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加藤(清)
委員 それじゃこの際誤解があるといけませんから、戦後における
機械の
増設の事情を私から申し上げます。うっかりすると、きのうの話でもそうなんです。新紡、
新々紡だけがふえて、十大紡はあまりふえておりませんというような
発言があったのですが、とんでもない大間違いなんですよ。実際
設備の更新が行われているのはこれは十大紡です。その生きた証拠がどこにあるかといえば、
政府の投融資の貸し出し先はどこです。新紡、
新々紡は借りましたか。去年のだけでも百五十億も返却されているでしょう。どこから返されておるですか。返された先は十大紡です。返したのが十大紡なら、その前に借りたことがあった。借りて
設備の更新をやったのです。新紡、
新々紡はあまり借りておりませんよ。
政府は貸しましたか、貸していないでしょう。あなたたちがそういうふうにおっしゃるなら、私は
政府の
設備更新の
施策がどの程度進行しておるかというふうに聞きますよ。そうしたらお困りになるでしょう。今
答えたのと矛盾した
答えが出てきましょう。ですから私は正面から聞いていきますから、何もあなたたちを非難攻撃するのではないのです。私は、
業界を
ほんとうにあなたのおっしゃるように安定させて、
輸出を振興させたい、こういう
立場からものを言っておるのですから、私の言うことに対してうまく言いのがれていくという考え方でなくして——決してあなたたちが悪いのではない、きのうきょう始まったことではないのですから、あいにくあなたたちが今
責任者になっていらっしゃるから、結局過去のことを一切引き受けて答弁しなければならぬというつらい
立場に立っていらっしゃる。だからあなたたちを責めようということは少しも考えておりません。ですからそのおつもりでお
答え願いたいのです。
設備は十大紡に一番多く新しい
機械がございます。それから新紡、
新々紡で多いのはやはりその
系列下に入るものでございます。資本が
系列下に入るか、食う
材料が
系列下に入るか、販売のところで
系列下に入るか、あるいは銀行の
関係のつながりで
系列下に入るか、このいずれかでございます。それでなければ銀行は融資いたしません。
設備をするには銀行の裏づけがなければできません。特に金融引き締め以来というものは
系列下の産業のみに融資された。百台か二百台を持った小さい機場が機場の
機械をふやすのにもなお銀行の裏づけが要った。その裏づけはどこにつながるかといえば、買ってくれる商社につながる。その商社は間違いのない商社である。商社の倒産が続出する時代だから無理はない。その商社はどこにつながるかといえば、
原綿、原毛の買付を仰せつかっておるところにつながる、それはどこにつながるかといえば十大紡につながる、こういうことでございます。毛の方についても同じことが言える。特にひどいのです。なるほど
紡毛の方は少々弱い力のものが戦後ふえたでしょう。ところが精紡、
梳毛の方はもう六大紡にきまっておる。それ以外ではなかなかやれません。わずかにやったのは一宮の渡治と渡喜程度のものです。それ以外にはやっておりません。つまり大きいところがふえていったのです。小さいところは
設備の更新はおろか、戦前の
機械、機でいえば二十年以上の
機械が四割余あります。そういう
状態なんです。だから綿も毛もスフも全部を通算すれば、大きな方に一番新鋭機がある。悪い
機械はどこにあるかといえば、これは小さい方の資本力のない、資本の裏づけのないところにいまだなおうずうずと残っておる。さていよいよ今度
設備を
制限する、よいものは残すのだ、悪いものや老朽は切るのだということになりますと、表向きは大義名分は立ちますが、一体どこが切られるかということになりますと、これは機場でいえば小さい機場が切られる。
紡績でいえば
新々紡のところが切られるという結果になると思いますが、これは私の勘違いでしょうか、私が何か夢でも見ておるのですか。それがよいとか悪いとかいうのじゃないのです。そういう結果になりはしないかということを聞いておるのです。