のがされたことによって、あるいはまた政府銀行とのやみ結託によってこういうような事柄が行われたことによって、今四百五十軒の下請関係者が泣いておる。一方勧銀側は、法律をたてにとって、これらは全然債権債務の問題であって、われわれの関知するところではないといっておる。こういう問題を、国会は見のがすわけには参らぬと存じます。  しかしながら、この問題は非常に深遠な問題であり、すでに時間の迫りました本委員会において結論を得ることは困難でございましょうから、私はこの際委員長に動議を提出いたします。すなわち、この問題は、わが国金融機関に関するいろいろな調査のための法律案も今出されておるときでありまするから、銀行法全般に対する再検討の大きな資料とも相なりましょうと思いますので、こいねがわくは、金融委員会等におきましてこの問題の真相をさらに確かめて、もしも法律に欠陥ありとするならば、私どもは本委員会においてその法律の欠陥を補充しなければならぬと存じます。従いまして、本問題を一つ委員会の議事として、適当な機会に参考人を招致して問題の調査を進められんことを望みます。以上動議を提出いたします。
  49. 石村英雄

    石村委員長代理 お諮りいたします。ただいま春日一幸君より、金融に関する件について参考人の出頭を求め、意見を聴取するよう取り計らわれたい旨の動議が提出されましたので、この動議についてお諮りいたします。春日提出の動議のごとく取り計らうに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお参考人の選定、意見を聴取する日特等につきましては、一切委員長に御一任を願っておきたいと存じます。これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 石村英雄

    石村委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  次会は追って公報をもって御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十六分散会