○加藤(清)
委員 維維製品の値上りについて一応お尋ねしておきたいのでございまするが、
繊維局長はただいま
繊維設備の
法律には何ら関係がない、このようにお答えになったのですが、これは頭隠してしり隠さずの論でございます。なぜかならば、一昨日ここへ参考公述に原吉平さんも来られまして、その原吉平さんに私は質問を試みたのでございまするが、問題は、値上りの材料が少いにもかかわりませず、いや値下りの材料が多いにもかかわりませず、今値上りがきておるということでございます。ここに着目しなければならない。どうして値下りの材料があるのかといえば、第一番に世界の原綿の相場は一般に下降をたどっております。ずっと下降しております。どこもかしこも下っております。原毛にしてもさようでございます。ここ両三年というものはどんどん下って、豪州相場は普通規格品七七Bにしても、あるいは七八Bにしても、百ペンス台を割っております。百四十ペンスが百ペンス以下になっておるのでございます。このものはイギリスが買おうと
日本が買おうと同じことでございまして、
日本だから高く買ったということはございません。ただ原綿をよその国よりもやや高く買ったと思われるのは、近いうちではつい去年きめられたところの余剰農産物だけでございます。これがメキシコ綿よりも一割高でございました。次にブラジルの綿でございまするが、これも
石橋さんのおっしゃるところの拡大均衡論のおかげでやや高く買わされておる。二割高でございます。しかしそれの占める量というものは、総体の
日本の原綿の買い付け量から比較いたしますると、ほんのわずがでございます。値下りの方が多いのでございます。一般に値下りを来たしたので、アメリカとしても手持ちの原綿をつい先ほど放出いたしました折に、安く出さなければならないという
状況下に追い込まれております。つまり原綿の世界相場、原毛の世界相場は下降の一途をたどっております。次にもう
一つ値下りの材料がございます。それは、
日本政府は今年度原綿の外貨割当も、原毛の外貨割当も増加させていらっしゃるということでございます。去年よりもふえております。材料が安くしてふえたということは、これは値下りの大きな原因でございますことは、
自由主義経済の本山でいらっしゃる
大臣さん、よう御存じのはずでございます。これが一番大きい原因。去年のストが影響があったとおっしゃるけれども、去年のストはわずか四万コリ
程度のものです。在庫品だけでもあの当時四十万コリ、いや五十万コリあるといわれておった。在庫の十分の一がふえた減ったによって三品市場に二割も三割も値上りがくるというようなことは、ばかな話です。そんなことは
納得できません。何がゆえに値上がりがきたか。なるほど
繊維局長のおっしゃいました
輸出の
状況が伸びたということ、これは
納得いたします。これはよう覚えておいて下さい。
輸出が伸びる、現在よりも伸びる、そのために値上りができているとおっしゃいましたが、これは事実でございます。伸びます。伸びなかったら、
大臣の外交折衝が下手であったということであり、重光さんの賠償のやり方が
失敗に終ったということになるわけでございます。特にフィリピンを初めとして東南アジア向けのものは、外交の折衝がうまくいけば必ず伸びます。従ってそれが思惑の中に加わったとおっしゃるならば、それは認めましょう。だれしも認めるところでございます。ところがそれもしかし海のものとも山のものとも、まだ見当がつかない
状況で、そういうことが市況に影響するとは
考えられないのでございます。従って現在のところでは値上りの
状況ではないのでございます。しいて言えば、内地の消費が去年の農村景気のおかげでふえるではないかと思われた点でございます。しかしこの点は相殺されております。もしも農村景気がよろしいということであれば、ことしは小幅木綿の生産が伸びておらなければなりませんが、それが伸びておりません。むしろ去年よりも減少しております。従って商家一般はこれを見越して生産をしておりません。だからこれは相殺です。さてそうなって参りますと、値下りの材料はございまするが、値上りの材料、これという値上りの材料は、ほかに求めることは困難のようでございます。ただ
一つ、ここにある。それは
繊維の
設備を制限される、制限された暁は、当初の
法案にもありましたように、コストから生産数量にまで必ず制限が及んでいく。
法律の面からは削除されましたけれども、及んでいく。
〔小平(久)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これの見通しが一番大きく市況に影響しておると思うのでございます。
第二点は、三品市場につなぎの場で行わるべき、つまり
業者の資本だけで行わるべきものが、
業者以外の資本がここに投入されておる、こういう問題でございます。これが思惑買い、思惑売りをやって、大きく市況に変動を来たしておる。決して
設備が多いからこの価格に変動を来たしているということではございません。
設備が市況に及ぼす影響よりも、三品市場の思惑が市況に
変化を及ぼす影響の方がさらに大きいと思います。この点について
大臣の所見を伺いまして、その
答弁のいかんによって追って質問をいたします。