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岩武政府委員 それでは大臣のお話を敷衍いたしまして、三十一年度予算提出の概要を申し上げたいと思います。お手元に三十一年度
予算要求額重要項目別表というのがございますが、それによって御説明申し上げたいと思います。
それでは一般会計の方から申し上げたいと思います。一般会計の予算は用途別に大きく分けまして
貿易振興対策、
技術振興対策、
中小企業対策、
産業基盤強化対策の四つになっております。
最初の
貿易振興対策でございますが、これは総額といたしましては十億八千万円弱であります。三十年度の九億八千万円に比べまして、ちょうど一億ふえておる。本年度は先ほど大臣から申し上げましたように、
海外市場の開拓に一番重点を置いているわけであります。なお予算編成上の技術としまして、各省におきます各種の
輸出振興費を一括して
通産省所管に計上しております。その内容はむしろ二枚目の紙がわかりやすいと思いますので、この二ページ目の方の
貿易振興対策明和書というものにつきまして御説明した方が御了解がいくかと思いますので、それによって御説明を申し上げたいと思います。
貿易振興対策費は、御承知のように非常にこまかい費目になっておりますから、この細目で御説明した方が御了解がいくと思いますので、そうさせていただきますが、最初の
海外広報宣伝費、これは通産省におきまして各種のカタログ、パンフレットその他のものを買い上げて、これを海外各方面へ配る、あるいは外国の新聞、雑誌等に広告を出すというような直接の経費、それから局間におきまして映画、テレビ等によりまして広告宣伝をいたしますものの補助、こういうような費目に抑えておりまして、総額は一億五千二百万円であります。
それから二番目の
国際見本市参加等補助でありますが、この内容は海外において行われます
国際見本市に参加いたしますものの経費の補助、それから日本におきまして
国際見本市を開きますものの補助、それからことし新しく巡回見本船という構想を立てまして、船の上に現実に動く機械を据え付けて、主として
東南アジア各地の港を回って、現実に商品を運転して見せて宣伝して歩こう、こういう費用でございます。最初の
国際見本市の方は、今年は大規模のものを六カ所予定しておりまして、その他中小のものもやる、そういう関係であります。それから日本におきます
国際見本市は、御案内のようにこれは東京と大阪と隔年交代に開いております。明年度は大阪の番で、多分五月ごろ開かれると思っておりますが、その関係の補助でございます。
それから三番目の
海外市場調査補助でございます。
海外市場調査会、いわゆるジェトロの行います各種の
海外市場調査の補助でございます。内容といたしましては、いわゆる各地に派遣員を置く、あるいは特殊の地域に対しましては特別の班を設けて国内から出発させて市場調査を行わせる、こういう関係の仕事の補助でございます。
四番目の貿易斡旋事業補助でございます。これはいろいろな費目が雑多に入っておりますが、最初の貿易斡旋所補助と申しまするのは、これはジェトロが行なっておりますトレード・センターというものがありますが、現在ニューヨーク、サンフランシスコ、カイロ、トロント等にございます。今年は場所をふやすよりも、これらの仕事の内容を充実させていこうというふうに考えておるものでございます。それからその次の農機具サービス・センターの補助でございます。これは本年度予算におきまして、ラングーンに農機具サービス・センターを初めて設けまして、相当評判もいいようでございまするから、さらに明年度は一カ所セイロンに設けたいというふうに考えております。それから電気機械サービス・ショップの補助であります。これは本年初めての計画でございますが、電気機械関係の
東南アジアにおきまする宣伝の先走りといたしまして、パキスタンに設けたいというつもりでありますが、そういうふうな現実のあつせん、宣伝事業の施設に対します補助でございます。
それから五番目の重機械技術相談事業補助でございますが、これは元の名前が重機械技術相談室ということで、
東南アジア及び中南米に合計六カ所の施設を持っておりましたが、これを本年名前を変えまして、輸出プラント技衆協会というふうに組織を独立させまして、その仕事を引き継いでやらせておる、その関係の経費の補助でございます。
それから六番目からは先ほど申し上げましたように、一般の省に属する商品等の海外宣伝の補助でございます。最初の海外建設協力事業補助は、これは建設省の監督下にありまする海外建設協会というのがございますが、これが目下ラングーンに出張員を置きまして、かの地のいろいろな建設事業関係の調査、連絡、宣伝等もいたしておりますが、その関係の施設も今年度はさらに広げて参りたいというふうな計画もありまして、これを一応通産省予算に計上いたしまして、各主務省と連絡しながら仕事を行なって参りたいと考えております。
七番目の
農水産物輸出振興事業補助でございます。これは農水産物の輸出振興の施設が、現在お茶あるいはカン詰等につきまして輸出組合系統のものが二、三カ所ございます。その仕事の補助でありますとともに、新しくカン詰関係あるいはその他一、二の輸出振興のための団体が現在できかかっておりますが、それに対しまして十分なる援助をして参りたいという考えでございまして、これは事務的な問題でございますが、そのうちの一億円は農林省におきまして主として計画を立てて、われわれの方からそれに金を出してやるという関係になっております。
八番目は医薬品輸出振興専業補助でございますが、これは本年度も若干広告宣伝費を持っておりましたが、明年は新たに香港に宣伝施設を持ちたいということでございます。これもわれわれの方からこの関係の向きに補助金を出して、仕事を助けて参る、こういうものであります。
それからその次の輸出意匠改善費でございますが、これはいろいろな費目が入っておりますが、最初の海外意匠権等侵害防止費、これは商品的な仕事でありますが、海外からいろいろ陶磁器その他につきまして意匠権侵害というような話が起っておるのであります。それに対しまして所要のデザインを集め、あるいはそれを連絡するというような関係の仕事をやる費目でございます。
それからその次の海外商品見本収集補助、これは本年度も行なっておりますが、海外におきまする日本品に適すると思われるいろいろな見本を集めまして、これは模倣は困りますが、できるだけそういうふうな嗜好に合ったものを作るように指導しようという関係の仕事が必要と思われますので、その関係の仕事の補助であります。
それからデザイナー育成指導費、これは本年度少し金額をふやしておりますが、これも意匠関係の外人のデザイナーを積極的に招聘いたしまして、その嗜好に合うような意匠等を考案させ、あるいはこれを普及さすというふうな関係の費用であります。その一部といたしまして、こちらからいわば留学生的に海外に派遣するということも考えておるものでございます。
それから四番目の輸出陶磁器、雑貨意匠及び製造技術改善研究費であります。これはこまごまといろいろございますが、雑貨工芸指導所あるいは名古屋の工業試験所等におきまして、こういう関係のいろいろな意匠あるいは製造技術等の研究をやっておりますので、その費目をことしは少し大幅にふやしまして、積極的に研究指導の仕事を行いたい、こういうふうに考えております。
それからCは
中小企業輸出振興費であります。これも若干の費目はあるいはBと似たり寄ったりでありますが、最初の
新規輸出品試作奨励補助であります。これは新しい輸出品を試作さすにつきましては、いろいろな補助が要りますので、主として雑貨あるいは軽機械類等につきまして、こういうふうな奨励を行なって参りたいと考えておる次第であります。
それから二番目の
中小企業輸出振興
技術研究補助であります。これは試作奨励の一歩前の段階の具体的な研究に対しまする補助金でございます。これも雑貨、繊維関係等を中心に考えておるのでございます。
それから三番目の
海外市場維持対策補助、これはちょっと毛色の変った経費でございまして、本年もやっておりますが、海外で、あるいは関税引き上げとか輸入制限という措置を行われます際に、これを現地に参って当業者みずからが折衝し、あるいは事態を向うに理解さすという必要があるのでございますが、なかなか
中小企業等ではみずから海外に行く金も出ませんので、その渡航費及び運動費等をこの金で補助したいと考えております。本年度はたしか陶磁器につきまして、アメリカにこの金で渡ってもらった事例があるわけであります。
それから四番目の特産品対米
輸出振興費でございます。これはドル市場に対しまして、日本の各地の特産品があるわけでございますが、これを向うの好みに合せ、あるいは流行に沿っていくという見地から、先方のいろいろな専門家等を招いて、少し日本の在来の土産品工業に活を入れたい、こういう考えでございます。いろいろ聞いてみますと、漆器なんかにつきましてはこういう必要もだいぶんあるようでございます。特にこれは行いたいと考えております。
その次の農機具及包装展示会、これは御承知の通りでありますから省略させていただきまして、大体この辺の費目がおもなものでございまして、あとに若干の輸出品検査費がありますが、これもこの程度でございまして、合計としまして大体本年度よりも一億増加する。なお本年度予算につきまして予算の提出等が若干おくれましたので、海外におきますいろいろな施設は勢い繰り延べになっておりまするので、本年度の経費のうち若干明年度に繰り越しがあるわけでございますから、三十一年度はこの十億八千万の経費よりもさらに上まわって事業活動ができるかと考えておるわけでございます。
貿易振興は以上の通りでございまして、その次は技術振興で、前のページに戻りますが、一枚目の二番目の
技術振興対策であります。これは三十一年度は、先ほど大臣のお話がありましたように、相当大きく四割方増加を見たわけであります。
最初の鉱工業
技術研究助成、これは例の応用研究と工業化研究の補助金であります。本年は別途の関係もございまして、若干の減少を見ておりまするが、新しく民間の共同研究等に対しましても、十分の助成をやりたいと思っております。対象の研究テーマ等につきましては、重点的に選んで参りたいと考えております。
その次は科研の出資であります。本年度は一応補助金一億といたしておりますが、三十年度補正予算におきましてこれを出資に振りかえられる予定でございます。明年度も同額の一億を出資いたす考えでございます。これは予算編成の技術上の問題といたしまして大蔵省所管に計上されております。
それから金属材料研究所設置費でございます。これは各方面から金属材料の問題がやかましくなっておりまして、これをぜひ新設しようということで、国立の研究所を設けるようになったわけでございます。これは将来
科学技術庁ができますれば、
科学技術庁の方に移管されることになる予定になっております。上の科研も同様であります。
その次の国立研究所
特別研究費でございますが、これは本年一群増加を見た費目でございます。この理由としましては、現在通産省管下に十一の国立研究所がございますが、その研究所の業績を見ますると、中には相当国家的に重要と思われるような研究で、しかも実験的な研究を終えながら工業化の段階まで研究を進める経費がないというような事態がございまして、たとえば海水の工業利用、これは東京の工業試験所でやっておりますが、その問題。あるいは石炭のガス化等に伴います
有効利用の問題、これは試験
技術研究所でやっております。あるいはオートメーションの問題とかあるいは直流送電の問題とかいろいろあると思いますが、そういうものをもう少し大きな規模で研究させまして、民間の企業化に移り得るように研究の段階を進めさせたいということで本年は特にこの関係の経費を増加いたしたわけであります。なおいろいろな設備関係についても、各試験所等におきましてある程度の改善を見る予定でございます。
それから発明奨励補助でございますが、これは前年度と大体同額でありますが、実は特許関係の経費につきましては、ここに書いてありませんが、従来からいろいろ特許出願の処理がおくれて、各方面に御迷惑をかけておるのは、これははなはだ申訳ないことですが、本年は特に特許関係の人員は内部の振りかえを含めまして、八十名ほど増加しております。
それから公報の印刷その他がおくれておりますので、これもたまっております分を一挙に解決するために、約七千万円近い庁費を計上いたしまして、出願の処理の促進とそれから公報印刷の迅速化を期しておるわけであります。そうしました結果、外部的の経費は若干落ちるわけでありますが、内部的にはある程度事務量の増加を見る予定でございます。
それから原子力平和的利用研究費等でございますが、これは内閣の原子力局の方で一応全体の原子力関係の経費をにらみ合せまして、そのうちで通産省管下の試験所におきましてみずから行います研究の経費、並びに原子燃料ウラン鉱、
トリウム鉱の探鉱を地質調査所で行います経費、それから一部民間の鉱業家がウラン鉱
トリウム鉱の探査を行いますのに対する補助金、大体この三本立でございます。二億五千百万円でございますが、このほかに予算外国庫負担といたしまして、たしか五千万円の予算外国庫負担をつけておるわけでございます。
工業標準の方でございますが、これは特別な問題はございませんが、この標準制度の施行範囲をさらに広めようという関係の経費であります。
それから
中小企業対策に参りまして、これは三十一年度は若干の増加を見ておりますが、最初の共同施設及び設備近代化の補助は例年通りの補助金でございます。これはこの中に本年度は中央会の補助も含めております。金額等につきましてはまだ確定しておりませんが、中央会の事業に対しましてもこの費目から補助して参りたい、かように考えております。それから
中小企業相談所の補助でございます。これは本年度石橋大臣の特別な御関心で積極的に仕事を推進して参ることになったのでありますが、現在補助しております対象が四百弱くらいになっております。明年は五百以上に持っていきたいと考えております。これは行く行くは、全国の市及び町で相当の
中小企業のありますところに対しまして、漏れなく行いたいというふうな考えで、そのいわば第一年計画というふうな気持で本年若干の増加をはかったのであります。
それから三番目の中小繊維品工業設備整備補助であります。これは繊維関係の過剰設備という問題が、従来から業界の不安定なる問題になっておりまして、これにつきましては勧告操短の問題あるいは織布につきましては
中小企業安定法に基く命令の問題が残っておりました。昨年夏以来繊維総合対策審議会というものを設けまして、根本策を検討いたしました結果、やはり設備の過剰をなくするのが一番の先決問題ではないかという結論になりまして、ちょうど五カ年計画の立案実施と並行いたしまして、その計画に合せまして、設備関係をある程度調整して参りたいという結論を得ました。紡績につきましては、これは自己負担で設備の封緘あるいは買い上げ等ができますが、織布につきましてはそういうことが不可能でありますので、一部の補助金をもちまして、誘い水的にその仕事の促進をはかって参りたい、こういう考え方でございます。
それから企業診断指導費補助、これは前年度と同額でありまして、府県費になっております企業診断費を補助して参るという構想であります。
水書の利子補給金、これは省略いたします。
それから振興指導事業事務費、これは内部の事務費の増加でありますので省略いたしまするが、明年度としましては特に
中小企業の診断員の養成ということと、
中小企業の基本的な業態調査、この二つを特に新しく始めて参りたい、こういうふうに考えるわけであります。その関係の経費もこの中に入っております。
それから
産業基盤の強化対策であります。これは名前はちょっと変でございますが、最初の
生産性向上対策補助であります。これは昨年三月に発足いたしました日本生十産性本部の行います仕事の補助でありまするが、御承知のように本年度は主としてアメリカ関係等に班を派遣しまして、向うの現実の生産あるいは経営労働等の管理状態を学んできたわけでございますが、明年度もその仕事を続けますほかに、国内に対しましてそういう得た成果を十分に宣伝し、修得さす必要があると思いまして、国内に対しまして各種の講習会の開催でありますとか、あるいはモデル研究工場の設置でありますとか、あるいは他に指導班というような形で国内活動にも重、点を置きたいと思っております。
それから新鉱床及び天然ガスの探査、これは天然ガス、砂鉄、あるいは磁硫鉄鉱、水銀その他の鉱物資源の探査の補助であります。
それから工業用水道整備事業補助、これは先ほど申し上げましたように現在、至要な工業地帯におきましては地下水をくみ上げ過ぎました結果、地盤沈下を起しておる所がだいぶありますので、そういう地帯におきましては新しく代替の水道を作って、そうしてくみ上げを制限するということを講じませんと地盤沈下が一そう激しくなるので、とりあえず明年度は第一期の仕事といたしまして、予算が一番少うございますが、さしあたり三ケ所程度の規模で経費の四分の一を補助して参りたい、こういう考えでございます。一種の公共事業費的なものでございます。この主体は大体市町村になっておりまするが、あとの経費につきましては受益者が負担し、あるいは府県が負担する格好になるかと存じます。
それから
石油資源開発会社出資、これは本年度予算におきましては三億八千万円の補助を計上されておりましたが、これを補正予算におきまして出資に振りかえられる予定であります。明年度は政府出資が七億、それから民間出資が約七億、総計いたしまして十四億前後の金を得まして、これで本格的に仕事を始めたい、こういう考えでおるのであります。
以上をもちまして一応終りますが、いろいろな関係で十分とは申せませんが、昨年度よりも若干の増加を見まして、これらの仕事をわれわれといたしましては十分進めて参りたいと思っております。
それから特別会計であります。これは資料をお配りしてありませんが、現在通産省に四つの特別会計があります。そのうち本年度予算におきまして特に異同がございますのは、一つは輸出保険の特別会計において、先ほど大臣が申し上げましたように、
海外投資保険という制度を新しく設けました。これは海外に企業を進出しております際に、現地の戦争内乱、あるいは株式の収用等の事故によりまして、企業が実損を負担いたした場合に、それを保険しようという構想のものであります。
それから
中小企業の信用保険におきましては、小口探険の保証限度を、現在十万円でありますのを二十万円に引き上げることにしております。
それからもう一つは、保証協会が行なっております債務の保証につきましては、包括的な保証保険の制度を新設することとし、手続的な面を整理することにしております。
それからもう一つ、新しく特定物資の輸入差益を徴収いたします特別会計が通産大臣の管理のもとに新設される予定でございます。これは前々国会におきまして一応提案されましたが、審議未了に終った問題でございます。明年は砂糖の問題を切り離しまして、バナナ、パイカン等を中心として約十五、六億の歳入を得る見込みで、新しく特別会計を設ける予定であります。
大体この三点が特別会計についての新しい問題点でございます。
それから
財政投融資でございますが、これはお手元に作文の横書きと表をお配りしてございますが、これは表の方が御了解願えやすいかと思いますので、表につきまして簡単に御説明いたしたいと思います。
最初の、日本
開発銀行でございますが、これは昨年度当初予算といたしまして五百九十五億の融資を行うということで出発いたしましたが、途中におきまして資金運用部資金が思う通り集まらないという事態が発生いたしまして、このうち百三十億円ばかりを減らして、民間の方にいわば肩がわりをしたということで、実績見込みとしましてはこの五百九十五億より相当減る予定でございます。明年度としましては、民間の預金の増加並びに金利の低下に伴いまして、通産省としましては特に政府資金でなければまかない得ないような産業、あるいは金額がきわめて多量でありますから、民間の金融市場等を圧迫するおそれのあるものに限りまして重点的に行いたいという考えで、内訳としましては一応電力が百二十億、これは本年の当初額は二百六十億でございますが、明年度は民間の社債の発行の増加あるいは借り入れの増加等を期待いたしまして、また
自己資金を増加いたしますので、百二十億程度の電源開発の二部を進めて参ろう、こういう考えでございます。それから海運の方は、私どもの方の所管ではございませんが、大体一十二万総トンで百二十七億程度予定いたしたいと思います。その他としまして、石炭が合理化法に伴います
合理化計画の三部の縦坑開発等に重点を置きまして五、六十億程度、それから特に中小
機械工業に対しまして、開銀資金を特別な低利かつ長期な融資条件で行いまして、その近代化を積極的に進めて参りたいと考えて、大体資金量十五億予定しております。その他新しい産業としまして、先ほど大臣からお話がありましたような面に対して開銀の融資を推進して参りたいと考えております。
それから輸出入銀行でありますが、これは御承知のように昨年度におきまして船の輸出の契約は相当増加いたしております。それが明年度あたりから輸出入銀行の融資申込となって現われますので、その関係も考えて資金量を相当ふやしていくように計画しております。これによりまして大体三十年度におきまする輸出契約の残並びに三十一年度におきまする新しい輸出契約の引き受けは、輸出契約の部分でそれぞれ約三億ドル近いものが引き受けられる予定でございます。もちろんこれは輸出契約の額でございますから、それに対して融資します限度もございますし、また融資いたします時期もございますから、時期その他を考えますれば、大体五百五十億前後である程度まかなえると思っております。なおビルマ、タイ、さらにはフィリピンといったような地域の経済協力関係の設備輸出の代金もこの関係で一部金融をつける予定でございます。
それから
中小企業金融公庫でございます。本年度は二百五十五億の融資計画でスタートいたしましたが、中途におきましていろいろ資金量の増加もありまして、目下の見通しではこの金額よりも若干ふえる予定でございます。おそらく二百七十億前後に相なるのではないかと思っておりますが、明年度は一応三百億というふうに考えております。月平均二十五億でございます。いわゆる直接貸しの増加の問題もございまして、明年度は三百億のうち約二割の六十億を直接貸しに回したいという程度であります。なお金融公庫におきましては現在四カ所の支店を持っておりますが、明年度はさらに四カ所増加いたしまして、具体的なあっせんないし直接貸しの円滑を期したいという考えでございます。
商工組合中央金庫については、本年度は政府出資十億をいたしたわけでございますが、明年度は金利の低下を行いますために、安い金利の金を資金運用部と余剰農産物の見返り円から回したいと思っております。合計二十億いたしております。その他のいろいろな補強措置と相待ちましてこの金利を平均しまして日歩二厘程度は少くとも下げたいということで目下具体的な検討と折衝をしておるわけでございます。
次に
電源開発会社でございますが、御承知のように天龍川系統の仕事がピークを終りまして、明年度は只見川系統あるいは御母衣というような地点になるわけでございますが、原資の関係で工事費の増加に対しまして十分な金が出ませんので、やむを得ずここにありますように公募債七十億を政府保証のもとに発行いたしたいという考えでございます。政府保証にいたしますれば、一般の社債よりは条件がよくなりまして、それだけ資金コストが低下し建設費も低くなるわけでございますから、所要の法律案も関係の向きで用意しているわけでございます。なお公募債は、予算総則でも一応うたっておりますが、法律案等が出ましたならばよろしくお願いしたいと考えております。
石油資源開発会社については、先ほど申し上げました通りでございますので省略いたします。
それから日本生産性本部ですが、これは三十年度に一億五千万円を余剰農産物の金から出しまして仕事を助けましたが、本年度はここに十億とありますが、実はこの十億の金は、余剰農産物の特別会計に入ります金利は初年度当りは一厘でございますので、これをさらに商工中金に六分五厘で、資金運用部と同じ条件で転貸いたしました。そういたしますと六分三厘の利ざやが出ます。十億といたしますれば六千三百万円でございますが、これをもって、この生産性本部の仕事のうちで、経営的な経費を確保したいと考えております。つまり人件費でありますとか、あるいは建物の経費というようなものを、こういうもので一応安定してまかなわせたい、こういう考えでございます。先ほど御説明いたしました一般会計の方の補助金七千五百万円は、先ほど申し上げましたような事業の補助で、こちらの方は経費の確保、こういうふうに御了承願いたいと思います。一つの金を両方に使いまして、両方にそれぞれの目的を達する、こういうふうなことを考えております。
それから法律案の方でございまするが、お手元に第二十四通常国会提出予定法律案調がございます。これは実は法律案の提出がだいぶおくれておりまして、はなはだ申しわけがございませんが、一応予定しておりまするものを簡単に御説明したいと思っております。最初の
高圧ガス取締法の一部を改正する法律案、これはすでに国会に提案されております。内容としましては、これはきわめて技術的な改正が多いのでございますが、最近液体酸素の需要が相当ふえております。その関係を取締りの対象に入れる必要がありまして、容器関係の問題が従来若干ネグられておりますので、この関係を整備するというのが中心になっておりまして、あわせまして各種の手数料を引き上げたい、そうして府県におきまする事務の経費をまかなわせたいというのが、大体の内容でございます。
百貨店法案でございますが、これは目下最後の案を固めますために調整いたしておりまして、提案は若干おくれると存じております。内容は御承知と存じまするが、百貨店の規模を量的に規制いたしたいということが中心で、売り場面積の増加、あるいは支店の増設、あるいは新規事業というものに対して許可制度を行うということ、もう一つは、ありまする百貨店の営業活動につきまして、行き過ぎな点があればこれを直さすために、関係当局におきまして改善方を勧告するという点が中心でございます。大体戦前の百貨店法に近い法律内容でございます。
それから輸出保険法の一部改正でございますが、これは先ほど御説明いたしましたような
海外投資保険の新設という点が中心でございます。あわせまして若干の適用範囲拡大を行いたいと思います。これは来週の後半には御提案できると考えております。
それからその次のページに参りまして、特定物資の輸入に関する臨時措置に関する法律案、これは前々国会に提案いたしまして、審議未了となりましたいわゆるバナナ法案というものであります。内容も目的も大体当時と同じであります。要しまするに通商上の理由から、日本としては積極的に買うという強い理由はなくても、ある程度入れますものが、輸入に当りましていろいろな異常な差益を生じている。これを国庫に吸収いたしまして、産業投資の財源に充てたいというのがこの構想であります。これは来週中に御提案できる予定であります。
それから
工業地域における工業用水の確保に関する法律業、これは先ほど予算の際に御説明いたしましたが、工業地帯にきまする地盤沈下を来たしておるところにおきましては、一方におきましてかわりの水道を設けますとともに、他方工場等の水のくみ上げを制限いたしたいという考えでございます。そうしませんと、地盤沈下は一そう激しくなりますので、国土保全という見地もございまするが、同時に水を合理的に使うという見地からも、この問題を進めて参りたいと考えております。
〔
委員長退席、小平(久)委員長代
理着席〕
これは目下法制局において審議を進めておりますが、これは二十日過ぎになるかと思っております。
それから計量法の一部改正でございます。これは特にこの国会で御審議をお願いしなければならないという問題でもございませんが、いろいろ計量法関係の法規等がやや理想に過ぎまして、民間に不測の迷惑をかけておるという点もございますから、その点を矯正したいという考えでございます。これは法制局において審議の都合上だいぶおくれる予定でございます。
それから日本製鉄株式会社法廃止法の一部改正、これは御承知のことと存じますが、日鉄の廃止法におきまして、社債の担保に財団抵当にかわる一般担保の制度を設けております。これの期限がちょうど本年の八月四日で来ますので、これをしばらく延期いたしまして、他方法務省において企業担保法というふうな一般担保の法律を立案を目下急いでおりますので、その法律の実施されますまでの間をこれでつなごうという関係の法律でございます。
それからその次の
機械工業振興法案でございます。これは先ほど開銀融資の際に御説明いたした通りでございますが、
機械工業の中でも、特に工作機械、あるいは軸受け、歯車、ネジというふうな共通の工作機械あるいは部品等の日本における現状は、御承知の通り設備の内容は非常に老朽化しておりますし、それから規模も需要に対して相当大きいわけであります。これらの工業の設備の更新が行われないことが、いつまでたっても日本の機械が精度が上らないし、品質もよくならない、値段も高いという一番の原因でございます。そういうふうな基礎的な
機械工業をこの際金融的措置によりまして、抜本的な近代化を行いたいという考え方でございます。それにつきましては、これに対する
合理化計画をはっきりきめまして、それを実施いたしますに必要な金融措置、それから業者の共同行為の範囲をある程度拡大いたしまして、合理化を側面から推進して参りたいというのが、大体この法案の内容になっております。これは提出の時期は二月の終りになるかと存じております。
それから三ページに参りまして、
繊維産業臨時設備調整法案でございますが、これは先ほど予算で御説明いたしましたが、要するに、繊維工業関係の設備過剰をどういうふうに処理するかという問題で、予算的裏づけは先ほど申し上げましたが、この法律案としましては、各種の繊維設備、ことに紡績段階、あるいは織布の段階、あるいは染色の段階等におきまして、まず登録制を行いまして所在を確認し、それから綿とか毛とか、あるいは化繊とかいうふうな分野を一応確定させまして、それからもう一つは、新規の登録等は、これは設備を抑制する見地から、能力増加になる場合はこれを拒否するというふうな内容でございます。あわせまして紡績におきましては、これは業者間の共同行為によりまして設備を買い取るということも行いますので、そういう協定もでき得る道を開こうというわけでございます。織布におきましては、これは現在ありまする
中小企業安定法の運用によって目的を達成いたしますが、なお若干の補足的な措置も要りますので、その方面もこの法案の内容にいたす予定でございます。これは比較的法制局が審議が進んでおりますので、二十日過ぎに御提案できるかと存じております。
それからウラン鉱及び
トリウム鉱開発促進法案、これは前国会におきまして、原子燃料鉱物を法定鉱とするという鉱業法の改正が行われました。その次に、引き続き今度はこれらの鉱物の探鉱を促進いたしますために、土地立入りあるいは事業所の使用、それから休眠鉱区に対しまする租鉱権の設定というようなことを内容といたします法律で、鉱業法のそれらの規定を補い、あるいは簡素化していくというのが内容でございます。他方新しく原子力関係の立法といたしまして、原子燃料公社というのが設けられる予定であります。この公社も土地立入等の探鉱の仕事も行いますし、また選鉱、製練等も行う予定でございます。そういうふうな関係の法律の一部でございます。これは二十日ごろにたぶん提案される予定であります。
それから次の開発工事促進臨時措置法案、これは手違いでございますが、これは提出いたしませんで、別途土地収用法の特例法が建設省で目下立案中でございます。その中に関係の個所を織り込む予定でございますから、通産省からはこういう名称の法律は提案いたさないことに相なるかと存じます。
それから
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、これは先ほど申し上げましたが、資金運用部から商工中金に対しまして十億の貸付けを行う予定でございますが、商工中金は政府機関でもありませんので、直接資金運用部から貸すことが、現在の法制上むずかしいので、中小公庫を通して貸そうということでございます。その関係だけの法律でございます。昨年まで行いましたように、政府出資の増額というのは今年ございませんから、その点の改正はないわけであります。
それから
中小企業信用保険法の一部改正、これはさきに申し上げましたが、この保険法のうちで信用保証協会を相手といたしました保証保険のうちに、新しく包括引き受けといいますか、そういうふうな制度を設けたいということであります。それからもう一つは小品保険の保証限度を十万から二十万円に引き上げる。この二点の改正が中心でございます。
それから下請代金等支払促進法業でございますが、これは大工業者の
中小工業者に対する支払いを促進しますために、何らかの法的措置を講じたいと考えまして、ここに書いてありまするが、たとえば支払い関係を台帳に明細に記入させまして、これを監督官が随時回りまして調べまして、不当に支払いが遅延しておりますれば、改善方を勧告するというふうなのを一応内容として考えておりますが、これにつきましては、なお
中小工業者に与える影響等もございますし、また公正取引委員会の例の支払い基準の問題もございまするので、もう少し内容等を検討整理してから提出したいと考えております。従って時期は若干おくれる予定でございます。
それから次の二つの法律でございますが、これはいずれも関連した問題で、
中小企業協同組合法の関係でございますが、実は現在
協同組合等で、共済事業としまして、火災保険類似の仕事を行なっております。いろいろこれにつきましては、あるいは監督をもう少し強化したらどうかという問題もありますし、また保険といたしますればいろいろな点をさらに考えるべきで問題もございますので、目下大蔵省と連絡いたしまして、この問題の取扱いを折衝しておるのでございます。大蔵省方面では、むしろこれをはっきり保険というふうに規定して十分な監督を行なったらどうかという意見もございますので、その辺の意見の調整を行なっておるわけであります。あるいは成案を得ますれば今国会に提出することになるかと存じております。
それから
通商産業省設置法の一部改正でございますが、
〔小平(久)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これは目下のところではそごにありますような二、三の事務的な問題でございますが、
科学技術庁の設置でありますとか、その他行政機構改革の問題に伴いまして、あるいは相当大きな改正になるかとも存じておりますが、まだその機構改革の結論も得ませんので、だいぶ時期がおくれますが、目下の行政審議会の審議その他によりましては、この範囲にいろいろ変化があるかと存じております。
それから最後の五ページの長い名前の法律でございますが、これは簡単に申しますと、先ほど予算で御説明いたしました
中小企業の共同施設並びに設備近代化の助成金でございますが、これは助成金と申しますか、現在は無利子の貸付で、これを府県の金と合せて民間に貸し付けたわけでありますが、これを今度農林省関係の補助金の整理に見られましたように、府県で一種の特別会計を設けて、そこでこの貸付を管理し、回収金を財源にして運用をはかったらどうかというふうな議がありまして、われわれとしましてもこれはおもしろい構想でございますので、目下そういうふうな一極の回転基金的に扱うように立法の問題を検討しております。これも若干提案の時期が遅れるかと存じておりますが、早く結論を得るように急いでいるわけであります。
長くなりましたが、大体以上で概略御説明を終ります。