運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-02 第24回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 長谷川四郎君       青木  正君    秋田 大助君       阿左美廣治君    生田 宏一君       大倉 三郎君    菅  太郎君       椎名悦三郎君    篠田 弘作君       島村 一郎君    鈴木周次郎君       田中 龍夫君    中村庸一郎君       淵上房太郎君    前田 正男君       南  好雄君    山口 好一君       山本 勝市君    山本 猛夫君       吉田 重延君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         総理府事務官         (経済企画庁審         議官)     森  哲夫君         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      川上 爲治君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月二十四日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として古  島義英君が議長指名委員に選任された。 同日  委員古島義英辞任につき、その補欠として島  村一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  小松幹君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員椎名悦三郎君、松岡松平君及び小松幹君辞  任につき、その補欠として井出一太郎君、渡海  元三郎君及び水谷長三郎君が議長指名委員  に選任された。 同月二十八日  委員井出一太郎君及び渡海元三郎辞任につ  き、その補欠として椎名悦三郎君及び松岡松平  君が議長指名委員に選任された。 三月一日  委員鈴木周次郎辞任につき、その補欠として  南條徳男君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員内田常雄君、菅野和太郎君、首藤新八君、  南條徳男君、松岡松平君、松本俊一君及び森山  欽司辞任につき、その補欠として吉田重延  君、山本猛夫君、生田宏一君、鈴木周次郎君、  青木正君、山本勝市君及び山口好一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員青木正君、生田宏一君、山口好一君、山本  勝市君、山本猛夫君及び吉田重延辞任につ  き、その補欠として松岡松平君、首藤新八君、  森山欽司君、松本俊一君、菅野和太郎君及び内  田常雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十四日  百貨店法案永井勝次郎君外十二名提出衆法  第三号)  百貨店法案内閣提出第七〇号) 三月一日  日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法  律案内閣提出第八八号)(予) 二月二十三日  中国における日本見本市開催請願大矢省三  君紹介)(第九〇七号)  木造船の中共向輸出解禁に関する請願山口丈  太郎紹介)(第九〇九号) 同月二十九日  中国における日本見本市開催請願花村四郎  君外二名紹介)(第九八八号) 三月一日  中小企業金融公庫仙台支所設置請願菊地養  之輔君紹介)(第一〇六一号)  同(菊地養輔君紹介)(第一一四〇号)  電気料金の引下げに関する請願渡邊良夫君外  四十名紹介)(第一一四一号)  在日朝鮮人信用組合育成強化に関する請願(  田中武夫紹介)(第一一四二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件     —————————————
  2. 石橋湛山

    神田委員長 これより会議を開きます。  それでは前会に引き続き通商産業大臣経済企画庁長官及び公正取引委員会委員長所管事項の説明に対する質疑を継続いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は軽工業局長経審齋藤博士一つ御質問申し上げたいと思う。綿、羊毛、これらの輸入量を逐次縮小して、外国為替の面から日本経済というものを安定に導こうというのが、政府根本政策だと私は考えるのでありまして、御承知通りレーヨン、スフは振興策に乗り出して以来過去二十カ年、この間におきまして世界的の進出を見るに至りました。現在は品質及び生産原価、これらは他国に比較をいたしましてまさればとて劣ることのない現実の姿であろうと思い、これらに対しましてはきわめて安定をしていると思うのでありまして、最近の例におきましても、南方地域において洋服の原布やあるいは輸出量が一年間に四十倍に増したということは、わが国化学繊維が非常に受けておる証拠であろうと私は考えられます。またビニロンにおきましても、官服や学生服に、あるいは漁網その他の進出相当見るべきものがあると思います。そこで私の承わりたいのは、二十九年以来の政府繊維計画推移から見て、合成繊維化学繊維工業をいかに高度化するかということを承わってみたいのであります。最近におきましては、マッコウクジラの油から、また小魚に高周波を利用して油を取って、ナイロン原料にしているということも伝わっておる。これらの研究も相当深められているようであります。  そこでアセテートについてお尋ねいたしますが、カーバイドからの生産単価は、現在綿と比較した場合、綿の価格よりも下回るということはちょっと不可能のように考えられておりますが、この点に対しての吉岡さんのお考えはどうであるか。もう一つ石油化学からアセチレンを作る場合、アセトンは半分の価格になるという点についての見通しはどうか、以上まず二点について承わってみたいのであります。
  4. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 繊維関係につきましては、繊維局長もおりますので、むしろ繊維局長からお答えしていただく方が適当であろうかと思いますが、私どもの方は御指摘のように合成繊維あるいはアセテート原料面を担当しておるということでございますので、繊維局でお考えになっております利用量に対応いたしまして、これに応ずるだけの生産計画を立てておる状況でございます。ただいまお話のように、現在わが国アセトン醗酵法で作っておりますので、石油化学発足によりまして、相当程度安い原料供給ができるということにつきましては、大きな期待をかけておるわけでございます。カーバイド工業との関係につきましては、現在アセトンにつきましては石油化学系統で一部の計画を持っておるわけでございますが、アセテート原料といたしましては、このほかに御承知のように酢酸でありますとか、無水酢酸相当量必要であるわけでありまして、これらはやはりカーバイド工業からの供給に期待いたしたい、こういうように考えております。そこで現状から申しますと、アセテートの三十年度の生産実績は、大体九百万ポンド程度であろうかと承知いたしておりますが、先般の繊維総合対策審議会で御決定を見ました三十五年度の生産計画は、六千五百万ポンド、約七倍の量になるというように御決定を見ておるわけでございまして、これに対応しましてアセトン酢酸無水酢酸相当量増産を必要とする。これに対しまして、アセトンにつきましては今後の増加量石油化学からの計画に期待いたしておるわけでありますが、酢酸無水酢酸につきましては、カーバイド工業育成をこの際急速にはかる必要がある。現在の需要量で申しますと、現状におきましては、カーバイドの約半分は石灰窒素肥料需要でございますが、五年後におきましては、有機合成関係需要量がほぼこれに匹敵する、こういう見通しでございますので、この点につきましては、近くカーバイド工業育成に関する計画につきまして省議でこれを決定するという準備をいたしておるわけでございます。  以上申し上げましたような関係で、カーバイド工業石油化学工業企業化と並行いたしまして、強力にこれが育成をはかって参りたいと考えておる次第でございます。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたの分野から離れて繊維局長の方というお話もありました。あなたはただ計画をし、その計画が妥当であるかいなかを決定する機関だと言いたいところであろうと思う。しかしながらあなたの御計画そのものは、現在同一製品というものから考えてみたときに、この化学の方が一歩進んでいる。従ってこの化学でいくならば価格も当然下回る。すなわち国際的な価格より以上のものを見出すことができるであろうという確信の上に立ってあなたはこれらに当っているはずであると信じます。ですから、私の伺うのは、たとえばペトロールケミカルからアセチレンを作る場合に、アセトン価格が半分になるという話を聞いているが、それが事実なのかどうかということを聞いているのでありまして、これからさらに製品化される場合におきましてのことは、なるほど繊維局長に承わることにいたしますが、要するに私はあなたの持っている計画そのものに対してお尋ねしているのであります。今申し上げたような点から考えて、ペトロールケミカルというものが、ますますあなたのいう六社でこの計画通りやっていくといった場合に、カーバイド工業というものがこれと並行して相当増産計画を今日見ているのであります。この関連はどうなっているかというと、あなたは並行して行なっていると言われるが、果して並行しているかいなかということに大きな疑問を持たなければならない点を私は見出しているのであります。従って今のはやりっこである石油化学にあなたが目を向けることは全くけっこうであるけれども、半面を忘れてはならない、これを私は申し上げるのであります。またさらにアセチレン石油化学から供給することになると、反面申し上げたようなカーバイド工業の運命というものを当然考えていかなければならない。こういう場合すべて価格の面というものが終局の目的であるということが結論であります。ただ作ればいいんだというのではない。そういう面をあなたは十分お考えになってやっておられると思うのでありますけれども、その点についての質問をあなたに申し上げているのであります。その点を知っておりましたならばお聞かせ願いたいし、さらに繊維局長もおいでのことでありますから、ただいま私が御質問申し上げたことについて吉岡さんの御答弁が十分でない点はあなたからお聞かせ願いたい。
  6. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 アセトン石油化学部門といたしましては比較的取りつきやすいというようなことから、当初におきまして各社がこの分野をねらったということは事実でございます。またフランス等におきましても、ほとんど石油化学計画がこの分野に集中をいたしまして、非常に生産過剰を来たして困っているというような前例も聞いておったわけでございますので、当初各社からアセトン系統計画が非常に大量に出て参りましたが、これらはそれぞれ調整をいたしまして、現状におきましては御心配のようなことはないと考えております。なお価格の点につきましては繊維局長からお答えをいただきたいと思いますが、アセテートは御承知のように毛の分野にも相当代替していくという関係もございますので、それらの点も考え合せますと、経済的に十分競争力を持ち得るというように考えている次第でございます。
  7. 小室恒夫

    小室政府委員 アセテートはきわめて将来性のある繊維でありまして、半合成繊維とはいうものの、合成繊維対策の一環として政府もできるだけこれを育成していきたいという考えでありますが、問題は酢酸が、カーバイド系酢酸を使う、あるいは石油化学酢酸あるいは無水酢酸を使うというような場合には、石油化学の方が二、三割方安くできるのじゃないかというような点がありまして、結局合成繊維にしても半合成繊維にしても、問題は量産をやって安くしていくということが、国民衣料の充足の面でも、また輸出の面でも将来性があるということに相なると思うのであります。アセテートについては現在すでに混紡糸その他の形で輸出も端緒を開いております。ポンド当り六十セントというくらいの混紡糸がある程度出始めております。これも将来はもっといろいろな形でアセテートの織物、糸の値段が安くなっていけば相当伸びていくと考えております。ぜひ進めていきたいと思います。
  8. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 価格決定するものは、すなわち化学工業規模が大いなる原因となってくることは御承知通りであります。今日ナイロンタール工業副産物であって、石炭酸主原料として作っているから、八幡その他の製鉄会社原料会社でありますが、製鉄工業規模から見て日産五十トンくらいだということがいわれる。ところが石炭酸供給の山だといわれるナイロン需要というものが今後ますます大きくなることも、これまた御承知通りでありまして、そうなってくると、その原料というものも製鉄工業副産物だけでは量的には不十分であることは御承知通りである。そこでまず広範なるところの化学工業企業化をはかり、また一面ナイロン原料としてのペトロールケミカルにも解剖のメスを加えなければならないということは明らかな事実である。そうなった場合、先般の局長の御答弁では、一会社ナイロン原料石炭酸になるのだ、そうしてその原料たるベンゾールを生産する計画にあるそうでありますというお答えであります。私がここで不安に思うのは、あなたが御許可なさったところの六社の会社が、この推進という点についてあなたのところへ持ってきた企業化計画を実行しているかどうか、こういう点、従ってその六社というものが今日許可して以来その姿でもって進んでいるかどうか、そこに疑問がありはしないか。あなたのところに出してきた場合は、一つ机上プランとして持ってきて、まことにけっこうであるとわれわれは双手をあげて賛成をしている。その六社がプラン認可を受けたんだからという、その認可を受けただけで権利を持っているというだけの考え方のものもないとは私は言えないと思う。なぜならば、その計画は一応机上プランとしてあなたが許可したけれども、それがいまだ決定してない会社があるではないか。こういうことであってはいつになったらこれらが発展し、われわれの希望を満たすような現実の姿を見ることができるか、こういう点について私は非常に不可思議に思う点がある。こういう点を吉岡局長はどう考えておられるか、これだけは明確な御答弁をお願い申し上げます。
  9. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御承知のように現在石油化学具体的計画といたしましては、石油精製中心とする会社が三社、化学系統中心とする会社三社、六社の計画を推進しておるわけでございます。現在それぞれ機械輸入でありますとか、技術導入のための外資委員会許可等も順調に進んでおるわけでありまして、石油精製系統の三社はそれぞれ比較的特定の部門対象といたしておりますので、そのうち一社は本年の秋ないし末ごろ、あとの二社は来年早々に第一期の製品市場供給するというように考えております。それから化学関係会社は比較的大規模計画でございますので、そのうち二社は来年の下期、それから四日市における三菱シェル計画は、これは精製所の建設を伴いますので、さらに約一カ年おくれまして、三十三年の下期に製品供給する、こういう状態で、きわめて順調に進んでおるというように承知いたしております。
  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたが認可をする場合、すべてのバランスの上に立ってあなたが御許可をなさっておるのでございます。ところがその企業化計画というものが変更をされる場合、こちらの要求でなくして、会社自体からこれをやるんだというようなことであなたの方へ持ってきて変更をされたということになると、あなたの方としても非常なアンバランスが出て一方的なものに変ってくるというようなこともないとは言えないと思うのでありますが、こういうような例がないかどうかという点と、認可の場合に、たとえば何年以内にこれを工業化されなかった場合はこれを取り消すことができるというような認可規程があったかどうか、こういう点を一つ伺ってみたい。
  11. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 需要量想定につきましては、たとえば合成繊維五カ年計画とかあるいは繊維総合対策審議会で御決定になった数字合成樹脂につきましても通産省として決定したような既定計画を持っております。そこで現実見通しといたしましては、おそらくこの需要想定よりもなお相当ふえるのではないか、ふえることがあっても減ることはないということがいろいろな面から考えられるわけでございますが、計画としてはやはりかたいものを押えてやるべきであろうということで、それらの予想的要素は一切含めませんで、それぞれその既定計画に盛り込まれておる数字をとっておるわけでございます。従いまして御指摘の点は、今後需要量がふえました場合にこれに対してどうするかという点に主としてなるかと思いますが、これにつきましてはさらに石油化学企業化考えておられる会社もあるようであります。また従来の既定計画会社におきましても、逐次第二期、第三期というような構想を持っておるようでございますので、それに対しては需要推移とにらみ合せましてこれに対応する措置はとり得るのではないかと考えております。  〔委員長退席小平(久)委員長代理   着席〕  それからすでに育成措置をとっておる会社におきまして、不幸にして計画が予想通り推捗しない場合、あるいはこれを企業化する熱意を失った場合というお尋ねでございますが、御承知のように現在企業化計画を持っておりますところは、日本産業界企業といたしましてはいずれも第一線に位する会社であると思います。会社におきましても相当の決意と確信を持ってこれを推進しております。また技術の面につきましては、それぞれ必要に応じまして先遊園の技術を導入するわけでございます。これらはすべて十年あるいはそれ以上の経験を持っておるわけでございますので、日本としては新しい企業でございますから、もちろん今後技術面その他の面におきましていろいろ勉強をいたす必要があるかと思いますが、企業の完成につきましては、私どもとしては十分信頼を持っておる次第でございます。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたそれはちょっと抜けているのですけれども、あなたが許可する場合、その後において変更したものはないか、こういうことです。
  13. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 石油化学自体につきまして、法的に認可とか許可という制度のないことは御承知通りでございますが、実際問題として機械輸入技術導入等について外資委員会なりその他の審査を必要とする、そういう意味におきましては、政府がこれに十分意見を言う機会はあるわけでございます。それで計画変更という点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、想定需要基本にいたしまして計画を樹立しておりますので、各社の当初の計画から申しますと、すでに相当大幅に修正を見ております。これは個々に例をあげますよりも、ほとんど大部分の会社において、それぞれ修正をお願いして調整をいたしておるということでございまして、その面におきましては、需要量に合せて調整はいたしておりますけれども会社自体として、当初の計画がうまく行かなかったというような意味合いから変更しておるということは、現状におきましてもないわけであります。また先ほど申し上げましたような関係から、今後におきましてもそういう心配はまずないであろうというように考えておるわけでございます。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は少し納得できないけれども、それはいいでしょう。  そこで先ほどの御答弁のように、たとえば第一線において相当輸入量を持ち、相当規模を持った工場もあり、そういうものがもしやるという場合は、というようなお話もありましたが、大体私たちがどうしてもなさなければならないという根本の理由は、先日申し上げました通り、いやまた当初申し上げました通り廃ガス高度利用ということをしなければならないではないか。不幸にして日本はこれだけの石油を使うけれども、この石油が国内においては〇・五しか採油することができない、こういう哀れな現実の上に立っているわが国において、その廃ガス利用という点について欠陥がありはしないかということがそもそもの初めである。ところが今日において灯軽油重油等を分解するというような規模のものも出てきておるようであります。そういうような面があり、またその輸入品灯軽油重油をやることも私は全部が悪いとは申し上げません。しかし反面今のあなたのお話のように、最も理想的な工場を持っているものも今日申請しておらないというところもある。こういうような点から考えてみなければならないということも、あなたとしては十分お考えになっていると思うが、その点も私は十分考えなければならない大きな問題であろう、こういうふうに考えるからであります。もししからば、そういうような会社がこういう製品をやりたいんだというようなことがあるならば、当然私は認めなければならないと思いますが、あなたはどう考えるか、一応伺ってみなければわからないので、その点を一点伺います。  それからもう一つ、この六社だけにおいて協議会というものを作らせるというような考えを持っておる。そうすると六社だけで限定をして、既得権というか、六社だけに権利を持たしてしまったということになると、他にもっと優秀なるものが行おうとしてもできなくなりはしないか。さらにあなたの御計画通りだと、本年度から五年後にはおそらくどのくらいになるかという大幅な御計画もある。そういうものが六社だけにおいて握られてしまうということがありはしないかというようなことを私は憂えるものですが、その点はどうでございましょう。
  15. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 先ほど申し上げましたように、現在進行中の計画は、今後大体三十五年度までの需要想定基本にして計画いたしております。その限度におきましては、これは需要量自体がそれよりふえれば別でございますが、現在の需要想定基礎にいたします限りは、大体ただいま推進しておる会社供給量でもって、ほぼこれをカバーできる、こういうことでございます。また現に企業化は進捗いたしておりますが、現実にまだ石油化学製品市場供給されておらない。その場合に、将来の相当長い先の需要基礎にして、あまり急激に企業化をはかるということも、今後における技術進歩等関係もあり、いかがなものであろうか。かような考えから、先月の二十日に通産省省議決定といたしまして、今後の新規計画については、当分の間慎重にこれを処理する、こういうことを第一点として決定を見たわけでございます。  〔小平(久)委員長代理退席委員長着席〕 しかし同時に、この想定需要量が増大するとか、あるいは現在計画しておる以外の品目につきまして企業化の必要を生じた場合には、技術内容とか資源の活用、企業合理化というふうな経済効果基礎として育成対象決定するのであって既定計画を持っておる会社新規計画会社との間に差等は設けない、新しい計画であるからということで差別はいたさない、この二点を省議に御決定を見ておるわけでございます。  従いまして今後新規計画といたしましても、需要量その他から見まして必要な場合には、経済効果の最も大きいものから、それを基準として育成対象決定して参る、こういう考えを持っておるわけでございます。  それから第二の協議会の点でございますが、これは業界の方においてもそういう希望もあるわけでございますが、御指摘のようにこの石油化学の問題は、ただ一般の工業会とかいうふうに、その業界の利益を代表する機関としてのものよりも、現状におきましては、やはりお互いの知識、経験、情報等を十分交換、連絡をとるということが必要な段階であろう。こういう考えからいたしまして、もしそういう機関を作るならば、関係の学界の権威者であるとか、あるいはこの石油化学企業化について関心を持っておられるような会社、さらにはタール、カーバイド、醗酵工業というような関連産業、そういう方も全部広く入れて、これを構成していくことが適当であろう、こういう考えをもちましてただいまそういうような趣旨で話をいたしておりますので、その点は御趣旨に沿ったような形のものができ得るのじゃないか、かように期待いたしております。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石油化学工業協会を作って、六社だけで権利を持ってしまってそしてあとは自分たちの勝手だというようなことでなく、あなたのお考えのように進められることならば、まことにけっこうであろうと私は考えます。  大臣に一つお伺いをいたします。ある一会社石油化学というものを目当てと言おうか、当然そういう事態が早期に来るのだということにおいて第一次、第二次、第三次計画というものをかけている。先ほど申し上げたような、つまり石炭酸は国内では限度があるにもかかわらず、そういうものを作ったというゆえんというものは、ペトロールケミカルの時代というものが必ずや来るであろうということを同時に考え工場というものは進んでいった。いよいよその時期に入ってきているのに、一方においてはいまだそれらが満足すべき点まで到達していない。こういうことになると、非常にバランスが——たとえばナイロンならナイロン工場というものがずっとできていってしまった、一方においてはそれを供給するところの石油化学工場がまだ遅々として進まないという場合、その半年なら半年、あるいは一年なら一年の期間というものは原料が不足する。その原料の中間体のベンゾールならベンゾールを、外国から輸入して供給するようなお考えがあるかどうか。そういう場合があるならば、二カ月か三カ月の場合ならば、しなければならないのではないかというようにも考えられますが、そういう点について大臣の考え方はいかがでございましょう。それだけ一つ伺います。
  17. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 戦時中からのなごりで、政府が何でもかんでも統制したり、許可したりしているように感じられ、また役所でもそういうような空気がないでもありませんが、現在石油化学にいたしましても、そのほかにいたしましても、政府がそういう統制をしているわけではないのです。ただ外貨を使うとかあるいは外資を導入するとかいう場合には、現在の事情ですから、やはり外資委員会その他の審議にかけなければならぬ、そういうときに政府の意見もそこに入る、こういうだけのことで、大体育成といいましても、そういうルートを通してある程度便宜を与えるとか与えないという程度のものと私は考えております。お話のように、石油化学が、計画はあるけれども、まだ実際の製品は出ておらぬ。しかるにその原料を使う産業はすでにあって非常にこれを必要とするという場合には、むろん現在においては必要なる原料を外国から輸入するということは少しもとめておらないということでございます。現在も入っておることと思います。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 新聞で見るのですが、イソプロを新たに関税の免税物産として考えている。そうして軽工業が主張している主張がいれられるというか、このイソ中間体は軽工業ではどういうような面に供給をしようというのか、どういう面からこの要求が出ているのか、その点を明らかにしていただきたい。
  19. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいまのところ、そういう点は私どもただいま初めて伺いましたような事情でございます。あるいは推測的にそういうことを書いておるのじゃないかと考えます。
  20. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 かつて御承知のような問題がありまして、シェルが中間体を持ってきて、そうして日本においてペトロ・ケミカルをやるんだ、とんでもない話が、ペトロールケミカルというものは、イソプロ供給までぐらいのことをわれわれは考えているのだ、まかりならぬといった事実があるのは御承知通りでありまして、それが今度はなるべくそういう面に待遇を受けるというのであるならば、何かのお考えがなければならない、そういうふうに考えるから、あなたに御質問申し上げたわけでございます。それをあなたが御承知にならないのだというならば、これは話にはならないからやめておきます。  それではただいま申し上げた石油化学の面でございますが、齋藤政府委員にお伺いいたします。ただいまお聞きの通りに、石油という面は非常に進んでおります。そうすると一方においてはこれと並行するところの石炭の問題が生まれて参ります。ただ石炭が日本において燃料だけに使われておるかということは、燃料だけではないという面もあるであろうけれども、いま一段と高度利用という面をお考えになっておられると思うのでありまして、石炭の高度利用、ガス化、液化の点、こういう点と並行してどういうようなお考えをお持ちであるか、あなたの構想を承わらしていただきたいのであります。
  21. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 長谷川委員の御指摘の点につきましては、私よりは長谷川委員の方がよほど勉強せられておりますので、私から御答弁を申し上げることはいかがかと存じますが、この石油化学と石炭化学は世界的に見て両立するか、あるいは石炭化学の方が石油化学に圧倒されて、石炭化学というものはとうてい成り立たないのではないかというような、いろいろな議論があるのであります。しかしわが国といたしましては、またペトロールケミカルというものの実体を実際の工業としてやっておるとは言えないのであります。同時に石炭化学の面におきましても、単にタール工業が主たる現状でございまして、まだ石炭化学の実体も把握しておらないのではないかと考えられるのであります。  御承知通り、アメリカにおきましては、一九二五年には化学原料として石油化学というものはわずか〇・一%であったと記憶しておるのであります。それが一九四五年には化学原料の五〇%を石油化学が占めて、全有機合成化学製品の七三%の率を今日では占めておると言われておるくらいに発達いたしておるのであります。この日本の有機合成化学製品とアメリカの有機合成化学製品の比較をいたしますと、大体価格において二対一といわれておるのであります。そうでありますから、そういう有機合成化学製品をもって世界市場で輸贏を争うということになりますと、日本の商品は二倍の価格を持っておるということでございますから、これはとうてい角逐ができない。従って日本におきましても、ただいま御指摘になっておられますように、石油廃ガスを利用するか、この廃ガスの総合的なペトロールケミカルをやるか、または部門的なペトロールケミカルをやるか、こういうことはまだ日本全体としては決定しておらないのではないか。今御指摘のイソプロだけがまず対象となって、ようやく石油化学の初段階に足を踏みかけるか踏みかけないかというような段階に今あるのではないか。私はそう考えるのであります。  これと対応いたしまして、しからばどういうふうな方向に石油化学と石炭化学とが並立して今後発展すべきものであるかということに対しましても、これはいろいろな学者の説によりますと、石油化学と石炭化学はその持つべき分野に十分区別がある。すなわちタール工業を主としていく分には、この石炭化学も成り立つのではないかというふうに考えられているものがあるのでございますが、これもまた政府一つのテスト・プランを立ててやってみないことにはわからないのではないかと私は思うのであります。同時にカーバイド工業でございますが、今日いろいろ論議されておりまするカーバイド工業におきましても、従来のカーバイド工業では廃ガスの利用ができない、密閉炉をもっていたしますると、一トンから三百立米の廃ガスが出るから、この廃ガスの利用ということも考えていくと、そこには石炭を主材とした化学工業が成り立つのじゃないかというふうにも言われておるのであります。しかし何にいたしましても、今日までの日本石油化学工業及び石炭化学工業というものは、ほとんどとるに足らざる段階であって、今後この点に対して十分な化学技術的な検討を加えまして、果して石油化学工業というものはどういう採算率になるのか。たとえて申しますれば、原油の精製が三百万バーレル以上の製油工場であれば、どれだけのコストになるか。それ以下では世界的に成り立たないのか、また低品位炭のガス化をやった場合にはそれによってどういうふうな石炭化学工業が生まれてくるかというようなことは、ほとんど未解決の問題ではないかと考えておるのであります。しかし世界的に考えてみますと、どうしてもこのペトロ・ケミカルというものをやらなければならぬし、また日本の実情から申しますと、低品位炭の活用ということもやらなければならぬ。低品位炭の活用をやるにはどうしても、低品位炭を原料としたところの石炭化学工業をやらなければならない、こういうような状態に立ち至っておりますので、その問題に対しましては、将来急速に解決していくべき大きな日本の生産体制の一つであると考えておるのであります。またこれと相対比いたしまして、醗酵工業はどういう分野に食い入っていくのかというようなことも非常に大きな問題だと考えておりますので、せっかくこれから一つ勉強いたしまして、何らかの結論を生み出したい、さように考えておる次第であります。
  22. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 齋藤先生が常に言われておるところの原子力の問題と並行いたしまして石炭の面も大いに考えてもらわなければならないことは当然であります。従って、たとえば石油化学におきましても、一番適当なものは六万バーレルだと言われておる。しかし残念ながら日本では生産コストというものを対象としたところの理想的なものはなかなかむずかしいと考えられる。従って日本日本流に、六万バーレルと相対して一万バーレルであってもそれと同様なるコストをもって、生産に当らなければならないこともしかりであろうと思うのでありますが、こういう点等も十分考えて、そこに初めて日本技術というものが生きなければならない、そういう点に日本技術を活用させていかなければならないとも考えられます。  そこでもう一つ軽工業局長に伺ってみたいのはヨードの件であります。チリーとの問題と、現在の日本のヨードはどの点までいっているか、将来、また目先はどうであるかという点について簡単でよろしゅうございますから、御説明願いたいと思います。
  23. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御承知のようにヨードの輸出力は世界的に見ましてチリーと日本と、ただ三つといっていいと思います。チリーの場合はあそこの硝石を採掘いたします副産物というような形においてこれがとれておる。また企業の形態といたしましても、雲質的には政府企業というような形において行われておるわけであります。日本のヨードの輸出が増加してくると数年前からチリーが価格の面で競争して参るのでありまして、そういうことではお互いにきわめて不利益だと考えられますので、昨年におきましてチリーと話し合いをいたしました結果、まとまりました線によりましてただいま輸出をいたしております。昨年はチリーから大多数出たのでありますが、近く日本のヨード業界の代表者がチリーに参りまして、今後の輸出の面につきまして話し合いをする、こういうふうに考えてただいま準備を進めておる次第であります。
  24. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣にお伺いいたします。AA制につきましていろいろな点が指摘もされ、また流布されておりますが、大臣は、AA制をどういうふうにお考えになっておるか一つ承わりたいのであります。
  25. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 貿易の自由化ということは世界の大勢でありまして、また日本の産業の上からいってもぜひ必要である。その準備といいますか、第一段階としてはAA制の採用ということがぜひ必要だと思います。こういうわけで実はすでに昨年以来できるだけAA制の拡張をしようということで、事務的にも検討をさせておるのでありますが、さていよいよやるとなると、それぞれの産業界あるいは農業方面等に種々なる事情がありまして、残念ながら今のところでは全面的にAA制を実行するというところにはまだ踏み切り得ないようなわけでありますが、しかし小さな故障はみんなにがまんしてもらって、できるだけ踏み切ってAA制の方に持っていきたい、かように考えて今せっかく検討しておるさなかであります。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 一昨日の新聞に、原子力の平和利用ということで、今までの原子炉の構造に大きな相違を来たしておるということが出ておりましたが、そうなってくると、今の日本の研究が過去のものになりはしないかというようにも私には考えられるのですが、こういう点に対しての政務次官の考え方を一つ伺ってみたいのであります。  さらにもう一つ、先ほどから論題になっておるペトロールケミカルにいたしましても、原子力の利用によって大きな問題が出ておるのです。ペトロールケミカルの問題はいずれにいたしましても、これからの日本の原子力の研究がもうすでに一世紀前の研究をするようなことにもなりはしないかと考えられるわけですが、こういう点についての齋藤博士考え方を伺ってみたいと思います。
  27. 齋藤憲三

    齋藤(憲)政府委員 その新聞記事は私拝見しておりませんが、御指摘通り、原子力の平和利用の問題は日進月歩でございまして、今日世界で研究をいたして原子力を発電に用いる構想をきめておる原子炉の実体も常に進歩していることは申すまでもないと思うのであります。どういう研究が行われ、どういう進歩がそこにもたらされているかはわれわれ予知することができないのでございますが、とにかく新聞に現われて参ります記事を通じて拝見いたしましても、この原子力の平和利用ということは、水力発電とか火力発電とかいうふうに固定したものではなく、今研究の途上にあるので、常に進歩があるということを想定して参らなければならぬと思うのであります。従いまして、日本が今日まで研究したものが直ちに現代的な原子力の平和利用に応用できるかというと、日本の研究は実際的には非常におくれておったということになりはしないかと心配いたしておるのであります。従いまして、原子力の平和利用の研究に関しましては、今日おそらく閣議の決定を経たと思いますが、原子力研究所を新設しまして、これを中心としてやって参る。日本で原子力平和利用という声は非常に高いのでございますが、その実態を解剖してみますと、世界的に比較しておそらくナンセンスに近いものではないかと考えておるのであります。従いまして、われわれといたしましては、日本の原子力の平和利用の研究はなるべく過去の廃物にならないような研究をやっていきたいと考えておるのであります。  もう一つペトロールケミカルの問題でございますが、これは私まだつまびらかにいたしておりませんが、最近興亜石油株式会社から配付されました「石油」というパンフレットを拝見いたしますと、アイソトープを用いた石油の精製の革新的な方法があるということが発表されているのであります。従いまして、アイソトープを用います将来のペトロールケミカルというものは大きな進展が期待される。でありますから、先ほどのお話にもございました、今日においては六万バーレルなければ引き合わない石油化学工業も、将来アイソトープの利用によって一万バーレルでも五千バーレルでもどんどんできるようなものが出てくるのではないかというふうに期待いたしております。
  28. 石橋湛山

    神田委員長 暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩