運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-15 第24回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十五日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 小平 久雄君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君 理事 永井勝次郎君       秋田 大助君    内田 常雄君       菅  太郎君    島村 一郎君       田中 龍夫君    中村庸一郎君       野田 武夫君    伊藤卯四郎君       加藤 清二君    佐々木良作君       佐竹 新市君    多賀谷真稔君       田中 武夫君    田中 利勝君       帆足  計君    松尾トシ子君       松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         公正取引委         員会委員長   横田 正俊君         経済企画政務次         官       齋藤 憲三君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   酒井 俊彦君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         中小企業庁長官 佐久  洋君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    秋山 武夫君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十四日  委員帆足計辞任につき、その補欠として福田  昌子君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員福田昌子辞任につき、その補欠として帆  足計君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  日本経済総合的基本施策に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長がやむを得ない所用のため出席できませんので、私が委員長の職務を行います。  先般来通商産業大臣経済企画庁長官並びに公正取引委員会委員長より産業経済施策の大綱並びに独禁法の運用状況等について説明を聴取したのでありますが、本日はこれに対する質疑を行うことにいたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。佐々木良作君。
  3. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私はせんだって通産大臣並びに経済企画庁長官からの方針の御説明を承わったのでありますが、本日は特に経済企画庁長官に対しまして質問申し上げたいと思います。最初に一つお断わり申し上げておきたいと思いますけれども高碕さん、たくさん家来衆を連れてお見えになっておりますが、私が高碕さんに御答弁を要求するのは、高碕さんが本来経済界代表者みたいなかっこうで閣議に入られまして、経済担当大臣として努力されておるわけであります。従いまして私は昨日の本委員会におきまして説明されたような、ああいう無味乾燥な、御家来衆からの作文を朗読してもらうみたいな答弁ならお断わりいたしたいと思います。むしろもっと本来の高碕さんらしい答弁をお願いいたしたいと思います。従いまして私は具体的な質問に入ります前に、高碕さんは第一次鳩山内閣の誕生以来、もう一年数カ月にわたりまして経済大臣として経験を積んでこられたわけでありますが、特に私は過去一年数カ月間にわたって今の一番困難なる日本経済状況に対して行政指導に当ってこられました経済大臣として、民間におられたときにやろうと思っておってできなかったことなり、あるいは今大臣としてやろうと思っていることなり、それらを静かに回想されましての所感一つ承わりたいと思います。私は十分承知しておりますけれども、おそらく作文指導や、それから実施官庁の策動や、あるいはまた経済界ほんとうの実情や、この三つの中にはさまれて、純粋の経済人としての高碕さんの所感なきを得ぬと思いますけれども、最近に至りましては、少し仕事をしようと思って予算を大蔵省から独立させようという構想に対しましても動かれたように聞いておりますが、大体これも失敗らしいし、それから経済人としては最近大阪の墳墓の地に帰られまして、大阪経済人を前にして、もういっそのことお前さんたちみんな入党しろと言って大いに勧誘されたということでありますけれども、これまたスカタンに終ったということであります。従いましてこれらを通じて、まず質問の前に過去数カ月間にわたっての経済大臣としての高碕さんの所感を承わってから質問に入りたいと思います。
  4. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 非常にむずかしい御質問ですが、これを端的にお答えいたしますると、佐々木委員お話のごとく、私は今日まで全部実業界におりまして、ようやく一年間政府仕事をやったのでありますが、その間にあって一番私の感じましたことは、実業界におりますと、金を集めた場合には、それが借金であろうとあるいはそれが株式であろうと、これによってその事業を起した結果はどういう結果であるか、もうかったとか販路を拡張するとか、生産がふえるとか、この予算を必ず提出するのでありまして、その予算の結果は必ず一年ごとに報告せなければならぬということになっております。この政府予算審議は非常に厳格にやられておるようでありますが、その結果の報告は、会計検査院がやったものを基礎としてそれが不当に使われているやいなやということが十分検討されるようでありますが、その政府実行の結果についての検討が少し足りないように考えたのであります。その意味におきまして私は、昨年経済六カ年計画というものを立てて、六年後の経済がこうなる、それならば一年にはれだけの仕事をこれだけの予算を使ってやらなければならぬ、こういう計画を昨年の一月の国会に御報告をいたしましてその結論を今年の一月にまた御報告申し上げたのでありますが、年々計画を立てたときには、その計画結論はやはり国民に知らす必要があるだろう。それは何かと申しますると、この一年間に鉱工業生産はこれだけふやすとか、輸出はこういうふうにしたいとか、あるいは国民生産はこうしたいという数字を掲げたのでありますから、その掲げた結果は一年の間に大体こういうふうになっているということは、これは毎年やる必要があると思っております。これが欠けておったような気がいたします。それでその結果が変ったことについてはよく検討して、翌年度の計画をまた考えなければならぬ、これを予算上で申しますと、一年間の計画実行の結果によって、あるいはその次の年の予算考える、こういうふうに持っていく必要がないだろうか、こういうふうに私はしろうとながら考えまして、その方針で現在経済企画庁が進んでおるわけなんであります。ただいま佐々木委員からおっしゃいました、お前は予算自分の方へとるという考え方をとったが、これもいいかげんになったじゃないかと言いますけれども、これはそうじやありません。予算編成につきましては、やはり六カ年計画、今度われわれが申しました五カ年計画というものが大体予算編成基礎になって今日のです算がきまっておるわけでありますから、私どもの申しましたことは逐次われわれの理想通り進んでおります。また大阪におきまして私が経済人に訴えましたことは、今後の日本政治というものは政治家だけでやるもんだというふうな考えを持ってはいかぬ。どうしても民間人たちがもっと政治に関心を持ってやらなければいかぬ。従ってあなた方は政党に入ることを考えなさい、こういうことを申し上げたのであります。また今日の民間人たちは、現在の政党のありさまを見て、まだ自分たちは信頼し得ない、こういう状態だということで、まだ踏み切っていないようでありますけれども政党そのものが二大政党としてその機能を発揮するときになれば、必ず全国民の支持を得られるだろう、こう存じております。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 高碕さんなかなか大臣ずれがしてきたらしくて、ピントがはずれてはっきりしないわけでありますが、その結果の検討を五カ年計画なり六カ年計画なりでやられるというお話であります。従って筋からいいますと、その五カ年計画なり六カ年計画なりに今言われたようなその結果がうまく検討されておるかどうか。それから予算の問題にいたしましても、経済計画を遂行するに十分なる、あるいはそれを遂行して効果の出るような予算編成になっておるかというふうな追及をするのが筋でありまするので、大体そういう筋を追いますと、そちらの役所のペースに巻き込まれる危険性がありますから、これはまた別の機会にいたしたいと思います。そこで私はあくまでも、高碕さんは経済人でありますから、現実的な問題と取り組んでお話を進めていきたいと思います。  今策定されておる六カ年計画であるとか、あるいは電力の六カ年計画であるとかいうようなものが、大体絵にかいたもちみたいなものであることは、高碕さん自身が御承知の通りでありまして、これは検討がなされてみたところで、まあ無味乾燥なものだと思います。しかるに今経済大臣として、最近の日本経済のどまん中に位して日本経済船頭を勤めるという立場からするならば、私は一番大きな問題が三つあると思います。その一つフィリピンビルマあるいはインドネシア中心とするところのあの南方諸地域に対する賠償問題です。これを単なる外交上の問題として扱うのであるならば、これは高碕さんが大臣になったってさっぱり意味はないのでありまして、あくまでもこれを経済問題として扱って、そして適時適切なる助言発育をして、波荒き国際経済のどまん中に捨て小舟のような格好になっておる日本経済を現実的にあやつっていくところに、その経済人として出た意味があると思います。その意味におきまして、第一に最大の問題は、私はそれらの賠償問題だと思います。  それから第二番目の問題は、最近の新聞にまたやかましいところの共産圏に対する貿易問題だと思います。なかんずく中共貿易の問題は今俎上に上りかけておるように存じます。  さらに第三番目の問題としまして、最近における国内問題の最大経済問題は、私はやはり中小企業に関する問題だと思います。従いましてまずこの三つの問題につきまして、固苦しい経済企画庁長官として作文を読むような形でなしに、ほんとうに、工合が悪ければ個人的な立場でもいいですから、そういう立場からこの三つの問題を、純粋な経済問題として一つ考えになってのお話を承わりたいと思います。  第一はこの三つの問題に対して、今、大体高碕さんはこういう問題に対して発言権を持っておるのか持っておらぬのか、大体どの程度ものを言っているのか言っていないのか、その辺一つお話を承わって、それから具体的な問題に入りたいと思います。
  6. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済閣僚として入っております以上は、ただいま御指摘の三つの問題につきまして当然発言をしておるわけであります。特に外交問題等につきましては、今後日本外交経済外交に持っていかなければならぬというふうなことを現在の内閣方針としております以上は、これは経済閣僚として当然の発言をすべきものだと思って発言をしております。  それで第一のお尋ねの賠償問題でございますが、これは私は何をさておいても早期に解決する必要がある、こう存ずるわけでございます。それと申しますことは、御承知のごとく戦争前には日本経済は、台湾、朝鮮、満州、中国というものがあって、これとの一貫したる経済政策を立てておったというところに、日本経済が立っていたわけであります。それがためには、民間といたしましても、私の概算によりますと、最低限度見ても、米国の貨幣に直して、少くとも百億ドルという金が過去三十年間にこの地方に投資されておったと思います。それだけの仕事をやって、投資をして、そして日本経済をささえておったのでありますが、その方針がたまたま日本侵略政策あるいは軍部の政策というふうなことで、日本というものを中心考えた結果投資をしておったわけでありますが、これが大きな誤まりであったということのために、今日それを失ったのであります。これは当然だと思います。しからば経済的に見たときに、今後やはりこのアジア圏に対しては、あるいは賠償の形において、あるいは投資の形においてそれだけの経済的なつながりをしていくということは、日本経済を立てる上において最も必要だろうと私は考えるのであります。ただしそのやり方については、これはあくまでも相手国の意向というものを十分尊重し、相手国考えによって、相手国をよくせしむる、よくなる、そうして同時にその余慶をわれわれは受ける、この考えで進まなければならぬ。これが私はこの東南アジアに対する今後の根本方針でなければならぬ。それがためには一番われわれの義務といたしまする賠償をするということを考えなければならぬ。賠償という言葉は、これはばくちに負けて、その負けた金を払う、こういう意味でもないので、英語で言うしパレーションでありますから、リペアすることであります。相手国戦争ために破壊した、その破壊したところを回復するということ、これがレパレーションでありますから、相手の国に対して日本損害を与えた、これを早く回復するという、この精神で一日も早くこれを解決するということは必要だと思います。すでに御承知のごとく、ビルマに対してはもう解決いたしておりますし、ただいまフィリピンに対してもこれを交渉中でありますし、インドネシアについても同様だと存じますが、これを一日も早く解決する、そうして相手の国の損害をかけたところを早く回復し、同時に一その国の産業をよくし、そうして日本の国の持てる力をもってこれに協力する、そうして相手の国を開発して、同時に日本がよくなっていく、こういう方針で進んでいきたい、こう存ずるわけであります。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 今賠償問題が出ましたので、三つの問題のうちの嵐仮初の、特に東南アジア地域に対する賠償、なかんずく日比賠償の問題についてお伺いいたしたいと思います。今お話がありましたように、私も新聞その他で存じておるのでありまするが、大体一昨年の春吉田内閣のときに、四億ドルの資本財役務支払いによって大体十億ドル見当の価値を作り出すという、いわゆる大野ガルシア協定というのがある程度でき上った。それが妙な格好でおかしくなってきて、そうして高碕さんが御関係になっておると聞いておりまするところの二番目の昨年の交渉に移ってきた。御承知のように、昨年の春東京専門家会議だということで話は進んで、そうしてその結末が五月ごろ向うネリ大使が出てきて、大体オーソライスされたような案が今御承知のような八億ドル賠償の話、新聞に伝えるところによりますと、まず賠償の五億五千万ドル、この内訳は資本財が大体五億ドルだ、それから現金賠償は二千万ドル程度だ、役務支払いが三千万ドル程度だという内容をもった五億五千万ドル、それからさらにそのほかに長期借款として二億五千万ドル程度支払うのだ、これを大体全部ひっくるめて二十年間程度でやるんだという、いわゆる昨年の日比交渉内容が従来伝えられておるわけであります。そうしてここ数日間の最近の状況におきましては、この昨年の八億ドル賠償中心としての交渉日本でも相談され、今フィリピンの現地で話が進められておるやに聞いておるわけであります。私はここで外務大臣に聞くような形で、その交渉経過だとかあるいはそのやり方が下手だとかまずいとかいうことを聞こうとしているのではなくて、あくまでも経済大臣としての、これが日本経済に及ぼすまことに重大なる影響があるわけでありまするので、その重大なる影響の及ぶ状態を私どもは知りながら、この交渉の経緯を見守らなければならぬという意味で聞きたいわけであります。従いまして、私は今伝えられておるところの八億ドルの内容中心とするところの賠償問題は、今高崎さんが言われますように、賠償交渉を早く妥結させて、そして経済状態を正常に戻したいという、つまり交渉ができた後スムーズに貿易その他の話し合いが行くだろうという、そこに重点を置いているのではなくて、賠償内容自身が、非常に大きく日本経済影響するからでありまして、その賠償中身自身がある意味では一つ貿易協定みたいな内容を持ち得る可能性を持っているし、そうしてまた国内的にはそれ自身財政投融資の非常に大きな内容を持つような経済的の意味を持っておると私は思うわけであります。今ちょうど予算が出まして審議の最中でありますけれども、その毎年提出されるところの国内予算財政投融資であるとか、それらの問題は相当に信用されても、八億ドルと申しますと、数千億円になんなんとするところの大きな金でありますが、それが今言いましたような、ある意味では貿易協定なり、あるいはある意味においては国内では財政投融資なりという形と同じ結果を生むような形で動くわけであります。そこで私は今言いましたように、日本経済船頭の役を勤められているのでありまするから、従って私はそれが一億ドルやそこら多かろうと少かろうと、その問題ではなくて、その内容をどういう方法でどういう内容考えておられるか。少くとも経済大臣としての構想、個人的な構想でもいいから、たとえば資本財賠償というようなものについては、大体どういうことを考えておるのか。今言いましたように、資本財が五億ドルあるわけです。それをどういうものを大体考え、どういう方法考えておられるか。あるいは役務賠償につきましても同様でありまするし、同時にまた長期借款問題となればなおさらでありますから、それらの内容が大体どういうものをどういう方法でやろうという、経済大臣としての私は構想があろうかと思うわけであります。その私的構想でも差しつかえありませんから、その構想を承わりたい。  それから第二点は、少くとも数字の形の上から見ると、大野ガルシア協定の場合の内容と、それから昨年来続けられておる内容との、これは数字の上から見れば倍にふくらんだような格好になっておる。しかしながら、経済大臣として特に昨年のその話に実際に関係されたということでありまするので、そこには何らかの事実上の経済価価比較検討はされたことだろうと思いまするので、その価値比較についての考え方をお聞かせ願いたい。この二点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  8. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 まず第二の御質問の方から先に答えさせていただきます。これは元来外務省が折衝いたしておるわけでありますが、事が経済問題でありますから、私これに相談に乗ったわけであります。昨年の四月、五月ごろでしょうか、ネリがこちらへ参るにつきまして、一応経済的の問題だから折衝をやれということで、私は当ったのであります。その発足に当りまして、先方は賠償は十億ドルだ、大野ガルシア案によっても十億ドルの価値があるの、だということをうたっております。だから十億ドルを基準にする。こちらは大野ガルシア案によりまして四億ドルというものを二十年間に払うんだ、これで第一の折衝が始まったのであります。結局初めは四億ドルを二十年で払う、一方は十億ドルを払えということ。それでいろいろ歩み寄って参りましたところが、大野ガルシア案につきましては多少はつきりしない点がありまして、四億ドルを十年間払うというのが原則である、これを一方の考え方によって二十年に延ばすことができる。こういうようなことになっておりました。一方の考え方で二十年に延ばすということになれば——四億ドルを十年に払うということになると一年に四千万ドル、二十年に払うということになると一年に二千万ドル、日本は一年に四千万ドル払うだけの経済力がないから二十年に払う。そうすればそれに対する利息等も当然お前の方が持つべきではないかという向うの意見であります。いろいろの点から考慮いたしまして、私の採算をもっていたしますと、年七分の利息ということになれば、四億ドルを十年間に払うということと、五億五千万ドルを、初めの十年間に二偲五千万ドル払い、あとの十年間に三億ドル払うということと、二十年後の決算を見れば同じになる。言葉をかえて申しますと、ここに四億ドルという十年間に回収する一つ債権を持っている。一人の人は五億五千万ドルという債権を持っておって、それが初めの十年間に二億五千万ドル、あとの十年間に三億ドル回収することになっている。この二つの債権があった場合に、これを銀行に持っていって七分の利息で計算して、どっちを買ってくれるか、銀行は同じ値段で買ってくれる。これは銀行が見ればはっきりわかります。そういう意味で、二十年決算にすれば、金額はいかにもふえているようであるけれども支払いの方からいえば、これはえらい変りはないじやないか、私はそう感じたわけであります。一方一億五千万ドルという借款につきましては、これは現在日本フィリピン実行しております借款があるのです。たとえば製鉄会社、あちらの方に設備を持っていって投資して、その投資したものを利用して鉄鉱石を採掘する、それを日本に持ってきて加工する。またおいおい、あるいは銅鉱とか、ニッケル鉱とか、日本から向うへ持っていって投資して、採掘して持ってきて加工するというようなことか実行に移されつつありますから、それと同じ方法で、民間同士の間で話をし合って、そうして投資をする。これには政府は、これによって起ることに責任は持たないのだ、しかしそういうような投資をし得るように政府は勧告する。できるだけ民間の人の投資をしやすいように適当の機会を与える。そういうような条件でありますから、政府は、考え方によれば、責任がないわけです。これを持っていくだけのことはやるが、これに対する責任は全然負うわけでないということになれば、これは純粋の民間投資になる。従いまして賠償というものは、五億五千万ドルを二十年に払うのだ、それから一億五千万ドルは政府はこれを民間投資のしやすいようにするけれども、別にこれによって責任を感じているわけでないの、だ、こういうような考え方をもって交渉しておったようなわけであります。その交渉する中で、あるいは現金の方で二千万ドルにするとか、あるいは役務を何とかということは、今交渉中でありますから、これは今私からこの交渉経過等について御説明を申し上げることは差し控えたいと存ずるわけであります。しからばなぜそれをそういうふうに急ぐか、こういうことになりますれば、日本から提供いたします資本財というものは、大体向うの方の新しい仕事を開発するに要する材料でありまして、そうして今後その賠償をすることによってフィリピン産業全体がよくなってくるというわけであります。その結果日本正常貿易を阻害するのじゃないか、こういうような考え方も一方ありましょうけれども、これは間違いでありまして、現在フィリピン日本との間で取引いたしておりますことは、大体百五千万ドルを基準にしてやっておるわけでありますが、日本から参りますものは繊維製品と金属の加工品とが大部分でありまして、機械類等は一割に足りないと考えております。この一割に足りない機械類もある程度賠償に入ると思いますが、現在フィリピン人が最も日本から希望しておるのは繊維製品であります。繊維製品というものは賠償の目的に入らないものでありまして、繊維製品をできるだけ出したいと思いますが、今御承知のごとくフィリピンとの間の賠償が解決しないので正常貿易になっておりません、正常取引になっておりません。従いまして、ほかの国が受けておる関税の条件よりも悪い条件で、最恵国条約の扱いを受けておらないわけでありますから、最恵国条約の扱いを受けるということになりますれば、現在繊維製品その他の消耗物資の輸出というものは三千万ドルから四千万ドル欠けておるのでありますけれども、これは必ず倍になるということを私は信じて疑わないのであります。特に、フィリピンとアメリカとの間には現在まで協定がありまして、この協定は無税ということになっておりました。その結果アメリカから相当高い消費物資が一億ドルもフィリピンに入っておったのであります。これが今度は、アメリカの製品についても外国と同じような関税を設けるということになりましたから、アメリカからやっておるものは必ず日本がこれをとれると私は信じております。けれども、今賠償問題を解決せずにこのままでおけば、日本はほかの国よりも悪い条件で持っていかなければならぬ。つまり最恵国条約の扱いを受けないということになりますから、この場合に日本が一日も早く賠償問題を解決していけば、一年間の貿易の取引荷は現在よりも倍増することができる、こういう考えでおります。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 先ほど二点の質問をしまして、大体あとの方から御答弁か始まりまして、そして前の問題に来たような来ぬような話です。しかもその比較につきましては、どうも下手するとごまかされそうな感じでありますが、つけ加えてもう少し補足的に、たとえば資本財五億ドルなら五億ドルというものについて、現実にどういうものについて考えておられるか、あるいは役務賠償についても同じであります。その辺についての構想をお聞かせ願いたいと思います。
  10. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 これは大体リストはできておりますが、先方の希望によってやるべきものでありまして、今こちらの方はどうだとかこうだとかいうことは差し控えた方がいいと存じます。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そういうことでありますれはやむを得ぬのでありまするが、時間の関係もありますので次の問題に入りたいと思いますけれども、私は重ねて長官にお願いをしておきたいと思いますことは、これは外交交渉とは言いながら、先ほどから繰り返して言うように、私は経済交渉であると思っております。従いまして今の支払い方法等について、たとえば現金支払いの問題が出るにしましても——その現金支払い方法を、今ちょっと触れられたようでありますが、輸出価格の操作等で穴埋めをするとか、その中に非常にこまかい、つまり貿易協定の納品みたいなものが入るようなふうに聞いておるわけであります。これが単なる外務省を中心とした外交交渉だけで行われる暁においては、高碕さんも相当の発言権はあるかもしれぬけれども、たいがいいかれるのじゃないかという心配を非常にしておるわけであります。まあ構想構想としてお聞きいたしておきますが、この日比賠償につきましての問題は、わが国内に大きな問題を持っておると同様に、先方の国内問題とも大きな関連を持っておること、従ってなかなか簡単にいかないことも存じております。しかしながらこれ自身は、御承知のように日比賠償それだけの問題にとどまらずに、ビルマとの賠償にもまた戻ってきますし、同時にまたインドネシアとの問題にも戻ってくるし、それ自身が東桐アジアとの経済提携という、今日本経済に残された最大の問題に直接関係するものだと思います。従いまして、繰り返して申し上げるようでありますが、どうかこの問題につきましては公明正大に、ガラス張りの中で、少くとも全国民日本経済に及ぼす影響、たとえば貿易の促進対策なり振興対策なりの一環みたいに見える格好にまで透明にされて、そして経済大臣としての発言を十分に保持されながら問題を進められることを希望いたしまして、時間の関係もありますので次の問題に移りたいと思います。  第二番目に、同じように最近における経済問題の最大一つは、この賠償問題に続いては中共を中心とするところのいわゆる共産圏に関する貿易の問題であろうかと思います。これまた外務省を中心とする構想なり話ではさっぱりわけのわからぬことになっておる。この問題も明らかにこれは経済問題でありますから、従って私は特に高碕さんのお考えをお聞きいたしたいと思うわけであります。御承知のように最近イーデン首相の要請に基いて、米英間におきましてこの中共貿易に対する制限緩和の検討を、正式の機関であるココムにかけて行おうということになっておりまして、そのココムでの検討に備えて、ワシントンにおいて今日本とアメリカとの間で予備的な折衝が行われて、おることを新聞は報道しておるわけでございます。ところがこの新聞報道のなるべく裏の方を推察しながら読んでみますというと、この日米の予備交渉なるものは、日本の中共に対する制限を緩和するための努力よりも、むしろアメリカの制限緩和を警戒する動きの方がより強く動いておる。従ってココムでの検討の際に、日米の予備交渉を逆にアメリカ側の制限緩和に賛成しない立場からの有利な材料に使おう、そういう感じで、どうもこれまたいかれつつあるような交渉が行われておるように新聞は伝えておるわけでありますが、高碕さんはアメリカにまことに詳しくて、アメリカ通という話であります。従いまして私はこれらの動きにつきまして、高碕さん自身の御見解をまず承わりたいと思います。
  12. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 まず第一にフィリピン賠償問題等につきましても、私どもは長い問いろいろ商売をいたしましたが、これくらいむずかしい交渉はないと思うのでありまして、商売をするときには相手にこっちの腹を知らしめないで、向うの腹を探るということか商売のコツだと思うのでありますが、これをガラス張りにすればどうしても国民諸君に知らさなければならぬ、国民諸君に知らせれはこれがすぐ相手に知れるということで、相手も今佐々木さんのおっしゃるごとく、いろいろな政党関係があり、いろいろ考えの異なる人がいるものでありますから、非常に困難な問題があり、私は初めてこれはむずかしい折衝にぶつかったと思っておるわけであります。特に中共の問題等は、ただいま佐々木さんのおっしゃった問題は考えなければならぬ問題でありまして、ココムの緩和をしてもりいたいといってこっちで頼みに行ったごとが、かえって警戒せしめるといり例は過去においてたくさんあるのであります。この点はよほど注意しなければならぬ点でありまして、その点は当然外務省も考えに入れて、今折衝しておるわけでありますが、特に中共の問題につきましては、これは日本の昔からの百歴史的あるいは地理的考えからいっても、相隣接している同じ人種の人たちか現在のような工合に、一方は足らぬ物、一方はほしい物、これが両々相切られておるということは、ここに大きな政治的の欠陥があるのだ、これを取り除くことは、両国民ために、非常に必要なことであることを痛切に感じておるわけでありますが、ただ一番問題といたしますことは、御承知のごとく、現在の日本といたしましては、中国というものを承認いたしておりますのは、台湾政府であるということが原則になっておるわけでありますから、台湾政府考え等も考慮しなければならぬというふうなことで、いろいろ外交上のデリケートな問題があるわけであります。従って商売人が考え経済人考えるようにそう単純にいかないというのが今日の状態でございますが、ただいま佐々木さんのおっしゃったことは、私ども同感でありますから、よく腹の中に置いて、経済人として外交交渉については発言をいたしたいと存じております。
  13. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 どうも質疑しにくくて私も困るのです。今日本外交で一番必要なのは、悪い言葉で言えば、高碕さんの会符しておられる商売交渉か必要なのじゃないですか。日本外交方針を、一方的にアメリカとの関係だけをまず強化しておいて——商売の電源開発で機械を買ってきたときにもよくわかったように、こちらの筋道たけを頼んで、私はお前さんに忠義を尽すから何とか負けてくれといっても、向う向う立場があるのは当りまえの話で、工合が悪ければほかから買うぞといって、逆の立場を見せながら両方進めるところに、高碕さんの数十年来会得された商売のコツがあったと思う。今日本外交の一番重要な点は、そこにあると思うのであります。御承知のように高碕さんはアメリカ通でありますから、おそらく言うまでもないことでありますけれども、私が四年前にアメリカに行ったときの対日感情と、昨年の暮れあたり私ちょうど共産圏に行っておるときに、私の親友が同じようにアメリカに行っておりましたけれども、それがアメリカに行ったときの感じと違う。明らかにこの四年間のうちに、アメリカの日本に対する感じが非常に大きな変革をしつつあることがわかるのであります。それであるにかかわらず——話が外交問題に入って恐縮でありますけれども共産圏とアメリカとに分れて私自身と私の友人とか行っておるその際に、重光外務大臣がアメリカでやった話し合いあるいは話の態度というものには、ちょうど私が四年前に向うで感じたのと同じように、ともかく強いものには巻かれろみたいな、忠義の感じを持っておりさえすれば負けてくれるというような、一方的な外交が行われておったと思う。その辺が、なめられ、そして今のような制限緩和のための平前交渉をしながら、逆手に使われていくような結果になる最大の原因だと思っておるのであります。これは釈迦に説法みたいなことで、言う必要もないことであります。か、繰り返して言いますけれども、一番垂要なのは、もし共産圏の国々が日本に対しまして、にこにこ外交だとか平和攻勢ということを進めておるとすれば、同じような感じでアメリカ自身日本に対して平和攻勢を進めてくるような感じなきにしもあらず、私は今これらの問題を解決するのに一番いいチャンスに遭遇しておると思います。そこに私は外交問題の一番の中心かあろうと思いますが、この段階に至っての外交問題、特に直接の経済問題に結びついておる今の賠償なり中共貿易中心とする仕事は、外務大臣よりもむしろ商売人のあなたがやられた方が、よほど効果が上るのではないかと思うのでおります。言うまでもなく、隣の中共に対しまして、西欧よりももっと低い状態に私ども貿易があるということは、どう考えても順当なことではないわけでありまして、中共貿易に対して西ドイツよりももっとこちらが低位にある、そんなばかな話はないわけであります。日本に対して西欧よりも特に厳重な制限が置かれておるところに、その結果が出ておるわけであります。それを打破するかしないか、私は今最上のチャンスに来ておると思うのであります。追及はこの辺でとどめておきますけれども最大のチャンスを経済感覚でもってのかさないように、どうか一段の御奮闘をお願いいたしたいと思います。  そこで先ほど申し上げました第三番目の問題に入らさるを得ないわけでありますが、日本経済にとって最近の最大の問題の三番目の問題は、中小企業に関する問題だと思います。御承知のように、昨年からことしにかけて重化学の大企業を中心に、いわゆる鉄鋼、造船というような黒いものかだんたんと日に当るような経済状態になりつつある状態でありますが、この反面に、いわゆる産業合理化のしわ寄せが中小企業にひしひしと寄せておることを、経済大臣であるところの高碕さんは十分御承知のはずであります。同時に潜在失業者の問題がこれと密接不可分の関係で今露呈をしておる、これは私はまことに捨ておけない状態だと思います。一作品の予算委員会におきまして、わが党の井堀委員から、中小企業の問題につきまして、経済大臣及び労働大臣等にただした際も、まことにまあよくこれで内閣が保つものだと思うほどのひどい答弁がなされておったことを私は聞いたわけであります。通産大臣は、そうは言うけれもど、まだ中小企業の実情が把握しがたいというような格好で、まことに認識不足と無策を暴露しておりますし、労働大臣は、これはまた、ちょっと所管が違うのだというようなことで、あまりにもひどい逃げ力をしております。また経済企画庁長官のあなた自身も、六カ年計画がどうのこうのというような、役所で作られた数字を読み上げて、適当な格好で逃げておられる。おそらくその数字自体はあなた自身も信用しかねるものでしょう。私はこれは日本経済ためにまことに憂慮にたえないと思うわけでありますが、これらの中小企業問題に対しまして、かた苦しい大臣の肩書きをはずしてもいいですから、あなた自身経済人としてそんなに楽観しておるのか、楽観という雷葉が悪けれは、ほうっておいても何とかなるだろうというような感じでおられるのかどうか、一つ根本的なお考えをお間かせ願いたいと思います。  同時にまた御承知のように、中小企業に対しましては、従来中小企業安定法とかあるいは中小企業の協同組合法あるいは輸出入の取引法等でもって適当な法制が立てられておるわけでありますが、これらをもって大体何とかなるというふうにお考えになっておられるかどうか。同時にまたそれらの法制が中小企業ほんとうの安定に役立つような形で適切なる運営がされているというふうにお考えになっているかどうか。御承知のように、私どもの方の党では昨年来、国内問題ではありますけれども、百貨店法とか下請関係の調整法とかいうようなものをひっさげて中小企業問題にぶっつかろうとしておる。そうすると、最近においては仕方なしに引かれ者の小うたみたいに、しぶしぶと骨抜きみたいな格好で百貨店法、下請関係の調整法というものを政府から出されようとしておる。内容を見るとほとんど骨抜きである。また同時に貿易の関係を見ましても、貿易が伸びた伸びたというけれども、実際には大してこの中小企業に役立つようには伸びていなくて、ますます小小の弱さでお互いにすり減らしすり減らしして行われておるような状態に見受けるわけであります。所管の官庁でもないわけでありますから、秘そうこまかく聞こうとは思いませんけれども、この中小企業問題につきまして、先ほどから繰り返しておりますように、わが党の方もいろいろな角度からたびたび質問なりあるいは対策なりを積極的に打ち出しているにもかかわらず、まことにあじけない、またまことにごまかし的な対策なり答弁なりしか行われていない現状でありますので、むしろ苦労人、経済人として高碕さんが中小企業問題についてとうお考えになっておりますか、根本的なお考えをお聞きいたしたいと思うのであります。
  14. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お話のごとく、中小企業日本経済に占めるウェートは非常に重大だと私は存じております。のみならず潜在失業というふうな問題から考えたときに、中小企業に対する施策がいかに必要であるかということは、今の佐々木委員のお考えと全く同感であります。ただ今日輸出産業を振興しますときには、産業の合理化というて大工業だけを合理化しているというふうなお話でございますが、これは大工業は合理化しやすいから一部分やっておりますが、中小工業に対しても今後これを合理化していかなければならぬということを今政府考えておるわけであります。それはどういう点にあるか、現在の中小工業の一番の欠陥はどこにあるかと申しますと、一つだれかが仕事を始めて、よければすぐにまた同じものが出る、また同じものが出る、だんだんふえてしまってお互いの競争が激甚になる、激甚になった結果、輸出品のごときも値段をくずさなくても当分当然売れるべきものが、だんだんお互いに競争し合って、かえって日本の商品に対する信用を落してしまって、売れ品が減ってしまうということはたくさんあるわけであります。特にこれは中小工業を対象といたしております雑貨類、そういう部門には多いのであります。これを防止することが必要であるということのために、中小企業の協同組合法をもっと強化する、それで輸出業者を一本にして輸出販売会社を作るとか、あるいは地域によって組合を作るとかいうことにして、輸出産業中心といたしまして独禁法をある程度緩和してもらって、この改正法一本にしていこう、こういうのが現在の輸出産業に対するわれわれの考えであります。これを今のような工合に、勝手にただ競争ばかりやらすということになれば、輸出産業はだんだん萎縮してしまう、どうしても輸出については価格を一本にしていくことを考えていくということが、輸出産業に対するわれわれの方針であります。それから一方におきまして、大企業が合理化されて大きくなって参りまして、その事業がだんだん増加いたしますと、下請に入ります仕事の方も多くなり、下請の仕事もどんどんふえていくというので、今度は下請の業者を保護するところの法規も考えていきたい、こう存じておるわけであります。いずれにいたしましても中小工業をよくしていくということは、どうしてもこの失業問題の解決、特に潜在失業者の問題を解決する上におきましても最も重要だと存じまして、この方針を持続していきたいと思っております。
  15. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 中小企業の問題は今ここで幾らやっても尽きない問題でありますが、この問題につきましては同僚もいずれ別の角度からずいぶんと突っ込まざるを得ない状態になっておりますから、適当に引き揚げざるを得ないのでありますが、今のお話によりますと、私は大体自由経済の持つ弊をますます強くするような結果にしかならぬという心配をしておるわけであります。輸出入取引法の問題の際にもずいふん問題になったわけでありますけれども、大企業と中小企業とを同じように並べて競争させたんじゃ、負けるのは当りまえの話でありまして、従いましてここに中小企業に対する特別の対策が出なければならぬというふうに私は考えておるわけであります。時間の関係がありますので、この問題はこの辺で一応打ち切って、あとは同僚にバトンを渡したいと思いますが、中小企業の問題は、特に今お話がありましたように、せっかくの高碕さんの答弁ではありますけれども、これは中身が何にもないと言わざるを得ないのであります。どうか一つ、再度十分な御検討をお願いいたしておきたいと思います。  私が高碕さんに質問するということになると、最後には電力問題を少し言わぬとどうも工合が悪いということになりますので、最後に電力問題、特に電源開発をめぐる二、三の問題につきまして根本的な問題を提示しつつ、当面の一、二の問題に対する方針をお伺いいたしたいと思います。  御承知のように今度の旧会でせっかく問題になっておったところの電力問題の一番根本的な問題は、どうやら今度の国会におきましては政府は逃げられようとしておるようであります。たとえば電気事業法も今度は大体見合せるという方針でございまして、従って電力問題の根本的な問題はこれまた大体逃げるということになる。同時にまた高碕さん自身がずいぶん苦労されましたところの電源開発の一つの大きな障害になっておる補償関係の問題の調節も、補償関係の立法一本にして出すという話であったのにもかかわらず、これまた今のところ大体見合せということになりまして、建設省の土地収用法か何かでお茶を濁そうということであるらしく聞いております。従いまして電力問題自身の根本的な考え方はまた政府においてもまとまっておらない、あるいは熟しておらないというふうに感ぜざるを符ないのでありますか、日本経済上の要請として電力の足らないことを補うためにあくまでも電源開発を大幅にやってくれという問題と、そして最近においては電源開発をすれはするほど料金コストが高くなるということ、この電源開発と料金コストの値上りの悪循環をどういうふうにして調節するなりあるいは克服するかという問題が、おそらく現在の電源開発の最大の問題かと思う。この問題に対しましての根本的な方策いかん。おそらくこの方策がないから、事業法の関係も補償関係の法律も今度は見合せられたのだろうと私は思うわけです。  第二番目には、国土総合開発の現実的な実施方策いかん。これ自身高碕さんがずいぶん苦労されたはずであります。総合開発の必要性が叫ばれること長い、そしてやろうと思ってもさっぱりできないという意味におきまして、総合開発の現実的な実施方策いかん。  そして最後に第三の問題としては、電力政策いかん、料金政策いかん、この三つの問題が当面の電力問題としておそらく根本的に考えざるを得ない問題かと思うわけであります。この三つの問題につきましてまず所信をお伺いいたしましてから、当面の問題に一、二触れて質問を終りたいと思います。
  16. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 第一の問題につきましては、電源を開発すれはするほどコストは高くつくから、従って電気料金に影響するところが多い、これはまことにその通りでございます。しかしながら今後の電源開発というものはどうしても大規模でやっていって、単純に電力だけという問題でなく、そのほかの総合的な点等も考慮いたしまして、十分これは各方面に負担を分担せしむるということにしていきたいと存じます。同時に火力発電におきましても、御承知のごとくだんだん熱効率が上って参りましたから、そういう意味から申しまして、今後の開発につきましてはできるだけ生産原価を引き下げるという方針で進みたい、また現在におきましては、政府の出す資金は比較的少くありましても、民間資金も相当笠利が低下して参りましたから、今後の開発につきましてもある程度金利の負掛が低下し得るだろう、こういうふうな考えで、できるだけこの方面は電力料金に影響しないような方針をとっていきたいと思います。  第二に、総合開発のことにつきましては、御承知のごとくいろいろ各地において実行いたしておりますことが、矛盾横着がある、テンポが合わないというふうな点がありますから、こういうふうな点を考慮いたしまして、今回経済企画庁におきましては、わずかでありますけれども大体五億円の予算をもらいまして、これをはなはだしく開発の蹉趺を来たしておる、矛盾を来たしておる方面に向いまして投下いたしまして、その施工は各省にこの予算を分けて、総合いたした計画を立てていきたい、こう存じております。
  17. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 電力問題につきましては、高碕さんにずいぶん前より私は話をしておったつもりでありまするけれども大臣になられるというと、問題の焦点がどうもぼけるようであります。時間の制限があるようでありますので端折らざるを得ないのでありますが、電源開発と料金コストの価上りの悪循環を断ち切る方策いかんという一番端的な問題は、高碕さん自身が総裁としてやっておられた嘱源開発会社をどういうふうに運用するかということで半分くらいは解決がつくはずです。あと高性能の火力を作る云々の問題がありますけれども、電源開発会社の任務いかんというところに、この電源開発と料金コストの値上りの悪循環を断ち切るため一つの方策が出ておるわけであります。私はこれをもう一度繰り返して申しあげておきたいと思うわけでありますけれども、御承知のように大規模になり、そして困難な地点になればなるほど、今コストが高くなりつつある。それを商業ベースの電気会社がやるのであれば、廉価主義に立っておる限り料金の高騰は免れたない。そこで国策会社としての電源開発会社を作って、そのパッキングにしようというのがねらいであったわけであります。従いまして、開発会社の任務が明らかに電源開発と料金コストの値上りの悪循環を断ち切るというところに目標があったわけです。従ってそこから出てくるところの電源開発会社の任務の一つは、御承知のように電源開発をする場合に最大の費用は金利であることは高碕さん御承知の通りです。現在、普通の水力発電原価をキロワット・アワー当りにして大体三円から三円五十銭、その中に占める金利のパーセンテージは、普通の関係において六〇%強のはずです。その六〇%強になっておる金利を、国策会社に国家資金を財政投資することによって六〇%を切り下げることができれば、半分切り下げたところで今の原価は半分になり得る。そこに電源開発会社が大規模な、困難な地点をひっさげて財政投融資によって行うという任務があったはずであります。そこのところは、高碕さんは総裁をやっておられて苦労をされたのだから、よく御存じのはずであります。しかるに高碕さんが総裁になっておられるときよりも——本来ならば、あなたが大臣になられたときの方がその任務が最も端的に達成されなければならないはずであるにもかかわらず、三十年度、三十一年度になるに従いまして、電源開発会社の資金の構成は、金利がだんだん高くなる傾向を示しておることは御承知の通りであります。三十年度だけを見ましても、高碕さんのとぎに幾ら高くなっても平均金利を四分以下にとどめなければならないということを言われたはずであります。今の任務から類推いたしまして……。それであるにもかかわらず、三十年度の資金構成の金利を平均して割ってみますと、すでに五分強になっております。それから三十一年度の、昨日高碕さん自身説明されましたところのあの計画によりましても、おそらく五分四厘三毛くらいになる。四厘くらい昨年よりもふえており、通算していくと、三十一年度の今度の計画を予定通りにやられますためには、おそらく四分を相当に上回らざるを得ない金利になっておることは御承知の通りであります。これでありますならば、すでに電源開発合社の任務はほとんど速成できないような状態になりつつあるわけであります。  それから同時に、もう一つの問題は、あなた自身が一番苦労されました補償の問題、せっかく今補償法を出そうとしておったけれども、とうとうまたやめたという話でありますけれども、補償の中でも一般に知られていないところの公共補償の問題が電力原価を非常に大きくしておる最大の原因になっておる。高碕さんはおそらく御存じだろうと思いますけれども、電源開発会社の今の資金コストの中で、普通で行くと六〇%程度のものが、四分以下にとどめるならば、これは三五、六%ぐらいにはなり得るのが、最近における電源会社の補償の方の、特に公共補償の高騰が原価に占める割合は大体一割六分です。電気会社で普通やる場合には最小の場合は二、三%か、多くても一割程度、従いまして平均でも五、六%にしかならない。それが電源会社でやる場合には次々に公共補償をかぶせられて、それが原価の一割五、六分をなしておることになっておる。そうすると先ほど言いましたように、普通の会社でやって金利分が六〇%だった、同時にまた電源開発会社の場合には、それが下って四分ぐらいにとどめるとしても、三五、六%、その三五、六%の中の半分ぐらいは電気会社とは別に公共補償が大きくなるがために食われてしまうということになれば、先ほど言いましたように、電源開発会社の任務でありますところの開発と料金コストの値上りという矛盾を断ち切る意味はもうほとんどなくなりつつある。これがなくなるのならば、この電源開発会社を解散して、ほんとうの普通の電気会社のそろばんだけでやれば、それならそれで筋道が通ると思う。しかしながら、電源開発会社の任務がそこにあるにもかかわらず、今のような状態になっておる。この点は十分に御配慮願って、そうしてどうするかという方針をはっまりときめてもらわなければどうしようもないという状態になっておると思います。同時にまた国土総合開発の問題は、三億や五億の調整金を持つというところに問題があるのじゃなくて、昨年も私が申しましたように、一方では電気と治水と農業用水等の利水と三つを行うくらいな仕事になっておる総合開発の地域仕事がアンバランスになって、発電所ができたけれども水が通らぬという西吉野の例も御存じのはずである。それは特定地域十数カ所を作ったけれども、どれ一つとして総合陶発らしい開発がなされていないことは御存じのはずであります。その辺は三億や五億の調整金を持ったところでどうしようもないのでありまして、実質上は役所間のセクトと、それをほんとうに総合的な開発をするならば、その総合開発々する一本の主体性を持った線をどう引くかという点にあるわけであります。これはまだちっとも前進していないわけであります。同時にまた最後に料金の問題に触れますならば、御承知のように、料金問題は、電灯電熱の問題と産業用電力の問題とありますけれども、特に電灯電熱の問題はもうすでに民生安定の立場から、言葉はお気に召さないかもしれませんけれども、社会主義的な料金に変えていい時期に来ておる。原価的な考え方でなくて、社会主義的な、むしろ消費者の財産状態、消費者自身経済負担能力によってきめていい時期に来ておる。それくらいのことは資本主義国だって大体考えてやりつつあるわけであります。にもかかわらず、現在のところ、まだ昔なりの傾向が残っておって、電灯電熱分の消費電力と産業川の消費電力とは、キロワット・アワーでいくと適当の割合になっておるのが、料金収入でいくと完全にさかさまになるというような状態がまだ続いておるわけであります。私はこの辺の問題について、もうそろそろ根本的なメスを入れなければならない時期に来ておると思うわけであります。従いまして繰り返して言うようでありますけれども、最近の電力問題はまだしばらくの間見合せようという根本方針らしく、法案の提出もなされないらしいし、料金問題も大体今のまましばらく様子を見ようということらしいのでありますが、経済企画庁として根本的な問題に一日も早く触れられんことを希望してやまないわけであります。通産大臣が見えておりますので、ほんとうはこれから具体的な問題について一々とっちめていかなければならぬわけでありますが、先ほどから時間の制約がありますからあとに譲りたいと思います。繰り返して言うようでありますが、今の根本問題につきましては問題を提示するにとどめておきますが、十分に御考慮をお願いいたしたいと思います。  次に高碕長官に、経済企画の立場ではなくて、実施官庁的な現実の仕事も担当されておるので、その関係において当面の電力問題について一、二所信を承わっておきたいと思います。一つは、最近におきまして黒部川、神通川、常願寺川の上流地帯が本州中央部における唯一の電源地帯として残されておる。これにつきましていろいろ相対立しているようなかっこうに見えております電源開発会社と九つの電力会社との関係で、特にこの問題については関西電力と北陸電力、そして電源開発会社という形でだれがどういうかっこうでこれを開発するかという問題が今当面の問題として解決を迫られておるように聞いております。私は結論を急ぐわけではありませんけれども、この問題に対しまして経済企画庁実施官庁として采配を振われるわけでありますから、高碕さんは大体どういう方針考えられておるかということを承わりたい。  二番目には、懸案の地点でありました御母衣地点の開発につきまして、伝えられるところによりますと、世界銀行から金を借りて、また外国の機械を買ってあそこの開発を進めたいという計画があるやに聞いております。これに対しましてどういう方針をもって臨まれるつもりか、この二つにつきまして簡単にお答えを願いたいと思います。
  18. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 御質問の黒部川及び神通川の問題は、これは技術的に十分検討せねばならぬ。電源開発会会社はもちろん、各方面の権威者をもって技術的に十分検討する必要があると存じておりますが、これの開発につきましては、今日は民間の金利も非常に下ってきておる。と同時に、各電力会社の資産状態がよくなってきておりますから、これは答電力会社でやれる、またやりたいと希望した場合は、これを各電力会社にやらせるべきものだ。しかしどうしてもこれが国家として必要であると考えたにもかかわらず、実行困難だというような場合には、電源開発会社をしてやらしめなければならないと考えております。また電源開発会社の金利の問題についても、私はやはり平均四分五厘の金利で国家資金を使いたいという考えでおりますけれども、何せいろいろな方面に国家資金というものは必要でありますから、これに十分な処置はできないわけでありますが、できるだけ低金利でもって、この電源開発会社の資金をまかなっていきたいという方針であります。  次に御母衣の問題でありますが、この問題は世界銀行の金を借りてやるという話がちょっと新聞に出たのでありますが、私はまだ当事者からその話を聞いておりません。元来御母衣というところは非常に地盤が悪くて、研究した結果普通の電力式ダムでは無理だ、どうしてもロックフィル・ダムでやらなければならないというところでありますが、この設計は現在日本の技術をもってやれば私は十分できると思っております。また機械類におきましても、非常に大型のものは別でありますけれども、今度私は佐久間の機械を拝見いたしましたが、われわれが初め佐久間に看手いたしましたときと比較して、この一、二年の間に日本のダムに使う機械が非常な進歩をしたということを私は調査に行って見てきたわけでありますから、こういうところから見ますと、大型の機械以外はほとんど自木でできるだろう、こういうふうに考えます。ただロックフィル・ダムの大きなものを作りますときは、工事のやり方についてある程度外国の経験者を連れてくる必要があるかと存じておりますが、設計等は外国の力を借りなければならぬということは必ずしも考えておりません。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これで質問を終りたいと思いますが、今の御答弁の黒部川、常願寺川、神通川の問題については、電力の需給上から早期開発ということが望まれておる。その早期開発のためには、できる所からすぐにでも着手しなければならぬという要請と、それから本州中央部における最後の地点としての計画に慎重を期さなければならぬという要請と、この二つの要請がかみ合っておるところに現在の問題があると思います。従いまして、この二つの問題を迅速適切に一つ考え願わなければならぬと思います。  御母衣の問題につきましては、まだ問題が熟しておらないそうでありますし、私もうわさ話で聞いておる程度でありますので、うわさ話の問題は一応あとに残しておきたいと思います。従いまして、これでもって質問を終るわけでありますが、ほんとうを申し上げますと、高碕さんからもう少し経済人的な、野人的なお話が聞きたかった、しかしながらどうやらだいぶ大臣なれしておられるようでありまして、(笑声)どうもはっきりしたつぼに当ったほんとうお話が聞けなかったことは残念であります。繰り返して申し上げておきますが、最初の日比賠償中心とするところの東南アジア賠償の問題は、あくまでも経済問題としての発言権を持って、そうして十分にガラス張りの中で損をせぬようにうまく話を進めるという勇力を、もう少し町人的な立場から進めていただきたい。同時に中共貿易につきましても、そこへ石橋さんも見えておりますから、今ワシントンで行われている交渉の模様あたりもここで御報告願って、そうして皆で一生縣命になって対策を立てるのがほんとうかと思いますけれども、これもまたあまり核心に触れたお話も承われなかったわけであります。  それから中小企業の問題につきましては、先ほど繰り返して申し上げましたように、この問題に対しましては、私はあくまでも不満を禁じ得ないのであります。  そうして最後に触れました電力問題につきましては、これは問題を提示するにとどめたわけでありますけれども、今原子力の問題とともにこの問題はそんなに長いことほっておけぬ問題であり、早く解決の方針をきめたければならぬ状態になりつつあると思います。私どもはたたくところはたたき、つつくところはつつき、また経済的な問題で一生懸命になってやらなければならぬことは一生懸命になってやるつもりでありますから、どうか胸襟を開いて、私ども委員会に十分相談をされると同時に、私どもの意見も十分にいれて、そうして問題を進展されることをお願いいたしまして質問を終りたいと思います。
  20. 小平久雄

  21. 松尾トシ子

    ○松尾委員 何かお急ぎで時間を制限されましたから、簡単にお伺いしたいと思います。  私は、政府経済政策の基本的な諸点についてお尋ねしたいのでありますが、第一点は、政府経済日立計画のうちの資金計画に関する点、第二点は、政府の海外経済の動向の判断に基く貿易政策、第三点は、政府のいう、いわゆる経済基盤の強化についてどのように独占禁止法の運営を行なっていくのかという、この三点について、順を追うて簡単にお尋ねをいたします。  第一の資金計画について、経済企画庁では去る二月の六日に、昭和三十一年度の総合資金需給見込みを国会に御提出なさいました。これを拝見いたしますと、財政資金対民間収支は全体として九百八十億円の払い超になるといい、金融機関の資金吸収と資金貸し出しとの差額収支が七百八十億円の収縮、すなわち吸収超過となると申しております。そうしてこの締めくくりに、政府は七百八十億円をさらに日銀信用収縮によって抑え、三十一年度末には通貨増発を二百億円に抑えると言われております。そうして金融状態は相当緩和されると予測しながらも、インフレなしに静かな経済拡大というふうに言われて自画自讃しておりますけれども、この点私はもう少しお尋ねをしたいのであります。この裏づけになるような産業資金供給の見込みにおいても、内部資金は三十年度より九%増、外部資金は二一%増と判断し、合計平均一六%増となると言われ、金融はそれだけ緩和すると見ておられるので、ここで伺いたいのは、三十年度に比べて産業資金供給量が一六%ふえると言われておりますが、これと財政投融資計画との連係をどういうふうにつけておられるのか。また政府は、明年度の財政投融資計画で、民間資金を千三百十九億円活用する見込みだとも言われておりますが、経企長官としていかなる活用の方法をおとりになるのか、その構想をまず伺いたいのであります。聞くところによりますと、政府は資金委員会を法制化して設置するとかしないとか言われておりますが、その点もまことにあいまいでございまして、その中を聞いておりますと、必要に応じたときに大蔵大臣が金融機関の全資金に勧告を与えることができるとか、あるいは二年間の時限立法だとかいうことを申されておりますが、経企長官として五カ年計画を発表し、鉱工業生産貿易、雇用の増大なども年次計画として国会に出しておられるのですが、このような強制権のないようなものでやっていかれるのかどうか。そしてまた時限立法だとしたら、五カ年計画という建前がありますから、二年でなくて五年というのが数字的につり合いがとれるのじゃないか、こういうような点をまず第一に経企長官につまびらかにしていたたきたいと思います。
  22. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 御承知のごとく、近来民間の資金が非常に潤沢になって参りまして、今日では銀行の金は借りる方の意向によってどうにでもなるというくらいで、まるで昨年とは状態が変ってきておる状態でありまして、ここでできるだけ政府民間の資金を活用いたしたい、こういうふうなことから、本年も財政投融資計画の中で、お話のごとく千三百何億という金を民間の資金に依存することになっておりますので、活用の方針といたしましては、できるだけ民間人たちの意向を尊重して、そうしてその人たちの意見を尊重しつつ政府方針をよく話して、そうして相談ずくでやっていきたい、こういう考えで今政府は進みつつあるわけでありまして、これに強権を使うということは、かえって財界を混乱せしむるだろう、こういうような考えでおるわけであります。  それから一方資金の活用につきましても、従前開発銀行からは、電源開発たとか、あるいは大企業に重きを置いておったのでありますが、今後は製鉄とかそういう方面はできるだけ開発銀行の資金を使わさないで、公共事業関係のものにできるだけ開発銀行の金を使う以外に、新規の産業に向っては開発銀行の資金を使わすという方針で進みたいと思っております。それから一方住宅公団だとか道路公団だとか北海道開発公庫というふうなものにつきましては、政府といたしましては、その機関の発行する債券につきまして政府保証をして、その債券を資金の集まりやすいように持っていきたいと存じておる次第であります。
  23. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういうことは五カ年計画の中にも現われておるのですけれども、私の聞かんとするのは、民間資金の千三百十九億円を活託する方法について、政府は何らの立法的措置をとらなくても、民間がみずから自発的に協力するのを待つというふうに解釈してよろしいでしょうか。銀行協会あたりのお話を聞きますと、いろいろのお話があるようなんですけれども、それについて政府がただいまのところ非常に資金計画活用の方法に苦労されておるということを聞いておるのです。一体これは大蔵大臣の方の管轄になると思いますけれども、かねて新聞で見ておりました資金委員会というものが今後別の形で出てきて民間融資の活用に役立てるか、その点を聞きたい。
  24. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 この問題につきましては、経済閣僚におきましてもよく協議いたしまして、政府の使うべき道というものはこういう方針で使いたいということを、よく民間の業者に響くように、また業者の協力を得られるように話していきたい、そういう方針で進みたいと思っております。
  25. 松尾トシ子

    ○松尾委員 「経済自立五カ年計画」の中に、民間金融機関の積極的協力を求めようとする云々と四十七ページに書かれてございますと同時に、また別な面からお聞きしますと、そこにまたもう一つ書かれていることは、投融資対象事業を厳選し、効率的適用をはかるとともに、金融機関の積極的協力云々、こう書いてあるのですが、経企長官は、いわゆる財政投融資対象事業の厳選というのは、どういう基準でどういうような対象をお選びになるかをもう一点何って、前の質問と関連して考えてみたいと思います。
  26. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大企業の方で民間投融資に向けらるべきようなものは、できるだけ民間投融資に向けていきたい、そうして公共事業のようなもの、あるいは採算がちょっとむずかしいというふうなものだとか、あるいは新規の産業というふうなものにつきましては、政府の資金を間接、直接に持っていきたい、こういう考えを持っております。
  27. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そうしますと、経企長官は大蔵省が考えているような線でやっていこうというふうに思われるのですが、どうも私が考えてみますと、積極的に民間の協力を仰ぐというのは、何か話し合いには違いないけれども政府の非常な政治力と、それからいろいろな見方をはっきりしなければならないと思うのですけれども、どうもあいまいでございますから、この分でいきますと、どうしても日本経済産業を論じ、発展させるのに、資金的な支柱がなくなってしまうのではないか、こういうふうに私は心配するものなのであります。この点はいかがですか。
  28. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私どもはできるだけ自由経済基礎といたしまして、話ずく、相談ずくでやっていきたい、こう存じております。そうしてこれかどうしても実行に移せないというときには、さらにそのときになってから方策を講じたいと思っておりますか、現在におきましては、私はこの程度のものなれば相談ずくでやっていけるという見込みがはっきりついております。
  29. 松尾トシ子

    ○松尾委員 続いてもう少し深く進めて伺いいたします。経企長官は産業資金の確保対策として、外部資金を承要産業佃に確保するため投資対象となる重要産業を明確ならしめるとともに、関係金融機関の協力を得るための態勢を考慮する必要があると、経済五カ年計画の五十ページに書いておるわけです。これは外部資金、すなわち財政資金、株式、社債、民間貸し出上等の金融にわたっての資金活用を意味するものだと思うのですが、この外部資金の活用についていかなる構想を持つておるかということを、五カ年計画の第一年度分として経企官から具体的に御説明願いたいと思います。
  30. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 先ほどのお話のごとく、民間資金の活用額は全体で千三百九十七億、こう見ております。そのうち国鉄、電電債、地方債の公募分を除きまして産業投資は七百八十二億、この程度民間資金の活用は先ほどお話し申しました通りに、現在の金融機関の積極的なる協力で十分まかなっていける、こう存じております。
  31. 松尾トシ子

    ○松尾委員 どうも私は資金の交流がうまくいかないような気がするわけなんです。けれども、これは見解の相違ですから、これ以上やりましても明らかにならないと思います。私の言いたいことは、どうも民間資金を活用するについて、政府銀行界とぴったりいっていないところがあるやに思われるのです。この際私の私見でございますけれども産業資金というものは、何といいましても、今の予算を見ても、財政よりも銀行の貸し出す資金の方がはるかに大きいのですから、この千三百九十七億の民間資金の活用ということが円満にいかない限りは、日本産業が打ち立っていかれないという考え方を持っております。聞くところによると、何もしなければ銀行協会の方では自主的にやるというようなことも聞かされておるわけなんで、この際銀行協会の連合会の中にあります投資委員会を義務づけて法制化して、やれば、きっと民間資金の活用というものがはるかに明らかになって、効率的になるのではないかというふうに考えているわけなんであります。これ以上経企長官にこの点をお話いたしましても判明いたしませんから、これと同じような角度から一つ通産大臣にお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。  この問題に対して石橋通産大臣は、かねて投資協議会という構想を通産省の案として新聞に発表なされたことを見ました。その通産大臣のお考えが今度政府の資金計画の中に、何ら採用されていないように思いますが、このような面を一つお聞かせ順いたいと存じます。
  32. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 新聞に何か出ました。これは私の知らない記事なんです。そういう不都合な記事を出すのはよろしくないといって小言を言ったようなわけであります。あれはある役人の中でそういう考え方を持って何か作文をしたのがあったんでしょう。それがたまたま新聞に出た、これは通産省には関係ございません。これははっきり申し上げます。  今われわれの考えておりますのは、大体さっき高碕長官からお話がありましたように、今の金融事情であればそう心配なしに十分社債の発行その他によって資金はいくと思います。千三百億円や、千六百億円の資金が入っていくことは決して問題はない、かように考えております。ただしもし必要があれば、たとえば政府保証をするとか何とかいうようなこともあるいは必要が起るかもしれませんが、それは必要な分についてはいずれ国会において御承認を受けましてさような処置をとりたいと考えております。打通の経済的のルートで資金が必要なる産業に流れていく、こういうふうに考えております。またそういうふうに指導していくということだけでありまして、特に法律の力をもって強制的に資金の割当をするというような構想はただいま通産省においても、どこにおいても抱いておりません。
  33. 松尾トシ子

    ○松尾委員 この資金の問題で、先ほどもちょっぴり数字をあげて申し上げましたが、金融機関の貸し出しと預金との差額が七百八十億円、これは大蔵省の管轄になるので、ただ私の意見として申し上げるのですけれども、こういう場合には、この七百八十億円というものが大きな銀行に残っていて小さい金融機関には残っていかないところに中小企業にも回っていかないし、また大きな銀行はこの七百八十億円の余裕金を利子の引き下げを行なって大きなところに出していくので、なかなか通産大臣のおっしゃっている本年度の金触緩和の点で中小企業に潤いがないから、こういうことも私は言っているのです。千三百九十七億円という民間資金の活用は、必ずしも中小企業の方にいかないで、でかいところに行っちゃうのではないかという心配があるので、むしろ政府一つ規制を作って、そうして計画的にそれを流すような方法が、かえって日本全体の産業にいいじゃないかという考えを持っているからお尋ねしたわけなんですが、その点はそれで一つ打ち切りとして、去る二月の十日本委員会通産大臣通商産業政策の一般方針をお述べになりましたが、そのうちで、まず劈頭におっしゃられたことは、積極的経済の規模の拡大をはかっていくということであります。三十一年度の方針として、いかなる産業中心に積極的に設備更新をしていく方針か、この点をお伺いいたします。
  34. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは今まで続けてやっております電力等の開発をやることはむろんであります。あるいはまた新しい原子力に関係するもの、それから石油資源、そのほかの鉱物資源の開発というようなもの、のみならず石油化学あるいは石炭化学、合成繊維というものに対しては積極的に、たとえば先ほど高碕君から言いましたが、新しい産業に対しては特に開発銀行からの融資をしよう。これはもうすでに大体計算もわかっているような事業に対しては民間資金が社債その他の形で入って参ります。しかしながら、これからという前途のはっきりしないものは、有望ではあろうと思うけれども計算がはっきりしないというようなものには、とかく民間資金は入りにくいですから、そこでそれに対しては開銀資金をつける、かような方法によりまして、できるだけ新産業の開発をはかっていきたい、かように考えております。なおお話中小企業の金融は今の問題とはおのずから別で刈りまして、これはこの方面の金融を容易にするということは別途に考えなければならないことだと存じております。
  35. 松尾トシ子

    ○松尾委員 それでは一つ輸出産業の点についてちょっとお尋ねいたします。大臣はこの前の一般方針演説のときに、輸出産業の設備の充実をはかっていくと申されました。また明年度の輸出は、大臣が何かの折にいつも言っていらっしゃいますけれども、下半期に至っては必ずしも楽観できない、こういうふうに言っておられましたので、輸出産業の点においては設備投融資を行うのか、近代科学化を行なっていくのか、いずれになさいますか。いずれ御答弁は両方とおっしゃいますでしょうけれども、いずれに重点を置くのかをお尋ねいたしたいと存じます。
  36. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 三十一年度の貿易については私は大体楽観をしております。三十年度は年初に予想したよりも輸出が非常にふえましたことは御承知の通りでありますが、三十一年度においてもなお三十年度よりも若干ふえるであろう、二十二億ドル余りにはなるであろう、こう考えております。しかしこれは御承知のように、海外の経済界が好調であるというようなことが主なる動力になっておりますから、それだけにたよっておっては、外国の状況が変りますとすぐにその影響を受けますので、そこで今の輸出が割合好調である間に日本産業そのものの体質と申しますか、基盤を強固にして、外国の状況が幾らか変ってもそれにすぐ影響を受けない、つまりそれによって、日本産業自身の競争力によって十分進出できるだけの力をこの際備えておかなければならぬ、こう考えております。そこで、やることはたくさんございます。こまかいことを申せば、海外に対して日本の商品の宣伝をする、あるいはテザインの改良をする。これは近ごろ外国から来る多くの人たちに注意されるのでありますが、日本の輸出品は、もっと日本的なデザイン、日本的な趣味を出したものにすれば、まだまだ繊維品でもあるいはそのほかの雑貨でも進出する余地がある。いたずらに外国のまねをしてはいかぬという注意を外国人から実は受けておるわけでありますが、私どももそう考えております。従って、このデザインというようなものについても若干の助成をしまして、研究を進めさせる。これはことに中小企業に非常に関係するのでありますが、中小企業の輸出品に対してわれわれは助成をして、その品質の改善ないしそのデザイン等の改善を加えていく、それから海外に対しては、直接に日本商品の宣伝のための見本市を開く、あるいは見本を船に乗せて巡回させるというような計画もいたして、すでに予算の中にもこれが入っておるわけであります。それからまた産業自身については、基礎産業である石炭とか電力とかいうものについてのコストの安定ないし低下をはかるというような方法、それから先ほど申しました新しい産業を興して——合成繊維のごときは今後日本の輸出品としてやはり非常に有望なものであります。そういうものに対しては力を注いで、新しい輸出品を作り上げる、こういうようなことで輸出産業の助成、輸出貿易の振興というものは、これだけをやればいいというような一つのものはありませんで、種々雑多なことを一度にやらなければならないというわけでありますから、これは予算の中にもそれぞれ多少づつみなそういうものが頭を出しておるわけであります。
  37. 松尾トシ子

    ○松尾委員 では次に進みまして、貿易の問題についてちょっとお尋ねいたします。昭和三十年中の貿易実績を見て気がつくことは、輸出数量の伸びが非常によかったのに比べて金額の伸びが割合に少いということであります。主要品目三十くらいの中で数量の増加率以上に金額の増加率が上ったというのはまことに五、六点でありまして、糸、人絹、スフ、セメント、鋼材、おもちゃなどその悪い方の代表的なものの商品ではなかったかと思うのです。これは一昨年よりも安価で売ったというふうに思われるのですが、こういうような傾向がずんずんと続いていきますと、アメリカやイギリスで問題になっておるダンピング扱いにされるようなことがありはしないか、あるいは三十一年度の輸出業者の力も強くなって、価格もコストも安くして、輸出しやすくなっておりますけれども相手国の反撃がだんだんと強くなって、輸入抑制の形が現われてくる心配がいささかありますので、通産大臣としては貿易政策全体としての指導を特別にする必要があるのではないかと思うので、この点も一つ説明いただきたいと思います。
  38. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 日本の輸出品の全体の平均の単価としては必ずしも下っておりません。たとえば輸出品の指数を見ましても、昨年中一月には一二〇——これは一九四八年を一〇〇にしたものでありますが、一月には一二〇であったのが、その後一二〇を割ったということがなくて、逐次毎月指数がふえております。八月には一二四というような数字も示しておりますから、全体として必ずしも貿易条件が悪くなったとは思いませんが、中には御指摘のように、たとえば繊維品のあるものというようなものは確かにそういう傾きがありまして、やむを得ず一部のものの規制をする、あるいはチェック・プライスを作るというようなこともいたしております。これはこの前の国会で御協賛を願いました輸出入組合法等の改正によって、ああいう手段で今極力安売り競争をしないように、またあるいは原料の高買い競争をしないようにという指導はもっぱらいたしておるわけであります。漸次商社その他もそういうことに目ざめて参りましたから、漸次改善されるものと思いますが、今までにおいては確かにそういう難点が、全部とは申しませんが、相当部分にあったことは確かであります。
  39. 松尾トシ子

    ○松尾委員 輸出入組合というものをもっと各業種にわたって組織化していくということをお伺いしたのでございますが、その点はそのくらいでいいと思います。  次にお尋ねするのは、どうも企画庁の御発表からしましても、財政資金対民間収支において、輸出代金の受け入れはだんだん増加していくけれども、下半期から輸入も増加をしていくように思われて、これに伴って外貨資金を取らなければならなくなるのではないか。従って下半期の外資会計に残る分というものは割合に三十年度より減ってくるというように御説明をしているかのように承わったのでありますが、この際輸入外貨割当の点で御説明が願えればいいと思います。
  40. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 大体申し上げますと、輸入はもう十分にしたいと思っております。そうすると、輸入がふえて外貨が減るだろうという心配もあり、これは議論のあるところでありますが、私個人の考えとしては、十三、四億ドルというような外貨を必ずしも日本銀行が持っておる必要はないだろう。これは大蔵大臣も大体それほどまでの必要はないだろうということを、いつかどこかの委員会かなんかで言っておられましたが、何も外貨を持っていなければいけないというのじゃない、ある程度貿易の季節的な変動等に対するときの支払いに差しつかえがないだけの外貨を持っておればいいのでありまして、たとえば現在日本銀行に持っております外質だけでも、すでに昔からいういわゆる三分の一の準備をこえておる。今の通貨発行高からいえば六億ドルもあれば十分でありますが、それ以上の外貨を持っております。ですから、昨年以来はこの外貨の問題についてはあまり顧慮せずに、日本で必要な原材料はむしろ糸目なく輸入する、そして国内の物価を下げ、原価を下げるという方向にいくことが、やがて輸出を増進する道であるという考えから、輸入は決して制限をいたしておりません。従って御指摘のように、いささか輸入がふえる傾きを持っておりますが、これは私はむしろいい傾向である、かように考えております。
  41. 松尾トシ子

    ○松尾委員 輸入に対する外貨予算のワクをふやすとおっしゃいましたけれども、その際ふやす場合に、輸入の外貨予算のワクが大きくなりますから、従って買付をするときにも便宜がはかられると思います。その場合に、通産大臣としましては、輸入コストの低減といいますか、こういうものをお考えになっておられると思うのですけれども、どの程度二十一年度は輸入の場合の輸入コストの低減をおはかりになるおつもりでいらっしゃいますか。
  42. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 ちょっと御質問意味がはっきりいたしませんが、これは船賃であるとか、その他の手数料であるとかいうものについてのコストの低下は、むろんできるだけ下げるように努力いたしております。ただ、最近の情勢は、たとえば鉄の原料でありますとかいうようなもの、あるいは銅とか、ことに金属でありますが、これは国際的に非常に非常に高くなってきております。だから輸入のものも、そういうものについては原価が高くなりますから、三十一年度において、果して三十年度よりも全体の輸入品が下るかどうかということは、綿花とか何とかというものは確かに安いと思いますけれども、金属類については漸くなるかと思います。こういう意味で、一がいに輸入コストの引き下げと申しましても、複雑でありますが、下げることはむろん下げるように努力をいたしております。
  43. 松尾トシ子

    ○松尾委員 三十年度より三十一年度が必ずしも安く入るというわけではないのですね。情勢に応じてやるというのですね。
  44. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 さようでございます。
  45. 松尾トシ子

    ○松尾委員 その次にお尋ねするのは、近く日英会談が開かれるような予定を聞いておりますが、日英会談はいつごろ開かれて、その場合に日英通商航海条約ですか、その問題にもお触れになると思うのですけれども、その際にガット三十五条の適用の問題を撤回する要求をなさるのかどうか、この点を一つ
  46. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 三月の初めごろから日英会談が、貿易について行われますが、これはこの前きめました約束を、その後の実際の状況をレビューする、そしてその後の計画を立てるという意味で、三月からもう一度貿易会談が行われる予定になっておるのであります。航海条約は別に外務省を通じて行われるはずであります。
  47. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ガット三十五条の適用を撤回すると、結局条約の面では非常によくなるけれども、これに引きかえて、諸外国が輸入制限をやるというようなこともありはしないかと思うのです。もしそういう三つの問題をかね合せにお考えになったときに、通産大臣としてはどういうふうにすることが一番よろしいかというお示しを願いたい。
  48. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 ガットの三十五条の適用そのものが、すでに一種に輸入制限措置なのでありますから、三十五条を撤回するということは、すなわち輸入制限がそれだけ緩和されることでありますから、これは日本としてはけっこうなことで、ガット三十五条の適用をやめてもらうということをわれわれは常に主張しておるわけであります。
  49. 松尾トシ子

    ○松尾委員 適用をやめますと、英国のごときは、英国自身の輸入制限を強化するというようなことがありますか。
  50. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それはおそらく逆だと思います。撤回するということは、輸入制限を緩和するということになります。
  51. 松尾トシ子

    ○松尾委員 その点は一つまた研究してお尋ねいたしたいと思いますが、撤回はするけれども、英国として何か国内法で仕返しをしゃしないかと、こういう心配をしております。  それでは、この程度通産大臣にはまたの機会といたしまして、時間もたちましたから、公取委員長にちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  最近独禁法の適用除外となるものが、法律的に認められて大きくなって参りましたので、この機会に、重要産業関係でまた独禁法除外になるというようなものがあるかないか、その点説明していただきたいと思います。
  52. 横田正俊

    ○横田政府委員 この国会に提案が予定されておりまするものは三、四ございますので、簡単にその内容を申し上げますと、一つは、機械産業におきましていろいろある意味の整備が必要でございますので、その計画に基きまして一定の業者が一定の行為をやります場合に、ある意味において適用除外ということが考えられておるようでございます。しかしながらこの法案に対しましては、現在公正取引委員会で通産当局の方と検討をいたしておりまして、最初に出て参りました案が、相当広範な適用除外になるようになっておりましたのを、いろいろ検討いたしました結果、かなりしぼりました形で今折衝中でございます。おそらく非常にしぼりました形で提案されることになるのではないかと思います。  それからもう一つは、繊維産業につきまして、これは御承知のように非常な設備過剰ということでございまして、この設備を適当に制限をするということに関しまして、やはり通産大臣の指示に基きまして、業者が制限に関する協定ができるような案がございまして、この案につきましては、当初に今申し上げましたことのほかに、いわゆる操短の指示というようなものも入っておったのでございますが、操短の指示にはいろいろ問題がございますので、その方は法律の規定の上からは落しまして、最初に申しました設備制限に関する一種のカルテルをある条件のもとに認めるという案が、もう今法制局で最後の案を練っておる段階だそうでございます。  あとは、これは参議院で前の国会に提案になりまして継続審議になっておりますものに、中央卸売市場法の改正の問題がございまして、これは御承知のように、非常に業者が乱立しておりますと、勢いそこにあまりおもしろくない過剰な競争が行われるということでございまして、この業者の数を適当に制限するというためには、あるいは合併、あるいは営業の譲り受けというようなことをやる必要があるわけでございます。それらの問題につきまして、前の国会から引き続きいろいろ検討されておりますが、今度の国会には中央卸売市場法の改正といたしまして出て参りますものは、おそらくこの合併、営業譲り受けというような問題につきましては、特に独占禁止法をはずすというような規定を置かずに、業者の間の話合いによりまして、若干の適用除外をするというような線で提案されることになるのではないかと思いますが、しかしこれもまだ最終的な案ができておりませんで、今関係当局において鋭意法案の作成を検討しておる段階でございます。  それからもう一つ、これもまだ検討中でございまして、実は午前に私がこちらにお伺いできませんのも、その法案の審議ためでございますが、小型船によるところの海運業につきまして、これがやはり非常に船腹が過剰でございまして、その上に荷物が少いというようなことで、かなりな混乱を生じておるようでございます。これは御承知のように海運業につきましては、すでに海上運送法の中に、ほかの業種には認められませんところのいろいろなカルテル的な行為も、ある制限内において認められることになっているのでございますが、それにさらにつけ加えまして、この小型の海運業者というものは、いわばきわめて零細な事業者でございまして、いわば中小企業安定法が設けられますと同様な必要がやはりありまして、こういう一ばい船主が大部分を占めておるというような中小企業者につきましては、過剰な競争から生じまする破滅的な損害というようなものを制限いたしまするために、やはり一定の制限内におきましてカルテル的な行為も認めてやらなければならぬということで、名前はちょっと忘れましたが、小型運送業者のそういう協定をある程度認めるような法案が提案される予定になっております。大体検討されておりまするいわゆる適用除外法令はこの四つぐらいでございます。
  53. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して一点だけ伺いますが、私の承わるところによりますと、大体輸出輸入の関係につきましては、輸出入取引法の一部改正等々が先般の国会で行われまして、だいぶワクが徐々にとられつつある、そういう傾向にあると聞いておりますが、公取委におかれて、過去において輸出入の組合がないにもかかわらず、業者の指定を限定することを許されたことがありますか、ありませんか。それだけでけっこうです。
  54. 横田正俊

    ○横田政府委員 詳しいことを存じませんが、業者の範囲を指定するというようなことについて公取が何か旧したことはないと思います。
  55. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もしそういうことが行われていたとすると、これは公取委に関係がございますか、ございませんか。つまり今までのあなたの所轄の法律について関係があるかないかということです。
  56. 横田正俊

    ○横田政府委員 業者の指定という意味があまりはっきりいたしませんが、あるいは業者が話し合って、貿易商社を指定する、こういうことでございますか。
  57. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ある国を限って、AとBとCとDだけは貿易をすることができるが、その他の商社は絶対にできないのだ、こういう協定がなされたといたします。そうするとこれは公取委に関係がありますか、ありませんか。過去にそういうことについて御相談を受けられたことがありますか、ありま正せんか、これだけです。
  58. 坂根哲夫

    ○坂根説明員 ただいまの御質問は過去にそういう事例があったかどうかということでありますが……。
  59. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あったかなかったかを聞いているのじゃなしに、あなたの方にそういうことの相談があったかなかったかということを聞いている。
  60. 坂根哲夫

    ○坂根説明員 それは輸出入取引法の範囲内の話でそういう指定をするかどうかというような問題が来たことはありますが、全然その輸出入取引法の範囲を越えた問題でそういう話があったようなことは記憶しておりません。
  61. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではその問題はもう一点公取の委員長に承わるが、そういうことが行われたとすると、これは公取に関係があるかないかのお答えかまだありませんが……。
  62. 横田正俊

    ○横田政府委員 それは輸出入取引法にはまらないものでございますから、やはり独占禁止法の問題になり得ると思います。
  63. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 けっこうです。
  64. 松尾トシ子

    ○松尾委員 これは締めくくりでございますけれども、公取委の委員長さんに別な角度から独占禁止法というものをちょっとお伺いしたい。最近見ておりますと、りっぱな法律がありながら、独占禁止法というものはだんだん骨抜きにされていってしまう傾向にあると思うのです。そこでお尋ねしたいのは、国有鉄道とか、電力とか、ガス、水道とかいう公企業でございますけれども、公企業だからというので、企業の独占度が非常に高いと思うのです。その場合に、利用料金というものが、私的独占を排除する意味から他の企業を圧迫しているようなことがありはしないか、こういうような点を御研究なさったことがあるかどうか。またその点において私は私的独占禁止法というものが骨抜きになるから、この際公企業も入れて、考え直してやるといいのじゃないかというふうな考えを持っております。これは新しい問題だと思うのですけれども、いわゆる公企業が、私的独占を排除する必要あるにもかかわらず、それを圧迫するようなことが、利用料金などで出ているのではないか。また今の料金が適正価格でそんなことはないというのかどうか、こういうようなことを、ちょっと新しい角度なんですけれども、お伺いいたします。
  65. 横田正俊

    ○横田政府委員 ただいまおっしゃいました鉄道、電気その他御指摘のような事業につきましては、大体その事業の性格上やや独占的な形をとらざるを得ないことになっておりますので、その種の業につきましては、大体国家の監督ということをもって、いわゆる競争による事業の促進と申しますか、それにかえて国家の監督をもってするという建前が大体とられておりまして、独禁法が全面的に働かないというような形になっておるわけであります。従いましてその料金が高いとか不当であるとかいうようなことは、要するにその個々の事業法におままする国家の監督のやり方というようなものが問題になるのでありまして、その意味におきまして、いわば独占禁止法からはずれるというような体系になっておるわけであります。
  66. 松尾トシ子

    ○松尾委員 たとえば汽車に乗っても、短かく乗ると長く乗るより割合が高い。なお貨物でも毎度々々往復する場合は小さい小包よりも非常に安い。こういうような関連がその他の企業に相当大きな圧迫になっておるようなことがないか。もしなければ今の価格が適正料金であるということを認めるのですけれども、その点なんです。水道にしても営業用ですと非常に安い、個人用ですとうんと高い、こういうような二本建になっておりますね。その点がいわゆるほかの企業に圧迫になるようなことはないのですか。なければ適正料金だと私了解したいのですが。
  67. 横田正俊

    ○横田政府委員 ただいまいろいろきまっております料金類が、果して適正なものであるかどうかということにつきましては、公正取引委員会として特に調査はいたしておりませんので、それが他の事業を不当に圧迫しておるかどうかということについても正確なお答えはいたしかねるのでございます。
  68. 松尾トシ子

    ○松尾委員 これをもちまして終りますが、また御研究なさったことがありましたならばその機会にお教え願いたいと思います。
  69. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次会に延期することにいたします。  次会は明十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会