○
多賀谷
委員 委員長に一言申しておきますが、事はきわめて重大なんです。そして今
企業局長がお話しになったのも、私はもう少し
答弁をしてもらいたいというくらい多岐にわたっての
答弁があった。ですから何もきょうぞんなに私は急ぐ必要はないと思う。えらく急がれておるが、法案はなるほど重要かもしれぬが、今日本産業が外資によってどうなるかというような質問をしておる。私は個々の会社の質問をしておるのではないのです。それがまだ日米通商航海条約の議定書の十五項が、しかも十月に失効するかどうかという問題が
政府で決定していない。
外交交渉しなければならぬ問題です。あるいは国内の政令その他を定めなければならぬ、あるいは法律事項になるかもしれない、こういう重大問題ですから、あまり時間の制約をされぬように、私も協力をして、引き延ばしておるわけではないのですから、一つよろしくお願いしたい。
企業局長に私は申し上げたいのですが、あなたの方はどうも誤解をしておる。またあなたの方の観点が違っておると思う、率直に。私はシンガー・ミシンは今申しましたように、ネーム・バリューがあるという話をした。あなたはその点は一致しているのですけれども、
外国人が資本を持ったからといって、その
企業がどんどん伸びるわけではない。それはその
通りです。ぼくは何もそんなことを心配していない。資本家が変ったからといって——資本主、株主がだれになろうと、八百屋さんになろうとふろ屋さんになろうと、あるいはほかの金融界の人になろうと、それは会社はそんなに変りませんよ。また
外国人が株主になろうとだれになろうと、そんなことは
企業として変るはずがない。しかし私は旧株というものは——新株のことではなくて、新しい会社を
設立するという話をしておるのではない。ですから今まですでにネーム・バリューを持ち、そしてかなり市場開拓をして、ごく売れる商品会社が乗っ取られるのじゃないか、こういう話をしておるのです。ですから光学
機械とかカメラとか、すでに会社としてその商標がかなり信用をされておるような会社が乗っ取られるような可能性がある。
外国人が資本を持ったからといってその
企業が伸びるということを言っておるのではなくて、せっかく伸びようとしておる
企業が根こそぎ持っていかれるのではないか、こういうような話をしておるのですから、その点は誤解があると思う。私は最近会社乗っ取りというのが盛んに行われているという事実を知っておるし、御案内の
通りです。私の近くのある炭鉱のごときは、二億二千万円の会社です。ところが六十三億から再評価積立金を持っておる。株は二百三十円ほどいたしておる。その会社がいつの間にか人のものになってしまった。それで社長以下ぞろり重役まで首を切られた。新聞ではあるいは白木屋のように大騒動しませんけれども、そういう事実が幾らでもあるのです。ですから非常に資本が少くて非常に優秀な
企業が乗っ取られるという可能性がかなりあるし、また一回
外国の資本が入ってきますと、なかなか排除することができぬのです。これはそうでしょう。旧株にいかに増資をしましても、結局旧株の株主が新株に対する割当をもらいますから結局排除することができない、こういうような状態である。しかもいわゆる民族産業といいますか、そういう産業には日本の資本は非常に過小である。もっとも
企業も小さい。しかも一般的に言いまして、日本の
企業が正当な、適正な資本金になっておると考えられないのです。このことは、今まで盛んに書かれ、またいろいろの人が述べておりますから申しませんけれども、とにかく過小資本であるという事実は見のがせないと思う。ですから資本金の何倍とか、あるいは何百倍という売上率を半期に持っておる会社は幾らでもあるのですから、私はこういう事情においては
政府が楽観論を唱えられておるということがどうもわからない。ただわかるのは、こういう例外処置をとることは
外国との
関係でうまくいかないんだ、どうしても日本だけが例外処置をとり得ないんだ、だから日本としてもどうも因るけれどもいたし方ないというのなら若干わからないこともない。ところが日本の産業に影響がないという議論をされると、どうも私は納得いかない、かように考えるのですが、もう一度御
答弁願いたい。