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1956-11-10 第24回国会 衆議院 商工委員会貿易振興に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月十日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席小委員    小委員長 永井勝次郎君       阿左美廣治君    宇田 耕一君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       南  好雄君    森山 欽司君       加藤 清二君    田中 武夫君       松尾トシ子君    松平 忠久君  小委員外出席者         商工委員長   神田  博君         議     員 前田榮之助君         議     員 水谷長三郎君         外務事務官         (経済局次長) 佐藤 健輔君         外務事務官         (経済局第五課         長)      狛  哲夫君         外務事務官         (経済局第六課         長)      下田 吉人君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (通商局長)  松尾泰一郎君         通商産業事務官         (通商局検査課         長)      式田  敬君         参  考  人         (北京上海日         本商品展覧会理         事長)     宿谷 榮一君         参  考  人         (日中輸出入組         合専務理事)  高見 重義君         参  考  人         (日中輸出入組         合理事即売品問         題善後措置特別         委員会委員長) 大澤 三郎君         参  考  人         (株式会社藤井         大丸取締役会         長)      藤井 正三君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 九月二十五日  小委員宇田耕一君及び水谷長三郎君同日小委員  辞任につき、その補欠として鈴木周次郎君及び  加藤清二君が委員長指名で小委員に選任され  た。 十一月五日  永井勝次郎君十月十日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  小委員賀谷真稔君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として松尾トシ子君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  永井勝次郎君が委員長指名で小委員長補欠  選任された。 同月十日  小委員帆足計君十月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として田中武夫君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員山本勝市君同月五日委員辞任につき、そ  の補欠として宇田耕一君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員鹿野彦吉君及び菅太郎君同日小委員辞任  につき、その補欠として笹本一雄君及び森山欽  司君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日中貿易に関する件  北京における国際見本市に関する問題について  参考人より実情聴取     —————————————
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 これより会議を開きます。  日中貿易に関し調査を進めます。先般北京で開催されました国際見本市即売会におきまして、一部の粗悪品販売された事実が伝えられ、通産省初め業界においてもそれぞれ調査を行なっておられるようでありますが、特に本日は参考人といたしまして、北京上海日本商品展覧会理事長国際貿易促進協会常任委員宿谷榮一君、日中輸出入組合専務理事高見重義君、同じく日中輸出入組合理事、即売品問題善後措置特別委員会委員長大澤三郎君、以上の三名の方に御出席を願いましたので、本問題の実情等について伺うことにいたします。本問題の真実、本問題の起った原因、その影響等を明らかにするとともに、今後かかる事態が再び起らないようにいたしますためにも、またわが国の国際的信用の回復のためにも、近くは上海見本市が開催されますので、これが有終の美をおさめしめるためにも、腹蔵のない御報告及び御所見等を承わりたいと思うのであります。  まず宿谷参考人よりお願いいたします。
  3. 宿谷榮一

    宿谷参考人 北京に開かれました日本商品展覧会の開催中、即売品の件についてきょう御喚問がございまして、詳細にお答え申し上げたいのですが、私が出発をいたしました当時にはまだ数量等が明瞭になっておりませんために、あとからその数量を調べて日本に戻ってくるように申して参りました。昨晩ようやくこちらに資料を持って戻って参りましたが、まだ私の手元に届いておりませんために、その参考品等をここで御披露を申し上げられないのでございます。いずれ別の機会に数量等がわかりましたら提出いたしまして御参考に供したいと思います。  事の起りを少し申し上げてみたいと思いますが、実はこの展覧会の開幕の予定日が十月二日になっております。何せ出品物が非常に多量でございましたために、現地における陳列その他の準備がなかなか大へんな難事業でございまして、予定よりも四日延長いたしまして、十月六日に開幕したのであります。実はこの北京展覧会において、即売品に対して北京市民購買意欲と申しますか、これを非常に期待しておりました。日本即売品をだれもかれも求めたいということから、中には高額のものをほしいというので、市民のうちでは積立金をして日本商品の到着を待とうというのもございましたそうです。現地の方へ先発隊が行っておりまして、それから情報が始終入っておりました。ですからこの即売品というものに対して市民は非常な期待を寄せておったということは事実なんでございます。残念ながら途中で注文金額数量が増額されましたために、国内におきましてその商品の取りそろえに相当時間がかかったのでありますが、六日の日に売り出すべきものが全体で受注をいたしました金額の約四分の一ほどしか到着しておらない。この状況では一日で売り尽されてしまうであろう、かえって混雑を増すから、第二便が着いてから品物を売り出そうということで、中国側がそういう方針を立てたのであります。もとよりこの即売品につきましては、御承知の通り中国側におきましては百貨公司国家経営百貨店が全部扱っていることでして、展覧会自身が直接自分販売することを許されないのでございます。そういうわけで、販売のやり方、方式、また金額等におきましては、中国側が全部取り扱うことになっております。そういうわけでもう少し品物が到着してから開始しようといううちに、だんだんとおくれまして、ついに第二便の入りましたのが、十月のたしか二十日に天津に船が着いたと記憶いたしております。一方ではもうあまりおそくなるから、二十三日には断行しようという方針がきまっておりましたので、現物天津に到着いたしますと、特別便北京に取り寄せて、その品物を点検するいとまもなく売り出しを開始したのであります。先ほど申しましたように市民期待があまりに広く高かったものでありますから——中には不意に売り出されて、先に買われてしまうと困るからというので、グループグループから代表を送っておいて、早朝の四時半か五時ごろから会場へ詰めかけては連絡をして、きょうもなかった、きょうもなかったというようなことも、私はうわさに聞いております。それほど大きな期待をかけておりましたので、大へん混雑するであろうということは、中国側も想像しておったようでございます。さて二十三日に売り出しにかかろうといたしましたときに、もうお客が殺到いたしまして、売り場は裏の広場の西側の方に二カ所と、東側に一カ所、展覧会の前にそういう商品を扱う百貨公司の出店がございますので、そこと四カ所で、品物を分類いたしまして売ることにきめたのであります。いきなりそこに殺到してきまして、たとえば万年筆など、日本の場合でしたら、百貨店へ行きまして購入しても、私どもは一応インクを吸わして書いてみて、ペン先の調子を見て自分が引き取ってくるという慣習がある。万年筆のようなものは大ていそういう経路を経て手に入ってくるわけです。それが何しろあとから押すな押すなの状況で売場に行列したものですから、ついに丸太を持ってきまして制限して、品物を箱のまま渡す、お金をもらう、こうやって各商品を渡しておったのであります。こういう混雑の中に向うさんの方でも売りましたし、第一、開梱したときに購入者側として厳重な商品検査というものを行ういとまがなかったところに問題の発生する原因もあったのではないかということが想像されるのでございます。そして二十三日に売り出しまして、私がこの問題が起ったのを耳にいたしましたのが、ちょうど午後の五時ごろだったと思います。売り出し品物お客からこういうわけだと持ってこられた、不良品が出ておるんだということを聞きまして、実に私は驚いたのでございます。と申しますのが、新聞で、内地の報道機関で御存じだと思いますが、展覧会の盛大さが、私どもが開きます当時に予想しておりました以上のにぎわいを呈しまして、大へん参観者で、第一日は十二万八千もあの狭いところに入場者があったようなわけで、連日そういう状況で、少くて五万、六万という参観者を毎日得ておりました。総数では百二十八万かと記憶いたしますが、わずか二十日間ほどにそれくらいの入場者を見たという盛況ぶりであって、準備その他についても、中国側関係機関が夜を徹して協力していただいて、むしろこの繁栄さについては、中国側の御協力のたまものだと私どもは考えております。それほどお世話になっていた。そうして市民から、また周辺からも、続々と参観者が詰めかけられるほどの盛大さを示しておる中に、たとい少数であってもそういう問題が発生したということは、私ども団員一同全く色を失うほどの打撃を受けたのであります。それを耳にいたしましたから、さっそく先方さんの百貨公司、つまり直接販売の衝に当っている責任者、それから雑貨公司、これは日本商品輸入契約をいたしましたところ、ここの責任者にお会いしまして、こういう不良品がたとい一個でもできて、市民のお怒りを買ったことはまことに申しわけない、国内はともかくといたしまして、これは展覧会の全責任でございますから、不良品についてはすぐお取りかえをして差し上げて下さい、もしお返し下さることがあったらば、現金をもってお返ししていただきたい。さらにほかに何かございますかということをそのとき申し上げたら、実はボールペンしんのないのが出てきた。それじゃ品物一つ見せてもらいたいということで、さっそくペンとか、あるいはボールペンしんのないようなものを見せていただきましたが、事実そういう姿になっております。それからペンなどはやはり頭の方が食い違いになっていたり、先が曲っていたりしたものも五、六本私は拝見いたしました。何かはかに気がついたものがございましたら、それも十分検査なさってから売っていただきたいから、売り出しをとめていただきたいということを強く申し入れました。今晩は徹夜しても一つ調べてそれから売り出しましょう。だが、ペンというようなものに対してお客が非常にほしがっているから、できるだけいいものを出すが、調べた上で売り出しますという約束で別れたのであります。そのときに話の中に、数量は後日お届けいたしますけれどもオーバー生地が実はございます。これは日本からサンプルが行きまして、それも見た目だけで注文を発して日本から取り寄せた。どうもこれが生地がもろい。こうして切ればぴりっと切れてしまう。あとでわかったことですが、日本から行きました見本をそういう強度試験をやってみなかったために、姿を見ただけで、非常に手ざわりもよし、品物もりっぱに見えるものですから、それを購入した。これも非常にもろいものでした。これは全部売りどめして下さいということを申したのですが、これは見本を見て私の方も検査をしなかったのが手落ちだったけれども価格も安いし、そのまま引き取ってございますから、むろんあとの処置は別として、これは全然中国側責任だから、問題になりませんという態度でございました。二十五日の日になりまして、この日も非常に殺到いたしておりました。その万年筆等が出ましたから、さだめし即売の度合いも落ちるんじゃないかということを考えておりましたところ、やはり二十四日の日も売れ、二十五日も相当売れたらしい。二十五日の日は、中国側の党のえらい方々がたくさんに御家族連れで夕刻から見えることになっているから、団長は帰らぬようにしてくれということで、私は会場にとどまっておりました。その方々を御案内してそちこちお見せいたしておりますうちに、八時ごろに——夜になってしまったのです。問題はこのときから外部に実は出て参りまして、前に売り出されました万年筆を持って帰って使ってみたら、使えないものがあった。それから一方には、群衆の中には、当日即売品を買うべく三時間もあるいは四時間も前から行列の中に入って待っておったところが、定時間がきたものですからぴしゃっと販売をとめたということで、待っていた人が、こんなに待たしておいて買えないで帰るというのはどういうわけだといって、これもねじ込んだ口になるのでしょう。ちょうど会場の裏に外貨展覧部というのがございます。これは外国から中国へ来て展覧会を開くときの事務機関でございます。ここに押しかけて来て、責任者に会わせろというようなわけで、私その晩その話をまだ聞きませんでした、あとから聞いたのですが、そういうわけでそこに群衆が殺到して、団長に会わせろというわけで先方に迫ったそうです。ちょうどそれが三階の建物です。正面玄関から三階に上るようになっている。三階の部長室のところまで参りまして、中国側では話がつかぬから、こちらに会わせろというわけで強硬に迫って、どうしても帰らない。やむを得ず中国側では、多分これは警察官というふうに私聞きましたけれども、毎日百五十名ほどの警官が館の周辺を始終監視してくれておったのです。その人々を呼んで、群衆に対してよく納得させるように、品物も取りかえるし、買う人については館の中で臨時即売所を作るから、そこで買ってくれないかと一方には説得もし、それから不良品については取りかえるからということを申しておった。だんだんそういう話をして、夜十時過ぎまで、解散させるのにかかったということを、私はあと部長から伺いました。ちょうどたまたまそのときに読売新聞——これは申し落しましたが、日本から読売朝日、毎日、共同、それから日本経済だと思いました。そのほか業界紙等で約八社と記憶いたしますが、この展覧会に関しまして現地特派員が派遣されております。そのうちに読売記者、それから朝日記者でしたか、あるいは産経かもしれません。この人たち三、四人が、あまり人込みであるものですから、帰りがけにのぞいてみたら混雑していた。ちょうど赤いきれ地の新聞記者のしるしをつけておりまして、服装がみなせびろを着ておったものですから、それを見て群衆人たちは、これが日本展覧会かと言って、血相を変えて取り囲んだそうです。すぐその事態内容がわかったので、中国側部長に会おうとして階段を登って行こうとしたのですが、なかなか登れなかったという話で、結局先方部長に会見できたそうです。これは翌日私がその話を聞いたのです。そのときの怒り方というのは、ちょうど戦争中または戦争直後の日本人に対する憎悪の感情を出しておられた。全く自分たちも、あまり盛大のうちにこういう問題が起ったので、どうしていいかわからなかった、こう翌日言っておりました。そういう状況のうちにすぐかけつけて日本電報を打った。連日会場に詰めかけて様子を見つつ、多分情報日本に送っていたんだろうと思います。これがその事件が広がった状況でございます。  それから私はそういう事態を聞きましたので、おそらくまだお返しにならない方もおありだろうと思うから、新聞広告をさしてもらいたい、不良品が混入しておって申しわけないから、これは展覧会が閉幕されても後に百貨公司でお取りかえをいたします、また住所のわかっておるところはお届けもいたしますからということを、新聞、ラジオを通じて私の方では発表して、広く陳謝の意を表したいということを申し入れたのでございますが、中国側で申しますのは、自分の方でこれをどう取り扱うかまだ方針を検討中だから、広く市民にあなたの方の誠意を披瀝するについては、こちらから連絡をするから待ってくれということを申されました。私は待っておりましたが、なかなか答えが出ませんでした。そのときこういうことを言っておりました。この展覧会の大成功ということは、日本中国の間の貿易の大発展をするきっかけを両国の間に作ったのだ。その大発展をする途上にあるできごとでもあるし、展覧会がこれだけの成功をしておるのだから、そのうちの一つとしてのほんの欠点にすぎないのだから、そう心配しなくてもよろしい、これの取扱い方については、十分研究して御連絡を申し上げるということでした。さほどに問題が起りましたので、即売あとの売れ行きはどうかと思いましたが、これも引き続いて会期中品物が売れておりました。そうしてこの展覧会に協力した従業員全部に特別販売日という日を一日設けました。そうして二十九日まで即売を続けたという状況であります。  先ほど申し上げました通り中国側では、なるべく未然に防いで広げないという方針をとっておりました。そうしてこれを堅持しておったようです。その次に私は、ちょうど二十六日かと思いますが、やはり雷任民氏と会いまして、陳謝をするとともに、まだお取りかえに来られない方もおありだと思うので、ぜひ広告をさせてもらいたいということを申し入れましたが、やはり前と同じように、今自分の方も方針を研究中だけれども、問題にしないでよろしい、中国側もこれを問題にしようと思う意思が現在のところはないのだ、もうこのことは忘れた方がよろしいというほどの好意的な態度を示しておりました。そうしてどうもなかなか真相を私どもに教えていただけないのです。しかしさほどに不良品も出ているので、一度倉庫を見せていただきたいということを申し入れて、私も現実にどの程度に出るものか、またほかに売り出さぬ物でどういうような品物があるかということもよく承知いたしたいので、現場に案内していただきまして、不良品とおぼしきものを取り出していただいて拝見したが、事実先ほど申し上げましたように、どうも使用にたえないものを相当に混入しておった点が明瞭に確かめられたのであります。元来私は輸出入関係についての事務的な取扱いその他には知識がございませんから、関係しておりました団員の一人と一緒に参りまして、いろいろ荷姿とか、内容検査表とかなども説明を聞きつつ拝見したのであります。特に中国では問題にしないという態度をその当時からだんだんはっきりして参りましたが、数字の大体はわかりました。現物等は先ほど申し上げた通り、きょうまだここに持ち出すまでに至っておりませんが、出ておりますものは、まず万年筆でございます。注文しました総量がたしか七千ダースでしたか、中国側で購買したもので万年筆の不良品の出たケースのものが三千七百ダース購入されております。そのうち売却したもので三百五十本だけ不良品として戻って交換いたしました。そのほかに検査いたしまして不良品として先方がはねたものが相当ございますようです。これは明日でございませんと数字がはっきりいたしません。それからもう一つ別万年筆がございます。品名はリスト、前に申し上げたものはベルマンです。このリストの方は百ダース購入していただいたうち二十本だけ不良品として戻された。先方さんのおっしゃるには百ダースのうちで二十本くらい不良の出るのはこれはもうやむを得ないことである、そう問題にいたしませんという寛大なお話をしておられました。それからもう一つレインコートです。ビニールレインコートですが、これは先方と契約して送りましたものが約五千枚でございます。売却しました総量が千四百枚ほどですが、不良品として戻ってきましたのが約九百枚ございます。不良品の中には、これはお客さんも購入した方も気がつかなかったのでございますが、皆一々穴があいているかあいてないか調べるためにこういう調べ方をしたのだと思います。小さい穴のあるもの、及び帽子の破れておるもの、つまりレインコート帽子の頂点のところが破けておる。これは私拝見しましたが、帽子の上の接着点がうまくいっておらなかったのだろうと思います。それから帽子ボタンが四個つくということになっておるそうですが、中に帽子ボタンが三個しかついてないのがあって、一方の着る方は四個で帽子の方は三個だ、こういうものも多少混入しておりましたそうで、約九百枚販売不能、つまり返されたものがありました。こういう状況でございます。  問題をしぼって参りますと、今のベルマンという万年筆ビニールレインコートの二つが顕著のものだと思うのであります。そのほかに多少取引上の——先方にも、先ほど申し上げたオーバー地、これなどの見本を見て価格を承知して買ったもので、自分の方の手落ちもあるから問題にしない。ただし売り出せばむろんお客さんから返品をされる性質のもので、こういうものを売り出すことは日本商品信用を傷つけるから自分の方では売らないということを申しておりまするし、私どももそうしてほしいと思っております。このサンプルは持ち帰ってきておりませんから電報を打ちまして取り寄せますが、商取引上の習慣から申しますれば、こちら側にも全然手落ちはなかったし、また向う側では共同試験でもやって、再生品でありますか、破れるかどうかを検査して買えば問題なかったのですが、全然そういうことをおやりにならなかったので、自分の方にも手落ちがあるということをはっきり申しております。  大体こういう状況でございますが、実は周恩来首相のところにまでこの問題が伝わっておりまして、周恩来首相から十分な調査をして報告書を出すようにということでありましたので、今度持って戻って参ります品物も出したがらなかったそうです。書いたものも現在では出す立場にない。百貨公司だけの権限においてこれが扱えなくなったのは、国際貿易委員会の問題として取り上げ、内閣から調査方を要求されておるのだから、自分たち機関では処理できない。本月のたしか十五、六日ごろまでに報告書を提出することになっておるそうです。それが過ぎたらばもっとこまかい点についてあなたの方にお知らせいたしましょうということになっているようでございます。  こういう不良品の出たことはもう事実でございまして、私どもその他の者も品物を拝見している者がたくさんございまするし、日本から来られた新聞記者もその実情をよく見て戻ってきておられますから、この点については間違いはないものと思います。
  4. 永井勝次郎

    永井委員長 ボールペン香水など問題になっておりませんか。
  5. 宿谷榮一

    宿谷参考人 これは多少現地におきまして誤って伝えられていたようです。お年寄り婦人香水を一個求めたところが、その香水がからであった。からのものを売るのかというので、百貨公司の係員に非常な態度で抗議を申していたそうです。全部のうちで香水はそれが一個あっただけで、これは有名メーカーさんのものですから——私、あとで開いたのですが、こういうものは輸出検査のときに香水であるかどうかを検査なさるそうです。あとの封印が完全にできないために蒸発をしてしまうということがたまたまあるということを伺っておりますし、蒸発性のものですからそういうこともあろうかと思います。全体の中でこれが一個出ただけですからこれは問題にならない、そういう原因であろうかと思われるのであります。  それからボールペンにつきましては、しんのないものが全体のうちで約二十本ほどしか出ていない。さっそく送りました商社の社長名陳謝するとともに、その不足しておると思われる数量しんを空輸してくれたので、自分の方としては全体のうちの二十本くらいだから、これも全然話の上に乗せるという気持もないのだ、こうおっしゃっております。ボールペンについてはその程度でございます。六千本のうちの二十本だけがそういう手落ちがあったということです。出た量は全体から見ましたらまあ問題にならないと思うのでございます。  これも問題にするとかしないとかいうことは別問題としまして、国内で物を売りましたら、そのお客様が電車か歩いて取りかえに来られるから割合に気安く考えられるのです。いやしくも展覧会の記念品として販売され、しかも輸出して外国のお客さんを獲得しようというのですから、これはもう一本でも一つでも悪い品物が出るということは、そのメーカー商社の信用を落すことはもちろんのこと、日本商品に対する不信の念を抱かせるということは、貿易上にも重大な影響が参りますし、事柄は、金額に全部まとめましても大した金額ではないと思います。しかしながらこれの影響する範囲はそう簡単なものではない。私どもはこの展覧会を通じまして、市場の確保ということにつきましては慎重な態度で、サンプルなり輸出品なりを出す用意が必要であるということを、実は痛感いたしましたようなわけでございます。今後上海で、十二月一日から同様に展覧会が開催されるのであります。この即売品につきましても、実は私どもはちゅうちょしておりましたのですが、よく考えてみますと、今度の北京に起きました不評を上海で取り戻さなくちゃいかぬということがはっきりして参りました。上海で即売をやらないと上海が収拾がつかない、これは中国側のお話ですから、ぜひいいものを上海で売り出してもらいたい。上海の方もやはり金額がふえておりまするし、日も短かいので、技術的にはいろいろ困難な点もございますが、良品本位で、上海ではこの不評を取り戻すべく努力いたしたいと思っております。  この対策につきましても、私戻って参りましたが、まだいろいろの点で忙殺しておりますので、このお扱いになった商社、メーカーというような方との御連絡をつける段階に至っておりませんけれども先方さんがあくまでも好意的に不問に付して、クレームというような商習慣上の扱いをこの問題に関してはやりたくないという御方針のようであります。そうだとすれば、北京に発生いたしました問題の処理については、扱い者が誠心誠意良心的の態度で全部品物を交換して、よりいいものに交換して差しあげるというようなことが私は望ましいと思っております。もし商社とかメーカーという方が、そういう措置が行えないのでございましたら、展覧会がみずから負担いたしましてもそういう措置をこの際とりたい、かように考えております。  ただいままで申し上げましたことが、この即売品に関する大体の状況でございます。
  6. 永井勝次郎

    永井委員長 次に高見重義君。
  7. 高見重義

    高見参考人 今回の即売品に関しまする粗悪品につきましては、北京における全貌は、ただいま宿谷先生からの詳細な説明で了解したわけでありまするが、中国側の好意とかつまた展覧会当局の適切な処置と、それからもう一つは、われわれが非常に大へんだったと思っていたことが、多少とも予想よりも軽かったという点で、少しは気がやわらいだわけでございます。他方組合が、この即売品につきましては大体あっせんしておりましたので、今後この問題に対する処置、それから従来組合がとってきましたこの即売品に関するいろいろの手段、内容、方法を皆さんに御説明申し上げまして、一つ参考までに実は聞いていただきたいと思うのであります。  日商展の方では、この即売品は最初から事務当局の方でやっておられたのでありますが、多少商品知識が薄く、かたがた非常に多忙であるというわけで、できるだけ組合に協力してやってくれということを申されましたので、この即売品につきましては、六月中旬から組合が本格的に実は乗り出してきたわけであります。ただそこに多少事務的な手違いがあったと思います。従来日商展の事務局でやっておられた仕事を、もっと厳密に調査して組合が引き継いでいきましたならば、あるいはもっとこの問題については適切な手段があったと考えますが、どうも多少その点が、われわれとして今考えてみますとまずかったのじゃないか。出品者の検討につきましても、また商品検査その他につきましても、多少手落ちがあったのじゃないかというような気がするのであります。  自来組合は日商展協力委員会というものを作りまして、七つの輸出部会の部会長が委員として当られたのでありますが、鋭意各出品者の出品を勧誘いたしまして、そしてできるだけ良質の、また価格の妥当なものを出すという方針でやったのであります。ただその点につきまして、どうも従来の観点から、この商社の厳選ということが、私は多少手落ちがあったのじゃないか、こう考えております。それから価格問題その他につきましても、やはり組合としてはできるだけ犠牲的な価格で出す。今度出品されました品物は、非常に安い安いといっておられますが、これはメーカーさんも商社も、おそらく私はノー・コミッションである、こう考えております。ただ日商展に対する出品料といたしまして実は五%を価格の中に織り込んだわけでありますが、大体価格は安いがどうもけしからぬということは、これは多少メーカーに対してもまた組合、商社に対しても酷じゃないかと考えております。これはほとんど無報酬でやっておりますし、組合の方も全面的に奉仕的な精神で処理して参ったのでありましてどうかその点は誤解のないようにお願いしたいと思います。  この出品につきましては、一応見本によってこれを処理していく、ただわれわれが自己流とか日本流の考え方で出品することはやめようというわけで、見本中国に送ったわけでありますが、それがおそらく八月中旬と思っております。あらゆる出品者の出品見本中国へ届けました。そしてそれによって中国側に選択をしてもらうということにいたしまして、中国側はそれを全部検討されたようであります。そしてその返事は九月の初旬に参ったのでありますが、この点につきましても、やはり注文が多少おくれたために業者が急いだという点もあり得るし、かたがた最初展覧会出品即売金額は、大体北京、上海合せて四千万円という程度だったのでありますが、中国側の意向によりまして、これを八千万円ふやして、一億二千万円まで出すということになりましたので、またこれを受けてメーカー、商社も大へんだったと思いますが、非常に急いでやったというような懸念も多分にあったのでありまして、そこはやはり客観的に批判いたしますると、あるいはまた時間的に批判いたしますると、相当厳格な批判があり得ると思いますが、やはりこれは一つの商習慣でありますので、その他の業者の手かげん、手心も多少あったのじゃないかと考えております。非常に急がれたこともこの結果をもたらした原因じゃなかろうかと私は考えております。そしてこの見本によりまして、各商社、メーカーができるだけ早く積むという工合に準備していたのでありますが、船積みの関係もありまして非常におくれた。従って今回の結果に対しましては、一応商品としては日本取引していく、ただ価格が多少安かったような懸念もあとになってから考えられるのでありまして、もう少し一等品を高い値段でも出した方がよかったということもあとになって考えられるのでありますが、やはり出品メーカー、商社にとりましては将来の取引関係ということを相当考えておられます。自分の作った製品をできるだけ一つ中国に送りたい、だから高級商品ばかり取り扱っているメーカーさんはそれでいいのでありますが、中小企業はやはり中級品、そういうものを多少中国に売ってもらいたいということをある程度考えていたのじゃなかろうかと考えております。見本そのものを積まなかったことが今度の一つの大きな問題であろうと考えております。われわれといたしましては再三再四十品者に対しまして品質の厳選ということはやかましく言うてきたのでありますが、ただその点の手ぬかりがあるいはあったかもしれぬと実はつくづく後悔しております。何分にも多数の商社が参加されておりますので、組合の方といたしましてもできるだけ品質の厳選はやかましく言っていたのでありますが、出品される方の情勢が多少問題になるのでありますが、ある程度こういう出品があったことは返す返すも残念でならないのであります。  しかしわれわれは、今度の宿谷さんからの電報が参るまでは、りっぱなものであろう、大体検査もみなやっておられるだろう、また良心的な商品を積み出しておられたというようにある程度楽観していたのでありますが、この宿谷電報を見ましてから実はびっくりしてしまった。大変なことになった、しかしもう取り返しはつかないとつくづく残念に考えておるのであります。この粗悪品の問題につきましては、宿谷さんから二十五日の発信でこういう電報が参ったのであります。「即売ベルマンリスト万年筆、不良品のほか空箱多数あり、ボールペン、ボールもインクもない、空の香水瓶、ビニールレインコート、ひっついて破れる等のため多数の群衆委員会に押しかけ中国側及び展覧団長責任を糾弾、夜十時頃警官の阻止により漸く退散したが、今朝も早くから詰めかけ重大問題となった。展覧団に対しても今迄の好意的態度が憎悪に一変しつつある。他の商品も先電通り種々クレイムあり、国際的な重大問題となったので、南郷理事長自ら直ちに渡航責任ある処置をとられ度し。上海分手当保留せられ度し。」こういう電報が参りましたので非常にびっくりしてしまいました。かねて敬愛する宿谷先生からこういう電報を受け取って、われわれは非常に驚愕し、かつ残念に思いました。われわれ業者的な第六感から見ますると、多少興奮状態ということは想像されるのでありますが、しかしここまできつい電報は、これはよほどの問題だろう。しかも好意が憎悪に変ってきた、国際的な重大問題になってきたという電文でありますので、これはただならぬことであろう。われわれは、これは組合の責任どころのものじゃないのだ、日本の重大な問題である、こう実は直感したわけでありまして、この善後措置は一刻も猶予ならぬというわけで、あくる日に組合の幹部の方に集まっていただきまして、ここに即売品善後措置特別委員会というものを作ったのであります。そしてこの宿谷電報を一々検討してみますると、とにかく悪いものである。出品者は、この電文によりますと、おそらく悪意に満ちておったのであろう、好意ではなかろう、悪意でなければおそらくこういうものは出せないだろうと実は私は考えたのであります。そうしまして全部の出品者と、出品された見本を東京並びに関西で検討し、自求幾回となく皆さんとの会合を実は求めまして、そうしてこの問題を検討したわけであります。特に残念なことは、この出品物は三分の二が関西方面から出ております。それから三分の一が東京方面であります。東京方面の三分の一は、御承知のごとくけがはない。三分の二が関西メーカー、関西商社。これはどうも組合といたしましても、おそらく監督が足りなかっただろう。東京だけは厳重にして、関西の方はあるいは多少手ぬるかったのではないかと実は非常に心配していたのであります。関西からも情報を逐次その後とったわけでありますが、どうも悪意でやっておったようなものじゃないように見受けられる。やはり私は悪意でなければミステークだということを感づいたわけでありますが、もし悪意でありますならば、最も排撃すべき問題でありまして、われわれとしても重大な措置をとらなければならぬと考えております。しかし電報新聞報道は刻々と大へんなものであったのでありますが、その後やわらいできて、その結果は先ほど宿谷さんが申し上げたような状態であります。とにもかくにもかかる不良品を出しましたことは、組合はもちろん組合員並びにメーカーの大きな責任の問題である。ただこの問題に対しましては、同憂の議員連盟並びに国際貿易促進協会、この三者が同じ罪であるという話がありまして、同調して、この問題はわれわれの方の責任であるというて申し出られたので、非常に恐縮したのでありますが、われわれ組合といたしましては事の前後を問わず、ただ協力したということのいかんを問わず、やはりこれは組合員全体が考えなければならぬ問題であると思います。組合のとった態度についてばまた皆さんの御批判を多々受けると思いますが、事情は大体そういうような事情であります。ただ問題は先ほどの御説明のように比較的小さかった。たとえば香水とかボールペンというようなものも、ほとんどこれは問題にならなかったというような話でありましたので、大へんうれしく思うのであります。ただここにわれわれが非常に悲しく思いますのは、被害を受けたメーカー、商社であります。もちろん万年筆とかその他のものにつきましては多少の不良品があったというお話でありますが、ボールペンとか、あるいは香水、これは一つの営業を目的としておる企業であります。これが日本国内において非常に非難を受けておる、買手がないというようなことをやかましく私のところまで申し出ております。こういうなプラチナ産業の万年筆を買ってくれない、あるいはオリジナルの香水を買ってくれないというようなことを非常に悲しんでおられますが、こういう問題もやはりわれわれといたしましては何とかしてあげなければならない。事の真相ははっきりと皆さんの前に説明いたしまして、かかる善後措置も絶対に必要であろうと考えております。  それから第二は、上海の出品でありますが、先ほど宿谷さんから言われましたように、上海の出品はできるだけ良質品を積む。ただあまり一級品、特級品ばかり積みますと、将来日本の中小企業がとにかく中国との貿易路線を作っていかなければならぬ、ただ私は信用あるもの——値段が高い特級品だけが中国貿易ではないと思います。やはり中級品でありましてもほんとうに信用ある品物を私はある程度出していかなければならぬじゃないか。値段の高いものだったらアメリカのものを使えばいい、あるいはイギリスのものを使えばいいのでありまして、日本独自の品物、ただ悪い品物では済まないということが私は今後の日中貿易の重大な方針じゃないかということを考えております。中国の雑品公司はその後注文金額も相当ふえて参りました。組合が今取り扱っている、すでに決定したものだけでも二千八百万円、その他約一億近い注文が来ております。これは中国の好意ある処置であると私は思うのでありますが、この好意にこたえますためにも、やはりこれは良質のものを積んでいく、そして今後の日中貿易のいわゆるチャンピオンとして、この即売品を利用していくということが、われわれがとるべき態度だろう、こう私は考えております。  以上をもちまして私の大体の説明を終ります。
  8. 永井勝次郎

    永井委員長 次に日中輸出入組合理事、即売品問題善後措置特別委員会委員長大澤三郎君。なるべく簡単にお願いします。
  9. 大澤三郎

    大澤参考人 今宿谷高見両先生の御説明によって実情がおわかりになったと思います。私は特別委員長としての立場から、私たちが行いました調査に基いて次のようなことを御報告いたします。  今宿谷さんの御説明で明らかになった部分がありますけれども、私たちが宿谷さんに電報、書類、その他によりましてたびたび御調査をお願いしましたけれども、先ほど高見さんがお読みになった電報が一本参りました以後は、宿谷さんがお帰りになるまではすべてのことが保留のままに、明らかにならないままに事態が推移して参りましたので、この不測の事態によって迷惑をこうむられたような商社、メーカーの方々に対してじんぜんとして日を送るような状態があったという点についても非常に遺憾に思っております。私たちの調査に基いて決定しましたことは以上なのであります。  私たちの対策の重点は、第一点は、上海の即売成功に終らせるようにするためにはどうしたらいいかという点であります。第二点は、この不測の損害をこうむりました商社、メーカーの名誉回復をするための事後処理をどうするかという二つの問題について検討を進めております。しかしこの問題については、あくまでもビジネス問題といたしまして解決するように取り計らっております。  この点について調査を進めて参りますと、次のようなことが明らかになって参りました。組合並びに実演展覧会も含めてそうでありますが、その事務的な処理については遺漏というべきものは見出すことができません。ただ万年筆に端的に見られますように、この日本万年筆輸出の実情から当然に起ってくる、たとえば一本五十円の万年筆を出した場合は、今のような不良品が出てくるというような、そういう事態に注意を向けないで、これを即売というような非常に重大な場所に持ち出したという点については、非常に重大な反省すべき問題があるのじゃないか、このように考えております。  次の点は、先ほど宿谷さんが申されましたけれども検査をしないで中国の側がこの品物を入れてそして即売に回してしまったという点については非常に多くの問題が残りますので、この点については、今後かようなことのないように、契約された条項によりまして中国側日本側も正確に事務を取り運ぶようにしたい、このように考えております。この件につきましては、日本側が中国側に対して本即売品に関しては無検査で通してくれというようなことを要請したというようなお話もありますけれども、これは宿谷さんの御報告にありましたけれども、このような事実は私たちの調査によりますと、展覧会にも組合にもありませんので、これは何かの誤まりではないか、このように考えております。もし想像し得るならば、私たちが信用状を開設するに当りまして万年筆以外の自家検査のことについては、政府機関検査証というものを付することができないので、信用状に中国側がそのようなことを書き込まないようにというような連絡をいたした事実がありますが、それ以外については検査の問題について触れた事実はありません。  第五は、事実の究明に当って注意しなければならぬ次のような点がある、このように考えます。第一点は、第一電報が非常に誇大であったということは、興奮した現地団事務局の処理という点と、宿谷さんが組合、業界への警告がこの際必要だとの理解に従ってこのような処置がなされた、このような電報が打たれたということが、調査の結果明らかになってきた、こうように考えておりますが、その点が第一点であります。第二点は、ものの判断と事務処理とが的確でないという場合には、ビジネスとして処理できる問題が非常に政治的な波紋を描くというような結果になるという点を注意しなければならない、このように考えます。従って今後の上海の即売の進め方につきましては三団体がよく協力して、そうして団長たる宿谷さんがよく事態の処理についての責任を持たれて、かりそめにも事務当局の独走とかそういうものがあったとかなかったとかいうようなことが問題にならないように、はっきりした責任の所在と協力態勢というものを組むことが必要である、このような点が第二点であります。第三点は、事件の起きたときに、それに対応してしかるべき処置をとれる即売の実際に当った人が現地にいなかったという問題が出ております。従って上海での即売の際にはこのようなことがないように、必要のある人員の派遣をすべきである、このようなことが第三点であります。次の問題は、不穏分子云々というようなことが新聞にも出ましたし、またはルーモアとして飛んでおりますけれども日本側に関する限り、われわれの調査の範囲では、まだそのような事実は認められておりません。  以上が私たちの調査の結果であります。そうして、上海即売成功に導くためにはどのような条件が必要かという点について、次の六点をあげております。  第一点は、一流メーカーの、すなわちブランドものと呼ばれるようなものは、一流商社が取り扱っている場合には無条件で組合は即売に回すということであります。しかし第二の点で考えられることは、二流メーカーであって、そうしてこれが若干の疑点を持つようなものは、見本取引という形で正確にビジネスのルートに乗せるという点です。  第三点は、そういうものについては検査は個別検査を行いまして、商社も立ち会って政府の方々の協力も得て、一品検査を行うということが第三点です。  第四点は、政府に対して、不良品は絶対に出さないということ、もし出した場合は罰則を適用されてもいいという意味の誓約書を出してもらうということが四点であります。  第五点は、組合に対してたえず連絡するとともに、組合の統制という言葉では悪いのですが、組合の事務のルートに乗せてもらってこの問題を処理していただくということが第五点です。  第六点は、値段を適当なものを選ぶことによって万年筆に起ったような、そういう不測の事態を招かないように注意する、以上のことが上海即売に対する私たちの対策ではないか、このように考えております。  第二の、事件処理、すなわち事後処理の問題、すなわち名誉回復の問題につきましてはさらに事態を明らかにして、皆さんの要求にこたえなければなりませんけれども、現在明らかになった点から申しますと、万年筆とレーンコートに関する以外は明らかに名誉回復に値する、早急にこのような措置をとる必要があると考えますので、これは三団体が協議いたしまして早急に処置をしたい、このように考えております。以上であります。
  10. 永井勝次郎

    永井委員長 以上で参考人の陳述は終りました。この際、本問題に関して質疑を許します。通告がありますから、順次これを許します。宇田耕一君。
  11. 宇田耕一

    宇田委員 ただいま参考人の諸君から詳細な御報告を承わりましたが、懸案の見本市は今回が初めてであったので、われわれとしてはその経過が円満にいくように、またこれを通じて国交調整がかねての希望通りに軌道に乗るように念願をいたしておったわけでありますが、その間において、即売を通じてわれわれの予想しないような事態が起ったということは非常に遺憾だと考えます。ただこれは、中国との国交調整のためというよりも、われわれは、日本貿易について非常に考えなければいかぬ点がたくさんあるように思われます。それで適当でない品物を向うに売り出したということは、ただいまの御説明によっても必ずしも業界が悪いというわけではない。万年筆ないしレーンコート以外のものについてもなお反省の必要があるということも申されておったのですが、それがわれわれ国民の方から見ると、いかにも業界の不始末であるかのごとき印象を与える。日本の将来の貿易について、日本業界がそのために非常にふしだらであるかのごとくに私は印象を受けるのですが、そういう点については必ずしもそうではないというふうに考えられる点が多々あると思う。たとえばただいまお話のあった香水にしても、一体何個向うに持っていって売り出したのか、その中でほんとうに間違っておった個数は幾つあったのか、全体の数字に対するところの悪かったと思われるもののパーセンテージはどんなものであろうか、一個でも悪いものがあれば悪いのだ、こう言い切ればそれまでのことでしょうけれども、しかしそれほど日本の名誉を傷つけるというふうな内容に値する数字であるかどうか、単なる過失にすぎないものではないかと思われる点もたくさんあったと考えます。まずこの点について宿谷さんなりその他の関係の方から実情を承わりたい。
  12. 宿谷榮一

    宿谷参考人 今宇田先生からのお話で、とかく製品の数もののうちについては、期間も切迫しておりまするし、非常に荷作り現場も混雑しておれば、今の香水のようなことは、私がさっき申し上げました通り、多分抜き取り検査か何かの際にちょっと穴をあけて中を見て、それが完全なふたができなかったために蒸発したのであろう。現場の状況からいって一同が興奮しておりましたし、新聞記者自身も非常に興奮しておりましたので、そういうことが大きく私どもの手元に入って参りました。一々個々について調べたわけではございませんが、こういうものについては必ずしもメーカーの責任だとは断言できません、あやまちであったろうと思います。万年筆とかあるいはレーンコート等につきましての業者の責任でないという先生の御意見も今拝聴いたしましたけれども、レーンコート全体のうちに、先ほど申し上げました通り、交換したものが約九百枚ございます。決してこれは少い数字ではございませんが、私はこういう説明をしたのです。日本商品についてはいいものも悪いものも、実はピンからキリまでという言葉があって、各種金額に応じた商品があるのだ、ですからそのうち最も安い大衆性のあるものを選んでサンプルをお送りしたのであろうと思う、今後はもう少し、せめて中級品ぐらい以上のものをお送りするようにすればこういうあやまちはなかったと思います。こう申したのであります。従って安い価格のものについては必ずしも業者の責任だとは私は言い切れませんし、またさようにも考えておりません。ただし五十円の万年筆でも五十円に相当するだけのたとい三日でも四日でも使用に耐えられるものでなければならぬと思うのです。今度見本が入って参りますからこれは後日お目にかけたいと思います。その万年筆であるべきものが万年筆として使えないという商品については、これはやはりメーカーがある程度責任を負うべきであるが、しかしこういう商品見本として選んだ組合とか、展覧会というもの、中国の市場というものがどういう程度のものであるかということの判断と研究に欠けていたということは今私ども反省しております。全体の取扱いに関してはすべてが業界責任だとは思っておりません。ただし、不良品を中に入れたことについては、これは業者が大いに反省し、責任をとってもらわなければならない。根本的には、こういう安い品物中国に売れるのだ、どんなものでも、雑貨品の安いものなら中国が引き受けるのだという、かつての私どもが抱いておりました観念をこの際捨てて、もう少し購買水準というものを高いところに置いて判断すべきではないかということを考えております。
  13. 宇田耕一

    宇田委員 それでは、ただいまの御説明によって全体の商品そのものは必ずしも不適格なものだけではなかった、こういうふうに了解いたしますが、今回北京売り出し品物金額の総額はどのくらいでありますか。
  14. 宿谷榮一

    宿谷参考人 送りました総額は約五千七、八百万円に相当いたします。
  15. 宇田耕一

    宇田委員 約五千七、八百万円の中で、ただいま伺ってみると、一部分の商品について不祥事があった、こういうわけでありまして、私ども新聞紙上で承わったところによると、ある商品については向うから持って来た英文の誤訳があって、商品そのものが悪いのではなくて、むしろ品物を送る場合のこっちの判断が間違っておって、向うとの意見の食い違いがあった、それは英語の翻訳の間違いであったということも聞いておりますが、そういうようなこともあったのでしょうか。
  16. 宿谷榮一

    宿谷参考人 ただいま御指摘のような点もございました。これは氷砂糖です。先方ではドロップのようなものを注文したつもりでおったのでありますが、その翻訳に相互にあやまちがあったと思います。これくらいな氷砂糖一袋、たしか五十キロかで売ったのであります。到着してみて、氷砂糖の袋が即売品としてはこれは不適当であるが、結局二、三日いたしまして、この商店とはもう厚い取引をしておって従来間違いなかったものでありますから、これはばらのまま袋に入れて売りますといって、この点は先方さんでも買って下さったから問題にしておりませんが、ただ氷砂糖とドロップとの価格の点について若干の食い違いもありました。当時その会社の社長が北京に滞在中であったものでありますから、さっそくかけつけて実情調査して、話し合いがつきまして問題にならなかったのでございます。それからもう一つピンポンのラケットがございます。これも今の訳の相違であるかあるいはその他の事情によるものか、原因がまだ明瞭になっておりませんが、サンプルを送って、そのサンプルと同様なものが向うに到着すると期待しておったようです。これがサンプルと全然違う。違いますが、文書上、書類上では、こちらの方が送りました書類手続としては、間違いのないようになっておりまして、これも相互の間において解釈の相違があった。明らかに見本と違ったものが行っておることは明瞭です。しかしこれも売りどめをして、問題解決の上に、話をつけてから処理していただきたいということをお願いしたのですが、これは価格を下げて販売するようにすれば希望者が非常に多いから、この点は問題として取り上げないで取り扱う、この二つがございます。
  17. 宇田耕一

    宇田委員 大体出品商品即売に関係する扱い方から起った問題の中で、日本の輸出業者がふしだらであるということだけにこれをしぼることは、適当でないということはわれわれはわかりますが、先ほどもお話がありましたように、たとえば万年筆のようなものは、中国ではありませんけれども、従来われわれの聞いておる範囲内では、文字の書けない国民のおる国がある。そこへ万年筆が輸出される場合には、この万年筆はただポケットにさすアクセサリーの一つであって、これは万年筆という名前であるけれども、実はアクセサリーなんだという、こういうふうなものはもうあちこちの国に現在あるわけで、そういうふうな意味の万年筆という名のアクセサリーを今回も売り出したということを聞いております。そういうふうなことで悪意なくして従来の商習慣によって向うへ持って行って売り出したということでありますから、そういうのは、私は適当な機会に明らかにして、中国側の了解も十分得られたことだろうと考えております。それでただいままでの経過はよくわかりましたが、これからわれわれは第二回目の、むしろ北京よりも商業的に見て大事なところの上海の見本市をここに控えておりますから、上海の見本市についても今までの御経験で十分御注意をいただきたい、こういうふうに思います。その中で特に今まで全国的に希望があったことの一点は、出品をした関係者がなるべく渡航ができますようにということであります。北京においては国慶節があったので、向うの宿泊設備等の関係でそれがうまくいかなかったようでありますが、出品をするあるいは即売に関係のある者が、全然向うへは行けないというふうな立場に置いておいて、そしてその関係商品信用を十分に納得できるような説明ができないというふうな立場に置くということは、非常に残念なことですから、そういうことのないように、出品者に関する限り、あるいは出品に関係する者に限ってはなるべく渡航をできますように、向うの当局とも連絡をしていただいた方がよろしいと思う。また出品者の渡航については、なるべく政府の方も積極的にこれを援助するように願いたいと思うのですが、その点について通産省の御意見はどうですか。
  18. 川野芳滿

    ○川野説明員 日本側といたしましては、出品者に対しましてはできるだけ御要望にこたえまして、そして国際見本市に出かけていただく、かように考えておる次第でありますが、何しろ先方から人数のワクがございまして、従いまして先方からの制限で今度の上海見本市は百二十名だったと思いますが、そういう制限が向うからございますから、やむなくその制限に従いまして日本国といたしましても人数の制限をいたしておる、かような実情でございます。
  19. 加藤清二

    加藤(清)小委員 ちょっと関連して。上海の見本市におきましては制限があったやに承わっておりますが、あの状態では御承知の即売品を売る売り込みはおろか、機械のアフター・サービスもできない、こういう状況だったのですよ。そこでそれでは困るというので、現地でそういう苦情が日本側からも出ましたので、私ども直接向うの進出口公司や南漢宸さんあたりと相談をいたしましたところ、これは国慶節のために各国のお客さんが非常に多い、従ってある程度の制限をした。ところがこれが済めば絶対に制限はいたしませんというので、立ちどころにふやしてくれましたが、上海の見本市においては、これはおそらくそういう制限はないと思うのです。むしろ制限をし、渡航をしぼっておるのは日本の政府側であると、かように考えておりますが、この点いかがでございますか。
  20. 川野芳滿

    ○川野説明員 先ほども申しましたように、現在のところ先方から制限をいたして参っておりますので、政府といたしましてもその制限に従って実は人数を制限いたしておる、かような実情でございます。しかし今回の上海見本市に当りましては、渡航者の希望がございますならば、できるだけその希望に沿いまして、たくさん上海見本市へ行っていただくように交渉いたす考えでございます。
  21. 加藤清二

    加藤(清)小委員 その人員の制限でございますが、むしろこれを神経質に考えておるのは、日本政府の方でございまして私は直接向うで南漢宸さんにも張奚若さんにも、それから謝南光さんにもみんな会いました。それからいよいよのときには毛首席さんとも交渉がありました。それから進出口公司の孫立基さんとも会いました。そうしたらそれはとんでもない話だ、アフター・サービスができぬようでは、機械を見せてもらっただけでは困る。機械を動かしてもらわなければ十分理解ができないから、ぜひ動かす人くらいは立ちどころにふやしましょうというので、これは宿谷さんに聞けばわかることですが、すぐに三十数名ふえたはずです。そこでその後この次の上海見本市は一体どうしてくれますかと言ったら、今回は国慶節のおかげでサービスに行き届かない点があると困る、つまりホテルが満員になると因る、こういうことなんです。それ以外のことで日本商品見本市とかあるいは渡航者を向うが制限しようとする意図はさらに見えないし、それのみならずぜひたくさん、一人でも多く来てもらいたい、こういうことを言うておる。にもかかわらず、この問題については、むしろわが方よりもあなたの方の政府にあるじゃないか。たとえば志賀君のごときは——こういうふうに言われたわけですが、志賀さんの場合は別としても、ほかの人が行かれる場合でもそうです。現在もなお渡航を要望しておる人がありますが、それをしぼろうしぼろう、員数を減らそう減らそうと努力していらっしゃるのは、日本の政府側であるということははっきりしておる。しかもその政府側は通産省でなくて、主として外務省側にあるということは具体的事実として現われておる。こういう問題について一体日本政府としてはどのようにお考えでございますか。またどのように実行されようとしていらっしゃるのか。はっきりと承わりたい。
  22. 川野芳滿

    ○川野説明員 北京見本市におきましては、ただいまお説のように、宿舎等の関係から人員が制限されておったのであります。上海におきましては先ほど私制限があると申しましたが、実は誤まりでございまして、今回は制限がないそうでございます。従いまして御要望の方がございますならば御要望にこたえたい、かように考えておる次第であります。
  23. 加藤清二

    加藤(清)小委員 見本市に関連して、渡航する人の制限が今日なお盛んに行われておりますが、これについてはいかがでございますか。やはり貿易振興のために行こうとしている人であります。
  24. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。経済問題のために中国に行きます者の渡航を制限している事実は、私は承知しておりませんでございます。
  25. 加藤清二

    加藤(清)小委員 うそを言うてはいかぬ——またあとで聞くからいい……。
  26. 宇田耕一

    宇田委員 私の知っている範囲内では、特別の場合を除いて見本市に関係のある者については渡航制限はしない方針である、こういうふうに了解をいたしておりますから、その線に沿って政府の善処を要望いたしておきたいと思います。  その次に、通産省からはこの見本市について補助金というか奨励金が出ております。ところが北京及び上海の見本市についての敷地の代金は、北京政府で負担をするといううわさも聞いております。それで私たちとしてはその経過がどうなっておるかということは第二段として、希望する点は、互恵平等の国でありますから、向うから受けた恩恵は必ず将来日本において見木市を開く場合に、これを返さなければならぬ義務があるはずであります。そういう場合に、日本側として将来円滑にサービスのできるような点にのみ協力を向うに求めるべきであって、限界点を越えて、われわれが通産省を通じて助成金を出した内容にまで触れるような問題で、向うの援助を受けるということのないように希望いたしたいと思いますが、その点について宿谷さんの御意見及び通産省の御意見を承わりたいと思います。
  27. 宿谷榮一

    宿谷参考人 先ほど、渡航制限の問題が出ましたが、これは通産省の方からお答えになりましたように北京におきましては百二十名、それ以上をこえることはホテルのスペースの関係でできないということで、百二十名に実はしぼられておりました。その後機械の運転その他でどうしても技術者が足らないのと、商社の方に渡航をしていただきたいということで、私が九月の二十日に日本を出まして、自来向うと交渉を続けておりましたところ、戻る人を別といたしまして約二十名ほどの渡航を許されましたので、さっそく日本の方に電報を打ちまして渡航の希望者を聞いて、出られる方はすぐ出ていただきたいというようなことで、この点については加藤先生の御指摘された点もございましたが、展覧会現地当局としては実は制限したような状況は何もなかったのでございます。この点はいろいろのほかの問題でそういう制限がございましたので、さように思い込まれておったのだろうと思います。それから上海につきましては百名の増員を御存じの通り認めていただいたのです。これはやはり向うさんではもう幾らでも日本からおいでになることは歓迎するが、上海も北京と同様で、ホテルの室が不十分だ、だからこの展覧会に関してはあと百名増員するということでしんぼうしてくれないかというので、私がたつ前日に雷任民氏との話し合いで、総員二百三十名ということにきまりました。そのほか展覧会参観として船で五百名上海に行きたい、その後地方議員連盟の先生方がお見えになり、交渉し、私も側面からこの話を推進しておりましたところ、五百名だけは展覧会関係者として上海に渡航を認める、しかしそれは船に泊っておりますから、朝船から出て夜船へ帰る、こういう制限がついておりました。五百名だけ、これは地方議員連盟が中心になって長崎県と一緒におやりになるようです。ですからこの五百人という人が上海に泊るといったら、これは要するに向うさんの手が足りないわけで、少し団体行動すればそれに一人々々世話人と通訳をおつけになりますし、世話係がつくのでございます。必ずしもホテルのスペースだけとは限りませんが、その五百名の渡航も向うが承認して下すったわけです。但しこれも渡航の技術的な手続がどうなるか、私まだそれは伺っておりませんけれども、でき得ればこういう方の希望者もぜひ一つ上海に渡航できるように、また先生方の御協力とお役所の方の御了解に努めていただきたいと思います。今伺いますと制限しないでどんどん出してやろうというありがたいお話でございますが、展覧会はぜひ希望いたしますから、そういうふうにお願いいたしたいのであります。  それから上海におきます即売品の点につきましては、これは重大な問題でございますから十分組合とも相談いたしまして、商品知識のある組合の商社の方々の御協力を得つつ、りっぱなものを売り出すように努力いたしたいと存じております。さらに即売品に対する担当者、これは前回は百二十名で制限をされておりましたために、即売品を輸出した方に直接おいでを願うことはできなかったのでございますが、今回は二口に分けて発注するケースが出ておりますから、組合からもおいでを願い、また即売品を提供した商社からもおいでを願おうというので、その員数も大体きめてございますから、その中でやりくりして、ぜひ現場に立ち会っていただきたい。さらに今まで出ました不良品その他について組合へ私が打電いたしました文書の内容について、非常に過大に評価されたのだという点を指摘しておりますが、品名としましては数をあげてございます。あげてございますが、現場の状況といたしまして、私自身の主観といたしましては絶対に過大な電報内容だとは思っておりません。当時新聞社の人が直接それを体験しまして、その余憤から新聞社がどんどん電報を打たれたのです。従って私はこの新聞社の特派員の発する電報内容に干渉することはできません。新聞記者の取材いたしましたのは、展覧会の職員等からも聞いたであろうと思います。また直接中国側と話をして、中国側からも取材したのがあろうと思います。この機会に、展覧会も上海に移りまして今ひまになりましたからというわけでもありませんが、その新聞記者たちは帰ってくるそうですから、一度その新聞社の関係者をまたお呼び願いまして実情一つ十分お聞きただしになることも、今後の貿易発展上の御参考になろうかと思います。どうやらこれを社会問題として大きな波紋を投げかけたのは私自身にあるかのごとく世間は思い込んでいる向きも業界その他であるようで、そうお思いになることはこれは自由でございますけれども、私自身といたしまして、現場の中国側に対する全責任者といたしましては、自分の感じた、考えた主観から出まして、私は組合に対して実情調査し、かたがた善後処理に責任者が出てくるようにという強い電報を打ったことも、これは証拠があるのでございますから、事実で、これは決して否定いたしません。だが、そのときの責任者とし、また団員その他新聞社の人々までが、町に出るのに肩のすくむような思いをした、そうして夜間なども、毎日外へ出て歩くのも、新聞社の人々も、うちの団員の百二十名も、全く世間が狭いような気持でおったことは、あれだけ努力した人々の気持に接してみると、責任者の私どもとしては、実際こういう問題が起ったときに、私はむしろ日本のこれを扱った人々に対して憤りを実は感じたのです。ということは、中国の市場というものについて、われ中国貿易の選手である、エキスパートであるということを任じて、中国商取引のあっせんに努め、それをやる人々が一体中国の国民の購買の水準というものがどの程度にあるかということの診断をすることは、私は日本貿易発展上、将来の信用を確保することについても重要な問題ではないかと思う。いきましたサンプルが、すべてが私は安物ばかりとは申しません。申しませんが、この点、中国の購買水準、購買の傾向というものに対して、いささか手落ち——慎重な研究が足りなかったという点を、私自身も送られたサンプルを当時もっと拝見すればよかったということについては反省いたしております。ですから中小企業その他の救済策もありましょう、いろいろありましょうが、私はこの雑品に対する輸出に対しては、今後検査も十分にし、また業界自身としても自主的に、国外へ出すものについては十分な注意が必要である、かように考えております。余分なことをつけ足してまことに恐縮でございますが、中国に渡ってこの事件に遭遇しました私の考え方を今申し上げたようなわけであります。
  28. 永井勝次郎

    永井委員長 この際ちょっとお諮りしますが、宿谷氏はできるだけ早く帰りたいということですが、問題は相当重要だし、質問者もずいぶんだくさんあるのですから、質問の方も答弁者も一つ要点だけを簡単に願います。
  29. 宇田耕一

    宇田委員 今の私の質問の一点は、政府が支出をした目的に反するような方向に中国側と土地の借り入れ代金等について協定をなさらないように、われわれがここで協議をし政府に要望して、そうして補助をすることになったその補助の目的を無にしないように、見本市の責任者は十分の配慮をいただかなければならぬ。その点についてどうなさるかということを簡単に答えていただきたい。
  30. 宿谷榮一

    宿谷参考人 昨日展覧会の向うの副団長の二人名をもちまして正式に電報が参りました。これは周総理からの命令であるというので、雷任民氏から謝欽部長を通じて展覧会に正式に申し入れがありました。上海会場費を全免する、北京上海間の鉄道運賃を五割引きする、上海会場中国側協力工員の費用を全免する、以上の三点を北京会場にもさかのぼって、全面的に適用する。だからこの点をあなた方は承知をするようにという公電が入りました。それよりさかのぼりまして宇田先生も御存じの通り新聞紙上でこれが伝えられておりましたので、一昨日でありましたか、三団体はこれをお受けしないということを決議いたしまして三団体は中国側に打電いたしました。私の方もやはり展覧会の総裁村田先生と御相談いたしまして、もとより御好意に対しては全く満腔の感謝を表するのでございますけれども、これがお受けできないということをはっきりお答えいたしますから、その点どうか御安心をお願いいたしたいと思います。
  31. 永井勝次郎

    永井委員長 なるべく簡潔な質疑応答をお願いいたします。
  32. 宇田耕一

    宇田委員 中国側の好意ある申し入れに対するわが方の態度というものは、今御説明がありましたからよくわかりました。その次に見本市に出品する商品の中で即売をなさるのですが、上海で今度幾ら売り出されて即売なさる予定ですか。
  33. 宿谷榮一

    宿谷参考人 向うからの希望は約一億二、三千万円希望しております。
  34. 宇田耕一

    宇田委員 上海で一億二千万円程度のものを即売に付する、こういうことでありますが、これについて通産省にも御意見を聞きたいのですが、政府は商品検査に対してどういうふうな措置をとられる計画を持っておるか、それをこの際お聞きしたい。もう一つ中国との貿易協定を結ぶときに中国側はしきりに輸入港主義をとろうとしておったわけであります。そのときにどういうことを彼が言ったかというと、日本商品検査には信頼が置けないのだということを言い出したことがあった。われわれはそういうことはない。われわれは輸出港主義をとって、日本の港を離れるときの検査をもって最終の検査として権威ある検査にすべきである。こういうことを貿易協定のときに主張して、それを通してくれという建前をとっております。従って今後貿易協短の改訂を行わんとする場合に、必ず検査の最終地をどこに求めるかということがまた問題になるはずであります。われわれは日本の輸出港主義をとっている日本の権威を失わないようにすべきであると考えております。ところが見本市等の場合に商品検査がはなはだ不始末なために基本原則を曲げなければならないようなことが起っては大へんでありますから、そういう点について通産省の見解を伺いたい。
  35. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 今回の見本市に関連しまする即売品につきまして若干悪い物がありまして、その点につきましていろいろ参考人からも意見がございましたが、われわれとしても、日本商品の海外信用を維持するという見地から非常に遺憾に存じておりました。われわれといたしましては現存の法律の範囲内におきまして、許す限りのいろいろな措置をとって参りたいと思うわけであります。上海での即売品につきましても今急に検査機関を設立する等のことは、これは現実問題として間に合いませんが、現在御存じのように第三者機関による強制検査の品目もあればあるいは自家検査品目もございまして、全部について最善の検査をするということも若干困難な点もあるわけでございますが、少くとも強制検査になっておる品目につきましては、今回の事例にもかんがみまして登録検査機関に特に厳重に通達し、検査の公正というか厳正を期して参りたいと思うのでありますが、その他の自家検査品につきましては、役所としては今それを新しく政府が直接検査するとか、あるいはそういう登録検査機関をしてやらせることは技術的に不可能でありますが、できればできるだけ工業品検査所の職員を自家検査をやる場所に派遣をしまして、自家検査とはいうものの、その徹底を期するといいますか、厳重にやれるような指導監督をやって参りたい、こういうふうに考えておりますが、今後の一般的な検査制度につきましては、あとでお尋ねになりますればお答えいたします。
  36. 宇田耕一

    宇田委員 通産省はそういうふうな目的を達成するために、輸出品目に対する検査に関する法令の改訂をも行うかのごとく新聞では発表されておるのでありますが、そういう考えがありますか。
  37. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 この検査制度の改善につきましては、今回の事件のみならず、最近私もアメリカでしばらく勤務して参ったのでありますが、いろいろな経験から見まして、現行制度をやはり再検討し、一言で申しますと、輸出検査を強化する方向に持って参らなければならぬのじゃないかということを深く感じておるわけでございます。目下いろいろの点につきまして強化する方向に実は研究をいたしております。  一言に申しますと、問題は先ほどもちょっと触れました自己検査というところに非常に弱点がございますので、できますれば自己検査というものをやめて強制検査の方向に持っていく、また検査人の質の向上のために所要の措置をとりたいというような方向で実は研究いたしておるわけであります。いずれ法案ができますれば次の国会にもお願いをすることになろうかと思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。
  38. 宇田耕一

    宇田委員 今回の北京だけの展覧会を見てみると、入場者は約百二十九万ということでありまして、それで日本の産業界の現状を向うの主席、副主席以下ほとんど全員に理解せしめた。日本の国力の実態について、十二分に従来の日本を知らなかったということについての蒙を開くという点で非常に高い価値があったということを承わっております。従って上海における見本市においてもそれ以上の効果が現われるものと思っております。その点については宿谷さんあるいは輸出入組合の高見さんその他の関係の方々の努力は非常に高く買わなければならない、こういうふうに考えますが、即売等の、大衆に直接関係あるものについての商品検査は、上海においては万遺漏なきように思いをいたしていただきたい。  それから中国貿易に対する考え方が一昨年よりも昨年、昨年よりもことしと変りつつあるというふうに見受けられます。というのは、生産手段に使う品物あるいは建設に必要な資材のみを輸入しなければならないという従来の考え方が幾分改められつつあり、大衆商品、大衆に必要なところの消費物資を最近は大衆の購買力に応じて手に入れたいという、希望がある。そういう中国貿易関係業者の考え方の変化、国策の変化が見受けられる。そういう点についてどういうふうな対策を今後講じるかということは——こういう見本市を通じて現われてくるところの大衆の希望に沿うように、輸出入組合なり通産省等は、この見木市の効果を十分にわれわれに伝達していただく機会をあらためて持ちたい、こう希望しておきます。これで私の質問を終ります。
  39. 永井勝次郎

    永井委員長 次に松尾トシ子君。
  40. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 質問の大あらましが済んだようでありますけれども、念のため私からもう二、三点参考人あるいは政府に御質問したいと思います。今度の北京展覧会はだれしも言うように、日中両国間の親善をはかることにあったと思うのです。ところがその中で見本市の即売品が粗悪で物議をかもした。これはしまったことをしたとだれもが思いました。ところがここでいろいろ御説明、御報舌を聞いておりますと、騒ぎの方が大きくて、その結果はことのほか小さかったというふうに受け取れるわけです。ところが私をして言わしめますと、小さく済んだのは何もこちらの努力ではなくして、中国側の好意ある同情によって小さく済んだというふうにさえも受け取れるわけです。ですから私はこの際この小委員会として、ただ輸出の手続の問題とか、あるいは検査の問題とかいうことばかりでなく、もっと根本的な問題があるように思われるわけです。全般的に言って、日本の輸出製品というものは安かろう悪かろうでありますから、この点をまず是正していかなくちゃならないし、また今回の展覧会に出した品物が、それぞれの担当者が中国実情をよく調査してかからなかったので、安物を送り過ぎた、こういうところにあろうと思うのです。その点も参考人が強調、認識されておる御様子ですが、今後は日本中国向けのものは、雑品にいたしましてもどの程度のものがあの地の購買力あるいは要望にかなうか、この点を一つ御披瀝願えましたらけっこうだと思います。
  41. 宿谷榮一

    宿谷参考人 どうもむずかしいことで、私たまたま展覧会の関係者として現地において考えたことは、これはアフリカとか東南アジアの農村地帯に送ることを目的としてではなく、もう少し程度の高い、たとえば三種類に分けるのであったらその中間以上のものを向うに出すように努めることが向うの市場性にぴったり合ってくるのではないか、かような見方をしております。
  42. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 その他の参考人にも御意見があろうと思いますので、お伺いできましたら……。
  43. 高見重義

    高見参考人 この点につきましては私は各方面から検討する必要があると思います。ただ悪かったら値段の非常に高いもの、あるいは上級品ばかり出すといったところで、それは出すのは出しても異論はないのでありますけれども、やはり中国の購貿力も相当考えなければならないと思っております。だから私はこうした情勢で何でもかでもいいもの、特級品というのではいけないと思います。やはりその点は日本の中小企業、大企業のいろいろ生産状態を勘案しまして、中国商品を出すべきだと考えております。しからばどういうものがいいかと言われますと、大体今暁は粗悪品以外はほとんど売れておると思います。なぜ売れたかといいますと、やはりある程度価格格も妥当であり、またある程度は中国側の、需要にも適していたと私は考えておりますので、その点は十分今度の上海の即売展覧会にも勘案して出したい、こう考えております。
  44. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 どうも私の常識からいいますと、五十円の万年筆は書けないような気がするのです。それで中国としては生きた社会学を勉強しようといってノートを持ってきたり、あるいは宿谷さんのお話によりますと、長く積み立てをして日本の製品を買おうなんということのえをしている人さえあるというのですから、どうも五十円の万年筆では安かろう悪かろうじゃないかというふうに考えるので、高見さんのおっしゃるように、需要に適しているというふうには考えられないわけです。従いまして私は、最高のものを出せというのではなく、むしろ最低、良質のものはどの辺のものを出すのが今の中国に対して適当であるかということをお伺いしたいわけです。
  45. 高見重義

    高見参考人 松尾委員のお説はもっともでありまして、その点においては私も同感であります。ただ問題を万年筆に極限されますと、いろいろ問題は起ってきます。先般来私は、リスト万年筆あるいはベルマン万年筆は中止しております。そのかわりセーラーとかその他の優秀な万年筆を出すことにしております。従ってどうもあつものにこりて何とかというような話がありますが、あまり興奮してはならぬと私は思います。やはり万年筆もとにかく一等品ということで、べらぼうな値段のものを出したら売れっこないのでありまして、妥当な価格信用ある人が出すというのが、私は必要であろうと思います。
  46. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 その点は金額で切ることはできないでしょうけれども、最低でしかもいいものを出すという心がけが必要であると思います。同時に今回の見本市は、ただの商売、取引ではなかったということの観念が薄かったのではないか。むしろいいものを特売するのですから、見本市なるがために何パーセント引いてあるんだということを明示して売れば、次の注文がきたときに、同じ金額で同じものを輸出するときに、製造業者にしわ寄せがくるなんということはないと思います。いわゆるさばき方、注意が足りないというふうに考えるわけです。  それで、一つ私がふに落ちない点を宿谷さんにお伺いしたいのですが、先ほどの御説明に、自分は帰ったばかりで、資料はゆうべ届いたが見る機会がないので次の機会と、こうおっしゃるのです。上海の展覧会も控えているから大へん忙しいのに宿谷さんがお戻りになったのは、この責任の大なることを痛感していられたからだと思うのです。ですから、この委員会がきょう開かれたのですから、本来ならばあなたに御無理かもわかりませんけれども、きのう着いたのだったら昨夜徹夜しても、大あらましのものをここへ提出してもらうのがいいのじゃないか。またそれ自体、そんなような緩慢というとおそれ入りますけれども、そんなような精神が今回の市場で煩雑な問題を起した原因になったのじゃないか、こういうふうに考えるのです。宿谷さんは忙しいのにお帰りになりましたのですが、一体どういう目的があって今度こっちにお帰りになったのですか、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、お聞きしたいと思います。
  47. 宿谷榮一

    宿谷参考人 おしかりを受けて恐縮です。実は私昨晩寝ましたのは四時でございます。というのは、実は昨晩サンプルが着きまして、向うの数字等も承知いたしました。たとえばレーンコートなども先ほど申し上げたような数字が明確に出て参っております。全体の数字はもうしばらくしませんと出ませんが、現物も拝見しました。それで、本日ここに持参すべきが筋でございます。御指摘の通りでございますが、一昨日、衆参両院で構成されております議員連盟の先生方と、国際貿易促進の委員会、この組合と、私ども会議をいたしまして、いろいろメーカーの信用その他にも関係することでもあるし、今後の対策についても慎重に考えなければならないから、本日午後に適当な時間を選んでごく少数の人々で一応その品物を見て、そして今後の対策を講じてやろうというお約束が実は私にはございましたために、国家機、関である衆議院のこの委員会に持ち出さないのはまことに申しわけないのであります。私、そういう約束が一方にございましたために、あいまいにその点を申し上げておりました。さような事情でございます。決して怠慢にしておりましたわけではございません。
  48. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 先ほどの説明を伺いますと、LCが組合へきて、五%の手数料をとってあっせんしたというのですから、組合もこれについてずいぶん責任があるわけです。ですから、少数の人たちにその内容が知れても、今まであまりにも大きく新聞やあるいはニュース映画に映っておりますから、全体の締めくくりを公的な機関に発表をなさって、これからやろうとしておる、またやってもらわなければならない中小企業の製造業者とかあるいは輸出をいろいろやっていらっしゃる方々に勢いをつけてやらないと、これはしゅんとなってしまうのじゃないか。将来のために、公けに締めくくりを発表をするということを約束していただきたいと思うのです。  それから、この委員会の中に藤井大丸の社長さんがお見えになっておりましたら、ちょっと今回お出しになった品物の経緯とかあるいは製造、こういう点を、不良品について特に藤井大丸の社長さんに、責任者としてここでこまかく御発表いただけたらけっこうだと思うのですが、いかがでしょう。
  49. 高見重義

    高見参考人 ちょっと今の御発言に対して……。今松尾さんの話によりますと、組合は五%とっておるというように聞えましたのですが、あなたはそういう御発言でしたか。
  50. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 そうです。
  51. 高見重義

    高見参考人 組合は全然とっておりません。とっているのは日商展であります。私はそういうふうに発言したのであります。組合は全然とっておりません。
  52. 永井勝次郎

    永井委員長 ただいま松尾委員からの提議がございましたので、内々自民党、社会党両方の委員と話し合いをいたしまして、また神田委員長との了解も得まして、この会場に問題の万年筆藤井大丸の社長藤井正三君が見えておりますので、この会場において参考人として意見を承わりたいと存じます。藤井参考人こちらへいらして下さい。なるべく簡潔に一つお願いします。
  53. 藤井正三

    藤井参考人 私藤井大丸の取締役会長の藤井正三であります。こういう重大な席で発言の機会を与えられて大へんに光栄に存じます。貴重な時間ですからごく簡潔に、私の方に関することだけを報告させていただきたいと思います。  私の方の扱いましたのはリスト万年筆、これが二千五百本であります。すなわち二百ダースと百本であります。先ほど宿谷さんが百ダースとおっしゃったのは間遠いでございます。もう一つは、ビニールのレーンコート六千五百枚を納めたわけであります。先ほど宿谷さんが五千枚とおっしゃったのは誤りでございますから御訂正を願います。  それで、納めました経路はすでに御存じですから申し上げても長くなりますが、要するに輸出入組合が代行機関として、輸出入組合を通して向うの雑品公司へ納めたわけであります。それで最初に見本を提出いたしまして、輸出入組合品から見本及びプライスリストを向うの雑品公司へ送りましてそのプライスリスト及び現品を照合してただいま申しましたような御注文を向うからいただいたのであります。ただしシッパーは私の方でありますから、その現品は私の方から直接灘品公司にお法りして、LCもやはり私の方で開設されたのでありますから、支払いも私の方が直接受け取って、その中から五%を組合を通して日商展へ納めた、こういう性質のものであります。  九月四日にそういった話が進みまして、多少値引きの交渉が雑品公司からございました。九月六日に万年筆及びレインコートの確約ができました。納期は九月二十一日、万年筆は二十二日に納めよということで、指定通りに、指定倉庫である日新運輸倉庫へ納めて、十月三日の第三東亜丸で神戸を出帆した。こういう経路でございます。それで、こういった重大な事態原因を私どもが作りましたということに対しては、ほんとうに責任を感じております。従ってもう少し実態を知りたいと思いまして、私の方も再々北京の日商団の代表者及び雑品公司へ手紙、電報で御照会を申し上げたのです。今日に至るまで何ら御返事がなく、ようやくこの席上で、宿谷委員長から大略の話としての御報告を聞いたのであります。それでリスト万年筆は、ベルマン万年筆も出ておりますから、相当混同されておったのでありますが、リスト万年筆は、申しましたように、二千五百本納めたのであります。それからベルマンさんの方が三千六百ダース納めましたと聞いております。事故の大半はどっちにあったかということを非常に私は心配しておりましたが、今委員長の御報告によると、リストについては二千五百本のうち二十本程度だ、こういうふうに承わっておりますが、最初ほどでなかったということで非常に安心をするけれども、二十本でもまことに申しわけないという自責の念にかられております。  それからビニール・レーンコートにつきましては六千五百枚お送り申したうち、ただいま九百枚程度の取りかえがあったという——取りかえというお言葉をお使いになっておりますが、取りかえとはどういうことか、もう少し私はお聞きしたいのであります。と申しますのは、レーンコートについては、おとな物、婦人物、子供物、こういう種類のものをお送りいたしました。そしてそのうちみなサイズが違います。でありますから、おそらく想像するところによりますと、そういう非常な人気でありましたから、一々サイズをはかったり、着てみてお買いになるという余裕もなく、配給的に売られたと思います。従っておとな物だと思って帰ったところが子供物であったというようなことで、取りかえのあった九百枚のうち、かなりサイズの交換があった、こう想像されるのであります。ほんとうのクレームといいますか、事故が九百枚中どれだけを占めているかということは、私の方の責任問題でもございますので、精密な御検査をお願い申し上げたい。一方未確認情報でございますけれども北京部長謝さんの放送として新聞でいわれているところによりますと、ビニール・レーンコートについては事故らしいものはなかった、若干あったが、しかしそれは事故らしいものではない、こういう未確認情報もありますので、九百枚が深刻な事故であったかサイズの交換であったかという点についても一つ調査を願いたいと存じております。それにつきましては、ここに大阪市立工業研究所長の大島さんの、私の方に対する検査及び個人的な批判としての報告もありますので、これは委員長の方へ御提出申しておきたいと思いますが、要するに今度出しましたレーンコートは、まことに申しわけないのでありますけれども百貨店であります私どもの方が売場で売っている場合でも特価品というものでございます。この点が非常に私の方の失態でございまして、委員の方が指摘されますように、中国のマーケット・リサーチに不十分であったために、そういった特価品級を送ったことが特に非常に影響したことは重々申しわけないと思っております。それから検査につきましても、単なる検査の習慣あるいは検査機関に安易にもたれまして、私の方は商社としてもっと自主的な検査を実際やってなかったという、この二つの点について非常に責任を感じております。従ってこれが単なる貿易でない、日中親善、貿易促大ということで非常な意味があるこの見本市の場において、こういうことが起ったということ、従って日本のあらゆる産業、ことに貿易産業全体に対して非常な不名誉と信用を失墜するような原因を私どもが作っておるということについてはまことに申しわけないので、このことについては絶対の責任をもって善処いたします。すなわち単なる事務処理としてのクレームの処理にとどまらず、それを越えた今言ったような重大な立場から十分の善処をさしていただきたいと思っております。それがためにはとりあえず私向うへ参上いたしましてわびるべきはわびたいと思って、中国へ渡航のあっせんをしていただくように関係機関にもお願いしておりますし、向うの機関にも電報で要請しおります。願わくはそういう機会もできますように一つ御援助をいただきたいと思います。  それからあき箱がリスト萬年筆に多数あったということは宿谷さんの公報で入っております。これは明治時代に不徳な貿易業者が牛カンの中へ石ころを入れて送った、そういうような印象を与えて、私ども実はこれについて非常な衝撃を受けまして、だんだん調べてみますと、二千五百本を一ダース箱に入れて二梱包にしたのでありますが、最後に四本端数が出ます。その四本をダース箱に入れまして、八本あいているところへからの一本箱を入れてこれを荷物に入れ、さらに一ダース箱分の空地がございますので、そこへ新聞紙あるいはその他のものを詰めればよかったのでありますが、即売会だから、あるいは一本箱の破損した場合にお使い遊ばすようにといって、同様に一ダース箱に一本ずつのあき箱を入れて、それを穴埋めにしたのであります。でありますから、一ダースのあき箱と四本しか入っていない箱があったことは事実でございまして、言いかえるならば、二千五百本マイナスあき箱であったか、二千五百本プラスあき籍であったか、この点を一つ調査願えば判明する、私どもの手元ではそういうふうでございますので、これは非常な大きな問題でございますから、ぜひ精密な御検査をいただきたい、かように思っております。  ところで後日談でありますが、その後上海へ送りますビニールのレーンコートにつきましては、これは中国の非常な御厚意と思いますが、私の方へもっと上質のレーンコートを八千枚送るように追加の注文をいただいて、今作業をいたしております。これはこの前送りましたのがそういう特価品級でございましたから、今度は日本では最高級といわれるところの生地を用いまして、納期に間に合う程度に加工をしてお送り申し上げるように、今向うへ、電報の御連絡をさせていただいております。御質問の要点に合わなかったかも存じません、また非常に弁解がましい報告であったかもしれません。以上率直に申し上げましていろいろと御批判御指導をいただきたいと思います。
  54. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 まことにありがとうございました。何しましても、から箱とか、そういったものを、しるしをつけておあげにならなかったことも不注意だと思います。それから最高品云々ということをおっしゃられましたけれども、輸出入組合その他の御意見もありますので、値段とその品物とがちゃんとマッチしている、実際の価格に適しているというようなものを送っていただくことがいいんじゃないかと思います。  ところで、質問がちぐはぐになりますけれども宿谷さんは、先ほど、あの驚かすような電報を送ったのは、私の自主的な観察からやったのだ、こうお言いになっております。それから同時に、この事件が起って世間がやかましくなったときに、厳罰にしてもらうとか、あるいは検査をやかましくするとかということで官庁各方面を歴訪しておられました。またそんなような声明を出したりいろいろしておられる。どうもこの態度責任を回避しているように思えるのです。最高責任者である宿谷さんですし、若い者でもないのですから、あまり興奮しないで、今度の上海の市場には少々の事件が起きましても、宿谷さんのお手元できちんと握って、あまり大きくしないようにしていただきたいし、また上海で同じような事件が起ることを決して望んでいるものではありませんけれども、多数の人が集まり、多数の品種を出すのですから、いろいろの話の行き違いその他があろうと思いますけれども、どうかこのような態度を今後はなさらぬようにしていただきたいと思うのです。どうも世間が宿谷さんの態度電報によって大きくなったというのもこのようなところからきているのではないか。これは自主的な観察からやったというのでは済まされない。それより将来、貿易界に対する波紋が大きくなって日本信用を傷つけると思うのですけれども、この点を改めていただきたいと思うのです。まことに差し出がましい言い口ですけれども一つその点を御了解願いたいと思います。  それから次にお伺いするのは政府なんですけれども、先ほど日本の地方議員連盟が向うへ参りましたときに、向うの幹部の最高の人たちとお目にかかったときの会合がちょっとニュースに出ておったのですけれども、そのときにこんなようなことを言われておりました。参考人の中にも、この問題に触れて詳しく言われたはずですけれども会場費を半額にするとか、あるいは労務者をうんと出して上げるとか、あるいは向うの建物を塗り変えたのだから全部向うが持つとか、輸送は今のところ中国では逼迫しているにもかかわらず、展覧会用の品物の輸送に対しては優先的に取り計らう、こういうようなことを言ってくれたそうです。こういうことを言って下さるかたわらに、どうも日本の政府が今度の北京展覧会に対して非協力であるから、気の毒だからこういうような申し出をしたというふうにさえ伝えられている向きがあるのです。現実においてそんなことはないと答弁なさるに違いないのですけれども、なかなかあるのです。というのは、まずこの市場にお出しになる見本の種類に対しても品物に制限を加えたり、あるいは補助金を出すにしてもちびりちびりと出して、初めから出すものを全部の用意をもって使う場合と効果がうんと違う。こういうような点を見ても、決して積極的にこの展覧会の成果を祈りながらやったというふうには思われないわけです。ここにはどうしてそんなような態度をおとりになっておるのかということをぜひ一つ披瀝をしていただきたいと思うのです。今後また上海の市場に向いましてももっともっと協力的な立場をお示し願いたいのです。この点一つお伺いいたします。
  55. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 外務省からもお答えがあるかもしれませんが、まず一応通産省としてお答えいたします。これは非協力であったのではないかという第一点ですが、これは宿谷さん以下直接この展覧会を担当していただいた方々から批判をいただいた方がいいかと思うのでありますが、予算にも限りがありますので、六千万円という金はかなりの金でありましてたとえばヨーロッパ諸国あるいはアジア諸国にもいろいろこういう種類の展示会に参加いたしておりますが、規模六千万円の補助金をもって参加するというのはそう多くの例がないのであります。予算をちびったということでありますが、これは私も逃げるわけではございませんが、最近通商局長を拝命いたしましたような関係で、実際はよく知らないのでありますが、四千万円最初にきめて、それで大丈夫だろうということであったのではないかと思うのでありますが、あとで足りないというようなお話もあり、二千万円追加して結局六千万円ということになった。これは予算が限られておりますので、あるいはほかの各地にもいろいろ予定がありますので、われわれとしてはこれくらいの金をお出ししたということはせいぜい一ぱいであって、それで非協力と言われる筋合いはちょっとないのではないかというふうに率直に思います。  それから出品物につきましては、御存じのような制限も若干ありましたが、いろいろ関係各省協議してかなり戦略物資が出品をされたのでありますので、それもそういう制限がない場合と違う場合、かなりいろいろ無理をした解釈をして出した、そういうことで一つ政府側の協力についても同情を持って御理解を願いたい。決して非協力であったとは思っておりません。
  56. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 今松尾局長から非常に明快な御答弁がありましたが、全くあの通りで、われわれといたしましては、許された範囲におきまして最善の努力をした結果があそこまで参ったということでありまして、その点を一つ御了承を願いたいと思います。
  57. 永井勝次郎

    永井委員長 関連して。今松尾委員からお話のように、非協力であった、金の出し方も四千万円、二千万円と小切って出した、あの物資もいけない、この物資もいけないというふうになかなか最初から計画的にできなかったという経過は明らかであったと思います。それから事務当局としては、この程度の予算がせいぜいだ、こう言うのですが、国の予算全体から言えば、たとえば国民の側から言うならば、中古エンジンは七万円のやつを一千二百何十万円ということで買う。そういうところにはなかなか思い切った金の出し方をする。それから佐久間ダム関係が、四十二億の契約を八十何億にふやすというようなことで、国際間の重要なこれらの問題については四千万円だ、二千万円だと小切って出すのがせい一ぱいだといっても、これは国民は納得するものではない。重ねて当局のお答えを願いたい。
  58. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ほかの省のお話はよく知りませんが、貿易振興費につきましては、かねて非常に議会の御協力を得ましてふえて参っておるのでありますが、何分世界各国のやっておりますことから比べて、かなりまだ少い点があるのでありまして、実はもっと増額をしていただきたいとわれわれ通商を担当しておる者としては考えております。いずれ来年度の予算につきましては同情ある御配慮を心からお願い申し上げます。
  59. 松尾トシ子

    ○松尾小委員 どうも同情ある同情あるとおっしゃられるので、つい同情しちゃうのですけれども、出品をする際にも業者が何回も足を運ばなければ許さないというので、日が長くなるからああいうことになってしまうのです。今後はそういうことをしないように協力していただきたいと思うわけです。それでどうもはなはだ気にさわることですけれども、政府はあっちこっちに気がねをいたしまして、そうしてやっていることはよくわかるのです。しかしながらどうも日本の輸出貿易としては中国を対象にしてやらなければいけないという段階に入っておるのじゃないか。その道を開く展覧会ですから、私は今度の不始末というものは、諸官庁におきましてもむろん考えて、どうも侵略的気持というのかしら、そんなようなもので中国を見ておったために非協力であったのじゃないかというように考えられるわけです。聞くところによると、輸出入取引法ができる前は、業者だけでやっておったときはもっと円満であった、ものがてきぱきと運んだというふうに言っておる人もあるのです。こういう点もよく御配慮を願いまして、北京の場合あるいは将来の場合にももっとスピーディに協力していただくことをお願いいたします。特にもうやがて一カ月もたたないうちに上海でやるのですから、その際は、今度こそはという気持で、一つ商売取引を度外視して、採算を度外視して真の日中の親善を深めていくような成果を上げていただくことを特にお願いいたしまして、その他は他の人がやりますから、これをもって質問を打ち切ります。
  60. 加藤清二

    加藤(清)小委員 時間がないようでございますから、重複を避けまして一、二点だけお尋ねいたします。  第一番にこの次上海のときはしっかりやるとおっしゃいますが、また同じようなことが起きては大へんでございますし、また今度の問題は日中貿易のみならず、私は同様な品物が売れております東南アジアその他に非常な悪影響があるではないか、こう思いますので、責任の所在だけははっきりしておきたい、こう思うわけでございます。そこで私が思いますのには、メーカー側、日本のこれに対する協力の仕方、その他いろいろあるでしょうが、一つにはあの見本市において売った場合の売り方にも一つ責任があると思うのですが、責任というよりも方法上の手落ちと申しましょうか——と申しますのは向うの人たちが非常に日本商品をあこがれておる、ノスタルジァを感じておる、そこで殺到してきておる。こういう状況下において売り子が少な過ぎたのではないか、こう思われるのです。さればこそ万年筆を買ったのではなしに箱を買っていったのです、ビニールのかっぱを買ったのではなしにビニールの包みを買っていった。それが証拠に、初めから香水がないようなびんを買っていくはずはないのです。これは香水の中身を買ったのではなしに、外の包みを買っていったのです。これは売り子が非常に少かった。つまりお客が殺到している数に比較して、売り子が少かったのじゃないか。彼らに、個人的な消費者に検査をさせる、選択の自由を与える時間的な余裕を与えたならば、この問題はもっと軽く先方現地だけで解決できたような気がいたしますが、過去は問いませんが、上海においてはどのような御計画でございますか、これが第一点。
  61. 宿谷榮一

    宿谷参考人 北京の方も手が足りなかったという点も、あの殺到ぶりから見ますと若干そういうきらいなしといたしませんが、予定しておりました基礎人員は私は伺っておりませんでしたが、非常に手が足りないのと、扱いになれた者を出さなければならないというので、百貨公司から特に百名増員いたしまして売りさばきの衝に当ってくれたようです。上海の方につきましては、人口も多いのでありますから、入場者も相当多くなることが予想できます。そこで上海の方から百貨公司責任者及び担当者が、北京の扱い方について、ずっと滞在しておりまして、今後万遺憾なきを期して中国側でもこれの処理に当りたいという、非常に熱心な態度でございます。前の混雑、失敗等にかんがみまして、私どももなるべく手落ちのないようにこちら側からも協力いたして、十分手落ちのないようにいたす所存でございます。
  62. 加藤清二

    加藤(清)小委員 問題は、消費者に選択の自由を与えるいとまがあったのかなかったのか、それをぜひ今度はよく御研究いただいて、上海の見本市に選択をする時間的余裕をせめて与えるようにしてもらいたい。これが第一点でございますが、もう一つ考えなければならぬことは、検査の問題です。話が出ましたから聞きたいことがありますけれども飛びまして、価格と品質の問題でございますが、これは何でございますか、一々向うから価格を指定してきている、それをこちらがそれに合せて送っていらっしゃいますのか、あるいは価格の指定はないのか。なぜそういうことを言いたいかと申しますと、向うの店には同じ万年筆でもパーカー、シェカー、ウオーターマンという高級なものが並んでいる。時計のごときは、宿谷さんよく御承知ですが、オメガあるいはユニバーサル・ゼネヴァ、ナルダン等、価格にして七百円のものが売れている。七百円というと一万五千円になる。日本の精工は十分の一の七十円です。十倍のものが売れているということを忘れてはならないのではないか。先ほど高見さんが安い物も売らなければいかぬと言われた。それはごもっともです。ところで中国を相手に品物を送る場合に、どの層を相手にするかということも考えなければならないが、あまり安いところだけをねらってやりますと、せっかく日本の技術は高級である、ぜひ日本の技術を学びたいと言っている相手方に対して、安かろう悪かろうだけならよろしゅうございますが、工業も低かろう、技術も進んでいないだろうというように考えられることは、これは日本の工業技術にとっても痛い痛手でございますので、一体価格は向うから指定してきているのか、どうなのか、その点を承わりたい。
  63. 高見重義

    高見参考人 加藤先生のお話は、われわれとしても全く同じ意見であります。安かろう悪かろうでなしに、よかろう安かろうでいく。悪かろう高かろうではいなけいので、その点はやはり商売人といたしましては十分心得ております。それから値段の問題につきましては、現在までのところは、こちら側から値段を明示して、それによって向うが妥当であればその値段で買っていこうとか、またこれが妥当でない場合は値下げしてきます。一割下げてこいとか、いろいろ言うておりますが、選択権は全部向うにある。従ってこちらの方といたしましては、その価格に即応して品物を売るわけですが、しかし安くしたものに対して品物を悪くしてはいけないのでありまして、やはりその見本通りにしていく。あるいはブランドの通ったものはそのブランドでいくというような方式で今取引を進めております。
  64. 加藤清二

    加藤(清)小委員 日中貿易の最大のガンは、私はこのたびのいわゆる即売品の不良品ではないと思うのです。これは大きな発展途上のほんのささいなものである。このことは向うの人も再三言っておったことです。一番のガンは何かというと、相手国は人為的障害だと言っている。人為的障害は何かといったら、こちら側にある。その内訳は何かと話し合ってみれば、これは制限なんです。先ほど制限はありませんというお話でございましたが、大きな制限がある。ココム制限、バトル法制限、チンコム制限、いろいろある。それにしてもその範囲内においてなお追い打ちをかけて制限があることを、私は非常に遺憾に思うのです。具体的に言いましょうか。たとえば機械を北京にあります第二紡績に尋ねてみますと、綿紡機は売れないという今までのほとんどの人の報告でございます、冗談じゃない、売れていますよ。行っています。しかも向うはほしいと言うております。私は直接工場長にも会いました。ところがここに許可になって売れているものでさえもなお障害があるのです。どういう障害か。いってみると、表示の能率が上らない、それでこれを疑わざるを得ない、工場長はこう言うのです。冗誕じゃない、それはあなたの方の技術が悪いのだろう、そう言いますと、それをおっしゃってくれては困る、イギリスの機械はちゃんと能率通り出ます、こう言う。しからばお尋ねするが、イギリスの機械を備えつけてから、技術者が何カ月おりましたか、こう尋ねると、半年から一年おりましたと言う。それじゃ日本ではどれだけおりましたかと尋ねると、機械の名前は大阪のOKK、オーエムです。これはうそじゃありませんよ。何カ月おりましたかというと、わずか二カ月足るや足らず。紡機というものは、備えつけてから半年以内というものはほんとうの能率は上りません。アフター・サービスが欠けている。このことは本委員会で再三再四論議になっているところなのです。にもかかわりませず、人の渡航許可その他の問題でアフター・サービスが行われなくなっている。これは制限の範囲内のことですよ。私は外のことは大臣に尋ねます。内のことしかあなたたちには尋ねられぬから、範囲内のことを尋ねている。範囲内でさえもなおこういうことが行われているんです。うそだとおっしゃるならば、なぜ渡航の人員の制限をなさらなければならないのか。知るや知らずして、自然に通産大臣のいうところの拡大均衡を逆にじゃましていらっしゃるという結果が生じてきていることについて、外務省としてはどのようにお考えでございますか。
  65. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。先ほど制限がないと申し上げましたのは、渡航の部類について、経済的に見て必要なものは、私の承知している限り、制限をしているはずはない、こう申し上げたわけで、禁輸品の部面については先ほど討議になっておらなかったので、渡航の面について先ほど申し上げたのであります。
  66. 加藤清二

    加藤(清)小委員 商品についてだんだんやると時間が長くなるから、それではそこのところに焦点を合せましょう。渡航の人だけということに限って申しますが、制限があり過ぎます。内地においてどんどんしぼっていらしゃいます。これも具体的に言いましょうか。相手国では貿易の振興、技術の交換、国際親善等々によって、必要とあれば、本人が希望するならば、向うは県単位の人においてもなお招請するの用意があるわけなんです。何も政府側とか大商社、大メーカーでなくして、先ほど高見さんのおっしゃったように、小メーカーをも迎え入れる用意が十分にあるわけなんです。それだけ腹が広い。あなたは先ほど、ビニールはああいう事件があってもなお追加注文がきたとおっしゃいましたが、これは雑品進出口公司の副経理孫立基氏も言っておった。ぜひビニールがほしい。これは売れるんです。そういう人たちが輸出組合とか、あるいは国際貿促とかではなかなか行けない。これが県単位で行こうとしている。現在愛知県も行こうとしている。ところがこれに対してどういうことになっているかと言うと、三十名行きたいというのを二十名にしぼり、十五名にしぼって、それにけちをつけてまただんだん削っていらっしゃる。それが外務省のやり方なんです。具体的事実なんです。うそだとおっしゃるなら、あの三十名全部許しなさい。制限をせぬというなら、全部許しなさい。この場でOKを出しなさい。そうしたら、こんな時間になってからこんなことを言わぬでも事は足りるわけです。どうです。
  67. 永井勝次郎

    永井委員長 加藤君に注意しますが、佐藤経済局次長は、渡航を許可する権限のない局ですから、一つ……。
  68. 加藤清二

    加藤(清)小委員 私は外務省のお役人の権限の範囲内のことを、わざわざピントを合わせてお話ししているのです。
  69. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 私としてはそういうことはないと思って先ほどお答えしていたわけでございますが、よく調べまして、もしそういうことがあれば……。
  70. 加藤清二

    加藤(清)小委員 それではあなたは、今そういう障害が行われているとすれば、そのことはよいことだと思いますか、悪いと思いますか。
  71. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 私自身といたしましては、純経済約な目的では、制限する必要はないと思います。
  72. 加藤清二

    加藤(清)小委員 それではそういう事実がもし行われているとするならば、日中友好あるいは貿易の拡大均衡のために、今後そういう人為的障害は除去しようと努力なさるんですか、この場だけの言いのがれでございますか。
  73. 佐藤健輔

    ○佐藤説明員 私といたしましては従来も努力しておりましたし、今後も努力するつもりでおります。ただ問題は、経済的といいましても、いろいろこれまたほかから支障が参りますので、その点については、私責任者でないものですから、ここで何ともお答えは申し上げかねます。
  74. 加藤清二

    加藤(清)小委員 支障が出てくると、はしなくも障害のあることを是認なさったということでございます。しかしそれを取り除くように努力するとおっしゃいましたあなたの気持に敬意を表して、きょうはこれでやめておきます。まだこれから発展いたします。
  75. 永井勝次郎

    永井委員長 それでは他に質疑はありませんので、これをもって質疑を打ち切ります。  宿谷高見大澤藤井参考人には、御多用中長時間にわたりまして種々御説明を承わり、本問題調査に多大の参考となりましたことを厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十六分散会