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1956-03-09 第24回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月九日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 松原喜之次君    理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君    理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       遠藤 三郎君    加藤 高藏君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    夏堀源三郎君       保利  茂君    坊  秀男君       前田房之助君    山村新治郎君       山本 勝市君    石山 權作君       竹谷源太郎君    田万 廣文君       横錢 重吉君    横山 利秋君       石野 久男君  出席政府委員         大蔵政務次官  山手 滿男君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月八日  委員森山欽司君及び横山利秋辞任につき、そ  の補欠として加藤高藏君及び下平正一君が議長  の指名委員に選任された。 同月九日  委員下平正一辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月八日  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号) 同日  軍用水道を米子市に移管の請願足鹿覺君紹  介)(第一二二一号)  三級清酒設定反対に関する請願芦田均君紹  介)(第一二四四号)  みつまた価格安定対策確立に関する請願(井谷  正吉君紹介)(第一二四五号)  中小企業等協同組合法の一部改正に関する請願  (春日一幸紹介)(第一二六四号)  余剰農産物見返円の貸付に関する請願春日一  幸君紹介)(第一二六五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一五号)  金融制度調査会設置法案内閣提出第七六号)  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第二九号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇三号)  専売事業に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件     —————————————
  2. 松原喜之次

    松原委員長 これより会議を開きます。  昨八日、当委員会審査を付託されました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案議題として、審査に入ります。まず政府側より提案理由説明を聴取いたします。政務次官山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま課題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに概要を御説明申し上げます。  国家公務員等内国旅行を行う場合、従来、国家公務員等旅費に関する法律規定に定められた等級より下位等級によって鉄道旅行または水路旅行を行うことが多い反面、日当及び宿泊料定額は、旅館の宿泊料金等実態に比べて低額であると考えられますので、この際運賃日当及び宿泊料等旅費額実費弁償の建前に即して改訂するとともに、外国旅行につきましても、右の趣旨に準じて実態に応じた改正を行うほか、あわせて所要の規定整備を行い、旅費制度の内容及び運営合理化をはかることとし、この法律案を提出いたした次第であります。  次に、その改正の要点を御説明申し上げます。内国旅費につきましては、第一に、鉄道賃及び船賃級別支給区分が、現行法では内閣総理大臣等及び十一級以上の職務にある者には一等の、十級以下四級以上の職務にある者には二等の、三級以下の職務にある者には三等の運賃をそれぞれ支給することになっておりますのを、内閣総理大臣等及び七級以上の職務にある者には二等の、六級以下の職務にある者には三等の運賃を支給することといたしたのであります。ただし、内閣総理大臣等及び十四級以上の職務にある者が一等車または一等船室を利用する場合には、一等運賃を支給することといたしております。第二に、内閣総理大臣等及び十一級以上の職務にある者に対しましては、片道三百キロメートル以上の旅行をする場合には、新たに特別二等車料金を支給することといたしました。第三に、特別急行料金を支給できる旅行を、現行法では片道五百キロメートル以上のものとしておりますのを、片道三百キロメートルのものに改めました。第四に、日当宿泊料及び食卓料定額をそれぞれ現行定額の三割増しの額といたしました。  外国旅行につきましては、第一に、鉄道賃及び船賃につき、さきに御説明申し上げました内国旅賃の場合に準じて、それぞれの級別支給区分を改めることにいたしました。第二に、航空賃について、現行法では現に支払った運賃によることになっておりますのを、運賃等級を二以上の階級に区分する航空路による旅行の場合には、原則として、内閣総理大臣等及び十三級以上の職務にある者に対しては最上級運賃を、十二級以下の職務にある者に対しては最上級直近下位の級の運賃を支給することといたしました。第三に、移転料定額につき別表を補正し、鉄道二千キロメートル以上を四段階に区分して、新たにそれぞれの定額を定めることにいたしました。  以上のほか、その他の規定につきましても、若干整備をはかることといたした次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 松原喜之次

    松原委員長 これにて提案理由説明は終りました。質疑は後日に……。
  5. 横山利秋

    横山委員 ちょっと資料の要求をお願いしておきたいのですが、今提案された理由の中で、「国家公務員等内国旅行を行う場合、従来、国家公務員等旅費に関する法律規定に定められた等級より下位等級によって鉄道旅行または水路旅行を行うことが多い反面、」こういうことが書いてあるのですが、これは何か確たる根拠があっておっしゃっておるのだろうと思うのです。何かこう見ますと、一等の人が三等に乗ってその差額をもうけておる、こういうふうな感じがいたすわけです。そういう実績があるのかないのか、あったら、一つ次会にこの実情を具体的に資料をもって御提示を願いたい。
  6. 松原喜之次

    松原委員長 この法律案に対する質疑は後日に譲ります。
  7. 松原喜之次

  8. 横錢重吉

    横錢委員 法案について若干御質問いたします。  本案提出理由については、先般御説明があったのでありますが、これらの観点からしますると、日本銀行法及び臨時金利調整法、こういう点だけを中心にしてこの問題を考えようとしておるのか、あるいはまたさらに金融制度という全般の問題について考える構想もあるのか、あるいは中に示されておる委員構想、これらは一体どういうところに構想を持っておるか、これらの点についてさらに少しく承わりたいと思います。
  9. 山手滿男

    山手政府委員 お答えをいたします。調査会審議事項でございますけれども、これは、単にどれかのある重要な項目一つ審議するとかなんとかというふうなことではございませんで、経営健全化のために必要な措置をどういうふうにしたらよろしいか、そういう経営健全化のための規定整備はどういうふうにしたらよろしいかというふうな全般的なものを初めといたしまして、金融制度全般にわたる万般の問題をこの調査会において御審議を願うことにいたしたいと思う次第でございます。  なお委員人選等につきましては、この法案にある通りでございまして、いろいろ考えてはおりますが、具体的な人選そのほかについては、まだ全然進めておらない実情にあります。
  10. 横錢重吉

    横錢委員 日銀の昨年三月の貸出額二千五百二十一億から二百億程度減少した、こういうふうに説明されていますが、最近における資料は何かございますか。
  11. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいま手元に用意いたしておりまする資料といたしましては、二月の末日の残高でございますが、日本銀行貸し出し残高は二百九億六千七百万、約二百十億あるのでございます。
  12. 横錢重吉

    横錢委員 政府としては、貸出額減少をどういう目で見ておるか、これを好ましい状況と見ておるのか、あるいは好ましからざる状況と見ておるのか、その辺の見解はいかがですか。
  13. 山手滿男

    山手政府委員 その点につきましては、政府といたしましては、好ましい現象であって、決してその貸し出しが少くなったことを心配をしておるというふうなことはございません。
  14. 横錢重吉

    横錢委員 この調査会を作ろうとする趣旨が、何か日銀貸出額が減ってきた、従って現在までの市中銀行に対する日銀関係が、市中銀行に対して一つの圧力がかけられないといいますか、支配権が薄れたというか、そういう関係から、貸し出しをもってする政策からさらに新しいものを作ろうとする、そういう構想は別段持っていないのですか。
  15. 山手滿男

    山手政府委員 もちろん、今後起るべき金融のあらゆる情勢に対処をいたしまする態勢を整備するために、各方面の御意見を承わりたいとて、こういう調査会を設けたわけでございまして、金融正常化が進むにつれまして、今後いろいろなことが起き、かつまた今後は、財政経済のいろいろな運営の面で、金融が非常に重要なウエートを占めることを予想をいたしまして、万全を期したい所存から出ておるわけでございます。
  16. 横錢重吉

    横錢委員 銀行についてちょっと伺いますが、終戦直後からごく最近に至るまで、銀行はかなり日銀に依頼をしながらやってきた、その中において、日本経済に対する貢献を大きく果してきた、こういうように見るわけでありますが、それとともに、国内における資金不足という状況から、金融機関産業に対する支配権というか、産業に対する力というか、こういうものが非常に強くなってきた。そういうような面から見たときには、銀行配当の率のよいということ、あるいは銀行が枢要な地点にどしどし本支店を建築をして、建築の競争をしておるというようなこと、こういうことに対して、当局としてはどういうふうに考えておられますか。
  17. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまお話しのございました、金融機関は戦後相当役割を果してたと思えるが、一面配当の問題であるとか、あるいは各種店舗増設であるとか、金融機関としてふさわしからぬ面もあったのではないかという趣旨お尋ねでございますが、私どもといたしましても、常々金融機関公共性ということにかんがみまして、金融機関につきましては、できるだけ社外流出を抑制いたしまして、内部の自己資本の充実をはかるということを勧めますとともに、店舗その他におきましても、なるべく派手な、不必要に金のかかるようなことをしてはならないという指導をいたして参った所存でございます。最近におきましては、特に御承知のような情勢でもありまするし、一段とこの趣旨を強めまして、配当等につきましても一段と社外流出の抑制をはかって参るようにということを要請をいたしておりまするし、また店舗増設のごときも、真にやむを得ない場合のほか、厳にその増設を押える、かようなことで、本来金融機関としてあるべき立場に十分立脚したあり方をするようにということにつきましては、私どもといたしましても十分な指導をしておるつもりでありまするし、また金融機関側におきましても、相当自粛の実をあげまして、協力して参っておる現状である、かように存じておる次第であります。
  18. 横錢重吉

    横錢委員 銀行の場合においては、金利が従来高いといわれておったのが、下げられる傾向が出てきた。ただしかし、金融制度全般から見た場合には、銀行金利というものは、他の金融機関から見れば決して高くない、ほかから見ると安くなっておる。ただ、これがどういうふうに高くなっているかというと、実際には両建預金を強制されておる、この両建預金があるために、銀行から融資を受けることが相当困難である、表面は金利が安いが、事実は相当高い金利についておる、こういうような現象について、これをどう見ておるか、あるいはまたどう改正しようとしておるのか、この点いかがですか。
  19. 山手滿男

    山手政府委員 お尋ねのように、一時金融が逼迫をしておりました当時は、相当両建が行われたことも事実でございますし、きわめて好ましくないことでございましたけれども、実際上はそういうことが往々行われておったわけでございます。大蔵省といたしましては、両建をできるだけやらないように行政指導をして参っておるのでございますが、最近は金融実情等からも、政府行政指導が効を奏したというわけで——必ずしもそういうことだけではございますまいが、金融実情からも、だんだん両建は減少をし、特別の例以外はなくなりつつある、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 横錢重吉

    横錢委員 信用金庫その他においては、資本金あるいは準備金、こういうものを合せた金額から一定の限度以上は貸付をしてはいかぬ、こういうような貸付に対する制限がある。これは、一つには預金者に対する保護のためであるし、一つにはまた金庫経営健全性というところからこれがしいられているわけですが、銀行の場合には、これらのものが設けられていない、こういうように聞いておるわけです。そこで、実際には資本金準備金を超過して、たとえば資本金が五億である場合に、一会社、一産業に対する貸付が十億あるいは二十億というように、はなはだしい貸し出しが行われる。この点に関してはいかがですか。
  21. 山手滿男

    山手政府委員 信用金庫等につきましては、これは金庫自体がいわば中小企業ともいうべきものでございまして、経営につきましてもよほどの注意をいたしませんと、不測の事態が起きる可能性もございますので、従来お説の通りいろいろ指導をして参ったわけでございます。大銀行等につきましても、もちろんそうした指導はいたして参っておりまするし、これをさらにどういうふうに強化をしていくかというふうなことにつきましては、今度設けます調査会において各方面意見を聞きまして、きっちりした制度を確立する必要があれば、そういうふうに取り計らいたいと考えております。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 銀行の金が、大体全国的に地方から吸い上げてきて、都市において貸し出しがされる。しかも都市の中において、さらに優良企業に集中をする、こういうような格好をとっておるわけです。たまたま優良企業と思ったもので危ない場合ができてくる。これは銀行でも数多例が出ているはずです。現実資本金を超過するたくさんな金を一産業に貸して、それがたまたま好景気と思っていたものが、突然何かの事象によって工合が悪くなった。そのために銀行経営相当ひびが入る、あるいはまた信用程度が落ちておる、こういうような状況はわれわれの眼前に展開されている事実です。この問題に対しましては、何らかの形で、一企業に対する貸付がその銀行資本準備金、これらのものの何分の一というようなことで制限を加えられなければ、この調査会の目的である支払い準備金制度を作っていこうとする趣旨とも反するのではないか。この傾向が各国における傾向としたならば、やはり準備金を作って預金者保護をする、銀行健全化をはかるということとともに、この制度が考えられていいと思うのです。今考えられているということでありますから、これはぜひ一つお願いをしたい、こういうように考えております。  そこで、現在銀行支払い準備金状況は、大体どういうような傾向になっておりますか。
  23. 東條猛猪

    東條政府委員 御承知のように、従来は比較的銀行資金状況が、何と申しますか、需給がゆるやかでないという関係がございまして、現金でありますとか、あるいは日本銀行に対する預金でありますとか、あるいはきわめて短期の有価証券でありますとか、そういう流動性の非常に高い形でのいわゆる支払い準備金、これが厳格な意味支払い準備金という言葉に該当いたしますかどうか、支払い準備金の観念の持ち方でいろいろの考え方があると思いますが、同様な意味の非常に流動性の高い支払い準備金というものは、遺憾ながら必ずしも高い割合を占めておらなかった。はなはだ恐縮でありますが、具体的な計数を今ちょっと手元に持ち合せておりませんが、決して高かったとは申せないと思います。最近に至りまして、われわれの方、あるいは日本銀行の方では、制度的な支払い準備制度問題いかんにかかわらず、行政的措置といたしまして、なるべく銀行支払い準備を厚くするようにという指導を通牒あるいはその他の形によりまして、いろいろといたしておりまして、逐次この支払い準備金も手厚くなりつつあるというのが現状であろう、かように申し上げたいのであります。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 全国銀行あるいは地方銀行分けていただければなおけっこうですが、職員一人当り預金はどの程度になっておりますか。
  25. 東條猛猪

    東條政府委員 達観的な意味、概数的に申し上げたいと思います。これは、もちろん各銀行によりまして出入りのありますことは、申すまでもないのでありますが、平均的に申しまして、大体都市銀行で二千万円、地方銀行で一千三百万円と達観していただきましてよろしかろうと思います。
  26. 横錢重吉

    横錢委員 銀行経営が、地方銀行でも大体千三百万からの預金になっておるということは非常によい傾向だと思う。その半面に、信用金庫その他の場面においては、一千万をはるかに割っておる。五百万ないし六百万程度行けばよい方ですが、こうした金融機関は、現在非常にコスト高あるいは資金の量が不足で、十分な役割を果せない。こういう中小企業中心とした金融コストを下げるということ、あるいは金利を下げるということ、こういうことに対して何らかお考えになっているでしょうか。
  27. 山手滿男

    山手政府委員 お説の通り信用金庫そのほか中小企業対象として貸し出しをいたしております金融機関預金が、非常に少いわけでありまして、従って、行員一人当り預金高が少いために、いろいろな問題がございます。ことに貸付をいたします場合においても、零細な金額のものを件数多く貸しておりますために、手数もかかって、人をなかなか減らすわけにも参らないというふうな実情等もございまして、勢いこの金利等が割高になっていっておるわけでございますけれども政府といたしましても、何とかできるだけ中小企業向け金利を引き下げたいということで、政府関係機関等につきましても、先般来いろいろ苦心をいたしております。あるいは商工中金等についても、非常な苦心をいたしておるわけでございまして、今後この調査会等皆さん方の御意見も聞いたり、政府の方でも独自の立場で研究を重ねまして、一般市中金利低下状況ともにらみ合せまして、何らかさらに有効な措置を講じたいと思う次第であります。
  28. 横錢重吉

    横錢委員 中小企業対象とした金利が高いということ、また資金の量が不足だということは、同時に正式の金融機関以外のものが非常にばっこしておることでもわかる。これは毎日の新聞の広告欄を見ればわかりますように、大体月三分、五分、七分、一割——一割というのは最近少いですが、七分ぐらいのものまでは相当に出ておる。貸金業においても、今日日歩三十銭まで認めておる。きわめて高い金利のものまでが動いて、これが今日また中小企業を圧迫している。こういうような形になっておるわけですが、従来からとってきた政府の態度は、何とかしたいということは答弁なさるけれども、しかし現実には有効な手は打たれていないのではないか。かつまたこれをやろうとする場合には、よほど思い切った手を考えていただかなければ、効果が上らないのではないか。そこで、今日日銀貸し出し銀行に対しては非常に減ってきておるのだから、信用金庫やその他の中小企業対象とした銀行あるいは金庫、こういうような機関に対して、この日銀の金を何らかの方法融資をする道は開かれないでしょうか。
  29. 東條猛猪

    東條政府委員 今さら私から申し上げるまでもなのでありますが、金融機関日本銀行というような中央銀行資金供給を仰ぐということは、先ほどお言葉もありましたように、いわば例外的な姿にあるべき問題であります。従いまして私どもは、いわゆる金融正常化という観点から考えまして、市中銀行日本銀行からの借り入れが二百億前後まで下って参ったということは、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、むしろ金融の本来あるべき正常な姿である、かように見ておる次第であります。お言葉通りに、中小企業金融日本国民経済の上に占める重要性は、私ども十分肝に銘じておるわけでありまして、各種金融機関合理化、あるいは経費の節減、そういった自律的な努力も要請いたしますとともに、政府といたしましても、あるいは政府関係機関金利の引き下げをできるだけはかって参ることによりまして、直接、間接にそれらの金利低下もはかって参りますし、あらゆる方途を講じたいと考えておりますが、今のお言葉の、中央銀行からの比較的低利の資金供給を受けて中小企業向け資金コストを下げるという考え方は、正常化いたして参りました現在の金融制度の上から見ましていかがであろうか、なかなか考えにくい問題であろう、かように考えておるわけであります。
  30. 横錢重吉

    横錢委員 これは、考えにくいということはわかるのですが、銀行の場合には、資金不足を来たすときには日銀から借りられる。しかもこれは一銭八厘で借りられる。だから銀行の場合には、資金不足を来たしても、こういう逃げ道あるいは応援を求めるところがあるからやっていける。ところが中小企業関係金庫その他においては、これができない。しかも相互銀行あるいは金庫等においては日掛をやる。日掛では、一日に百円で一カ月三千円程度しかできない。大体一人の集金は百五十万ないし二百万、この程度のものしかできないのであります。従って預金コストは非常に高くついておる。これを、現在のままでは日銀から貸すわけにいかぬ、これはその通りだと思う。ただ、この間の論議でも出てきましたように、余剰農産物の金が幾つもカーブを描いて他の方面に流用されておるというお話がありました。こういうように、やろうと思ったならばカーブを描けばできるのじゃないか。今日幸いに市中銀行の方では、日銀に仰がなくてもやっていけるという状態まで自立できた。今日自立できないのはこういうような信用金庫その他である。自立できないとは申し上げませんが、まだ預金コストが非常に高いという現状にある。これは何らかの形で預金コストを下げて資金量をふやす、こういう点の援助を日銀に仰ぐ方法は、カーブを描いて考えられませんか。
  31. 東條猛猪

    東條政府委員 相互銀行あるいは信用金庫等におきまして、掛金制度日掛制度、あるいは外務員制度というようなことで、資金コストが割高についておるということは、御指摘の通り事実であります。しかし考えてみますと、さような外務員の活動によりまして、掛金制度でありますとか、あるいは日掛制度でありますとか、中小企業にふさわしい資金吸収方法が行われる、またそれに相応した貸付が行われるということは、いろいろ考え方はありまするが、中小企業金融機関としてやはり非常に大事な一つの行き方でありまして、それが一般金融に比べまして資金が割高であるとか、あるいは貸し出し金利が結局高くついておるということのゆえに、必ずしも制度としてその方が劣っておるというふうにきめてしまうのもいかがであろうか。日本銀行からの貸し出しが、何か回り回って、結局たとえば信用金庫資金の源泉になるような方途は考えらないかということでございますが、今日これから逐次正常化して参るというような情勢におきましては、さようなことを考えますことは、先ほども申し上げましたように、考え方としていかがであろうかというふうに考える次第であります。
  32. 横錢重吉

    横錢委員 金融制度を考える場合、銀行というものは金融制度の大宗であります。だから、銀行をどうしていくかということはもちろん中心になりますけれども日本経済全体から考えた場合に、それだけではないということを考えるわけなんです。しかも金融というものは、産業との関係において機械と油の関係にあるわけですね。金融は油であって、産業が機械である。だからこの点から見たとき、銀行そのもの、あるいは金庫そのものが、問題ではなくして、これからの貸し出しを受けて事業を回転している立場、この問題も考えなければいかぬと思うのです。たとえば中小企業対象とした機関から金を借りたものが、高いコストで金を借りておる。それが今度は、たとえば商売でいうならばデパートと競争する、工場でいうならば大企業と競争する、これは非常な低金利で金を借りておる者と、高金利で少額を借りている者とが現実日本産業の中でぶつかっている。ぶつかっている中で、いつも負けているのが中小企業です。今日金融制度を改革しようとするならば、この問題にメスを入れなければいつになっても強い者が勝ち、弱い者が負けるという姿のまま出てくる。だから考えられないというのではなしに、カーブを描くというのは、カーブを描いてもということであって、できれば面接の方がいいのです。法律改正が必要ならば、法律改正をしても、何らかの形でもう少しこの問題を真剣に考えていただきたいと思う。いかがですか。
  33. 東條猛猪

    東條政府委員 お話しのような、いわば普通の金融のルートにそのまま流しておくのでは、中小企業金融制度として欠けておる点があるという観点から、先ほども政務次官からも御答弁がありましたように、各地の中小企業金融公庫あるいは国民金融公準、商工中金という政府機関、あるいは一般金融機関でも、政府機関的な特色の非常に強い特殊の機関が設立せられまして、そしてこれには事情の許す限り、財政資金と申しますか、政府資金と申しますか、そういう資金が注入せられまして、直接間接に中小企業金融に裨益し、またその金利負担を緩和するということにあらゆる努力をいたしておるわけでありまして、いわば自由競争のベースにおきまして、大企業に対して中小企業金融面からいって全然庇護されておらないというようなことのないように、政府といたしましてできるだけ手厚い手段を、現在の制度のもとにおいても講じておりますが、また今後、そういった面につきましてはあらゆる施策を傾けて参りたい、かような考え方でおる次第であります。
  34. 横錢重吉

    横錢委員 この点は調査会が発足したならば、ぜひ一つ取り上げて御研究願いたいと思うのです。  それから各府県には信用保証協会というのが設立されております。信用保証協会で保証をして融資をする場合、現在ではほとんど市中銀行のみになってきておる。市中銀行を利用する者であったならば、これは保証を受けなくとも大体借りられるような人が多い。これは、上には上があると同時に、下には下がある。地方に行くと、地方銀行から貸し出しのある程度のワクを受けられるという者は、いい方なんです。だんだん下から下へと幾つもの金融機関があるがこういう信用のない者に対して協会が保証をして、銀行から貸し出しが受けられるようにするということは、中小企業に対する擁護の政策として出ておるわけです。それが現実的にはそうでなくなってしまって、銀行を十分利用できるような者に対してだけ保証協会が保証をしていくというふうにだんだん質的な変化を遂げてしまっておる。これは、今日の市中銀行関係から見ると、むしろ相互銀行の方がはるかに中小企業対象として活動しておるわけです。ところが相互銀行に対しては、信用保証協会が認めていない。現在入っておるのは日本相互一つだけです。ほかの相互銀行は入らない。こういう関係を見ておるのですが、これは市中銀行だけでなしに、相互銀行も全面的に利用できるように道を開いていくべきではないでしょうか。
  35. 山手滿男

    山手政府委員 保証協会の方に一行しか入っておらないということでありますが、私は相互銀行が一行だけというふうには考えておらなかったのであります。要は信用保証協会の運用の問題であろうと思いますし、お尋ねのような不都合がありといたしますならば、早急に私どもも調べて善処をさせたいと思います。
  36. 横錢重吉

    横錢委員長 これは現実状況がこういうふうになっていますから、ぜひ一つ取り上げて、中小企業対象として、弱者に対する保証という本来の設立の精神に返って、ぜひお願いしたいと思います。  さらに次に伺いますが、今日金融機関が金を預かる、あるいは金を貸すというような金融の諸制度は、すべて免許事業になっておる。これは大蔵大臣の免許、あるいは府県知事の免許という形になっておるわけです。今日こういうふうに免許事業になっておるにもかかわらず、免許を受けずに相当の仕事が行われておる。相当の仕事というのは何かというと、今日全国的に、株式会社等において従業員から相当の社内預金を集めておる。これは昨年度の調査でも二百億をこえておる。これは、金融機関の免許という立場から見た場合にはきわめて問題があると思う。このためにいろいろなトラブルを生じておる。こういう問題はどういうふうに考えておられるのですか。
  37. 東條猛猪

    東條政府委員 仰せのように、大ぜいの者から金を預かるということにつきましては、その性質上よほど慎重な配慮が要るわけでありまして、先般国会で決定になりました出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律もさような弊害を是正するために設けられた立法でありますことは、私から申し上げるまでもないわけであります。この法律の運用におきましては、この法律の違反であるかどうかということを、個々のケースごとに具体的な案件といたしまして処理いたさなければならない事態が相当多いのであります。御指摘の社内限りの、しかも対象が社員のみであるという場合におきましては、多くの場合、これは具体的な個々の条件も調べてみないとわかりませんが、この法律の違反までは構成しないという事例が多いと存じております。しかしながら御指摘のように、大ぜいの金を扱うということは公益的な性格、またその信用行為であるということにかんがみまして、十分に戒心をいたさなければならない点でございますので、私どもといたしまして、この点は関係当局ともすでに連絡をいたしておりまして、十分法律趣旨に沿うような取締りをいたしていく所存でございます。
  38. 横錢重吉

    横錢政府委員 法律は万全ではない、従って金融制度を免許事業として行なっておっても、その法律に抵触しない限りにおいては何でもできる、そういうようなことから、二、三年前になるけれども、保全経済会あるいは殖産金庫等の問題が全国を旋風のように襲った。しかもこの襲った中において大きな弊害が出ても、大蔵省としては、現在取締りの法規がないということでやや拱手傍観の形でした。そのうちにあの事態はおさまったのですが、被害は国民だけがこうむった。そのあとに預り金等の法律が出てあわててやったけれども、そのときには、大体国民の被害によって終ってしまった。さらに社内預金という問題が今日起ってきておる。企業が倒れると、従業員が預けておった金が破れないというような状況があちこちに見え出してきておる。こういう中において、この法律によって取り締れるかと見ておると、この法律では取り締れない。業としてという問題がある、あるいは不特定多数という問題がある。これは業としてでもなければ、不特定多数という見解も、五千人、一万人の従業員であっても、多数ではあるが不特定ではないという法律上の疑義があって、これまた取り締れない。こういうようなことがあって、このままに過ぎておると、これは保全経済会の二の舞が出てくる。あちこちで企業が倒れ、従業員の預金がふいになってしまう、こういうことからいろいろな社会問題を惹起してくる。これは、今日免許事業として大蔵省が取締りを厳重にして、その網の中に入ったものだけはやっておるが、網の外にいるものに対しては全然打つ手がないという今日の現状に対しては、考えるべきではないか。特に免許事業として厳重な取締りをしている当局としては、もう少しこの問題について考えるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  39. 東條猛猪

    東條政府委員 不特定でもなし、非常に範囲を限定せられておる。またそういう場合において、一つの会社の社員が便宜その会社に預かり金をするということをも、この一般預金業務との関係、あるいは金を預かることの関係者に及ぼすいろいろの影響を考えて立法的な方途によってこれを取り締るかどうか、この辺のところはよほど慎重な考慮をいたしませんと、取り締った方がよろしいという結論はなかなか出しかねる問題ではなかろうかと思います。要するに行き過ぎをいかに是正するかということは、結局この法律の運用の問題にかかってくると思うのでありまして、今日の段階におきまして、会社が特定の社内の社員の預かり金、その預金を受け入れることをもあるいは立法的な手段をお願いいたしまして取り締るべきかどうか、これはその及ぼす影響というものをよほど考慮いたしませんと、簡単には結論の出かねる問題ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  40. 横錢重吉

    横錢委員 今の優柔不断な考え方が、私は保全経済会や何々殖産金庫と称するあの一連のやみ金融のばっこを許した原因だと思うのです。一方において免許事業として大きく取り扱っていながら、片方において法律に抵触するかしないか疑義があるというようなことで、現実に被害があるということは知っておりながら、これを許す。そういうような今までの大蔵当局の態度、これを変えなかったらまたこの二の舞いをやる。これははっきりしておる。今日において、総理も本年になってから三百億をこえておるのです。しかもこれが日歩四銭五銭という金利で預かっておる。その金利をもって人から金を預かるのを知っておるのです。これは明らかに今日の金利調整法や何かを無視している行為であるし、また免許事業というものを無視している行為です。そういうように無視されておっても、大蔵省の方としては、おれの方の法律の範囲ではないということで、腕をこまねいてじんぜん日を送っておったのでは問題が解決しない。国民がまた被害をかぶる。被害をかぶってからあわてて法律改正をやってみても間に合わない。従って、この問題もあわせて一つお考えを願いたいと思うのです。以上要望して、時間がないそうでありますから、質問を打ち切ります。     —————————————
  41. 松原喜之次

    松原委員長 専売事業に関する件、印刷事業に関する件及び造幣事業に関する件について、横山委員より発言を求められておりますので、これを許します。横山君。
  42. 横山利秋

    横山委員 専売事業の中で、今日非常に重要な問題をはらんでおるのがございます。それは申すまでもなく、専売に対して今回出された調停案による専売における労使関係の紛争についてであります。この点について、大臣も来てもらうようにお話しておいたのでありますが、お見えにならぬので、政務次官にお伺いしたいのでありますから、一つ納得のいくように、今日の大蔵省のものの考え方を明確にしてもらいたいと思うのであります。この専売調停案について、大蔵大臣はどういう立場でものを言っておるのか。つまり国務大臣としてものを言っておるのか、それとも主管大臣としてものを言っておられるのか、そのどちらでものを言っておられるか、まずそれをお伺いをいたします。
  43. 山手滿男

    山手政府委員 どうも私は、新聞にどう出ておりましたか、大蔵大臣がどういう発言をしておるかよく存じませんので、ただいまの御質問に対して、私が御答弁を申し上げるのは適当でないように思います。
  44. 横山利秋

    横山委員 それでは、政務次官は一体どういう御商売ですか。大臣のかわりにあなたはお見えになっておって、この専売事業に関しては大臣を助けてもろもろのことに通暁しておられると思うのでありますが、あなたの知る限りにおいてはどうなのですか。
  45. 山手滿男

    山手政府委員 今度の調停案につきましては、三公社五現業に対して順次調停案が出されるようでありますが、きょうあたり、全逓などについても出るようでございまして、政府のこれに対処する態度がどうかということを私が申し上げるのは——やはり政府が最後的な意見を統一をいたしまして、所管給与担当大臣等から御説明を申し上げることが一番適当であろうと思います。その前に、今お話のように、大蔵大臣が国務大臣としてか所管大臣としてか、わけのわからぬような発言をいたしたりいたしまして、一見政府がばらばらに行動をしているというふうな印象を与えたりなんかするということは好ましくないことでありまするし、政府の見解はいろいろな部面に影響し、それがさらにひいては民間の方にも影響することでもございましょうし、不用意な先ばしった発言をすることは適当ではあるまい、こう考えております。
  46. 横山利秋

    横山委員 御説ややもっともであります。つまりあなたのおっしゃるのは、主管大臣たる一萬田さんがものを言わないうちはものを言ってはなるまい、まず主管大臣、それからそれよりも以前に公社ですか、そういうところにものを言わせるのが適当である、こういうふうにお考えのようですね。いかがですか。
  47. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまも申し上げましたよりに、この問題は三公社五現業だけの問題とも言い切れない。ひいては公務員全般、地方公務員にまで、あるいは民間産業にまでいろいろな波及をいたす大きな問題でもございますから、これはやっぱり政府意見を統一して、さっき言いましたように、給与担当大臣等が統一ある責任のある答弁をし、態度を表明することが好ましいことであって、所管大臣として大蔵大臣、そのほか政務次官等が先ばしった見解を表明することは適当でないという御答弁を申し上げておるわけでございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 全くあなたのおっしゃるのは、ごもっともであります。ところが、ごもっともであるにかかわらず、あなたの言うところによれば、一番最後にものを言うべき国務大臣である大蔵大臣が、一番最初にものを言っておるといたすなら、あなたはどうお考えになりますか。
  49. 山手滿男

    山手政府委員 私は、大蔵大臣がどういう発言をしたかよく知りませんし、どういうふうに新聞に出ておったかよく知らないわけでございますが、その点につきましては、またあらためて一つ大蔵大臣から直接お聞き取りをいただきたいと思います。
  50. 横山利秋

    横山委員 妙なところであなたは言葉を翻して困るのであります。調停案が出た直後に、一萬田大蔵大臣は談話を発表して「きょうの懇談会では倉石労相が事情を説明しただけで、政府の態度としてはまだ決めていない。運輸大臣と国鉄総裁とで調停案の扱いを話合うことになろう。しかし国鉄が赤字経営で苦しい事情にあり、専売公社などに波及すれば数十億円の財政負担増加になるので、大蔵省としては調停案に賛成できない。」と明確に言ってのけたのであります。この点については、あなたが今ごもっともらしいことを言われたのとは、まるで逆なわけでありますが、一体これは事実でないのかどうか、事実であるとすれば、大蔵大臣を代表してあなたがお見えになっておるのだけれども、その所見はどういう考えであるかお伺いをいたしたいと思います。
  51. 山手滿男

    山手政府委員 事実であるかどうか、これは取り調べてよく事実を確かめなければ、事実であるとかないとかということは申し上げられないのでありますが、もし大蔵大臣がそういうことを言ったとすれば、御承知のように、国鉄は非常な赤字で悩んでおり、何といいますか、運賃の改訂などもやらなければいかぬというふうな、そういうことさえ議題に上っておるような経理内容である。しかも、運賃の値上げをいたすというふうな場合があるかないか知りませんけれども、もしあるといたしましても、ここでこういうふうな調停案をのんで、政府が従業員には相当の手当を出す、その手当を出すためにまた運賃値上げをやらざるを得ないというふうなことをいうのでは、いろいろな問題があろうというふうな意味で、あるいは言ったかもわからない。言ったかもわかりませんけれども、さっきから申し上げておりまするように、大蔵大臣がどういう発言をしたのか、私はよく調べなければ、事実かどうか、そういうことについてもわかりませんが、あなたがそういう新聞記事を読み上げられまするから、もし言ったとすれば、そういう感触のことを、あるいは大蔵大臣が言ったかもしれぬというふうに私は推測をいたします。
  52. 横山利秋

    横山委員 きわめて不穏当な言葉であります。これは私がだてや酔狂で新聞を読でいるのじゃない。天下の一大新聞である朝日新聞が、三月一日に堂々と一面のトップを飾った記事なんであります。それをあなたが、事実であるかどうか調べてみなければわからないとおっしゃるならば、一つ調べてもらって、今度は大臣みずから、このことが事実であるかどうかを明確にしてもらいたい。  それから第二番目に、あなたは今運賃の問題もあり、そういうことを言ったのも妥当な点があると思われる、こういうことをおっしゃいました。しかりといたしますならば、先ほどあなたが言ったこととまるきりこれは正反対であります。かりにそういうことがあろうがなかるまいが、事公労法による調停案として、出されたものに対して、主管大臣もまだものを言ってない、給与担当相もものを言ってない、それぞれの公社もものを言ってないときに、財布のひもを締める政府の人間が、一番最初に、大蔵省としては調停案に賛成ができない、こういうことを言う権限が法律上どこにありますか。また政治上もこれが妥当なことであるとあなたは思いますか。
  53. 山手滿男

    山手政府委員 先ほどから繰り返して申し上げておりまするように、政府がこういう問題について統一した態度を決定する前に、大蔵大臣が、今言ったような政治的に問題になるような発言を責任を持って——どういうふうにしたのか私はよく知らないのでありますが、新聞社の皆さんと雑誌のときに、こういう問題もある、ああいう問題もあるというふうなことの中で、ある程度しゃべったことがそういうふうに受け取られて記事になったのか、あるいは断定をいたしたのか、今ここで御答弁を申し上げる資格がないように私は思います。
  54. 横山利秋

    横山委員 それでは、今言ったように、第一に次会に大蔵大臣に、これが事実であるかないかを明確にしてもらいたいのであります。私は必要とあれば、朝日新聞の記者にここへ来てもらって、大臣の答弁と対決をいたしたいと思います。それから第二番目に、今言ったように、もし事実であるとするならば、それは法律上いかなる権限において、また政治上いかなる立場においてものを言ったのか、その点についても、大蔵大臣からじかに承わりたいと思うわけであります。  それから、今度はあなたの所管の専売ですよ。それの担当大臣、担当の政務次官としてお伺いをしたいのであります。専売の調停案が出たわけですが、この専売の調停案については、主管大臣が大蔵大臣であります。これは国務大臣としての立場でなく、主管大臣が大蔵大臣であります。その意味においてお伺いをするのでありまして、私が今まで言ったことと矛盾はしないのでありますから、そのつもりで聞いていただきたいのであります。  主管大臣としての大蔵大臣は、専売の調停案が出てもう日にちがたっている。たっていることに対して、あなたは先ほどから、三公社五現業なり、あるいは全逓が出なければというお話しがございました。一応筋が立つような議論であります。しかし主管大臣として、主管省としては専売公社法による規定によって、これは他に関係がなく、法律上処置がし得られるものであります。この点についてあなたはお認めになりますか。
  55. 山手滿男

    山手政府委員 もちろん、大蔵省は専売を所管しておりますから、これについてはいろいろな考えも持っております、おりますが、しかしさっきも言いましたように、今度の調停案は三公社五現業ということで、労働組合の方におきましてもいろいろ相互に影響し合うことでございまするし、これだけを切り離してどうこうということについては、あまり先ばしったことを私どもが言わない方が、今日の段階ではよろしいと思います。
  56. 横山利秋

    横山委員 財政的に目を通す大蔵省としての立場と、それから主管大臣として専売公社を指揮監督をする立場と、法律上違うことは申すに及ばざるところであります。またそれを全部一括して議論をするということが筋だ、これも理屈でありますが、筋だとするならば、公共企業体労働関係法による調停委員会一つでよろしいのです。何も国鉄調停案、専売調停案とする必要はないのです。それが個々に調停案が出、個々の労働条件について調査し、調停をし、あるいは仲裁をするゆえんのものは、法律上には分離をして扱っているからであります。これをあなたは、まだ多少その議論、考えの中に混淆しているようでありますが、返す返すも言うのは、専売の主管省として、専売の監督官庁として、あなたはどうなのかということを私は聞いているのであります。法律上には明確に分離されているのでありますから、今日はそのほかの調停案は目をつむって、専売調停案についてどうするのかということを私はお伺いをしているのであります。
  57. 山手滿男

    山手政府委員 あなたのお話しの通り、これは法律的には大蔵省が所管をいたしておりまするが、単に法律的にものを言っただけでは片づかない。これは政治問題でもあるわけでありまして、法律的にそれぞれ調停案は分離をして出しておられるから、それならそれだけでいいじゃないか、こういうふうなことで割り切ったようにおっしゃいますけれども、必ずしも割り切れた問題じゃない。やはり政治的には相互に関連を持った問題でございますから、いろいろ考慮を慎重にめぐらさなければいかぬということであります。もちろんこの調停案は、国鉄等に対する調停案と専売に対する調停案とは、内容においても少し違っております。おりますが、今度五現業等につきましてもどういう内容の調停案が出るか、まだよく見ていかなければ、その影響するところは——法律的にはあなたのおっしゃる通りでありましょうが、政治的にはいろいろな問題を含んでおりますから、先ばしった議論をしない方がよろしかろう、こういうことを申し上げているのであります。
  58. 横山利秋

    横山委員 それでは専売調停案について、専売公社総裁から、主管大臣である大蔵大臣は、専売公社法に基いて、調停案第二項その他の条項について、協議を求められたことがあるかどうか。
  59. 山手滿男

    山手政府委員 この問題は、閣議でいろいろ説明がなされたり、意見の交換がされていると思いますが、閣議の内容のことについては、今ここで一々お話しを、申し上げる限りでないと思います。
  60. 横山利秋

    横山委員 そういうことを聞いているのではないのです。専売調停案について、専売公社当局は、主管省である大蔵省へこの調停案について協議を求めたことがあるかどうかということを聞いているのです。
  61. 山手滿男

    山手政府委員 ちょっともう一度質問を……。
  62. 横山利秋

    横山委員 専売の調停案が出た。専売公社当局は、この調停案の実施について、主管省である大蔵省に対してこの調停案の実施、受諾ないしは拒否について協議をいたしたことがあるか、どうしたらよろしゅうございましょうかといって相談をしたことがあるか、あなたの方は相談を受けたことがあるか、こういうことを聞いておるのです。
  63. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省の所管にはまだ造幣、印刷等の現業もございまするし、そういうところもまだあるわけでございますが、専売公社の方からは、これをのんだらよろしゅうございましょうかとか、あるいはのむのはどうですかというふうな形での相談を受けてはおりません。しかし実際には、ああいう調停案がなされておりまするから、これに対する実際の調停案の内容の検討をしたり、いろいろな情勢の報告を求めたりして、大臣が閣議において政府全体として腹をきめる前提になる調査、そのほかのことについては、専売公社の係官を通して研究をいたしております。
  64. 横錢重吉

    横錢委員 僕は、専売公社があなたのおっしゃる通りであるとするならば、きわめて怠慢だと思うのであります。専売公社が直ちになすべきことは、この調停案についての受諾ないしは拒否の態度をきめることが早急に迫られておるのであります。閣議においてどういうふうな議論であろうと、どういうふうな見解であろうと、専売公社は専売公社としての態度をきめなければならぬのであります。もしあなたのおっしゃる通りであるとするならば、専売公社はきわめて怠慢でありますが、あなたのおっしゃる通りであると理解してよろしいのですか。
  65. 山手滿男

    山手政府委員 あなたのお話しの通りでありまして、専売公社は専売公社として独自の態度をきめるべきでありまして、政府がすぐ前面に押し出していって、これをああせいとかこうせいとか言っていきなり指示をしたり、あるいはそういうふうに相談を受けるべきものじゃなくて、政府政府としてとるべき態度もございましょうし、情勢について政府として腹をきめるための研究をする必要もありまするので、そういう資料を求めたり、いろいろ研究をするという形で協議をいたしておることは、これは政府としての腹をきめるべきでありまするから、政府はやっておりまするけれども、専売は専売として、専売の責任者が専売としの腹をきめるべきでございます。従って今あなたがお尋ねのような、政府がこうせいとかああぜいとか、あるいはいきなりこういたしますとか、あるいはこうしては悪うございますかというような形では、大臣はあるいは受けられたか知りませんが、私は聞いておりません。
  66. 横山利秋

    横山委員 あなたのお話しの中で、幾つも矛盾点があります。一つは、先ほどに戻りますけれども、にもかかわらず、大臣が調停案は国鉄を初めいかぬと言うたことであります。これは後日に譲ります。  それから第二番目には、専売公社が独自に態度をきめるべきだ、こう言うてはおるのでありますが、専売公社はそれをまだしておらないのであります。あなたのお話を聞けば、専売公社は受諾するか拒否するかについて相談も何もしていない、報告だけは聞いておる、こういうことであります。明らかにこれは矛盾であります。なぜならば、あなたは調停案をもうすでにごらになっておると思うのでありますが、さしあたり第二項によって五千円以上を支出するということが調停案に要請されておるのであります。五千円の支出をするためには、専売公社法による移流用について、主管大臣である大蔵大臣の承認を求めなければならぬはずでありましょう。その大蔵大臣に対する承認をもまだ求めていないということらしいのであります。かてて加えてあなたの方は、まず専売公社に態度をきめさせるというのであるけれども、おれの方については何の遠慮会釈もなく、お前の方できめろ、こう言っておられるものであるかどうか。それとも、もしも妙なことをきめおったら承知はせぬぞ、こういう気持であるか。あなたの言うのは、勝手にきめろ、全く専売公社総裁が自主的に独自の判断をしてよろしい、あとでわれわれがまた別な態度をきめる、こういうことでありますか。それならば、第二項の五千円以上をさしあたり支給をすることについて、与党公社当局は何らあなたの方に承認を求めておらないか、この点について明確に御返事を承わりたい。
  67. 山手滿男

    山手政府委員 その点は、非常にむずかしい問題でございまして、政府が表面に出ていきなり行くのかどうか、あるいは今言いましたように、専売は独自の見解で態度をきめるかどうか、この点については、非常に単純な法律論では割り切れない政治論がありまするので、むずかしいと思いますが、専売が独自に態度をきめるにいたしましても、さっきあなたのお示しのようないろいろな法律的な制約もありまするから、政府が最後的な腹をきめるまでには、専売の方が政府の見解をただし、政府に協議をすることもあると思いまするし、いろいな手続もとられるとは思います。政府といたしましては、専売につきましても、専売の昭和三十年なら三十年の経理の内容等のこともございまするから、当局の方の腹のきめ方と政府の腹のきめ方というものは、私はどっちがイニシアチブをとったにいたしましても、当然この結論は一つになって出るものと考えております。
  68. 横山利秋

    横山委員 私の質問にあなたは率直に答弁をしておられないので、重ねて申しますが、専売公社法による五千円以上の支出に対して、専売公社はあなたの方へ、所管大臣である大蔵大臣の承認を求めておるかどうかということが、まず第一点であります。それからお答えしていただきたい。
  69. 山手滿男

    山手政府委員 私は、正式にそういう要求をしてきておるとはまだ聞いておりませんが、よく事情を確かめて御返事を申し上げます。
  70. 横山利秋

    横山委員 これは、まことに容易ならぬ言葉であります。今日春季闘争でこれだけ大騒ぎをしておって、しかも政府並びに与党の皆さんは、春季闘争はけしからぬ、ちょっとでも何かしたら弾圧する、こういって、あらゆる手を変え品を変えて労働者をおどかしておるのであります。そうしておいて、そのかたわらとったことは、鳩山内閣総理大臣に至るまでが本会議において、公労法をわれわれは尊重するのだ、こう言って、人事院の勧告なり調停仲裁が出たならばこれを尊重すると重ねて明言をされておるのです。ところが調停案が出ると、それに対しては、春日遅々として一向態度がきまらぬ。一方弾圧は、あなたの所管である国税庁についても、弾圧をするとかせぬかという話があり、国鉄には行われ、そうしてまたこれに対して労働者が第三波の用意をして、早く早くと言って迫り、しかも労働者の方は調停案を受諾して、いわゆる調停案にいう忍びがたきを忍ぶことを承知をしてやっておる。やっておるにかかわらず、あなたの方はまだまだといって、そうして態度をきめず、その間に紛争が起ればまたこれを処罰するというのです。いわんや専売公社から五千円以上のさしあたりの一時金を支給することについて、承認を求めてきたかこぬかわしゃ知らぬというがごときことでは、実際政府の態度たるやまことに私は言語道断だと思うのです。
  71. 山手滿男

    山手政府委員 私は、さっきそういう協議といいますか、承認を求めてきておるといたしまするならば、私も承知をするはずでありますが、まだそういう正式な承認を求めてきたような話を聞いておらないという気持で申し上げたのでありますが、今事務当局から聞きますと、相談はいたしておりますけれども、正式に承認を求めるという手続をとっておらないそうですから、その点申し上げます。
  72. 横山利秋

    横山委員 その正式とか正式でないとかいうのは、何をもって判断をされをのですか。専売公社法に基いて、何か型通りの書式があって、それによってこの調停案は受諾すべきやいなやということを求めるとでもきまっておるのですか。そんなものはきまっていないのですよ。専売公社総裁なりあるいは専売公社の経理局長なりがあなたのところに行って、いかがでございましょうかと言ったことが、これがやはり事実上の態度を求めておることである。そういう中で、何か書式でもきまって、正式に求めてこなければ求めたことにならぬ、かくのごときものの言い方というものは、私はいかがかと患われるのであります。これはお役人でない政務次官言葉でないような言葉でありますが、どうです。
  73. 山手滿男

    山手政府委員 非常にデリケートな話でありますが、専売の方で腹をきめて、こうしてほしいとかなんとかいう話は受けておらないということでありますが、政府の方の見解のきまるのも、やはり専売公社の方としては、腹をきめるのに参考にする必要がございましょうし、連絡をとっておることは事実であります。またさっきも申し上げておりまするように、政府の腹がまだ最終的にきまっておりませんので、専売としても、今言ったように、ほかの現業への調停案も出ておらないから、そういうふうなこともにらみ合せて——大蔵省所管だけでも造幣や印刷等もまだありまするから、専売には専売の特殊性はもちろんございますけれども、そういうものも見定めた上と思って、まだ腹もきめておらないから、正式に協議をし、承認を求めてきておらない、こういうことであります。
  74. 横山利秋

    横山委員 もしあなたのおっしゃる通りであるとするならば、専売公社は非常にけしからぬのであります。あなたのおっしゃる通りであるというならば、委員長にお願いいたしますけれども、次会に大蔵大臣が答弁をされるときに、一つ専売公社の代表者も呼んでいただいて、そういう公労法を尊重せずに、紛争解決の熱意を欠く専売公社に対して、私は所信をたださなければならぬと思っておるわけでありますから、さように一つお取り計らいを願いたいと思うわけです。  この機会に、あらためて今度は政府に対してお伺いをいたしたいのですけれども、春の闘争について、一体どういうふうにお考えなんでありましょうか。政務次官は本問題について、私は労働問題のことはよう知らぬというような顔をしていらっしゃるのですけれども、政治家としてお伺いをいたしたいと思うわけです。こまかい理屈の問題はさておくとして、今回の調停案について、繰り返し繰り返しあなたの方は、調停を求めながら紛争をするのはいかぬのである。従って調停さえ出れば、人事院の勧告さえ出れば、あるいは仲裁さえ出れば、あるいは公労法による、あるいは人事院の制度によるものさえ出れば、これを政府は尊重する腹があると重ね重ね言っておられたのであります。言っておいて、その間にもし何か起ったら、これはどんどん処罰をするといって、厳重な警告なり、あるいは与党の皆さんも、よせばいいのに職場大会まで出て、そうしていろいろなことを言っておられるのであります。そうしておいて、今やあなたの方が労働者に対して待てと言っておった調停案が出て、二千円という賃金値上げの額に比べれば非常に低い額が出た。それにもかかわらず労働組合の方はこれを受諾して、各世論は、一斉に社説を掲げ、そのほかいろいろな記事を掲げて、もうこれが春季闘争の一つのめどだ、労使双方は調定尊重の態度が必要だと朝日は説き、あるいはまた調定案の暫定解決措置やむなしと読売も書き、毎日新聞、日経新聞それぞれ筆をそろえて、調停案は受諾すべしと言っておるにかかわらず、あなたの方はどういうものか、遅々として態度がきまりません。なるほど全逓が出ておらぬとか、三公社五現業が出ておらぬとか、こういう理屈はありましょうが、あなたが言ったように、一つの例として、調停案としてこれは独立していないのだという観点に立てば——すでに三つ出ている調停案は、言葉のニュアンスはあっても、一連の同じものです。そうして、さしあたり解決しなければならぬ五千円以上の問題については、全部一律です。そういう状況の中で、全部出なければわからぬという理屈はお役人の言うことであって、政治家の言うことではございません。かてて加えて、もう第三波が準備をせられて問題の焦点になっているときに、あなたの方は、聞くところによれば、これを拒否して仲裁に持っていく、そのように公社を指導しているという話がありますが、一体どういうふうにこの春の問題を解決しようとなさるのか。給与担当相とか、あるいは主管大臣とかいう人たちの意見も大事ではありましょうけれども、財政的な立場にある大蔵省はどういうものの見方をしているかということが、実に重大であります。その重大な大蔵大臣が、事もあろうに、一番最初に調停案に賛成できない、こういうことを言って、今日国民のあらゆる殷誉褒財の的になっている春の紛争について、一体大蔵政務次官はこの紛争解決の熱意を持っているかどうかということを一つお伺いいたしたいと思います。
  75. 山手滿男

    山手政府委員 こういう調停案が出ました場合に、政府ができるだけ調停案を尊重いたす態度でなければいかぬということは、当然のことでございまして、私どももできるだけ調停案を尊重いたしたいと思います。しかし、ただ現実の問題といたしましては、資金上予算上いろいろな制約が別個にあるわけでございまして、それは尊重はいたしますけれども、実際にそれをどういうふうに扱うかということについては、さっきから申し上げておりますように、個々の出先の者や何かが先ばしったことを言うような軽卒な問題ではない。まあ私どもの感触を卒直に申し上げますならば、昭和二十九年の一月でありますか、公務員の給与改訂がなされまして以後、そう物価や何かは上っておらない。民間の賃金にいたしましても、中小企業の賃金などは、今日公務員のベースに比べましてそれではうんと高いかと申しますと、社会党の皆さんは二千円ベース・アップを要求いたしておりますけれども、私どもが知っております周辺の中小企業者といいますか、中小企業に従事いたしております企業の組合員なり労働者の給与は、必ずしも非常に高いとは限らぬ。むしろ低いのもずいぶんたくさんあるわけでありまして、そういうふうなこともあわせ考え、資金上予算上いろいな問題を考えて、統一した態度で政府が基本的な腹をきめ、処置をすべきものは処置をすべきものであって、今私がすぐ仲裁裁定に持ち込むのだとかどうとかいうことを先ばしって申す段階ではないと思います。
  76. 横山利秋

    横山委員 今要求の額が高いとか安いとか言っている段階ではないのです。あなたのそういうふうな答弁を期待しておるのではないのです。現に今われわれの置かれている立場——あなたの方が調停案が出たらと言っているその調停案が出て、労働者側はそれを受諾したのです。受諾した立場においては、一応二千円というものは揚棄されて、そうして一項から五項に至るものが今労働者のぎりぎりの問題になっている。ですから、二千円が高いか安いかという議論は大いにありますけれども、今の議論とはならぬのです。この調停案に対し、これさえ解決すれば春の闘争については解決のめどがつき、一応峠を越えることにもなる。こういうときにあなたの方は、全く春日遅々として話が進まぬ。しかも、聞くところによれば、仲裁に持っていくように指導される、こういう話があるわけです。それでは一体どういう腹なのかということを私は聞いているのでありまして、もしもあなたが、いや、そんなことはわしは知らぬ、こうおっしゃるならば、それでよろしゅうござんす。しかしながら私は、本委員会の所管事項である専売事業の重要な問題であることに、政務次官のあなたが、専売の調停案はわしは知らぬ、大臣がどうおきめになりますかわしは知りませんでは済まされぬ、こう思うからであります。それはとにかく、調停案すべてを実現するということにはいろいろな問題があります。それは私も承知をしている。けれども、それらの問題を乗り越えて、ここで百尺竿頭一歩を進めて政府が受諾の方途に出るということが、春の問題を世論にこたえて解決をするゆえんではないか。今さら二千円が高い安いという議論は、もうおとついの議議であって、きょうの議論ではありませんぞ。いわんや専売の話は、あなたは何ら関知していないようですが、私は、本日の発言は政務次官としてどうかしておられやせぬかと思うわけです。従って、すみやかに次の会議に大臣に出てもらって、所管大臣として、それから国務大臣として、両面にわたって御答弁願いたいし、それから三月一日の朝日新聞に談話を発表したことが、うそであるかほんとうであるか、ほんとうであるとしたらば、いかなる立場においてものを言うたのかということについても御答弁を承わっておきたいと思うわけです。またあなたのお話によれば、まことに専売公社は熱意の足らざることおびただしいのでありまして、言語道断でありますから、あわせて次会に専売公社にも御回答を願いたい。私はそれを留保いたしまして、本日の質問を終ります。
  77. 松原喜之次

    松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来る十三日午前十時より開会することとします。  これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会