○野澤小
委員 そこでこの前の
委員会のときの
資料を要求した際には、繁用薬品を
一つ拾い出してくれ、二、三百種というような話を申し上げたのですが、きょう出てきました
資料を見るとごくわずかのものしか出てこないのです。ただ間に合わぬならそれでけっこうでありますけれども、ここに出されたものは実際に
薬価基準と
厚生省の
買上価格との非常に差のあるものばかり指摘されているのです。それで繁用薬品ということになりますと
一般薬が多いんですから、そういうものの利幅と、
買い上げ価格と
薬価基準との差というものがきわめて僅小だと思うのです。そういう
資料を出さずに、この
資料だけ出しておいて、
価格の差があり過ぎるじゃないか、あるいはまた
バルク・
ラインの取り方が違うじゃないか、矛盾があるじゃないかと
滝井君から指摘されたような
問題も起きてくると思うのです。たとえば四月一日から三十日までの一カ月間に調剤された処方せんによっての
調査をやりまして、東京都内で二千百十四名についてその薬品を調べてみますと、
使用された薬品というのが四百三十九
種類なんです。そのうち自由診療に使われたのが四百十一
種類、社会保険に使われたのが百八十三
種類、共通なものが百五十五、それから自由のみに使われたものが二百五十六、社会保険だけに使われたのが二十八、そうすると百
種類や二百
種類は繁用薬品として一応あなたの方で算出してもらっても差しつかえないんじゃないか。日にちがなかったからやむを得ませんが、そうした普通薬と言われるものとこうした特殊なものとを比較対照しませんと流通形態ははっきりしないと思うのです。この資科を一応機会がありましたら出してもらいたいと思います。
それからもう
一つ、これは私が専門家ですから、むしろあなたよりも詳しいはずなんです。それできようの説で、
滝井君が質問していることについて非常なミスをやっていると思う。悪く言えばごまかしているんです。それはどういうことかと申し上げますと、
国立病院、同
診療所における
買上価格と
薬価基準の
比較表というものの
説明に、
A価は
B価の二五%増しとか、
B価は
C価の一〇%増しとか、いわゆる社会通念らしきものをここで羅列しておいて、今度は上の表の
説明をしている。これは実際はそうじゃないんですね。
A価、
B価、
C価、
D価というのは
一つの建値ほんですから、その差額が三五労あるとか二〇%差があるとかいう
説明の材料にはこれはならない。いわゆる
市場価格なんですからね。そうすると
薬価基準というものは、たとえば
B価を必ずとるということならば理屈が合う、あるいは
C価をとるということなら理屈は合うのですが、この
薬価基準というものは、
バルク・
ラインの九〇%ということを
基準にして大
調査をされた結果の建値だと思うのです。そういう建値と購入
価格の差を
説明するのに、賢明な
滝井さんでさえ大体了承しましょという話があったんですね。そうすると
ストマイから以下のものが二、三割の差がある、上はほとんど五割近い差がある。しかもその差が出てくるということは、
調査期日が違うからということを局長が指摘されまして、昨年三月ごろのものだからこういう
説明をされたようですけれども、大
調査を十月、十一月に行なったとすればそのときの
価格が出てこなければならぬ。そういうことで
説明のつく
問題ではないと思います。単に
調査期間にずれがあったといって、それでは経済の指数、融資の状況を見ますと、実際に中小商工業者に多少資金が回ってきたのが昨年の十一月ごろからです。むしろ昨年あたりは極度に資金難で困っておるときです。困っておるときというものは企業者は背に腹はかえられず安売りをしておる、こういう状況、であります。市中銀行なり何なりに資金が潤沢になってくると正常な取引ができてくる、従ってむしろ
一般のものは高くなってくる傾向を持つのです。それがこういうよろな差額ができるという根本原因はどこにあるかというと、これはしばしば通産省の方で従来
問題になっておりますが、日本の官庁の購入
方法として
競争入札をするというこの
競争入札に対する考え方というもの、これはひとり
医薬品だけでなしに、
競争入札の制度がよいか悪いかとうことよりも、その特長と欠陥といろものがはっきりとお互いに認識されなければ解決しない
問題ではないか。そうしますと
滝井さんの指摘されたように、どうしてそんなに安く
入札できるのだろうということは、しろうとしても考えるのは当りまえであると思います。同時にまた商売人として、業者の立場からいうと、やむを得ない結果として
競争していかなければほらぬ、ここに
競争入札制度の長所と欠陥とがあると思うのですが、しかもまたその生産面においても、
価格面においても、
統制経済でないのであるから、統制はできない。それでは一体
厚生省は何するのかということになると、企業なり、製造面だけは一応指導監督していく、今度はそれを販売する面になると、
価格の調整もつかぬ、しかも一応商習慣によって
A価、
B価、
C価、
D価というものができておるにかかわからず、お役所自体が大口需要者らしき立場において、先ほどお説にあったように、
国立病院なり、
療養所なりで一括購入する、できるだけ安く買いたいのだ。これは要するに
厚生省みずからが生産を指導し強化させておきながら、今度はわざわざ企業自体の
販売価格を乱す行為に重点を置いて、しかもセクショナリズムで
厚生省が何ぼの
入札価格で買い上げられておるものか
薬務局は知らぬ、あるいは
保険局の方でもどれだけの差ができておるのか、特別会計と
一般会計との差も知らぬ。こういうふうにセクショナリズムで実際にたたかれて曲るのでありますから、そうしますと今度の
薬価基準の
調査をしようという
問題になってきますと、本質的な生産機構と販売機構とを分析していかなければならぬ。先ほども
八田君から質問がありましたが、流通形態についての
資料はとうてい困難だというお答えであります。私は、これは困難ではなくて、ある程度までできるんじゃないかと思います。それから
メーカー自体の数にしましてもずいぶんたくさん出ていますけれども、東京、大阪、名古屋を通じて、純然たる
メーカーというものは幾らもないと思うのです。私自身も
メーカーであり、問屋をやっているのですかちよくわかっている。そうしますと、実際に製薬業者と
一般に概念的にいわれますが、家庭薬の
製造業者のように、人の作った品物をまぜ合せる業者あるいは包装する業者、こういうものがほとんど九割高占めておって、自分自身の技術や頭によって作っていくという業者はきわめて少いと思うのです。それを企業課あたりで引き抜きますと簡単に統計はできるはずです。
数字の間違いは多少あったにしても傾向はわかる。この
問題については、やはり単に表に現われたものだけで解決しようという努力よりも、根本から手当をしていかなければならぬ。実態としては、ここに流通形態の図がありますけれども、この
系統図というものも、おそらくこれは
薬務局で現在の商習慣を分析して適当に並べたものだと思うのです。実態はこんなものじゃないと思うのです。非常に複雑怪奇なんです。複雑怪奇なものを、
委員に突っ込まれないようにもっともらしくここへ羅列したということです。体裁よく言うとうまく仕組んだのだが、実際はごまかしているんじゃないか。この根本を手当しないことには、幾ら議論しても始まらないと思うのです。
それからまた、先ほども
滝井君から質問があった五十人未満の企業と五十人以上の企業との実態から考えてみて、大体一番上にあるもの、あるいは十人から五十人までの企業などにおいては、実際の技術的
メーカーというのは
注射薬以外にはねいと思うのです。それから下請と下請でないという考え方ですが、これは原料屋と製品屋とは違うということです。その区分もはっきりできると私は思うのです。それから少くとも流通形態を分析していこうというのには、企業全体の景気というようなものでなしに、純然たる
メーカーなら
メーカー、あるいは問屋なら問屋、
小売なら
小売というものは、その働く従業員の負わなければならない指数というもむのが必ず出てくるはずです。たとえば問屋業でいうと、五十人使っている問屋業ならば一人が何ぼかせいだらいいか、それからまた、
メーカーでいえば、五百名いる
メーカーというものは一人の職工で何ぼかせいだらいいか、こういうことの指数も企業課あたりでは完全に出ねければならぬのです。そういうものを出したから、必ずしも安くしろというのじゃなく、企業を堅実に発達させるにはどうするのかという観点から、進歩的な考え方をするということを中心にしていくならば、業者も喜んで参画するんじゃないか。ところが現在のように
競争入札でぐんぐんやられていくために、他の業者と
競争になる。もう
パスなんかは、実際今最低限度にきているのです。最低限度にきているにもかかわらず、
厚生省としてはもっと安く買おうとする。そのしわ寄せが、他の開業医なりあるいは
薬局なりにしわ寄せされるのは当りまえです。そういうふうに考えられますがと遠慮しながら言うていますが、
現実は全く大衆にしわ寄せされている。それは開業医や
薬局にばかりしわ寄せされているのではないのです。今度は企業全体のバランスがアンバランスになってくると、家庭薬などを出してしこたま搾取しないと、要するにしぼり取らないと、
会社企業というものは成立しないということになってくるのですから、きょうの御
説明の中で、
パスやテトラサイクリン等の表を出されて
説明された局長のお話も、これは
相当極端な例だけを御
説明されて、かえって誤まった観念をわれわれに植え付けるんじゃないかということが一点。
それから第二点としては、製薬業者の実態というものをもう少し解剖してもらいたい。それで単品
メーカーあるいは多品種
メーカーというような分け方もありましょうし、原料屋と製品屋という分け方もありましょう。それが困難ならば、私の方で手をかけると簡単にできますから、いつでもお手伝いしてあげます。
滝井さんや
八田さんのようなエキスパートに実態をもっと正しく知らせてむらいたい。そうしないというと、幾らついても、
製薬企業というものはゴムまりと同じで、一カ所突けばどこかぶくれてくるのでありますから、こういう面についてもっとしっかりした
資料がほしいと思う。なお建値と申しましたが、ABCDの
価格の
説明は全くその通りでけっこうでありましょうが、実態というものはほとんどこれの四分の一です。ですから、一〇%くらい問屋がほしいのだというのが、上と下と圧迫されて、しかも大事業家から圧迫されてきますから、本町あたり道修町あたりの問屋が今実際に売買している口銭というものは一分か二分しかない。とても一〇%というものはない。こういう事態を引き起した原因はどこにあるかというと、
競争入札が原因です。
入札して、たたきにたたいていくのです。運輸省にしても郵政省にしてもその通りでありますが、実にものすごくたたく。たたくということは要するにセクショナリズムで、それを買う人は安く買いさえすれば功績になるが、しかし流通形態が健全に行われるはずのものが根本から破壊されていく、その動機を役所みずからが作っていくことなんです。これについて
薬務局としては、単に生産ばかり規制といいますか、指導するのでなしに、卸や
小売に対しても、統制までいかないにしても、調整ができるのではないか、こういう考え方でもっと堅実な流通形態を生む工夫をしてほしいと思う。
それから第三点といたしましては、こういう総体的な統計によって数量、
金額等を当るということも必要ですが、社会保険を健全に発達させるという建前からは、何といっても
薬価基準の本質的なものをお互いにはっきりと認識する必要があるのではないか。つまり、
薬価基準というものは
バルク。
ライン、きめられるから、購入
価格が
基準だ、従って、それになるべく近いもので買うのが建前だという考え方の人と、
薬価基準というものは
健康保険等で、これを利用しますときには、あくまで
健康保険財政で支払いをするときの
基準だ、医者からいうと請求
価格だ、請求の標準
価格であるという考え方の人とがあるが、請求の標準
価格というものと購入
価格というものは
現実に差があるのです。それをどう調整するかということが
薬価基準だと思う。ところが、
薬価基準で差がある差があるということでだんだんこれを縮めていきますけれども、そういうことではなしに
パスならば
パスは、一円で買おうと二円で買おう三角四十銭で
計算する、被保険者が調剤してもらったときに、その請求
価格の
基準が
薬価基準だ、こういう考え方を一応立てたとすると、それならばその標準
価格をきめるのにどうするかということで、初めて
現実的な購入
価格が参考
資料になる。そうすると、全体を通じて一番必要なことは、
薬価基準をどういう
方法でだれがどこでどうしてきめていくかということで、この基本的な
問題が解決しない限りは末端に入ってみてもしようがない。私は今まで官僚独善だといって、分業の論争のときにも言っておりましたが、実際に厚生大臣の名においてきめられるというけれども、このくらい不明朗なきめ方はないと私は思う。しかも
説明は少量だ、大量だと言われておりますけれども、実際は
あとう限り大量の包装でこの
薬価基準がきめられておる。実際は一オンスで取引されておる。それが建値はほとんど五百グラムとか一キロで
薬価基準がきめられておる。そうすると
病院だけは非常な差があっても、
薬局や開業医というものはむしろこの
薬価基準よりも下回った
価格で買わなければならない。私の方で申し上げましたことは、繁用薬品といって、少くとも安ナカだとか重曹だとか、そういう日常ひんぱんに医者が使われる薬品の
薬価基準と、たとい
入札にもせよその購入
価格を比較していただくと、きわめて差が少いということです。この例のとり方からいきますと、非常な誤差が出てきますので、そういった点についても一応御考慮を願いたい。自分の希望だけを申し述べたようでありますが、今後もいろいろ間違った方向に
説明されますと、これは大きな
問題になってきますので、どうかそうした面から十分なる
資料の提出と、
説明については御注意をお願いしたいと思うわけであります。