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1956-05-10 第24回国会 衆議院 商工委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       大倉 三郎君    菅  太郎君       菅野和太郎君    椎名悦三郎君       島村 一郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    田中 角榮君       田中 龍夫君    野田 武夫君       淵上房太郎君    前田 正男君       南  好雄君    森山 欽司君       山本 勝市君    伊藤卯四郎君       加藤 清二君    佐々木良作君       佐竹 新市君    多賀谷真稔君       田中 武夫君    田中 利勝君       帆足  計君    松尾トシ子君       松平 忠久君    水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君         専  門  員 越出 清七君     ————————————— 五月九日  委員林唯義君及び田中武夫辞任につき、その  補欠として山本勝市君及び田中稔男君が議長の  指名委員に選任された。 同月十日  委員田中稔男辞任につき、その補欠として田  中武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維工業設備臨時措置法案内閣提出第八三  号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  繊維工業設備臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。中崎敏君。
  3. 中崎敏

    中崎委員 この法案のねらいとするところは、一つには輸出に関するやや秩序の立っていないような面を、この法案の運用によって相当好結果をもたらすということがその一つのねらいのようでもありますが、現在においても輸出の過当な競争等によって国の内外において不信を来たすとか、あるいは国の経済に不利益をもたらすというようなことについては、政府の方でも業者との連携等においていろいろな手を打っておるように感じておるのであります、そこで、それでなおかつ不十分である、従ってこの法案がいよいよ法律となって実施されたらば、こういう点において具体的に利益があるんだ、こういう今までの不都合というか、適正でない問題が、具体的にこういうように解決されるんだというようなことについての説明を願いたいと思うのです。
  4. 小室恒夫

    小室政府委員 お話通り輸出面あるいは生産面において、輸出品売り込み競争が過度になって安値売りが起らないように、あらゆる措置を講じておるのでありますけれども、しかしながらそれだけではまだ弊害を是正するに至っておりません。やはり繊維品需給の根本的な調節をはかるためには、長期的に見れば設備が乱設されないというような保証がある方がいい、もちろん需給状況は毎年々々変っていくのでありますから、毎年々々の需給状況に応じて新増設を必要とすれば、これは秩序立った新増設を行わしめる。またここ数年の需給関係から見て、明らかに過剰になっております設備は、やはりその状態を是正してこれを処理していくことが必要だと思いますし、特に中小企業の多い織布部門等につきましては、織機の過剰という事実は疑うべからざるものであります。また古い織機が相当あるということも事実でございます。そういう面に重点を置いた処理をいたしていくということが、結局日本繊維品の安売りを防止するということに通ずるわけであります。もちろんこれはある程度長期的な対策ということでございますから、これをやったら直ちに値段が幾ら上るというようなすぐの効果はないかもしれませんが、しかし長期的にはきわめて有効な結果が現われてくるということを確信しておるわけであります。
  5. 中崎敏

    中崎委員 この法案一つのねらいとして、秩序立った計画に基いて機械設備を適正に調整する、それは同時に輸出上においても好結果をもたらすというような説明があったのでありますが、そういう考え方に反対しようとは思わないのでありますが、それではそうした問題はただ繊維だけに限ったわけじゃないじゃないか。これは通産大臣にお聞きしたいのですが、こういうことは他の産業全体にも当然起る問題である。なるほど輸出面から見れば繊維産業は第一位を占めるというくらい重要なウエートを持っておるのは事実でありますが、国の産業全体から見たときに、一定の秩序を立ててむだを省き、そして計画の線に沿うてこの経済計画し、同時に国民生活の向上をはかり、適正な規制をはかっていくということが必要であるというように考えておりますが、それが繊維に限って具体的に取り上げられて、そのほかの問題についてはあまりまだ政府の方において具体的な計画熱意を持っているというようなことを私たちは聞かされていないのであります。この点についての通産大臣のお考えを聞きたいのであります。
  6. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説の通りでありまして、日本産業設備の過剰や、あるいはその改善に十分なことができないということは繊維に限りませんが、しかしこれもお説の中にありましたように、日本産業としてはやはり繊維産業というものが王座を占めております。またその中の中小企業等も最も数が多いし、それに深刻な影響を与えるものは、繊維事業でありますから、まず繊維事業について処理をするということが一番必要だと思うのです。これは一度に何もかもやるというわけになかなか参りませんから、まず最も大切なる繊維事業について御協賛願いたい、かように考えております。
  7. 中崎敏

    中崎委員 この問題についてのあまり突っ込んでの論議を差し控えますが、いずれにしてもこうしたような問題は、ただ単に部分的に一つの業態を取り出して、それだけと取り組んでいくということは、今育ったように、政治のあり方としては妥当でないというふうに考えておるわけでありまして、この線に沿うて政府の方においても、さらにもう少し総合的な企画の上に立って、強力な施策を推進していくというところの熱意と努力を、一つ払ってもらいたいということを要望しておきたいと思うのであります。  またちょっと関連するのでありますが、そういたしますと、法律によって設備規制していくという、いわば画期的な一つの行き方でもあるのでありますが、今まで自由民主党一つ主張が、それぞれ自由な経済にまかしておけば、水の流れるがごとく、機械設備が多ければだんだん自然な作用によって調整をされるということになっていくから、そこに自由経済の妙味があるということで、一切の政治方針をそこに持ってきて進めておられる。それなのにもかかわらず、今回の場合においては、強力な画期的な一つのこうした法律を作ってやっていこうという考えであるのでありますが、この点については、相当大きく自民党の今日までの主張を曲げるというか、大きな方向転換考えられるのでありますが、そういうふうに解釈してよろしいのかどうか、お聞きしたいのであります。
  8. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私の承知しておる限りにおいては、今日レッセフェール——むろん全くの自由放任主義主張しておる論者は、いかなる部面においてもないと思います。でありますから、むろん今日においてはできるだけ個人イニシアチブを尊重する、個人イニシアチブの発揮を妨げないということを基礎にいたしておることは、これは自由民主党主張でありまして、その点においての自由主義であります。しかしながらその事柄々々に応じてある程度規制を施すことは、われわれの主張と何ら矛盾いたしておりませんつもりでありますから、今までの自由民主党主張繊維工業設備臨事措置法案が食い違うとは思っておりません。
  9. 中崎敏

    中崎委員 この点非常に私たち納得いかない点でありまして、もう自由主義経済基本をこれによって大きくゆがめておるのであります。まるきりこれは百八十度の方向転換であります。言いかえると、現在の業界に携わっておる人たち意思いかんにかかわらず、強権を発動してそして登録をさせて、その線に沿うて設備の制限を強力にやるというのでありますから、自由主義もへったくれも何もあったものではない。まるきり国家権力によって押えつけていくというわけでありますから、どう見てもこれは著しい大きな方向転換であるという考え方を表面に出されない限りにおいて、説明のつかない問題だと思います。この点については、相当考え方を変える必要を認めて、それによってこの法律案というものが進められてきたのだというふうな説明をしてもらわない限りは、どうも納得がいかないと思いますが、その点いかがですか。
  10. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今も申し上げた通りでありまして、われわれの自由主義はこういうことをやるのも自由主義なんです。その必要に応じて適当な政策をとっていくことは、昔のレッセフェール、何もかも自由放任主義をやるというようなことは、いまだかつて申したことはないのであります。
  11. 中崎敏

    中崎委員 そうしますと、自由民主党理念であるところのいわゆる自由主義は一体どういうものであるのかということをはっきりしてもらいたい。これは政治基本に関する問題であるから。いわゆるレッセフェールの、あるいは自由放任主義でないということが一応今説明されましたが、それでは、その自由主義というものはどういうふうに変貌してきたのか。今日の段階においてどういうふうな方向に立って、それで社会主義考え方と一体どういうふうな開きがあるのかということを具体的に御説明願いたい。
  12. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これはなかなか大問題でありまして、一冊の本を書かないといけないのでありますが、しかし今日の自由主義というものは御承知の通り、昔の自由主義そのままが今日どこの国にも、どこのところにも実施されているということではありません。これはマルクスが百年以前に言うた例の共産党宣言の中に書いてあることは、あらかた今自由主義のもとに実行されている。そういうふうに流れていくのが自由主義で、妙な講義みたいなことを言うつもりはありませんが、自由主義というのは自然発生的に、人間生活に応じてできたのが自由主義でありまして、いわば社会主義の方はいささかイデオロギー的に出て参りましたから、イデオロギーにいろいろ執着されるでありましょうが、自由主義の方はイデオロギーに執着しないのです。実際の人間生活に応じた、人間生活を伸ばすのに最もいい施策をするのが自由主義であると私は考えております。これは非常に理論的な論争でありますから、きょうは一つ御勘弁を願います。
  13. 中崎敏

    中崎委員 自由民主党は一国の政権を担当して一つの大政党として、しかも大政務調査会もお持ちになっている。政府の方においても経済企画庁もあれば、さらに通産省の中にもこうしたようなことを考えながら新しい政策か立てられるような機構もあるようであります。そういうようなことをして、自由主義というものは現在の政治り上において一体どの程度までこれが当てはまるようなものであるか、具体的にはどういう方向をとるものであるかということがはっきり示されない限りにおいては、一切の政策がこれから流れ出てくる、ちょうど川の源みたいなもので、それから川が流れてくるようなものでありますから、そういうものがはっきりして、政治目標国民の進んでいくべきところの一つの指針というものが示されるものではないかと思うのであります。そういう意味においていうのであるならば、一歩何らか形の変った修正資本主義というふうな——これは主義であるかどうか知りませんが、かつて一つ政党が唱えておったのだから、そういうものを一応認めていいと思いますが、そういうふうな程度のものであるのか。もう一歩進んで社会主義に近いようなものであるかどうか、それを一つお聞きしたい。
  14. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これはさっきも申しますように、理論闘争になりがちでありますから、あまり深入りしたくないのでありますが、要するにイズムにとらわれないのが自由主義なんです。ですから、さっき申しますように、自由主義社会においてすでにマルクス主義が取り入れられて、実行されている。同じように今までの自由主義というものは自然発生的でありますから、そのときの人間生活の必要に応じて政策が実施されるのでありますから、むろん社会主義主張されていることも幾らでも取り入れられておりますし、今後も取り入れられるものと考えております。
  15. 中崎敏

    中崎委員 あと関連があるそうですから、この問題一つだけで何しますが、イズムにとらわれないのが自由主義だと言うのでありますが、自由主義そのものイズムではないかと思うのであります。すなわちイズムにとらわれないと言いながら、そのイズム自分自身がとらわれているということになるのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  16. 石橋湛山

    石橋国務大臣 どうもこの応答は困るのですがね。自由主義という名前は、いわゆる自由主義主張者というが、何か実際にやっている者がつけたのじゃない。社会主義者から自由主義とかあるいは資本主義という名前をつけられたのです。イズムというものをわれわれはつけておらないのだが、その反対のイデオロギーを持たるる方からイズムとしてそういう名前をつけられた。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 関連して。この問題は、この法案を審議するところの前提条件であり基礎的な問題であると思うのです。これが石橋通産大臣鳩山内閣伴食大臣ならわれわれは伴食大臣として取り扱って、こういう基本的な問題を大臣質疑を繰り返そうとは思わない。少くとも鳩山内閣における経済政策の頭脳であり、大成を待望されている政治家としての存在であるから一通産大臣ではない。国務大臣として将来保守党の陣営における経済政策のチャンピオンであるその人が、そういうわけのわからない経済理論をもってこの法案に臨むということについてはわれわれは看過できませんから、従ってこれは鳩山総理大臣に聞くよりも経済政策については石橋通産大臣に聞いた方が鳩山内閣を代表する答弁が得られると思うから、私はあえてここで聞きたいと思うのでありますが、自由主義経済イズムにとらわれない、そしていろいろな状況に適応していくような政策ができるのが自由主義経済だ、要約すればこういうような御答弁であったと思う。それならば、その適応していくというような条件業者自身の中からずっと出てくるものでなければ自由主義経済ではないと思う。創意工夫してみなの意見を盛り上げてその中でいいものがどんどん伸びていくのだ、へたな人為的な手段方法を加えない方がかえって発展になるのだ。こういうことが自由主義経済だとわれわれは理解している。それならば繊維関係の問題に問題を要約してみますと、過剰投資が行われて、そうして現在それを整理しなければならぬ。こういう国民生活とそれから経済の正常な発展と違った形がここにもうできてしまった。こういうものをこしらえてしまったのは何かというと自由主義経済欠陥なんです。こういう欠陥ができてきたので、これは見のがせないからというので、これを何とかしなければいけないというのが現在の法案だと思う。もし自由主義経済がほんとうにいいならば、こういう欠陥は生まれないはずです。生まれない前に情勢が、国際情勢が変れば国際情勢に適応し、国内事情が変れば国内事情に適応するような経済現象というものがそこにできてこなければならないはずなんです。それをこういう欠陥を作ってしまった。たとえばその辺にやたらに自由放任に家を作ってしまってから、道路を作らなければならぬということがあとからできてきて、家をつぶして道路を作る、こういうのが自由主義経済だと思う。その結果として具体的に、たとえば石橋通産大臣政策の中でどういうことが行われているかといえば、硫黄が生産過剰だからこれを抑えるといって人為的に押えたから今度は数量が少くなっちゃって、硫黄転出国であった日本が海外からまた輸入しなければならぬ、こういうことをやっている。あるいは石炭の問題も、自由にやっておいて、そうして今度は整理しなければならぬということでやった。やっている途中で今度は石炭値段が上ってきたら、もう去年決定した案が実行できないという状態になってきている。これは、何も計画性を持たないで出たとこ勝負で、ここにできものができたからできもののこうやくを張ろうというようなことが自由主義経済であるとするならば、石橋通産大臣は新しい時代における保守党政治家としては伸びない、これが最後だ、石橋通産大臣政治家としてのぎりぎりの限界じゃないか、そういう頭でいけばもう先はない、そのことをぼくは石橋通産大臣のために悲しまざるを得ないわけです。ですからこの法案が生まれてくるようなこういう不満な条件をここに自由にこしらえてしまって、できたところのものを何とかしなければならぬというような、こういうことは自由主義経済欠陥じゃないでしょうか、基本的な免れることのできない条件ではないか、今までの時代ではよかったけれども、少くとも今の時代には適応しない手段ではないか。だからどこの国だって計画性を持ってちゃんとやる、こんなことのないようにもっと計画性を持ってやれば、私はちゃんとできたと思う。社会党は雨が降りそうになれば屋根をふくのです、自民党は、保守党自由主義経済というものは雨が降ってから、あっ雨が降ってきたということであわてて屋根をふこうとしておる、こういうのが自由主義経済欠陥ではないかと思うのです。私はあえてこの基本的な問題をいろいろ伺おうとは思わないのですけれども、具体的な問題で、繊維産業というものを今日のようなこのような状態に追い込んだ責任は、石橋通産大臣政策失敗じゃないでしょうか。その失敗をここで何とかしょうということは自由主義経済の行き詰まりではないですか、これを基本的に聞きたいと思います。
  18. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは実際の実行においては失敗もございます。それは、もし全部失敗がなくてすべてがなめらかにいこうものなら、新しい政策の必要はないのでありますが、今度の法案のごときも出さなければならぬというのはお話通りどこかに失敗あるいはまずいことがあるから、新しい法案を出さなければならぬということは事実とありますから、それはもう率直に私もそれを認めざるを得ないと思います。しかし自由主義というものは——自由主義論争をする必要はないのじゃないかと思うのですが、自由主義というものは、それはレッフェールというものをだれも主張しておる者はないし、またそれは実行ができるものではないと思うのです。ですからこれは私から言うと、実際は自由主義とか社会主義とかいう区別はないのですよ。だから社会主義という何か一種のイデオロギーみたいなものがあって、これを特に主張すればそれはあるかもしれませんが、結局は一つのものであって、いかにしてわれわれがいい生活をしていくかということに帰着するのでありますから、実はこれはどこかの政党政策なんていうわけにもいきませんが、私の考えでは今日の世の中におきましては自由主一義とか社会主義とかいうイデオロギー区別はない、こう思うのです。それをやれば必ず誤まりが出てくる、こう思うわけです。(「そんなことはない」「あなたの政策の中にそういうものはないというだけだ」と呼ぶ者あり)まあこの論争はどうかこの辺で一つごめんをこうむりたいと思います。
  19. 中崎敏

    中崎委員 実はこの問題はこの程度でとめておきたいと思ったのですが、何だか石橋大臣の言われることに、またちょっと新しい納得のいかない問題が出てきたので、もうちょっと触れておきたいと思うのであります。実は現在日本において二大政党というものが現存しておるわけであります。その二大政党国民に対してどういう目標理念  進んでいくべき目標と、どういう考え方を持って一体進んできておるのかということをはっきりとさせておる。そうしてそれはお互いがフェアの立場に立って政治的な争いもやり、同時に国の政治を進めていくという一つの道しるべになるのだと思う。そういう意味において、国民は少くとも自由民主党自由主義という一つ考え方の上に立っている、社会党社会主義の上に立っているということを信じている。しかもまた実際において自由民主党自由主義の上に立っておるということは、はっきり鋼領政策の中にも織り込まれておると私は信じておる、社会党においてももちろん社会主義の上に立っておるということははっきりとしておる。そういう意味において、今日においては自由主義社会主義もないと言われるにかかわらず、現実にはちょうど、たとえば宗教の場合において、南無阿弥陀仏とか南無妙法蓮華経とか、信仰する一つ目標というものがあるわけです。それがどうも石橋さんのような場合においては、社会主義自由主義もないのだと言われる。政策の面においては両者相交錯するようなところがあるでしょう。たとえば社会主義立場からいってもこういう政策はいい、あるいは自由主義的な考え方の上に立ってもこういう政策はいいという、政策の面においてはそういうように両者相共通する点もあるかもしれない。けれどもそのもとの基本的な考え方理念の上においては明らかに相違があるのだと思うのでありますが、一体この点について、政策一つ理念、そういう類のものと混同しておられるのではないかと思うのでありますが、この点を一応お聞きしたいのであります。
  20. 石橋湛山

    石橋国務大臣 理念とかイデオロギーとかいうことを言い出しますと、これはなかなか議論のあるところと思います。しかし実際問題として、これもまた論争になっては困りますけれども、二大政党の場合にもあまり政策というものは違わないのが、私は政治の上では理想だと思うのです。今は自由民主党がやっておる、翌日社会党政府をやった場合に、まるで昼から夜になり、夜から昼になるというような激変が政策の上に起るということも、実は国民生活の上からおそらく好ましくないこと、でありますから、あまり変化がないのがいいのじゃないかと思う。また事実国民生活ということを中心にして考えれば、実際あまり変化は起らぬと思う。これは小さな例でありますが、ここに水谷君がたまたま見えておるが、かつてわれわれと社会党政策の協定をしたことがありますが、そのときに具体的の問題として検討していきますと相違は起ってこないのです。ただしまいの看板が、最後において社会党は国有をやるというような看板を出しますと何か違ったようなところがありますが、本日何をやるとか霊日何をやるとかいうことになるとそうそう大した違いはないので、当時は話し合いはついたのが……(「小選挙区はどうした」と呼ぶ者あり)小選挙区問題でも同じことでありまして、話せばわかるのでありまして、そんなことは話してわからないことはないと思います。話してわからないのはおかしいと思う。まあしかし、先ほど申しますように、これはおもしろい話でありますが、これはゆっくり他の機会に譲ることにして、この場合は商工委員会でありますから、どうか御了承願いたいと思います。
  21. 中崎敏

    中崎委員 それでは一つ方向を変えまして、過当の競争を防止する方法としてある程度計画性を持たせ秩序立った方向でいくということで繊維工業設備臨時措置法案を出しておられるのでありますが、設備の過剰と、従って生産過剰に陥るおそれがあるということを食いとめる一つ方法として、今までいわゆる勧告操短というような方法によって、少くとも紡績についてはそういうふうな措置を講じてきておられたわけであります。しかも織機等については中小企業安定法の発動によって、必要な限度においてそれぞれの措置が講じられておったのであります。それが今回方向転換されて、逆に今度は設備を直接法律の規定によって措置する。今までは設備はそのままにしておいて、ただその操業する程度をある程度抑えていこうという考え方であった、今度はそのもとにさかのぼって、設備をまた法律によって強力に制限していこうというような方向に転換したわけでありますが、そういうふうにしなければならないという具体的な必要性は一体どこにあるのか。今日まで一応目的を達しておったと思うのです、それが今度は法律によって今言ったように具体的に制限しなければならぬというような新しい必要性が一体どこから生まれてきたかということをお聞きしたい。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 この法案は、実はわれわれとしては今までやっておりましたことから非常に差があり、方向が、変ったものとは思うておらないのであります。ただ、今まである程度行政指導等についてやっておりましたことが限度にきておりますから、それでこの際法律上のバックを持った方法によって、今までやっておったことの強化をはかり、より一そう有効に実施したいということであります。
  23. 中崎敏

    中崎委員 最近の実情を見ますと、繊維品も相当に値上りを来たしておる。今後においてもなお相当に値上りをするのではないか。ことにこの法案が国会を通過して法律となってこれが実施運用されるに至ったならば、相当に繊維品値段も上るであろう。勢い今度は一般国民、消費者大衆に迷惑をかけない、より好転をさせるのだという主張の上に立っておるこの法律案も、逆にやはりわれわれが心配しておるように、国民全体に高いものを売りつける、言いかえればやや独占的な形というものが法律的根拠の上に立って、そしてこれが実際においてそういう悲しむべき結果が生まれてくる。結局高い品物を国民に売りつけるという結果になり、その反面においていわゆる十大紡を中心とするところの大資本家だけがうまくやっていくことになるのじゃないか。一昨日もこの委員会において参考人からの発言によっても明らかでありますが、十大紡の占めておる利益だけを現在において考えてみても、昨年の下期、本年の上期あるいは本年の下期といったものを予想してみたときに、倍、三倍という実に膨大なる利益が生まれつつあるということが言われておるのでありますが、こういうことになれば、勢い国民大衆が非常な犠牲を強要されるという結果になることを心配するのであります。操短の問題と今度のこうした法律案の越州による見通し等についての問題、ことにこの中小の紡績あるいは織機会社がどういうふうになるかということよりも、大きなるところの大紡績会社のみを中心とする利益というものが、独占的な形において大きく生まれてくるのではないかということを心配するのであります。その点を一つ十分説明をお聞きしたいのであります。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 最近の繊維品の市況、あるいは将来の若干の見通し等につきましては、政府委員から説明をいたさせますが、大体われわれは前から、皆さん御承知のように、日本繊維というものは非常に暴騰、暴落が激しい部面がありまして、これがかえって産業の安定を害する。ですからわれわれは、この法律産業の安定を害さないように、産業の安定をはかりつつ、しかも品質、価格ともに適当な良品を国民に供給し、輸出を増進するという目標で、やや長期にわたった見通しからやっておりますから、さしずめの市況については、先ほど局長も申しましたように、すぐにこれを実行してやるということはないと思います。長期の見通しとしては、かような方策を講ずることがぜひ必要だと私も、考えておるわけであります。  なお近ごろの操短等の問題につきましては、政府委員からお答えいたさせます。
  25. 小室恒夫

    小室政府委員 この機会に最近の綿糸布の価格の状況、操短の関係等を簡単に御説明申し上げたいと思います。  最近、綿糸布の価格が三品市場その他において、また実物市場においても異常な高騰を遂げておることは事実でございまして、この原因はいろいろございますが、まず第一には昨年の秋以降、本年の三月ごろまでにおける輸出の非常な増加でございます。これは世界景気の増大に伴う輸出の増加ということもございますが、特にアメリカ向けに輸出調整を実施することとからみまして、多少思惑的な要素も伴った異常な輸出が昨年の十−十二月、本年一—十二月に出ております。たとえば昨年の毎月の輸出の積み出しは、綿糸に換算いたしまして七万コリ程度であったのが、昨年の十二月には十二万コリというような記録的な数字が出ております。本年一−三月も非常に多いのであります。これにインドネシア市場が少し活況を呈したとか、あるいは綿のリンク制が改訂になったということを見越して若干の輸出があるとかいういろいろな事情輸出が非常に増大して実需を圧迫したというか、一般の綿糸布市況を高騰せしめた最大の原因でありますが、それに加えまして、昨年の十月、十大紡のストがありまして、輸出四万コリばかり輸出適品あるいは内需においても必要とする三十番手、四十審手の糸が大減産になりまして、これがからみ合いまして、需給を一そう逼迫させたのであります。特に世界的に見て米綿が先安であるというような見通しが相当強かったために、夏物等の手当については非常に手控えておったというような事情もあって、いよいよ夏物の実物の手当をしなければならぬときに、輸出の増進のために内地の品がすれが起ったというようなことで、人気的にも非常な高騰を見たのでありますけれども、そういった輸出の増大の水準というものは、今後そのままなかなか維持できない見通しでありますし、夏物の実需の手当が一段落した後においては、需給状況が相当変ってくると思うのであります。しかしながらこういう輸出品としても価格を適正なところに維持することが必要でありますし、また内需の必需品としてもできるだけ安いものを供給することが必要でありますから、政府としては昨年末以来ずっと操短の率を緩和して参りまして、昨日操短を七月以降全廃することにいたしたわけでございます。もっとも五、六月ごろの操短率四%というものは、現実のことから申しますと、ほとんどフル操業でありまして、ただ操短を実施しておるために人気的に価格が上ることをささえておるような感じがまだ残っておるものですから、操短の撤廃を決意した次第でございます。しかしながら最近の輸出の数字、または内需の数字等にかんがみますと、今後数カ月推移いたしますと、おそらく需給はむしろ生産の方が若干過剰ぎみになるのじゃないかというふうに考えております。相場の先行きについては私ここで申し上げることは避けたいと思いますが、いずれにしても今日のような価格の状況は続いて参らないと思いますし、また繊維法案を運用するに際して、設備を押えて、それで価格をつり上げていくというふうな考え方というものは私ども全くとっておりません。最近の価格の状況を簡単に申し上げました。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
  26. 中崎敏

    中崎委員 こういうふうな最近における価格の一、二割程度の高騰ですが、こうしたような高騰が、今の説明によると、それほどまで予想していなかったというふうに考えられるのでありますが、その通りでありますか。
  27. 小室恒夫

    小室政府委員 先ほど申し上げたように、十大紡のストとか、あるいはまた輸出の調整に前後する異常な積み出しとか、こういう点はその程度の規模において予想せられなかったのでありまして、また実需筋の手当等もどの程度に進んでいるかというようなことは、それぞれのふところ勘定といいますか、何でございますから、そういうふうに推移するということはだれも考えておらなかったのじゃなかろうかというふうに考えております。
  28. 中崎敏

    中崎委員 言いかえますと、政府側における予期せざることもあったかもしれませんし、一面においては不明のいたすところとして操短までやられた、そういうことなんです。操短まで勧告して、いわば独禁法に触れるとか触れぬとかいう問題もあったのでありますが、強引に政府の責任においてやられた、その結果がこういうふうに予期せざるところの値上りになってきておる。従って国民に大きな迷惑をかけているという結果になっておるのであります。言いかえますと、今後この法律ができて登録制限をやられた場合においても、やはりその場合にストが起らないとはだれも予定できない。そのストがいつ起るかということも、なかなか予定できるものじゃない。従いまして、そうしたような予期しないといいますか、不測のことが起って、それによるところの一つの市況の混乱というものは、かりにこの法律が通過して登録制限をやられても起るばかりでなく、混乱はより多く起るのじゃなかろうかということが考えられる。輸出の面においてもそうなんだ。社会の動きによって一つの波がある。それによって一つの長期計画を立てると言いながら、やはりその波というものは容易に予測できないという実情はたくさんあり得ると思う。そういうことになると、結局において迷惑を受けるのは、やはり国内にしわ寄せになるというようなことによって、国民並びに国民経済の上にその影響があるということになる。やることはやるけれども、おれは責任は負わぬ、今回のような値段をつり上げるような結果になってもおれは知らぬということになって、責任をのがれるということになったら、一体国民はどうしていいかわからぬというふうな結果になるのじゃないかと思います。今度は今のような予測し得ない時期において、設備機械をつぶしてしまって、そしてこれでいいんだというようなことで、まくらを高くしておるよりも、逆に機械が余分に残っていて、いわゆる操短をやるようなことによって、いつでもこれが必要に応じて動員できるような態勢の方がいいんじゃないかというようなことさえも考えられる。政府説明によってみても、逆にその方がいいんじゃないか、スペアが余分にある方がいいんじゃないかというような気もするのですが、この点いかがですか。
  29. 小室恒夫

    小室政府委員 過剰設備処理と申しましても、方法はいろいろあるのでございまして、むろん絶対的過剰と申しまするか、古いものを中心にして、ここまではどういう場合にも要らぬだろうと常識的に推測のつくものは、スクラップ化していくということも考えております。しかし同時に封緘とかあるいは格納とか一時的にこれをたな上げしておくということも、過剰設備処理の中に考えておるのであります。将来景気の変動によって、当然稼働を必要とするような設備までも、これをスクラップ化するということは全然考えておりません。
  30. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 維維製品の値上りについて一応お尋ねしておきたいのでございまするが、繊維局長はただいま繊維設備法律には何ら関係がない、このようにお答えになったのですが、これは頭隠してしり隠さずの論でございます。なぜかならば、一昨日ここへ参考公述に原吉平さんも来られまして、その原吉平さんに私は質問を試みたのでございまするが、問題は、値上りの材料が少いにもかかわりませず、いや値下りの材料が多いにもかかわりませず、今値上りがきておるということでございます。ここに着目しなければならない。どうして値下りの材料があるのかといえば、第一番に世界の原綿の相場は一般に下降をたどっております。ずっと下降しております。どこもかしこも下っております。原毛にしてもさようでございます。ここ両三年というものはどんどん下って、豪州相場は普通規格品七七Bにしても、あるいは七八Bにしても、百ペンス台を割っております。百四十ペンスが百ペンス以下になっておるのでございます。このものはイギリスが買おうと日本が買おうと同じことでございまして、日本だから高く買ったということはございません。ただ原綿をよその国よりもやや高く買ったと思われるのは、近いうちではつい去年きめられたところの余剰農産物だけでございます。これがメキシコ綿よりも一割高でございました。次にブラジルの綿でございまするが、これも石橋さんのおっしゃるところの拡大均衡論のおかげでやや高く買わされておる。二割高でございます。しかしそれの占める量というものは、総体の日本の原綿の買い付け量から比較いたしますると、ほんのわずがでございます。値下りの方が多いのでございます。一般に値下りを来たしたので、アメリカとしても手持ちの原綿をつい先ほど放出いたしました折に、安く出さなければならないという状況下に追い込まれております。つまり原綿の世界相場、原毛の世界相場は下降の一途をたどっております。次にもう一つ値下りの材料がございます。それは、日本政府は今年度原綿の外貨割当も、原毛の外貨割当も増加させていらっしゃるということでございます。去年よりもふえております。材料が安くしてふえたということは、これは値下りの大きな原因でございますことは、自由主義経済の本山でいらっしゃる大臣さん、よう御存じのはずでございます。これが一番大きい原因。去年のストが影響があったとおっしゃるけれども、去年のストはわずか四万コリ程度のものです。在庫品だけでもあの当時四十万コリ、いや五十万コリあるといわれておった。在庫の十分の一がふえた減ったによって三品市場に二割も三割も値上りがくるというようなことは、ばかな話です。そんなことは納得できません。何がゆえに値上がりがきたか。なるほど繊維局長のおっしゃいました輸出状況が伸びたということ、これは納得いたします。これはよう覚えておいて下さい。輸出が伸びる、現在よりも伸びる、そのために値上りができているとおっしゃいましたが、これは事実でございます。伸びます。伸びなかったら、大臣の外交折衝が下手であったということであり、重光さんの賠償のやり方が失敗に終ったということになるわけでございます。特にフィリピンを初めとして東南アジア向けのものは、外交の折衝がうまくいけば必ず伸びます。従ってそれが思惑の中に加わったとおっしゃるならば、それは認めましょう。だれしも認めるところでございます。ところがそれもしかし海のものとも山のものとも、まだ見当がつかない状況で、そういうことが市況に影響するとは考えられないのでございます。従って現在のところでは値上りの状況ではないのでございます。しいて言えば、内地の消費が去年の農村景気のおかげでふえるではないかと思われた点でございます。しかしこの点は相殺されております。もしも農村景気がよろしいということであれば、ことしは小幅木綿の生産が伸びておらなければなりませんが、それが伸びておりません。むしろ去年よりも減少しております。従って商家一般はこれを見越して生産をしておりません。だからこれは相殺です。さてそうなって参りますと、値下りの材料はございまするが、値上りの材料、これという値上りの材料は、ほかに求めることは困難のようでございます。ただ一つ、ここにある。それは繊維設備を制限される、制限された暁は、当初の法案にもありましたように、コストから生産数量にまで必ず制限が及んでいく。法律の面からは削除されましたけれども、及んでいく。   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 これの見通しが一番大きく市況に影響しておると思うのでございます。  第二点は、三品市場につなぎの場で行わるべき、つまり業者の資本だけで行わるべきものが、業者以外の資本がここに投入されておる、こういう問題でございます。これが思惑買い、思惑売りをやって、大きく市況に変動を来たしておる。決して設備が多いからこの価格に変動を来たしているということではございません。設備が市況に及ぼす影響よりも、三品市場の思惑が市況に変化を及ぼす影響の方がさらに大きいと思います。この点について大臣の所見を伺いまして、その答弁のいかんによって追って質問をいたします。
  31. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いろいろ詳しくお話を伺いましたが、確かにそれはもう繊維市場に思惑が非常に強く効くということは、これは昔からの事実であります。最近においても同様と思います。それをなるべく、その思惑によって好ましからざる価格の変動等を起さないように、できるだけ——それは全然起さないというわけにはなかなかいろいろな事情が起るから不可能でありましょうが、できるだけその思惑の幅を小さくする、変動の幅を小さくするというのが繊維政策一つのねらいだろうと思います。今度の法案もそういう意味においてこの価格の変動、思惑の幅を小さくするという効果をねらっておるわけであります。
  32. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 答弁が不足です。その答弁では満足できません。御承知の通り昭和二十九年には二〇の双糸にして一コリ八万円台を割ったことを御記憶でございましょう。そのときに紡績筋は何と言ったかというと、せめて八万円台でなければ採算がとれません、こう言うておられた時期であります。しかしそれでもなお生産は続いておったのであります。なぜかなれば、それでもそろばんははじけるからであります。しかし今日の相場を見ますと、それから一コリ一万円を上回りまして、八万七、八千円前後しているのでございます。大へんな値上りでございます。それだけならばまだよろしいですが、毛の方は、安い材料を大きな会社は半年から一年間分持っておる。去年の材料でございます。百ペンス前後の原毛でございます。これを大量に糸を引きますと、だれが原価計算をやりましてもポンドまず六百円から七百円持てば十分に採算が合うのでございまするが、これかポンド当り千円を上回って、ついきのう、きょうではストップ高を新聞は報じ、三品市場はものすごい活況でございます。その結果はどういうことを来たしているかといえば、さなきだに原料高の製品安で苦しんでおりまする機場が、ますます原料高で苦しむ。原料高で苦しむだけならばよろしいですが、ついでのことに好む糸が買えない状況を来たしておるのでございます。スフ綿がべらぼうに増産されましたので、綿が買いたいときにはスフ綿をついでに買わされるのでございます。いえばあなたは自由主義経済であるというのにもかかわりませず、抱き合い販売がここで行われているのでございます。その結果は、今日ここへ御臨席の委員諸公の中にも機場を経営していらっしゃる先輩を私はよく知っておりますが、この方々は原料を買うのに非常に難渋をしていらっしゃるのでございます。この品がすれ、品高はやがて決済の面に大きな影響を及ぼしまして、手形では困りまする、現金を早うちょうだい、こういうことになってきておる。ところがその決済をするに必要な金はなかなか銀行は用意してくれません。さりとて石橋さんの傘下にありまする銀行関係、中小企業金融公庫あるいは商工中金も、これもなかなか用意してくれません。商工中金の金を借りてこの現金払いの糸を買うて、原料高の製品安で行いますと、自転車操業は一そう苛烈になるのでございまして、全く倒産に追い打ちをかけるという原因をここに作っているのでございます。これがやがてことしの夏のゆかた生地、プリント生地にどえらい高値を呼んでおるのでございます。それをしり目にかけてコットンの展覧会が行われて、やれ売れ、やれ売れというてやっていらっしゃるようでございますが、こういうことに力を入れなさることもけっこうでございまするけれども、その舞台裏の装置となって苦しんでいる奈落の底の方々を何とかして救うことと、その結果しわ寄せさせられた国民が消費者が、三割高のゆかたを着なければならないというこの犠牲を、次期総理大臣ともいわれるような通産大臣が救わずして、何を救ったらいいでございましょう。この際国民の苦しみと中小企業の苦しみを救わずして、名大臣とは受け取りがたいのでございますが、一体この際どういう手をお打ちになるでありましょうか。八千万、九千万の国民と、原料高の製品安で苦しんでおる機場は、あなたの手の打ち方を心して待っておるわけでございます。どうぞ一つここでいい手を御発表願いたいのでございます。あなたの御発表いかんによって——きのうちょっと下りましたが、今日の後場の相場はまた少し下るだろうと思うのでございます。一つここでいい御発表を、ほんとうに国民が喜ぶような、拍手かっさいするような手を打っていただきたいのでございます。
  33. 石橋湛山

    石橋国務大臣 繰り返して申しますように、そういう好ましくない変動は、上る方も下る方もなるべく小幅にし、あるいはなくすることが理想でありますから、そういう意味において少し長期な考えでありますが、今度の設備の問題も取り上げておるわけであります。
  34. 中崎敏

    中崎委員 これが法律になった暁においては、設備の制限のみならず、直接あるいは間接に生産制限まで考えておるのか。言いかえますというと、これはカルテル行為もある程度というか、相当の範囲の程度認められておるようでありますが、業者の、あるいは委員会の発意によるものであるというような考え方の上に立った場合、いわゆる間接的な場合も含めて、政府の方では生産制限を一体考えておるのかお聞きしたい。
  35. 小室恒夫

    小室政府委員 この法律でもって独禁法の適用を除外いたしまして、共同行為を認めておりますのは、過剰設備処理でございまして、今のお尋ねの生産制限につきましては、紡績業等を対象にこれを実施いたします場合には、従来も実施して参りましたような、勧告操短方式採用するつもりでございます。もっとも中小企業等につきましては、中小企業安定法の方の調整規定による生産制限、これはできることになっております。これに対して二十九条を発動するということは法的には可能でございます。
  36. 中崎敏

    中崎委員 生産数量については、勧告操短の方法によっていきたいという考え方でありますが、それではいわゆる長期計画によるところの機械設備の調整といいますか、それが十分に効果を果さないという考え方の上に立っておるものであるかどうかお聞きしたいのであります。
  37. 小室恒夫

    小室政府委員 設備の新増設を制限いたしまして、無秩序の乱設を防止するということ、あるいはまた特に過剰であって、まず長期的な見通しにおいても使用する必要もないし、また使用に多分たえないだろうというようなものをスクラップ化するということがこの法律一つのねらいでありますが、それと並行して過剰設備処理のやり方に、封緘とか格納ということがあると申しました。これはある程度は短期的な需給の調節に役立つ面があると思います。しかしながらそういうことだけでなくて、やはり景気の変動に対応して、主として輸出品の価格を維持するために、需給を調節する手段としては、やはり休日制とかその他の内容を含む生産の調節手段がやはり必要ではばかろうか。そういう必要が起る事態もあろう、こういうふうに考えておるわけであります。ですからこの新しい法律だけで、短期の需給調節も長期の需給調節も全部できるのだというふうには考えておりません。
  38. 中崎敏

    中崎委員 この法律の適用と運用によって、輸出にこたえて責任のある良質のものを生産させるようにというふうなことと含めて、古い陳腐な機械を更改させるというねらいならば、またある一つの目的にこたえるものだというふうに考えるのでありますが、それについてのねらいは、ほとんど従的な考え方であって、むしろ生産設備を逆に登録制限によって、一つの、結果的に見れば、十大紡を中心とするところの大資本家の独占的形態を強めるものである。少くとも業界における一つの威力と発言力とをより大きくするものであるという結果に陥るようなものであるならば、しかもそれが操短勧告等を並行的にやはり今までと変りなくやるんだというふうなことであるならば、今のような弊害があって、逆に利益する方面が少いのじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、これによって、ことに大資本が——これは紡績に限りませんが、そういう類のものが結果的に一体どういう恩恵を受けるかということを一つ率直に御説明願いたいと思う。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
  39. 小室恒夫

    小室政府委員 今の十大紡が特にこの法律で保護されるというようなお話もありましたけれども、実は最近の綿紡等の新増設状況を見ておりますと、むしろこの法律が施行されましたときには、十大紡の基準がかえって下っているんじゃないかという感じがいたします。しかしながら、長期的な需給の調節を一つのねらいとしております本法が施行されました場合に、繊維工業として操業が安定し、あるいは輸出の価格が維持されるというような面で安定した経営ができるという点はむろんあると思います。私どもは、国際収支の面から輸出のむだな競争を避けたいということをねらいにしておるのでありますけれども、また中小企業が安い加工賃で、むだな競争をしていくというようなことをできるだけ防ぎたいと思っておるのでありまして、その反射的な利益と申しますか、これが綿紡、特に十大紡あたりにもむろん及ぶということは想像できますが、それをねらっているのじゃなくて、もっと大きなところをねらっておるということでございます。
  40. 中崎敏

    中崎委員 実はちょっと間接的になるおそれもあるのでありますが、いわゆる十大紡の中でも、二、三の指を折られるような大紡績会社の例について、ちょっと参考までに申し述べておきたいと思うのであります。  私は島根県でありますが、この十大紡のうちで、島根県に大きな工場を二つほど持っておる大紡績会社があります。この会社の社長とかいう人が今回の参議院の選挙にまた続いて出るのでありますが、これが昨年ごろからしきりに事前運動と思われるような猛烈な運動をその工場を中心に展開している。これはいつの選挙でもそういうふうなことをやるのでありますが、今度の場合においても露骨に、たとえば全県下におけるところの婦人会長、あるいは青年団長、あるいは青年会の人たちと、工場見学と称して無料でバスをどんどん提供して、毎日々々温泉へまで連れ込んで非常な歓待をして泊らして帰す。帰すときには非常なみやげものを渡す。そうして今度は、工場ができてから十カ年の記念と称して、県知事を初めとして、県下の有志を何千人となくその工場へ集めておる。その入口はでかでかと社長何がしというふうな者の写真から何から出しておる。そして今度は、いざ選挙となると、自分の工員を全部選挙区へ帰して、君は十票持ってこい、君は十票持ってこいというので、一切工場、会社の費用をもってそういうことをやっておる。これは選挙のたびごとにそういうことをやっておる。こういうようなことになると、一面においてこんな無理なことをやって大衆からしこたまもうけておいて、その金がやはり自分の個人的な立場のために悪用されている。こういうふうなことになって、しかも今度のこうしたような法律がいよいよ実施されるということになれば、十大紡のような会社の立場や利益というものが強化されることはもう明らかである。そういうふうに、一面に大衆の犠牲と中小中業の犠牲の上にこういうふうなものがされる反面において、この間の公聴会においても公述されたのでありますが、昨年のときにおいては十大紡の利益は約三十億円だった。ところがことしの四月には六十億円になった。そうしてこの十月の決算期には九十億円になるであろうということが予想される。言いかえれば、十月までの先物ももう全部きまってしまった。そうしてそれを単純に計算しただけでもこういうふうな見通しになるのであって、こうした製品の値上りというものが今日もまだまだ予想されるのだけれども、これらの大会社の利益というものは非常に顕著であるということを私は言いたい。その利益を悪用して大衆をつり上げるようなことまでやられるということになると、天下の政治もまるきり腐敗堕落してしまって、大衆の犠牲の上に打ち立てられるというようなことになる。であるから、あまりに少数大資本が大衆の犠牲の上に立って利益するというふうなこうした行き過ぎに対して、こういうことをもう少し調整するような何らかの方策は一体あるのかどうなのか、それをお聞きしたいのであります。
  41. 石橋湛山

    石橋国務大臣 どうも、ある人が選挙に何かをしておると言われても非常に困るのですが、われわれは、繊維工業設備臨時措置法案によって、特に十大紡とかなんとかいう大きな資本家を助けようというようなことは全く考えておりません。もし彼らだけであるならばこんなものは要らないのであります。もっと全体の日本繊維産業のことを考えているのであって、ことに私なんかが心配するのは織物の方であります。この織物の方の人たちが、ことに中小企業が非常な設備過剰であり、競争が過当であるということで共倒れになっている。このことを見るに忍びないから、従ってかような設備の臨時措置法というようなものも必要なのであります。ですから、さっきも局長が言いましたように、この結果、おのずから十大紡というものがその飛ばっちりを受けて利益を受けるということは防ぎようもございませんが、われわれとしては、十大紡とか大資本家を助けようと思ってわざわざ御審議をわずらわしているものでは決してないということだけはお含みおきを願いたいと思います。また、今の選挙の問題は直接関係ございませんが、ある人間が自分のかせいだものを悪用するということはどうも世の中にありがちなことでありまして、そういう例がありましたら、なるべくその当人に対して警告を発して、さようなことがないようにいたしたいと考えれるわけであります。
  42. 中崎敏

    中崎委員 現実に法律がいよいよ実施される場合において、その思惑的なものが減るかどうか、これは非常に問題だろうと私は思います。言いかえますと、国家の政治権力と結んで、そうしてこれの権力的な背景の上に立って、数量なり価格というようなものが相当操作されるというところの可能性が現在よりもはるかに大きくなるのではないかというふうに考えるのでありまして、こういう考え方の上に立って見たときに、この法律案は逆効果をもたらすのではないかとも考えるのでありますが、この点いかがでありますか。
  43. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは、つぶれるものはつぶれろ、栄えるものは栄えろというふうに野放しにしてしまえばある意味においてお話のような弊害も出るかもしれませんが、そうは参りません。そこで、どうしてもある程度こういう法律によっての規制をやるということになりますと、ややもすればお話のような弊害が生ずる懸念はむろんないではありません。ですから、極力これを防ぐことにいたさなければならぬ。従って、これには審議会も設けますが、その審議会のごときも、できるだけ中立公正な判断の下せるような人たち委員になってもらって、あやまちのないように期したい、かように考えております。
  44. 中崎敏

    中崎委員 まずこの設備制限でありますが新規に事業を興して機械を設置しようというふうな場合にはどういうことになるのかお聞きしたい。
  45. 小室恒夫

    小室政府委員 これは業種ごとに、たとえば綿紡績なら綿紡績という部門ごとに需給の計算をいたしまして、新増設の余地のある場合には新しい企業といえども認めるし、また皆無の場合はこれはやむを得ませんが、そうでない場合、あるいは新増設の余地はあるが計画の方が非常に大きいというような場合には、若干計画を圧縮していただく、そういうような運用になるかと思います。
  46. 中崎敏

    中崎委員 そうすると、かりに増設をこの範囲内においてやることが妥当だというような一応の認定がされた場合において、結局現在持っておるものがさらに設備をふやしたいというものと、新規にやりたいという両方の申請が出てくる。それに対してはどういうような扱いをされるか。言いかえれば、新設について優先的な考え方を持ってやられるのか、あるいは以前からやっておる業者増設についての立場を優先して重点的に考えていかれるのか、それを一つお聞きしたい。
  47. 小室恒夫

    小室政府委員 これは原則として、新設も増設も同じように見ていきたいというふうに考えております。もっともここに非常に違った事情があればまた別でありますが、法律の建前は新設も増設も同じようにやっていく、こういうように考えております。
  48. 中崎敏

    中崎委員 この法案が国会に提案されて以来の動きを見てみますと、紡機、織機のメーカー、関連産業、こういう面に相当強い反対もあるようでありますが、これについて当面直接の管轄の責任にある重工業局長は、一体今日までその業界についてどういうような折衝をされて、そしてどういう見通しとどういう方策を持っておられるかをお聞きしたい。
  49. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 本法案に関連します紡機、織機メーカーの問題につきましては、この案が出て以来業界からいろいろこれに対する意見を承わっております。われわれも省内におきまして、これらの事情をよく話し、これに対する対策に遺憾ないように努力してきております。考え方といたしましては、この法案を前提といたしまして、どういうように紡機、織機メーカーに対する影響に対して対処するかということだろうと思います。そこで二つございますが、一つはでるだけ設備の更新を繊維産業においやっていただく。このために臨時紡織機更新打合会というのを設けまして、関係の繊維産業及び機械関係のメーカー、それから通産省の関係両局、これが集まりましてかような打合会を作りまして第一回の会合を開き、近く第二回の会合を開くということになっておりますが、これによって繊維産業設備の更新をできるだけ促進して、今後ある程度増設が押えられるといたしましても、機械を更新することによってできるだけ国内需要を喚起するというような方向考えておる次第でございます。  第二の問題は、やはり輸出振興の問題であります。輸出振興につきましては、一昨年あたりは非常に海外のマーケットがよろしゅうございまして、パキスタン等に伸びておりましたが、昨年はその非常によかったわけでもございません。しかしながら今後さらに各海外のマーケットを調査し、それと同時に今後機械の進出の問題については、輸出した機械のアフター・サービスというような問題もございます。これらについて、機械関係の業界においてよく研究をしていただきまして、これに対する対策を立て、政府もまたこれに対して大いに助成していきたいというような考え方で、目下進めておる次第でございます。
  50. 中崎敏

    中崎委員 中小企業安定法の適用によって、織機部門に調整が加えられてからというものは、関係機械メーカーに相当大きな打撃を与えておるようであります。それに対するところの調査もされておる思いますが、一体それがどの程度のものであり、その後一体どういうように立ち直っておるかをお聞きしたいのであります。
  51. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 実は中小企業安定法の適用によりまして、織機メーカーの影響が非常に大きいのではないかと当時いろいろ心配いたしまして、その際も実は更新につきましての打合会を開きまして、大いに努力してきたわけであります。その結果、更新計画と実際の生産を比べてみますと、ものによりましては、更新計画以上に更新ができておるという状況であります。ただ昨年度は、御承知の通り輸出関係が非常に苦しかった事情にありまして、生産全体といたしましては、たとえば綿糸布織機については、一昨年の生産より落ちております。しかしながら絹、人絹織機等につきましては、生産としましては、昨年は一昨年よりもふえております。また毛織機につきましては、やはり昨年は一昨年よりふえておる、こういうふうな状況であります。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連してお尋ねいたします。今重工業局長は、本法の実施によって影響を受ける関連産業、すなわち紡機機械メーカーについての対策、これについては、本法の実施の上に立って対策を考えたい、しかじかのことをやっておるというお話があったと思いますが、これについて特別な立法か何か考えておられるのか。あるいはそういうことであるならば、この本法の審議と並行してこれを行うというような準備はされていないのか、それをお伺いいたします。
  53. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 紡織機メーカーに対する対策としましては、ただいま申し上げましたように二つございまして、一つ繊維産業設備の更新、これは繊維産業においてしていただくわけでございます。われわれといたしましては、先ほど申し上げました打合会によりまして、機械関係の立場を強調し、できるだけ最善の努力を払って更新をやっていただく。こういうことであります。それから輸出関係につきましては、今紡織機メーカー等でいろいろ対策を立てておりますので、これに対しまして通産省としては、ある程度の補助をしよう、これは今われわれが競輪関係において持っておる資金がありまして、その中から一定額をさいてこれらの補助に充てようと考えております。それから法律的な措置としましては、別段ただいまのところ考えておりません。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 最善の措置をといったような抽象的なお答えだったと思います。この法律が実施せられた場合に受けるところの影響はわかっておると思う。従ってこれの審議に当っては、それの及ぼすところの、関連産業が受けるところの影響、これに対する対策は、具体的に発表なされて、この法案の審議と並行してなさるべきじゃないか、このように思いますので、今言われたような最善といったようなことでなく、具体的な対策があるならば、資料として出していただきたいと思います。
  55. 中崎敏

    中崎委員 ただいまのことですが、中小企業安定法の発動によって、これらの関係機械業者が受けた打撃は予想外に甚大であった。ことに輸出にも関連して、相当大きな打撃を受けておるということを耳にしておるのでありますが、それが一体どの程度のものであったかということを、数字があったら一つお示し願いたいと思います。  それからその後において、具体的な業者の自主的な努力、さらに政府側におけるところの側面的ないろいろな助成策、あるいは資金政策等を含めたところの方法によってそれらが総合的に作用して一体どの程度今日まで立ち直っておるかということを、ものによればよりよくなっているということも今言うておられるのでありますが、それをもう少し具体的に資料によってお出しを願いたいと思うのです。  それから今回の法律案が実施の暁において、今度は相当広範囲にわたると思うのでありますが、これによって受けるところの機械なり関連産業の打撃、被害の見通し、さらに今後の対策、ことに一番大きな問題は、これに従事しておるところの従業員十七万ともいい、あるいは二十万人ともこの間の公聴会においては言われておるのであります。それは一体その通りの数字と受け取っていいのかどうか、あるいはその範囲を一体どの程度しぼって考えるのが妥当であるのか、そこらの見通しも立てながらあわせてこれらに対するところの直接間接の影響並びにその対策について何らか資料をもって具体的にお出し願えれば大へんに好都合だと思うのであります。  今輸出の部門については、競輪に関する納付金の一部をもって補助金とするということでありますが、これは別に政府の予算にも取ってないようでありますが、具体的には一体どの程度の数字をどういう範囲において助成しようとするのか、これはすぐおわかりと思いますが、ざっと一つ説明願いたいと思うのです。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 その前に、僕のお尋ねのことはどうなっているのですか。
  57. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 田中君、資料を一つ具体的によくわかるように言ってやって下さい。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど中崎委員から、打撃を受ける産業についての数字とか、そういうものの資料が要求されたのだが、それに対して私が質問したら、重工業局長は、最善の措置という言葉を使われたわけなんだ。最善の措置ということでは満足できない、具体的にこういう影響があるからこのようなことを考えておるといったような根拠のある書類を資料として出してもらいたいということなんです。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の田中委員の資料要求とあるいは同じであるかもしれませんけれども、私も資料を要求しておきたい。それは経済五カ年計画に基いていろいろな施策が行われておるのですが、経済五カ年計画とマッチする意味において、本法案が成立した暁においては、紡織機機械工業においてはその内需及び輸出状態——生産高がどのようになるか、それに伴う労働者の推移、これを少くとも年度別に出していただきたい。
  60. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 第一の更新関係、それから輸出関係についてどういう対策を打っておるかという資料でありますが、更新関係につきましては、よく繊維局長と相談をいたしまして、また輸出関係につきましてはわれわれの手元で資料を提出いたします。  それから二番目の中崎先生の御質問の過去の大体織機関係の影響はどうか、これも数字的に出したいと存じます。  それから今競輪からどのくらい予想しておるか、どのくらい使っておるか、大体額としては二千万円、一つは市場調査に出すもの、それからアフター・サービスとしてのもの、この二つをその中で考えております。  それから最後に多賀谷先生の御質問の五カ年計画におきますこの数字は、まだ機械工業の各業種別にできておりません。従ってこれはむずかしいかと思います。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私も中崎委員の質問に関連いたしまして資料を要求したいと存じます。それは昭和二十九年十一月に行われました二十九条の発動からそれ以後審議会ができましたが、審議会においてどういう具体的な機械産業の救済策が計画をされて、それがどのように具体化しているかということ、特に融資関係のところをはっきりしていただきたいと思います。いまだそれが十分にできていないはずでございます。  それからもう一点は、ただいま重工業局長が二十九条発動以後かえって機械の生産がふえたと御答弁になりましたが、なるほど絹、人絹においてはそういうことが言えます。私の調査によっても大体一五〇%ぐらいに伸びておる。しかしそれは別な理由によるのでございまして、理由があるのです。ところが綿織機なんかは総トータルにおいて一体どうなったかという点を数字をもって明らかにしていただきたいのでございます。つまり、私の調査によれば昭和二十九年発動以後前年に比べて五二%の生産しかできておりません。そこでその点を月別にしてどう売れていったか、その数字を出していただきたいのであります。なぜかなれば、今盛んに機械屋が言うておるところの影響、打撃が大きいというのは、年トータルでは困るのでございます。つまり下請あたりは手形が一ヵ月伸びただけ三ヵ月伸びただけでも倒産していくのであります。そこで一年たったら景気がよくなるから、その間はじっと手を組んでしんぼうしておれといったって、これはできることではございません。従いまして発令された翌月はどのように機械が消化されたか、内地はどうであったか、輸出はどうであったか、その翌日はどうなったか、その翌月はどうなったかと、少くとも発令以後半年ぐらいは月別ぐらいにして出していただきたい。それからそれ以後一年ならば、一年のトータルをぜひお願いしたいのでございます。それが結局輸出にどう影響があったか、輸出値段にどう悪影響を及ぼしたか、これが今度のこの法律を通過させるための一番ガンになっておるところでございます。従いましてこの点だけは一つ詳細に細大漏らさずに報告していただきたい。機械産業がそのような傾向になりました場合に倒産した会社が出て参りまして、それから下請で首を切られた会社がずいぶん出て参りましたが、この数量がどのくらいあったかをはっきりしていただきたい。もしなければ私の力から出します。それを全部額面通り受け取っていただければそれでけっこうでございます。  その次に、そのおかげで、労働者にどういう悪影響があったか。何人首切りが行われて、何人帰休制度をとられたか、こういう点を明らかにしていただきたいのでございます。  次に、これと同じことでございまするが、紡績の機械法律をもってやらずに操短をなさったときがございます。この操短をされた直後において、労働者の賃下げ、首切り、帰休制度ということが行われました。このデータを明らかにしていただきたい。これはすでに労働省でできているはずでございます。何もむずかしいことはありません。決してむずかしい手間、ひまをとらせて、引き延ばしのためにあなたたちを困らせようと思っておるのではございませんから、操短の場合に一体労働者にどういう影響があったかのデータと、操短を勧告された後における生産数量がどのように行われたかを、これは一つ繊維局の方でお願いしたい。それは綿の操短が行われたのでございますが、その結果綿はどのように生産が減ったかふえたか。そのしわ寄せがスフ、人絹にいっているはずでございます。そこでスフ、人絹はどのように生産がふえたか減ったかの数字を明らかにしていただきたいのでございます。これはすでに内閣統計局からも、通産省の官房の方からも調査が完了になっているはずでございますから、この法案を通過させた暁においてどのような影響があるかの参考資料には、過去にすでに行なったことを見ることが一番手っとり早いことでございますので、この点を一つ明らかにすると同時に、ただいま多賀谷さん、田中さんから御質問のありました、この法案実施後における、推定でもけっこうでございます、あるいは計画でもよろしゅうございます、それを一つはっきりしていただきたい。委員長、以上でございます。   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 小室恒夫

    小室政府委員 今回の紡績操短につきましては、首切り、帰休その他の措置はあまり行われていないと聞いておりますが、今、お話のように労働省にそういう資料がありますれば、むろんこれはとって資料を御提出するようなことになるかと思いますが、その点私どもちょっと……。
  63. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいまの資料、できるだけ御趣旨に沿うように取りそろえてお出しいたします。
  64. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が要求しました経済五カ年計画に相応する機械の生産高並びにその需要、内需と輸出区別、さらに労働者の推移、こういうのは機械全般としてはできておるけれども、職種別にはできてないから困難だというお話がありましたけれども、繊維そのものの内需及び輸出については五カ年計画はできておるわけであります。そうして年度別ではありませんけれども、三十五年度の衣料の消費態様、そういうものについても発表されておる。ですから私はその線に沿うて、やはり機械工業においてもどういうようになるのか、さらにまた今度の法案が通過する状態においてどういうようになるのか、これはやはり推定でも計画でも出さなければ審議はできないと思うのです。これは非常に大きな問題なんですからね。とにかく重工業局は、私はそういういやなことは言いたくないけれども、繊維の方の資料だけは膨大にきておりますけれども、あなたの方の機械の方の資料は全然きていない。問題は機械の方が非常に問題だということを参考人が言っておるのですから、私はこれについても十分なる資料をお願いいたしたいと思うのです。ぜひ一つ無理でも作ってもらいたい。
  65. 鈴木義雄

    鈴木(義)政府委員 ただいま申し上げました通り、まだ機械工業として五カ年計画の内訳をどういうふうに作るかということについて作業を終っておりませんので、結論的にきまったものを出すということは非常にむずかしいと思います。しかしただいまお話がありましたことにかんがみまして、大体繊維産業の方の計画で更新需要というものを推定していただきまして、それによって一応推定的なものはできると思いますが、確定的にこうであるというようなオーソライズしたものは、やはり機構的に手続的なものを経ていろいろ審査をしなければできませんので、さよな意味合いでございましたらできるだけ努力して、何とか作成してみたいと思います。
  66. 神田博

    神田委員長 この際暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  67. 神田博

    神田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。繊維工業設備臨時措置法案を議題とし、質疑を継続いたします。阿左美廣治君。
  68. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私は、本法案はわが国の繊維工業に対する輸出振興、中小企業の安定のためにとられた処置でありまして、通産省の施策といたしましては従来繊維工業、なかんずく中小企業の対策といたしましてきわめて時宜を得た、政府といたしましては近ごろ珍しいヒットと言わざるを得ないのでありまして、これに対しましては心から敬意を表する次第でございます。しかしながら御承知のごとくわが国の繊維工業の特色は、その最終製品の生産者はすべて中小企業をもって占められておりまして、しかもその製品の大半が輸出品であります。わが国の経済上に占める地位は高く、かつ重要であります。この法案の実施によって現状より一歩前進することは認められますが、根本的な、しかも積極的な政策とは言いがたいのでございます。政府は今後この法案の実施と並行いたしまして、輸出振興対策並びに中小企業対策を積極的に講ずる必要があると思われますが、その点につきまして御用意がありますか、通産大臣並びに繊維局長にお尋ねをいたしたいと存ずるのでございます。
  69. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説の通り今度の法案は、設備をある程度規制し、これを改善してわが国の繊維工業、ことに中小企業者の経営するその方面の改善をはかろうとするのでありますから、その意味において全然消極的とも申せないと思いますけれども、しかし輸出振興とかいう面から申せばこれだけではむろん足りないのでありまして、どうしてもこれに相応じて、同時に積極的に輸出振興の対策を講ずるという必要は十分認めておりますので、従来も通商産業省としては、その方面には相当の努力をしてきておるつもりでありますが、なおこの上ともその方面の施策を強化して参りたい。  それから中小企業につきましてはしばしは申し上げましたように、実はその実態が十分つかめておらないという節もございますので、その実態をつかめば相当施策すべき点もあると思う。そこで本年度予算におきましては、わずかでありますが、中小企業の実態を把握するための調査費をも認めてもらいました。これらによりまして、中小企業等については特に実態を調査し、その上に立って適切なる処置をとりたい、かようにせっかく努力をしておる次第であります。
  70. 小室恒夫

    小室政府委員 ただいま大臣からお話があった通りでございまして、私どもこの法律だけで何も片づくという考えではなく、特に中小企業安定法の運用その他関連した法律の運用等で、十分これを補っていかなければ、おっしゃるような輸出振興の措置、あるいは中小企業対策が完璧にいかないというふうに考えております。
  71. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 次に本法案は、絹、人絹及び綿、スフ織機の買い上げについては初年度に一億三千万円の国の助成があります。すでに予算措置が講ぜられておりますことは前述のごとくで、ございますが、絹、人絹織物業及び綿、スフ織物業は中小企業でございまして、今回、聞くところによりますと、絹、人絹織機買い上げにつきましては五千万円、綿、スフ織機に対しましても七千万で、織機一台一万円でありまして、他は残存業者が負担することになっておるのでございます。このようなわずかな補助金では所期の通り買い上げが、できるかどうかすこぶる疑問でありますと同時に、この買い上げを行う調整組合または同連合会の責任分担はきわめて容易でないと存ずるのでございます。この買い上げを効果的にするためには、補助金の増額が絶対に必要であると存ずるのでございます。もし本年度におきまして、この補助金の増額ができ得ない場合は、来年度において予算は大幅に増額すると同時に、本年度の不足分に対しまして別途に金融の道を講じていただけることができますか。もしこれができませんければ、効果的に行うことはでき得ないと存ずるのでございます。政府はこの点につきまして何らかの特別の金融処置をお考えになっておられますか、大臣にお尋ねをいたしたい次第でございます。
  72. 石橋湛山

    石橋国務大臣 産業界のことはできるだけ一つ自力をもって更生をして立ち直るようにしたい。これがほんとうにその産業界を復活するゆえんであろうと思いますから、ただいたずらに補助金を増額するというようなことは、必ずしも好ましくありません。しかしながらこの法案実施に当ってはむろんこれの効果をまた上げなければならないのでございますから、実際に応じまして今後なお考慮をする余地はあると考えております。また金融等の問題につきましても、十分考慮をいたしたいと考えております。
  73. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 なお本法案では共同の行為に参画をした者及び調整組合員が決議によりまして、織機を供出をすることになるわけでございますが、強制買い上げでないのでございまして、供出があるいはいやだとか、あるいは納付金を出すことが困るとかいうような者が、共同行為に参画しないかまたは調整組合を脱退すればよいことになると思うのでございますが、この中小企業安定法に基きまして、せっかく今までに苦心いたしましてこの調整組合を結成いたしまして、自治的に生産調整を行なってきたのでありますが、これがために組合をどしどし脱退をいたしまして、調整組合の土台骨をゆすぶるがごとき結果になることが憂慮されるのでございます。同時にこの納付金の徴収がきわめて困難になりますし、買い上げの処置が円滑に遂行できないことになると思いますが、それでは本法案に沿うて、買い上げの処置を円滑に実施するためには調整組合の権限を強化する必要があると存じます。また残存業者に対する納付金の義務を強化するために若干の修正を必要とする思いがいたすのでございますが、これに対しまして政府はいかなる所見をお持ちになっておりますか、お伺いいたしたいと思うのでございます。
  74. 石橋湛山

    石橋国務大臣 当局といたしまして、この法律を強力に実施するという点からだけ考えますと、お話のようにもっと強制力がある方が便宜のわけと存じます。しかしながらわれわれとしては、さっきも申しましたように、できるだけ当業者の自主性を尊重し、その自力更生という考えからほんとうにみんなで心から協同して、この法案によって協力していこうという気持を出して、これができればなおさらけっこうだ、これがほんとうに日本のためになると考えましたので、政府としては、いきなりそういう強制的な干渉がましい法律案を作るということは実は遠慮をしたわけでございます。まあそういうものができれば実施の上においても便利であるということは申すまでもありませんが、なるべくなら業者の自主性によってやりたい、かような考えから法案はかようにいたしたわけであります。
  75. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 次に本法案によりまして残存業者の納付金を円滑に徴収する一つ手段といたしまして、織物の検査をする際に漏れなく徴収することが一番妥当と思われるのでございますが、かねて業界から中小企業安定法による生産制限の第二十九条二項命令を要請してありますが、結局設備制限のみでは根本的に生産の制限をすることはでき得ないのでございます。命令によりましてこれを行う以外には中小企業の安定は期しがたいと存ずるのでございます。それでこの際政府は本法案の実施と並行して、業界の要請があれば直ちに生産の制限も、これを確保するためには検査の第二十九条二項命令を出すことが絶対に私は必要であると思うのでございますが、政府におきましてはこの調整組合の生産調節の完璧を期し得られるということでありますれば、この検査につきまして織物の品種別の生産の数量が確保できることができますので、今後この繊維行政上の便利も多いばかりでなく、本法案によりまして繊機の買い上げに伴う残存業者の納付金を確実に徴収することができます一石三鳥の効果が期待されるのでありまして、この際、政府中小企業安定法による生産の制限検査に対する二十九条の二項命令による、強制命令を出す御意思がありますやいなやを繊維局長に承わりたいのでございます。
  76. 小室恒夫

    小室政府委員 まあこの法律を離れましても輸出向け、内地向けの繊維品の品質の確保をはかるということは非常に大でありまして、そのためには検査をできるだけ励行していかなければならぬという根本的な考え方を打っておりますし、またこの法律による過剰設備処理に際して、今お話のように検査を実施いたします際に、この負担金を取り立てるというようなことが一番実際的な方法であると私どももただいま考えております。生産制限につきましても、中小企業の過剰設備その他の現状からいたしまして、まあ生産制限もある程度強化して参らなければならぬ場合が相当にあると思います。今の御発言まことにごもっともでありますが、こういう点十分参酌いたしまして善処いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  77. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 次に中小企業安定法による設備の制限でございますが、このビニロン、ナイロン及びアセアート等の繊維を生産する織機は制限外になっておるのでございまして、一方本法案設備措置によって、絹、人絹、綿、スフの織機でこれは織れるのでございます。そういたしまして、絹、人絹、綿、スフの織機はこれを買い上げましてスクラップにするとか、あるいはこれを廃棄するとかいうような一方的な処置では、合成繊維を生産するところの織機はどしどし増設して差しつかえないというようなことにもなると思います。この合成繊維を織る織機は特別な織機であれば防止することもできるのでございますが、現在絹、人絹及び綿スフ織機で幾らでもこれは生産ができるのでございます。ここに大きな抜け穴があると思うのでございます。もちろん今後合成繊維を育成することは必要でございますが、これを効果的に育成するならば計画的な生産が最も必要ではないか、こういうふうに思うのでございます。従って政府は本法案の実施と並行したしまして、この抜け穴を合理的に防ぐ意味におきましては、合成繊維を織るところの織機を今後許可制にする必要があるか、またそういう御意思があるか、私は絶対にこれは必要と思うのでございますが、これに対していかなるお考えがありますか、繊維局長にお尋ねをいたします。
  78. 小室恒夫

    小室政府委員 合成繊維を使用いたしまして準合成繊維織物を作りますような場合には、織機についても従来の織機と多少変ったものが使われているようでございますし、また温度調節とか湿度調節とか特殊の装置等も必要であるようでありますが、合成繊維と他の繊維をともに使う場合、あるいは品質についてあまり問題にしないで使うということであると従来の織機も使えるというようないろいろな面がありまして、お話のような、あるいは織機設備制限の裏をくぐる目的でもって、合成繊維という名目のもとに織機増設するようなことは十分考えられるわけであります。私どもといたしましては実情がどうなっておるか、すでに問題としては承知しておりますが、現在調査中でございますけれども、その弊害が相当大きいということであれば、これは何らかの手段によって防止しなければならぬというふうに考えております。
  79. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 先ほど大臣からの御答弁中、補助金は、なるべく業者の自治的の意思においてやっていただきたいというようなことは一応ごもっとも思うのでございます。業者といたしましてもそういうような気持があってほしいと存ずるのでございます。しかしながら現在業者は非常に自己資金が枯渇しておりまして、ほとんど力がない。それでいろいろの意見はありますけれども、先ほどもある委員から、現在の繊維製品が非常に値上りをしたじゃないか、これをどうするかというような御意見がありましたが、これは一時的のものでございまして、決してこれがいつまでも続くとは考えないのでございまして、こういうようなことを考えて現在ではこれを整備する必要はないじゃないかというようなことは大いに考えていただかなければならぬと思います。こういうようなときにこれは整備しなければならないのでございます。私どもは絶対に今後過剰織機の整備ということは必要と考えるのでございまして、この法案はもとより政府提案にはなっておりますけれども、民間業者からの要請によりましてこの法案政府においても考慮せられたということは事実だと思います。現在の業者はこの法案の通過を非常にこいねがっておるのでございまして、どういたしましてもこれは現在の過剰織機を整備しなければならぬ。ところが資金関係で本年度の計画では絹、人絹においては五千台くらいきり整備ができ得ないのだというようなことはきわめて不満足でございます。相当な数量を整備する必要があるのでございますけれども、資金関係でそういうことが実施できないということは、はなはだ遺憾なわけでございます。そこでその資金をどういうふうにして求めるかということになりますが、これはかねがねいろいろ業界にも意見があったのでございますが、これは昭和二十五年でございますか、シャゥプ勧告によりまして織物消費税が撤廃になりましたときの業者の立てかえというものがそのままになっておる、これはその後非常な問題になりまして、何とかこれは片をつけなくちゃならぬというようなことはそのつどいろいろと問題に取り上げられたのでございますが、遂に今日まだその片がついておらないのでございますが、メーカーと扱い商社の消費税の立てかえの総価額は三十三億と言われておる。しかしこの商社の立てかえというものはなかなか完全なる数字をつかむことは困難と思いますけれども、メーカーの立てかえは完全なる数字がつかめるのでございます。それは織物消費税を納めましたところの帳簿とまたその織物をその当時に販売した数字と現在の手持ちというものの数字がはっきりしておるのでございまして、それが一億六千万ばかりあるのでございますが、こういうような金をこの際何とかお考えをいただいて織機の買い上げにこれを使用するというようなことも考えられるのであります。その当時いろいろその金の使途に対して、これは非常な問題だ、なるべく公共的の繊維業の発展のためにそれを使うということが望ましいというような意見がありまして、ある程度の金額は認めるというようなことはその当時、大蔵大臣に認めていただいたことがあるのでありますが、それがそのなりになっておりますが、この際にそういうような問題が解決するならば、私はその資金をこういう過剰設備の資金にするというようなことも一つ方法と思うのでございますが、これらについて何らかのお考えがありますかどうか承わりたいと思います。
  80. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今お話の問題、私も聞いておりますし、何とか片をつけたいと努力をいたしております。また今阿左美君の暗示された点も十分考慮してみたいと思います。まだどうするという結論が出ておるわけではございませんので、なおお話が大へんおもしろい点があると思いますので、十分打ち合せて考慮してみたいと思います。
  81. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私は最後にお願いをしておきますが、本法案は、これは全く業界の希望する法案でございまして、これは政府が御提案になっておりますけれども、業界はもう今日は、この法案がいつ通過するか、どうなっておるかというようなことを非常に心配しております。私は本法案の一日も早き通過をこいねがうものでございますが、本法案が通過の上、施行される際におきましても、二十九条の履行命令につきましては、どうか容赦なくお考えをいただく必要があると思うのであります。どうも中小企業というものは、ときにおいては意見が一致し、ときにおいては意見がばらばらになるというようなことが、今日の不況を招いた原因であると思うのでございまして、ある程度の強制は私は絶対必要と思うのでございます。中小企業を育成する上におきましては、やはり野放しではとうてい私は今後中小企業というものは育成はできない、どうしてもある程度の強制は絶対に必要であると思うのでございまして、この二十九条の履行命令はぜひともお考えをいただきたいことを希望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
  82. 神田博

    神田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明十一日午前十時より開会することとし本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会