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1956-03-17 第24回国会 衆議院 商工委員会重化学工業に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十七日(土曜日)    午前十一時三十四分開議  出席小委員    小委員長 小平 久雄君       小笠 公韶君    大倉 三郎君       椎名悦三郎君    田中 龍夫君       伊藤卯四郎君    多賀谷真稔君  出席政府委員         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 爲治君  小委員外出席者         議     員 宇田 耕一君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      大堀  弘君         通商産業技官         (重工業局製鉄         課長)     田畑新太郎君         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      小泉  進君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月十三日  多賀谷真稔君同月十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄鋼業及び機械工業に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き鉄鋼業及び機械工業に関し調査を進めます。  まず前会より懸案になっております電気銑企業について、特にその実績月産能力電炉設備稼働状況及び電力需給状況等に関して公益事業局長及び重工業局長より説明を聴取いたします。公益事業局長川上為治君。
  3. 川上為治

    川上政府委員 三十年度と三十一年度電気需給関係は非常に違って参っておりまして、二十九年度から三十年度におきましては非常な電力伸びが行われているわけであります。私の方の実績推定としましては、北海道が一〇五%、東北が一二〇%、東京が一一四%、中部が一一二%、北陸が一一七%、関西が一一一%、中国が一一四%、四国が一〇五%、九州が一〇七%、これを全国平均しますと一一三%ぐらいの需用伸びが行われているわけであります。三十年度を二十九年度に比較しますとそういう伸びがあります。特に東北におきましては一二〇%という大きな伸びが行われています。一番問題なのは東北地方北陸地方でございます。なぜこんなに需用伸びたかという点につきましては、これは最近におきますカーバイドあるいは電気銑あるいはその他の工業関係北陸あるいは東北に対しまして非常に集中的に伸びてきたという問題が一番大きな問題ではないかというふうに考えております。産業によりましては、東北あるいは北陸におきましては、大体二十九年度に比較しまして三十年度は倍近く需用伸びておるというような状態になっております。ところがこれに対しまして、電力供給の方からいいますと、大体現在の電源の開発につきましては、年間需用が七%ぐらい伸びるという予想のもとにやっておるわけなんですが、そうしますと東北とかあるいは北陸におきましては、非常に電力が不足するというような状態になってくるわけでございます。私どもの方としましては、特に東北につきましては、さっき申し上げましたカーバイドとかあるいは電気銑とか、そういうような需用が旺盛でありますので、東北で足りない分につきましては、関東方面からこれを補足供給してやって、そうして三十一年度におきましては何とかしてこれを調整していきたいというふうに考えておるのであります。この前から産業別にいろいろ当っておるのですが、結局需用に対しましてある程度これを調整をしたとしましても、なお東北地方におきましては、年間一億六千万キロワット・アワー程度足りないという状態が来年度におきましては起きるのじゃないかというふうに考えますので、私の方としましては、これは東京の方からどうしてもまかなっていきたいというふうに考えております。もちろん供給力としましては、その程度のものにつきましては東京の方から供給をいたしまして、東北の足りない分を調整することはできるわけなんですが、ただ東京から売る電力料金につきましては、東北料金よりも非常に高いわけでございますので、これをどういうふうに調整するかという問題を現在いろいろ検討をいたしておりまして、これは東北電力東京電力との間に一応話をいろいろさしております。供給量につきましては今申し上げましたようにどうしても足りないという一億六千万キロワット・アワー程度東京から送ってやりまして、その料金につきましては、東北の現在の料金あるいは産業状況を見まして、何とかして低い料金で出したいというふうに思います。東北需用に対しまして何とかこれをまかなっていきたいというふうに考えております。電気銑につきましては私正確な数量を知りませんけれども、大体三十年度生産と三十一年度生産計画というのは相当大幅に違ってくるんじゃないかと思うのですが、私の方としましては、その電気銑需用に対しまして、なるべくこれを電力の方で不足がないように供給したいとは思っておりますけれども、ただ需用者の方の要求そのままをその通り認めるということはなかなか電力状況からいってむずかしい問題ではないかというふうに考えております。ことしはたしか東北だけで十万トン足らずと思うのですが、三十一年度計画としましては、私どもの方としましては大体二十万トンぐらいに相応する電力量は送りたいというふうに考えております。それから東北北陸地方におきましてこういうような需用伸びがどんどん続いておりますので、東北に対しましては何とかして早急に電力開発をしなければならぬというふうに考えておるわけなんですが、東北電力開発につきましては、従来はほとんど水力でやっておりますので、火力設備はほとんどありませんが、何とかしてこの際早急に火力設備を持つべきではないかというふうに考えております。特に電気銑中心地であります八戸付近につきましては、火力設備をどうしても持った方がよくはないかと考えております。従いましてどの程度のものを設けますか、その点は検討を要するのでありますけれども八戸北海道にも近いし、石炭の価格も安くなると思いますので、それに新鋭火力設備でも設ければ電力料金そのものもそう高くならないで何とか済むんじゃないかというふうに考えますので、この問題につきましては東北電力に対しましても、早急に八戸火力設備を設けたらどうだろうかというような話合いを現在いたしております。
  4. 大倉三郎

    大倉委員 十万トンというのは東北だけですか。日本全国ですか。
  5. 田畑新太郎

    田畑説明員 ここにきょう提出いたしております資料がございますが、その第一ページに平均の月産実績というのがございまして、その中で東北地区といたしまして月産が五千八百九、それから東京が千百六十四、それから中部の矢作が九百五十三、それから北陸が二千八百八十三、総計いたしまして一万一千百十一トン、これが月産能力でございまして、昨年は全体のうち主要なメーカーを全部ひっくるめて入れまして、昨年の生産実績が十五万トンになっております。十五万トンに対してここに出ております地方メーカー生産実績がこれの十二倍でありますから、十三万トンぐらいに相当いたします。東北地区月産が六千トン近く、これの十二倍ですからこれは七万一千トン、十万トンにはなりませんが七万一千トンであります。
  6. 小平久雄

  7. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま製鉄課長から御説明申し上げましたように、お手元にお配りいたしております資料でおわかりと思いますが、現在の能力は総計で月二万一千七百五十トンあるわけでございますが、実績は一万一千百十一トン、こういったことでキャパシティからいいますと余力があるわけでございます。この総体の設備内容が次ページに出ております。電気の問題につきましては、先般の委員会の際に重工業局長から御説明申し上げた通りでございますが、特に問題になりますのは、先ほど公益事業局長から申し上げましたように、東北北の方部分八戸地区砂鉄資源がございますし、新しい設備もこちらに相当できるわけでございまして、特に今後できます新しい設備は、密閉式と申しまして、ガスを硫安関係に使用しながらコストを下げて合理化していこうという計画設備でございます。その場合に電気の質から申しますと、常時電力がよけいに要るという関係になって参るわけでございます。東北電気の性質は、水力が主体でございますので、結局常時電力を得るということが非常にむずかしい、特に北の方へ参りますと、送電距離が非常に長くなりますので、南部の水源地帯から北の方まで送電するという点で、送電線の問題が非常にむずかしい問題がある。そういった見地におきまして、今後砂鉄の新しい電気銑設備を確保して参ります際には、東北北の方部分についての電気対策というものが特に必要になってくるのではないか、ただいまお話のように、八戸あたり火力を作っていく方が電気関係から見ましても合理化されるのではないか、かように考えておる次第であります。
  8. 小平久雄

    小平委員長 それでは質疑に入りたいと思いますが、小委員外商工委員の発言があれば随時これを許可いたしたい思いますので御了承願います。宇田耕一君。
  9. 宇田耕一

    宇田耕一君 今の説明の中で、水力の方のピークと常時と渇水の場合の差というものはどれくらいありますか。一億六千万というのは渇水時の差のことですか。ピーク渇水以外のときには現在十分足りるというわけですか。
  10. 川上為治

    川上政府委員 東北におきまして一億六千万キロワット・アワーぐらい足りないというのは、これは渇水のとき、豊水のとき、ピークのとき、いろいろのときについていろいろ検討して、年間におきまして一億六千万キロワット・アワーぐらい足りないという数字でございます。それから東北におきましてこのピークのときと渇水のときとどれくらい違うかということになりますと、大体ピークのときの半分ぐらい渇水のときは足りないというように御了解願いたいと思います。
  11. 宇田耕一

    宇田耕一君 そうすると火力キャパシティというのはどういうふうな計画が好ましいのですか。
  12. 川上為治

    川上政府委員 その点は実はまだ詳細に検討いたしておりませんが、東北電力としましては、八戸に十五万ぐらいのものを設けたらどうだろうかというような意見を持っておるようですが、現在の東北需用からいいますと、それでは少し大きいのではないかというような意見を持っておるものもあるようであります。この際七、八万程度のものを設けまして、そのうちまたそれを拡充していくということの方がよくはないかという意見もあるようであります。私の方としましてはまだその点についてはっきりとどの程度のものを置いたらいいというような結論は出ておりません。
  13. 宇田耕一

    宇田耕一君 東京電力から補給しようとする一億六千万キロ・ワット・アワーですが、これはどの発電所中心として送るという計画になるのですか。
  14. 川上為治

    川上政府委員 その点につきましてはまだどの発電所が送るというところまで話はついておりませんが、最近におきましては鶴見等におきましても新鋭火力ができまして、これは運転の時期に入っておりますので、そういう方面からも相当いいのじゃないかというふうに考えておる次第でありますが、これはまだはっきりきめておりません。なお四月以降になりますと佐久間発電を開始いたしまして、佐久間電気東京に入って参るわけであります。これは東京全体でどこの電力東北に持っていくかということは、その時期々々にもよりますし、その辺はまだ具体的にはなっておりません。今その点は十分相談をいたしております。
  15. 宇田耕一

    宇田耕一君 結局東京からの送電の場合の一番の弱点は、渇水期にはいずれのところにも渇水が起ってくるということでしょうから、そういう条件でしかも送電力のロスを多く見なければならぬ条件が生まれるでしょう。そういうふうな非能率な送電中心にして電気銑工場を運転するということは非常に基本的なコストに影響があるので、経営は困難な前提に立たなければならぬ、こういうふうに考えております。それで東北地方の重要な砂鉄資源開発しようとすると、これはやはり現地において動力をいかに確保するかということに及んでこなければならぬ、こういうふうに思いますが、そういたしますと所要電力をどのくら供給し得るかという現地計画、それの年次計画をやはり一応立てておかなければ事業計画は立つはずはありませんから、そういう点については、砂鉄を採取し得る能力といいますか、東北地方砂鉄鉱業原料供給能力、そういう方面のことについての政府考え方、あるいは調査をしてきた従来の経過、現状を一つ聞かしていただきたい、かように思います。
  16. 小泉進

    小泉説明員 実は現状を申し上げますと、現在の砂鉄生産量の大体の比率を申し上げますと、北海道地区全国の約六割、青森並び東北地区が三割、青森北海道地区に大体九割程度のものが集中されておりまして現在採掘しておるのであります。ただ埋蔵量の点から申しますと、北海道海岸のものでありまして、採掘がだんだん進むにつれて埋蔵量は減少の傾向にあります。ただいま海岸砂鉄ではなくて、山岳地帯にあります砂鉄政府の手によって三年前から五カ年計画をもって調査を進めております。ただいまのところでは東北地方並びに千葉地方北海道合せまして一億トン程度のものが推定されるという点まで調査が進んでおります。何分五カ年計画を進めまして、今日で三年目でありましてはっきりしたことは申し上げられませんが、相当有望なものが発見されるであろうという推定ができる段階になっております。
  17. 宇田耕一

    宇田耕一君 東北地方、特に青森地方砂鉄についての調査概要はどうなっておりますか。
  18. 小泉進

    小泉説明員 実はただいま申し上げましたように、二十九年度から調査を始めまして、二十九年度、三十年度——三十一年度はこれからでありますが、主として地質調査所資料によって調査を進めておりますが、大体年間二十九年度に千八百万円程度、三十年度が二千三百万円、三十一年度二千七百万円程度のものを、主として北海道並び東北でありますが、そのうちの大部分東北地区砂鉄調査に使いまして計画を進めております。
  19. 宇田耕一

    宇田耕一君 青森地方埋蔵量はどれくらいでありますか。
  20. 小泉進

    小泉説明員 青森地区の天間林でありますが、鉱山埋蔵量を表現いたしますのに確定鉱量推定鉱量予想鉱量という表現があるのでありまして、確定鉱量といいますのははっきり目で確認し得る量であります。その量はただいまのところでは非常に膨大な数量は見ることはできないのでありまして、御存じのように、普通砂鉄と申しますと水平な石炭の層の上にあるのが常識でありますけれども東北地方のは普通の鉱山のように垂直に立っておりまして、それがどこまで奥が続いておるか、あるいは垂直に立ったままであるのか、あるいはあるところにいきますと水平に曲ってくるのか、あの辺はボーリングをやりますと三百メートルくらいのボーリングを必要としますので、ただいまあらゆる協力を得ましてボーリングを進めております。ただいまのところでは確定鉱量が幾らということはちょっと申し上げかねる段階かと思います。
  21. 宇田耕一

    宇田耕一君 確定鉱量がはっきりしない。従って事業計画を立てる前提条件が不明瞭だということになると、火力発電八戸の十五万キロ計画についても、少くとも砂鉄鉱業前提とする場合には、これは送電計画を立てる基本線あるいはこれに対する料金の問題の解決というところまで入っていかないのではないかというおそれがありますから、砂鉄鉱業基本である確定鉱量についても責任ある調査方法をすみやかに講ぜねばならない、それに必要な調査費資金計画として考えなければならぬ、こういうふうに思いますが、今年度は一千七百万円ですか。
  22. 小泉進

    小泉説明員 二千七百万円です。
  23. 宇田耕一

    宇田耕一君 東北地方北海道を主として考えておるようでありますが、それのどういう地区をどういうふうなボーリングをして確定埋蔵量検討するかということを、次の機会でよろしいですから知らせていただきたいと思います。そしてこういうことは抽象的な論議に終らさないように、やるならやるで、やはり、先ほども動力計画送電計画も承わりましたが、その計画基本線を、民間ではとてもやり得ないでしょうから、政府の力でこれを本格的に短時日の間にものにするように配慮を願わなければならぬ、こういうふうに思います。  まだいろいろ承わりたいことがありますけれども、時間が非常に少いので、次の機会に譲ることにいたしますが、電気銑工業については、これは椎名委員からなお質問があるだろうと思いますが、私はこの際あわせてそのほかで、特に重工業関係政府の方に希望しておきたいことがあります。それは鉄鋼生産計画を見ておりますと、一千万トンばかりの鉱石を必要とするような計画内容になっておるのじゃないかと思うのであります。そうすると、輸入計画に合わすところの輸送計画というものは、どうも非常に総合的な計画のもとにこれがなされているように思われない。フレートが非常に上ってきている現在から見ていると、鉱石をどこに求めるかということに対する基本態度がはなはだ不明確であるように思われる。最近われわれが中共へ行ったときもそうですが、たとえば海南島の鉱石にしても、私が行ったときも、百万トンは渡してもよろしいということを言っておりました。そうして。パーセンテージは六〇%ないし六五%のものを渡してもよろしいというようなことを言うておった。最近宮腰君の話を新聞で見ていると、二百万トンを分けてもよろしいというようなことも書いてありますから、そういたしますと、海南鳥鉱石が二百万トンもこちらへ入ってくる、パーセンテージ六五%前後以上のものがくるということになると、日本重工業にとっての原料対策としてはかなり大きなウエートがあるものと思います。従って輸送計画にいたしましてもかなりな変化が考えられると思う。そういうわけで、来たるべき年度生産計画に伴う原料計画というものは、やはり国際環境変化に応じて十分に検討いたしたいと思いますから、そういうことについての当局の計画を承わりたいと思います。三十一年度までの今までわれわれが拝見しておる数字あるいはそれの計画は大よそわかりますけれども、最近の国際環境から見てみると、かなり業界が世界的によかった関係で、増産をびっこにいろいろやっております。ですから、これは当然この状況が続いていくというふうに私たちは楽観できないように思いすから、生産原料対策と一緒に、今度は製品の輸出計画あるいは海外市場に対する対策等もあわせて承わりたいと思います。それで海外市況に対する見通し、あるいはこれに対する政府方針等を承わりたいということが一つと、それに見合うところの生産計画原料対策を聞きたい。そうしてその中に特に自分たちの考えることは輸送対策であって、輸送対策生産地別にどういうふうな配船計画までできているのか承わっておかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのであります。それによってコストを現在のコストよりもずっと下げ得る条件が生まれてくるのぢゃないかとも思うのであります。  なおそのほかに、日本鉄鋼生産あるいは販売輸出等基本問題を解決するために、現在の日本鉄鋼生産販売機構、戦後に編成がえをしておる現在の国内の機構が、ただいまの国際環境に果してうまく合っておるかどうか、われわれは非常に疑問に思う点が多いのであって、こういう日本鉄鋼界全部に対するところの基本問題について、もう少し私は政治的な配慮を加えなければならぬ点があるように思うわけです。そういう点についても政府方針をきめてよくお話し願っておいて、われわれの立場からも十分に意見も述べますし、対策も考えたい、こういうように考えます。そういう線に沿って資料をまとめて次の機会に示していただいたらけっこうだと思います。
  24. 大堀弘

    大堀説明員 前回の会議の際に、鉄鉱石海外開発についていかなる投資をしているかという問題について御質問がございまして、資料を一応お手元にお配りしてございます。  ただいまの御質問に関連いたしまして、これは相当基本的な問題でございまして、実は私ども鉄鋼業全体のあり方について相当長期見通しを持つ計画がなければならぬということで、その点につきましては重工業局内で、また通産省全体といたしましても、いかに持っていくかということを目下相談中でございますが、ちょっと気のつきました点だけをこの際申し上げておきますと、三十年度銑鉄生産が五百二十万トン、鋼塊で申しますと九百七十万トン、これは三十年度実績見通しでございますが、来年度銑鉄を、高炉銑でございますが、五百七十二万トンに持っていき、インゴットといたしましては一千四十二万トン、これは私どもの一応の計画でございますが、それに対しまして、輸入鉱石が三十年度は六百二十九万トン程度になるだろう——若干ずれているかもしれますんが、大体の見通しであります。三十一年度はこれが七百三十五万トン、百万トン程度増加するであろうというふうに見通しをつけているわけです。それにつきまして私どもとしましては、三十一年度については当面インド、フィリピン、マレー、その他南米、アメリカ等も寄せ集めまして、ほぼこの程度のものは確保できるであろうという見通しを持っているのでありますが、根本的に申しますと、五カ年計画を遂行して参ります際に、現在でも鉄鋼の問題はインゴット生産が非常に少いというところに問題があるわけでございまして、今後のあり方としては、やはり鉄鋼原料を確保していくということが、今後の鉄鋼政策の大きな根本になるのではないか。従いまして高炉建設の問題、スクラップの問題を考えまして、あるいは転炉の問題を相当考えていく、あるいは平炉の大型化の問題も考えなければいかぬじゃないかということも考えております。問題は高炉以前の、鉄鉱石の山をいかに確保し、この輸送をいかに能率化していくか、港湾設備の問題及び専用船の問題を合せまして、鉄鉱石資源の確保とこれの輸送港湾の荷役、高炉建設、こういう原料面対策が今後の鉄鋼の大きな方向になるのじゃないかというふうに考えておりまして、ただいま御質問海南島の鉱石の問題も私どもとしても十分研究をいたしておりますが、これは中共貿易の全体の関係通商政策関係もございますので、私どもといたしましては取扱いは慎重にいたしておりますが、鉄鋼資源としては十分に研究いたしております。なお輸出の問題につきましても、昨年度は二百万トン以上の大きな鉄鋼輸出がございましたが、本年度見通しにつきましては、アルゼンチンの貿易が御承知のような事情になっておりまして、昨年度六十万トン程度輸出をいたしておりましたが、これはまずそういった輸出見通しはつけられない、非常に大きな低下があるのではないかと考えております。その他の市場は現在でもまだ相当に売れてはおりますが、しかしながら全体としてみます場合には、本年度は昨年度に比べて鉄鋼輸出は若干低いところに参るんじゃないか、しかし著しく低くなるというふうにも考えておりません。二百万トンがどのくらいになりますか、予想でございますからはっきりとは申し上げられませんが、やはり若干低下した線にいくのではないか、かような見通しを持っておりまして、私どもとしては昨年は御承知のように調整措置まで講じましたけれども、本年度はやはりある程度鉄鋼輸出ということは考えていかなければならぬという考え方に立ちまして、下期以降デリヴァリの時期等を考慮して、できるだけ有利な契約が締結できるように指導しつつあるというのが現状でございます。  はなはだ不十分でございますが、ちょっとこの場で気がつきました問題だけを申し上げました、なお基本の問題につきましては資料を準備いたしまして次会に御説明いたしたいと思います。
  25. 宇田耕一

    宇田耕一君 概要は承わりましたけれども、ただいま申し上げましたような基本問題ないし各項目について、それぞれ引き続き小委員会政府考え方を聞きたいと思いますが、きょうはこれで質問を打ち切っておきます。
  26. 小平久雄

    小平委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。これにて散会いたします。   午後零時十二分散会