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1956-04-16 第24回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十六日(月曜日)    午後二時四十七分開議  出席委員    委員長 神田 博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君    理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    内田 常雄君       菅  太郎君    椎名悦三郎君       島村 一郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    田中 角榮君       田中 龍夫君    中村庸一郎君       野田 武夫君    淵上房太郎君       山本 勝市君    加藤 清二君       佐々木良作君    佐竹 新市君       松尾トシ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         中小企業庁長官 佐久  洋君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局商務課         長)      古澤  實君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月十三日  工業用水道敷設費国庫補助増額に関する陳情書  (第五六一号)  札幌地下ステーションデパート百貨店法適用  除外に関する陳情書(第  六〇八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  百貨店法案永井勝次郎君外十二名提出衆法  第三号)百貨店法案内閣提出第七〇号)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  永井勝次郎君外十二名提出にかかる百貨店法案内閣提出にかかる百貨店法案、以上二法案一括議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。松尾トシ子君。
  3. 松尾トシ子

    松尾委員 最初に申し上げたいことは、わが党がここ二、三年来熱心に主張をし、またその運動に邁進してきました中小企業並びに中小卸小売商に対して擁護政策が、時勢の流れに沿って今回政府側から百貨店法案とか、あるいは下請代金支払遅延等防止法案となって提出されてきましたことはまことに喜ばしいことでございます。ところで近ごろ政府の行なっております政策について私は多少の食い違い、疑義を感じますので、その点からお尋ねをいたしてみたいと思います。  昨年実施されました石炭合理化法とか輸出輸入取引法とか、また今年審議中のものに繊維産業臨時措置法あるいは倉庫業法案中央卸売市場法改正等、これらは独禁法除外例許可するような修正を行なっているわけであります。これは私たちから申しますと資本独占をますます強化していくような行為だと思うのです。そして一方には中小企業等を保護するとおっしゃいますが、言葉をかえて申しますれば、大企業独占禁止法からはずして自由にして、中小は申しわけばかりに保護するというようなのではちょっといただけませんという格好であります。  百貨店法案の第一条、これは政府のものです。その目的を見ますと、一般政策でなくて特に中小企業保護とうたっております。そして今回は百貨店下請が問題になっておりますが、独禁法の理念に基きますと中小企業あるいは卸小売店保護政策というものがますます必要になってくると思うのですが、今二つばかり問題になっている、それは百貨店あるいは下請、こういったもの以外のものにも今後手をつけていくおつもりなのかどうか。またなお今後大企業中小企業の調整をはかっていく上で、独禁法除外例になった大企業の制約を行うような法律を別に作っておかなければならないと思うのですが、そうしないと政府の言うように中小企業等の保証ができないと思いますけれども、せっかく大臣が御出席ですから、こういう点を一つお尋ねしたいと思います。
  4. 石橋湛山

    石橋国務大臣 松尾さんからの御質問でございますが、私はむしろお言葉反対考えておるのでありまして、中小企業を保護するためにやむを得ず独禁法の一部の除外例を認める。そのおこぼれで、あるいはいわゆる大企業も便宜を得るかもしれませんが、私どものねらいは、大企業を保護するために独禁法除外例を作るなんということは毛頭考えておりませんし、またやっておるつもりもないのであります。やっていることは、中小企業を保証するために、やむを得ずそういうことをしなければならぬということから、すべて法案もできておるように私は確信して光るわけであります。決して大企業を保護するというようなことは考えておりません。むろん消費者利益は擁護しなければなりませんから、中小企業を擁護するために消費者はどうなってもいいというわけにはいきませんから、消費者利益というものを第一に考え、そしてそれに対してできるだけ一つ中小企業が活動の範囲を広め得るように、かような観点からすべて考慮をいたしているつもりでございまして、今後も同様の方針をとるつもりでおります。
  5. 松尾トシ子

    松尾委員 中小企業を保護するために大企業独禁法から除外するとおっしゃるけれども独禁法を忠実に守っていくならば、その必要なくとも中小企業にそんなに圧迫がないように思われるので、この点はどうも過去の公取委実績を見ても成果は上げておりませんから、そういう結果がだんだん勢いに応じて政府の方も政策を進めていかなければならない結果になったんだ、こういうふうに思っているので、この点はちょっと大臣見解の相違じゃないかと思います。なおこれからもずんずんやっていくというようにおっしゃいましたけれども、他の業種、たとえば百貨店とか下請とかいうようなふうに取り上げて、業種別に特別の保護政策を持つお考えなのでしょうか。
  6. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいま特にどういう業務について次に何をやるということをここで申し上げるほどに考えておりません。たとえばこの前の国会の輸出入取引法改正にいたしましても、あれはやはり日本中小商社もしくは中小メーカー保護政策でございまして、あれによって大メーカーとか、大商社を保護しようという考えは持っておらないのです。これが一例でございます。さような観点から考えておりまするから、一つぜひそういうことで、もし誤まりがありますれば十分御指摘をいただきたいと思いますが、われわれとしてはただ大企業を保護するために独禁法云々ということは全然考えておりません。
  7. 松尾トシ子

    松尾委員 次に今度は政府提案百貨店法案について、ちょっとこまかいところをお尋ねしたいと思います。  政府案を拝見いたしますと、小売商を守るためにただデパート売場拡張制限とか、営業許可の問題ばかりをうたっておりますので、これは戦前のものと大差がないように思われします。番問題なのは営業内容についてではないかと思うのですが、その内容については第九条にちょっぴりうたっているだけのように思われるのです。それもただ勧告することができるというふうになっているだけで、いかなる行為中小商品に及ぼすか明らかになっておりません。ここの字句を取り上げれば、「特に必要があると認めるとき」とかあるいは「その行為をしないように勧告することができる、」こういうふうになっておりますけれども、その行為となっているところを公取委事項を取り入れて明らかにした方がもっとよいと思います。これではまるで骨抜きで役に立たないと考えると同時に、今日の小売商が一番問題にしているのは、売場制限も重大ですが、営業内容のそれの方がもっと重大な点ではないかと思うのです。戦前デパートは売り上げの商品中心繊維商品にあったと思います。しかも高級購買力をねらったものであったのに、戦後になってからは売場面積はどんどん拡張し、繊維はもちろんのこと、日用必需品から雑貨に至るまであらゆるものをそろえて中小小売店範囲を食い荒らしてしまっております。加えて大資本の威力で仕入れをたたいたりして特売をやったりしたために問題があるので、営業内容を規制することがほんとうの意義であり、これでは仏作って魂入れずのような感が深いので、極端に申しますと、百貨店保護法のようなものになってしまうのではないかというので、この点を一つ見解を伺いたいと存じます。
  8. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御批判は一応ごもっともでありますが、小売商営業というものは非常に複雑多岐にわたりまして、消費者等関係から申しましても、相当弾力性を持たさなければならないものでもございまするし、これをぎこちなく法律一つ一つ個条をあげまして、その禁止とか制限とかやりましても、それだけなかなか入りにくいという問題も多々ございますので、この際実情に応じてその場合々々について考える万が一そう適切である、かような観点から特に第九条におきましては一々のこまかいことを掲げなかったのであります。また勧告にいたしましたということも、どういうものをあらかじめ禁止するとかどうとかいうことも非常にぎこちないことでありますし、とにかくデパートというものは商業者の中でも信用を第一にする部類に属しますから、その信用を尊重しなければならぬデパートに対して、政府機関からこういう行動はよくないからやめてほしいというような勧告が出た場合に、なおその勧告に反して行動するということは、これは商業常識上なし得ざるところである、かような考えから、一種の社会的制裁がそこに現われるということを予期した次第であります。一見非常に緩慣のようには見えますが、私はこれは相当効果があるもの、かように考えてかようにいたしたのであります。
  9. 松尾トシ子

    松尾委員 もし大臣が三時までというあれでしたならば、ほかの方に聞いてもいいのです。デパート信用が非常に高いところだからとおっしゃいますけれども、せっかく公取委の方には十二項目ですか、大そうこまかく告示がうたってあるのです。そして先日の委員会のときに公取委関係の方がここで御答弁なさったのですけれども、結局そのときの答弁では、告示に反するものは公取委独占禁止法反対だから二十九年ごろにこれを勧告いたした、こういうわけなんです。ところがその結果がどういうふうになったかというと、その後違反一つも出ておらない。ただしその内容というものはいわゆる不当返品の取扱いなんかはその支払いの場合のときに、結局売れてから払うような格好に、委託販売的にかえているし、また店員手伝いなんかは、デパートの方が呼んだのではなくて、その卸屋の方から願い出て、これをデパート許可した、こういうような格好で、表面形式は違っているけれど、その内容は二十九年のときに公取勧告をしたその実情とちょっとも変っていない、こういうような実例もございますので、信用の高いデパートといえどもこの独禁法告示をここに入れたらいいのじゃないかと私は思うのです。一体公取の方々は、今申し上げましたような形式を変えて内容はちょっとも変っていない、こういうようなことをどういうふうにお考えになるか、また勧告を出したあとで、こんなように変っているのをお調べになって御存じなのかどうかも伺いたいと思います。
  10. 坂根哲夫

    坂根政府委員 ただいまのお尋ねは二十九年に私ども告示をいたして以来の実績について、あるいはそれを仮装してやっておるのではないかというお尋ねでございますが、確かに不当返品につきましてはあるいは委託売買に切りかえているような形跡もございますし、そういう点については、その委託売買をどういう工合に切りかえておるかということの実情調査中でございます。  それから手伝い店員につきましては、数次にわたりまして各百貨店に対してその改善計画書を出させまして、それによりまして私ども指示をいたして、順次改憲方をやっております。ただしそれがどう擬装されておるかということにつきましては、今お話のような実情がございますれば、あらためて研究したい、こう考えております。
  11. 松尾トシ子

    松尾委員 それでそれを御調査なさいますときに、デパートだけ調べてもわからないので、おそらく卸屋さんの方も調べるのだろうと思うのですけれど、大きな資本を持っているものと、買ってもらいたいと思う卸屋さんの間ではなかなか当局がお調べになりましても、さようです、というふうな返事をしないのが商業常識取引常識上ほとんど妥当だと思うのです。こういう面をどういうふうな特別の技術で取り締っていかれる御計画があるかどうか、一つもっとはっきりと向いたいと思うのです。表面は非常にきれいで当局の言うことを聞いているかのように見えても、内部というものをそうしない限りは、今の状態ですとなかなか困難だということにもなりますし、また私が心配することはこういうわけなんです。そういった卸屋さんが不当に安いものをデパートにおろしたりあるいはデパートの方で強要するのかもしれませんが、特売のためなどで特に安いものを注文するという場合に、こんな例がもしかするとあるのじゃないかと思うのは、昨年の春この委員会でもアメリカのワンダラーブラウスのことで大へん問題になりましたけれど、これは一ドルといえば子供でもわかるように三百六十円です。こんなに安いシャツブラウス日本の中で売られていれば、たといそれが労働者でもどんどん買ってきれいなシャツが着れると思うのです。こういう点からすれば、何も太平洋のかなたまでそれを持っていって売る必要はないのじゃないか思うのですけれど、日本の中でこれをどんどん売り出したら、繊維会社なんかみんなつぶれてしまうというような実情もあってできないでしょうけれども、一体その裏にひそんでいると私が心配しているものは何かといいますと、いわゆる三百六十円のワンダラーブラウスが米国で相当問題になり、日本繊維製品をボイコットするというところまでいったけれども、それに対するものは出血受注で、その出血はいわゆる日本内地製品シャツブラウスにぶっかけているのだ、それで採算を合わしているのだ、こういうふうに聞かされるわけです。それと同じように、デパート特売あるいはそれに類似のセールスのときに、安く売り込んで、そのしわ寄せが一般中小企業仕入れをするときにかかっていくようなことがあれば、なおさら力の弱い中小企業商店はつぶれてしまう。またその回りで買う消費者は、いかに百貨店がサービスしても、どうしても近所で買わなければならないというものもあるはずですから、そういうようなことが起り始めたら高いものを買わなければならない、こういうような気がいたしますので、公取には今後そういった欺瞞したような擬装取引をやられたときに、厳重なる調査をされ厳重なる勧告を与えられるという自信と計画があるか、重ねて聞きたいわけなんです。
  12. 坂根哲夫

    坂根政府委員 お答え申し上げます。ただいまお示しのような事実がありますれば、これはもちろん独禁法特殊指定違反としまして、独禁法の手続による調査をいたします。もしそれ以前の問題でありましても、私ども職権による調査もございますし、またあるいは現にただいまお示しの例かと思いますが、最近あるデパートが非常に安く品物を特売したというので、これを問屋の方から私どもの方に陳情がございまして、これは直ちに行政措置をもって特殊指定違反になるから注意してほしいというようなことで、やめたような事実がありまして、業界による陳情、あるいは職権による調査で十分善処したい、こういう工合考えております。
  13. 松尾トシ子

    松尾委員 どうもこの答弁はなかなかむずかしいと思うのです。商売人はりこうですから、手を変え品を変えおやりになることもよくわかります。しかし答弁が十分な答弁でなくても、実質的にそれが行われるように一つ努力を願いたいと思います。  それで次には審議会の点についてお尋ねをしたい。これは一括して四点ばかりお尋ねをいたしますので、それぞれお答えを願いたい。  今度の審議会中央一つできるように思われるのですけれど、この百貨店の問題というものは、今の形でいくともう中央拡張も済んだし、用意万端整ったような格好で、むしろ今後は中都市にこういった、百貨店の問題が起っていくのではないかというような気がいたします。そのときに地方実情あるいはそれぞれ違った特質、こういったものを、中央一つ審議会を作っただけで把握して、問題が起きたときにこれを処理していかれるかどうかということをお尋ねしたいと思います。それが一点。  もう一つ百貨店というものはおそらくこの法律ができても、公取の方が御説明になったように、独禁法告示によって取り締っていくものだと思うのです。この場合に審議会独禁法告示と、この百貨店法との間に入って、もちろん独禁法規定に練られるものだと思うのですが、この点をどうか明確にしていただきたい。  その第三点は、この中に重要事項調査審議することとあるのです。この調査百貨店営業行為について常時やるのか、またその必要があると思います、またその場合にこの任に当るものは通産省がおやりになるのか。  第四点はどういうのかといいますと、もし小売商店の方から問題が起って、これを審議会に持ち込んだ場合にはどういうふうな処理をしていくのか、この四点を審議会についてお尋ねをしたいと思います。
  14. 徳永久次

    徳永政府委員 審議会に対する御質問でございます。第一点のお尋ね審議会中央だけでよろしいかという御指摘かと思います。これは百貨店の新増設等の問題を考えてみますと、中央及び各地の問題であることは十分承知いたしております。ただしかしながら、各地心々審議会を設けますことが、運用の統一を保持する面において多少の難点がございます。それから問題が予測できないのにやたらに各地審議会がありますこともいかがかということもございます。さりとて問題の性質上同時に地方的な事情ということも十分判断考慮しなければならないということも確かでございます。私ども考え方としまして、この審議会中央一つでございますけれども、しかし地方的事情というものは十分に考慮するという必要はあることはお話の通り考えております。そのために法文上表現いたしておりますのは、その地その地の商工会議所からいろいろな意見を求めて聞く、それで参考にするというふうに書いておりますが、さらに先般来、商工関係の各棟の団体その他の広く利害関係ある人たち意見なりを聞くようにというお話がございました。その点は十分努めまして遺漏のないようにはいたしたい、それで解決する万が実際的ではなかろうかというふうに考えております。  それから第二の点ちょっと御趣旨がはっきりしなかったのでございますけれども百貨店営業行為に関しましては第九条の勧告があるわけでございます。これは条文形式上は、ごらんのように勧告をいたします際には審議会にかけなければならないというふうにはいたしておりません。しかし実質的に重要な事項は私どもかけるつもりでおります。ただ法文上かけないようにいたしました趣旨は、少し火急を要するということもあろうかと考えまして、その辺の運用弾力性、適時通切にできるという意味ではずしました。しかし実質的にかけるつもりでおりますが、しこうしてその内容といたしまして、独禁法適用があるかどうかというお話でございますけれども独禁法適用があります限りの事項につきましては、これは独禁法運用の問題といたしまして、御承知のように公正取引委員会がございまして、そこにはの人を中心として運用されておりますところでございます。独禁法運用に関してこの審議会を御利用なさるということは必要ない問題だというふうに私ども考えております。  第三点の調査審議でございますけれども調査と申します意味は基本的な方針というようなことに関連いたしまして、ただこの審議会運用基準をきめますばかりでなしに、それはただやみくもに作られるわけではありませんので、いろいろな調査に適いて公正な意見がおのずから形成されるということもございますので、明文に従いまして調査審議という規定をいたしたのであります。百貨店を新規に許します際に消費購買力相関関係をどう考えるとかあるいは地域的な交通事情をどう考えるとか、いろいろな基礎データ考えましても、いろいろと考えなければならぬケースが出てくる、さようなことは広く審議会でも御勉強いただくということでございます。  それから第四点に調査審議通産省はどうするのかということでございますが、私ども審議会に格別に事務局というようなものを設けてございませんが、通産省は本来の仕事といたしまして広く通産行政一般の責任も持っておるわけでございますので、本法が幸いに通りまして、施行ということになりますれば、審議会のお手助けといたしましてのいろいろな調査研究というものは、審議会委員さん方の御指示も受けまして私どももできる限りのことはお手伝い申し上げるつもりでおります。  それから小売商なら小売商関係者審議会に問題を持ち込めるかというお話でございます。これは法律に何ら制限はございません。これは権限に基いてどうのこうのということでなしに、小売商関係者とされましても、われわれ今でも日常小売商の方と常にドアを開いたままご応待申し上げておりました。法律施行されて運用の段階に入りましても、いつでもどんな御相談でも応ずるつもりでおります。審議会形式的には通産大臣の諮問に応じてということになっておるわけですが、私ども問題を受けまして、それによってこの法律運用処理の問題として重要事項でございますれば、小売商から出ました問題でございましても、もちろん審議会にも御相談申し上げて態度をきめるということになろうかと考えるわけであります。
  15. 松尾トシ子

    松尾委員 大体わかりましたが、この審議会でいろいろ審議するのは、結局のところ公取委でやるようなことはやらないで、いわゆる許可とかその他のことをやるのだというふうに了解してよろしいですか。いわゆる独禁法告示されておりますむずかしい事項ですね、これは公取委の方で審議をして、新しくできる百貨店法審議会というものはそういうものはやらないで、許可とかその他の実情調査したりすることだけやる、そういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  16. 徳永久次

    徳永政府委員 大体お話の通りであります。
  17. 松尾トシ子

    松尾委員 それから次に「(報告徴収)」というところを一つお伺いいたします。これを読みますと法律施行に必要な限度において政令できめると書いてあるのですけれども、この報告内容をもっと具体的に派しておかないとまずいのではないかと思うのです。それは営業報告というふうになっておりますけれども営業行為内容についてつまびらかに報告をせよ、こういうふうにしないと中小小売商店を保護するわけにいかないんじゃないか、たとえば非常に安い持売品を見た、これはどこから仕入れてどういうふうになったらどうというようなことまでも書いてもらわないと、ただざっとした作文的の報告では中小小売商店を保護するというわけにいかないと思うのでこういうことを質問するわけです。
  18. 徳永久次

    徳永政府委員 この条文によりまして、報告徴収事項はただいま御指摘がございましたような日々の仕事それ自身のこまかいことではございません。ただいま政令によりまして徴収を予定しております事項をかいつまんで申し上げますと、特に四条の許可申請書関係記載事項につきまして、それに変更があった場合には変更してもらうとか、店舗におきます営業極数をどう変えたというような場合の報告とか、店舗床面積を狭めました場合の報告とか、百貨店業を廃止した場合の報告とか、第七条の規定によりまする事業の承継に関しまする報告とかいうことを考えておりましたのです。もろともただいま御指摘のございましたようなケースにつきましては、問題の起りました際に当然営業面に関しまする行為につきましては、小売商側なり何なりから、この種のことは行きて過ぎになっておるから取締りをしてほしいということが出て参るかと思いますが、それらの事項につきましては、個別々々の問題として事情調べるということはできるわけでございます。ここに書いておりますのは、一般的に政令でこれこれのことは間違いなしに報告して下さいよという事項でございますので、これは先ほどお答え申し上げましたように、お話しの一点と少しずれた内容になろうかと思うわけです。
  19. 松尾トシ子

    松尾委員 非常に時間をかけてこまかく聞いたわけではありませんから一がいに言えませんけど、御答弁を聞いておりますと、どうも百貨店法というのは百貨店を保護する法律でありまして、中小小売商店を守るには、やっぱり公取委員会がもっとしっかりしてもらわないと、何にもならないと思うんです。いわゆる営業行為というものは公取委員会がやって、あと百貨店保護に対する審議百貨店審議会でやるというような格好に思われますので、これからも一そう公取委に努力を傾けてもらいたいと思うのであります。よく聞くんですが、問題が起きましたときにとおっしゃいますが、問題が起らないうちにこちらから調査して問題を発見していただくように、もっと英断をふるっていただきたいということを申し添えまして私の質問を終ります。
  20. 神田博

  21. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただいまの発発者も大分考え違いをしているようだし、社会常提案の百貨店法の第六条につきまして、提出者に御意見を承わります。  何か社会党のお出しになっているものは、第六条は「百貨店業者は、次に掲げる行為については、通商産業省令で定めるところにより、あらかじめ、当該行為についての一般的な契約条項を定め、通商産業大臣許可を受けなければならない。」こういうことを書いて、それで「一、宣伝費の仕入先との共同負担、二、仕入先従業員の自己の営業のための利用、三、他人の委託を受けて行う販売行為、四、仕入商品の返品、五、仕入後における商品の値引、六、規格を示した注文品の納入拒否」、こういうことを掲げてあるのでありますが、こういうことはすでにもう御承知でもありましょうけれども公取委の方のはっきりとした――われわれが百貨店法を作らなければならない理由はどこにあるかというと、まさにここに社会党が項目をもって示した通りであります。そうすると社会党の法案百貨店を助ける法案であって、中小企業者をいじめる法案になると私は解釈をしなければならない。なぜ、ならば、その理由としては、これを大臣許可を受けなければならない――大臣というものと公取委の存在価値公取委そのものは司法権を持ってこれを取り締ることができる。大臣は司法権がございません。従いまして司法権を持って行おうという公取委の方には、もうお前はいかぬ、大臣にやらせる、これではまるっきり百貨法の擁護法案ということになる。あなたはどうお考えになっているか知りませんけども、私たちはそう考えるのでありまして、私たちのよく考えているのは、すなわち司法権というものはあくまで活用させなければならない、いつもその司法力を発揮させなければならない。こういうことを考えている。であるからこそ、第九条に私の方は幅広くうたってあるわけでありますが、あなたの方の第六条は、何ゆえに中小企業に対してこういう法案を作って百貨店を擁護しなければならないか。大臣という名前がつけば、あたかも大へんなえらい権限があるように考えておられるが、その真相を承わりたいものでございます。
  22. 永井勝次郎

    ○永井委員 ただいまの長谷川委員からのお尋ねでありますが、われわれ社会党は、政府提案百貨店法案百貨店の擁護法であって、小売業者も消費者もこれでは守られないという立場をとって、わが党委員から質疑を展開して参ったと思うのであります。ところがただいまは、逆に社会党案が百貨店の擁護ではないかという、予想もしないお尋ねでありますので、それにお答えをいたしたいと存じます。  御承知のように百貨店は、従来ともに非常な拡張工事が行われて参りました。昨年わが党案が出、あるいはただいま御質問のありました長谷川君が、民主党案として百貨店法を出しました当時、一年後には政府の提案がなされるという予想がされたのであります。こういう百貨店法が議会に出るのは必至だ、政府提案となれば実施されるのは不可避である、こういう現状に即しまして、昨年以来急激に、各百貨店はこのときとばかりにどんどん拡張を念いで、現在も拡張が土を掘り返すとか土台をするというような形で既成事実を作って、ここ当分拡張の必要のないような各庁をやっておりますことは、ただいま御質問の長谷川君もすでに御承知の通りと考えるのであります。従って政府提案による、店舗拡張を主として制限するという法案だけでは、もう無意味であります。この法案で参りますと、拡張された百貨店は必要以上に、また現在の実情に即してより過大な拡張をしておるのでありますから、新しい百貨店が生まれたりあるいはそのほかの店舗がどんどん拡張されて参りますと、さらに競争が激甚になります。そこで政府案によって拡張制限されるということになりますと、既設の百貨店の擁護になって、小売業者に対する、この法案趣旨である正当な立場を守ってやろうということができなくなるわけであります。でありますから、この現状に即しましてわが社会党は、新しく開業をするものの制限あるいは店舗拡張制限だけではもう無意味である。必要以上に拡張された百貨店は、勢い百貨店同士の競争の激化となって参りましょうし、石貨店同士の競争の激化は、さらに小売業者の非常な圧迫とという形でこれが現われて参るでありましょうから、今後における百貨店対策は、店舗の問題や拡張の問題ではなくて、取引内容の公正化、不公正を取り締けるというところに重点が置かれなければならない。またそれが喫緊の急務であると考えまして、ただいま御質問のような内容を具体的に摘出いたしまして法文化し、これを通産大臣の行政の権限の中に置いて実効をおさめようと考えたわけであります。もちろん刑事罰その他の関係で参りますならば、これは法律に照らして、この行為は何である、この行為は罰金刑、この行為は懲役刑何カ月、こういうふうに的確に取り締ることができますけれども、経済行為関係につきましては、司法権を持っておる公取におきましても、積極的に的確にこれを適時にやるということはできないのであります。そういう権限を越えた行政の権限の中において予防措置を講ずる、競争が激化しそうな状況があればこれを通産大臣の行政権限においてこれを阻止していくというような広範な活動ができるわけでありますから、そういう権限を通産大臣に委譲いたしまして、われわれの提案の趣旨を効果あらしめるようにいたしたい、かように考えたのが提案の趣旨であります。もしこれを権限を委譲された通産大臣百貨店を擁護する立場においてこの法を運用し、行政を運用するということになりますならば論外でありまして、かような通産大臣に対しましては、議会もこれをたたくことができましょうし、世論もこれをたたくことができる。そして刑事罰というような限界ではなしに、積極的な行政の権限の中において、その効果をおさめしめたい、かように考えましたのが、わが党の立法の趣旨であります。
  23. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 通産大臣の行政において、たとえばAという百貨店一つの不法行為があったとした場合、大臣がこれを取締るというときに、大臣に何とかしてくれ、あとは断じて気をつけるということがあれば、また人情的にもそれを大臣という立場に立って行政の取締りの対象になかなか思うようにできない、これは何人がなろうとも、人情の常でなければならない。しかしそこが問題なのであって、公取は直接の司法権を持っているであろうから、公取にさせるのが最もよい方法である。こういうふうに考えてお聞きしたわけでございます。従ってたとえばただいまのお話のように、百貨店がこのごろ非常に売り場面積を広げてきた。これもごもっともなことでしょう。人口も年間百万ふえていく。従って中小企業もそれに準じて逐次年々増加していくことも明らかでありましょう。そういう問題はいずれにいたしましても、要はわれわれが考えなければならないことは百貨店同士の同士打ちです。つまり安売り競争というところに重点がなければならないと思うのでありまして、大資本を持つ百貨店が安売りの競争をした場合、百貨店の同士打ちではなく、その影響するところは中小企業でなければならない、こういうようなところに影響がある。こういうところを厳重に取り締られたいというのが、私たち考え方にあるわけでございます。従いましてこういうような面につきましては、公取等も十分なるお考えを持っておることとは思いますが、そういう場合に対して、この法案が出た以上公取はいかなる考えをもって臨むか、明らかにお示しを願いたいと思うのであります。
  24. 坂根哲夫

    坂根政府委員 この百貨店法案が通りますと、私どもの範域におきまする独占禁止法観点、具体的には一昨年の特殊指定違反というような事態につきましては、十分独禁法の建前からこれをやっていきたい。従って通産当局の第九条による勧告と両々相待ちまして、従来より以上に私どもの措置を進めていきたい、こう考えております。
  25. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうでなければ先ほど永井さんがおっしゃられた通り、要はあなたのそれだけの心がまえと、われわれの考え方が那辺にあるかということだけは、この議会を通じてよく御認識になり、その上に立った取締りを徹底的にしてもらわなければならないことは申すまでもないところであります。  そこで政務次官に小さいことですが、一つ伺います。私の申し上げるのは、地方所在の百貨店でございます。大都市と異なって百貨店とはいうものも相当小規模でございます。小規模であり、また所在するところが都会から離れているために現在、かくのごとく大都市においては、百貨店が規模を拡大しておるけれども、これらは従前通りの木造作りで経営しておるという面があります。こういう人たちがその規模において、すなわちこれをコンクリートの不燃性のものに建築をし直したりする場合の手続きでございます。これはあなた方の方において手続きを一切受け付けるわけでございますが、許可認可等においては少くとも相当寛大にしてやってもらいたいということを私はお願いしなければならない。こう考えるわけでございます。もう一つ営業時間だとかあるいは休みだとか、こういうものもその土地々々によって相当の利害関係が伴っておると思う。こういう面にむいても同様に考え方を持たなければならない、こういうふうに考えるわけでございますが、政務次官のお考えとして、この点はどんな考え方をもってお進めになるか、これも明らかにしておいていただきたいのであります。
  26. 川野芳滿

    ○川野政府委員 ただいま仰せのような点につきましては、坪数等が変らない場合は問題はなかろう、こういうふうに考えておりますが、しかし坪数等が従来より増す、こういう場合におきましてはある程度問題になろうかと考えます。法案が示すように、通産大臣審議会、さらに審議会は地力の会議所等の意見を聞いて認許可をする、こういうふうになっておりますので、多分そういう場合におきましてはそういう万々も地方実情等をよく勘案して通産大臣に答申をされるものと考えておる次第であります。ゆえにそういう点もよく考慮いたしまして、さらに中小企業等に及ぼす影響等も勘案いたしまして、そういう場合には適当な処置をとりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  27. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 公取徳永君の両者にお伺いいたします。デパートの協会というものが設立されておることは御承知の通りであります。この協会に加入しておらない、すなわちアウトサイダー的な方々が全国に大規模のものでも四十七、八あることはまたこれも御承知だと思います。協会に加入されているものは協会の規約等によって、政府がこういう考え方を持ち、こういう折合を出しておるというような通達というものは常に綿密に届いておる。また意見の交換も常にできておるが、これに加入しておらない全国四十七のデパートは、われわれの見るところによると全く目に余るものがある。たとえばあなた方のところへデパートの売り上げがこれだけございましたという売り上のデータを出すのにも、協会に加入しているものははっきりしたものが出ているが、加入外のものは強制的にこれを出さすわけにはいかないから、それが出ないということになっておる。今度の法律ができましてもこれを強制的に加入させることはできない。けれども取締りの対象たるものは一本でなければならない、であるからこういう面における行政的な処置としては、アウトサイダー的なものにも当然これは行うことがしかりであり、さらにこれをそう徹底するような方法をもって行なってもらわなければならないと思うが、その点についてどういう考えを持っておるか、お答えを願いたいのであります。
  28. 徳永久次

    徳永政府委員 百貨店協会といいますのは、任意団体としてできておるわけであります。業界の詳しい事情は私十分存じておりませんが、今お尋ねの御趣旨は、法律施行になった場合には、法を円滑にまた統一した運営ができるために、全部の人がまとまっておった方がいいのじゃないか、そういうことを役所として指導するつもりはないかというお尋ねと思うのであります。私どもそうあってくれた方が便利かと思いますし、それはできるだけそのように行政指導はしてみたいと考えております。ただ最初にお答え申し上げましたように、任意団体でございますので、その種の業界内部のめんどうくさい問題があるとかなんとかいうようなことで、思うように参りますかどうですか、その点は今後の問題でありますが、できたらその方が望ましいのではないか、お尋ねの通りと私ども考えております。
  29. 坂根哲夫

    坂根政府委員 ただいま徳永局長から御説明ございましたが、私の方といたしましては、やはり独禁法の建前から、長谷川先生のおっしゃいましたように、アウトサイダーも十分規制しなければならないと思いますから、本法案の成立を契機といたしまして、勧告の方は通産省が通産局を利用して十分おやりになることと思いますから、私どもは小さい世帯ではございますが、三つの地方事務所がございますから、その事務所とそれから通産省にも御協力いただいて、各通産局にも十分お願いして、アウトサイダーに対して私ども特殊指定についても十分徹底したい、こう考えております。
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 十分に徹底をさせたいつもりくらいでなく、申し上げたように、協会というものは協会の事務局がありまして、これらの法案一々に対しても検討をし、そうして通達書まで出ておることを知っております。でありますから、それらよりもアウトサイダー的なものに対してのもっと厳重な監督が一応必要であろう、こう考えるのであります。なお永井委員お話とまた社会党案にもわれわれのかなり参考にしなければならない点等もございますので、これらを十分考慮して、すみやかに本案が通過するように考えてみたいと思うのでありまして、これで質問を終ります。
  31. 神田博

    神田委員長 次は加藤清二君。
  32. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 時間が大へん切迫しておるようでございますので、簡単に要点をかいつまんでお尋ねいたしますから、答弁の方も一つ簡単に要点だけお答えいただきたいと存じます。  第一点、審議会及び商業活動調整委員会でございますが、この構成メンバーの中に小売り商業者を入れる用意があるかないか、これでございます。
  33. 徳永久次

    徳永政府委員 審議会の方には小売商関係者は入れないつもりでございます。これは百貨店側も入れないつもりでございます。利害関係が入らない方が万事円滑な運用ができると考えております。ただしお話商工会議所が別途設けます商事関係の調整のための委員会、これには百貨店問題を主とします限り百貨店側、中小小売り業者側、学識経験者等に入っていただく方がベターだと考えます。そのように私どもからも通牒は商工会議所あてに出しております。
  34. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではこの法案が通過した後におきまする商業活動の取締りの件でございますが、ただいま先輩長谷川委員から公取で行う方が適当であるという御意見がございました。ごもっともなところもございます。それでお尋ねしたいのでございまするが、二十九年の十二月に指定をなさってから今日に至るまで、指定の内容に関しまして違反が続出している。しかもこの違反はますます地下にもぐって奸知にたけた行為が行われている事実を私は知っております。ほんとうに公取委だけで行えるというものならば、その取締りをなぜ早くおやりにならないのか、将来はどのような措置をとって室壁を期そうとしていらっしゃるのか、この点について伺いたい。
  35. 坂根哲夫

    坂根政府委員 お答えいたします。二十九年の暮れの特殊指定以来の私ども仕事についてのおしかりでありますが、私どもとしては少い人員でできるだけのことをいたしたつもりであります。しかし法案審議の過程でいろいろ御議論が出ましたように、事柄は非常に千変万化する取引の態様でありまして、なかなかつかみがたいことは事実でございます。しかしたとえば不当返品の問題につきましても陳情が一、二ございましたから、これにつきましては十分調査いたしましてこれにこたえるようにいたしておりまするし、あるいはけさも非公式にお話が出ておりましたが、手伝い店員につきましては逐次改善計画を命じてやっております。  それから百貨居の友の会につきましては、私どもが全国的に調査いたしました結果、これはほとんど、何と申しますか、全く縮小された形において一、二やられておるというような実情でございまして、非常に小さい人数ではございますが、ベストを尽してやっておるということは一つお認め願いまして、しからば今後どういう工合にするかということは、私もちろんじゃ具体的にどういう、人数をふやすということは私も今ここで返答する権限も持ち合せておりませんけれども、これは帰りましてさっそく委員会とも相談いたしまして、どの程度にこれを持っていくかということをあらためてお答えしてもよろしいかと存じております。しかし私といたしましては、通産省勧告と相並んで私ども仕事が従前以上に毒味を持ってきておるということを深く反省して今後善処したい、こう考えます。
  36. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣がおられませんので、次官にお尋ねいたしますが、百貨店においては公正取引の違反があるということは認められ、またこれの調査ないしは規制に当って手が足りないということを認めておられるようでございます。にもかかわりませずこの法案にそのことを盛らずに、なお公取委のみにまかせた方が効果的であるという先刻来のお話でございまするが、通産省としては一体これにどのような協力方をされるのか、それから違反行為はますます地下にもぐる傾向にあると思いますが、これについて通産省当局としては取締りは野放しでございまするが、強化するか、強化するとするならばどういう措置に出ようとされているのか。わが党としては許可権を握っている大臣が罰則の規定の権限も握るようにした方がより効果的である、こう考えているわけでございまするけれども、そうでないという立場に立っていらっしゃる通産省としてはどのように効果を上げようとしていらっしゃるのか、この点が承わりたいのでございます。  それから同じ件についてでございますが、これほど公取も認め一般が全部認めていることでございまするので、法案の修正をしないというならば、その目的を認めている事実をより効果的たらしめるために、せめて本委員会の意思をこの法案に修正でなくても別な形において盛り込む必要があると存じますが、この点次官はいかにお考えでございましょうか。
  37. 川野芳滿

    ○川野政府委員 私的独占の事実がございますことは、先般来より公正取引委員会の方々がこの席上において申し述べられた点でございますので、よく承知いたしております。従って現在におきましても私的独占違反の事実があるので、この法案に私的独占違反取締りの法文を入れたらどうかと言う御質問の要点であったかと考えるのでありますが、御承知のように下当競争あるいは不公正な取引という面等におきましては、現在の独禁法において取り締ることができるように相なっております。しかし遺憾ながら加藤委員も御指摘のごとく、従来取締りの面にあるいは緩慢な点があったかとも考えるのであります。しかし、ただいまもこの席上において申し述べられました通り、今後厳重に取り締るということを御言明になっておりますので、公正取引委員会におきましても、さらに今後厳重な取締りを行われるものと考えておるような次第であります。通産省といたしましても、公正取引委員会と緊密な連絡をとりまして万全を期したいと考えておる次第であります。
  38. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 次に経過措置について政府案と社会党案の両者に承わりたいと存じます。この百貨店取締りの声が国会であげられますや、業界としては競争でかけ込み増設をいたしておるようでございますが、現在建築中のものは法律の規制が一体どう行われますのか。またもし増設中のものを規制するとすれば、どの基準で規制するのか、またその境はどこにするのか等々の問題、もし今日これを規制しなければ、せっかく本法案が通過いたしましても、それこそ先ほど来皆さんが御心配していらっしゃるように百貸店の保護法に終ってしまうというおそれが十分にあるのでございます。そこでこの経過措置についてはっきりとしたお答えを、どのように考えていらっしゃるかを、両者にお尋ねしたいのでございます。
  39. 徳永久次

    徳永政府委員 先日も大臣から申し上げましたが、新しい法律ができますと、過渡期にむずかしい問題が起るわけであります。繊維の設備制限をやりますと、繊維業者がどんどん設備増強をしてやっておる。この百貨店の場合にも似たような現象が起っておるということも確かだろうと思うわけであります。しかしその辺はある程度やむを得ないところもあろうかと思うわけでございますが、法律によりまして経過規定のものを始末しなければならないわけでございますが、先般も申し上げました通り、審議会には公正な、常識円満な方々にお越し願って、そこで御判断をいただくということになっております。しかしある程度の既成事実というものはやはり尊重して参らなければ、ある意味の社会の安定という点が保も得ないことだと考えるわけでございます。相当でき上ったものを全部認めないというふうには参らないと考えるのが常識じゃなかろうかと考えておる次第でございます。戦前におきましていろいろなケースがございまして、その際には百貨店についての審議会では、基礎工事ができておるものは一応認めていくというような線が出されておったのでございます。戦後の場合は、その場合に比べましてケースも非常に多いというような点から、戦前と同じような基準ではどうかというような問題も若干あろうかと思いますけれども、ある程度既成事実は規制事実なりには認めていかざるを得ないということ、これまたある程度の常識上の結論ではなかろうかという工合考えておるわけでございます。またケースによりましていろろいございまして、御案内の通り、ある地には火災の復旧ということもございましょうし、先ほどお話のございました木造を木建築にかえるというような場合もございましょうし、あるいは地方によりましては、むしろ今から作ってもらいたいというようなところもあるかとも思うわけでございます。その辺ケース・バイ・ケースで、いろいろ事情も異にいたすわけでございます。ある程度の常識でということになりますと、ある程度の既成事実というものは尊重して認めなければならぬというようなことになるのが通例ではなかろうかというふうに考えております。
  40. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 関連質問。実はこの問題は重大な問題でして、法案を通そうとするときには、政府の方では何とかかんとか言い抜けをしてうまくやっておいて、法案が通ってしまったら、さっぱり法の活用というものが十分でないのが実情であります。われわれが出すのは、現在東京都だけでなく、相当全国的にわたって、この法案が通るであろうということを予想して工事をやりかけておる。私は昨日池袋にもちょっと行って見ましたが、ほんとうに基礎工事をちょっとやりかけておる。新宿も問題になって地元から相当の反対が出ておる。大丸はさらに屋上に増築しようという計画がある、こういうものはこれから鉄道用地の関係もありますから、運輸行関係、あるいは建設省関係、あるいは通産省関係とこの三省の関係が一貫しないと、通産大臣の認可を受けなければならないということであっても、運輸省の方では建てることを許可する、建設省の方ではこれを許可するということになると、結局政治的に相当な力が加えられてくるというと、いつのほどにか、この法律というものが効力をなさないようなものになってしまうわけであります。われわれはこの法案を通過さす前に、あなた方にはっきりしておかなければならないのは、いわゆる既設のものを今のようなことでは、この一年間に莫大なものがあっちこっちに建ってしまう、これが全部できたならば、この法律内容は死んでしまうわけです。だからこれを規制する考え方を一体どのようにせられるのであるかということが、まだ今の答弁では私は不十分だと思う。委員長、いま少し納得のいく答弁をさせてもらわなければ、運輸省、建設省、そうして通産省関係と、もう一ぺん深く掘り下げてこれをやってみなければならぬような結果になるので、ただおざなりの答弁だけでなく、通産大臣がおられぬが、政務次官はどう考えておられるか。
  41. 川野芳滿

    ○川野政府委員 先ほど来局長も答弁申し上げましたように、今回増設中あるいは新設中のデパートをどうするかという問題でございますが、先ほども御説明がございましたように、旧百貨店法が制定されました当時においては、基礎工事の完了したものはみな認める、こういうことで実は許可をいたしたのでありますが、今回もそういう点は参考になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。しかし実際問題といたしまして、基礎工事をやりまするが、あとあとは全然デパートをその上に建てることのないデパート、あるいは土地ばかりを買いまして、そうして当分着工の見込みのないような場所、あるいはただ用意だけいたしまして、実際問題としては着工の意思の模様が見かけられないようなデパート等につきましては、これは考慮の余地はないものではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。  なお、ただいま御指摘の公けの建物に付属するデパートの問題でございまするが、この点につきましては、委員会の質疑の中にも強い反対の空気等もございますので、できるならばそういうところは認可しない、こういうふうに実は考えておる次第であります。しかし、実は一がいに認可しないと申されないのは、こういうデパートにおきましても、中小企業等に影響を及ぼす問題、あるいは場所等によりましては認可してもよろしい、こういう場所等におきましては、審議会意見等にも従いまして、あるいは考慮する、こういうようなところができるのではなかろうかとも考えておりますが、できるだけ一つ質問の御趣旨に沿いたい、こういうふうに考えている次第であります。
  42. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 デパートのできることに、中小企業ないし小売商人が反対するということになれば、認可はしない、こういう御方針、しかしそうばかりもいかぬというあとのお言葉がちょっと何ですが、大きなデパートができて、中小企業者を圧迫するから、この調整法を作るので、そうでなければこんな法律を作る必要はない。反対があるのは当然だ。反対があっても、やはり政治的に動けば、国鉄がもうすでに池袋や新宿の問題も当面出ておるし、国鉄会館の問題もそうなんです。これは大きに中小企業君が反対したができてしまった。これは過去のことですが、しかしこれから基礎工事を今やって、それが今度デパートになるということに対して、これを認可するかしないか。付近が反対するのは当然ですが、反対しても認可するのですか、その点はどうですか。
  43. 川野芳滿

    ○川野政府委員 法案内容にも盛られております通り、デパート許可あるいは増築等につきましては、審議会意見、さらに審議会地方商工会議所意見も参酌して、そして通産大臣に答申する。こういうことになっておりますことは御承知の通りであります。従いまして、そういう意見等も参酌し、さらに実際面にしまして、すでにある部分、工事も進捗いたしておる、また場所等から勘案いたしましても、これは公平に見て許可すべきものである、こういうような場所等にデパート新設工事がされつつある、こういうような場合には、あるいは許可をする場合もあろうかと考えます。しかし、政治的に動いてどうこうという点について、実は政治的に動いたから許可する、こういうことは絶対しないつもりでございます。
  44. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 もう一点。水かけ諭になりますから、その政治的な問題は申し上げません。しかし、しばしばそういうことがあるから私は申し上げるのです。しかしながら、この法案には審議会小売商人の代表、あるいはデパートの代表という利害関係の非常に強い者は入れないということになっている。そうすると、商工会議所というものは、実際には下の方の商店に浸透していない。あれは上の方の幹部の大きな連中がやっている。ところがこれは小売商人なんかが一番打撃を受ける。だからそういうものは何か発言権を持つように法案をしなければ、実際問題として下の声というものはなかなか通らない。あなた方が審議会審議会と言われますが、たとえて言えば、われわれがノリを輸入するについて審議会を作った、そうして審議会でいろいろやっても、やはり政治的な力が加わればノリが入ってくるようなものでなかなかそうばかりはいかない。私はその方はよく知っている。だから審議会審議会とあなた方言われるけれども審議会に一番利害関係のある者を入れずに審議会を作るということは、当を得ていないと思う。むしろそういう者を入れて、十分なる発言権を持たして、しかる上にここに建ててもらっては因るということになったら、この法律は生きるわけです。そういう者を入れずに、利害関係も何もない、いいかげんな第三者的な者を入れて、そうして審議会をやろう、これではどっちになってもいいということになる。そういうことでなしに、もう少しこれを積極性を持ったものにしたらどうか、そこらがどうも私には納得がいかない。なお国鉄の問題、建設省の問題は、この法案は質疑を打ち切るというのでありますから、さらに運輸省関係委員あるいは建設省関係委員に譲って、私はここで長い時間をとろうと思いません。ただ最後にお聞きしたいことは、建設省やあるいは運輸省関係の者は審議会の構成メンバーの中に入るのですか、入らないのですか、どうなんです。
  45. 川野芳滿

    ○川野政府委員 建設省あるいは運輸省関係の方々は、委員には入らない、こういう予定でございます。
  46. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 時間が迫っているようでございますので、要点をお尋ねしますから、要点だけお答えいだたきたいと存じます。ただいまもお話の通り、どさくさにまぎれてかけ込みということがよく行われるのは、これは世の通例のようでございます。そこではっきりしたものははっきり発表が行われるというのは、入学試験を見ても御承知の通りでございます。ところがこの入学試験が、妙なことになりますと、裏口入学とか不正入学とかいうこと よって新聞をにぎわすようでございます。そこでおそれ入りますが、現在あなたのおっしゃいました基礎工事ができて、そうして認可が行われているもの、それを四月十六日現在で一度資料として御提出願うことは、これは入学許可になった生徒を新聞、ラジオで発表するようなものでございます。まことにけっこうなことだと思いますので、ぜひ一つ提出願いたいのでございます。でき得れば新聞発表していただけば、小売商の方も、もうこれ以上はできないということになって安心されるし、デパート側も、やれやれ、これでおしまいだ、こういうことになるわけです。ぜひ一覧表を御提出願いたいのでございます。それと同時にこの法案はほとんど細部にわたっては省令にゆだねられているようでございますので、この省令の運用いかんによっては、今同僚佐竹さんの言われた通りの結果も生じますので、この際省令も大急ぎで一つ提出願いたいのでございます。これを要望いたしますが、これについていつできますか、それをお答え願いたい。
  47. 川野芳滿

    ○川野政府委員 ただいまの資料のうち、新しいデパートをどこどこに認可するか、こういうような点でございますが、これは審議会によって決定するこういうことになっておりますので、遺憾ながら資料として提出する段取りにいかないと考えております。その他の資料は出すことをお約束いたします。
  48. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それは審議会できめることですが、現在基礎工事ができているものは許す、こう通産省は言っているんでしょう。だから現在基礎工事の許可をしているんでしょう。だからこれは審議会に委ねるからといったって、わかっておるはずごでざいますから、そのわかっておるものの表が出ないということになると、あとから不正入学を許すかもしれぬ、裏口入学を許するかもしれぬと世間一般は疑うことになる。また新聞からたたかれる原因になってはお気の毒だと思えばこそ、私は新説に、この際提出してもらいたいこう言うておるのでございまますので、ぜひ御提出を願いたい。
  49. 川野芳滿

    ○川野政府委員 私が御答弁申し上げました意味を実は加藤委員がはき違えておいでになをすじゃないだろうかと思います。私が申し上げましたのは、旧百貨店法におきましての施行当時の認可は、基礎工事のできたものを認可いたした、従って今回もそういう点も参考にいたしたい、こういうことを申し上げたのでございまして、基礎工事の完了したものは必ず認可する、こういうことを申し上げたことはなかったと私は考えております。
  50. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは至急御提出願えるようお願いいたします。  最後に申し上げたいこは、自由主義経済では、御承知の通り大きな資本が小さな資本を食っていく、こういうことは必然の結果でございましょうが、特に小売部門において、デパートが小売を食っているという事実は、これは万人が認めておられるところで、あり、その弊害が、陳情書として私の手元にもはがきだけでも山と積まれているのございますが、まさにそれに対して行われようとしておりますこの法律は、巨人の暴挙に対して、まさに食われようとしている少女を救う法律でございまして、少女側からいえば、これは正当防衛でございます。従ってこのことにすでに早くから御着眼の先輩長谷川委員は、すでに数年前からこの法律提出されておりまして、その点は先輩委員として長谷川委員を非常に敬服しているわけでございますが、今やこの問題は、中小企業を口にしながらも政策として実現されないということに対して、中小企業政策の陥没地帯である、政策のみなしごである、こう言われているわけですが、もしこの法律が通るとするならば、そのみなしごを救う一つの手だてにもなるんじゃないか。いわば、小売を保護するところの一端がここに開かれた、曙光を見つけた、こういうことになるではないかと存じます。  そこでこの際考えてみますと、社会党案、保守党案、あるいは山本私案とか、いろいろあるようでございますけれども、それをいろいろ審議して、最も適当なものを作りたいのはやまやまでございますけれども中小企業の安定政策を強力に推進するということについては、客観情勢が緊迫しておるのでございます。従って委員長の言にも私は協力いたしまして、言いたいことはやまやまあるけれども、この程度にとどめて、あとはまた次の国会なり何なりに修正その他をしたいと思いますから、今後二度、三度と修正されなくても済むような省令なり、あるいは審議会の運営なりをして、ほんとうにこれが中小企業を救う道であり、やがてはデパートも安心して消費者にサービスのできる道であったと喜ばれるような結果を期待しつつ、それを要望しつつ、私の質問を終るわけでございます。
  51. 神田博

    神田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこの程度にとどめます。  次会は明十七日午後一時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会