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1956-02-23 第24回国会 衆議院 商工委員会貿易振興に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十一年一月十三日(金曜日) 委員長指名で次の通り選任された。       阿左美廣治君    鹿野 彦吉君       菅野和太郎君    椎名悦三郎君       鈴木周次郎君    田中 角榮君       松田竹千代君    南  好雄君       加藤 清二君    永井勝次郎君       帆足  計君    松尾トシ子君 同日  永井勝次郎君が委員長指名で小委員長に選任  された。     ―――――――――――――     会 議 昭和三十一年二月二十三日(木曜日)    午後二時十八分開議  出席小委員    小委員長 永井勝次郎君       阿左美廣治君    鹿野 彦吉君       菅  太郎君    小平 久雄君       椎名悦三郎君    田中 角榮君       南  好雄君    加藤 清二君       松尾トシ子君  出席政府委員         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君  小委員外出席者         商工委員長   神田  博君         議     員 小笠 公韶君         議     員 笹本 一雄君         議     員 森山 欽司君         外務事務官         (経済局次長) 西山  昭君         通商産業事務官         (通商局次長) 佐藤 清一君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月十日  小委員松田竹千代君一月二十七日委員辞任につ  き、その補欠として松本俊一君が委員長指名  で小委員に選任された。 同月十六日  菅太郎君、小平久雄君、及び松平忠久君が委員  長の指名で小委員に追加選任された。 同月十七日  帆足計君が同月十四日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本貿易の現状に関する説明聴取  繊維製品輸出に関する件     ―――――――――――――
  2. 永井勝次郎

    永井委員長 それではただいまより会議を開きます。  本日は貿易関係一般についての諸問題について調査を進めます。最初繊維製品輸出の現況について政府当局説明を承わることといたします。小室繊維局長
  3. 小室恒夫

    小室政府委員 それでは昨年の繊維製品輸出の概況を御説明いたしまして、特にこの際最近問題となっておりますところの、米国等に対する繊維品輸出調整に関する経緯についてある程度重点を置いた御説明を申し上げたいと思います。  昨年の繊維品輸出は、個々に見た場合には、綿織物のごとく昨年より金額において七%減、多少鈍化を示したものもありますが、総体的には繊維品輸出は依然好調に推移いたしまして、一昨年の繊維品輸出額は六億三千九百万ドルでありまして、これに対する昨年の輸出額は七億三千百万ドルでありましたから、約一四%に上る輸出増と相なっております。また輸出総額に対する繊維品の占める比率も三割七分ということでございますし、また繊維原料輸入繊維品輸出とを比べて言えば、繊維関係国際収支の、ランスも一億数千万ドルの出超と相なっております。また繊維品輸出を決済の地域別に見ますと、ドル地域ポンド地域で比較的輸出が伸びておりますし、これに対してインドネシアその他清算勘定地域の不振が目立っております。昨年の地域別繊維品輸出状況を見ますと、ポンド地域が首位で四四・六%、ドル地域が三三・四%、清算勘定地域が二二%と相なっております。特に対米の輸出調整関係の深い綿織物についてだけやや詳細に申し上げますと、綿織物の昨年の輸出は一億四千百万ドルで、一昨年に比べて七%の減退を示しているのでありまするが、この減退原因は、ベルギー領コンゴーの買い控え、日パ協定の破棄によるパキスタン向け輸出減少、また最大の市場であるインドネシア向け綿布輸出調整によって急減したこと、さらにまた南ア連邦が対日関税引き上げ、これによって輸入減少いたしたこと、またビルマ外貨事情悪化から輸入を抑制いたしたこと等が原因となりまして、従来の綿製品主要輸出市場と考えられる地域に対しては、綿織物輸出は伸び悩みの状況を示しておるのであります。しかしながらドル地域、ことにアメリカ向けは同国の好景気による旺盛な消費購買力にささえられ、またこれに比べまして対日関税引き下げなどもありましたので、大幅な増大を示しております。またカナダベネズエラ等にも著しく伸長いたしておりまして、ドル地域全体としては一昨年より二八%の顕著な増進となっております。  ポンド地域は上述のように、パキスタンインドネシア等は不振でありましたが、英領東ア、同西アシンガポール向けがきわめて好況でありましたので、一昨年と変らない状況であります。これに対して清算勘定地域は、インドネシアのほかフィリピン、タイ等も不調でありまして、一昨年に比べ、三割六分に上る減退を示しております。  その他の製品につきましては、別の機会に詳細な御説明をいたすことといたしまして、問題の米国向け繊雑品輸出調整の問題に説明を移したいと思います。従来からでも繊維品の対米輸出については、特に二次製品、すなわち手編みの手袋、絹スカーフ、ハンカチあるいは綿または毛製の敷物につきまして、輸出価格の不安定に伴う輸出業者不安感あるいは米国製造業者等競争関係等に基きまして、関税引き上げ等の問題もしばしば起って参ったのでありまするが、わが方においてもこれらの問題に対処するために、輸出業者間の協定を強化する等の方法で問題の解決に努めて参ったのであります。しかるに一昨、一九五四年末より綿織物のうちでも、特にギンガム別珍それからまた二次製品では、ブラウススポーツシャツ等米国市場の流行の変化、消費性向変化等もありまして、急激に増大して参りました。加えまして日本ガット加入に伴う米国関税引き下げ、これが旧率に比して約四八%という、外務省の推算もありますが、この大幅な引き下げによりまして、日本品輸入増加が期待できる。これが相手国業者等相当刺激するような事態と相なったわけでございます。かくして昨年の七月には、米国の第八十四議会に綿製品輸入制限法案が提出されるに至ったのでありますが、かかる状況にかんがみまして、通産省は外務省とも打ち合せの上、輸出会議において特に米国市場問題特別委員会を設けまして、本問題解決のための必要措置について官民一致の討議を開始したわけでございます。九月には当時の永山繊維局長及び業界の代表も渡米いたしまして、米国業界実情を調査いたしますとともに、日本の立場を説明いたしました。しかしながら米国業界の主張は依然として強く、今年一月に始まる米国議会においても輸入制限法案成立というような懸念も相当濃厚に相なりましたので、昨年の暮れに至りまして、日本側において自主的に輸出調整を開始いたしました。貿易自由化原則を支持している米国政府が、わが方に呼応して、できるだけ慎重な態度をとるようにという措置をとったわけでございます。  わが方で採択いたしました輸出調整措置の概要でございますが、これは綿布については総ワクを昨年の実績よりやや高いところの一億五千万ヤードに押え、特に従来から問題のありましたプリント・クロースについては、さらにその中で二千万ヤードの小ワクを設けることといたしました。また対米綿製品の一番大きな輸出品であるところのギンガムについては、これは輸出会議等においてもいろいろ議論がありまして、最終的決定には至りませんで上たが、一応七千万ヤードというようなところを目標にし、また別珍につきましては、わが方の業界の希望の七百万ヤード、米国業界側の案の二百五十万ヤードの間に相当の懸隔もありまするし、なお内外実情を調査いたす必要もございましたので、とりあえず品質の規制を強化するというようなことで輸出調整実施いたしたようなわけであります。またブラウスについては、いわゆる一ドルブラウスの問題として最初から最も激烈な輸入阻止運動の対象と相なった次第もありますので、昨年の実績よりやや低い二百五十万タースというところに輸出ワクを押えたわけでございます。またその他の二次製品につきましても、ブラウス同様の問題を惹起するおそれのあるもの等につきましては、昨年の十二月にこれを輸出貿易管理令承認品目に加えまして、伸縮性のある輸出対策を講じられるような基礎を作ったわけであります。  なお輸出調整の具体的なやり方については煩にわたりますので、詳細は申し上げませんが、大体において過去の輸出実績等基礎にいたしまして業者に割り当てるのと、若干のフリーなものとを運用して輸出調整実施いたしているわけでありますが、特に今年初期におきましては、多量の既契約現実に存在していることも考慮いたしまして、できるだけ既契約処理が円滑にできるよう配慮いたして参ったわけであります。  そこでこういう日本側措置アメリカにどういう反響をもたらしたかと申すことでございますが、輸出調整措置実施せられた後のアメリカの各新聞の論調等も努めて集めたのでありますが、共通な点は、これは日本側の建設的な措置であることは認めるけれども、この措置だけでは米国業界が希望する目標は達せられないのではないか。従ってそれだけで安心しないで、輸入制限については従前通り態度を堅持すべきである、あるいはこういう事態になれば輸入制限を一そう強化すべきであるという意見も見られたわけであります。その事実を裏書きするがごとく、別珍についてはいわゆるエスケープ・クローズに基く関税引き上げなり、あるいは輸入割当制実施なりの申請が関税諮問委員会に対して行われる、あるいはまた農事調整法の第二十二条と申しまして、これまた外国品輸入割当実施する権限を政府に与えた法律がございますが、そういうものの発動を要請するというような動きが、次々に輸入制限法案の提案と並行いたしまして行われてきたわけでございます。この間において米国政府においては、日本側でも自主的な調整措置をとっている際でもあり、また貿易自由化原則米国政府の堅持するところであるから、輸入割当等実施することは方針として反対であるということを、あるいは農務長官から、あるいはまたさらに大統領等新聞記者会見等において明らかにして参ったわけでございます。しかしながら何分にも選挙を控えての国会の審議は、必ずしも楽観を許さないものがございまして、この輸入制限法案の前きについては、にわかに予断を許さないものがあるわけであります。私どもといたしましては、アメリカ繊維品輸出市場としても最も重要な市場でありますし、またドル・バランスの改善ということはわが国輸出振興の根本的なねらいでもありまするので、繊維品輸出については、今後ともアメリカ向けにこれが伸張することは最も希望するところでありますが、同時にアメリカ国内事情等も十分考えまして、両国間の協調が保たれる方向で円満な輸出の漸増を期待したい、こういうふうに考えて、輸出調整運用等についても、いろいろと国内事情もございますけれども、この内外事情を勘案して、できるだけ誤まりのないようにいたしたいと考えておるわけでございます。  なおアメリカ向け輸出調整実施するに伴いまして、カナダ向けについても、輸出承認制の運用上、ある程度の配慮をいたしまして、カナダ経由でもってアメリカ向け輸出が激増するような結果にならないような対策を講じておる次第でございます。繊維品輸出問題あるいは対米繊維品輸出調整の問題については、いろいろと問題があると存じますが、冒頭の説明としてはとりあえずこの程度にいたしたいと思います。
  4. 永井勝次郎

  5. 佐藤清一

    佐藤説明員 まず輸出入関係から申し上げます。三十年度の輸出状況でございますが、三十年度は当初十六億四千万ドルというような予想から出発いたしたのでございますが、期の半ばにおきまして予想外輸出が伸びまして、結局二十億五千万ドル程度輸出が実現を見るであろうというような状況でございます。その原因は、対外的な原因といたしましては、米国その他諸国景気が非常によかったということ、従ってそれに伴う産業活動が盛んで、需要が旺盛であったということ、それから他のヨーロッパ等先進工業国がそのために輸出余力減退を来たしたということ、国際価格が非常に高くなったということ、こういう対外的な非常な有利な条件にささえられまして、国内におきましても、ここ二、三年来の安定経済の基調が継続をしており、あるいはなお業界方面でも輸出意欲が非常に旺盛であったというようなことが原因となっております。  そこで三十一年度の輸出予想でございますが、三十一年度の輸出見通しを立てます前提といたしまして、まず対外的な要因を考えてみますと、アメリカにおきましては、本年下期に大統領の選挙を控えまして、大体前年程度好景気は持続するものと見ております。西ヨーロッパ方面におきましては、最近イギリスにおきまして金利の引き上げ、それに伴う一連の緊縮政策がとられるようでございまして、これがわが国輸出にどういう影響をもたらしますかはまだつまびらかにいたしませんが、しかしまだ直接三十一年度におきまして、この英国の新政策がわが国輸出に大きな影響をもたらすとも考えられません。なお英国以外の西欧諸国につきましては、若干の景気減退を見るということは予想されますが、これもあまり大きな悲観的要素はまだ見当らないようでございます。東南アジア中南米等諸国につきましては、インフレが高進いたしておりまして、相当経済的な難問題があるようでございますが、全世界を通じて見まして、まず三十年度に比べまして、著しく悲観的な要素は見当らない。従ってこれを地域別に具体的な数字で当ってみまするところ、大体少くとも本年の二十億五千万ドルを一億ないし一億五千万ドル上回る輸出が可能であろう、こういう見通しを立てております。  そこで輸入関係でございますが、このような輸出見通し前提といたしまして、三十一年度の輸入を考えるわけでございますが、さしあたりこの四月以降の三十一年度上期外貨予算を編成いたさなければなりませんので、その方針につきまして検討いたしておりますが、それをかいつまんで御説明申し上げますと、まず前提といたしましては、ただいま申し上げましたように、三十年度におきまして輸出伸張のささえとなりましたアメリカ経済好況は、来年度におきましても急激な下降傾向は見られない、大体これが続くであろう。なお西欧諸国景気の動向につきましては、先ほど申し上げましたように、下期におきまして若干の減退を見るといたしましても、大体横ばい程度は持続できる。それから特需収入におきましては、駐留軍の撤退によりまして若干の減少を見るといたしましても、総受取額におきまして、大体二十八億ドル程度は可能であろう、こういう前提に立っております。そこでこれに対しまして輸入支払額につきましても、三十年度下期における支払額及び来年度の産業活動の上昇に伴う需要増を考慮いたしますと、かなり増加する見通しでございまして、本年度を約一億五千万ドル上回る、約二十二億二千万ドル程度に達するものと思われるのでございます。これに貿易外支払い等を加えますれば、約二十六億ドル程度と見込まれる次第でございます。このような好況は三十一年度におきましても継続するものと考えられますので、三十一年度の上期外貨予算につきましては、国内産業活動の上昇に伴う輸入需要増大傾向にもかんがみまして、また世界の貿易自由化趨勢をも勘案いたしまして、できるだけ輸入数量増加しようという考え方でおります。  そこでこれをさらに具体的に分析して御説明申し上げますと、まず輸入数量増加でございますが、これを一方におきましてもちろん国際的な趨勢から申しますれば、できるだけ自由化の割合を大きくいたしますとか、あるいは数量をよけいとるということが望ましいのでございますが、一方これをはばむ要因といたしまして、国際競争力の弱い農産物鉱産物、あるいは重化額工業製品等国産保護の問題がございます。また大部分を輸入に依存しておる工業原材料類につきましては、できるだけ輸入量増加するのが望ましいのでありますが、またこれが過当競争の弊害を生じまして、産業の安定を害するという問題もございます。しかしながら全般的に申しますれば、物資需給円滑化をはかり物価の引き下げ、経済安定を確保するという見地から申しまして、三十一年度の上期におきましては生活必需物資、あるいは輸出品生産用原材料、あるいは合理化用機械等につきましては、極力輸入量増加しようというふうに考えております。なおその予算実施の方法についてでございますが、先ほど来申し上げます世界的な貿易自由化趨勢にも対処いたしまして、自動承認品目をできるだけ拡充する、あるいはグローバル予算拡大するというような方向に努力をいたして参りたいと存じます。しかしながらただいま申し上げましたのは一応の方向でございまして、これを具体的に個々品目に当ってみますと、先ほど申し上げました国内産業保護の見地、あるいはまた貿易上から見ましても、協定貿易遂行必要等から、必ずしもこの理想のように大幅な数量拡大あるいは自動承認制拡大というようなことも現実には直ちに期待できないような要素もございますので、この点をあわせ考えまして、その数量あるいは予算実施方式等につきましてただいま慎重に検討中でございます。  次に最近におきます諸外国との貿易上の問題につきましてかいつまんで御説明申し上げます。まず東南アジア地区につきましては、大きな問題がインドネシアでございまして、現在の日本インドネシアの支払い取りきめは一九五二年八月に締結されたものが数次にわたって延長されまして現在に及んでおります。ただ最も問題となりますのは、従来わが方の著しい輸出超過のために、現在約一億八千万ドル累積債権を生じております。この回収の見込みが容易に立ちませんので、輸出権方式等によりまして輸出調整をはかっておりますが、この終局的な解決といたしましては、どうしても賠償問題の処理とあわせて考えなければならない。従いまして当分この状況は続くものと考えざるを得ないと存じております。  次にタイでございますが、タイにつきましては従来清算勘定を通じまして貿易が行われておりましたが、最近の状況では、必ずしも清算勘定がわが方の貿易にとりまして有利ではないということがわかりましたので、この清算勘定方式を廃止いたしまして、現金取引に移行することといたしまして、目下バンコックにおきまして交渉中でございますが、タイとの貿易で一番の問題は、タイから米を幾らでどれだけの数量を買うかということがわが方の輸入サイドとして問題になります。同時に輸出サイドといたしましては重工業品、化学工業品等出にくい物資が従来日タイオープン協定を通じまして相当出ておりましたが、これが清算勘定廃止後、いかにして国際競争にたえながらこれらの出にくい物資輸出を増進していくかということが、今後の大きな問題になると存じます。  パキスタンにつきましては、現行協定が一月末まで延長中でございます。近く新協定交渉を開始する予定でございますが、この国につきましては従来パキスタンの綿花を一定数量買うという約束をいたしますとともに、こちら側の綿糸布あるいは鉄鋼類プラント類等につきまして向う側に一定数量買付の約束をさせるという、いわゆるシングル・ライセンス方式をとって貿易拡大をはかって参ったのであります。今回の新協定交渉につきまして、従来のような方式がとれるかどうかということは、米綿委託加工の問題とも関連いたしまして、慎重研究を要する問題であると思います。  ビルマにつきましては、これは賠償協定の問題がございますが、そのほかに、先ほどパキスタンについて申し上げましたような米綿米国余剰農産物売却に関する協定ビルマとの間に調印されまして、パキスタン方式によりまして委託加工を第三国にさせる、わが国もこれのうちに加わるということが予想されるのでございますが、そのほか一般的には賠償協定に基く賠償の実施の問題、あるいは賠償協定に伴って締結されました経済協力協定実施問題等がございます。  次は韓国でございますが、これは従来わが国輸出超過によりまして、日韓オープン・アカウントというものは大体わが万の四千七百万ドル累積債権を持っておったのでございますが、昨年の八月、御承知のように韓国の対日経済断交の宣言がございまして、その後両国間の貿易は事実上途絶に近い状態になっておったのでありますが、本年の一月になりまして、先方から日韓貿易の再開について声明が行われたのでございます。しかしながら、この日韓貿易再開に当りまして、韓国ミッションといたしまして、非常に詳細な点について事前に承認制度をとり、あるいは今後の日韓貿易は約一千三百万ドル程度で均衡させるが、その中にはノリの四百万ドルあるいは鮮魚類の二百万ドルというものを含めるというような宣言が、先方からなされております。これらのノリ、鮮魚等につきましては、輸入の面から申しましても相当むずかしい問題がございます。果して今後両国間に均衡状況が続けられるかどうかということは非常に困難な問題のように考える次第であります。なおそのほか根本的には日韓国交関係悪化前提といたしまして、貿易上でも非常に困難な問題があるということは御承知の通りでございます。  次に台湾でございますが、台湾につきましては従来の貿易計画が今年の三月末をもって終りますので、近く台北におきまして新協定交渉を行う予定でございます。この国につきましては、台湾からの砂糖あるいは米等をできるだけ安く買うということが問題でございまして、来たるべき会談におきましてもこの点を強く要求するつもりでございます。先方砂糖等につきましては長期の買付契約をわが方に要求いたして参っております。なお輸出入規模につきましても、年々日本の入超の幅が大きくなっておりますので、わが方から台湾に対する輸出を一そう伸張する必要がございます。この点も来たるべき日台会談におきまして十分話し合いをいたすつもりでございます。  次に中共でございますが、これはしばしば予算委員会あるいは本委員会等におきましても問題が提起されておるところでございます。昨年日中輸出入組合成立を見ましたので、この組合を中心といたしまして、できるだけ――もちろん禁輸品輸出等につきましては、別途考えなければなりませんが、禁輸品に該当しない品目につきましては、この日中輸出入組合を通じまして、従来の個別バーター方式総合バーター方式に改める等、できるだけその拡大をはかりたいというふうに考えております。  次にアメリカ関係でございますが、米国におきまして日本品輸入制限運動が行われておること、ことに繊維につきましてこれが重大化しておるということにつきましては、先ほど繊維局長からお話のあった通りでございまして、それに対する対策も、通商局といたしましても繊維局十分連絡の上、できるだけの善処をいたしております。それは先ほどの小室局長説明によって御了承願ったと存じますので、繊維につきましての御説明は省略いたしますが、繊維以外にもマグロ、陶磁器等につきましてもなお問題を包蔵しております。できるだけ輸出組合等自主的制限措置等によりまして、米国側を刺激しないように、秩序ある輸出増加をはかるように努力をいたしたいと存じております。  次にカナダについてでございますが、従来カナダとの関係わが国の非常な輸入超過になっておったのでございます。日カ協定成立あるいは日本ガット加盟によるカナダ側関税引き下げ等によりまして、最近著しい改善を見せております。しかし繊維製品その他につきまして、やはりアメリカと同じような問題が起る可能性もございますので、その点は十分注意しながら秩序ある輸出の確立に努力をいたしたいと考えております。  南米に参りましてアルゼンチンでございますが、これは約九千万ドル近くの累積債権を抱えまして、これが回収が事実上むずかしいという状況におきまして、先ほど通商局長を団長といたします調査団を送りまして、日ア貿易の改善につきまして協議いたさせたのでありますが、その結果、アルゼンチンの経済の現状におきまして、急速にこれが回収をはかるしいうことは事実上なかなかむずかしいようでございますが、できるだけアルゼンチン産の品物を多量に買い付ける、ことに小麦、羊毛等につきましてこれをできるだけ買うということによりまして、その累積債権を減らすように努めますと同時に、第三国の仲介貿易等も大いにやる、あるいは累積債権のうちから投資に充てる等、あらゆる方策を使いまして、この累積債権減少に努めたいと考えております。なおアルゼンチンの最近の状況では、できるだけオープン・アカウント制度を廃止いたしまして、多角決済方式に移行いたしたいという希望が先方に強くて、西欧諸国等に働きかけておるようであります。日本といたしましてこの多角貿易決済機構に入るかどうかという問題につきましても、慎重にその利害を検討中でございます。  ヨーロッパに参りましてまず英国でございますが、これは昨年十月に貿易取りきめをいたしまして、日本及びスターリング地域間の貿易拡大均衡ということを目ざしておる次第でございますが、この三月中旬からロンドンにおきまして、この貿易取りきめの中間レビューをやるということになっております。この中間レビューにおきまして、従来の予算の遂行の実績等を検討いたしまして、今後の四月から十月に至る予算の運用問題等につきましても協議をいたすことになっております。日英取りきめの基本原則は、スターリング地域からかせいだポンドは、日本が必ずスターリング地域に払うという建前になっておりますので、現在までの実施状況を見ますと、大体輸入の方も順調に進んでおりますし、従いまして輸出の方につきましても、心配いたしましたような輸入の制限等を受けることなく、日英及び日本とスターリング地域間の貿易はまずまず順調に進んでおると考えてよいと思います。  ドイツとの関係でありますが、これは昨年十月までございました清算協定を廃止いたしまして、現金決済方式に移行したのでございますが、わが方といたしましては、できるだけドイツの自由化に均霑をして輸出を伸ばすということを目途といたしまして交渉をいたしております。何分繊維、ミシン、陶磁器等につきまして、ドイツ側が日本輸入に対して十分な自由化を与えるということを希望いたしませんので、これらの日本側から要求すべき特定品目についてさらに輸入ライセンスをよけい出すことを要求いたしておりますが、先方はこれに対しまして、ドイツの特産品である機械あるいは鉄鋼類につきまして、日本側がさらに大幅な譲歩をすることを要求いたしております。目下ボンにおきまして相談中でございます。  なおスェーデンにつきましても、ほぼ似たような問題がございまして、これも従来のオープン・アカウントを廃しまして、現金決済に移行すると同時に、双方が貿易拡大のために、許される範囲のできるだけ多い自由化を与え合うという方式で、目下スエーデンにおきまして交渉中でございます。  中近東につきましては、まず問題は、貿易量といたしましてはあまり大きくはございませんが、一番むずかしい問題としてトルコの問題がございます。トルコにつきましては、昨年二月結ばれました協定によりまして、オープン・アカウントをもって貿易が行われることになっておりますが、先方輸入制度が非常に特殊なものでありますのと同時に、インフレーションによって物価高になつておりまして、わが方の輸出が全然伸びない。先方からこちらの買い付けるものは非常に高いという問題がございまして、この輸出入を調整させるために、一応資格商社を限定するという制度でスタートをいたしたのでございますが、これがなかなか先方側との話し合いにおきましてむずかしいことになっております。この難点を除きますために、現在ミッションをトルコに派遣して交渉中でございますが、わが方の制度につきましても、種々再検討を加える必要があると存じますので、目下慎重に検討中でございます。  大体諸外国との関係におきましておもな問題点を申し上げたつもり、でございますが、このような状況におきまして三十一年度の貿易見通しは、大体悲観すべき要素はあまりないと考えていいのでございます。一番の問題は、米国あるいはカナダヨーロッパ等におきまして、先ほど申し上げましたようなわが国からの輸出品に対して、あるいはダンピング、あるいはその数量があまり急激にふえるというようなことからの、反撃が見られるということでございます。このように輸出は伸びておりますが、必ずしもこのままほうっておいてもいいという問題でもございませんので、通産省といたしましても、依然強力な輸出振興策をとっていく必要があると考えます。  三十一年度といたしまして私どもが考えたいと思っております輸出振興策の方向につきまして、ごく簡単に申し上げますならば、まず経済外交の推進でございまして、通商航海条約をできるだけ結ぶ。あるいはガット三十五条を援用いたしております国に対しましては、この三十五条援用の撤回を求める、あるいは賠償問題をできるだけ早く解決するという部面が必要なことはもちろんでございますが、そのほかにもなお海外の市場調査等も、従来不十分でございました点をで送るだけ改善をして、大いにやって参りたいと考えております。なおジェトロの活動等につきましても、従前にもましてこれを活用いたしたいと考えております。貿易斡旋所あるいは海外の見本市の参加等も積極的にその活動を進めまして、ことにわが国貿易品といたしまして一番出にくいブラント類、重化学工業品等につきましても、これの輸出促進をはかりますために、日本プラント輸出協会その他の関係機関を動員して参りたいと考えております。  なお金融面では、輸出入銀行の融資につきまして、従来以上の努力を続けたいと考えておりますが、特に海外投資を促進いたしますために、新たに海外投資保険制度を新設いたすこととなりました。従来の輸出保険法を改正いたしまして、この制度を入れるための改正法律案を本国会に提案して、御審議を願うことにしております。  国内的には国内経済の安定、あるいは産業の合理化を進めることはもちろんでございまして、通商局といたしましても、産業原局と十分な連絡のもとに、貿易促進の見地からこのような施策を進めていただくことを要望いたしております。  その他商社外貨保有制をできるだけ拡大をする。あるいは先ほど申し上げましたように貿易自由化を促進してこちら側の輸入態勢を自由化に近づけるとともに、先方に対しましても輸出を促進してその自由化に均霑するというような措置も考えたい、このように考えております。  このような構想のもとに三十一年度の貿易振興費の予算を要求いたしたのでごさいますが、大体前年同様の予算を一応大蔵省の査定を経まして、本国会に御審議を願うことになっております。大体おもな項目につきまして、ごく簡単に御説明申し上げたつもりでございます。
  6. 内田常雄

    ○内田委員 佐藤さんまことにありがとうございました。私ついでに――委員長の御意向によりまして、ここに資料がありまして、すでにお話し下さったのかもしれませんが、今の外貨予算編成の実際について、もう少しレクチュアを承わりたい。たとえば通貨別にどういう編成をするとか、地域別にどういう編成をするとか、グローバル予算ということもありましたが、私よくわかりませんし、また外貨予算編成の手続で、閣僚審議会とか閣僚審議会の幹事会とかいうのがあったようですが、そういうようなことについてわかりやすくお話し願えれば大へん参考になるのですが……。
  7. 永井勝次郎

    永井委員長 内田さん、西山経済局次長が見えておりますので、外交の面から見たいろいろの問題点をお話し願うことにしているのですが、その順序はどういうふうにしたらいいでしょうか。   〔「一般問題を先にやっていただきたい」と呼ぶ者あり〕
  8. 永井勝次郎

    永井委員長 それでは外務省の西山経済局次長にお話しを願います。
  9. 西山昭

    ○西山説明員 外交の面から見た貿易の現状ないし問題点ということでございますが、昨年の貿易は御承知のように非常に伸びまして、本年も景気が続くという見通しでございますが、その要素をいろいろ分析してみますと、アメリカは未曽有の景気でありますし、ヨーロッパも建設生産の復興が非常に伸びております。その余波もあったと思いますが、もう一つ忘れてならないと思いますのは、西欧の各国が未開発地域の生活水準を向上させるという大きいねらいをもちまして経済協力関係を推進していく傾向が非常に顕著であります。こういう点が大きく回転いたしまして、世界全体として景気が向上しておることも見のがせない事実であると思うのであります。いわば通常の貿易のほかに、一種の政治的な要素もかね合せました経済協力というものがうらはらになりまして世界景気を推進しておるともいえるのではないかと思うのであります。  貿易の面から申しますと、先ほど佐藤次長からも御説明がありましたように、主要な国は、大きい方策といたしましては自由化の方策をとりつつあります。たとえばイギリスにしましても、ポンドの交換制回復というものは最近のイギリスの経済の実態から見ますと、すぐ僅々の目標ということには考えられないのでありますが、形式的なポンドの交換制回復ということよりも、それの基礎となりまする経済の実態を固めていくという手は着々打っておるわけでございまして、ヨーロッパの各国も、ドイツはもちろんのことオランダ、ベルギー等にいたしましても、その方向に顕著に進んでおるわけであります。他方中南米諸国、それから東南アジア諸国等につきまして申し上げますと、これらの国々は経済協力の関係で若干の試注は得ておりますが、その反面従来のように二国間の協定によりまして、輸出輸入をバランスさせるという方向に一本でいく傾向を順次やめておりまして、やはり工業製品は安いところから有利な条件で買う、それから自分の養品もなるべく売るように努力する、こういう一般の方向に進む傾向が見受けられるのでありまして、たとえば先ほど御説明いたしましたようなアルゼンチンのごときも、従来は日本との関係におきましては、鉄鋼素材等は日本輸出の約半額をアルゼンチンの市場に送ったのでありますが、政権も変りまして、貿易の構想というものも非常に多角的な構想を持つようになっておるように承知しております。東電アジアにいたしましても、インドのごときは、いわゆる競争条件で一番有利なところから買うという政策は従来からも堅持しておりますし、タイのごときもその傾向が顕著であります。東南アジア関係につきましては経済協力の点が最も要請されるわけでありますが、この点は皆様御了承の通りに、賠償問題というものがフィリピン、インドネシアとの関係におきましていまだペンディングでございまして、またインドシナのカンボジアは賠償を放棄しましたが、ヴェトナムとの関係におきましては若干問題が残っております。インドネシアのごときは、日本から見ますると輸出が非常に大きいマーケットでありますが、遺憾ながら政治問題が未解決のために、根本的な経済協力を推進する基礎はまだできていない。他方これらの中近東ないしはアジア地域を見ますると、最近の特に顕著な傾向といたしましては、ソ連が政治的な角度から大きい競争に入札をしてきておる。これはソ連の衛星国をも引き連れまして相当激しい競争に切り込んできておりまして、原価計算その他を一応超越した入札をしてきておると見られる節があるのであります。他面東南アジアの語地域におきましては、中共の消費財というものが相当市場に出回るようになっておりまして、これも従来の国際値段を相当下回った値段で出ておるように見受けられるのであります。これらの政治的な競争に対抗いたしまして、日本がいかにすべきかということは非常にむずかしい問題でございます。大きい方向といたしましては、御承知のようにやはり貿易立国を標構いたします日本といたしましては、国際貿易基礎でありまするがガットに加入いたしまして、国際貿易の諸関係を十分に知る機会を得ますと同時に、これらの国の競争に相待って、日本もそれにおくれをとらないような態勢を立てたわけでございます。しかしながら御承知のようにガットにつきましては、十四カ国が三十五条を援用しまして日本とのガット関係を拒否しているわけでございます。この問題につきましては、主として繊維その他の日本の産品が非常に急速なスピードにおきまして、また安い値段でそれらの国の市場にはんらんする、あるいは不正競争その他の意匠の盗用その他の問題もある、こういうような点から、ガットに入りますとこれらの競争を制限し得なくなるというような事情から三十五条を援用しているわけでありますが、わが国といたしましては主張すべきことは当然主張しますが、国際競争において今後りっぱに太刀打ちしていくためには、改むべき点も改めるという角度から各国との調整について交渉しておるわけでございます。今後の問題としましては、今申し上げましたようなガットの問題、それからもう少し貿易関係ないしは貿易に伴う入国住居あるいは支店の開設その他の一般的な問題につきまして、安定した基礎に訪いて交易関係ができますように、諸国と通商航海条約の交渉をもっぱら推進しておるわけでございます。現在数カ国とすでに折衝中でございますが、これらの協定ができますれば、さらに交易通商を行います場合に、安定して商社の方も海外に行かれるようになるのではないかと考えております。外国におきましてわれわれが最も痛感いたしまする日本貿易の面の問題でございます。一方におきましては日本の商社が熱心にやっておられることはもちろん言うまでもない点でございますが、他方におきましては日本の商社の方々の間だけで非常に競争が激甚である。一丸となって相手国ないしは諸外国に対抗して日本の利益を伸張するというよりも、日本人同士で非常に競争が激しいという点も顕著でございまして、不当に損をしている点があるのではないか。これらの点を急速に整備することも、私は非常に必要ではないかと考えております。  それから今後日本が進みまする重化学工業方面の輸出の面につきましても、正直に言いまして日本の態勢はおくれておる。これは戦争の空白その他もございますが、これらの点につきましても積極的に、抜本的に輸出の競争に太刀打ちできるように早く改正を進める必要があるのではないかと考えております。  先ほどちょっと触れましたが、繊維の問題――ガットの三十五条の問題とも関連します繊維の問題でございます炉、一昨年の半ば過ぎごろより、日本繊維は非常に急速に世界市場において伸張したわけでございます。なかんずく最も目立ちましたのはアメリカ市場に対する進出でございますが、たとえば二次製品ブラウスのごときものにいたしますれば、一昨年は約三十万ダース程度輸出がありましたのに対しまして、昨年は約十倍になっておる。それから綿布のごときも五、六千万ヤールないし七千万ヤールのものが一億五千万ヤール、ヨーロパの諸国につきましては綿製品のみならず化繊も同じような問題を起しております。日本といたしましてはこれらの主要な輸出品世界市場に行き渡り、輸出の伸張をはかるということはもちろん当然のことでありまして、われわれとしても希望するところでございます。日本貿易の伸張をしなければ立国はできないという根本的な問題がありまして、ことに資源に恵まれず人口が非常に多い日本といたしましては、輸出が伸びればすぐ頭をたたかれるということでは立っていく瀬はないのでございまして、こういう点からは諸国と強く話し合っておるわけでございますが、それにしましても、貿易というものは、値段も非常に変動をしながら一度に数倍の輸出を行なって、それらの国々の市場の通常のチャネルを破壊するというようなことでは、日本事情のいかんはともあれ、それらの国々に対しまして政治的に大逆な波紋を投げかけまして、現にアメリカのごときは、選挙の年である関係もございますが、これらの日本繊維輸入をめぐりまして、すでに十ばかりの法案が議会に提出されておるわけでございます。しかしながら、これは利害関係がおのずからそうせしめるところでありますが、アメリカ政府といたしましては、アメリカの自由貿易政策からこのような制限法案にはまっこうから反対しておりますし、また日本のごとき国情におきましては、頭から輸入の制限を行うということは日本を友だちとして迎えるゆえんでないというような立場から強硬に反対しておるのでございます。いかんせん政府産業ないしは議会というものは御承知のように相当独立した関係でございまして、この辺の帰趨がいかになりますか、われわれとしては非常に憂慮しておるわけでございます。昨年わが方の業界の方もアメリカに行かれまして事情をつぶさに研究されまして、その結果現状のままではいけない、何らかの自粛的な措置が必要であるという結論に達しまして、政府業界と一体になりまして現在のような自粛措置実施しておるわけでございます。ここ数カ月のアメリカ議会の帰趨については深甚なる懸念を持っておる次第でございます。
  10. 永井勝次郎

    永井委員長 以上で説明は終りました。  この際諮りいたします。小委員外の商工委員の御発言は随時これを許すことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 永井勝次郎

    永井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは、質疑があればこれを許します。森山君。
  12. 森山欽司

    ○森山欽司君 先ほど通商局の次長から輸出振興策の一助として、ジェトロやプラント技術協会のお話がありましたが、あなた方は実情を御存じですか。たとえば私の受けた印象から申しますと、重機械相談室を昭和三十年度か二十九年度にお作りになった。しかしそれはほとんど無効に終ってしまった。貴重な予算はどぶの中に捨てられたも同様な結果になっておった。そこでプラント技術協会というものをお作りになって現在やっておりますが、カラチとラングーンにありまして、これは多少雲の上にあったかと考えられはいたしますけれども、たとえば在外公館の人たちがどんな見方をしているか。とにかく在外公館の人が雲の上からものを考えるとしても、それじゃ一体御当人たちはどうか。人名をあげて申しませんけれども、ある人のごときは自分は要らないと思うということを行っている人自体が言っております。もしやるとすれば、インドくらいはそうする必要があるかもしれないということを言っておるわけです。そしてゴルフの方は非常にうまくなるというような状況でございます。そういうように予算の上で金がなくて困る困ると言っておきながら、全く何のためにやっているのかわからぬような施策が今日日本政策としてとられておるということについて、私は遺憾にたえないわけでございます。実情をよく御存じの上でお仕事なさっておられるのかどうかを第一点としてお伺いいたしたい。  ジェトロにつきましても、たとえば先ほど外務省の経済局の次長さんから繊維のお話がありましたが、私は当時問題が起きたときにニューヨークにおったのですが、不幸にしてあの日本品排斥運動に対して、宣伝の国アメリカにおいて何ら反抗宣伝をなし得なかった。それは先ほどお触れになられましたように、日本の商社間できわめて激甚な競争をなしておるにもかかわらず、共通の利益のために団結をしてこれに対する反対宣伝をする、あるいはそれは新聞の面において、あるいは議会の活動によってやれば、ある程度なし得るにかかわらず、何らやっておらないと私は思って陥ります。私はそういうふうに見て参りました。それで一体そういう実情をどの程度御把握になっておられるかということです。これは、プラント技術協会は一例でございます。  それから、先ほどお話があった繊維の問題については、あれほどの排撃を受けながら、踏まれたりたたかれたりしながら、ぐうの音も出ないような現地業界のやり方、並びにその業界を牛耳っている内地の方々はどういうお考えを持っておるのか。繊維の視察団が行かれたそうでありますが、そういう人たちが一体どんな成果をもたらし、その成果はどんな具体的な施策になって現われているのか、私は当時ニューヨークに行っておりまして非常に残念に思ったわけです。繊維の問題は繊維局長がおいでになりますからお返事を伺いたい。それから一例をとって申し上げたプラント技術協会について佐藤次長はどういう御見解を持っておられるか、伺いたい。
  13. 佐藤清一

    佐藤説明員 日本輸出プラント技術協会につきましては、役所の内部のことを申し上げて非常に恐縮でございますが重工業局の直接所管になっておりまして、私ども間接に予算面その他で相談にあずかっておるのでございます。以前の重機相談室の運営が必ずしもうまくいかなかったということは重々存じておりまして、このやり方を直して従来の弊害を改善しようということで重機相談室を日本輸出プラント技術協会に改組した次第であります。まだこれが必ずしも所期の目的通りにいってないというふうにも私どもも考えておりますが、御注意の次第はよく伺いまして、今後ともできるだけ改善に努めたい、こう考えております。
  14. 小室恒夫

    小室政府委員 ただいま御質問のありました対米輸出繊維品の問題につきましては、確かに御指摘の通りわれわれの万の宣伝が出足がおくれたということは認めざるを得ないと思います。昨今では、紡績業界の代表者、また輸出協会の代表者も長期出張で向うへ行っております。パンフレットも最近なかなかいい。パンフレットができております。ちょっとお目にかけたいと思いますが、ここに持っておりませんので……。それは一例でございます。何分にもアメリカほどすべて資力にも恵まれておりませんから、御批判になる立場からいえばまだ御不満の点はあると思います、私どももまさにその通りだと思いますけれども、立ちおくれはいたしましたが、実は相当そういう手段を講じております。ただ、この前もある委員の方から少し詳細に説明しろというお話がありましたけれども、これはこういう席でなくてならいつでも御説明申し上げますというような御答弁を申し上げたのですが、その辺はおそらく了承していただけると存じます。現地からもずいぶん詳しい報道が毎日のようにきております。はなはだ不十分な答弁でありますが、事情御了察願います。
  15. 森山欽司

    ○森山欽司君 一つ通商局次長に伺いたい。ジェトロのトレード・センターという機関がありますが、ああいう機関は、日本の経済にとって大きな問題についてほとんどつんぼさじきに置かれている、あるいはまた何もしない、やるような仕組みにもなっていないということについてどういうお考えを持っておりますか。
  16. 佐藤清一

    佐藤説明員 トレードセンターの中で一番皆さんのお目に触れるのは、ニューヨークのトレードセンターでございまして、これについては私ども各界の方々からいろいろ運営についての御批判を伺っております。実は予算の面での弱点もございましょうが、第一番に人的面で、率直に申せばとかくいろいろのお話もあった次第でございます。今回通商貿易界の元老ともいうべき兼松の元社長の谷口さんという方を特に各業界の推薦によりまして、懇請して出馬をしていただきまして、その方が新所長として近く赴任されます。おそらく新所長のもとに相当空気が一新され、あるいはそのやり方等につきましてもいろいろ御抱負も伺ったのでございますが、今度相当改善を見るのではないか、こういうふうに考えます。
  17. 森山欽司

    ○森山欽司君 ジェトロの方で一番頂点に立っておるのはニューヨークであります。私はトレード・センター全部見て参りました。ここで文書に載るような形では申し上げたくないと思いますが、ただこの機会でありますので申し上げたいことは、私ニューヨークに四カ月半いて、同種の仕事を自分でやってきた、その経験から推してみて、ただ所長さんをおかえになる、しかもそのかえ方等につきましても、その程度で一体トレード・センターが十分なる使命を果せるという御確信をお持ちですか。御承知のようにあそこにカメラのセンターがありますが、カメラのセンターだけでも毎日の引き合いが百通くらいあります。トレード・センターの場合はより多くの引き合いがあることは事実だろうと思います。まともの仕事をやっておったら、現在の人間ではとうていまかなえないような量を持っておる。しかるに、カメラの場合は、そこまでいっておりませんけれども、ゼネラル・マーチャントに対する関係になりますと、第一通商だけでも六十人以上の人員をかかえておる。三十人以上の人員をかかえておる商社は、おそらくニューヨークで十近くあるだろうと思う。そういうところに日本から少しばかりの人間が行って多くの引き合いに応接し、しかも実際問題としては、それを本格的にまかなうためには――第一通商だけでも六十人以上いるという状態である。そして当時昭和三十年の八月の終りに行って一月に私どもは戻ってきたが、重要問題であるブラウスの排撃問題だとか、綿糸布の排撃問題だとかについては、何一つ手が出ないというような状況であったのが、単にあなたのお話になる所長をおかえになったから機能が果せるとは私は考えない。というのは、たとえばトレード・センターならトレード・センターというものは、現地の業界における重要問題については、つんぼさじきに置いてもいいという組織なのか、あるいはつんぼさじきに置かないでやるというシステムなのか、あるいはさらに一歩進んで、現地の業界をある程度まとめて、それを代弁してやるというような積極的な活動をすべきかということです。そういうところまでニューヨークのトレード・センターのファンクションをお考えになっておるのかどうか、それが一人人がかわったらできるとお考えなのかどうか、その辺のところはどうです。
  18. 佐藤清一

    佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、予算の面で非常にウィーク・ポイント炉あるということは、私ども認めるところであります。予算折衝におきましては、極力予算の増額も努力いたしたのでございますが、現在の財政状況のもとにおきまして、大体予想通り予算が獲得できない、従ってその活動する人員の面におきましても、非常な制限があります。その不利な条件のもとにおきまして、現地にただいまお話のございました数十人の有力なるメンバーをかかえておる商社もございます。また在米日本人商業会議所等もございますので、そういうところと十分連携をとって、できるだけ許された予算と人数の範囲内で機能を拡大する、強化するということは、あるいは考え方によってはできるんじやないか、こういうふうに考えております。
  19. 森山欽司

    ○森山欽司君 詳細のことは、またいずれ個別的にも御相談いたしたいと思っております。もう一つ私伺いたいのは、農機具のセンターというのができたんです。私はビルマへ参りまして、もう事務所もできたろうし、多少形だけでも活発に動いておるだろうと思って賄ったところが、影も形もないという状況です。少くもラングーンには影も形もないという状況です。しかもこれを広く見ますと、ビルマには日本との賠償問題がある。それからコロンボ・プランの受益国になっておる。日本ではコロンボ・プランに出しておる金は三十年度四千万円と聞いております。来年度は減るんじゃないかということも、はっきりとは存じませんけれども耳にしております。その際に農機具センターに四千万円の国費を出すということが、要するにビルマに対する日本の経済政策として均衡をとれたものになっているかどうか、賠償とかコロンボ・ブランとかいう関係とからみ合せて、農機具センターというものを考えておられるのか。そのほか農機具センターについていろいろ問題がありましょう。それがきわめて必要だという人もあるし、必要だとしても効果が上るのは二、三年ではなくて二、三十年かかるというのが、大体通説のようです。またビルマという国が独立して間もない国であるだけに、行政能率においても必ずしもよくないというような問題もありましょう。それからビルマの人たちの一般的水準の高い低いの問題もあろうと思う。そういうほかの問題は一応抜きにしましても、ペーパー・プランだけでもわかることで、賠償とかコロンボ・プランとか、そういう広い観点から、その国に対する経済政策というものをお立てになっているのかどうか。少くとも私がビルマで見てきた状況によりますと、そういうことに対する認識の不足と申しますか、そういうものがいまだもって影も形もできていない有力な原因になっているということです。それからまた、よその局でやっているから私の方は知らぬという御返事はしていただきたくないのですが、実は私がカラチに参りまして非常に驚きましたことは、あそこに通産省出身の書記官がいるわけです。それで重機械相談室、いわゆるプラント技術協会の方は、三人おったのが一人になって事務所がからっぽになっている。ところがジェトロからここに一人来ているわけですが、それがまた別にホテルか何かで仕事をやっている。あいているのだから、こんなことなら一緒にやったらどうだと言ったら、その人は片一方は通商局、片一方は重工業局だからそうはいかぬと言う。それで君らは何を言うか、通産省と外務省ということはよく言うけれども、同じ役所の中で通商局だの重工業局だの、そいうことを言うのは一体どういう気持で言っているのか僕らはわからないということを言いましたが、そういう観点から、よその局だから知らぬというようなことはおっしやらぬで、通商局の次長であるけれども、通産省としてのお立場を伺いたい。できればこれは外務省の西山さんからも御見解を承わりたい。
  20. 佐藤清一

    佐藤説明員 コロンボ・プランと農機具センター関係の御質問がございました。農機具センターを設けようというとの構想では、言葉は適当でございませんが、ああいう後進国というようなところにつましては、できるだけこちらから出て行って、現地で走り回って、向うの手をとって指導するというようなことが、結局日本の品物を売れるようにする道であろう、また故障等が起きた場合には、手をとって修理をしてやる、あるいは相談に乗る、そういう実行力のある人を置くというのが、農機具センター及びこれに類する機関を東南アジア等を設けようということの趣旨でございます。ただいまの農機具センターが非常に不満な状況にあるというお話でございますが、この点につきましては、私どもも十分調査をいたしますけれども、私どものところではただいまの全然からになっているというようなお話は、きょう実は初めて伺った次第でございますので、その点はよくまた今後一つ詳細に伺いまして、具体的に改善策を立てたいと思っております。設置いたしましたときの構想は、先ほど申し上げましたように、とにかく現地でどこへでも走り回って、あるいは中へ飛び込んでいって、手をとって相談にも乗りあるいは修理もしてあげる、こういうような式でやっていきたいということであります。
  21. 西山昭

    ○西山説明員 コロンボ・プランの予算がわずか四千万円、ドルに換算しますと十四万ドル程度で、カナダないしは豪州のような、面接日本よりも関係が若干疎遠な国におきましても、富の差はございますけれども、腰の入れ方が日本と違う、われわれは常々こういう点を痛感いたしまして、予算交渉も大いにやったわけでございますが、遺憾ながらうまくいかなかった次第でございます。いろいろ政府の資金を支出します場合に、全般的に大きく経済関係を改善していくためにどういう工合に重点的に使うべきかということは、先ほど森山先生から御指摘がありましたように、われわれも痛感しておるわけでございますが、この点は大きい政策の問題でございまして、そのようにわれわれは勉強いたしますと同時に、政府におきましてそういう政策を大きく考えていただきたいと思っておるわけでございます。ただ今の農機具の問題にしましても、あるいはプラントの問題にしましても、それぞれ設立されますときに動機といたしましてりっぱな動機があるのでありまして、一たんそういう制度ができましたからには、その目的を達成するようにすべての関係者が協力していくということが私は必要ではないかと思っておるわけでございます。若干のわずかな期間におきまして、試験的にうまくいかなかったらすぐまた制度を変えるとか、いろいろ変化ばかりをやりますことは、結局において能率を上げるゆえんではないので、一定の期間試験的にやりまして、その悪い面はどんどん改善していく、しかしねらいは効果を上げるようにするという工合に全部の関係者が努力していくということが、今の日本におきましては必要ではないかと考えておるわけでございます。
  22. 永井勝次郎

    永井委員長 小笠公韶君
  23. 小笠公韶

    ○小笠公韶君 説明の中で一、二点字句の問題を伺いたいと思います。配付されました「昭和三十二年度上期外貨予算編成方針」、これは口頭で説明されたようですが、その中の最後の「外貨割当方式の改善」の最後から三行目に、「今後輸入量増加に応じて商社割当比率を増大するとともに、外貨資金割当基準を極力簡素化する方針である。」と書いてある。この「輸入量増加に応じて」以下を具体的に、私は読んでわかりませんので、一つ御説明を願いたいということが一つ。  それからもう一つ配付された資料の中で、「最近における諸外国との貿易上の問題点」というのがございます。この中の最後から二枚目のアルゼンチンのところで、結びが「買付量の点で割合明るい見通しがついた。」こう書いてある。割合明るい見通しがついたということは、九千万ドルに及ぶこげつき債権の解決策を何らはっきり明示してなくて、ただ結論だけ明るい見通しがついたと書いてある。その点が一つ。  それから西山君に伺いたいのは、西山君の対米繊維品輸出の中で、日本側が一億五千万平方ヤールに自粛した、これまでいろいろな法律が出ておるとか法律案が出ておるとかお話がありましたが、この一億五千万平方ヤールに自粛したことによって、アメリカにおける日本品輸入制限措置というものをこれで食いとめられるかどうか、あなたの説明ではここ数カ月の間慎重に見守る要があるという言葉があったように思うが、この一月のときに湯川局長は、一億五千万平方ヤールを断固堅持する、それによって解決するがごとき口吻の答弁をいたしておるのであります。あなたの自信のほど、あるいは見通しに関する点はどうであるか、これは字句の問題でありませんが、以上三点を伺いたい。
  24. 佐藤清一

    佐藤説明員 まず外貨割当方式改善の御説明を申し上げます。従来外貨予算が非常に窮屈なときにはどうしても需要家に割り当てまして、需要家が最小限度必要であるという数量需要家に割り当て、需要家が商社を使って買うということはやむを得ない措置であったわけでありますが、だんだん外貨の事情も好転いたしましたので、商社にまず割り当てて、商社がその自主的な判断に基いて最も有利な時期に、有利な市場で買い付けるということが、かえって外貨を効率的に使うゆえんではないかということから、従来、これは一つの方向でございますが、たとえば製鉄用原料、綿花、羊毛あるいは燐鉱石というような大品の品物につきまして、需要者割当方式をとっておりました。できますならばこれをある程度商社割当にして、これらの大きな金額を占める輸入品を商社の自主的な判断で買付し得るようにしたいというのがその前段にございます「商社割当比率を増大するとともに」ということでございます。それから「外貨資金割当基準を極力簡素化する方針である」と書いてありますのは、従来外貨が窮屈でございましたので、その使い方等につきましても、いろいろこまかいことをやっております。たとえば輸出振興の面から一部考えまして、特割制度というようなことをやって曲ったのでございますが、こういうようなこまごました手続をできるだけAA制度等に移しまして、希望があれば相当自由に買い付け得るという方法もふやしていこう、こういう趣旨でございます。
  25. 小笠公韶

    ○小笠公韶君 私は具体的な字句が実はわからないのです。あなたは今綿花の問題あるいは原毛の問題を一例にとられましたが、これを商社割当にいたしますか。そういうことが望ましいというような、小学校の子供がお経を読むようなお話は要らぬのです。はっきりやるのかやらぬのか、現在やっておる事項をはっきり商社割当に切りかえるのだ、こういうような考え方をしておるのかどうか、結論として書く以上、おそらく腹は十分固まっておることとは存じますが、実行するかどうかの腹工合をまず伺いたいと思います。
  26. 佐藤清一

    佐藤説明員 これは四月一日からの上期予算で、この通り実行するということは、今ここで私からお約束できないのでございますが、少くとも私どもといたしましては、極力そういう方向で進みたい、こういう考え方で原同等とも打ち合せをいたしております。  それから先ほど御質問になりました第二点のアルゼンチンの問題でありますが、アルゼンチンからの一番輸入の大宗は小麦と羊毛でございます。小麦につきましては調査団が先方へ参りまして、いろいろ折衝いたしました結果、大体六月までに一応十万トン程度の小麦が買い付け得るという予想が立ったのでございます。それから羊毛につきましては、先方が各国に対しまして輸出の制限をやっておりまして、日本に対しましては当初月百万ドルということで限度を区切っておったのでございますが、調査団の努力の結果これを二百万ドルまで認める。今後の交渉いかんによりましては、月に三百万ドルまで可能ではないかというようなことの予想もできました。ただその際に、アルゼンチンにおきますいわゆるアホロ制度というのがございまして、そのアホロ限度までは公定レートで換算いたすわけであります。そのアホロ超過分につきましては、これを自由相場による比率によってやるというようなことになっておりますので、そのアホロ超過分をどういう支払い方法にするかということを検討中でございますが、いずれにいたしましても、とにかく二百万ドルまでは買い付け得るというような見通しがつきましたので、ここに明るい見通しがついたということを書いた次第でございます。ところがここ一両目のニュースでは、綿花につきましては、先方の積み出し能力の関係かあるいはよく原因はわかりませんが、十万トンはちょっと無理なような予想でございますが、いずれにいたしましても、とにかく全然見当がつかなかった小麦、羊毛について、調査団の努力の結果ある程度の入る道がついたというところから徐々にほぐれ出すのではないかということで、明るい見通しがついた、こう書いたのであります。
  27. 小笠公韶

    ○小笠公韶君 そうすると綿花は四月一日からいわゆる商社割当をする、したいという希望は持っておるが、やれるかやれぬかわからぬという答弁だ。本委員会としてはこれはどう解釈しますか。そういう意味におきまして、これは実は簡単に書いておるが、重大問題であります。重大問題であると同時に、この作文の中にも、前のページのところを読むとまた逆のことが書いてある。二のところの前のページで、「大部分を輸入に依存しておる工業原材料類も」云々とある。「過当競争の弊を生じ、産業の安定を害するという問題がある」、慎重にやらなければならぬと書いてある。そう書きながら、一方で思い切って商社割当をすると書いてある。しかもこれは事務当局としてやりたいという一つの希望だという答弁であります。政府はいわゆる一体であります。政府一体の原則から見て、果してやるつもりであるかどうか、重ねてもう一ぺんお伺いしておきたい。これは簡単に書きなぐってあるけれども、重大問題であります。
  28. 佐藤清一

    佐藤説明員 御指摘の通り、まことに重大問題でございまして、この点につきましては過去数回にわたりまして非常な議論を部内でもいたしておる次第であります。そこで商社割当にいたすといたしましても、これを野放しの裸の商社割当にいたしますか、あるいは産業実情等も考慮いたしまして、具体的に申せば、内示書をつけるというような方式もございますし、その他の方法も考え得ると存じますが、いかなる方法で一歩でも理想に近づけるかということにつきましては、目下検討中でございます。
  29. 南好雄

    ○南小委員 関連して、佐藤さんにあまりむずかしい問題を聞いてもお困りだろうと思うのですが、この間新聞を見ますと、外貨予算編成の問題について大蔵省と通産省との間に方針の食い違いがあるように出ております。事実そういう食い違いがあるのかないのか。事務当局として一つ率直に話していただきたい。新聞の伝えるところによりますと、外貨の事情が今日のような状況であるならば、諸般の情勢を勘案ずると、できるだけAA制に持っていくのがほんとうだ。つまり割当ということでなくて、限られたワク内においてでもできるだけ自由に――先ほどあなたが説明されたように、商社割当もその一つの方法でありましょう。ありましょうが、ともかく一定の時期に一定のリスクで買い得るような貿易上の特殊性からくる制限を除外して、商取引の実情に沿うように持っていくというのが大蔵省の主張であり、まだそういう時期でない、従来のような方法をできるだけ置いて、その結果砂糖とかバナナのような評価益の出るような場合があってもやむを得ないのだ、だからまだそういういろいろな制限をとる時期でない、今日のいわゆる貿易状況ではAA制をとるほど野放しにできない、安心できないというのが通産省の意見のように報道している。これは事態の認識いかんで場合の方法が違ってくると思うのですが、私が読んでみると、私も大蔵省の方に賛成である。今日の通貨の情勢を見ますと、なるほど他力本願の貿易状況ではあります炉、そう極端に行く、べきものでもなし、なるべく早くああいう需要者割当とか商社割当にいたしましても、割当を受けただけで相当の利益が出てくるようなことをせず、額は限度があっても、だれでもやれるので、来たら、すぐこの次に回ってもらうという行き方で、あらかじめ商社割当のような一定の率を考えるようなことはせずに、一年ほど続けてみれば、ああいう問題の処理は十分防止できるのではないか。その新聞記事を見ると、通産省の人たちは制限することに権力を持ち、それをもてあそぶことを非常に好んでおるような印象をまことに受ける。ああいうことが新聞に漏れて、しかもこういう説明をお聞きしてみますと、やや改悛の情もあるように見えますが、これは日本だけの問題でなく、外国にもすぐ知れることであります。単に事務当局の考え方ということで済まされぬ問題、しかも失うところは、外国貿易にすぐ関連いたしておりますから、輸出のやり方にも響いてくるのであって私はすみやかに、輸入にいたしましても輸出にいたしましても、制限をとるようにしてもらいたい。  そういうことをやる一方において、片貿易と称して、スエーデンあたりから、日本で設備が半分も浮いている木炭銑鉄を入れて、業者に無理に押しつけて、従来使っておったものを減らさぬようにしてやるから、消化しろ。国内の業社は生産制限をやっているのに、無理に向うから入れてきて、貿易上のバランスをとっている。これは何もならないと思う。私はそんなことをやるべきでないと思う。現実に一万五千トンなり二万トンのものを無理に入れて、今度は製造業者の反対を、お前のものを減らさぬように説得してやるからしんぼうしろという事実については、この間陳情を受けた。ぼくらから見ると、何をやっておるのかわからぬ。これは日本国内設備を増してどんどんやって、片貿易の問題は片貿易の問題で考えなければならぬ。そういうものを入れてきて、日本業界の設備を制限させておいたって何にもならぬことだ。そうしていかに通産省が慫慂いたしましても、そういうものが入ってくれば、内地の業者相当影響のあることは当りまえです。これはあなたどういう説明をされてもそうです。しかもどこできまっているか。いわゆる係長あたりのところでぽかっときまるらしい。私はどうもこういうことは日本の将来のために、これは次長さんにそういうことを言ってはまことに気の毒だが、局長あるいは大臣にあらためて質問するかもしれませんが、十分一つ考えておいていただきたい。そういういろいろの陳情を受けてみますと、われわれの理性でも判断のできないような問題をちょいちょい聞くのです。外国事情ですから詳細に聞くに従ってやむを得なかったという結論が出てくるかもしれません。しかし概括論といたしましては、もう輸入の制限はこの際はなるべくやめていく。それから片貿易は片貿易として考えるというふうにして、要らぬものを買うというようなことは私はどうもあまりよくないと思うのです。これは別に御返事なさる必要はありませんが、十分考えていただきたい。
  30. 佐藤清一

    佐藤説明員 大蔵省と通産省の間に意見の食い違いがあるという御指摘でございました。これはまだ外貨予算の編成方針について協議中でございまして、役所といたしましてはもう南先生十分御承知のように、一つの案がきまる前に関係各省でいろいろな見解が対立いたすということは従前と同様でございまして、それが新聞に出たわけでございます。ただ大蔵省といたしましては、先ほど御指摘のありましたように、現在外貨手持ちが十四億余にも上るという状況において、できるだけ貿易自由化するというのがガットにも加盟した日本の現在の立場としては当然であるというような前提に立っております。この点は私ども全く同感でございまして、国際情勢から申しましても、また特にガットに加盟したわが国の立場から申しまして、そのようにあらねばならぬ、こういうふうに考えておりますが、何分戦争中以来、特に国際競争場裏からある程度隔絶されて成育いたしましたわが国相当な企業が、終戦後は為替管理の防壁によって擁護されてきた。これを一ぺんに取りはずした場合に、ここに大きな摩擦が起きる。あるいは中小企業の倒れるものが出てくるというようなことを産業行政の面から心配をいたして、またものによっては漸進的にやるべきもの、あるいは時期が適当でないというふうに考えておるのでございます。建前として将来永久に為替制限による産業保護政策を続けていこうということは、通産省といたしましても必ずしも考えておらない、こう存じます。  なお木炭銑のお話が出ましたが、ちょうどそれが好適例でございまして、スエーデンと日本との貿易は、わが国の出超の形態になっておりまして、しかも先方繊維品その他について相当な制限をいたしておるのであります。この制限を撤廃いたす交換条件といたしまして、わが国にスエーデンの特産品である木炭銑であるとか、ボールベアリングあるいは機械類というようなものの現在の輸入制限を緩和しろということを参要求してきておるわけでございまして、もし先方がこちら側の繊維その他について制限を撤廃してくれれば、スエーデンに対するわが方の輸出は二千万ドルくらいになる予想でございまして、これは非常に有望な市場でございますが、こちら側が相当きつい制限をスエーデン品に対していたしておりますので、向うも制限をなかなかゆるめない。ゆるめてもらうためにこっちもゆるめてくれというのがこの考え方の根本でございまして、先ほど御指摘でございましたように、自由化した場合にはもちろん不要不急品である、あるいは国内競争品であるという点からの保護ができませんので、木炭銑であろうがボールベアリングであろうが自由に入ってくることになるわけであります。そういう際に従来適切であったかどうか知りませんが、過去にふくれ上ったわが国の設備が、競争力がないためにすぐ倒れることになりますので、ちょうど御指摘になりました木炭銑のようなものが、今通産省としてまだ自由化は早いといっておる一つの好適例になる、こういうふうに考えております。
  31. 南好雄

    ○南小委員 それはちょっとあなたの御理解が逆なんであります。私は木炭銑なんかの場合はそういう例にとられるのはおかしいと思う。向うがもし万一繊維品をどんどん買ってくれたら片貿易はますます片貿易になる。そうすればよけい要らぬものを買わなければならぬことになるのではないか。それが日本の企業に与える影響というものを他面、で考えていかなければならぬ。これはそうかといって、片貿易を直すためにそういうものを入れてきて内地の業者影響を与えることは私はおかしいのではないかと思う。向うが買ってくれればくれるほど片貿易になる。片貿易になればなるほど要らぬものを相当入れなければならぬ、こういうことになる。それからいま一つは、今の通産省でやっておる輸入の制限などは、これは戦前からやっておるものではない。二年前に外貨事情が非常に悪くなって、あの占領下の限られた条件においてさえも許されていた条件を特殊の現象で佐藤さん調べられればわかりますが、今やっておる制限の大部分は、外貨事情が好転すれば、ここで議論する必要はない、当然戻していくのが当りまえです。あなたも言う通り、いろいろな産業の機構も変っているから、これは直さなければならぬという議論は、すぐにはそういう方法はとれぬという説には一応われわれは納得するんですが、今やっている制限の大部分は、二年か三年前に外貨事情が非常に悪くてあわてふためいてやったもので、外貨事情が好転した今日でもなおかついろいろな事情で、戦前からのいろいろな制限論の根拠で制限なさろうとするから私は申し上げている。私に説明しろといえば幾らでも説明しますが、輸入の制限は通貨の状態が悪くなってからやった制限の方が多い。これはわれわれ直接タッチしてやったのですが、やむを得ずそういうことをやった。そして国際収支のバランスをとった。しかし今度は貿易が黒字になってきたのだから、そういう制限はとってやるのが当りまえです。またとることによって急に産業が困るというのは、また別の見地から考えていかなければならぬ本質的な問題があるのです。そのバランスの面、輸入制限輸出制限で特殊産業を保護しようという考え方をここではっきり認めるならば、いわゆるバナナや砂糖みたいなものでも認めなければならぬという理屈にもなってくるのであって、そういうことはどう考えてみてもあまりよいことじゃない。ああいうことの一日も早くなくなることを望むから、またああいう現象はどうして起きてきたのか、それは輸出の制限なり輸入の制限を外貨事情が悪いためにやったのだ、外貨事情の好転とともにああいうものを一日も早くなくしていかなければ、ガットに加入したりして、いろいろ都合の悪い面が出てくるから申し上げておるのです。あなたの論は、抽象論としては別に私は反対しておらぬ。その理論が実証されておるかどうかという点で私は一、二疑問を出したわけです。
  32. 佐藤清一

    佐藤説明員 根本的にガットに加入した立場から申しましても、自由化を進めなければならぬということはまことにごもっともでございます。そういう方向で私ども努力いたしております。もちろんそれによって国内産業が受ける影響については、為替の制限というようなことではなしに、ほかに根本的に国内産業を合理化する、あるいはこれを強化するという対策が立てらるべきであると考えておりますし、またそれを強く要望いたしておるわけでございます。ただ、さしあたり基本対策が立たないうちに、特殊なものについては、たとえば木炭銑、そういうようなものが入ってくるということになると、わが国の木炭銑製造業者が困るということから担当部局で反対しておるというので、これは抽象論でございませんで、先ほど御指摘がありましたが、木炭銑というその例によって考えてみても、わが国の競争力の弱い産業が、自由化によって外国からの輸入品で危殆に頻することをおそれている関係から、一部のものについてはなおしばらく時期を見ていこう、こういうことでございます。それから日本とスエーデンとのバランスの問題は、自由化を進めた暁におきましては、二国間だけのバランスで見るのではなくして、やはり全世界との関係において、先方ができるだけ制限を撤廃してくれることを要望すると同時に、こちらもできるだけ自由化を進めていくということによって、総合的に貿易量の拡大をはかる、こういうのが筋でございます。
  33. 永井勝次郎

    永井委員長 先ほど小笠君から質問のありました、こちらで制限すれば輸出が伸びる保証がつくかどうかということについて……。
  34. 西山昭

    ○西山説明員 若干誤解がありましたようで御説明申し上げます。一億五千万ヤールに自粛すればいいのかどうかという問題丁と、ここ数カ月が問題であって、その後はワクをふやしてもいいかどうかという二点が御質問にあったと思います。  第二の点の、ここ数カ月と私が申しましたのは、御承知のようにアメリカ政府は包括的な輸入制限法案のごときものに対して反対しておりますが、同時にアメリカ国内業者の強い力を押えるためにも、何らか日本側で自粛措置をとってもらえないものかという公式な希望があるわけであります。現在におきましてはダレス長官――大統領もそうであると了解しておりますが、ダレス長官、それから政府関係者は、何とかして日本からの輸入を全面的に制限しないように法案の成立に反対しているわけでございます。現在アメリカの行政府に与えられております輸入制限の根拠といたしましては、関税交渉を行いました品目につきましては、エスケープ・クローズ、免責条項という互恵通商法に基く規定がございまして、関税委員会の調査によりまして、アメリカ国内産業影響を、ダミッジを与えました場合には、それに大統領が最後の決断する、こういう状況になっておりますが、現実にすでにエスケープ・クローズの申請が行われましたものは、別珍ブラウスの=品目であります。しかしながらこれは関税委員会におきまして調査をやりまして、その結果によりまして総合的な角度から大統領が決断を下すことになっております。大統領初めダレス長官等の行政府日本に対する同情的な態度は、われわれ十分に多とする次第でございますが、他方日本が一億五千万ヤールに自粛いたしましたけれども、関係業界並びに代議士の人々は、日本が自粛するということは一つの大きいステップであるけれども、日本側の一方的な意思決定によって本件が解決されるのでは将来についてきわめて不安である、従って何らかの形でアメリカ側においても自主的にアクションがとれるような法律の制定を希望する、こういうような趣旨から、いろいろの制限法案を国会に出しておるのでございます。今のコングレスの会期が七月までございますが、この数カ月どのように法案の審議が進展するかということをわれわれは最も懸念して曲る次第でございまして、ことしの輸出会議の結果・によりまして、一九五六年の対米綿布のワクを一億五千万ヤールに決定したといいますことは、この数月たてば変更するという趣旨のものではございませず、一九五六年、本年一ぱいはもちろん声明いたしましたことを実行する趣旨でございます。
  35. 小笠公韶

    ○小笠公韶君 私の言うのは、年間一億五千万平方ヤールときめたのだから、三十一年度全部やることはもちろん問題ないのです。ただ一億五千万平方ヤールときめたことによって、アメリカの動きがいろいろあるにしましても、これはその動きを封じ得るかどうかという問題ですね。今のお話によると、向うで日本の一方的な努力は多とするが、自分の方もまた何時でも発動し得るような法的な整備をはかろう、こういう動きがあるということは、向う一年間は一億五千万平方ヤールをもしきちっと誠実に守るならば、そういう制限、さらに追い打ち的な制限措置は起らぬだろうと解釈していいかどうか、こういうことであります。
  36. 西山昭

    ○西山説明員 この点は非常にむずかしい問題でありまして、一億五千万平方ヤールそのものも、もちろん御承知のようにアメリカ政府といたしましてはこのような数字がいいとか悪いとかいうことはコミットできない立場にございます。それから業界並びに関係議会筋といたしましては、国内産業を保護する意味から申しまして、まだ少い数字の方を希望することはもちろんでございます。他方日本といたしましても、従来の実績並びにアメリカ産業状況等を勘案いたしまして、まず妥当な線だというところで一億五千万平方ヤールを打ち出したわけでございまして、この数字できちっとおさまるかどうかということは、今後の推移を見なければ何とも言えないのではないかと私は考えております。
  37. 永井勝次郎

    永井委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明二十四日午前十時から開会いたします。本問題について明日は参考人より意見を聴取することとなっております。何とぞ御出席を願います。  これにて散会いたします。    午後四時十五分散会