運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-27 第24回国会 衆議院 商工委員会日本経済の総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十一年一月十三日(金曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       秋田 大助君    大倉 三郎君       菅  太郎君    笹本 一雄君       田中 角榮君    田中 龍夫君       淵上房太郎君    松岡 松平君       佐々木良作君    佐竹 新市君       帆足  計君    水谷長三郎君 同日  笹本一雄君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     —————————————    会 議 昭和三十一年二月二十七日(月曜日)    午前十一時五分開議  出席小委員    小委員長 笹本 一雄君       秋田 大助君    大倉 三郎君       菅  太郎君    田中 龍夫君       淵上房太郎君    佐々木良作君       帆足  計君  出席政府委員         経済企画政務次         官       斎藤 憲三君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   酒井 俊彦君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房会計課         長)      塚本  茂君         総理府事務官         (経済企画庁調         整部長)    小山 雄二君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君  小委員外出席者         商工委員長   神田  博君         議     員 小松  幹君         経済企画庁次長 上野 幸七君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十六日  小委員水谷長三郎君同日小委員辞任につき、そ  の補欠として田中武夫君が委員長指名で小委  員に選任された。 同月十七日  帆足計君同月十四日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同月二十四日  田中武夫君同月二十日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済自立五カ年計画に関する件  昭和三十一年度経済計画に関する件     —————————————
  2. 笹本一雄

    笹本委員長 それではこれより会議を開きます。  まず本小委員会調査方法について申し上げます。  去る十五日の小委員会打合会で御協議をいただきました通り最初経済計画概要について政府当局より説明を聴取した上で、個々の重要問題を詳しく順次調査検討を進めて参りたいと存じます。  本日は第一回の小委員会でありまするので、これらの問題の調査に入る前に、参考のため経済企画庁所管事項説明を聴取いたしたいと存じます。経済企画庁長官官房長酒井俊彦君。
  3. 酒井俊彦

    酒井政府委員 長官がただいま予算委員会の方に出席をいたしておりますので、ここに出席いたしまして御説明申し上げられないので、私からかわりまして簡単にまず経済企画庁行政組織上の地位及びその性格につきまして御説明申し上げたいと思います。  経済企画庁行政組織上の性格として特色のある点を申し上げますと、経済行政に関する総合調整機関であるという点であります。なおまた長期計画に関する企画推進機関であって、いわゆる実施宿庁でない。特定行政専務を持って実施していくという官庁でなくて、企画官庁であるという点に特色がございます。すなわち経済関係省庁はそれぞれ設置法その他の規定に従いまして、所掌事項に関する行政事務実施しているのでありますが、経済企画庁はこれら各省庁行政総合調整いたしまして、国家行政としての一貫性総合性を保持せしむることを任務といたしております。さらに経済企画庁は他の行政機関所掌にとらわれない総合的見地に立ちまして、長期経済計画策定と、その推進に当っておるわけでございます。  以上二つ任務遂行に専念するために、原則といたしまして、他の行政機関の、ごとく実施事務を直接担当しない、いわゆる企画官庁であることをその基本的性格としているということでございます。  次に行政組織法上の地位について申し上げますと、現在の行政組織法の体系にあっては、内閣が最高の機関でございまして、その下における各行政大臣は平等の原則に立っております。従って経済企画庁長官各省大臣との間には法律上の上位、下位というような関係、あるいは命令、服従というような関係はございません。全然平等の地位に立っておるわけであります。しかしながら前申しましたごとく、経済企画庁任務基本的性格から、長官設置法上でも関係省庁の長に対して長期経済計画に関する資料及び報告の提出を求めることができます。また必要がある場合には、関係行政機関の長に対してこれらの長期計画推進するに必要な事項について勧告をするという権限を持っております。  さらにこれらの組織法上の性格及び地位を具体的に申し述べますと以下の通りでございます。すなわち、経済企画庁長期経済計画策定し、これを推進することを主要な任務の一つといたしまして、これがために以下申し上げますような権限を持っております。  その第一は、長期経済計画に関する重要な政策及び計画について、関係行政機関事務総合調整を行うことができることになっております。これは先般お手元に配付いたしました経済企画庁設置法をごらん下さいますと、その四条の十三号にそういうことが若いてあります。経済企画庁策定推進する長期経済計画長期にわたる総合経済計画でありまして、個別的な政策及び計画は各省庁がそれぞれその設置法に基いて関係法令に従って企画立案実施するわけでございます。その際関係省庁経済企画庁設置法趣旨にかんがみまして、総合的観点からする長期経済計画を尊重するとともに、他方経済企画庁関係省庁の行う政策及び計画がみずから企画庁策定いたしております。長期経済計画趣旨に合致するように、各省庁の重要な政束及び計画立案または実施について長期経済計画観点から総合調整を行うのでございます。  その第二といたしまして、経済企画庁長期経済計画に関しまして各省庁事務総合調整を行う場合に、これを一層効果的ならしめるため、長官は特別の権限を持っております。すなわち先ほど申し上げましたように長期経済計画策定及び推進のために、必要があるときには関係省庁の長に対し必要な資料提出及び説明を求めることができます。これは設置法の第十一条の第二項に、資料提出を求め説明を求める権限が掲げてございます。それからまたそのほかの権限といたしましまして、長期経済計画推進のために特に必要があるときには、長期経済計画に関する関係省庁の重要な政策及び計画立案について勧告をすることができるということになっております。この勧告につきましては、設置法の第十一条の第三項に掲げてございます。この勧告権限関係省庁がこれに従わなかった場合においても直ちにその法律上の効果が有効とか無効とかいうことではございませんし、また従わなかったからといってそれに罰則があるというような問題は起きないのでありまして、勧告に従わない場合には、これは最終的には閣議調整をするということになるわけでございます。が法律勧告権を明定することによりまして、関係省庁法律上この勧告を尊重する義務がある、少くともそれを受けとってよく検討し尊重して、考慮するという義務があるわけであります。  以上が経済企画庁における長期経済計画に関する事務権限でございます。しかしそれ以外に従来からやっておりますものといたしましては次のような権限任務を持っております。  すなわち二つ以上の行政機関経済施策に関する総合的かつ基本的な政策であって、特定行政機関主管に属しないものにつきましては、これを企画し立案する権限がございます。それは設置法の第四条の第十九号に掲げてございます。もちろん特定行政機関の専管と申しますか主管に属するものはその行政機関だけでやれるわけでありまして、二つ以上の行政機関にまたがっての事項総合調整する権限がございます。たとえば物価政策民生安定政策等のごとく、総合的かつ基本的な政策企面立案につきましては、これは各省庁にまたがって関係もございますし、根本的な問題でございますので、経済企画庁企画立案をすることになっております。  それからまた企画庁におきましては、経済に関する基本的な政策及び計画について関係省庁事務総合調整を行う権限がございます。これは設置法で申しますと四条の第十四品号に掲げてございます。各省庁に関連する総合的基本的な政策につきましては、今まで申し述べました通り経済企画庁企画立案権を有するのでありますが、その他の各省庁企画立案いたします個別的な経済に関する政策及び計画についても、その基本的なものについては総合的観点から経済企画庁がこれを総合調整するのでございます。  その他法律的に経済企画庁長官権限に属せしめられたものがございます。たとえば国土総合開発法国土調査法離島振興法特殊土壌に関する法律というようなものが経済企画庁長官権限となっております。そのほか電源開発促進法というような、特定法律企画庁長官権限に属せしめられましたもの、これはそれぞれの法律の定めるところに従ってみずから行政事務を担当いたしますと同時に、あるいは内閣総理大臣を補佐して関係省庁事務総合調整等を行うというようなことになっております。  御承知でもございましょうが、内部の部といたしましては、長官官房のほかに調整部、これは重要各省庁にまたがる基本的な経済政策調整を主にしてやっております。それから計画部ですが、これは一番初めに申し上げました長期経済計画策定推進といったようなことを担当しておる部でございます。次に開発部ですが、先ほど申し上げました国土総合開発法国土調査法といったような系統の仕事をいたしております。そのほかに経済企画庁といたしましては重要な経済に関する調査をいたしております。この調査を担当いたします部といたしまして調査部というのが設けてございます。  はなはだざっぱくでおわかりにくい説明で恐縮でございますが、大体経済企画庁行政組織法上の性格あるいは地位といったものについて、簡単に御説明を申し述べさせていただきました。  続きまして経済自立五カ年計画あるいは三十一年度経済計画大綱、また三十一年度経済計画と三十一年度予算との関係といったようなことにつきまして順次計画部長あるいは調整部長から御説明をさせていただきたいと思います。
  4. 笹本一雄

    笹本委員長 これにて所管事項説明は終りました。この質疑はあとにいたしまして、それでは経済計剛の大要について最初長期経済計画について説明を求めます。計画部長來佐武郎君。
  5. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 それでは私から経済自立五カ年計画につきまして概略の御説明を申し上げたいと存じます。  この計画ができます経過は、御承知かと存じますけれども、昨年の一月十八日に総合経済六カ年計画構想と題するものが閣議了解事項になりまして、その、後これは非常に短期間に準備いたしたものでございましたので、昨年中経済企画庁に付設されております経済審議会に、この計画のさらに掘り下げ、検討政府から委嘱いたしまして、八月十五日に総合部会を開き、幾つかの部会生産貿易建設、交通、民生雇用財政金融、これだけの部会を設けまして、十一月に至るまで非常に熱心な討議が行われました。この各部会には各方面の専門家実業界の方々、それから各省関係の人々が出まして検討いたして、昨年の十二月五日に経済審議会長期経済計画に関する答申というものが、内閣総理大臣提出いたされたわけでございまして、その後政府の部内及び党側検討がございまして、昨年の十二月二十三日に正式に経済自立五カ年計画として閣議決定を経たという経緯になっておるのでございます。当初経済審議会答申として提出されました計画は、六年計画になっておりまして、昭和三十年度から昭和三十五年度に至る六年間計画でございましたが、閣議決定の段階になりますと、三十年度はほぼ経過いたしております。この最初の一年をはずしまして、三十一年度から始まる五年計画に切りかえたわけでございます。内容はほとんど変りませんで、経済審議会答申の、三十五年度の目標をそのままとられております。二、三細部において訂正をした点はございますが、大体内容としては実質的に経済審議会答申がそのまま一年縮めて政府閣議決定になったと申して差しつかえないかと思うのでございます。従ってこの計画作成やり方等につきましても、経済審議会答申によってとられました作成方法が、政府の五カ年計画になっておるわけでございます。この長期経済計画というものを、特に現在のわが国のようにいわゆる自由企業性を基調とする経済で立てる、あるいはそれを実行するということについては、いろいろ問題点があるわけでございますが、戦後の世界各国動向を見ましても、いわゆる自由企業性経済政策をとっておる国々も長期経済見通しをつけるということの必要性これは大体常識になって参りまして、もちろんソ連中共などのやっております計画政府が非常に大きな権力を握ってやります計画と違いますので、幾分通し的な要素も入って参ります。しかし過去の経済成長あるいは発展に関するいろいろなデータ、各国実績等もとにいたしまして、長期予想を立て、さらにこれをできるだけ経済拡大をすみやかならしめる、そういう意欲を盛り込むという形で計画は作られておるわけでございますが、この計画の立て方といたしましては、いわゆる毎年々々の計画を立てて、それを積み上げて五年計画とするというやり方ではございませんので、いきなり五年先、昭和三十五年度のまず人口予想いたしまして、その人口の推測につきましては、厚生省の人口問題研究所でやっておりまして、比較的確実な予測が可能なわけでございます。この人口から、いわゆる生産年令人口、満十四才以上の人口割合を、これも大体の予想がついておりますから、生産年令人口を出し、それに労働力率、働く意思があり、また能力がある、この労働力率をかけまして、就業を要する人口を出す、そういうことで、働く人間の数の五年先の数字を求めまして、これに一人当り生産額、これも現在までの実績がございますので、それに生産性の上昇を見込みました五年後の一人当り生産額をかけ合せまして、それで五年後の日本経済の総生産をまず算定する。今度はこの総生産もとにいたしまして総支出の方を計算する。これは国民総生産財政、それから資本蓄積、それから国民消費、こういう二つ分野に大きくいって分れるのですが、その概略を算定いたすわけでございます。そのそれぞれの規模から今度は逆に各経済分野産業分野につきまして積み上げ方式部門別生産伸び計画を立てる、そういう形で、農林水産あるいは鉱工業、こういうものの生産規模計算いたしまして、先ほど申しました、上から国民総生産からはじき出しました数字と、下から積み上げ数字と突き合せて全体のバランス計算する。同時にこの経済規模に必要な輸入量というようなものを算定いたしまして、この輸入に見合う輸出達成目標を立てる。その辺は試行錯誤になりますので、その程度経済規模に必要な輸入量、それをまかなう支出が可能かどうかというような点を検討して、ほぼ全体のバランスのとれるところで総合的な計画をまとめる、こういったやり方をとっておりますので、実は年次計画というものは今回の計画には作成されておらないわけであります。この計画内容につきましては「経済自立五カ年計画」という活版刷り資料がお手元に配付されておると存じますが、これに概要が出ております。こういう計画を立てます場合には、幾つかの前提条件、特に国際的な経済動向についての前提条件が必要であります。これは五年計画の第一ページに前提として一から九まで掲げてございます。大体において現在の情勢からそれほど国際情勢に基本的な変化はない。世界経済は逐次拡大発展していく。貿易制限も漸次緩和されるけれども、しかし完全な通貨の自由交換制は回復しない。またガット加入等の影響で関税の引き下げも進捗するけれども、やはり各国産業政策というものもある程度残っていく。賠償は計画期間の前期に解決すると予想しまして、東南アジア諸国に対しまして先進諸国の援助も活発になり、日本と同地域との貿易も漸次拡大する。また中共及びソ連との貿易も漸次政治的な制限が緩和されて、経済上におけるわが国との関係が改善される。特需収入計画最終年度においては消滅するということを予想いたします。為替レートは現行のレートを変えない。物価は極力引下げの方針をとる、そういった九つばかりの前提条件が設けられまして、この上に先ほど申しましたような方法論計画積み上げられておるわけでございます。計画にはこの数字とともに第二部といたしまして、計画達成のために必要な施策というものを掲げてございます。これは先ほど申しました計画性格から申しましても、いわゆるソ連等における計画経済とは違いますので、経済動向によって部分的にはいろいろな変更が予想されるわけであります。この概略数字に基いた、その数字目標を速成するに必要な施策、どういう方向に経済施策を向けていくかということが、この種の経済計画にとっては非常に重要な場面になると考えられますので、第二部にそういう施策についてもかなり詳細に掲げておるわけでございます。この計画数字自体につきましては、資料付表におもなものが出ております。五十七ページに主要経済指標というものが出ております。おもな数字を二、三申し上げますと、六年間に総人口が五・五%増加する。これは人口増加率が昨今逐次低下して参っております。出生率が非常に低下して参っておりますので、方死亡率も低下しておりますが、自然増加がだんだん減少しておるということで、六年間に五・五%、年にほぼ一%弱の人口増加予想いたしておるのであります。ところが労働力人口というものが人口増加率よりも高いのでありまして、六年間に一二%の労働力人口増加する。これは過去におきまして、今から十数年前に高い出生率で子供がよけい生まれた、それが現在生産年令に達するということでありまして、この点は人口の総数のふえ方が弱まったにかかわらず、働かなければならない人間の数がかなり急速にふえる。今後十年間あるいは十五年間、この点は日本経済にとって重要な問題になっておるわけでありますが、そういう関係労働力人口は六年間に一三%ふえる。そういたしまして先ほどのような手続からはじきました国民総生産は、三三・六%、約三四%程度年間増加するという見通しになっておます。国民の総生産が六年間に三三・六%と申しますと、年間経済成長率が毎年平均五%程度経済拡大されという見込みになるわけでございます。これは日本の過去の非常に長期発展経過から見ますと、四%強——もっともその間に好況、不況の期間があったようでございますが、長期的にはその程度成長率を示しております。戦後の世界各国の増勢を見ますと、戦前に比べてやや経済成長率が、資本主義諸国でも高まっておりますので、五%程度拡大を見込むということはそれほど無理ではない。もちろん努力は必要といたしますが、その程度見通しはできるのではないか、他の国の計画でございますが、イタリアのヴァノニ・プランというのがやはり十年間、毎年五%の総生産増加を見込んでおります。また最近でき上りましたインドの第二次五カ年計画年間五%の国民総生産拡大を見込んでおるのでありますが、大体その程度成長率ということを予想しております。ただ日本経済につきましては、近代化の要請が非常に強いのでありまして、経済規模拡大率よりも資本形成拡大率を高く見ておりまして、民間資本形成が五七%ばかり拡大する、従って消費伸び方国民経済規模拡大に比べて幾分低い。個人消費支出が三〇・三%増加するということになっております。これは国民総生産配分面で、資本蓄積の方により多く回っていくということから出ておるわけでございます。個人消費支出が全体として三割ふえまして、一方人口は五・五%ふえますので、人口一人当り消費、これは直接生活水準とは申せませんが、ほぼ生活水準に近い数字になるわけでございますが、これが計画期間に二三%程度増加するという計画になっておるわけであります。  このような計画達成するために、一次産業、二次産業、三次産業、それぞれの分野生産規模拡大が必要なわけでありますが、特に三次産業鉱工業分野拡大が、経済発展に最も重要な役割を果すわけであります。鉱工業生産としましては、この六年間に五三・七%、年率にしまして八・九%程度拡大するという計画でございます。農業の方におきましては、これは農林水産全部総合いたしましてこの六年間に二〇%、これは付表の六十四ページに出ておりますが、三〇%程度の増産を見込んでおるのであります。ただ農業は非常に年によって豊凶の差がございますので、もちろん年次をとりますと、昨年のように非常に豊作の年には一年間一五%もふえるというふうなことがございますが、しかしこれは長期的にならして見て参りまして、平年の作にして六年間に二〇%の農林水産増加見込むということになっておるわけであります場貿易としましては三十五年度に輸出で二十六億六千万ドル、輸入で二十五億九千万ドル、これは六十七ページにございます。昭和二十九年度の輸出は十六億ドルでございましたから、それから約十億ドルばかりこの六年間増加するという計算でございます。しかし昭和三十年度が非常に輸出伸びまして、二十億ドルをこえる見込みでございますので、あと年間に六億ドルぐらいの輸出増加達成、これは各般の情勢から見てもほぼ可能ではないかというふうに考えられます。輸入の方も二十九年度は約十七億ドルでございましたが、これが三十五年度は二十六億ドルになるわけでございます。これは国内の経済規模拡大生活水準向上等に伴って、食糧繊維原料、あるいは工業原料、こういう各種の物資輸入増加が期待されます。これはかなり詳細な積み上げと申しますか、おもな各産業についての所要の原料輸入計画、それから食糧その他主要消費物資についても、人口増消費増から見合った輸入消費量を算出いたしまして、一応積み上げ計算をやってチェックしておるわけでございます。なお消費の面につきましては、住宅から繊維食糧等についての消費計画あるいは建設計画というものがございます。たとえば繊維につきましては、一人当り衣料消費昭和二十九年度には一二・六ポンドでありましたものが、三十五年度には十五ポンドになるというようなことになっておるのでございます。  雇用につきましては、経済規模拡大に伴いまして、一次、二次、三次各産業雇用が吸収される。特に二次及び三次の産業分野雇用拡大を期待する。第一次農林水産業分野ではそれほど大きな雇用増加は望めないと、いうことになりますので、第一次部門ではこの六カ年の雇用増加年平均〇・七%程度、それから第二次産業では二・七%、三次で三%、総合して二%という雇用増加を見込んでおるわけでございます。  それからこの計画財政金融分野につきましては、ごく概略財政規模を推算いたしておりまして、これは戦前昭和九−十一年ごろの国民所得に対する財政支出規模とほぼ同じ程度割合ということで、総体の財政規模をはじいておりまして、これを七十七ページにございますように、社会厚生文教関係公共事業関係地方財政関係、その他、調整項目というような大きな項目に分けておりまして、公共事業につきましては、一般公共事業と道路街路、災害復旧、食糧増産、この四つの項目数字をそれぞれ出してあるわけでございます。  以上申し上げましたところが、この計画概略でございます。非常に短時間でございますので、一応概略を申し上げて御説明を終りたいと存じます。
  6. 笹本一雄

    笹本委員長 次に昭和三十一年度経済計画の大綱、特に予算との関連について説明を求めます。調整部長小山雄二君。
  7. 小山雄二

    ○小山政府委員 お手元資料の中に昭和三十一年度経済計画大綱という刷りものがございます。これを中心といたしまして、御説明申し上げたいと思います。この計画は、ただいま説明になりました経済自立五カ年計画に基きまして、その初年度に当る三十一年度の経済計画大綱をきめたものでございます。来年度の計画でございますので、多少数字のこまかい点にわたりまして、恐縮でございますが、パンフレットの二ページをごらん願います。主要計画目標というのがございますが、それを中心といたしまして御説明いたします。ただいま五カ年計画説明がありましたいろいろな要素の三十一年度計画の分をここにまとめてあるわけでございますが、結論的な点から申し上げますと、六行目、七行目にございます国民総生産、分配国民所得、これが経済規模を総合的に示すものでございます。国民総生産は八兆二千六百三十億、三十年度に比べまして、四・二%。分配国民所得六兆九千七百十億、同じく四・三%になっております。これは先ほどお話がありましたように、五カ年計画が年率五%と見ておりますので、ややそれに比べますと、低いわけであります。この表にもありましたように、二十九年から三十年にかけて非常に伸びておりますので、この両方を足して考えますと、三十一年度の経済水準というものは五カ年計画で考えている発展率よりやや高い、こういう結果になるわけでございます。一般会計予算規模国民所得に対してどのくらいあるか、あるいは租税負担率が国民所得に対してどのくらいあるかという数字がございますが、これはこの分配国民所得数字を加えまして、三十一年度では一般会計予算規模国民所得に対して一四・八%、負担率は国民所得に対して一三・八%というような、そのもと国民所得はこれを基礎としてやっておるわけであります。  以下この総生産国民所得増加をささえますいろいろな要因について順次説明いたしますと、まず需要面でごさいますが、その第一は輸出でございます。輸出は下の国際収支の表の中の二番目にございますが、三十年度の二十億五千万ドルから三十一年度は二十二億ドルとなって、一億五千万ドルの増加を見ております。経済発展の時期としてはぜひともこの輸出目標を一そう達成いたしたいと考えておるわけでございます。特需は五億五千五百万ドルから四億五千万ドルに、約一億ドルの減少を予想しております。  その次は投資の面でございますが、輸出も好調でございましたし、経済正常化も進んでておりますので、企業の投資力もぽつぽつ回復して参っておりますし、五カ年計画でも、ことに前期では経済基盤の強化ということを重点といたしておりますので、資本形成は五カ年計画でもそうでございます。三十一年度でもなるべくこれを充実し、資本形成を充実していくという線で計画いたしますし、また一方来年度の方針として民間資金の活用ということも積極的にやることになっておりますので、資本形成は相当進むと見まして、下から八行日あたりにございますように、民間資本形成は三十年度に対しまして八・七%の増を見ております。  その下の個人消費支出でございますが、消費経済発展率に常に見合った程度増加が望ましいということで、三十年度に対しまして約四%を見ております。物価は横すべりと見ておりますが、人口が多少ふえますので、一人当り消費水準は三十年度対比三%の増になっております。  以上の需要面に対して次は供給面でございますが、鉱工業生産はその下にございますように、九−十一年を基準にした指数で一九六、七・二%の増を見込んでおります。農林水産生産は、これはことしは大へん農作でございましたが、来年は天候が平年並みと見ております。従って畜産、林産、水産等では相当伸びることになっておりますが、総合いたしますと、一一四・二%で、三十年度に対しまして五・九%の城に相なることになります。国民所得あるいは国民総生産伸びが三十年度に比べて少いのは、主として農林水産伸びの減少が大部分の原因でございます。以上のような需要あるいは生産等の関係から判り出しました輸入でございますが、下から三行目にごさいますように、カッコのある数字を見ていただきます。輸出入のところでございますが、三十年度の二十億四千五百万ドルから三十一年度は二十二億二十万ドルにふえます。もっとも輸入の方は、その中に紙が一枚はさんでございますが、実質は同じなのでございます、一般貿易外の中に実質的に輸入と見られるようなものが入っておりますので、それを総合しました輸入で申しますと、そこにありますように三十年度の為替ベースの輸出入は二十一億二千三百万トル、三十一年度は二十二億九千万ドル、従ってその差一億六千七百万ドルの増加になるわけでございます。これが実体的の意味の輸出入でございます。輸出で一億五千万ドル、輸入で一億六千七百万ドルの増加、こういうことに相なるわけでございます。輸入もふえますので、国際収支の一番下のところにバランスがございますが、国際収支じりは形式的には一億五百万ドル、実質的にはカッコ内の数字で一億七千五百万ドル、三十年度より多少減るということになります。  このような経済循環の中で就業関係がどうなるかということでありますが、一番上の方にあります総人口は、三十年度から三十一年度の間に九十一万、一%ふえております。生産年令人口、満十四才以上の人口はこの間百三十四万に、二・二%の増加労働力人口はこの間は八十八万で二・一%の増加、先ほど申しましたように鉱工業生産の増大による就業の増を見込んでおりますし、経済発展に伴います商業、サービス部門などの就業増加なども見込んでおります。それでも必ずしも十分とは言われませんので、三十一年度におきましては失業対策事業、臨時就労対策事業等の事業を強化いたしまして、それらを含めまして就業者はそこにありますように三十一年度四千二百万、九十万の増、二・二%の増加見込みまして、完全失業者は三十年度よりも若干減らすということにいたしております。  最後に物価関係でございますが、物価は国際収支の欄の上のところにございます卸物価、CPI、消費物価とも一〇〇%、横すべりということでございます。この経済計画の中の経済要因の中それ自体には物価を上げるような要因はないと考えておりますが、ただこの計画で考えております需要と供給のバランスが破れるようなことがありますと、計画達成できないということになりますので、あとの対策のところでも書いてございますが、資金需給の均衡を保持して通貨価値の安定をはかる、食糧、原材料等の輸入物資は十分確保してその需給の安定をはかるということにいたしております。計画自体ではこれらの点も十分考えておるつもりでございますが、今後経済の運営に当っては、この計画目標数字があまり狂わないように、大きく逸脱することのないように施策を調節していくことが肝要であろうかということが、施策の中にも書いてあるわけでございます。  以上計画の中身は数字を中心として申し上げましたが、引き続きましてこの計画と三十一年度予算あるいは財政投融資あるいは法律案等の関係につきまして、五ページに「計画速成のために実施する施策の重点」とございますが、ここに書いてありまする事柄に即しましておもな点だけを申し上げてみたいと思います。  実は一月二十日にこの大綱は予算案とともに閣議決定になったものでございますが、その前々から三十一年度経済計画の骨子というものを作りまして、閣議でも経済企画庁長官から二度ほど説明していただきまして、予算編成等はそのラインで考えてほしいという要請をいたされ、また事務的にも予算編成の初めあるいは第一次査定、第二次査定の途中におきましても、そういうラインで大蔵省あるいは各省と交渉した次第でありまして、予算がきまりますと同時にそれと合うように修文はいたしておりますが、経緯はそういう経緯になっておるわけでございます。  輸出の振興のところでございますが、そこの二段目に国際経済協力という問題がございます。この中にはいろいろございますが、おもなものを申し上げますと、例のコロンボ・プランの関係で技術者を送ったり練習生を受け入れたりする関係で、三十年度は四千万の予算が三十一年度は五千三百万というようにふえております。また輸出入銀行の関係経済協力に対しまして来年度二十億ないし三十億程度の投資に対する融資を考えようということにいたしております。それからその行にございます賠償の問題でございますが、賠償の実体は別にいたしまして、手続の問題としては三十年度百億の予算でございましたのを、三十一年度は特別会計を作りまして総額二百二十億の予算になっております。  その下の段に参りまして、輸出市場確保のため従来以上に積極的な市場調査、宣伝活動あるいはあとにアフター・サービス等に関する施設を拡充していくということがございますが、これらの事柄を含めました貿易振興費全体といたしましては、三十年度九億八千万円に対して三十一年度十億八千万円と、一億の増になっております。  次の六ページに参りまして二番目に「プラント輸出、海外投資を促進するため、アフター・サービス等に関する施設を拡充し、輸出入銀行の資金源を確保する」という問題でございます。三十年度は自己資金を含めました輸出入銀行の貸付資金源は四百八億でございましたのが、三十一年度は五百四十八億、百四十億の増を見込んでおります。その次の保険制度の拡充でございます。これは予算では支出はなかったわけでございますが、輸出信用保険法を改正しまして、輸出信用保険資金に余裕がございましたので、これを利用いたしまして投資保険制度を作ることになって、通産省から法律案が出ることになっております。その一番下の欄の外航船腹の拡充という問題でございますが、この問題につきましては五カ年計画で約百六万トンの外航船を作ることになっております。来年度、三十一年度は二十二万総トンの外交船舶に対する資金を準備いたしておりまして、開銀から百二十七億の資金を確保することに予定いたしております。そのほか利子補給が一般会計に三十一億見込んでおります。  それから国際航空の増強、国際観光事業。国際航空の増強につきましては、日本航空に対しまして産業投資特別会計から十億出資することになっております。国際観光事業につきましては、国際観光協会に対する補助が五千三百万から八千万にふえております。  次は産業基盤の強化の問題でございますが、第一段目の中ごろの下から三行目に、日本生産性本部の機能強化という問題が書いてございますが、日本生産性本部に対しましては、余剰農産物の資金から三十年度は一億五千万出しましたが、来年度は十億融資することにいたしまして、これを土台にして生産性本部の基礎を固めていくということにいたしております。そのほか国庫の補助が五千万から七千五百万にふえております。  七ページに参りまして機械工業、ことにその基礎部門につきましてこれを強化するという必要が論議されまして、通産省でもいろいろやられたわけですが、予算としてはついにつきませんでしたが、その後政府部内でいろいろ交渉いたしまして、開銀から約十五億程度の金を比較的低利に、比較的長期に、そういう機械の基礎部門に対して設備の近代化その他をやって参ろうという話が大体つきまして、これに関する法律案を通産省から出すことになっております。  二行目の繊維産業につきましては、中小企業設備調整費補助というのが一億二千万予算としてついております。  二段目に参りまして、新規産業の育成強化の問題でございますが、石油価格とか木材、石炭関係のいろいろな新規産業でございますが、これは開銀資金の中から新規産業のワクのようなものを作りまして、三十億ないし四十億をこれに充てるというような方向で関係百庁打ち合せ中でございます。  石油資源の調査開発というところがございますが、これは石油資源開発会社に対し、産投から七億出資いたしました。  次の行に参りますと、工業用水の問題でございますが、これは予算といたしまして一億八千万円ほど出しまして、これを土台にして通産省から工業用水確保に関する法律案を出しまして、この予算を土台にして工業用水の整備をはかっていくということにいたしております。  食糧増産の面でございますが、財政支出財政投融資、余剰農産物、見返り円資金を含む財政投融資、世界銀行の総合的活用によって生産効果の著しい面に重点を置きつつ、土地改良、耕種改善事業等を推進するとございますが、土地改良の問題につきましては、予算といたしましては三十年度二百四十五億、三十一年度三百四十七億、約一億六千万ほどふえております。それから耕種改善事業は、予算といたしましては三十年度十四億、三十一年度十四億七千万、約六千万そこそこふえております。これは五年計画では千三百万石の食糧増産を見込んでおりまして、それの年度割から考えますと多少不足なのでございます。ただそれ以外に余剰農産物見返り円資金等を利用いたします愛知用水その他の大規模開発を考えておりましてそのほか農林金融公庫等からする融資も考えておりまして、それらを総合して重点的にやって参ろう、こういうことになっております。  次に中小企業と新農村建設の問題でございますが、輸出適格産業を中心として、設備の近代化、技術の向上、経営の健全化等を促進助長する、その指導育成体制の整備をはかる。それから将来における中小企業問題の根本的解決に資するため、実態につき統計調査を整備するという項でございますが、中小企業振興の経費といたしましては、三十年度総額五億八千万円に対して、三十一年度八億一千万円、二億三十万円の増加に相なっております。  それからその次、中小企業金融について資金面を充実するという問題でございますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金それぞれの財政投融資の増加、自己資金の増加等によりまして、中小企業公庫は二百五十五億から二百億へ、四十五億の増、国民金融公庫は四百六十八億から五百二十五億へ五十七億の増、それから商工中金は財政融資の問題といたしまして十億が二十億にふえて十億の増、これだけを見込んでおります。  それから新農村の建設といたしまして、農山漁村振興に必要な総合対策という面では、予算として十四億六千万円、ほかに農林金融公庫から十五億の融資を見込んでおります。  次は科学技術振興の問題でございますが、二行目にありますように、官公立試験研究施設の整備充実をはかり、あわせて民間の研究に対し効率的な助成をやるという問題でありまして、これは各省にわたっておりますが、その経費を総合いたしますと、三十年度八十一億四千万円に対して、三十一年度九十八億八千万円、十七億四千万円の増と相なっております。科学研究所の育成強化につきましては、一般会計から一億の出資をいたすことになっております。  それから金属材料の品質向上の問題がございますが、一般会計から一億支出いたしまして、金属材料研究所を作ることになっております。  新技術の工業化という項がございますが、先ほど申しました新産業の育成の問題と一緒にいたしまして、開銀から融資をやって参ろうということで各省話し合い中でございます。  原子力の平和的利用の問題につきましては、三十年度二億五百万円に対して、三十一年度は十五億六千五百万円、十三億六千万円の増であります。これに文部省関係の原子核の試験研究の経費を含めますと、三十年度五億四千万円に対して三十一年度二十億二千万円、十四億八千万円の増と相なっております。  農林水産関係の技術振興の問題、「農林水産技術最高会議を設け」と書いてございますが、三十一年度に三億七百万円、これは一番初めに申しました各省試験研究費の総額の中に含まれておりますが、三億何がしの金額が予算として計上してございます。  五番目に国土の保全及び開発の促進でありますが、公共事業費は総体といたしまして、これは食糧増産は先ほど申しましたので除き、特別失業対策事業、臨時就労対策事業を含んだ計算でございますが、全体として三十年度は千二百五十五億、三十一年度は千二百七十一億、十六億の増でございます。  これは実は五カ年計画では三十五年までに三七%事業をふやすということになっておりますので、それからいたしますと、年度割といたしますとやや少いのでございますが、これは主として災害が少かった関係上、災害復旧費が非常に減っておるというところに原因があるわけでございます。  治山治水、道路整備はことに金額はガソリン税の関係で非常にふえております。そのほか道路公団を新設いたしまして、一般会計、資金運用部、公募債その他を合せまして、道路公団には八十億の資金を動かして仕事をやって参るということに相なっております。  それから林道の問題では、余剰農産物の資金から約十億を融資いたしまして、重点的な森林資源林道開発造林をやって参ることになっております。  その次の段に、これらの公共事業について「事業実施上の総合調整をするという措置を講ず」と相なっておりますが、これは経済企画庁予算として五億の総合調整費というものをつけまして、これを土台にして各省の、ことに総合開発地域を中心として各省のやります公共事業の調整をはかって参る、こういうことになっております。  その次の北海道開発公庫でございますが、資金運用部、産業投資特別会計、公募債その他を合せまして八十億の資金をもって北海道の特殊性に応じた開発をやるということになっております。  六番目は雇用機会の増大の問題でございますが、一段目にあります特別失業対策就労対策費といたしましては大体計数は同じでございます。三十一年度も三十五億で同じでございますが、吸収人員は単価を上げました関係上約一万減になります。そのかわりと申しましては何でありますが、新しく臨時就労対策事業というものをやることにいたしまして、三十一年度六十九億の予算がついておりまして吸収人員は約二万を予定いたしております。そのほか一般失業対策事業が相当増額になっておりまして、吸収人員は約一万八千人の増加を見込んでおります。失業対策事業全体といたしますと、約二万八千人の吸収人員の増を見込んでおります。  次に民生の安定の問題でございますが、第一段目にあります社会保険の強化、公的扶助の強化、国民医療の充実、こういう問題を総合いたしまして、失業対策等を除きまして予算は三十年度九百七十七億が、三十一年度千三十億、五十三億の増になっております。人口増その他を見込み社会厚生保険特別会計への一般会計からの繰り入れ等を見込みまして、全体で五十三億の増になっております。  住宅の問題でございますが、住宅は三十年度四十二万戸に対し、三十一年度四十三万二千戸の計画を立てておりまして予算といたしましては一般会計では七十億ほど減っておりますが、財政投融資で八十四億ほどふえて、その他自己資金、公募債その他で三十一億まかなうということに相なっております。  八番目は健全財政の堅持及び金融正常化の促進でありますが、健全財政の維持という面では、計数的なことを申し上げますと、一般会計予算規模国民所得に対しまして三十年度は当初予算で一四・八%ほどになっております。先般の補正を入れますと一五・一%でございます。三十一年度の一兆三百四十九億という予算規模は、先ほど申しました国民所得に対して一四・八%に相なります。地方財政につきましても機構の問題、給与の問題、補助金の合理化の問題等いろいろな措置が講ぜられることに相なっております。  十ページに参りまして、四行目に民間資金の活用という問題がございますが、民間資金の活用といたしましては、この数字はいろいろ大蔵省当局とも打ち合せました試算でござい、はすが、相当民間資金を活用することにいたしまして、三十年度は六百二十三億に対しまして、三十一年度は千三百九十七億程度民間資金を活用して参るということにいたしております。  九番目最後に物価の安定の問題でございますが、一般会計予算の有効需要とか生産に及ぼす影響というものは、私どもは大体中立的であると見ております。一般会計の対前年増加率は四・四%でございます。国民総生産の対前年増加率は四・二%でございます。こういう点その他いろいろな点から考えまして、大体中立的なものと考えております。ただ一般会計の内容から見ますと、消費的な家計部門に対する最終需要として現われる面が、昨年に比べまして多少多いのではないかと考えられます。特別会計では消費者米価、国鉄運賃の値上げはしないということを前提といたしまして計画を組んでおるのであります。  資料もございませんのでおわかりにくかったと思いますが、以上をもちまして三十一年度の計画予算並びに財政投融資等との関連につきまして、概括的に御説明いたしました。
  8. 菅太郎

    ○菅小委員 今の御説明資料がなくて聞きましたので受け取りにくいところがありましたので、今の数字を入れたのがありますればいただきたい。
  9. 笹本一雄

    笹本委員長 三十一年度の経済計画の大綱について今説明を聞きましたが、これは各省にわたっておることでありますから、次会までに今の数字を入れたものを出していただきたい。
  10. 酒井俊彦

    酒井政府委員 かしこまりました。次会に提出するよう話し合いをいたします。
  11. 笹本一雄

    笹本委員長 この際帆足君より発言を求められております。これを許します。帆足君。
  12. 帆足計

    帆足委員 資料をいただきたいのです。賠償問題の経過についての詳細な資料を私ども持っておりませんので、この前お役所にお願いをしたのですが、そういうものができていないということでした。新聞で断片的に賠償問題の進行を知っておりますけれども……。一つの国について数行でけっこうなんです。いつから交渉が始まって、ここでこうして、現状はこうなっている、その一覧表をいただきたいのです。どうせお役所の方でも長官のお手元に必要だと思いますから、簡単なものを係官の方に御用命願いたいと思います。
  13. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいま御要求のございました資料でございますが、まだできておりません。これはむしろ外務省にお願したらいいかと思いますので、外務省と連絡をとりましてできるものでしたら提出したいと思います。
  14. 笹本一雄

    笹本委員長 それでは質問の通告がありますからこれを許します。秋田君。
  15. 秋田大助

    秋田委員 簡単に四点ばかりお尋ね申し上げます。  第一点は国民総生産の問題でありますが、巷間、特に積極財政を主張するような方々の間においては、企画庁その他政府の試算しております国民総生産の額が少いのではないかということがよく言われております。外国の財政あるいは経済評論家も、日本の実力はもっとあるぞというふうなことをよく言っておるように聞くのでありますが、この点に関する企画庁の考え方をお伺いしたい。  第二点は、ただいま「昭和三十一年度経済計画の大綱」の御説明の中におきまして、その六ぺージのところに  「中共ソ連貿易についても改善につとめるものとする。」と書いてございます。「改善につとめるものとする。」という御趣旨もちろんけっこうでありますが、積み上げ作業の際に、輸出入両面にわたって増加数字がこの中に入っておるのかどうか。  それから第三点は、ちょっと前後しますが、この大綱の五ページに「海外投資を積極化し、」と書いてございます。これは数字的に予算等においてどういうふうになっておるか、またどういうふうに考えておられるか。貿易わが国経済外交の中心問題であることはあえて論ずるまでもございません。ことに東南アジア方面が中心であることまた論を待ちません。ところが最近聞くところによると、東南アジア方面においては、何も日本輸出を盛んにするためにわれわれが協力する必要はない、経済協力という以上、未開発地域を開発してもらうことによってこそわれわれは益し、それによってこそ日本もまた益するのであって、まず第一は海外投資であると言っておるというように聞いております。その点にわれわれは大いに考うべき点があろうと思います。これにわが国財政経済は積極的措置を実際に行わなければならぬ。その点企画丘としてどう考えられておられるかということであります。  第四点は失業問題、雇用対策でございます。経済拡大均衡に応じまして、労働人口が第二次、第三次産業に吸収されて雇用が増大されることは当然でございますが、産業の合理化とともに、いわゆるオートメーションが行われる。そこでわれわれはもっと綿密に考慮をめぐらさなければいかぬと存じます。経済規模拡大による雇用の機会の増大はプラス面であるが、マイナス面としてオートメーションによる就業人員の減、これをどこでもってどういうふうに調整されていくか。これはわれわれ綿密に考慮をしなければいかぬ。ことに資本主義の立場に立って今後わが国財政経済発展向上を期すためには、どうしてもこの問題を掘り下げて考えておかなければならぬ。そこで雇用対策の重点はどこだということを明確にお示し願いたい。
  16. 小山雄二

    ○小山政府委員 第一の国民生産の問題あるいは所得の問題でございますが、ただいま少な過ぎるではないかというお話でございます。これはわれわれがいろいろ積み重ね作用をやっていると、どうしても少くなるではないかという言われ方をしょっちゅうするわけでございます。ただ今度の試算は、五カ年計画数字を出す方法が多少違うのであります。五カ年計画は、生産性伸びを見、追っかけて総生産を見て出して、上か下へ行く方法ですが、三十一年度の計画は、一方で五カ年計画の将来をにらみながら、下から上に行った方法を使っております。この計画も、三十年度の見込みを出しますために八月ごろから毎月のようにやりかえ、そのうちに実績がはっきりしますので、その実績を尊重し、最近のはっきりした実績を土台として最大限の伸びを見て計算し、それを総合したのがこの数字になっておるわけであります。この積み重ね計算をやるとどうしても作業の性質上低目になるということをよく言われますが、手に入る資料を土台としてやる限りこういう数字が適当じゃないかと考えております。  二番目の中共ソ連関係貿易についても改善に努める、これはあるいは経済外交の問題にもなると思うわけでございますが、そういう面についての政策的なことを掲げて、実は輸出輸入等につきましては、通貨別等はやっておりますが、地域別にこまかい積み上げ計算は必ずしもやっていないわけでございます。通貨別あるいは物資別に大まかなことをやっておりまして、個々の地域についての積み上げ計算はやっておりません。  それから第三番目の海外投資を積極化するということでありますが、これは先ほどもちょっと申しましたが、一方に投資保険制度を通じて民間の創意に基くそういう投資進出ができやすいようにやるということこそ政府としてやるべき仕事じゃないかということでそういう話が進んでおるわけでございます。また輸銀の関係でも、輸銀の資金計画はまだこまかいことはきまっておりませんが、数十億のものはこれに関する国内融資に予定し得るような方向で話し合いを進めていく、これももう一つ政策的に考えますと、何と申しましても東南アジア等については賠償問題等が解決して向うが投資を受け入れる空気といいますか、これは普遍の貿易も同じでございますが、そういう空気を作ることが第一じゃないかというようなことで、大臣等の方でも賠償問題の解決ということを土台にしてそれを積極化することを期待し、その投資が順調に伸びていきますれば、それに対するいろいろな援助といいますか後援ということもできるだけ積極化していくようにいたしたいと考えておるわけであります。  最後は雇用の問題でございますが、雇用の問題につきましても、実は今御指摘のような問題があるわけでございます。この計画を作ります場合にも、各産業における生産性というものを十分検討いたしたわけでございます。生産性が下るようでは、ことに鉱工業部門等におきましては相当問題がございますのでこういう点は十分検討いたしたわけでございます。概括的な話、生産性検討というものは非常にむずかしいわけでございますので、一つの試算とお考え願いたいのでございますが、三十一年度は三十年度に対して総産業で約二%生産性が上ると考えております。五カ年計画では年率二・九%と見ておりますので少し下るわけですが、約二%の生産性伸びを見ております。その中で第二次産業は約四・五%の伸びを見ております。三次産業は二・二%、一次産業はかえって減りまして、六%程度生産性が減ることになります。これは就業の関係積み上げ生産関係積み上げた結果試算的にはそういう数字が出ておりまして、生産性の問題がやかましく言われます二次産業、特に鉱工業については十分そういう配慮をいたしまして、この計画全体を進めておるということを御了解願いたいと思います。
  17. 秋田大助

    秋田委員 第一点から第三点までのお答えで事務官僚としてのお答えは大体わかりましたが、問題はむしろより基本的な政策的な問題に関連をいたしますから、その点は追って大臣等の御出席を願ってなお詳細にお尋ねをしたいと思います。  ただ第三の私の質問は、第一次、第二次、第三次産業部面における生産性雇用の問題で、オートメーションの問題を、自動化を中心にしてどう考えておるかということが重点であります。そこの説明が抜けておったように思うのと、それからお答えの中で、一次産業生産性が減っていくのでございますが、そうするとこれは減産になるという意味のように見られるのでしょうか、お言葉が足りないのですか。
  18. 小山雄二

    ○小山政府委員 オートメーションの問題につきましては、オートメーション等が採用されれば、その当該工場における失業が起るというような問題もあるいはあるかと思いますが、この計画全体といたしましてはそこまで一々詰めずに、産業別あるいは業種別に大観的な観察をしてやっておるわけでございます。オートメーションが少くとも三十一年度計画として三十一年度にどの程度採用できるかという見通しの問題もございますが、作業としてはそこまで一々個別的に詰めてない次第でございます。第一次産業生産性が減ると申しましたのは、第一次産業の要するに農業、漁業関係等でございますが、一人当り生産額が多少減るということでございます。
  19. 秋田大助

    秋田委員 そうすると第一次産業の一人当り生産性が減るということは、輸入に振りかえていくという意味に解釈していいのかどうかということと、それからオートメーションとの関連の問題でございますが、三十一年度ではすぐにそれはそう大きな影響を及ぼしてこないと思います。むしろこれは五カ年計画なりまたその次には第二次五カ年計画というものが予想されますが、やや長期わたりますときには産業合理化 必然的にこれはオートメーションに進む、それでこそ合理化の成果が上ってくる、それによって生産性が向上をしてくる、それが雇用の問題に及ぼす影響ということは、これはもう時代の問題でありましてこの点は非常にむずかしい問題でありましょうが、ほんとうに責任をもって企画庁あたりが綿密に一つ御考慮を願いたいのであります。非常にむずかしい作業ではごいましょうが、ある程度数字的な見通しというものを、個々に政策を加味してお考え願いたい、そうすると政策的に雇用問題の解決には重点的にどういうことをしなければいかぬのだということが資本主義経済の立場に立つものとして当然結論が出てくるのではなかろうかと思う。この点をしっかり把握しておきませんと、計画全体がくずれてくるというようなことも考えられますので、お尋ねをしておるわけでございます。この点について何らかの、ここでラフなお考えでもあればけっこう、なければこの次までに、大体ラフなお考え方は心中にあられようと思いますから、それをある程度まとめて御発表願えればけっこうでございます。
  20. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいまの最後の点が五カ年計画の方に関連しての御質問でございましたので私の方からお答え申し上げますが、実は日本におけオートメーションの問題はどういう分野に入ってくるかということが第一の問題でございまして、私どもの考えといたしましては、いわゆる装置産業、化学工業が中心になります。それから石油工業、金属工業の大きな圧延方面、こういった方面にだんだん入って参るかと思うのでございます。オートメーションには大きくいって二つの面があると思うのでありまして、一つはオートメーションをやることがその工業の性質上、どうしても避けられない、たとえば石油工業などのように、燃料物資を使っておりますと引火の危険がありまして、しかも徴細な調整を必要とする。これはどうしても人力よりも機械によらなければならない。またこういう分野は化学工業に一番多いと思いますが、一番問題になりますのは、ただいまのお話の点では機械工業のオートメーションの問題だと思います。これはアメリカのように相当雇用の高い国でも機械工業のオートメーションについては非常に今論議のまとになっておるのでございます。私どもの考えといたしましては、技術的に、またコストの面、あるいは製品の品質の上から、オートメーションを必要とするものは、どうしてもやっていかなければならないのじゃないか。ただ特に機械工業等の労力の節約をおもに目的とするような分野におきましては、日本は何といいましても賃金がアメリカに比べれば非常に安い。一方において資本の金利が非常に高いのでありますから、損益計算から見ましても、むやみに生産工程を自動化するということは、必ずしもコスト・ダウンにならない。コスト・アップになるようなケースが相当にあるように思われます。こういう分野については、日本の賃金水準なり金利の水準なりとにらみ合せ、あるいはマーケットの大きさなどともにらみ合せまして、選択的に考えていくことが必要であろうと思います。  五カ年計画雇用につきましては、一応、五年後の各産業生産規模から、雇用の量に対する雇用の数を過去の実績からはじきまして、このような自動化が進むような、たとえば肥料工業、石油工業というような面は生産量が伸びておるのに対しまして、あるいはセメントなどもそうでございますが、雇用増加は非常に少くなっております。それ以外に日本の場合には、非常に零細なといいますか、小規模な、特に国内消費向けの産業あるいはサービス産業というような面は、なかなか自動化ができない分野だと思われますので、こういう分野につきましては、やはり過去の実績に基きまして、部門別に一応の概算をいたしまして、それを集計しておるわけでございます。
  21. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの発言中に重大な問題が含まれておったように思うのであります。時間も相当おそくなっておりますから、つき詰めて論じないことにしまするが、オートメーションを進める分野というものは、私はあなたが考えておるよりはもっと広い分野に進むと思います。またオートメーションということに限ってお話を申し上げましたが、どうしても生産性向上のために、オートメーションの一部であるところの、産業合理化、あるいは合理的経営方法というものを進めなければなりません。これを進めますと、非常に雇用の機会が少くなってくるというところに問題があるのであります。それともう一つただいまの発言の中で、わが国の労賃が比較的安いから必ずしもオートメーションを、ある分野においては進めなくてもやり得るから、完全雇用的な考え方で自動化を採用しないで、雇用問題をある程度しばらく先へ伸ばし得るというようなお考えであります。そういうことも確かに考えられますが、問題になるのは賃金が安いから——この点は少しお言葉を補足されておかないと、重要な問題を喚起してくるのではないかと思います。
  22. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 少し言葉が足りなかったと思いますが、結局賃金と申すとあるいは差しさわりがあるかと思いますが、人口一人当り国民所得が、日本の場合はアメリカなどに比べて非常に低い。これはやはり経済規模拡大いたしまして、だんだん一人当りの所得がふえて参りますれば、この賃金水準もおのずからそれに伴って高くなっていくと思うのでありますが、ただ現在の段階では、アメリカは一人当り年間国民所得約二千ドル、日本が大体二百ドル弱というような実情が、現在実際に存在しておりますので、その現状をもとにして申し上げたので、将来ずっとそれでよろしいということではございません。  なお、いろいろオートメーションその他広い意味の近代化雇用量の盛衰ということは、私どもまことに重大な問題と考えておりますので、五ヵ年計画で一応の概算はやっておりますが、今後この計画を掘り下げていく上の非常に重要な問題だと考えております。さらに勉強いたしましてこの方面を掘り下げて参りたいと存じております。
  23. 笹本一雄

    笹本委員長 小山政府委員から今の質問に対して補足さしてもらいたいとのことでありますのでこれを許します。
  24. 小山雄二

    ○小山政府委員 先ほどの、第一次産業生産が減るということでございますが、三十年度は非常な豊作でございまして、第一次産業の就労も多少ふえておりますが、それにしても二千万石程度の豊作でございますので、一人当り生産額が非常に高かった。三十一年度は平年作を予定いたしますと、一人当り生産額は三十年度に比べて多少減る、こういう意味でございます。
  25. 田中龍夫

    田中(龍)小委員 議事進行について発言いたします。当委員会としまして、政府当局を鞭撻するとかあるいは企画庁の作業に対して御協力する、こういうふうないろいろな観点からも、この五カ年計画の全体の内容は第一都にありますし、また今日までの詳細な統計その他は三部の方にありますが、企画庁として五カ年計画計画されましてそれを現実の上にいかに反映するかという、要するに基礎になっておる第二部の施策の点について、一つ要領よく第二部のこの計画遂行に当っての施策を伺ったらどうかと思います。それによってわれわれもいかに協力するか、また政府をいかに鞭撻するかということもはっきりすると存じます。第二部の点は約二十ページばかりありますが、簡単に十分か十五分ばかり要領よく御説明をいただきたいと思います。
  26. 菅太郎

    ○菅小委員 その前にちょっと質問をお許し願いたいと思います。基本的な問題でありますが、私新米でありまして非常に幼稚な質問をするかもしれませんがお許しを願います。  五カ年計画をこれから逐次実行していくのでありますが、経済の進展のいろいろな実情、実績に応じまして、この五カ年計画が実際とマッチしたいということが逐次判明をいたしました際には、五カ年計画の修正はどういうふうにお取り扱いになりますか。修正の問題についての方針をお伺いしたいと思います。
  27. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいまの御質問につきましては、実は企画庁の内部でもいろいろ討議中でございます。計画の今後の進め方について研究中でございますが、大体の考え方といたしましては、毎年々々の動きには相当景気変動の波もございますし、動きもあるかと思いますが、比較的長期に見ますれば、短期的な狂いは割合に少くなるのじゃないか。従いましてあまり短期間の動きで五年後の目標自体を動かすことはどうかと考えられますので、少くともこの二、三年はこの計画に基いて目標を動かさずにやって参りまして、もちろん個々のこまかい数字については実績が判明するに従いまして変ってくる点があるかと思いまするが、ある期間計画年度が経過したところで全体的に目標数字を再検討してみる、そういうことが必要になってくるかと思いますが、さしあたり当分の間は個別的な研究をしていくということで進めたらどうか、大体そういう考え方でやっておるのでございます。
  28. 菅太郎

    ○菅小委員 と申しますと、さしあたりは修正というようなことは今のところ考えられぬけれども、将来情勢次第によっては修正もあり得るわけですね。
  29. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 かなり先になってからのことだと思います。たとえば五年計画で五年経過いしたますと、最終目標は、六年度の計画と同じものになります。少くともそのことになれば、何らかの修正は必要になって参ると考えております。
  30. 菅太郎

    ○菅小委員 たとえば今の御説明の中にもありましたが、この計画前提の中で、対大陸貿易の問題、中共ソ連貿易の問題なども、これには逐次制限を緩和して漸進的に伸びるものとするという前提になっておりますが、今お聞きしてみまするというと、地域別の貿易計画伸びについてはまだ考えてないというようなことでございます。これなどは大きな穴だろうと思うのです。少くとも中共ソ連に対する地域別について、それは漸進するものという方針をお立てになっておって、それについて具体的に数字的には何ら考えたことがないというお話でありますから、これは一つの例だと思いますが、私どもしろうとが見ましても、そういうことでありますならば、この計画自体相当大ざっぱなものではないか。ことにいわゆる全体主義国家の計画経済でないのでありますから、また性格上も大ざっぱとならざるを得ないと思いますが、従いましてある程度の年度の進展する際に、この計画をどう修正、補足しながらいくかというようなことについての御方針を、しかと一つお立てになっておかれることが必要じゃないかと思う次第であります。十分その点研究を願いたいのであります。  それからこの問題につきまして、これもまたきわめて基本的な問題でありますが、こんなわが国のような自由主義体制を基本としております国における経済計画政府が立てました場合に、経済計画の拘束力と申しますか、あるいは計画樹立に対する責任というようなものは、どういうふうに考えたらよろしいのでございましょうか。これは法律でもありませんし、予算でもないのでありますが、ただその一片の紙に書いたものであって、何らの拘束力がないということも考えられませんし、一体その点はどういうふうに考えたらいいのでありますか。どなたからでもいいのでありますが、お考えを聞きたいと思います。
  31. 酒井俊彦

    酒井政府委員 この計画はおっしゃるように計画経済ではございません。現在の資本主義体制を前提といたしまして立てたものでありますから、個人及び企業の創意というものを基調としてやっていこうというものでございます。従いまして先ほどお話のありましたような、拘束力と申しますか、そういうきついものではございません。しかしながら現在の経済を動かして参ります場合に、いろいろな経済政策を立てまする場合に、全然先の見通しなしにそういう計画を立てるということは、非常に間違った方向へ経済が行く危険性がございます。従いましてこういう計画を立てまして、これに従いまして、たとえば国家の予算にいたしましても一歩々々この目標に近づくように予算を組む、あるいはそのほかの経済政策に関しましても、大体こういう目標に向ってこれが実現するように経済政策を立てていくということを目標にいたしたものであります。それはなぜそういうことが必要かと申しますと、経済が順調に拡大発展いたして参ります場合に一番必要なことは、バランスがとれて経済発展していくということでございます。そういうバランスを見ないで各経済施策を立てていくということは、その間に摩擦も起りますし、また途中で変なことが起って、挫折するというようなことにもなりますので、そういう点を明示いたしまして、予算なり経済各省が立てまする経済施策の基、本的な方針を示していこう、そういう意味で立てた計画でございまして、社会主義体制における計画経済とはその点において非常に異なっているというふうにわれわれは考えております。
  32. 菅太郎

    ○菅小委員 そうしますと、この経済計画が出て、実際やってみてその通り実現しないという場合の責任でございますね。これは政府として国民に対する政治的責任はあると思うのでありますが、法律上とかなんとかいう問題ではなくて、政府としては一つの政治的責任と考えられる。これはお互いに研究するのですから、一つ忌憚なくお教えを願いたいのです。それから内閣として行政各部に対する関係は、主として立案の正確さ及びその執行の正確さの問題になってくると思いますが、これは内閣総理大臣各省長官に対する現在持っている権限、それが規定すると思います。それから企画庁長目の各省に対する権限としては、先ほどお話のようにいろいろなものがある。特にある種の勧告権をお持ちになっている。大体そういうことに考えてよろしゅうございますか。そうしますと、対国民関係というものは、一つの政府の道義的責任、政治的責任という漠然たるものであって、それから民間人に対する一つの指針を与える力というのも、いわば行政指導力といいますか、もう少し政治的に言えば、一つの政治的影響力と言えるものである。その程度に考えてよろしいのでありますか。
  33. 酒井俊彦

    酒井政府委員 これは先ほどお話し申し上げましたように、また今御質問がありましたように、計画経済ではございません。本来日本経済が非常に国際経済に依存する度が多いのでございまして、たとえばそういう国際経済に対する見方、これは世界は非常に動いておりますから、相当変化することがあろうと思います。それらの基本になっております前提がいろいろ狂った場合には、おそらく日本経済としては大きな影響を受ける。従ってまたこの目標自体も実際に即しないことができてくると思います。そこでこの計画を作ります場合には、この五カ年計画の第一ページの中ごろに書いておりますように、「計画目標数字は必ずしも固定的なものとは考えず、その時時における経済情勢に即応しつつ弾力的な運用に努めるものとする。」というふうに書いてございますが、われわれの気持はそういうところにあるのでございます。これをもとにしまして毎年度経済計画を立てて参りますが、それが現実に計画した数字と違った場合にどういう責任があるかということでございますが、われわたといたしましてはこういう目標を立てまして、国民にも明示し、政府各省に対しましてもこういう線でいってくれということでお願いをして、そちらの目標に向って各種の施策を講ずるわけであります。その年度を終りまして振り返って見て、計画実績とはおそらく毎年違うだろうと思います。その違った場合に、ではなぜそういうふうに違ってきたのかということを分析いたしまして、その違った理由に基いて、さらに次の年度にはよりよく現実にも適応し、またバランスのとれた一つの方向を新しく打ち立てていくというふうな運用の仕方をして参りたいと思います。先ほど申し上げましたように、この計画目標は必ずしも固定的に、これが実現しなければこの計画はだめなんだということでなしに、いろいろ変化する内外の情勢に即応しつつ適宜弾力的に運用していく、そして振り返ってその実積と計画との狂いを十分検討いたしまして、むずかしい言葉で言いますと、試行錯誤的に計画をだんだんよく直していきたい、こういうふうな考え方であります。
  34. 菅太郎

    ○菅小委員 私の申し上げましたところに必ずしもしかと触れておらぬかと思いますが、まだこの問題は将来にわたって根本的な問題として十分御検討願いたいと思います。この問題の具体的例としてちょっと御質問したいのでありますが、二十九年度を初めとする六ヵ年計画としてお立てになりましたときの三十年度の貿易見込額と、それから現在における三十年度の実績の見込額と、輸出輸入について相当の差があると思いますが、どの程度の差があるのか、一つ伺いたいと思います。
  35. 小山雄二

    ○小山政府委員 六カ年計画を立てましたときのそれに基く三十年度計画では、輸出は十六億五千万ドルと見ております。先ほど御説明しましたように、三十一年度計画資料によりますれば、ただいまの見込みでは二十億五千万、ドル、約四億ドルの差であります。
  36. 菅太郎

    ○菅小委員 時間もございませんからまたの機会でよろしゅうございますが、輸入の方についても相当の幅の開きがあるものと存じます。もちろんこの国際収支、貿易の問題というものは非常に国際的変動で予測しにくい問題もありましょうし、また日本経済の持っております底の浅い性格から、国際情勢に影響される変動の振幅が非常に大きいということもわかりますけれども、そもそもこういう年度計画を本格的にお立てになる劈頭の一年くらいの間にこういうふうな見込み違いがすでにあるわけでございます。私はこの五カ年計画の年度々々において絶えず再検討しながら修正していくという態度が、非常に重要でないかと思います。さきに大陸貿易のことを申し上げましたが、これが一つの例でないかと思うわけでございます。従いまして絶えずこの計画を実地に即応して検討しながら進むという方針を、しっかりお立てになっておくことを希望いたすわけでございます。私がさきに申し上げましたような、この計画の拘束力と申しますか、責任という問題もからむのでございますが、そういう意味におきまして非常に正確に作業をし、策定しながらも、絶えざる修正が必要である。従って年次計画というものの責任というものも、そういう問題とからませて十分当局として一つの基本的な考えをお持ちおきを願いたい、こういうふうに考えましたので申し上げたのでありますが、そういう問題についても将来もまたいろいろ御質問をしたいと思いますから、御検討を願いたいと思います。
  37. 笹本一雄

    笹本委員長 田中委員の発言の議事進行に対する説明は次会のときに役所の方からやってもらう、そういうふうに譲ることにいたします。
  38. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 田中君の議事進行の動議はそれでけっこうでございますが、先ほど来の質疑応答のうち、特に菅さんの質疑応答と関連しまして、政治的な問題かと思いますけれども、きわめて事務的に一、二お答え願いたいと思います。事務的に私は確めたいのです。  大体先ほど菅さんから話が出ておりますのは、私はずっと長い間安本時代から関係しておるわけでありますが、経済企画官庁は頭のいい者はかり集まって一生懸命計画は立てるけれども、それと実施官庁行政とのギャップというものがどうしようもないということが、昔からのわれわれの一番心配な点であるわけなのです。それを埋めるための推進を私たちがやり得れば幸いだと思っておるわけでありますが、そういう観点から、第一点は、経済計画を立てられる場合に、たとえば今一番政治的な問題であるところの賠償問題あるいは先ほど菅さんからお話しのあったところの中共、共産圏と一の貿易問題というようなものについて、五カ年計画なりあるいは年次経済計画なりを実際に立てられるという立場から具体的な推進をされることが経済企画庁でありますか、あるいは日比賠償なら日比賠償に対して、日本経済事情からするならばこの交渉の際にそういう方針をとっていくのが日本経済発展のために妥当であるからこういう方針をとられたいとか、それから共産圏貿易に対しまして通産省の普通の見方はこうこうこうなっているけれども、今こういう方針をとっていくならばこういう発展が望み得ると思うから、こういう観点からの推進を織り込んで、たとえば今のワシントン交渉を推進されたいとか、そういう純粋の経済企画官庁として現実に動いておる政治面あるいは行政面に対して、推進なり意見なり勧告なりということをされることがあり得ますか。
  39. 酒井俊彦

    酒井政府委員 たとえば今例としておあげになりました賠償の問題あるいは中共ソ連貿易の問題、それに対して企画庁として計画に基いてこういう方策をとれというふうな推進をするかというお話でございます。たとえば賠償等につきましては、私どもといたしましては賠償はやはり国の経済力というものから判断すべきものであるというような考えを持っております。そういう面から、賠償の大きさというのはそういう国民負担の関係から大体どの辺ぐらいというような意見は申し上げますが、しかしこれは非常に重要な外交問題でございまして、単に日本側の経済力云々ということだけでなしに相手のある問題でありますから、必ずしもその通り企画庁の意見を押し通すということができない場合もあろうかと思います。なお中共ソ連貿易等につきましては、実は先ほど御説明申し上げましたように、まだそこまで地域的な計画も立てておりませんし、目下のところまだそういうふうなことを言う段階まできておりません。今後なお研究したいと思っております。
  40. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 私の聞いておるのはそういうことでなしに、たとえば具体的に高碕経企長官が日比賠償に対しての担当にあるのかないのか知らないけれども、相談に乗っておられることは事実でございます。その場合に、たとえば資本財をこのくらい持っていった方がいいとか、あるいは現金支払いに対して貿易関係のこういう手を打った方がいいとか、あるいは役務賠償をどうしたらいいのかというような具体的な話が出ております。その場合の具体的な資料の作成あるいは具体的な意見の推進経済企画庁ではなくて通産省でしょうか、通産省から意見を求められ、あるいはそういう経済の問題の資料を求められて日比賠償の経済問題を扱われておるのか。経済企画庁からそういう問題を出されて、あるいは意見を出されて高碕さんの推進力になっているのか、高碕さん個人の考え方か、この三つのうちのどれですか。
  41. 酒井俊彦

    酒井政府委員 賠償の問題は外務省が権限を持ち、おもな任務としてやっておられます。それに対して経済閣僚としての経済企画庁長官がいろいろ意見を言われておると思うのでありますが、事実について申し上げまするならば、私どもは企画庁長官がいろいろ御意見を固められる場合に、長官の指示に従いましていろいろな資料を作成しておるというのが実際でございます。
  42. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 外務省が中心になっているのは当りまえな話で、私の言うのは、外務省が中心になっておるのならば経済企画庁長官が出ぬでもいい、そうでなくて、外務省が外交交渉をやる際に、経済関係が非常に深いからというので高碕さんが出ておるわけで、その高碕さんが経済問題を推進する場合には——あの賠償計画を見ましても、御承知通り十年、二十年の計画です。十年、二十年の賠償計画であるとすれば、あなた方が立てておられる五カ年計画よりももっともっと広大になる。しかもそれは約束してしまえば、今の五カ年計画あとから変更するような格好には簡単にはできないものなのだ。そうすると私の端的に言いたいことは、あなた方は一生懸命五カ年計画をやられますけれども、それが日本の現実の実施官庁である農林省なり通商省に対して今菅さんのお話がありましたように、非常に拘束力も指導力も薄いわけです。そんなところに重点を置かれるよりも——と言ったら言い過ぎかもしれないけれども、そこに重点を置かれると同時に、もっと日本長期的な経済計画に対して端的な影響を及ぼしつつあるのが今の賠償問題でありますし、そしてまた共産圏に対する貿易計画であるわけで、その問題の場合には非常に具体的になるのです。ですから私はどの程度事務的に関係されているのかということを聞きたかったけれども、大体事務的にはあまり関係をされていなくて、高碕さんが発言する場合にどうだというくらいらしいのであります。私の質問はその事務関連を聞きたかったのだけれども、希撃として申し上げておきたいのは、五カ年計画を樹立されるくらいな熱意があるならば、長い長期計画で直接に影響を及ぼすこれらの問題に対しましても、もっと事務的な関連を持たれることが正しいのではないか、なるべくそういう方向に行かれるようにお願いをいたしておきたいと思います。  第二点は、これまた同じことですけれども、年次というか毎年立てられる五カ年計画と、それから今年度ならば三十一年度経済計画というものと大体あまり関係がない。去年も私言ったのですけれども、これはあると言われればあります。けれども五カ年計画の方はむしろあなたの方の経済企画庁が中心になって、なるべく実情に沿うようにとは言いながらも、むしろ相当な努力目標策定されるくらいな格好でリードされながら作られる。ところが三十一年度の経済計画というのは、予算の方針が大体きまってからその予算説明材料みたいな格好で作られておるのが現実です。その証拠には、去年の五カ年計画の中には新農村の計画といったものは何にもなかった。ところが今度の三十一年経済計画の中にはそれが二つ出てきて、いかにも昔から考えているみたいな格好で出てきている。その辺のつり合いが非常に不円滑のように見えるのですけれども、五カ年計画を立てられる事務官庁と、年度の経済計画を立てられる事務官庁とは、役所の中は今どういうふうに分かれて、どこがどう担当しておるわけですか。
  43. 酒井俊彦

    酒井政府委員 経済企画庁の内部におきましては、五カ年計画の方の立案、これはまだ完全にできておるというふうなところまでいっておりませんので、今後も計画をさらにいい方向に練っていかなくちゃならぬと思いますが、その五カ一計画を立てまする部局は計画部でございます。それからそれに基いて次の年度の経済計画を立てますのは調整部でやっております。つまり五カ年計画計画部で立て、調整部で三十一年度計画を立てたということになっております。ただいまのお言葉の中に、予算がきまってからあと説明材料にくっけたんじゃないかというお話がございますが、これは先ほど調整部長からも御説明いたしましたように、三十一年度の経済計画の大綱は、なるほど閣議決定になりましたものは今年の一月二十日の予算と同時でございますが、昨年の末以来経済計画の骨子というものを作りまして、それを閣議提出をいたしまして、経済企画庁長官といたしましては、その線に沿って予算を組んでくれということで各閣僚に御説明もし、そっちの方に引っぱってきたということでございます。表面上は一緒にきまっておるようでありますが予算のきまる前に三十一年度の計画の大体の方向をきめまして、それでリードしておるというのが実情でございます。
  44. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 承わっておきます。ただ私は安本以来この方十年くらいずっと見ておりますが、大きくなったり小さくなったり、あまり力のなさそうなことが事実問題であります。従って私強く要望しておきたいことは、予算策定の根幹になっているといわれますけれども、それは上書きの作文のところだけが一緒になっておるくらいで、むしろ事実上は大蔵省の予算計画に従って三十一年度の経済計画がきまるのであります。というよりは作文されるというのが実情であったように感じます。私どもはそれでは工合が悪いので、今酒井さんが言った、内容が現実にリードされるような格好に持っていくことを念願としておるわけであります。せっかく御検討をお願いいいします。  第三点に、これはこの次の委員会で始まるそうでありますが、考え方だけをお伺いしておきたいと思います。国土総合開発の問題につきましては、調整という問題が一番大事だということに昔からなっておる。見ておりますと、昨年度といいますか、三十年度から三十一年度にかけての変化は調整費をふやしていくというところにあるらしい。私はむしろこの点に関しては逆であって、調整費をふやしていけば一これはもう役所の皆さんの方が御承知のように、農林、建設、通産と三つ一緒になってする仕事の特定総合地域の中のたとえば農林関係の仕事がおくれておる、そのために調整費を使ってバランスをとらせようという考え方が進む限り、それならば大体経済企画庁からとれそうだからというのを当てにして、農林省はその費用を初めから減らしていくというので、むしろますますアンバランスの傾向を強くしていくことだと思う。従って国土総合開発ということの総合調整なんという仕事が別の機関であるということ自身がおかしいと思う。国土総合開発計画推進しようと思えば、調整費用ではなくて、予算を編成するとき及び予算実施するときに国土総合開発のための総合性を持った計画推進させることが必要なので、そのしりぬぐいの方を企画官庁がやられるということは、これはさかさまみたいな感じがするのですけれども、現在のところそれは承知のすけ、仕方なしの措置であるのか、あるいは役所の中でなるべく自分で予算を持たなければ仕事にならぬからという意味の調整費をふやすという方向をとっておられるのか、いずれでしょうか。
  45. 酒井俊彦

    酒井政府委員 私どもも全く佐々木さんのおっしゃったところと同じように考えておりますが、実は国土開発の総合調整につきましては、計画を立てるとき、あるいは実施する前の段階でしっかりした調整をするというのが理想でございます。われわれがその点について今まで足りないところがあったことは自覚いたしておりますが、そういう点はぜひ明年度から強力にやっていきたいと思っております。従いまして、今度調整費五億を計上いたしましたけれども、これは私どもの理想から申しますならば、一銭も使わないのが理想でございます。事前に十分調整をいたしまして、一銭も使わない、そういう心がまえでこれを動かしていきたいと思います。  ただ従来の進み工合を見ておりますと、やはり年度の後半におきまして各事業の進行状況が若干違って参りまして、ある一部ができないためにはほかの事業の経済効果が発揮できないというようなことが、実際問題として往々にして起りがちでございます。事前に十分そこまで見通せなかったという点が出てくるだろうと思います。そういう場合に、ごくわずかの金で経済効果を上げますために調整費というものをいただいたのでありまして、これをおっしゃるように農林省なり建設省なりが、あそこに五億あるからここのところは穴をあけておいて取ってやれ、こういうことならば、むしろ逆になりますので、その点は私ども厳重に注意いたしまして、むしろ理想としては五億円は一文も使わないという心がまえで、事前の調整に力を入れていきたいと思っております。
  46. 佐々木良作

    ○佐々木(良)小委員 国土総合開発の問題は、またあと委員会で論ぜられると思いますから、今の酒井さんの努力目標を了承いたしまして、一応私の質問を終っておきたいと思います。  ただ最後に申し上げておきたいことは、正直に申しまして、国会に出ておって、私どもこの委員会関係しておる者はまだ非常に好意的でありますけれども、私どもこういう岐路に立っておる。経済企画官庁というのは、データだけとる機関にして、データ作成機関にしようか、そうではなくて、何とか日本経済の統一ある推進力をここに求めようか、仕方なければデータだけ求めてほうっておこうかという岐路にいつも立ちながら従来おったわけです。そうして大体きょうは少数でありますけれども、この委員会関係されておる者は、何とか経済企画庁日本経済の一つの推進の柱にして、推進したいという観点で相当鞭撻もすれば、一生懸命助言するつもりなんだけれども、今言いましたように、事実上はデータ作成機関に堕しておるのが現状でありますので、先ほど菅さんの質問も、秋田さんの質問も、田中さんの今の議事進行もおそらく同じところをねらっておられるのだろうと思います。従いまして、よその委員会とはまた違ったそういう意味も持っておりますから、御検討を特に要望して質問を終ることにいたします。
  47. 笹本一雄

    笹本委員長 本日の会議はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十四分散会