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1956-10-19 第24回国会 衆議院 商工委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月十九日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    大倉 三郎君       菅  太郎君    篠田 弘作君       島村 一郎君    鈴木周次郎君       野田 武夫君    南  好雄君       神近 市子君    佐々木良作君       佐竹 新市君    多賀谷真稔君       田中 武夫君    田中 利勝君       松尾トシ子君    松平 忠久君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房企画課         長)      磯野 太郎君         総理府事務官         (経済企画庁調         整部長)    小出 榮一君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         総理府事務官         (経済企画庁調         査部長)    藤卷 吉生君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  讚岐 喜八君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         通商産業事務官         (公益事業局電         源開発株式会社         監理官)    東  澄夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衞君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部業部課         長)      小川 吉男君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         建設事務官         (道路局長)  富樫 凱一君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  長期経済計画に関する件  鉄鋼石炭及び電力需給に関する総合燃料対  策及び地下資源開発発に関する小委員長より中  間報告聴取  鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関する件     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。前会に引き続き長期経済計画並びに鉄鋼石炭及び電力需給に関する諸問題について調査を進めます。  この際山内自動車局長より発言を求められておりますので、これを許します。山内自動車局長
  3. 山内公猷

    山内説明員 現下の鉄鋼及び石炭等輸送難に関連いたしまして、自動車輸送力がどうなっておるかということに関して御質問があったことに対しまして、私からお答えを申し上げたいと思います。  先般鉄道監督局長から輸送の概要につきましては御説明を申し上げたと思いますので、簡単に触れておきたいと思いますが、トラックの面におきましては、本年の四月ないし六月の輸送情勢を見ますと、営業用トラックにおきまして対前年一五%の増送をいたしております。これを年間に引き伸ばしまして、われわれ自動車の本年度輸送要請というものを考えておるわけでございますが 運輸省自動車局といたしまして想定をいたしました本年度営業用トラック輸送数量は一億七千三百十五万六千トンと一応算定をいたしております。自後の輸送要請におきましてあるいは修正の必要かあるかもしれませんが、一応現在一億七千余万トンの輸送要請を基礎編送を考えておるわけでございます。これに対しまし、て、本年度営業用トラックの持っております輸送能力は一億八千九百七十四万三千トンでござし一まして、月間にいたしましてまだ約百三十八万トンの余剰能力を持っておるという計数上の結果になっております。これはわれわれ一の予想数量及び計算上の能力でありますので、裏づけをいたしますために相当数業者を呼びまして、現実輸送について当ったわけでございますが、まだ自動車の面におきまして需要供給をオーバーしているような状態になっていないわけでございます。これはもちろん現在まだ輸送の降路の出ておりますのが、石炭及び鉄鋼といい、ますような、大量にして長喜距離の貨物がおもになっておりますの、で、漸次この輸送難自動車の面にも波及して参るのではなかろうか、かように考えております。経済的に見まして、現在トラック国鉄との、何といいますか距離的な限界がございますが、これを運賃面から見ますと、大体三級品におきまして五十キロというのが国鉄からトラックに移り得る限界になっておるわけでございまして、その辺を将来移して国鉄輸送難を緩和しなければならないというふうに考えております。この輸送体制につきましては、御承知のようにトラックの面におきましては民営がおもにやっておりますために、輸送難状態が起りまして直ちに手を打ったのでは非常に手おくれになりますために、これも先般御説明申し上げたと思いますが、地方陸運局鉄道管理局及び荷主の方、あるいは業界の方を合せまして、個々具体的輸送に対応するシステムを早く作っておきませんと、年末繁忙を控えまして手おくれになるということで、実はもう一週間くらい前に各地方陸運局には、そういう即応し得る態勢をとるように連絡をいたしまして、準備をいたしておることと思います。  次に、それではそういう状態におきますトラック免許について運輸省はどういう方針を持っておるかという御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。この免許につきましては、道路運送法の第六条に免許基準がきめられておるわけでございます。これによりますと、当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものでなければならない、いわゆる需要供給の面を十分はからなければならないということがまず第一点でございます。それからその事業が適切でなければならない、あるいは事業計画が適切でなければならないということ、また事業を経営するのに適確なる能力を持たなければならない、あるいはその事業をやることが公益上必要であり適切でなければならないというようなことを規定しておるわけでございますが、われわれ行政的に運用上最も考慮しなければならないところといたしましては、たしか二十八年の法律の改正で入りましたと思いますが、その第三項に「運輸大臣は、免許申請を審査する場合において、前二項に掲げる基準を適用するに当っては、形式的画一的に流れることなく、当該自動車運送下米の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければなら大い。」とありまして、免許というものを非常にかたくなに解釈して半身不随にしてはいけない、弾力性を持って経済実情あるいは地方的な、実情に沿って判断しなければならないというふうに、法律上われわれは与えられておるわけ、でございまして、これによりまして、今後の免許申請につきましても、ケース・バイ・ケースにおきまして、いわゆる需要供給の面を見、その申請者が資力信用あり、また事業の遂行上適確能力を持ち、また一何主の把握を確実円滑に持っておるものにつきましては免許をやっていかなければならないということが、この法律の命ずるところであろうと思います。  次に、それでは最近における免許情勢はどうかという御質問があったのでございますが、それに対しましては、三十年の七月から三十一年の六月までの一年間のものにつきましてお手元に差し上げておりますので表によってごらん願いたいと思います。全国のものを調べて差し上げたいと思ったのでございますが、昨日一日で調べましたために、そういう不十分な表で申しわけないわけでございますが、と申しますのは、路線事業につきましては本省権限本省でやっておるわけでございます。区域事業につきましては、陸運局長専決事項として陸運局にまかしておりますので、東陸局に直ちに昨日連絡いたしましてとりましたのがその数字でございまして、各陸運局もそう大きな数字的な違いはないと思いますので、サンプリングとしてごらん願いたいと思うわけでございます。路線事業につきましては、この一年間に百八十件の申請がありましてうち九十八件免許になっております。却下及び取り下げが九十六件でございまして、その却下及び取り下げのうち五十件が却下で、取り下げが四十六件という状態になっておるわけでございます。  そのほか非常に小さな業者については免許をしないのではないかということもよく言われることでございますので、御質問もないの、でございますが、一応触れて御説明申し上げておきますと、現在そう言いますように、第六条の第三項で、実情に即して免許しなければならないということで、必ずしも車両数の多寡によってわれわれは免許いたしておるわけではないのでございまして、事業数からいいましても現在三台以下の業者が三千百八社ございます。十台以下の業者が三千七百二十三業者、十一台から二十台の業者が九百二十九社、二十一台から三十台が二百五十三社、三十一台から五十台が二百三十二社、五十一台ないし七十台が八十九社、七十一台ないし百台が六十四社、百一台ないし百五十台が四十三社、百五十一台ないし二百台が二十二社、二百台以上が三十七社、こうありまして、大体トラック事業におきましては、中小企業に属する業界が現在の態勢としては大部分になってきたという事実がここに現われておるわけでございます。  以上簡単でございますが、道路運送法におきます免許方針その他につきまして御説明をした次第でございます。
  4. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 一点だけお伺いしておきます。あなたがただいまその法文に照らし合せまして参考資料としていろいろお話をして下さいましたが、経済実情に即応して現在の輸送能力というものはオーバーしておるという数字が現われておることになっておるわけでございます。しかし今日の日本経済現実の問題はそんなわけのものではないと私は思う。あなたが机上で見たときにはそういうつまり想像的な予想が出てくるであろうけれども、私はそうでないと思う。しかし私はあえて論議しようというのではないのでありまして、私の申し上げたいことは、経済実情に即し、または適切なるというその言葉があり、その法律の精神にのっとって今後日本経済がこれより以上拡大していくということは、また当然争うべくもない事実でありますから、こういう点について需要供給、要するにその実情に即して免許方法というものを考えてもらわなければならない。もう一つ陸運局予算であります。ただいまあなたから各県下の陸運局にというお話がありましたけれども、この陸運局が現在の能力というもので果してこれより以上の台数を保つて運営できるかどうか、この予算をあなはどう見ているか知らないけれども、現在の陸運局実情なんというものはそんなものではない。たとえば埼玉県から東京陸運局まで打ち合せに来る旅費がなくてこられないでいる。たとえば大臣の命をもって免許を与えた。免許を出したけれども、その免許証を送ってやる金がなくて、向うから東京に何かの用足しながら特別来られたときにこれを持っていってもらうということです。そういうような困っている実情をあなたは御承知かどうか。もしそういう実情をあなたが知っているとするならば、今の陸運局というものにもう少しの予算を持たせて、そしてあまり過労でない方向に持っていく方法はないかあるか。私の応問はもうありませんから、これで伺いませんから、こういう点を明瞭にはっきりと私たちにわかるように御答弁をして下さい。
  5. 山内公猷

    山内説明員 ただいま御指摘通りでございまして、われわれの算定机上のものでありますために業界実情に照らし合せて、一応現在ではまだその自動車面におきます輸送難が、如実に現われてきておらないという御説明を申し上げたわけでございます。しかしこれは私ども数字的な説明全国を一本にいたしました説明でございまして、計算通り社会実情は動いていないということも十分承知いたしておるわけでございます。その辺の地域地域につきましては十分陸運局にそういうシステムを置きまして、もちろんトラック輸送の面におきましては個々の具体的な輸送が問題になって参りまして、全体的な輸送といいますよりは、個々の具体的な輸送をどう処理するかということは、われわれが戦時中及び戦後のあの輸送難のときに経験をいたしましたことでございます。問題は具体的にして解決をしなければならないということで、下部の機関におきまして、具体的にそれらの問題を解決して参りたい、かように考えております。  またこの百三十八万トンの余剰輸送力というものも、今計算上出ておる輸送力でございます。これから年末繁忙期になりますと、トラック輸送そのもの輸送もふえて参りまして、もうすでに現在東京方面ではデパートの配達というものにトラックの獲得が行われておるわけでございまして、そういう実情も考えて十分われわれといたしましては、各業界の実際の仕事をしておられる方々とも連絡をいたしまして、対処して参りたいということでございまして、この百三十八万トンの余剰輸送力があるから絶対大丈夫であるということは考えておりませんので、常に輸送の実態に即応し得る、ようにわれわれも努力をして参りたいという信念を申し上げたのでございまして、言葉が足りないところがありましならば一つ御了承願いたいと思います。  また現在の陸運局の問題につきましては御説の通りでございまして、自動車というものが非常にふえて参りまして、大体現在の陸運局定員及び予算というものが、自動車が百万両の当時の定員でございましたのが、現在もうすでに百五十五万両の車にふえております。また御承知のように役所の定員というものはそう簡単にふえません。しかし一方自動車ふえ方をとめるわけには参りません。そのために各陸運局及び陸運事務所というものの仕事が非常にむずかしくなっておるということも御指摘通りでございますが、実はその点につきましては、われわれも大蔵省にも十分事情説明いたしまして、二十九年、三十年度におきましては相当の予算の増額も見られたわけでございますが、しかしとうてい自動車両数のふえ方にわれわれの予算が比例してふえるということは困難でございますので、今後ともそういう点につきましては実情十分大蔵省説明一をいたしまして、人の面及び予算の面から御迷惑をかけることのないように現在予算努力をいたしておる実情でございまして、御指摘の点は十分われわれも身にしみて感じておるところでございます。
  6. 神田博

    神田委員長 次は多賀谷真稔君。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 経済五カ年計画に関連して質問したいと思います。最初の計画と非常にそごを来たして、経済は意外に拡大の方向に進んでおるようであります。これは御同慶にたえない次第でございます。現在の時点に立って見ますると、かなり危惧される点があるのではないか、かように考えるわけであります。現在の投資動向を見ますると、あるいは鉄鋼とか建築材料とか、あるいは機械、こういう投資材料面ではインフレ的傾向を若干帯びておる。それが幸いにして消費財供給過剰という点からそれを打ち消している。現在全般的にはインフレ的傾向調整をされておる、こういう判断ができるわけであります。しかし今後投資動向いかんによっては非常にそういう傾向が強くなりはしないか、こういうことを考えるわけであります。一般産業伸びに対して基礎部門伸びが非常に少い、こういうことが言われておるのですが、現在の投資の、すなわち九月中における十二大銀行の貸出し投下額が千十六億という巨額に達しておる。これは前年同期の七倍以上になっておるのであります。日本経済には、一般産業にもどんどん投資をする、さらに基礎部門にも投資をする、こういう潮時にやるという余裕はないと思うのです。やはり重点的にこれを指向しなければならない。現在のように経済は拡大したけれども輸送がうまくいかない、あるいは電力に問題がある。さらにまた鉄鋼という基礎部門不足している。こういう状態では私は非常に遺憾であると思う。そこで、こういう問題は本来あるいは銀行金融政策において若干調整するかもしれませんけれども、むしろ銀行の方はお借り下さい、こういうような状態で、まさに投資競争が行われておる、こういう現状であります。そこで基礎部門に重点的な投資を行わなければなりませんけれども、そういう調整はどこでやるのか。一体現在の制度のもとにおいて、たとえば重点的にそういう部門投資をする、一般的なものは若干押える、こういうふうな機能がどこにおいて行われるのか、政府としてどういうふうにお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  8. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいま御指摘通りに、最近かなり投資需要が拡大していることは事実でございます。ただこれは各省内部にもいろいろ見方が分れておるのですが、ぼつぼつこの辺が一つの峠ではなかろうかという見方もございます。それは現在の投資が結実して参りますと、生産能力増大になって現われてくる。その生産能力増大に見合うだけの消費、輸出及び財政面購買力需要がついていけるかどうかという点がございまして、投資があるところで幾分おさまってくるのじゃないかというふうな見方がございます。もうしばらくわれわれとしてはこの事態を静観するという立場にあるわけでございます。  なお資金流れをどうやって重点的に規制するかという点につきましては、これもいろいろ議論がございますが、現状においては個々貸し出し規制するというような手段はとられておりません。政府系金融機関が一応政府の意図を反映した資金の流し方をする、開発銀行その他がそういう役割を果しております。一般市中銀行については直接政府の統制がないわけでございますが、これは諸外国の例から見ますと、大体において支払い準備制度とか、中央銀行の公定歩合、こういうような全般的な対策によって投資の水準を調整するというやり方がとられておるようでありまして、現在のところ、わが国でもそういった間接的な手段を強化するということが一応意図されておるように考えられるわけでございます。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今お話があったように、わが国においてはその個々産業について貸し出し規制をするという制度がない。ただ財政投融資を通じてその部門だけは重点的に融資をするという制度はありますけれども、そのほかは、これは純然たる金融機関にまかされておる、こういう状態です。日本銀行としても貸し出しのトータルを若干押えるということは言えるでしょうけれども、どこの産業に重点的にやるという制度はない。高碕経企庁長官は、自由経済の実が結んだということをお話になっておるけれども、現在の輸送不足、あるいは鉄鋼不足、あるいは電力不足、こういうものは自由経済立場からの非常な悪いところが現われた、私はこういうように考えるわけです。ですから、今後の投資は総花的に、どの産業もどんどん融資を願い、そうして投資をしておるという状態では、日本経済は変なところにギャップが出てくるのではなかろうか。ですから、やはり一般産業伸びるに従って、まだ基礎部門は十分伸びていないのに、一般産業投資をする、こういうことは私はギャップをさらに大きく拡大するものだ、こういうように考えるものです。ですから、何らかここに金融政策として調整が必要ではないか、その段階にきておるのではなかろうか、こういうように考えるわけです。今制度お話がございましたし、現状説明はございましたが、政策としてはどういうように打ち出すべきであるか、これをお聞かせ願いたい。
  10. 大來佐武郎

    ○大來説明員 少々私の方の仕事範囲を越えるわけでございますが、ことに財政策の問題でありますので、他に事務当局でもいろいろな説はございますが、政府の態度といいますか、方針として、どうも申し上げるという段階ではないように思います。そこで、一般的に申しますれば、ある物資不足になればその物資資金が大体向いていく、物資が過剰のものについては利益率も下ってだんだんそこには投資があまり行かなくなるというのが、一つ自由経済下における投資規制と申しますか、調節作用でございます。そういう動きが今後日本の場合にもかなり行われるということを期待しているわけでございます。同時に政府の握り得る範囲投資では、ただいま御指摘のありましたその、ギャップをできるだけ縮める、これ以上大きくしない方向政府の握っておる範囲資金流れを向けていくというのが現在とり得る最大の政策ではないかと考えます。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも苦しい答弁でありますが、政府政策財政投資よりもむしろ民間の資金に待つというのが大体その傾向であるのですから、ますますギャップが深くなっていく、私はこういうように考えざるを得ないわけです。しかし大來さんに聞きましてもこれ以上の答弁は出ないと思いますから、別の機会に私は譲りたい、かように思います。  今お話の中に、どんどん投資をしていけば過剰になって自然に投資がやむだろう、これが自由経済における調整である、こういうようなお話がありましたが、私はこういうことが今まで大きなあやまちを犯しておると思うのです。景気がいいからどんどん作る、そうすると過剰になる、過剰になったら今度は買い上げか何かして政府が別に法律を作って買い上げなければならぬ、買い上げておるとそのうちにまた景気がよくなる、こういうことを繰り返しておったのでは、私は何のために政府経済政策を立てておるのか、わからないと思うのです。  そこで私は石炭について一言だけお聞かせ願いたいと思いますが、先日説明がありました電力需給見通し昭和三十二年度におきまして、火力において三五%の伸びを見ておる、こういう御説明があったわけですが、そういたしますと、少くともこれだけでも三百万トンから増産をしなければならぬ。現在四千八百万トンだ。こういうことで火力だけを考えても五千百万トンくらいにしなければならない。そのほかに鉄鋼あるいはそのほかの伸びを見なければなりしません。そうすると今炭鉱界は非常な増産の方に進んでおりますけれども、一体こういうものが確保できるのかどうか。昭和三十二年度石炭需給見通しはどうであるか。ごく簡単でよろしゅうございますから、概略を御説明願いたいと思います。
  12. 讚岐喜八

    讃岐説明員 電力用炭の来年度見通しにつきましては、昨日公益事業局長から御説明があった通りです。私どもといたしましては来年度以降の石炭需給の問題につきましては、各物資需給関係をまとめた上でまとめたいというようなわけで、現在のところまだはっきりした数字が出ていないのでございます。近く通産省の物資調整課を中心といたしまして来年度のはっきりした見通しが出ると思いますので、そのときまでお待ち願いたいと思うのであります。今の見通しでは来年度見通しにつきましては、はなはだ恐縮でございますが、各物資関係を総括しまして、最終的に取りまとめる関係もございまして、まだはっきりした数字を申し上げる段階に来ていないのでございますが、来年度ども考えておるところでは、なおむね四千九百五十万トンから五千万トンの間に生産をきめまして、消費もおおむねその辺で調整できるであろうというふうに考えております。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 五カ年計画という大きなだんびらを抜いて宣伝をされたのですが、明年度がわからぬというような状態では、私は鳩山内閣の経済見通しもこれはどうも危ぶまなければいかぬと思います。しかも今話によると、石炭だけでも僕が言いましたように三百万トンから増産をしなければならないという状態なのに、石炭の方の問題はどうかというと、現在が四千八百万トンであるのに、四千九百五十万トンないし五千万トンだという。ですから火力だけ見ても半分ないし三分の一くらいしか需要を満たすことが、できない。そういうことになると、鉄鍋その他は全然需要を満たすことができない、こういうことにならざるを得ないと思うのです。ですからそういう点について、私は基礎物資である石炭は、あげて増産態勢に入らざるを得ないと考えるわけですが、この前非常な不況な時代にありました合理化法によりまして買い上げ公団が依然としてぼつぼつながら動きを呈しておる。こういうような状態、しかも買上げ公団で買い上げられますと、その鉱区は死蔵になる。いわゆる水びたしになるのですから、使いようがない。今増産をしなければならぬというのに、日本の貴重な資源を水びたしにして、ほとんど半永久的に使うことのできないような政策がまだ残っておる。私はこの法案が出された当初においては、あるいは意義を持っておったと思いますけれども、現在においては全然意義がない。ですから少くとも合理化法の中で買い上げの部分だけは削除して改正される意思はないか。かえって貰い上げ公団があることによって、非常な紛糾を来たしておる。第一企業家の意欲を失墜しておる、努力をしない、そうして買い上げられればいい、こういうことで買い上げ公団に請求する。もし買い上げ公団がないならば、労使双方が努力をして、われわれは操業を続け得ると考えられる場合において、往々にして買い上げ公団に全部依存してしまう、こういうような結果になっておる。現在直方の買い上げられた三山においては、租鉱権が何とか設定できないものだろうか、もう一回やってみたい、こういうような話すらある、全くばかげた話でありますが、一体政府はどういうようにお考えであるか。
  14. 讚岐喜八

    讃岐説明員 電力、用炭の問題につきましては、多少昨日の説明と多賀谷先生の御了解に食い違いがあるように存じます。昨日御説明のありましたところでは、重油を含めて千二百数十万トンという説明がございました。そのうちから重油の分を引きますと、石炭分のネット増加は百万トンくらいのように聞いております。私ども電力用炭計算につきましては、また多少ニュアンスの違う計算を持っております。平水のベースをいかにとるかということも一つの問題でございます。この問題もいずれ調整を要する問題でございます。大体電力川炭は九百万トンないし一千万トンの間できまるのじゃないかと考えております。電力用炭だけわれわれの石炭の生産が間に合わないという状況にはならないつもりでおります。  なお非能州率炭鉱の買い上げの問題でございますが、御指摘のように昨年合理化法が制定されましてから今日までの岡に炭況の非常な好転がございまして、状況において非常に違う点があることは確かでございます。御指摘通りであると存じますが、きのうもまた議論があったのでございますが、重油の問題も出ております。われわれといたしましては五年間の時間をかしていただきまして、石炭鉱業を合理化し、コストを引き下げまして重油に負けない燃料として供給できるように持っていきたいという念願でございます。その一端といたしまして、非能率炭鉱の買い上げを実施しておるのでございまして、問題はございますが、買い上げの希望は出ておるのでございまして、これは法律に従いまして、既定方針によりまして買い上げを続行する予定でございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私どもの調査によると、、現在の火力発電の石炭需要は九百万トン、これは上期は豊水でありましたけれども、大体九百万トンと予定されておる。そこで明年度は平水年と考えますと、千三百万トン、そのうち石炭が千二百万トン、重油五十万キロあるいは五十五万キロ、そうしますと、大体百万キロ、そういう計算をして、私たちは今議論を進めておったのですが、これはあとから佐々木委員から質問があると思いますので、それに譲りたいと思います。  さっき質問いたしました、非能率炭鉱の買い上げなんですけれども、私は坑口の再開の許可については、なるべく新しい坑口は再開させないという方針はいいだろうと思う。現在筑豊炭田へ行ってみますと、あのボ夕山を水洗するということが盛んに行われておる。非能率炭鉱を金を出して買っておるのに、そこの規制がない。その脂率の悪い炭をどんどん市場に出しておる。その方面の規制がない。だから私はどうも矛盾しておると思う。つまり日本の資源を愛護する意味であるならば、私は非能率炭鉱でも確保百できるまで確保したらいい、あるいは石炭需要を全般的に抑えなければならぬという事情であるならば、これは現在の事情と違いますけれども、そういう操業もおやめになったらいい。その方は全部そのままにしておいて、そうして非能率炭鉱の買い上げをわざわざして、そして失業者を出して、しかも、もう言いませんけれども、失業対策が全然できていない。当時の労働大臣昭和三十一年の一月から実施すると言ったけれども、ほとんど失対事業というものは全然できていない。そうして集団的に七百名とか一十名とか、あるいは千五百名という集団失業者が出てきている。こういうような状態で、私はこの点については非常に考慮をしていただきたい。もうそれは事情が変っているのですから、事情変更の原則で、買い上げ公団を作ってそして買い上げるという時期は過ぎたと思う。こういうことでその分だけを削除されたらどうか、私はこう思うのです。合品川化法そのものを私はオミットせいというわけではありません。合理化法は推進されて、そしてコストを下げられればいいけれども、現在非能率炭鉱の買い上げというものは、コストを下げるという意味ではあまり貢献しない。むしろ出炭そのものを抑えて、一般的な市価を高めている。こういうようなことにしか私は寄与していないと思うのです。この点一つ御考慮願いたい、かように思います。  それから国鉄について私は質問いたしたいと思いますが、国鉄が出されました資料は、とにかく経済五カ年計画に基く国鉄の五カ年計画を出されている。そしてこの五カ年計画を推進していかなければならぬ、こういう話をされている。ところが先ほどからわれわれが議論をしているのは、経済五カ年計画ではもうだめなんだ、だからこれは飛躍的に計画を修正しなければならぬ、こういう前提で話をしている。国鉄の方はそうではなくて五カ年計画を何とかして推進してもらいたい、こういう話をされているのですから、非常に私はギャップがあると思う。ですから滞貨が非常に多く累増するのはもっともであると考えられるわけです。一方は五カ年計画ではだめだ、ですから倍くらいにやろうというのに、一方においては五カ年計画もまだ十分できませんという話をされているのですから、私は隔世の感があると思うのです。そこで昭和三十一年の五カ年計画に基く貨物のトン数並びにトン・キロ数を見ますと、昭和三十一年度五カ年計画に基くものは大体一億六千五百五十万トン、トン・キロ数で四百二十二億トン・キロ、こういうことになっているようでありますが、四百二十二億トン・キロというのは昭和三十年度の実績よりも低いのです。昭和三十年度の実績は大体四百二十五億六千トン・キロ、こういうことになっておりますから、すでに三十一年度計画が三十年度の実績よりも低い、こういうことになっているのです。あなたの方では、五カ年計画を推進するために一つ国会でも御考慮願いたい、こういう説明をなさっているのです。ですから私は非常にずれがあると考えるのですが、一体そういうような態度であるから、いまだに私は十分な設備ができていない、かように考えざるを得ないのですが、国鉄当局から御説明願いたい。
  16. 小川吉男

    ○小川説明員 国鉄の五カ年計画は、当初経済五カ年計画ににマッチした輸送力をつけるために計画されたものでございますが、その後の計画の数量が、本年度の、実情を見ましても相当大幅に輸送量におきまして狂いがあることは事実でございます。これが達成のために経済五カ年計画に基きます輸送力の増強といたしまして、五千億程度の金を必要とするということで計画を樹立いたしたわけでございますが、この数字経済五カ年計画にマッチする程度の数字であることは根本にあるわけでございますけれども、さらにこれ以上の数字は、国鉄の財政の現状といたしましては、とうてい出し得ないところでございます。大体におきましてこれが完全に遂行されます場合におきましては、なお若干の弾力性はあるのじゃないか、かように考えられるわけであります。国鉄輸送能力の限度の数字と申しますものは、相当いろいろと空車回送その他におきまして絶対的な数字というものはなかなか出にくいわけのものでございます。従いましてこの程度の施設の増強がなされるならば、今後の計画の変更等もまた行わなければならぬ場合も起きるかとは思いますけれども、徐々に好転していくものと私は考えております。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 運輸省がそういうことを言ったら、私は輸送力は増強できないと思います。今飛躍的に日本経済は拡大された、輸送がネックだと言われている。あなたの方はその古い五カ年計画でもやっていただけばまあ何とかやっていける、こういうお話をなさっておる。私はそんなずさんな計画雷を出されるということが問題であるし、またせっかくわれわれが努力して、あるいは国鉄当局並びに運輸省当局の要望にこたえても、あすの日からもう計画にそごを来たして、それは輸送力不足、こういう事態になることは火を見るよりも明らかです。もしも明らかでなければ、あなたの方の計画がずさんであるか、国会を欺噛しているかのどちらか一つであろう、こう考えざるを得ないのです。
  18. 小川吉男

    ○小川説明員 当初、経済の六カ年計画に基、きました数字につきましては、国鉄輸送計画は変更を加えておりまして、若干増強しております。なお今後政府におきます経済五カ年計画がさらに増大した数字に変更される場合は、当然その方面の合理化を加えなければならないものと存じます。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 しかし国鉄から出された五カ年計画は、経済五カ年計画に基くものだという前置きで書いてあります。経済五カ年計画を修正して計画書を出しているということは書いてない。
  20. 小川吉男

    ○小川説明員 当初の六カ年計画の時代から見ますと修正を加えているわけです。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 六カ年計画は企画庁の方でも全部修正をされて五カ年計画になっているわけです。ですから私たちは今六カ年計画を議論しているのではない。国会に正式に出された五カ年計画に基いて議論をしている。その五カ年計画がわれわれは修正をしなければならぬ、大改正をしなければならぬ、こういって議論をしている。その議論ですよこの委員会は。ところがあなたの方は古い五カ年計画でもいいから一つやって下さい、こう言うから、だから輸送力不足している、輸送力不足しているとわれわれが論じているのに、古いのでやれ、ばますます不足するのは当りまえではないか、こう言っているのです。
  22. 小川吉男

    ○小川説明員 ただいま後半において説明いたしました通り、今後五カ年計画が大幅に修正されます場合には当然それに相応して変えなければならないと存じます。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私はもう少し運輸省並びに国鉄の責任ある——責任ある人でしょうけれども、さらに政治的に責任ある人から御答弁を聞きたいと思います。小倉副総裁はここに兄えて何を説明なさったかというと、結局五カ年計画に基くこの計画お話しになった。ですからもうわれわれの段階はそれを過ぎて、五カ年計画よりも飛躍して議論をしているのに、そういうような古い話をなさってお願いなさる。それではだめではないか。初めからだめなことがわかっているのに、さらに私たちは修正した。少くとも修正ができなければ見通しを立てた計画を出して、そうして国鉄並びに運輸省としては国会に対して要請をすべきである。こういうように考える。せっかく大蔵省その他で予算の査定をしても、一方においては経済五カ年計画を修正したものが出される、一方においては経済五カ年計画のままのものが出されれば、当然輸送力不足というものはそこから起ってくる。ですから私はこういう同じ官庁であって、ずさんな計画がなされるということを非常に遺憾に考えるわけです。これは一つ運輸省並びに国鉄は十分考えていただきたい、かように思うわけです。  続いて国鉄質問いたしますけれども石炭輸送の問題ですが、先日から説明がございましたが、室蘭の港湾荷役の問題はいつの時期に設置をなされるのかお開かせ願いたい。
  24. 小川吉男

    ○小川説明員 何の施設でございますか。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 室蘭埠頭で、現在一回貨車からおろして再度貨車に積んで、そうして船に積んでおるという実情でございます。それをコンベヤーで送るという話があるのですが、この機械の設置はいつなされるかということです。
  26. 小川吉男

    ○小川説明員 お答え申し上げます。室蘭の三号、四号のローダーにつきましては、二千万円の費用を計上いたしまして本年度中にやる予定でございます。なおその他の点につきましては、本年中にやるように極力措置しつつありますが、まだ予算的な最終決定にまで至っておりません。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 石炭の貨車五百両の問題は、これは本年度中にできますか。
  28. 小川吉男

    ○小川説明員 三十一年度の新造計画石炭車の五百両は本年度中に作ります。若干計画がおくれましたが、三月一ぱいまでには五百両でき上ります。なお十二月中までには、大体二百両程度でき上る予定であります。
  29. 神田博

    神田委員長 次は小笠公韶君
  30. 小笠公韶

    ○小笠委員 私は簡単に五カ年計画についてお伺いをいたしたいのであります。  五カ年計画の実績等につきましては、一昨日御説明を拝聴して了承いたしたのであります。その結果考えられますことは、四年分を二年で達成したということになるので、ありまして、昭和三十二年度を迎えまして、この計画では進められないというごとは自明の理であります。従いまして、この五ヵ年計画を改訂する意思があるのかないのか。今までの論議を通じて、当然改訂されるものという前提のもとに質疑が続行されておるようでありますが、改訂するという意思表示は大臣以下だれもしておりません。これはやる意思があるのか、またやるといたしますならばいつやるのか、これをまず伺いたい。
  31. 大來佐武郎

    ○大來説明員 その意思を実は目下検討中の段階でございますが、いずれにせよ、その時期は別といたしまして、計画の改訂が必要になると事務当局といたしましては考えておるわけでございます。それを本年度内にやるか、あるいは来年度になりまして本格的な改訂作業をやるかという点はまだきまっていないのでございますが、場合によりましては、ととえば電力のように、これは電源開発促進法の関係からいって、長期の計画政府が示す必要がございまして、どうしても年内に改訂を必要とする事情がございます。これに関連しまして主要な鉱工業の生産目標につきましては、あるいは年内に改訂が必要になるのではないかというふうに一応考えております。この点まだ政府部内で正式にきまってはおらない実情にございます。計画全体の立て直しというごとにつきましては、目下勉強中でもございますので、どうしても来年度になってからでないと、事務的にむずかしいのではないかと一応考えておる状況でございます。
  32. 小笠公韶

    ○小笠委員 そういたしますと、五カ年計断遂行のかぎは、従来から申しますと一般予算並びに財政投融資をもって一つの支柱として今日まで来ておる。一般会計並びに財政投融資計画は、もうすでに査定の段階に入らんとしつつある現状であると思う。果してしからば来年度財政投融資を審議すべきものさしはないのだ、一年間休むのだ、こういうふうに考えて差しつかえないかどうか伺いたい。
  33. 大來佐武郎

    ○大來説明員 実は五年計画につきましては、前の国会にも説明がありましたように、計画と同時に並行いたしまして年次計画予算編成期前に毎年作って参ることになっておりますので、目下この作業が進行中でございまして、なお内容的には、すでに大蔵省事務当局と企画庁の事務当局の間で三回ばかりいろいろ議論を重ねて参っております。この年次計画の作成と両官庁の話し合いによりまして、ただいまの御質問のありました点どうやらやっていけるのではないか。時間的に許しますものでありましたらなるべく早く全面的な改訂作業をやるべきかと存じますのですが、ただいろいろ中途半端な改訂をあまりにひんぱんにやるということもいかがかと思われる点もございますので、今申しましたような年次計画の作成を通じて、今年の財政と計画調整をはかっていくということで考えておるわけでございます。
  34. 小笠公韶

    ○小笠委員 日本の生産拡充問題が鉄鋼、電気、輸送、こういうようないわゆる基礎部門において険路にぶつかっておることは、一昨日来の説明でわかるのであります。しかしてこれに対する対策についてはっきりした数字をお示しになりましたか。お示しにならずに大蔵当局との間に話し合いを進めておるということは論理が合わぬじゃありませんか。たとえば今多賀谷君からも話があったように、国鉄の五カ年計画というものは、旧五カ年計画であることは御承知通りである。今の御答弁に私は納得いたしかねるのであります。こういう趣旨から考えますときに、昭和三十二年度の年次計画一つ基礎部門に目標を持たずに、目標を与えずに議論をしても、これは意味がないと思うのであります。予算の審議もほとんど不可能ではないかと考えるのであります。こういう意味において問題は事務的な問題よりも政府の首脳部の意思をはっきり早急にきめなければならぬ。五カ年間の完全なる数字をまとめなくてもけっこうでありますが、降路になっておる三部附についてもその点をはっきりさせなければいかぬ。まだできておらないとはっきりおっしゃった方が私は率直でいいと思うのであります。ぜひ関係大臣に、事務当局としてその点を明確にしていただきたい。そうでなければ、一昨日の政府当局の御説明は単なるこう思うという個人的な発言にしか受け取れないのであります。私はこの点を強く要望いたしたいのであります。  第二の問題は、簡単に伺いたいのですが物価の見通しであります。晦日松平君から物価の見通しを議論せられておった。配付された資料によりますれば、卸売物価はジリ高傾向をとる、だが消費物価は弱含みで推移すると書いてある。昭和三十二年度経済見通しとして消費物価が弱含みで推移する根拠については何の説明もないのであります。いわんや今日、昨日来論議せられておるように、輸送はすでに本年下期において三百三十万トンの滞貨が予想されておるのであります。この事実が産業、物価に及ぼす影響は重大なるものがあると私は考えざるを得ない。こういうふうなことを考えてみますときに、物価の先行きという問題については私は相当懸念を持つものでありますが、一昨日の御説明通り消費物価は弱含みのもとに推移する、こういうふうにやはりお考えになっておりますか。欧州諸国の説明がございましたが、欧州並びにアメリカの経済は、卸売物価が騰貴し、消費物価水準の引き上げがきている。そこに金利政策とあわせて消費の抑制をしておる。国によりましては物価の凍結令を出しておるのが現状であります。こういう事態で今後約一年半に当る三十二年度においてなお消費物価が弱含みで推移するという見通しが果して立ち得るでありましょうか。この見通しによりまして経済政策というものは大いに変らなければいかぬ。先ほど投資傾向に対する見通しの議論があって、当分の間静観しようという考え方を説明せられておった。これから散超に転ずるときに投資傾向日本の財政として見送って、果して今言った消費物価の動きに影響がないかどうか、この点特にむずかしい問題でありますが、私は注意を喚起いたしておきたいと思うのであります。特に先ほどの多賀谷委員の金利政策に関連して公定歩合の引き上げ、地方銀行の公定歩合の操作、あるいは支払い準備制度によって間接的な消費傾向なり設備投資傾向を抑制するほかないと言っておるのでありますが、日本銀行の公定歩合は過去一年間何らの操作が加えられておらないのであります。この問題について、日本銀行の金利政策がこのままで果していいのかどうか、私はまことに寒心にたえないのであります。特にあなたは、財政投融資のみが政府の直接関与し得る範囲であるから、財政投融資に関与することによって設備投資の急激なる傾向、あるいは消費性向の異常なる上昇を抑制をしていきたいというようなお話がありましたが、しからば第一問で聞きましたように、来年度財政投融資はもっと減らすのでありますか。まずそれを伺いたい。
  35. 小出榮一

    ○小出説明員 先ほど来の小笠先生の御指摘の問題に関連いたしまして、問題はさしあたり短期な来年度の問題に関連しておりますので、私の方からお答えいたしたいと思いますが、御承知通り長期計画の問題は計画局において取り扱っておりまして、先ほど計画部長から申し上げましたように年次別の計画というものは実は三十年度計画、三十一年度計画と作って参りまして、来年度も三十二年度計画というものをただいま作成の段階に入っております。従いまして先ほど大來君からお答え申し上げました大蔵省との話し合いというのは、三十二年度計画を作るに当りましての基礎的な考え方についてただいま大蔵省調整をいたしております。それで大体基礎的な考え方が固まりますれば、それを基礎にいたしまして三十二年度計画を作り、この三十二年度計画を背景にして来年度予算を編成していただく。もちろん編成の場合における個々投資をどういうふうに査定するかという数字の問題になりますと、これは査定の問題でございますので、大蔵省の権限に属する問題でございますが、その前提としての考え方について来年度経済をどう見るかということについての話し合いを両三回しておるという段階でございます。もちろん今日のところにおきまして数字的なものはまだ全然固まっていない準備段階ということでございます。  そこで問題は小笠先生御指摘になりましたように、物価の問題が一番問題になるわけでありまして、先ほど多賀谷先生の御質問にもございました五カ年計画と年次別計画との一番違います点は、結局物価の問題を織り込むか織り込まないかという点でございまして、五カ年計画の前提としての物価の問題については、昨日の質問にもございましたように、一応の前提は置いてございますけれども、これは物価の要素を五カ年計画という長期のものに織り込むことは、作業の上におきまして非常な混乱を来たしますの一で、一応ある仮定を職いて積み上げるという以外にないのであります。そこで三十二年度計画という年次別計画の場合におきましては、この物価の見通しというものを織り込みまして計画を作らなければならぬというところが実は非常にむずかしい問題でございまして、ただいま小笠先生が御指摘になりましたような物価の見通しにつきましても、実は私どもとしても非常に苦慮しておるところでございます。最初の、一昨日でございましたか御説明いたしました消費者物価一卸売物価の見通し、これは実は本年度の上半期の実績をベースにいたしまして、下半期から来年にかけましてのある程度の見通しを申し上げたわけでございます。従いましてこういう物価の見通しにつきましても、たとえば卸売物価はジリ高といっても何%くらい上るであろうか、あるいは消費者物価がどういうように安定するか、横ばいであるか、あるいはこれもジリ高であるかということにつきましては、さらに検討を要するわけでございますが、大体現在のところの考え方といたしましては、消費者物価の中におきまして食糧費は下落しておりますし、被服費も下落している。ただし一万におきまして住居費関係等においては上ってきているものもございます。一方生財産、基礎資財の物価につきましても、昨日申し上げましたように鉄鋼関係の物価も大体鎮静の方向に向っておりますし、というようなことで、やはり全体としては消費者物価につきましては大体において弱含みの横ばいではないかと考えておりますが、もちりんこれにつきましてはさらに今後の物価の傾向を十分検討いたしまして調整をいたしたい、かように考えております。それから投資、金利政策の問題でごさいますが、これは先ほど多賀谷先生の御質問にございました投資が非常に旭大である、経済全体が非常に不均衡な成長をするおそれがあるときにおきまして、投資を抑制するための何らかり資金調整と申しますか、調整的な手拭が全然現在ないではないか、それに利する政策はどうかというような御質問の趣旨であったように思い、ますが、この問題に関連いたしまして、先ほど計画部長からお答え申し上げましたのは、諸外国において、日本と同じようば自由主義経済の先進国におき・まして、やはり経済の、不均衡的な拡大ということが行われるおそれがあります場合に、先進国が自由主義経済のもとにとういう政策をとったかという例として、公定歩合の引き上げ、大体におい信用政策を中心にいたしまして、これに財政政策が補完的な立場で働くということでございまして、それには公定歩合の引き上げとかあるいは支払い準備率の引き上げというふうな措置をとり、またそれによって大体成功してきたという実例を申し上げたわけでございます。日本の場合におきましては、この投資動向等が今後どういうふうになるかということは、第三・四半期の支払い超過期に入りましての投資動向なり銀行貸し出し動向を見きわめた上でないとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、まだ今日直ちに公定歩合の引き上げというような信用政策の運営まで踏み切るという段階ではないのではないか。ただ財政投融資の面につきまして、来年度の問題といたしまして、それでは険路の打開ということについて何ら手がないではないかということでございますが、これらにつきましては、大体私ども大蔵省との話・し合いの考え方といたしましては、やはり財政規模全体としては依然として健全財政の線を堅持すべきでありますけれども、その財政投融資の中身と申しますか、内部における重点の置き方につきましては、降路的な部分に重点的にこれを振り向けていくべきである。ただしそれによって全体の財政規模がいたずらにふくらむということは避けなければならぬのではないかという程度の考え方を調整しておる段階でございます。具体的にどういうふうな投資額を数字的に決定すべきかというところまでは、まだいっていない段階でございます。
  36. 小笠公韶

    ○小笠委員 長くなりますから、最後に一点だけ伺いたい。国鉄当局にちょっと伺いたいのでありますが、物価の動向あるいは生産の増強という見地から見まして、問題の焦点は輸送にしぼられてくると思うのであります。先ほど来お話がございましたが、一昨日小倉国鉄副総裁のお話を聞きましても、今の日本の幹線には一本の列車も増強することができないんだ、フル稼働に入っておるんだという御説明があり・ました。まさにその通りだと私は思うのであります。そこで、伺いたいのは、この状況を打開するために五カ年計画を立てて、五カ年計画の裏打ちとして料金値上げ問題を説明しておった。この状態から・見ますと、国鉄の五カ年計画というものは、もちろん先ほど多賀谷委員指摘したような問題はあるにいたしましても、計画の大きさに問題はあるにいたしましても、料金値上げ問題と五カ年計画の着手の時期はどういうふうに考えておるのか、まずそれを伺いたい。
  37. 小川吉男

    ○小川説明員 国鉄のあらゆる施策は、この、五カ年計画に根本的なものは盛られております。それから日常の個個の輸送力増強はすでに行われておるわけでございます。そういう部分もあるわけでございまして、判然と分離できない部分もございます。従いましてすでにあの案に基きまして、個々の日常の保守業務におきまして、あるいは個々の駅舎、線路の増強その他におき場まして継続的に着手されている面もあるわけでございます。そしてまたあの電化の完成とか複線とかあるいはまた車両の増備その他の根本的な大資金を要します問題につきましては、あの計画に掲げられておる通り資金一の十分な手当なくしては実現できないことになるわけでございます。
  38. 小笠公韶

    ○小笠委員 総裁のお話を聞きますと、いわゆる保守の問題はすでに、できるだけやっているんだが、あくまでも基幹的な建設、改造はやらなければいかぬ、それが五カ年計画だと説明しておる。通常の業務運営に伴う保守は十分やっておるという説明であります。あなたのお話を伺いますと、五カ年計画は通常業務運営に伴う保守、改修がもうその一部だ、こういう話であります。五カ年計画はすでに着手しているんだ、こう了解していいのでありますか。
  39. 小川吉男

    ○小川説明員 五カ年計画に盛られておる事項は重要事項でございます。ただ国鉄仕事の一貫性といたしまして、日常の保守業務から建設という工合に一貫した輸送力の増強——保守業務も輸法力の増強の一助になるわけでございまして、そういった輸送力増強という見地から見ますと、すでに輸送力増強に着手しておる。これは日常の業務として当然行われなければならぬことでありまして、その・意味におきまして申し上げたわけでありまして、五カ年計画自体につきましては先ほども申しました通り資金の手当がつかないと着手できないということでございます。
  40. 小笠公韶

    ○小笠委員 重大な発言であります。輸送が今日の状態に追い込まれていて、日本産業動向を支配するような首根っこを押さえておって、金がつかないと五カ年計画には着手せぬという御説明と拝聴したのでありますが、それでいいのですか。
  41. 小川吉男

    ○小川説明員 五カ年計画に盛られておること自体につきましては、先ほども申し上げました通り資金の手当がつかないと着手はできないわけでございますけれども、ただ五カ年計画の末端の計画自体におきましては、そこに日常行うべき事柄とそれぞれ関連があるわけでございます。その意味におきましてすでに着手されておる、こういうふうに申し上げたのであります。輸送力増強という主眼点におきまして着手されておる部面もあるわけでございます。ただ大きな事項につきましては、それらの資金の手当がつかない限りはとうてい実現できないという趣旨で申し上げたのであります。
  42. 小笠公韶

    ○小笠委員 それじゃあなたは、こういう現下の緊急輸送対策というものをわれわれ委員に配付しておるが、これをお読みになりましたか。現在の幹線において可能な範囲輸送力増強は海陸動員してやろうという御説明であります。あなたのいわゆる輸送力増強は当然にこの中に包含さるべきものと考えてしかるべきでありとます。五カ年計画とは分離してこの説明をせられたのは、昨日の説明であります。私はこの点につきましてはこれ以上あなたに追及してもしよりがないのでありますが、問題は非常に重大なる問題でありまするから、料金値上げその他の資金の手当がつかなければやらぬのだという考え方自体に問題、があることだけ指摘しておきたいと思う。  次に基本問題は別といたしまして、輸送のとりあえずの応急緊急対策として、ここに何箇条かを列挙しておる。この列挙の中で海陸の総合動員によってやろうというふうな考え方でありますが、これに関連して伺いたいのは、先ほど多賀谷委員お話があったのでありますが、海陸の連絡の機械化、施設化という問題が不十分であることに一つのネックがある。たとえば先ほど例をあげた室蘭の問題、二号、三号ローダーに二千万円の経費を使ってやるが、そのほかの問題は努力するんだということで、現実石炭輸送、しかも冬季に向っておるときにそういうことでいいのかどうか。ここに幾らの金が要るか、大体予想はつくと思う。ここにわずかの金を投ずることによって大きな輸送力の増強ができるものも予算が計上されておらないという意味においてはっきりした態度をとらぬということは、まことに悲しむべきことであります。私はこの意味において、その問題に対して先ほどの御答弁では満足いたしかねるのであります。国鉄輸送としてまさに緊急事態であります。緊急事態に対して三億や五億の金はいつでも融通つくものと私は思う。二千万円というはした金じゃあれだけしかできぬという答弁では満足いたしかねます。強い反省を求めてやまないのであります。第二点として海陸の輸送の総合動員の中で幾つか書いてあ」る。所管行政庁にこういうことを指示した、指示したと書いてある。これに対して効果が上ると予想いたしておりますか。まずこれを伺いたい。——少しむずかしいから、簡単に具体的な問題を伺いたいと思います。陸上輸送の海上輸送への転移の問題に関連して運賃の問題があると思う。この運賃の問題との調整をどういうふうにはかろうとお考えになっておるか、まずそれを伺いたい。
  43. 小川吉男

    ○小川説明員 海陸の調整につきましては、先ほども港湾施設その他の問題がありますが、いろいろ輸送の設備面においてコストの差があるというふうな問題もございます。これは港湾施設の強化その他の問題が起きるわけでありますが、さらに国鉄運賃との差が相当にございますので、このために戦争中海上輸送で送られておった物資が陸上輸送に切りかわりまして、海上運賃と陸上運賃との差のためにそのまま陸上輸送に残っておる面が相当にあるわけでございます。従ってその意味において運賃が是正されますならば、当然そこの限界にきているところの物資につきましては、またおのずから海上に再転移される、こういうふうに考えております。
  44. 小笠公韶

    ○小笠委員 この問題はいろいろの項目について対策を書いてありますが、裏からのぞいてみると、そういう問題がひそんでおるのであります。これは十分配慮していただきたいと思います。  最後に簡単に重工業局長に伺いたいのであります。鉄鋼需給の状況にかんがみて、いろいろな御説明を伺ったので、ありますが、最近の動向を見ますと、教育関係の施設用の土木工事が非常におくれている。特に義務教育の関係の校舎等がおくれておるようでありますが、これらの少量事業に対してどういう手を打っていくか。いろいろむずかしいことはありますが、そういう教育施設に対する需要をできるだけ優先的に配慮することも必要なことだと思いますが、どういうふうに考えておるか、それを伺いたい。
  45. 鈴木義雄

    鈴木説明員 鉄鋼需要に対しましては供給力全般を十分にするという点が一番問題でございます。そこで実は前に御説明申し上げましたように、輸入の増加、あるいは国内の増産ということで一般的な対策を打っております。大体下期において相当効果が上ってくる、われわれはこう考えております。御指摘のいろいろのケースにつきましては、従来は小口用の鋼材のあっせん所というところがございますが、これは数量も非常に少いのでございまして、まかなう量も少い、かような観点から、実は輸入の鋼材をプールして国外鋼材をある程度出すというような仕組みを考えておりまして、大体各メーカーが建値で供給量の一% 約二一万六千トンくらいになりますが、これと同量の輸入鋼材をプールして、これを現在の建値よりは高いけれども市価よりは相当安い値段で出す、かような仕組みで近く発足することになっております。さような制度によりまして御指摘の点はできるだけまかなっていきたいと考えております。
  46. 小笠公韶

    ○小笠委員 私はこれでけっこうです。
  47. 神田博

    神田委員長 次は佐々木君。
  48. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 ちょっと議事進行について。  私、質問するわけでありまして、電力を中心としたエネルギー計画を聞きたいのですけれども、それに関連して関連質問の予定になっておりました田中君が汽車の都合で先にやるそうでありますので、関連質問が逆になりますけれども田中君を最初に願います。
  49. 神田博

    神田委員長 それでは田中利勝君。
  50. 田中利勝

    田中(利)委員 電力の総括的な質問はあとから佐々木委員から発言があると思いますが、私は時間の関係上、東北地方における電力の行政についてお尋ねしたいのであります。  まず第一に、私の理解している点を申し上げますならば、電力の第二次六カ年計画は今年当初に決定されまして、その策定に当りましては三十年の実需用量四百四十四億キロワット・アワーを基準として策定されて、そうして三十五年を六百八億キロワットに増加する、こういうふうに電力六カ年計画を理解しておるのでありますが、今日の段階では地域間の電力の融通をはかってもなお二十七億キロワット・アワーの不足を生じておる、こういうふうに伝えられておるのであります。一昨日の高碕経企長官の説明にありましたように、わが国経済の状況というものが順調な推移をたどっていて、経済五カ年計画のうち四カ年分を二カ年において達成する、こういうふうにして五カ年計画を推進するならば、今日電力は何らかの改訂をしなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。これについて通産当局はどのような考えを持っておられるか、その点を御説明願いたいのであります。  なお、それに関連して特に東北問題でありますが、田子倉並びに奥只見、こういうふうな問題を取り上げてみますと、田子倉の一部送電が三十四年の七月、それから奥只見が三十六年の六月に完成される、こういう開発の繰り上げの時期というのはどのように考えておられるか、こういう問題。  さらに、田子倉の最大出力が二十二万五千キロワット、それから奥只見の三十万キロワット、こういう出力の変更もまた考えられるのではないか。これに伴って開発事業資金計画も同時に変っていかなければならぬ、こういう点も詳細に、一つ理解のできるような丁寧な御答弁を願いたい。
  51. 岩武照彦

    ○岩武説明員 最初のお尋ねは、五カ一年計画をどう改訂するつもりかという御質問かと思います。これは昨日詳細に御説明いたしましたように、現在の需用の動向から申しますと、三十五年においてキロワット・アワーでおそらく二割程度ふえるのではないか、それに応じて設備出力の方も約三百万キロワット程度、現在の開発計画を拡大する必要があるのではないか、こういうふうに昨日申し上げたのであります。  それから田子倉、奥只見の問題でござい一ますが、これはお尋ねのように田子倉の第一期の完成が三十四年の七月——これはたしか年末であったのを約半年ばかり繰り上げて三十四年の七月に第一期分を運転開始に持っていこう、こういう計画でございます。奥只見は、繰り上げがありましたかどうか、ちょっと記憶しておりませんが、お話がありましたように三十五年末に第一期を運転したい。  それから出力変更の問題でございますが、これは田子倉の二十二万五千でありましたか、これを発電機を増設いたしまして、三十八万キロだと記憶しておりますが、三十八万キロにしたらどうかということで、目下検討中でございます。奥只見の三十万キロを三十二万キロに出力改訂をしたらどうか。これは結局発電機の増設になるわけでございますが、使用水量をふやしまして、ピーク期あるいは渇水期における出力をふやそうという計画になるわけでございます。これにつきましては目下まだ関係方面で検討中でございます。従ってその資金的なものもまだはっきり固まっておりませんが、発電機部分の費用と発電所の用地を若干大きくしますから、その掘さく建設等に要します費用がふえる、こういうことに考えております。結局この両地点の開発が従来から計画よりもだいぶおくれておりますのは、これは御承知と思いますが、補償の問題が一番中心であったわけでございますが、田子倉の方は補償も片づきまして、目下建設のテンポといいますものは、あそこに参りますセメント輸送用の鉄道の完成期が一つの目当てになるわけでございます。これを明年の夏までに完成するように目下鉄道の工事を急いでおるわけでございます。両地点とも冬場の五カ月前後、相当な積雪のために工事の施工ができませんので、その結果主として夏場において工事を進める関係上、これ以上の繰り上げはちょっとむずかしい、こういう状況でございます。
  52. 田中利勝

    田中(利)委員 八月の上旬に私ども商工委員会が国政調査に出かけまして、私どもは東北班に加わったのでありますが、その強い印象としてさらに特徴的なものとして、どの県も一応に電力不足を訴えておったのですが、御承知通り、東北は特に後進性が強いといわれておるのでありまして、これを産業経済、そういう方面からながめてみましても、国民所得のうちで東北六県の生産所得は四十六府県の平均比率よりもはるかに低い。経済的には平均値よりも非常に小さい点が東北六県の共通の姿であった。さらに生産所得と分配所得の点をながめてみますならば、分配の歩どまりというものは生産よりもはるかに低いところにあり、こういうところが東北の後進性であると同時に、日本経済の一番の弱点であると私たちは見てきたのであります。今日の経済は地域的に非常な不均衡の状態である、どうしても今後ともわが国経済計画によってこれらを是正していかなければならないと思うわけでありますが、東北の総合開発もいろいろ問題がありますが、その根幹となり、柱となるものは電力である、かように私どもは考えるのであります。この電力によって工業化し、そうして生産を高めていくことは東北にとってきわめて緊急の問題であると思うのでありますが、何といっても電力の裏づけがなければならない。主条件の電力が熱源としてあるいは動力源として確立すると同時に、あるいは産業道路あるいは工業用水、こういうものが整備するならば東北の付加価値というものは飛躍的に私は増大すると思うのであります。こういう点について私どもは非常な熱意を持ち、今日起党派的に東北の総合開発が政治的に日程に上っておることは御承知通りでありますが、しかしながら現在の実情を見ますと、いわゆる今日の東北の鉱工業生産を上げていくためにも、大口電力の問題に関連しますが、この大品の電力を見ますならば、大体本年度は希望量としては、四十九万キロワット・アワーを必要とするに対して、これを四十万キロワット・アワーに押えようとする、こういうことでは工業の発展もあり得ないし、新たなる工場の誘致も不可能である。こういうふうに考えますならば、今後東北の経済的な効果を上げる意味においても、火力、水力にかかわらず、東北発電計画というものを重点的に考えなければならないと思うのであります。これに対してどういう御方針を持っておられるか、その点を承わりたいと思います。
  53. 岩武照彦

    ○岩武説明員 昨日御説明いたしましたように、明年度不足量はおそらく全国的なものでありまして、九州と四国は均衡がいっているのではないかという程度でございます。なかんずく不足が著しいと思われますのが東北と北陸地区、こういうふうに申し上げたわけであります。東北の振興開発の問題はわれわれも全く同感でございます。初めから東北の電気の開発につきましては一番力を入れてきたわけでございまして、再編成以来水力の一番伸びているのは東北地方であります。ほかの地区はむしろ火力で出力をふやしておりますが、東北は量としては水力の発電が一番多いわけであります。にもかかわらずこういうふうに今日の事態におきまして一番大きな不足量が予想されるといいますのは、結局何と申しますか、一つは最近におきます東北地方の電気の需用、なかんずく電気製鉄関係の需用の増加、あるいは化学工業の一部の量の増加が非常に目ざましいものがあります。そのためはなはだ残念ながら明年度におきましてはよその地帯よりも不足がややひどいではないかというふうに予想されるわけでございます。これに対しましては昨日申し上げましたように、一つは融通の問題で、比較的余裕のあると思われる地帯からもう少し東北地方に融通できないかということを目下検討しておるわけでございます。それから将来の開発としましては、御指摘ありましたように、大体年々出力にしまして百四、五十万キロワット程度ふえると思われます。そのうちで東北がどの程度になりますか、はっきり計算いたしておりませんが、これはもう需用が多くて供給不足している地帯につきまして開発の主力を注ぐということは当然であります。ひとり水力のみならず、火力についても東北地方はもう少し開発を進めて参りたいと思って、せっかくその検討をやったわけでございます。詳細につきましてはまだ案もでき上っておりませんので、数字等は申し上げることを省略いたしますが、そういう気持で、特に不足しております東北と北陸につきましては、開発上も相当な手段を用いたい、こういうふうに考えております。
  54. 田中利勝

    田中(利)委員 東北の電力の質的安定と申しますか、そういう点からながめてみますと、確かに東北の電力全国平均からして非常に安いのですが、しかしながら他の言葉をもって表現するならば、東北の電力は安かろう悪かろうということに尽きるのであります。御承知通り、東北の電力は水路式とかあるいは流れ込み式の古い発電形式であって、雪解けのときあるいは台風のときには豊水で電気が使い切れないほどできる。しかしながらまたひでりが続けば一般灯火を停電しなければならぬ一歩手前のような、非常な宿命的な特殊事情があるのでありますが、こういう問題について私どもは東北におけるかような旧式な水力本位では、今日大企業をかかえておる東北としては安定した操業が維持できない、こういう問題が現実に起きておるのでありまして、これらを何とかしなければならぬ。このためにはそこで火力なりそういうものによって調整していかなければならぬと思うのであります。東北には火力発電所はございませんが、火力発電所に対する計画なりそういうものがおありであるか、そういう点もお知らせ願いたいと思うのであります。ただ八戸の十五万キロワットができるということは聞いておりますが、そんなくらいで問題は解決しないと思いますが、こういう点につきましても御説明願いたいと思います。
  55. 岩武照彦

    ○岩武説明員 東北地方の電気の供給が、そのときどきの雨量に非常に左右されまして安定を欠いておるということは、御指摘通りでございます。これは結局電源地帯ということで、今まで北陸におきましても東北におきましても、火力というものを考えていなかったということが一つの過去の問題にあったわけであります。もう一つ申しますれば、そういうふうに水中心のところであるから料金が安い。従って火力を作るだけの原価が持てないという事情があったことも、これまた事実でございます。過去のことをいろいろ申し上げてもしようがありませんが、先ほど申し上げましたように、今後何らかの形で水力中心の地帯に火力を安定した供給力として入れて参るということは、全体のロードがふえますれば当然のことであります。御指摘になりました八戸火力も三十三年のたしか夏場にでき上ると思っております。もう一つ南の方に常磐火力七万キロ、これも己十三年に完成いたしますが、なおこんなことではとても先々の問題は解決いたしませんので、東北地内におきまして相当大容量の発電所を一カ所早急に作るように目下検討しておるわけであります。まだ地点あるいは容量等は決定しておりませんが、これは三十四年、五年あたりの完成を目標に、もう一つは考える必要がある、こういうように考えております。
  56. 田中利勝

    田中(利)委員 東北の電力不足はもう明らかでありますが、今日ただ辛うじて地域間の融通をやって補っている、こういう姿であります。これについても本年度東北電力東京電力から一億五千万キロワット。アワーを買電して、何とかつじつまを合わしているという状態でございますが、しかしながら東北電力といたしましては、自分の方の料金は一キロワット一円九十二銭であるけれども、買電の場合は倍の三円程度である、こういうことではまるまる東北電力としては赤字である。こういうことが今後の東北の電力問題に非常に私は影響を及ぼすのじゃないかと思うのであります。特に東北電力の過般の株主総会において内ヶ崎社長は、今後需用がいかに伸びても会社としては赤字を出してサービスする必要はないのだ、こういう発言をいたしておることは私たちも注目しなければならないと思うのでありますが、私どもは電気事業の公共性を高く考えている。しかしながら現在の営利企業からしますならば、今言った内ケ崎社長の言葉を考えますならば、ここに公益性と営利企業との混乱と矛盾の理念を放置するならば、まさに東北の開発、ひいては東北の電力に大きな影響を与えると思うのでありますが、こういう点に対してどういうように指導されるか、そういう点を一つお聞きしたいと思います。
  57. 岩武照彦

    ○岩武説明員 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、東北電力、の経理が他の会社に比べて比較的窮屈のようだということは、昨日申し上げた通りでございます。これはいろいろ原因もあると思いますが、先ほど申し上げましたように、再編成後水力開発を一番多量に進めて参ったのは東北電力であるということもございますし、また融通料金の価段が若干の影響をしていることもいなめないだろうと思います。これは営利企業だからという御指摘がございますが、独立採算制をとります限り、これは常利企業でありましても、あるいはしからざる形態でありましても、赤字は避けなければならぬと思っております。ただ赤字の兄方はいろいろあると思いますが、そうなりますとやはり早晩経営の安定をはかりますためには、あるいは先ほどお話がありましたように、さらに新しく火力を作って参るということでありますれば、それに要する資金の調達ということがございますから、これはある時期にはやはり経理の安定のために料金の改訂という問題が起ると思っております。先日申し上げましたように、二、三日前の新聞の記事につきましては、われわれといたしましては目下白紙であるということを申し上げておきます。
  58. 田中利勝

    田中(利)委員 最後に、今ちょっと御答弁の中に出ましたように、二、三日前の新聞に東北電力が電気料金の値上げをするということを明らかに意思表示されているように開いておるのでありますが、東北としては今日の事情として、電気料金を値上げするということについては慎重を期さなければならぬと思いますが、こういう点に対して十分勘案していただきまして、なお電力料金に対して特段の御配慮を願いたいと思います。私はこれで終ります。
  59. 神田博

  60. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は先ほど申し上げましたように、最近の経済拡大傾向に伴いまして、特に鉄鋼石炭を中心としての五カ年計画の修正が問題となっておるわけでございますが、これと関連してその一つの中心でありますエネルギー、特に電力を中心とする計画について御質問いたしたいと思います。ところがどうも私は電力問題の前に今問題になっておるところの五カ年計画を中心とする経済計画の意味、その他を聞かなければならなかったわけでありますが、その一番中心が事務当局ではなくて、私は政府の考え方と事務当局とに非常に大きな差があるのだろうと思うのです。ところが大臣は二人ともおられなくて、通産の政務次官だけしかおられないというようなことで非常に聞きにくい格好になったわけでありますが、念のためにまず伺っておきたいと思います。  大体私の見るところでは、一昨日の両大臣説明等から見ますと、経済五カ年計画だとかあるいは電力六カ年開発計画だとか、要するに経済計画なるものは大体の見通しを立てる、事業者が計画を立てる場合の、たとえば昔の電気事業家が発電所を作ろうという際に、おそらく化学工業がこれくらい伸びるだろうからこれくらいの見当の発電所を作ったって損はなかろう、こういう事業を立てる場合に一つの目標を立てるというくらいな、つまり見通しぐらいな考えでおられるらしい。大体高碕さんにいたしましても、石橋さんにいたしましても、そうです。ところが作っておられるところの大來さんなりあるいはその他の通産関係の方々なりのおのおのの計画の内容のお話によりますと、大体たとえて言いますならば、ソ連の第何次計画なり、隣りの国の中国の第二次五カ年計画なり、それに匹敵するような経済計画性を与える意味の、計画経済という言葉は少し過ぎるかもしれませんけれども、そういう計画にお考えになっておられるらしい。そこで話が非常にとんちんかんになって困るの、ですけれども、政務次官、一つ政府の方は大体経済計画というものをどの程度に見通し、あるいは目標ぐらいに考えておられますか。それから大來さんの方は経済に非常に計画性を付与する意味の計画を考えておられましたか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  61. 川野芳滿

    ○川野説明員 政府経済五カ年計画を立て、あるいは電源開発六カ年計画を立てる、こういうようなときに当りましては、大体将来こうなるであろう、こういうような目標のもとに実は計画を立てるのでありますが、しかし先日来説明がございましたように、わが国経済というものが現在におきましては異常な発展を遂げた、こういう観点からあるいはその目標の数字と若干食い違っておる、こういうことになったのでございまして、この点につきましては目標を誤まったということでまことに遺憾には存じておりますが、しかし日本経済が異常に、予想外に伸びた、こういう点からでございまして、その点は御了承をしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  62. 大來佐武郎

    ○大來説明員 実は私事務当局でございますが、現在の計画ができます過程には別の仕事をしておりましたので、ことしからこの仕事をやっておるのでありますが、ただ従来の事務当局の考え方は大臣のお考えとそれほど開きはないように存じております。事務当局といたしましても、いわゆるソ連的な計画経済的な行き方ということを考えておるのではございませんで、日本の場合には予測にポリシーがやや加わったものといいますか、予測とポリシーというものが半々といったような計画ではないか。これは私の個人的な考えでございますが、単なる予測でありましたならば。ポリシーはないのであります、ただこうなる、それに受動的に対処していくということだけでございますが、それほどの単純な予測ではこの計画はないように思います。ただ計画を作る技術なりデータなりの不完全な点、あるいは海外の経済動向に対する判断の不十分というようなことから、計画の目標と実際が狂う場合がある、ことにこの二年間はその狂いが大きかったのでございますが、一面からいえば情勢のいかんによってはまた逆に狂う場合もございまして、長期計画というのはそういう短期の景気変動のアップ・アンド・ダウンの間を傾向としてにらんでいくということが、まあ一つの要点だと思います。そのことによりまして大体毎年の短期的な政策の判断の手がかりを与えるということになるかと存じます。まあ昨日も申し上げましたように、こういう長期的な傾向といたしましても、現在の計画はやや低きに過ぎたというように思われますので、目下いろいろな面から検討を加えておるわけでございます。実は私ども自由経済制度のもとにおける経済計画というものがどういうものか、はっきり判断するのにはなかなかむずかしい点が多いのでありますが、ただ国際的に見ましてもフランス、イタリアあたりの経済計画というものが比較的日本に近いのではないか、アメリカのコルムとかそういう学者のやっておりますのは、先ほど佐々木委員の言われましたような予測の要素がかかっておりますし、インドの計画などは政府計画経済的な要素が非常にかかっておると思うのでありますが、この間にあってフランスやイタリアの計画に近いものではないか、大体そういうふうに存じております。
  63. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 実はその辺がはっきりしないので先へ進めないのでありますけれども、だいぶ時間がおくれておりますので、意見だけを申し上げてショート・カットしながら先に進みたいと思います。今のお話でありますと、政務次官のお話ではほんとうに物価の見通しくらいのものでおられますし、大來さんの場合には将来経済を指導するような計画性を付与せられておるようにも思いますし、そこに相当の相違があると思います。そうしてそのことは同時に対象とするたとえば鉄鋼の場合、それから輸送の場合、さらにそれが電力の場合になってくるに従って、単なる見通し性と指導計画性とに非常に大きな幅が出てきておることは私は事実だと思います。従って大來さんのところで作られる経済五カ年計画の中の一環をなす電力計画と同じように、その一環をなすところの鉄鋼計画なり輸送計画なりということについては、その計画性自身の意味が相当違ってきておる。従いまして、この辺の問題につきましては、先ほど小笠君から背後の問題についての計画の問題を非常に指摘されましたけれども、同様な意味で縦横の織りなす問題として計画性の内容についても十分吟味されたい。  特に注意を喚起しておきたいと思いますのは、政府が中心になって考えておられる経済計画というのは、今言ったように、大体の見通しですから、従ってその対策は、まあ病人にたとえるならば対症療法というのがあるでしょう、熱が出たら解熱剤を飲ませる、くたびれたら寝させればよい、この対症療法的なものが経済指導の中心になっておると思うのです。そうしてまた一方、大体事務当局が中心として考えられておる場合には、そういう対症療法的なものでなくて、たとえば肺病であるならば、もうこのごろはやりのような切開手術をやってもよかろうじゃなかろうか、切開手術をやるための方法はこうだというように相当計画の考え方が違うがために、役所が一般経済界に対する行政指導という言葉でやられる内容が、政府の考えておられる内容と相当食い違っておることは事実だと思うのです。その辺がありますので話がとんちんかんになるというふうに考えられますから、一つこういう問題は筋のつじつまを合せるということに重点を置かれる前に、もう少し経済企画庁あたりで検討を願いたいと私は思います。今のままでいきますと、お役人の方は今言ったようにもっと強い計画的な経済指導を意図しているし、政府の閣僚のやり方はそう、ではなく、自由主義経済でもっと肝放しにして、少しインフレ的な傾向になれば少し金を引き締める、そういう対症療法的なお考えでやられる、そこにあまり矛盾がありますために、現在一番大きく批判されている一つであるところの官僚行政の悪い面が出ておると思う。どうかその辺を十分検討されまして、この計画の修正段階に当ってちょうどいいときでありますから、計画の筋のつじつまを合せるということでなく、本質的な問題をお考えになりながら計画修正を進めていただきたいと思います。実はこの二つの考え方のギャップから現在の経済に関する行政指導方針の矛盾と、それから事務当局大臣の考え方との相違を実例をあげて聞きたかったのですけれども、片一方がおられませんので、これは将来の問題として宿題にして残しまして、各論に入って少し聞いて先に進みたいと思います。  今言いましたように、五カ年計画を中心とする諸計画が相当大幅な修正を余儀なくされつつある状態経済界にきておることは事実であります。その修正が問題になる際に、私がくれぐれもお願いしておきたいのはエネルギー計画、特におそらくエネルギー計画の中心をなす電力計画というものは、これは非常に先行性の強いものでありますために、たとえば今のほかの計画と同じくらいにタイムを合わされたのではだめだということであります。どうかその辺を吟味されながら進めてもらいたいと思います。ただこのエネルギー計画の中心、電力に入る前に、ちょっと私は最近におきますこの経済計画の拡大に伴いまして、非常に大きなエネルギーがもたらされようとしておる見通しに対しまして、通産当局並びに経済企画庁では今一群世界的に余っているエネルギーが石油を中心としたものだと思いますが、それに対して日本は今御承知のような消費規正の方針をとっております。そこで、ことしの暮れから来年、再来年にかけて予測されるエネルギーの不足に対処しまして、石油類の日本のエネルギーの中における地位を変更せしめるような吟味がなされておるかおらないか。たとえば現在までのような消費規正、輸入に対するいろいろな規制の緩和だとかあるいはそれに類するものが考えられておるかおらないかという点を、まず簡単にお伺いいたしたいと思います。石油類・に対しては大体従来通りの考え方で今進められておるか、あるいはこれは再吟味されねばならぬということで今御配慮になっておるかということです。
  64. 大來佐武郎

    ○大來説明員 エネルギーの長期計画の面といたしましては、非常に長い目で見ますと、日本はいずれにしても国内の石油、石炭両方とも不足でありまして、輸入エネルギーであります石油あるいは原子力でまかなうよりほかにない。実は私どもの方でごく概略の試算をしたことがございますが、三十年後には少くとも十億ドル程度の石油を輸入せざるを得ないのじゃないか。これに原子力発電ができればそれだけ節約されるわけでございます。でありますから、長い目で見て、日本のエネルギー消費の構成の大きな部分が石油になる。これは最近ヨーロッパ経済協力機構——OEECで出しました世界のエネルギー需要見通しも、ほぼ日本と同じような情勢で今後二十年の間に石油の輸入量が五倍にふえるというような見通しを立てております。従いまして長期の方向としてはおのずからこの方向に参るのではないか。ただ短期の問題といたしましては、やはり通産当局の行政指導のいろいろな観点もございますし、外貨節約の点もございますので、この行き方のスピードの問題ではないかと思います。私どもとしては、ただいまの御質問の点について、部内でもいろいろ検討をしておる段階でございます。
  65. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 重ねては聞きませんが、実は今の私の問いに対する答弁、ちょっと違っているのです。今私の聞いたのは、現在進行中の五カ年計画が初年度において非常に大きな変更を余儀なくされつつある。大来さん御承知のように、電力計画は三十五年度末で大方倍にせねばならぬくらい変るのです。発電所一つ作るのに三年間かかる、発電所一つ作るのに三年間かかるのにかかわらず、あと三、四年しかないのですよ。その期間に前の計画に対して大体倍——倍といっては多過ぎるかもしれませんが、今それに類するくらいの計画変更が余儀なくされつつある。十年、二十年先のことを言っているのではない。そういう状態に対して日本のエネルギーを考えられた場合、電気と石炭と、それから薪炭ぐらいのものを入れるとしましても、応急の間に合うのは石油でしょう。従ってこれに対して相当大幅な再検討の必要な時期にきているのではなかろうか。石油を使うのがいいとか悪いとかという問題について、まだ私は結論を持っていないのですけれども、ただ今の事情からいきますと、電気は去年立てたものを三、四年のうちに倍にせよというような話ではあまりにもむちゃくちゃであって、どうにもこうにもならぬわけです。その意味で私はエネルギーの不足は、国内で補い得るものだというような従来までの国内資源の愛用であるとかいうようなことでは補い切れないような状態が、非常に近く、一、二年のうちにくる危険性がある。これに対して今のような計画を考えられるならば、私は相当観点を変えて、国内資源の動員だとかあるいは外貨がどうのこうのというようなことのもう一つ前の立場から再吟味がなされる必要があるのではないかということを指摘したわけです。これは指摘するだけにとどめておきます。  それから同じようにこれは石油資源の問題でありまするが、今の一般の石油資源に対する日本の国内における消費エネルギーの計画の変更が考えられる可能性があるのではないかという問題と関連いたしまして、やはりここで触れておかなければならぬのは、今大來さんの言われたような国内資源をフルに活用するような観点に立って石油資源開発会社法ですか、あれに基いた国内の石油資源開発計画が今二年目に入っておることは事実であります。従いましてこの計画はやはり既定通りに遂行されるという前提に立って今のエネルギー計画を考えておられるかどうか。国内の石油を五カ年計画で、あれは百万キロリットルですか、これは五カ年計画できちっときまったものですが、これを前提として考えておられるかどうか。これはついでに言ってしまいますけれども、今の大來さんのお話によりますと、変更の可能性についての根本的な再吟味が十分なされておらぬように承わりまするから、少くとも通産当局においては、私の想像ではおそらく石油開発に対する五カ年計画はそのまま遂行する予定で、先ほど小笠君からお話があったような来年度資金繰りその他についても考慮されておるのだろうと思います。そうしますと、御承知のように、三十一年度計画は最初あのときの法案ができたのと比べますと、非常に大幅な縮小の上になされたわけでありまして、その縮小をしなければならなかった理由も当時述べられまして、縮小しても同じように五カ年間で百万キロリッターの計画を達成するという方針で三十二年度からはやることになっておるはずであります。従いまして三十二年度事業計画が、国内の石油資源の開発に対して進められるとするならば、やはり今の方針に基いてなされなければならぬのでありますから、従ってこれも相当具体化もしておらなければならないと思います。これは電力の五カ年計画の修正が考えられると同じくらいに、やはり並行的に出ておらなければならぬというふうに思うのでありますが、この点について大來さんの方で、大体従来通り計画を前進させるという方針で今臨んでおられるかどうか、そうであるとするならば、鉱山局長の方ではそれに基いて今三十二年度計画は大体どういう見当で進められつつあるか、簡単にお答え願いたいと思います。
  66. 大來佐武郎

    ○大來説明員 石油の国内生産につきましては、現在のところ今までの計画を特別に変えるという意向はございません。
  67. 森誓夫

    ○森説明員 石油資源開発会社の三十二年度事業計画につきましては、予算要求の関係もありまして一応決定をいたしておるのであります。しかし根本的に言いますと、最近の技術の発達、あるいは会社の事業経験等に照らしまして、いろいろまだ検討すべき問題が残っておると思いますが、一応われわれが予算要求をいたしました事業計画内容につきまして御説明を申し上げたいと思います。  来年度事業の重点はやはり物理探鉱、地震探鉱に置き、あわせて試掘につきましてもその能力の質的な向上と速度の向上をはかることにしまして、この点もたとえば平原下とか、大陸棚——浅い海底でありますが、そういうところの大集油構造のあると思われるところに重点を置くというようなことで考えております。また技術的な点では本年度すでにアメリカ、ドイツ、フランス、三カ国のすぐれた探鉱技術を導入してその技術を日本の技術者が摂取するとともに、またその活用によって従来の日本技術では探り得ぬような正確さと深さとを持った作業をしていただくということを考えておるのでありますが、そういうことを来年度も引き続きやるということであります。  そのようにいたしまして、資金的に大体のことを申し上げますと、総額は二十五億二百万円でございます。この内訳を申し上げますと、探鉱費におよそ十五億八千万円、探鉱用機械設備費が六億五千四百万円、その他の設備が五千七百万円、管理費が一億四千六百万円というようなことになりますが、この趨勢を今年度計画と比べて見ますると、探鉱費の点で非常な増加がございます。つまり四億五千万円ほど探鉱費が増加されております。反面探鉱用の機械設備費は二億二千万円ほど減少いたしておりますが、これは本年度がまだ操業後日浅くして、初度調弁に類するような機械類が多かった、それが来年度はだんだんそういう域を脱するというような意味で、機械設備の金額が若干減少いたしておるのであります。そのほか一般設備とか管理費において一億三千万円ほど減少いたしております。そのようにして総計におきましては、三十一年度と比べまして一億ほど事業計画資金は増加するのでありますが、しかし探鉱費のみについて見ますと、二億五千万円ほど上昇するということで、漸次石油資源会社が本格的な活動に入り得る態勢を整えるものと存じております。
  68. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 従来方針通りの国内の石油資源開発方針をとられるということでありますならば、今のところそれも当然の措置として進められなければならないと思うのでありますが、それでありますならば、これは二年目か三年目になっておりますが、あの五カ年計画の中身は相当違っておるはずであります。目標だけは百百万キロリッターになっておりますけれども、この事業計画の中身は五カ年計画の中で相当違っておるはずでありますから、新しい機械なら機械でけっこうですけれども、今の格好に合うように早く修正しておかれる方がいいと思います。計画自体があとからあとからおっかけていくようなことでは全然ナンセンスな気がするから、ともかく計画は一日も早く、今の可能なものに修正されることがいいと思います。  それから二点といたしまして、今の森さんのお話によりますと、そのために来年度は二十五億を中心とする事業費をこしらえて云々というお話であります。中身は私よく承知いたしておりませんが、御承知のように、この会社は何か一つ二つ油が見つかったという話ではありますけれども、それがまだ本格的な収入になりがたい会社だと思います。そうするとこれは普通の経済ベースに乗らない会社でありますから、従ってあの設立の方針にあったときのような格好で、政府がめんどうを見るよりほかこれの行く道はないと思います、聞くところによりますと、二十五億の事業費の中で大体十八億見当は政府がめんどうを見て、あと七、八億くらいを民間で集めようということらしいのでありますが、これの見通しを要求することはまだ無理だろうと思いますけれども、大体こういう方針でもって先ほどの既定計画をするとするならば、そうするとこの金の中身というのは民間から集めるといったって、普通の経済行為みたいな格好にならぬわけでありますから、従って今のような政府のめんどうが必要だと思いますが、そういう観点で今の二十五億の中身の政府出資等についても考えておられるだろうと思いますが、念のために一つ伺っておきたいと思います。
  69. 森誓夫

    ○森説明員 ただいま佐々木委員から御発言の第一点の石油資源開発五カ年計画を称検討する必要があるということでありますが、おっしゃる通りでございまして、最近の技術の発達あるいは会社の設立後の事業実施の経験等から見まして、これは再検討しなければならないとわれわれも存じております。実はピアックと略称しておる石油資源開発審議会という学識経験者をもって組織された機関でありまして、通産大臣の諮問機関でありますが、そこへ実はその再検討を諮問いたしておるような状態であります。  第二点の来年度におきまする所要資金の調達方につきましては、二十五億のうち民間出資を期待するのはせいぜい七億円前後であろうと存じます。そのほかの資金はただいま佐々木委員が言われました通り資金の用途の性質上、これは借入金的なものでまかなうべきではありませんで、やはり出資として調達すべきものでございます。そういたしますとわれわれとしてはこの十八億につきましては、すべてを政府の出資に仰ぎたいということでただいま考えております。
  70. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 大へんけっこうだと思います。この会社を作ったときの方針をそのまま伝えておる今の鉱山局長のお考え方であるように私考えますので、どうかその方針で進めていただきたいと思います。しかし御承知のように、法律を作りますときも、大蔵省が相当強いですから、松尾さんの前のお話を聞かれてもおわかりになると思いますけれども、政務次官もおられるから、総動員でやらぬと負ける危険性がありますから、がんばってもらいたいと思ます。  今度は電力問題にいて二、三点お伺いをいたします。大体電力問題はこういうふうに聞きたいと思います。まず簡単な問題から、当面の三十一年度の下期の需給について、これも相当逼迫してくると思いますが、この問題が一つ。その次には三十二年度需給の問題、最後に三十五年度を中心とするところの長期計画の修正というふうにお伺いをいたします。第一の三十一年度の下期の需給については、きのうの御説明によりますと、まあまあ大したことはない、最大で五十万キロ程度全国合計で不足分があるけれども、これは大体大口需用家の休電日の振りかえだとか、あるいは自家発の動員だとか、そういうもので何とか切り抜ける目安もついておるので、そういうふうにやりたいというお話であったと思います。まあこの程度のアンバランスであるならば、言われるような形で切り抜けば可能だろうと思います。しかしながら先ほど来お話がありましたように、急速に伸びつつある産業に対する影響はやっぱり相当大きくなる危険性があると思います。エネルギーに対する不安が産業の拡大を非常に憶病ならしめるという意味で大きな影響をことしの冬から与える危険性があると思いますので、対策は慎重を期せられたいと思います。  それから、きのう配られた資料とお話によりますと、全国合計で五十万キロ程度不足するときがあるということになっております。にもかかわらず、来年度あたりから一番不足することになっている東北、北陸はゼロということになっておって、とんとんの数字になっております。おそらくこれはほかの地域よりもほんとうは需用は伸びておって、電気はもっと足りないはずなんです。それを初めから電気は足らぬからというので新規の受付を断わっておるなり何なりということで、ほかの地域よりもっとひどい圧迫を需用に加えておる結果だろうと思います。従ってそれは三十二年度新規の受付が可能になる時分には、ぱっと一ぺんに伸びてくる需用が潜在しておるのだろうと思いますけれども、大体そういうふうに解していいのかどうか。つまりその場合には、東北と北陸についてはすでにことしの冬あたりから非常に強い需用の調節が行われた結果、こうなっているというふうに見ていいかどうか、簡単にお答え願います。
  71. 岩武照彦

    ○岩武説明員 その通りでございます。東北、北陸につきましてはことしの需給計画が融通の問題と一緒にきまりましたときに、ある程度の新規増加発電の認可の大体の目安をつけておったのであります。その認可のものも大体この十月で使い果しますので、新しいキロワットの増加は電灯あるいは小口をのけてはことしは無理ということになっておりますので、御指摘通りであります。
  72. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 三十一年度の下期の需給は、今のような大体大口需用家の振りかえによって切り抜けていくということでありますから、この問題についてはもうこれ以上の対策もなさそうでありますので、慎重を期してやられたいということの希望で三十二年度に移りたいと思います。  おそらく今の年次計画で三十二年度電力需給が一番中心的な問題になっておるだろうと思いますが、これはきのうのお話によりますと、まだあまりはっきりしていないということで、私の勘みたいなものやその辺から拾った数字でありますから、わかりませんけれども、大体全国的に来年度、三十二年度に足りない電気をキロワット・アワーにしますと、三十億から四十億、役所の数字だと三十三億でしたか、その程度に押えられておるように聞いて鳴りますけれども、大体三十四、五億キロ程度と承知して相違ありませんか。
  73. 岩武照彦

    ○岩武説明員 今お配りしました表を基礎にあげますと、大体発電端におきまして三十六、七億キロワット・アワーになります。
  74. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 三十四、五億キロというとこれは皆さんも御承知のように、大体の見当が佐久間の発電所を三つ寄せたくらいでしょう。佐久間の発電所を三つ寄せたくらいの不足が来年くる。これはしかも五カ年計画としてことしの三月か五月かに立てられた計画に基いて電力供給計画を立てられた結果でしょう。このことは私は非常に大きな問題だと思うのですが、先ほどの経済計画の性格問題にもからんでこれは一つ実質的に聞きたいのですけはども、今のような電力計画を策定する責任は一体どこにあるのですか。これは地域的に分けてもいいのですけれども、来年度の三十二年度には三十六、七億キロワット・アワー、目の子で言って佐久間の発電所を三つ寄せたくらいの大穴があくという計画を遂行された責任は、これは政府電力計画を立てるという意味では政府にあるのか、あるいは電力会社の経営者にあるのか、どっちにあるのか、われわれはどっちにあると考えたらいいのでしょうか。つまり需用家はどっち向きにものを言ったらいいかわからぬわけです。
  75. 岩武照彦

    ○岩武説明員 先ほど来佐々木委員から、今考えております自立経済計画の性格についていろいろな御議論がございました。まさに今のお話もそれにつながっておるものだと思っております。それで先ほど来政務次官あるいは大東計画部長から御答弁いたしましたが、経済計画と申しましても、これはそれによって計画経済を遂行していくという筋合いのものではございません。御承知のように共産圏諸国とは違いまして生産手段の私有を前提としておりますので、これによりまして計画をたてにチェックするとか、あるいは計画をたてに引き延ばすとかいうようなことは行なっておらないわけでございますので、その辺の経済発展の機動力はどこにあるかというのが資本主義国における経済計画の一番の問題点だと思っております。それで、そういう方法論はともかくといたしまして、年次別の問題につきましては大体経済企画庁を中心に総合しておりますが、これについて一体どういう点の見落しがあり、どういう点で気がついたかという点がいつも問題であります。そのほかに、電気固有の計画あるいは見通し上の予見もありますので、それらが相重なってこういうふうになってきたのだろうと思っております。従って一応供給責任は、各供給区域を持っております電力会社が持っておるわけでございますが、そういうことを指導した責任となればこれは政府だろうと思っております。ただし、申し上げておきますが、政府だと思いますが、その計画以上に投資をし、あるいは需用が伸びることまで当時から予見し、あるいはこれを計一画に入れたかどうか、それはまた別の問題だと思います。従って経済計画の性格論になりますが、そういう小さい見通しを立てたことは、これは政府見通しが違ったということでございまするので、政府の責任とは存じまするが、それを遂行する上におきまして何らかの強制手段をこれに対して加えておりますれば、これはもう政府の責任だと思いまするが、今までそういうことはあまりやっておりませんし、われわれの電力見通しあるいは電力需給計画自体も、これは一つの前提に立ったいわば見通しであり、これを基礎に供給を指導しておるわけであります。需用の方は遺憾ながら指導できませんので、勢いそういうふうに破綻も出るかと思っております。
  76. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私は今過去のやりそこないについて責任を追及しようとしておるのではないのです。責任追及をする場面はまた別のところでやりますから、そうでなくて今これから冬に突入していって、来年にすぐ佐久間の発電所くらいの大穴が三つくらいあこうとしているのに対して、また三十五年度を含めての修正がどうすれば可能になるかという、向う向けにどういうふうに直したらいけるかということをやろうとしておるわけなのです。困るのは、これは今の電気事業の性格論になって恐縮なんですけれども、電気会社に対しましても工合のいいときには公共事業だというし、工合の悪いときには株式会社だというし、またあなたの方も、いいときは五カ年計画で縛られるというし、悪いときは株式会社だからというし、ほんとうにどこを突いたらいいかわからぬ。さっき田中君はしきりに東北電力のことをおっしゃいましたが、東北電力電力料金がどうだこうだと言いかけておりますが、あれにしたところで私どもは責任追及じゃなしに、これを直そう、よい方向に向けようと思うときに、ほんとうにどこを突いたらいいかわからぬ。大臣に言えば電気のことはむずかしくてわからぬというし、実際処置ない格好でほっておかれる状態だと思うのです。従いましてこの辺はもう少しはっきり何とかしなければいかぬと思います。今岩武さんのお話では、少くとも形式的には経営者があるわけでありますから、これを強権をもってどうこうすることはできないというお話でありますが、たとえば化学工業が伸びたとかいう問題と違って、今発電所を作ろうとしている現実電力会社の状態を見る場合には、料金はほとんど政府が押えていて、正直な話収入はほとんど政府の言うなりでしょう。これはそろばんでびしゃっと出る。だから発電所を作る場合の資金というものも、だんだんと会社の基礎ができるに従って内部留保等によってある程度できてきたとはいうものの、これだけ大きな長期の、しかも大量の金という場合には、御承知のように政府の世話、処置というのがおそらく五〇%以上にいかなければならないものでしょう。それから開発することについての水利権とか何とかいうものはほとんど全部お役所側の判断力でどうにもなるみたいなことが多いわけです。そうすると形式責任を会社だけに持たせておっても事実上どうしようもないということなのです。早いところ責任をはっきりさせるために再編成をやったというならば、ほんとうに会社に責任を持たせればよいし、非常に大きな公共性を持ってくるということならば、もっと違った形式に本来さるべきだと思います。しかし今そういう根本方針がやれないとしても、もう少し計画樹立の責任というか、これをどこではっきり立てるかという根本をはっきりしない限り、私は三十二年度以降の対策についても非常に困難かと思いますので、特に私は善処というか、再考慮をお願いしておきたいと思います。  それから具体論に入って一、二申し上げてみたいと思いますが、先ほど三十一年度の下期では、調節して、需用を持っておっても需用を押えておるために、大して制限しなくて済むのだといわれた地域、今の三十二年度で三十七、八億キロワット・アワーも足らぬという中の大きな部分を占めておるのが東北、北陸ということになるそうでありますが、きのうの資料によりますとおのおの大体十四億キロワット・アワーずつが足らないということでありまして、しかも東北地域と北陸地域とはこれまで大して消費量をたくさん持っておりませんし、全国の比率から見るとべらぼうもないものになるわけです。東北の場合には約二十五%ぐらい三十年の実績に対して伸びるということになりはしませんか。それから北陸については大かた二〇%強伸びるということになる。さらに三十二年度についてはそれがおのおの二〇形から三十五、六%ぐらい伸びる、非常にべらぼうな伸びになるわけでありまして、きのう聞いておりまする対策は、大体考えられるのは融通と、それから発電所の繰り上げ完成だとかなんとかいう、その地域の供給力の動員が中心の対策になっておるように考えられますけれども、その辺が現在考えられる方法としては一番で、それ以上の方法はないくらいのものだろうと思います。そうするとこれでは三十二年度というのはほんとうに穴があきっぱなし、少くとも私は穴のあきっぱなしになると思いますけれども、そのことが今度逆向きに、他の今伸びようとしておる経済界に与える影響というものは非常に深刻だと思うのです。その辺に対しまして大來さんの方は、やはり年次計画を考える場合に特に東北、北陸を中心にしまして——今供給対策を政府準備中のように聞いておりますけれども、その供給対策で埋められる分は、今考えられているものの半分もできぬと私は思いますが、その場合の影響の深刻さというのは相当のものだと思います。言ったら悪いけれども、年次計画を今準備中だという話ですが、承知の助でやっておられますか。つまり今足らないという、たとえば東北と北陸についてはおのおの十四万キロずつ足りない、これに対して電力局を中心に盛んに対策を考えて、これくらいこうすれば何とかいくという対策を考えておられるか、おそらく対策を動員してやっても、その目の子といっても、私は半分も埋まらないのじゃないかと思うのですけれども、その辺を前提として年次計画を考えられつつありますかどうか、ちょっと……。
  77. 大來佐武郎

    ○大來説明員 実は来年につきましては、時間が迫っておりまして、対策が限られて参るわけでございます。これは一つは需用の面がどこまでいくかという見通しが一面から申しますと非常にむずかしいわけで、一応想定では、ことしに比べて大体全国で一五%需用がふえることになっております。それがほかの経済一般情勢でそこまではいかないということになれば、幾分穴が浅くなるわけであります。しかし先ほど来御指摘通り、私どもはこの問題を扱って、電力のようなものは一般の工業生産指数の見通しよりも、従来それとぴったり合わして一応所要量を算定したのでございますが、この見通し——先ほど御指摘のように、計画は多分に見通し的なものでありまして、相当上に出る場合も下にずれる場合も予想しておかなければならないわけであります。エネルギーのようなものは、工業生産なり経済活動の将来の予測の上で、上にずれた場合でもどうにかまかなえるような考え方がエネルギー、特に電力計画については必要ではないか、ただいまそういうふうな考えを持っておるのでございますが、今後この計画改訂に当りましては、なるべくそういった見地から進めていきたい、こう思っております。
  78. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 岩武さんにお伺いいたしますが、一つ方法として融通ということを考えておられますが、従来私ども委員の普通の考え方の電力融通というのは、ひとしからざるを憂うる意味で大体同じような制限で電気が足りなくなるのは地域別に仕方がないという考え方があるのです。たとえば東北と東京と足らないとしても、同じくらいな程度に足りないくらいならばやむを得ぬだろう、それをそういうふうにするのが電力融通だと考えておったわけです。ところがおそらく今、来年度、三十二年度を対象として九つの電力会社が中心となって考えられる場合には、そういうふうに一たとえば近い話が、東京関係と東北関係とが似たくらいな制限率になる、似たくらいな電力の足らぬ関係にするほど電力を融通するということは、ほとんど不可能に近いことを御承知でしょう。そうすると、融通の概念というのは、東京電力で自分の需用を切って、東北に送るのではなく、大体東京電力の中の、たとえば季節的に余った電気だとか、夜中の余った電気だとかを東北に送る、そういうのが電力融通の現在における常識的な概念になると思うのです。最近言われている特別な応援融通みたいなものは別としまして、普通の考え方はそうだと思いますけれども、そうすると、融通ということは初めから地域的な電力需給が非常に大きなアンバランスになることをほとんど是認する立場に立たなければならぬと思いますが、そういうことですか。
  79. 岩武照彦

    ○岩武説明員 御指摘通りでございます。佐々木さんもよく御承知のところだと思います。なぜそうなるかということは、御説明をする要はないと思いますが、一つは融通の能力の問題がございますので、かりに東北、東京間を例にとりますれば、ただ明年度のような大きな需用の増加になりますと、両地区のバランスをとるほどのキロワット・アワーの融通をする能力は送電線の関係で、まずないだろう。それから各地の需用の制限をひとしくするようにということをわれわれも一応考えたのでございますが、これには国が責任を持ちまして、電力の使用制限というものを各地一律にやって、その結果余った地域の電力を送電能力の許す範囲において不足地域へ送る、こういうことをやりますれば、大体各地の制限が公平に行われますが、これは相当な渇水期になりませんと——普通の水の出ておりますときに、そういうことを行うのは適当じゃないだろうと思っております。  そこで対策になりますが、われわれも将来におきまして、明年度の新増加受電の認可を一体どうしたらいいかということは、ひとり電気だけの立場ではございませんで、通産省全体としての産業政策あるいは投資に対する考え方という見地から、たとえばこういう業種はしばらくは足踏みをした方がいいだろう、これはこの際積極的にやった方がいいだろうという全国的な地位に立った産業上の見地の線が出ませんと一ただわれわれ一部局だけで電力があるとかないとかいうことをむやみやたらに押えても、これはまずいだろうと思っておりますが、そういう点をもう少し通産省全体としましても検討してみたいと思います。しかしこれはなかなかそう大きく各地の需用抑制はしないだろうと思っております。
  80. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 企画庁の方は一時から何するそうでありますので、また別にお伺いしますが、今のお話ですと、結局融通というものは非常に限度がありまして、地域的な電力不足のアンバランスをほとんど是正するのにはあまり大きな役目をなさぬ。つまり地域的なアンバランスは是認せざるを得ない状態のものだと思います。今のところではやむを得ないと思いますけれども、このことは非常に大きな影響を持つと思います。特に電力再編成のときには、それはそうでないようにするというのが、松永さんを中心として言明されたことなんですよ。そこで生活必需品であり、産業必需品である電気が、あるところには非常に多く、ある地域では非常に少くということでは、これは産業構造を変えるような意味にもなってくるので、非常に大きな問題だということだったと思います。従いまして今再編成論を言うのではありませんけれども、特に三十二年度に現われる地域的な電力需給のアンバランスというものは非常に深刻化が予想されると思いますから、これに対しまして、やはりこれは現象を追っかけるだけでなしに、融通問題についても設備や給電上の技術的な問題や九つの電気会社の経営の問題等々のむずかしい問題がありますけれども、それが少しでもアンバランスを是正するような方向に役立つような再吟味をされる必要が、やはり私はあるのではなかろうかと思いますので、注意を喚起しておくだけにとどめておきます。  それからもう一つ、三十二年度需給の対策として供給力を動員するために発電所の繰り上げ完成や、新しい追加着工が考えられているように聞いております。電気会社を中心としてもだいぶそういう希望が出ておるらしいのでございますけれども、それを認めるのなら、もうこれは年次計画であるとかそういうことをやっておらずに、早くやらぬことには三十二年度対策としては意味をなさないと思います。それをやるかやらないかというのは、行政的な措置と同時に、資金の裏づけの問題がまた非常に大きな問題になってくる。聞くところによると、九電力だけでも三十二年度を中心とする対策及び三十五年度にかけての修正計画を含めての追加、それを含めまして今年度中に少くとも従来の金のワクに対して百二、三十億ぐらいは新規にプラスしたい。それを、やはり今のところは手一ぱいになっておるから開銀融資あたりにたよるよりしようがなかろうという感じでおるそうでありますが、この結論は私はまだ無理かとも思いますけれども、三十二年度対策ならもうこれは待てぬのです。大体方針はどんなところですか。
  81. 岩武照彦

    ○岩武説明員 実は今の追加着工あるいは工事の促進というのは、どうも私ども検討してみますと、実は三十二年度の出力増加にはあまり役立たぬのであります。三十三年度ぐらいにはというのが実情でございます。そこで何年度になりましても、とにかく急ぐことは必要でございますから、御指摘のように、大体発電と変電、送電を合せて百二十億近い資金の追加を必要といたしますので、そのうち開発銀行の方に四十億円の追加を申し込んでおります。大体四十億まるまるいきますか、あるいは三十五億程度になるかわかりませんが、開銀の方でもことしは回収状況が非常によろしいので、当初の電力向けの予算は二十億をさらに相当ふやせるのではないかということで、大体の大きな数字の了承は得ております。金額は未決定でおるわけであります。
  82. 神田博

    神田委員長 この際総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員長小笠公韶君より小委員会の経過について中間報告をいたしたいとの申し出がありますのでこれを許します。小笠公韶君
  83. 小笠公韶

    ○小笠委員 石炭鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関し、総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員会の審議の経過並びに結果につき中間報告を申し上げます。  御承知のように、石炭鉱害復旧につきましては、現在特別鉱害復旧臨時措置法と臨時石炭鉱害復旧法の二つの法律が施行されております。しかして特別鉱害復旧臨時措置法に基く復旧はきわめて順調に進められ、明年五月の本法の有効期間内にほぼ当初目的の事業量を完了するものと思われます。しかしながら臨時石炭鉱害復旧法に基く一般鉱害の復旧は相当予定計画量を下回っております。すなわち一例を福岡県にとりますと、昭和三十年度末の復旧事業量の進捗率は一七%となっており、当初予定の四〇%を著しく下回っている現状であります。これは一般鉱害と認定せられておりながら、鉱業権者の所在が不明であったり、資力を喪失している等の原因によるものであります、従いまして、地元被害者を初め関係者は、現行臨時石炭鉱害復旧法の運用にいま一段の強い施策をとられたいとの陳情がありましたし、商工委員会におきましても鉱害問題の緊急性を認められましたので、六月三日本委員会に鉱害問題特別調査班を設け、鋭意本問題の調査を進めて参りました。調査の詳細は時間の関係もありますので、省略させていただきますが、種々調査の結果、本小委員会といたしましては、九月三日別紙のことき決議案を全会一致をもって作成いたしました。  なお鉱害問題調査の万全を期すため、さきに各地に派遣されました商工委員会の国政調査の際、九州地区に私を初め小百委員が参り、実情調査を進めましたが、現地におきましては予想以上に鉱害問題が深刻な社会問題となっているのであります。しかして、現地の関係者は本件の円満な解決に非常な努力を払っておりますが、本問題の解決は、これを単に炭鉱地帯の一現象としては根本的解決はむずかしく、国家的視野をもって処理する必要を痛感する次第であります。  以上をもって小委員会の中間報告を終りますが、委員各位の御賢察の上、本決議案をおとり下さるよう要望いたします。    鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関する件   政府は、本問題の重要性にかんがみ、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定をはかり、あわせて石炭鉱業の健全な発達に資するため左記事項について、次の通常国会を目途として必要な措置を講ずべきである。  一、鉱業権者の所在不明または無資力にかかる鉱害を、早急に復旧することとし、これに伴う地方公共団体の負担を軽減する等必要な措置を講ずること。    加害者不明の被害についても右に準じて措置すること。  二、鉱害家屋の復旧を促進することとし、これがため、国庫補助金を交付する等必要な財政措置を講ずること。  三、鉱害の適正かつ早急な復旧をはかるため、鉱業権者の鉱害賠償資金の確保について、適正な措置を講ずることとし、これに伴い税法上供託金及び鉱害賠償費引当金等の損金処理を容認すること。  四、鉱害紛争の円滑な処理を図るため、紛争処理に関する必要な措置を強化し、これに伴う十分な予算措置を講ずること。  五、鉱害紛争中、鉱害の認否に関するものが大部分を占める実情にかんがみ、その迅速的確な判定を行うため、鉱害測量に関する予算の充実をはかること。  六、特別鉱害復旧臨時措置法に基き認定された物件については、特にその復旧に遺憾なきを期すること。  右決議する。以上であります。
  84. 神田博

    神田委員長 お諮りいたします。ただいま御提案のありました鉱害賠償及び鉱害復旧制度に関する件につきましては、小委員長提案の通り委員会の決議とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際川野通商産業政務次官より発言を求められておりますのでこれを許します。
  86. 川野芳滿

    ○河野説明員 ただいま石炭鉱害賠償並びに石炭鉱害復旧に関する決議案が当委員会において満場一致可決されたのでございますが、政府といたしましては、ただいまの決議の趣旨を尊重いたしまして、できるだけ早目に決議の趣旨に沿うように努力いたしたい、かように考えておる次第でござ一います。一言ごあいさつを申し上げます。
  87. 神田博

    神田委員長 佐々木良作君の質疑を継続いたします。佐々木君。
  88. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 お許しを得まして先ほどに続いて質問を続行させていただきます。  先ほどの局長のお話によりますと、大体三十二年度供給力増加対策の一つとしての発電所の繰り上げ完成及び追加計画につきましての資金措置として四十億程度の開銀資金見通しも立ちかかっておるというお話でありました。それで十分であるかどうかということは、相当な疑問を残すわけでありますけれども、ともかくも三十二年度対策ということでありますので、早急に可能なる最大限の措置をされるように要望いたしまして次に移りたいと思います。  それから次の三十二年度対策といたしまして、先はど来同僚の多賀谷君やその他から問題になっておりましたけれども、力一ぱいに火力を動員するというお話がありまして、従いまして石炭が相当な量必要になってくる。きのう、おとといかのお話でありますと、局長のお話では、重油は、石油換算を含めまして約千二、三百万トン見当だと思います。これに対する見通しはまだはっきりしていなさそうでありますが、一昨日かの同僚のだれかの質問に対しまして、局長は、このうちの重油問題について、三十一年度のことしは大体四十万キロリッターぐらいであったろうと思うと答え、これに対して、石炭がもし窮屈だとするならば重油をもう少したいたらどうだろうかという話があったときの、どれくらいたけるかということについては、まだ十分調べていないというお話だったと思います。これは御承知だと思いますけれども能力的には今大体百四十万キロリッターぐらいたけると思います。すなわち、現在たいている四十万キロリッターに対して百万プラスすることは可能だと思います。しかしながら、この百万近くをプラスする場合には、御承知のようなこれまでの助燃等のほかにある程度専用的なたき方も必要になってくるのではないかと思います。そういうことを考慮しての——先ほど私は重油問題にも触れたわけなんでありますけれども、重油を含める、要するに、これだけの火力動員をするに当っての重油と石炭を含めての方針と、それから重油をふやすとするならば、これはひょっとすると消費規正か何かにひっかかるようなことになりはせんかと思うのですけれども、その辺の見解を簡単に伺いたいと思います。
  89. 岩武照彦

    ○岩武説明員 今の設備にフルにたけば百万キロ以上ふえることは事実でございます。詳細な数字は目下当らしておりますが、昨日申し上げましたように、大体今の発電所の構造——構造と申しますとおかしいのでありますが、タンクの方が、助燃とかスタート用に使うというのであまり持っておりませんので、百万キロ以上使うといたしましても、操業用タンクでないとおそらく重油の供給が相当不安定だろうと思います。その辺のことも状況を見ましてあるいは今後整理して参らなければならぬと思いますが、石炭の方は出炭量は相当ふえるのでございまするし、明年度もおそらく今のような考えでいきましても五十万キロリッター、少くとも発電用には重油を使うと思いますので、石炭の方に依存します量が十万トンから千百万トン程度になるのじゃないかと思っております。これは相当問題が多いだろうと思うのであります。そこで昨年も商工委員会でいろいろ御指摘がありましたが、毎年計画の方にはたくさん石炭を使うように組んでおいて現実にはあまり使わないじゃないかという問題がいつもあります。これは水の出方によりましても少し私の方もこまかい計算をしてみたいと思いますが、おそらく五%豊水が年間平均になりますれば、石炭消費量は百万トンくらい違うのじゃないか。最近は幸いにいたしまして大体この数年来五%の豊水が続いておりますので、いつも計画を百万トン以上下回って石炭を使っておるということで、石炭の方にも非常な不安な思いをさせておると思うが、明年はあるいは石炭消費量は平水ならこの程度、五%豊水ならこの程度というふうなことで考えてみたいと思っております。それに重油をどういうように使って参るかということを組み合せて検討したいと思っております。もちろんこれは平常の状態のことを考えておりますので、これ以上に渇水いたしますとか、あるいは石炭供給が冬場の航海の途絶あるいはその他の天災地変のようなことで途絶すれば、これはまたそれ相応の手段を講じなければいかぬ、こう思っております。
  90. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今のところそれくらいのことしか言えぬだろうと思いますけれども、重油問題は本気で考えられる必要があると思います。今岩武さんは能力云々と言われましたけれども、御承知のように、当初はともかく重油を使わなければならぬというので重油設備を強引に作らしたが、そのあと重油規制をやって今度はその設備をみなとらなければいかぬみたいな話になったが、とっておらなくてみなくっついておる。おそらく能力としては百四十万キロリッターはたけるはずだ。連合会も要請しているでしょう。ですからたこうと思えば四十万キロリッター程度でなく百四十万キロリッター程度たけるはずだ。そうすると石炭にすれば二百五十万トン程度だとすれば、今の石炭局の方のお話の千万トンくらいのもので石炭の方は何とかなる。そうするとだいぶ私は助かるだろうと思う。どちらがいいかということはどちらもいいわけですが、重油の場合にはややこしい法律もありますし、特に外貨上の措置もあり、他に問題がありますから、これはそう先の話ではなく三十二年度先でありますので、早急に一つ検討をされたい。特にお願いをしておきたいと思います。  それから今までのところ三十二年度の暫定的なというか、緊急の需給の問題点に触れたわけでありますが、最後の問題としては、今の電力計画の中心になっている五カ年計画自身の修正の問題であります。これは昨日のお話によりますと、まだ五カ年計画の修正の内容については必ずしも完成していないように聞いております。しかし先ほどの同僚小笠君の質問で、大東さんでしかがお答えになったような形でまだ経済計画自身は修正するかしないかもきまっていないような状態だと聞きますけれども、少くとも電力計画についてはもう修正しなければならぬことは既定の事実で、おそらく内容を今こまかくはじき中だと思います。きのう大体局長からのお話をもとにして結論を伺ってみますと、三十二年度の次には三十四年度に一番大きな穴があきそうだ、従って三十五、六年に対する計画が大幅に上回らなければならぬ。きのうのお話によりますと、従来までの五カ年計画は大体五カ年で、つまり三十五年度末でプラス設備にして六百万キロ程度、それを今度は大体九百万キロ程度ふやさなければならぬのではないかというお話だったと思います。そのことは、現在の既設の設備と関連してみる場合には、現在の設備は大体千六百八十万キロくらいでしょう。千六百八十万キロくらいに対して、三十五年度設備が大体二千万キロ程度になる計画だったと思いますけれども、そんなものですか。
  91. 岩武照彦

    ○岩武説明員 こういうふうに御了解願いたいと思います。三十一年三月末の年間総出力が、自家発を含めて千五百五十一万キロ、それが本年度末になりまして、百十一万キロ程度ふえますので、千六百六十万キロ程度になる予定でございます。そのうち自家発は二百三十三万キロ程度になります。残りの分は九電力のほか電発等を含めております。そういたしましまして、さらにこれに対して向う四カ年間に七百万キロということになりますと、大体二千二百万キロ程度ということになるわけであります。もっともこれは御承知のようにあと四カ年間に、昨日は三百万キロ程度と申し上げておきましたが、三百万キロ程度追加いたしまして、その中であるいは火力の老朽分をこの際取りかえる措置を行えるかもしれません。そうすると若干減少するかもしれません。
  92. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 これはまだでき上っていない数字を前提にしての話でありますので、今論議はむずかしいのだと思います。ただ私は非常に今これを気にするのは、最初の五カ年計画でありますと、これはまだ日本の水力資源なりあるいはエネルギー総合対策の上では相当余力を残した計画であったはずです。ところが今修正されようとしている三十五年あるいは六年に完成する計画を見る場合には、日本の国内資源というのはものについて最終計画というのは言い過ぎだと思いますけれども、これまでのお話、先ほどの大來さんあたりのお話によりますと、十五年も二十年も先だろうと予測されておった事態がこの四、五年のうちにくるということになるわけであります。御承知のように今のお話を承わりましても、三十五年三月末におきまして設備にして約二千万キロ強でしょう。その中で火力がこれまでのやつを入れますと八苦万キロ有余になる。古くなりますからやめるのも出てくるのでありましょうけれども、少くとも八百万キロ近くに火力がなってくる。水力も千一百万キロをこえてくるような格好になってくる。事業量だけ見ると、そういうふうになってくると思う。そのことは水力の点から見ましても、火力の燃料から見ましても、日本の今の経済常識で考えられるほとんど最終的のものに近くなってこざるを得ぬと私は思う。従いまして、これを今事業者から言ってくるからとか何とかいう格好で、ちょこちょこと寄せたそろばんをされると、日本の将来のエネルギー対策に対して、まことに重大なる問題を残すことになりはせぬかと思うのです。早急に計画は決定せねばならぬけれども、この計画というのはこれまで年々作られておったような五カ年計画などとは少し質の変った日本のエネルギー政策としての重要性を持ってくると思う。従ってたとえば電力供給力の水火力の構成比率なり、あるいは特に今度は事業面から見て、どの辺までの尖頭負荷の電気を、たとえば調整用一の水力で持たせるとか、従来のような補給火力で持たせるとか、その基礎ロードを大体今の新鋭火力を中心にするとか、そしてこの新鋭火力の分に今後は原子力がだんだんとかわってくることになるとか、そういう根本的な供給力の構成についても十分その考慮をされなければならないのではないか。少しこれは言い過ぎかもしれないけれども、必要に応じて算出を合計され過ぎるような格好で計画が立てられつつあるのではなかろうかと、これはロード・ベースならけっこうですけれども、そういう心配をわれわれは非常にしておるわけです。従いまして、この辺で特に慎重を期せられたいと思うわけでありますが、この計画を立てられる場合に、——少し専門的になって恐縮でありますが、常識として大体の構造を伺いたいのですが、今後の五カ年計画の中で作られる水力の大部分は調整用の水力だろうと思います。そうするとこれらを大体尖頭用のところへ乗っけていく。そうして今ここに計画されておる火力はほとんど常時用の火力だろうと思う。そういう構造になつておるのだろうと思いますけれども、この辺の見当だけ、どんな考え方なのですか。
  93. 岩武照彦

    ○岩武説明員 開発方式の問題が、今後の問題としては一番中心になると思います。お話がありましたように、急場の需用の不定に追われて百年の悔いを残さぬようにというお話だと思います。そういう心がけでやりたいと思っております。一応の考えといたしましては、やはり御指摘のように新鋭火力、これは輸入品と限りませんが、国産にも相当いいものがたくさんございますので、これをやはりベース・ロードに入れて参る。他方従来からの自流式の発電所も、これは五、六万キロになると思います。これがどうしても今までの開発上の問題から、今さらどうも改造できません。かりに発電所を建設したものでありますれば、上流地点において貯水池式あるいは調整能力を持たして、できるだけ下流の自流式を負荷に合せてさせるようにいたしたいと考えております。  それから貯水池の問題でありますが、これは実は現在までの水力調査の結果もございまするが、さらに最近の新鋭火力と貯水池式発電所の組み合せという新しい見地から、もう一ぺん全国の候補地点を洗い直しております。まだはっきり結論が出ませんが、大体今の考えでは、おそらく今後なお建設できる野水池式の個所が六、七十あるのではないかと考えております。もつとも為れは経済性の問題としましては、新鋭火力の発電原価ともにらみ合せに考えておりますが、その辺の貯水池式発電を自流式の穴を埋めるのに使うという方式はこれはやむを得ぬと思います。そういうふうに持っていきたいと思います。  なおこの自流式でございますが、これもやはり川の地点によりましては流れ込み式以外の方式もだいぶございます。磁力が小さくても急場の間に合うような地点も相当残っております。れは間を置きまして、適当な時期にやって参ったらどうかと思っております。  それからなお先ほど原子力発電のお話もございましたが、その間に至ります問題として燃料に重油を使うという問題はともかくといたしまして、あるいは若干の揚水式発電とかいうような問題も考えて参らなければならぬと思います。地熱や潮流の問題はなかなか簡単に日本では普及ができないと思いますが、揚水式発電は比較的格好な地点も日本では多いかと思いますので、今後この十カ年の間はそういう問題を相当取り上げてくるのではなかろうかと思っております。
  94. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今のような考え方で修正五カ年計画が検討される場合には、いろいろな重要な問題が出てくると思いますが、特に私は次のような諸点に気をつけて考えてもらいたいと思います。  第一は、今のところそういう考えでいく限り、一番問題は常時火力が中心になりますから、石炭を中心とする燃料が非常にふえてくるということ、今のままの計画でいきましても、私は算術はよくわかりませんけれども、新鋭火力は少くともロード・フアクターが六〇%以上のものだと思いますし、その辺で見ましても、少くとも二千万トンくらいは年に要ることになるのではないかと思います。これは十年も先の話ではなくて、今は三十五年度ですよ。三十五年度に対して今の電力計画が進められる限り、あなたができればいいのですけれども、今度は鉱山局長さんも一緒になってやってもらわなければならぬと思う。少くとも二千万トン程度の換算石炭がおそらく三十五年度には必要になってくる計画であること、従ってこの面が非常に大きな問題を持つこと。  第二番目には、その場合の調整川の水力というのは、今電源会社が中心になって作っているようなものがおもになってくると思いますけれども、これはまだよくわかりませんけれども、現在の地点から見まして調整用の水力は私はある場合には非常に少な過ぎる計画になる可能性があり得ると思う。今の計画だけ見ますと、この調整用の水力は、先ほどの新しくできる全火力調整をする任務を持つ、そうする場合に地域的な問題が非常に残されてくることになる。トータルとしてはその全火力に対しまして、二千万トンたく火力に対して、今のような計画の水力で、なるほどロード・フアクターから見てはぎりぎりくらいに合う勘定になるということは、火力がどこに作られるかという問題と、それから調整用の、今のような水力地点がどこにあるかということによって、これはとても今の合計の数字だけでは問に合いっこないと思う。その場合に、特に必要になってくるのは、おそらくまた送電連係という問題でありましょうけれども、しかも送電連係だけではとても行い切れない地域的な問題が出てくると思います。従って、二番目には調整用水力が今の計画火力がそれくらいでありまする場合には少な過ぎるのじゃなかろうかということと、それから三番目には、その水力と火力との組み合せをうまく使うための送電連係その他地域的配分について特段の考慮を払われぬと非常にアンバランスな妙な計画になり得る危険性を持っていること、特にその三点について考慮をわずらわしておきたいと思います。繰り返して言うようでありますけれども、現在の日本の資源分布から見まして、二千万キロの設備を運用して、しかもそれから出てくる電気がほとんど全部使われてほとんどマージンを持たない計画であるとすれば、まことに最終計画に近いものでありまするがゆえに、ほんとうにそういう意味で慎重な考え方で計画を進めてもらいたいと思います。しかもそのことは、もう十年先とか十五年先みたいな話でなくて、目の先にぶら下った計画でありまするがために、これは質問はやめておきますけれども一つ石炭局や鉱山局の方とも十分御相談なすって計画を進めてもらいたいと思います。  最後に一つ念を押してだけおきたいと思いますが、今の計画を進めるについての今度は三十二年度予算の中で考えなければならぬ資金繰り計画資金計画、大体今のような方針でもって、穴だといわれる三十四年度を迎えるためにはどうしても三十二年度資金繰りに対しまして相当思い切った対策を立てられない限り、少くとも三十一年度に考えられておったような考え方ではほとんど私は困難に近くなってくる、不可能に近くなってくると思います。聞くところによりますと、電力会社分で、その三十二年度計画として開銀資金を四百億程度は必要だという要求を出しておるそうであります。私はその四百億という数字が完全に見合うものかどうかよくわかりません。おそらくそれに近い開銀融資的な措置が裏づけにならなければ、現在の九電力のこの修正中の計画を遂行することが困難になるのではないかという心配をまず持っております。それからもう一つは、電源開発会社の方の計画でありまするが、これも最近聞くところによりますと三十二年度としての資金が五百四十億ですか、五百四十億くらい要るうちで、特に財政投融資として必要だというのが四百七十五億というふうな要請が出ておるやに聞いております。しかも四百七十五億のうち、金利の問題から少くとも出資が二百億程度でなければならぬ。そうしますと融資が二戸七十五億ということになると思います。けれども、出資を二百億とし、融資を二百七十五億としての四百七十五億という財政投融資を要求しておるように聞いております。このこと一は三十一年度計画と比べました場合に一は、量的に、質的にこれは相当大幅なものだろうと思います。特にこれと今一の九電力の四百億を要求する開銀資金というものは、これまで——これまでと言ったらおかしいのですけれども大蔵省との折衝のやり方においては、とても確保できがたいものではなかろうかと思う。従って局長は万遺憾なかろうと思いますけれども、三十二年度に穴のあきかける電力需給状態と、それから三十四年度に大穴があきかけておること、そしてその辺を補うためにはほとんど日本のエネルギー動員の最終計画的なところまでもう進みっつあること、その辺を十分に承知されまして当局内といいまするか、それに対して十分理解を深められて、ほんとうに特段の措置がとられるような段取りに一つお運びを願いたいと思います。私はこの動きにつきましては正式の委員会あるいは懇談会でも何でもけっこうでありますが、もうことしの暮れに迫っている問題でありますので、適時適当な方法でわれわれの方にも御連絡を願いながら進めてもらいたいと思う。これはもう質問でなくて要望にとどめておきますけれども、特にお願いを申し上げておきます。  なお委員長さん、長いこと時間をとって恐縮であったわけでありますが、実は私が最初申し上げましたように合作られつつある経済計画と、それから経済計画の閣内における理解の仕方とそれから役所を中心とする理解の仕方とでは、特に一般民間の行政指導をする場合に相当差を持ってきっっあるのが事実だと思います。そのことのために非常に大きな矛盾ができつつあるのではないか。従いましてこの辺を中心に、私はもう少し実は大臣と事務難局との両方からつき合せて聞きたかったのでありますけれどもそのチャンスが得られなかったことが残念でありますので、これはまたの機会に譲りたいと思います。時間をまことにたくさんとりましたが、御諒恕を願います。
  95. 神田博

    神田委員長 残余の質疑は次回の委員会にこれを許すことにいたします。  次会は追って公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会