○
森本政府委員 これは
国民一人当りの薬品の使用料は幾らかという問題であります。これは非常にむずかしいことだと思うのであります。これは
結論から申しますならば、正確な
数字といたしましては、
最終製品として
生産されました
数字は、前から申しますような指定統計を取ったものがあります。これは比較的そういう対象も少いしいたしますので、ほぼ正確なものができる。ところがその
数字を小売
価格に戻しまして、これを人口で割れば、一人当りの
消費量が出てくる。これが大よその見通しだろうと思います。それは見通しとしてわかるけれども、さてほんとに何ぼ使っているのかということになりますと、これは逆の面から見まして、極端に申すならば、各家庭におきまして、各個人におきまして、どんな薬を何月何日に作ってどうして使ったということを記帳させまして、それを一
年間トータルしなければできないということになると思います。そうしますと、ちょうど
生産統計に見合います
消費統計が出てくるのであります。しかしこういうことは、おそらく私は不可能じゃなかろうかと思うのであります。
生産統計におきましては、
会社でございますので、日々の
生産量並びに
金額をやります。ところが各個人の家庭におきまして、さような
調査をさせることができるかどうか。またそんなことをさしてみることが適当かどうかということになろうと思います。だからそういうことは、おそらくはできないじゃないだろうか、またすべきじゃなかろうと
考えます。それで
一つの
方法だと
考えられますのは、医療
調査におきまして、抜き取り
調査をやって、他の
調査とあわせてやったものがあるわけでございます。ところがこの
調査にいたしましても、おそらく先生のおっしゃいますのは、家庭薬等の使用については少し
数字がおかしいじゃないかとおっしゃることだと思います。私もさような
感じがいたします。しかしこの種の
調査において正確な
数字を求めるということは、非常に困難であります。現にやりました指定統計
基準の方でやった結果がすでにそういう欠陥を暴露しているわけであります。従いましてこれ以上の
調査をやることが適当かどうか、可能かどうかという問題もあると思いますので、さようなことは非常に困難であろうと思います。それからその流通過程、どうかという問題、これは簡単に申しますならば、昔のように配給統制をやれば一番わかるのでございますが、そんなことは
考えられない。また各流通機関から何ぼどこへ売ったという報告をさせるということが
一つあるのですが、これも前に申しましたようなことでございまして、各個人に対する
調査とほぼ同じわけでございます。そういうめんどうなことを強制することが適当かどうかという問題になると思います。結局こういう問題は、別に薬に限りませすに、すべての商品について同様だと思います。おそらく正確な
数字を求めるということは、薬といわず何といわず困難であると
考えます。従いましてそういう意味の正確なものを出すということは期待できない、またすべきでもなかろうという
感じがいたします。それからこれに関連しまして、医療の方においては、どういう手術をしたとびどういう処置をしたということが、比較的明瞭でございます。これはその限度におきましては、保険の支払いという
一つの支払いの
方法がございますので、その限度において、これは薬の方においても取れているわけでございます。その点は一般の医療、薬とも同様でございます。医療におきましても、保険に入っておらぬ、あるいは公的医療でないものにつきましては、これが
調査もできておりませんければわかりもしないという問題、これは薬品についても同様でございます。これは非常に困難である。保険でありますれば、何かそういう支払いのあったもので調べるのがせいぜいじゃなかろうか。これは
国民皆保険でもありますれば、ほとんど大部分はそれで調べることができると思いますが、そういう時期まで待つべきものじゃなかろうかという
感じがいたします。それから今申しましたように、
医薬品の
調査というものは非常に困難でございます。でございますので、家庭薬を百五十億しか使っていないのだということになると、これは結局
調査の不完全と申しますか、困難と申しますか、困難性をなまのままに出したところの
結論じゃないか。それでその
数字をもってきまして
生産量と
消費量が合わぬじゃないかということになれば、これは確かに合わぬと思います。その辺にいろいろ問題があると思いますが、
結論として申しますれば、多くの
メーカー並びに流通過程におきましてどこへいったかわからぬと言いますが、これはわれわれの方としてはわからぬのでございまして、各
関係者としてはわかっておるわけでございます。そいつがどこかえ捨ててしまうとか、焼き捨てるとかいうようなことがあれば、これは変なことになっておるというわけでございますが、さようなこともほとんど聞きませんし、いたしませんし、ともかく
生産されたものは在庫でしばらく寝ておるかもしれませんが、しかし一年あるいは半年後には
消費されておるということでございまして、どこへいったかわからぬというのは、わからぬといえばわからぬのでございますが、結局
国民のだれかに医療機関等において
消費されておることは確かでございますので、その辺は大局観察でいくより仕方がなかろうという
感じがいたしますが、なおできればそういうものはあるのが望ましいと思いますので、
一つ専門家とも検討いたしてみたいと思います。