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多賀谷委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております
機械工業設備臨時措置
法案に対して、賛成の意を表するものでございます。
日本の
産業構造を高度化し、重化学
工業に重点を置き、その上に立って
経済自立の達成をする
意味において、
機械工業の振興は最も緊要なものであります。
機械工業は付加価値率がきわめて高く、外貨獲得率がまた高いのでありまして、わが国のごとく人口過剰にして
原料少き国におきましては、最重点的に考慮を払ってしかるべき
産業でございます。しかも近時
中国、
インド、ビルマを初めといたしまして、アジアの諸国家は
工業化の方向に進みつつあるのでありまして、その趨勢にかんがみましても、資本財の
輸出が十分期待されているのであります。しかしわが国の
機械工業は、幾多の欠点を持っておるのであります。
第一には、わが国の
機械工業は軍需を根幹として膨張してきたのでありまして、これを
輸出本位の
市場条件を前提としてきたものに再編成する必要があると思うのであります。
第二は、
設備の老朽陳腐化がはなはだしく、かつ今日まで更新が最もおくれておるのであります。しかも
競争国の技術、品質、研究、資本、営業がわが国に比して非常に進んでおるということであります。本
法案は、わが国の
機械工業の中心で、ことに最も劣弱なる部門でありますところの
基礎的
部分品及び部品部門を中心として
合理化計画を策定し、その
設備を更新する資金の確保をせんとする
法案でありまして、これは若干おそきに失する感はございますけれども、われわれは賛意を表する次第であります。さらに本法が生産分野の専門化、規格の統一に一歩を進められておるということは、まことに時宜に適した処置であると思うのであります。分業が徹底した部門ほど国際
競争力が強いのでありまして、ことに中小
機械工業が独立的な専門メーカーになることの基本としては、分業の徹底化、生産分野の協定の促進、統一規格の設定が必要であると
考えるのであります。この点につきまして、
需要者側の本法に対する協力
態勢が一段と必要に感ずるのでございます。
次に私は本
法案について、若干の
意見をこの際述べておきたいと思うのであります。第一には、最初本法は振興事業団の構想をもって出発されておったのでございますけれども、
事情により現在のような
法案になってしまいました。そこで私
たちはその事業団構想の中心である投資のリスクをどういうようにするか、すなわち
需要が果してあるかどうか、大メーカーとの
競争に勝ち得るかどうか、こういうような問題について全部企業にその負担を負わすことは今後果して伸び得るかどうかという点を
考えますと、若干疑問たらざるを得ないのでありまして、この犠牲を今後
政府において何らかカバーをしてやるという処置も講ずる必要があるのではなかろうかと
考えておるのであります。さらにまた資金の確保につきまして、最初
政府は三十億を
予定されておったと聞いておりますが、それが十五億になっておる。果して今後百億の構想を持って出発された本法が十分なる資金の確保ができるかどうか、この点についても
大臣の一そうの御
努力をお願いいたしたいと
考えるのであります。
次に本法の線に沿わないところの
中小企業についても、十分な考慮が必要ではないかと
考えております。これは先ほど小平
委員からも言われましたが、本法は六分五厘の開発銀行の資金で、しかも十年間で償還をする、こういう
条件になっておりますけれども、
中小企業金融公庫から受けますところの本法外の
中小企業につきましては九分五厘であり、さらに五年返済である、こういう
条件を見ましても、私は本法適用外の
中小企業対策も十分考慮していただきたい、かようにお願いをする次第であります。
さらに第三として、
輸出市場の開拓と確保に一そうの
努力を払っていただきたい、かように思うのであります。わが国の
機械工業の
輸出の歴史は非常に浅いのでありまして、ことに戦前にはほとんどその
輸出の経験を持っておりません。そこで
日本の製品に対する信用度が非常に低いのでありまして、同種、同等のものでありましても、欧米諸国に比して五%ないし一五%くらいの低い
価格で売らなければ十分買ってもらえない、こういうハンディキャップがあるのであります。そういうハンディキャップをどういうようにカバーしてやるかということがやはり
輸出振興の対策の
一つでなくてはならないと思うのであります。そこで
輸出価格の大幅の引き下げに対する臨時的処置もやはり考慮をしなければならない、かように
考えるのでございます。さらにそれに対するサービスとか、ことにアフター・サービスの問題とか、あるいは事前における宣伝の問題、こういうことも
一つ十分考慮していただきたい、かように
考えております。
さらにまたこの
機械工業の
輸出の点をいろいろ検討してみますと、独占的な優良メーカーが、十分
輸出に対する対策が立っていない、かように
考えるのであります。それは利潤が
内需に比して低いとか、あるいはアフター・サービスが必要であって非常に手間がかかるとか、あるいはまた取引が継続的でなくて不安定であるとかいうようないろいろなことがあって、とかく独占資本あるいは優良メーカーは
内需にその利潤を求めたがる、こういうような傾向にあることは否定できないのでございます。そこでこれらの優良メーカーの
輸出への動員
態勢を立てる必要がある、かように
考えるのであります。でありますから、その点につきましても十分御考慮願いたい、かように
考えておる次第であります。
さらにまたカメラとか、ミシンという、
日本製品で現在よく
輸出されております製品、しかも
外国において好評でありますところの製品につきましては、超重点的に政策をとる必要があると
考えられるのであります。これはスイスの時計が全
輸出量の四五%を占めておる、あるいはドイツの光学
機械が非常に
輸出率の高い度合いを占めておる、こういう点から見ましても、
日本も
一つこれらの製品を超重点的に振興して、そうして今申しましたような
状態にまで水準を上げる必要があるのではなかろうか、かように
考えておる次第であります。
さらに第五点といたしまして、国産化の推進の問題でございます。これは先ほど小平
委員がるる御説明になられましたから申し上げませんけれども、言うはやすくして行うはなかなか難いのでございまして、この点についても格段の
努力をお願いいたしたい、かように
考えております。
第六点といたしましては、材質の問題でございます。耐久性を生命といたしますところのこれらの技術的な商品は、素材という点が非常に問題でありまして、その良否、適否をきめる有力な要素が素材でございまして、特殊鋼その他の研究あるいは振興についても格段の
努力をしていただきたい、かようにお願いをする次第であります。
以上
希望条件を述べまして本
法案に賛成の意を表する次第であります。