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佐々木(良)
委員 電力問題につきましては、
高碕さんにずいぶん前より私は話をしておったつもりでありまするけれ
ども、
大臣になられるというと、問題の焦点がどうもぼけるようであります。時間の制限があるようでありますので端折らざるを得ないのでありますが、電源開発と料金コストの価上りの悪循環を断ち切る方策いかんという一番端的な問題は、
高碕さん
自身が総裁としてやっておられた嘱源開発会社をどういうふうに運用するかということで半分くらいは解決がつくはずです。
あと高性能の火力を作る云々の問題がありますけれ
ども、電源開発会社の任務いかんというところに、この電源開発と料金コストの値上りの悪循環を断ち切る
ための
一つの方策が出ておるわけであります。私はこれをもう一度繰り返して申しあげておきたいと思うわけでありますけれ
ども、御
承知のように大規模になり、そして困難な地点になればなるほど、今コストが高くなりつつある。それを商業ベースの電気会社がやるのであれば、廉価主義に立っておる限り料金の高騰は免れたない。そこで国策会社としての電源開発会社を作って、そのパッキングにしようというのがねらいであったわけであります。従いまして、開発会社の任務が明らかに電源開発と料金コストの値上りの悪循環を断ち切るというところに目標があったわけです。従ってそこから出てくるところの電源開発会社の任務の
一つは、御
承知のように電源開発をする場合に
最大の費用は金利であることは
高碕さん御
承知の通りです。現在、普通の水力発電原価をキロワット・アワー当りにして大体三円から三円五十銭、その中に占める金利のパーセンテージは、普通の関係において六〇%強のはずです。その六〇%強になっておる金利を、国策会社に国家資金を財政
投資することによって六〇%を切り下げることができれば、半分切り下げたところで今の原価は半分になり得る。そこに電源開発会社が大規模な、困難な地点をひっさげて
財政投融資によって行うという任務があったはずであります。そこのところは、
高碕さんは総裁をやっておられて苦労をされたのだから、よく御存じのはずであります。しかるに
高碕さんが総裁になっておられるときよりも——本来ならば、あなたが
大臣になられたときの方がその任務が最も端的に達成されなければならないはずであるにもかかわらず、三十年度、三十一年度になるに従いまして、電源開発会社の資金の構成は、金利がだんだん高くなる傾向を示しておることは御
承知の通りであります。三十年度だけを見ましても、
高碕さんのとぎに幾ら高くなっても平均金利を四分以下にとどめなければならないということを言われたはずであります。今の任務から類推いたしまして……。それであるにもかかわらず、三十年度の資金構成の金利を平均して割ってみますと、すでに五分強になっております。それから三十一年度の、昨日
高碕さん
自身が
説明されましたところのあの
計画によりましても、おそらく五分四厘三毛くらいになる。四厘くらい昨年よりもふえており、通算していくと、三十一年度の今度の
計画を予定通りにやられます
ためには、おそらく四分を相当に上回らざるを得ない金利になっておることは御
承知の通りであります。これでありますならば、すでに電源開発合社の任務はほとんど速成できないような
状態になりつつあるわけであります。
それから同時に、もう
一つの問題は、あなた
自身が一番苦労されました補償の問題、せっかく今補償法を出そうとしておったけれ
ども、とうとうまたやめたという話でありますけれ
ども、補償の中でも一般に知られていないところの公共補償の問題が電力原価を非常に大きくしておる
最大の原因になっておる。
高碕さんはおそらく御存じだろうと思いますけれ
ども、電源開発会社の今の資金コストの中で、普通で行くと六〇%
程度のものが、四分以下にとどめるならば、これは三五、六%ぐらいにはなり得るのが、最近における電源会社の補償の方の、特に公共補償の高騰が原価に占める割合は大体一割六分です。電気会社で普通やる場合には最小の場合は二、三%か、多くても一割
程度、従いまして平均でも五、六%にしかならない。それが電源会社でやる場合には次々に公共補償をかぶせられて、それが原価の一割五、六分をなしておることになっておる。そうすると先ほど言いましたように、普通の会社でやって金利分が六〇%だった、同時にまた電源開発会社の場合には、それが下って四分ぐらいにとどめるとしても、三五、六%、その三五、六%の中の半分ぐらいは電気会社とは別に公共補償が大きくなるが
ために食われてしまうということになれば、先ほど言いましたように、電源開発会社の任務でありますところの開発と料金コストの値上りという矛盾を断ち切る
意味はもうほとんどなくなりつつある。これがなくなるのならば、この電源開発会社を解散して、
ほんとうの普通の電気会社のそろばんだけでやれば、それならそれで筋道が通ると思う。しかしながら、電源開発会社の任務がそこにあるにもかかわらず、今のような
状態になっておる。この点は十分に御配慮願って、そうしてどうするかという
方針をはっまりときめてもらわなければどうしようもないという
状態になっておると思います。同時にまた国土総合開発の問題は、三億や五億の調整金を持つというところに問題があるのじゃなくて、昨年も私が申しましたように、一方では電気と治水と農業用水等の利水と
三つを行うくらいな
仕事になっておる総合開発の
地域の
仕事がアンバランスになって、発電所ができたけれ
ども水が通らぬという西吉野の例も御存じのはずである。それは特定
地域十数カ所を作ったけれ
ども、どれ
一つとして総合陶発らしい開発がなされていないことは御存じのはずであります。その辺は三億や五億の調整金を持ったところでどうしようもないのでありまして、実質上は役所間のセクトと、それを
ほんとうに総合的な開発をするならば、その総合開発々する一本の主体性を持った線をどう引くかという点にあるわけであります。これはまだちっとも前進していないわけであります。同時にまた最後に料金の問題に触れますならば、御
承知のように、料金問題は、電灯電熱の問題と
産業用電力の問題とありますけれ
ども、特に電灯電熱の問題はもうすでに民生安定の
立場から、
言葉はお気に召さないかもしれませんけれ
ども、社会主義的な料金に変えていい時期に来ておる。原価的な
考え方でなくて、社会主義的な、むしろ消費者の財産
状態、消費者
自身の
経済負担能力によってきめていい時期に来ておる。それくらいのことは資本主義国だって大体
考えてやりつつあるわけであります。にもかかわらず、現在のところ、まだ昔なりの傾向が残っておって、電灯電熱分の消費電力と
産業川の消費電力とは、キロワット・アワーでいくと適当の割合になっておるのが、料金収入でいくと完全にさかさまになるというような
状態がまだ続いておるわけであります。私はこの辺の問題について、もうそろそろ根本的なメスを入れなければならない時期に来ておると思うわけであります。従いまして繰り返して言うようでありますけれ
ども、最近の電力問題はまだしばらくの間見合せようという
根本方針らしく、法案の提出もなされないらしいし、料金問題も大体今のまましばらく様子を見ようということらしいのでありますが、
経済企画庁として根本的な問題に一日も早く触れられんことを希望してやまないわけであります。
通産大臣が見えておりますので、
ほんとうはこれから具体的な問題について一々とっちめていかなければならぬわけでありますが、先ほどから時間の制約がありますから
あとに譲りたいと思います。繰り返して言うようでありますが、今の根本問題につきましては問題を提示するにとどめておきますが、十分に御考慮をお願いいたしたいと思います。
次に
高碕長官に、
経済企画の
立場ではなくて、
実施官庁的な現実の
仕事も担当されておるので、その関係において当面の電力問題について一、二所信を承わっておきたいと思います。
一つは、最近におきまして黒部川、神通川、常願寺川の上流地帯が本州中央部における唯一の電源地帯として残されておる。これにつきましていろいろ相対立しているようなかっこうに見えております電源開発会社と九つの電力会社との関係で、特にこの問題については関西電力と北陸電力、そして電源開発会社という形でだれがどういうかっこうでこれを開発するかという問題が今当面の問題として解決を迫られておるように聞いております。私は
結論を急ぐわけではありませんけれ
ども、この問題に対しまして
経済企画庁が
実施官庁として采配を振われるわけでありますから、
高碕さんは大体どういう
方針を
考えられておるかということを承わりたい。
二番目には、懸案の地点でありました御母衣地点の開発につきまして、伝えられるところによりますと、世界
銀行から金を借りて、また外国の機械を買ってあそこの開発を進めたいという
計画があるやに聞いております。これに対しましてどういう
方針をもって臨まれるつもりか、この二つにつきまして簡単にお答えを願いたいと思います。