○
石橋国務大臣 むろん
政府としては、
政府が
実施いたしました政策によって大いなるそういう
失業者が出るということは、第一これは希望いたしません、これは防止しなければならぬ、そういう責任を持っております。ですから
政府としては、むろん責任を負わなければなりません。
それから今
労働省側の
答弁がはっきりしないという
お話、これはまことにごもっともでございますが、しかしこれは
労働省側はおそらく
失業者が出てからの処置でございますから、今どれほどの
失業者が出るか、どこにどれだけのものが出るかということは、まだ的確につかめない段階にございますので、従って
労働省側としてこれに対してどれだけの処置をするという的確なことをここで申し上げることができなかったものと私は察するのであります。問題は
失業者を作らずに——さっき申しましたように、これは
失業者を作ったら、もう作ってから救済したのじゃ実はおもしろくない。
失業者を作らないということが第一のわれわれの責任でなければならぬ。そこでいかにも
繊維産業臨時
措置の問題は、これは
あとで申し上げますが、実行いたします結果、全然どこにも何にも波乱がないとまで断言することは、これは行き過ぎでありましょうから、そういう断言は必ずしもいたしませんけれ
ども、しかしどれだけの
失業者が出るかというのも見込みであります、それから出ないというのも見込みであります。これは悲観的に非常に大きく
考えられたら、大へんな、今従業しておる機械
産業の職工のみでは全部
失業するようにも、これは一応算術の上では出るかもしれませんが、必ずしもそういうことでも実際はないと思う。これは経済界の波は複雑であります。現にある部面においては、最近の
輸出振興等によって景気も多少回復して参りました。さすがに非常に弱っておりました
中小企業の方面にも、十分とは申しませんけれ
ども、ある
程度の潤いが来つつあるようであります。機械のごときも、
機械メーカーの、ことに部品製作下請企業においては、必ずしも
紡機だけをやっておるわけではありませんで、いろいろな機械の部品を作り得るわけでありますから、現にそういう方面にも
設備投資が、三十
年度に比較いたしますと三十一
年度はかなり大幅に伸びる見込みであります。これも見込みでありますから、見込み
通りにいくかいかぬかと言われれば、これは見込みだと言うほかはありませんが、ずいぶん伸びる見込みであります。
設備投資が行われれば、自然機械の需要もふえるわけであります。また
輸出についても、先ほど
局長から申し上げたと思いますが、一時ずいぶん
紡機の
輸出がありました。それが一応マキシマムにいって停滞しておりましたが、最近はまた再び
紡機、
織機類、染色機械類の
輸出の見込みが大分出て参りました。ですから国内における
設備投資と、それから
輸出がどれほど伸びるか、これも相当伸びる見込みでありますが、それが的確に幾ら幾ら伸びるというところまではなかなか申し上げかねるわけであります。こういうわけで、私
どもはぜひともそういうマーケットを作って、そうして
失業者を出す前に追加需要をできるだけ起して、追加需要によって
関連産業の仕事の減ることを防ぐ、
失業者の出ることを防ぐ、こういう
方法を極力やっていきたいと
考えております。
それから
最後に、何もこんなものをやらぬでもいいじゃないかという
お話のようでございますが、これは先ほ
ども申し上げましたように、日本の
繊維産業というものは日本の
産業の中の最も重要な
産業でございます。しかも、残念ながらその
繊維産業というものがかなり弱体な小企業者によって構成されておる部分が多いということが、日本の
繊維産業の弱点であります。従って
過当競争というものが起って、海外にも安売り競争が始まるというようなことでは、いたずらに貿易上の損失をするばかりでなく、海外のマーケットを必要以上に刺激して、いろいろの波乱を起して参ります。これをどうしても
調整いたしまして、日本の
繊維産業というものが安定するようにするということが私はこの際必要だと思うのです。それによってある
程度の波乱も生じましょうが、その生ずることに対しては、先ほ
ども申しましたように、できるだけの処置を講じつつ、かつまた急激に整備をいたして、それによって波乱を大きくしないような処置を講じつつ、とにかく日本の
繊維産業というものを早い機会に立て直す、そして安定した基盤の上にこれを持っていくということが、ぜひ必要だと思う。それには、むろん今度の
法案だけでできるとは
考えません。なお
中小企業等については、あるいは協同組合等の強化、あるいけ
設備の
更新というようなことについていろいろな
方法を講じなければなりません。通商
産業省としても、従来も協同組合等の助成をいたして参っておりましたが、なお
一つこれを強力にいたしたいと思っております。それから機械
設備の
更新については、数年来
補助金を出して、府県と連合してやっております。これは府県によっては相当の効果を上げておりますが、その機械
設備の
更新の大部分は何かというと、
繊維機械でございます。こういうわけで、そういういろいろの施策を通じて機械の需要をできるだけ増し、
繊維産業の基盤を強化する、こういうことをいたしたいと
考えてこの
法案を提出した次第であります。