○
鈴木(義)
政府委員 それでは最初に
鉄鋼の最近の
需給関係を御
説明さしていただきます。お
手元に資料がございますが、大体それに最近の
銑鉄、
鋼材の
需給バランスの
数字が出ております。
大体御承知の
通り、昨年来
鉄鋼は、世界的にも非常に好況でございまして、
価格も
相当上、−参りました。また
需給関係も非常に強いという
状況でございます。
通産省といたしましては、できるだけこれに対処しまして、今
年度は
鋼材、
銑鉄の増産をはかり、また
銑鉄、
スクラップ、
原料関係の
輸入についてもできるだけ
輸入をはかる、かような
方向で従来参ってきておる
状況でございます。
そこで三十一
年度の第一・
四半期の
数字でございますが、ここに書いてあります
通り、
供給は
銑鉄で合計いたしまして百四十四万トン、かようになっております。これは
生産でございますが、これと
輸入を合せますと百四十八万トンというのが大体第一・
四半期の
供給でございます。そのわきに昨年、三十
年度の第四・
四半期の
数字も書いでございますが、第四・
四半期は、昨年は
輸入が多うございまして、その
関係で合計が百四十五万トンになっております。今
年度の第一・
四半期は
輸入が昨年より若干少くなっておりますが、
生産が上りまして、これを上回っておる
数字になっております。
それから
需要面で一番問題は、常々問題となっております
外販用の
鋳物であります。これにつきましては昨年の第四・
四半期においても
相当問題となりまして、
緊急出荷をいたしまして六千トンばかり追加をいたしまして、十五万六千トン、かよう
数字を
供給に出したわけでございますが、この第一・
四半期はさらに
需要がふえて参りましたので、、
予想といたしましては
外販用鋳物で十六万五千トン、かような
数字を
供給すべく
手配をいたしておる
状況でございます。そのほかできますれば今後としましては、さらにわれわれとしては
国内の銑の
生産の増強もはかりますとともに、
輸入につきましても大いに
努力していたい、また古銑の
輸入等についても考えていたい、かように考えておる次第でございます。
それから第二枚目は、第一・
四半期の
鋼塊生産予想でございますが、
鋼塊といたしましてここに掲げてあります平炉、
転炉、電炉、合計いたしまして第一・
四半期は二百六十四万トン、かような
数字になります。第四・
四半期の二百五十四万トンに対しまして十万トンばかりの
増加になっております。さらに来るべき第二・
四半期ももう十万トンばかりこれに増産すべく目下大いに
努力いたしておる
状況でございます。従いまして第二・
四半期の
鋼塊生産量は二百七十四万トン
程度になる、かように考えていただいてけっこうだと思います。
その次に
部門別の
需要予想が出ておりますが、これも三十
年度の第四・
四半期より三十一
年度の第一・
四半期はふえておりまして、かような
部門別の
需要が
予想されます。先ほど申し上げました
鋼塊を使いまして、二百六十四万トンの
鋼塊から百八十八万トンの
圧延鋼材が出ます。これに
伸鉄を加えまして大体の
生産で百九十八万トン、それによりましてこの
需要を満たしたい、かようなことで
努力している
状況でございます。以上が第二枚目までの
数字でございます。
第三枚目は、
価格の推移を示しておりますが、大体
鋼材につきましては、この正月発表いたしまして、三月積みからの値上げが行われたわけであります。さようなわけで、たとえて申しますと、
丸鋼につきましては、三月にカッコして書いてありますのは、四万三千円で、これが
建値でございます。ところが最近やはり国際的の
状況、それから
原料等の非常な高騰、かような
関係、さらに
需要の
増加によりまして市中の
値段は
相当建値を上回っておる
状況でございます。それを示しましたのがカッコの外の
数字でありまして、最近では
丸鋼等は、
建値は四万三千円でございます。小品のものによりましては、ここに書いてあります
通り、五万円
程度のものもあるように聞いておる
状況であります。われわれといたしましてもでるだけかような問題に対しては、
供給はでるだけ十分にするということのための
対策を
目下手を打ちつつある状態であります。それから
銑鉄につましては、この三月もある
程度値が上ったのでございますが、最近実は
外販用の
鋳物の
供給不足だというので、この
数字をふやした
関係上、従来いろいろ調べてみますと、
製鋼用の
銑鉄と、それから
鋳物用の
銑鉄との較差が比較的少いという
関係がございましたので、この点の差を若干大くするということを認めたわけでありまして、従来は差が千円でございましたが、今後はこの差が二千五百円になる、かようなことになって、最近この一カ月前から実施されておる
状況であります。
それからその次の表は、これは国際的に見てどうかということで、三十一年五月現在で諸外国と
日本との
値段の比較をいたしたわけであります。これによりますと、
日本の
値段は、現在ではやはり従来から申し上げております
通り、ヨーロッパの
中庸価格である、大体
アメリカ、英国は非常に
値段が安うございますが、
ドイツ、
フランス、
ベルギー——ちょうど
日本は
ドイツより少し高くて、
フランス、
ベルギーよりは若干下回っておる、かような
状況にあるということがこれでおわかりになると存じます。
それからその次の表は、これは
コスト関係に対する最近の
影響を
グラフに示したわけでございます。これで
ごらんになっておわかりと思いますが、一番大く動いておりますのは、
くず鉄関係でございます。
くず鉄は、
ごらんの
通り、これは
輸入くずと
国内くずとございますが、
輸入くずについて申し上げますと、表で
ごらんの
通り、昨年の三月ごろは
トン当りCIFで四十ドル前後でございましたものが、三十一年の一月になりますと、この
グラフで
ごらんになりますと五十九ドルぐらいのところまでなっております。さらにそれが最近の四月ごろですと、七十ドルをこえて、七十二、三ドル
見当のところとなっておる、
輸入くずはかような
状況になっております。
また
国内くずは、この表で
ごらんの
通り、たとえば昨年の七月ごろには五十ドル
見当であったものがずっと上りまして、最近四月では七十ドル
見当で、さらに最近どんどん上っておる、こういうような
状況であります。
それから
輸入原料炭、これも昨年
あたりから見ますと非常に上ってきておるわけでございますが、この一月から六月までの間も
相当上っておりまして、この三十一年の一月の
数字が大体二十三ドルから二十四ドルでございます。最近の五月ごろですとこれが二十七ドルぐらい、かような
状況でございます。
また
国内原料炭の方は比較的安定しております。
輸入鉄鉱石につきましてもこの表で
ごらんの
通り・昨年来
相当上ってきておる、かような
状況になっております。
最後の表は、
運賃だけをとった表でございます。
運賃関係はいろいろございますが、たとえば一番大きく出ておりますのは、やはり
アメリカからとりまず石炭の
運賃あるいは
太平洋岸からとります
鋼くずの
運賃、この辺はこれで
ごらんの
通り、
相当大きく上りを示しておる
状況であります。たとえば
鋼くずで申しますと、三十一年の一月が二十ドル
見当のところが、五月ではもはや三十ドル近くになりつつある、かような
状況になっております。
鉄鉱石についてはゴア等
相当上ってきておるものもあります。またカナダのように昨年ある時期に上りましてそれから比較的安定しておるものもありますし、ずいぶんと最近上ってきておるというふうに、いろいろ各内容によって違いますが、一般的に見まして
運賃が
相当上っておる、かような
状況であります。かような
観点で従来から
相当国際的に
影響がありましたので、
鉄鋼も漸次
価格が上ってきておる、かような
状況になっております。これが大
体現状の
説明でございます。現在も
いろいろ先ほど
数字で申しました
通り建値を
相当上回って
鉄鋼の値上げ問題というものも起っておりますが、われわれといたしましては目下これに対して検討しておりますが、何と申しましても
価格のその裏にひそむ
需給をどうするかという問題でございまして、これに対してできるだけ
供給量をふやそう、かような
努力で、先ほ
ども申し上げましたが第一・
四半期の
鋼塊生産数量に対してさらに第二・
四半期は十万トン
程度ふやす、それと同時に
銑鉄の
輸入についても目下
計画以上に
手配をしたいというので、あちこち今
努力しておる。さらに
スクラップの繰り上げ
輸入あるいは古銑の
入荷促進、かようなことについてできるだけ
努力して、何としても
需要を満たそう、かような
努力を目下しておる次第でございます。以上が大体最近の
需給の大体の
状況であります。
次に「
鉄鋼需給長期計画(
試案)」というものにつ遂まして御
説明申し上げます。実はこれはまだかような席にお配りしてよいかどうか若干考えておるものであります。と申しますのは、これは
通産省の省議としてかようなものを決定しておるわけではありませんので、
重工業局において
試案として、今さようなものについて検討しておる、かような
状況でございまして、ただ
説明の便宜のためにお配りしたわけでございます。その取扱いについてはさよう御了承願いたいと思います。
考え方といたしましては、従来
経済五カ年
計画というのがございました。実は今
年度においてもすでに
相当初年度の
数字を上回っておる、かような
状況でもございますし、世界的に鉄は強くなっている。そこにたいしてしかも将来としてはこれに応じて
原料対策等を十分しなければならない、かような
観点、並びにそれに伴って
設備対策等も考えなければならない、かような
観点からもう一ぺん先の
見通しをよく
計画を立てて、それによって
対策を考えていくということから、かような
試案を作っていったわけでございます。そこで本
計画の
基本構想と書いてございますが、これには大体三十一
年度鉄鋼需給計画を基準としてやはり
経済自立五カ年
計画でやりましたような国民総
生産でありますか
鉱工業生産の
指数をこれにかけまして、それから最近の五カ年間の
数字というのは
相当アブノーマルの事情もございますので、かような点は調整いたしまして将来の
需要を想定したわけであります。
輸出関係につきましては、できるだけ今後ふやしたいと思いますが、
後進国における鉄の
生産増加の問題とか
国際競争の激化とかいう問題がありまして、一応この想定では従来の横ばいというふうなことで
計画を立てております。そこで
需要は、内需におきましては三十一年から四十
年度までは
普通鋼で六%、
特殊鋼で七%、それから四十年から五十年の間は、
普通鋼では五%、
特殊鋼では六%、かようなことに想定いたしたわけでございます。これについていろいろ理由も書いてございますが、大体四ページ目に書いてございます
通り、従来は大体過去において
一般工鉱業の
生産指数は一二・三%、三十六年
——三十
年度になっております。それから鉄の方の
増加は一一・八かようなことになっておるわけでございますが、そこで
経済自立五カ年
計画の
生産指数は、年々七・四というふうな
数字でございますので、大体われわれとしては
鋼材につきましては、初めの五カ年については六%、それからそれ以後について若干の
伸びが減って五%という
程度に見れば適当ではないか、かような
数字を考えたわけでございます。
今
世界各国ともいろいろ将来の
計画を立てておりますが、それによりますと、
世界各国を通じまして過去五カ年間の平均の
増加率は八%でございますが、
各国とも大体今後の
増加が、年々四%として
予想てしおります。イギリスが四%あるいは
ドイツが三%というふうな
関係になっておりますので、わが国でも六%と見ておけば大体よろしいのじゃないか、かような
観点で
普通鋼材の
数字をとっております。それから
特殊鋼については、ここにも書いてございますが、それを若干
機械工業その他の
関係を見まして
普通鋼六%の場合は七%かような
考え方を持ったわけでございます。そういたしますと、これは六ページの方に参りますが、お
手元にあります表を
ごらんいただくとわかりますが、お
手元の表で申し上げますと、第一表の「
普通鋼々
材品種別需要見込」、これによりますと、大体
昭和三十一
年度は七百四十三万トン、これが今
年度の
計画でございます。それから三十五
年度は、この
数字によりますと八百九十八万トン、四十
年度は千官五十二万トン、かようになるわけでございます。従来の五カ年
計画によりますと、実は三十一
年度が、六百六十五万トンで、三十五
年度は、七百六十五万トン、かような
数字でございました。第一
年度においても
相当数字は上げてきておりますし、かようなベースが変ってきておりますので、将来の
数字も
相当大きく見ていかなければならぬ。それに対していろいろな
原料対策、かようなことをやっていかなければならぬ、かようなことになるわけでございます。
そこでこれに応じまして
鋼塊でございますが、これは第二表でございますが、三十一
年度が千四十二万トン、三十五
年度が、千二百六十七万トン、四十
年度が千六百三十万トン、それから五十
年度が二千五百十九万トン、かようになるわけでございます。従来の五カ年
計画によりますと、三十五
年度がちょうど千百十七万トンというふうな
数字になっておるわけでございます。
それから
銑鉄の方につきましては、第三表でございますが、
供給は
高炉銑、
電気銑、その他銑、合計いたしまして三十一
年度は六百十万トンでございますが、三十五
年度は八百四十一万トン、四十
年度は千百九十二万トン、五十
年度は千八百六十万トン、こうなっております。そのうちの
高炉銑だけをとりますと、今
年度は五百八十二万トン、三十五年・度が、七百九十八万トンということになっております。従来の五カ年
計画によりますと、
初年度が五百三十六万トン、三十五
年度は六百三十五万トン、かような
数字に相なっております。これも
相当伸びを見ております。
それから
鋼塊につきましては、実は
くず鉄の問題があるわけでございます。
くず鉄は最近非常に問題になりましたし、今後の
増加もあまり
供給は
伸びないのではないか、かような見地から立案いたしておりまして、従いまして
くず鉄を使わないで、できるだけ節約するというような
方法が考えられなければならないわけでございます。それにつきましては
上吹転炉というような
転炉の問題も考えておりまして、これにつきまして最近オーストリアの
会社から技術の導入をいたしましして、とりあえずは
日本鋼管と
八幡がこの
転炉の
設備にかかります。それからさらにおくれましてほかの
会社もかよような
転炉の
設備をするように取り運ぶことになると思います。
それから
銑鉄につきましては、この第七ページにも書いてありますが、現在稼働しております
高炉は大体三十一
年度は二十五基でございますが、この
計画によりますれば、三十五
年度が二十九基、四十
年度が三十五基、かようになることが
予想されます。また既設のものにつきましては、巻きかえの際に、できるだけ容量を多くするように可能な限り
努力していきたい、かようなことを頭に入れて
計画をいたしております。
次に
鉄鉱石の問題でございますが、
鉄鉱石は、第五表にあります
通り、大体
需要は三十一
年度から五十
年度まで、千百十七万トンから三十五
年度は千五百十八万トン、四十
年度は二千七十四万トン、五十
年度は三千百万トン、かようになるわけでございます。もちろんこれに対しましては
国内鉱をまずできるだけ考えなければいけないわけでありますが、
国内の
鉄鉱石は年間百万トンということを
予想しております。それから
硫酸津は
硫酸の
生産量に応じて
計画する、砂鉄の
消費量は
電気銑の増大に伴って
増加する。それから
高炉についてはここに書いてあります
装入の四・五%、かようなことで
計画をいたしまして、
国内鉱は三十一
年度が三百八十三万トン、三十五
年度は四百七十万トン、さらに四十
年度、五十
年度という
計画をここに掲げてございます。それから
輸入関係につきましては、従来
輸入しておりました、
取得先からくるものを
既存地域と書いてございまして、これが本
年度は大体六百万トンくらいございますが、それが若干減ってくる。それに対して今後新しく手当をすることが必要である。これが、本
年度は
スポット買その他いろいろございまして、百三十三万トンを期待しておりますが、さらに今後三十五
年度、四十
年度に備えましては、
大観模鉱山の開発とか
いろいろ手を打たなければならない問題があるわけでありまして、これに対しては、
目下鉄鋼業界でも、いろいろ研究しておりますし、またわれわれといたしましてもこれに対してできるだけの手を打ちたい、かように考えておるわけであります。以上の
国内鉱の
内訳とかあるいは要
輸入鉱の今後の期待の
内訳というのは一番
最後の表にございます。
それから
鉄鋼の
鉱石の問題と関連しまして、やはり鉄の
運賃がいつも問題になるものでございますから、これに対してやはり従来から考えられておりました
専用船という問題がございます。これについて従来からいろいろ研究しておりましたが、最近
鉄鋼業界で
一応
意見がまとまりまして、とりあえずとしてはゴアあるいはフィリピンからとります
鉱石につきまして、一万五千トンから二万トンくらいの船を五ヵ年間で十五隻作りたい、年々三隻ずつ作っていきたい、かようなことの
意見がまとまりましたので、これに対して
通産省としてもこれを大いに積極的に推進しようというわけで、今後
運輸省等と十分打ち合せて、かようなことで進みたいと考えておる次第でございます。
大体
問題点だけは申し上げたと思いますが、あるいは漏れている点があるかもしれませんの、で、御
質問等がありましたら、それによってお答えさしていただきたいと思います。