○大來
説明員 ただいまの松平先生の御
質問に対して
お答え申し上げます。
昨日申し上げましたように、確かに最近の動向は五カ年
計画に
考えておりましたテンポを上回っております。ただ、ただいまの、三十一
年度の四−八月の対前年増加來をそのまま五カ年
計画の年率に比較いたしますと、少し事態が大きく出過ぎるんではないか。長期的に見ますれば、一時的に非常に
経済が進む場合もございますし、あまり進まない場合もございます。この表にもございますように、たとえば
鉱工業の
生産指数がことしの四−八月は対前年二〇%増となっておりますが、
昭和二十九
年度は対前年三・四%しかふえておりません。これは世界的に見ましても、やはり昨日お配りしました
資料に、たとえば世界の貿易数量指数というようなものが、一九五、五年は対前年八%増加でございますが、ことしの第一・
四半期には対前年一%しかふえておりません。そういうふうに、
経済の動きには波がございますので、一時の動きで長期を判断することはやはりまた危険な面があるんじゃないかと
考えておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、長期的に見ましても、昨日申し上げましたように、年率五%に相応した
鉱工業生産の伸びというものは、幾分低きに過ぎたのではないか。私
どもも今事務的にいろいろな方面から検討を加えておりますが、幾分低きに過ぎたのではないか、もちろん今後の経過を見なければわかりませんけれ
ども、大体そう
考えておるわけでございます。
一つには、こうなっております原因といたしまして、現在のこの五カ年
計画が
昭和三十年の夏ごろまで、比較的
日本の
経済も苦境でありました時代に用意された、そのためにそのときの
情勢にかなり
計画当局も、それから一般の
委員の方々も
影響を受けていたように見えるわけでございます。また反面からいえば、現在の非常なブームで将来をそのまま伸ばすということも、今度は逆の、拡大された誤まりを犯すおそれがあるのではないか。私
どもの
考えといたしましては、この
経済計画も昨年初めて正式のものが一応できたのでございますが、しかしこういう
計画の
方法論なり理論につきましては、諸外国でも国内でも研究がございましているいろ進歩しつつある段階でもございます。またデータが、そういう
計画という目的で統計その他が十分整備されていないという点もございまして、こういう点を
一つ一つ穴を埋めていくことによりまして、もし今後改訂が行われるとしましたら、さらにそういうものを改善していく必要があると
考えております。ただ
計画と実績が非常に狂う、しかもそれが短期的に非常に狂ったから、
計画の作業自体は全然無意義ではないかというようなお言葉もありましたが、これはやはり
経済の先行きの姿を、文句ではなくて数字で描いてみる、それから国民総
生産、
鉱工業生産あるいは
エネルギー需要、輸送
需要あるいは貿易等の
関係を数字的に描いてみるということは、
経済の各部門間の関連を明らかにするということで、対策の
方向を示す働きがあるのじゃないか。そういう意味でいろいろな意義があるのではないか。たとえばいろいろいいことをたくさん
考えましても、それを全体やれるかどうかということはやはり数字的に、予僚の面でも結局予算の
ワクというものがございますが、そういう意味で数字を入れてみるということに一っの大きな意義があるのじゃないか。さらに今後いろいろ改良いたしていきます場合の、大臣も昨日
お答えしましたように、ものさしが全然ないよりはあった方がいろいろ物事の判断が具体的になる、そういうふうに
考えておるわけであります。