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1956-06-02 第24回国会 衆議院 商工委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月二日(土曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 鹿野 彦吉君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿佐美廣治君       島村 一郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    田中 角榮君       田中 龍夫君    野田 武夫君       森山 欽司君    加藤 清二君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       帆足  計君    松平 忠久君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務         官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務         官         (企業局長)  徳永 久次君         通商産業事務         官         (繊維局長)  小室 恒夫君         通商産業事務         官         (石炭局長)  齋藤 正年君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  各小委員長より中間報告聴取  木材資源利用合理化に関する件  外貨割当、外資及び貿易に関する件  請願審査小委員長より報告聴取  請 願   一 中国における日本見本市開催請願(柳    田秀一紹介)(第六〇号)   二 同(大村清一紹介)(第六一号)   三 同(田中彰治紹介)(第七六号)   四 同(白浜仁吉紹介)(第一一五号)   五 同(坂田道太紹介)(第一一六号)   六 同(池田正之輔君紹介)(第一三〇号)   七 商工組合中央金距松本出張所設趾請願    (原茂紹介)(第一〇九号)   八 同(下平正一紹介)(第一一〇号)   九 八ケ岳い黄採掘反対に関する請願原茂    君紹介)(第一一二号)   一〇 同(下平正一紹介)(第一一三号)   一一 木造船中共輸出解禁に関する請願    (白浜仁吉紹介)(第一一四号)   一二 中国における日本見本市開催請願(    西村榮一紹介)(第一四二号)   一三 同(池田清志紹介)(第二〇四号)   一四 遠別町の地下資源開発促進に関する請    願(芳賀貢紹介)(第二〇三号)   一五 商工組合中央金庫松本出張所設置の請    願(松平忠久紹介)(第二三五号)   一六 石油資源総合開発五箇年計圃実施に関    する請願石田宥全君紹介)(第三四二    号)   一七 中小企業信用保険全額免除に関する    請願神田博君外四名紹介)(第三四三    号)   一八 只見川の電源開発工事促進等に関する    請願助川良平君外六名紹介)(第三七    五号)   一九 新馬上金山鉱害に関する請願多賀    谷真稔紹介)(第三七六号)   二〇 電気事業公営復元に関する請願(山    木猛夫紹介)(第四六九号)   二一 石油資源開発株式会社への国家投資に    関する請願池田清志紹介)(第四九九    号)   二二 陶磁器燃料用重油対策確立に関する請    願(早稻田柳右エ門紹介)(第五一八    号)   二三 地域差電気料金設定等に関する請願    (松平忠久紹介)(第五四〇号)   二四 淡路四国間に架室送電線架設請願    (山下榮二紹介)(第五七一号)   二五 最上特定地域総合開発促進に関する請    願(松澤雄藏紹介)(第五九八号)   二六 淡路四国澗架空送電線架設請願    (山口丈太郎紹介)(第六〇二号)   二七 同(五島虎雄紹介)(第六四二号)   二八 繊維産業臨時設備調整法案に関する請    願(田中利勝紹介)(第七二三号)   二九 地籍調査促進に関する請願池田清志    君紹介)(第八〇三号)   三〇 中国における日本見本市開催請願(    大矢省三紹介)(第九〇七号)   三一 木造船中共輸出解禁に関する請願    (山口丈太郎紹介)(第九〇九号)   三二 中国における日本見本市開催請願(    花村四郎君外二名紹介)(第九八八号)   三三 中小企業金融公庫仙台支所設置請願    (菊地養輔君紹介)(第一〇六一号)   三四 同(菊地養輔君紹介)(第一一四〇    号)   三五 電気料金の引下げに関する請願(渡邊    良夫君外四十名紹介)(第一一四一号)   三六 在日朝鮮人信用組合育成強化に関す    る請願田中武夫紹介)(第一一四二    号)   三七 同(五島虎雄紹介)(第一一七四    号)   三八 繊維工業設備臨時措概法制定反対に関    する請願赤松勇紹介)(第一三一七    号)   三九 北奥羽地域総合開発推進に関する請願    (山本猛夫紹介)(第一三二三号)   四〇 北上特定地域等総合開発推進に関する    請願山本猛夫紹介)(第一三二四号)   四一 中小企業金融公庫仙台支所設置請願    (菊地養輔君紹介)(第一三三五号)   四二 丸物百貨店池袋進出反対に関する請    願(島村一郎紹介)(第一三九七号)   四三 ダム新設に伴う下流増受益者負担の法    制化反対に関する請願山下春江君外三名    紹介)(第一五七一号)   四四 韓国のり輸入反対に関する請願(吉    川兼光紹介)(第一八〇五号)   四五 繊維工業設備臨時措置法制定反対に関    する請願加藤清二紹介)(第一八五四    号)   四六 同(横山利秋紹介)(第一八五五    号)   四七 同(春日一幸紹介)(第一八八二    号)   四八 同(小笠原三九郎君紹介)(第一九二    〇号)   四九 山形県の石油及び可燃性天然ガス開発    促進に関する請願外一件(西村力弥君紹    介)(第一八九四号)   五〇 火災保険協同組合法制化に関する請    願(永山忠則紹介)    (第一九二二号)   五一 繊維工業設備臨時措置法制定反対に関    する請願赤松勇紹介)(第一九三一    号)   五二 受電設備近代化事業団設置請願(赤    城宗徳紹介)(第一九八〇号)   五三 繊維工業設備臨時措置法制定反対に関    する請願帆足計紹介)(第二〇五八    号)   五四 同(横山利秋紹介)(第二〇五九    号)   五五 同(平岡忠次郎紹介)(第二〇六〇    号)   五六 同(春日一幸紹介)(第二〇六一    号)   五七 同(加藤清二紹介)(第二〇六二    号)   五八 同(田中武夫紹介)(第二〇六三    号)   五九 同(永井勝次郎紹介)(第二〇六四    号)   六〇 同(多賀谷真稔紹介)(第二〇六五    号)   六一 同(松原喜之次紹介)(第二〇六六    号)   六二 同(伊藤好道紹介)(第二〇六七    号)   六三 同(勝間田清一紹介)(第二〇六八    号)   六四 同(正木清紹介)(第二〇六九号)   六五 同(赤松勇紹介)(第二〇七〇号)   六六 同(淺沼稻次郎紹介)(第二〇七    一号)   六七 同(中村高一君紹介)(第二〇七二    号)   六八 同(井上良二紹介)(第二〇七三    号)   六九 同(横井太郎紹介)(第二〇九六    号)   七〇 同(早稻田柳右エ門紹介)(第二〇    九七号)   七一 同(加藤鐐五郎紹介)(第二〇九八    号)   七二 木造船中共輸出解禁に関する請願    (原捨思君紹介)(第二一三六号)   七三 ダム新設に伴う下流増受益者負担の法    制化反対に関する請願内海安吉紹介)    (第二一四八号)   七四 繊維工業設備臨時措置法制定反対等に    関する請願五島虎雄紹介)(第二二〇    一号)   七五 中国における日本見本市開催請願(    中村高一君紹介)(第二二五七号)   七六 中小企業資金融資に関する請願(中    崎敏紹介)(第二三一一号)   七七 鉱害賠償及び鉱害復旧制度強化に関す    る請願伊藤卯四郎紹介)(第二三三一    号)   七八 同(淵上房太郎紹介)(第二四五六    号)   七九 外国ラミー委託加工貿易禁止に関す    る請願瀬戸山三男紹介)(第二四五七    号)   八〇 中小企業における信用保険制度の運用    に関する請願森三樹二君紹介)(第二四    八〇号)   八一 重油消費規制緩和に関する請願(森    三樹二君紹介)(第二五〇四号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  この際貿易振興に関する小委員長永井勝次郎君及び日本経済総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員長笹本一雄君、中小企業に関する小委員長中崎敏君、木材利用合理化に関する小委員長鹿野彦吉君総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員長代理小平久雄君、重化学工業に関する小委員長小平久雄君より、それぞれ小委員会経過について中間報告をいたしたいとの申し出があります。この際順次これを許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 貿易振興に関する小委員会における審議経過について概略報告をいたします。  本委員会は、昨年十二月二十一日に設置され、本年三月三十三日、二月三十四日及び二月二十五日の三日間にわた一り会議を開きまして、わが国貿易現状に関し説明を聴取し、また特に米国における日本繊維製品輸入制限問題に関する対策について政府委員質疑を行うとともに、九名の参考人を招き、その意見を聞き、質疑を行いました。  審議要点を簡単に申し上げますと、まず貿易現状につきましては、繊維製品輸出状況、諸外国別一般貿易状況及び外交の面から見た貿易上の問題点説明があり、これに対し繊維製品及び機械輸出振興対策並びに外貨割当方式改善等に関しまして質疑を行なったのであります。  次に米国における日本綿製品輸入制限問題につきましては、繊維業者及び貿易業者を代表する各参考人より、繊維工業界状況と対米輸出現況推移につきましての説明とともに、今回の日本綿製品輸入制限運動は、もはや業者の手で解決することは不可能であって、政府施策を確立し、強力なる外交折衝によって業界の窮状を打開していただきたい旨の意見の開陳がございました。引き続き政府の所信をただしましたところ、日米政府間の交渉を行うとともに、現在米国大衆に訴える運動を起しつつあり、これに対して大使館、領事館、海外貿易振興会トレードセンター商工会議所が協力して輸入制限を緩和すべく努力中である、さらに国内的には、わが国繊維工業合理化のための根本的な施策を樹立し、製品輸出正常化に努めたいとの答弁がありました。なお本件については、委員会としては今後とも十分その推移を監視し、日本側関係機関を督励するとともに、米国側の態度を見守りたいと思います。  以上簡単ながら御報告を終ります。(拍手)
  4. 神田博

    神田委員長 次に笹本一雄君。
  5. 笹本一雄

    笹本委員 日本経済総合的施策並びに国土総合開発に関する小委員会調査はいまだ終了しておりませんが、現在までの経過について簡単に御報告申し上げます。  小委員会は、二月十七日、三月五日及び十七日と三回開会いたしました。日本経済総合的施策に関しましては、経済自立五カ年計画昭和三十一年度経済計画につきまして、計画の大綱及び内容の詳細について政府委員より説明を聴取し、質疑を行いました。この計画は、政府経済諸政策の根幹となるものでありまして、ひいてはわが国経済発展の将来をトするものでありますから、各委員よりきわめて熱心な質疑検討が重ねられたのであります。質疑内容を通じまして、経済自立五カ年計画は、三十五年度における一応の目標を確定したものであって、計画目標自体についてなお検討を要するのはもちろんでありますが、今後は五カ年計画実行に力を注ぐべき段階に来ているから、この部門別計画中小企業問題、国際的観点からの計画地域計画との関連、計画推進のための諸方策等諸点をさらに掘り下げて整備して、計画に一そう具体性を持たせる必要があることが明らかになったのであります。  次に、国土総合開発計画に関しましては、国土総合開発計画経過及び概要について、政府委員より説明を聴取して、質疑を行いました。ここで経済企画庁は強力な調整力をもって、名実とも総合性を持った開発計画を推進すべきであるという点を中心に真摯な討議が行われたのであります。審議の詳細は会議録によって御参照願うことといたしまして省略いたします。  なお小委員会調査は、会期中に終了する見込みがないので、引き続き閉会中も続行いたしたいと思いますから、委員長におかれてもさようお取り計らいを願いたいと思います。  以上御報告申し上げます。
  6. 神田博

    神田委員長 次は田中武夫君。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 中崎委員長にかわりまして、中小企業に関する小委員会における審議の過程について、概略報告いたします。  本小委員会は、昭和三十年十二月二十一日に設置され、本年三月三十一日及び四月十四日の二回にわたり会議を開きまして、わが国中小企業現状について政府委員より説明を聴取するとともに、中小企業対策、特に百貨店問題及び中小企業金融に関し、政府委員及び参考人質疑を行いました。その審議要点を簡単に申し上げますと、まず商業部門におきましては、百貨店設備拡張、また親企業下請業者間の競争を利用して、取引を不当に壟断ずる傾向等の問題が呈示されましたが、これらについては今会期において百貨店法及び下請代金支払遅延等防止法が成立して解決方向に向ったことは御承知通りであります。  次に中小企業金融につきましては、主として金利引き下げ対策について質疑を行なったのでありますが、政府委員及び商工中金側から、収支の許す限り金利引き下げ実行中であり、なお商工中金資金化中小企業金融公庫業務内容等改善を加えて中小企業金融円滑化をはかりたいとの答弁が、ございました。  以上簡単ながら御報告を終ります。
  8. 神田博

  9. 鹿野彦吉

    鹿野委員 木材利用合理化に関する小委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  当小委員会におまきしては、二月二十四日北海道風倒木処理状況木材利用合理化施策推進状況につきまして関係政府委員よりそれぞれ説明を聴取いたし、特に木材資源利用合理化推進本部専務理事田中申上君、六月一日には日本瓦斯協会会長本田弘敏君、山陽パルプ社長難波経一君などを参考人として招致し、長時間にわたりそれぞれ貴重な意見を聴取いたしますとともに、熱心なる質疑が行われたのであります。  審議の結果、六月一日の小委員会におきまして野田武夫君より、お手元にお配りいたしてありますような決議案が提出せられました。その趣旨を申し上げますと、敗戦によって狭い国土にあり余るほどの人口をかかえ、資源の不足に悩むところのわが日本国経済自立を達成する上において、木材資源利用合理化こそ不可欠無二の重大問題であると考えるのでございますが、その施策が遅々して進展していないことはまことに遺憾に存ずるのであります。なかんずく都市ガス拡充などは、付加価値の低い薪炭林を節約して付加価値の高い方向木材を活用するという意味において、最も必要な施策でありますが、こうした事業におきましても公益事業としてのワクの面では電気事業などと同じようなワクがはめられておるにかかわらず、税制資金金利などの面においては、何らの特別措置が与えられておらない事情にあります。そのために大衆の生活にとって最も大きな影響のありますガス料金の値上げなども予想せられるというような実情にあるのでございます。ガス事業者もその事業新設拡充などについては苦慮いたしておるものでございますけれども、これらのガス利用を希望される方々に対しましても十分なる満足が与えられておらないというような実情にあるわけでございます。このような実情にかんがみまして、さきに政府閣議決定いたしました木材利用合理化方策を単なる机上プランにとどまらず、真に日本経済自立の根本なることを認識し、その具体的施策を強力に推進せしめる必要があると考えられるわけでございます。  次にこの案文を朗読いたします。    木材資源利用合理化に関する件   わが国木材資源利用合理化施策は、日本経済自立達成上、不可欠の要件であるにも拘らず、その施策が遅々として進展していない実情にあることは誠に遺憾である。   よつて政府は、先に閣議決定をみた「木材資源利用合理化方策」を速かに実施するとともに、次の諸点について有効適切な措置を講ずべきである。  一、木材資源利用合理化方策を強力に推進し、これに必要な予算の増額をはかること。  二、都市ガス施設拡充について、特に税制資金金利等の面において電気事業者に対する諸措置にならい、国家的優遇措置を講ずること。   右決議する。  当小委員会におきましてはこれを全会一致をもって採択いたした次第でございます。何とぞ当委員会におきまして決議として採択されるよう希望いたす次第でございます。  なお当小委員会全数意見として、木材利用合理化に関する小委員会休会中も引き続き存置して審査を進めたいとの要求がありますので、委員長におかれましては適当なる措置をおとりになられますようお願いいたします。  以上をもって当小委員長報告を終ります。
  10. 神田博

    神田委員長 次に小平久雄君。
  11. 小平久雄

    小平(久)委員 まず総合燃料対策及び地下資源に関する小委員会経過並びに結果を小笠小委員長にかわりまして御報告申し上げます。  当小委員会は三月五日、第二十二回国会において成立をいたしました石油資源開発株式会社法に基いて設立された石油資源開発株式会社設立後の状況並びに事業計画について、同社社長三村起一君を参考人として招致し、説明を聴取するとともに、第二十二回国会において成立した石炭鉱業合理化臨時措置法に基いて設立された石炭鉱業整備事業団設立状況業務の概況、業務方法書内容、今後の問題点等について、同事業団理事長田口良明君より説明を聴取しました。その後は委員会との関係もありましたので、小委員会を開会いたしませんでした。  以上御報告を申し上げます。  次に重化学工業小委員会審議経過並びに結果につき御報告申し上げます。  重化学工業小委員会は、昨年十二月二十一日発足し、まず打合会を開き、審議日程等を打ち合せました結果、とりあえず重化学工業一般情勢についての実情を聴取いたすこととし、二月二十二日、関係政府委員より石油化学石炭化学工業ソーダ工業鉄鋼業機械工業等について説明を聴取いたしました。その後小委員各位と相談の結果、審議の成果を期するために当面最も問題のある業種を限定して、審査を進めることとし、第一に機械工、業及び鉄鋼業に関する調査を行いました。そのため二月二十五日、日本鉄鋼連盟専務理事岡村武君、日本機械工業連合会会長倉田主税君、及び日本商工会議所理事大塚肇君を参考人として招致して意見を聴取いたしましたが、機械工業はすでに商工委員会機械工業振興臨時措置法案が付託されている点を考慮して、さらに審査案件をしぼることとし、鉄鋼業を当面の審査の対象として、三月十日より五月三十一日まで四回にわたり審議を行いました。  御承知のごとく、鉄鋼業わが国経済にとって最も重要な基礎産業であり、鉄鋼業の健全な発展わが国経済にとって絶対条件であります。しかしながら最近の鉄鋼業実情は、表面好況を呈しておりますものの、幾多の難問題を内包しているのであります。すなわち最近の鉄鋼需要の逼迫及びこれに伴う鉄鋼価格の異常な高騰傾向等は一絶対に等無視できないものがあります。  小委員会におきましては、このような現象の発生した要因と解決方法について慎重に検討を行いました。これがため海外原料に依存するわが国鉄鋼業生産方式原料入手方法海外資源及び国内資源開発実情等について、きわめて熱心な審査を行いましたが、問題点が非常に多岐複雑なため、本日に至るも結論を出すに至っていないのであります。  以上が報告概要であり、その詳細は後刻一応の結論に達したとき、あらためて報告することといたします。  なお小委員大多数の意見として、重化学工業小委員会は、休会中も引き続き審査を進める必要があるから、小委員会を存置したいとの強い要求がありますので、委員長におかれまして適当な取扱いを願いたいと存じます。以上をもって重化学工業小委員会報告といたします。
  12. 神田博

    神田委員長 この際お諮りいたします。ただいま木材利用合理化に関する小委員長鹿野彦吉君より御提案のありました木材資源利用合理化に関する決議案につきましては、小委員長提案通り委員会決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際川野通商産業政務次官より発言を求められておりますのでこれを許します。
  14. 川野芳滿

    川野政府委員 木材資源利用合理化に関しまして、ただいま決議が満場一致可決されたのでありますが、その決議趣旨はまことにごもっともな趣旨と考えまして、政府といたしましても決議趣旨の線に沿うように全力をあげて努力いたしたいと存ずる次第であります。
  15. 神田博

    神田委員長 これより請願審査に入ります。まず請願審査小委員長報告を求めます。請願審査小委員長小平久雄君。
  16. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま議題となりました請願八十一件につきまして、小委員会審査経過並びに結果について、簡単に御報告を申し上げます。本日公報に掲載いたしました請願日程八十一件の内容は、電気鉱業中小企業中共貿易繊維工業総合開発等各般にわたるものでありますが、本小委員会において十分検討の結果、次の通り決定いたした次第であります。すなわち請願日程中第一ないし第八、第十一ないし第十五、第十八ないし第二十、第二十二ないし第二十七、第二十九ないし第三十五、第三十九ないし第四十一、第四十九、第五十、第七十二、第七十五及び第七十七ないし第八十の以上四十件の各請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決しました。  なお日程第三十六、第三十七の両請願は、委員会の所管にいささか疑義があるようでありますので、本日はこれが採否を留保し、その他の請願につきましては、すでにその趣旨の達成されたもの及び今後慎重に検討を要すべきものと認め、採決を留保いたしました。  以上簡単でありますが、御報告申し上げます。
  17. 神田博

    神田委員長 これより採決いたします。ただいま小委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なおただいま議決いたしました請願委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
  20. 神田博

    神田委員長 この際閉会審査申し出の件につきましてお諮りいたします。今会期中本委員会は種々調査を進めて参りましたが、いまだ未解決の問題が山積いたしております。従いましてこの際閉会中も必要に応じて調査を進めることのできますよう、理事会の申し合せによりまして日本経済の総合的基本施策に関する件、国土の総合的利用並びに開発等の基本施策に関する件、電気及びガスに関する件、鉱業鉄鋼業繊維工業、化学工業、機械工業その他一般鉱工業及び特許に関する件、通商に関する件、中小企業に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件、以上の各件につきまして、議長に閉会審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託されましたならば、これらの審査に当り現地調査の必要もあろうかと存じますが、この場合には適宜委員派遣承認申請を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。なおその際の派遣委員の氏名、期間、派遣地等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお現在設置いたしております各小委員会のうち、請願審査委員会を除くものにつきましては、閉会審査案件が本委員会に付託されましたならば、閉会中も随時調査を続行せしめたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお閉会中に理事、小委員及び小委員長より辞任の申し出がありました際の許可、並びに理事、小委員及び小委員長に欠員を生じた際の補欠選任につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
  26. 神田博

    神田委員長 この際理事会の申し合せにより、外貨割当、外資及び貿易に関する問題について調査を進めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  外貨割当、外資及び貿易に関する問題について質疑を継続いたします。質疑はなるべく簡潔に願います。多賀谷真稔君。
  28. 多賀谷真稔

    多賀委員 実は先日の日米友好通商航海条約議定雷の第十五項がそのままでいきますならば失効するという問題に関連いたしまして、御案内のようにシンガー・ミシンが国内に進出せんとし、あるいは外資法による認可を得んとして、これが保留になり、さらにこの機械無為替輸入の許可の問題が保留になる、こういうように次々とシンガー・ミシンが手を打ってきて、現在保留になっておるわけでありますが、さらにシンガー・ミシンはその最初からの意図を変えずしてメリット・ミシンを製造させ、そうして国内に売っておったわけであります。今度はその蓄積円によって旧株取得ができるということを契機にいたしまして、さらにシンガー・ミシンを国内において製造し、家庭用ミシンのみならず、工業用ミシンも製造する、さらにメリット・ミシンは東南アジアに出す、こういうような動きがあるやに聞いておる。これについて政府としてはどういうように考えられておるか。さらにまた、蓄積円による旧株取得の問題は、政府としてはどういうように御処置なさろうとしておるか、これをお聞かせ願いたい。これはもう三回にわたってずっと委員会で質問をしておるのでありまして、政府の態度は当然決定しておるものと考えられるわけですが、まず政務次官から御答弁願いたい。
  29. 川野芳滿

    川野政府委員 ただいま仰せのような問題がございまして、実はその問題については外務省と検討中でございまするが、いまだ結論を得ておらないことを非常に遺憾に思っております。
  30. 多賀谷真稔

    多賀委員 いまだに結論を得てないということでありますが、この問題は十月において決定をされるのであります。もし外交の再交渉をされるということになれば、もう政府の態度は決定しておかなければならない。このまま推移いたしますと失効をするわけでごさいますから、当然蓄積円による旧株取得ができるということになるのであります。手を打つならば早く手を打たなければ外交折衝が間に合わないと考えるわけでありますが、いまだに態度をはっきりしてないということはどうもふに落ちない。蓄積円による旧株取得は認めるのだという前提に立って失効もやむを得ない、そうすれば国内的処置をどう考えるのだ、こういうことをどちらかに決定をされておかなければならない時期である、かように私は考えるわけです。これについて再度御答弁を願いたい。
  31. 徳永久次

    ○徳永政府委員 シンガー・ミシンの問題につきましては、ただいま政務次官が申し上げましたように、まだ政府側の最終態度はきまってないのであります。と申しますのは、会社側と申しますか、シンガー側及びそれと提携しようとする相手方との間の話し合いも固まってない、いろいろな議論がなされておるというような段階でもありますし、正式にどうなるかということを見た上で政府の態度をきめるというような手順の関係から、まだきまっていないということでございます。しかし問題につきまして政府側として寄り寄りいろいろな相談をしつつあるという段階であるわけであります。ただこれは一般論でございますけれども、シンガーについて、戦前にある程度の商標を持ち、また消費者にある程度の信用を持っておるというようなことから、シンガーが国内の業者と提携してシンガー・ミシンを作り出した場合に、ネーム・バリューによって市場に相当の影響を与えるのじゃなかろうかという懸念もされておるわけであります。しかしまた同時に、反面考えていただくのに必要があろうかと思いますのは、シンガーのミシンが国内で名前がよく売れましたのは戦前のことでございまして、戦争中及び戦後のブランクというものもございまして、その間に日本のミシン工業というものが戦後急速に成長発達しておりますし、技術的にも非常にすぐれたものができておることは御承知通りでございます。従いまして、戦前にはシンガー・ミシンが非常にいい品物であるということで、ある程度の成果を持っておったわけでございますけれども、戦後消費者は国産のすぐれたミシンを使って何ら不自由を感じていない、実際上国産ミシンで十分だという感じを持っているものの方が相当強いのじゃないかということも言えようかと思います。ただシンガーが国内メーカーと提携してやるということによりまして、戦前にシンガー・ミシンがミシン業界におきまして大きな分野を占めておったような現象がまた再現するというふうには一概に簡単に考える必要はないのじゃなかろうかというようなことも言い得るのじゃないかと私ども思っているわけでございます。今のところ、先方の事業のスケールとかあるいは条件とかいろいろなことがまだ不確かでございまするので、ある種の仮定論で政府部内で寄り寄り相談しておるという段階でありまして、結論に至っておりませんので、神経質過ぎる見方も当を得ないというようなことも言い得るのじゃなかろうかというようなことも議論になっておりますことを御参考に申し上げる次第であります。
  32. 多賀谷真稔

    多賀委員 私は驚くべき発言を聞いいたわけですが、なるほど蓄穫円による日本経済の支配という大きな問題と考えるならば、それほど神経質になる必要はないじゃないかという議論があるいは若干出るかもしれない。しかし今の局長の話は、シンガー・ミシンという特定のものをさしてのお話である。かつてのネーム・バリューも相当の空白があるということでありますが、今はあげて復古調の時代であり、いにしえの郷愁をマスコミによってどんどんやっている時代でありますよ。そういうことはともかくとして、シンガー・ミシンが戦前においてあらゆる−業界を席巻したということは御承知通りである。しかもその空間が長ければ長いほどこういうものに対する郷愁は多いと思うのです。私は、この特定のシンガー・ミシンの問題について、シンガー・ミシンが日本に進出することをそう神経質に考えてなくてもいいという議論が簡単ご出るということは、これは全然間違った議論であると言わざるを得ない。日本人ほどネーム・バリューというものに幻惑される人間はあまりいないと思うのです。ですから、あらゆる製品がネーム・バリューによってどんどん進出しているという状態である。そうして時代を経るに従っていにしえの状態になりつつあるじゃないですか。このシンガー・ミシンについて、仮定の議論だということでは、ございますけれども、それが日本において進出することについて神経質になる必要もないというような御議論がもしもあるとするならば、これは言語道断の議論であると私は考えるのであります。時間もありませんから私は事実問題をまずその前提としてはっきりしておきたいが、シンガー・ミシン会社は一体蓄積円を持っているのか持っていないのか、これをどの程度お調べになっているか、これをまずはっきりしていただきたい。
  33. 徳永久次

    ○徳永政府委員 シンガー・ミシンは昔から国内での販売もやっておりまするし、一部輸入での販売もございまするので、それの益金をある程度持っておろうかと思いまするが、私ども正確な数字を承知いたしていないわけでございまして、大蔵省の方の取扱いになっておりますので、どの程度の金額になっておりまするか、ある程度たまっておるであろうということは想像いたしております。
  34. 多賀谷真稔

    多賀委員 今のシンガー・ミシンの蓄積円の点、大蔵省の方でわかりませんかね。
  35. 大月高

    ○大月説明員 シンガー・ミシンの蓄積円でございますが、三億円とちょっとばかり端数があるのであります。それは非居住者預金として持っておるわけであります。
  36. 多賀谷真稔

    多賀委員 シンガー・ミシンが蓄積円を持っておるということははっきりいたしました。そこでわれわれが議論をしたのは、決して疑心暗鬼だけではなくて、事実問題としてかなり可能性があるという前提に立たざるを得ないわけであります。  そこでその次の前提であります日米通商航海条約の議定書の第十五項という問題は、政府としてはどういうように態度をきめられておるのか、もう一回政務次官からはっきりお答えをいただきたい。
  37. 川野芳滿

    川野政府委員 ただいまの問題でございますが、実はまだ結論は出しておりませんが、すでにこれは相当の年月もたっておりますので、今後は外人の旧株取得を許してもそう心配はないのではなかろうか、かような考えを持っておるわけでございまするが、最後の決定はまだいたしておりません。
  38. 多賀谷真稔

    多賀委員 どういう観点からそう影響はないと考えられるのか。今私はシンガー・ミシンについてお聞きをし、局長から答弁を願ったのですが、私はそんな楽観ではいけないと思う。シンガー・ミシンが国内に進出したら、もう十年間の空白があるからおそらく大したことはないだろうというような観測では、私はどうも納得できない。むしろいにしえへの郷愁で、十年間蓄積したものがはけていくような状態でどんどん進出するだろう、こういうことが考えられるわけです。もちろんミシンの内需というものは大体停頓状態でありますけれども、私はその新たにふえる分については、シンガー・ミシンはかなりの。パーセンテージをもって伸びていくだろうと想像できるのであります。あるいはまた、日本がせっかく外国にその販売市場を獲得した、その販売市場も失う、また将来獲得するであろう市場も失うだろう、こういう点は想像に余りあるものがあると私は考えるわけです。あるいはまたカメラにいたしましても、光学器機にいたしましても、あるいはおもちゃ、こういう日本のアイデアあるいは手先の器用というようなことを利用しての産業は、日本の特有な輸出産業として今後伸びることに大きな期待を打たれておる。しかもこれらの資本は非常に僅少であり、容易にそれを支配することができると考えられるのであります。一体政府はどういうようにお考えであるのか、これをまずお聞かせ願いたい。
  39. 徳永久次

    ○徳永政府委員 日米通商航海条約の問題を考えます際に、今お話になりましたような感じは、少し私どもの感じと違うように思います。と申しますのは、一般的にたとえばカメラ工業とかおもちゃ工業というような産業が、大きな資本で経営されていないということは事実であります。しかしながら、それらは御承知のように一軒々々がやっておるわけではありませんで、大ぜいの人がやっておるわけでございます。これが日本ですぐれた技術、すぐれた経営によってすぐれた輸出をしておるということは、日本人なればこそそれだけのことをやっておるわけであります。これが、株式会社の持ち主が外人になるかならぬかということによって、あるいはそうなった場合にその企業だけが伸びていくということを心配するというより、私は日本人というものをもっと別な観点で見るべきものじゃないか。それに外人の資本が入ることによって、競争力がよりプラスになるというふうには考える必要がない、むしろ私はそういうふうに考えるわけです。  それから、もともと資本というものは非常に消極といいますか、ティミッドなものでありまして、確実にそこに得があるという場合に出てくるわけで、その国の社会状況その他いろいろなものを計算に入れてのことでございます。事業に出てくるといたしますと、ある程度やはり金として固定することになりますので、その辺は昔からいわれておりますいわゆる資本の消極性というものから、簡単には企業支配という形には出てこないものであろうというふうに見るべきだと私は思うわけであります。それからもう一つ、この問題で従来制限しておりましたのは、ことに株を持ちました際に送金の問題があわけでありますが、円貨によります株の取得というものに対しまして、為替管理をやっております過程においては、送金を保障するという建前はとらないわけで、それが原則になっておるわであります。向うに持って帰れない金を事業に投資するということは、一般論として考えますれば非常に特例になるわけであります。その意味からも、一般論として考えます限りにはそう大したことは起らないというふうに考えるべきであろうと思います。そういう考え方の前提が多賀谷先生と若干違いがあるわけでありますが、ただシンガーの場合を考えますれば、戦前にある程度の活動をしておって、そうして日本におきますミシン工業のない時代に発足し、それによって日本の消費者にある程度のネーム・バリューを残しておるという実績がありますので、一般論とやや異なったような点があるわけであります。一般論として考えます限り、今まで全然実績のないところ、カメラ工業とか陶磁器工業とか、日本の大事な中小企業の分野に外国資本が入ってきて荒らすというふうに考えるのは、全体的に見て、資本の性格等から見て、あるいは送金保障がないというような点等から見まして、いかがなものであろうかというふうに考えるわけで、前提が違うのです。それはそれといたしまして条約の本文の三カ年の制限を置いておりました趣旨というのは、戦後の過小資本の実態におきまして、旧株の円貨による取得を認めますことは、戦後のあまりにも変則な環境の中では問題があるのじゃないかということで、日本の経済正常化、あるいは企業の資本充実ということについて相当期間を置く必要があるであろうということで条約の例外として三カ年間は——本来条約の一般原則から見れば、自由に取得を認めるものに対して、例外的に押えておったということでありますが、戦後の最近における状況の変化から見まして一般原則に戻ってもそう懸念はないというふうになったと見るべきではなかろうかというようなことで、まだ最終対策はきまっておりませんが、産業界の意見を求め、あるいは審議会等の意見を求めながら政府の態度を検討中である、こういうことであります。
  40. 神田博

    神田委員長 政府側の答弁は簡潔に願います。
  41. 多賀谷真稔

    多賀委員 委員長に一言申しておきますが、事はきわめて重大なんです。そして今企業局長がお話しになったのも、私はもう少し答弁をしてもらいたいというくらい多岐にわたっての答弁があった。ですから何もきょうぞんなに私は急ぐ必要はないと思う。えらく急がれておるが、法案はなるほど重要かもしれぬが、今日本産業が外資によってどうなるかというような質問をしておる。私は個々の会社の質問をしておるのではないのです。それがまだ日米通商航海条約の議定書の十五項が、しかも十月に失効するかどうかという問題が政府で決定していない。外交交渉しなければならぬ問題です。あるいは国内の政令その他を定めなければならぬ、あるいは法律事項になるかもしれない、こういう重大問題ですから、あまり時間の制約をされぬように、私も協力をして、引き延ばしておるわけではないのですから、一つよろしくお願いしたい。  企業局長に私は申し上げたいのですが、あなたの方はどうも誤解をしておる。またあなたの方の観点が違っておると思う、率直に。私はシンガー・ミシンは今申しましたように、ネーム・バリューがあるという話をした。あなたはその点は一致しているのですけれども、外国人が資本を持ったからといって、その企業がどんどん伸びるわけではない。それはその通りです。ぼくは何もそんなことを心配していない。資本家が変ったからといって——資本主、株主がだれになろうと、八百屋さんになろうとふろ屋さんになろうと、あるいはほかの金融界の人になろうと、それは会社はそんなに変りませんよ。また外国人が株主になろうとだれになろうと、そんなことは企業として変るはずがない。しかし私は旧株というものは——新株のことではなくて、新しい会社を設立するという話をしておるのではない。ですから今まですでにネーム・バリューを持ち、そしてかなり市場開拓をして、ごく売れる商品会社が乗っ取られるのじゃないか、こういう話をしておるのです。ですから光学機械とかカメラとか、すでに会社としてその商標がかなり信用をされておるような会社が乗っ取られるような可能性がある。外国人が資本を持ったからといってその企業が伸びるということを言っておるのではなくて、せっかく伸びようとしておる企業が根こそぎ持っていかれるのではないか、こういうような話をしておるのですから、その点は誤解があると思う。私は最近会社乗っ取りというのが盛んに行われているという事実を知っておるし、御案内の通りです。私の近くのある炭鉱のごときは、二億二千万円の会社です。ところが六十三億から再評価積立金を持っておる。株は二百三十円ほどいたしておる。その会社がいつの間にか人のものになってしまった。それで社長以下ぞろり重役まで首を切られた。新聞ではあるいは白木屋のように大騒動しませんけれども、そういう事実が幾らでもあるのです。ですから非常に資本が少くて非常に優秀な企業が乗っ取られるという可能性がかなりあるし、また一回外国の資本が入ってきますと、なかなか排除することができぬのです。これはそうでしょう。旧株にいかに増資をしましても、結局旧株の株主が新株に対する割当をもらいますから結局排除することができない、こういうような状態である。しかもいわゆる民族産業といいますか、そういう産業には日本の資本は非常に過小である。もっとも企業も小さい。しかも一般的に言いまして、日本の企業が正当な、適正な資本金になっておると考えられないのです。このことは、今まで盛んに書かれ、またいろいろの人が述べておりますから申しませんけれども、とにかく過小資本であるという事実は見のがせないと思う。ですから資本金の何倍とか、あるいは何百倍という売上率を半期に持っておる会社は幾らでもあるのですから、私はこういう事情においては政府が楽観論を唱えられておるということがどうもわからない。ただわかるのは、こういう例外処置をとることは外国との関係でうまくいかないんだ、どうしても日本だけが例外処置をとり得ないんだ、だから日本としてもどうも因るけれどもいたし方ないというのなら若干わからないこともない。ところが日本の産業に影響がないという議論をされると、どうも私は納得いかない、かように考えるのですが、もう一度御答弁願いたい。
  42. 徳永久次

    ○徳永政府委員 航海条約は、日米の場合におきましても、相互に居住、営業の自由を認めております。ただその間に基幹産業といいますか、その国のマイニングとか、あるいは航空とか、あるいは海運業とか、あるいは金融業とかいうものにつきましては制限する。その他はお互いに勝・手に出かけて行き、仕事をし、あるいは事業を興し、あるいは株を持つという自由を認めるという建前になっておるわけでございます。そういう建前が友好通商航海条約の通例の本則的な考え方であるわけであります。問題は、その本則に−返って日本の場合に困るか困らないかということだろうと思うのでございますけれども、先ほど来申しますように、資本というのは利潤の送金を保障されない形において簡単にくるかこないかという問題もあるわけでございます。先ほど来話が出ております、たとえばシンガーの組み立てミシン、これは大蔵省においても、為林管理におきまして自由なる活動を許しておるわけじゃないのであります。三億円というような先ほどのお話でありますが、これは大蔵省は封鎖しております。ある程度拘束化してあるわけであります。三億円が勝手にあっちこっちに自由に動き回るということではないのでございます。動き得るということでもございまして、ある程度のものが出るかと思いますけれども、一般論として考えました場合に、それが戦後のある程度の変則期間が済んだ環境で考え、日本人の経営力、技術力とかいうものを考えました際に、今多賀谷先生が御質問になりましたように、日本の企業の株式支配が外国の資本によって行われるというような事態は全然ないということを申し切るわけじゃございませんけれども、資本の消極性なり性格から見まして、そうはならないものだというふうに考える方が常識的ではなかろうかということを申し上げているのです。
  43. 多賀谷真稔

    多賀委員 ではこの議定書がなぜできたか。そういう心配が要らないようでしたらこの議定書は要らないと思う。国際慣行に反してまでこういう議定書を作るのは日本の経済の復興がまだ進んでいない、また変則的な経済態勢にある、こういうところからできた。それが解消しておるかどうかというのが審議する場合の一つの基準でなくちゃならないと思う。そこで現在においてはまだまだ増資の態勢にある。要するに戦前のような利潤、あるいは売上金に対する資本金のあり方じゃない。一番大きな日本鋼管の百億にいたしましても、あるいはまた八幡製鉄の九十六億にしても、これは次には八幡が二倍の増資をするだろうと言われておる。倍額増資をするだろうといわれておる。そういうように日本の会社はまだまだ資本金が少い、こういうように言っておる。今のは大きな話をしたわけですが、小さな資本金を見ると、全くお話にならないような、こんな大会社がこれだけの資本金かというのが幾らでもある。毎日の株式の市場の表を見ましても明らかである。ですから私はまだ資本の組み入れが十分に行われていない、かようにいわざるを得ないのです。しかも企業資本充実法が設定をされて、まだその実施を見ていない。来年の三月から実施をされようとしている。ですから、再評価積立金を持っている会社はその範囲内において法律の定めるところによって増資の態勢にはありますけれども、資本金はまだ僅少である。過小資本であるといわざるを得ない。日本の状態においてこれを入れるということは非常に危険じゃないか、こういうのが一点。  それから基幹産業その他については、日米通商航海条約の本文にその制限がありますけれども、そういう基幹産業だけではなくて日本の非常に伸び得る輸出機械産業等、将来期待される産業が外国人によって株式が取得されて、日本にありながら外国企業になる、こういう可能性があるのではないか、こういうことを二つの点について言っているのであります。第一の点が解消されているという判断をされるのはどういう基準から判断されているのか。第二の点はどういうようにお考えであるのか、御答弁願いたい。
  44. 徳永久次

    ○徳永政府委員 お尋ねの第一の点が十分にまだ完了するという段階にきてないということはお話の通りだと思います。ただし相当程度その方向改善がなされつつあるということも、多賀谷先生も御承知通りであります。  第二の問題につきましては、先ほど申し上げますように、旧株取得が円によって自由になるということになりましても、それだけで株式支配という形が簡単に起るものではないのではなかろうか。資本の消極性、二重送金の制限、その他日本の社会慣行とか、そういうようないろいろな要因が働きますので、簡単にはそうならないというふうに考えてもよろしいのじゃなかろうかということを申し上げたわけであります。
  45. 多賀谷真稔

    多賀委員 どうも私は解せないのですが、まず第一の点も過小資本であるということについては局長も認められておりますけれども、私は、まだまだこの議定書の第十五項を失効させていいという条件には国際情勢はない。少くとも交渉してうまくいかないというのなら別です。しかしあらかじめ国内情勢はこれがなくても対処できる情勢にあると判断するのは誤まりである。少くとも通産省はそういう態度をとるべきでない。外務省としてはどうにもならぬ、これは国際交渉をしても余地がない、かえってこれが悪いということなら、これはともかくとして、通産省の方から入れても差しつかえないというような結論を出されることは言語道断である。かように考えるわけです。さらに、株式支配ということを言われましたが、これは株式市場を支配するという意味ではないと思うのですけれども、要するに優秀なる工場が個々に乗っ取られる可能性がある。日本人同士でありますと、AのものがBになったということで大したことはないのですけれども、外国の人が来て日本の会社を乗っ取る、しかもそれは日本の産業にとってきわめて重大な産業である、こういうことが起り得ると思うのです。キャノンあたりはたった四億しかないのですけれども、資本金が四億であれだけの事業をしているが、乗っ取ろうと思えば簡単に乗っ取り得る可能性が十分あると考えるわけです。ですから、私は通産省の方で影響がないというような考え方をすることはどうも解せないし、もってのほかだと考えるのですが、一体次官はどういうふうにお考えですか。
  46. 川野芳滿

    川野政府委員 さきに日米通商航海条約をきめました当時におきましては、わが国の産業界のレベルというものも非常に低かったと思う。従いまして御承知のような制限を設けたのでありますが、その後わが国の産業もある程度のレベルに参っている。従いまして旧株等の問題におきましても制限を撤廃してもいいのじゃないかというような点で、実は検討中でございます。まだどうするかという問題については決定いたしておりませんが、さらに今後十二分に検討をしてみたい、かように考える次第であります。
  47. 多賀谷真稔

    多賀委員 ゆっくり検討されていい問題と、早く結論を出してもらわなければならぬ問題がある。これは期日が迫っているのです。しかも政府が決定されただけでは解決できない、アメリカと交渉しなければならない、こういう問題があるわけです。ですから私たちはもう休会になって帰るわけですけれども、おそらく国会で十分審議するいとまがなく、この問題は事実問題として解決されるだろう、それは私はいい解決という意味でなくして、悪い解決をされるだろう、こういう気がするものであります。ですから私は質問をしているのですが、どうも通産省の態度が私は解しかねる。通産省としては日本の産業を保護育成し振興するという立場から、当然それは困るという意見が出るべきが至当である、かように考えるわけです。しかし外交の問題があり、その他いろいろ輸出の問題あるいは市場、貿易の問題というほかの方が関連をして、あるいは外交折衝によってうまくいかないという場合もあるでしょうから、当然外務省の関係においては交渉してみてもうまくいかないだろう、あるいは見通しがつかないだろう、こういうふうに結論が出るのはやむを得ないかもしれません。そのやむを得ない場合にはどういうふうに国内においてさらにそういうことの危惧性のないように対処するかという問題が次に起るであろうと考えるわけです。通産省がそういうことではどうもならぬ、かように考えるわけです。  少しくどいようですが、シンガー・ミシンについては、蓄積円によってシンガー・ミシンが旧株取得をして進出するというような状態になると、どういうようなことをもってそれを防ごうとされているか、これを局長から御答弁願いたい。
  48. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これは日本のミシン工業をどう育てるかということで、重工業局の所管でございますが、今のお尋ねに対します通産省全体の考え方と、まだそこの段階に来ておりませんので、そういうふうに受け取られましても困るのでございますけれども、かりにシンガーが提携いたしたといたしましても、現在もある程度サブネームをつけながら売っているわけでありますが、サブネームをつけて売りながらさっぱり売れない、社会がつぶれかかっているというのが現状であるわけであります、極端な言い方でありますけれども、それがサブネームも本式のシンガーというふうに名前を出したとして、どの程度売れるようになるかという問題が次に出てくるわけでございますが、しかしながら最初に申し上げましたように、日本のミシン工業というものも戦後急速な成長発達をし、消費者から十分な満足を得ているというのが現状であるわけであります。かりにシンガーが販売条件等につきましてある程度の有利な条件を出したという場合に、品質、性能的に十分対抗し得るだけのメーカーも日本にはございますし、それらのメーカーが販売条件について今までよりある程度消費者に有利な条件というようなものを出す余地もあろうかと思うわけであります。役所側としましてもそれに対抗するだけの措置というものにつきまして、日本側の業者を助ける手だては、資金の面の仕方なり、あるいは協同組合等の措置利用の仕方なり、いろいろあろうかと思います。一概には心配はしておりませんということを申し上げておきます。
  49. 多賀谷真稔

    多賀委員 局長は頭がいいと思ったのですが、どうも先ほどからのお話を聞いておるとふに落ちない。シンガー・ミシンが入ってきて、ほかのミシンだけを資金その他でめんどう見てやることができますか。そういうことが許されますか、シンガーミシンが入ってきて、これは資本は向うの資本ですよ。日本国内にある産業で、これは株主が外国人だからというので、ほかのミシンは育成強化して資金もどんどん見てやるが、シンガー・ミシンは見てやらぬ、こうことができますか。
  50. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これは仮定でございますが、私、今ミシンが月賦販売を何ヵ月でやっておるのかよく存じませんけれども、かりに従来一年なら一年で月賦販売をしておるといたします。そこにシンガーが十五ヵ月で売り出すということをします際に、メーカーが今まで十二ヵ月でやっておるのを十五カ月にすると、ほかの業者がやります場合に金融上新たに三月分の資金を要するということになるわけでございます。その限度におきましてめんどうを見るということは一向差しつかえないというふうに考えます。
  51. 多賀谷真稔

    多賀委員 そうするとシンガーにも三月分貸してやらなければならぬでしょう。これはシンガーの方は貸してやらなくてもいい、一方の方は貸してやらなければならぬ、こういうことができますか。そういう差別的取扱いが国際信義の問題としてできますか。こう聞いておるのです。それはシンガーというものも国内にある会社でしょう、そしてそれは外国人が株を持っておるというだけです、そうすると同じように両方とも三ヵ月融資してくれというと三ヵ月融資をしてやらざるを得ない。お前のところは融資ができない、お前のところは融資をするというような区別ができるかということを言っておる。
  52. 徳永久次

    ○徳永政府委員 さような融資というものは、これは銀行から見まして、ほかの人がある種の競争条件でやっておる際に、その人は力があるからやっておるわけであります。そのほかの人は対抗上それと相応するだけの力をつけなければならぬという場合に、信用力そのものが企業に全然ないということでは金をつけられませんけれども、企業の信用力があるという場合に今まで以上の融資をするということは、これは何も国際的な差別待遇ということではないと思います。もう少し金を借りたいという人に、かりに政府金融機関から融資をするとしましても、それはちっとも差別待遇になるということにはならぬと思います。
  53. 多賀谷真稔

    多賀委員 それは信用力があれば幾らでも借りられるのですが、しかし簡単にじゃ利子をかえて、こっちだけを利子補給といわなくとも、少くとも金利を安くして一方だけに貸すというような処置はできにくい、私はかように考える。国内で外国人が株を持っておるという理由だけでそれがやれるということなら、これは大へんな問題ですよ。私はやりにくい、かように考えるのですが、もう一回御答弁を願いたい。これはえらい将来のことを話してこんな議論をしておるのもどうかと思うのですけれども、そういうことができる、こう言われるから、そんなに外国人を国内において差別的取扱いができますか、こう言うのです。
  54. 徳永久次

    ○徳永政府委員 財政負担である種の援助をするとか、あるいは税金上の援助という形で内外資本系統が違うからということで差別待遇するということは条約に抵触すると思います。しかし金融上のあっせんということは、それが条約上の差別待遇ということには何ら抵触することになるとは思いません。
  55. 多賀谷真稔

    多賀委員 実はこの日米通商航海条約を作るときにこれらの問題が非常に問題になった。これはちょっと違いますけれども、私はこういう問題を簡単に議論しているのではない。非常に問題になった。なぜ問題になったかというと、国は忘れましたが、中南米の国である企業をアメリカの資本で起した、それじゃたまらぬというので、それに対抗してある国が公企業でやった、そして遂にアメリカ資本を追い出してしまった、こういう例がある。公企業でどんどん金を貸してやったのです。そこでこの条約を作るときにアメリカでは、そういう差別的取扱いをしないという一条が入ってきた。それはいろいろの関係で、私は条文を持っていないのですが、たしか削られたと思うのです。(「いや、同等の待遇を与えることになっている」と呼ぶ者あり)ですから、国会審議の過程で、シンガー・ミシンが入っても負けるようなことはない、日本のミシンをどんどん育成してやるから大丈夫だというような議論は、いやしくも国会の議論としては通用しないと思う。ですからシンガーがだんだん強力になるということの見通しがあれば、それに対処していかなければならぬ、かように考えるわけです。入ってきてそれがどんどん伸びるという状態になると、もう防ぎようがないと思う。ですから事前に防ぐ以外に方法がないのではなかろうか、かように考えるわけです。これについて非常に楽観的なお考えをなさっているけれども、私はシンガーが進出するというような状態になると、もうお手上げである、こういうように考えざるを得ない。ですから事前の処置が必要である。その事前の処置とは何かということが問題になります。非常に楽観をされ、その後、手がありそうなお話をされておりますけれども、私は手がないだろう、かように考えるわけです。
  56. 徳永久次

    ○徳永政府委員 重ねて申し上げますが、シンガーがその資本力にものをいわせまして、日本人の既存のメーカーが通常やっておりますより以上の、消費者に有利な販売条件をやったという場合に、それに負けないだけの措置を日本側の業者がとる。日本の業者でもそれだけの力を持っておるものもあると思いますし、それからすぐにはしかねる人からある程度資金のあっせんを世話してもらいたいというようなことがかりに出たという場合に、その企業に金を貸しても貸し倒れになる心配がないという場合には、あっせんをしてそれと同等の販売条件を持つようにさせるということは、条約違反にはならないと考えます。それからもともと先ほど申し上げましたシンガー・ミシンというのは国産ミシンに比べまして非常にすぐれているということは私は毛頭考えません。戦後における日本ミシン工業の成長から見まして、値段、品質から見まして、日本のミシン工業というものは——ミシン工業もピンからキリまで、ございますけれども、消費君に十分の満足を与えておりますので、その実質的な意味から私どもはシンガーが猛威を発揮するというふうには考えないということでございます。デパートヘお行きになればわかりますが、シンガーは戦後すでにシンガー・ミシンを売っているわけであります。売っておりますけれども、大多数の消費者はシンガーよりも国産のミシンの方をはるかに多く買っているという状況であるわけでございます。戦前におきまして日本のミシン工業がほとんどゼロに近い段階におきましてすぐれたミシンであったということは確かでありますけれども、戦後の最近における状況というものは相当様子を異にしておる、もし消費者が昔シンガーがよかったからということで引かれるならばそれはネーム・バリューに引かれただけでありまして実質的な価値に引かれたということではないので、その消費者の蒙を開くという余地もあろうと思いますし、ただそれが経済競争の形でいろいろな条件を出すという際には、同じような競争条件を出させるという面等の見方もありますので、実力的に負けておるというふうには考えませんので、それほど心配する必要もなかろうかというふうなことを考えている、そういう考え方も十分ございますということを申し上げておるつもりでございます。
  57. 多賀谷真稔

    多賀委員 どうも局長の心配をされる必要はないということが、私は率直に言いまして非常に心配ですが、これはそんなに楽観をされておりますけれども、私はそういうような状態にはならないと考えるのです。これは国際的な有力な会社ですから、いわば国際カルテル的な色彩を持ったシンガー・ミシンが、日本において市場獲得のために一時損をしても、日本市場を独占するために処置をとるべきだと考えたなら、どんどん安くしてやってくる、それに対してこれは融資ぐらいでは間に合いませんよ。一方では損をしてもどんどん売ってくる、こういう例は幾らも他にあるわけですから、そういう人に融資をしてやるということではなくて、ただでやるならともかくとして、融資をしてやるというだけではその競争には追いつかないわけです。そうして市場を独占された暁には、これは徐々に利潤を得ていくというような長期的な計画をもって立ち向わなければ方法はないだろう、私はかよに考えるわけです。どうも私は、通産当局としてそういう楽観論をされておるということについて承服ができないわけであります。この点政務次官はどうお考えになりますか。
  58. 川野芳滿

    川野政府委員 多賀委員の御主張の点は、私などもよく理解するわけであります。しかしわが国のミシンも相当アメリカ等に参っておる、こういうような点等も考えますると、他国の資本が日本に入って参るという問題について、あながち全面的に否定する、こういうわけにも私は参らぬのじゃなかろうか、かように考えております。従いまして現在のミシン工業界の実情を考えますと、ただいま局長からも申しましたように、わが国のレベルというものも相当に上っておる、またアメリカにおきますわが国のミシンの成果等から考えましても、わが国のミシンというものは、他国のミシンに対しましてもそうひけをとっていない、こういうことから考えますと、多賀委員の言われるようにそう心配でもなかろう、心配せぬでもいいのじゃなかろうかとも考えるわけでありますが、しかし多賀委員の説もまたごもっともな点もございますから、さらにこの問題については検討いたしたい、かように考える次第であります。
  59. 多賀谷真稔

    多賀委員 次に大蔵省に質問をいたしますが、もし議定書の十五項が失効するということになりますと、国内的にどういう措置をおとりになるつもりであるか、これを重ねてお伺いいたします。
  60. 大月高

    ○大月説明員 ただいま外資法におきましては旧株の取得の制限を政令でもってやっておるわけでございますので、政令の改正によりましてこの制限を解除する、こういう措置をとりたいと考えております。
  61. 多賀谷真稔

    多賀委員 これはきわめて重大な問題でございますので、私は今度の国会では会期がございませんから、次の商工委員会を七月十一日ごろ開くように委員長が努力されるそうでございますので、その際に政府の態度をはっきりしてもらいたい。この議定書十五項の問題についてどういう態度を政府はとるのか。さらに国内的には、その後不当に外資といいますか旧株を蓄積円によって取得されるというような状態については、日本の輸出産業として伸びる産業について、それが支配下に置かれることのないようにどういうように処賢をされるつもりであるのか、こういうこともあわせて対策を立てておいていただきたい、かように要望いたしまして、質問を終ります。
  62. 神田博

    神田委員長 この際お諮りいたします。昨一日本委員会に付託されました中村高一君外三名提出にかかる中小企業安定法の一部を改正する法律案につきましては、先ほど閉会審査の申し出をいたすことに決しました各件とあわせて、閉会審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に加藤清二君。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 ちょうど時間が一時のようでございますので、私も急いで要点だけをお尋ねいたしますから、政府側の答弁も要領よく要点だけお答えしていただくよう、まず最初に委員長に要望します。
  65. 神田博

    神田委員長 加藤君がいつもより簡潔に質問されるそうですから、政府側も簡潔に御答弁願います。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 第一点は今国会に無事通過を見ました繊維工業設備臨時措置法の修正の中に、両党一致でもって、糸または織物の価格が著しく高騰し、輸出及び消費者もしくは関連事業者の利益を害するおそれがあるときは、通商産業大臣は糸または織物の製造云々とあきまして、販売価格の引き下げを勧告することができるとなっておるわけでございますが、ただいま私の見ましたところというよりも、業界一般の声は、非常に製品高になっている、市販、価格も高くなっている、いやそれよりも、もとの糸がなくて困っている、こういう声が一ぱい満ちておるわけでございます。これに対して綿糸の方は操短解除ということをおやりになって、この結果すぐにその好影響を見たわけでございますが、絹及び毛製品につきましてはどういう手をお打ちになりましたでしょうか、あるいはこの糸値はこのものならば大丈夫だとお考えでございましょうか、まずその点をお尋ねいたします。
  67. 小室恒夫

    ○小室政府委員 一般に原糸高の傾向があることは御承知通りであります。また毛糸については私ども今日の定期相場あるいは市中の相場というものはかなり高過ぎるという感じを持っておりまして、こういう値段ではむろん輸出もかなり困難になりますし、また内需も一時的にはこれで活況になるかもしれませんけれども、長い目で見て毛織物の内需を確保することも困難だと思います。できるだけこれは引き下げるように努力をすべきだと思いますが、これについては原毛の輸入の不足分をできるだけ確保するとか、そういうような行政措置で参りたいと考えております。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 特に企業局長も聞いておいてもらいたいのですが、ただいまミシンのお話で、絶対に心配ないというお答えでございましたが、あなたたちの見当はときどき間違うことがある。それはどういうことかと具体的に申し上げますると、前に品質表示法というものがあなたの手元で用意されたことがございました。ことに前の国会通りましたその折に私は言うたのです。この法律が通ったら必ず品がすれがきますよ。なぜかならば、今日の状態では品質を表示をすれば国民は絶対に純毛につく、純綿につくのだ、従ってそれのみが、多く売れるようになって、ねらいであるところの化繊を食わせることが困難になりますよと申し上げましたところ、さような心配は今日の化繊の状態からいって絶対にございません。さきの繊維局長は、何べん言うても、ちょうどあなたが抗弁なさったように何べん言うても抗弁なさる、ところが案にたがわずその品質表示法が行き渡って参りますと、だんだん純毛品が売れるようになり、そのおかげでこれがだんだん高くなって参りました。それに設備制限というものが追い打ちをかけられまして、これをやったら必ず高くなると言っておったら、案の定高くなってきた。もともと毛製品は日本の相場は国際相場に比べて高過ぎる。それに追い打ちをかけた、従ってただいま繊維局長がおっしゃいましたように、非常に輸出困難となってきております。その結果は選択売りが行われるようになりました。中近東から、東南アジア向けのものはほとんど今行うことができない。向うからの引き合いはあるけれども契約することが全然できない、こういう状況に追い込まれておるのでございます。これについてただいま繊維局長は原毛の方で手当をするとおっしゃいましたが、どのような手当をなさるのでございますか。
  69. 小室恒夫

    ○小室政府委員 ただいま上期の原毛の輸入に通常のもので六万俵、その他一万俵ばかり別の割当の問題がありますが、合計して七万俵ばかりの原毛を、最も原毛の不足している部門に重点を置いて割当てる措置をとっておるわけであります。そういう考えでおるわけであります。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 輸出振興の立場上、プラス・アルファーとしておつけになるとこういうことでございますか。
  71. 小室恒夫

    ○小室政府委員 毛糸の需給関係を一般に緩和する目的でいたしたのです。
  72. 加藤清二

    加藤(清)委員 目的はよくわかっていますが、そのプラス・アルフアーとしておつけになりましたか聞いておるのです。
  73. 小室恒夫

    ○小室政府委員 お尋ねの趣旨はこれを下半期で調整するかどうかということでありますか。——そうであれば、これは下半期の状況をよく見た上でいたしますが、ただいまのところは追加する考えがかなり強いわけであります。
  74. 加藤清二

    加藤(清)委員 それはどういう割当の方法を行われますか。それによってせっかく与えられても輸出振興に効果が薄らぐ場合もあるわけでございます。ただ時間がないので私は簡単にこういうふうに申し上げるだけです。
  75. 小室恒夫

    ○小室政府委員 内地でも毛糸が品がすれして高い。結局内需の方に輸出の糸が流れるということにも相なりますから、これは一般的に需給を緩和することが輸出振興のために大事なんです。ですから原毛の最も不足している部門に重点的にやるというわけです。特に紡毛の業者などには重点的に割当をする考えです。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 それだと今申し上げた心配が生ずると思うのです。と申しまするのは、内需が追加六万俵ほどおやりになったからというて、それで緩和されるものじゃないと思います。そういう程度のもので緩和されるのでしたら、六十万俵が八十万俵にふえたのでございますから、いいかげんに安くならなければないはずでございます。しかしながら輸出と内地売りとの価格の相違というものは糸のメーカーをして輸出意欲というものを全く削減させてしまった。で、アメリカとかその他少々の国へはなるほど今も意欲的に行われておりますが、東南アジアから中近東へ向けて、過去においてせっかく小さい商社が営々努力して築きましたところの市場は、これで全く失われるという状況になりつつあるわけでございまするが、内地にその原毛を少し多く割り当てるということでもって緩和できるとは私は思いません。ただ同じ数量でも、それを絶対に輸出にひもをつけるとかいうことをおやりになればよろしゅうございまするけれども、それはなぜそうしなければならないかといえば、すでに二〇%、二〇%、三〇%のあの報償制度がありましたものが、これがだんだん削られてきた。一般に意欲が削減しておるところへもってきてただいまのような内地高でございまするから、一そうこれに拍車をかけた、こういうことでございまするので、これは輸出にひもをつけるこういう考え方でないと、そこで直接輸出に持っていくということが困難であろう、こう思うのでございまするが、いかがでございますか。
  77. 小室恒夫

    ○小室政府委員 六万俵のうちで一万俵弱のものは輸出に直接ひもがついたような格好の割当になると思います。しかしながら全体としてはやはり内地の毛糸が高くて、内地の方の需要が非常に強ければこれはやはりそれをある程度安定しなければならぬと思います。そういう考えでおります。確かに六万俵つけたからすぐに毛糸の値段が暴落するというような工合にはなかなか参りません。これはできるだけ原糸が適当な価格に下るようにいろいろな面で配慮を加えていきたい、こう考えております。
  78. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題はだんだんやりますと、さっきの多賀谷さんくらいの時間がかかりまするので、これはいずれ休会中にも本問題を審議してみたいと思います。しかし今せっかくおつけになるのならば、至急おやりになることが日本の輸出振興にプラスになることではないか、こう思うのでございます。  次に第二点として承わりたいことは、通産大臣のお約束にもありましたが、拡大均衡をおやりになるに当って商社指導育成強化をはかり、これに外貨保有を許すという施策が行われたわけでございまするが、悲しいことに専門商社の指導育成の具体的方途というものが講じられておらないようでございます。先般の私の質問に対しては、それがなかったようでございまするが、その後研究をするというお答えでございました。今国会中にそれが進みましたでございましょうか、それともまだ手がついておらないとおっしゃるのでございまようか。この点を通商局長さんにお答え願いたいと思います。
  79. 板垣修

    ○板垣政府委員 専門商社の育成につきましては、私どもも非常に関心を持っておりまするが、行政的に専門商社を育成指導するということは考えておりません。
  80. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは申し上げまするが、総合商社については外貨の保有、交互計算、外国への支店の設置等等、具体的な方策がとられているわけでございます。これが専門商社ともなりますると、支店の設置はおろか、店員の派遣についても非常にめんどうな手続がございまするし、また認可ともなりますれば、なかなかむずかしいようでございます。そこで総合商社に外貨の保有を認めさせておきながら、専門商社には全然それが行われていないのみならず同じような支店を設置したいという希望さえもいれられていないというのが現状でございます。そこで行政的に手の打ちようがないとはおっしゃいませんでしたが、やはりそういう手が少いという意味のことをただいまおっしゃったわけですが、具体的に支店の設置等についてはどのようにお考えでございましょうか。
  81. 板垣修

    ○板垣政府委員 先般実施いたしました商社の外貨保有制度は、別に総合商社に認めたということでございませんので、海外に支店を持ち、かつ一定量の取引額以上のものということで、結一局二十祉になったわけでございます。ただいま御指摘の通り、確かに中小以下の専門商社は支店がまだございませんために、はずれておる事情でございますし、なお、支店をこれから設置しようとしても手続上なかなかめんどうな問題があることも事実であります。従って私どもはその点を是正するために、支店設置の手続なりその他代理店手数料の送付金手続、こういうようなものをできるだけ簡素化するようにただいま検討中でございます。ただ海外支店の設置につきましては、一面過当競争の排除という大きな問題もございますので、今はその点から幾分締めがちという事情はございます。しかしこの点ももう少し商社の態勢が整備するに従いまして、あまり不当な締め方をするというのは漸次ゆるめていきたいというふうに考えております。
  82. 加藤清二

    加藤(清)委員 輸出振興をするには、店員を派遣するとか、支店を設置するということが第一歩の仕事でございまして、輸出振興の要諦の第一段階だと思うわけでございますが、総合商社は支店を設けることもすでに多く行われておるのですが、今後もし外国にそれが必要であるとするならば、どちらかといえば、専門商社にそれを要望しなければならぬ状況下じゃないかと私は思うのでございます。そこでこの際せっかく大月さんがきていらっしゃいます。あなたは東海財務局長をしていられたから、あの地方のことはよく御存じだと思いますけれども、あの地方の中小企業のメーカーが作りましたものが非常に多く輸出されているわけでございます。特に繊維、陶器、ミシン、ベニヤ板等々でございますが、これの輸出ということは、その小さいメーカーとよく連絡がとれ、店の内容から状況をよく知り尽したところの小さい、いわゆる中小の商社がこれの輸出をしているわけでございますが、この中小の商社の指導育成ということを欠きますと、あの地方の産物の輸出ということは、海外市場の競争が一そう激しくなりました今日、ますます難渋を来たしてくる、こういうふうに私は憂えているものでございますが、この点について土地の事情をよく御存じの大月さんはどのようにお考えでございましようか。
  83. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの東海地方のお話でございますが、私ただいま面接の所管ではございませんので、若干私見のようなことになるかと思いますが、簡単に申し上げます。  東海地方の今の陶器でございますとか、木材とか織物、そういうものがどんどん輸出されておりまして、外貨を獲得しておることは仰せの通りでございますが、結局商社が弱いということと、金融力が弱い、この二点のためにまだ相当伸び悩んでおる面が多いというのは、率直に言って東海地方の特色ではないかと思います。しかし商社を人為的に育成するということはなかなか困難でございますので、地元において有力な商社を育成するということをやっていただきまして、それに応じて大蔵省でとっております各種の輸出振興策、それをつけていく、こういうことが妥当であろうかと考えておる次第であります。
  84. 加藤清二

    加藤(清)委員 東海地方の実情をよく知っておられますあなたの施策は、やがて全国の中小企業メーカー、中小企業の商社を助けることになりますので、ぜひ一つ知っている方が中心になって推進方に努力をお願いしたいわけでございます。さきに私が質問いたしました折に、この外貨の保有は今後拡大する、ただいまのところは試験的にああやっているが、将来は拡大する方針である、こういうことを大臣から御答弁いただいておるわけでございますが、通商局としましては、いつの時期にどのように拡大されるのでございましょうか。
  85. 板垣修

    ○板垣政府委員 現在の商社保有制度は、現在の段階におきましては御承知のように、海外支店の活動経費というものが主体になっておりますので、どうしても海外支店を持っているものでなければ活用の方法がございませんので、今の大体の基準といたしましては、海外支店を持っておって、それからある程度大きな取引量のあるものということになっております。従いまして今後海外支店を持つものがふえる、それから取引量も漸次ふえるに従いまして、今の範囲も拡大し得ると存じます。ただ具体的、事務的に大蔵省と折衝をする段階になっておりませんので、時期的にいつになるかは申し上げられません。
  86. 加藤清二

    加藤(清)委員 ここでちょっと具体的に承わりたいのです。それは、話に聞きますと、通産省の方は割合に商社設定についても理解がある。ところが大蔵省の方がなかなか渋っている、こういうことのようでございまするが、もし渋られるとすると、どういうところに理由があるので、ございましょうか、この点を大月さんに伺いたい。
  87. 大月高

    ○大月説明員 商社の外貨保有に関しまして、大蔵省と通産省の意見が違っておるのじゃないかという……。
  88. 加藤清二

    加藤(清)委員 設定の問題もあるのですよ。
  89. 大月高

    ○大月説明員 支店の設定と外貨保有その他に関しまして、意見の食い違いがあるじゃないかということでございますが、具体的には常に御連絡をして、意見の交換をやっておりますので、完全に結果においては一致しておると存じます。ただニュアンスといたしましては、通産省の方といたしましてはいろいろな施策貿易振興ということに置いておられますので、いろいろな強い御要求がある。われわれの方は具体的に外貨を持って経理をやっておりますので、どうしても物理的な限界がある。そういう意味で、ニュアンスとしては大蔵省の方がとかく渋くなるということは申し上げられると思いますが、具体的な問題については常に御連絡をいたしてやっておりますので、意見の違いはございません。
  90. 加藤清二

    加藤(清)委員 外貨の割当はなるほど大蔵省かもしれませんけれども、外貨を獲得をするのは通産省の努力に待つところが多いわけなんです。通産省の努力とは一体何かといえば、これは商社でありメーカーであるわけなんです。その方々の努力によって得た外貨なんです。それをただあなたたちに監督権をまかしてあるだけの話なんです。大蔵省のお役人さんがかせいでもらった外貨というものはワン・ダラーもありません。そこででき得ることならばより多くの外貨を獲得するために、あなたたちはより多くの努力をしていただきたい。商社なりメーカーがますます多くの外貨を獲得するために、あなたたちは努力をしていただきたい。ただ権限があるからというのでそれを固執し、それを誇大に考えていろいろやられますると、恨みが残ると思うのでございます。大月さんはそういうことはないだろうと思います。特に中小のことをよく体験済みのお方でございまするから。特に外貨の保有の問題は、それを許された者と許されないとでは、政府の保証を得た者と得ないものと、これほどの大きな相違があるわけなんです。ただ保有をさせていただいたところの外貨そのものの価値だけではございません。信用力の増大が大切だといわれておりまするけれども、その信用力は、政府が外貨を与えたということ、すなわち保証したということ、このことが何より大きく評価されておるわけでございます。そういうことを大きい商社にだけ許して、中小には許さない、こういうことになりますと、一そう中小は窮地に追い込まれるわけでございます。この点をよく御承知でございましょうから、中小を救う意味において——これはやがて中小のメーカーを救うことにも相なるわけでございますから、ぜひ一つ一段の御努力をわずらわしたいと思うわけでございますが、大蔵省としては今後どうされようとしていらっしゃるのでございましょうか。
  91. 大月高

    ○大月説明員 外貨の獲得のために商社の活動が必要であるということは、全面的に大蔵省も認めておるところでございまして、外貨面から特に強い制約を加えないという方針をとっております。ただ先ほどお話のございましたように、海外に出ております商社の過当競争という問題、それから商社自体の乱立というような根本的な問題がございますので、その対策につきましては、通産省のおとりになっております商社の対策に即応いたしますように外貨をつけて参る、こういうような方針をとっておるわけでございます。従いまして、支店の設置あるいは外貨保有につきましても、ただいまたとえば外貨保有は二十社に限って認めておりますけれども、これに限定する意図はございません。とりあえず二十社につけたわけでございますが、場合によりましては、具体的に必要があればその範囲を越えて持たしてもいい。また一般の商社のみならず専門曲柱につきましても、具体的な必要が起れば具体的に相談をして広げていく、それから外貨予算につきましても、本年度六百五十万ドルというものを予定いたしておりますけれども、さらに実績に応じまして、必要がございましたならばこれも増額してもいい、そういう心がまえは持っておる次第でございます。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 まだ実は質問はたくさんあるのですけれども、委員長が急げ急げとおっしやるから、委員長に協力して、私二十分やっただけでしたが、本日はこの程度にとどめますが、この問題はきようで終るわけではございませんから、休会委員会が開かれます折にでも取り上げていただきたい、こういうことを要望して質問を終ります。
  93. 神田博

    神田委員長 これにて今国会における商工委員会の予定された議事はすべて終了いたしました。この機会に委員長より一言ごあいさつを申し上げます。  今第二十四回国会は相当長期にわたる国会でありましたが、本委員会はほとんど連日開かれ、特に委員会開会数は実に六十回を数えたのであります。これは各常任委員会中最高の開会数でありました。また議案の審査案件について申し上げますならば、本委員会に付託された案件、すなわち議員提出法律案三件、内閣提出法律案十五件、内閣提出承認案一件、計十九件のうち、撤回されました議員提案にかかる百貨店法案と、昨一日付託されました中小企業安定法の一部を改正する法律案を除く十七件の議案は、諸君の絶大なる御協力においてすべて議了いたしたのであります。この中には繊維工業設備臨時措置法案を初め、百貨店法案、その他幾多の重要法案が含まれておりましたが、なおその他幾多の緊急国策につきましても、きわめて熱心活発なる論議を尽され、しかも和気あいあいたるうちにその使命を遺憾なく達成し得ましたことはまことに同慶の至りであります。ここに委員諸君の御苦労に対し、深甚なる感謝の意を表するとともに、議事にふなれな委員長によく御協力を賜わりましたことをこの席から軍ねて厚く御礼を申し上げます。どうも大へんありがとうございました。(拍手)  これにて散会いたします。    午後一時三十五分散会      ————◇—————   〔参照〕  請願に関する報告書   〔別冊附録に掲載〕