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1956-05-31 第24回国会 衆議院 商工委員会重化学工業に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月三十一日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席小委員    小委員長 小平 久雄君       大倉 三郎君    小笠 公韶君       椎名悦三郎君    田中 龍夫君       多賀谷真稔君    水谷長三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君  小委員外出席者         運輸事務官         (船舶局監理課         長)      堀  武夫君         運 輸 技 官         (船舶局造船課         長)      藤野  淳君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十九日  水谷長三郎君同月二十七日委員辞任につき、委  員長指名で小委員補欠選任された。 五月三十日  水谷長三郎君及び多賀谷真稔君四月六日委員辞  任につき、委員長指名で小委員補欠選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄鋼に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  鉄鋼に関する問題について調査を進めます。まず鈴木重工業局長より最近の鉄鋼価格鉄鋼原料の実情及び政府において立案された鉄鋼長期需給計画等について説明を求めます。鈴木重工業局長
  3. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 それでは最初に鉄鋼の最近の需給関係を御説明さしていただきます。お手元に資料がございますが、大体それに最近の銑鉄鋼材需給バランス数字が出ております。  大体御承知の通り、昨年来鉄鋼は、世界的にも非常に好況でございまして、価格相当上、−参りました。また需給関係も非常に強いという状況でございます。通産省といたしましては、できるだけこれに対処しまして、今年度鋼材銑鉄の増産をはかり、また銑鉄スクラップ原料関係輸入についてもできるだけ輸入をはかる、かような方向で従来参ってきておる状況でございます。  そこで三十一年度の第一・四半期数字でございますが、ここに書いてあります通り供給銑鉄で合計いたしまして百四十四万トン、かようになっております。これは生産でございますが、これと輸入を合せますと百四十八万トンというのが大体第一・四半期供給でございます。そのわきに昨年、三十年度の第四・四半期数字も書いでございますが、第四・四半期は、昨年は輸入が多うございまして、その関係で合計が百四十五万トンになっております。今年度の第一・四半期輸入が昨年より若干少くなっておりますが、生産が上りまして、これを上回っておる数字になっております。  それから需要面で一番問題は、常々問題となっております外販用鋳物であります。これにつきましては昨年の第四・四半期においても相当問題となりまして、緊急出荷をいたしまして六千トンばかり追加をいたしまして、十五万六千トン、かよう数字供給に出したわけでございますが、この第一・四半期はさらに需要がふえて参りましたので、、予想といたしましては外販用鋳物で十六万五千トン、かような数字供給すべく手配をいたしておる状況でございます。そのほかできますれば今後としましては、さらにわれわれとしては国内の銑の生産の増強もはかりますとともに、輸入につきましても大いに努力していたい、また古銑の輸入等についても考えていたい、かように考えておる次第でございます。  それから第二枚目は、第一・四半期鋼塊生産予想でございますが、鋼塊といたしましてここに掲げてあります平炉、転炉、電炉、合計いたしまして第一・四半期は二百六十四万トン、かような数字になります。第四・四半期の二百五十四万トンに対しまして十万トンばかりの増加になっております。さらに来るべき第二・四半期ももう十万トンばかりこれに増産すべく目下大いに努力いたしておる状況でございます。従いまして第二・四半期鋼塊生産量は二百七十四万トン程度になる、かように考えていただいてけっこうだと思います。  その次に部門別需要予想が出ておりますが、これも三十年度の第四・四半期より三十一年度の第一・四半期はふえておりまして、かような部門別需要予想されます。先ほど申し上げました鋼塊を使いまして、二百六十四万トンの鋼塊から百八十八万トンの圧延鋼材が出ます。これに伸鉄を加えまして大体の生産で百九十八万トン、それによりましてこの需要を満たしたい、かようなことで努力している状況でございます。以上が第二枚目までの数字でございます。  第三枚目は、価格の推移を示しておりますが、大体鋼材につきましては、この正月発表いたしまして、三月積みからの値上げが行われたわけであります。さようなわけで、たとえて申しますと、丸鋼につきましては、三月にカッコして書いてありますのは、四万三千円で、これが建値でございます。ところが最近やはり国際的の状況、それから原料等の非常な高騰、かような関係、さらに需要増加によりまして市中の値段相当建値を上回っておる状況でございます。それを示しましたのがカッコの外の数字でありまして、最近では丸鋼等は、建値は四万三千円でございます。小品のものによりましては、ここに書いてあります通り、五万円程度のものもあるように聞いておる状況であります。われわれといたしましてもでるだけかような問題に対しては、供給はでるだけ十分にするということのための対策目下手を打ちつつある状態であります。それから銑鉄につましては、この三月もある程度値が上ったのでございますが、最近実は外販用鋳物供給不足だというので、この数字をふやした関係上、従来いろいろ調べてみますと、製鋼用銑鉄と、それから鋳物用銑鉄との較差が比較的少いという関係がございましたので、この点の差を若干大くするということを認めたわけでありまして、従来は差が千円でございましたが、今後はこの差が二千五百円になる、かようなことになって、最近この一カ月前から実施されておる状況であります。  それからその次の表は、これは国際的に見てどうかということで、三十一年五月現在で諸外国と日本との値段の比較をいたしたわけであります。これによりますと、日本値段は、現在ではやはり従来から申し上げております通り、ヨーロッパの中庸価格である、大体アメリカ、英国は非常に値段が安うございますが、ドイツフランスベルギー——ちょうど日本ドイツより少し高くて、フランスベルギーよりは若干下回っておる、かような状況にあるということがこれでおわかりになると存じます。  それからその次の表は、これはコスト関係に対する最近の影響グラフに示したわけでございます。これでごらんになっておわかりと思いますが、一番大く動いておりますのは、くず鉄関係でございます。くず鉄は、ごらん通り、これは輸入くず国内くずとございますが、輸入くずについて申し上げますと、表でごらん通り、昨年の三月ごろはトン当りCIFで四十ドル前後でございましたものが、三十一年の一月になりますと、このグラフごらんになりますと五十九ドルぐらいのところまでなっております。さらにそれが最近の四月ごろですと、七十ドルをこえて、七十二、三ドル見当のところとなっておる、輸入くずはかような状況になっております。  また国内くずは、この表でごらん通り、たとえば昨年の七月ごろには五十ドル見当であったものがずっと上りまして、最近四月では七十ドル見当で、さらに最近どんどん上っておる、こういうような状況であります。  それから輸入原料炭、これも昨年あたりから見ますと非常に上ってきておるわけでございますが、この一月から六月までの間も相当上っておりまして、この三十一年の一月の数字が大体二十三ドルから二十四ドルでございます。最近の五月ごろですとこれが二十七ドルぐらい、かような状況でございます。  また国内原料炭の方は比較的安定しております。  輸入鉄鉱石につきましてもこの表でごらん通り・昨年来相当上ってきておる、かような状況になっております。  最後の表は、運賃だけをとった表でございます。運賃関係はいろいろございますが、たとえば一番大きく出ておりますのは、やはりアメリカからとりまず石炭の運賃あるいは太平洋岸からとります鋼くず運賃、この辺はこれでごらん通り相当大きく上りを示しておる状況であります。たとえば鋼くずで申しますと、三十一年の一月が二十ドル見当のところが、五月ではもはや三十ドル近くになりつつある、かような状況になっております。  鉄鉱石についてはゴア等相当上ってきておるものもあります。またカナダのように昨年ある時期に上りましてそれから比較的安定しておるものもありますし、ずいぶんと最近上ってきておるというふうに、いろいろ各内容によって違いますが、一般的に見まして運賃相当上っておる、かような状況であります。かような観点で従来から相当国際的に影響がありましたので、鉄鋼も漸次価格が上ってきておる、かような状況になっております。これが大体現状説明でございます。現在もいろいろ先ほど数字で申しました通り建値相当上回って鉄鋼の値上げ問題というものも起っておりますが、われわれといたしましては目下これに対して検討しておりますが、何と申しましても価格のその裏にひそむ需給をどうするかという問題でございまして、これに対してできるだけ供給量をふやそう、かような努力で、先ほども申し上げましたが第一・四半期鋼塊生産数量に対してさらに第二・四半期は十万トン程度ふやす、それと同時に銑鉄輸入についても目下計画以上に手配をしたいというので、あちこち今努力しておる。さらにスクラップの繰り上げ輸入あるいは古銑の入荷促進、かようなことについてできるだけ努力して、何としても需要を満たそう、かような努力を目下しておる次第でございます。以上が大体最近の需給の大体の状況であります。  次に「鉄鋼需給長期計画試案)」というものにつ遂まして御説明申し上げます。実はこれはまだかような席にお配りしてよいかどうか若干考えておるものであります。と申しますのは、これは通産省の省議としてかようなものを決定しておるわけではありませんので、重工業局において試案として、今さようなものについて検討しておる、かような状況でございまして、ただ説明の便宜のためにお配りしたわけでございます。その取扱いについてはさよう御了承願いたいと思います。考え方といたしましては、従来経済五カ年計画というのがございました。実は今年度においてもすでに相当初年度数字を上回っておる、かような状況でもございますし、世界的に鉄は強くなっている。そこにたいしてしかも将来としてはこれに応じて原料対策等を十分しなければならない、かような観点、並びにそれに伴って設備対策等も考えなければならない、かような観点からもう一ぺん先の見通しをよく計画を立てて、それによって対策を考えていくということから、かような試案を作っていったわけでございます。そこで本計画基本構想と書いてございますが、これには大体三十一年度鉄鋼需給計画を基準としてやはり経済自立五カ年計画でやりましたような国民総生産でありますか鉱工業生産指数をこれにかけまして、それから最近の五カ年間の数字というのは相当アブノーマルの事情もございますので、かような点は調整いたしまして将来の需要を想定したわけであります。  輸出関係につきましては、できるだけ今後ふやしたいと思いますが、後進国における鉄の生産増加の問題とか国際競争の激化とかいう問題がありまして、一応この想定では従来の横ばいというふうなことで計画を立てております。そこで需要は、内需におきましては三十一年から四十年度までは普通鋼で六%、特殊鋼で七%、それから四十年から五十年の間は、普通鋼では五%、特殊鋼では六%、かようなことに想定いたしたわけでございます。これについていろいろ理由も書いてございますが、大体四ページ目に書いてございます通り、従来は大体過去において一般工鉱業生産指数は一二・三%、三十六年——三十年度になっております。それから鉄の方の増加は一一・八かようなことになっておるわけでございますが、そこで経済自立五カ年計画生産指数は、年々七・四というふうな数字でございますので、大体われわれとしては鋼材につきましては、初めの五カ年については六%、それからそれ以後について若干の伸びが減って五%という程度に見れば適当ではないか、かような数字を考えたわけでございます。  今世界各国ともいろいろ将来の計画を立てておりますが、それによりますと、世界各国を通じまして過去五カ年間の平均の増加率は八%でございますが、各国とも大体今後の増加が、年々四%として予想てしおります。イギリスが四%あるいはドイツが三%というふうな関係になっておりますので、わが国でも六%と見ておけば大体よろしいのじゃないか、かような観点普通鋼材数字をとっております。それから特殊鋼については、ここにも書いてございますが、それを若干機械工業その他の関係を見まして普通鋼六%の場合は七%かような考え方を持ったわけでございます。そういたしますと、これは六ページの方に参りますが、お手元にあります表をごらんいただくとわかりますが、お手元の表で申し上げますと、第一表の「普通鋼材品種別需要見込」、これによりますと、大体昭和三十一年度は七百四十三万トン、これが今年度計画でございます。それから三十五年度は、この数字によりますと八百九十八万トン、四十年度は千官五十二万トン、かようになるわけでございます。従来の五カ年計画によりますと、実は三十一年度が、六百六十五万トンで、三十五年度は、七百六十五万トン、かような数字でございました。第一年度においても相当数字は上げてきておりますし、かようなベースが変ってきておりますので、将来の数字相当大きく見ていかなければならぬ。それに対していろいろな原料対策、かようなことをやっていかなければならぬ、かようなことになるわけでございます。  そこでこれに応じまして鋼塊でございますが、これは第二表でございますが、三十一年度が千四十二万トン、三十五年度が、千二百六十七万トン、四十年度が千六百三十万トン、それから五十年度が二千五百十九万トン、かようになるわけでございます。従来の五カ年計画によりますと、三十五年度がちょうど千百十七万トンというふうな数字になっておるわけでございます。  それから銑鉄の方につきましては、第三表でございますが、供給高炉銑電気銑、その他銑、合計いたしまして三十一年度は六百十万トンでございますが、三十五年度は八百四十一万トン、四十年度は千百九十二万トン、五十年度は千八百六十万トン、こうなっております。そのうちの高炉銑だけをとりますと、今年度は五百八十二万トン、三十五年・度が、七百九十八万トンということになっております。従来の五カ年計画によりますと、初年度が五百三十六万トン、三十五年度は六百三十五万トン、かような数字に相なっております。これも相当伸びを見ております。  それから鋼塊につきましては、実はくず鉄の問題があるわけでございます。くず鉄は最近非常に問題になりましたし、今後の増加もあまり供給伸びないのではないか、かような見地から立案いたしておりまして、従いましてくず鉄を使わないで、できるだけ節約するというような方法が考えられなければならないわけでございます。それにつきましては上吹転炉というような転炉の問題も考えておりまして、これにつきまして最近オーストリアの会社から技術の導入をいたしましして、とりあえずは日本鋼管八幡がこの転炉設備にかかります。それからさらにおくれましてほかの会社もかよような転炉設備をするように取り運ぶことになると思います。  それから銑鉄につきましては、この第七ページにも書いてありますが、現在稼働しております高炉は大体三十一年度は二十五基でございますが、この計画によりますれば、三十五年度が二十九基、四十年度が三十五基、かようになることが予想されます。また既設のものにつきましては、巻きかえの際に、できるだけ容量を多くするように可能な限り努力していきたい、かようなことを頭に入れて計画をいたしております。  次に鉄鉱石の問題でございますが、鉄鉱石は、第五表にあります通り、大体需要は三十一年度から五十年度まで、千百十七万トンから三十五年度は千五百十八万トン、四十年度は二千七十四万トン、五十年度は三千百万トン、かようになるわけでございます。もちろんこれに対しましては国内鉱をまずできるだけ考えなければいけないわけでありますが、国内鉄鉱石は年間百万トンということを予想しております。それから硫酸津硫酸生産量に応じて計画する、砂鉄の消費量電気銑の増大に伴って増加する。それから高炉についてはここに書いてあります装入の四・五%、かようなことで計画をいたしまして、国内鉱は三十一年度が三百八十三万トン、三十五年度は四百七十万トン、さらに四十年度、五十年度という計画をここに掲げてございます。それから輸入関係につきましては、従来輸入しておりました、取得先からくるものを既存地域と書いてございまして、これが本年度は大体六百万トンくらいございますが、それが若干減ってくる。それに対して今後新しく手当をすることが必要である。これが、本年度スポット買その他いろいろございまして、百三十三万トンを期待しておりますが、さらに今後三十五年度、四十年度に備えましては、大観模鉱山の開発とかいろいろ手を打たなければならない問題があるわけでありまして、これに対しては、目下鉄鋼業界でも、いろいろ研究しておりますし、またわれわれといたしましてもこれに対してできるだけの手を打ちたい、かように考えておるわけであります。以上の国内鉱内訳とかあるいは要輸入鉱の今後の期待の内訳というのは一番最後の表にございます。  それから鉄鋼鉱石の問題と関連しまして、やはり鉄の運賃がいつも問題になるものでございますから、これに対してやはり従来から考えられておりました専用船という問題がございます。これについて従来からいろいろ研究しておりましたが、最近鉄鋼業界で  一応意見がまとまりまして、とりあえずとしてはゴアあるいはフィリピンからとります鉱石につきまして、一万五千トンから二万トンくらいの船を五ヵ年間で十五隻作りたい、年々三隻ずつ作っていきたい、かようなことの意見がまとまりましたので、これに対して通産省としてもこれを大いに積極的に推進しようというわけで、今後運輸省等と十分打ち合せて、かようなことで進みたいと考えておる次第でございます。  大体問題点だけは申し上げたと思いますが、あるいは漏れている点があるかもしれませんの、で、御質問等がありましたら、それによってお答えさしていただきたいと思います。
  4. 小平久雄

    小平委員長 次に公正取引委員会坂根経済部長より最近のくず鉄カルテル問題等について説明を求めます。
  5. 坂根哲夫

    坂根政府委員 くず鉄カルテルの問題は、最近カルテル側が二万八千円という線を出しましたものですから、  アウトサイダー特殊鋼との間におきましていろいろ問題が出て参っております。私どもの方にも特殊鋼メーカーの方から陳情がございまして、二万八千円の値段では困る、従って現在われわれが認めておりまする鉄くず工業カルテルについて、何らか公取として態度を示してほしいという申し入れがありました。この鉄くず購入のカルテールというのは、実は昨年の十二月二十二日付で、吾嬬製鋼以下十八社が独占禁止法二十四条の四第二項の規定によりますところの合理化カルテル申請をして参りまして、それを本年の一月十六日付で認可したわけであります。この六月一ぱいでわれわれが認可いたしましたカルテルの期間は切れますが、おそらくカルテル側としては、現在のトラブルが乗り越えられまするとまた新たなる申請をしてくるであろう、こう私は考えておるわけであります。私どもがこの十八社のカルテルを認める際に一番問題にいたしましたのは、その認可申請の中に、特級くずにつきまして最終価格目標を一万五千円ということにしてあったわけであります。すでに認可申請をしていただきました当時においても、鉄くず値段が上る気配がありまして、この一万五千円というのは、関連事業者といいますか、鉄くず業者に対してはかなりショックを与える値段であるからというので、再三再四話合いをいたしましたが、しかしこれは最終目標というわけで、カルテル側が直ちにそう値段を下げていくということではないという了解のもとに私どもはこのカルテルを認めたの、でありまして、その後の情勢を見ておりますると、一万五千円の方向に下るどころではなくして、漸次上っておる情勢であります。そこで私どもはただいまの情勢におきましては、そのアウトサイダーの方々の御意見を承わりましたから、これに基きまして関連事業者の利益がどういう工合になるかと言う点を部内で検討しております。  なおかつこの問題は法律的にいろいろすっぱり割り切って問題を見ていくよりも、むしろ私どもが認可した合理化カルテルでありますから、それの運用をよくやってもらうという面におきまして通産省の方ともよく今後相談いたしまして、六月一ぱいではございますが、現行カルテルをどういう工合に持っていくかということを検討中でございます。
  6. 小平久雄

    小平委員長 なお運輸省から造船課長が来るわけになっておりますが、まだ見えておりませんから、今の重工業局長及び経済部長の御説明に対して御質疑があればこれを許したいと思います。
  7. 大倉三郎

    大倉委員 カルテルのメンバーはどんなものですか。
  8. 坂根哲夫

    坂根政府委員 正式の今認可申請書手元に持って参っておりませんが、私が記憶しておるところでは、吾嬬製鋼尼崎製鋼大阪製鋼大谷重工、川崎製鉄・神戸製鋼、住友金属工業、東芝製鋼東都製鋼東京製鋼中山製鉄日亜製鋼日本製鋼日本鋼管日曹製鋼富士製鉄八幡製鉄大和製鋼、これだけです。
  9. 大倉三郎

    大倉委員 このカルテルがきめられてからいろいろなトラブルがあったようですが、その運営方法はどう、ですか。この状況を忌憚なく聞かしてもらったらいいんじゃないかと思います。
  10. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 カルテルができましたのは昨年の春でありまして、これはやはり鉄鋼需給及び価格安定に資するために、くず鉄価格及び使用、さようなものについて、買いあさりとか、さようなことから値上りのないようにというような関係から、かようなものが認められたわけであります。当初は非常に効果を上げてきたわけであります。ところが昨年の夏ごろから鉄鋼需給関係が、非常に輸出を中心にして伸びてきた、かような事態になりまして、生産を上げるという関からスクラップの買いあさりというふうになりまして、昨年の九月に入りましてからは、カルテルが実際上ほとんど機能を果さなくなった時期がございます。そこでその前後非常にその関係で鉄の需給関係あるいは価格関係に大きな変化があるというので、通産省は  一部の鋼材について輸出承認の停止の措置をとったのであります。その後そういうことも若干ございました関係もあり、ほかの関係もいろいろありまして、ある程度また少し落ちついてきたわけでございます。そうして、われわれとしましてはそのとき、早く鉄鋼業界が態勢を整えてもらいたい・かようなことを要望いたしまして、この一月からまた新しくカルテル鉄鋼界でも大いに努力されて再建され」新しく発足することになったわけであります。その当時の状況は、世界的にも一時鉄鋼の先の見通しが安定するのじゃないか、アメリカあたりでもくず値段等も落ちついてきましたし、さようなことでうまくいくような状況にございましたから、カルテルもそれから四月ごろまでの間は比較的効果を上げてきた。ところがまたその後世界的の状況が、非常に鉄鋼の強調を示しまして、それからまたアメリカスクラップ状況にも変化がございました。かようなことで、スクラップ国内でもカルテルのきめた従来の価格ではなかなか入手ができないというような状況がございまして、かようなことで、先ほど公正取引委員会の方から御説明のあったような事態になったわけであります。さようなことで今日やっておまりすカルテルとしては、できるだけ業界の自・主的努力によって価格安定に資するような方向努力しなければなりませんが、また一面において経済の自主性というものがありまするから、それに対してやれる限度というものがあります。かような点を考えて、通産省といたしましてもできるだけカルテル鉄鋼価格及び需給の安定に資するようにこれを指導していきたい、かように考えております。
  11. 大倉三郎

    大倉委員 現在の状態で、これは実際まだまだ上昇するのじゃないかと思いますが、どうですか。押えられますか。
  12. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 鉄の価格の問題ですか。
  13. 大倉三郎

    大倉委員 そうです。
  14. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 今鉄鋼界からも価格の問題について話が出ております。われわれもこれを検討いたしております。われわれの考え方といたましては、いろいろ心配もございますけれども、やはり価格を左右するのは供給の問題だと思いますので、先ほども説明申し上げたかと思いますが、できるだけ供給をふやしたい。鋼材については第二・四半期は第一・四半期に対してさらに十万トンの鋼塊をふやそうということで、増産をお願いしたいということを鉄鋼界に話をしております。これは大体可能だと思います。それからさらにできるだけソースをあさりまして銑鉄輸入をはかる。銑鉄を従来の計画以上に、それぞれ新しいソースを探して輸入をやりたい。それからスクラップのくみ上げであるとか、あるいは古銑等のものも輸入ができたらこれを確保したい。かようなことで目下努力しております。それが供給の面で十分需要を満たすようなことであれば、ある程度の思惑というようなことも静まるのじゃないか。やはりこの供給力を十分にするのが先決じゃないかということで、この点について今努力いたしておる状況であります。
  15. 大倉三郎

    大倉委員 くず鉄は自然にでき、またこしらえてくるんですけれども、大体これはだんだん減ってくるんじゃないかと思う。そういうものの見通しが、生産増強の上においてよほど大きい問題だと思います。私らの考えるのは、たとえば大蔵省が今まだくず鉄に匹敵するものを持っておるわけです。こういうのもをそのまま放置しておくのはどうかというのが一般の声なんです。ところが大蔵省は、いわゆる入札制度をとっておりますから、相当高価でなければ払い下げない。こういう問題は大きい関係があるのだから、大蔵省と十分話し合いをされて、すみやかにこういうものを有効に使えるように持っていかれることが必要じゃないかと思いますが、そういうことで何か大蔵省と折衝でもなさったことがあるのですか。
  16. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 その点は、スクラップ対策としまして昨年来大蔵省と話し合いをしまして、できるだけ現有の国有機械を大幅に基準を緩和して払い下げてもらうということを交渉いたしたいと思って、そのために会計令の改正もやっていただきまして、かようなことで努力いたしておるわけであります。大体数字は去年一年で六万トン程度のものが払い下げられているように、われわれ承知いたしております。残りはそうたくさんはございません。できるだけ早く出してもらいたいということで交渉しております。払い下げの価格はわれわれといたしまして交渉いたしまして、カルテルのきめました価格で払い下げをしてもらうように交渉いたしております。
  17. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 ちょうど取引委員会の当局者が見えておりますから、鉄鋼業界カルテル問題についてもう少し論議してみたいと思うのでありますが、話の順序をつける意味から、今の鋼材銑鉄建値の形成状況を一応御説明願いたいと思います。
  18. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 鋼材銑鉄建値は、大体各メーカーがそれぞれきめるわけでございます。しかし大体中心となりますのは大手筋のメーカー、すなわち八幡とか日本鋼管あるいは富士製鉄、かようなメーカーがきめる建値が中心になるわけであります。現在政府としましては、これに対して価格を法律によって縛るという手はございません。メーカーが大体自分でコストあるいは需給、さような関係から出しました数字について、われわれは必要があれば意見を述べ、行政指導によってできるだけ価格の安定に資する、かようなことで従来やってきておる状況であります。
  19. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 そこで伺いたいのは、一般に独占禁止の政令がアメリカ占領軍によってしかれまして、まだその精神が日本経済界を支配しておるわけであります。その原則に従って運営されておる、こういうわけでありますけれども、とにかく何といってもメーカーは一カ所じゃない、業界によっては多数のメーカーがある、鉄なんかについても二十社近くあるわけであります。それで、鉄の需給というものは長い間の長期計画で、作る方も売る方も出たとこ勝負でやれるものじゃない。やはり使う方にも作る方にも、どれくらいの鉄鋼材を使ってどういう建設をするかというような胸算用がそれぞれありまして、そして大体の計画を立てて、そのラインに沿うておのおの運営をして奉るという格好になっておる。でありますから、鋼材の主要なものについては建値というものはどうしてもなければならぬものであります。ところが今重工業局長に聞くと、メーカーはそれぞれぞれに建値を決定しておると言われるけれども、それはメーカーによってまちまちでありますか、それとも大体一定しておるのか、その辺の事情を承わりたい。
  20. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 大体大手筋の八幡なりそういうところの建値がきまりますと、ほかの建値もそれと同様にきまるのが従来のならわしでございます。若干差等はあると思いますが、大体は大手筋の八幡とか富士とか日本鋼管建値によって全体の建値はきまるかように申し上げておきます。
  21. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 そうすると、建値と実際の価格の違いがこの表に現われておりますけれども、これはどういうわけですか。これによると、丸鋼建値が三十一年三月で四万三千円です。ところが実際は三月においてすでに四万四千円、四月五日、で四万五千円です。五月五日には五万円、五月十五日には五万二千円、こういうふうにいろいろありまして、これが建値かそれともやみ値かわけがわからぬじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
  22. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 八幡とか冨士とかいう大手筋は、大体建値をきめまして建値でやっておるわけであります。ところが中小メーカ、たとえば棒鋼でございますと、大手筋が作っておるものよりも中小メーカーが作っておるものが多いわけでございます。かようなものは建値なしと申しますか、そういうふうなものが出る場合には市中の値段が出るわけ、でございます。さようなこと、で小品なものにつきましてかような価格が出てくるわけであります。これをわれわれは市中相場と見てここに書いております。
  23. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 どうも商売人でないからその点がよくわからないのですが、そうすると、大メーカーは、小メーカーの取引量の少いものが、自分らの建値よりもトンについて一万円も高いという状況をそのまま指をくわえて見ながら建値通り売っておるのですかどうですか。
  24. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 売っております。ただし今かような事態で、大メーカーと申しますか、メーカーからも建値の改訂という問題が出ております。
  25. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 その建値の改訂について通産省の当局としてどういうふうに考えておられますか。
  26. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 現在われわれとしては検討している段階でございまして、まだ結論を出しておりません。先ほど来申し上げます通り、われわれとしましては、価格の問題と同時に、あるいはそれ以前に、供給の問題をできるだけ需要にミートするように何らかの手を打ちたい、かように今考えてお状況であります。
  27. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 結局問題は、実際に行われている値段経済の実勢を支配するものだというふうにお認めになる以外には認識のしょうがない。建値だといっても、だんだんそれが小さな業者からくずれていって、実際の需要の方でも五万円以上出しても一向つらくはないといったようなことがありますと、われわれは建値で売っておりますとは言うけれども、その間にいろいろの請託が行われて、実際問題としては五万円相当のものに取引されているということは想像にかたくはないと私は思うのです。それをしも目をおおって、建値でございますとか、許すとか許さないとかいったようなことは、ただ問題のからだけをとらえて、ほんとうのものはいつか抜けているというような格好になる。そういう論議は一向価値のないものであるということはおそらく何人も認めるところだろうと思うのでございます。  そこで、この問題に対する大きな対策としては、今局長が言われたように、そういう需要供給の均衡が少し破れており、供給が足らないところへもってきて需要が非常に多いというところから、どんどん値上りがするのであるが、この値上りがもし一般の経済界に思わしくないものであるならば、これを何とか是正しなければいかぬ。一片の法律でやるということよりも、供給をふやすということが適当、であることは申すまでもございません。それで、それが適時適切な方法によって間に合えばいいのでありますけれども、もし間に合わないということになると、そこにいろいろな混乱が起る。ということは、値上りがほんとうにやむを得ざる値上りである場合もありましょうが、その騰勢に乗じていろいろな思惑がそこに行われるというようなことでありますと、そこに大きな弊害を生むというわけであります。でありますから、これらの対策としては、今局長が言われたように、実際の実需というものを十分に見きわめて、これに対処する生産拡充の方法をすみやかに講ずるということが何よりも根本の方策であると思うわけでありますが、一面においては、思惑相場というものを是正する方法もまた一方において講ずる必要があると思うのであります。それで、独占禁止法というアイデアも非常にけっこうなアィデアであるけれども、良薬も度を過ごすと毒になるようなもので、何の一つ覚えというか、一方的にそれだけをやっていたのでは経済というものは健全に運行されるものでは絶対にない。そういうことは、この際鉄の値段を一つとらえてみましてもよくわかるのじゃないかと思うのでありますが、ちょうど公正取引委員会の当局、の方も見えておりますから、ただくず鉄カルテルということばかりでなしに、値段の問題等についてもそういう角度から検討する余地があるように思われるが、これらの問題についてどういうふろにお考えであるか、その点を御説明願います。
  28. 坂根哲夫

    坂根政府委員 ただいまの御、質問は非常に大きい問題でございまして、要するに事業者が集まって価格の話し合いをするということは、独占禁止法の根本の理念からいいますと非常に大きいところをねらった問題であります。しかし、現行の独占禁止法は、よくお読み願うとわかりますが、形式的に話し合いをしたからといって直ちに違反があるということをとらえておるわではありませんけれども価格の協定をした−そのカルテルの行為が、一定の事業分野における競争を実質的に制限する競争のレッスンをした場合に、これは独禁法違反であるという工合になっておりまして、そこいらの独禁法違反の解釈というものはケースごとにきめていくということで、御承知のように委員会制度になっております。私どもとしては、今の椎名先生の御質問の、基幹産業における価格の安定というようなことが必要であるということはわかるわけでありますが、しからばこれをすぐ独占禁止法の改正というような型で解決していっていいかどうかという問題は、非常に大きい問題でございまして、ここ、ではちょっと私としてはお答えできない、こういうことでございます。
  29. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 私は必ずしも独占禁止の観念を鉄の価格問題から除外しろというのではないのであります。価格の問題に、はれものにさわるように全然手を触れないというようなことは、今日の情勢からいっても、これはかえって非常に弊害のあることである。鉄が先行き強いということになると、今度はいろいろな業界の策動が行われまして、それが鉄鋼界及び一般の経済界に非常な害毒を流すことになると思うのでありまして、独占禁止の観念も必要  である、それを堅持しながら、一方においては、価格安定の方策について適当なる運用の妙を一つ至急考えられる必要があるのじゃないかということを考えるのであります。それをぜひお考え願いたい。  なお重工業局長に御質問申し上げますが、鉄源の問題は何としても重要な問題でありまして、これらの問題はただ五カ年計画といったような数年計画では間に合わない。すでにインドあるいは豪州、そういう方面にまで手を伸ばして、船足を遠くしてまで鉄源を確保するということを今から考えないとおそいよろであります。従って船足が長くなればなるほど運賃も高くなる。しかしながら一面から言うと、積み込み設備あるいは荷おろしの設備等で近代的な装備をして、きわめて短時間にやるということになれば、船足の長いことなんか問題にならぬ。近くの鉱石をとりに船が行く。なるほどその距離は短かいかもしらぬが、今度は一万トンか五千トン積むのに一カ月も二カ月もかかるというような状況では何にもならぬ。その間の滞船料というものが非常にかかるの、であります。それが十倍の距離でありましても、一万トンの鉱石を積むのに、最近アメリカは十八分というレコードを持っておるそうであります。港に船を横着けにして、上からじょうごのようなものであけてしまうと、一万トン十八分で積めるというようなことも聞いておるのであります。そういうような鉄鉱専用船というものによってその積み込みの時間を著しく短縮するというのでありますれば、幾ら船足は伸びてもなおコストを下げ得るんだというふうに、今進んでおるように聞いておるのであります。そういう状況でありますから、近い所で鉄源をあさる必要は一つもない。りっぱな鉱石であれば、どんな地球の果てまで行ってもあるいは引き合うのかもしれません。そういうわけでありますから、昭和四十年、五十年の長期計画をお立てになっていることは大へんけっこうであります。願わくは、これらの問題は、ただ数字の問題でなしに、綿密なる検討をされて、着々手をお打ちになることが必要であると思うのでありますが、一面、今まで捨てて顧みなかった磁硫鉄鉱といったような、今までの観念からいうと、ごくお粗末な鉄鉱資源というものが、国内相当にあるのであります。まだ正確な調査は済ましてないようでありますが、おそらく数億トンに達するの、ではないかということがいわれております。そのほか、最近は砂鉄の問題もだいぶやかましくなっておりまして、これらの製練、採掘ともに技術が非常に進んで、低コストでやっておるようでありますが、これらの問題について少し詳しく御説明を願いたい。まず磁硫鉄鉱の問題を伺いたい。
  30. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 実はこの前の小委員会で、たしか鉱山局の担当からお話を申し上げたかと思いますが、磁硫鉄鉱については国内の調査を進めておるという状況になっております。その資源の度合いというようなことをたしか前々から調査をしておるというふうに報告いたしてあると存じます。われわれもその結果によりまして、それからまた技術関係の問題、かような点もよく研究いたしました上で考えて参りたい、かように考えておるのであります。それから砂鉄の問題は、実は昨年の秋われわれが立てました電気銑対策というもので、現在の十五万トン程度電気銑を五年後に三十万トン程度に持っていく、これに対して電力関係あるいは輸送関係というようなことに努力していく。これに対応いたしますと、その暁におきましては大体約百万トンの砂鉄が必要とされる、かようねことになっております。かような目的で・砂鉄についても努力しておるというふうに申し上げたいと思います。さらにこれらにつきましては、国内資源の問題も御指摘の通り非常に重要だと存じますので、あらゆる面から十分検討して、必要なものは取り上げて大いに伸ばしていきたい、かように考えております。
  31. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 資源の問題については御所管外でありますから、詳しいことはそちらの方からなお伺う機会を持ちたいと思いますが、磁硫鉄鉱の製練方法については、一体現状はどういうふうになっておりますか。問題はすべて解決をしておるのか。
  32. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 これはたしかこの前製鉄課長からもお話があって、あるところにおいては相当研究は進んでおるというふうに報告があったかと思います。なお、技術的な問題でありますので、もう一ぺん確かめまして報告さしていただきたいと思います。
  33. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 それじゃ砂鉄のことを伺いたいんですが、今の高炉法によって新しい設備を建設するのと、砂鉄について電気製練によってやるのと、設備費がどれくらに違いますか。たとえば十万トンなら十万トンの単位’で、高炉を建設する場合と砂鉄について電気製練をする場合とだいぶ設備費が違うように私は聞いておるのでありますが、あなた方のお調べによって、どういうふうになっておるか。
  34. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 やはりいろいろ数字がございますので、間違いがあるといけませんから、よく調べてから報告させていただいた方がよろしいかと思いますので、至急調べて御報告いた  したいと思います。
  35. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 私も正確に覚えて  おるわけではありませんから、よくお調べを願いたいと思うのであります。この数字は間違いかもしれませんから、お断わりしておきますが、年産十万トンの高炉設備するのに、たしかただいまの時価で二百億というようなことを聞いたように思うのです。ところが砂鉄電気製練の方では、それの二十分の一の十億ちょっとくらいでできるのだというようなことを聞いたような気がするのです。これは記憶が間違っておるかもしれませんが、そうだとするとおそろしく違うのです。金が余りあっている国ならともかく・今の日本の産業構造というものに高度の変革を加える、そうなると雇用の関係やいろいろな関係がよくなる、ただ、遺憾ながらインフレーションを起さずに、そういう方面に多大の資金をつぎ込むということが不可能だという点で、だいぶ行き詰まっている問題がたくさ舟あるのであります。もしも二十分の一で砂鉄製錬ができて、しかもそれが低廉なるコストでできるということであるならば、何をおいても日本の砂鉄資源というものに、全力をあげて邁進すべきときではないかというふうに考えるのであります。それほど緊迫した問題だと私は思うのでありますが、それらの問題について、緊迫した気持でみな注意しておるときだから、あなた方が少しのんき過ぎるのじゃないかというふうに考える。一つ至急その点をお調べ願いまして、これに対する対策を立てられるように切望いたす次第であります。
  36. 小平久雄

    小平委員長 次に堀運輸省船舶局監理課長より、鉄鉱石専用船及びこれが荷役施設等に関する運輸当局の考えを、概略御説明願いたいと思います。
  37. 堀武夫

    ○堀説明員 鉄鉱石専用船の問題につきまして、世界においてはどうなっておるか、日本においてはどういう状況にあるか、鉄鉱石輸送等についての状況を御説明申し上げます。  今鉄鉱石の輸送に従事しておる世界の船舶は、約二百五十万トンくらいであります。これは一九五五年の上期の数字ですが、このうち専用船といわれるものが、約四五%の多きに達しております。諸外団においても、専用船というものは非常にコストが安くいくというので、なお建造中及び発注済みとなっておる専用船が、約百八十万トンくらいあります。従いまして、ここ二、三年中には、これらの専用船がどんどん市場に出ていくわけであります。これに反しまして日本鉄鉱石輸送を見ますと、主としてトランパーでありますが、鉄鉱石輸送に従事しておりますわが国のトランパーーというものは、トランパーのうちの二七%が従事いたしております。その貨物の量から見ますと、トランパー貨物、いわゆる不定期船貨物のうちの三六%というふうに、わが国海運にとっては、非常に大きなパーセンテージを、鉄鉱石輸送というものにさいておるわけであります。従ってこの問題は非常にわが国海運にとっては、大きなウェートを占めるわけであります。  それでそれらの船は、一体どういうふうな船が従事しておるかと申しますと、先ほど申しましたような専用船という高能率の船は、二、三ばいしか今従事しておりません。内訳を見ますと、在来船、買船あるいは戦時標準型の船といったような、非常に老齢船、不経済船といわれるものが、その輸送量の約六〇%から七五%を運んでおる。三〇%から二五%ぐらいが新しい船——新しい船であっても、専用船と名づけるものは、そのうちのほんの二、三ばいくらいしかない、そういうふうな状況になっております。  こうしてみますと、世界の鉄鉱石輸送の方向というものは、ほとんど専用船方向にいくということが明らかであります。ただわが国においても、その方がコストが安いし、その方向にいくべきであるというふうに思われますが、問題は、こういうふうな船が今従事しております日本海運に与える影響はどうかという問題が一つあると思います、しかしながら、通産の二十カ年計画によりますと、どんどん輸送量がふえていくの、でありまして、その分に見合うような専用船の建造ということであれば・そう急激な打撃を、日本海運には与えないのではないかというふうに考えるのです。  まことに簡単でございますが、以上でございます。  それから荷役施設につきましては、私たちの所管外でございますが、若干調べたものがございますので、それを申し上げますと、今生として積み取っておりますのはフィリピン、マレー、インド、、ゴア、こういうところが主たる積取地になっておりますが、その中で一番荷役施設の整っておりますのは、フィリピンのララップであります。ここだけが現在のところ接岸荷役が可能であります。その他のところは、ほとんど全量沖積み、はしけ取りという状況になっておりまして、荷役能率とし一ては、非常に悪いという状況になっております。なおズングンにおましては、モンスーンその他において、十一月から二月までの間は、荷役がでないという状況であります。ゴアにおましては、五月から九月までの間が非常に荷役が困難でございます。そういう状況になっております。
  38. 小平久雄

    小平委員長 私からお尋ねしますが、今のお話だと、鉱石需要量の長期計画による増加分だけは、専用船を作っても一般海運界に影響がないというようなお話のようだが、だから運輸当局としても作るようにしよう、こういうの、ですか。そこのところをはっきり——ただ影響がないと思うだけで、あとがどうもしり切れトンボのようだが、運輸当局としてはどういう考えなんですか。
  39. 堀武夫

    ○堀説明員 船舶の需給関係だけの面から見ますと、運ばなければならない量がふえれば、それに伴って船腹がふえれば、その面だけから見れば大した問題ではないように思うということを申し上げたのであります。
  40. 小平久雄

    小平委員長 その影響が大したことはないというだけじゃ、積極的に専用船に力を入れてやろうというのか、やるまいというのか、どうもそこのところの考え方が一向はっきりしていないようだが、どういうことなんですか。
  41. 堀武夫

    ○堀説明員 今輸送量が一定、でありますれば、新しい船ができて、そこに投入されれば、今まで運んでいた古い船が運ぶ荷物がなくなるという意味から現在の日本の海運業に影響を与えることになるわけです。ですから輸送の需要量がふえれば、日本海運にすぐに打撃を与えるということには、その面だけから見ればないであろうということだけを申し上げておるわけなんです。
  42. 小平久雄

    小平委員長 その先を聞きたいんですよ。そこまでは最初のことでわかっているのだ。影響が少いだろうということだけで、専用船自体は、だからどうしようというのだが、一向そこの見解の表示がないのだ。われわれは鉄鉱専用船というものを今問題にしているのです。一般海運界を問題にしているわけじゃないので、むしろわれわれは鉄鉱専用船に重点を置いて審議しているのですから、それについてのあなた方の考え、今後どうしようというのか、それを聞きたいのです。
  43. 堀武夫

    ○堀説明員 私、運輸省全体の意見を申し述べる立場にありませんが、将来の方向としましては、専用船というものにだんだんなっていくのが理論的に考えましても、先ほどから言いました世界の傾向から見ましても、専用船にだんだん切りかわっていくというのが方向だと思います。従って運輸省としてもその方向を否定するという見解はとり得ないのではないかと思います。
  44. 大倉三郎

    大倉委員 今委員長が言われたように、鉄鉱専用船を問題にするわれわれとしては、要するに日本鉄鋼の将来を考えて、原料の輸入計画をどうするか、しかもそれにはあらゆる面から考えて、終局のところは、コストの安い原料を輸入するということになるわけなんだ。そこで専用船問題は、——専用船は結局コストの安い鉱石を、しかも日本計画通りフルに容易に入れるという面から、やはり鉄鉱専用船問題というものをわれわれとしては大いに重要に考えるわけです。今あなたのお説のように、今世界各国が鉄鉱専用船の問題を大く取り上げて、各所で建造を増加しておる。ところが日本の方は、今言われるような老朽船を使っておる、老朽船を使って、その鉱石を運んでおるところに、相当コストの問題もそこに影響してくるのじゃないか、こういうような考え方なんです。だから船舶業界の利益云々の問題じゃなしに、いかにして安い鉱石を、しかも希望通り入れるかというために専用船がぜひ必要だ、こういう考え方なんです。それについてあなたの方の所管としてどう考えるかということをはっり聞たい、こういうわけでおいでを願ったわけなんです。その点について一つ……。
  45. 堀武夫

    ○堀説明員 船舶局においてわれわれが今まで議論をしただけの意見では、今おっしゃった意見をとっておるようであります。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名(悦)小委員 船舶の運航を監督されるという船舶局の方のお立場と、それから船を作るのをやはり監督されておる立場と両方あるわけです。そこで船を作るという問題を監督されているあなた方として、だんだん船足が遠くなって、今までの船を使っておるのでは、トン当りのコストがべらぼうに高くなる、それで滞船時間というものを極度に短くして、そうして全体のコストとしてはむしろ上らない、下るというくらいのところをねらうにはどうしても今後は専用船以外にない、その専用船の建造ということが問題なのでありますから、それらの問題については十分な御理解を持って協力していただきたいという意味において私は申し上げたいと思うのであります。それででき上った専用船をどこが運航するか、船会社が運航して製鉄会社のために鉱石を運んでくるか、それとも製鉄会社自身がこの運航の衝に当るか、その問題があるわけです。一体先進国においてどういうふうになっておるのか知りませんが、作る作らぬというこは、これはどうしても作らざるを得ないのですから、作った専用船をどういうふうな方法で運航するのがいいかということについて、船舶局の方、で何か御研究になったことがあるならば、その模様を聞かしていただたいと思います。
  47. 堀武夫

    ○堀説明員 運航の形式につきましては、これは船舶局の所管といいますよりは、むしろ海運局の所管でありますとともに、船舶局ではまだ十分な研究もいたしておりませんので、ここで御披露を申し上げるほどにはなっておりません。
  48. 大倉三郎

    大倉委員 それでは最後に一つ場重工業局長にお願いしておたいのですが、さっきからの御説明によって長期の鉄鋼原料輸入計画を立てておることはまことにけっこうだと思います。言うまでもなく鉄鉱石輸入することになりますと、たとえば東南アジア付近に日本が予定されておるところの供給源をあさってみると、長期の計画、しかも鉄鉱石そのものは、われわれの記憶、では、スエズ以東ではインドが今少しやっているだけで、需要先は日本だけしかない。向うが鉄鉱石の採掘をやりましても、日本がこれを恒久的に、しかも定期的に、値段その他においてはっきりした見通しのもとに買ってくれるという確信がないと、向うも鉱山の採掘をやらぬのじゃないかという点等も考えまして——日本における八幡、富士等の会社日本では有数な会社であっても、やはり相手の国ということになるとこれは一つの営利会社であるという関係から、そういう計画を進める上においても向うは非常に不安があるのじゃないか。でありますから、長期の鉄鉱石輸入計画を立てる上において、輸入するところの母体はどういろようなこと、でやることが一番いいんだというふうな構想をわれわれは持っておるわけであります。でき得るならばこれはやはり公社のような大いものを作るか、これはどうしても政府がバック・アップしておるような、はっきりした権威ある、しかも資金の面においても、あるいは将来の契約をするにおいても、相手方が安心をするというふうな点から考えて、しっかりしたもの、日本で一本になったものでその計画を進める。そういうとに今言う専用船等の問題も出てくるということでありますし、あるいは相手先の港湾の設備その他の一切の問題についてもこれは相当大仕掛のもの、。ないと、日本の今考えているような輸入鉄鉱資源の確保ということはむずかしいのじゃないか。でありますから、こういう計画を進められる上においてそういう構想があるかどうかということだけを最後にお聞きしたい。
  49. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 鉄鉱石の開発問題につきましては、これは一番問題はやはり日本の鉄鉱メーカーで、これが中心となって従来いろいろ計画を考えて、政府もこれに対して十分協力をするという態勢をとってきております。そこで従来のいき方は、たとえばフィリピンの問題にしましてもあるいは輸銀から資金を考える、そして日本から投資とか、さようなことの形が行われてきております。ゴアについてもこの前たしか資料をお配りしたと思いますが、さような形をとってきております。今後はさらに大きな規模の開発を考えなければならぬというような問題になりますと、御指摘の通ります施設上の問題がありますし、専用船の問題もあります。かような問題がございますが、今後の構想についてどんなふうに持っていくか、これは確かに御指摘のような点も問題でございまして、研究しなければならないと考えております。ただ、相手方のある問題でございます。また従来やっております方式でいけますのは、従来の方式でもいけるのじゃないか。さような具体的ケースにつきまして問題を検討し目的を達するような方法で、今御指摘のような問題も一つの問題として今後研究していきたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 小平久雄

    小平(久)小委員長 最後にちょっと運輸省に聞きますが、この鉄鉱専用船の建造計画は、あなたの方の内部部局からいうと、どういうところで担当していることになるのですか。先ほど来の話を聞いていると、何か雲をつかむような話なのだが……。
  51. 堀武夫

    ○堀説明員 建造計画というものになりますと、これは需要者側で、すなわち鉄鋼業のために必要であるという側からの問題となりますれば、何年間に何ばい作るというような計画通産省で立てられることになるのではないかと思います。
  52. 小平久雄

    小平(久)小委員長 それを実際作るか作らぬか、どう援助するかということは運輸省がやるのでしょう。今度はそういうことはどこが担当していくの、です。運輸省でしょう。
  53. 堀武夫

    ○堀説明員 その船舶の運航の面になりますと海運局……。
  54. 小平久雄

    小平(久)小委員長 運航じゃないです。作る方です。
  55. 堀武夫

    ○堀説明員 建造の面になりますと船舶局……。
  56. 小平久雄

    小平(久)小委員長 船舶局の何課がやるのですか。あなたのところですか。
  57. 堀武夫

    ○堀説明員 臨時船舶建造調整法によりまして、船を作る場合には建造の許可が必要であります。その許可は船舶局の造船課でやっております。
  58. 小平久雄

    小平(久)小委員長 いずれにしても、きょうの運輸省のお話を聞いていると、われわれは少し物足らぬ気がするの、です。この専用船の問題は数年来問題になっておって、しかも聞くところによると、業界においても相当具体的な案もすでに出ているという。それなのにどうも運輸省はこれをどう取り扱うかまだ方針がきまっておらぬというようなことで、まるで雲をつかむような答弁でいられるということは、はなはだ遺憾に思うのです。いずれ局長なり大臣なりにきてもらって審議したいと思いますから、一つ伝えておいていただきたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十六分散会