○帆足
委員 そういうことでしたら……。非常にお骨折りの結果だと思いますが、私は卒然としてこの問題を見まして、一人の平均的教養のある市民として見ます場合、多少
輸出ということと展覧会ということとが、やはり
委員会などにおいても、概念の上で混同されておるのじゃないかという気もいたします。というのは直接の軍需品でなくて、こういう建設資材について、その実情を知るということは、直接貿易とは
関係がないわけです。商行為ではないわけです。従ってそのことはアメリカにおるソ連の商務官でも、また共産圏の国の商務官は世界各国におりますが、そういう人たちは、各国の展覧会を自分で見ることができるわけです。そういうものがたまたま上海、北京で開かれるというだけのことであって、
技術の専門家は、今日世界各国どこでも行けるわけですから、そこの商品陳列所でそれを見ることができるわけです。そればかりでなくて、現在まだ困難だといわれておる電子顕微鏡だとかテレビなどというものは、モスクワに行けば幾らでも見せてもらうことができるし、
技術も青写真ももちろん公開されているわけです。チェコスロバキアでも同じであります。従って北京、上海で
日本のテレビを見せてはならぬという理由がどうも私は納得できない。それは移動式のテレビなどを大量に
輸出する、そうするとそれが何か国境紛争などがあった場合に、軍事に使われるおそれがあるからそういうものはまだ
輸出しないというのならば多少の意味があると思います。しかしそれでも中国で軍事的に必要なものであるならば、チェコスロバキア、ソ連が無条件に大量に支給し得る余剰能力を持っておるのです。ロシヤでは百数十万の陸上部隊を今度減らそうという、そうすると直ちに兵器の余剰を生ずるわけですから、今さらそういうことを言うことも時代錯誤のことでございます。その上、展覧会というものは物を見せる会であります。今日ユネスコなどでも
技術の交流をやっておる。一番機密に属する原子力の
技術の交流、展覧会をジュネーヴでやって、共産陣営も資本主義陣営も最高の機密を握っている学者、
技術者がその展覧会に出席している。そういうときに
日本のちゃちな顕微鏡やテレビくらいを上海で見せることがいけないなんという感覚が、花の都のパリで発生するというのは一体どこから来たことか、私どもには全く理解できないことです。小学校のころより家のおばあさんから、お前理屈ばかり言うけれども、世の中は理屈通りではないよということをよく聞かされました。高等学校のときも学生課に呼ばれて、よく世の中は理屈通りいかぬから、帆足君もう少し君も人生を信じてみたらどうかというくだらぬ忠言を俗物の学生課長から言われました。今日私は、閣僚の一人としての
石橋さんから通産行政でそういうことを聞かされるのではどうも困ると思うのです。もちろんそう言ったところで、なかなか思い通りにならないでしょう。しかし国会で説明し得る程度の根拠がなければちょっと困難だと私は思う。従って私どものようなきわめて常識的な市民、政治家が理解し得ないようなことがココムで行われているということは、これはココムを一押しすれば、もう一押し
政府が強く押せば、
日本の意見が通るということにもなるのではないか。これはいかに通産省の実際に当っている皆様ががんばっても——
先ほどから私たびたび外務省をあしざまに言って済みませんけれども、やはり悪いことは悪いと言わなければならぬ。外務省は勉強が足りないのです。時代おくれです。英語の勉強だけしても仕方のないことで、学生時代に哲学でも経済原論でもしっかり勉強していないからそういうことになる。私は外交官試験の試験の仕方から変えなければ直らぬのではないかと思います。そこでなるべく
政府が御努力になって、困難なことはさぞかし困難であろうと思うのですけれども、しかし普通の文明人の常識で理解しがたいようなことが、外交や通商経済政策の上で行われていることを国
会議員が黙っているわけに参りませんからあえて言うのですが、全く非常識もほどがあると私は思うのです。
輸出制限の方はまだ仕方がない、まだ多少の、尾骸骨ほどの理屈が残っておりますが、展覧会がいけないなら、それなら一体何のためにジュネーヴで原子力展覧会を開いたのか。原子力展覧会を開かせておきながら、
日本のテレビを持っていって見せるくらいのことがいけないという。それも御無理ごもっともと言って、
石橋さんほどの方が下ってこられるということは、どうしても私は論理的に納得できません。あえてこれは
通産大臣の御
答弁をわずらわしたいのですが、先日このことは池田副幹事長にも言いました。それで池田君も、それは僕も同意見だと言っておりました。従いまして第一段階で成功いたしましたから、これはわれらひとしくその労をねぎらうのでありますけれども、そういうテレビなどというものは展覧会をにぎやかにするために必要な余興のようなものです。そういうものがいけないなどという感覚はどこから出たか。私は、外務省の代表にもう少し気骨があり弁の立つのがおって、たとえばわれわれをしてフランス語を熟達せしめたようなのがおって、ちゃちゃくちゃらにやっつけてしまえば返す言葉もないと思います。非常識の程度があまり極端ですから申し上げるのですが、この問題は池田君ももう一ぺん再検討しようと言っております。大
へん御苦労でありますけれども、他にもそういう品目があると思いますから御
研究していただきたいのです。これは政治問題ですから通商
大臣の御感想を
一つ聞きたいと思います。