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1956-04-19 第24回国会 衆議院 商工委員会 第36号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年四月十九日(木曜日) 午前十時五十二分
開議
出席委員
委員長
神田
博君
理事
小笠
公韶君
理事
鹿野 彦吉君
理事
小平 久雄君
理事
笹本 一雄君
理事
長谷川四郎
君
理事
中崎
敏君
理事
永井勝次郎
君 秋田 大助君
阿左美廣治
君 宇田 耕一君 内田 常雄君 菅 太郎君
椎名悦三郎
君 篠田
弘作
君 島村
一郎
君
田中
角榮
君
田中
龍夫君
中村庸一郎
君 野田
武夫
君 南 好雄君
山本
勝市君
伊藤卯四郎
君 加藤 清二君
佐々木良作
君 佐竹 新市君 多
賀谷真稔
君
田中
武夫
君
田中
利勝君 帆足 計君
松尾トシ子
君 松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣
石橋
湛山君
出席政府委員
通商産業事務官
(
大臣官房長
) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(
通商局長
)
板垣
修君
通商産業事務官
(
通商局次長
) 樋詰
誠明君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
為替局資金課
長) 片桐 良雄君
大蔵事務官
(
為替局管理課
長) 江上 竜彦君
農林事務官
(
水産庁生産部
水産課長
) 小池 弥六君 専 門 員 越田 清七君
—————————————
四月十八日
委員山本勝
市君及び多
賀谷真稔
君
辞任
につき、 その
補欠
として
菊池義郎
君及び
福田昌子
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員菊池義郎
君及び
福田昌子
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
山本勝
市君及び多
賀谷真稔
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
外貨予算
に関する件
—————————————
神田博
1
○
神田委員長
これより
会議
を開きます。 この際お諮りいたします。
理事会
の申し合せにより、
外貨予算
に関して
調査
を進めたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
神田博
2
○
神田委員長
御
異議
なしと認めます。
外貨予算
に関して
調査
を進めます。まず
政府
より
説明
を求めます。
石橋通商産業大臣
。
石橋湛山
3
○
石橋国務大臣
三十一
年度
上期の
輸入貨物外貨予算
の
編成方針
につきまして、ごく一般的な概要だけを申し上げます。
昭和
三十一
年度
上期
輸入貨物外貨予算
の
編成方針
につきまして、その
最大
の特色は
国内物価
の上昇を抑制し、
経済
の安定した発展を確保するため、
予算規模
をできるだけ
拡大
をすることに
主眼
を置いて
編成
したいということであります。すなわち従来
国内物価
がとかく
国際水準
を離れて強含みになりがちでありました原因の
一つ
が、何と申しましても
輸入
が押えられていることにあることは否定ができません。ところが幸い昨年来
輸出
の状況はきわめて好調でありまして、
手持外貨
が
増大
いたしました。これ以上
外貨
をふやすために無理に
輸入
を引き締めるという必要は感ぜられなくなりましたので、この際
国内物価
の安定を
維持
する
方針
を貫くことを第一義といたしまして、思い切って
予算規模
の
拡大
をはかったわけであります。その結果上期
輸入予算
の総額は、
予備費
五千万
ドル
も含めまして十五億四千三百万
ドル
に上り、前
年度
同期の
修正最終予算
に対しましても、三億八千三百万
ドル
の
増額
となったのでありますが、さらに本
年度
の
年間予算規模
といたしましては、三十億
ドル
を突破する、戦後
最大
の
予算規模
を
予定
している次第でございます。 次に
自動承認制
の
適用
につきましては、
経済
の
正常化
を促進する見地から、
通商
上及び
産業
上の諸問題との調整をはかりつつ、逐次これを
拡大
して参る
方針
でありまして、近日中に
鉄鉱石
、
鉄くず
、米材、
松やに等
を全
地域
または一部
地域
について
自動承認制
に移すことにいたしておりますが、さしあたり
自動承認制
の
適用
が困難な
品目
につきましても、
割当予算
の
増ワク
、
商社割当
の
増額等
によりまして、実質的に
自動承認制
を
適用
した場合とほぼ同様の効果を上げるように取り計らいまして、かつできるだけ早い
機会
に、可能ならばここ一、二期の間に、これらの主要なる
品目
につきまして
自動承認制
に移行し得るように目下
検討準備
を進めておる次第であります。なお本
期予算
の
編成
に際して、一たび
自動承認制
に移行した
品目
につきましては、今後
国際収支
上の理由により、これを再び
外貨割当制
に戻すということは絶対にしないという
方針
を確立いたしました。これによりまして
思惑買付
、その他
輸入面
に混乱を起す危険を防止することに遺憾なきを期しておる次第であります。 第三に
品目別
の
予算
の
策定方針
といたしましては、
鉱工業原材料
、
生活必需品等
につきましては、極力ゆとりのある金額を計上いたしました。その反面、
不要不急
と認められる
物資
につきましては、
通商協定
上その他特別の必要のある場合に限る
方針
を継続しております。
最後
に
支払い通貨
の問題につきましては、
米ドル収支
は当面好調を続けておりますが、しかし
特需収入
が漸減する
傾向
がありますことや、それから
ドル支払い
の
制限緩和
をいたしますことが、非
ドル地域
に対する
貿易
に及ぼす
影響等
を考慮いたしまして、
カナダ
・
ドル
及びスイス・フランスを含むところの
米ドル
及びこれに準ずる
清算勘定
を通ずる
輸入
には、なお慎重を期することにいたしました。他面スターリング及び
上記ドル
以外の
清算勘定地域
からの
輸入
は、これらの
通貨地域
に対する
輸出貿易
の
維持伸張
をはかるため、引き続きこれを促進する
方針
をとった次第であります。 以上が
昭和
三十一
年度
上期
輸入貨物外貨予算編成
の大体の
方針
でございます。
神田博
4
○
神田委員長
次に
板垣政府委員
よりの
補足説明
を求めます。
板垣通商局長
。
板垣修
5
○
板垣政府委員
私より
輸入外貨予算
の
内容
といたしまして、主要な
品目
につきまして概要
説明
いたします。お手元に配付いたしました資料の
最後
の二ページ、六ページにございます。これによりまして御
説明
を申し上げたいと思います。 まず第一に
食糧
でございますが、
食糧
のうち米につきましては、御
承知
のように三十
年度
の
産米
は非常な
豊作
でありましたが、三十一
年度
の
産米
につきましては大体平年作というふうに見ておりまして、
政府
の
集荷予定量
を二千三百五十万石と
見込み
まして、それに
希望配給制度
が継続されるわけでありますが、その
消費増
は
豊作
による
政府
の昨年からの
手持米
をもってまかなう、こういう計算のもとに
需給計画
を
策定
いたしました。本
年度
一
年間
の
外米
の
買付量
を百二十三万トンと
算定
をいたしました。上期におきまして五十一万トンを計上いたした次第でございます。三十
年度
の
年間買付
の
実績
は百三十三万一千トンでありました。これに対して今度の
予算
では十万トンばかり減るということになるわけでありますが、これは昨
年度
中の
外米
の
在庫手持ち
を
充実
するために相当多量に
買付
が行われましたので、これによって十分まかない得るという
予定
でございますし、従って本
年度
の
消費量
といたしましては、昨
年度
と大体同じであるというふうに見ております。なお
買付
時期につきましてはまだ決定をいたしておりません。今後
随時各国
と
通商協定
その他の
関係
を見まして決定して参ることになる次第でございます。 次に
大麦
及び
小麦
につきましては、
外麦
の
消費
の
増大傾向
に即応いたしますとともに、
在庫手持ち
の
充実
をはかるために今
年度
の
年間買付量
といたしましては、
大麦
が八十八万トン、
小麦
が二百四十八万トンというふうにいたしました。
小麦
のこの
数量
のうちには
飼料用
としまして十一万トンを含んでおります。それで上期におきましては
大麦
については四十五万トン、
小麦
については百三十五万トンを計上いたしました。 次に、
大豆
につきましては、三十一
年度
における
国産大豆
の出回りを二十二万トンというふうに計算いたしました。それから菜種の
生産
を二百四十九万六千石とそれぞれ前
年度
に比し若干増加するものと見込んでおりますが、最近における特に
製油部門
における
需要
の充足、それから
国産大豆
の
価格
の安定を確保することに
主眼
を置きまして、
年間買付量
を六十六万五千トンというふうに
算定
をいたしました。この中には
自動承認制
及び
加工貿易原材料予算
による
買付見込み分
の四万トンを含んでおりますので、
品目別
の
予算
といたしましては六十二万五千トンになる次第でございます。このうち上期におきましては三十一万トンを
品目別予算
として計上いたしまして、そのほかに二万トンを
自動承認制
及び
加工貿易原材料予算
に見込んでおります。 砂糖につきましては、三十一
年度
における粗糖の溶糖量が三十
年度
の百八万トンの
推定実績
から百十三万トン
程度
に増加するものと想定いたしまして、本
年度
の
年間買付量
を百十四万トンと
算定
いたしました。このうち上期におきましては五十六万トン分を計上いたしております。 なお
買付地域
につきましては、台湾、
インドネシア等
との
買付交渉
の成り行きとも見合いまして、従来
通り
別途これを定めることといたしたいと存じます。 次に、
専売物資
のうち特に塩につきまして申し上げたいと思いますが、
化学繊維等
の増産に伴う
ソーダ工業用塩
の
需要増加
に対応いたしまして、三十一
年度
の
年間消費量
を二百八十二万トン
——
三十
年度
の
推定実績
は二百六十五万五千トンでありましたが、こう
見込み
まして、
輸入塩
の
年間買付量
を二百四十万トンとことしは
算定
いたしました。上期においては運賃の季節的な
割安等
の
事情
を考慮いたしまして、このうち百三十五万トンを計上した次第でございます。
年間買付予定量
が昨年の
実績
の二百四十二万八千トンに比しまして若干減りましたのは、実は三十
年度
の下期におきまして
在庫
の
充実
をはかるため相当大幅な
買付
を増加した結果でございまして、本
年度
の
実績
的な
処理
といたしましては、本
年度
は昨
年度
よりもずっとふえておる次第であります。 それから
繊維原料
のうち原綿につきましては、三十
年度
中綿糸
の操短が実施され、
過剰在庫
の払い出しもおおむね完了いたしましたので、三十一
年度
の全
綿糸生産
は
輸出
が若干減少し、
内需
が若干増加するものというふうに
見込み
まして、前
年度
に比し約五%増しの二百三十二万
コリ
、
月平均
にいたしますと、十九が三千
コリ
を
予定
いたしました。これに応じまして
年間買付量
といたしましては、最近やや強調を呈しております
綿糸価格
の現況をも照らし合せまして、二百三十八万五千俵、このうち純粋の
紡績用
は二百十五万俵でありますが、前
年度
に比しまして十四万三千俵を
買付
増いたしまして、このうち
上期分
といたしまして百十二万俵、
うち紡績用
として百万俵を計上しております。 原毛につきましては、最近における
内需
の
増加傾向
及び
紡績
の混毛率の実勢に即応いたしまして、
予算
を今期は大幅に増加する
措置
をとりました。
年間買付量
を三十
年度
の六十九万五千俵からずっと上げまして、八十五万俵というふうにいたしました。このほかに
外貨資金特別割当制度
、例のマル特によるもの、及び
求償バーター取引制度
による
買付分
がこの
ワク外
に別にあります。八十五万俵に引き上げましたが、そのうち上期におきましては約半分の四十万俵を計上いたしております。 次に、
肥料原料
のうち
燐鉱石
及び
カリ塩
につきましては、近年における
肥料需要
の
増加傾向
を勘案いたしまして、十分な
予算措置
を講ずる
方針
をとりまして、
年間買付量
を
燐鉱石
が百五十一万六千トン、
カリ塩
が五十一万三千トンと
算定
をいたしまして、上期においては
燐鉱石
が八十三万六千トン、
カリ塩
が二十五万八千トンを計上いたしております。 それから
鉄鋼原料
は
鉄鋼需要
が非常に増勢になっておりますので、三十一
年度
の
鉄鋼生産
を
原料手当
の可能な
限度
において極力
増大
し、
高炉銑
が五百七十七万三千トン、
普通鋼鋼材
が七百三十万トンの
年間生産
を計画いたしました。これに必要なる
鉄鋼原料
といたしまして、
鉄鉱石
が七百三十四万四千トン、
製鉄用コークス用炭
が二百九十六万六千トン、
鉄鋼くず
、
スクラップ
が百七十六万トンに上る
年間買付
を想定いたしております。このうち上期におきましては、
鉄鉱石
が四百三十八万八千トン、このうち三十一
年度
から
ポンド地域
の一部、すなわちインド、
ゴア等
を残しまして全面的にただいま御
説明
がありましたように、
自動承認制
を
適用
することといたしましたので、
割当予算
の
計上分
といたしましてはこのうち百五万トンだけになり、あとは
AA
になる次第でございます。それから
コークス用炭
といたしましては、百五十三万一千トンを計上いたします。それから
スクラップ
につきましては八十一万トン、このうち
割当予算
に計上しておる分は五十八万トンでございます。なお三十一
年度
におきましては、
鉄鋼需給
及び
価格
の安定に万全を期するため、
上記
の
鉄鋼原料
の
手当
を行うほかに、
年度
間を通じまして銑鉄を五万トン、それから半
製品
を五万トン、
鋼材
を十万トン
程度
買い付ける
予定
にいたしております。 それから
石油類
につきましては、最近各
油種
とも
かなり在庫
の
増大
を示しておりますが、この
機会
に
石油需給
の
円滑化
を一般に徹底することにいたしまして、三十一
年度
の
年間消費
を
揮発油
三百七万キロ、それから灯油を六十五万キロ、
軽油
を百万キロ、それから
重油
を五百八十万キロと
見込み
まして、
年間
の
買付量
を、
原油
におきまして七千三百七十九万
バーレル
、このうち
自動承認制予算
による、すなわち
インドネシア
から入れる分が三百二十一万
バーレル
、それから
揮発油
が九万キロリットル、
軽油
が十三万キロリットル、
重油
が百三万キロリットルと
策定
をいたしまして、このうち上期においては
原油
が四千百三万
バーレル
、そのうち
自動承認制
の分が百六十一万
バーレル
、
揮発油
が五万キロリットル、
軽油
が五万キロリットル、
重油
が四十万キロリットルというように計上いたしております。この
原油
の
輸入
の結果、
原油
の
処理量
は
年間平均
一日当り十八万五千
バーレル
に上りまして、三十
年度
の
実績
に対しまして、一五・六%
程度
引き上げられる
見込み
になる次第でございます。
最後
に、
機械類
につきましては、最近非常に
機械類
の
輸入需要
がふえております。三十
年度
下期以降とみに活発化いたしましたので、昨
年度
下期の
割当予算
は総計一億三千万
ドル
に達したのであります。従って引き続き三十一
年度
におきましてもこの
程度
の
水準
を
維持
するものと見込まれますので、
年間
一億
ドル
の
予算
を想定いたしまして、そのうち上期においては約半分の一億一千五百万
ドル
を計上いたしておる次第でございます。 以上おもな
物資
の
割当
の
内容
につきまして御
説明
申し上げました。
神田博
6
○
神田委員長
質疑
に入ります。
質疑
の通告がありますから順次これを許します。
中崎敏
君。
中崎敏
7
○
中崎委員
外貨
に関する問題は、
国民生活
並びに国家の
経済
の上に重要な要素を占めておるものでありますが、今回
商工委員会
においてこれに関する大体の
政府
の
方針
などが具体的に示されたということは、そうした
重要性
を国会において審議する
機会
を与えられたということについて一歩前進だというふうに
考え
て、この点については敬意を表するもであります。 そこでこの
方針
上の問題についてもいろいろ
質疑
がしたいのでありますが、まず第一に、
AA制
に関する
考え方
の問題であります。これは
世界
の大勢から言いましても、漸次
貿易自由化
の
方向
に気分的には進みつつあるということは一応言えると思うのでありますが、実際におきましては、まず第一に、
共産主義諸国
との間における
政策
を含んだ
通商関係
の大きなる制約、
制限
があると同時に、
各国
それぞれやはり国家主義的な
考え方
の上に立って依然としてこの
貿易政策
がとられておる
関係
もありまして、あながち
日本
の
国内
において強く
貿易自由化
が叫ばれておるほどには、
海外
のそれぞれの国においては真剣に深刻に取り上げられていないのではないかというふうな気持もしておるのでありますが、この点についての大体の
各国
間の情勢について、ことに
米英
などの
主要国
におけるところのそういう実際にとらわれておる
政策
並びに
考え方
の大綱について、
一つ
御
説明
を願いたいと思うのであります。
板垣修
8
○
板垣政府委員
貿易自由化
と
日本
の
外貨割当
の
制度
の
自由化
との関連につきましての御
指摘
は、私
ども
も大体同じ
考え
でおるわけでありますが、しかしながら、やはり
世界
的に
貿易
の
自由化
がどの
程度
進んでおるかどうかという点は、
見方
によって非常に違いますが、私
ども
の
見方
といたしましては、やはり最近は相当
テンポ
を早めておるように感じます。大体
世界
の動向と申しますると、
ドル地域
の
主眼
をなしまするアメリカとか
カナダ
とかあるいはメキシコというようなところが完全な
貿易自由化
、全然
数量制限
も
為替制限
もない体制をとっておることは、御
承知
の
通り
でありますが、その次に最近特に
貿易自由化
として言われておりますのは、
欧州諸国
における
貿易自由化
でございます。これは分析の仕方によっていろいろ違いますが、少くとも
欧州諸国
の内部におきましては、
貿易自由化
がこの二、三年来非常に進んで参りまして、最近ではこの
自由化率
が八〇%、九〇%に進んでおるわけであります。ただ、これらの
地域
の対
ドル地域
への
自由化
という点につきましては、まだいろいろ問題があって、そう高くはなっておらないわけでございます。しかし非常に進んでおるわけであります。ただ、
日本
と特に
貿易関係
の深い
東南アジア
であるとかあるいは中南米とか
——
最近は
南米あたり
は少し
自由化
の
方向
へ進んで参りましたが、
東南アジア地域
はまだそう
自由化
が進んでおるとは思いません。従いまして御
指摘
の
通り
、私
ども
は
国内
の
事情
及び外の
貿易自由化
の趨勢にかんがみまして、漸次
自動承認制
の
拡大
をはかっていきたいというふうに思いまするが、しかしこのやり方といたしましては、ただいま申しましたように、
国内産業政策
との
関係
あるいはそういう
後進地域
との
日本
の
貿易
の
維持
、
通商政策
上の
観点
、これもかみ合せまして、慎重に漸進的にやっていきたいというふうに
考え
ます。ただ最近の形勢は、われわれが予想したよりは
テンポ
が少し早くなっておるという
事情
にあり、従ってそういう点もかみ合せて、われわれの
テンポ
も少し早めなければなりませんし、また
日本
の現在の
外貨事情
が幾分好転したという
事情
から言いましても、またそれに応じ得る態勢になってきたのじゃないかというふうに私
ども
は
考え
ておる次第でございます。
中崎敏
9
○
中崎委員
次に、いわゆる
自動承認制
の問題でありますが、これについては今
通商局長
が言いましたように、
国内産業
との
関係
を一体どうするかということが一番大きな問題だと思うのです。ことに
日本
のような非常に
資源
の
少い国
において、しかも人口の多い国において、そして
中小企業者
と多数の潜在並びに
顕在失業者
の多い
状態
において、こうした
国内産業
を一体どういう地位に置くかということはきわめて大きな問題だと思うのでありまして、これは
世界
のどの国にも比較して大きく取り上げて、また重要視して
考え
なければならぬ問題だと思うのでありますが、要は、まず第一に、この
国内産業
、ことに
中小企業者
の
立場
と
失業者
の吸収を一体どうするか、逆にまた、
失業者
をどんどん出さないような
方向
に持っていくんだというような
考え
などをあわせて強く取り上げていかなければならぬと思うのであります。そういう意味合いにおいて、一応
外貨事情
は相当好転しておるとは言いながら、ただ
外貨
があるんだからどんどん
手放し
に
自動承認制
をやって、そうしてある意味において大きなる
一郎
の
産業
あるいは
輸入業者
などを特に太らかして、多くの大衆のスケールにおける
経済
の動きというのを大きく封殺するというふうな
考え方
は、間違っておるのではないかと
考え
るのであります。この点について、その段階的に一体どういうふうな処置をするのか、また将来どういうふうに
考え
ておるのかということについて、一応の
基本方針
を
大臣
から御
説明
願いたいと思うのであります。
石橋湛山
10
○
石橋国務大臣
今のお尋ねは、
経済政策
上きわめて根本に触れる問題でありまして、つまり
日本
の
中小企業者
といいますか、あるいは
失業者
その他を含めて、いわゆる
完全雇用
を実現するために
日本
の
経済
をどういうふうに持っていくか。これはまあ極端に言えば、
閉鎖経済
によって
完全雇用
を実現するか、あるいはそうでなく、
国際貿易
の
立場
に立ってこの
完全雇用
を実現するという
方向
へ持っていくかという問題だろうと思うのであります。さしずめ
日本
の
国内
の
中小企業者
とかいうようなものの安定をはかるということの
観点
から言えば、つまり
閉鎖経済
でいけば、
国内
の問題は一番簡単に片づくのでありますが、しかし
日本
の
事情
として、私はどうもそうはいかないのじゃないか。やはり
閉鎖経済
でなく、
国際貿易
を大いに盛んにして、そうしてその
立場
で
完全雇用
を実現する、こういう
方向
にいかなければならぬのではないかと思うのであります。そうとしますと、やはり
原材料
あるいは必要な
生活品
というようなものもできるだけ安く手に入れる工夫が必要なんでありまして、それには単に
自動承認制
によって自由に品物を入れるというだけでなく、さらに
外国投資
あるいは例の
賠償等
を利用して、そうして
東南アジア
その他の
地域
の開発を行なって、
日本
の
原材料
の
輸入市場
を開拓し、あわせて
輸出市場
を開拓するというふうなことをむろん強力にやらなければなりませんが、どうも
貿易
を行いつつやるということに
考え
ますと、ただ
輸入
を
制限
して
国内
の
中小企業者等
を温存するということでありますと、いつまでも
日本
の
産業
というものは
温室育ち
というようなことになりまして、
海外
における
競争力
が養われないという懸念がありますから、やはり一ぺんに開放しまして、そうしてこの
国内
の
産業
がつぶれるような
方策
はむろんわれわれとしてはとれませんから、逐次これはやらなければなりませんけれ
ども
、しかし大体の
方針
としては、少くとも現在ここで
自動承認制
を
拡大
して、できるだけ
海外
との交通を盛んにして
国内
の
産業
の力を養うと同時に、一方においては、先ほど申しましたように、積極的に
海外投資
その他の方法によって
日本
のマーケットを広げるということに努力する、こういうのが私は
日本
の行くべき道だろうと思う。大体そういうような
考え方
で進んでいるわけであります。
中崎敏
11
○
中崎委員
まず
原材料
、ことに
日本
では非常に
資源
が少いのでありますから、
加工
によって
日本
の
経済
をまかなわなければならぬ。
国内
における
経済
もそうでありますし、これを
加工品
として
輸出
することによって国の
経済
をさらに進展させていくということが、第一のねらいであるべきであると思うのでありまして、ことに
原材料
の少い
日本
において、この
原材料
を必要な範囲において
輸入
する、その
限度
においては
AA制
の
拡大
も当然だと思うのでありますが、ただ
考え
なければなりませんのは、現在においてもあれだけに
輸出
入の
バランス
というものは相当に好転しておる。言いかえれば、
外貨
も相当大幅に蓄積されるというような
状態
になっておる。従って、これは
AA制
がああいう
状態
においてさえも、なおかつあれだけ進んだ。言いかえれば、
AA制
を
制限
しておるために、だんだん
外貨
の
事情
も窮屈になっておる、蓄積の
外貨
がだんだん減ってくるという
状態
になれば、また何らか新しい
方策
を
考え
なければならぬと思うのでありますが、そうでなくして、とにかく
輸出
は、
鉄鋼
を中心とするところの、
外国
に新しい
市場
が生まれておるというようなこともあるにはあるでございましょうが、それにしても、そのほかの点についても漸次
輸出
というものが振興されて、そうして平常の
状態
においてもなおかつこの
バランス
の
状態
というものは十分に保てるという見通しの上に立っている。さらにそれを伸展させるためにということによって、
AA制
をあまり無鉄砲に
——先
ほど言いましたように、必要な
原材料
の
AA制
の
拡大
ということは
考え
られるのでありますが、さらに
製品
まで、あるいは半
製品
までどんどん
手放し
に
AA制
に移行するような
状態
になるということは、逆に
国内
経済
に大きな圧迫を加え、ことに中小企業や労働者等についての
完全雇用
の
方向
が逆な
方向
に行く。言いかえれば、大資本集中というふうな
傾向
がますます助長されるようになるのじゃないか。そうなると、多数の
中小企業者
なり、あるいは
失業者
というものが逆に余分に出るのではないかというような心配をするのでありますが、そういう意味において、あまりに原料材の範囲を越えて、
製品
あるいは進んだところの半
製品
の
輸入
というようなものに
AA制
というものを一ぺんに
手放し
に許されるということになると、逆に好ましくないような悪影響があるのではないかと思うのでありますが、この点についてのお
考え
を伺いたい。
石橋湛山
12
○
石橋国務大臣
無鉄砲に
手放し
ということはわれわれも
考え
ておらないのです。ですから苦心をしておるわけです。しかし、
海外
からの
輸入
をチェックして、その保護のもとにようやく活動しておるという状況では、
海外
に対する
競争力
がいつまでもできませんから、そこでわれわれとしては、先の見通しとしては、もうどんどん
AA制
になるんだ、
貿易
は
自由化
の
方向
へ急速に進むのだぞという
一つ
のかけ声をかけて、
中小企業者
にも、その他の人たちにも勉強してもらいたい、こう思っておりますから、そこで中小企業の保護のためにはいつまでも
輸入
を
制限
しているぞというようなことはおもしろくないというだけでありまして、決してお話のように無鉄砲に
手放し
に、いきなり何でもやってしまう、こういう
考え
は持っておらぬのであります。
中崎敏
13
○
中崎委員
次に、
地域
別に見た
通商関係
なのでありますが、まず第一に、ことにアメリカ合衆国との間における
輸出
入の概況は一体どうなっているか。たとえば
輸出
がどうで、
輸入
総額は昨年は一体どうであったか、本年は一体どういうふうな見通しになるのか、それを
一つ
お聞きしてみたいのであります。
板垣修
14
○
板垣政府委員
ただいま手元に詳細な資料がございませんが、大体を申し上げますと、三十
年度
、すなわち昨
年度
のアメリカへの
輸出
額は、その前の年より非常にふえまして、約二億二千万
ドル
ばかりふえまして五億二千万
ドル
程度
に相なりました。
輸入
の方は従来とあまり変りませんで、大体八億
ドル
程度
であろうと
考え
ます。本
年度
の
見込み
につきましては、御
承知
のようにアメリカにおける
日本
品に対する熾烈な
輸入
制限
運動な
ども
ございますので、これに対しましてはいろいろ対策を講じておりますが、少くとも本
年度
に関する限りは非常に大きくふえることはちょっと望み薄だろうというところで、ただいまのところは大体横ばい
程度
を予想しております。
輸入
につきましては従来と余り変らないと存じます。と申しますのは、アメリカからは大体どうしても
日本
で必要な生活必需
物資
ないし
原材料
を
輸入
しておりますので、大体そう大きな動きはないと存じます。従って全体といたしましては、依然やはりアメリカに対しては入超の形をとることは、御
承知
の
通り
であります。
中崎敏
15
○
中崎委員
今
通商局長
の
説明
によりますと、三十
年度
においては
輸入
が約八億
ドル
、
輸出
が五億二千万
ドル
、差引一億八千万
ドル
内外の
輸入
超過なんであります。言いかえますと、アメリカからそれだけよけいに
日本
が買いつけてやっているというような
状態
なんです。ことに最近における繊維
製品
の締め出し、いわゆる日貨排斥といいますか、こういう不自然な、しかもこれは
通商
航海条約違反だというふうにいわれているのであります。こういうふうなことがやられているということに対しましては、非常に遺憾にたえないのでありまして、このことは国会においてもしばしば論議されているのでありますが、そこで
政府
にまずお聞きしたいことは、現在
日本
がアメリカに対して自主的に自制しているといいますか、そういうふうな
品目
並びに
程度
が一体どういう
状態
であるのか。それにかかわらず、アメリカにおける、ことに繊維
製品
を中心とする日貨排斥といいますか、そういう
状態
が一体どういうふうになっているか、どういう州においてどういうふうな法律が作られたとか、作られるとか、実施されたというようなことも聞いているのでありますが、そういうことに対する
状態
はどうなのか、さらに全体としてこういうふうなアメリカが
日本
製品
を排斥するような動きというものは一体どういうふうな見通しになるのか。これは繊維
製品
に限らず、そのほか一体どういう見通しになるのか、それについて具体的なあらましの
説明
をお聞きしたいのであります。
板垣修
16
○
板垣政府委員
昨年来アメリカにおきまして特に繊維品を中心といたしまして
制限
運動が起っていることは、御
指摘
の
通り
であります。その前からも、アメリカにおきましては、いろいろな形におきましは、マグロとか、合板とか、あるいは陶磁器とかいうものにつきまして似たような問題が起っているような次第でありまして、これにつきましては、随時
日本
といたしましては、
政府
のベースにおいても、あるいは民間のベースにおいてもいろいろとこれに対策を講じてきておったわけであります。これに対します
日本
の自主的
措置
といたしましては、まず
数量
的な自主的調整をやっておりますものは、マグロであるとか、あるいは合板であるとか、あるいはごく最近には、昨年の暮れ行われました綿
製品
に対する自主的規制
措置
をとってきておるわけであります。こういうことはわれわれといたしましてはあまり好しまくないのでありますが、マグロであるとか、合板であるとか陶磁器というふうなものにつきまして、やはりどうしても
日本
側とすれば過当競争の結果、ダンピングの疑いを受けるような事態もときどき生じた、こういうような
関係
から、
日本
といたしまして反省なり
価格
の規制ということは、
輸出
取引秩序の
維持
という点からぜひ必要なのです。それと同時にアメリカ側に対しましても、
日本
の品物が急激に伸びることによって向うに反対運動が起ることを未然に防止する、こういう両方の意味を含めてとっておる次第であります。ところが最近綿
製品
などにつきましては、そういうような
日本
側の自主的
措置
にかかわらず、アメリカの議会におきましては、いろいろな形の
日本
品の
輸入
制限
法案を審議中でございますし、それがさらに進みまして、御
承知
の
通り
サウスカロライナ州におきまして
日本
品ボイコット類似の法律がしかれ、さらに最近アラバマ州においても、若干サウスカロライナ州よりも弱い形でございますが、似たような法案が通過したということは、私
ども
といたしましてまことに遺憾に存じておる次第でございまして、これに対しましては、ただいま外務省を通じましてアメリカ
政府
に対して厳粛なる注意を喚起しておる次第でございまするが、アメリカ側の態度といたしましては、これは非常に遺憾なことであると言っておりますが、これを是正するためには、アメリカの連邦と州法との
関係
上急に行政処置はできないという悩みもあるようであります。しかしこれに対しましては、アメリカ
政府
としまして何らか善処する
措置
をとられることを私
ども
は期待しておる次第でございます。こういうような情勢でございまして、今後一
年間
の、特に綿
製品
の
輸出
の見通しにつきましては、従来よりもあまり明るい期待は持てないのでございますが、しかしながらわれわれのとりました自主的
措置
も、昨年より減らしたわけではございません。大体昨年より多少上回る
程度
で自主的規制
措置
をとっておりますし、大体この
程度
のところで本
年度
は推移するものと
考え
ますし、なお
輸入
制限
法案などにつきましては、われわれといたしましてもアメリカ
政府
の善処を期待しておる次第でございます。
中崎敏
17
○
中崎委員
昨年よりやや上回る
程度
において自主的
措置
をとっておるということでありますが、今
説明
のように、アメリカが各州において、独自の
立場
においてそれぞれいろいろの
制限
的な法的
措置
まで講じてやっておる。しかもアメリカ
政府
としては、
国内
的にもそういうものにはこれという応急の対策がないということになると、一体どういうことになるか、次から次へと各州が燎原の火のようにこういうふうな
措置
を講じていく。しかも
日本
においては自主的な
措置
をとって、これならば
輸出
入取引の秩序の
維持
においては万遺憾ないような
程度
であると認定して、もちろん向うの情勢も判断し、向うの
関係
者等とも話し合いの上で当然やっておることと思うのでありますが、それにもかかわらず、何らそうしたことについて適当な見通しもなく、各州がそれぞれの
立場
においてやるということになれば、一体どういうことになるのか、そこの点。またこれは通産
大臣
にお聞きしたいのでありますが、今
通商局長
は何らかの
措置
を期待しておるというふうななまやさしい答弁であるのでありますが、ことに
日本
と米国との
関係
というものは、相当緊密な
関係
においてつながれておる。それにもかかわらず、こういうふうな、
通商
航海条約にも違反し、さらに国際信義をも裏切っておるというふうなことが野放しでやられておるということについては、単に一片の抗議とか懇請、陳情をしたというふうなことでこの問題を処置していいのかどうか。何らか報復掛向というか、これに対するところの
措置
を
政府
としても強力に講ずべきではないかと思うのでありますが、一体これについての根本的な解決の方法、応急の
措置
をその後お
考え
になっておるか、そこの信念のほどをお伺いしたいのであります。
石橋湛山
18
○
石橋国務大臣
もう少し情勢を見なければ前途の判斯ははっきりしたことはわかりませんが、私の
考え
では今局長も申しましたように、アメリカ
政府
としては今日アメリカの州あるいは民間等でいろいろと
日本
の綿布その他に対する
輸入
阻止の運動をしておることに対しては、
政府
は非常に困ったことだという感じを抱いて、極力これを押えようとして努力しております。そこで
日本
政府
としても、こういう場合にはアメリカ
政府
に協力して、アメリカ
政府
がやりいいように、つまりあの
輸入
制限
の不合理なアメリカ
国内
の動きをアメリカ
政府
が押えるためには、
日本
政府
もこれに協力してやって、押えいいようにやらなければいかぬと思うのです。その場合に報復
措置
というようなものが非常に有力なものであるならばでありますが、これがもし報復
措置
というようなことのために、かえってアメリカ
国内
の感情を刺激するというようなことがありますと、アメリカ
政府
としては非常に困る。従って私でもとしては、なるべくそういう報復
措置
というようなことをとらずに、アメリカ
政府
自体が
国内
のああいう動きを押え得るように協力しつつ、それを期待するという
方針
で今やっているわけであります。報復ということは今
考え
ておりません。
松平忠久
19
○松平
委員
関連。ただいまの問題は、
日本
としても非常に重大な問題であるわけでありますが、
石橋
通産
大臣
のお話によると、アメリカ
政府
のやりいいように
日本
が協力する、これは私その
考え方
はわかるのであります。しかし過去において、
通商関係
においてアメリカとの間に起ったいざこざ等を見ますと、州法と
通商
条約との
関係
が非常にあったと私は記憶いたしております。たとえばジッパーの問題にいたしましても、あるいはまた品質等の問題にいたしましても、マグロのカン詰の問題にいたしましても、そのような問題が、州法と条約との
関係
があの国では非常にむずかしいことになっておることは事実であります。しかしながらそのようなアメリカ
政府
のやりいいような方法をとるということも
一つ
の方法でありますけれ
ども
、アメリカ
国内
のいろいろ過去のやり方を見ておりますと、ああいう民主主義の国でありますから、相当民間外交といいますか、そういうものを活用してアメリカの反省を促すということが必要ではないか、つまり
政府
対
政府
というやり方ではアメリカに対する外交はだめなんであります。従ってわが国においてはそれと対応する
措置
を
考え
てやらなければならぬというふうに
考え
ておるのであります。その意味において業者等からいろいろな声が出ておると思うのでありますが、そういう声をまとめて向うに反映するということをお
考え
になってやっておることがありますかどうか。あるいはまた向うの国会でいろいろな案が今まで出ておりますが、それらの国
会議
員に対して
日本
側から反省を促すというような、正規の外務省を通じての外交ということではなく、ほかの方法を併用していく必要が相当あると思うのでありますが、その点に対しての
大臣
の見解あるいは、おとりになったかどうか知りませんが、その
措置
等についてお伺いしたいのです。
石橋湛山
20
○
石橋国務大臣
私がただいまアメリカの
政府
に働きよいように云々と言いましたのは、とりあえずのことを申したのであります。むろん今お尋ねのように民間外交と申しますか、民間の動きとしてアメリカの世論を動かす努力はいたしております。具体的には
政府
委員
から
説明
いたさせます。
板垣修
21
○
板垣政府委員
御
指摘
のように、ああいうアメリカのような大きな民生国に対しましては、
政府
ベースだけではだめなことは御
承知
の
通り
でありまして、私
ども
といたしましても、民間ベースからの働きかけ、民間外交といいますか、働きかけは非常に力を入れておる次第でございます。むしろ
政府
から指導するということでなしに、
日本
側の民間自体におきまして、従来ともこういう方面につきましては非常な働きかけをやっておりまして、最近におきましても、綿
製品
、特に綿
製品
の
制限
運動に対しまして、現地におきましてはニューヨークにおきます
日本
人の商工会談所、これが中心になりまして非常な工作をやっておりますし、最近は
日本
の
紡績
業界からも人がわざわざアメリカに参りまして、工作の
内容
につきましてはここで申し上げることを差し控えますが、ワシントン、ニューヨークにおきまして非常な働きかけをやっております。それから向うの特にセネターに対しましても、これは官のベースにおいても、民間のベースにおいてもやっておりますし、その点につきまして、業界はみずから相当多額の金を出してやっておる次第でございまして、こういうものが両々相まって向うに働きかけておる。それから
日本
側としまして、御
承知
のように経団連とか、
日本
商工
会議
所とか、こういうところからも最近アメリカに呼びかけまして、これが相当大きな反響を呼んでおることは御
承知
の
通り
でございます。ただこういう運動の効果につきましては、御
承知
のようにどこの国でも同じなんでありますが、やはり
消費
者の組織というものが非常に弱い。私先般ニューヨークにおいて、アメリカ側の
日本
品のインポーターともいろいろ懇談したのでありますが、もう少し働きかけをやれと向うから言われました。しかし何といたしましても、
日本
品を買うことによって一番利益を受ける
消費
者の組織がないから、その声がちっとも響かない、かえって反対する一部の生
産業
者の声だけが強く出ておる。これを向うの議会にも働きかけようということで、非常に困難な点はございますが、やはりああいう民主不義の国でありますから、一般の
消費
者にも呼びかけ、さらに向うの議会にも呼びかければ相当効果があることは現実でありますし、従来やっておりますので、今後ともそういう
方向
に一段の努力をいたしたいというふうに
考え
ます。
中崎敏
22
○
中崎委員
政府
間同士の交渉のほかにいろいろな方面からの働きかけ、これはけっこうと思うのでありますが、結局においては、一国と一国との条約、協定等において取りきめられても、それを無視されておるというふうなこういうあり方というものは、真の民主主義のあり方ではないと思う。国家と国家との間で条約その他の取りきめをしたが、それが平気でじゅうりんされ、無視された法律が作られた。これが実際に行われるというふうな国を対象にして、いろいろな取りきめをするということには、大きなるところの不安がある。ことに
日本
に対する、
日本
品の排斥などということはきのうきょうに起ったことではない。もう相当長い間にわたって行われておる。それがますますひどくなってきておる。まるっきり傍若無人とでも言うべき
状態
になってきておる。そういうふうな
状態
であるにかかわらず、しかも
板垣通商局長
もこの前の国会において、こうしたような問題があって、そうしていろいろあの手この手で連絡をとっておる、いろいろな手を尽しておるというにかかわらず、ますますひどくなってきておる。それにもかかわらず、依然として手をこまねいて、そうして今度は
石橋
さんが言うように何らこの報復
措置
もとらない、こういうふうな腰の弱いことでは一体どうするのだ。一国の
経済
を担当しておるところの通産
大臣
が、そういうふうな弱腰で、どういうことをやられても、法律をじゅうりんして、無視して、勝手ほうだいなことをやられておっても、なおかつ手をこまねいておって、これに対する手を何ら打たないのか、そこを私は聞きたいのだ。先ほどから通産
大臣
の信念が聞きたい。腹をきめたところが聞きたい、こう言うのです。ことに明らかに法律に違反してやっておるのだから、これについては、いよいよ向うが聞かない場合においては、万策尽きた場合においては、報復処置も
考え
るのだ、これくらいなことがなぜ言えないのか。それが同時に民主主義の国といわれておるところのアメリカ国民にも、アメリカの
政府
にも国会にもそういうことが反映して、何らか彼らも反省する時期が早く来るのではないかとさえ
考え
るのだが、その信念を
一つ
ここではっきり聞きたいのであります。
石橋湛山
23
○
石橋国務大臣
今の御質問の中に万策尽きてというような言葉がありましたが、われわれはまだ万策尽きておるとは思わない。万策を尽しまして、その上になおいけないならば
考え
なければならないことでありますが、そう初めからあまり気負い立って報復云々ということはかえって事をまとめるゆえんではないと
考え
ております。
田中武夫
24
○
田中
(武)
委員
ただいまの質問に関連してお尋ねいたしますが、アメリカの綿
製品
の
輸入
制限
につきましては、当
委員
会においても、本国会に入りましてからも一月十三日に一回、それからその後また一回、ことに撻州織の問題等を取り上げて質問をし要請をいたしました。そのときは
通商局長
もそういうことについて善処いたしますと答えております。また
大臣
も同じような答弁をせられたと思います。ところが今の御答弁によると、その後何ら答弁
内容
が変っておらない。実際具体的にどのように善処しておるのか。あのときに私は、アメリカも相当
日本
にむちゃなことを言うてきておるのだから、こちらも少々腰を入れてやってもよいのじゃないかということを申し上げたと思いますが、まだ何ら手を打たれておらぬような御答弁のようでありますので、具体的にどういうことをやったのか、それと同時に今後どのような決心を持っておられるのか、もっとはっきり言っていただきたいと思います。
石橋湛山
25
○
石橋国務大臣
それは一々具体的には申し上げられませんが、これはやっておりますよ。外務省同士、あるいは
政府
委員
が言いましたように、民間の方でもやっておりますし、また通産省としても人が幾度か参りまして話し合いをしておるのであります。しかし先ほどからお話がありますように、国本品を何か不当廉売でもしておるかのごとくに誤解をしておる。これはアメリカの非常に長い深い誤解でありますので、これを解くのには、やはり一月や二月では効果は上らないと思います。われわれもかなりしんぼう強くやらなければいけないだろうと思います。
中崎敏
26
○
中崎委員
由来この鳩山内閣は、ことにアメリカに対して非常に腰が弱い。特に重光外務
大臣
のごときは、まるきり何だがアメリカ自身に隷属しておるのではないかとさえ思われるような
考え
を持たれている。この話はよけいなことかもしれませんが、ソ連に対する
関係
においても、鳩山内閣の公約の一枚看板であるところのソ連との
関係
を
正常化
する問題さえも、重光外務
大臣
のなした態度な
ども
手伝って、この問題が今行き詰まっておるということもそうであります。そのほかありとあらゆる面において、ほとんどアメリカにろくによう言わぬのではないかという感じを国民は持っておる。ことにこの問題について私たちのまず言いたいことは、アメリカに対してこの
輸出
入取引の秩序を害さないように
——
いわゆるダンピングとかあるいは業者間におけるところの無用の売り急ぎなどの競争があるということは、アメリカに対する
関係
もあるので、その点は実質的にあらゆる努力と施策を加えて今日に至っておることは今
説明
の
通り
です。 〔
委員長
退席、小平(久)
委員長
代理着席〕 しかもこの
輸出
入の
状態
を見ると、
輸入
が八億
ドル
、
輸出
が五億二十万、
ドル
、逆に一億八千万
ドル
という
輸入
超過で、よけいアメリカから買ってやっておる。そういうように、
日本
はアメリカの
経済
に大きなるところの協力と貢献をしておる。であるから、少くとも
日本
が八億
ドル
の
輸入
をすれば、アメリカに八億
ドル
買わせるのだ、こういうふうな努力と、さらに具体的な施策があるのではないか。たとえば
日本
の電源開発などの機械施設などについても、現在
日本
においては、あんな機械設備までアメリカから
輸入
する必要はないというくらいまで、
日本
の機械工業も発達しておる。それにもかかわらずやたらに高い機械を
——
ある人に言わせれば、リベートがついておるとさえ言うのであるが、そういうような高い機械をどんどんアメリカから買い込んで、今度は
日本
の
産業
経済
に大きな圧迫を加えておる。
日本
の大きな機械業者の間でも、
日本
においてはすでに完全にそういうような機械もできるというような、そういう状況にあるにもかかわらず、何だか知らぬが、MSAなどのひもつきなどを含めて、
政府
の方は、必要でないものをアメリカなどからどんどん買っておる、こういうことも言っておる。だから、そういうようなものをまず買い控えるということが
一つ
の方法でもあるし、あわせて、たとえば綿なら綿を
輸入
する、それについては、アメリカから一体幾らのものを買うのか、そういうようなことをもう少し具的体にとりきめて、話がつかなければ、アメリカだけに綿があるわけではないのだから、そのうちのある部分をよその方から買うというようなこともあるのではないか。言いかえると、
通商政策
の基本的な問題について、もう少しアメリカと十分な話し合いをして、こういう一方的な行き過ぎのような、しかも法律まで無視、じゅうりんしてやるような、こういう民主主義の国のあり方については、もう少し具体的な施策の上において
考え
る必要があるのではないか。報復の
措置
ということは、非常手段であるから、これは第二段としても、まず第一段において尽すべき手は山ほどある一体この点についてどういうような努力をして
——
現在アメリカはこういうような行き過ぎの
措置
をとっておるが、今後さらにこういうような問題をとらえて、
政府
の施策だからこの機械は買わないといえば買わないでいい、そういうような
措置
は十分講ずる余地はあると思うが、それについて具体的にどう
考え
ておるか、聞きたいのであります。
石橋湛山
27
○
石橋国務大臣
今機械のお話がありましたが、実は機械は、国産でできるものは、少し厳重過ぎるほど
輸入
を
制限
しておる、私はもう少し入れてもいいと思うほど当局としては
制限
しております。今の火力発電の問題は、
日本
ではできないのです。十二万何千キロぐらいまではできるようになりましたが、ああいうものは日進月歩で、こちらが十三万何千キロができるときになると、
需要
家の方は十五万何千キロ、さらに十七万何千キロというようにどんどん大きくなる。そうすると、電力の方から申せば、その方がそれだけ能率がいいから、能率のいいものを使いたい。それで、最初に十二万何千キロがアメリカならアメリカから入ってくる、そして
日本
のメーカーも青写真によってその十二万何千キロができるようになると、実際の電力
需要
はそれより先に行ってしまう。こういうようなことでありまして、実際必要であるから入れておるので、必要以外のものは入れておりません。ですから、そういうことで、先ほ
ども
一般
方針
で申し上げました
通り
、もしそういうようなものを入れるとしても、できるだけスターリング
地域
から入れて、
ドル
の方は節約したいという大体の
方針
で、
外貨予算
もそういうふうに組んでおります。 それから一言で申して、アメリカからの
輸入
が多いと申しますが、なるほどアメリカからの
物資
の
貿易
においては、それだけ
日本
が
輸入
超過でありますが、それはどうして払われておるかというと、やはりいろいろな形で、
日本
に
貿易
外の
ドル
が入っておる、それで支払われておるのでありますから、全体の上から申せば、必ずしも
日本
が
輸入
超過とは言えない。いろいろの形で
——
金融その他の形で、あるいは特需というようなもので、それだけの
ドル
が入っておる、それで支払われておるわけであります。
中崎敏
28
○
中崎委員
たとえば
機械類
にしても、私たちの聞いており、また
調査
した範囲においては、必ずしもアメリカから買わなくてもいい、また
日本
においても相当間に合う、そういうようなものもかれこれある。ただ業者あたりからいいますと、たとえば値段がある
程度
安いとかいうことで、
輸入
した方が都合がいいということはあり得る。ところが今高い石炭などをアメリカから買い込んで、今度はコストも高くつくのだから、
日本
の
製品
がある段階において高いのは当然であるが、そういうようなそろばん勘定からのみ推していって都合がいいというような機械もたくさんある。であるから、そういうふうなものは多少値段は高くても、
国内
的には国の
経済
を潤すのだから、ちょうど血液が人間のからだを循環するような
状態
においていくのであるから、多少高くてもがまんする。そういうふうなことを
考え
れば、ことさら今アメリカから
輸入
せぬでもよいものがある、機械のごときはその一例であります、アメリカからでなくても、求償
貿易
等の形において他の国から
輸入
する、そういうような余地もあるのではないかということを
考え
てみたときに、いろいろ特需などの
関係
もあるけれ
ども
、特需の
関係
といえ
ども
、その
関係
において
日本
に入ってくるようなそういう
状態
にあるわけです。特需といえば、やはりアメリカならアメリカの軍隊が
日本
に駐留して、一面において
日本
の利益だというけれ
ども
、私
ども
の
立場
からいえば利益だとは思ってない。アメリカの国策を遂行する上において、ことさら
日本
に押しつけて彼らは駐留しておる、そういう
関係
から起ってくるようなものもあり得るかもしれぬけれ
ども
、それは別の要素を持っておるとしても、いずれにしても、
日本
が向うに持っていって金を出すことは、結果においてやはり五億二千万
ドル
、八億
ドル
に相違がない。そういうことを総合的に
考え
てみたときに、全体の
政策
を調整をすべき面が十分ある。そういう問題から全体的に
考え
て、たとえばドイツなりあるいはイギリスなりチェコなり、そういうような国からも買い得るような機械があるならば、必ずしもアメリカに持っていく必要はないではないか。そういうことを
政策
的に
考え
てみて、片
貿易
みたいな
状態
を打開すること、あわせてそれで一方的の、アメリカの行き過ぎた間違ったやり方を反省させると同時に、
日本
の
経済
、ひいて自分の国を守るのだ、こういうふうな一石二鳥の
考え方
があるのではないか。外務
大臣
だけにこの交渉はまかせておけないというのが国民の現在偽わらない気持であるから、通産
大臣
の腹の中を
一つ
お聞きしいのであります。
石橋湛山
29
○
石橋国務大臣
同じことを繰り返すわけでありますが、アメリカに対してクローズド・エコノミーをやることもよくない。しかしながら
ドル
とそのほかの通貨との
関係
はお話のような点もありますので、われわれとしては、機械のごときはドイツあるいはそのほかの国、ことにスターリング
地域
からの
輸入
をむしろ振興して、なるべく
ドル
は使わないようにするというのが大体の
方針
であります。そういうことはやっておるのであります。やっておって、なお発電機械のごときはやはりアメリカのものを入れざるを得ないという場合に限って入れておるわけでありますから、お話の
通り
に実行されておるのであります。これは御
承知
を願いたいと思います。
中崎敏
30
○
中崎委員
次に
AA制
の問題に関連しておるのでありますが、石油、これはほとんど英米の石油の
世界
市場
独占の
一つ
の大きな力の影響を受けて、
日本
の石油も英米石油資本の大きなる被害者、犠牲者であるというのが現実の姿であります。ところで、ことに
国内
においてこれらの石油を原料にして
加工
したところのいわゆる
加工
製品
、こういうふうなものが現在においてはほとんど国産で間に合っておる、たとえば切削油とか焼き入れ油とか、そのほかの石油を原料とするところの
加工
油というものは、国産品で十分に間に合っておるのであるが、それなのにかかわらず
政府
は今
年度
は石油
製品
、こうした
加工品
まで
AA制
を広げ
——
今まで
AA制
でなかったのだけれ
ども
、これを
AA制
に広げて、そして
輸入
をするということを聞いておるのだが、一体これはどういう
考え方
の上に立って、どの範囲をどういうようにしようとするのかをお聞きしたい。
石橋湛山
31
○
石橋国務大臣
石油
製品
をすべて
AA制
にするつもりはないのであります。ただ特殊潤滑油というものについては、いろいろの
事情
から
AA制
にするのが適当であろう、かように
考え
ておるのでありますが、なお具体的には今研究をしておるわけであります。
中崎敏
32
○
中崎委員
鉱山局長おりますか。
小平久雄
33
○小平(久)
委員長
代理 石油課長が来ています。
中崎敏
34
○
中崎委員
潤滑油と申しましても、いろいろ解釈の観念の上に開きがあるのではないかと思うのであります。ただいま申しましたように
日本
の
国内
においては相当長い間から、ことに戦争の当時から国産品をもって間に合わそうとして、あらゆる苦労と努力を払って、たとえば切削油や焼き入れ油、鋳型油、あるいは伸銅油というような
——
これは潤滑油の部類に入れれば入れられるようなものではないかと思うのでありますが、そういう類のものが国産的にはほとんど一応整っておる。一体これについてはどういうように
AA制
にしようとするのか、その具体的な範疇と範囲をお聞きしたいのであります。
樋詰誠明
35
○樋詰
政府
委員
潤滑油につきましては今
大臣
からも申し方げたのでございますが、特殊潤滑油、たとえば防錆油とか、あるいはケーブル・オイルといったようなもので、
日本
にまだ適品ができないといったようなもの、これも従来から特殊潤滑油として認めてきたわけでございますが、それらのものにつきましてはむしろ特定の人間だけに割り当て利益を与えるというよりも、
AA制
にした方がいいのじゃないかということで、その点は
日本
でどうしてもできないという特殊潤滑油につきましては今後
AA
でいきたいというふうに
考え
ております。ただ特殊潤滑油と
国内
でできます一般の潤滑油を、税関でこれは特殊潤滑油であるといったような認定が果してできるかどうかということにつきましては、非常に技術的に困難な問題がございますので、われわれといたしましてもできるだけ
国内
でできるというもの、今一般潤滑油を作っておるわけでありまするが、そういうところに対する
影響等
も考慮しまして、できるだけ
国内
の中小企業等には影響がないというような格好にしながら、ほんとうにほしいものは自由に入ってくるという格好にできれば一番いいと思っておりまして、現在いかなる格好でやれば一般
産業
界に摩擦混乱を起さないでやれるかということにつきまして、
通商
局並びに鉱山局で鋭意検討いたしております。まだ結論を得るには至っておりませんが、できるだけ早い
機会
に結論を出したいということで検討いたしております。
中崎敏
36
○
中崎委員
もしそういうことであるならば、これは相当品種などは多いと思いますが
数量
は大したことはないと思います。それをわざわざ
AA制
に切りかえなければならぬのか。
AA制
に切りかえることによって
国内
において
生産
されているところの
——
これは何日軒という企業体がこれに携わっておるのでありますが、その何をどう見分けするか。いわゆる
AA制
にするということになれば全部
AA制
になってしまう。今度はある種のものだけを
AA制
にするということになれば、税関で見分けがつかなくなるということになると、どうしても一応原局においてそういうものの見定めをして、判断をしてもらわなければならぬのだが、そこを一体どういうようにするのか。今まで必要な
限度
においては
AA制
にされておるのだが、それを今回石油
製品
の潤滑油についてさらに広げなければならぬという、その根拠と理由がどうしてもわからないのだが、これを
一つ
説明
を願いたいのであります。
樋詰誠明
37
○樋詰
政府
委員
われわれは
国内
に無用の摩擦混乱を起して、非常な無理をしてまで
自由化
するということは、これは必ずしも適当だと思っておりませんが、できるだけ必要なものを、ほんとうに必要な時期にほしいという方に円滑に入るという格好にすべきじゃないか。そこで
国内
の潤滑油を作っておられる方々が今度の
AA制
ということによって非常に打撃を受けて、業界が壊滅的な混乱を受けるということにでもなればいろいろ社会上の問題も起りますので、そういう点がないように、そして今お話のございましたように、潤滑油の中にはいろいろ種類がございますので、そこでほんとうに入れてしかるべきだというものは自由に入る、
国内
でできるものはできるだけ税関の線のところでチェックできるという合理的な方法がないものかということで今検討しておるのでありまして、重ねて申し上げますが、できるだけ
国内
には悪影響のないといったような方法でやるのが一番いい、こう思っております。さらにこの影響の判断等につきましてある
程度
潤滑油等が入ってくるということになりましても、大体
国内
の業者は十分太刀打ちしてやっていける、むしろある
程度
刺激剤にでもなるということになれば、そのあたりはいろいろ考慮してやっていきたいと思っております。いずれにいたしましてもまだ慎重に検討いたしておりますので、こういう企画のもとにこうやる、あるいは全部野放しにしてやるのだということについては、最終的な結論は得ておらないわけであります。
中崎敏
38
○
中崎委員
ちょっと聞いたのでありますが、先般石油課長か何かが業者を集めて、何でも
AA制
にいくのだというふうなことを前提として話をしておられたようであります。この点についてはニュアンスの点において今樋詰次長の言われるのとやや違っておるのではないかというふうな感じもするのであります。この点については、今日まで
国内
のこうした中小のたくさんの業者が非常な苦労をしてようやく地歩をかち得て、
外貨
の節約の上に大きな貢献をしてきておって、今日において大きな支障なく運営されているところに、ことさらに
AA制
の名のもとにそうしたような
国内
におけるところの
中小企業者
の地歩を危うからしめるような、こういう印象を持つような施策には賛成できないのであります。そこでほんとうに
国内
でもできないし、その刺激の上においても必要であるというふうなものについては、むしろそれを拾い上げて、過渡的に
AA制
に持っていかれるということには
異議
はないのでありますが、全体的に特殊潤滑油、そうしたようなものを
AA制
に持っていくのだというふうな、こういう
考え方
には今言ったような理由で賛成できないのであります。そこで少くとも、もう一度あらためて、業者に押しつけるというような
考え方
でなしに、どういうものがほんとうにやむを得ずして
需要
家の側から
輸入
の懇請があり、これだけの範囲のものは必要であるからというようなことで
考え
てもらうというふうなことが必要ではないかと思うのでありますが、そういうふうな点についてもう一度
通商局長
の責任のある答弁をお聞きしたいのであります。
樋詰誠明
39
○樋詰
政府
委員
今の先生の御意見等も十分に参考にさしていただきまして、できるだけ皆さんにも迷惑がかからないで、
産業
界にいい結果が出るという
方向
で研究させてもらいたいと思います。
中崎敏
40
○
中崎委員
次に油の問題でありますが、ことにその中でも亜麻仁油とヒマシ油についてであります。御
承知
の
通り
に亜麻仁あるいはヒマにいたしましても
国内
においてほとんど種が
生産
されていないので、ほとんど
外国
からの
輸入
に仰ぐものであります。そしてこれらは全部食料品ではなくして工業用の原料油になるところのもとなのであります。その亜麻仁の種なりヒマの種なりについて
輸入
の窓口は
通商
局でやっているのでありますが、結局搾油するところの業者の監督主務官庁が農林省であるという
関係
から、ここに非常に不円滑な
状態
を来たしておるのであります。ことに亜麻仁油につきましてはこうした搾油業者が、自分たちの利潤追求の
考え方
な
ども
大きく影響いたしまして、種の
買付
などについても自分たち本位にやっておるような
関係
もありまして、結局そのしぼったところの亜麻仁油というものが著しく高い、最近は一ドラムについて一万円も高いというふうなことになっておるのであります。御
承知
の
通り
この亜麻仁油はほとんど塗料の原料に使われるのでありますが、その原料が非常に高いために塗料が高くなる。従って
輸出
の上においても非常に大きな支障を来たして、塗料の
輸出
もなかなか困難になっている。
国内
においても結局においてその原料油が高いために、塗料の
製品
価格
が非常に上っている。そこでまたまた逆に
外国
から塗料の
製品
を
輸入
するというような、こういうことを刺激する結果になってきている。そこで塗料業界などにおいては、もともと搾油に関するところの主務官庁が農林省であるために、農林省の
立場
からあまりに一方的に原料油の側に保護を与え過ぎている。であるから食料に
関係
のない原料油、亜麻仁油、ヒマシ油などについてはむしろ通産省もまたあわせてその所管の
大臣
でやっていいのじいないか。言いかえますとこれは食料用にもしぼる、工業用にもしぼる、だから
一つ
の業者が両方の仕事をやるのだけれ
ども
、工業用に関するところのものは何ら農林省の食料に
関係
はないのだから、工業用に関する限りにおいては通産省もその管轄を担当すべきじゃないか、言いかえれば両方の共同管理といいますか、両方でそれを監督すべきじゃないかという意見も出てきている。そういうのでありますから、本来の性質からいっても私が言った
通り
じゃないかと思うのでありますが、一体この問題について通産
大臣
はどういうふうにお
考え
になるか、聞きたいのであります。
岩武照彦
41
○岩武
政府
委員
所管問題の
関係
もあるようでございますから、私から便宜御答弁いたしますが、実は搾油という業界の所管をどういたしますかという問題につきましては、戦前から非常にむずかしい問題がありまして、農林、通産両省の間において問題が絶えなかったわけでございます。それで一応戦争中、たしか
昭和
十五年だったと思いますが、いろいろ原料
関係
におきましても、搾油業界は植物油の原料、あるいは動物油脂の原料を使うのにも非常にむずかしい問題が起って参りまして、また用途にいたしましても工業用、食料用両方あるのでありまして、なかなか分けにくいのでありますが、一応搾油工程のある中間
製品
の段階までを農林省、それ以後の工程を行うものを当時の商工省というふうにきめたのであります。実は私当時その裁定問題に関与いたしまして、便宜そのようにいたしたわけでありますが、大体戦後におきましてもその線を一応守りまして、若干の変更はあるようでありますが、そういう
関係
になっております。現在それをある
程度
搾油
関係
につきましても、工業用の原料として用いる段階のものを通産省の所管にしたらどうかというお話でございますが、そういうふうに業界の実情が原料
関係
並びに用途の
関係
から非常に錯雑しておりますので、まあこの際あまり権限問題を持ち出すのもどうかということで、一応戦前の当時の裁定の線でやっておるわけでございます。これは実は実情に即しまして通産省としましてもいろいろ
製品
の用途の問題あるいはそれから高度に
加工
いたします段階の問題、また原料
輸入
という問題もございますので、実質的にはある
程度
両方でめんどうを見ておるということになっておりますが、一応建前としましては、その辺で線を切りませんと、いつも共管になりますと話がうまく進まないこともございますので、きわめて機械的な割り切り方でございますが、その辺のところでまあまあということでやっておるような次第でございます。
中崎敏
42
○
中崎委員
時間の
関係
がありますのできわめて簡単に申し上げたいのでありますが、たとえば亜麻仁油の場合においては種で
輸入
してどんどん品物が入ってくれば搾油業者が高く売れない、もうからないから、それでバナナと同じように
輸入
について
数量
などを調節して、いつでも
市場
が払底して足りないような
状態
に追い込む。であるからこれを亜麻仁油で
輸入
してくると、結局これは幾らでも
輸入
ができるから、従って値段がやたらに高くなくて、原料として使うところの塗料業者にも適正な
価格
において手に入る。ヒマシ油についても同じであります。インドは御
承知
のようにヒマシ油の種では
輸出
しない、ところがしぼった油では
輸出
することになっておる。ところが
日本
の搾油業者がそれでは自分たちがうまくないからというので、今度は油で
輸入
するということを極力反対しておって、農林省が終始そういう
政策
をとって搾油業者の利益を温存するために、一般の原料として使う
加工
業者の
立場
を
考え
てくれない、こういうような問題があって、ヒマシ油も現存非常に高い値段になっておる。従って純然たる工業原料油において、こういうふうな農林省あるいは搾油業者の一方的な利益を守るために、多数の
日本
の
加工
業というようなものと
国民生活
の上に大きな悪影響を来たしておる。一体これをどういうふうにするかということを、もう少し通産
大臣
に身を入れて農林
大臣
との間の調整をやってもらって、適正な
措置
を講じてもらいたい。言いかえればもう油では
輸入
しないという
考え方
を改めて、必要においては
輸入
をするのだ、やむを得ないのだというふうな
考え方
の上に立ってやってもらいたいと思うのですが、この点について
一つ
通産
大臣
の意見を聞いておきたいのであります。
石橋湛山
43
○
石橋国務大臣
ただいまの亜麻仁油及びヒマシ油の点については私は実は存じませんが、御
指摘
のような事実がありますればなお
一つ
研究しまして
——
これもなかなか製油業者などの
関係
するところが多いのでしょう、また
製品
を
輸入
すれば、その製造業者がどうとかこうとかという問題も起るのでありましょうが、これらも
一つ
研究いたしまして、適正に
処理
することにいたします。
中崎敏
44
○
中崎委員
問題はまだあるのですが、一応私はこれでやめておきたいと思います。
小平久雄
45
○小平(久)
委員長
代理 この際午後一時半まで休憩いたします。 午後零時十九分休憩
——
——
◇—
——
——
〔休憩後は開会に至らなかった〕