○
帆足小
委員 ただいまの
宇田君の
質問に関連いたしまして、私は先ほど
貿易統制については考慮すべき点を詳細に述べたわけでありますが、先ほど
重工業局長が言われましたが、
交渉は一本でやることが望ましい、私はこういう
日本の重工業の主要
原料といわれるものについてはまさにその通りだと思う。全く先ほど申したように賛成で、七大
メーカーがこれに対して慎重な
態度をとっておられることにはかねてから敬意を表しておるわけであります。しかし今
宇田さんが指摘されましたように、
輸入方式については、
貿易商社は
貿易商社としての有機的連関、
相手国市場に対する
理解、それから人的連関などの長所もあるわけであって、
メーカーさんの
意向を
中心として
政府と相談して一本の
交渉が望ましいのですが、先方が一社独占をきらっておる事情は高見さんや服部さんからお聞きになって十分行政当局は知られておると思うのであります。それで
宇田さんの言われましたように、不当な
要求であるならば、また不適切な
オファーの仕方であるならば、
中国側の
希望も修正してもらわなければならぬ、
中国側の言う通りにならなければならぬ必要はありません。しかしそれが大局から見てそれほど不都合でないものなら、あえて
中国側の感情を害してまで、
輸入計画を変えてまでどうこうする必要もないわけで、ございまして
石炭の今年の
輸入が四十万トンとか五十五万トン、来年は七十万トンとか八十万トン、今後幸いにして品質改善が行われて、
中国との
貿易、
原料と製品の
取引がふえて参るとすれば、そのたびごとにこれらのものは一社独占でやるというようなことで、無理に
相手の感情を刺激する必要もあるまい、しかし
メーカーさんと深い
つながりがあり、また深い資本
関係の
つながりもある
商社を尊重して、それを
中心として運用されるということは、
窓口一本の
取引に特って参りますためにも、
事務的にも便利でありますし、そういう態勢に傾くことも実際的であると思います。だといって
メーカーさんは自主統制であるから
日本の
鉄鋼政策、
原料政策をにて食おうと、焼いて食おうとおれの自由である、おれの政策はおれだけできめるのであるから、
官庁の
意見も、
輸出組合の
意見も、また一般の
中日貿易のために
努力しておる何十の
商社の世論も聞く必要はないのだというなら、それは
日本の貴重なこの
原料や貴重な為替を個人の私物化しておるという非難を免れないと思います。やはり自己の職責に対する責任上大事をとり、慎重な
態度はとるけれども、しかしいろいろな世論の声も聞いて万事円滑にやるというのが私は近代的実業家の
考え方であって、
政府当局はとかく行政指導や行政干渉をすることが好きですが、この事件に限っては
メーカーの言うことだから仕方がないという。
中小企業者に対しては
自分が必要なときには不必要な官僚統制までするくせに、こういう強い
メーカーさんに対してはやむを得ないの一言で済んで、そうして今年は四十万トンであったからと言われますけれども、私どもの聞いておるところによりますと四十五万トンか六十万トン
輸入しても差しつかえないというお
考えを持っておられた。しかし残りの十五万トンないし二十万トンは、自主的に
メーカーさんがおきめになった
商社以外に、
中国がいわゆる反人
商社といって適宜選んだ
商社に玉がきたために、商談に差しさわって玉が流れようとしている。
鉄製品の
輸出についても同じようなことが起っている。ことしは硫安
メーカーと
中国側との感情の相違、連絡上のそごから、硫安の発注がゼロになって今ごろになって硫安
メーカーさんが親善使節を派遣するというようなことを始めようとしている。それから前述の木造船の問題についても
中国側との連絡が不十分であって、
特免神権天授説のために
中国側との有機的関連が切れ、今
業者の
努力によってあやうくも連絡がついた。私は
貿易というものは特殊な人の独占的な気持によって行うべきものでなくて、
一つの
理解と友好の雰囲気の中に高度の常識をもって行うべきものだと思います。そうして互恵平等であって、向うの言うことを全部うのみにする必要もございません。向うがこういう
商社に玉を出したといっても、その
商社がいろいろな
関係から不適当であろう、またやらせたいけれども、従来の
つながりが少いからそれはちょっと無理であるというようなことはしばしばあると思うのです。しかしながら鉄鉱石とか
石炭とかいう重要な
物資を取扱うものを
窓口を
一つにして
交渉することにはもちろん全幅的に賛成ですけれども、
相手の感情を害してまで一社にしぼらねばならぬ
理由はない。そういうことについては、
国内の問題だけで済むならよいけれども、
中国側の
意向はどういうところからきているのか。
中国側が何か不当なことを
考えて
要求しているのだったら、それは穏やかに断ればいいと思うのです。別に不当な気持でなくて、ざっくばらんに
幾つかの
商社にやってもらいたい、しかし
窓口は
一つでけっこうですと言っておるのならば、その
商社を
検討してみて、悪かったら他と交代してもらうなり、適当に
あっせんしてまとめるのが私は
輸出入組合の
任務であり、それを内面指導していくのが行政当局の
仕事だと思うのです。しかしこの問題がそもそもそういう形になったことは、第一には
メーカーさんがこの重要な
原料の
輸入を無責任な
商社によって撹乱されたくない、一本で国策的に統制したいという健全な
要求から出ている一面があるわけです。と同時に他面においては、これは
特免と連関がありましたものですから、
特免天授説、
特免国有説から
官庁が大いに積極的に肯定した。それに対して何らの批判を加えなかったということとあわせて、一本でこういう成り行きになってしまった現在としては、
神権天授説、
特免天授説は十八世紀の
思想だということになって、あの有名ながんこな
輸出課長も退場したわけです。そういう
状況になって、今後は向うの
意向とこっちの
意向とを五分五分に、やはり穏やかに、
日本は
貿易国であるから何も必要もないことで角を立てる必要もない。
中国側が重要な
原料の
貿易については、
メーカーさんの最も信頼している中核の
商社、その
商社の性格は、かつてよくない性格があったということもいわれておりますが、今は
鉄鋼メーカーさんのよい監督のもとに信用ある経営者さん
たちがおることを私
たちも信頼しておるわけです。従ってその
商社を
中心にすることに何ら異存がないけれども、長い間
両国の
貿易のために関与したその他の数社も
貿易の
数量において適宜使って参りたい。それが
貿易上の仁義というものであって、一社だけに
中国貿易の成果の過程に生れた
取引を独占させることは、
中国側としてはどうも気持がそれではおさまらないということを先方は言っておる。そのことは服部さんや高見さんからの報告をよくお聞きになればわかるわけです。
メーカーの
方々は決して悪気があるわけではなくて表面
取引に出ておりませんために、
中国の各
公司の気持や、国際
貿易委員会の気持を知る機会がないからがんこに構えておるのであってわずか二割か三割の
数量のものを、他の
商社と、もっと
努力した
商社と協力し合ったらよかろう。そうして当事者
たちも協力する気分になっておる。通商局もそういう御気分であるというのに、重工業局の方の御指導が多少不足ではあるまいか。もちろん
民間のことにみだりに干渉すべきではございませんし、今日
鉄鋼業者の
努力というものが復興上非常にりっぱな業績を示されておりますから、通産
委員の一人として今日の鉄鋼生産の増大についての
努力を過小評価しておる者もありません。われわれも
鉄鋼政策が順調に進みつつあることに対して非常な敬意を表しておりますけれども、こういうさまつなごたごたが
メーカーさんの耳に正確に入っておらずに、また重工業当局も問題を正確に把握しておらないために、硫安の二の舞をしようとしておる。そういうことで与党も野党もこれは実情をよくお調べになって、もう少し弾力性のある政策をおとりになったらどうであろうか。個々の
商社の名前をあえて言うわけではありません。それはまた適当な
商社にとりかえてもいいです。
中国側も私は必要とあればそれぞれの妥当な
要求には応ずると思うのです。それを巷間五十五万トンなり六十万トンくらい要るといわれておるものを四十万トンにお削りになって、そうしてある特定の一社の分だけは
メーカーさんの
了解を得てそれをのむ。しかし他の
部分はそのいざこざのために一時留保になり、または流れるというような事態は私はそれはむだなことではあるまいかと思うのです。
貿易というものはお客様のある
仕事ですから、別に必要のない場合には、特にわざわざ
相手国の感情を刺激する必要がないわけです。必要があれば話し合ってこれは
国内的にきめる。それでお前の方はそれだけの能力がないからこちらに譲らないか、協同連盟で
中国側と
交渉して、そして向うが売りたいというもので必要があるならば、本期要らないならば来期のために準備として残しておくのが双方常識ある
態度であるのに、こういうつまらないところで行き違いが起っておりますのは、私は
メーカーの
首脳部の
方々も、先ほど
宇田さんもいろいろ疑問があるなら直接
交渉してみて御経験なさったらよかろうと申されましたが、私も多少そういう思いがするのです。ですからもう少し
中国側の
希望もよく聞いて、謙虚に事を——謙虚というよりも合理的に事を処理されることが必要ではあるまいか。決して
メーカーさんの
態度をわれわれは攻撃しておるのでも、非難しておるのでも批評しようとしておるのでもないのです。そうではなくて、
中国貿易の推進の方に多少関連し、熱意を持ってこれに協力しておる私どもとして、多少思慮の足らぬところがありはしないかということを
政府当局に申し上げて、行政指導ということは
通産省の得意とせられるところでありますから、多少はこの辺で指導権を上手に行便せられて、
輸出入組合の
首脳部ともこの点について御相談なさってみたらよいのではないか、こういうことを
要望しておるわけです。