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田中(武)
委員 金融の問題はこの程度にしておいて、次に移りたいと思います。
先ほど言ったような長期の
手形をもらっても、そのうちに
親会社が破産をするとか
会社更生法の更生
手続を開始するとか、こういうような場合があると思います。たとえば最近の例ではオオタ自動車が更生
手続を開始したために、八〇%は切り捨てられて、二〇%は四カ年すえ置きとされた。こういうことに対して、本法の趣旨からいって
下請業者というか、
下請代金の保護という上から、先取特権を認めようという意見もあるのですが、こういうことについてのお
考えはどうか。たとえば
民法三百六条の
一般先取特権の中に一号から四号までありますが、その中に
下請代金というような
言葉を入れるか、これにふさわしいような
言葉を入れて、
下請代金の先取特権を認めるとか、あるいは
会社更生法の百十九条によりますと、
親会社自体の労働者の賃金は、更生
手続開始前六カ月の間に発生したと認められるものはその保護を受けることができるようになっている。しかし
下請業者の場合にはそれが適用されない。そこで
下請業者でも、その中にはやはり数多くの労働者を抱えている場合があるわけですし、その
下請代金の多くの部分はこの労働者の賃金なのですから、やはり同じように保護を受けることができるようにしてもらいたい。その
親会社が
会社更生法によりその更生
手続を開始した場合に、
親会社の労働者の賃金はその
手続開始前六カ月間までの分は共益債権としてそれを請求することができる、しかし
下請労働者にはそうした場合その保護が受けられない、こういうことになるので、この点やはり
下請業者の場合にも
会社更生法百十九条の適用を受けられるような
方法を考慮してもらいたい。あるいはまた
会社更生法百十二条の中を見ますと、
手続開始後も裁判所の許可を得て、あるいは少額の場合は任意に支払うことができるようになっておりますが、この中でもやはり
下請代金が適用を受けるような
方法を考慮してもらいたい。こういうようなことについて、もしできるならば本法の附則で
会社更生法の一部を改正するというようなことも
考えられると思うのですが、そういうことはできないとおっしゃるかもわかりませんけれ
ども、
政府はこのごろよくそういうやり方で他の
法律を改正しております。たとえば最近問題になっている貴金属なんかの
法律で、大蔵省設置法の一部を改正する
法律案と同じ趣旨の附則がついておるということもありますから、そういうような点について、
会社更生法と
民法の
一般先取特権の問題等に関連し、かつまた
下請事業の労働者の賃金の問題、これらについて
大臣及び
取引委員長双方からのお
考えを伺いたい。