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1956-03-27 第24回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十七日(火曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       宇田 耕一君    大倉 三郎君       菅  太郎君    菅野和太郎君       椎名悦三郎君    島村 一郎君       首藤 新八君    田中 角榮君       田中 龍夫君    中村庸一郎君       野田 武夫君    前田 正男君       南  好雄君    森山 欽司君       山本 勝市君    飛鳥田一雄君       伊藤卯四郎君    加藤 清二君       佐々木良作君    佐竹 新市君       櫻井 奎夫君    多賀谷真稔君       田中 武夫君    帆足  計君       山口丈太郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  西村健次郎君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 樋詰 誠司君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         中小企業庁長官 佐久  洋君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局産業施         設課長)    大宮 二郎君         参  考  人         (東京中央卸         売市場業務部         長)      石井 孝義君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十七日  委員田中利勝君、松尾トシ子君及び水谷長三郎  君辞任につき、その補欠として櫻井奎夫君、山  口丈太郎君及び飛鳥田一雄君が議長の指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  工業用水法案内閣提出第一二八号)  通商産業基本施策に関する件     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、通商産業基本施策に関して調査を進めます。バナナ等輸入問題に関する質疑を継続いたします。この際、市会に引き続き東京者中央卸売市場業務部長石井孝義君を参考人といたしまして、同君に適宜質疑を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、本問題について出席されております政府委員は、川野通商産業政務次官岩武官房長樋詰通商局次長安田農林経済局長西村法制局第三部長、以上であります。  それでは質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私の質問に対して、農林省で話をまとめて回答をするということがありましたので、お返事をいただきたい。
  5. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 バナナ輸入に関連しました市場取引につきまして多賀谷委員から御質疑をいただきまして、これに基きまして御意見も尊重しながら農林省で省議をまとめた結果を御報告いたしまして、御了承願いたいと思うのであります。  バナナ輸入方式に関連します市場取引につきましては、農林大臣より昭和三十年十二月十四日付「三〇農経第五〇四二号バナナ輸入方式に関する市場取引について」の件名をもちまして、中央卸売市場業務規程改正など所要措置をとられたい旨を通達いたし、かつこれに伴いまして昭和三十年十二月十四日付「三〇農経第五〇四二号」をもって農林省農林経済局長から所要通牒を行い、その実施を見つつあるところでありますが、同通達記の一及び二に関連しまして、三の輸入により買い付けましたバナナ卸売市場におきまする取引につきまして、その公正をはかるよう指導することが必要でありますが、なお、農林省としましては多賀谷委員の御質疑及び御意見によりまして、趣旨としまする本旨が十分に表われておりませんので、これにつきましてなお通達趣旨及びそれによります必要な措置を補足して遺憾のないようにいたしますために、現行中央卸売市場法、同法施行規則及び関係中央卸売市場業務規程にのっとりまして、左記のように措置せられたい旨を関係市場長の方に、開設者に向いまして命によって通牒をする措置をとりたいと思っておるわけでございます。  その内容を全部申し上げますと、先般実施せられました輸入方式によりまして輸入した者が中央卸売市場仲買人である場合におきまして、その者が属する中央卸売市場以外の中央卸売市場販売または販売委託するなどの場合は別としまして、その仲買人が属します中央卸売市場に搬入して取引いたします場合は、当該中央卸売市場卸売人を通じて取引するよう指導するものとしますが、その際売買取引適正化に関する現行法令及び業務規程の定むるところに従いまして仲買人卸売人販売委託をすると同時に、買い手としてせり売りに参加する場合においては、特にこれにより不当な値段を生ずるおそれがあり、または公正な取引が行われないおそれを生ずることを防止して遺憾ないように万全を期すべきものと認めますから、当該取引につきましては次の方法によらしめるようにしたいということでございます。  その第一は、卸売人に対して販売委託をする場合は、その委託を受けた卸売人はせり売りの方法によらず、開設者の指定するところによりまして、関係者すなわち卸、仲買、小売人などの協議による評価に従うなど、定価売り等所定方法をとること、これは関係条例等を申し上げますと、法第十四条、東京中央卸売市場業務規程の第五条などでありまして、他の市場はそれに該当する業務規程であります。また二、卸売人に対して販売委託方法によらず、売り渡しの方法をとるようにすること、施行規則第二十一条、東京中央卸売市場業務規程筋二十三条、その他の市場については該当の条文であります。三はその他、以上申し上げました一または二と同趣旨による施行規則業務規程によります適法にして適切な方法をとること、こういうことを厳重に遺憾ないように指導通牒として補足して出したいと思います。
  6. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 政府としましては、法律に基く命令が不当な値段あるいは公正な取引を阻害するという点を認められて次のような処置を講ずる、こういうことを承わったのですが、東京都の市場の中でそういう行為をせよということですが、こんな煩雑な指導要綱を出してまで仲買人を保護する必要はない。かように私は考えるのです。非常に複雑な乱れたような体系を作って、そうしてわざわざ仲買人輸入業者の資格を与える必要はない、ことに仲買人あるいは卸の加工を含めて全国協同組合連合会を作って数量または価格協定を行うことを業務として登録をしておるのです。これはあと加藤先生からおそらく独禁法の問題で質問があるかと思うのですが、全国的な組織を持って数量または価格協定ができる共同事業目的として連合会を作っておる。そうすると、これは単に東京都の市場だけで、なくて、全国的な市場撹乱が起るわけです。ですから、私は、こんな市場撹乱を企図すると言えば語弊がありますけれども、それを引き起すような命令を出すべきでない、かように考えるのですが、あなたの方、は東京都の市場だけやればこういう結果は起らない、かようにお考えであるか、お尋ねいたしたい。
  7. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 ただいま多賀谷委員のおっしゃいましたような、市場取引を特に複雑にして、また市場取引撹乱するように企図するという意図は全然ございません。すでに出してある通達も、従来は中央卸売市場にほとんど入りませんでしたものも入って秩序あるように取引をしていただきたいと思っておるという趣旨であります。また東京都の中央卸売市場もそうでございますが、その他の認可してあります従来の中央卸売市場業務規程、また従前から取引のありました実情両方を考えまして——中央卸売市場においてはその業務規程に従って取引をされておりますが、国内産の青果物あるいは魚等につきまして、卸売人仲買人あるいは仲買人を含む売買参加入の場合における売買取引に関しましては、おのおの業務規程規定がございまして、ただいま農林省で決定しましてお答え申し上げましたことのような場合の規定は、おのおのこの業務規程に予想して規定があるわけでございまして、その例も随所に見られております。市場というものは、物資の統制そのものを必ずしも考えておらぬ、市場取引を通じての自由経済をも考えておる、その中に公正取引の秩序を見出そうとしておるものでございますので、従来の市場法施行規則及び業務規程、それらの最近の実情にかんがみまして、これが今回のように輸入方式をきめたものに照応しまして適当であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  8. 加藤清二

    加藤(清)委員 それに関連して承わりたいのですが、それはほかでもありませんけれども、全国芭蕉卸売加工協同組合連合会中小企業等協同組合法によって認可されたというお話でございますが、その認可は通産省がおやりになったのですか、農林省がおやりになったのですか。
  9. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 こういうものは農林省の所管になっております。
  10. 加藤清二

    加藤(清)委員 農林省はそれをやっておきながら、農林大臣は、わしは監督が違うから知らぬとこの間おっしゃったのですが、私も今安田局長答えの方が正しいと思うております。  さてその事業内容でございますが、それは設立の届出がありました折に、よく事業内容を御調査なさいましたか。
  11. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 担当課をして調査させました。
  12. 加藤清二

    加藤(清)委員 御調査なさっていらっしゃるならばよくおわかりと存じますが、その事業内容の第一項に何ということが書かれているか。およそただいまあなたのおっしゃったこととは逆なことが書いてある。逆な方向に当然いくであろうと予想されることが書いてある。第一項「会員の取扱う芭蕉輸入代行購買販売加工検査運送についての共同事業」これが専業内容の第一項でございます。第一が会員の取り扱う芭蕉輸入代行でございます。それから購買買付でございます。その次に販売でございます。加工でございます。検査運送でございます。そうなって参りますると、この組合はこの組合だけでもってバナナ輸入から消費者に渡すところまで一貫作業が行われる。こういうことに相なって参ります。しかもこれが東京都だけでなくして、全国組織でございます。そうすると先ほど来あなたのおっしゃった趣旨、いわゆる不当不公正なる取引談合等々が当然行われる結果が生ずると考えられますが、この点はいかがでございましょう。  それからもう一点、のみ行為が行われる云々問題がございましたのですが、いや東京都だけで、この問題に限るのだという意味の御返事もあったように心得まするが、全国組織を持つ組合員が一連の作業を全部行い得る、こういうことになりますと、それは東京都だけでなくして、名古屋においても大阪においても福岡においても行われ得るということに相なりまするが、これはいかがなものでございましょう。
  13. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 全国芭蕉卸売加工協同組合連合会事業でございますが、中小企業等協同組合法に基いておる組合でございますので、同法に基いた行為しかできないと思います。これが逸脱をいたしましたならば、当然その法規に基く監督を行うべきものと考えております。また組合認可されましても、個々の組合が全部協同組合規定で、協同組合行為として、第三者としてやるかどうかは事実問題でございますが、まだ全国できておらない地区も多いようでございまして、まだそういうところまで発展していないのじゃないかと思います。  それから輸入方式上入札に参加いたしましたものは、加工業者そのものでございまして、組合としては参加していないと思います。それからこの組合があるから不当な行為を行なったり、あるいはひいては独禁法等に触れるのじゃないか、ないしはそれに触れるおそれがあるのではないかということでありますが、それはどういう行為をしたかということに応じまして私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律条章に照らしまして、不法または不当な場合は抑制すべきものと思います。ただ中小企業協同組合というものは、農業協同組合もそうでございますが、法に定めた場合の共同行為については、独禁法の適用を除外しておることがあるのであります。ただし独禁法の許す範囲でなければならぬと思います。そうでありますが、指導精神としては、私どもはバナナ中央卸売市場であるから、その中に搬入させて、その中で市場業務規程の定める適当の方法取引してもらうようにしたいものだというのであります。すなわち中央卸売市場取引は、現行中央卸売市場法施行規則等関係条章がありますので、同法、同法に基く省令、業務規程等にのっとりまして取引が行われることが、またその精神に応じまして妥当と判断されます範囲においてしか取引させないのが行政の妙だと思うのであります。  第三点は、のみ行為というのを実は私よくわかりませんが、先般の多賀谷委員の明快な御質疑と御意見がありましたところから私想像しますところでは、委託販売受託者が、委託品自分で買ってもうけを多くする、こういうようなときに、よく通例ではのみ行為といわれておるように思いますが、指値の委託販売などを出荷者がしまして、卸売人卸売行為がその相手方の買受人売買参加者、あるいは仲買人小売人と、こういうものの間に実質上同一の売り買いの人がある場合がないだろうか、あるいはそういう行為は行われないだろうか、少くともそのおそれはないだろうかということであろうと思いますが、これは市場内の取引について、そういうことはいけないという意味で、市場内の売買取引業務規程等で規制されておるわけでありますので、その趣旨によりまして、東京都のみならず、その中央卸売市場におきまする市場取引が類似の行為になりましたり、またなるおそれがないようにして、定款その他の方法で遺憾なきを期したい、こういうふうに思っておるわけです。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が質問しております趣旨は、せっかくできた組合ならば生々発してもらいたい。しかしその間に法律を無視したり、破ったり、あるいは他の組合と比較いたしまして、特別な恩恵保護が与えられるということは避けなければならない、こういう観点に立って御質問しておるのでございまして、決してこの組合をつぶそうとかなんとかいう、そういう野望ではございませんから、一つそのおつもりでお答え願いたいと思います。  ただいまあなたのお答えでございますが、全国という名前がついておるけれども、全国的に波及するおそれは今のところ考えられない、かようにお答えになりましたけれども、私の調査いたしましたところ、あなたが許可なさいましたその組合理事のメンバーの営業所等々を見ますと、これは東京、横浜、神戸、大阪名古屋と、全国一円にわたっております。ただこの芭蕉加工業者について、この組合に今のところ入っていないのは四国九州だけのように心得ておりますが、これは間違いでございましょうか。
  15. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 六地区組合をもちまして、まず協同組合の方の規定に従いまして、設立認可申請がございまして法に違反しておらない場合は、中小企業協同組合認可をしなければならぬという法規でございますので認可しましたが、それ以外には、四国九州、北海道もそうじゃなかったかと思っております。関門は入っていないかと思います。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 とにかく全国にわたっておるという事実は認められたようでございます。そこであなたのおっしゃいました、不当、不公正な取引ですね。このことが私は起り得ると思う。なぜかならば、その事業内容の第二項に何があるかというと、この組合は、所属員の取り扱う芭蕉購買販売加工について、その価格及び数量に関する協定を行うと書いてある。この協定は、中小企業等協同組合法の一部改正が行われ、また輸出入取引法の一部改正も行われましたが、この数量価格、品質、意匠等々の協定が行い得る場合は、特殊な場合なんです。これを百初めから定款にうたって、このことをやろうというような組合は、私は初めてだと思う。なるほどあなたは今、農業協同組合がかようなことをやるとおっしゃいましたが、農業協同組合がどのようにがんばってみたって、米の価格協定することはできません。麦の価格も、豆の価格も、はたまた自分が必要とする農薬から肥料に至るまで、どんなにがんばってみたって協定はできないのです。しかしこの組合はやろうと思えばできるのです。なぜかならば、輸入のほとんどはここへ渡ったんでしょう。そうして協同組合連合会はそういうことに関連しないとおっしゃるが、関連しないものが、銀行保証までしてもらって七億の金を準備するはずはございません。従いましてこの第二項は、完全にこれは独禁法に触れる行為である、かように思うわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  17. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 中小企業等協同組合法で許されている以外は、独禁法に触れることはしないものと思います。また、した場合は、独禁法上の問題及び市条例の問題として措置すべきものと思います。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 しないような事業内容をなぜお認めになりましたか。それじゃ、これはどういう場合をさしていますか。あなたがお許しになったとするならば、この場合は、いかなる場合をさして言うておられますか。
  19. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 第一の、銀行保証とか、融資を共同的に行うということは事実行為でございまして、それが独禁法に直ちに触れるとは私は思いませんが、認可に当ってそういうことをすると予想したわけではございません。また事業の中の、価格及び数量に関する規定は、法の許す範囲内においてだけやるということに当然なると思います。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 法の許す範囲内というて、この事業内容の第二項に、購買販売加工、それ等の価格及び数量に関する協定を行う、こう響いてある。それを今度のバナナに、もしこの事業内容の第一項と第二項通りを適用されたとしますと、値段はいかようにでもなるのですよ。あなたは先ほどの御答弁では、農林省は鳩首協議した結果は、卸売人にこのようなことはさせないとか、あるいは仲買人との場合においてはこのようなことは避けるとかおっしゃったのですけれども、しかし今まででもせり売りはしていないんだ。ほとんど話し合いで行われている。それでもなお、台湾で一本三円のバナナが、こちらへ来ると三十円から六十円になっておるのです。今度は一部分の加工業者だけで協定ができるということになりますと——しかも数量から価格から全部協定ができる。それもせり売りでなしに、協定で、話合いでやらせるという先ほどのお答えでございました。そうなれば、必然的な結果として、値下げしようが値上げしようがどうにでもなるようになっていると思います。私が日本語を読むとそういうふうに解釈できるのですけれども、あなたはこの日本語を読んでもそういうようには考えられませんか。
  21. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 法律法律と二つありますときには、両方をもって判断しなくちゃならぬと思います。もちろんそういう事業を行うにしましても、独禁法の、不公正な取引方法を用いる場合、また一定取引分野における競争を実質的に制限することによって不当に対価を引き上げる場合にはいけないので、それ以外の協定の場合に限る。他の法律禁止してあるからそうなんです。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 この事業内容はいかなる場合を想定して、あなたは許可なさったのですか。
  23. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私的独占禁止法範囲内でございます。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 範囲内と申しますと、内地の場合は、不況カルテルとか、あるいは設備が多過ぎる場合には許されておるはずなんです。そのいずれに当てはまりますか。それから輸出入取引法の場合でございますれば、外国の商社国際プライスとの間において、不当に日本国商社ないしは国民が損をする場合にのみこれは許されている。そのいずれに当てはまりますか。
  25. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問に直接答えるのはちょっといかがかと思いますが、中小規模事業、または相互扶助目的とすること、及び任意に設立されて、組合員が任意に加入、脱退ができる場合のこの組合ではある程度は許されて、先ほど申し上げましたようなことは許されない。その許される範囲においてのことでしかあり得ない、こういうのであります。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 内地でこれが許される場合は、不況業者がぶっ倒れるような場合、あるいは不当に価格がつり上げられて、そうして国民が困るような場合、こういうふうに限定されておるわけです。ところがバナナ業界においては、いまだかつてこれ所、欠損をした——それは戦前にはあったでございましょうが、今日ではそういうことはあり得ない。あなたのこの間の御答弁からいっても、もうけ過ぎて、いるからこれを加えたんだとおっしゃった。もうけ過ぎているからかような業者を入れなければならぬのだ。いや、バナナのようなものは、砂糖と違って、どんなに高くなってもいいんだ、こういう御答弁もあった。そうなりますと、この組合事業内容から考えてみて、当然国内価格はつり上るとしか考えられない。そういうことがやり得る。また組合としては、やりたいということを予想しておればこそ、第一項には輸人から販売小売に至るまで一貫作業をやりたい、そして第二項においてはその価格数量協定をしたい、こういりことになっているわけです。あと内容を見ますと、これはほとんどつけたりなんです。そうすれば価格数量も独占できるわけです。これはやがて独禁法に触れることになって参ります。こういうことは、一体どういう理由によって許されたのか。国内事情なのか、価格なのか、数量なのか、これを伺いたい。
  27. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 不況カクテル企業合理化のためのカルテル共同行為、こういうものは独禁法規定の中の別の条章でもって許されておるものでございまして、私が申し上げておるのは、水産業協同組合法とか農業協同組合法とか労働組合法とか、そういりものと並んで中小企業等協同組合仏の場合は、組合共同行為として一定行為が許されておるその範囲である、また定款輸入等を書いて申請がありましたが、輸入代行に限るというようにして、価格数量に関する協定の中に、原案には輸入購買販売加工についてとありましたのを、輸入などを削る措置をいたしまして認可した経過があると了解いたしております。また加藤委員のような御疑問も生ずるといけないから、特に中央卸売市場に搬入して、業務規程に従う取引主要取引としていただきたい。それが多賀谷委員がおっしゃいましたように、なお疑義を生ずるではないか、こういうこともありましたから、文意が足りなかったと思いますけれども、関係業者市場開設者は、法、施行規則業務規程をよく知っておると一応見まして、書きませんでしたが、先ほど申し上げましたように、特に厳重な制限的な措置を講じてやりたいと思う趣旨通達を補足したいと思っておる次第であります。
  28. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の質問のピントに合わないお答えのようでありますが、私はこの際ここで押し問答をして貴重な時間をあまり費しても何でございますから、委員長にお願いしておきますが、公取委をぜひこの際呼んでいただきたい。公取委の所見を聞けば一目瞭然でございますから、至急公取委を呼んでいただきたいと存じます。  それからもう一点、バナナが高くなると予想し得る材料がたくさんございますので、これをいかに防止なさるかについてお答えを願いたいのでございます。すなわち今度の入札によりまして、二三%がもともと華僑に渡っておるようでございますが、その残りの、バスケットにいたしまして華僑が十二万バスケット、それから全芭連の方は大体二十万バスケットとなっておるようでありますが、今のところLCが組まれておりますのは華僑側のように承わっておる。四月、五月、六月という月が日本の国内におけるくだものの一番端境期と心得ておりまするが、この際に華僑側の輸入許可された品物だけでは品がすれが参ります。年間六十万バスケットと聞いておりますが、そうなりますと、月平均にいたしまして少くとも、五万かごから六万かごの輸入、特に端境期は、要すれば十万かごくらいあってもしかるべきだ。そのために台湾産もこの時期を目がけてたくさん送り得るように工作がなされておるはずです。にもかかわりませず、このままで放置いたしますと、この四、五、六という国内では一番端境期、台湾では一番出そうと思ってたくさん用意しておる時期に、その両者の意向が全く行われずに、ほんのわずかしか輸入が許されない、こういう結果になりますが、全芭連側が許可をとりましたそのLCはいつごろから開設されるか。これはやがてこの端境期における値段を在府するポイントになると思いますが一体この準備はどうなっておりますか。
  29. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 LCはいつでも——今すぐでも開設し得る状態にはございます。これは御承知のように、外貨割当の有効期限、証明書の有効期限が四カ月、輸入許可書になりましてから六カ月という格好になっておりますので、その間はいつでも外貨の割当を受けた人間の意思によって開設し得る、今の状態は即時にでも開設し得る、こういうことであります。
  30. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が聞いておるのは、やれるという制度ではなくして、具体的に事実それがいつごろ行われるか。いかに安田局長が不当につり上げないとかあるいは高くさせないとおっしゃってみても、このことによって国内の値段が高くなるのですよ。だから問題は具体的にいつ輸入されるか、こういうことになる、これは通産省がよく御存じでございましょう。
  31. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 これは結局この次の割当、三十一年度——もう二、三日で三十一年度になるわけでありますが、三十一年度の割当がいつなされるかというようなことと実質上密接な関係を生ずるという問題じゃないかと思います。もしこれが非常に割当がおくれるということであれば、できるだけ長い期間延ばして少しずつ入れるということが一番得だということになりますし、もしその割当が早くなるというようなことであれば、競合関係等を考えまして、おのずから輸入の実施も繰り上げてやるというのがいいのか、あるいは繰り下げた方がいいのかというのは商業上の判断でなされると思います。いずれにいたしましても、三十一年度の上半期の割当というものがおくれることになれば、これはこの前割り当てました三十万かご自体の輸入も非常に引き延ばされることになるのじゃないかと思っておりますが、この前も政務次官からも再々申し上げましたように、われわれの方といたしましては、日台交渉が成立次第、そうしてこの法案が国会で御可決いただきまして成立したならば、できるだけ早く次の割当を行うというようなことにいたしえるというようなことのないようにいたしたいと思っております。
  32. 加藤清二

    加藤(清)委員 もうあと二点。もしこの全芭連の事業内容のようなことが天下に許されるようなことになりますと、今度はインポーターの方が設備を借りまして、加工はおれらがやりたい、こういうことになってくるわけでございますが、事実その準備をしておるところもあるようでございます。その際に片方には一貫作業を許しておいて、片方には一貫作業を許さぬというわけにはいかない結果が生じますが、これは農林省の所管ですね、農林省としては一体どうお考えでございますか。
  33. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 加工設備の所有の点につきまして面接の関係法規はございませんが、市町村長、開設者の判断に従って、そのときの需給と申しますか、設備の状況と能力と、需要者のその設備を需要する状況とによると思いますが、農林省は、指導といたしましては干渉にいたらない範囲において適切にしたいと思っております。
  34. 加藤清二

    加藤(清)委員 これを許す以上は、許さぬというわけにはいかぬ結果が生じましたね。相手が日本国民であって、同じような権利を持っておるものであれば、片一方に許して片一方に許さぬというわけにはいかぬ。私はこれから発してほかの件でも聞きたいことがありますが、焦点がぼけるといかぬからきょうはやめます。  ただ委員長にお願いしたいことは、私の質問について大臣でなければ答えられない件が三点ございます。その一点にちょっと今樋詰さんが触れられた出てこられるでございましょうか。そり問題がお答え願えないと、この審議は今までやって参りましてもむだだったのです。こういうことになりますので、大臣はいつごろここへ御出席願えましょうか。
  35. 神田博

    神田委員長 お答えいたします。大臣は明日まで静養したいというふうに伺っております。  ちょっと速記をとめて下さい。  〔速記中止〕
  36. 神田博

    神田委員長 では速記を始めて。多賀谷真稔君。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 加藤委員から関連質問がありましたが、今の数量または価格協定についてどうも納得がいきませんが、さらに根本的に、私は買付を国内買付輸入とを区別する、こういう理由がどうも不明確である、かように考えます。さらにそのことがのみ行為を誘発するもとになり、さらにこれはバナナだけでなくてあらゆる物資にそういうことが行われるのですから、私はそういう改正政府がするならば、むしろ都条例の仲買人の「してはならない」という禁止制限の規定は全然要らない、こういうようにまで実質上拡大できると思うのです。だから仲買人が売主の立場になるときは直接売ってはいけない、委託販売をする場合にはせり売りをしないように、こういうことをむしろ書くべきであって、これでは仲買人の制限の規定を全く根本的にくつがえすものになる、かように考えるわけです。しかし今までの論議をしております過程を考えてみますと、もう大体局長の答弁は想像できるのでありまして、私はこの点に関して農林大臣の最後の御答弁をお願いして、本日は保留をしておきたい、かように思います。
  38. 神田博

    神田委員長 佐竹新市君。
  39. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 樋詰政府委員にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、大体日台協定はいつごろ話が済むのですか。
  40. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 それは当初の見込みでは年度内に妥結させるつもりで始めたのでございますが、今のところ非常に難航いたしております。で、われわれといたしましては、できれば四月の中旬くらいまでには何とかまとめたい、こう思っておりますが、とにかく相手のあることでございますので、われわれとしましてはおそくも四月の中旬までにはまとめたいということで話をさせておりますけれども、いつごろに必ずきまるかということはちょっとお答えいたしかねます。
  41. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 いずれ、樋詰政府委員の言われますように、相手のあることでありますから、相手と話合いをしなければ、実際には四月といっても五月になるということもあり得るでしょうが、われわれが聞き及んでおりますのは、大体例年七月ごろに話し合いが済むようになって、七月末ごろに外貨の割当がなされるというので、ずっとおくれてくるということになるのですが、そうなりますと、われわれが今まで言っておりまし全芭連を通して入ってくるバナナが非常に高くなるわけであります。河野農林大臣も三、四回にわたってこの委員会で、特定な人間にぼろもうけをさすようなことはさせない、至急に割り当てるということを言われておりますが、通産大臣との話し合いで、結果においては日台協定が済まなければ、要するに次の外貨の割当ができないのだということでありますが、そうするとこれがもし七月ごろになると、事実において結局全苗速が大きなもうけをすることになるのです。大体もしそうなった場合には、三十年度の二百二十五万ドルがまだ残っておりますが、これは四月かあるいは五月の末日までにもし日台協定がまとまらなければ割り当てるというようなことはできないのですか、どうですか。
  42. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 外貨予算の繰り越しということはできない建前になっておりますので、三十一日で一応三十年度分は終りになります。今年の四月一日からは三十一年度の外貨予算を使って輸入する、そういうことになるわけでございますが、昨年も相当日台交渉は難航したのでございますけれども、大体四月下旬にはまとまったわけでございます。それでわれわれはとにかく今年もそれを見越しまして、始めるのも東京である程度打ち合せした上でこっちが代表を出したというようなことでございますので、今いろいろ問題になっておる点が妥結しましたならば、あとは比較的早くいくのじゃないかということで、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、四月の中旬くらいまでには何とかまとめたいということで督励いたしております。それがまとまり次第、いろいろ今まで御質疑のありました点等を考慮いたしまして、これは大臣からあらためてはっきり申し上げることと思いますけれども、われわれとしてはそういうことでやっていきたい、できるだけ早く割り当てるということでやっていきたいと考えております。
  43. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 今加藤委員質問によりますと、全芭連はまだLCを開設していないということなんですが、事実そうですが。
  44. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 LCの開設状況が現在どの程度になっているかという個々のことについては私今承知いたしておりませんが、ぼつぼつとバナナが入ってきつつあるんじゃないか。入ってくるということは結局LCで送金した、こういうふうに考えております。
  45. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それは華商のが入ってきておるということを聞いているのですが、全芭連の荷物が入ってきておるのですか。華商のは入ってきておるというのは聞いております。
  46. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 加工業者で今度落札したということでございますが、その加工業者の落札分がわれわれといたしましても全然入っていないとは思わぬ。これはむしろ想像できないので、ある程度は入っているんじゃないか、そういうふうに理解しております。
  47. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 昭和三十年の十二月二十九日の通産省の公報を見ますと、申し込みの資格のうちで「一、日本商社、自己の名及び計算において対外支払い手段の取極を行う者(LCの代理開設を認めず)であって、次に掲げる者とする。」云々としてありますが、LCの代理開設を認めずということは具体的にはどういうことなんですか。
  48. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 これは輸入承認書の名義人が自分で送金をなさいということであって、とにかくほんとうに自分で対外支払いということを、他人に頼らずに直接やれるということを条件に外貨の割当を一広いたしておりますので、輸入申請書の名義人、その人は自分でLCを開設して送金するようにということでこれは規定したわけでございます。
  49. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますと自分でということは申請した個人個人、たとえば全芭連というものが、協同組合を一括して代行するという場合にはどうなるのですか。
  50. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 これはILの名義人が全芭連とかいう団体の名前にはなっていないわけでございます。それは一人一人の加工業者それぞれが、個人の資格で全部輸入申請書を提出しておるわけでございますので、個人個人の名前でLCを開設する、こういうことになります。
  51. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 そうしますると実際に、申請している協同組合全芭連の傘下の個人個人が、台湾と今までそういうLCを開設している経験がないのに、向うで取引をやれるものでしょうかどうでしょうか、やっておるかどうか。
  52. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 これはやれるということでわれわれの方も認めておるわけでございますし、当然個人々々が自分の名前でLCを開設している。もっともこの背後におきまして、金融上の問題というようなことはいろいろあるかもしれませんが、少くともLCを組むということは自分の名前でやっているというふうに解釈しております。
  53. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それは私は当然だと思う。しかし今あなたのおっしゃるところによりますと、その個人個人が台湾でLCを開設して、そうして向うと話し合いをして、向うから荷物を発送する、向うで取引の交渉が済んで、こちらへ発送するというようなことに至るまでLCと並行して、そういうことができますか。
  54. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 向うとの交渉その他につきまして、側々の人間が全部自分でやるかどうかということは、これはあるいは中には数人相寄って、そして向うのシッパーと交渉する、それで大体交渉がまとまれば個人個人の名前で信用状を開設するということは、これは必ずしもバナナに限らず、ほかの物資についても当然あると考えますので、一人一人が必ず自分で電報打ってやるかどうか、あるいは三人なり五人なりが一緒になって同一のシッパーに対して電報を打って、百のうち三十は甲の分あるいは乙の分ということで信用状を開く、それでけっこうだということになれば、それに従って個人個人が開けばいい、そういうふうに存じております。
  55. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 それではこういうように解していいのですか、たとえば全芭連はLCは組む、しかしながら実際の取引は第三者に委託するというような委託業務をさせることはこれはできるわけなんですね。
  56. 樋詰誠司

    樋詰政府委員 実際問題といたしまして、お互いに商業ベースでどういう話し合いをするかということは、これはわれわれの方でもはっきりわからないわけでございます。少くとも形式的に目分の名前でILを申請し、自分の名前でLCを開くということをやっております限り、その業務をどの程度第一、者に委託したかどうかということには関係なしに、その輸入取引につきましてその名義人が全責任を負っておる、そういうことに理解せざるを得ないわけでございます。
  57. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 速記に残しておいてもらいたいのですが、さっき理事会でお話しましたように、われわれの方といたしましては、一般通産行政に関する質疑を大体今日打ち切るといたしましても、まだ通産大臣が出席しておりませんので、通産大臣、農林大臣、この両大臣に出席してもらって最後の仕上げをして、そうして本会議に法案を上程していただく、こういうことで、ほかの法案を審議されることはさしつかえないと思います。
  58. 神田博

    神田委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  59. 神田博

    神田委員長 それでは速記を始めて下さい。  公取委の方が参りましたから、御質問を願います。加藤清二君。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は先ほど来再三申し上げておりますように、私の質問委員長の手元で留保させられた問題がございます。そこでこの問題を大臣がこられてから承わる。なぜそうなるかといえば、この答弁のいかんによっては、せっかく法律が通りましてもこれはひっくり返ってしまう、もう御破算になってしまう。従ってせひ大臣に御出席方をお願いして、こられたそこで大臣としての御意見を承わりたい。こういうことでございます。私は再三申し上げておりますように、何も設備割当が反対じゃない。設備割当は大好きなんです。それをやっていただけるということならこんなけっこうなことはない。ところがそれをやらないということで、三部取り上げていきながら一部を別にする、その意味がわからない、その根本がわからない、その点をお尋ねしてしるわけなんです。要は全芭連も今までの、バナナのインポーターも、お互いと協力して安いバナナをたくさん入れて国民を喜ばせる、こういうふうにいってもらえばそれでけっこうなんです。従って……。
  61. 神田博

    神田委員長 加藤君に申し上げますが、公正取引委員会経済部長坂根哲夫君が要求の通り参っておりますので、公取に関する質疑をやって下さい。
  62. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは先ほどの質品を繰り返してお尋ねいたします。まず公取委にお尋ねしたいのですが、全国芭蕉卸売加工協同組合連合会設立認可されるに当りまして、このことをあなた方は御存じでございましたか御存じなかったのですか。
  63. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 私の方は特にその設立についての相談は受けておりません。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 私もさように心得ておるわけでございますが、この組合事業内容の第一項に、バナナという特殊物資を扱うに当って、輸入から購買から販売から加工から検査から運送に至るまで一貫して共同作業が行われるというように掲げられているわけでごさいますが、こういうことを行い得るということは、私の考えからいけば、やがて談合が行われて、国内における価格を一手に握って、上げも下げも自出になる、こういう結果が生ずる、私はかように考えますが、公取としてはこれについてどのようにお考えでございましょう。
  65. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 お話の団体が協同組の連合会であるといたしますれば、川同組合行為一定の要件をもちまし独禁法の適用除外になっております。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 ところが、これは普通の一地方の中小企業協同組合あるいは一部門の協同組合とは事が違いまして、地域組合でなくして全国オール組織でございます。この全国オール組織組合にして加工というものを握っているわけです。おまけに、外国人は別として、一挙に入札権を獲得して、このたびの入札は一手に握っているわけなのです。これが輸入から購買から販売から一切を行うということになりますと、そこから価格を自由にし得る可能性が生じてくる、私はかように考えるが、この点についてお答えいただければけっこうでございます。
  67. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 私どもの方としましては、独禁法の二十四条のただし書きで書いてある範囲以外はわれわれの対象とはなり得ないと、こう考えております。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 法律論を言うておるのじゃない。それではもう少し詳しく御説明いたしましょう。第二項には、この組合員の取り扱うところのバナナ購買から販売から加工から、その次が問題なのですが、価格数量、これを全部協定する行為——これが事業内容なのです。この二つなのです、およそこの組合目的といい事業というのは。あとはどの組合にもありますことを付帯的につけただけのことです。価格数量をすっかり協定ができることに相なりますと、これこそは価格の独占、こういうことになるわけでございますが、あなたはそういうことにならぬとお考えでございますか。
  69. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 答弁を繰り返すようでありますが、二十四条のただし書きの解釈といいますか、事実との関連において出てくる問題で、それだけで直ちに独禁法云々ということは私はできないと思います。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたがそういうふうにお答えになりますと、私どもは中小企業等協同組合法輸出入取引法の一部改正のときの古証文を持ってこなければならぬことになる。そうお答えになれば私は待ってましたというわけだ。網を張って待っているのだからそれだったら私は古証文を持ってきて、あのときに何がゆえに輸出入取引法の一部改正にわれわれが賛成したか、何がゆえに中小企業等協同組合価格から品質から意匠に至るまでの協定を許すことをしたか、そこにさかのぼって審議をしなければならぬことになりまするが、私の聞いているのは、価格数量が日本全域にわたって一つの業界に握られるということは、やがて公正なる取引を阻害するもとである。それはやがて消費価格をつり上げるもとである。従ってあの際の協同組合法の一部改正輸出入取引法の場合でも、国内価格を不当につり上げたりいろいろする場合においては、これは許せないということになっておったはずなのです。だから私は聞いておる。こういう内容で書かれておると、日本人であれば、価格を独占することができると解釈するのかしないのかということを私は聞いておる。
  71. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 それは、今のお話では、もしそれが唯一の団体であって、そうして今お話しのような問題があるとすれば、あるいは二十四条のただし書きに該当する場合が出てくるかもしれないのでありますが、私どもとしては「但し、」云々「不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」ということの範疇に入るかどうかということで考える以外は考えられたいということのお答えをしたわけであります。
  72. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が再三立って言いますることは、何も過去において政府のとられた行為を取り消しなさいとかどうとか言っておるのではない。具体的事実は済んでいるのだ。それを否定しようとかそれを取り戻せとか言っておるのではない。要は今後業界に混乱が起らずに、国民に与えられるところの価格が不当につり上げられないように善処方をお願いしたい。従って今の法律の条文とこの事業内容からいけは、そういうおそれが十分にあるのだから、ころばぬ先のつえとして何らかの善後処置をとられないと混乱が生じて参りますよということを言いたい。だから、あなたは今見えたばかりだから、その点の私の精神がおわかりにならぬかもしれませんが、こういうことが許されていくということになると、ほかの業界に及ぼすところの影響も大きなものがある。設備割当は私は初めから賛成だと言っておる。そうなればほかの業界もそれじゃおれも設備割当をしてもらおう、それでは砂糖もやってもらおう、綿も毛もやってもらおうということになって参りまするし、同じ、バナナの業界だけでも、全国のオール団体でもしこの一貫作業価格から数量からすべてのことが許されるということになりますると、もう一つの、今までのインポーターの組合とかあるいは小売組合が外貨獲得をするようになれる。それは市場においての加工設備というものは所有権は別にあるのですから。借りてやっておるのです。借りてやっておる人に外貨を割り当て、輸入権を渡して、そのあと加工から値段から数量から一切やらせるということになれば、今度はインポーターの方も設備を借りるということになってくる。設備だったら自分で作りましょうということになってくる。すでにそういう空気が起きている。さなきだに多い多いといって困っておる業界を、一そうふやして混乱をさせるもとになる。私はそういうことはまさか賢明な政府の方々が許されるはずのものではないと思う。こういうことはよろしいということであれば、ほかの業界がやったときもあなたのところは黙認されますね。それは承知してもらいたい。
  73. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 黙認するとかしないとかいうことは、話がもとに返りますが、加藤委員の御説明あるいはお話は私はよくわかると思います。私どもの方は再三申し上げましたように、不公正な取引方法を用いる場合云々の解釈の問題でございますから、そういう点は今後深く考えながらいろいろ善処したいと考えます。
  74. 加藤清二

    加藤(清)委員 よいことだったら、ほかの業界に許してもよいでしょう。このことは大へんよいことだということ、であれば、ほかの業界が同じようなことを届け出た場合に許してもよいでしょう。公取委はほおかむりで許されますね、そこが聞きたい。
  75. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまの加藤先生独禁法からの御意見、いい悪いということはあくまで審判の過程において結論が出た場合にきまるのでありまして、それ以前の問題のいい、悪いということはノー・コメントといいますか、独禁法としての結論は出てこないのであります。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 その通りですが、私はそういうことを聞いているのじゃなくて、ここに書いてあることは、今あなたもお読みになっておわかりいただたでしょう。だから答弁はノー・コメントだ。それでけっこうです。そうしたら今後これと同じスタイルのものがほかからどんどん出た場合に、あなたのところはノー・コメントだ、こういう態度をとられますね。
  77. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 定款に関する限りは、協定というのはよく御承知と思いますが、協同組合協定独禁法の適用除外になっておる。あとは事実関係で問題があれば、それはそれとして私の方は考えていくという工合に御解釈願いたいと思います。
  78. 神田博

    神田委員長 これにて理事会の申し合せによるバナナ等輸入問題に関する通商産業大臣以外の質疑は終了いたしました。  午後は二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開議
  79. 神田博

    神田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  工業用水法案を議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐々木良作君。
  80. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 工業用水法案につきまして二、三質問をいたしたいと思います。  この法案を読んでみますと、これは趣旨としてはまことにもっともで、大へんけっこうな感じがするわけでありますが、中身を一生懸命に探しておるのでありますけれども、中身につきましては、工業用水法の目的とする第一条の趣旨にかない得るような内容を持つかどうかということに対しましてまず疑問を持つわけであります。従いまして、この法案の目的は、第一条にうたってありまする通りに、特定の地域を指定して、その特定の地域内における工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全をはかって、その地域における工業の健全な発達に寄与して、あわせて地盤の沈下等を防止するにあるというようになっております。しかし今言いましたように裏づけになる規定を以下各条にわたってずっと拝見してみるのでありますけれども、規定してあるところは、第二章以下におきまして、特定の地域を指定するという政府の権限が規定されている。二番目にはその地域内におきまして、いろいろな事業に対して制限を加えたり、あるいは許可の条件を定めたりする通産大臣の権限が拡大されておるというだけでありまして、積極的に現在地盤の沈下なり工業用水の不足をどういうふうにして防遏し、積極的な同地区における工業の健全な発達に寄与する方法はどうも見当らぬのでありますが、法案の意図は今のところその消極的な意味だけを盛った方針でありますか。まあ似たような法案の例を引きますと、国土総合開発法にしましても、この岡本委員会外審議しました離島振興法にしても、同じように、日本の中の特定な地域を指定して、そしてそこの地区における総合開発であるとか、あるいはその他の健全な発達に寄与するということがうたってある。その際にも問題が出ましたように、実際の仕事は従来やられておる農林省なり建設省なり、あるいは通産省の一部なりというところにまかされておるままで、大して積極的な内容が見当りにくいことが指摘されておったわけであります。それにしましても、直接の調整のための費用とかいうようなものを、経済企画庁で盛ったり、その他調整をするところに少しぐらいのプラスの内容を盛っておったと思うんですけれども、この法案につきましては、今の特定地域の指定と通産大臣の同地区における事業に対する制限ないし許可条件ということだけで、国家的な資金援助なり建設方式なりというものは、全然含まれておらないようでありますけれども、法案の趣旨はそういう消極面だけを企図したものでありましょうか。
  81. 徳永久次

    ○徳永政府委員 実はこの法律は、提案理由でも御説明申し上げたのでございますが、予算の方で別途お出し申し上げております工業用水道の設置助成に対しまする補助金と実はうらはらになった法律でございます。ただいま御指摘がございましたように、工業の健全な発達をはかるために何らか積極的なことをしなければいかぬじゃないかと思ったものでございますから、この法案では実はこの点が工業用水に補助金を出すとか出さないとかいうふうに書いておらないわけでございます。書いておらないということは、いわば予算の事項でございまして、法律事項という形にならないものですから法律には現われていないわけであります。ただ法律でその辺の気分が若干出ておりますのは、一条の表現の仕方と、それから実態的には三条の二項に地域を指定します際に、その要件といたしましてその三条三項の一番終りの方にございますが、「かつ、その地域に工業用水道がすでに布設され、又は一年以内にその布設の工事が開始される見込がある場合に定めるものとする。」というふうに書いておりますが、ここのところに予算との若干の関連を持たせた意味で表現したわけです。予算のことは別途予算の方で御審議いただいたわけでございますが、三十一年度といたしましては、初年度でございますので、額としましては十分ではございませんけれども、一億八千万円の設置助成金というものを計上いたしまして、それによりまして私どもといたしましては、三地区を予定いたしておるわけであります。尼崎地区、四日市地区及び川崎地区の一番工業用水の不足に悩み、また過度の地下水のくみ揚げによって弊害の出ております場所三地点を選びまして、工業用水道の布設を促進し、そのために四分の一の国庫補助を予算に計上いたしておるわけであります。なお予算に計上しておりますほかに、預金部の金からの地方債につきましても、低利長期の資金を供給し、あわせて受益者にもそれぞれの市が発行いたします債券を安く引き受けていただいて、資金調達にも円滑を期すというようなことを考えておるわけであります。そういうことになっておりまして、予算とうらはらの法案でありますため、それから法律事項として予算を出すということが事項になりがたい事情もございますので、現われていないというのが、積極面に乏しいじゃないかと一見ごらん願いましてお感じになる第一点でございます。  第二の点といたしましては、第一条の地盤沈下等の問題につきまして、地盤沈下なり工業の健全な発達という点でございますが、これは私どもは、この法律に全体の構造が全般的に現われておると私ども実は思っておるわけであります。と申しますと表面に現われました形は、地域を定めて許可で通産大臣の権限を盛ったというごとく現われておるわけでございますけれども、そのねらいといたしておりますところは、過度くみ揚げになりまして地盤沈下を起しておりますような場所というところは、これは国土保全から見れば地盤沈下の防止をしなければならぬということになりますが、同時に産業の立場から見ますと、過度くみ揚げになっておりますと、工業者が井戸を掘りましても、次の人がまた勝手に井戸を掘るということになりますと、井戸相互間の干渉といいますか、そういう言葉を使っておるようでありますが、近所に掘られれば先の井戸の水も予定量が取れないというような現象が起って参るわけであります。それを地域地域の状況、地下水の状況によりまして、総体として過度くみ揚げにならないように、それから相互の井戸がそれぞれの目的を達するごとく、新規の井戸の掘さくというものを適当に調整するということをいたしたいと考えておるわけであります。それによりまして産業上大事な工業用水というものが、各事業者が目的通りの水が得られるということにもなりまするし、また地盤沈下の結果として事業者も工場の土台ががたがたになるというような悩みを持っておるわけでありますが、そういう問題が防止できるということになりますので、この法律は、そういう現象を起さないように適当に新規の井戸を調整し、あるいは新たに工業用水道によって工業用水を供給し、それと見返りに既成の井戸についてもくみ上げ量を制限するということを考えておる法律であります。これによりまして、その地域におきます工業の健全な発達、それから地盤沈下の防止というような目的が達せられるわけであります。この点はこの法案全体がこの目的通りの内容のものであるというふうに私どもは考えておるわけであります。
  82. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今の御説明によりますと、この法案の裏づけとして予算措置なりあるいはその他の別の措置をもって積極的に方針を推進するのだというお話でありますが、その辺の事情を私案はよく承知しなくて失礼でありますが、そうすると、今お話の工業用水の助成というのは従来からあったのですか。同時に今の資金運用部の起債を中心とする援助というようなものも従来からあったのか、今度初めてであるのか。
  83. 徳永久次

    ○徳永政府委員 工業用水道の設置助成のために、産業政策的な意味から工業者に豊富低廉にというか、経済的にペイして使えるような水を供給する制度は実は今回が初めてでございます。従来地区によりまして工業用水道がなされたことがあるわけでありますけれども、これはいわゆる公募債の形式によります資金の調達をしてやっておりまして、その結果といたしまして、それらの地域の水が割合に高い値段になりまして、そのために使う方の側も、産業家として見ますれば水がないよりはありがたいけれども、高くて困るというような悩みがあったわけであります。この法律なり、この法律の前提、うらはらになります予算を考えます際には、その地域の工業振興という意味で、適正値段で供給できるということを目安にいたしまして補助率を考え、その他の助成の措置を考えるということにいたしたわけであります。その意味では、今回の明年度の予算にお願いしております一億八千万円というのは、工業用水道の目的に沿う新しい設置助成金であるというふうに御了解いただけばよろしいのではないかと思います。
  84. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今度初めてだとすると、それは具体的にどういう助成の仕方をするわけですか。一般の公共事業費と同じような格好でやられるわけですか。
  85. 徳永久次

    ○徳永政府委員 公共事業費を私の方で扱った例がありませんのであれでございますが、結局ただいま申し上げました三地点を、最初でございますので考えておりますが、三地点それぞれの事業主体といいますのは、尼崎の場合は市であります。川崎の場合も市であります。四日市の場合は県のようでございます。それぞれの自治体が計画をいたしました工業用水道設置計画というものを出してもらいまして、それを、その地域の将来の工業の発展の状況等から見まして、水の供給容量といいますか、供給量が適当であるかどうかというようなことを見、それの供給先の状況等を見まして、その工事資金に、その工事資金の四分の一を国債補助で出していくという手順で考えたいと思っております。
  86. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 おそらくその予定される三地区というものは、この法律によって審議会ができてそこで指定されてからだろうと思います。そうすると今の予算措置としての一般の工業用水道の設置助成というものは、この特定地の指定というものと法的には関係なしに、ほかにどこへでも出せるということになりますか。
  87. 徳永久次

    ○徳永政府委員 予算の方の形式解釈といたしましては、予算はこの法律とは無関係に出せるということに形式的にはなるわけであります。先ほど申しましたように、三条三項で「工業用水道がすでに布設され、又は一年以内にその布設の工事が開始される見込がある場合に定めるものとする。」ということにいたしました百趣旨は、さしあたり予算で出ました場所だけを指定する、そういうつもりであります。しかし予算そのものはこの法律に拘束されないわけでありまして、私どもの理想的な考え方を言わせていただきますれば、三十一年度は初年度でありますので、一億八千万円では十分な額ではありませんが、地盤沈下を起さないような場所でありましても、工業地域としては大事な場所であり、しかもその他の条件はよろしいが水だけが足りないというような場所もあるわけでございます。そういうような場所につきましても、その地域の工業の発展のために安い工業用水が手に入るようにすることを考えておりまして、私どもといたしましては、三十二年度あるいは三十三年度におきましては、そういう地域にも予算的に工業用水道の設置助成ができるようにいたしたいというふうに考えておるわけであります。そういうふうなことになりました場合に、この法律関係で申しますれば、この法律は、予算のついた場所全部にこの法律が働くということにはならない。その中の地盤沈下等を起しておる場所だけがこの法律関係するということになるわけであります。
  88. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 おそらく頭のよいお役人が考えられたことだからそつはないだろうと思いますけれども、どうして具体的に法律に積極的につながるように書けないのですか。この法案こ出てきておるのは、今言われておるように地域を指定することと、その指定された地域内において事業を行う場合には、こういう場合には許可を、受けなければならないとか、それから何とかのおそれのある場合にはそれに対して適当な命令なり指示なりができるという消極面だけであって、国庫の補助で積極的にどうするというようなことはどこにも書いてないわけであります。ですから、どうしてそういう積極的な予算面に関連しての関係をこの法律の中にうたえないのですか。
  89. 徳永久次

    ○徳永政府委員 私の説明が少し不十分であったかと思いますが、この法律の働きますおもな場所というのは、工業用水のために地下水をくみ揚げ過ぎまして、地盤沈下を起して、工業所も困っており、また一般住民も困っておる場所であります。そういう場所を調べてみますと、地盤沈下等を起しておる一番大きな原因というのが工業用水のための地下水のくみ揚げであります。そういうところにつきまして、地下水のくみ揚げが過度にならないようにしようと考えますと、法律だけによりましては、権力的にそういう地帯を指定しまして、くみ揚げ制限をするというようなことにいたしますれば、産業の息の根をとめてしまうわけでございます。そういうことはしたくない。そういう場所にはかわりの水を供給して、事業所も困らないような態勢ができた暁において、法律を適用するというふうに考えるのが、産業の立場も考え、最も妥当ではないかと考えまして、この法律はそういう仕組みで実は作ってあるわけでございます。  予算の方との関連でございますが、予算の方は先ほど申し上げましたように、この法律が実施できるように、工業用水道を作ってやるという面もありますし、そのほか、工業地帯ではないけれども、工業上の必要から工業用水道を引っぱってやる必要のある場所というものがあるわけでございます。たとえて申し上げますれば、阪神でございますれば広畑の近くとか、あの辺の場所を考えてみますと、地盤構造上地下水のない場所、しかし工業の発展の可能性の非常に大きい場所、立地条件のよろしい場所、しかし水が足らない場所、こういうところに水が引ければと考えたわけです。その面で、将来の問題としまして、予算はそういうところにもつけることを考えたいわけでございます。予算の方が幅が広くて、こっちの方が幅が狭いという事情にあるわけであります。こちらの方に少し予算をつけたような形にしまして書いておるわけであります。
  90. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 大体今やろうとされておる内容はわかったような気がします。そうすると、特定な地域を指定して、その特定地域の中における状態だけをこの法律規定した。しかしながら、今の工業用水道の設置助成みたいなものは、その特定地域でなくて、違ったところにもやろうという計画なんですね。だけれども、ことしは金が少いから、今の指定しようとしておる特定地域の三カ所をやろう、こういうことですか。
  91. 徳永久次

    ○徳永政府委員 さようでございます。
  92. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 いや、それならば、どうしてそういう積極的な意味の特定地域も含むような法律にならないのですか。この工業用水道の設置助成というものが従来からあるのならば、これは別にどうということはないけれども、今度新しく助成費を設置して、そのうらはらみたいな格好でこの法律を出されるわけでしょう。そうすると、この予算の面と法律目的というもののベースがずっているわけですね。どういう理由で、予算の方向はそういう幅の広い方針をとられ、法律の方には消極面の特定地域の指定だけというふうな、ベースの合わない格好にされたわけですか。その理由は何か特別な理由があるわけですか。
  93. 徳永久次

    ○徳永政府委員 法律上、予算を拘束しますような法律の書き方というものは、形式的に考えまして書けないという性質のものじゃないと思います。書けないという性質のものじゃございませんが、適当でないといいますか、われわれから見れば一応そう考えております。と申しますのは、大蔵省としても、そのとき、そのとき、毎年毎年の財政の状況によりまして、予算をきめるわけであります。法律で工業用水道については必ず幾らの金を出さなければならぬというようなことを書かれることは、非常にいやがるわけでございます。そういう実際の面、それから実質論といたしまして、予算は、法律に書きましても、予算の範囲内においてとかいう、書いても意味があるようなないようなことに通例なるわけでございます。その点から見ましても、大した意味がないということは言えると思います。つづめて言いますと、結局そういうところに予算をつけるということは法律論としては書かなければならない事項ではないということでございます。予算に計上し、予算審議の際に御審議いただければそれで目的を達し得る事項で、法律で書かなければならない事項でないということの性質からそうなりますので、法律に書きますれば、いかにも体裁がいいような感じはしますけれども、法律事項ではないというようなことから書かなかったということでございます。
  94. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それは法律技術としては何も、どうしても書かなければならぬということではなかろうと思います。しかし今言われたように、予算の項目に新しくこの工業用水道の設置助成というものをこしらえ、その目的は大体第一条にうたってある広範な目的に沿ったものでしょう。しかも新しく出された工業用水法案については、その第一条の目的の中に——ここに特定の地域を指定してと書いてありますけれども、後段はあくまでも、今の工業用水道設置の助成の対象になるような目的がはっきりうたってあるわけですが、私はどうしても法律でくくりつけなければならぬというふうには感じませんが、どうしてベースを合わせられないかということについて、どうもすっきりしない感じがするのです。それなら逆にもっと積極的に、今の広畑みたいな例をとりまして、そういう地域を今度は特定の地域として指定されることはありますか。
  95. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この法律ではそういう地域は指定できないことになっております。と申しますのは、第一条をごらん願いたいのでございますが、「地下水の水源の保全を図り、もってその地域における工業の健全な発達に寄与し、あわせて地盤の沈下の防止に資する」という書き方でございまして、この法律は、あくまで地下水の過度くみ揚げで困っておる場所の調整、そうすることによって工業にも役立ち、地盤沈下の防止にも資するという目的でございますし、また実体の内容にいたしましても、第三条の指定要件として、第二項に、「前項の政令は、地下水を工業の用に供するため採取したことにより、地下水の水位が異常に低下し、塩水若しくは汚水が地下水の水源に混入し、又は地盤が沈下している一定の地域」というような制約がつけてあるわけであります。予算上私ども考えております二つのベースの場合の一つの面をこの法律で見ておるということでございます。
  96. 神田博

  97. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 佐々木委員質問に対して政府から答弁がありましたけれども、やはり非常にちぐはぐな考え方になっておると思います。たとえば工業用水審議会というのが設置される。これは「工業用水に関する重要事項を調査審議する。」こういうことになっておって、この法律に基いてできるわけですが、この権限を見ますと、必ずしも消極的な、要するに禁止規定のある地域だけではなくて、工業用水全般について審議をする。たとえば、率直に言いますと、ここは工業用水の確保の必要があるが、沈下のおそれはないというような場合に、こういうものについては将来予算をつけたがよい、補助金を出したがよいという面については、この条文からいうと工業用水審議会が審議をし答申をするだろうと思う。そうして審議会はかなり広範囲なものをやる。というのは、あなたの方で今お考えになっておる工業用水全般としての政策をこの審議会でやると思うのですが、そういう点は非常にちぐはぐになっているのですが、工業用水審議会というのは、この法律の単なる施行だけのものであるか、それとも全般的な工業用水の政策を取り扱うものであるか、まず御説明願いたい。
  98. 徳永久次

    ○徳永政府委員 私ども、この法律の十五条以下に出ております工業用水審議会におきましては、この法律の施行に関連する事項、地域指定をどういうふうに定めたらいいか、それから制限の内容として、井戸のくみ揚げ制限を、これは場所によって、地質の構造なり、地下水の状況、それから既存の工業の状況によって全部違いますので、そういうことについての運用の適正を期するという意味においての審議会と実は考えております。今多賀谷先生からお話がありましたように、工業用水問題が日本の産業行政上大事な問題であるというようなことは、私どもこの法律を作ったり、あるい本年度予算を出したりするようにしました大もとといたしましては、従来から通産省の中にございます産業合理化審議会の中で、産業関連施設部会というのがございまして、そこにおいて政府はこういうことを考えなければ日本の産業は伸びませんよというようなことを、議員さん方からいろいろな例もあげ、実証的に意見も述べていただきまして、それを私どもも取り上げたようなわけでございます。そういう事項は別途に合理化審議会でもってまかなっておりますので、従って本法の十五条以下に掲げております工業用水審議会というのは、この法律の施行に関連する事務というふうに考えております。
  99. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 法律規定しております審議会の業務範囲は明確にわかりません。しかし、産業合理化審議会が用水についているいろ答申をした、それに基いて法律を出したと言われるのですが、今後やはり具体的な地域を、これはこの法律にいう地域でなくて、さらに工業用水を必要とする、拡大をしなければならぬ地域、ことに予算の補助金を交付するというような地域の指定は、何だかやはり審議会を設ける必要があると思う。それは大きな産業合理化審議会というのではなくて、工業用水に関する専門的な審議会が必要である。そういうことから考えますと、もう少しこの法律範囲を拡大して、最初からあなたの方で考えられておるような産業政策的な法律に直された方が、むしろ適当ではなかったか、私はこういうことを考えるわけです。これは取締り規定であって、むしろ消極的な、法律にどうしても載せなければならぬ部面だけピック・アップして書いてある。これではあなたの方の最初の意図と違うのではなかろうか、かように考えるわけです。と申しますのは、この提案理由なんかを読んでみましても、これは大きな工業用水に対する政策が掲げられてある。ところが、法案は必ずしもそうでなくて、その一部分のみを取り上げて法案になっておる。こういうことで、先ほどから佐々木委員がるる質問をしておりますが、その点を一つお考えになったらどうか。これを再度お尋ねいたしたい。
  100. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この両先生方のお話は、せっかくいい法律を作るなら、少し気宇が小さ過ぎはしないかという御激励の御趣旨かとも私どもは思うのでございますが、実は率直に申し上げまして、私どもそういうことも全然ねらいにしなかったわけではございません。名前は工業用水法案というりっぱな名前にいたしておりますが、できますれば、そこまでしたいということも考えないわけではなかったわけでございます。ただそれには、現在の各省間の仕事の関係にまだすっきりといたしてないものがいろいろ残っておりまして、御承知かと思いますが、両三年前の国会で審議未了になりました水道法案というようなものもあるわけです。また水道に関係いたしまする各省の権限もまだ理想型にすっきりいたしてない。従って法律であまりきれいに書こうといしたますと、いたずらに摩擦も多過ぎるとかいうような問題も実は残っておりまして、私どもの理想を率直に言わしてもらいますれば、ここに書いておりますことの前に、むしろ第一章的なものはもう少し水道法案等に出てきますような事項も書くというような法律になれば、この法律が名実ともに堂々たるりっぱな法律になる。理想は実は私ども持たないわけではございませんけれども、今すぐやりますと、いたずらに摩擦だけ多くて全体がおくれるということになりますので、御指摘のごとく、この法律はさしあたりの必要に応じたような範囲にとどまっておるようなことになっておる次第でございます。
  101. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 私も大体それに誘導尋問をしようと思っていたら、ほんとうの話をされたらしいので、そうなりますとあまり追及してみてもどうかと思いますから適当にとどめておきたいと思います。今も多賀谷君からも話がありましたように、常識的に見ますと、この法案と予算措置との感じの上の食い違いはやはりどうしようもないと思います。普通に読みますと、予算関係の工業用水道の設置助成は、むしろこの法案の対象となる特定地域の消極的な面じゃなくて、積極的な、広畑に出されたようなところに本来はいくべきが筋で、従ってことしから始まるからとはしいながら、その関係の積極面の予算を消極面の特定地域だけに充ててやろうというのは、便法というのか消極というのかどうもすっきりしない感じを与えると私どもは感ぜざるを得ないわけであります。従いまして、先ほど来のお話のように、意図はあるんだけれどもいろいろな関係からというところで、私どもは必ずしも事情はわからないわけじゃありませんけれども、将来の大方針としては、その辺もう少しすっきりされたいと思います。特に私がすぐ感じますことは、この法律にしましても、それから予算措置にしましても、方針としてはいいことです。けれども、これは少し口幅ったい言い方だけれども、現在の実際の行政能力は、必ずしもこの法案の趣旨なりあるいは予算の目的なりに沿い得ない面が出得るわけであります。おそらくこの法律が通りますと、一方におきましては工業用水道の設置の助成をとるための運動が、今の特定地域でない積極面を含めてわあわあとおそらく各地域に起ります。同時にまた必ずしもその金の面の裏づけのない特定地域の指定をめぐって各都市ともおれのところを特定地域にしてくれ、おれのところを特定地域にしてくれという運動がどんどん出ると思います。主務官庁としては商売繁盛されていいかしれぬけれども、どうせ中身がそれほどでないのに、この二面からのいろいろな関係の騒ぎが大きくなって、にもかかわらず中身は整わないというのが従来の例です。総合開発法にしましても、離島振興法にしても、こういう積極的な総合開発なり産業振興なりという目的を盛った法律というものはまことにいいことなんだけれども、事実上の予算の伴わないこと、あるいは言い過ぎかもしれないけれども、行政能力自身の不備がかえって法案の趣旨と反対に、ここから先ぐいらのえさだけを与えて、問題だけを広げるという結果に陥らんことを私は最も憂えるものでありまして、そのために今の第一の問題として取り上げて、質問の形でただしてみたわけです。  それから二番目に、今案は多賀谷君からすでに触れられましたけれども、同じ意味になりますが、この審議会のことをやはりちょっと聞いておきたいと思います。第三章十五条以下に工業用水の審議会を置くということになっておりまして、今の多賀谷君の質問によりますと、この審議会の任務はこの法案の運用に関することだけということでありますけれども、法律の条文としては、工業用水審議会を置いて、通産大臣の諮問に応じて工業用水に関する重要事項を調査、審議するということになっております。従いまして、今立法者自身の意思は、この法案に書いてある消極的な面だけを想定されておるかもしれないけれども、この審議会が今の積極面までも積極的に取り上げて問題を展開し、同時にまた通産大臣がそういう問題に対して積極的なる諮問をしてやるということは、ちっとも違法じゃないわけであります。従ってこの審議会自身は、この法案とは別個に、運用の仕方によっては先ほどの積極的なものまで動かし得ると思うのでありますが、それらの点につきまして、あくまでも何らかの措置によって、省令か何かによって、それは今のこの法案の範囲内に限定するお考えで準備をされているわけでしょうか。
  102. 徳永久次

    ○徳永政府委員 二つお尋ねがございましたが、一つは全般論でございますけれども、本年度はこの予算の配分等について、あまり総花的にならないようにというような御注意だったと思うわけでございますが、三十一年度につきましては、先ほど来申し上げました三カ地点だけというように考えております。三十二年度は予算もなるべく多くとり、少しでもよけいしたいとは考えておりますが、予算もそう幾らでもとれるというわけにも参らない点もあるわけでございますが、その場合に、私ども極力総花になるようなことはしたくないと考えております。と申しますのは、これのねらいがあくまで経済ペースでの水を供給するということでございますので、あまり総花になりまして、工事がだらだらと長くなりますと、建設費が非常に高くなりまして、従って安い水を供給できなくなることになる宿命を持っております。そういうと差しさわりがあるかもしれませんが、たとえば道を作りますとかいう場合に、道路を作る時間が長引いても、道のコストが高くなるということはございませんけれども、本件の場合はそろばんをはじいてしなければならない仕事でございますから、その面から、おのずから予算の規模に応じてその中でまかない得る範囲というものが限定されてくるというふうに実は考えておりますしその点が、ほかのものと少しニュアンスの違いがある性質のものだと思っております。  それから第二のお尋ねでございますが、十六条に権限として書いております点は、御指摘の通り工業用水に関する重要事項を調査、審議するとしか書いてないので、何でも審議できるじゃないかというお話でございますが、法律の施行だけを考えてみましても、実は各省いろいろと縁の深い仕事でございます。これは委員を十六人というえらい半端な数字にいたしておりますが、これはいろいろとまだ具体的に何のたれがしというまで委員会をきめておりますわけではございません。大体見積りをしてみまして、この法律の適正な運用を期するということの趣旨で考えてみまして、半端な数字でございますが、十六人要るということで考えておるわけであります。と申しますのは、このうち半数くらいは、各省それぞれの関係があるものですから、一枚顔を出させろという要求がありますので、半数くらいそういうふうな役人が選ばれて、半数くらいが大学の地質関係の先生方なり、それから産業界のどの業種と限定しない特殊の専門知識のあります方というようなわけで委員を選ぶつもりでおりますが、趣旨はこの法律の適正な運用ということ、それを主に考えますので、その委員方も審議会の審議の状況にあわせていろいろな御意見が出るということは、それを拒否するつもりはございませんけれども、審議会に広く一般に工業用水問題全般についてのいろいろなことを研究してもらうためのつもりで委員を選定いたしますと、この法律の運用の方がおろそかになりますので、そこは私どもは考えてないつもりであります。結果として関連したいろいろな御意見が出ることを私らはどうのこうの申すつもりはありませんけれども、法律を運用します以上、この適正を期するということが最大の任務でございます。そちらの面につきましてだけで、委員さんの方の選定につきましても、目的に合うごとく選定いたしたいと考えております。おのずからその辺から結果はきまるのじゃないかというふうに考えるわけで、あります。
  103. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それは立法者の意思としてはよほど制限して運用するように考えられておるかもしれませんけれども、法律の条文から見れば決してそうでなくて、工業用水に関する重要事項を調査、審議するのだから、これを省令みたいなことで権限を減少させるということもちと無理な措置じゃなかろうかと思います。同時に今のお話によりますと、この法律趣旨によって対象とする審議会の問題は消極面だけで、しかも今の特定地域として指定されることを予定されておる三地域の問題にしましても、この事業主体はほとんど自治体でしょう、自治体から出てくるものに対しまして、通産省にこんなに大きな審議会を持って、その面だけを調査、審議するというのも何だか少しおかしい感じがしませんか。工業用水の一般ということが悪ければ、むしろ積極面を持つ、たとえば先ほど例に出た広畑なら広畑の工業用水をどこから持ってきてどうするのがよいかという、そういう開発的な意味を持つ審議会なら、従来ある電源開発調査審議会なり、国土総合開発審議会なりが持っておる審議会の目的なり方針なりと似たような感じになってくる。ところが今のようにほとんどそういうものでない消極面で、しかも限られた自治体の提供してくるような問題に対しまして、しかも予算の金額を全部ひっくるめてみたところで、一億何がしというくらいのもののために、先ほど例にあげた審議会と似たような形の審議会というのと、これまた先ほどの予算と法案の目的が少し合わないような感じがあると同じような、ちぐはぐな感じを持たれませんか。立案のときにそういうことは問題になりませんでしたか。
  104. 徳永久次

    ○徳永政府委員 その点は実はこの法律の運用につきましても大へんな仕事だと思っております。と申しますのは、一概にただ尼崎なら尼崎、四日市なら四日市、川崎なら川崎と申しますと簡単なようでございますけれども、これは同時に地下水の井戸を掘りますのを制限するかしないかという場所をきめることになりますので、具体的に尼崎なら尼崎の地質構造上の関係からどういうふうに図面を引いたらいいかという問題、必要にして十分なように引かなければならぬわけです。それは、実は大へんな問題だと思っているわけであります。同時に制限の内容としまして、どの地域においては何メートルの個所までは禁止地域、何メートルから何百メートルまでのところはある程度以上の深さなら掘ってよろしいというふうな制限にするつもりでございます。そういう制限を具体的に定めるという問題は、技術上非常にむずかしい問題であると同時に、それは産業家にとっても大事な問題であるという点がございますし、それから制限地域につきましても、産業上認めなければならない特殊の用途というものを、工業用水の水の性質からどう考えていったらいいかというようなことも、実は審議会の御意見を聞くつもりでおりますので、そこいらのこの法律の運用は全然、新しい仕事の分野でもございますし、またそれだけにわれわれ慎重を期さなければならぬというふうに考えておるわけです。配付いたしてあります資料にも、ざっとした目見当としての区画等を、実は地質調査上の専門家の御意見も聞きながら一応作っておりますので、これを本仕上げするためには、産業界に及ぼす影響もございますし、地下資源の状況にもよることでございますから、その辺は技術的に相当慎重を要するというふうに考えております。従いましてこの法律の審議会というものは、政策論よりもやはり技術上の知識というものに重点を置かなければならない、またそういう審議会の御研究の結果というものをわれわれは尊重して運用しなければならないという性質の審議会と考えております。そういう意味におきまして、委員の顔ぶれもおのずから技術上の専門家が主になるということから、先ほどお話のような一般論に入っていただくにはふさわしくないと言ったら差しさわりがあるかもしれませんが、両方目的をねらいますと法律の方がうまくいかないということになりますので、法律の運用。主にしたもの、それだけで私どもは十分大事な仕事があるというふうに考えております。
  105. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 仕事のあることはその通りでありますけれども、今のお話によりますと、そういう特定地域における工業用水の計画の立案者並びに施工者は自治体なんでしょう。従って今のようなものは、大半はその自治体自身になければならぬ仕事じゃないですか。
  106. 徳永久次

    ○徳永政府委員 ちょっと御説明が不十分でございましたが、自治体がやりますのは工業用水道の事業主体でございます。つまり、工業用水道をどこかの川から引っぱってきて水を供給するという水道工事をやるのが自治体でございます。従来は勝手に井戸を掘って勝手に仕事をすることにしておったのですが、そのことからくる弊害というものを防止する措置というものがこの法律でございまして、この法律運用そのものは自治体とは全然関係がございません。ある地域を指定しまして、そこで新規に井戸を掘る場合には通産大臣の許可を得なければいけません。また水が出た既成の井戸についても、くみ揚げ量は地下水でなければならぬものにとどめて、そうでないものは、今まで地下水で掘っておったかもしれぬが、工業用水は工業用水道でやるわけであります。これは一般の通産行政そのものといいますか、そういう仕事でございまして、これは自治体は関係ございません。むしろ地方局といたしましては、通産局のやります仕事、産業行政そのものになりますわけであります。従いまして、地域指定をどうのこうのということは自治体でわかりませんことで、むしろ私どもの地質調査所とか、大学の地質関係の専門の先生とか、そういう方々の知識経験によって、初めて裏づけされる内容のことであります。
  107. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると先ほどの工業用水道の設置助成という面の予算のついた方の仕事は、この審議会の仕事じゃないわけですね。むしろそうすると、先ほどの矛盾というか、ペースの合わぬ面もますますはっきりしてくるわけです。そうすると大体この法案と今の予算措置ということとは、無関係と見ていいことになりはしませんか。
  108. 徳永久次

    ○徳永政府委員 予算とうらはらの法律である。法律の中身には予算のことが書いてない、そういうふうに御理解いただければいいのじゃないかというふうに思うわけであります。法律上の表現として出ておりますことは、最初にお断わり申し上げましたように、地一城指定をするときには、工業用水道のあるところか、近くできるところでないと指定してはいけませんよということが書いてあるのにとどまっておりまして、工業用水道の設置助成の方は、予算におおむね譲ってあるということであります。
  109. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そういたしますと、先ほど言うように、これはあくまでも消極的な面だけの場合であって、それじゃ第一条の積極的な意味目的を達成するのにはあまり十分じゃないかという最初の質問に対しまして、工業用水道の設置助成等も、今度予算措置として織り込んである。だからそれと裏と表の関係になってうまくいくということになっておりますけれども、だんだんと今の話を聞いてみますと、その予算措置並びに予算の配分というものは、この法律とは全然無関係に、通産省の権限としてやられる仕事であって、そうしてこの法律に定めてある問題は、今の予算措置とは全然別個な特定地域を指定する、その特定地域内における仕事を制限したりあるいは事業の認許可をやったりするということになるだけですね。
  110. 徳永久次

    ○徳永政府委員 大筋はお話の通りでございます。ただ本年度といたしましては、初めてのことでございますので、必要性の一番高い、地盤沈下の顕著のような場所を選びましたものですから、予算のいく地帯をこの法律が指定するということになっております。
  111. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 あまり時間をとっても何だと思いますから、次に一、二点だけ具体的な問題を質問いたしておきたいと思います。だんだんと今のお話によりまして、消極的な面だけが浮び上ってきた感じはよくわかりました。ただこういう審議会なりの運用というものはなかなかむずかしいものだと思います。少し突き詰めていきますと、今の国土総合開発のための審議会あるいは電源開発のための審議会というようなものと相関連してくることがたくさんあると思いますけれども、そういう場合の行司役はだれが勤めることになりますか。たとえて言いますと、特定地域の工業用水の減少する原因、たとえば上流の川の流域変更なりあるいは分水なりというものが直接間接の影響を持って、そうしてその特定地域の減水なりその他に影響し得るということは、間々あり得ると思います。それでその上の方の分水なりあるいはダムを作るなりという方は、国土総合開発審議会なりあるいは電源開発審議会なりが審議することになっておる。それが直接に下流において地下水の減少というような影響をしてくる場合には、これは同時にまたこの審議会が問題にしなければならぬことになってくると思いますけれども、そういう地点における計画を立てるための相談を審議会はどういうふうに関連させて運用されるつもりですか。
  112. 徳永久次

    ○徳永政府委員 河流の変更とか、あるいはダムの作り方、工事のいかんによりまして、その下の地帯におきまする地下水にも影響を及ぼすということは、お話のように起り得るし考え得ることでもございます。また私ども従来の仕事におきましても、具体的にそういう事例が起りまして、その調整に当ったこともあるわけでございますが、これはその工業に及ぼします影響の問題といたしまして、産業の問題を預かっておりまする私どもが、そういうものに気をつけて調整していかなければならぬ問題と考えまするが、法律そのものの運用の問題ではないという
  113. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 たとえば新しく愛知地区なら愛知地区に特定地域の指定がされて、その上流の天滝ダムを諦めて、そして工業用水なり農業用水として分水をして、従って今度は今この法律によって指定されている特定地域の減水なり何なりに影響する場合が考えられるわけです。その場合の特定地域の相談はこの審議会がやるのか、電源開発の審議会がやるのか、あるいはどういう関連の相談がされるのかという質問です。
  114. 徳永久次

    ○徳永政府委員 今例として上げられましたようなケースについて考えますれば、電源開発審議会等に対しまして、通産省が問題を持ち込んで適当に調整してもらうという扱いにすべき性質のことと考えるわけであります。ただこれは先ほど来お話が出ておりますが、この配付資料の一番しっぽの方に三、四点のケースが書いてございますが、このわれわれがさしあたりねらいとしておりまするような地帯につきまして、お話のようなケースは具体的にはあまり予想できないのではないかというふうに考えております。なおこのほかに大阪の西の地区とか横浜地区とかというような問題も同じような地帯とは思いますけれども、上流における電源開発のやり方に関連して、この地帯の地下水の水が影響を受けるというケースは具体的にはあまりないのではなかろうかというふうにも想像いたされるわけであります。
  115. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それならさかさまに、火力の発電所あるいは今後設置さるべき原子力発電所を想定。れた場合に、その原子力発電所なり火力発電所なりを、この地帯にどれくらいの大きさをという相談は、やはり電源開発審議会の審議の対象になろうかと思いますが、その場合の水との関係はどうなりますか。
  116. 徳永久次

    ○徳永政府委員 たとえば四日市に火力発電所を設置するといたしまして、そのための火力発電所の運営に必要といたしまする水を手に入れなければならないというような場合に、井戸を掘りまして水をとるということになりますと、四日市の指定地域内でありますれば通産大臣の許可がなければいけないという問題になって参ろうかと思うわけであります。審議会は地域指定をいたし、地域内における制限の事項といいますか、制限の仕方も、地盤の状況、地下水の状況、何メートル以上は絶対に掘らしてはいけないけれども、何メートル以下なら掘らしてもよろしいという条件を具体的にきめてもらう、ある事業者に許可するか許可しないかという仕事は通産大臣の仕事だというふうに考えております。
  117. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 今非常に割り切って審議会の仕事を考えておられるらしくて、あなたがやられるのならそれでいいかもしれませんけれども、おそらく大阪なら大阪の特定地域、あるいは東京なら東京の川崎付近の特定地域に今後火力の発電所なり原子力の発電所を作るときに、あの審議会は経企長官の所管でしょう。それからその地区内の水の使い方がいいとか悪いとか、これを制限しなければならぬということはこの審議会の中心にある通産大臣の所管事項になると思います。おそらく今のお話によると発電所を作る作らぬについてはこの審議会は関係なくて、おそらく電源開発の審議会がそれの相談にあずかればいいのだというお話でありますけれども、それを作らなくても、作ればどれだけの水をどういうふうに使うということは初めからわかるわけであります。火力発電所なり原子力発電所の大きなものを作って、あとからこれはこっちの権限だからこの水を使ってはいかぬということは不可能でありまして、同時的にこの地域に発電所を作っていいかどうかきめなければならぬことになると思います。その場合に電源開発関係の審議会はこれを作った方がいいという意見が出て、それから工業用水の審議会の方で、おそらく将来ここにやればこういう水の心配があるから作ってはならないだろうという意見が出る可能性があると思います。その場合の審議会の運用なりあるいは調節なりというのはだれがやることになりますか。
  118. 徳永久次

    ○徳永政府委員 やっと佐々木さんのお話のポイントがわかったのですが、同時に私どもの説明が不十分だったわけですが、この工業用水審議会は、先ほど申しましたように、行政の専門技術的な事項についての適正を期するための審議会でございまして、大ワクをきめてもらう、地域をどういう工合に定めた方がいいのか、それから制限の内容はどういう工合にしたらいいのかということが審議会にお願いする事項でございまして、電源開発でございますと、どの地点の電源開発を認めるといえば工業用水のところまで審議会にかかってくるわけであります。ある会社が、たとえば四日市なら四日市において井戸を掘る、その個別許可は審議会の付議事項でございませんで、許可制にする範囲をどうしたらよろしいか、この地域の範囲、深さ等の範囲というものをどうきめたらよろしいかということを審議会にきめてもらうつもりであります。個別許可は通産大臣の許可を受けてもらうということは、第三条なり第五条に許可の基準の規定が定めてあるわけであります。従ってお話のような審議会と審議会との問題は起らないわけであります。
  119. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そういうふうに運用されれば起る可能性は少いと思います。しかし先ほども言いましたようにあなたはそういうふうに運用しようと思ったところで、十六条にはちゃんと「工業用水に関する重要事項を調査審議する」というのが法律条項にあって、別にそれに対する制限は法律事項とはなっていないわけです。従ってたとえばかりに私が委員に選任されたとします、おそらく選任はしていただくことはないだろうと思いますけれども、その場合に私は当然この電源開発調整審議会に対して、あるいは原子力委員会に対して、今お前さんの持っておるところの原子力発電所設置の計画はどこか、そしてその地点が出れば、それでは水の関係からして工合がいいとか悪いとか、それを一つわれわれ専門的に検討してみたいからお前の方の計画をよこせといって、この水の専門家から成っておる審議会で審議することは別に違法でもないし、通産大臣に、おい一つやろうじゃないかといったらやれることになるので、そういう意味で私は心配しておるわけです。しかしながらこの問題は何もこれだけに限ったことでなくて、私が言うまでもなく局長も御承知のように、あらゆる行政権限の調整の問題と同じだろうと思います。ただ私心配するのは、こういう同じような審議会が非常に多い。何でもむずかしい問題は次々に審議会にかけるのだということにして、実際には突き詰めてみると、審議会のする仕事というのは非常に限定されたような御答弁だけれども、そしてまた工合のいいときには審議会の仕事をぐっと広げて、審議会に相談したらこうだったからというようなことにこのごろのはやりでなりがちだ。それだから私は非常に心配しているわけなんです。御承知のように国土総合の開発審議会にしても電源開発の審議会にしても、あの法律を審議しておった際のそういう積極的な意味と、そういう限定的な意味をもってあの審議会は運用されておらない。おそらくあなた方の方でおぜん立てをして、それを何かかんかごちゃごちゃ少しは言うけれども、そのまま御承認願いました、承知しましょう、大がいこういうことになっておるわけです。従いまして私は別に今それに水をさすわけじゃないのだけれども、次々に作られる審議会がちょっとしろうと目に見ると非常に積極的ないい仕事をするような感じに仕組まれておるけれども、少し掘り下げてみると、する仕事がなかったり、またやろうと思った場合にはもう一つの審議会とすぐ衝突事項になったり、その辺の調節をするのが何か一番いい行政官みたいなことになるのが私はどうも気に食わぬものですから、あえて質問に名をかりて、運営をただしたわけであります。そういう意味でこの運用につきましては十分慎重を期せられたいと思うわけです。  最後にもう一点だけ、これはどういう意味でしょうか。純粋の事務的な質問なんですけれども、八条の制限を付することができるというその制限はたとえばどういうものを想定されておるか。  それから二点は、その条件について最後に、使用者に不当な義務を課するようなものであってはならないという制限がくっついている。この制限はどういう意味で必要で、どういう事例が想定されるからこういう制限をくっつけたのかという点を伺いたい。
  120. 徳永久次

    ○徳永政府委員 例で申し上げますと、工業用水の新規の井戸は本数がある程度制限されますので、地下水でなければ困るような用途を主に許可するというふうになると思います。そういう申請がかりにあったといたしまして、それを申請趣旨からもっともだから許可すといいます場合に、ほかの目的に使われちゃ困る、地下水でなくてもいいような、たとえば海水で間に合うような仕事を地下水でやられては困るということがございますので、地下水でなければ困るからということで地下水を掘る申請をなさった場合には、地下水の用途を制限いたします。くみ揚げた水はこういう用途にしか使わないようにして下さいよというような制限をつけるということが必要になるし、また適当であろうという場合が考えられるわけであります。この法律趣旨から見てこれでなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
  121. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 地下水でなくてもいいものであるならば、そういうものは許可しなければいいのです。許可をする場合に条件をつけることができるということは、私の考えでは、たとえば水の量を制限するとか、あるいは井戸をこれだけしか掘ってはいかぬということが考えられておるのかと思ったのです。そうじゃないのですか。
  122. 徳永久次

    ○徳永政府委員 地下水でなくてもいいようなもので申請がありますれば、それは地上河川から取りました工業用水道の方で間に合いますから、そっちの方を利用して下さいということになろうかと思います。これを地下水でなければいけないような申請の仕方をしておられた場合に、もっともであるからということで許可しますけれども、許可します際にその地下水を掘るのはその用途だけにして、ほかの用途の工場に水を使います場合にはいろいろな用途がございますものですから、ほかの用途の分は工業用水道の方の水でまかなって下さいよ、あるいは海水で間に合わして下さいよということをより確実にするために水に使用すべき用途を制限する、そういう場合がございます。それから時間的な問題もあろうかと思うのです。くみ揚げてもらいます時間の調節をしまして、ちょうど電気の電圧が低下するということに相当しますようなケースが地下水にもあるわけであります。それでくみ揚げの時間調節をしてもらって、相互に迷惑をしないようにするというような条件をつけるというようなこともあり得るわけであります。さようなことを予想いたしまして書いてあります。
  123. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 後段の不当な義務を課することができないというのはどういう意味ですか。
  124. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これは通常制限をつけます場合の例文でございますが、今の時間制限等を考えてみました場合に、たとえば深夜に仕事をしろということが事業の性質から見ておかしいようなところに深夜しかくんではいけないよという制限は過当になり過ぎるというようなことがあり得るわけでございますので、そこは常識的にやらなければいけませんよというのが法律上の例文としての制限規定になっております。条件はつけ得るが、逆に勝手にどんな条件でもつけてよろしいというわけではございませんよという趣旨でございます。
  125. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 どうも頭が悪いのか知らぬけれども、よくわからぬのです。地下水でなくても間に合うようなものなら地下水を使うなというより、その場合には地下水を使わしてくれというのを不許可にすればいいでしょう。それから八条に書いてある、条件をつけることができるというのは地下水はやむを得ぬけれども、たとえば一定量の水以上に使ってはいかぬとか、あるいは時間的な制限を加えるとか、そういう意味の条件ではないのですか。同時にその場合に、一番最後に書いてあるように「その使用者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。」という意味が、たとえば経済負担をかけるというようなことを意味しているのか。あるいは先ほど言われたように、その言われることをそのまま受けると昼間操業できなくてどうしても深夜操業をせねばならぬというようなことを予定しての制限規定なのか。経済的なものか、あとのようなものなのかということがよくわかない。どういう立法の趣旨なのか、頭が悪過ぎるのかよくわからぬのだけれども、一つの具体的な例で言って下さいませんか。
  126. 徳永久次

    ○徳永政府委員 私の説明がどうも不十分であるのでありますが、こういうことをお考えいただきたいのです。抽象的に申し上げるとちょっとわかりにくいかと思いますが、現実問題といたしまして、地下水は二、三円でくみ上げておりますが、工業用、水道は経済的に見ますと三円五十銭くらいから四円くらいになる、その間にやはり若干の差があるわけでございます。そういう事情もからみまして、地下水のくみ揚げの許可をもらったならばその方が少しでも安いから、また地下水の方が水質なり水温の関係からすぐれた点があるわけであります、その面からわれわれ産業政策的には有効利用をしたいわけです。有効利用をしたいわけですが、許可をもらった使用者にしてみれば、そろばん勘定だけから、地下水の許可を自分のところではもらったなら、その方が工業用水よりもちょっとでも安いから、それで間に合うことにも使いたという意欲が働くわけです。それを私どもは産業政策上必要の用途だけに使ってもらうというふうにはしたい。値段がちょっと……。
  127. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 それが「条件を附することができる。」の条件ですね。
  128. 徳永久次

    ○徳永政府委員 はい、そうでございます。そういう面が条件を付する場合にあるわけです。ただ用途を制限するという趣旨が経済的な問題とからむわけですから、その辺が勝手な、ほかの水でもいいのに使っては困りますよ、という意味の条件をつけることがあるわけであります。それからその条件のもう一つの例といたしまして先ほどあげましたのは、その近所の井戸との競合関係によりまして操業時間を若干ずらしてもらうという場合には、ほかの既成の井戸等にさわりなしにくみ揚げが認められるという場合があるわけであります。これは地下水の状況によりまして、電圧と同じような工合に同じ時間に殺到すれば全部の井戸の水が一定量出ないというような現象を起しますけれども、それを若干ずつずらして調整しますれば、みんな所定の容量のものが手に入るという、地質の状況からそういうケースがあるわけであります。それはすでに認められている、本法施行前から掘ってある井戸というものを制限するわけには参りませんが、新規に許可します際に、新規の人はあとから来た人一でありますが、そのあとから来た人に前の井戸との関連から見まして、この時間をちょっと避けてやって下さいというような条件をつける必要があるわけであります。しかしその条件もべらぼうな条件になって、事業ができなくなるような条件では困るというのが二項に書いてあるわけであります。その条件を、私今申し上げましたように時間を少しずらして下さいということを申したわけでありますけれども、十時から十二時の間をちょっとずらして下さいということを言う程度ならば困らないかと思いますが、あなたは掘ってもいいけれども、毎晩十時から朝の六時までの間しか使わないように、それ以外のときは使ってはいけませんよというような条件をつけますれば、その工場は連日深夜営業しかできないというようなことになって、それはあまりむちゃじゃありませんか、そういうむちゃなことをしてはいけませんよという意味でございます。
  129. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと私は関連してお尋ねしますが、今のお答弁によりますと、自分の井戸でまかなっている水のコストを水通用水のコスト、ここに私は非常に重要な問題があると思います。一方からいいますと尼崎、私の方では、大阪の港区等におきましてては毎年大きな地盤沈下を来たしておりまして、これは何としても防止しなければならない。しかしその防止をする施策としてはどうしても工業用水を水道によってまかなうようにしなければならぬ。ところがその問題の解決といたしましては、何としても地下用水と水道用水ではそのコストが一番の重要な問題でありまして、これを解決しないと生産品におけるコストが非常に高くついて採算がとれなくなる、こういう点で非常に問題があるわけでありますけれども、これについてこの法案を施行された後に、もし水道をしかれるとすれば、この水のコストの問題をどう解決されるつもりでありますか、一つお尋ねをいたしたい。
  130. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これは先ほど佐々木先正岳の御質問お答え申し上げましたように、予算を組みます際に、私どもその水が事業家から見ましていわゆる採算ベースに入る程度のもので供給できるようなことを考えなければならぬということでやりまして、それをおおむね四円前後のものということに考えておるわけであります。四円前後のものといいますと、これは各地の事業家なりあるいは商工会議所等にいろいろ相談もいたしたわけでございますが、これはただ安ければ安いほどけっこうだということが言えるかと思うわけでありますけれども、まあまあこの辺ならがまんし得る、これが七円も八円もになったら、これは物理的にやれても経済的には使えない水になるということでございますので、私どもそういう産業家の大体の感じを聞きまして、予算ではそれで供給できるような補助率を考え、あるいはその他の助成措置を考えておるわけでございます。ただ現実に工業者が地下水をくみ揚げております場合のくみ揚げのコストは、これは場所によって不定でございますが、三円五十銭よりも安いところもあるというのが現実でございます。しかし三円五十銭か四円くらいであるならば工業用水としてりっぱなものであるというふうに産業家からは言われておるわけでございますので、その辺で供給することを考えております。
  131. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいまの御答弁によりますと、工業用水のコストはおおむね水道であっても三円ないし・四円ということでありますが、問題はそれを管理します自治体との関連にある。尼崎などにおきましては、この工業用水は膨大な量に上ります。ところがそのコストを維持するためには、今起債でこの水道をしくことができるということでありますけれども、普通の起債でそのまま自治体にまかしておきますと、初めはそのコストが維持できるといたしましても、その起債の償却または利子の返還等々、非常に大きな負担を自治体が負うことになりまするから、それを埋め合せまするためにはどうしても水道料金の引上げ等へしわ寄せをされる危険が多いと思うの定あります。一たん水道に切りかえますると、今度は自家井戸を使えなくなってしまいます。そうなってきますと自家井戸に切りかえることも困難でありまするし、ますますこれは生産コストを高める結果になると思うのでありますが、これについての保証は一体どうお考えになりますか、一つ伺いたいと思います。
  132. 徳永久次

    ○徳永政府委員 従来は一般の起債でやっておりましたので金利も一般の公募債の金利に——最近はちょっと下りましたが、従来で申しますれば事業者の利子が九分ぐらいの条件でなければ起債が公募できないというようなことであったわけです。私ども四分の一の国庫補助と合せまして預金部の六分五厘の金で市の水道工事ができるように大蔵省と今折衝中でございます。同時に産業家にも協力を求めましてこれは内々各地域の事業家にも相談をしておりましてある意味の受益者負担という意味で低利の地方債を引き受けてもらうようにお世話を申し上げるつもりでおります。それによりまして水道料金が需要者として使えないような高いものにならないように善処するつもりでおります。一応概算的にそれぞれの地域につきましての工事費、それからそういう条件によりまして水道料金がどの程度になり得るかという一応の目安は、尼崎市でいいますれば、市当局とも実は内々の相談をいたしておる次第であります。
  133. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの問題は非常に重要でありまするので御質問申し上げたのでございますが、本会議の都合がありますので、本日はこれで質問を留保しておきます。
  134. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめます。次会は明二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時二十四分散会