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田中参考人 では私から、最近におきます
木材利用合理化の
推進の
状況と、これに関する
意見につきまして申し述べます。お手元に差し上げました
資料、非常に膨大なものでございますので、一応
資料の簡単な御紹介から申し上げて見たいと思います。
差し上げました中で、「今後六カ
年間にわたる
木材需要量の
推定」という横とじのものがございます。これは先般
総合経済六カ年
計画に
関連いたしまして、
木材需要量を
推定いたしました一つの材料でございます。それから「
木材資源利用合理化の効果と綜合経済六カ年
計画との
関連」というのがございますが、これは今申し上げました、今後の需要
見通しと
関連いたしまして現在までどの
程度この
木材利用合理化の効果が上ったかという実績を取りまとめたものでございます。それから
事業報告がその一、その二と二つあります。これはこの前ここで御報告を申し上げました
あとで、いろいろ当
推進本部といたしまして、
事業を
推進して参りましたが、その報告書をとりまとめたものでございます。なお最近問題になっております
木材糖化の問題、これにつきましていろいろと照会その他がございますので、できるだけしろうとにわかりやすい一つのリーフレットを作る必要があるということから、「
木材糖化のあらまし」という小さなリーフレットを作りました。それから「
木材利用合理化のしおり」というのがございますが、これは昨年十一月、実は
木材利用に関する
展覧会をいたしました。そのときに配布いたしたものでございまして、それに
関連いたしまして、森林資源総合
対策協議会から毎月出しております「グリーン・エージ」という機関誌の十一月号を特に
木材利用合理化の特集号ということにいたしまして、
利用合理化のいろいろな問題をここに盛ったものを作ったわけでございます。それから「
木材資源利用合理化の概要とその
推進方策」というのがございますが、これはこの
推進本部ができました当時、
推進本部とはどういうものか、どういう
仕事をするものかということを一応簡略に見てもらうために作った、
一般啓蒙用の。パンフレットでございます。なお最後に
残りました横とじの数枚の表でございますが、表題にもございますように「
木材利用合理化六カ年
計画に伴うセメント使用調」、一番初めに申し上げました、今後六カ
年間における
木材需要量の
見通し、これは結論といたしまして、この
利用合理化を
計画通り進める結果、どの
程度の
木材の
節約になり、その結論といたしまして、今後どの
程度に
木材が需要されるかという数字になるわけでございますが、その裏にかくれましたセメントの
需要量、もう一つ鋼材の
需要量もあるわけで、現在
作業中でございますが、これに
関連して、セメントの
需要量がどの
程度ふえるかということを一応試算したものであります。まだ最終的な結果になっておりませんが、一応まとまっておりますので、本日持って参った次第であります。
資料としては今申し上げた通りでございますが、御
説明の順序といたしまして、まず企画
関係、その次に
事業の
推進状況、最後に現在問題になっております点、この三つに分けて御
説明申し上げたいと思います。
そこでまず企画
関係でございますが、これはこの横とじの今後六カ年にわたる
木材需要量の
推定に盛られておるわけでございます。私たちといたしましても、先般の閣議決定ないしそれに伴う
国会関係のいろいろな御
意見というものをば尊重いたしまして、毎日々々の
運動を進めておるわけでございますが、何と申しましてももう少し具体的な一つの数字的な
見通しがないために、やはり非常に不便を感じておったわけでございましたけれ
ども、たまたま
総合経済六カ年
計画というものが作案されるようになりまして、それに
関連いたしまして、われわれといたしましても、
経済企画庁その他
関係官省の御
協力のもとに、ここに六カ年にわたる
木材の需要
推定というものを作ったわけでございます。現在われわれといたしましては、毎日の
運動はこの数字に基いてやっているというわけでございます。この表につきまして、二、三問題点を申し上げますと、まずこの目次でごらんいただきますように、この部門別の需要というのが、今までよりも相当こまかくなっております。
パルプ材、坑木、まくら木等、ここにその他を合せまして十四項目という非常にこまかい内訳になっておるわけでございます。私たちといたしましても初めてこの
程度の試案が
用材の部門に対してできたというふうに考えております。もちろんこの広範な面にわたる
用材の需要につきましては、これではほんとうはまだよくないのじゃないかと思いますけれ
ども、少くともそこまで進められたということは、この
計画を作りました上において一つの大きな問題ではなかったかというふうに思うわけであります。なおこれらの部門につきましては、この作案の
方法といたしまして、今後伸びて参ります
木材の需要というものをば一応
推定いたしまして、その上で、現在
程度この
木材の
利用合理化がそのまま行われた場合には、それに対してどの
程度の
木材の
節約になるであろうかという数字を出し、さらに今後いわゆる
利用合理化運動というものが強化されるということを考えまして、現在の
程度にさらにどの
程度プラスして、
木材の
節約がさらに大きく行われるであろうかという数字を出したわけであります。初めに想定いたしました
木材の野放し需要から、今申しました
合理化運動の強化によってさらに
節約されるというものを足しましたいわゆる
木材の節減量というものをば差引いたものを、
木材の実需ということにしておるわけでございます。表でごらんいただきますと、一ページに総括表がございますが、たとえば坑木というところをごらんいただきますと、このAという数字が二十九年を
ベースといたしましての野放し需要になっておるわけでありまして、それに対してCと申しますのが、今後
木材利用合理化を進める上において坑木の
節約されるであろうという数字になります。従いましてまん中にありますB欄がAからCを引きました実需ということになるわけであります。この
作業の結論といたしまして、
用材関係につきましては、三ページにこの総計が出ておりますが、二十九
年度一億四千百五十八万九千石と申しますものが、三十五
年度におきましては、一億八千四百四十六万一千石ということに、一応
木材の需要がふえることになるわけでありますが、それに対して
利用合理化によりまして千六百二万四千石というものをば
節約することができますので、
木材の実需は一億六千八百四十三万七千石になっております。ただここで一つ問題が出ましたのは、
木材の需要の数字がいろいろ今までの
調査の
関係その他におきまして若干統一されていなかった点があったわけであります。従いましてこの
作業におきましても、一部で言われております
木材の
需要量というものには合っていない数字になっておるわけでございますが、これにつきましては
関係官庁とされましても現在さらに
調査その他の
方法もお考えいただいて、なるべく実際に近い数字に訂正をしていただくというお願いもしておるわけでございまして、そういう数字的な問題がこの
作業の過程において起っておったということを御報告しておきます。
なお
薪炭林でございますが、これの総計は次の四ページに出ております。これまた同じような表になっておりますので、ごらんいただきますとわかりますが、ここで注目されますことは、この
木材の実需すなわちBと申します数字が、二十九
年度すなわち昨
年度と三十五
年度とがほとんど同様であるということであります。この
作業につきましてもいろいろ問題があったわけでありますけれ
ども、現在われわれといたしましては国民の使いますいわゆる燃料エネルギーというものは相当ふえるであろうと思いますけれ
ども、その増加分というものはわれわれの
利用合理化の
運動によって何とかほかの燃料に置きかえ得るのではなかろうかという結論になっておる点であります。非常に表の方はこまかくなりますので省略させていただきますが、以上のような
作業をいたしました。一月三十日
経済企画庁にあります
木材資源利用合理化協議会にかけまして、そこで一応の決定を見たわけでございます。現在私たちはこの数字によって
仕事をしておるということになっておるわけでございます。
それからなおこれに
関連いたしますが、去年の九月二十四日に作りました
木材資源利用合理化の効果の問題でございます。この。パンフレットの二十二ページをおあけいただきますと、そこに第四として図表が出ております。この図表は下にもちょっと注がありますように、坑木と
建築用材と、
包装用材と薪炭
用材、この三つをここに集計した表になっております。従いまして
パルプ材というようなものは実は入っておらない。言いかえますれば大体ほかの
資材に代替されようというものだけがここに入っておるわけでありますが、二十五年
ベースでごらんいただきますと、いわゆる前に申し上げましたAの欄の数字になるわけでありますが、上の線のようにずっと
木材需要は上っていったんであろうという一つの
推定が出るわけであります。二十六年以降
合理化運動をやっておるわけでございますが、それに対してその結果このような下のカーブのように
木材の需要が減ってきておる。これが
木材の実需であるというようにわれわれは考えておるのであります。従いましてこの両方の線の間の斜線になっておりますところが
合理化による
木材の
節約の実績であるということにわれわれは見ておるわけであります。ただ前にも申し上げましたように、これは下にございます四つの
用途だけのものでございまして、
パルプ材のごとく需要が相当ふえておるというものは入っておらないわけであります。それらを入れますとさらにこのカーブは違ってくるかもしれませんが、少くとも現在われわれが
合理化運動の
対象として参りました四つの部門に対しましてはこの
程度の効果があったのではなかろうかということが言えるわけでございます。それでそのカーブを数字に現わしましたものが二十四、二十五ぺージにわたります表でございまして、合計いたしまして二十五年は一億八千五百万石
程度のものが、二十九
年度におきましては
合理化の効果によりまして一億六千七百万石
程度になったのであろうというふうに考えておるわけでございます。
それで現在と申しますか、この前ここで御
説明申し上げました後、われわれとしてはどういう点に
重点を置いて
仕事をしてきたか、その効果はどういう
程度であったかということを次に簡単にお話し申し上げてみたいと思います。
まず
建築の
関係でございますが、
建築関係は御承知のように相当
木材を使いますし。また火災、シロアリの害というような問題で耐火構造に切りかえるという機運が国としても相当強く出てきた
関係もございまして、相当
進捗してきたというふうに思われます。特に最近におきまして学校
建築というものを
中心にいたします簡易耐火構造というものが、鉄とセメント両方の
資材の組み合せによりまして相当安くできるということになりまして、しかも文部省その他
関係御当局におかれましても相当これの
推進に関心を持ってきていただいたということから、相当明るいと申しますか、将来相当伸び得る自信を持ってきたわけでございます。
なお法令
関係におきましては、例の
建築基準法の
関係でございますが、今申し上げました耐火
建築、すなわち木造と鉄筋コンクリート造りの間をいきます、いわゆる
建築費が相当安くて建ち得るという耐火
建築というものを伸ばすような形に、現在
建築基準法の改正を実はお願いしておるわけでございます。これにつきましても建設省その他
関係御当局の方でも相当これを理解されまして、その改正をするように御努力願っておるという
状況でございます。そのほか住宅金融公庫等においてもできるだけ耐火構造の住宅を作りたいという人々に対しては優先的に融資その他のあっせんをするということも再三お願いしております。金融公庫におかれても相当理解のある態度で毎日の事務を最近はやっていただくようになったというふうに思います。
なおこれに
関連いたしますが、鉄
関係でございますが、鉄につきましては最近一番目立って参りましたのは何といっても足場の問題でございまして、これは都市の美観または危険防止、特に最近におきますコストの低下というようなことから、鋼管の足場の需要が相当ふえてきたということは言い得ると思います。なお架設材料といたしまして例のパネルの問題でございますが、パネルにつきましてはまだ現場の人たちがこれになれないという点、ないしはコストの点、また若干技術的な点で未解決な点があるようでありまして、前申し上げました鋼管の足場ほど順調な伸びを示していないと思いますが、今後ますますこれに対する研究を行い、
推進に努めなければならぬというふうに私たちは思っておる次第でございます。
それから例の
魚函でございますが、これについては日本水産会が最近非常に関心を持ってこられました
関係で、いわゆる需要家からの要求というものが今後は相当強くなるのじゃなかろうかと思います。もちろんこれにつきましては輸送、特にから箱を返しますところのいろいろな問題などに難点は残っておるわけでございますが、このように需要家自体に相当強く鋼函ないしアルミニウムの魚の箱を使いたいという気分が起ってきたということは、われわれとしても相当注目していかなければならない事態じゃないかというふうに思っております。
次にセメント
関係でございますが、セメント
関係につきましては、耐火
建築の伸びと
関連いたしまして、たとえばコンクリート・ブロックでございますとか、または石綿を
中心といたしますいろいろなセメント
関係の板でございますとか、そういうものが相当伸びておるように思います。なお土木
関係といたしまして電柱の問題、またくいの問題、これらも相当コンクリートに変りつつある。またその変り方も、最近は相当に目ざましいものがあるのじゃないかというふうに思っております。さらに例のPSコンクリートとの
関連でございますが、たとえばまくら木につきましても、最近国鉄
関係におかれて相当使用率がふえてきたという徴候が見えて参りました。また橋梁でございますが、これにつきましても相当の関心が持たれてきたという
状況でございます。
その次はパルプ
関係でございます。御承知のように、われわれが取り上げておりますパルプの問題は、いわゆる広葉樹
利用の問題ないしは雑木
利用の問題であります。これにつきましては、通産省その他の御
協力によりまして、開発銀行の資金がこれにつくということに本
年度からなりましたために、相当の設備増設が現在行われつつあります。この傾向は今後相当続くというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、前に御
説明申し上げました六カ年
計画におきましても、今後ふえます
パルプ材の大部分は広葉樹で一ふやすという
計画にもなっておる
関係上、われわれとしても今後の増設は極力広葉樹に、でき得るならば現在の針葉樹の設備のものもこれを広葉樹に切りかえるという努力をしていかなければならないのじゃないかというふうに思うわけであります。ただここで若干の問題になっております点は、あまりに広葉樹
利用、雑木
利用というものがふえます
関係で、パルプの
需給関係にあるいは混乱がくるのじゃないかということでございますが、私たちといたしましては、今申し上げましたように、今後は積極的にこの広葉樹の転換を行うと同時に、針葉樹の設備というものをばできるだけ、ある
程度切りかえるという
措置もとる必要が、いざとなったらあるのじゃなかろうかとすら思っておる状態であります。
なおその次に
木材関係でございますが、
木材関係といたしましては、われわれの直接やっておりますものはまず繊維材
関係、それに合板
関係がございます。繊維板につきましては、これまた
建築様式が変って参りますと同時に、
需要量が相当ふえて参ります。従いまして生産も相当順調に伸びておりますが、ただここでもって注意しなければならないことは、現在までのいわゆる中小規模と申しますか、二、三千トンの工場というものが、最近では一万トン
程度に大きくなる、また大きくならなければ今後の需要開拓はできないという問題でございます。これは今後繊維板を進める上におきまして、工業規模的に非常に重要に考えなければならない問題でございまして、われわれとしても、ただ
推進をする、ただ物が売れればいいんだということではなしに、混乱のない形でもって伸びるということを考えなければならないと思っておりますが、それの一つのいい例ではなかろうかというふうに思います。それから合板につきましては、特に申し上げる問題もないと思いますけれ
ども、今後ますますこの合板化につきましても
利用合理化の道を進めるというふうに、われわれは現在でも考えておるわけでございます。
以上、非常に簡単に最近の
事業の
経過を御報告申し上げましたが、二、三これらにつきまして大きな問題をば申し上げてみたいと思います。
その第一の問題は燃料問題でございます。御承知のように
都市ガスの拡充を初めといたしまして、私たちは本質燃料いわゆる燃材というものをば極力
節約し、そうしてこの
節約された燃材をばより高度に使う、産業の原料として切りかえたいという気持をもってやってきたわけでございますが、この
都市ガスを拡充いたします上におきまして、非常にいろいろな問題が現在出て参っております。何と申しましてもほかの製品の拡充と違いまして、非常に大きな規模の業界をさらに拡充を
推進するわけでございますので、その
対策としましても勢い大きな問題にならざるを得ない。たとえて申しますならば、今後拡充をいたしますためには、どうしても資本のコストが高くなる、そのためには少くとも現在の開銀融資を
中心といたしまする設備資金の金利をば、六分五厘
程度に下げてほしい、電気
事業並みに下げてほしいという要求、あるいは固定資産税なり法人税に対しまして、やはり電気
事業並みに、これを公益
事業として、国家的な恩恵を受けさせてほしいというような問題でございます。私たちはこれらの問題は、これを
推進をする上において当然何とかしなければならない問題だというふうに思っておりますけれ
ども、周囲の
関係でこの問題は非常にむずかしい問題に今なってしまっておるわけでございます。
現在私たちの考えております方向といたしましては、これはガスだけの問題ではない。少くともガスの拡充に
関連いたしまして、ある
程度の利益と申しますか、恩典を受ける産業があるはずである。それは何かと申しますと、まずパルプ産業であり、次が石炭産業であり、次は鉄鋼産業である。これらの産業があるいは
薪炭林をばパルプ原木として回してもらう、またあるいは今後増産されます石炭が非常に大きな安定需要をガスの部門において見つけることができる、ないしは、今後のガスの拡充によりまして、鉄鋼
関係の需要が相当大きく喚起されるというような
意味におきまして、今申しましたような
関連があると申したわけでございますが、これらの点を強く取り上げまして、現在はガス業界を
中心といたしまして、パルプ、石炭、鉄鋼というような
関連産業一緒になってガスの拡充を
推進しておるという力強い
運動が最近は盛り上ってきておるということでございます。若干率直な申し上げ方になると思いますけれ
ども、ガスを拡充いたしますことは、ガス業界にとりまして決して百パーセント、プラスを与えるものではないというふうに私たちは考えております。たとえばガスをば拡充することによって、相当の資金を借り入れ、それによって相当高い設備をするわけでございますが、その結果ガス業界といたしましては資本金は上るわけであります。資本費が上るということは、むしろ現在のような規模でもって、そのままずっと営業を続けておった方が会社としてはイージーであり、かつ安定しておる。また収益率が減らないという線が実は出てきておるわけであります。しかも料金はこれは公益
事業でございますので、そう勝手に上げられないという制約もございますので、このままに放置しておきますれば、ガス協会は果して積極的な規模の拡充をするかどうかということはいささか疑問ではなかろうかというふうにも思われますし、また消費者の方にいたしましても、今後ガスを引いてもらう人は別といたしまして、現在引いてもらう人はむしろ拡充によってうっかりすると料金を上げられるということは非常に苦痛なんでありまして、むしろ今までの設備で現在の料金というものをばずっと今後続けていってほしいという要求もあるのではなかろうかと思うわけであります。これらいろいろなことを考えますと、どうしても今後われわれの
合理化運動というものによりまして、
都市ガスの拡充をいたしますためには、何とかここでこの企業をして積極的にやらせる
態勢というものを作っていかなければならない。そのために現在の金利の問題から諸税の減免の問題というものを取り上げざるを得ないわけでございますが、少くともわれわれといたしましては、公益
事業として同じ肩を並べております電気
事業並みに何とかこのガス産業というものをば持っていきまして、国の恩典というものを与える必要があるのじゃなかろうかというふうに思いまして、前申し上げました数
団体一緒になった盛り上った
運動にもそれを
中心の問題として掲げまして、現在いろいろその
運動を続けておるという
状況でございます。
それから第二の問題は
木材糖化の問題でございます。私たちこの
木材糖化につきましては、実は
利用合理化のむしろ最終点である、まだまだ五年なり十年先において初めてこれが企業化されるのじゃないかというふうな考えをば当初持っていたわけでございますが、最近に至りまして、一部の試験所の成績ないしはそれに
関連いたしまして、半分企業化される
程度の試験が現在行われておるわけでございますが、その結果を見ますと、案外早く企業化が行われるのではないか、ひょっとすると来年くらいから
木材糖化の企業化というものが実現するのではなかろうかという感じを実は受け取っておるわけでございます。私たちが現在この
木材糖化を非常に重要視しておりますのは、もちろんこの糖化によりまして国内資源を
最高度に活用し、またこれによりまして国民生活を向上するということであるわけでございますが、さらに具体的な問題といたしましては、これが至急に企業化されますようになりますと、これが所要する原木の問題でございます。前にも触れましたように、すでにパルプ産業が今や広葉樹から雑木に原料をば転換しつつある。それと同様な種類、いわゆる雑木を、またこの
木材糖化工業が相当大きく要求するわけでございます。規模といたしましてはちょうど人絹パルプ工場と同様でございまして、結晶ブドウ糖一万トンといたしますと、年に約二十万石の雑木が要るわけであります。三万トンといたしますと六十万石ということになるわけでございまして、パルプ
合会社ができたと同じような、資源的に対する影響というものが
木材糖化工業においても現われるということであります。
なおこれも前に触れましたように、今後のパルプ工業と申しますのが二、三千トンの中小企業を脱却いたしまして、今後は少くとも三万トン、さらに二万トン、三万トンというプランになりますと、また一工場だけで少くとも十万石なり二十万石の雑木がここで要求されるということになって参りますと、われわれとしてもここでこれらの産業に対してどういうような形でもってこれらの雑木を供給するか、いわゆる資源的な裏づけをどうするかという一つのせっぱ詰まった問題にきておるわけでございまして、幸いにユーカリでありますとかポプラでありますとか、十年
程度の成長でこれらの産業に供給し得る、いわゆる短伐期の育林の技術研究が相当進んでおるわけでございまして、私たちといたしましても、現在薪炭の雑木がありますうちはいいのでありますが、今後の
考え方といたしましては、これらのいわゆる短伐林業というものもあわせ考えながら、これらの工業の原料というものをば、国の資源をそこなうことなしに何とかして供給していかなければならないという問題が新にここに出てきたということは申し上げられるのだと思うのであります。
それから第三点、これが最後の点でございますが、私たちが本
年度いろいろと
木材利用合理化を進めて参りました反面、
木材業界におかれましていろいろな不評が出て参っております。ごとに一昨年の金融デフレ以降、
木材業界も決して好況ではなかったわけであります。いろいろと
木材の需要の減退ということで、業界自体がいろいろと問題を起しておったわけでございますが、それに加えまして
利用合理化の効果というものが徐々にはっきりしてきたというところから、この
利用合理化に対する非難と申しますか不評と申しますか、そういうものが相当高くなってきたのではなかろうかというふうに思います。この問題につきましては議論がましくなりますのであまり触れませんが、とにかく私たちのやっておる問題の
中心はどこまでも資源問題であるということからいたしまして、この
木材業界のいろいろな御
意見というものにつきましては、それをすぐそのまま受け入れることはできがたい点も多々あるのではなかろうかというふうに思いますけれ
ども、また一方思い直しますと、今やそろそろ
木材利用合理化運動も第二
段階に差し迫ったのではなかろうか。言いかえますれば、差し迫ったところの
木材の
需給の緩和をするという
意味から、
木材の
節約というものをは
中心にして進めて参りました
運動というものも、今後はそれを進めることはやめないにいたしましても、さらに大きな看板といたしまして、文字通りの
木材自体をさらに合理的に使う、さらに高度に使うという
運動をここで強く展開する必要があるのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
非常に雑駁なことを申し上げましたけれ
ども、一応終らせていただきます。