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佐藤説明員 別に準備もしておりませんけれ
ども、大体のことを申し上げます。
日本の
砂鉄につきましては、実ははなはだ
調査が不備でございまして、特に
埋蔵量の
数字の問題になりますと、
資料が
不足というよりもほとんどないというに近いくらいでございます。どうしてそういうようなことになっているかと申しますと、いろいろな理由が考えられますが、私
どもの
立場として考えますことは、元来
国内砂鉄鉱業というものが非常な
中小企業である。特に
海岸の
波打ちぎわに少しずつ蓄積されておりますいわゆる
浜砂鉄、これが
鉱区としては
全国的に一番多いのでございますが、その
浜砂鉄になりますと、もともと
浜砂鉄鉱区は
規模が小さい。従いまして、そういう小さいものに大きな資本を持った
事業家が乗り出すことはとても相談にならない。従って、その辺の漁民とか
農民たちが、
片手間に副業的に、
生産コストをできるだけかけないような、きわめて幼稚な原始的な
方法でやっておる。それでちょっと地表をひっかく
程度に
仕事をしまして、その
あといろいろな
事情でやめてしまう。一体そこに賦存しておる量のどのぐらいを掘ってしまったか、あるいはどのぐらい残っているのか掘り尽してしまってやめたのか、あるいはまだ残っているのに何かほかの
事情でやめたか、いろいろな
事情もございますが、要するに徹底的に
鉱床の全貌を把握した
あとで
仕事をするということになっておりません。そういう
片手間の
仕事をしておったし、また現在でもほとんどそうなのでございますが、
鉱床の
実態がいつまでもわからないままでおる。また
浜砂鉄の
鉱床のもとは現在の
波打ぎわから若干沖合いの方にございまして、それが波の作用で少しずつ鉄分を
波打ちぎわに持ってくる。それ炉繰り返し現在でも行われているわけでありますが、特に暴風などが吹きました場合には一ぺんに多量に集まる、その
あとをねらって副業的に
仕事をする、そういうことを繰り返しているのが多い。そのために、
埋蔵量というものは初めからきまっていないようなものでもありますけれ
ども、また
現実に目の前にあるものを徹底的に調べ上げることは誰もやっていない。もう
一つ、そういうふうな小
規模な
副業的作業ということも原因いたしますが、要するに
開発の用具が非常に幼稚なもので、深いところまで探るような
設備ができておらない。従って、水平的な
分布はもちろんのこと、垂直的な
分布もほとんど確められておらない。そういったような
浜砂鉄が
あいまい模糊として
国内の
海岸線にずっと
分布しておるわけでありますが、これはどこへ行ってもしっかりした
資料を持っておらない。私
ども地質調査所は
鉱山局などと相談いたしまして、未
利用鉄資源の
調査を開始して今年度で満二年を終ろうといたしております。五カ年
計画でございますから
あと三年ございますが、今までだれも把握しておらなかった、そういった
砂鉄鉱床の
実態をまず把握して
資源の
数字的な
根拠をできるだけキャッチしていきたいということが
一つであります。御
承知のように、
砂鉄はそういう
浜砂鉄以外、いわゆる
山砂鉄がございます。
海岸からかなり入り込んだ一むろんそう高い山脈の上の方までは考えられませんけれ
ども、
海岸段丘と申しますようなちょっとした小高い丘のところにも相当
埋蔵されていることがわかっております。これは昔の
砂鉄鉱床が
陸地に上ってしまっておるということで、多少
規模の大きいものも入って参ります。あまり専門的なことは省略いたしますが、かなり古い
時代の
砂鉄鉱床が現在
山砂鉄として
陸地にもございますが、そういったものは、やはりその運搬の不便とか交通不便などに災いされまして
開発もほとんどよく行われておらないのが多いのであります。そういったものもねらって今
調査しておりますが、大体二年を経過いたしましたので、そろそろ
調査の取りまとめの
方向に向わねばならない。この
砂鉄と同時に未
利用鉄資源の
磁磁鉄鉱の
資源調査もやっております。それと並行して五カ年間で一応の結論を出したいのでございますが、
磁硫鉄鉱のことは今触れません。
砂鉄につきましても、大体
浜砂鉄と
山砂鉄と
両面にわたっての
調査を進めておる次第であります。二年を経過して振り返ってみますと、
浜砂鉄のうちでもきわめて小
規模なものは鹿児島県その他瀬戸内海の
沿岸などにもございますが、そういうものは大体
調査のめ
どもついておりますので、現在では大体
東北地方と
北海道の方に
調査の
重点を置こうかと考えております。こまかい点は御
質問でもございましたらなんでございますが、現在問題になっておりますのは、
北海道の
噴火湾地帯とかあるいは
オホーツク沿岸のところとか、それから
東北でいいますと青森県の
海岸地帯とか、それからごく最近では
千葉県の非常に東京に近くて便利のいいところでありますが、
千葉県の数カ所においても情報がございまして、その
千葉県につきましては、先般ほんの
概略調査をやっております炉、そのうちの一カ所、銚子から入りました
飯岡地区は、今まで全然私
どもも気がついておりませんでしたが、それは現在の
浜砂鉄のすぐ背後にあります
いも畑だそうでございますが、その下に現在の
浜砂鉄と同じようなものがそのままずっと続いておる。それがどのくらいの
範囲についておりますか、その
面積、
埋蔵量などは、
数字的なことはまだこれからの問題でありますが、まずまずそんな便利なところにまだ
資源が隠れておったということが、むしろそういう
意味で重大なことではないかと考えております。そういうふうに今まで気のつかないものも多少
全国的にはあるはずでありますし、
東北とか
北海道になりますと、従来の
地理的不便の点もありまして、大きなものもそのまま残されており、少くとも
実態が把握されないままに捨て置かれておる。そういうものにつきましては、私
ども重点的に今後の
調査をやらねばならぬ、かように考えているわけであります。
砂鉄鉱業の基礎をなします
砂鉄鉱床の
実態、
埋蔵量の問題は全くわからないと申し上げましたけれ
ども、しいて
数字をたどりますと、大体私
ども地質調査所の手元にあります
資料、これが先ほど申し上げましたように信頼すべき
程度がまちまちでありまして、ほんの一応の
数字だというのが多いのでございますけれ
ども、しかしそれはやはり
現場が
一つつを曲りなりにも当りまして、それを積み上げていった
数字でございますから、その点では
根拠があるのであります。その
数字は大体のところ二千七百五十六万トンという
数字が出ております。一方
アメリカのいわゆる進駐軍の
天然資源局、NRSが自分の手で各
鉱山業者からデータを集めました
数字は、三千七百七十七万トンということになっております。これも一応こまかいところから積み上げていった
数字ということで、そういう点で
意味はありますけれ
ども、これをこまかく吟味いたしますれば、その中でいわゆる
確定鉱量もしくは
推定鉱量の
程度がどのくらいかということは、なかなか一がいに言えない。と同時にまた全然今までだれも知らない、手をつけておらないという未
開発の
資源が、まだまだ今の
千葉のような例も
全国的に十分考えられますので、今後
調査をしっかりやって参りますれば、この
数字はまた逆に相当ふえるものではないか、かように考えておる次第であります。
大へん雑駁な御
説明でありますけれ
ども、一応これで終らしていただきます。