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1956-03-13 第24回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君       阿左美廣治君    内田 常雄君       大倉 三郎君    菅  太郎君       椎名悦三郎君    島村 一郎君       鈴木周次郎君    首藤 新八君       中村庸一郎君    野田 武夫君       淵上房太郎君    南  好雄君       山本 勝市君    加藤 清二君       佐々木良作君    佐竹 新市君       多賀谷真稔君    田中 武夫君       永井勝次郎君    帆足  計君       松尾トシ子君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      安田善一郎君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (通商局次長) 樋詰 誠明君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      堀口 定義君         大蔵事務官         (為替局資金課         長)      片桐 良雄君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月九日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  下川儀太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員山本勝市君及び下川儀太郎辞任につき、  その補欠として植原悦二郎君及び永井勝次郎君  が議長指名委員に選任された。 同 日  委員植原悦二郎辞任につき、その補欠として  山本勝市君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  三宅正一君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として多  賀谷眞稔君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十日  繊維設備近代化補助金の増額に関する陳情書  (第三五三号)  一ドルブラウスの生産調整に関する陳情書  (第三五四号)  中国における日本見本市開催陳情書  (第三五五号)  輸出保険制度確立に関する陳情書  (第三七九号)  都市ガス拡充強化に関する陳情書  (第三八〇号)  百貨店法制定に関する陳情書  (第三八一号)  古野川地域特定地域指定に関する陳情書  (第四〇一号)  同(第四二七号)  下請代金遅延等の防止に関する法律制定に関  する陳情書  (第四二〇号)  ダム新設に伴う下流増受益者負担法制化反対  に関する陳情書  (第四二六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定物資輸入臨時措置法案内閣提出第五九  号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六八号)(予)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  特定物資輸入臨晦措置法案及び輸出保険法の一部を改正する法律案便宜一括議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  3. 神田博

    神田委員長 速記を始めて。松尾トシ子君。
  4. 松尾トシ子

    松尾委員 特定物資輸入法案に関連しまして、これとちょっと違うのですけれども、通産大臣にお伺いをいたそうと思います。  通産大臣国際貿易促進協会発起人でもありますし、また現在も役員の地位におられますので、その点についてちょっとお伺いをしたいわけなんであります。一体昨秋実業団の取りきめた議定雷について、大臣はその趣旨の実現に賛意を示していたはずでありますが、それが実際には九百万ポンドのうち五百万ポンドの輸出で行き詰まっておりますけれども、この実現政府はどんな努力をしたか、また今私たちが見ておりますと、あまり成果が上らないで行き詰まっている格好でありますが、もう契約の期日も迫っておりますけれども、今後どんな具体的な努力を傾けられるかをお伺いいたしたいと思います。
  5. 石橋湛山

    石橋国務大臣 国際貿易促進協会ですか、私はその発起人であったか、ちょっと記憶ないのですが、現在も役員ではないと思います。それはそれとしまして、昨年できたあの協定金額ほどの輸出が行われないのは これはいろいろな事情がありますけれども、最も大きな事情は、その大部分が例の禁輸品ということであると思います。従って日本政府としては、絶えず中共に対する禁輸制限緩和ないし解除希望いたし、その努力を続けておりますが、現在のところではまだそれが実現しておりませんから、従って中共に対する輸出が思うようにいかないということは、はなはだ遺憾な次第でありますが、今申し上げる通り努力はしておるわけであります。どうしても禁輸解除ということが行われないで、今のままで勝手に輸出するということは国際信義に反しますし、あるいはココムというものは条約でないようでありますけれども、とにかく国と国との申し合せでありますから、その申し合せを勝手に一方的に破って輸出をするというようなことは将来の日本のためにいい結果をもたらさない、こう考えております。そこでできるだけ禁輸解除緩和を要求することにいたしておる次第であります。
  6. 中崎敏

    中崎委員 議事進行。数を見ますと定足数が足りないようであります。そこで定足数をそろえてもらうことと、同時に農林大臣にきてもらうことがかねがねの要求でありますから、農林大臣出席方一つお取り計らい願いたいと思います。
  7. 神田博

    神田委員長 中崎君の御質問お答えいたします、農林大臣は、ただいま参議院の予算委員会出席しておりまして、どうしてもあちらが終らないとこっちへ伺えない、できるだけ早く済ませて参りたい、こういうことですから、さよう御了承願います。それから定足数はお約束通り整っておるはずであります。
  8. 中崎敏

    中崎委員 先日の委員会においても、これは重要な問題でもあるし、農林大臣出席がないと審議は進まないということはかねがね申し入れておきましたので、農林大臣が何時ごろ見えるかわかりませんが、見えるまで一応休憩していただきたいと思います。
  9. 神田博

    神田委員長 農林政務次官大石君も見えておりますし、どうでしょうか。
  10. 中崎敏

    中崎委員 農林政務次官実情をよく知っておられない方でありますし、質問者の方としても農林大臣質問をしたいということでありますので、この際どうしても今すぐにというわけではありませんから、農林大臣出席があるまで一つ休憩していただきたい。
  11. 神田博

    神田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  12. 神田博

  13. 松尾トシ子

    松尾委員 通産大臣のただいまのお答えを聞いておりますと、禁輸物資に対しましては国と国との交渉で、約束であるから一方的に破棄することはどうかと思うとおっしゃいましたけれども、過般のアイク・イーデン会談後、いわゆる新事態がここに発生していると思うのであります。私の聞くところによれば、フランスなどの考えもだいぶ変ってきて、ココム協定から脱退しようかなんという声さえあるといっております。また日本においても、駐米島公使と米国の国務省との間で、この十三品目禁輸物資について交渉が行われておると聞いておりますが、通産大臣のこの辺の事情とか、その結果どうありたいというようなお考えがございましたら一つ聞かしていただきたい。
  14. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ありたいという希望を申し上げれば、ココム禁輸品は全部解除する、今のところはそういう方針努力しております。英国やフランスもむろん禁輸緩和については相当興味を持っておるようでありますが、しかしまだこれは緩和するとか解除するという結論には到達しておりません、日本もむろん常にこれを要求しておりまして、相当の品目も出しておりますが、まだ結論に至っておらないのであります。
  15. 松尾トシ子

    松尾委員 格段努力を傾けていただきたいことは私が言うまでもないのでありますけれども、一九五六年ですかに、上海と北京で川本市を開くということもいわれておりますが、この場合に、日本の場合でもこの市場に出す品目禁輸物資を出せないとなると何にも価値がないし、また国際事情からいっても、このごろの見本市の宣伝というものは、その国の国力を宣伝するというような形態になりつつあるといわれているくらいですから、この見本市に対しまして見本としての禁輸物資を出すことができるかどうか、またそういうお考えがあるかどうか承わらしていただきたいと思います。
  16. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お尋ねのこの秋に開かれる見本市に対しては、私としてもできれば禁輸品も出品したいのでありますが、今までの前例によるとむずかしいようであります。ただこれを今後どういうふうにいたしますか、十分外務大臣等とも打ち合せました上で、何とか態度をきめたいと思っておりますが、前例はどうもあまりおもしろくない。それだけお答えいたします。
  17. 松尾トシ子

    松尾委員 そういたしますと、もし中共側でこれは無意味だから破棄すると言いましたら、見本市はやらないおつもりですか。
  18. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは必ずしも政府がやるのじゃございません。向うからどういう話がありますか、すべて当事者同士できめていただくほかはないのであります。政府がやらないつもりとかなんとかは思っておりません、
  19. 松尾トシ子

    松尾委員 ところが、かねて二月二十四日の貿易小委員会で、参考人として、日中輸出入組合専務理事の高見さんをお呼びしたわけです。高児さんの御見解をお聞きしましたところが、すべてこうした問題は政府行政指導を受けてやるんだ、こういうことを明言しておるわけです。ですから結局のところは、それ自体が政府がやるんじゃないからといいましても、政府行政指導のいかんによっては成功、不成功がきまると私は思っております。これ以上お尋ねをいたしましても、今のところは前例がないからむずかしいとおっしゃるので、これは政府格段努力を傾ける実情にない、あるいはお考えも薄いというふうに私は見るのですけれども、この点と、同時にもう一つ別方面から一つ質問をいたしたいと思います。  いわゆる第四次日中貿易協定がこの秋に締結され、あるいは交渉されるというふうになっておりますけれども、この問題に対して通産大臣はこの折衝に当って、輸出入組合にやらせるおつもりかどうか、この点をお伺いします。
  20. 石橋湛山

    石橋国務大臣 私の希望としては、今後行われる協定実行可能のものでありたい、でありますからその意味において輸出入組合一本にして、あそこで協定を結んでもらうように希望いたしております。このことは当事者にも先日ちょっと申したのであります。
  21. 松尾トシ子

    松尾委員 大臣のおっしゃいます実行可能というワクをここでお示しを願えればけっこうなんですけれども…。
  22. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは明らかに中共に対するココム禁輸品目であるものを列挙するということは、つまり実行不可能なことになりますから、そういう方針を避けて、現在の状況におきまして輸出可能のものを輸入の可能なものによってやってほしい、こういうことであります。
  23. 松尾トシ子

    松尾委員 そういたしますと、具体的にこれに触れますれば、いわゆる甲品目乙品目は、あまり輸出輸入をしないというわけですか。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 甲種、乙種の区別は私一々覚えておりませんが、その中に大部分禁輸品がございますから、従ってあの同種のものの輸出のかなり多くのものはむずかしくなる、こういうことでございます。
  25. 松尾トシ子

    松尾委員 そうしますと、結局政府としては、今輸出拡大を唱えておりますが、アメリカにおいても日本製品輸入制限を行いたいといっているし、東南アジア貿易に対しましても、賠償とからみ合ってなかなか円満にこれが拡大できない、ひとり残っている中共に対しましても、まだ国交の回復を見ておらないので、政府代行機関として、先ほど大臣が言明なさいましたように、輸出入組合に一切これをやらしたい、こういうふうに言っていらっしゃっても、その禁輸品目に対しまして格段の英断をふるってこれをどうするということがない限りは、日本全体の輸出輸入としても、政府のいう拡大輸出輸入の政策が実行できないんじゃないか、私はこういうふうに考えるわけです。と同時に、そうなりますと、この第三次協定よりも第四次の協定の方がその金額の上におきましても、あるいは条件の上においても後退して悲観的なものになりはしないか、こういうふうに考えますが、この点についてもう一言大臣の明確なる言明をしていただきたいと思います。
  26. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お説のように現在の国際関係は、はなはだ残念でありますが至るところに貿易の自由に対する故障がございます。従って日本輸出増進をしようという場合には、あっちへ行っても故障に突き当り、こっちに行っても故障に突き当るという現状は、いかにもお説の通りであります。それをできるだけ打ち破っていくということが、現在の日本のやらなければならぬことでありますし、政府としてもさよう努力いたしておるわけです。アメリカに対してもむろんそうであります。東南アジアの問題につきましても、賠償の解決を急ぐ、あるいは東南アジア等に対するいろいろの技術、資本の接地についても、何らかの方策を設けたい、あるいは輸出保険制度についてある程度の投資もしたいというように、あらゆる努力はその方向に向けられているわけであります。同時に中共方面に対しても、先ほど来申しますように、われわれは決して捨てておるのではない。非常な努力を払って禁輸品目緩和及び解除に対して力を注いでおるわけです。今までもある程度特免というような形で、多少の効能がありましたから、私は今後に対しても決して希望を捨てておらない。現在ただいたずらに大きな数字を協定で並べても、それがその次の一年間にあまりに実行ができないということも必ずしもいいことではございませんから、そこで輸出入組合協定においては、どうか一つ実行可能な線でやってほしい、かように希望しているわけです。
  27. 松尾トシ子

    松尾委員 いわゆる第三次協定の場合にも、鳩山内閣は非常にこれを了とし、協力をするという約束をしておりましたけれど、この場合に、通産大臣としましては、国家銀行間の支払い取りきめとか、通商代表部設置、こういったようなものをどういうふうにお考えになっておるかを一つ示し願いまして、第四次協定一つのめどとしたい、こう思います。
  28. 石橋湛山

    石橋国務大臣 輸出入組合貿易が総括的に取り扱われるようになりますと、支払いの問題についてはまた便法があろうと思います。  代表の問題は、やはり外交関係にちょっとひっかかりますので、多少やっかいな点があるかと思いますが、何らかの代表交換というようなことについては、至急に外務大臣と打ち合せて、この次の貿易協定の行われるまでにはなるべく政府態度をはっきりきめたい、かように考えております。   〔委員長退席小平(久)委員長代   理着席
  29. 松尾トシ子

    松尾委員 支払いの問題もあるいは通商代表部設置も、外務省と打ち合せの上でとおっしゃいますから、これ以上お尋ねしてもあれですけれども、もう一点に対しまして、通産大臣は、かねて輸出入組合をお作りになったころにおっしゃったのですが、個別バーター方式総合バーター方式に変えて順次日本中共に対する輸出の増大をはかる、こういったようなことをおっしゃったように思いますけれども、この点の御方針は今もってお変りがないのか、この点を一つ
  30. 石橋湛山

    石橋国務大臣 そのつもりで進んでおります。
  31. 松尾トシ子

    松尾委員 最後にもう一点はっきり開きたいのは、第四次貿易協定努力を傾けてやるおつもりだ、こういうふうにお聞きいたしましたが、先ほどからの答弁を聞いておりますと、支払い協定の問題とかあるいは通商代表部設置の問題とか、あるいは禁輸品目解除ということが全然取り除かれて第四次協定も結ぶんだ、これは第三次と後退をしてはちっとも日本のためにはよくないし、また中共としては、今生産資材を求めておるし、復興の途上にある国であればあるほど輸入を欲するし、またそれに反対側の田としては輸出拡大されるのです。ですから、そういう事情にあるときに、今申しました三つ条件が度外視されたんでは何にもならないと思うのですけれども、この点で向うが第四次協定は、それなら益するところがないからやめるといって拒否をしてきた場合に、政府態度はどういうふうに進めていくのか、この点を明確に御答弁を願いたいと思います。
  32. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今の状況向う拒否をするということは万一もあるまいと思いますが、とにかくその協定をするまでには、近く輸出入組合代表者向うへ参りまして、向う当事者と十分打ち合せをするようにいたさなければなりません。従って輸出入組合代表者が参りますまでには、今の支払いの問題とかあるいは通商代表の問題とか、これはどうするか、いけないならいけない、やるならやるということで、何らかはっきりしたものを持っていかなければ代表者は行けないわけでありますから、そのつもりでおります。
  33. 松尾トシ子

    松尾委員 そうしますと、輸出入組合代表向うに派遣する、それまでにはそれらの条件についてはっきりした政府態度をおきめになる、こういう点がはっきりいたしました。ところでその時期は一体いつごろにきまるのか、この点をちょっとお示しを願いたい。
  34. 石橋湛山

    石橋国務大臣 輸出入組合は御承知のように政府機関じゃございませんが、組合長南郷三郎君であります。南郷氏が行きたいと言っておりますので、いつ行くかはっきりしませんが、なるべく早い機会に行きたいように申しておりますから、政府としても行ける時期に早く行くがよかろうと考えております。
  35. 松尾トシ子

    松尾委員 それではこの中共貿易に対しまして、近く輸出入組合代表向うへ派遣するまでに、それら今申しました三つ条件について政府態度をきめ、そうして政府としては、第三次協定よりも悪条件でない条件で第四次協定を結ぶ、こういう努力を傾けると承知していいわけでありますね。そういうことに承知いたしまして、結局日本貿易拡大振興をはかるよう大いに私どもは期待いたしておりますから、どうぞその点で努力を傾けていただきたいと思います。これで私の質問はやめます。
  36. 小平久雄

  37. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの松尾委員質疑に関連いたしまして一言伺いいたします。というのは先ほど松尾委員質問大臣は、実行可能なもの、すなわちココムの規定に従って出せるもの、入れられるものをやるのだ、このようにお答えになったわけであります。それはココム改正ということについて努力をしようというお気持がないということを示しておりますが、今日中小企業その他の振興のためには中共貿易を伸ばさなくちゃならない、こういうことは常識であります。ところが大臣ココムに従うと、あくまで消極的な態度の御答弁をなされておりますし、また後ほどでは拡大のためにというふうに言われておるのですが、そういうような点についてどう考えるのですか。ココム改正努力をするお気持があるのか。
  38. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろんこれは先ほどから申しますように、気持があるばかりでなく、現に努力をいたしておるのであります。しかし現在そういう協定の存在する限りはその協定に従わざるを得ない、それは改正されましたら改正したことによって協定をさらに結ぶということになりますから、私としては今日本輸出入組合中共協定を結ぶ場合には、とにかくココム禁輸というものを念頭に置いて、それに触れないようにしてもらいたい。しかしながらその禁輸制限は現在われわれはこれをなるべく緩和し、ないし解除するように努力いたしておる、こういうわけであります。   〔小平(久)委員長代理退席委員   長着席
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 言葉じりをとらえるわけではないのですが、改正されましたら、こういうようなことは大臣としては改正するようもっと努力をするという、積極的な意思をもっとはっきり示していただきたい。
  40. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは意思どころではない、実行において示しておるわけであります。
  41. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連して二、三お尋ねしたいのでありますが、大臣はかつて本委員会中共貿易のことが問題になりましたときに、来年度は必ずワク拡大する、そういう方針で進んでおるのだ、それから今松尾委員のおっしゃいました側々別バーターでは十分な成績が上らないから総合バーターが可能になるように努力する、こういうことをおっしゃいました。記録を読んでいただくとよくわかります。そこで私はどのように御努力をあそばさったかということが第一点。  第二点は、ただいま非常に多くの綿製品引き合いが入っております。そのことはあなたがよく御存じだと思います。このせっかく入りました綿製品引き合いもやはりシングル・バーター関係上、これがなかなかうまくいかない、そういう状況下に追い込まれておるのでございますが、これについては一体どのようになさろうとしていらっしやるのか。  第三点には、ただいま苛性ソーダの価段が非常にべらぼうに上っております。一体このままに放置しておきますと、やがてこの結果は人造絹糸等の値段も値上りして、せっかく伸びました化繊も輸出が伸びない、こういう結果が生じて参りまするが、その原因はどこにあるかといえば、中共からせっかく入っておりましたところの中共塩が入らなくなってきたというところにあるわけなのです。一体なぜ中共塩がそんなに入らなくなってきたか。スペインの方から入れれば十五ドルもするものを、あそこから買えば九ドル以下で買えるはずなのです。このことは業界もぜひさよう将来伸ばしてもらいたいという意向が、大臣の方にも耳に入っているはずなのです。それを伸ばすという約束を去年していらっしゃるはずです。ところがずっとそれが減って参りました。その原因はどこにあるか、将来塩の輸入をどうするお考えでありますか、この点についてお伺いしたい。
  42. 石橋湛山

    石橋国務大臣 しまいの方からお答えします。中共塩はできるだけ輸入するという方針でありまして、決してこれをとめても何もしておらない。(「減っておる」と呼ぶ者あり)それは実際上どういうわけでそういうことになっておりますか、それは事務当局をして説明させますが、とにかく方針としては決して中供塩をとめたりなんぞしておりません。  それから支払い方法を総合的な方法にしたいということは今でもその考えであります。ただそれは輸出入組合ができましたらそういう方法がとれるだろうということはこの前も申し上げた通りで、今輸出入組合ができまして、その輸出入組合によって中共との貿易が行われるように今度なるわけでありますから、それと関連いたしましてその問題は解決いたしたい、かように考えます。
  43. 神田博

  44. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 ちょうど河野農林大臣出席されましたから、主として河野農林大臣お尋ねしたいと思います。ただいま審議しております特定物資輸入臨時措置法、すなわちバナナパイカン、時計、筋子、こういうふうな特定物資に対しましては国がその差益金を吸い上げるという法律であります。このバナナの点に対しまして主として河野農林大臣お尋ねするのでありますが、パイカンの場合は日本パイカン協会という単一団体華商日本商社も統合されて、ジェトロより一括して業務委託を受けて、通産当局の定める一定率差益金を納めて、従来は別段何らの差しつかえはなかった。バナナの場合は従来は台湾青果輸入協会、輸出団体、アウトサイダー、華商団体と分れて、二十九年度の下期から三十年の二月まで三百五十万ドルの外貨割当をなしてきておるのであります。今回の外貨割当は、四百五十万ドルのうち二百二十五万ドルの外貨の割当と聞いておるのであります。しかし大体戦前から戦後にかけまして、バナナというものは実績業者がこれを扱っておる。ところが今回突如としてこれを実績業者でなくて、市場におりますところのいわゆる色つけ業者、俗にいう加工業者でございます、バナナ輸入してきて室でもって加工する業者、この加工業者が今度輸入をする外貨の割当を受けたわけであります。しかも今回の割当におきましては、最低三千六百円、最高四千五百円、中をとりまして大体四千二百円という、戦後未曽有の高値でもって入札しておるのであります。私は九日に本委員会におきまして、俗に全芭連と申します加工業の組合が約九億に近い代金をジェトロに納めるにつきまして、相当苦慮いたしまして納めたということを聞いております。この加工業者が今度加わるか加わらないかということの問題は別といたしまして、これが輸入をされるようになったところの根本の原因はどこにあるかというと、都条例の、中央卸売市場法で規定されております業務規程第三十六条第二号、すなわち仲買人がその属する市場外で買い付けを行なってはならない、こういうことが規定されておるのであります。これを昨年の十二月のたしか十四日であったと思いますが、農林大臣命令でこの都条例の改正方を東京都知半に命令されまして、そして東京都においては二月十日の東京都の本会議でこれが改正されております。すなわち仲買人も輸入することができるというような条例に改正された、この改正されましたことによって今度新たに実績のない仲買人が入った、そして戦後未曽有の高値で入札された、この間のいきさつにつきましてはいろいろありますが、巷間伝うるところによるならば、河野農林大臣がこの問題に一役買って、そうして農林大臣によって条例を改正さしたというように言われておるのでありますが、河野大臣はこの間におけるいきさつを御承知ならばお答えを願いたいと思います。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 従来バナナ輸入に差益が非常にありますことは聞いておりましたが、これを何とか改正して、そしてバナナ輸入がフェアに行われるようにした方がよかろうというようなことは、私考えておりました。しかしその後今御朗読になりました市条例の改正をするということを局長から説明を聞きまして、これはいいことだからやったらいいだろうというふうに申しましたし、それ以外には私案は用事が非常に多いものですからあまりよく心得ませんで、それ以上のことはあまりよく知らぬわけです。
  46. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 老巧な河野農相の御答弁は非常に焦点をそらしておられますが、私はこのいきさつは農林大臣よく知っておると思うのです。このいきさつについては、こういう新たな全芭連加工業者が加わったということは、あなたのお口添えは——あなたはうっかりお口添えをされたのだと思いますが、私がはっきり聞いておるところによれば、あなたの親しくしていらっしゃる方と全芭連の会長である福田君が親しくしていらっしゃる方とは兄弟の関係で、そういうところからあなたのところへ何かなし持ち込んできた、そのことにおいて、あなたの発言は一言の発言が非常に重大な発言になるわけです。そこで農林省が市条例の改正を命令したのがちょうどバナナの問題が起きておるいきさつなんですが、あなたはそれでもバナナのことについては市条例の改正については一切くちばしをいれたことはない、こう言われるのですか。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 今お話になりました福田という人は私よく存じております。非常に懇意な人であります。しかしバナナをどうこうということは、私別に深い関心を持って行政上これについて発言をしたことはありません。
  48. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 今農林大臣から、福田という人間はよく存じておると言われましたが、私も存じておられると信じております。この福田という人は要するに全芭連の会長なんです。この全芭連というのは、河野農林大臣は御承知かもしれませんが、仲買人でありまして、従来の実績業者であるところの輸入業者というものは何億という金を——銀行の信用もあるし資産も持っておる。全芭連というのは仲買人でありまして、失礼でありますが何億という金を出して買えるだけの力はないのです。問題はどこにあるかというと、これだけの戦後未曽有の高値を入れておいて、そうして先般私がここで質問をしたときに、通産当局は本年度の割当が四百五十万ドル、そのうちの二百二十五万ドルをこのたび外貨割当をして入札さしたわけであります。まだ下半期は二百二十五万ドル残っておるのであります。この残っておるのを年度内に——もう年度もあとわずかでありますが、年度内に外貨割当をされるかどうか、こう言いましたところが、この外貨割当は年度内には向うが品物がないからやれないのだ、こういう御答弁であったのであります。しかしながら昨年は台湾は不作でありましたが、今年はもはや非常に豊作だと言われております。今から割当てられても五月、六月、七月ごろには入荷できると思う。しかしながらこれを下半期に割り当てないというと、今全芭連が入れたバナナはおそらく今度は品切れになるので、八億が十六億になる、倍の値段になる。その倍の値段になることはだれにしわ寄せするかというと、一般大衆がバナナを買って食べるのだからこれにしわ寄せされる。政府の吸い上げるのは千七百円ときまっておる。あとはバナナが非常に高くなる。これはこの外貨を割り当てないということと一貫した関連性を持つように考えるがどうでありますか。
  49. 石橋湛山

    石橋国務大臣 割当のことは通産省でやっておるのでありますが、特に操作するためにやっておるのではないのであります。ただ事務的に、半年ずれましたので、結局次の期の初まりに次の分を割当をするというような順序に時間的になった、こういうことであります。
  50. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 そうしますると、さっきも私が申し上げましたように、本年は豊作なんだから、それを割り当てるということをはっきり言明されまして、下半期の分を新しい割当に加えてやるということを言明されてもいいんじゃないか。それを下半期に割り当てないということはどういうことなんですか。
  51. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 お答え申し上げます。この前の委員会でも申し上げたのでございますが、従来バナナの実際の輸入状況と申しますのは今まで生産地の生産状況というものからほぼ半年ず・つずれておったことは御承知の通りでございます。大体昨年一ぱいぐらいまでは二十九年度の分が入っておったというような格好で、三十年度の分をすぐやりましても、とても有効期間内に全部入るかどうかということについては自信がなかったわけでございます。たまたま現在台北におきまして、三十一年度の新しい日台協定について、政府間で交渉いたしております。その結果によりましてバナナ輸入状況輸入数量がどうなるかというようなことも、この新しい協定の結果を見なければわからないわけでありますが、上期のものが実際にとても上期に割り当てることができなかったということで、ことしの二月になりましてあらためて上期のものは、いわゆるステールということをやっておりますが、有効期間が切れて一応無効になったので、あらためて下期分で二百三十五万ドル割り当てたわけでございます。そこで今までのように、いつも上期は九月ごろ割り当てる。下期は三月割り当てるという変態的なことをやめまして、上期の予算はできるだけ上期の早いうちにやるということをやりますれば、つながり状況も非常によくなる。年間の台湾に対する購入の約束量に対しましても、ほぼ三月に割り当てましても四月に割当てましても、これは国際的にはほとんど同じような結果になりますので、この際上期の末になってから初めてやるというようなことの変態を避けるために、むしろ今までおくれておりましたものは、政府特定物資の法案によりまして直接やるということを機会に、半年ずれを整理したいということで三十年度につきましてはこの前の二百三十五万ドルで打ち切るということの方がむしろ事務的にも非常に整理しやすい、こう考えたわけでございます。
  52. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 そういたしますると、今度の割当の二百三十五万ドルの残は、いつ割り当てられますか。
  53. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今から四月早々に割り当てるかどうかあるいは五月になるかということはまだはっきり確定いたしておりませんが、台湾との交渉がいつきまるかというようなことともにらみ合せまして、最も円滑に三十年度から引き続いて輸入できるという時期に遅滞なく入れたいと考えております。
  54. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私はそこが問題だと思う。下期の二百二十五万ドルはもうすでに台湾との協定の上で四百五十万ドルのうちに入っておる。それを今度は下期に間に合わなければ、新年度はその外貨の割当分というものがある。それをいつやられるのか。新しい分は別として、それを四月のいつやられるかということを聞いておる。台湾の方は、荷物はいつでも出荷できるようになっている。あなたの方では不作だと言われたが、私の調査によれば不作ではない。いつでも出せる。ことしは非常に豊作なのです。そこにわれわれの疑惑がある。それを割り当てないということになれば、今金芭連のバナナは品切れになる。あなたも御承知のように非常に市場が少くなる。今までずっと割当が長引いてきておりますから、大体四月の上期に割り出てるものは、ことしに入って割り当てた。その間長いのです。そうすると、バナナは市場に非常に払底しておるのです。それがさらに払底するということになれば、今全芭連の入れたバナナは四千六百円というような前古未曽有の高値で入札したものが、千七百円の吸上げをしてもこのものは倍の価格になる。今まで実績も何も持たないものが、農林大臣の市条例の一部改正によって買い付けをすることになって、それがために何億というものがもうかるという形になる。結論はそうなってくるのじゃないですか。そこにわれわれは疑問を持っておる。
  55. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 今までおくれました点は、先ほど申しましたように、ことしは豊作ということにいたしましても、昨年までは非常に悪かったわけでございます。それで三十一年度、新しいものをいつ割り当てるかということにつきましては、今御質問にもございましたが、われわれの方として、特に特定の人間に巨利を博させるといったような意図を持って操作したことは現在までもございませんし、また今後も絶対にしないということで、できるだけ合理的に、早い機会にやりたいと考えております。
  56. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 この点は、事務当局ではただ答弁のしっぱなしになるので、これは通産大臣に後日はっきりと答弁してもらいたいと思う。  そこで、河野農林大臣お尋ねいたすのでありますが、市場というものは一つの分業論の上に立っておる。しかし今度のいわゆる市条例の改正によりまして、この分業論というものが根底からこわされてくるわけになりますが、そういうお考えを持っておられるのですか、どうですか。
  57. 河野一郎

    河野国務大臣 今農林省におきましてはせっかく中央卸売市場に関する法律の一部の改正を準備いたしまして、これを今国会に提案するつもりでございますので、いずれあらためてそのときによく方針を申し上げたいと思います。
  58. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 今回の国会に、中央卸売市場法の改正を提出して、これは多分農林委員会だと思うのですが、農林委員会と本委員会の連合審査もやるかもわかりません。これを出すような状態であるなれば、仲買い、加工業者の一番困っておる昨年の十二月の十四日、そのころは従来の輸入業者と全芭連との間に、この買付について非常に熾烈な争いがあったのです。あなたは御存じないかもしれません。しかしそのときに輸入業者の方であなたのとこふに陳情にいったときに、あなたはそれほどバナナがもうかるものであったら、六十万かご一ぺんに入れて、市場でたたき売りをしたらいいじゃないか、これほど言われたらしい。そうしておいて、一方において福田善三郎氏もあなたはお知り合いだと言われたのですが、それが陳情に行って、あなたは一口に市場条例も改正してやる——。これでも下僚は非常にこたえるのです。あなたの一口というのはしツルの一声です。私は通産省の役人からもほのかに聞いております。その当時の通産省の役人は、あまりこの問題について詳しくなかったのです。農林省の安田経済局長、大和田前経済課長、通産省の担当課長たる日比野農水産課長が農林省より出向いております。これが大体、従来外貨割当の対象になっておらなかった仲買人の団体である全国芭蕉加工連合会、全芭連に割当を行われておる。この間において通産省の方では大堀次長、今井政策課長は転任して、後に来たのが佐藤、樋詰両次長と中野政策課長で事情も何もわからなかった。結局農林省の言い分が通産省当局を圧倒して輸入業者と全芭連の妥協がならずに公開入札によって行われることになった。この間のいきさつは明らかです。だからあなたは何となしにそれではこうしてやれという一口が、他意はなかったと思うが、今日の結果になっておるということを考えると、あなたの一品が至大なる影響を及ぼしてこういう結果になったと考えるが、どうでございますか。
  59. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんお話を承わって、今入札によってある特定の男が落札をした、そう差益金政府に納めた、そこまではよろしい。その結果今後為替の割当をしばらく抑えて、そうして円内に品不足を来たして、その入れた旭に不当な利益をもうけさせるような結果になってはけしからぬ、こういうことらしいのでございます。そういう事態が絶対にないようにここにはっきり——私はこういうものの価格が不当に下落することは困ります。と申しますのは、他の国内の果物類を圧迫することも困りますけれども、さればと申して、不当に上ることはよろしくないことでございますから、そういう事態のないように、遅滞なく為替の割当をいたしまして輸入をすることの処置をとるように私も通産大臣に十分協力していたしますことをここに言明いたします。
  60. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 そういたしますと、今河野大臣は遅滞なく早急に次の割当をする、こういうようにおっしゃいました。これは所管が違いますが、河野農林大臣の政治力をもってやれば間違いはないと思うのでありますが、私はどの業者にも関係をしていない。ただあまりにもこのいきさつというものはどうも明朗でないということであります。そこで私はもう一度農林大臣お尋ねするのでありますが、この全芭連は三和銀行から銀行保証でジェトロに持っていって入れておるわけであります。しかしながら銀行が銀行保証する場合においては、入れてもうかるという見通しをつけて貸すわけであります。ところが今まで十日の期日です。十日の期日のぎりぎりまで金が集まらなかった、おそらくこれはどの商人が見ても、ああいう商い入札で入れておれば損をすることは当然である。なぜかなれば、次の割当が早急にできるとなれば損をする。というのは、あとから入ってくるから、そう高いバナナは買わない。だから次のバナナが入ってくるなれば、どうしても大きな損をするが、次の割当がないということで、おそらく銀行もこれは当然もうかる——通産当局はこの間ここで言明したのです。次は割り当てない。当分下半期は割り当てないということを言明しておる。そのことが非常に大きく商人には響いておる。もちろん銀行保証するところの、何億という金を出す銀行でもそういうことは響いておる。この結果はどこにきたかということが問題になる。そこで私が厳重に言っておくことは、こういうことによって、いわゆる消費者大衆に対してバナナ一本が百円もするということになれば、これはこの間も大石政務次官はこの席上におきまして、バナナみたようなものはぜいたく品だから何ぼ高くなってもいい、高いだけしぼり上げた方がいいというようなことを言われたのですが、料理屋の奥で一本百円もするのをさらにかぶせて二百円で食えばそれはいいかもわかりませんが、大体われわれが考えるのに、台湾といかなる事情があるにせよ、これだけ大切な外貨を割り当てるのであります。しかもせっかく非常に不自由なものを入れるのであるから、大衆に安く食わしてやるということが、これが善政であると私は考える。それが逆になって、べらぼうに高いものになってきて、しかも今までの輸入の実績業者でも何でもない者が巨億の金をもうけるというようなことは、大きな政治の欠陥である、私はかように考えるのでありますが、河野農林大臣はいかようにお考えになりますか。
  61. 河野一郎

    河野国務大臣 私はただいまお答え申し上げました通りに、御趣旨はよくわかります。よくわかりますから、結論は、そういう結果にならないように行政措置をすることが必要だと思うのであります。これは私の所管にも一つそういう問題がございます。今大豆の為替が四力五千トン余っております。これを今ここで年度末に輸入いたしますと、大豆が下りまして、下った結果国内の大豆の生産者、開拓者等に影響を及ぼしますから、これを来年度に持ち越すか、持ち越さぬかという問題があります。その際に、来年度は来年度の分として入れるから差しつかえないじゃないかという意見が、閣内にも多いのでございます。しかし来年度それを削るために異常な高値になることもまた避けなければなりませんから、そういうことで、むろん今為替が足りないという時代ではございませんから、またバナナの為替のごときは無理にこれを使うことはどうかと思いますけれども、さればといって、これを故意に抑えて一部の者に非常な巨利をもうけさせるということは、これはよろしくないことでございますから、そういうことのないように、私も通産大臣に協力いたしまして、遅滞なくやっていただくようにするということを申し上げて御了解を得たいと思うのであります。私はこの問題にあまり深い関心を持っておりませんでしたから、今お話のように、そういうことを承知して、また承知しつつやっておるのではありません。ただ従来私野党時代に、バナナによって輸入業者の胡に値幅が非常に大きくて バナナ輸入の権利の取り合いをやっているということが非常に問題になったことがございますので、そういう事態の起らぬようにということを農林大臣就任当初には相当申しましたけれども、最近はそういう問題にはすっかり遠ざかっておりますので、今回そういうお話を承わりましたので、そういう事態の絶対にないように、逆に輸入を抑えてもうけさせないようにしたいということを申し上げたいと思います。
  62. 中崎敏

    中崎委員 いずれ後ほど十分に質問をしたいと思いますが、関連して質問一つしたいと思うのであります。バナナの次の輸入外貨割当の時期が大きな問題となっておるようであります。そこで先ほど来の政府側の答弁を聞きますと、必ずしも一定していない。われわれの受けた感覚というものは、今回相当高い値でむちゃな入札をして落札をしておる、その損失をカバーする意味において、将来相当バナナをつり上げて、損をカバーするばかりでなく、大きくもうけていこうというふうな考え方、これは業者の考え方として一応あり得るわけですが、そうなると民衆はたまらない。そこでバナナの次の輸入時期というものが、非常に重要なものでありますが、政府側において一体いつごろ、次の時期において輸入するのか。すでに台湾側の生産の見通しなどもおよそついておるでしょうし、外貨というものは相当余裕があるのだから、一体いつどういう時期において輸入するのかということを、この際はっきりと政府側において方針を一定して、通産大臣並びに農林大臣の間に十分な話し合いをいたしまして、満足な具体的な結論をこの委員会において発表していただくということを、私から要求しておきたいのであります。
  63. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私はこれをもって河野農林大臣に対する質問を終りますが、今河野農林大臣がこの委員会において言明されましたように、この問題はきわめて誤解を生みやすい大きな問題であります。次の外貨割当を早急にするかしないかということ、これが一番大きな問題であります。これがもしできないということになれば、自然に私のここに言うことが裏づけされるわけです。河野農林大臣はここで、そういうことのないように農林大臣として次の外貨割当を早急にやるということを御言明になりましたが、もう一度ここで御言明を願いまして、河野農林大臣に対する質問を終ります。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 これは今申しましたように、輸入をいたします人は、その入札に当っていろいろ考えて入札をしたことと思いますが、その入札をすることによって特定の業者に不当の利益を与えるということは、正しいことではございませんから、不当の利益を与えないように輸入の割り当てが遅滞なく行われるように善処いたしますということを、あらためて申し上げます。
  65. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 通産大臣に対する質問は、通産大臣が来られてから質問いたします。留保しておきます。
  66. 神田博

    神田委員長 加藤清二君。
  67. 加藤清二

    加藤(清)委員 農林大臣きわめて御多忙でいらっしゃるようでございますので、私は先般本委員会で行われました質問の、お答えしていただけなかった分をかいつまんで、ほんの二、三点だけ御質問してみたいと思います。  その第一は、バナナ輸入は過去におきまして相当いろいろな方式が行われたわけです。ときにグローバル、ときにはリンクとか、いろいろ変革がございました。ところがその変革は全部、輸入業者という専業者の輸入権をどうするかという問題での変革でございました。ところが加工業者をこれに加えるという変革は、このたびが初めてでございます。異例な措置が行われたわけでございます。これにつきましては、いろいろ根拠がおありのことと存じます。一体いかなる根拠によってこのような方策がとられましたのか、また、この方法は将来も続いて行おうという腹がございますか、今回一回限りでございますか、その点をお尋ねしたいと存じます。
  68. 河野一郎

    河野国務大臣 実は私よく知らないです。知ってる者からお答えさせます。
  69. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、知らないとおっしゃったんですが、大臣先ほどこうおっしゃいましたですね。東京都の都条例を改正して、そうしていわゆる加工業者、全芭連にこの権限を移譲するということについては相談があったので許した、こういうお話でございましたが、大臣はこういうふうに輸入の方式を大きく変えられる場合に、ほとんど根拠も知らずに、原因も知らずに御許可を与えられまするか。そういう方式で輸入をやられまするか。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 これは通産大臣のおとりになる行政処置と私は思うのであります。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 もし、通産大臣の主管である、通産大臣のやることである、こういうことの御答弁になりますると、これは大へんな結果が生じてくるわけでございます。通産大臣は食言をしておる、こういうことになりまするが、それでよろしゅうございますか。私はおそらく農林省との共管であって、農林大臣の方からこのたびの異例の措置をやってもらいたいという、こういう申し出なり相談があったがゆえに、通産省はこのような措置をとった、かように心得たいのでございます。しかしもしそうでないとなりますると、大へんなことになりますよ。よろしゅうございますか。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 あなたのおっしゃった通りだそうです。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 すると大臣は、通産省に対してこのような措置をとれとおっしゃった。今承わりますと、おれはよう知らぬとおっしゃったのですが、大臣ともあろう最高責任者が、輸入の方式を変革するような大きな仕事を何も知らずにやらかした、こういうことになってよろしゅうございますか。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 輸入の方式とおっしゃいますけれども、私もバナナ輸入について一々十分研究してやるべまでございましょうが、非常に事務が煩瑣でございますので、下僚にまかせて、下僚から報告を聞いて、まあよかろうという場合がございますから、その点は一つあしからず御了承いただきたいと思います。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうなりますると、この原案は大臣の原案ではなくして、今のお答えによりますと、多忙な大臣でいらっしゃるから、農林事務当局の原案をこうしてもらいたいというてきたので、ああさようかといってぽんと判を押されて、通産大臣にこのようにやってくれということでやられた、かように解釈してよろしゅうございますか。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことでございます。
  77. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは事務当局にどうしてもお尋ねしなければならないのですが、事務当局がこれをやられました目的ですね。それから、このことは今後継続してやる御予定でございますか、ないしは今回一回限りの異例の措置ということでおやめになる御予定でございますか、この点を承わりたい。
  78. 河野一郎

    河野国務大臣 だいぶむずかしい問題のようですから、十分研究いたしまして今後は善処いたします。
  79. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣としては、この方式はよいとお考えになったればこそおやりになったことと存じます。私も賛成でございます。輸入業者のみならず、メーカーに外貨を割り当てるという方式については大賛成でございます。よいと思われたればこそおやりになったのでございましょうが、その場合に同じような砂糖については今後どのような方式をおとりになりますか。と申しますのは、あなたのホーム・グラウンドでございますから、砂糖にもいろいろな加工業者があることをよく御存じのはずでございます。ところがこの割当方式は依然として一小部分に握られているようでございますが、このたび行われた改正によりますると、今までの業界でさえも多い多いというやさきに、加工業者の数は九百有余あるわけでございます。入札された人は八百有余を数えているわけでございます。これほど数がふえる、従って混乱が生ずるということは御承知の上でおやりになったことと存じまするが、もしこういう方式がよいとするならば、砂糖の業界にも及ぼす意思はございますかございませんか。
  80. 河野一郎

    河野国務大臣 これは根底が違うと思います。この方はあくまでも競争入札で、その差益は全部政府に吸収する、砂糖の方は関税その他の消費税を政府で取るということになっておりますから、意味が違うと私は心得ます。ただし現在私の考えておりまする砂糖に対する考え方は、国民の生活必需品でございますから、これについてはなるべく必要量は全部入れるということでいったらよろしい、こういう考え方でございます。  もう少しわかりやすく申します。砂糖の輸入の取り合いをするような事態の起らぬように入れても、もうからないようになれば、入れたがらないのでありますし、入れる権利を持つことによってもうけがあるということになるから、あっちでよこせ、こっちでよこせということになるのでありまして、そういう事態にならないように、入れても利益がないような事態にすることが一番正しいというふうに考えますから、なるべく量を多く入れるようにしたいと考えております。
  81. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の思っている通りお答えをいただきまして、私もただいまの大臣の言たるやまことによしと思うわけでございますが、実は、このことにつきましてさきの本委員会お尋ねをいたしました折に、砂糖の方は国民の必需物資である、バナナの方はぜいたく品である、だからそこに相違があるのだというお答えがなされたわけでございます。今隣にいらっしゃる政務次官でしたが、そうお答えになったが、そういう考え方は受け取りがたい、そんなことじゃないだろう、真意はもっとほかにあったのじゃないかと考えたればこそこの点をお尋ねしているわけですが、砂糖の方については、こういう方式を適用されるということがやがて権限を売買したりすることになり、あるいはその権利が、希少価値なるがゆえに価値が多い、そういうことを少くすることじゃないかと思う、今大臣がおっしゃった方針を推し進めていけば、当然にバナナのような方式を砂糖にも加えると同時に、外貨の割当の数量を砂糖においては大体百万トン程度に押えるということが一番いいことではないかということになり、私も同感なんです。そこで、それでもなお砂糖については差益があるはずでございまするが、バナナの差益については取り上げるのだが、砂糖の差益だけはどこへやら消えてなくなったということは私は全く了解に苦しむ点でございます。国民も理解に苦しんでおります。七十数億のものを必ず納めますといって砂糖業界は通産省に念書を入れて、銀行保証から何から何まですっかり準備を整えていたにもかかわりませず、農林大臣が在職中にこの問題の七十億というものがどこへやら消えてなくなって、本委員会では念書の書類だけはいただき、かようになっておりますという説明だけはいただきましたが、その以後七十億の行方については一向御説明をいただいておりませんので、主管大臣でいらっしゃる大臣より、この機会に、砂糖の七十億の行方はどうなったかということについて、また、将来これはどのような方針で臨まれるかということについて、簡単でけっこうでございますからお伺いしたい。
  82. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの問題は、私は主管でございません。通産省三管でございます。これは為替の割当によるところの差益回収ということになっておりますから、まだ農林省の方でやっているのではございません。  それからもう一点申し上げておきたいと思いますることは、今後の砂糖の輸入につきましては、糖価の決定をどの程度に安定させるかということによって、砂糖の利益が生まれてくるとか、もしくは砂糖の輸入権の取り合いをするとかいうようなことが出てくると私は思います。そこで農林省といたしましては、不当もしくはそれ以下の利益の公正を期する意味において、糖価の安定に関する法案を用意して、この国会にこれを提出して、決してそういう事態の起らぬようにしていく所存でせっかく今調査中でございます。
  83. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣は砂糖の輸入の主管は通産省であるとおっしゃいましたが、この問題については、委員会で審議される数からいきますると農林委員会の方が多いようでございます。この砂糖の七十億の問題がかかりました折にも、ほとんどこれは農林委員会にかかりまして、私どもは合同委員会にほんのちょっと顔を出させていただいた程度でございまして、詳細を知らない。私は何も突いているわけではないのです。知らないから承わりたい、こういう意味でございます。主管が通産省にあるとおっしゃるならばなおさらのことでございます。
  84. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまお話の輸入の差益の処理、そういうような処置は全部通産省でおやりになって、われわれの力といたしまして、国内に入りましてからあとの処置をどうするかが農林省の仕事でございますから、そこで私は、行政主管は通産省でございまして、この処置については通産大臣が専任しておられます、こう申し上げたわけであります。
  85. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 関連して。私は前回の国会までは農林委員会委員をしておりました。そのときに出されました法案が要するに砂糖の需給安定法であって、これは農林省の方から出されたのであります。これは防衛庁の二法案の引きかえに審議未了にされてしまった。そのときには、農林大臣はこの法案はどうしても通してくれということで、われわれの方にも協力を申し入れられた、それが今日変ってしまって、その法案が今日どこに行ったかわからぬようになってしまったことは、一体どういうことでありますか。
  86. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、一部は関税を引き上げましたことによってその差益を吸収いたしますことは御承知の通りであります。ただし関税を引き上げましても、なお国内における糖価の安定維持がどうなるかということによって、その利益がまた出てくるというような場合が出て参ります。そこで今申し上げましたように、国内の糖価の安定に関する法律はこの国会に出すべく今せっかく準備中であるとお誓えを申し上げた次第であります。
  87. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 糖価の国内安定の法案を出すということを、今農林大臣は準備中だと言われますが、本国会に必ず提案されるのでありますか。大体において農林大臣考えておられるところの安定法のいわゆる外郭でもよいからお用きしたい。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 今素案を作成いたしまして、党の方の政調で審議中でありますから、それが終り次第、国会に提案できると考えております。大体の傾向は、今回は製糖業者が大体七万トンでしたか十万トンでしたか、自分で価格安定用にみずから貯蔵する、その貯蔵したものは政府の指示によってこれを溶糖するということになっておりますけれども、それだけではなお不安がありますので、さらに食管におきまして十万トン程度のものを買い入れして、そうして糖価の安定に必要な場合にはいつでもこれを売り出すことができるという方向の案を出したい、こう考えておるわけであります。
  89. 加藤清二

    加藤(清)委員 この際、私は通産大臣お尋ねしたいのですが、見えませんようですから、委員長にちょっとお尋ねしたい。と申しまするのは、砂糖の問題は食管会計に関係があり、食管会計は農林省の所管であるがゆえに、同じ特殊物資の輸入でありながら、砂糖の問題については農林委員会で審議をするのだ、バナナパイカンだけは通産省でやるのだ、私はさように承わって今までずっとこれを進めてきたわけでございますが、ただいまの大臣答弁によりますと、外貨割当の主管は通産省にあるのだということでございます。従ってあの砂糖の七十億のことは通産大臣に聞いてもらいたい、こういう御意向のようでございます。さてそうなりますると、今まで通産省は何を手抜かりしていたのかと言わなければならぬことになります。しかもこの割当については、いつも大蔵省と農林省との問題が云々ということで逃げを打たれた経験を私は持っておりますが、この砂糖の問題が、農林大臣のおっしゃるように、主管がこちら側にあるということでありますならば、今後この法律はこちら側に持ってきて、そうして食管の方に配給なり何なりを移すというときに向うに持っていくということの方が正しいのじゃないかと私は思います。幸いだだいま行政機構が改革されるようでございますし、その総司令官がただいまいらっしゃる大臣のようでございますので、この際思い切ってこれを通産省の方に持ち込まれますれば、外貨の方式が通産省の大方針と違うのじゃないかというような質問をしなくても済むわけでございます。一体委員長としてはこれをどうお考えになりますか、承わりたい。
  90. 神田博

    神田委員長 加藤君にお答えいたします。砂糖の外貨割当については、私も通商産業省の主管であると考えております。その他の御意見は承わっておきます。
  91. 河野一郎

    河野国務大臣 私から答弁させていただきます。今のお話よくわかりますが、こういうことでございます。御承知の通り、われわれが砂糖について異常な関心を持ちますことは、糖価の維持によりまして、これがサツマイモ、バレイショの価格に重大な影響を来たすわけであります。従ってサツマイモはその価格を政府が決定することになっております。従ってこれが下落をいたしますと、政府は全部の買い上げをしなければならぬ、そうしてあくまでもこの価格の維持をしなければならぬことになっております。そういう関係から、砂糖の価格は農産物と重大な関係がありますので、農林省はこれについて行政上非常に関心を持たなければいけないことになっております。半面一般国内の生活必需物資につきましては、農林省食糧庁においてこれを扱っております関係から、国内における砂糖の需給並びに価格については、主として農林省においてやっております。ただ輸入の問題につきましては、小麦のように全額政府が管理して輸入いたすものについては農林省の所管としてこれをやっておりますが、砂糖のように政府輸入するのではなくて、民間で輸入するものにつきましては、今申しましたように為替の割当は通産省がやるというように私は了承しております。そこで、私が先ほどなぜああいうことを申し上げたかと申しますと、閣議におきまして、この差益金をどうするかという問題が出たのであります。そのときに通産大臣が従来の経過を説明になりまして、かくかくしかじかの経過だからかくかくしかじかの行政措置をやってもらいたいということで、大蔵大臣といろいろお打ち合せになりました事実を私は見聞いたしておりますので、これは通産大臣がやっておられます、とこう申し上げたのであります。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいまの御答弁で半分くらいは納得いたしましたが、いわゆるカンショ、バレイショの耕作者に影響があるので、その影響のあるもの、すなわち砂糖の問題については農林省で行うのだ、こういうことですが、しかしそれと同じものでも通産省の所管になっておるものもございますようですね。たとえて言いますと、麻の耕作者などは、これは輸入原綿や輸入原毛が大きい影響を及ぼすということとちょうど同じでございます。ところがこの原毛、原綿の輸入については、通産省がほとんど実権を握って外貨割当を行なっていらっしゃるようでありますが、この砂糖に関する限り、あなたがどうおっしゃいましても、実権は農林省にあるようでございます。それからバナナの方も、外貨割当の実務は通産省がおやりになるようでございますが、実力と申しましょうか、実権と申しましょうか、それは農林省にあるようにどうしても思われるのでございます。それはいなとあなたがお答えになるならば、私は通産省にどうしても承わらなければならない。通産省の行き方とは今度の行き方はまるきり違っておるからでございます。しかも通産省管轄下における業界は、設備割当をぜひ頼む、どうしても設備割当でなければ困ります、過去においてそういう様式であって、業界の希望もその設備割当でなければならない、かように希望しているそのことすらも、このたびは商社割当にしよう、すべてを商社割当に移行しよう、これが通産大臣の根本方針のようでございます。それを各商工会議所においても堂々と本年度の方針はかようであると述べていらっしゃいます。これは業界に大きな動揺を与え、やがて三品市場の値段を左右しているという事実は、あなたよく御存じの通りであります。さてそういう大方針があるにもかかわりませず、バナナだけは逆行して——あなたの方では正しい筋とおっしゃいました。私もそっちに賛成です。ところが通産省の大方針からいくと、これはまるきり矛盾した、逆行した方式でございます。それをあえて通産大臣が、商工会議所あるいは経団連における自分の発表に逆行してもあえてやられたということは、何かそこに大きな原因がなければならないわけでございます。それを大臣に承わりたいけれども、おられませんからやむを得ずあとで承わるつもりでございますが、その大きな原因一つは、農林省が実権を握っていて、通産大臣よりももっときつい河野大先輩と申しましょうか、河野大臣がこうやれと言われたからじゃないか。もしこれが事務当局の手だけでできたとおっしゃるとするならば、その事務当局は何がゆえに通産大臣の言までもくつがえさなければならなかったかについて、はっきり根拠ある説明を承わりたいのでございます。ところがそれはおそらくできないでしょう。やったら大へんなことになるから、できないでしょう。あなたはそこで円満、福徳な顔をして、にこやかに笑っていらっしゃる、その顔はにこやかであるが、ものすごい馬力と迫力でもって通産省を動かしてしまいなさった、こう解釈すべきじゃないか。そう解釈した方が、あとの祭がうまくおさまるだろうと思うわけです。しかしながら、大臣は、それでもなお実権はこちら側にあるのだ、砂糖の七十億の行方不明もこちらにあるのだとおっしゃるから、私はここで委員長にお願いする、ぜひ通産大臣農林大臣と並んでおっていただかないと、両方とも老巧な人ばかりですから、逃げることは上手ですから、並んでおって、どちらですかと聞きたいのです。ぜひそういう機会をお与えいただきたい、追って質問というのはそのことでございます。以下私の質問は保留をいたします。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 今のお話でございますけれども、重要なる産業資材の輸入につきましては、私も通産大臣と全く同模な考えを持っており、またさらに進んで相なるべくはAA制度に移行していくことがよろしいのではないかというように私は考えております。しかし先般も大豆のAA制度の研究を始めましたところが、市場にだいぶいろいろ問題を起しました。調査を今続けてはおりますが、これは私は間違っておるとは考えておりません。ただこれには暫定期間が必要である、一定の期間を設けて、目標の時期を定めてAAに移行すべきものだ。現在のように為替の割当の恩恵に隠れて引き続き特定の利益を上げ、はなはだしきに至っては二割、三割の利益を上げて、なおこれを一たび自由制にすればわれわれの会社がつぶれるとかどうというようなことを続けていくことは間違いだと私は思っております。であるから、一定の時期を限って、それまでの間に十分整備統合なり機械の改良なりして、いつでも自由制にして国民に安いものを供給できるように、国際貿易に勝てるようにするように努力する行政措置が必要だと私自身考えております。しかしただいまのバナナのようなものは、何といたしましても競争で差益を政府に吸収するのであります。異例中の異例でございます。こういうものを一般のものと同様にお話になるのは、私は少し意見が違いはしないかと思いまして、先ほどもお話のように、そういうふうにして故意に高く入札をせしめて、その反面に将来の輸入を抑えて、特定の利益を与えるような行政措置が続いて行われるとすれば、これは非常な間違いでございます。でございますから、そういう行政措置は絶対に政府はとらぬようにしなければならぬということを申し上げておるのであって、こういう大衆に影響のあるものはどこまでもフェアにいくべきものと私は確信いたしております。私は、少くともそういう処置は絶対にとらないようにしなければいかぬと思っておるのでありますから、その点はしばらく経過をごらん下さいまして、もし政府がそういう措置があったならば、そのときはいかような非難をこうむりましても私は決して悔いるものではございません。
  94. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうお答えになると、私も質問をもう一度だけしなければならぬ。はしなくも今のお言葉によって、政務次官と同じ考え方を持っているということをおっしゃったと同じ結果になりました。と申しまするのは、一般の物資はAA制に入ろうという考えだ、これはけっこうでございます。先ほどあなたがおっしゃいました砂糖のようなものは外貨をたくさんにしてその権限を喪失させるようにしたい、この考え方とAA制は一致するわけでございます。だから砂糖だけはそのような方向に持っていきたい、一般の重要物資もそのように持っていきたい。しかしバナナだけは異例中の異例であって、逆にAA制とは通行の方向に持っていくのだ、こういうことでございます。そうなりますと、政務次官のおっしゃいましたバナナのようなぜいたく品、こんなものはという言は、砂糖は必需品だが、バナナのようなぜいたく品はどんなに高くなってもやむを得ぬということは、国民が余分な費用を使ってもやむを得ぬと、こういう言葉になるわけですが、それでよろしゅうございますか。
  95. 河野一郎

    河野国務大臣 今のお話でございますが、私は、わが国の農村ほどすぐれたくだものを供給しておる国は世界にないと思います。そういうりっぱなくだものを豊富に供給しておる中に、台湾との貿易協定関係もございますから、私はバナナ輸入をあえてしておるのだと思うのであります。国民にバナナに対する興味もしくは嗜好のありますことも決して無視はいたしませんけれども、しかし今申しますように、さればと申して、バナナの需要が多いから為替をこれ以上どんどんふやしていくべきだという筋合いのものではないと私は思うのであります。これは砂糖の需要があれば、砂糖も需要に応じて幾らでも為替はふやしていかなければならぬ。しかしバナナは需要があってもふやす必要はない、台湾との貿易協定の限界の程度でよろしいのじゃないか、そうあってほしい。一方において農業経営の上から十分にくだものを供給いたしますから、農村の経済の保持の上からもそういうふうにあってほしい、こう私は考えております。そういうことになりますと、バナナの価格は暴騰いたしますから、暴騰するような事態はよろしくありませんから、そこで先ほど申し上げましたように、バナナに対する従来の一定の台湾との貿易協定の線もございます、それだけのものは当然入れるべきだ。そうすると今のように差があるから、差はこれは入札によって吸収する方がよろしい、こういうふうなものじゃなかろうかと思っております。
  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういうふうにお答えになりますと、バナナ輸入日本のくだもの生産者のためにある程度押えるべきであるという考え方、これは私も大賛成です。もしそういうふうなことがほんとうに徹底されているとするならば、私は承わらなければならぬことがある。なぜかならば、台湾のこれの見返りに硫安がいくはずでございますが、この硫安の価格は、一かます十貫目俵換算にして、去年あたりは八百円の余に内地にも売り、しかも同じく中共には八百円の余に売っておきながら、台湾には二十五万トン、大体七百円から七百五十円どまりの安値で売っていらっしゃるはずでございます。しかも二十五万トンもです。八百円にも売れるところの、中共がほしいほしいと言うてきて、しかも協定の中に五万トンというものがあるにもかかわりませず、これを削減されるような方向に持っていかれたが、そうすれば先ほど私がここで言うておりましたところの塩、どんどん入るところの塩が入らなくなった。おかげでやがては苛性ソーダが高くなった。苛性ソーダが高くなったおかげで人絹糸が高くなった。人絹糸が高くなっては、拡大均衡、輸出振興を論じているところの通産大臣の言とはまるで違った方向にやむなく行かざるを得ないというのが現状なんです。けれどもきょうはそういうことまで大臣に私はお尋ねしようとは思っておりません。これはまたいずれかの機会にして、私がお尋ねしたいのは、あくまで特異中の特異で暫定の措置であるというお言葉がただいまございましたが、しからばこの制度は一体将来どれだけ続けられる御予定でございますか。あるいは今回一回限りで、特異中の特典、異例中の異例とあなたのおっしゃるその言葉を額面通り受け取ってよろしゅうございますか。将来この方策を継続されるかされないか、一回限りと心得えてよろしいか、その一点だけでございます。
  97. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどお答えいたしました通りに、今回のこの法律は三年間の時限立法の法律でございます。その間、これから先どうするかということはあらためて研究してきめられるということになっているようでございます。
  98. 神田博

    神田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。  なお明日は、特定物資輸入臨時措置法案について参考人を呼んでいることでありますので、定刻に御参集を願います。    午後一時四分散会