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1956-02-21 第24回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 神田 博君    理事 鹿野 彦吉君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君 理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    阿左美廣治君       内田 常雄君    菅  太郎君       菅野和太郎君    椎名悦三郎君       島村 一郎君    淵上房太郎君       松岡 松平君    南  好雄君       伊藤卯四郎君    加藤 清二君       佐々木良作君    多賀谷真稔君       帆足  計君    松尾トシ子君       松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (繊維局長)  小室 恒夫君         中小企業庁長官 佐久  洋君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局管理課         長)      江上 龍彦君         農 林 技 官         (畜産局衛生課         長)      斎藤 弘義君         通商産業事務官         (通商局次長) 樋詰 誠明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月二十日  委員田中武夫君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五七号)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五八号)  特定物資輸入臨時措置法案内閣提出第五九  号) 同月二十日  繊維産業臨時設備調整法案に関する請願田中  利勝君紹介)(第七二三号)  地籍調査促進に関する請願池田清志紹介)  (第八〇三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭に関する件  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)(予)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五七号)  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五八号)  特定物資輸入臨時措置法案内閣提出第五九  号)  通商産業基本施策に関する件  日本経済総合的基本施策に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  まず、小委員会における参考人出頭要求の件につきましてお諮りいたします。木材利用合理化に関する小委員長より、来たる二十四日の小委員会に、木材利用合理化に関する問題について、参考人として木材資源利用合理化推進本部専務理事田中申一君より意見を聴取したい旨の申し出がありました。小委員長申し出通り参考人出頭を求めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
  4. 神田博

    神田委員長 この際お諮りいたします。去る七日予備審査のため本委員会に付託されました高圧ガス取締法の一部を改正する法律案、また去る十七日本委員会に付託されました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び特定物資輸入臨時措置法案、以上の四案を議題となし、審査を進めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは高圧ガス取締法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び特定物資輸入臨時措置法案を順次議題となし、審議に入ります。  まず逐次その趣旨説明を求めます。石橋通商産業大臣
  6. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいま議題になりました四法案につきまして、その提案理由を順次御説明申し上げます。  現行高圧ガス取締法が施行されましたのは昭和二十六年でありまして、最近になって高圧ガス工業進歩発展に見るべきものがあり、新しい種類高圧ガスが出回って参りましたので、この事態に対応して、これに対する規制を強化充実する必要があります。これがこの改正法案提出しました第一の理由であります。  また、現行法を数年間運用して参りました経験に徴するに、二、三の規定について、従来よりも一段と保安上の目的を達成するために、規定改善整備することが必要であると認められるのであります。これがこの改正法律案提出いたしました第二の理由であります。  この法律案のおもな改正点を簡単に御説明いたしますと、第一に、液化酸素消費について、危害防止に関する技術士基準の整備をはかり、この基準に適合しておらない場合には、基準に適合させるための命令を出し得るようにするとともに、液化酸素消費する者に事業の開始とか、その施設の変更とかの場合に、届出義務を課して、監督上の建前を確立することがあげられるのであります。第三に、液化酸素消費高圧ガスの販売につきましては、相当多量の高圧ガスを取り扱っている場合とか、最近急速に伸びておりますプロパンのような危険な高圧ガスを取り扱っている場合には、災害の発生を防止するために、現場監督相当する取扱い主任者を十分な知識経験を持つ者のうちから選任して、これに保安上の一切の責任を課することが指摘されるのであります。第三に、高圧ガスを充填する容器に対する現行表示義務を拡張強化することが取り上げられております。これは、容器に充填して差しつかえない高圧ガス種類をその容器に明瞭に色分けして表示をさせる義務が、従来は容器の製造直後一回だけに限定せられていたのを改めて、その表示使用期間中に消滅した場合にも、義務を拡張させるものであります。  以上の改正のほか、昭和二十六年に定められて今日に至っております各種の手数料の金額を、その後の物価の変動に応じてこれを調整改訂するための改正とか、高圧ガス保安審議会委員の任期を、現行の六カ月から二年に延長するといった改正がありますが、主要な改正点につきましては、さきにあげました三点でございます。以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ御審議下さいまして御賛同あらんことをお願いいたします。  次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、中小企業者に対する貸付及び中小企業者債務保証につき政府保険を行いまして、中小企業者信用補完することを目的とするものでありますが、昭和二十五年十二月発足以来すでに四回にわたる改正を経まして、法規及び運用の両面におきまして相当の実績をおさめているので、ございます。すなわち、発足以来この一月末までに保険に付せられたものは、件数で十五万四千六石七十一件、金額で八百四十七億九千万円に上り、中小企業者に対する信用補完上大きな貢献をして参ったのでございます。しかしながら中小企業金融現状は、一般金融緩慢化にもかかわらず、容易に楽観を許さないものがあるのでありまして、特に小規模企業者金融難は今なお深刻な様相を呈しているのでございます。この際、小企業者に対する信用補完を一そう強化する必要が認められますので、この観点に立ちまして、今回中小企業信用保険法改正いたしたいと存ずる次第でございます。  次に本法案概要を御説明申し上げます。第一点は、信用保証協会相手方とする小口保証保険において、小企業者一人に対する保証限度現行の十万円から二十万円に、その小企業者中小企業等協同組合であるときは現行の三十万円から五十万円にそれぞれ引き上げることであります。  第二点は、信用保証協会相手方とする保証保険の一種として、新たに包括保証保険制度を創設することであります。すなわち、個々の小企業者の場合は二十万円以下の債務について、中小企業等協同組合の場合は五十万円以下の債務について、信用保証協会が行う保証につき、あらかじめ契約した金額限度まで品動的に保険関係が成立する制度でございます。この場合の填補率は九〇%、保険料率は年一分四厘六毛といたしております。  以上の改正は、いずれも信用保証協会の機能の発揮を強力に援護することにより、小企業者に対する小口金融円滑化をはかろうとするものであります。以上が本法案概要であります。  何とぞ十分御審議の上、御賛同賜わりますようお願いいたす次第でございます。  次に中小企業金融公電法の一部を改正する法律案につきまして 提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  昨今金融情勢はようやく緩慢化傾向を示しつつありますが、中小企業金融分野におきましては、この傾向はいまだ必ずしも十分浸透しているとはいえない状況にあります。従って、政府といたしましては、昭和三十一年度において、中小企業金融公庫及び国民金融公庫等政府関係金融機関資金源を拡充し、一そう中小企業金融の疎通をはかることといたしておるのであります。他方、商工組合中央金庫は、組合系統金融機関として中小企業金融分野において独特の役割を果しておりますが、組合金融の一そうの円滑化中小企業組織化を推進するためにはその貸出金利の引き下げは当面重要な問題の一つとなっております。そのためにはもとより商工組合中央金庫自身経営合理化並びに所属組合の協力に期待することが大きいのでありますが、政府といたしましても極力これを援助するため、さしあたり昭和三十一年度において二十億円の低利資金を同金庫に供給することといたしたのであります。このうち十億円は中小企業金融公庫から貸し付けるものといたしまして、今回ここに中小企業金融公庫法の一部について所要の改正を行わんとするものであります。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、可決せられますようお願い申しあげる次第であります。  最後に特定物資輸入臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。  昭和三十年度の国際収支は、輸出の著しい増大に伴い非常に改善を見ましたので、今後は必要原材料等輸入はできるだけ自由化の線に沿って進めて参りたいと考えておりますが、一方輸出特需等の受け取りの見通しは長期的に見れば必ずしも一がいに楽観を許さないものがあります。  従いまして、不要不急物資につきましては、今後もその輸入を制限することによって外貨使用の節約に努め、国際収支改善に努力いたさねばならないと存ずるのであります。従いまして、これら不要不急物資につきしましては、当分の間その輸入数量はかなり制限されることになると思うのでありまして、そのためこれら物資の国内における需給の不均衡が生じ、これら物資輸入すれば通常の利益以上の利益が生じてくるのはやむを得ないと考えられるのであります。しかしながらこのような異常な利益は、外貨資金割当によって反射的に生ずるものでありまして、この全部を関係業者に帰順させることは適当でないと考えられますので、政府としてはこの利益の一部を国庫に納付させて、これが有効な活用をはかることとし、本法案提案いたした次第であります。  本法案内容につきまして概要を申し述べますならば、この法律において特定物資とは、輸入数量が著しく制限されているために、その輸入によって通常生ずる利益をこえて異常な利益を生ずる物資をいうのでありまして、さしあたりは、バナナ、パイナップルカン詰、時計、スジコを予定しております。  特定物資輸入について外貨資金割当を受けた者は、一定額国庫に納付しなければならないことにしております。なお本措置はあくまでも異常な利益に対する臨時措置でありますので、有効期間を三年に限定した次第であります。  本法案により国庫に納入されました特別輸入利益は、別途国会の御審議を仰いでおります特定物資納付金処理特別会計歳入となり、これを産業投資特別会計に繰り入れる所存であります。特定物資納付金処理特別会計歳入に予定されておりますのは、約十六億円でありまして、これより予備費必要経費等を差し引いた十五億円を産業投資特別会計に繰り入れる予定でおります。  以上が本法案提案理由およびその概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、可決せられるようお願い申上げる次第であります。  以上、四案の大体の御説明を申し上げました。
  7. 神田博

    神田委員長 以上四件についての質疑は、後日に行うごとにいたします。     —————————————
  8. 神田博

    神田委員長 それでは前人会に引き続き、通商産業大臣経済企画庁長官公正取引委員会委員長主管事項説明に対する質疑を継続いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。鹿野彦吉君
  9. 鹿野彦吉

    鹿野委員 私はきょうは経済企画庁長官質問をいたしたいと思っておりますが、今来るまでの間に、関連いたすことですが軽工業局長にちょっとお尋ねいたしたいと思います。  現在わが国でアルコール食糧並びに工業川でどのくらい生産をいたしておりますか。一応お伺いいたしたいと思います。食糧はもちろん大蔵省所管でございましょうから、これは大体でけっこうです。
  10. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 お答えを申し上げます。工業用アルコールにつきましては、通産省所管官営工場を中心として、一部民間上場生産を加えまして、大体年間二万六千キロリットル前後というのが現状でございます。酒用の分については、これは大蔵省所管でございますので、詳細は承知いたしておりませんが、大体これの数倍程度の量かと存じております。
  11. 鹿野彦吉

    鹿野委員 私は与党の議員でございますから、そういった立場から御相談を申し上げるつもりで御質問いたしますけれども日本パルプ工業から出て参ります廃液を処理する場合に、現状において約三万七、八千キロリットルのアルコールがとれると私は承知いたしております。ところが、工業アルコールたけでも、今御説明にありましたように、二万六千キロリットルが一年間でまかなえる。しかもこの二万六千キロリットルは、食料不足日本において、若干のイモを処分するとともに、外貨不足現状において、廃糖蜜輸入して、これからアルコールをとっておるのが大部分だと承知いたしておりますが、通産当局はどうしてこの資源不足日本において、パルプ廃液からアルコールをとって、そうしてまかなうような状態に積極的になさらないのかどうかということについてお伺いいたしたいと思います。
  12. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御指摘のように、パルプ廃液利用ということは、きわめて必要なことであると存じます。そこで先ほど申しました、現在工業用アルコール約一万六千キロリットル、その約一五%、四千キロリットル程度は、パルプ廃液からの生産の分でございます。現在これを作っておりますのが三工場ございます。そのうち一工場は、御指摘のような趣旨から私どもが積極的に勧めまして、昨年の半ばごろから生産を開始しております。従いまして今後におきましては、ただいま申し上げました約四千キロリットルから六千キロリットル程度、全体にいたしまして二割以上はパルプ廃液生産に移る、こういう形になると思います。なおその他のパルプ工場につきましても、しばしば関係業者を集めまして慫慂いたしております。これには御承知のように、相当資金を必要とするわけであります。昨年生産を開始いたしました工場は、実は以前に半ば程度設備を進めておったのを中止いたしておりましたのに、これに昨年度において設備を補足いたしまして生産を開始したわけでございますが、その場合におきましても、たしか四億前後であったかと思いますが、その程度設備資金を必要としているわけであります。私どもといたしましては、御指摘のような趣旨から、その他のパルプ工場につきましてもこの生産を開始することを希望いたしておりますけれども、いろいろ会社経営等関係から、現在におきましては具体的な計画がないということははなはだ残念に存じておるような次第であります。
  13. 鹿野彦吉

    鹿野委員 ただいまの説明では私はちょっと不満なんです。ということは、基本的に資源不足であるという日本現状において、パルプ廃液からアルコールがとれる、しかもそのとれたもので少くとも日本工業用は全部まかなって余りあるというような現状だとすれば、積極的にこうしたものからアルコールをとるように推進いたしますならば——値段の点について今あなたは進めておると言うけれども、これは口だけでありまして、実際は、ほんとうに進めるということであるならば、採算がとれるように、しかもこれらのパルプ工場廃液からとる設備ができるように採算的にも買い上げることが至当だと思うのです。食糧イモをつぶしてとるアルコールは八万七百円で買う、パルプから取るものは六万九千円くらいだというような値段の差をつけておるわけでありますが、こういうようなことから積極的にこうしたものを進めるという立場に立たないのではないかと私は思います。しかしこうしたことについて私はあまり多くの議論をすることを好みません。ただ問題としましては、現在廃糖蜜からとれるアルコール輸入をしておる。しかも廃液から取れるものか非常に高いというなら別ですけれども、ほとんど値段において差がありません。そういうような状態において、やはり通産省のあなた方といたしましては、設備ができるように、採算が少しとれるように買い上げてやれば、銀行も幾らでも融資をして、また生産者は喜んでそれをやるということになると私は思います。そのような方向にぜひ向けていっていただきたいと私は希望いたすわけでありますが、そうしたことに対するお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  14. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま御指摘の点は、私どもとしていろいろな問題につきまして非常に苦慮いたす点でございます。と申しますことは、この工業用アルコールと申しますのは、御承知のように工業製品原料としてこれを供給しなければならないわけでございます。そのためにはできるだけ安くこれを供給する必要がある。私ども、このアルコール専売の運営につきましても、常時そういう点を念願いたしまして、最近数年間におきまして、一キロリットル当り十二万数千円から、現在は八万三千円程度まで価格を逐次引き下げて参っておるわけであります。しかしこれを国際価格に比べますと、やはりなお五、六万円程度にまで下げる必要がある。その方法といたし、まして、最近御承知石油化学の育成によりまして、エチル・アルコールとほとんど同等の用途に供し得る製品生産が近く行われるという状況であります。そういたしますと、ほぼ国際価格で従来アルコールを使っておりました溶剤にこれがある程度代替していけるのではなかろうかという現状でございます。従いまして、国産資源活用という見地から申しますと、御指摘のように、極力こういう極数のものを育成いたしたいという考えでありますが、一面におきまして、できる限り安い原料を供給するという面から考えますと、必ずしもそのように参らないと思います。そのような関係で、関係業界等におきましても、なお一、二この企業化について研究いたしておるところはあるようでございますが、工業用アルコール自体が、ただいま申し上げましたように他の新しい製品にある程度代替されるのではないかというような傾向もございますので、現在のところ先ほど申し上げたような状態にとどまっておるわけであります。  なお、現在パルプ廃液からアルコール生産しておりますのは、先ほども申し上げましたように、以前に設備いたしまして相当設備費も償却されている。そういう関係で、私どもといたしましては、その生産原価をもとにいたしまして買い上げをいたしておりますので、御指摘のように、比較的安いコストで生産が行われるという状況でございます。今後の問題につきましては、そのような事情のあることを御説明申し上げておきたいと思います。
  15. 鹿野彦吉

    鹿野委員 ただいまのあなたのお考えを承わりまして、私は非常に失望をいたしました。あまり質問を長く継続しないでなるべく早く切り上げるつもりであなたに申し上げたのですが、パルプ廃液からアルコールを作ることに磁極的になってほしいと言ったことに対して、あなたは、値段関係があるから石油化学方向にこれを求めるというお話でございました。私はアルコールの問題について御質問いたしましたが、経企長官が米ましてから木材利用という問題について基本的大御質問をいたしたいと思っておるわけですけれども石油化学からアルコールをとるということよりも、木材からアルコールをとるという考え方の方が一本にとって非常に必要である。しかもパルプ廃液からとれるところのアルコールが現在は非常に少いものを、切りかわっていないから六万円とか七万円ということになりますけれども通産省の方で積極的に買い上げるというような方針で金融の道なり何なりを助長してやれば値段がうんと下る余地があると私は承知しております。ことに石油化学といいましても、石油日本資源がございません。日本資源のないものを今後積極的に助長していくというよりは、日本にあるところの資源活用するというところに重点を置かなくちゃならないと私は考える。ことに今は、パルプ廃液から約三万五、六千キロリットルから大体三万七千キロリットルのものがとれる。工業用アルコールをまかなうのに二万五、六千キロリットルで間に合うならば、問題は、日本現状においてただ捨ててある資源です。ただ捨ててあるものを清川するという問題について、どうして逃げられるか。値段の点からというかもしれないが、値段の点といっても、今まで十二万円のアルコルーを買った当時でも、とっくに、パルプ廃液から取ればもっともっと取れる時代があった。現在は八万円のアルコールイモから取っている。その意味で、値段の点から申しましたならば、八万円のアルコールをとらないで廃液からとるようにどうして一生懸命にならないか。しかもパルプ廃液利用するのにもっと積極的になれば、値段廃糖蜜からとれるアルコールよりももっと安くできる可能性があります。それをわざわざ逃げて、値段の点から、今後石油化学の問題もあるからというようなことを言うが、どうしてただ捨ててあるところのパルプ廃液を積極的に利用するという気にならないのか、私は非常に不満に思いますけれども、重ねてあなたに私はそうしたことについてのお考えをお尋ねいたしたいと思う。
  16. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 先ほど少し申し上げ方が悪かったといいますが、私ども自身が先ほど申し上げましたような気持でやっておる、こういうわけではないわけでございまして、私どもといたしましては機会あるごとに、パルプ廃液からのアルコールの年産につきましては、これを助成していく考えを今後も持っているわけでございます。ただ先ほど申し上げましたのは、関係業界におきまして、先ほど申し上げましたような事情からややちゅうちょしておるような気配がある、こういうことを申し上げたわけでございまして、なお今後におけるアルコール需要量の推移なり、石油化学との採算の比較なり、それらの点を検討しておる会社もあるということは、先ほど申し上げた通りでございまして、通産省自体パルプ廃液からのアルコールについて消極的であるということはないわけでございますから、率直に関係業界の気持を申し上げましたので、その点は御了承をいただきたいと思います。
  17. 鹿野彦吉

    鹿野委員 私はそれでけっこうです。ただこれはあまりに大きな問題の氷山の一角としての問題でございますので、大したことでないということで、大臣は御承知にならないと私は思っておりますが、ただいま私が質問したような実情でありますので、通産省の事務当局の人々の考え方には私は非常に不満です。ぜひ一つ大臣においてこれを大局的に善処していただければ私は非常に幸いだと思います。  なお値段の点ということについて、今軽工業局長が言われましたが、パルプ廃液から処理することについて通産出局が少しく手をかしてやれば、値段はうんと安くなり、現に糖蜜を輸入しておりますのと同等、あるいはそれ以上の値段になるのは間違いない現状であります。ことに数量からいって、日本工業用に使えるところのものを全部まかなって余りがあるということも非常に大きな意味を持つものと思うし、また食糧の方に使うとしても、これを精製すれば食糧にも使えないことは絶対にない。アルコールは、何も木材のかすからとったところで、これを化学的に処理すれば食糧にも使えるわけですから、四万キロリッターにも及ぶところのものを全部化学的に処理するならば、いわゆる大蔵省関係食糧にもこれを回していくことができる。ことに大蔵省関係のごときは、値段が非常に高い。十方円、十二万円というような値段で、あれは保護産業のような形になって温存されていた姿でございますから、こうした問題とも関連いたします。ことに通産省が今までアルコール工場を持っておった格好を生かすために、やむなくこうしたところのことを承知いたしておりながら、工場を存続するためにということがあるならば、これは私はとられぬ方法だと思います。工場の処分なり整理なりは、別途の方法で、幾らでもやることができるのではないかと考えますので、ぜひ御善処あらんことを大臣に希望いたします。  私は経済企画庁長官も御列席の上において、この木材利用の問題について御質問いたしたいと思いますので、委員長経企長官の出席を至急に考慮して下さることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  18. 中崎敏

    ○中崎委員 関連して。先ほどの鹿町君の質問に関連しておるのですが、政府アルコールを作っておる原料は、主として澱粉と糖蜜のように考えるのでありますが、その割合は一体どういうものであるか、それをちょっと聞きたい。
  19. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御承知のように糖蜜もサツマイモも両方とも、価格の変動のきわめて激しい商品でございます。そこで私どもといたしましては、この工業用アルコールの専売の本旨にかんがみまして、できるだけ安い原料を使うということを基本にしてやっております。従いまして、年度によりまして非常に変動がございまして、たとえば昨年あたりはサツマイモが非常に高くなりまして、一方糖蜜の力は比較的安かったというようなことで、糖蜜を中心に生産をいたしたのでございますが、本年の見通しといたしましては、逆にサツマイモの方は相当の値下りをいたしておりますし、糖蜜の方は、これは御承知のように主としてフィリピンの独占の商品でございますので、いろいろな需給関係から非常な値上りをいたしておる。そういう関係で、本年は全体から申しますと、おそらくイモ原料とするものが三〇%、糖蜜が五六%、パルプ廃液のが一五%程度、こういうような全体の工業用アルコール生産計画を立てております。従いまして今年の現状で申しますと、糖蜜二に対してイモが一と、ほぼそういうような割合になると思います。
  20. 中崎敏

    ○中崎委員 そこに問題があると思うのであります。ことに国内におけるイモのごときは、農業政策の上において、できたイモはどうしても政府において買い上げて処理する。これはアルコールばかりじゃありません。そのほか食糧等、あるいは値段等によればゴム等にも使われるように聞いておるのであります。そうした面を総合的に考えなければなりませんので、ほとんど全部が輸入である糖蜜を主たる原料としてというか、この量を二対一というような高度の量において使うという、ここに問題があるのではないか。ただ単たる採算一木において、ときには砂糖の方が幾分か採算的には安いからというような、ことに政府事業を単にそういうような角度から、全部が輸入だといってもいいくらいな糖蜜を多くつぶすという、こういう行き方に問題があると思う。そこで鹿町君がさっきも言うように、ことに廃液でどんどん捨てておるものは簡単に回収がつき、しかもそれはコストが安いんだということになると、当然ここに大きなウェートを置いて今後指導さるべきではないか。ことに今言ったように廃液からのものは安く買える。それを買い上げないという方針をとっておるからそうなるのであって、むしろ糖蜜というようなものは使わない、逆に廃液という面を助長していくというか、そういうふうに変えていくべきじゃないか。政府は、必ずしも値段の点だけでなくして、数量の方も、もう輸入一本で、パルプ廃液は貰い上げぬのだという方針のもとにやっているんじゃないかと思うのですが、そういうような考え方でなしに、もう少し高い角度から産業行政全体を見ていく必要があると思いますので、この点いかがですか。
  21. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 先ほども申し上げましたように、パルプ廃液からのアルコール生産は私ども大いに助成いたしたい気持は、現状においても何ら変りはないわけでございます。それから買い上げ価格につきましては、これは工場ごとに原価を査定いたしまして、生産費に適正な利潤を加えた額で買い上げておるわけでございます。従いましてパルプ関係の業界におきまして、パルプ廃液からアルコールを作るという企業計画がありました場合には、われわれとしては決してこれを抑えるとかいうことではなくして、積極的に助成するという考え現状におきましても何ら変りはないわけでございます。
  22. 神田博

    神田委員長 次は帆足計君。
  23. 帆足計

    ○帆足委員 経企長官と通産大臣御両所に御質問したいと思いましたが、長官がおられませんのでまことに残念です。年頭の両大臣の御報告を承わりまして、また速記録をしさいに拝見いたしまして、政策の重点は相当正しく指摘されておりまして、保守政党の大臣としては、私はやはり最高の御両所であるということを痛感いたしました。方針の重点の置き方などは大へん合理的に指摘されておりますけれども、何か盛り上る力が足らぬというが、筋金が足らぬというか、なまぬるいというような感じを持ちましたことは、これは一つにはやはり保守政党の性格からくるものと思いますが、他方では、やはりアメリカの占領下にあって経済政策にほんとうに盛り上る自主性が足らないのでないかということを痛感いたしました。  何分にもその中で一得大きな問題は、やはり軍事の問題でありまして、今日戦争に敗れた日本として、軍事費の問題と経済政策との調整をどうするかということについての識見というものがない限り、私は活発な日本経済の復興は困難であると思っております。元来政治は軍事に優位せねばならぬ性質のものであって、軍事のことを通産委員会で論ずるなどということはお門違いであるというふうに考える方がおるとするならば、それは時代錯誤であって、国の安全保障の問題、軍需工業の問題などはもはや旧式の軍人にまかしておくべきでなくて、われわれ健全な良識を持っている市民がその大綱を決定すべき時代であると思います。昔の陸軍士官学校を出たような人が近ごろ代議士などになって、多少軍事費予算について何か子供らしいことを言うて、そういう子供たちの作った軍事費がアメリカのまた子供の軍人と一緒になって、一千億近くの金がほとんど検討もされずにうのみにされておるということは、明治三十七、八年の戦争を準備するのに新選組、新選組の諸君の知恵を借りているのと大体同じではあるまいかと患われる次第です。特に原爆は水爆となり、水爆を運ぶための電気誘導が米ソ両国にそれぞれ完成しつつある。特に幸か不幸かソ連側の力が一そう技術が進んでおるということをアメリカの軍部当局が嘆いておるような状況です。そういう状況のもとに軍事に対して政治を優位せしめて、総合的に見ますと、結局アメリカの参謀本部が日本に要請している軍事というものは、アメリカ本土の防衛のためにアメリカの子供らしい軍人が考えた戦略にすぎないのであって、敗戦国としてしばらくおつき合いをせねばならぬとするならば、おつき合い程度の軍事費でよいのであって、私はこういうことを本気に考えるのがどうかしていると思うのですが、おつき合いというものはエチケット上仕方がありませんから、多少のおつき合いはしておくことも保守政党としては仕方がありませんけれども、一体日本人事身の安全は何によって保つか、今日の兵器の段階から見まして一体安全保障とはどういうことであるか、日本の防衛の外側の基地はどういうところに置かるべきか、多少でも国際紛争が起ったときの日本の軍事戦略的意義はどういうことであるか、アメリカが日本を助けると言うけれども、それは具体的にはどういう意味であるかなどということをもう少しまじめに考えておく必要がないか。そうしてできるだけ軍事費はやはり節約して、スマートにこの問題に対処する必要があると思うのですが、大局から見まして、原爆、水爆のみならず、電気誘導弾がほぼ完成した今日、B29も、ジェット機の時代も過去のものになろうとしておる今日、もう戦争はほぼできない段階にきておると思います。通産大臣はその見通しを一体どういうふうにお考えになっておって、そうして閣議または予算策定について御検討になっておられるか。まず国際情勢の見通しについてのご意見を伺いたいと思います。  というのは、これは夢をみておるような時代であって、実際軍需工業のことを論議しますことは、半ば子供の冒険小説、空想小説を語っておるほど技術が進んで参りしましたので、過去の常識はほとんど役に立ちません。私は敗戦の軍人が近ごろ何かときどき論文などを書いておるのを見て、子供に作文を書かせて一流雑誌に載せられるようなことは控えさせたらどうであろうか、国民を誤まるものではあるまいかと思っております。今日は国民の良識によってものを考えることが私はやはり正鵠を得ておるように思います。平和の見通しがほぼ立ち得るし、戦争がないとするならば、島国の日本としては、あらゆる機会をとらえて国交調整と貿易の進出をはかり、もう第一にも貿易、第二にも貿易、第三にも貿易と、何と言われようとただひたすら貿易を伸ばすということが外に向って必要であって、内においては国土の開発、科学技術の振興、中小企業を過渡期においてできるだけ活用すること、国民生活の安定など、これは大臣の施政演説で非常に的確に指摘しておられる通りだと思うのですが、とにかく平和と貿易に寄与することはすべて善であるというくらいに思い詰めてよい日本の置かれた地位であると思います。この問題について大臣は、まだ戦争の危険性がある、何かバズーカ砲やナパーム爆弾でもおたよりになったり、オネスト・ジョンさんの御厄介になったり、あるいは海綿が吸収するごとく、アメリカがソ連の原爆を吸収する基地と定着しておるような基地を作ることに趣味をお持ちになったり、ふるいは青年をぶらぶら遊ばせておくよりも、百万円ずつかけてお一、二をさせた方がいいという子供じみたことに趣味をお持ちになったり、そういう趣味がおありにたりますかどうか。その辺の通産大臣としての国際的教養の水準をまずお伺いしてから論議した方がよかろうと思いますので、そのことを伺いたいと思います。
  24. 石橋湛山

    石橋国務大臣 えらい大きな御質問でありますが、国防の上からいいましても、経済の発展向上、国民生活の安定ということが一番大切でありますから、むろんそこに観点を置いて、もし国防というものが必要としましても、経済上の問題がかなり優先的に取り扱わるべきものだということは私もかねがね考えておるところであります。ただこれから戦争があるかどうかということは、これはわからぬことでありますが、戦争がないといわれたことは幾度もありまして、現に日露戦争で使われた武器の、あのときとしての非常な発達は、今から言えば非常におかしい、村田銃くらいのものでありますが、それだけでも今後武器の発達によって戦争ができないという議論が有名なブロッホによって唱え出されて、世界を一時風擁した。その後ノルマン・エンゼルのグレート・イリュージョンも現われた。そのように武器の発達、あるいは経済の発達によって今後戦争は起るまいという予想はずいぶんあったにかかわらず、いつもそれが裏切られて第一次戦争が起り第二次戦争が起った。こういうわけですから、私は今原爆、水爆が発達したからこれで戦争は起らないとすぐに断定することは、過去の事実によりますとなかなかむずかしい、あぶないことだ、こうも思います。ですから武器の発達によって戦争が絶無であるとまではまだ断定することはできない、断定するような材料をまだ与えられていないように思うのであります。ですから日本としても、こういう国際情勢でありますから、そういう点について相当の考慮を払う必要がある。しかしさっき申しましたように、何も武器を持ち兵隊を持つだけが国防じゃありません。旧跡の方法にはいろいろやりようがあろうとは存じておりますから、できるだけ経済の強固なる発展をはかる、たとえば軍備にしましても、防衛産業の裏づけのない兵隊は人形のようなものでありますから、人形の兵隊を作ることは無意味だと思います。ですから国防をやる限りは相当防衛産業をについても考慮を払わなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  25. 帆足計

    ○帆足委員 多少の哲学をお持ちの通産大臣のお答えとしては私はまことに陳腐であって、残念だと思いました。多分政務にお忙しいため、近ごろ読書を怠っておるのではないかと思います。最近の原子科学の進歩、誘導弾の進歩について、もう少し書物をお読みになったらいかがであろうかと存じます。なるべく通産大臣をひまにして、もう少し勉強していただく必要を痛感いたします。ただいま防衛産業という言葉をお使いになりましたが、まあ五月人形産業くらいの表現をなさるのが至当である。それほど今情勢は変りつつあります。インドのネールがお釈迦さまの国に生まれたからああいうことを言うわけではなくて、ネールの理想主義、またチャーチルの言葉にしろアイゼンハワーの言葉にしろ、やはり現実を見てものを言っておると思います。最近のアメリカの日本に対する政策などを見ますと、三つに分れておるようです。一つはアメリカの参謀本部の意向、それは昔の関東軍のようになかなか強いのですけれども、大体一年おくれておると思います。それから国務省がその中間にあります。それから大統領府の意見、大統領府と国務省との間に半年の開きがあり、国務省と参謀本部との間に大体半年の開きがありますから、石橋さんほどのお方はアメリカ参謀本部の子供などを相手にせずに、やはりアイゼンハワーの言うことに耳を傾けられまして、ダレスさんあたりは軽くいたしておくくらいの識見を持っていただきたいと思います。私は日本人の教養はそう低くないと思うのです。少くともダレスさんたちよりもわれわれの方が勉強しているのですから、もう少し日本国民としての誇りも持ち、自主性を持ってものを考えるべきだと思います。インドのネールが非常によいことを言った。私はあれがやはり大きな国力になっておると思うのです。しかしインドの内政はどうもあまり感心しません。風土苛烈な国ですからインドも容易なことでないと思いますけれども、ネールの内政にはあまり感心いたしておりません。インドの産業大臣と日本の産業大臣とどちらが偉いかといえば、私はおっつかっつではあるまいか日本の力が少し優秀であるまいかと思っております。しかし国際外交の見通しについてはやはりネールは非常によく勉強しておるように思います。従いまして石橋さんは、もう少し国際情勢並びに軍事の問題及び貿易の問題に力を注いでいただけば、名実ともに保守政党第一級ということになるのではないかと思います。ただい正の御答弁を伺いまして、私はなぜ遺憾であるかといいますと、石橋通産大臣は非常に剛腹な方で、決断力もお持ちだというふうにれれわれは期待していたのですが、近ごろ石橋さんのところへくると、どうもぐずぐずして、消えてしまうということをよく聞くようになりました。そういう率直なことを直接お耳に入れる議員があるかどうか知りませんけれども、ちょいちょいそういうことを聞くのです。私は、石橋さんだから石橋をたたいて渡るという主義ではなくて、もう少し果断なところがあり、意見をもって経済界を指導されるものと期待しておりましたところ、多少期待が——まだはずれてはおりませんが、はずれるおそれがあると思いますので、苦言を呈しておるわけです。  それからはもう一つは、これは経企長官に聞いていただきたいと思っておりましたが、今日のような事態では、経済政策は国際的視野に立つと同時に、総合的でなくてはならぬ。そうすると——いつも国民生活の安定ということを最後に付け加えるわけですが、経済の源は生産力です。生産力はやはり人間の労働が基礎であって、働く者が、技術者、科学者を含めて、ほんとうに働くという気持ちにならなければ国の力はわき上がらないと思います。ところが総合政策の面で、これは主として高橋さんの方の受け持ちなのですけれども、国民生活の安定ということについて、やはり現内閣が熱心でない。それが通産行政とどういう関係があるかといえば、非常に関係があるのです。健全な社会政策、労働政策、国民生活対策の裏づけなしには産業政策というものは、成功しないと思います。たとえば社会保障の問題にしましても、これはやはり国務大臣として気をつけておいていただきたいのです。経済界で働いているものは、経営者だけではなくて、これに協力している労働者も、労使合理的に協力し合ってこそほんとうに能率が上がるのです。たとえば最近結核病理学が非常に進歩しまして結核は近くもう過去のものになる。一時的現象として今結核の費用がちょっとふえておるのです。しかし五年、十年後は急激に減る。そのことも知らないで、わずか四十億円くらいの健康保険の費用を節約する。きのうは肺病患者が国会を取り巻いてしまった。私は肺病患者のバスに乗って一緒にきまして、この辺にうんとばい菌がついておると思いますから御用心願いたいが、結核菌をふりかぶりながら政府に陳情しているような状況です。それから住宅政策にしましても、もう少し立体建設を考える必要がある。これはセメント工業その他との関係もあるので、だからこそアメリカからスレートを輸入しようと思ったなどということはおっしゃらないで、これは国産の技術があるわけです。モスクワでアパート建築を見てきましたが、この壁全体くらいのがワンユニットで一尺くらいの厚さで、その中にパイプも電源もガス管も通っているのが何百と大量生産されて、超重機でそれを組み立てて、丸ビルよりちょっと小さいくらいのアパートが七ヵ月でできる。それで、そういうことも私は通産省の仕事になると思いますが、日本では立体建築が必要だと思うのですが、そういうことに対して通産大臣は、これはほかの省の問題だなどとお考えにならずに、やはり一応の常識は持ってもらいたい。また、たとえば貿易と並んで移民と言うことを言われておるけれども、一万人移民するのは大変なことです。ところが日本には朝鮮人が七十万もおって、そのうちの二十万は所を得ずに犯罪の温床になっておる。または場合によってはアナーキスティックな、破壊的社会運動の温床になっている。それらの朝鮮人諸君は朝鮮に帰りたいと言っているのに、外務省はいまだに帰さないのです。十万くらい帰ってもらえば、ある意味では十万の移民にもひとしいような状況になる日本現状です。こういうような問題をすべて総合してやらねばならぬのに、総合施策の不十分なために、経済政策の背後に至るところにひびが入っておる。戦争中私はナチスの政策が初期に成功したときに、ナチスというやつは、非常に野蛮な、二十世紀の神話を信じているやつですが、他面ではドイツ民族の長所があって、例のライヒスアウトバーンとか、喜びを通じて労働の運動とか、なかなかインテリの喜ぶような味な一面もありました。われわれインテリとしては、ナチスの成功とあの愚昧な民族政策、二つを見ながら、半信半疑で、半ばきらい、半ば共鳴したような状況でした。あのときに、ボール・ベアリングでは当時世界一の名声を持っていましたスエーデンのSKFの若い社長が、当時の経済連盟に来まして、一場の演説をしました。そうして話がたまたまナチスのことに及びましたときに、日本の憲兵隊をおそれて遠慮して発言をしましたけれども、古典経済学の目的は、結局労働者並びに国民大衆の生活を最後的に向上させるかどうかにかかっている。ナチスは今失業救済に、それから軍備の充実に努力をしておるけれども、その失業救済運動も、大体軍事力の強化に重点が置かれている。真にドイツ民族の生活水準を高めることを目的としているかどうか、またそれに到達し得るかどうか疑問だと思う。というのは、ナチスの民族の哲学に、非常に大きな、民主的でない、神秘的な非合理的要素があるから、自分はそう言う点で、ナチスは今隆々として興りつつあるけれども、信ずることができない。古典経済学にはいろいろの欠陥があるけれど、民衆の生活を明るくし、向上させる限りにおいて、自分は古典経済学に自信を持つ。これは資本主義古典経済学を自画自讃したのですけれども、それだけの自信があるからこそ、スエーデンはアメリカをしのぐほどの国民の生活水準を維持している。さすがスエーデンの実業家だけのことはあると思って話を聞きました。資本主義制度でも、国民生活を擁護し、国民生活を向上せしむる力を持っておる限りは、われわれと主義主張は違いましても、尊敬を得、国民の信頼を得るのですけれども、国民生活を上げる力もなくし、国民生活の向上に何ら興味を持たなくなり、またはそれを上げる力がないばかりか、むしろ下げるようになったときには、それはもうぼつぼつ退場していただかなければならぬのですから、経済政策において、私は最初から考えねばならぬこと、最終の目的、それはやはり国民生活の安定向上という点にあると思う。その点が現在の政府の施策において一番欠けている点だと思う。それが欠けておって、いかに通産大臣が生産性本部などに補助金を出してみたところで——この間ニ、三日中に祝賀会があるとかいって、郷司君から案内状をもらっておりますけれども、社会党の議員は行こうか、行くまいかといって相談しております。友達に行こうかと言いましたら、君、行くな、行くなという空気が多いのです。こういう空気は、すなわち政府の施策が成功していない証拠です。至誠天に通じていない。われわれがどうも喜んで行く気になれないということにも、重大な欠陥があるということを考えてただきたいと思います。  話が余談にそれましたが、第一に国情勢、第二に国民生活の安定について御注意を促した。大体代議士というものは、質問をせぬか、こういうのですが、私は相撲の呼び出しじゃあるまいし、質問をして政府の意見を聞くだけでは、何もならないと思う。自分の意見を語ってこそ、そうしてそれが新聞に出なくても、速記録に出て、多くの人がそれを見て、なるほどこういう点に問題があるということを知ることが必要なんです。質問よりも要望の方が私は大事だ、こう思っております。またやはり多少なりとも大臣の御参考になると思うのです。先ほど大臣は、私が国際情勢とそれから軍備についての考え方をお尋ねしたら、大きな問題だと言われましたけれども、私は決して大きな問題じゃないと思うのです。人生の問題すべて、哲学から生死の問題を含めて、これはすべて常識の問題で、われわれが動物でない限りは考えておかねばならぬ問題である。国際情勢や和戦の問題を大きな問題だというふうにもしお考えになるとすれば、もう多少通産大臣が時代におくれつつあると言えるのじゃないか。決して大きな問題じゃなくて、それは切実な問題であるというふうに言っていただきたかったのであります。  第三には、日本の昨年の景気は、アリカのブームによるものでございました。私はアメリカのブームが去年の神風であったと思うのです。それから国内の豊作、豊作とブームによって去年は無事に過しました。ことしは国内の気候はどういうふうになるか。今ごろからもうぼつぼつ春気配だから、虫害でもふえやしないかと思って心配いたすのですが、国際的にアメリカの景気が一体今後の見通しはどういうことになるか。数日来ソ連の共産党大会が開かれましたが、ソ連もだいぶ若返り始めまして、スターリンを神様のように考えておりましたのが、そういう考え方はどうも科学者にふさわしくないということを、フルシチョフが言っております。私はこれは大へんよいことであると思って新聞をみました。現内閣のおかげで、私ども公用旅券をもらいまして、昨年は三十八名モスクワに参りまして、フルシチョフ、ブルガーニン元帥と二、三時間ゆっくり話し合ったのです。実は私ども、ああいう大きな旅行をして、あとはコーカシヤの果てで、シルク、ロードを通ってきた美人のあそこが本原地ですが、多くの美人も見学しました。ブルガリア、ルーマニア、チェコスロバキア、ポーランドなどにも約三カ月ばかり私行って参りました。こういう旅行をして参りますと、どうしても石橋さんに一晩くらいあけていただいて、どこかでゆっくりごちそうにでもなって御報告をすることが非常に大事なことであると思いました。フルシチョフに会いました印象や、それからブルガーニンに合いました印象などを、野党からも与党の議員からも、詳しく通産大臣や総理大臣のお耳にも入れておかねばならぬということを痛感いたしました。昨日のようにソビエト・ロシヤにおいても大きなものの考え方の変化が起りつつあるのでありますが、このことはわれわれ視察団がモスクワに参りましたときにも、非常に痛感した問題でございます。そういう点もあわせまして、国際情勢、特に国際景気の推移はどうなるか。ヴァルガ教授にも一時間半ばかりモスクワで会いましたが、ロシヤの経済学といえば、アメリカの恐慌一点張りじゃないかというふうに昨今の新聞に若いてありますが、私もアメリカにただ古典的に週期恐慌がくる——第一次大戦後十一年目に一九二九年のアメリカ恐慌は起りました。ちょうどことしが第二次大戦後十一年目でありますから、ぼつぼつアメリカの恐慌の心配がある。これは公式論でありますが、しかし公式論というものはなかなか強い力を持っておるものでありまして、私は根拠なしにこれを無視することもできまいと思う。従いましてアメリカの景気の動向について、もう少し官民ともに検討を必要とすると思っておりますが、幸いに通産省当局から最近の国際景気の見通しについて多少の御勉強の成果を発表されまして、二、三日前にその文書をいただきましたので、私はまだ全部拝読しておりませんが、ゆっくり拝読いたしまして、こういう勉強の結論について通産大臣に責任を負えなどというやぼなことは申しません、結論が間違っておりましたところで、こういう態度で通産省当局が諸外国の経済指標を整理して見通しを立てられようとされ、われわれに参考資料を与えられました御努力に深い敬意を表し、この際お礼を申し上げる次第でありますが、私は世界景気は、いろいろその後の防波堤ができておるにもかかわらず、やはり安泰ではあるまい。昨今の情勢はブームの状況著しきものがある。従いまして経済界においてもやがて不況どころでなくて恐慌がくるおそれがあるという前提のもとに、国内態勢の整備、国際的な不況または恐慌がきたときの準備などということも念頭に置いておかねばならぬと思っておりますが、通産大臣はそういう点をどういうふうにお考えであるか。アメリカ経済は特殊の形をたどった資本主義経済であるから、不況の心配はない。古典的恐慌などというものはあり得ないというふうに安心しておられるのか、それともこの問題は研究すべき課題として心をとめて準備しておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  26. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いろいろ私に対する御忠告やら御意見ありがとうございます。一つ勉強するひまをいただくようにお願いいたします。  最後のアメリカの経済界の見通しにつきましては、これまたなかなかむずかしいと言うとまた御批判を受けるかもしれませんけれども、実際においては切実なことです。切実な問題であるが、またむずかしい問題であると思います。ですけれども私は、非常に大ざっぱな言い方ですけれども、一九二九年のあの恐慌以後経済学も変りましたし、それからいろいろ恐慌というものに対する処理の方法というものもそれ以前と全く考え方が変っております。ですからこの政策といたしましても、現にアメリカがやっておるのでありますが、私は過去におけるがごとく一九二九年に現われたよう大きな挫折がくるということは信じておりません。それは波が打ちますから、今までの景気がそのままの調子で向上していくということはちょっと言えないと思いますけれども、非常な挫折がくるというふうには考えておりません。大体において横ばいと申しますかの状況で、これはアメリカもあるいは欧州の方面もいくのではないか。英国のごときも最近公定歩合を上げたり、あるいは政府相当引き締め政策を発表しておりますが、それではこれによって英国の経済界の状況が非常な変化を来たすかというと、そう思わないのでありまして、ただ英国、アメリカも大体近い状況でありますが、ほとんどフル・エンプロイメントを超過した超フル・エンプロイメントというべきような状況でありますから、ずいぶん警戒は厳重にしておる。その厳粛にしておる警戒がこの間の英国あたりの政策になって現われてきた。警戒されているだけに私はまだむしろなだらかにいくのではないかと考えております。
  27. 帆足計

    ○帆足委員 モスクワでヴァルガ教授に会いましたときにいろいろ話が出まして、自分は友だちとして言うけれども、経済学というものはやはり公式から出発すべきでなくて、具体的な資料、現実の動きの中から今後の見通しを立てねばならぬと思う。それについて日本経済の一番の重点はどこにあるかというと、やはり貿易だと思う。日本質易の重点はどこにあるかというと、結局アメリカの景気変動に非常に大きな影響を受けるということを言っておりました。私は他山の石として、やはりいいところをついておると思って帰って参りました。ちょうど戦争後今日十一年目でありますし、確かに世界は大きな曲り角に来ておりますので、私は今後とも両大臣の事務当局から資料を十分いただきまして、十分に検討し、整理整頓いたしまして、気がつきましたことがありますれば、大臣にも御参考に申し上げたいと思います。  貿易が非常に重要であるので、当然北アジアの貿易に私などは重点を置いておるのですが、中国との貿易だけが非常に重要であるということではございません。しかし先ほど申し上げましたように、戦争が大体避け得るようになりつつあるとすれば、いかなるすき間をも利用して貿易を拡大せねばならぬ、それが日本国民のために絶対にいいことであると私は信じて、中国貿易という、多少世論からときどき非難される方面の仕事に重点を注いで参ったのですが、昨年は輸出入合計一億ドルに達しまして、輸入が七千万ドル、輸出が三千万ドル、差額がいわゆる逆トーマス残などといって、為替当局に御迷惑をかけておるわけですが、これはココムの緩和がされましたならば解決つく問題です。そうなりますと、最小限度自然発生的に、自然の運行にまかせましても、去年七十万ドルの輸入は今年一億ドルの輸入になり得る。輸入が一億ドルとすると、ココムが緩和されれば輸出も一億ドルになり得ますから、日中貿易はきわめて控え目に見ましても一億ドルというものはすでにワクの中に入っておる状況になっております。時たまたま中国では、来年度において第一次五カ年計画は終りまして、再来年からは第二次五カ年計画が始まる。特に中国における農業の改革が全国的に今行われる技術的準備をしておる段階のようでございます。四年前に私が北京を訪れましたときには、満州すなわち東北にあります施設の修理復旧等に全力を注ぎまして、日本の技師を相当数流用し、日本の技術、日本の部品を使って復興しておりましたけれども、今日第一次五カ年計画の終りに臨みまして、もう諸国包囲の中でありますので、ソ連の技術また機械、それからチェコスロバキア、鉱山関係などはポーランド等から非常にたくさんの機械と技師が参っておりまして、四、五年前に参りましたときにはロシヤ語の技術書もあまり多く見当りませんでしたけれども、今日北京の町の書店には、ロシヤの産業技術に関する専門書が、もうぎっしり詰まっておるような状況でございます。従いまして、第二次五カ年計画のときに、日本の機械、工業技術が、そして中国の国土に適応したものが輸出されませんと、もはや時期を失するおそれがあるということを痛感いたしました。従いまして中国のあの膨大な国土における需要に日本商品が入って参りますには、この一両年の間に態度を決しませんと、すでに時期おくれになるという重大な転換期に今面しておることを、特に大臣に御了承願いたいのでございます。  それから第二には、以前には進出口公司が大体取引の相手でございましたが、中国の建設も進み、その建設に必要な物資の数量と秘教が膨大な金額になるに及びまして、各業種別及び地方別の公司、地方別の貿易会社が非常にたくさんできまして、そのほか現場の企画、工場の建設企画、それから農村の購買組合等の購買力が非常にふえまして、現実には下からの発注によって物資の需要がきまる。そのために、従来取引の中心でありました進出品公司は、むしろ発注の総合調整をしているような機構に移りつつあるのではなかろうかというような点も想像できるようになりました。またもう一つは、日本が敗れましたときに、二十才前後でありました青年が、今は三十才前後になっております。四十、五十の今日の中国の指導者諸君は、日本のことをよく知っておりまして、日本のすぐれた風土、日本の国民の勤勉、日本の技術の優秀性などを知っておりますので、日本に対して深い理解も持ち、日本との貿易の拡大を切望しておりますけれども、二十才以下の青年たちは、戦争中の日本の軍人の野蛮な行いや、知能の低い支那浪人の印象などしか念頭になくて、技術における日本のすぐれた実態というものはほとんど知らないのであります。  それから第三には、中国では漢字の制限が急激に行われまして、ことしの一月からは漢字の字数も千字前後に制限しまして、人民日報、大公報、すべて横書きになってしまいました。驚くべき改革が断行されました。言葉も北京官話一つに統一されまして、数年後にはローマ字または適当なる音標文字にかえることになっております。こうなりますと、もしじんぜんそのままの状況で推移いたしますと、機械は相互に規格の統一、同一系統の技術を要求いたしますので、日本から全く遮断されたソ連、東欧諸因、または一部西欧諸国の機械技術が入り、もしくは音標文字にかわるとするならば、六千年にわたる同文同種の民族よと私たちが呼びかけてみたところで、数年後にはそういうことはもう過去のことであって、三十年前に別れた恋人にあのときの接吻の味はどうだったと言ってみても、その娘はもうすでにとついでしまって、六人も子供がおる、そういう他人の奥さんに対して同文同種よと呼びかけるようなあわれな姿になるようなことを私は心配いたします。英国はすでに中国を承認しておりまして、代理公使を北京に置きまして、相当額の貿易をしております。現在東西貿易の総額は、昨年度四十億ドルの中で、日本の占めている地位はわずかに一億ドル、これは私は通産大臣の責任かないとはいえないと思います。また去年の数字ではなくて、一昨年の数字を見ましても、すでに英国は一億数千万ドルを輸出し、二億ドル以上のものを輸入しております。しかしもしことしの秋に日本の商品見本市を北京、上海で開くことができるならば、そしてちょうど転換期の小国に、地方分公司や業種別公司や、地方の経済建設の現場が今や盛り上ってきた中国に、それから三十台前後の日本を知らない今の主任級の多くの青年たちに、日本商品の生活必需品関係、建設関係、両面における最近のすばらしい成果を見せることができたならば、中国の人たちは、戦後の日本はこれほどすばらしい技術と製品を持つようになっておるのか、それではソ連、東欧諸国だけではなくて、また遠い、はるかに離れた西欧諸国に半を頼むのではなくて、もう一ぺん日本工業を百認識して、平和の基礎の上に日本経済と提携しようという気持か油然として起ることは、火を見るよりも明らかであります。もしこの機会を失したならば、次の機会をとらえることは私は非常に困難だと思います。従いまして二カ月、三カ月、四カ月、北京、上海で日本商品の見本市を今度開くことができれば、それは英国が代理公使を置いておるよりも、もっと重要な役割を果し得ると思います。従いまして、通産大臣のところには、今度の商品見本市を成功させてもらいたいという陳情がたびたび参っておるので、大臣もその意義については十分御承知でございましょうけれども、私が先ほど御指摘申し上げましたような諸点をもあわせ考慮下さいまして、なるほど説明を聞いてみると、自分が考えた以上に重要な役割があった、また重要なポイントに立っておるということを御勘案下さいまして、何とかこの見本市が成功するように、物心両面に御指導を得たいと思う次第です。この問題についての予算措置については、先日総理にも申し上げてありまして、これは私は、しようと思えばできることで、さした問題でない、当然して下さることと思います。  もう一つは、ココム輸出制限のために、その見本市に出品ができないのではないかということを非常に御心配下さっておるということも伺っております。しかしこの問題につきましては、今この展覧会を見に来る人たちは大体技師長が引率しまして、中国の展覧会では日本のようにただ遊びに来るのではないのです。みな手帳を持って、大学ノートを片手にして、それから鉛筆を片手にして、隊を組んで何万という大衆が見に来ます。あるいは農村の購買組合の人々が見に来、あるいは工場の建設現場の技師たちが隊を組んで見に来る。その人たちに日本の新興製品日本工業の実態を見せるわけですから、これは非常に慎重な配慮が必要で、ある。もしココムの制限のために、最近の日本の電子顕微鏡とか日本のすぐれたトラックとか日本の大型の脱穀機とかポンプとか、それから各種の電気機械などというものが展覧できないで、そうして展覧するものといえば、北海道のワカメ、コンブ、ナマコ、それからサメのひれのほしたのとかみやこ腰巻とか自転車とか越中宮山の反魂丹などを並べたのでは、日本の実情を何にも知らぬ、三十代の青年は、日本ではこういうものしかできない、わが偉大なる隣邦ソ連ではあれほど偉大なものを作るのに、日本ではこれほどのものしか作れないのかといって、逆に認識を誤まらせるおそれがあることを私は大臣とともに心配するものであります。従いまして、これは何とかして日本のすぐれたものを申さねば——決して軍需品ではありません、平和建設資材、日用生活物資の中のすぐれたものを出して、そうしてかつてアジアの窓であり、アジアの星であった日本は、戦後においても平和の建設においては著しい進歩を示しておるということを見てもらう必要があると思うのです。ココムの制限というのは輸出に対する制限であって、輸出ということは売ることなんです。アメリカが苦労しておる今日、戦略物資を売ってはならぬというわけで、それは日本はどこの国よりも正確に守っておるわけです。この戦略物資というのは、本来ソ連に対して戦略物資一覧表というのができたのであって、それはバズーカ砲とかオネスト・ジョンなどをソ連に売ってはならぬというのであるから、たれしも当然のことと思って、戦略物資一覧表を見もしないで大体承認してしまったのです。ところがその後それが北朝鮮と中国に適用されるようになって、北朝鮮と中国への適用は、ソ連への戦略物資がおおむね妥当なものであったために、そのときに錯覚に陥って一覧表を十分に検討するいとまもなく、各国が承認してしまった。ところがそれの内容は木造船から通常のトラック、大型オート三輪に至るまで平和の物資が全部含まっていたわけで、戦略物資という名をつけるのにはそもそも非常な無理があったわけです。従いまして、すでに英国がアイゼンハワーに対して、それは今日の段階では無理であるからといって強い交渉を続けておることは大臣の知られる通りです。こういう事情でありますから、今度の北京元本市に出しますのは売るのでないのです。私が大臣に金時計を出して、この時計を売ろうということと、この時計は非常にいい時計だから見ておいて下さい、他日大量生産になったらお売りしましょうけれども、今は売れません、しかしお見せしましょうということ、売ることとは範疇が違うと思うのです。従いまして私は別に三百代言的な法律解釈論を言うわけではありませんけれども、ココムの輸出禁止という条項には、この展覧会に見せるだけならひっかからないと解釈するのがむしる至当ではあるまいか、少くともそういう解釈を私どもが主張するだけの根拠はあるのでないか。私どもは今日の時代に禁止されているものを、約束を破って輸出するような卑怯なことはいたしません。約束は守る国民です。しかし、他百出し得る状況になったら出しますが、今のところは出せませんけれども日本工業の実態を見てもらうために中国に展覧会を開きたいと思います、こういうことではないかと思うのです。すでに中国では、ソ連やポーランド、チェコスロバキアの機械工業展覧会がたびたび開かれまして、私は三度も北京に参りましたためにその展覧会のどれも見学してきましたが、非常にすぐれた展覧会です。アメリカ国務省は、せめて中国がユーゴスラビア程度に自主性を持ってもらいたい、世界に各国の市場があることを中国に知ってもらって、ソ連一辺倒というような片寄った政策を改めてもらいたいということをたびたび言っておる。そうであるとするならば、中国にソ連の展覧会だけ見せずに、日本の展覧会を見せることがその趣旨にも沿うものではないか、もし希望であるならばアメリカの工作機械を展覧しても一向差しつかえないと思います。こういうことは大体法規に触れない問題で、国際約束に触れない問題ですから、本来ならば日本の通産大臣は自主的におきめになってしかるべきことである。ただ国際儀礼として、無用な摩擦を防ぐために、一応アメリカその他にも話をしておくというなら、今春ダレスが来ました折に、ダレスさんのごきげんのよいようなときに、通産大臣から上手にこれをお話なさるならば、パリのココム委員会などにかけないでもそれは解決つくのではあるまいか。従いましてこの問題について通産大臣だけに重荷を負わすことは大へん御無礼でありますけれども、この問題が解決しませんと、せっかくこの二十九日には宿谷君が見本市委員長として北京に行くわけですから、よほど通産大臣がバック・アップして下さいませんと、この展覧会の開催は一応むずかしいということになりはしないかと思って心配いたします。もちろん外務当局の立場になりますと、長い間アメリカ大使館の外局のような立場に立っておるので、アメリカ大使館のごきげんを害しまして、どうもあの局長は少し桃色じゃないかね、ココム会議に必要以上に熱心じゃないかねなどと言われると、ほかの同僚から足を引っぱられるというようなこともありて、活発な行動を今日の外務省に期待することは無理であって、外務省の方々は、せめて合理的に慎重にふるまっていただくこと以上に望むことは、サラリーマンであるから困難であろうと思いますけれども通産省立場からいえばそれほど遠慮することもないのでありますから、外務省のやむを得ず弱腰になり、慎重になり過ぎる態度を通産省の方で牽制、教育されて、何とか上手にダレス公使あたりに一つ了解をしていただくことが必要でないかと思いまして、るる述べた次節でございます。これに対しまして最終結論をお伺いしようとは存じませんが、一つ御努力下さるお気持だけでも聞かしていただき、それからできますれば、湯川経済局長から先日アイク、イーデン交渉のときの結果で、外務省当局にわかっておることをお尋ねしたい。と申しますのは、先日新聞に出ましたのを見ますと、イーデンはロンドンの飛行場に帰りしまして、こういうふうに答えております。これはロンドンのロイター通信ですが、極東政策について私とアイゼンハワー大統領との間に若干の意見の相違があったことを私は認める、われわれはこれらの問題について討議したけれども、われわれは英国としてその立場を引っ込めたことはないし、米国政府もあまりその見解を修正しようともしなかった、しかし中共に対するいわゆる戦略物資の加商制限については、再検討をすることについては同意した、こういうふうに新聞に出ております。私は同じように貿易国、島国としてのイギリスが、和戦の問題についてほぼあらかたの見通しをつけて——七つの海を支配しておる英国ですから、視野はおのずから広くなるわけですから、和戦の問題については、戦争を避けなければならぬし、避け得るであろうという見通しをつけて、平和と通商拡大に非常な努力をしておる。この英国の立場は同じような島国として、貿易の国としての日本立場とつながるものもある。一面は商売がたきですけれども、他面共通の立場もあるわけですから、このイーデンの交渉の機会に、便乗してといえばいやな言葉ですが、この機会をとらえて、そうして日本に課せられておる不当な制限の緩和のために、非常に上手な努力をするための絶好の機会でありますから、その点について通産大臣のお気持を伺い、湯川さんの御努力や、ただいま入っております情報、実情も一つ伺いたいと思います。
  28. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いろいろ御意見ありがたく拝聴いたしました。今の具体的な問題は、今年中に開かれる中共における見本市をどうするかということですが、私もかれがねこれについては心配しておりまして、何とか見本市を成功させたい、それには今禁輸品目になっておるものも輸出ができるように取り計らわなければならない、これをどうしたらいいかということについて、かなりデリケートな問題ですから軽率にはやれませんが、何とか努力をいたしたいと考えて、今苦慮をしておるところでございます。できるだけの努力をいたすつもりでございます。
  29. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 御質問のありましたアメリカ大統領とイーデン英国竹村との会談につきましては、その後両者のいろいろ新聞等で述べていられるところには若干ニュアンスの違いがそれぞれございます。両首脳の意見の一致した点というところは、米大統領と英国首相との共同声明でうたわれている点であると思います。これによりますと、両首脳は、中共に対する貿易統制が継続されるべきこと、これについては意見の一致を見た、しかし同時に、これが制限のワクについは今後情勢の変化に応じ、自由世界の利益に最も役立つように定期的検討を加えることに意見の一致を見た、こうなっております。この定期的検討というのは、結局パリ機関を中心として行われることと思います。そうしてそれもあまり遠くない機会に行われることになると思うのであります。そのほか別途いろいろ得た情報では、日本が昨年以来いろいろ解除について問題を出しているということも、これは考慮すべきであるという話もあったようであります。そこで私どもとしてはかねがね、ココムでも現在のワク内でできる程度の緩和ということには努力しているわけでありますが、その定期的検討の機会にさらに日本の主張を強く述べたい、こう考えております。
  30. 帆足計

    ○帆足委員 次官もだいぶ移りましたので、簡単にあと事務的なことを申し上げますが、今経済局長の御答弁にありましたように、ココムも多少緩和されるような情勢でありますし、それからアメリカの大統領選挙やそのあとのことを考えますれば、一そう緩和されます状況になりますし、または台湾の情勢は——あれは鼻の下にできたメンチョウみたいなもので、あまりさわるとだんだん広がって顔全体ふくれ上がりますけれども、ばんそうこうを当てて抑えておけばだんだんしぼんで参ります。先日私は香港を通りましたときに、そのばんそうこうのきき目について多少調べて参りましたが、だいぶしぼみ始めていることは事実であります。特に焼きイモほどの国が世界五大強国の一つとして理事会に座席を占めて拒否権を行使するというようなことは、これは初等論理学の上からいっても困難になって参りますし、それがカナダが提案し大英帝国が賛成した三十数カ国加盟案に対して拒否権発動の勢いを示したことによって、もはや世界の論理学と合わなくなって参りましたので、問題は他日日ならずして、私は数年たたないうちに解消すると思いますから、そういう諸情勢から見て、中国が国連に加入したあとでこれに急に手を差し伸ばしたのではもうおそいのであって、人との交わりというものは、相手が逆境におるときにカステラの一つも持っていくということによってうまくいくのであって、逆境におるときには見向きもしないで、社長になってから急に表門をたたいても事すでにおくれるのでありますから、そういう点からいっても、ことしの秋というものはまさにターニング・ポイントです。そのポイントで見本市が開かれるということを、大へんくどいようでございますけれども、通産大臣がこれまでお考えになっていた以上に、そこへ問題が集中されておるということを御了解下さいまして、困難な仕事ですけれども、御苦労でございますけれども、お骨折りのほどお願い申し上げる次第です。  それからあと事務的な問題といたしまして御質問いたしておきますので、逐次御答弁願いたいのです。  第一には、硫安のことしの輸出がどういうふうになりますか、昨年参りましたときに、中国側はせめて三十万トン買いたい、三十万トンできないなら五万トンでも仮契約を結びたいと言いましたのに、日産化学一社のほかは他の商社は公然面会すら断わるという不作法な状況でありまして、私は何度も硫安協会に足を運びましたけれども、硫安工業というものは非常に近代的な化学工業であるはずなのに、その社会的意識はきわめて封建的でありまして、非常に懇篤な申し入れをいたしましたのに、剣もほろろのあいさつで、私どもあっせん役は恥をかいたようなことでした。幸いにしてことしになりまして台湾との問題もだいぶ誤解が解けまして、硫安肥料は全部中国向けの輸出をしても差しつかえないということになったそうでして、御同慶の至りですが、先方は三十万トンはおろか、五十万トンでも六十万トンでも買うと言っておるわけで、硫安工業にはそのために不景気がなくなった。不景気がない資本主義ほどみごとなものはないのでありまして、そういう状況になりましたものですから、一つ思い切った増産をなさって、二カ年間か一カ年ごとの長期の仮契約でも結んだ方が私はいいのではないかと思うのです。だいぶ中国側を怒らしておりますが、中国では硫安を求めること病人が薬を求めるごとくほしがっております。また硫安がたくさん出れば、向うでは豆かす、あの蛋白質の多いものを肥料に使っておるのですが、それをやめて豆かすを安く日本に売ってもいい。そうすると、日本の酪農が楽になるわけです。そういう関係もありますから、硫安の輸出並びに今後の増産計画に御注意を促し、現状を伺いたい。  それから第二には、中国から食肉——昔青島の肉は安くておいしくて勤労者に向いていたわけです。そう大量のことと申しませんが、私は多少の食肉の輸入というものは、日本の勤労者のためにも食糧政策のためにもよいのではないか。もちろんバーターであります。中国ではやはり厳重な防疫、すなわち牛の防疫についての取締りは非常に厳重に行われております。これは大臣御承知のように、中国では輸出しまする原材料に対しまする検査、規格というものは非常にきびしい、世界一といわれております。ところが従来戦時状況でありましたので、防疫月報が出ておりません。そのために防疫月報を送ってこない国からは食肉を輸入することができないという意味で、輸入が杜絶状況でありました。そこで中国側にこのことを交渉いたしてみますと、場合によっては防疫月報を送ることもできると思うから、至急研究する、もしそれができないならば、はっきりした検査機関を示して、そうしてその検査の機構などをお知らせして、御安心のいくようにしたいからということも言ってきているわけでございます。従いまして農林省当局の係の方にお尋ねしたいのですが、そういうような条件のもとに多少この肉を輸入し得るような道を開くということを研究していただきたいのです。こまかなことはいずれお目にかかりまして伺いますので、この委員会といたしまして、それについての大体の現状を簡単に伺い、また大臣は貿易振興に御熱心でありますから、大臣のお耳にも入れておきますことが事務進捗上好都合と存じますのでこの席で申し上げました。  その次には中国から皮を入れる問題、私は日本の中学生等に安い皮ぐつをはかせたいということをかねて考えておりますが、日本では豚の皮は余っておりますけれども、牛の皮は不足しております。昔は中国から大量の牛の皮がきたものでございます。ところが今はアメリカから買ったりアルゼンチンから買ったりして、貿易のバランスの必要上、中国からの皮の輸入は禁止になっておる状況でございます。ところが牛の皮の輸入は乙類でありますから、代償物資として相当のものをまた日本から輸出し得るのでございます。従いましてこの問題を機械的に窮屈にお考えにならずに、やはり貿易振興の一環として、中国から牛の皮を輸入し、適当な機械類を中国に輸出するということについて、一つ研究の余地を開いていただきたい。そのことを大臣のお耳に入れつつ、農林省の方にお尋ねしたいと思います。  それから最後に、ただいま外資法の取締りによる、旧株を外国人が持つことに対する制限の法律がありますが、これを解くとか解かないとかいっていろいろ論議せられていることは通産大臣の御承知通りです。私どもが知りたいことは、現在三百億円ある国内の円蓄積の内容は一体どうなっておるのか。年々数十億の円蓄積が特にアメリカの手によってふえて参るといいますけれども、そのうちの二十億円というものは映画の収入です。私は映画によって二十億円の円が毎年蓄積されて、やがてそれが日本の株式投資に向う、またはその他の投資に向うということは、これはやはり望ましいことでない。そこでやはりこの輸入はしぼるのが当然であると思います。今日アメリカの映画はいいものも三割くらいありますけれども、七割は言語道断の映画でございまして、不良少年涵養の源になっている。どうも文部大臣からこの問題がでないのが不思議でしょうがないと思うくらいです。アメリカ映画の中にも非常に優秀なものもありますが、半分くらしでよいのでありまして、残った半分というものは、私は西ヨーロッパ諸国、または文化映画の面ならばソ連も優秀でございますし、東ヨーロッパにはイデオロギーに関係のない芸術映画が非常にたくさんございます。そういう国々とはバーターができて、すなわち外貨の節約ができるわけでありますから、もう少しこの問題を真剣に考える必要がある。大体日本という国は、何もアメリカ映画だけ見なくてはならぬというのではなくて、日本は文化の古い国でありますから、ゆかしい国柄であります。従いまして、日本の民族性から言うならば、西ヨーロッパの古い文化から学ぶ方が私はおっとりした趣味を作るのによいのであって、もうヤンキー好みのパチンコとかビンゴとかいうものは、私は趣味として好まない。一体文部大臣はパチンコが好きなのかどうか、伺いたいくらいであります。従いまして、この問題はしぼるべき輸入はもう少ししぼるという通産省的見地からも、また、映画がぼつぼつ輸出産業になり始めております。日本のすぐれた映画が輸出産業になりつつあるということは、これは非常に私は重要な問題の一つであると思う。また映画の中で必要なのは、文化映画が相当の部分を占めるべきであるということについても、通産大臣として——これが今大蔵省にまかせられているというのは、これは奇妙きてれつなことであって、この問題は、映画政策としては文部省と通産省とで話をきめて、大蔵省にはただ通達しておけばいいだけの問題でございます。従いまして、この三百億円の内容、今の年々ふえる映画の内容、それからどうしてこのギャング映画全盛で、しぼるべきものがしぼれないでおるか、その現状についてお伺いいたしたいと思います。  時間が長くなりましたので、私はもう再質問をしませんで、伺っておきまして、あとはまた事務当局とお目にかかりまして、事務的に解決することは解決いたしたいと思います。解決いたしませんことは、与党の議員の方にもお諮りして、理事会に御相談をしたいと思います。
  31. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 中共向けの硫安の輸出に関するお尋ねに対してお答えを申し上げます。  御承知のように、中共向けの硫安の輸出は、二十八肥料年度から毎年一万トンから九万二千トン、十万トンというようにふえてきております。また硫安以外のア系の肥料も、二十九年度約二万トン、三十年度は三万六千トンというように増加をしてきておるわけでございます。それで御承知のように、これは中共米の見返りとして現在輸出をしておりまして、来肥料年度の見通しといたしましては、いずれ肥料審議会によりまして輸出ワクが決定されるまでははっきりしたことを申し上げかねますが、大体現状において予想し得る限度におきましては、相当国内の生産量も増加いたしますし、従いまして今肥料年度よりさらに相当の増加を見るであろう、同時に昨年の八月以降本年の初めにかけまして、相当の十四、五万トンの中共米の輸入がございますし、農林当局の話を聞きましても、来年度はおそらく二十万トン以上になるであろうというようなお話でございますので、まず大ざっぱな予想といたしましては、本年度の十万トンそこそこに対しまして、二十万トン以上は出ることになるのではなかろうか、現状におきましては、その程度の予想をいたしております。
  32. 斎藤弘義

    ○斎藤説明員 肉の輸入につきましてお答えいたします。ただいまお話がありましたように、家畜伝染病予防法の見地から、牛を含めました偶蹄類、それから馬のような奇蹄類、そういうものの動物並びに死体、肉というものは禁止されております。これは明治四十二年以来ずっと禁止されております。と申しますのは、明治初年からおそろしい病気がはやりまして、明治四十三年に至りますまで十何回という伝染病の侵入がありまして、それでそれが起ったわけであります。現在家畜伝染病予防法が、やはりそれと同じ目的で存在しております。この肉の輸入につきまして、戦前に青島肉やなんかの輸入はもちろんあったのでありますけれども、それは例の第一次大戦のあとの青島を日本が管理しました時代、あるいはそれに引き続きまして青島に領事館付の農林省の専門家を置きまして検査するようなことができた時代に、向うで検査をしまして、そうして向うの屠場で肉にしまして、そうして安全と思われるものだけが来たわけであります。それが大体、多いときで五、六万頭分ぐらいが年間入っておったわけであります。その他の輸入は現在でもないわけであります。しからばその昔のようなあぶない事情基準にして現在でも同じようなことをやっているかというような御質問があるかと思いますが、現在では正確な情報は全然入っておりません。私も、国際獣疫事務局というのがパリにございまして、それの日本の常任の代表として、毎年々々ソビエトの代表などとへ会いますけれども、いろいろ状況を聞きましても、はっきりわからないのであります。また中共地区の情報も、この両三年盛んに得たいと思いまして、この間中共の方から使節団が来ましたときも、いろいろと話をしましたり、また民間の貿易商社や何かを通じましても、入手をいろいろと努力しているのですけれども、全然わからない状態であります。昔のようなひどい状態ではないようでありますけれども、ただ向うの責任ある機関がどの程度はっきりした仕事をやっているか、専門的に見てわれわれが納得できませんと、私どもも責任上現在規則並びに法律でもって禁止されているものを解除するというだけの根拠がございませんので、現在の状態のようになっております。  それから皮につきましては、これは禁止という措置にはなっておりません。ただ伝染病予防の建前からいえば、必要があれば消毒して入れるということになっております。
  33. 樋詰誠明

    ○樋詰説明員 皮の輸入についてお答え申し上げます。現在中共の皮は制限しているじゃないかといった御趣旨の御質問でございましたが、私、記憶違いでないと確信しておりますが、現在のところ皮につきましては、全体で年間約四万五千トンばかり入れております。そのうちの四万一千トンは、いわゆる今上地域グローバルという格好で、どこからでも入れてよろしいということになっておりますので、中共は見返りのバーターという輸出品さえ出るならば自由に入れ得るという格好になっております。なお今後の輸入方針につきましては、御承知のように皮の方の調整組合というものが、今着々として体制を整えつつありますが、その調整組合がもう少し強化されるということになりましたならば、できるだけ早い時期に、オープン・アカウント地域並びにポンド地域にはAAでどなたでも自由に入れ得るということで、現在原局とも話し合いを進めております。
  34. 江上龍彦

    ○江上説明員 蓄積円及び映画の関係についてお答え申し上げます。現在いわゆる蓄積門と称せられている非居住者円預金残高は十二月末で約三百五十三億ありますが、そのうち一番おもなものはMSAの農産物の売却代金が約二百二億、これが一番大きいものです。それから日米共同防衛分担金が一十四億、いわゆる戦時中の特別円残高が十六億あります。これはいずれも日銀にあるわけであります。それから御指摘のありました映画預金勘定が約二十三億、通常非居住者預金勘定、これはいろいろなものがまじっているわけでありますが、そのおもなものとして、たとえば連合同財産補償金が含まれている、こういうものが約三十三億、十億以上のものはそんなものでございます。大体今日銀にあるようなものについてはそう大きな変化はございません。
  35. 帆足計

    ○帆足委員 毎年分は……。
  36. 江上龍彦

    ○江上説明員 今申しあげておりますのは現在の残高でございます。  それから特に御注意のありました映画につきましては、月によって違いますが毎月一億五千万ないし一億程度のものが蓄積円としてふえていっておる状態でございます。
  37. 中崎敏

    ○中崎委員 それはおかしい。何百億あるというじゃないですか。
  38. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 シェーン一本で一億ですよ。
  39. 江上龍彦

    ○江上説明員 御承知のように例の電源開発の方の投資に回したごと等によって減少しております。  それで今申し上げたのは十二月の残高で、これから毎月ふえていくというのが現在の情勢でございます。映画の蓄積円の仕組みは、御存じの通りに映画の大部分はいわゆるフラットなものの輸入のように幾らだという買い切りのものではなくて、配給の収入のうちの何パーセントかを先方が取るということになっているわけであります。そのうちの一部を送金を認めております。従って送金を認められない部分が蓄積円になっておるという状態でございます。  次に外国決断の輸入の問題でございます。御指摘のありましたアメリカ映画につきましては、二十八年までは大体百五十本ないしそれ以上の輸入でありましたが、二十九年度以後は百二十本程度、そのうち百本くらいがメージャーと称する大きな会社の映画、その他の会社があとの二十本くらい。現実はそうでありますが、しかし割当としては特にアメリカ映画という割当はやっておりませんで、二十九年度以後はドル地域、スターリング地域、オープン地域に分けまして、そういう通貨地域別の割当にしております。従ってドル地域の割当を得た業者がソ連から入れても中共から入れてもよろしい。またメキシコ、スペイン、オーストリア等から入れてもよろしい。またオープン地域の割当でフランス映画を入れてもイタリア映画を入れてもいい。ドイツ映画は今度オープンから離れましたが、それまではドイツ映画を入れてもよろしい、そういう建前になっております。しかしながら現実においてはドル地域の割当は全部アメリカ映画で占められておる、というのは結局選択権は割当を受けた業者にあるわけでありまして、業者がなぜそれを入れるかということは、結局それを見る人が多い、従ってもうかるからでございます。従ってその選択は決して政治的なものによってなされているものではないということが言えると思います。それから今アメリカ映画の数は欧州各国の割当数に比べて日本が最も小さい。映画の興行界に関する限り、各国ともアメリカ映画の市場になっておる。従って日本についてなぜこんなに小さいんだというアメリカ側からの苦情を現在常に受けておるという状態でございます。それでは中共等の映画を輸入する道はないかと申しますと、別にまた映画ボーナス制度というものを設けておりまして、輸出を三万ドル以上した業者に対しては、ボーナスとして映画を一本入れることを認める。その際にはアメリカ、フランス、イタリア等、一本が映画について借り越しになっており、輸入が多いという国はただの映画を入れさせないということで、現実に輸入ボーナスの対象からアメリカははずれておりますから、これを使って現実輸入しておる業者があるわけでありまして、昨年においてはソ連映画三本、一昨年中共が一本、現況はこういうことであります。  次にアメリカ映画の質の問題でありますが、御承知のように現在映画の検閲という制度はやっておらない、従って映画の質によって輸入を禁止するということはできない。それで現在やっておりますのは、消極的にいい映画を入れたものに対しては奨励をするという制度をやっております。これは優秀映画審査制度というものを設けまして、これはいわゆる文化関係の学識経験者をもって構成するもので、大蔵省のわれわれの意見は全然入らない委員会の意見できまるのであります。その委員会で毎年の映画を審査していただいて、よい映画を入れた業者に対しては追加的に輸入割当を認める、こういう制度をやることによってよい映画を奨励することで悪い映画を減らしていこう、こういう制度をとっております。  次に教育文化、短編映画につきましてはこれらのワクの外にありまして、ワクとしては百本くらい毎年入れておるわけでありますが、それ以外に数にかかわらず、文部省の教育映画等審査分科会に委嘱しまして、そこで入れたい作品を申請してもらいまして、ここで試写をして、その会でよいと認めたものは数にかかわらずに許可をする、こういう制度を別にとっております。大体以上であります。
  40. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 委員長に要望いたします。実はただいまの答弁では非常に不満足でございます。と申しますのは占領中に行われたことは憲法でさえも改正しなければならないというのが与党さんの御意見でありますが、ここに占領中そのままの姿がそのまま行われておるというのが映画の姿でありまして、このため御承知でありましょうが、蓄積円制度も行われておりますし、またボーナス制度も行われておりまして、特にボーナス制度というのはアメリカにはワクがかけてない他の国はみんなボーナス制度のワクがかかっておる。他の国はいわゆる通産大臣の拡大均衡で、輸出すれば輸入してもよろしいということであります。アメリカ映画の輸入については輸出しなくともどんどん買える、先年もこの問題で総ワクにおいて制限されたらすぐに向うから抗議が来た。抗議がないとおっしゃったがとんでもない話である、私は実際を知っておるからよくわかっておる。そこでこの問題についてはきょうここで結論を出すということは無理なことでございますから、おそれ入りますが、早急に委員会において審議の機会を与えられますようここに要望するものであります。
  41. 中崎敏

    ○中崎委員 この映画に関する資料をさっそく大蔵省の方から出していただきたい。
  42. 神田博

    神田委員長 加藤さんの、要望は了承いたしました。また今の資料要求も了承いたしました。  本日はこの程度にとどめまして、残余の質疑は次会に引続き行うことといたします。次会は明二十二日午前十時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。    午後零時五十九分散会