○
中尾政府委員 最初ちょっとお断わりしておきますが、御
質問に対しては、逐条で簡単に申し上げるのが適当かと思いますが、実はこの
法律は、いわゆる
補助金を
整理いたします主として
予算上の
措置でございますが、それの大きな
作業を実はいたしておりまして、その大部分は、
予算で
措置をいたしておるのでございますが、
法律上
特例を必要といたします分だけがここに出ておるのでございまして、大まかに申し上げますと、
予算上の
措置に基きまして、
補助金を検討いたしました結果、三十一年度の
予算におきまして、あるいは
補助率を引き下げたり、例外的には
補助率を引き上げたり、そこで
調整を加えます。それから
事業量を圧縮したりというようなことをいたしまして、
補助金の
整理をいたしました金額が約三十六億五千万円ございます。そのほかに二十二億というものがありまして、大体この二十二億という金は、この
法律の
関係で
整理が行われておる、こういうことになります。従って、合わせまして約六十億の
補助金整理の全体の計画がございますが、そのうちの約二十二億に相当いたします分が、御
審議を願っております
法律の
関係でございます。漫然と一年延ばすのではないかというような御
趣旨の御
質問がございましたが、この
法律だけを決して延ばしておるのではございませんで、
補助金の
整理ということで全体の
作業を進めておりまして、まだ
作業の途中にあるわけでございます。
何分にも
補助金の数が多うございますから、一年間ですっきりした姿に
整理をするということは、なかなかむずかしゅうございます。順々に手の届く限り
整理を進めておる次第でございまして、先ほど
政務次官からお答えいたしましたような時期がいずれ来ると存じますが、それまでの間はなお
作業中である、こういうふうに御了承願いたいのでございます。
中身について申し上げます。
最初は、
公立学校の
定時制課程の
職員費の
補助でございますが、これは
地方交付税財源回しになっております。先ほどのお話にございました
地方の自由な
財源に回す、普遍的、恒久的な
経費に対する
補助金は、逐次
地方財源にゆだねるという
一つの方針の分であります。
それから公民館、図書館、
博物館関係の
補助でございますが、これにつきましては、従来
経常費の
補助がございました。それから本やそういう中の
設備を買うものに対しても
補助がございました。これにつきましても、そういうような経常的な運営に要する
経費は
地方財源に回す方がよろしい、ただし新たに設置いたします場合には、これは
臨時費といたしまして
相当金もかかることである、こういうものは新しく国の
補助の
対象に入れた方がよろしいというようなことでございます。これは、そういうことから
経常費は
整理をいたし、臨時的な
経費については、むしろ奨励的にこれをプラスしておるわけでございます。しいて
分類いたしまれば、
地方の
自由財源に回すべきものが半分、それから奨励的、これはまだ始まったばかりでございまして、将来もっとそういう習慣が固定いたしますれば、いずれは
補助金整理の
対象になると思いますが、現在はまだこの
設備費の方の
補助は始めたばかりという
状態にございます。
それからその次は、
産業教育の
教科用図書の
発行費の
補助でございます。これは
民間に対する
補助であるという先ほどの
分類がございましたが、いわばそれに該当するものでございまして、
産業教育振興法に基きまして、約四百万円
程度の
補助を組んでおったのでございますが、これがいわゆる価格補給的な
補助でございます。しかもほかのものと違いまして、前からもいろいろあり、配分も必ずしも適切に行われませんし、
産業教育については、年々別途九億
程度の国の金も出ておりますから、こういう工合の悪いものは差しとめよう、こういうことであります。
産業教育の
関係の教科書は数が多うございまして、
部数が出ないということから
コストが上るということでありますが、毎年々々年度が経過するに従いまして
発行部数が累積して参りますので、
コストが次第に下ってくるというような
事情も、一方にあることを
考えてもおりますが、しいて
分類をいたしますれば、第三の
民間に対するというところでございます。
民間に対するものでも、もちろんやみくもに切っておるわけではありませんで、いろいろ
事情を見てやっておるわけであります。そのうちの
一つでございます
新入学児童教科用図書がございます。これは、
基本法の方では、国語、
算数無償給与ということになっておるのでございますが、二十九年度から停止いたしました。停止いたしました
趣旨は、これはできればもちろんけっこうなことでございまするが、
何分にも
国家財政の
能力が十分でございませんので、重点的に効率的な
予算の編成をいたしたい、ついては
支払い能力の有無にかかわらず支給するということよりかは、貧困な児童に対して別途
措置するということの方が先決であるというような
事情でございました。従って、これは停止はいたしておりまするが、別途貧困児童のみを
対象として給与いたしまする就学困難な児童のための
教科用図書の給与に対する国の
補助に関する
法律というのを
提出いたしまして、別途御
審議を願っておるところでございます。
予算も、その分におきまして一人六百円、二十一万人分というものを計上いたしてございます。こういうようなものにつきましては、先ほどもお話がございましたが、将来これを
調整いたしまして、恒久的な姿に持っていくこともあろうかと思います。しかし無償という線も、必ずしもつぶすわけにいかぬかと思いますから、その辺がむずかしいところでございまして、一年間漫然と延ばすという姿にあるいは見えるかと存じまするが、なお検討いたしておるところでございます。
それから次は、国立公園の
整備費の
補助金であります。これも
分類いたしますれば、
地方負担を助けるという口に入るものと思います。国立公園法の
規定に基きまして、
予算で二分の一の施設費の
補助を出しておったのでございますが、これはやはり場所が集中いたしまするので、
関係地方団体の負担が相当増額いたします。こういうようなものはなるべく国でいっそやってあげた方がよかろう、基本的な施設に限るとともに、直接国費の方の
事業費を相当増額をいたしまして、
補助金の
整理を行なっておるわけであります。
その次が母子手帳の作成費の
補助金でございまするが、これはまさに習熟しまして、奨励的な
補助が
地方行政といたしましてとうとう一本立ちになったというようにうかがわれる
補助金でございます。児童福祉法に基きまする母子手帳の作成費の
補助でございます。交付税に回しましたきわめて普遍的なものであり、恒久的なものであります。
地方の本来の仕事としてきわめてふさわしいものでございますので、これを回した次第であります。回した以後の結果を見てみますると、様式を
簡素化した県が、静岡県でしたか、一県あるそうであります。あとはおそらく、これも必要な限りで
簡素化したものと思います。いろいろ配給
関係などで複雑な手帳でございましたが、だんだんそういう点がなくなった
関係だと思います。こういうような報告がある
程度でございまして、順調に
地方の
財源で——こちらの方から回しました
地方財源をお使いになってやっておられるということでございます。
次は、性病予防安の
補助金及び精神衛生費の
補助金であります。いずれも性病予防法及び精神衛生法に基きまして、性病診療所及び精神衛生相談所に要する
経費の二分の一を
補助いたしておったわけでございますが、これを四分の一に落してあるわけでございます。これも恒久的な普遍的な事務でございまして、しかも
経常費でございますから、なるべく
地方に
財源をつけて差し上げて、
地方の自主的な運営でやっていただくという方向に持って行こうという線のものでございます。なおここで申し上げますが、性病の
関係は、今回例の売春対策の
関係がありまして、相当これは重要性がふえるんじゃないかという懸念が多少あったわけでございます。これについては、御意見のある向きもあると思いまするが、一応そういう取り越し苦労にいたしましても心配もございまするので、そういった見地から、性病診療所につきまして、現行の
法律では四分の一にいたしておりますのを、そのままにいたしまするが、別途三十一年度におきまして、性病診療所につきまして単独で設置いたしておりまする分の
補助率を二分の一、それから保健所施設の三分の一
補助ということに臨時に引き上げる
措置をいたしておるのであります。
次は、母子相談員設置費の
補助金でございますが、これも恒久的、普遍的な事務に従事する
職員の
経費でございます。これは
地方に
財源措置をいたしまして、
地方の計画でおやりになるというふうに回してあるものでございます。第一の分数ということになっております。この
措置を講じましてから、母子相談員の仕事は順調に伸びておるということが報告されております。
その次が、漁業
調整費の
補助金でございます。これは、漁業法に基きまして漁業
調整委員会及び内水面漁場
管理委員会に関する費用の全額を負担いたしておったのでありますが、委員手当以外の
経費について、負担率を三分の二に落したのでございます。これは、例の昭和二十七年の三月に終りましたところの漁業権の
調整事務という臨時的な事務がございました。これが終りましたので、以後は経常的な事務になるというところから、これを機会といたしまして引き下げをいたすべきであったのでありまするが、若干時期がおくれましたけれども、そういう見地から、この
補助金臨時
特例法で
補助率の引き下げをいたしておる次第でございます。こういうようなものは、将来もこういう形で固定化していく
傾向にある分だと存じます。
それから家畜伝染病予防費の
補助金であります。いろいろのものが出て参りますが、このうちで寄生虫病の分につきまして、従来急性伝染病と同じ取扱いにいたしておったのでございますが、これはいささか性質が違いますし、伝染性の度合いが違いますし、きわめて
地方的なものでもございますので、予防衛生の見地から、取扱いを別にすべきであるという検討がございまして、負担率を、ほかのものは全額でございますが、寄生虫病の
関係のものは二分の一にいたしております。これあたりも、これによってその後の経過を見ておりますと、何ら差しつかえないようであります。将来これを恒久化する際には、そういう方向で
考えていきたい、こういうふうに
考えております。
それから水産増殖
事業費
補助金でございます。これは保護水面の
管理費であります。水産資源保護法に基きまして、保護水面
管理費の全額を負担いたしておりましたが、これを二分の一に下げております。これは、
地方の利害と非常に緊密なものでございますので、二分の一に低下をいたしましたということであります。これあたりも、
最初は奨励的な意味で全額であったと存じますが、次第に本来の姿、国も助け
地方もその地元が負担する——大体保護水面でとるのは貝でありますから、そこら辺に固定しておるわけであります。
関係の各団体が負担するのが適当であるというので、二分の一に切り下げておるわけであります。
それから漁船保険特別会計への繰り入れであります。これは、漁船再保険特別会計の普通保険勘定への繰り入れでございます。漁船損害補償法の
規定に基きまして、保護することを義務といたしておりまする漁船の義務保険料の百分の五十を負担いたしておりまするが、そのうち——これは要するに中小の漁業者の所有する漁船につきまして、その保険料を軽減して生産力の増強と中小業者の保護育成ということを
趣旨といたしておったのでございます。その中に中小とはちょっと称しがたいような、水産協同組合以外の法人でございまして、従業員の数が三百人以上、
使用漁船の合計総トン数が千トン以上のものが有する漁船というものも、従来から同じ取扱いになっておりますが、これは適当じゃないということで、その分をはずしてあるわけであります。大きな業者の分で、わずかなものでございます。これあたりも、詳細に調査いたしまして、制度を精密にいたしたいということでございまして、必ずしも全部先ほどお話しのございました三原則に割り切るわけにも参りません。しいていえば、
民間に対する
補助であるというようなことであります。
それから外航船舶建造
融資利子補給金でございますが、これは、外航船舶建造
融資利子補給及び損失補償法に基きまして、開発
銀行に対しまして、同行の通常の
融資利率と三分五厘との差額を利子補給することができることになっておりますが、
政府の全額出資の
銀行でございまするし、収支の残額は国庫納付させる開発
銀行に対してかかる利子補給を行うことは、適当でありませんので、これを停止いたしております。かかる状況は今後当分変りはないと存じますので、さようにいたしたいと存じます。
地方鉄道軌道
整備費
補助金でございまするが、これも二十九年以来
地方鉄道軌道
整備法によりまするというと、新線及び改良線につきましては、営業用固定資産の六分相当額、欠損線につきましては、欠損金相当額を
予算の
範囲内で
補助することができるということになっておりましたが、これらの
補助率を六分相当額を限度とし、及び欠損相当制を限度として、それ以下でもよろしいということに
特例としていたしてあるわけであります。これは実際問題といたしましては、
予算上そういうようなことで従来取り扱っておりましたので、実際の取扱いにこれは合せておるのでございます。むしろ
法律を見れば
予算の実態がよくわかるというふうに、はっきりさせたというものでございます。従って、これもこのまま恒久的な姿に近い姿に移りやすい部類のものだと存じまするので、なお検討いたしたいと存じます。
それから、建設省
関係でございまするけれども、第一種公営住宅建設費
補助でございます。これが高層耐火住宅というものに対する
補助率は、従来二分の一でございましたが、これを二分の一以内ということにいたしておるわけであります。これはいわゆる三階、四階以上の高層住宅を作ります場合の
補助率を同じ
補助率にいたしておったのでございますが、これはやや試験的に作ったものでございまして、あまり奨励し過ぎますと、一戸当りの建設費が高いものでございますから、むしろこういうようなものは抑制いたしまして、普通の三階ないし四階ということで戸数をかせいでいきませんと、当面の需要に合いませんので、そういう配慮からこの
補助率を下げまして——下げると申しましても、一般の普通住宅に対する
補助金と同じに、
補助金は一戸当りいくようにはいたしておるわけであります。そのほか、公営住宅法に基きまして、都道府県知事が行う指導監督費を交付しなければならないことになっておりますが、これも、国及び都道府県が共同して行うという
趣旨をはっきりいたしますために、国かその都道府県ということにいたしております。府県の方でも
措置する、国も
措置する別途
地方財源を講じたわけであります。目新しいものは別にございませんので、実はそういうようなことになっております。
以上が、この
法律によりまする分でございます。大体御
質問にございましたような大きな
三つの原則によりまして、全体の
補助金の
整理を今進めておる最中であります。もちろん
政府といたしましても、みそもくそも全部切るということではございません。
一つ一つ念査をいたしまして仕事を進めておる次第であります。そういう経過的な
措置であるということを御了承願いたいと思います。