運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-02-10 第24回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十日(金曜日)    午後二時四十七分開議  出席委員    委員長 神田  博君    理事 小笠 公韶君 理事 小平 久雄君    理事 笹本 一雄君 理事 長谷川四郎君    理事 中崎  敏君       秋田 大助君    阿左美廣治君       内田 常雄君    菅  太郎君       菅野和太郎君    椎名悦三郎君       島村 一郎君    首藤 新八君       鈴木周次郎君    田中 龍夫君       野田 武夫君    松岡 松平君       南  好雄君    伊藤卯四郎君       佐々木良作君    佐竹 新市君       田中 利勝君    帆足  計君       松尾トシ子君    松平 忠久君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         通商産業政務次         官       川野 芳滿君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  徳永 久次君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 一月二十七日  委員松田竹千代辞任につき、その補欠として  松本俊一君が議長指名委員選任された。 二月三日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として山  口喜久一郎君が議長指名委員選任された。 同日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て島村一郎君が議長指名委員選任された。 同月七日  委員多賀谷真稔辞任につき、その補欠として  八木一男君が議長指名委員選任された。 同月八日  委員八木一男委員辞任につき、その補欠とし  て、多賀谷真稔君が議長指名委員選任さ  れた。     ――――――――――――― 二月七日  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二二号)(予) 一月二十七日  中国における日本見本市開催請願柳田秀一  君紹介)(第六〇号)  同(大村清一紹介)(第六一号)  同(田中彰治紹介)(第七九号)  同(白浜仁吉紹介)(第一一五号)  同(坂田道太紹介)(第一一六号)  同(池田正之輔君紹介)(第一三〇号)  商工組合中央金庫松本出張所設置請願原茂  君紹介)(第一〇九号)  同(下平正一紹介)(第一一〇号)  八ヶ岳い黄採掘反対に関する請願原茂君紹  介)(第一一二号)  同(下平正一紹介)(第一一三号)  木造船中共輸出解禁に関する請願白浜仁  吉君紹介)(第一一四号) 同月三十一日  中国における日本見本市開催請願西村榮一  君紹介)(第一四二号)  同(池田清志紹介)(第二〇四号)  遠別町の地下資源開発促進に関する請願(芳賀  貢君紹介)(第二〇三号) 二月三日  商工組合中央金庫松本出張所設置請願松平  忠久紹介)(第二三五号) 同月七日  石油資源総合開発五箇年計画実施に関する請願  (石田宥全君紹介)(第三四二号)  中小企業信用保険全額免除に関する請願(神  田博君外四名紹介)(第三四三号)  只見川の電源開発工事促進等に関する請願(助  川良平君外六名紹介)(第三七五号)  新馬上金山の鉱害に関する請願多賀谷真稔君  紹介)(第三七六号) の審査を本委員会に付託された。 一月三十日  石油資源総合開発五箇年計画実施に関する陳情  書外二件  (第二八号)  同外八件  (第九二号)  中国における日本見本市開催陳情書  (第二九号)  石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳  情書外一件  (第三〇号)  同外四件  (第九〇号)  中小企業金融機関国庫補助強化に関する陳情  書(第八九号)  中小企業振興育成に関する陳情書  (第九一号)  内地向織機に対する更新資金貸付に関する陳情  書(第九三号)  県営電気事業の復元に関する陳情書  (第九五号)  北上特定地域総合開発事業促進に関する陳情書  (第九  六号) 二月四日  中小企業金融対策確立に関する陳情書  (第一八三号)  百貨店法制定に関する陳情書  (  第一八四号)  石油資源総合開発五箇年計画実施に関する陳情  書外六件  (第一八五号)  石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳  情書外一件  (第一八六号)  中国における日本開催陳情書外四件  (第一八七号)  若狭地方北陸電力供給区域に変更の陳情書  (第二〇六号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  通商産業基本施策及び昭和三十一年度予算等  に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長 これより会議を開きます。  まず小委員補欠選任の件につきましてお諮りいたします。去る一月十三日、小委員選任いたしましてから現在までに、委員辞任に伴いまして中小企業に関する小委員一名、木材利用合理化に関する小委員二名、総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員一名、貿易振興に関する小委員一名、重化学工業に関する小委員一名がそれぞれ欠員になっております。この際その補欠選任につきましては委員長指名に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さように決します。  それでは中小企業に関する小委員及び木材利用合理化に関する小委員島村一郎君を、木材利用合理化に関する小委員及び貿易振興に関する小委員松本俊一君を、総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員及び重化学工業に関する小委員多賀谷真稔君をそれぞれ指名することにいたします。  なお、お諮りいたします。今後委員辞任により小委員及び小委員長欠員を生じました場合、そのつど委員会においてその補欠選任を行うことは煩瑣であり、また小委員会運営にも支障を生ずる場合も予想されますので、その補欠選任委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 神田博

    神田委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らうことにいたします。     —————————————
  5. 神田博

    神田委員長 この際通商産業大臣より、通商産業政策に関する基本的な御構想等について御説明を承わることにいたします。通商産業大臣石橋湛山君。
  6. 石橋湛山

    石橋国務大臣 通商産業行政につきまして一言申し上げます。  今日わが国財政経済に課せられた最大の任務は、一面においてインフレの発生を防ぎながら経済の自立発展をはかり、雇用をできる限り急速に増大して、理想として失業の絶滅を期することにあると存じます。これがためには、総合的かつ重点的に経済を運営し、その目標に向って歩一歩着実に前進していくことが必要であるが、昭和三十一年度においては、先般策定を見た経済自立五カ年計画の初年度として、最近ようやく達成された経済安定の基調のもとに、積極的に経済規模の拡大をはかっていく方針であります。かような見地から、通商産業省としては特に貿易振興産業基盤強化科学技術の向上及び中小企業の育成の四点に重心を置き、諸般の施策を総合的に実施して参りたいと存じます。  第一にまず貿易振興であるが、幸い、昭和三十年度の国際収支は、輸出貿易が前年度に引き続き終始好調裏に推移し、総額約二十億五千万ドルと、昨年度に比べ約四億五千万ドルの着増を示す見通しでありますので、輸入総額が約十九億ドルと約二億ドルの増加が見込まれるにもかかわらず、貿易外収支を含め約三億八千八百万ドルの黒字を記録し、手持ち外貨も十四億ドルを数えるものと推定されております。  このような輸出の好調は、一面において一昨年以来の経済健全化政策の効果にもよるところでありますが、これとともに海外経済の未曽有の繁栄に負うところがきわめて大であったと考えます。従って海外景気動向いかんによっては、前途は必ずしも楽観を許さないものがあり、わが国としては、目前の輸出の好況に眩惑されることなく、産業の実力を養い、さらに輸出振興に総力をあげて努力していくことが肝要であると考えます。  しこうしてこれが根本的な対策としては、まず基礎産業輸出産業とを充実整備して、わが国産業国際的競争力を培養するとともに、輸出振興上直接必要な施策を総合的に推進していきたい所存でございます。  すなわち第一に、経済外交をさらに強力に展開して、通商航海条約の締結を促進するとともに、ビルマに引き続き東南アジア諸国との賠償問題の早期かつ合理的な解決に努め、正常な通商関係の確立をはかりたいのであります。また、わが国の重要な輸出市場である東南アジア中南米諸国等との国際経済力強化し、海外投資技術援助プラント輸出等を通じてその経済開発に積極的に協力することがわが国貿易の発展上きわめて有意義と考えられますので、日本輸出入銀行による円滑な輸出金融を確保し、技術指導技術相談等に関する海外施設を拡充するとともに、新たに海外投資保険制度を創設してこれが促進を期する方針であります。  また、対共産圏貿易、特に中共との貿易については、国際的協調の範囲内において禁輸品目の緩和にさらに積極的に努力するほか、今般設立された輸出入組合の運営を通じて、取引態勢の整備、決済条件改善等をはかり、貿易規模拡大均衡をはかりたいと考えるのであります。  次に、今後における貿易自由化国際競争の激化の趨勢に対処し、商社機能強化をはかる必要がありますが、これがため輸出承認品目の整理、自動輸入承認品目の拡大、輸入割当品目買付先制限の緩和あるいは商社外貨保有制度拡充等貿易為替管理制度簡素化とその運用の機動化についてさらに一そうの工夫を加えたい所存であります。  同時に、最近海外市場においてますます激化しつつあるわが国商社間の血用の競争が、わが国貿易条件を無益に悪化させているのみならず、相手国側わが国輸出品に対する反発的傾向をも惹起している事態にかんがみまして、先般改正を見た輸出入取引法の運用により、貿易取引秩序の確立には万全を期する方針であります。  さらに、わが国商品海外市場への進出の道を開拓し、かっこれを維持していくためには、綿密な海外市場調査と活発な海外広報宣伝を絶えず行なっていく必要があるので、政府としては引き続きこれらの事業を積極的に援助、助長する方針であります。  以上申し上げた見地から、昭和三十一年度予算案においては、プラント輸出振興に必要な輸出入資金として、日本輸出入銀行財政資金二百四十五億円を計上し、自己資金を含め総額五百四十八億円の運用を予定したほか、貿易振興予算として、海外広報宣伝強化のため一億五千万円、国際見本市へ積極的に参加するため二億円、貿易あっせん事業の拡充のため一億七千万円、重機械振興技術相談事業強化拡大のため一億八千万円、農水産物輸出振興事業の育成をはかるため上億一千万円、海外市場調査事業の充実のため一億円等、総額十億七千九百万円の予算を計上している次第であります。  次に、わが国国際収支の均衡を真に安定した基礎の上に達成していくためには、以上のごとき輸出振興策を強力に推進すると同時に、わが国産業の基礎を強化安定し、わが国輸出産業国際競争力強化をはかることがきわめて重要と考えられますが、これがためには、第一に輸出産業及び基礎産業の設備の近代化生産態勢の整備及び生産性の向上をはかることが必要であります。  これを特に重要な若干の産業について見れば、機械工業については、わが国産業国際競争力強化と、産業構造高度化の要請から、その合理的再編成と近代化が焦眉の急になっておるので、生産分野の確立、生産技術水準の向上、生産設備近代化等の所要の合理化措置を総合的に実施したい所存であり、これがため、必要な資金の確保をはかるほか、立法措置も講じたいと考え、目下慎重に考究中であります。  輸出産業の大宗である繊維産業については、設備の登録制と、過剰設備の処理を実施してその安定をはかり、繊維製品輸出の円滑な遡行を確保する方針であり、これがため、昭和三十一年度予算案には織布部門等中小繊維工業設備調整の助成のため、一億二千万円の予算を計上するとともに、繊維工業臨時措置法案を本国会に提案する予定で目下準備中であります。  石炭鉱業については、第二十二国会で成立を見た石炭鉱業合理化臨時措置法の有効適切な運用により、石炭鉱業生産態勢集約化縦坑開さくを中心とする合理化工事実施等を強力に推進するとともに、他方低品位炭利用等による石炭需要の開拓にも配慮し、基幹産業としての石炭鉱業の健全な発展に極力努力して参りたい考えであります。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕  鉄鋼業については、わが国産業国際競争力強化の上から、その合理化と価格安定が強く要請されておるので、第一次合理化計画による投資効果の拡大に留意するとともに、本年度から開始された第二次合理化計嵐を強力に推進して、設備の近代化をはかる方針であります。特に鉄鋼価格の低位安定を期し、製鉄能力の拡充と鉄鋼原料の確保に格段の努力を払って参りたい考えであります。  次に、産業合理化を促進し、産業基盤強化をはかるためには、個々の企業または産業内部合理化をはかるのみならず、産業立地条件を改善するため鉱工業地帯における港湾、道路、水道等産業関連施設を計画的かつ総合的に整備することが必要でありますが、昭和三十一年度においては、さしあたり工業用水道施設の整備に着手することとし、工業用水道事業費補助として一億八千万円を予算に計上いたすとともに、地下水源枯渇の弊害が著しく現われている工業地域について、地下水源合理的利用を確保し、その用水事情の悪化を防止するため、工業用地下水のくみ上げについてある程度の規制を行う等の措置について法律の制定を行いたいと考えております。  さらにあらゆる産業を通じてその合理化を促進するためには、生産性の向上に対する認識と熱意が基本的前提になるものと考えられます。この意味において、生産性向上国民運動中核体として設立されました日本生産本部の活動に対しては多大の期待を寄せている次第でありますが、最近ようやく労使双方の理解と支持が高まりつつある状況にかんがみまして、この機会をとらえてこの運動を積極的に育成していきたいと考えております。昭和三十一年度においては、これが補助として七千五百万円の予算を計上するほか、余剰農産物見返り資金十億円の運用利益をこの運動にあてる予定であります。  産業基盤強化をはかるための第二の方策は、エネルギー資源及び地下資源を計画的に開発し、その利用度の向上をはかることであります。これがため、生産規模の拡大に伴う電力需用増大傾向に即応いたしまして、前年度に引き続き電源開発計画の実施を促進していく考えでありますが、特に今後の水力電源開発は、大規模貯水池式に重点を置き、開発に伴う電力原価の高騰を極力抑制するとともに、電源コストの低減及び石炭資源有効利用の見地から新鋭火力発電所及び低品位炭による発電方式の拡充に車点を置く方針であります。   〔小平(久)委員長代理退席委員長着席〕  次に、国内資源の活用をはかるためには、未利用地下資源を急速かつ計画的に開発することが肝要と考えますが、石油資源については、先般設立されました石油資源開発会社に対し、三十一年度予算において産業投資特別会計から七億円の出資を予定しております。さらに天然ガス、砂鉄、磁磁鉄鉱ゲルマニウム等の新資源及び銅、鉛、マンガン等の新鉱床の探査開発を促進するため、相当額の経費を計上するとともに、三十一年度の新規予算として、ウラン鉱トリウム鉱探査費用一億円を計上している次第であります。  なお、資源活用策の一環として、低品位炭有効利用石油化学工業合成繊維及び醋酸繊維工業木材利用合理化等のいわゆる新規産業については、引き続き、これが重点的かつ計画的な育成に当って参る所存であります。  さて、以上述べました諸施策を実施するためには、有効適切な相当量投融資が行われることが必要でありますが、資本蓄積のいまだ十分でないわが国産業の現状において、財政投融資の果す役割は依然重要でありますので、予算の許す範囲内で財政資金の最も効率的な使用をはかることとし、昭和三十一年度においては、開発銀行については、財政資金八十億旧と自己資金二百八十億円を合せて計三百六十億、電源開発会社については、財政資金三百一億円と自己資金六十三億円を合せて計三百六十四億円の運用を予定しておりますが、このほか貿易関係中小企業関係を含めた通商産業省関係全体としては財政資金七百八十八億円、自己資金を加えて総額千五百八十九億円の運用を予定しておる次第であります。なお、最近における金融情勢の緩和と金利の低下傾向によりまして、相当多額の民間資金の活用をはかることといたしたいので資金総量としては所要の投資額は充足できるものと予想いたしております。  以上述べました貿易振興産業合理化資源活用等の諸施策を推進していくためには、その基礎的条件として科学技術振興に待つところきわめて大であります。しかるにわが国工業技術は、戦時戦後を通じて欧米諸国に比し著しい立ちおくれを示しており、これをすみやかに向上回復させ、諸外国における技術の進歩に拮抗させるためには、新技術の研究及びその研究成果の活用と普及等に関し画期的な措置を必要とするものと考えられるので、国立研究機関研究態勢整備強化民間試験研究の助成、新技術工業化のための資金確保等に関し、総合的な技術振興策を講じて、これが克服に努力していきたい考えであります。特に原子力の平和利用については、これがわが国資源産業、民生に与える貢献の重大性にかんがみ、その研究開発の推進には格段の努力を払う方針でございます。  このような見地から、昭和三十一年度予算案の編成に当り、科学技術振興関係予算の充実にはできるだけの配慮を加えた次第でありまして、通商産業省所轄国立試験研究所特別研究費として六億二千四百万円、本年度の約二倍、厚子力関係研究費二億一千五百万円、本年度の二・七倍を計上したほか、民間に対する鉱工業技術助成四億五千万円、発明奨励に関する補助三千万円、工業標準化事業に関する経費四十万円等、総額十四億九千五百万円の十算を計上しておりますが、これは本年度に比べ約五制の増加に当るものであり、これにより技術研究飛躍的向上が期待されると思っております。  なお、科学技術画期的振興を期し、昭和三十一年度から科学技術行政に関する中枢的機関として科学技術庁を設置する方針であります。  中小企業については、わが国経済、なかんずく輸出及び雇用に占める重要な地位にかんがみまして、この際新しい認識に立ってその育成強化をはかる方針でありますが、これがため中小企業組織化及び安定化を一そう推進して、その経済的地位の向上をはかるとともに、輸出産業を中心とする設備の近代化技術の向上、経営の健全化を促進助成して、その質的改善をはかり、さらにまた中小企業金融に対する貸金を確保して、その運用をはかっていきたいのであります。  すなわち、まず中小企業組織化をはかり、その団結を強化するためには、中小企業等協同組合法及び中小企業安定法の運用に一そうの改善を加える必要がありますが、特に協同組合については、さきに法制化された中央会設立完了を待って、これを緊密な連携のもとに、その活動を指導助成していく方針であります。次に中小企業合理化については、中小企業者自立意欲を高めることを主眼として従来顕著な効果をおさめてきた企業診断制度を一そう拡充強化するとともに、中小企業機械設備近代化及び協同組合共同施設の設置について引き続き助成を行うこととし、三十一年度予算には四億七千万円の国庫補助を計上しているのでありますが、さらに一般零細企業経営指導に関し適切な助言を与える機関として設けられておりまする中小企業相談所については、その顕著な業績にかんがみ、三十一年度においては本年度より一千万円増額して、五千二百万円の予算を計上し、その機能の拡充強化を期している次第であります。  なお、繊維製品雑貨等中小企業製品わが国輸出貿易において占める重要性にかんがみまして、これら輸出価格中小企業合理化近代化が特に強く要請されておりますので、品質の改善、コストの引下げのための技術研究の助成、デザインの向上と創案の促進、新規輸出試作助成等につき、三十一年度においては本年度に引き続き助成を行う方針でありまして、これがため約四千万円の予算を計上している次第であります。  次に中小企業金融については、昭和三十一年度予算案において中小企業金融公庫については財政資金百三十五億円に自己資金百六十五億円を加えて、計三百億円。商工中金については、財政資金二千億円、国民金融公庫については財政資金百二十五億円に自己資金四百億円を加えて、計五百二十五億円の運用を予定しておりまして、いずれも本年度以上の貸付を行い得るよう資金源の充実をはかっている次第であります。さらに中小企業信用保険につきましては、小口保証保険保証限度引き上げ及び包括保証保険制度の創設によりまして、保険料率の引き下げと、填補率引き上げをはかる考えで、法要な法案を本国会に提案する予定であります。  最後に、中小企業の置かれている経済的地位にかんがみ、その育成強化をはかるためにはその事業分野を確保するとともに、大企業との間の取引関係を適正に調整することが必要と考えられますので、この見地から本国会には百貨店業者中小商業者との間の事業活動を調整するための百貨店法案を提案する予定でありますが、このほか大工業の中小工業に対する下請代金の支払いを促進するため、できれば法的措置を講じたいと考えて目下慎重検討中でございます。  以上今後における通商産業省の施策の概要を申し述べたのでありますが、本委員会に対しましては当省より今後種々の法案を提出することになりますので、その際は何とぞよろしく御審議あらんことをお願いする次第であります。
  7. 神田博

    神田委員長 この際官房長岩武政府委員及び企業局長徳永政府委員より補足説明をいたしたい旨の申し出があります。順次これを許します。岩武政府委員
  8. 岩武照彦

    岩武政府委員 それでは大臣のお話を敷衍いたしまして、三十一年度予算提出の概要を申し上げたいと思います。お手元に三十一年度予算要求額重要項目別表というのがございますが、それによって御説明申し上げたいと思います。  それでは一般会計の方から申し上げたいと思います。一般会計予算用途別に大きく分けまして貿易振興対策技術振興対策中小企業対策産業基盤強化対策の四つになっております。  最初の貿易振興対策でございますが、これは総額といたしましては十億八千万円弱であります。三十年度の九億八千万円に比べまして、ちょうど一億ふえておる。本年度は先ほど大臣から申し上げましたように、海外市場の開拓に一番重点を置いているわけであります。なお予算編成上の技術としまして、各省におきます各種の輸出振興費を一括して通産省所管に計上しております。その内容はむしろ二枚目の紙がわかりやすいと思いますので、この二ページ目の方の貿易振興対策明和書というものにつきまして御説明した方が御了解がいくかと思いますので、それによって御説明を申し上げたいと思います。  貿易振興対策費は、御承知のように非常にこまかい費目になっておりますから、この細目で御説明した方が御了解がいくと思いますので、そうさせていただきますが、最初の海外広報宣伝費、これは通産省におきまして各種のカタログ、パンフレットその他のものを買い上げて、これを海外各方面へ配る、あるいは外国の新聞、雑誌等に広告を出すというような直接の経費、それから局間におきまして映画、テレビ等によりまして広告宣伝をいたしますものの補助、こういうような費目に抑えておりまして、総額は一億五千二百万円であります。  それから二番目の国際見本市参加等補助でありますが、この内容は海外において行われます国際見本市に参加いたしますものの経費の補助、それから日本におきまして国際見本市を開きますものの補助、それからことし新しく巡回見本船という構想を立てまして、船の上に現実に動く機械を据え付けて、主として東南アジア各地の港を回って、現実に商品を運転して見せて宣伝して歩こう、こういう費用でございます。最初の国際見本市の方は、今年は大規模のものを六カ所予定しておりまして、その他中小のものもやる、そういう関係であります。それから日本におきます国際見本市は、御案内のようにこれは東京と大阪と隔年交代に開いております。明年度は大阪の番で、多分五月ごろ開かれると思っておりますが、その関係の補助でございます。  それから三番目の海外市場調査補助でございます。海外市場調査会、いわゆるジェトロの行います各種の海外市場調査の補助でございます。内容といたしましては、いわゆる各地に派遣員を置く、あるいは特殊の地域に対しましては特別の班を設けて国内から出発させて市場調査を行わせる、こういう関係の仕事の補助でございます。  四番目の貿易斡旋事業補助でございます。これはいろいろな費目が雑多に入っておりますが、最初の貿易斡旋所補助と申しまするのは、これはジェトロが行なっておりますトレード・センターというものがありますが、現在ニューヨーク、サンフランシスコ、カイロ、トロント等にございます。今年は場所をふやすよりも、これらの仕事の内容を充実させていこうというふうに考えておるものでございます。それからその次の農機具サービス・センターの補助でございます。これは本年度予算におきまして、ラングーンに農機具サービス・センターを初めて設けまして、相当評判もいいようでございまするから、さらに明年度は一カ所セイロンに設けたいというふうに考えております。それから電気機械サービス・ショップの補助であります。これは本年初めての計画でございますが、電気機械関係の東南アジアにおきまする宣伝の先走りといたしまして、パキスタンに設けたいというつもりでありますが、そういうふうな現実のあつせん、宣伝事業の施設に対します補助でございます。  それから五番目の重機械技術相談事業補助でございますが、これは元の名前が重機械技術相談室ということで、東南アジア及び中南米に合計六カ所の施設を持っておりましたが、これを本年名前を変えまして、輸出プラント技衆協会というふうに組織を独立させまして、その仕事を引き継いでやらせておる、その関係の経費の補助でございます。  それから六番目からは先ほど申し上げましたように、一般の省に属する商品等の海外宣伝の補助でございます。最初の海外建設協力事業補助は、これは建設省の監督下にありまする海外建設協会というのがございますが、これが目下ラングーンに出張員を置きまして、かの地のいろいろな建設事業関係の調査、連絡、宣伝等もいたしておりますが、その関係の施設も今年度はさらに広げて参りたいというふうな計画もありまして、これを一応通産省予算に計上いたしまして、各主務省と連絡しながら仕事を行なって参りたいと考えております。  七番目の農水産物輸出振興事業補助でございます。これは農水産物の輸出振興の施設が、現在お茶あるいはカン詰等につきまして輸出組合系統のものが二、三カ所ございます。その仕事の補助でありますとともに、新しくカン詰関係あるいはその他一、二の輸出振興のための団体が現在できかかっておりますが、それに対しまして十分なる援助をして参りたいという考えでございまして、これは事務的な問題でございますが、そのうちの一億円は農林省におきまして主として計画を立てて、われわれの方からそれに金を出してやるという関係になっております。  八番目は医薬品輸出振興専業補助でございますが、これは本年度も若干広告宣伝費を持っておりましたが、明年は新たに香港に宣伝施設を持ちたいということでございます。これもわれわれの方からこの関係の向きに補助金を出して、仕事を助けて参る、こういうものであります。  それからその次の輸出意匠改善費でございますが、これはいろいろな費目が入っておりますが、最初の海外意匠権等侵害防止費、これは商品的な仕事でありますが、海外からいろいろ陶磁器その他につきまして意匠権侵害というような話が起っておるのであります。それに対しまして所要のデザインを集め、あるいはそれを連絡するというような関係の仕事をやる費目でございます。  それからその次の海外商品見本収集補助、これは本年度も行なっておりますが、海外におきまする日本品に適すると思われるいろいろな見本を集めまして、これは模倣は困りますが、できるだけそういうふうな嗜好に合ったものを作るように指導しようという関係の仕事が必要と思われますので、その関係の仕事の補助であります。  それからデザイナー育成指導費、これは本年度少し金額をふやしておりますが、これも意匠関係の外人のデザイナーを積極的に招聘いたしまして、その嗜好に合うような意匠等を考案させ、あるいはこれを普及さすというふうな関係の費用であります。その一部といたしまして、こちらからいわば留学生的に海外に派遣するということも考えておるものでございます。  それから四番目の輸出陶磁器、雑貨意匠及び製造技術改善研究費であります。これはこまごまといろいろございますが、雑貨工芸指導所あるいは名古屋の工業試験所等におきまして、こういう関係のいろいろな意匠あるいは製造技術等の研究をやっておりますので、その費目をことしは少し大幅にふやしまして、積極的に研究指導の仕事を行いたい、こういうふうに考えております。  それからCは中小企業輸出振興費であります。これも若干の費目はあるいはBと似たり寄ったりでありますが、最初の新規輸出品試作奨励補助であります。これは新しい輸出品を試作さすにつきましては、いろいろな補助が要りますので、主として雑貨あるいは軽機械類等につきまして、こういうふうな奨励を行なって参りたいと考えておる次第であります。  それから二番目の中小企業輸出振興技術研究補助であります。これは試作奨励の一歩前の段階の具体的な研究に対しまする補助金でございます。これも雑貨、繊維関係等を中心に考えておるのでございます。  それから三番目の海外市場維持対策補助、これはちょっと毛色の変った経費でございまして、本年もやっておりますが、海外で、あるいは関税引き上げとか輸入制限という措置を行われます際に、これを現地に参って当業者みずからが折衝し、あるいは事態を向うに理解さすという必要があるのでございますが、なかなか中小企業等ではみずから海外に行く金も出ませんので、その渡航費及び運動費等をこの金で補助したいと考えております。本年度はたしか陶磁器につきまして、アメリカにこの金で渡ってもらった事例があるわけであります。  それから四番目の特産品対米輸出振興費でございます。これはドル市場に対しまして、日本の各地の特産品があるわけでございますが、これを向うの好みに合せ、あるいは流行に沿っていくという見地から、先方のいろいろな専門家等を招いて、少し日本の在来の土産品工業に活を入れたい、こういう考えでございます。いろいろ聞いてみますと、漆器なんかにつきましてはこういう必要もだいぶんあるようでございます。特にこれは行いたいと考えております。  その次の農機具及包装展示会、これは御承知の通りでありますから省略させていただきまして、大体この辺の費目がおもなものでございまして、あとに若干の輸出品検査費がありますが、これもこの程度でございまして、合計としまして大体本年度よりも一億増加する。なお本年度予算につきまして予算の提出等が若干おくれましたので、海外におきますいろいろな施設は勢い繰り延べになっておりまするので、本年度の経費のうち若干明年度に繰り越しがあるわけでございますから、三十一年度はこの十億八千万の経費よりもさらに上まわって事業活動ができるかと考えておるわけでございます。  貿易振興は以上の通りでございまして、その次は技術振興で、前のページに戻りますが、一枚目の二番目の技術振興対策であります。これは三十一年度は、先ほど大臣のお話がありましたように、相当大きく四割方増加を見たわけであります。  最初の鉱工業技術研究助成、これは例の応用研究と工業化研究の補助金であります。本年は別途の関係もございまして、若干の減少を見ておりまするが、新しく民間の共同研究等に対しましても、十分の助成をやりたいと思っております。対象の研究テーマ等につきましては、重点的に選んで参りたいと考えております。  その次は科研の出資であります。本年度は一応補助金一億といたしておりますが、三十年度補正予算におきましてこれを出資に振りかえられる予定でございます。明年度も同額の一億を出資いたす考えでございます。これは予算編成技術上の問題といたしまして大蔵省所管に計上されております。  それから金属材料研究所設置費でございます。これは各方面から金属材料の問題がやかましくなっておりまして、これをぜひ新設しようということで、国立の研究所を設けるようになったわけでございます。これは将来科学技術庁ができますれば、科学技術庁の方に移管されることになる予定になっております。上の科研も同様であります。  その次の国立研究所特別研究費でございますが、これは本年一群増加を見た費目でございます。この理由としましては、現在通産省管下に十一の国立研究所がございますが、その研究所の業績を見ますると、中には相当国家的に重要と思われるような研究で、しかも実験的な研究を終えながら工業化の段階まで研究を進める経費がないというような事態がございまして、たとえば海水の工業利用、これは東京の工業試験所でやっておりますが、その問題。あるいは石炭のガス化等に伴います有効利用の問題、これは試験技術研究所でやっております。あるいはオートメーションの問題とかあるいは直流送電の問題とかいろいろあると思いますが、そういうものをもう少し大きな規模で研究させまして、民間の企業化に移り得るように研究の段階を進めさせたいということで本年は特にこの関係の経費を増加いたしたわけであります。なおいろいろな設備関係についても、各試験所等におきましてある程度の改善を見る予定でございます。  それから発明奨励補助でございますが、これは前年度と大体同額でありますが、実は特許関係の経費につきましては、ここに書いてありませんが、従来からいろいろ特許出願の処理がおくれて、各方面に御迷惑をかけておるのは、これははなはだ申訳ないことですが、本年は特に特許関係の人員は内部の振りかえを含めまして、八十名ほど増加しております。  それから公報の印刷その他がおくれておりますので、これもたまっております分を一挙に解決するために、約七千万円近い庁費を計上いたしまして、出願の処理の促進とそれから公報印刷の迅速化を期しておるわけであります。そうしました結果、外部的の経費は若干落ちるわけでありますが、内部的にはある程度事務量の増加を見る予定でございます。  それから原子力平和的利用研究費等でございますが、これは内閣の原子力局の方で一応全体の原子力関係の経費をにらみ合せまして、そのうちで通産省管下の試験所におきましてみずから行います研究の経費、並びに原子燃料ウラン鉱トリウム鉱の探鉱を地質調査所で行います経費、それから一部民間の鉱業家がウラン鉱トリウム鉱の探査を行いますのに対する補助金、大体この三本立でございます。二億五千百万円でございますが、このほかに予算外国庫負担といたしまして、たしか五千万円の予算外国庫負担をつけておるわけでございます。  工業標準の方でございますが、これは特別な問題はございませんが、この標準制度の施行範囲をさらに広めようという関係の経費であります。  それから中小企業対策に参りまして、これは三十一年度は若干の増加を見ておりますが、最初の共同施設及び設備近代化の補助は例年通りの補助金でございます。これはこの中に本年度中央会の補助も含めております。金額等につきましてはまだ確定しておりませんが、中央会の事業に対しましてもこの費目から補助して参りたい、かように考えております。それから中小企業相談所の補助でございます。これは本年度石橋大臣の特別な御関心で積極的に仕事を推進して参ることになったのでありますが、現在補助しております対象が四百弱くらいになっております。明年は五百以上に持っていきたいと考えております。これは行く行くは、全国の市及び町で相当の中小企業のありますところに対しまして、漏れなく行いたいというふうな考えで、そのいわば第一年計画というふうな気持で本年若干の増加をはかったのであります。  それから三番目の中小繊維品工業設備整備補助であります。これは繊維関係の過剰設備という問題が、従来から業界の不安定なる問題になっておりまして、これにつきましては勧告操短の問題あるいは織布につきましては中小企業安定法に基く命令の問題が残っておりました。昨年夏以来繊維総合対策審議会というものを設けまして、根本策を検討いたしました結果、やはり設備の過剰をなくするのが一番の先決問題ではないかという結論になりまして、ちょうど五カ年計画の立案実施と並行いたしまして、その計画に合せまして、設備関係をある程度調整して参りたいという結論を得ました。紡績につきましては、これは自己負担で設備の封緘あるいは買い上げ等ができますが、織布につきましてはそういうことが不可能でありますので、一部の補助金をもちまして、誘い水的にその仕事の促進をはかって参りたい、こういう考え方でございます。  それから企業診断指導費補助、これは前年度と同額でありまして、府県費になっております企業診断費を補助して参るという構想であります。  水書の利子補給金、これは省略いたします。  それから振興指導事業事務費、これは内部の事務費の増加でありますので省略いたしまするが、明年度としましては特に中小企業の診断員の養成ということと、中小企業の基本的な業態調査、この二つを特に新しく始めて参りたい、こういうふうに考えるわけであります。その関係の経費もこの中に入っております。  それから産業基盤強化対策であります。これは名前はちょっと変でございますが、最初の生産性向上対策補助であります。これは昨年三月に発足いたしました日本生十産性本部の行います仕事の補助でありまするが、御承知のように本年度は主としてアメリカ関係等に班を派遣しまして、向うの現実の生産あるいは経営労働等の管理状態を学んできたわけでございますが、明年度もその仕事を続けますほかに、国内に対しましてそういう得た成果を十分に宣伝し、修得さす必要があると思いまして、国内に対しまして各種の講習会の開催でありますとか、あるいはモデル研究工場の設置でありますとか、あるいは他に指導班というような形で国内活動にも重、点を置きたいと思っております。  それから新鉱床及び天然ガスの探査、これは天然ガス、砂鉄、あるいは磁硫鉄鉱、水銀その他の鉱物資源の探査の補助であります。  それから工業用水道整備事業補助、これは先ほど申し上げましたように現在、至要な工業地帯におきましては地下水をくみ上げ過ぎました結果、地盤沈下を起しておる所がだいぶありますので、そういう地帯におきましては新しく代替の水道を作って、そうしてくみ上げを制限するということを講じませんと地盤沈下が一そう激しくなるので、とりあえず明年度は第一期の仕事といたしまして、予算が一番少うございますが、さしあたり三ケ所程度の規模で経費の四分の一を補助して参りたい、こういう考えでございます。一種の公共事業費的なものでございます。この主体は大体市町村になっておりまするが、あとの経費につきましては受益者が負担し、あるいは府県が負担する格好になるかと存じます。  それから石油資源開発会社出資、これは本年度予算におきましては三億八千万円の補助を計上されておりましたが、これを補正予算におきまして出資に振りかえられる予定であります。明年度は政府出資が七億、それから民間出資が約七億、総計いたしまして十四億前後の金を得まして、これで本格的に仕事を始めたい、こういう考えでおるのであります。  以上をもちまして一応終りますが、いろいろな関係で十分とは申せませんが、昨年度よりも若干の増加を見まして、これらの仕事をわれわれといたしましては十分進めて参りたいと思っております。  それから特別会計であります。これは資料をお配りしてありませんが、現在通産省に四つの特別会計があります。そのうち本年度予算におきまして特に異同がございますのは、一つは輸出保険の特別会計において、先ほど大臣が申し上げましたように、海外投資保険という制度を新しく設けました。これは海外に企業を進出しております際に、現地の戦争内乱、あるいは株式の収用等の事故によりまして、企業が実損を負担いたした場合に、それを保険しようという構想のものであります。  それから中小企業の信用保険におきましては、小口探険の保証限度を、現在十万円でありますのを二十万円に引き上げることにしております。  それからもう一つは、保証協会が行なっております債務の保証につきましては、包括的な保証保険の制度を新設することとし、手続的な面を整理することにしております。  それからもう一つ、新しく特定物資の輸入差益を徴収いたします特別会計が通産大臣の管理のもとに新設される予定でございます。これは前々国会におきまして一応提案されましたが、審議未了に終った問題でございます。明年は砂糖の問題を切り離しまして、バナナ、パイカン等を中心として約十五、六億の歳入を得る見込みで、新しく特別会計を設ける予定であります。  大体この三点が特別会計についての新しい問題点でございます。  それから財政投融資でございますが、これはお手元に作文の横書きと表をお配りしてございますが、これは表の方が御了解願えやすいかと思いますので、表につきまして簡単に御説明いたしたいと思います。  最初の、日本開発銀行でございますが、これは昨年度当初予算といたしまして五百九十五億の融資を行うということで出発いたしましたが、途中におきまして資金運用資金が思う通り集まらないという事態が発生いたしまして、このうち百三十億円ばかりを減らして、民間の方にいわば肩がわりをしたということで、実績見込みとしましてはこの五百九十五億より相当減る予定でございます。明年度としましては、民間の預金の増加並びに金利の低下に伴いまして、通産省としましては特に政府資金でなければまかない得ないような産業、あるいは金額がきわめて多量でありますから、民間の金融市場等を圧迫するおそれのあるものに限りまして重点的に行いたいという考えで、内訳としましては一応電力が百二十億、これは本年の当初額は二百六十億でございますが、明年度は民間の社債の発行の増加あるいは借り入れの増加等を期待いたしまして、また自己資金を増加いたしますので、百二十億程度の電源開発の二部を進めて参ろう、こういう考えでございます。それから海運の方は、私どもの方の所管ではございませんが、大体一十二万総トンで百二十七億程度予定いたしたいと思います。その他としまして、石炭が合理化法に伴います合理化計画の三部の縦坑開発等に重点を置きまして五、六十億程度、それから特に中小機械工業に対しまして、開銀資金を特別な低利かつ長期な融資条件で行いまして、その近代化を積極的に進めて参りたいと考えて、大体資金量十五億予定しております。その他新しい産業としまして、先ほど大臣からお話がありましたような面に対して開銀の融資を推進して参りたいと考えております。  それから輸出入銀行でありますが、これは御承知のように昨年度におきまして船の輸出の契約は相当増加いたしております。それが明年度あたりから輸出入銀行の融資申込となって現われますので、その関係も考えて資金量を相当ふやしていくように計画しております。これによりまして大体三十年度におきまする輸出契約の残並びに三十一年度におきまする新しい輸出契約の引き受けは、輸出契約の部分でそれぞれ約三億ドル近いものが引き受けられる予定でございます。もちろんこれは輸出契約の額でございますから、それに対して融資します限度もございますし、また融資いたします時期もございますから、時期その他を考えますれば、大体五百五十億前後である程度まかなえると思っております。なおビルマ、タイ、さらにはフィリピンといったような地域の経済協力関係の設備輸出の代金もこの関係で一部金融をつける予定でございます。  それから中小企業金融公庫でございます。本年度は二百五十五億の融資計画でスタートいたしましたが、中途におきましていろいろ資金量の増加もありまして、目下の見通しではこの金額よりも若干ふえる予定でございます。おそらく二百七十億前後に相なるのではないかと思っておりますが、明年度は一応三百億というふうに考えております。月平均二十五億でございます。いわゆる直接貸しの増加の問題もございまして、明年度は三百億のうち約二割の六十億を直接貸しに回したいという程度であります。なお金融公庫におきましては現在四カ所の支店を持っておりますが、明年度はさらに四カ所増加いたしまして、具体的なあっせんないし直接貸しの円滑を期したいという考えでございます。  商工組合中央金庫については、本年度は政府出資十億をいたしたわけでございますが、明年度は金利の低下を行いますために、安い金利の金を資金運用部と余剰農産物の見返り円から回したいと思っております。合計二十億いたしております。その他のいろいろな補強措置と相待ちましてこの金利を平均しまして日歩二厘程度は少くとも下げたいということで目下具体的な検討と折衝をしておるわけでございます。  次に電源開発会社でございますが、御承知のように天龍川系統の仕事がピークを終りまして、明年度は只見川系統あるいは御母衣というような地点になるわけでございますが、原資の関係で工事費の増加に対しまして十分な金が出ませんので、やむを得ずここにありますように公募債七十億を政府保証のもとに発行いたしたいという考えでございます。政府保証にいたしますれば、一般の社債よりは条件がよくなりまして、それだけ資金コストが低下し建設費も低くなるわけでございますから、所要の法律案も関係の向きで用意しているわけでございます。なお公募債は、予算総則でも一応うたっておりますが、法律案等が出ましたならばよろしくお願いしたいと考えております。  石油資源開発会社については、先ほど申し上げました通りでございますので省略いたします。  それから日本生産性本部ですが、これは三十年度に一億五千万円を余剰農産物の金から出しまして仕事を助けましたが、本年度はここに十億とありますが、実はこの十億の金は、余剰農産物の特別会計に入ります金利は初年度当りは一厘でございますので、これをさらに商工中金に六分五厘で、資金運用部と同じ条件で転貸いたしました。そういたしますと六分三厘の利ざやが出ます。十億といたしますれば六千三百万円でございますが、これをもって、この生産性本部の仕事のうちで、経営的な経費を確保したいと考えております。つまり人件費でありますとか、あるいは建物の経費というようなものを、こういうもので一応安定してまかなわせたい、こういう考えでございます。先ほど御説明いたしました一般会計の方の補助金七千五百万円は、先ほど申し上げましたような事業の補助で、こちらの方は経費の確保、こういうふうに御了承願いたいと思います。一つの金を両方に使いまして、両方にそれぞれの目的を達する、こういうふうなことを考えております。  それから法律案の方でございまするが、お手元に第二十四通常国会提出予定法律案調がございます。これは実は法律案の提出がだいぶおくれておりまして、はなはだ申しわけがございませんが、一応予定しておりまするものを簡単に御説明したいと思っております。最初の高圧ガス取締法の一部を改正する法律案、これはすでに国会に提案されております。内容としましては、これはきわめて技術的な改正が多いのでございますが、最近液体酸素の需要が相当ふえております。その関係を取締りの対象に入れる必要がありまして、容器関係の問題が従来若干ネグられておりますので、この関係を整備するというのが中心になっておりまして、あわせまして各種の手数料を引き上げたい、そうして府県におきまする事務の経費をまかなわせたいというのが、大体の内容でございます。  百貨店法案でございますが、これは目下最後の案を固めますために調整いたしておりまして、提案は若干おくれると存じております。内容は御承知と存じまするが、百貨店の規模を量的に規制いたしたいということが中心で、売り場面積の増加、あるいは支店の増設、あるいは新規事業というものに対して許可制度を行うということ、もう一つは、ありまする百貨店の営業活動につきまして、行き過ぎな点があればこれを直さすために、関係当局におきまして改善方を勧告するという点が中心でございます。大体戦前の百貨店法に近い法律内容でございます。  それから輸出保険法の一部改正でございますが、これは先ほど御説明いたしましたような海外投資保険の新設という点が中心でございます。あわせまして若干の適用範囲拡大を行いたいと思います。これは来週の後半には御提案できると考えております。  それからその次のページに参りまして、特定物資の輸入に関する臨時措置に関する法律案、これは前々国会に提案いたしまして、審議未了となりましたいわゆるバナナ法案というものであります。内容も目的も大体当時と同じであります。要しまするに通商上の理由から、日本としては積極的に買うという強い理由はなくても、ある程度入れますものが、輸入に当りましていろいろな異常な差益を生じている。これを国庫に吸収いたしまして、産業投資の財源に充てたいというのがこの構想であります。これは来週中に御提案できる予定であります。  それから工業地域における工業用水の確保に関する法律業、これは先ほど予算の際に御説明いたしましたが、工業地帯にきまする地盤沈下を来たしておるところにおきましては、一方におきましてかわりの水道を設けますとともに、他方工場等の水のくみ上げを制限いたしたいという考えでございます。そうしませんと、地盤沈下は一そう激しくなりますので、国土保全という見地もございまするが、同時に水を合理的に使うという見地からも、この問題を進めて参りたいと考えております。   〔委員長退席、小平(久)委員長代   理着席〕 これは目下法制局において審議を進めておりますが、これは二十日過ぎになるかと思っております。  それから計量法の一部改正でございます。これは特にこの国会で御審議をお願いしなければならないという問題でもございませんが、いろいろ計量法関係の法規等がやや理想に過ぎまして、民間に不測の迷惑をかけておるという点もございますから、その点を矯正したいという考えでございます。これは法制局において審議の都合上だいぶおくれる予定でございます。  それから日本製鉄株式会社法廃止法の一部改正、これは御承知のことと存じますが、日鉄の廃止法におきまして、社債の担保に財団抵当にかわる一般担保の制度を設けております。これの期限がちょうど本年の八月四日で来ますので、これをしばらく延期いたしまして、他方法務省において企業担保法というふうな一般担保の法律を立案を目下急いでおりますので、その法律の実施されますまでの間をこれでつなごうという関係の法律でございます。  それからその次の機械工業振興法案でございます。これは先ほど開銀融資の際に御説明いたした通りでございますが、機械工業の中でも、特に工作機械、あるいは軸受け、歯車、ネジというふうな共通の工作機械あるいは部品等の日本における現状は、御承知の通り設備の内容は非常に老朽化しておりますし、それから規模も需要に対して相当大きいわけであります。これらの工業設備の更新が行われないことが、いつまでたっても日本の機械が精度が上らないし、品質もよくならない、値段も高いという一番の原因でございます。そういうふうな基礎的な機械工業をこの際金融的措置によりまして、抜本的な近代化を行いたいという考え方でございます。それにつきましては、これに対する合理化計画をはっきりきめまして、それを実施いたしますに必要な金融措置、それから業者の共同行為の範囲をある程度拡大いたしまして、合理化を側面から推進して参りたいというのが、大体この法案の内容になっております。これは提出の時期は二月の終りになるかと存じております。  それから三ページに参りまして、繊維産業臨時設備調整法案でございますが、これは先ほど予算で御説明いたしましたが、要するに、繊維工業関係の設備過剰をどういうふうに処理するかという問題で、予算的裏づけは先ほど申し上げましたが、この法律案としましては、各種の繊維設備、ことに紡績段階、あるいは織布の段階、あるいは染色の段階等におきまして、まず登録制を行いまして所在を確認し、それから綿とか毛とか、あるいは化繊とかいうふうな分野を一応確定させまして、それからもう一つは、新規の登録等は、これは設備を抑制する見地から、能力増加になる場合はこれを拒否するというふうな内容でございます。あわせまして紡績におきましては、これは業者間の共同行為によりまして設備を買い取るということも行いますので、そういう協定もでき得る道を開こうというわけでございます。織布におきましては、これは現在ありまする中小企業安定法運用によって目的を達成いたしますが、なお若干の補足的な措置も要りますので、その方面もこの法案の内容にいたす予定でございます。これは比較的法制局が審議が進んでおりますので、二十日過ぎに御提案できるかと存じております。  それからウラン鉱及びトリウム鉱開発促進法案、これは前国会におきまして、原子燃料鉱物を法定鉱とするという鉱業法の改正が行われました。その次に、引き続き今度はこれらの鉱物の探鉱を促進いたしますために、土地立入りあるいは事業所の使用、それから休眠鉱区に対しまする租鉱権の設定というようなことを内容といたします法律で、鉱業法のそれらの規定を補い、あるいは簡素化していくというのが内容でございます。他方新しく原子力関係の立法といたしまして、原子燃料公社というのが設けられる予定であります。この公社も土地立入等の探鉱の仕事も行いますし、また選鉱、製練等も行う予定でございます。そういうふうな関係の法律の一部でございます。これは二十日ごろにたぶん提案される予定であります。  それから次の開発工事促進臨時措置法案、これは手違いでございますが、これは提出いたしませんで、別途土地収用法の特例法が建設省で目下立案中でございます。その中に関係の個所を織り込む予定でございますから、通産省からはこういう名称の法律は提案いたさないことに相なるかと存じます。  それから中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、これは先ほど申し上げましたが、資金運用部から商工中金に対しまして十億の貸付けを行う予定でございますが、商工中金は政府機関でもありませんので、直接資金運用部から貸すことが、現在の法制上むずかしいので、中小公庫を通して貸そうということでございます。その関係だけの法律でございます。昨年まで行いましたように、政府出資の増額というのは今年ございませんから、その点の改正はないわけであります。  それから中小企業信用保険法の一部改正、これはさきに申し上げましたが、この保険法のうちで信用保証協会を相手といたしました保証保険のうちに、新しく包括引き受けといいますか、そういうふうな制度を設けたいということであります。それからもう一つは小品保険の保証限度を十万から二十万円に引き上げる。この二点の改正が中心でございます。  それから下請代金等支払促進法業でございますが、これは大工業者の中小工業者に対する支払いを促進しますために、何らかの法的措置を講じたいと考えまして、ここに書いてありまするが、たとえば支払い関係を台帳に明細に記入させまして、これを監督官が随時回りまして調べまして、不当に支払いが遅延しておりますれば、改善方を勧告するというふうなのを一応内容として考えておりますが、これにつきましては、なお中小工業者に与える影響等もございますし、また公正取引委員会の例の支払い基準の問題もございまするので、もう少し内容等を検討整理してから提出したいと考えております。従って時期は若干おくれる予定でございます。  それから次の二つの法律でございますが、これはいずれも関連した問題で、中小企業協同組合法の関係でございますが、実は現在協同組合等で、共済事業としまして、火災保険類似の仕事を行なっております。いろいろこれにつきましては、あるいは監督をもう少し強化したらどうかという問題もありますし、また保険といたしますればいろいろな点をさらに考えるべきで問題もございますので、目下大蔵省と連絡いたしまして、この問題の取扱いを折衝しておるのでございます。大蔵省方面では、むしろこれをはっきり保険というふうに規定して十分な監督を行なったらどうかという意見もございますので、その辺の意見の調整を行なっておるわけであります。あるいは成案を得ますれば今国会に提出することになるかと存じております。  それから通商産業省設置法の一部改正でございますが、   〔小平(久)委員長代理退席委員長着席〕 これは目下のところではそごにありますような二、三の事務的な問題でございますが、科学技術庁の設置でありますとか、その他行政機構改革の問題に伴いまして、あるいは相当大きな改正になるかとも存じておりますが、まだその機構改革の結論も得ませんので、だいぶ時期がおくれますが、目下の行政審議会の審議その他によりましては、この範囲にいろいろ変化があるかと存じております。  それから最後の五ページの長い名前の法律でございますが、これは簡単に申しますと、先ほど予算で御説明いたしました中小企業共同施設並びに設備近代化助成金でございますが、これは助成金と申しますか、現在は無利子の貸付で、これを府県の金と合せて民間に貸し付けたわけでありますが、これを今度農林省関係の補助金の整理に見られましたように、府県で一種の特別会計を設けて、そこでこの貸付を管理し、回収金を財源にして運用をはかったらどうかというふうな議がありまして、われわれとしましてもこれはおもしろい構想でございますので、目下そういうふうな一極の回転基金的に扱うように立法の問題を検討しております。これも若干提案の時期が遅れるかと存じておりますが、早く結論を得るように急いでいるわけであります。  長くなりましたが、大体以上で概略御説明を終ります。
  9. 神田博

    神田委員長 本日はこの程度にとどめます。  この際本委員会開会の予定につきまして申し上げます。先ほどの理事会の申し合せにより、次会は来る十四日午前十時より開会することとし、砂利採取法案の審査のほか、経済企画庁長官、公正取引委員会委員長の所管事項に関する説明を聴取し、質疑を行うことといたします。なお引続き十五、十六の両日も質疑を続ける予定でありますので、御了承願います。  これにて散会いたします。    午後四時八分散会