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1956-05-28 第24回国会 衆議院 社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)     午後二時十九分開議  出席小委員    小委員長 熊谷 憲一君       亀山 孝一君    野澤 清人君       八田 貞義君    藤本 捨助君       滝井 義高君    長谷川 保君       山口シヅエ君  出席政府委員         厚生事務官   森本  潔君         (薬務局長)  小委員外出席者         議     員 仲川房次郎君         厚生事務官         (医務局管理課         長)      実本 博次君         厚生事務官         (医務局整備課         長)      梅本 純正君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宣夫君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 五月二十五日  岡良一君同月二十三日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  薬価基準等に関する問題     ―――――――――――――
  2. 熊谷憲一

    熊谷委員長 これより社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会を開会いたします。  薬価基準等に関する件について調査を進めます。前会に引き続き、政府より説明を聴取いたします。森本政府委員
  3. 森本潔

    森本政府委員 先日配付いたしました資料説明を、続いて申し上げます。  最初に、薬価基準の定め方についてという資料がございますが、この薬価基準には二つ問題点がありまして、一つ収載品目をどういうふうにしてきめるかという問題、これが第一の問題であります。それから第二の問題は、収載品目に載っております医薬についてそれぞれの薬価をどうしてきめるかという問題、この二つがあるわけであります。  まず最初健康保険薬価基準に載せます品目のきめ方でございます。これを御説明申し上げます。ちょっと途中になりますが、薬価基準自体は、所管といたしましては保険局でございますが、仕事の性質上、薬務局の方で保険局の方針に従いまして実際の作業をしておる、こういう実情でございます。  それで収載品目につきましては、厚生省におきまして、薬価基準収載を希望する品目申請を、各製薬会社等より受け付けをいたします。そうしてたくさん出て参りますが、それを審査して載せるものをきめるわけでございます。  その審査の基準といたしましては、医師医療に多く用いておると考えられるもの、医療上必要なものというのが一つでございます。従いまして生産金額の非常に少いものとか、生産金額が多くても、もっぱら家庭で使用されて医師使用の少いもの、こういうものは採用いたしておりません。それからもう一つは、同種の他品目と比較いたしまして割高でないもの。同じ医薬品につきまして申請が出た場合に、従来のものよりも値の低いものが出るという場合には、これを採用いたしておるわけでございます。  それからこのほかに、申請がなくても医療上必要であると考えられますものについては、――特に公定書医薬品でございますが、それについてはこれを収載いたしておるわけでございます。  なお、薬価基準収載されますところの品目は、取扱い上次の三種類に分れております。これは具体的に三種の区別によって薬価の上でどういう取扱いがあるかというと、別にございませんが、ただ薬使用上の性質からいたしまして、三つに分けたのでございます。  その第一類に入りますのが、一つ公定書医薬品、これは医療成分、用法が確定いたしまして、しかも重要なものであるという医薬品でございます。それから二番目が、構造式の明確な単味の医薬品でございますが、それにつきましては構造式がはっきりしたもの、しかもそれが複合されておらない単味の医薬品でございます。  次に第二類に入りますものは、四つございまして、一つ抽出薬で単味の医薬品であります。抽出薬と申しますと、生薬であるとかあるいは動物からとるものでございまして、化学的な合成でないもので、それからとられました単味の医薬品でございます。二番目は、そのもの自体は、構造式の明確ね単味の医薬品として、第一類に入っておりますけれども、それは粉末もしくは液剤として入っておる場合でありまして、それに錠剤があります場合には、これを第二類に入れてございます。従いまして構造式の明確な単味のもので粉末液剤のものは第一類に入り、錠剤になりますと、値が高くなるというような関係もあるかと思いますが、同じものでも錠剤の場合には、第二類に入れておるわけでございます。それから次は、単味ではないが、その製剤の主薬が第一類にない医薬品、第一類には主として単味のものばかりをあげるようにいたしておりますけれども、そのものは単味ではなく複合薬ですが、主要効能を持つものが第一類にないものは、第二類に入れてあります。それから次は、配合薬の各有効成分が同一の薬効目的としておる医薬品・数種の成分が集まりまして同じ薬効を持たせる、そういうものは単味ではございませんが、同じ目的のために効果がぶえておるという関係上、第二類に入ります。  第三類は、第一類、第二類以外の医薬品及び新しく採用いたしますところの医薬品、従いまして新しく採用する医薬品は、一応全部第三類に入れておるわけ、でございます。  先ほども申しましたように、実際上の区別はございませんが、一応以上のような標準を作っております。次が、収載されました個々の医薬品についての薬価の誉め方でございます。  まず調査方法でございますが、これは全国的な規模において調査をいたします。  それから調査する。品目は、相場医薬品とそれからB価医薬品二つに分けまして、相場医薬品については百品目、それからB価医薬品については、五十品目を選んでおります。相場医薬品と申しますのは、たとえばアスピリンというものがございまして、これが数社で作っております場合には、数社が競争いたしまして、そこにおのずと相場によって値が定まるのであります。B価と申しますのは、多くは一社一品目のものでございまして、新しい薬ができますと、当初は一社しか作っておらぬ、従いましてその社は原価計算を行いまして、卸価格小売価格等をきめるわけであります。ここにB価と申しますのは、地方卸価格をいっておるわけでありますが、これは大体先ほど申しましたように、独占価格的なものでございますので、その製造会社においてB価というものをきめておるのであります。このように相場医薬品については百品目、それからB価医薬品については五十品目を選んでおります。この品目をたくさん選ぶのがいいのでありますが、調査の困難その他の事情よりいたしまして、典型的なものを今申した数だけ選んでおるわけであります。  それから次に調査対象でありますが、これは病院診療所、それから薬局と、さらに医薬品販売業者、特に医師または薬局向け販売業者について、調査をいたしております。病院診療所薬局につきましては、それぞれ五百カ所を選びまして、任意抽出法によって場所を選定いたします。それから医師もしくは薬局向け販売業者につきましては、主要な販売業者三百件を選びまして、これは有意選択法によって選び出しております。  それから次に調査の内容でございますが、病院診療所薬局につきましては、それぞれの病院診療所薬局が購入しております金額購入数量、その他購入平均単価、及び購入条件、こういうものを調べます。それから医薬品販売業者につきましても、今申しましたことについて、病院診療所薬局に売った金額数量等調査いたすのであります。  それから調査票配付収集は、ここにありますような系統で、厚生省から都道府県に出し、都道府県からそれぞれの医療機関販売業者、それにまた逆のコースで帰ってくるわけでございます。  それで調査の回数は、年に三回でございまして、そのうちの一回は大調査、つまり今申した品目全部について調査をいたします。それから小調査はその間二回行いますが、これは価格の変動の著しいものを選び出しまして、そのものについて調査をいたします。今申しました調査方法によって資料が集まります。それを集計いたしまして薬価を算定するわけでございますが、その薬価のきめ方は、調査した品目の九〇%バルクライン価格を算出してきめております。すなわち全国の医療機関が買う総量を一〇〇%といたします。その総量のうちの九〇%が買える値段というものを探し出して、その数字価格にいたします。従ってこの調査だけによりますと、所要量のうちの一〇%の量はこの価格では買えないということも予想されているわけでございます。それから調査しない品目がずいぶんございますが、それはどういうようにして出すかと申しますと、調査いたしました品目の九〇%バルクラインというものの価格がきまります。それから一方、相場品目につきましては大阪あるいは東京におきまして、それぞれ医薬品相場が立っております。その相場と九〇%バルクライン価格との係数を求めまして、その数字をぶっかけております。それからB価品目につきましても、同様に九〇%バルクライン価格B価の比率をかけて、未調査のものの薬価基準を出している、かようにいたしております。  それから薬価基準には甲地区乙地区二つ地域差を作っておりますが、甲地区と申しますのが、六大都市所在地ございます。そこは多くの場合、医療費の方は高いのでありますが、薬の方は安い。その他の府県は六大都市に比べて高いという関係がございますので、六大都市平均価格指数とその他の府県平均価格指数とを比較いたしまして、その差を地域差としているわけでございます。大体三%くらいな差がある実情でございます。  以上のような方法によりまして、薬価基準を定めております。なお薬価基準調査につきましては、年々改善をいたして参っておりまして、ここに書いてありますやり方が、昨年の十月にやりました最新やり方でございます。最後の点、品目数でありますとか、調査対象数につきましては、都市によって若干の変化がございますが、ここに書いてありますのは、昨年の十月に実施いたしました最新やり方でございます。  次に、国立病院療養所等におきますところの主要医薬品買い上げ価格薬価基準との比較表について御説明申し上げます。この表は本年の三月に厚生省におきまして、国立病院療養所用として買い上げたものの表でございます。種類はここにございますように、大わけして七品目になっております。ごらんのように単位厚生省で買い上げました価格、A、Bの薬価基準というように一覧表になっております。ちょっとこの際御説明をしておきたいのでございますが、実は私たちもこの、表を見まして、上の方の半分、パスでありますとか、イソニアジドなどの三品目につきましては、厚生省買上価格薬価基準に非常な差があるという感じを持つのでございます。それから、ストマイ以下の品目につきましては、大体こういうことであろうという感じを持っているのでございますが、この辺の事情について、若干御説明申し上げたいと思います。  まず第一にストマイ以下の四品目でございますが、たとえばストマイに例をとってみますと、厚生省買上価格が百十円、それから薬価基準でありますと百四十円または百四十五円という数字になっております。それでこの差については一応こういうふうに御理解願ったらいいと思うのであります。厚生省で買い上げいたします価格は、メーカー販売価格と元卸の販売価格中間通常B価C価中間と申しておりますが、このB価C価中間価格厚生省買い上げ価格がきまっているのじやないだろうかという考え方であります。それからこの薬価基準にのっておりますのはB価A価中間という一応の見当でございます。B価というのは地方卸価格A価と申しますのが小売価格でございます。それでまずB価C価A価D価の差は、C価D価の一〇%増し、B価C価の一〇%増し、それからA価B価の二五%増し、これが一応めどでございます。過去におきまして統制経済マル公をきめておりましたときの価格の差が大体今申しました一〇、一〇、二五といろ形。現在におきまして現実にどういろ数字になっているかと申しますと、これはむしろこれを割っているかと思いますが、大体基準的に申しますとそういうことでございます。それでC価D価中間価格、それからB価A価中間価格と申しますと、大体二、三割の値開きがあるのが普通でございます。こういう目でこの厚生省買い上げ価格薬価基準とを見ますと、ストマイ以下の四品目につきましては大体実情に合った数字ではなかろうかと考えております。それからもう一つ厚生省買上げ価格薬価基準に大きな差を起しますのは、薬価基準で買います場合は、小さな包装単位で小量ずつ買うわけで、従いまして割高になる。それから一括買い上げの形になりますと包装単位が大きく、それから一時の買い上げ量が多い。かようね関係上、今申しました二割ないし三割高以上の差が出てくるのも当然であろうかと考えております。そういう見方をいたしますならばストマイ以下の四品目につきましては御了承願えるのじゃないかと考えております。それからパスナトリウムパスカルシウムイソニアジドでございますが、この三つについては今申しましたような説明では理解しがない点が出て参るわけでございます。それでなお実情を調べてみますと、こういうことが出てくるわけでございます。厚生省買上価格にいたしましたのは今申しましたように三十一年の三月でございます。それから薬価基準をきめるための調査――すなわち昭和三十一年三月現在における薬価基準基礎になります調査をいたしました時期でございますが、これが昨昭和三十年四月の調査数字でございます。それを元にして薬価基準ができております。従いまして昭和三十一年三月から見ますると、薬価基準調査が行われましたのは一年前の調査であるということがあるわけであります。この時間的な差が大きく出てきておるようであります。それでパスイソニアジドにつきましては毎年大幅の値下りを続けておりますが、その一年間の値下りというものが非常に大きいようでございます。試みに昭和三十一年三月の現実市場におきます取引価格を調べてみましたところパスナトリウムにつきましては一グラム当り、すなわち厚生省買上価格の一・五五円に該当するものが丁七円という数字になっております。それからパスカルシウムにつきましては一・五四または一・五五円に該当する数字といたしまして、一・九円という数字になっております。それからイソニアジドにつきましては、十円五十銭に該当する数字としまして十四円という数字が出ております。それでこれは薬価基準基礎調査をしましたのが一年前であった、それから一年間に大きな値下りを生じた、今申しました数字のように現実相場が大きな値下りをしておるということでございまして、これがかりに昭和三十一年三月同時に調査をして、それをそのまま薬価基準にすればかような差はないのだろう、かように考えるわけでございます。これは申すまでもなく、厚生省におきましては競争入札をいたしておりまして、各販売業者市場取引価格によって一番安い値をつけて、競争でその最低のむのをとって厚生省価格がきまっておるということはもちろんでございます。  今申しましたことに疑問の点がございましたら補足をして御説明いたします。
  4. 熊谷憲一

    熊谷委員長 以上で説明は終りました。発言を許します。
  5. 滝井義高

    滝井委員 二、三お尋ねしたいことがあるの、ですが、今のところから先にお尋ねします。今国立病院、同療養所における買上価格薬価基準との比較表の詳細な御説明があったのですが、その中で上のパスナトリウムパスカルシウム、それからイソニアジドの三品目薬価基準厚生省買上価格との間に相当の開きがあるということは、薬価基準のきめた時期が買ったときに比べて一カ年のずれがあるということで、パスカルシウムの方は一円五十五銭のものがA地区、は二円四十銭になったのだという御説明があったのですけれども、どうもその説明はちょっと私納得がいかない。というのは、これは薬価基準関係なく、メーカー入札厚生省国立病院等に売っているのです。従って現在もし今御説明のように、パスナトリムウーグラム当りが一円七銭に下っておるとすれば、むしろ厚生省現実相場からいえば高く買い過ぎているということになるのですが……。
  6. 森本潔

    森本政府委員 一円五十五銭が一円七十銭です。
  7. 滝井義高

    滝井委員 それならば御説明が合います。  そこで私はちょっとお尋ねしたいのは、どうしてこういうことをお尋ねするかと申しますと、実は薬価基準問題が取り上げられ始めてからメーカーが急速に硬化をしたということはすでに新聞等で見ている、たとえば今井氏等が関係のある共済組合病院が薬を買おうとしたら、もうあなたの方には昨年のように安くは売れません、ことしはきちっと今まで通りにしなければならないことになったということが新聞報道にも出ております。そこで果してそういう現象が出たかどうかということは、そういう問題が起らなかった昨年の買上価格を見ればわかると思うのです。これを一つ説明願いたいと思う。これを全般的に通観してみますと、大体薬価基準の七割前後で買ってるということで、七割前後で買うということは相当安く買うということになっておりますが、これくらいならばそう驚くほどの安買いでないと考えます。と申しますのはどうしてかというと、われわれのところの炭鉱病院等を調べてみても、非常に品不足のときでも製薬企業炭鉱とが物々交換をやったのです。石炭を製薬会社にやる、だから薬を持ってこい、こういうことで炭鉱病院は当時なかったズルファミン剤とかビタミンC等を有力な会社から自由に入れてきたのです。そういう点から考えて七割という価格で買うのならば国立病院はそう大安に買っているとは言えない、入札までさして……。これはそれぞれC価D価の一割増し、B価C価の一割増し、A価B価の二割五分増しということで、上から下までを考えますと差が四割五分になる。これは製造元から買ったということにしますれば安く買ったことにならないのです。従ってことしはそういうことになってあまり安く買えたんじゃないという見方が成り立つ。去年は大体どうだったか、去年を見ればはっきりしてくるの、で、去年の国立病院買上価格厚生省買上価格をお示し願いたい。
  8. 森本潔

    森本政府委員 最新のがいいと思いまして最新のを出しましたが、なお必要でありますればあとで調べまして申し上げます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 今ここになければいずれあとにしなれけばならぬが、どうですか、保険局長さんもおられるのですし、昨年どの程度薬価基準より安買いしたかという大よその数字はわかるのではないですか。ことしはこれを見ると七割前後で計算が合うと思いますが、昨年はどのくらいか、およそのパーセントくらいはわかるのではないですか、わかりませんか。
  10. 森本潔

    森本政府委員 正確なことは申し上げかねますが、大体感じといたしましてはこの表と大した差はなかろうと考えております、と申しますのは厚生省国立病院等で買います場合に、売る方の側といたしましては特に厚生省であるから安く売るとか損して売るとか、そういうことはないのが普通でございます。ただし大量に買ってもらうから値引きするとか、そういう点はございましても、それは一般の市中の大病院等で大量に買う場合と同様でございます。大体C価相当額で納めるというのは、国立といわず一般の大病院に対しましても同様のことであろうと考えられます。一応そんな感じがいたしますが、詳細な点は資料で御提出いたします。
  11. 滝井義高

    滝井委員 C価だとしてもこれは基準よりか三割五分安になるわけですね。そうすると三割五分のところがあると思いますが、こまかく計算していないの、今ちょっと見ると七割前後のようね感じがするのですがね。私はどうもそこらあたりがわかりかねるのですが、この薬品の流通系統の図を見ても、このあなたの方からいただいた図は、製造業者から元卸、これは一つのものになるわけですね。それから卸業者にいくわけですが、卸業者から病院にいくのです。これは直接製造業者から厚生省、こうなるわけなんですから、これは卸にはいかないのです。厚生省には元卸から厚生省病院、こうなるわけなんですから、これは四割五分でなくちゃならぬと思うのですよ。そうすると三割ならば何もこれはメーカーでなくて卸売業者入札さしていいことになるわけ並んですね。卸業者入札させればちょうど同じなんですよ。その流通系統から見ても、そこは三割だというのはどうもちょっと数字が合わぬと思うの、ですが、三割ぐらいなことならば何もメーカーを連れてきて入札さして流通系統を国みずからが破る必要はないと思うのですよ。
  12. 森本潔

    森本政府委員 国立病院等で購入いたしますのはメーカーと限るわけじゃございませんので、多くの場合は卸業者入札をするわけでございます。それから流通系統と書いてございますがこれも痛院、診療所メーカーから買うたらいかぬのかというとそうでもなし、あるいは小売業者というものは卸業者からしか買えないのかというとそうでもございません。小売業者といえどもメーカーから直接買うことも、それから元卸から買うことも、卸から買うこともそれは自由でございます。かりに国立入札をいたしました場合に、メーカー販売業の登録を受けておりますれば、メーカー自身も参加することもございましょうし、元卸、それから卸業者、場合によっては小売業者といえども参加し得るわけでございます。それがいわゆる相場と申しますか、競争競争たるゆえんでございます。国立病院メーカーから買うとか、あるいは元卸から買うとかいう原則はないのでございまして、入札をしたいものは自由に入札をして、安いものにして買う、こういう建前でございますから、その辺御了承願います。C滝井委員 実情はそういうことになっておるのですが、小売、元卸、卸業者、だれでもいいという実情になっておるのですが、実際にやっておるところはどこですか。実際に医務局でやっておるのですか。
  13. 森本潔

    森本政府委員 国立病院の方におきましては、厚生省購入者需要者という立場になっております。従いましてこれを買う事務医務局の方でやっておるそうでございます。  それからこれも間違いあってはいけませんけれども、私の聞いておりますところでは、厚生省入札指名をいたしますのは、卸業者が大部分のように聞いておりますがこの点もはっきりいたしません。
  14. 滝井義高

    滝井委員 また先に延ばしてなんですから、ちょっと医務局の人を呼んでいただきたいと思います。
  15. 八田貞義

    八田委員 関連して質問いたしたいのですが、今国立病院、同療養所における買上価格薬価基準との比較表についての質問に関連しましてまずお伺いしたいのは、ここにお示し願った品目でございますが、国立病院あるいは同療養所における買上品目は、これだけじゃないのでございますね。このほかにも買上品目はあるわけでございますね。その一部分をここにお示し願ったんですか。その点ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  16. 館林宣夫

    館林説明員 実はこの品目を選ぶときに、先般約三十品目ぐらいというようなお話もございまして、しばしば使われます多数の品目について一応考慮いたしたのでございます。たとえて申しますと、内用薬ではパス、サルファ剤、ヒドラジド、重曹、クロマイテラマイ、オーレオ、アミノピリソロトェキス等でありまして、注射薬ではストマイ・ペニシリン、ビタミンB1、ザルソブロカノン、ビタカンファー、レスタミン、オムニン、オバホルモン、葡萄糖というようなしばしば用いられる薬を対象にいたしたいと考えたわけでございますが、本省で購入しておるものがこれだけでございましたので、ただいま読み上げました種類の中では本日お示し申し上げました種類だけでございましたので、一応これだけを拾って表に示したのでございまして、その他は個々の国立病院国立療養所で購入しておるという話でございます。
  17. 八田貞義

    八田委員 その一部分をお出し願ったわけでございますが、この表についてパスナトリウムパスカルシウムイソニアジドストマイ、これらは競争入札の結果、薬価基準を割るような場合をあげておられるわけでございますが、その場合にパスとかイソニアジドストマイ、これは競争入札ですから、わが国内に数会社があるわけですね。その会社の数と名前を伺いたい。クロラムフェニコール、オキシテトラサイクリンとかいうものは、これはわが国内にメーカーが少いわけですね。ですから今後いろいろな点について質問をいたしていく場合に、製造会社の数が問題になってきますので、一応パスを作る会社の数、イソニアジドストマイ、クロラムフェニコール、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン等を作る会社が、国内にどのくらいの数があるかお伺いいたしたい。
  18. 森本潔

    森本政府委員 これはそれぞれ数社、数十社ございますので、いずれ資料でお答えした方がいいと思います。
  19. 滝井義高

    滝井委員 それ、ではこの前御説明いただいた中の三、四についてちょっと質問したいのですが、この前最後にちょっとお尋ねをしておりました、ビタミンがアメリカに二二%以上輸出されておるという点ですが、ところがどうもビタミンの値段、特にビタミンB1末ですが、これは七%そこそこしか指数にして下っていない、きわめて人口に膾炙しているビタミンがどうして下らないのかという疑問なのですが、総合ビタミンや何かは最近ニュー・フェースで、こういう状態で値下りはしないのだろうと思いますが、血圧降下剤とビタンB1の末が下らないという点はどうもちょっとわかりかねる点があるのです。そこでしいていろいろ原因を見てみると、アメリカにビタミンのB1が非常に多く輸出をされておるというこの事実があるわけなのです。そこでこの前私は、ちょうど肥料と同じように外国には安く売るけれども、外国でダンピングしたものを補う意味で、国内に販売する価格というものに、何と申しますか、ある程度大幅な利潤を認めておるのじやないか、ちょっとそういう感じもいたしましたので御質問を申し上げたのですが、その当時明白でなかったので、おわかりになっておれば、一つきょうアメリカに輸出のビタミンとこのビタミンの値下りをしない関係、これを御説明を願いたい。
  20. 森本潔

    森本政府委員 前会ここに書いてあります表の中で、総合ビタミンと血圧降下剤があまり下っておらぬじゃないかという御質問がございました。当時一つの理由として申し上げましたのは、この総合ビタミンでありますとか血圧降下剤については新しいものができておるので、そういう関係であまり値下りしないのだろうということを申し上げておきました。そういう事情もございますが、それからもう一つは、大体この二種類につきましては、医師も使いますけれども、家庭薬的な使い方が非常に多いのでありまして、品種は若干異なって新しいものが出ておりますけれども、大体販路といいますか需要といいますか、こういうものがほぼ安定いたしまして、他の医薬品のように大幅な値下りをすることがない、下るとしても横ばいかあるいは漸減、あるいは事情によれば漸増することがあるかもしれませんが、大体価格はここ数年来もうすでに固定してしまった、そういう傾向が根本にあるようでございます。それから外国へ輸出します場合は、総合ビタミンでなしに――外国へ輸出しますのはビタミンB1またはCでございまして、これは単味でございまして、出す場合にはバルクで出しております。製品でなしにバルクとして出しておる。しかもその価格は大体国際価格というものできまっております。各国ともこれは自国用に使うほかに輸出もいたしておりますので、そこに一定の国際価格相場価格ができております。その相場価格によって輸出をしておるわけでございます。従いましてダンピングという性格ではなしに、むしろ国際相場によって輸出せざるを得ない、こういうようにお考え願っていいと思います。
  21. 滝井義高

    滝井委員 まあ単味でバルクの型で出すという御説明があったのですが、ほかの品物、たとえば非常に人口に膾炙して大衆も使っておるのはペニンリンで、これは最近ほとんどビタミンと同じ程度にみんなに名を知られておる薬なのですね。しかもビタミンなどというものは、実に古くから使われている薬なのです。これが値下りをしないという理由は、どうも私もちょっと納得ができない。聞くところによりますと、ある有名な製薬会社においては、自社の製品が、需要が非常に緩慢になって売れ行きが悪くなると、自社で作っている薬を買いだめをやる。それで非常に品不足にしますと、もう今度は大衆は、これは高くなると大へんだというので買う。またずっと出てくると放出をしていくという、こういう価格操作をやっておるということを聞いておるのですが、こういう大衆的な、特にビタミンB1の末などというものは、大衆が脚気だあるいは筋がだるいというようなことで割合簡単に買って飲む薬なのですね。そいうものが値下りをしないという理由は、大衆の需要ということだけではどうもちょっとわかりかねる。それから国際的な価格というものがあって、国内の独占的な価格に影響はしない、あるいは国外で、国際価格で、ダンピングはないという御説明がありましたが、いろいろ製薬会社等のお話を聞いてみると、抗生物質のごときは日本の方がはるかに安くて、外国の方が高いのだということで、七人委員会等の報告のあった後に製薬企、業の方から反駁もあったのを私は聞いておるのです。そうしますと、他の抗生物質等外国からいろいろパテントを買ってやっておる薬でもさらに安くいっておるのですから、ビタミンのようなものは当然――これは古くから日本の国内、生産もされておるものなのです。抗生物質に比べてはるかに古くから生産されておるものなのです。そういうことを考えてみると、どうも国際価格と申しますけれども、日本の製品の方が安いはずなのです。安いからこそアメリカあたりの高度に製薬企業の先達しておるところにさえも出ていく。あるいは原料の関係もあるかもしれません。が、出ていくところを見ると、どうも国際価格ということだけではやはりその点の説明ができないという感じがするのです。このビタミンB1の末が値下りをしないということについては、何か経済外的なものが働いておりはしないかという感じがするのですが、そういう点何か薬務局の方で調査をされたことはないのですか。
  22. 森本潔

    森本政府委員 先ほど申しましたように、大体ビタミンB1の需要と申しますか、量は、大した差がございません。一応数年前から安定しておるというか、固定しておるわけでございます。下るといたしましても、この程度の下り方以上は期待できないだろうと考えております。それから輸出するにいたしましても、国内需要は、一応需要量はほぼ一定しておるといたしますれば、おのずとそこに輸出し得る価格というものは、経済価格は、きまっておるわけでありまして、しかもそれが大体国際的な相場があるといたしますれば、その相場に近いもので出さなければ輸出ができぬということでございます。もう少し高く売ろうとしても、これは買いませんから、売れない。ともかく国際相場というものがある以上はそれに支配される。それより安く売る力があればいいのでございますが、この辺は非常にむずかしいところだと思うのであります。日本が若干国際価格を割って売る、そうすると、外国もこれは黙っていないわけでございまして、またそれを下げてくる。ところが日本とアメリカの製薬会社の製造規模から申しますと、大体向うが十倍くらいの力を持っております。そういう競争を始めた場合には、これはとうてい勝てっこないという予想もされます。その辺非常にデリケートな経済事情があるものでございますから、ビタミンBにつきましては、今申しましたように国内需要はほぼ一定してしまっておる。それから輸出の場合には国際価格に準拠しなければならぬ。それを割って戦争を始める。やった場合に勝つか負けるかという問題ですが、これは非常にむずかしい、かような事情でございまして、こういう取引、商売の問題になりますと、今申しましたような観察をいたすよりほかはなかろうかと考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 国内的なビタミンの需要が一定をしておるということになりますと、昭和二十八年以来の国内の生産も――経済の初歩の原則から言うと、需要と供給のバランスがとれておる限りにおいては、これは少くとも価格の変動はないと見ていいのです。これはきわめて初歩的な原理ですが、そうすると国内の生産というものが一定をしておるかどうかということなんですね。輸出は伸びております。輸出は昭和二十八年が二億であったものが、三十年には十二億と六倍にビタミン剤は伸びておるわけなんです。だからこれを見ても、国内の需要が一定をしておるということになれば、明らかにビタミンの生産というものは相当急激に伸びておると見なければならぬ。それは昭和二十八年当時においては、健康保険等においても、ビタミンの使用というものはそれほどやかましく言わなかった。ところが保険経済が赤字になるとともに、ビタミンの、特に注射薬使用というものは、これは館林さんがおられますが、保険では非常に厳重になってきました。少くとも衝心性の脚気くらいでなければ、ビタミンを用いてはならぬというのが、今の審査の一つ基準になっておる。そうしますと、国内における注射薬使用というものは、私はずっと減ってきておると見ていいと思う。少くとも医者のうちでは減ってきておる。そうしますと、これはその面における末の使用というものは抑制されてきておる。そうすると国内の大衆の需要が一定をし、それからむしろ注射薬その他の使用というものは二十八年以来削減されておるという傾向があるならば、これは輸出が伸びておるだけなんです。ビタミン剤は輸出は六倍なんです。しかも輸出で一番ビタミンが値下りをしなければならない要素の方が、国内的に見ると多いのです。ただこれが一定の価格を保つというしいて一つの理由を求めるとすれば、国外への輸出が伸びておるというために国内の価格が安定をしておるとしか見られない。これはお宅から出した表をいろいろ系統的に分析してみれば、そういう結論しか出てこない。何かそこに一定にならなければならぬという理由があるとすれば、国内の需要が定をしておるとすれば、医者の使う面は減ってきておるのですから、減ってきておるとすれば、需要が減っておるのですから、明らかに価格は下らなければならぬ。どうもその点もうちょっと何か経済外的な理由がありそうだ。私は何も意図があってこういう質問をするのではなくて、このもらった表を見ていると、伸びているのは輸出だけなんです。ほかは何にもないのです。
  24. 森本潔

    森本政府委員 特に新しい考えもないのでありますが、一応国内需要は大体もう一定しておる感じでございます。それから輸出します額が二億から十二億に伸びておるというのでございますが、この価格自体は――総量はふえております。しかし輸出します場合の価格というのは、国際価格でございますので、これは多く非常に安い値段になっております。そのはね返りが国内価格にどの程度及ぶかということは、これは別の問題じゃないかと思います。十二億分が国内価格と同様な単価を維持し得るということであれば値下りになろうと思うのでございますが、国内向けの方は一つ単位がある。国外向けの場合は、外国との競争関係で値を下げなければならぬという事情がございますので、量がふえたというその量のはね返りが直ちに国内向けの単価にどの程度響くかということは、もう少し研究しなければいかぬと思います。
  25. 滝井義高

    滝井委員 それならばちょっとお尋ねいたしますが、大体ビタミン剤の日本における総生産額といいますか、金額にしてその額は幾らになっているのですか。総合ビタミン錠というのは、昭和三十年が三十三億、二十八年が十九億なんです。三十年は約倍になっている。そういたしますと、二十八年と三十年と比べてみても、ビタミン剤の輸出が六倍に伸びているのですから、需要が一定であればこれだけの生産の伸びはないと思う。ところがビタミン剤にしても、二十八年と三十年を比べてもおよそ倍くらいに伸びていっている。輸出においてもビタミン剤は六倍に伸びている。こういうことから考えると、これは国内の需要というものは一定していない、むしろ国内の需要がふえていなければ、価格の安定はできないはずだと思う。その点二十八年のビタミン剤の生産高と三十年の生産高を比べてみれば、大体一つ価格的な関係が出てくるんじゃないですか。
  26. 森本潔

    森本政府委員 ただいまの各年次におきまするビタミン剤の生産額でございますが、これもただいま資料がございませんから、あと資料でお答えすることにいたします。
  27. 八田貞義

    八田委員 関連して。――こういう生産高を金額で表わされまして、数量については全然触れておられないのですが、やはり国際価格とか、ああいうものを検討していく場合に、数量で示していただくと非常にいいのですが、ただビタミンが、今も金高でいけば六倍以上の金額になっているわけですが、数量の伸びは一体どのくらいになっているかということがぼくらにはわからないわけです。全般的にみな金高で示されておりますが、一体どのくらいの数量が輸出されてこの金額になったのか、やはりそのもととなるものをお示し願わぬと、金高だけではちょっとはっきりと頭に入ってこないので、その点もよっと……。
  28. 森本潔

    森本政府委員 これも正確なことは貸料でお答え申し上げたいと思います。それからいろいろ即答できぬ点があるのでございますが、これはこういう村も御理解願いたいと思うのでありまして、現在の薬務行政といいますものは二つの面がございます。一つは、これは根本的な問題でございますが、医薬品の品質確保、不良医薬品あるいは規格にはずれたものをなくする、いわゆる保健衛生上におきまして、間違った医薬品が出ないということをいたすのが薬務行政の本質でございます。従前のように価格の統制あるいは配給の統制をいたしておりますときには、これは自由に役所の方において価格操作、配給統制をやっておったのでございますが、現在におきましてはさような考え方はないのでございまして、ただ特にこのものがなければ医療上支障があるとか、あるいは貿易政策上このものの輸出が必要であるとか、さような大項目につきまして、企業的な指導助長をいたしておる、こういう事情でございますので、配給、それから価格問題、これは実は常時あまりタッチをしておらぬところでございますので、いずれ調べてお答えさせていただきます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 ビタミン剤の問題はどうもはっきりしませんので、ぜひビタミンに関する――ばかりでなく他のものも今八田さんの言われるように価格と数量をできるだけ、わかればある程度出していただきたいと思います。特にビタミンというのは人口に膾炙いたしておりますし、こういう人口に膾淡しておる薬の値段が明白になってくる、あるいはその生産原価が明白になってくるということは、他の製薬企業における全貌をわれわれが知る上にきわめてわかりやすい一つのつてになると思いますから、どうかその点次会までに一つ明白にしていただきたいと思います。  そこでこの前の説明の一番初めに戻りますが、この前いただきました資料を見てみますと、表の二枚目の五ですか、生産規模別製造所と生産額、昭和二十九年というのがあって、製造所数と生産金額とを書いていただいておるわけなんです。その中で私が知りたいのは製薬企業の数なんです。武田とか三共とかという資本別に、製造所の数じゃなくて製薬企業の数が幾らなのか教えてもらいたいのです。いろいろ調べてみたけれどもどうもまちまちで、ばかにたくさんあるように書いておるのもあるし、四、五百くらいしか書いていないようなところもありますし、どうも正確なところがわかりかねるのです。そこでまずおわかりでしたら数を一つ教えていただきたいと思うのです。
  30. 森本潔

    森本政府委員 厚生省におきまして確実に発表できます数字としてとっておりますのは、指定統計で製造所ごとの数量と価格でございまして、この数字につきましては間違いないということを申し上げます。それから各事業別の経営状況といいますか、そこまでは実はタッチしておらぬ状況でありますので、ただいま手持ちはありませんが、一応こういう見方をしていただいて間違いないのじゃないかと思うのでございます。小さなところ、五十人以下でございますとか十人以下、こういう事業というものは大体一社である。一社で数工場持っておるというところはほとんどない。三百人以上あるいは五百人以上というところがございますが、この数におきまして工場の数としましてはそれぞれ二、三工場持っておるであろう。かような推定ができると思うのでございます。たとえて申しますと、会社の名前を出すのはどうかと思いますが、五百人以上の従業員を持っています会社でA社というのは六カ所の製造所を持っている。五百人以上のところにおきましてもB社、C社等に漁りますと、一工場あるいは二工場程度でございます。従いまして大体百人以上から二百九十九人の段階以下におきましては一社一工場、三百人から四百九十九人のクラスにおきましては二工場、五百人以上においては三工場、およそこの辺のめどでお考えいただきますと、会社としての数が出てくるのじゃないかと考えます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そういう計算で幾らくらいになるか教えていただきたいのです。実は私何かの本を読んでおったら、製薬業は七千社、大きいのはその一割で七百社、名の知られたところが二十社、こういうように七千もあるようなことを書いてあるのを見たのです。これは七百の間違いじゃないかと思ったが、その次を見ると比較的大きいところで七百社あるというのを見ると、どうも七千というのもまんざらうそでもないようでもある。これは製薬企業といってもおそらく試薬から工業薬品まで入れたのかもしれません。何もそこらあたりは私は秘密にならぬと思うのです。製造所じゃなくて製薬企業会社の数がどのくらいか。たとえば鉱山にすれば、三井鉱山なら三井鉱山といっても、大牟田にも持っておれば飯塚にも持っている。田川にも持っている、あるいは北海道にも持っているというように、至るところに鉱山を持っている。しかしわれわれが資本別に言うときは、三井鉱山、あるいは三菱鉱山なら三菱鉱山と、こういえばわかる、それから先は系統的に枝が出ておるだけです。何も実益はないと思いますが、やはりおよそを把握する上においてどのくらいの企業が資本別に見てあるのか、それが知りたいです。
  32. 森本潔

    森本政府委員 先ほど七百とか七千ということがありましたが、これは私ども絶対に信用できない数字でございます。少くともここにあるように製造所の数が二千八百でございますから、これを上回る製造会社があろうとは信じられません。従いまして会社の数としては、ここに二千八百ございますが、先ほどの考えで大ざっぱな見込みを申しますと、二千六、七百、こういうことになるかと思います。  それから正確な資本別の会社数字でありますが、これは実は私どもとして必要がないものでありますから、とってはおりません。さような見方をして正確なものが必要であればまた若干の日数を要するかと思いますけれども、調べてよろしゅうございますが、一応今申したような次第であります。
  33. 滝井義高

    滝井委員 どうも実はやはり製品の原価等を知る場合においてはその工場がどの程度に総合化されておるかということはきわめて価格決定の上に重大なことなのですね。その工場が下請だけのものか、それとも自分の社で一貫的の作業ができるものなのかどうかということは、価格決定の上できわめて重大なのであります。そこで今のようなものがある程度必要になってくるわけでありますが、わからないらしいので、いずれ何らかの形で御調査を願いたいと思います。  そこでそれらの二千六百か七百社と推定せられる会社の従業員の数はどのくらいあると把握されておりますか。
  34. 森本潔

    森本政府委員 これは先ほど申しました指定統計でとっておる数字でありますが、常用労働者、これを月平均でとっておりますが、約二千八百の工場における常用労働者総数は月平均にいたしまして一月に五万四千人です。これは月によって変りますので、毎月ごとにとっております。その数字を十二で割って平均した総字が五万四千人、こういう数字であります。
  35. 滝井義高

    滝井委員 日本製薬団体連合会から七人委員会の報告に対する批判が出ております。これはみな議員に配られたものですが、これを見ますと、従業員七万ないし七万五千と出ております。これは臨時等も入れたのかと思いますが、どうも薬務局はこういう一番大事な基本になるところを把握されておらないので寒心にたえないのです。保険課長さん御存じのように、こういうことであなたの方が薬価基準を出されておるということに掘れば、この薬価基準というのはめちゃくちゃだということになるのです。いわゆるバルクラインでは、病院診療所及び薬局については五百件、医薬品販売業者については三百件を選んでおるとかいっても、その企業の実態がわからずしてどうして価格が決定されますか。それを今度あなたの方が、いかにも金科玉条として、正確なものとしてのんで、全国の医者にやらしておるのですから、これだけでも保険というものはめちゃくちゃだということになるのですよ。やはり少くとも日本の製薬企業の従業員の数くらいは正確に把握しているのでなくして、保険行政をやるということ自身が間違いです。これだけでも製薬団体から出したものと二万も違うのです。従業員が二万も違うというと、ビタミンならビタミン、パスならパスを製造してくる価格がずいぶん違うのです。これが何百万とおる数の二万ならば文句を言わないのですが、とにかく六万か七万しか働いていないところで二万の開きが出てくるということは大へんなことです。それは五万四千と一応承わっておきます。それならば、それらの二千八百の製造所の資本総額というのは大体どのくらいなんですか。
  36. 森本潔

    森本政府委員 先ほどどこかの資料について従業員数が七万というお話がございましたが、その数字は御説明を承わらないとちょっとわからないのでありますが、私が今申しましたのは、常用労働者という限定をいたしております。従いまして会社といたしましては、営業部門、販売部門等がございます。それから臨時のものもございます。でございますので、その辺のどういうものを含めて七万と言われているのでありますか、一応私の方の数字としましては指定統計をとったものでございますから、この数字自体は間違いないと考えております。  それから生産企業の資本が何ぼあるかという問題でありますが、私の方では目下さような必要がないものでございますから、報告を聴取しておりません。必要があればまたこれは調べてもいいのでございますが、目下のところ必要がないものでございますので、聴取いたしておりません。
  37. 滝井義高

    滝井委員 これも人数と同じように、やはりその事業に投下されておる資本というものは当然金利とも関係をしてきますし、あるいは原価計算をやる場合にこれは一番大事なところだと思うのです。どうもこういうところがわからぬと、先の質問がなかなかやりにくくなってできないのです。  次に、この表でやはり私たちにちょっとわからぬことがあるのですが、昭和二十九年の薬品の生産高は、1表の行政分類別生産金額では七百八十六億四千八百万円になっています。それから5表を見ると、昭和二十九年の生産総額が九百十二億二千八百万円になっております。どうしてこんな違いが出るのでしょうか。
  38. 森本潔

    森本政府委員 これは資料の作り方が違うのでございまして、第1表の方の行政分類別生産金額は最終製品としての価格を書いております。それから5表の方の生産額は、これは最終製品もございますし、バルク製品としてある製造所で作った製造量も入っております。従いまして、バルク製品になりますとどこかで二重に入っているということになります。すなわち1表におきましては最終製品の市場に出すものの数字をあげております。5表の方におきましては、それぞれの製造所においての生産額をあげてありますが、甲なら甲という製造所においてはバルク製品も作る、最終製品も作る。最終製品はそれでいいのでありますが、バルク製品になりますと、これを他の製造所へ持っていって最終製品にする、そういう意味でこれは二重に数字があがっているということでございます。
  39. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、この前の杏林製薬じゃないけれども、どうもますますわからないようになるのです。こういうところにむしろ製薬企業のからくりがあるのではないですか。あなたの方自身でさえもそういう工合で、明白な昭和二十九年の生産数量が一体どの点で把握したら正確なのかということがこれではわからないのです。百三十億違うのですよ。これは、日本の薬の小売価格にして、おそらく一千億をこえるでしょう。われわれの手元でわかるものは、病院診療所で使った日本の生産高の約二割六、七分、多く見ても三割程度のものである。それから、今統計に出てくる百五、六十億ががわかるだけで、あとの五百億は行方不明になっている。どこへ行ったかわからない。それと同じように、あなた方がつかまえた製造の数字の同じ統計表の中で百三十億もどこかで違っている。あるいはどこかで二重になっているのか、あるいは片一方を落したのか、それさえもよくわからない、これはこういう形です。そうしますと、バルクの形であるにせよ何であるにせよ、Aで作った薬というものが次の段階ではBならBの会社に行ったということになれば、明らかに二重になり、A会社、B会社の両方で統計が出てくることになる、こういうことになると、統計というものは当てにならなくなってしまう。日本の生産高というもりはどうなのかわからなくなってしまり。同じ数字で出てきたから発見するのですけれども、そうでなければわからない。私もきょう持ってくるのを忘れましたけれども、やってみたのです。あなたの方でやった統計と、私の方で薬事日報とかいろいろのものを集めてざっと累計したものを比べて独たが、あなたの方と百億ぐらい違う。私は、あなたの方を信頼して、私の集めた数字の方が間違っているだろうと思って持ってきていないが、同じ二十九年の中で百三十億違う。同じ統計の中でこれだけ違うということは、今のようなことを解明しておいてもらわないと、どうも私らにはわからない。  それから、九百十二億二千八百万円という生産金額が出ている五の表を見てみますと、五十人以下の製造所が九一%占めているということなんですが、こういう工場は人数が少いといっても、日本は手工業的な技術がなかなか発展しているから優秀な品物は作っているだろうと思いますが、一体こういう製造所の形態というものは、大製薬企業の下請をやっているのですか。それとも、独立的にみずから何かれっきとした製品を作ってやっているという実態なんでしょうか。これらの生産金額は、生産高のわずかに二割ですが、事業所の数は九割以上、九三%になっているといった実態です。日本の中小企業、特にこういう五十人以下の事業所というものはやはり育成しなければならないが、同時にそこから出てくる製品というものも、人体に用いるところの、生命に関係する薬品ですから、これは非常に粗悪品であってはならぬと思うのです。そこで大企業の実態をわれわれが見きわめる前に、まずこういう五十人以下の製造所の実態と、それらでは一体どういう薬品が主として作られているか、それを一つ説明願いたい。
  40. 森本潔

    森本政府委員 ただいま御指摘のように、わが国の製薬業の数から申しますと、中小企業の率が非常に多いのです。それはその通りであります。それで、今お話のように、これはどこかの下請をしているのかどうかという点、またどんなものを作っておるかという点ですが、薬事法の上におきましては、下請という考え方はないのでありまして、小なりといえどもそれぞれ独立した一つの経営主体になっております。それからどういうものを作っておるかという点でありますが、これは家庭薬と申しますか、数から申しますれば、むしろ家庭配置薬に類するもの、いわゆる家庭薬的なものが大部分である、かようにお考え願ってけっこうであると思います。  それから、先ほどわからぬというお話があったのでありますが、これは先ほど申しましたように、この差があるのは私たちは当然である。1表と5表の差当然でございまして、その差がなければこの表を作った意味がないのでございます。と申しますのは、1の行政分類別生産金額でございますが、これは何をねらって調べたものかと申しますと、消費し得るところの薬の状態で現実に幾ら供給されたかということでございます。ですから、一年間に幾ら市場に出たのかということに対しよしてはこの数字を使っていただく、これが最も信憑すべき数字である、こういう目的でございます。それから第5表の目的でございますが、これは今申しましたように、最終製品としてそれぞれの規模の工場から幾ら出ておるかしいうものを載せたものではなくて、丁規模の工場においては最終製品それからバルク製品を含めて生産高が幾らあったか、こういう見方をしておるのでございます。だから今先生のおっしゃるように、数字を合せようと思うならばここからバルク製品の部分をはずせばいいわけでございますが、このあねらいというものはそうでなくて、それぞれの規模の事業所におけるところのバルク製品及び最終製品を含めての生産能力、生産高は幾らであるか、これを見ようという趣旨でございますので、両者の間に差がなければこれはおかしいのでありまして、それぞれの目的が違うということを申し上げておきます。
  41. 滝井義高

    滝井委員 それはバルク製品のこともわかるのですが、バルクのままで輸出や取引が相当されるわけでしょう。たとえば国立病院などはバルクの方でむつていくのじゃないのですか、相当大きな包装にしてですね、そうしますと、それは大病院や輸出するときには、最終製品として工場から出ていくことになるわけでしょう。
  42. 森本潔

    森本政府委員 医療機関使用します状態にある場合、これはバルク製品とは申しません。それは包装が大きいとか大包装単位ではございましょう。しかしそれはバルク製品ではないのでありまして、使います場合には区分けして、大包装であろうがあるいは小包装になりましょうが、とにかく容器に入れて、薬事法で規定されておりますところの一定の表示をして出すという状態でございますので、バルク製品というものと医療機関現実に使う場合の大包装というものとは全然違っておるのでございます。バルク製品は、これをもう一度最終製品にしなければ出せないというものでございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 小さな五十人以下の製造所は主として家庭薬を作っておる、薬事法上下請はできない、独立、自営の業者であるということがわかったのですが、そうしますと、この五十人以下は家庭薬というと、たとえば富山県等でやっておるああいう業者のみなんでしょうか。
  44. 森本潔

    森本政府委員 これは数から申しますと、今お話のございましたような家庭配置薬の製造業者が多いと思います。しかしながら製薬工場で五十人ないし百人と申しますと、これは規模で申しますと必ずしも小さいものではなくて、たとえばアルコールを作りますとか、あるいは特定の医薬品の原料的なものを作りますとか、そういうのがございまして、全部が全部家庭薬的なものではございません。医師の使いますのも作りますし、種々雑多でございます。
  45. 滝井義高

    滝井委員 そういう実態をもう少し知りたいと思いますが、これはまたいずれ次の機会にでも一つお調べになったら教えていただきたいと思います。  そこで、この医薬品流通系統図の利益率についてですが、この7の系統図の中の左側に製造業者、配置業者、消費者とこうなっていますが、この利益率というものはどういう工合になっておるのか。それから右の方の一般薬の方は製造業者、元卸業者、それから卸業者医師向け販売業者とこうなって曲って、そのほかに卸業者から小売業者薬局、それから一般消費者、それから卸業者から大病院、あるいは卸業者から医師向け販売業者にいって大病院あるいは病院診療所とこうなっております。これはさいぜん御説明いただきました、CはD一割増し、BはCの一割増し、AはBの二審五分増し、こういう利益率でいっておるようでございますが、左の方の製造業者から配置業者・それから消費者、こういうものの利益率というものはちょっとわからぬので、これを説明してもらいたいということと、それから一つの慣行として今言ったように、一割、一割、二割五分といったような販売価格の増が見込まれておるのですが、実際問題として果してその通りにいっておるかどうかということなんです。たとえば国立病院なんかでも入札でさあっといく、こういうことがあるわけです。表面上はそうなっておると思うのですが、やはりわれわれが薬を買うときでも、これは小さな診療所等が買うのでも、薬局によって違う。いっかも新聞に出ておりましたが、千葉のあるいなかの方でパスを買った。そうして今度はあくる日に東京に来て買ったところが、その値段が非常血開きがあったというので、新聞に投書が出ておった。これは私が言ったことがあるのですが、どうもこれはけしからぬといって、自分の家のある千葉の薬局にいって言ったところが、実は私の方には薬価基準の通知がきておりません。おそらく近く薬価基準が改正されるということだから、東京の方は早く薬価基準が出て値段が下ったのでしょう。私の方には通知がこなかったので、この値段なんです、こう言われたという話があったのです。そういう工合で、通知がきておっても、われわれが買う値段でも、Aという薬局とBという薬局と違うのです。もちろんパスならパスでも、その製薬会社によって違うことはあり得ると思うのだけれども、しかしそれが薬価基準に出た場合には一緒なんです。パスの値段というものは同じ薬価基準で出ている。ところがこれは薬店によって、しかも同じ薬店でも製薬会社によって違ってきている。武田の製品が高くて三共なら三共のが安い、あるいは三共が高くて武田が安い、こういう場合もあり得る。同じ小売値段でもあり得るのです。だから一応模範的な形でいえば一割、一割、二割五分、こういうふうに範例的には示されておるかもしれませんが、しかし実際はその通り動いていないのじゃないかという感じがする。その点一つ実情を御説明願いたい。
  46. 森本潔

    森本政府委員 流通形態におきますところの各段階の利潤でございますが、先ほど申しましたA価B価C価D価の利潤率・これは私が申し上げました数字は、一応マル公を設定いたしております当時の適正利潤としてきめられたところの数字毛ございます。当時におきましては、それぞれの業者というものは、卸はメーカー価格の一割、小売は卸の二割五分増でございますか、それくらいな利潤があれば、これで適正利潤丁と認めてもいいではないか、こういう関係マル公が設定されたのでございます。でございますが、現実にどういう状態かと申しますと、現在御承知のようにマル公はございません。そしてこれも正確な数字はつかめませんが、われわれが陳情を受けたり、話を聞いておりますところでは、こう競争がきつくなっては、とうてい適正利潤というむのは得られない、たとえば、卸は昔は一割程度の口銭が認められておったが今はものによれば口銭なしにしなければならない、あるいは平均すれば四、五%じゃないかというように聞いております。小売の口銭におきましても同様でございまして、これが独占的なものでありますれば、適正利潤で大きくとまっておれるわけでありますが、競争がきついために、今申した数字は非常にこれを下回っておる、ぎりぎりの線までいって競争しておる、こういうのが実情でございます。  それから配置関係の利益率でございますが、これも昔使いました一応の基準でございまして、消費者価格を一〇〇といたしますと、配置業者の売る価格が七五、それから製造業者の売る価格が二五、一応かような標準で、当時価格が設定されておったようでございます。これも先ほど申したと同様に、現在マル公がございませんので、それぞれ競争して、この率まで及んでおらないというのが実情じゃなかろうかと考えております。
  47. 滝井義高

    滝井委員 ちょっとわからないのですが、消費者の価格を一〇〇とすると、配置業者は、たとえば百円のものは七十五円で買うという意味ですか。そうすると、製造業者の二十五円というのは、どういうことになるのですか。
  48. 森本潔

    森本政府委員 そうでございまして、製造業者が二十五円でおろしますと、それは最後の末端の配置でございましたら、各家庭でございますが、そこでは百円で置いておく、中間の七五という数字はどうかと思いますが、一応そういうことできまったのでございます。これは、説明いたしますと、非常に高いのではないかと思いますが、家庭配置の特殊事情がございますから、かようになったのであります。
  49. 滝井義高

    滝井委員 だんだん実態がわかってきました。そこで医務局の方がおいでいただいたそうでございますから、今度は医務局の方にちょっとお伺いしたいのです。さいぜん国立病院、同療養所における買上価格薬価基準との比較表というのをいただいた結果、今年度の買上価格は、三十一年三月買い上げのものをここに列挙をしていただいたのですが、これを見ると、大体薬価基準の七割前後で買っておることになっておるわけなんですが、実は聞くところによりますと、七人委員会の報告等が出て、あるいは国会で薬価問題がやかましくなってから、共済組合病院――今井さん等が理事長をしておる関係病院あるいはその他に、なかなか国会でやかましいからもう安く売らないというような話が出たことを、風の便りに聞いたのです。そうしますと、三十一年三月のこの買い上げのものは、そういうあおりを食ったものであるように感ぜられる。そうすると、そういう関係のなかった昭和三十年三月の買い上げのものを見ていけば、一番よくわかるのじゃないか。だから、昭和三十年三月には、薬価基準と比較して、厚生省買上価格はどの程度の割合になっておったのか、薬価基準を一〇〇としたならば、厚生省の買い上げの指数はどの程度か、こういうことをお聞きしたいのです。
  50. 実本博次

    ○実本説明員 医務局の管理課長であります。今の滝井先生のお話でございますが、国立病院使用いたします今の薬価買上価格問題でございますが、われわれの方といたしましては、ある一定の品物をできるだけ安くということで購入いたしておりまして、薬価基準との関係におきましては、今ここにつまびらかなデータを持っておりませんが、競争入札の手続によりましてできるだけ安く買っていく、そういう実情でございまして、具体的な数字につきましては今持ち合せておりませんので、説明いたしかねます。
  51. 滝井義高

    滝井委員 詳しい正確な数字は必要ないと思うのです。これを見ると、ことしはパスナトリウム薬価基準A地区の二円四十銭、B地区二円五十銭のものを厚生省買上価格は一円五十五銭になっております、これは約七割前後になるわけです。去年は大体どういう価格で買ったかというおよその腰だめ的な数字でけっこうです、およそ何割くらいで買ったか、私、ことしよりかもっと安く買っておるのじゃないかという気がしたからお尋ねしておるわけなんであります。
  52. 実本博次

    ○実本説明員 ここにグラム当りではございませんが、この前提出いたしました資料がございます。それによりますよ、パスでございますが、三十年五月十三日の購入契約月日になっておりますが、購入数量八千七百二十九キロに対しまして、単価がキロ当り千九百五十円で買っております。
  53. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、この二円五十銭という薬価基準は去年から変っておりませんが、去年の三月そのままですか。
  54. 館林宣夫

    館林説明員 たしかことしの二月一日からパスは改正したと思います。大した大きい額ではございませんが……。
  55. 滝井義高

    滝井委員 去年の三月にはどうですか。
  56. 実本博次

    ○実本説明員 今のパスにつきまして三十年五月十三日のはそれでございますが、その後三十年八月二十九日に購入いたしておりますのは単価が千八百六十円、三十年十二月十四日の契約では千七百五十円、三十一年三月二十六日の契約では千五百四十円でございます。
  57. 館林宣夫

    館林説明員 ことしの二月に改正したことはあるのでございますが、昨年の九月にかなり大幅の改正を実はしたのでございます。しかしそのときにパス薬価基準ができましたかどうかは、ただいまちょっと判明いたしかねます。ことしの二月にパス価格が変ったことは間違いありません。ここの表にございますのは、ことしの二月から使っている薬価基準でございます。
  58. 滝井義高

    滝井委員 大体今の薬価基準の二円四十銭地区のA地区、B地区の二円五十銭、これよりかとにかく去年の三月の薬価基準は高かったことは事実なんです。そうしますと、今の管理課長さんの御説明によりますと、急激にずっと下ってとにかく平均してみれば一円七、八十銭前後で買えたということになるのですね。去年の三月から今年の三月にかけて急激にパスやなんかは。下ってきております、この表をごらんになってもわかるように、これはきわめて大きな動きだと思いますが、パスのごときは昭和二十八年の一〇〇が、三十年の一月は五四に半分になっている。そうしますと、この買い入れ価格というのは、もうことしどころじゃなかったということなんです、去年の三月の買い入れの安さというのは。これはこの価格の割合から見てもはっきりしてくるのです。従って明らかに製薬企業は、七人委員会等ができて、あるいは国会でもやかましく言ってき出したので、引き締めていることは確実なんです。われわれは何も故意でなくて、この推移を見ればはっきりしてくるわけです。われわれは、日本の製薬企業がそういう態度をとることはますます許されないと思うのですよ。国立病院に七割でやって、なお損があるとは考えられないのです。というのが、とにかく製薬から末端の消費者にいくまでに普通の平均利潤で四割五分あるのですから。しかもそれが最近競争が激しくなって、平均の利益率が四%か五%になったにしてもそれは平均であって、なお利益があるということは確実なんです。そうすると、国立病院だけに、あるいは国の大きな監督機関だけに七割でやれるということになれば・他のものにも七割でやっても、その企業はつぶれるものではない。私はそういう結論が出てくると思う。もしそうであるならば・国の機関だけがきわめて不当に安く買って、他のものにそのしわがいっているということになる。国の機関は医療健康保険で八割でやっておりますといって、八割という羊頭を掲げておりながら、実は製薬企業の面で不当に安く買い入れて、実際は狗肉を売っている。他の私的な医療機関にそのしわを寄せているという結論が出てこないとも限らない。というのは、製薬企業から不当に安く薬品を買い入れて、しかも製薬企業に損をさせておいて、その損は一般の私的な病院からもうけさせてやる。これは肥料と同じことで、国内にきわめて高い肥料を売りながらも、外国にはダンピングをやっている。こういう出血輸出の形をとっているということなんです。だから、もしそういう形で製薬企業が不当に損をしているならば、国立病院は来年から一般病院と同じように入札をすべきでない。薬価基準で買うべきだと思う。そして正常な形で製薬企業にメスを入れて立ち直らせなければならぬということなんです。権力を持っているところのみが不当に一つの企業を圧迫して、そのしわ寄せが民間に及ぶということがあってはならない。こういう結論になる。あなた方のやっていることをわれわれの目から見れば、そういう結論を持ってこざるを得ないという気がするのです。  いま一つ、これは非常に意地の悪い質問になりますが、一体厚生省は、大蔵省に折衝したときにパスやマイシンの予算単価を幾らに計上しているかということなんです。一グラム一円五十四銭で買ったのを、おそらく薬価基準の二円五十銭を予算単価にしていると思う。そうなると、これは大へんなことになる。一円五十銭で買っておきながら、予算単価は二円四十銭、五十銭にしているというのら、これは大へんなことだと思う。この点はどうでしょうか。
  59. 実本博次

    ○実本説明員 国立病院療養所が年間に要します特殊薬品につきましては、実績でもって予算の方へ計上いたしております。
  60. 滝井義高

    滝井委員 そうしますとパスやマイシンの国の予算の面では二重に出てくると思う。たとえば結核予防法なんかの単価をきめる場合にはたぶん二円四十銭か五十銭でやっていると思う。これは国の予算を調べるとすぐわかります。そうしますとあなたの方の国立病院の予算を組むときは二円四、五十銭。結核予防法なんかは実績でやっている。結核予防法はおそらく薬価基準でやっていると思う。そうするともし国立病院に結核予防法で入っていったときには二円四十銭でいく。そうするとあなたの方の使っている薬というものは、実際は予算の単価というもので、一方においては一円四十銭か五十銭でやって、結核予防法で来たものには二円四十銭の計算でいくことになっちゃう。矛盾が出てくるのですよ。同じ買った薬。一円五十四銭、買った薬がある場合には一円五十四銭で計算され、ある場合には二円四十銭。結核予防法でいくときには二円四十銭。健康保険法で私的な機関でするときには問題ない。安く買っておっても薬価基準でいく。ところがあなたの方が特に入札さして、やっている薬なんです。それならば八割なんということはやめて、全部あれでいくべきなんです。八割ということを表面に掲げながらも、そういうやりくりをしなければならぬ、そういうことになる。そうすると不明朗が起って、この前からわれわれが主張するように全部開業医にも入札さしたら、あるいは大きな病院に全部入札さしたらいいじゃないかということになる。非常に不合理が起ってくる。それで製薬会社はみな苦しめられなければならないことになる。何か聞くところによると、製薬会社は名前を出すと失礼ですが、武田とか何とかいう大きなところは全部入札にはかからぬということを言っているということを私は聞いているのです。そういうことがあったかどうか知りませんが、あったらしいということを聞いている。そうするとこれは明らかに製薬企業は、価格ルートを国が乱すので、大きなところはそんなことを乱したくないというので、そういうだだをこねているのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。そういう事実があったですか。
  61. 森本潔

    森本政府委員 ちょっと御説明をしてお答えをいたしたいと思いますが、先ほど申しましたように薬価基準というものと、それから厚生省といわず各種の医療機関買上価格というものとは非常に性質が違うのでございます。それで薬価基準というのは、全国の医療機関使用いたします総量の九〇%が購入できる量で価格を押えますの違、いわば小売価格卸価格中間的――大体末端の医療機関が買える程度の値段になっております。従いましてこれはメーカー価格あるいは卸価格に比べれば、先ほどもお話ししましたように二、三割高になるのは当然でございます。そういたしませんと保険の方で支払います場合に買えない価格になって、医療機関が治療ができないということになります。そういう見地からこの薬価基準というのがきめられておるのであります。ところがこれを個々の医療機関について見ますと、保険の方で支払いを受ける価格は、薬価基準で受けるのでありますけれども、購入価格はそれぞれの医療機関において購入条件が異なっております。大病院であれば比較的国立病院並みに安く買える。ところがいなかの方の診療所になりますれば、とてもそんな値段では買えない、薬価基準を上回ることになる、こういうような矛盾があるわけであります。そういう矛盾を除去しようといたしますならば、それぞれの医療機関ごとに、あなたの病院はこの薬を幾らで買ったかということを調べまして、原価主義で支払う、大病院が安く買っていれば安い値段で保険は支払う、末端の方で高く買っていれば、高い値で支払う、これができれば一番問題がないのでございます。ところが支払いの関係上それができないものでございますから、一律の薬価基準で保険は支払わしておる、こうわけでございますので、これは望ましいことではございませんが、やむを得ざるところの矛盾であると考えております。それで、厚生省その他の大医療機関が大量購入する場合、安く買うので、メーカーが損をしておるのじゃないだろうか、そのしわ寄せが一般に来ておるのじゃないだろうかという御意見がございましたが、これはさようなことがあるかもしれませんけれども、これを一般的に申しますれば、むしろさようなことはない、ともかくメーカーあるいはメーカーに直結しますところの元卸から売ります場合は安く売れるのでありまして、その間にメーカーとしては、安く売りましてもさほどの無理があるはずはないのであります。これは当然でございまして、これは何も厚生省に限らず、大量一括購入するところはみんなそうであろうかと考えます。その点、厚生省入札して買うようにいたしましても、競争入札でございますから、卸の人、それからメーカーにしましても原価を割っていつまでも売るということはなかろうと思うのでございます。かりに一時的な事業経営その他滞貨が多いとか、売れ行きが悪いという場合には、あるいは原価すれすれ、あるいは金融のためには原価を割って売ることがあるかもしませんが、しかし、それはほんの一時的な現象でありまして、事業経営に支障のないところの利潤をとってやらなければ、これは商売になりませんから、一がいに申しますれば損をしているとか、そういうことはないのじゃないだろうか。利潤は少いということはありましても、損をしておるということは一般的にはないのじゃなかろうか、かように考えております。
  62. 滝井義高

    滝井委員 今われわれは、九〇%のバルクラインということが現在の社会保険という医療の社会化された現段階において適正かどうかということの検討をやるためにこの委員会ができておると思うのです。そこで局長さんが言われるように、損をして安く売るはずはないので、当然そこに何らかの利潤があることは確実だと思うのです。そこで九〇%のバルクラインの矛盾性というものがもう一つあるのです。それはどうしてかというと、今度暫定価格で、薬は一律に二・二点になったのです。ところが二・二点の分析をしてみれば、〇・五点は調剤技術料、一点は処方せん料、〇・七点というのが十五円未満の薬なんです。ところが〇・七というものは十五円ではないのです。すなわち十五円以下の使用した薬の平均価格をとっておるということなんです。だからまず第一段階において、その買った薬というものがバルクラインでびたっと切られておる。そうして今度は、いよいよこれが現実に社会化されておる医療の面。使われる場合には、平均価格というものになってきておるわけです。こういう二重の関門を通らなければならない。そうしますとバルクライン以上で買った人というものは一割おるわけなんです。この一割の人は、その薬価基準をきめられることによって一割の損をしておるのですよ。と同時に今度は平均価格になることによってさらに大幅な損というものが出てきておることなんです。こういうことは少くとも医療が社会化されておる現実においては許されぬことなんです。ところがそれが許されておるからこそ、私たちはその矛盾性というものをつかなければならぬということになるのですよ。これは、明らかに今度はますます十五円以下のものが平均で用いられたという――十五円以下、今までは平均でなかったのです。今度平均とされたというようなことで矛盾が二重に出てくるのですよ。こういう点から考えて、どうしても医療が、社会化されれば、この七人委員会の――日本製薬団体連合会のむのは、七人委員会のあんな報告なんというものは製薬企業の社会化をねらっておるものだ、言うけれども、これは、健康保険医療というものは明らかに医療の社会化を目ざしておることは、-保守党の政策も社会化を目ざしておる。医療保障五カ年計画というものは明らかに医療の社会化計画なんです。医療が社会化されるということが保守党の政策の中、出てきておるのに、その中で使う薬の社会化ということがないのは明らかに大きな矛盾なんです。だからこれは保守党といえども、明らかに製薬企業の社会化をやらなければ医療保障五カ年計画というものは絵にかいたもちになってしまうのですよ。だからわれわれは今のバルクラインというものは、すべての者に平等に九割なら九割びしやっとかかっておるのじゃなくて、非常血段階があって、その段階があまりはなはだしい、しかもその中で特に典型的なものとして国の機関が少くとも薬価基準の半分か六割ぐらいで買っておる。こういう見本を示しておるのですから、他のものがこれにならわなければならぬということは、私は理屈としては悪い理屈じゃない、きわめていい理屈だと思う。しかもそれで製薬業が倒れない、しかも局長さんが言われたように損してまで売るということはない、もうけておるのは確実なんです。だからもうけておるということなら、製薬企業が六割か七割で売っても、それでもやっていけるというのですから、だからそういうやっていけるような政策がとられなれけばならぬと思う。それによって総医療費の中にロスが出てくるのです。このロスが出てくれば今問題になっておる医薬分業というものは、そのロスを技術料に持っていけば、医薬分業というものはもっと順当な形で行われる。ところが現在ほんとうの意味の医薬分業が実施できないというのは、医薬分業の法律ができたけれども、現実に処方せんが出ない。というのは、結局技術料というものだけでは食っていけないという形があるからなんです。それから薬剤師自身がやはり小間物屋を依然としてやめることができない。というのは、〇・五点、あるいは六点だけの調剤技術料では食っていけないから、いわゆるお化粧品やら小間物を売っていかなければならねいというような悲哀があるのです。だからこれは何らかの形で、この矛盾を断ち切っていくには総医療費をふやす以外にはないのです。ところが総医療費は、国民所得が伸びない現在の状態、あるいは一兆円をちょっとこえる予算の中からではどうにもならない。どうにもならない総医療費のワクの中からどこかむだを省いてくる以外にない。だからむだを省く第一のわれわれのねらいとしては、これは製薬一企業からやっていかなければならない。もちろん医療の行政の面にもむだがあれば出さなければならない。あるいは現在の医者の診療報酬の請求の面で水増し等があれば、これにもメスを入れなければならないと思うのです。すでに健康保険の改正によってそういう面についてはメスが入れられ始めたのです。同時に今度は保険料の徴収を強化していく、あるいはできるだけ労働者にも診療報酬の負担をしてもらう、あるいは国も出そう、こういう保険者にも負担してもらうということならば、あの大臣の五者泣きで、製薬企業にも何らかの形でやはりむだを排除する方策を立てなれけばならぬ。そうなるとやはりこういうところにメスを入れる以外に私はないと思うのです。だから国が一つの手本を示して、六割か七割。薬を買っておる現実があるのですから――政治というものは、やはり私は現実に足場を置かなければ、それは空理空論になると思うのです。社会党の政策が空理空論だと言われるので、私どもはまず国がやっておる、保守党がやっておるところから政策を打ち立てていこうということなんです。これなら空理空論ではない。国が実践してみせているのですからね。国が実践してみせているのですから、製薬業も喜んで参加しておる、この参加しておる姿を政治に持っていけばこれはきわめて現実に足のついておる政策だと思うのですね。だからそういう点でこれはぜひ薬務局もこの際一はだ脱いでもらいたいと思うのですね。私の質問は今いただいた資料に関する疑問点はそういうところです。
  63. 森本潔

    森本政府委員 ただいまの御説を承わっておりますと、結論的にはこういうように感ずるのであります。国立病院等国の設置しておるものについては一般薬価基準よりも三割ぐらい安く買っておるんじゃないか。そうすると一般社会保険と申しますか全国の医療に使う薬も現在よりも三割安できめたらどうか、こういうことだと思います。でございますが、ちょっと実情を申し上げておきたいと思うのでございますが、国立病院の施設と申しきても、これは全国で百か二百であります。大体メーカーから元卸へいきまして、それから地方卸の数になりますと――地方卸と元卸を数えたらずいぶんあるのでございます。そうして購入者が全国各府県一つとか二つとかいわゆる卸売のように数が少いということであれば、そこまではその値段でいくのであります。ところが府県の一カ所がそこへいきましてそれから全国からの医療機関となりますと八万、それから薬局、薬種商を入れますと、その倍の十五、六万になりますが、これが全国のすみずみまであるわけでございます。そこへ配置をせなければいかぬわけでございます。そこに初めて地方卸でございますとか小売というものが必要になってくるわけ、でございます。でございますから二割、三割というようなむだ金を使っておるわけではなくして、現実に荷造りをいたしましたり、区分けをいたしましたり、発送をいたしましたり、それから注文をとったり、それから集金をする、こういう業務をするために要る経費なのでございます。少くとも十五、六万の末端の医療機関まで配給するにはその手間をへなければいかぬのでございます。そのために地方卸なり小売なり医師向けの配給業者というものがあるわけでございます。これがなくて済むならこれは非常にけっこうでございますが、しかしそれをなくしましても、現実に残りますのは、各医療機関所要量の注文をとる、あるいは調査してそれを現実に発送するというための諸経費がかかるわけでございます。その諸経費というのが別の形でいいますれば、メーカー価格よりも二、三割高くなるということでございまして、そういう経費が要らぬならこれはもうおっしやる通りでございます。しかし現実にこれが要るとなりますれば、これは国がやろうがだれがやろうが要るのでございまして、それは現在それを昔からありますところの流通系統によってスムーズにやっておる。それをやるためには、今申したような経費がかかってメーカー額に比べれば二、三割高くなる、こういう実情でございますので、配給する個所が少い、簡単に申しますれば卸業者の数程度であるということでございますればそれは卸値で売ることができると思います。また薬価基準もきめられると思います。そうでない限りは、簡単にそこまで飛躍することは困難ではないか、かように考えておりますので、ちょっと実情を申し上げておきたいと思います。
  64. 滝井義高

    滝井委員 これで終ります。国立病院もまだずいぶん草深きいなかにあるのですね。きょう参議院で大臣が答弁しておりました、国立病院になぜ空床ができたか、それは非常に便利のいいところや施設のいいところはそうでもありませんが、便利の悪いところに空床があるのだと言っておったが、便利のいいところにも空床があったということでございましたが、そういう工合にずいぶん便利の悪い山の中にあるのですよ。そういうところにもけっこう入札をする、メーカーが送ってやっている、私は七割そのままとは言いません。これは一割安でもいいのです。一割安くても三百億便っておるのだから生産価格にして、三十億の金が出る。小売価格にしたら四十億以上になるのですよ。そうするともしここで四十億の金が出てごらんなさい。現在こんなにもめておる社会保険の赤字というものはそれで解決します。あるいは広告が百億ばかりですが、広告の半分を出してごらんなさい。これで五十億出ます。これはそのむだが明らかにあるのですよ。だからそういう点であなた方がもうちょっと頭を働かしていただいて、メーカーの協力を得るならば、全国二百カ所の国立病院に配られて、そうしてこれが七割でやっているのですからあるいは去年あたり七割以下なんです。そうするとそれが九割になっても一割安くなる。それから広告の方から一割、合せて二割出てごらんなさい。五十億出ます。五十億出てごらんなさい、今日本、こんなに問題になっておる社会保険の問題はまず一応今年と来年ぐらいは鎮静します。まずそういう面から出して、国があと出してごらんなさい。五十億出たら厚生省の行政というものは実に楽になる。その要因を解決せずに、やはり依然として今のままでやっておるということになれば、社会保険の問題は解決しません。百年河清を待つにひとしい。だから少くとも医療保障五カ年計画というものをやって日本の医療の社会化というものをやるということを保守党の政策でもいっているのですから、どうしてもやはり製薬企業のある程度の社会化、それは社会党の言うような社会化というものはできませんが、しかしそれは少くとも保守党が現在医療の面でとっている程度の、その半分の社会化でいいんです。今の日本の製薬企業のそれだけでも、私が今言ったように五、六十億の金が出てくる、こういう感じがするわけです。局長さんあたりは、そういうことは今の段階ではできぬと見るの値すか、できぬと見ればわれわれがどんなにここでやったってむだなんです。しかし私は脈はあると見ておる。局長さんの見解だけを一応伺っておきたいと思います。
  65. 森本潔

    森本政府委員 薬価基準のきめ方、これは二つとり方があると思うのでございます。一つは各医療機関が買える値段できめなければならぬ。買えない値段、たとえば百円しておるものを三割引の七十円という値段をつけたとしましたところで、医療機関が買えなければ大へんなことになります。だからそういうことがないということが一つだと思います。それからもう一つの面は、供給する側におきまして、問題がある。それから途中の流通過程の各関係者がございますが、これが仕事をやるのに、この程度の値段できめなければそれを割っては仕事になりません。それからそれ以上高くする必要もないのでありますが、ともかく適正な利潤を得るということにしておかなければこれは仕事にならぬ。この二つの面があるわけでございます。それで結局現在としましては、今のお話のような九〇%ラインというものは高過ぎるので五〇か六〇にしろ、これは数字をはじくのは簡単でございますが、それをやりますと、結局買えない医療機関が出てくる。これは大へんなことでございます。これは容易にできません。一方におきまして適正な利潤を得つつ、なお今申したように五〇%あるいは六〇%のバルクラインをとるということになりますと、それでは関係者が仕事にならぬ、こういうことが起ってくると思うのでございます。従いまして今お話のような結論は容易に出すことは困難じやないか、研究の余地はございますけれども、私たちも実情を調べてみたのでございますが、なかなか簡単に参らないという感じがいたすのでございます。それから今申しましたような方法で、企業においても適正な利潤を得させるという前提を一つとっておる。どの程度が適正な利潤かということが問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、統制時代におきますところのそれぞれの関係者の利潤というのは、一応今申したような数字でございます。その数字現実に割っておるか、それ以上とっておるかという問題になりますと、現実はむしろ否定的な方ではないか。原価計算じゃないかという立場をとってやりますと、私たちの現在の見通しとしましてはむしろ安過ぎていかぬじゃないか、現在よりも薬の値を上げなければいかぬじゃないか、こういう結論が出ないとも限らぬと思うのでございます。医薬品は多くの関係者が競って自由競争をしておる、最も競争が激しいものでございます。これは日本でもそうでございますが、アメリカ等におきましても、各国におきましても、値くずれのしやすいものでございますから、独占禁止法におきましても、価格協定をして、値下りを防ぐという協定をなし得るようになっておる性質のものでございます。ものがそういう性質のものでございますから、今言ったような方法をとればかえって逆の結果になるのではないかというおそれもございます。これはよほど慎重にしていかないと、ただ社会保健のための薬価の値下げというような目ばかりで見は――これは一つの産業といたしまして、また長い目で医薬品の改良進歩あるいは広い目で見まして外国との競争、いろいろな観点があると思いますが、よほど慎重な態度をとっていかねばならぬのじゃないか、かように考えております。
  66. 八田貞義

    八田委員 関連して質問いたします。今の説明で私は了承するのですが、ただこれは非常に問題があるのです。厚生省一括買い上げした場合の値段と薬価基準とに非常に差がある、差があるからこういった一括買上げの方法によってやれば非常にいいのだということは、これは理屈なしにわかるわけでありますが、ただ医療の普及という面から考えますと、その間に、流通過程の中の中間業者の条件という問題が起ってくるわけです。ですから先ほどから瀧井委員よりいろいろ質問がありますが、私は流通過程における中間業者の実態というものを知りたいということを前にも申し上げておるわけなのです。ですからそういった資料を出していただかなければ、現在薬価基準の定め方について、私らが的確な判断を下すことができないわけです。ですからこの次には必ずこの中間業者、元卸とかあるいは卸業者、そういったものの実態について、われわれが判断できるような資料を提出していただきたいのです。その意味はわかりますね。
  67. 森本潔

    森本政府委員 この流通過程にありますところの各関係機関の実態と申しますのは、実はよくわかりかねるのでございまして、数の問題でございますとか、あるいはどういう程度の利潤を得ておるのか、あるいはどの業者が大体何品目くらい扱っておるのか、あるいはそれが家庭向か医師向かとか、そういうことじゃないかと思うのでございますが、これは私はほとんど不可能に近いのじゃないかという感じがいたします。と申しますのは、この関係者の数と申しますのは、ここに表がございますように、調べようと思いますれば約十万近いものになってくるわけでございます。そうしてこれは現在指定統計か何かになっておりまして、これは年年報告をしなければいかぬのである、どういうものを何ぼ扱って幾ら売った、もうけは何ぼあったというような記帳の義務がございまして、それによってあらかじめ準備をして報告をとる、こういう方法でございますれば、これは相当の費用をかけまして、一年かかってやればやれると思うのでございますが、これは今のところそういうものを出せと申しましても、おそらく出す気持があっても不可能じゃないだろうかという感じがいたします。それから元卸と卸、小売とございますが、これは通俗の言葉でございまして、薬事法の上では販売業と一本に縛っておりまして、同じ業者でございましても、あるものについては元卸的な仕事もいたしますし、ある医薬品については小売の仕事もやっておる。これは大へん複雑なものであり観して、先ほど私が申し上げた程度のこと以上にこれを突っ込んで間違いないということを出すのは大へんなことでございまして、ちょっとこれは自信がないのでございます。またそれだけのことを指定統計もしてやるという必要があるのかといろ根本問題がございますので、できるだけのことは一つ調べてみたいとは思いますけれども、今申したようになかなか困難であると考えております。なおできるだけのことは一つ調べてみたいと思います。
  68. 八田貞義

    八田委員 私の申し上げたのは、そんなこまかいところまで要求しておるわけではなくて、配置業者の問題について適正な利潤のもとに営業されておるかどうかということを知らなければならぬために、大体どれくらいの人が現在おられるかということなのです。ですから、指定業者なのですから、あなたの方の手元にそろっておる資料だけでいいのです。それをさらに詳しく分析し、数字の上から知ろうというのではないのです。それはなければあとでよろしゅうございます。  それからもう一つ伺っておきたい、厚生省の買い上げというものは一括買い上げだ、こういうふうにおっしゃっておるのでありますが、ところが病院療養所では一グラム当りのパスカルシウムの値段が違っておるわけですね。私はそれを聞きたいのですが、あなた方は、一括買い上げ厚生省医務局でやるのだとおっしゃっておりますが、実際はそうじゃないんじゃないですか。病院々々でやっておるのではないでしょうか。それともまたあなたの方、一括買い上げされるならば、この病院療養所で値段の開きがあるというのは、一体どういうふうな方法によって各病院療養所に配給されておるか、その点をお知らせ願いたい。
  69. 梅本純正

    ○梅本説明員 今の御質問にお答えいたします。国立病院療養所用に必要な薬品類の購入につきまして、これは私の方の内部の事情でありますが、対会計検査院その他のいろいろな問題がありまして、予算は国立病院療養所というふうになっておりまして、そのうちから、大量に使用する、あるいは大量購入するとによって経費節減がはかり得る、それから外貨の割当事務を要する――これはハイドブリンクの麻酔器のように外貨の割当が要るというようなもの、それらを基準にいたしまして、国立病院療養所で直接買いますものと、それから中央で一括調達するものと分けております。薬でございますと、主としてパス、ストマヒドラジッド、それから市販性のない、らいの薬というようなことに限定いたしております。これがまず第一点でございます。  それから第二点の病院療養所で値段が違うという問題でございますが、これは、国立病院国立病院特別会計ということで、特別会計で運用しております。それから療養所一般会計ということで、一般会計の予算として運用いたしております。それから支出負担行為担当官も支出官も一応内部におきまして別になっておりまして、購入の時期によりまして、入札でございますので、単価が多少変動をいたすことはやむを得ないことと思います。
  70. 八田貞義

    八田委員 それからパスナトリウムを初め使ってあったのですね。ところがあとパスカルシウムを使うようになってきて、最近はほとんどパスカルシウムを使っておるわけですね。とこがろ薬価基準ではパスカルシウムの方が高くなっておりますパスナトリウムの方が安くなっておるわけなのですが、厚生省買い上げ価格はほとんど変らないわけです。そうすると、これはやはり一般的に需要は非常にパスカルシウムの方がぶえてきておるわけです。滝井委員が先ほどから言っているような意味は、こういったふうに現状はパスカルシウムの方が非常にふえてきておるのだ、ところが厚生省では薬価基準を下回る値段で買っておる、そのためのしわ寄せが一般医療担当者の方にいっていやせぬか、こういう意味合いであるというふうにも了解できるわけであります。さらにまた私考えてみますと、いろいろな流通過程で業者のためにある利潤を見なければならぬということは、これはだれでも了解できることなんです。ところがこれをずっと拝見して参りますと、たとえばクロラムフェニコールとか、オキシテトラサイクリンとか、テトラサィクリンを見ますと、厚生省買上価格というのは非常に安い。薬価基準よりずっと安くなっておる。ところが同じ流通過程から見ますと、いわゆるストマイから上の方の薬と、それからクロラムフュニコール以下の薬と分けて見ますと、あまりに差があり過ぎるのです。この点について私は少し納得のいく説明をいただきたいと思うのです。薬価基準厚生省買上価格の比率を計算し ているひまがないのですが、この比、率を計算してみますと、一体この薬価基準を制定する場合に、流通機構という問題は大きく考えなければならぬのですけれども、こういったクロラムフェニコールとか、オキシテトラサイクリンとか、テトラサイクリンというものが、厚生省で一括購入することによって非常に薬価基準を下回る、非常に安い値段、で買い入れることができる。ところが一般の人々はそういかずに、高い値で買わなければならぬ、こういうことになりますと、業者は高価薬だから、その流通過程において手数料をたくさん取らなければならぬという理由はないわけです。ここが私非常に納得がいかないのですが、一体非常に高価薬になると、どうしてこういうふうに一括購入と薬価基準との間に非常な差ができてくるか。そのしわ寄せは全部医療担当者の方に寄せられていく、こういうふうにも考えられるが、いかがでしょうか。
  71. 梅本純正

    ○梅本説明員 第一点のパスカルシウムナトリウムの点でございますが、傾向といたしましてカルシウムの需要がふえておることは、申すまでもございません。しかしカルシウムの方が出ましたのはつい二、三年前でございまして、そういう観点のときに、先ほど管理課長が御説明申し上げました、予算が実績であるという点、年度の途中ごろからだんだんと需要が出て参りました。医療に支障を来たしてはなりませんので、やはり必要であれば、徐々に実績の出て間違いのない薬であれば購入をしていくという弾力性を持った運用をやっております。従いまして当時の予算その他の点で、おそらく当時といたしましては、パスナトリウムを予定しました単価と数量から見まして年間の需要量を計算しておりました場合に、カルシウムというものが高い場合には、やはり数量が落ちてくるわけであります。おそらく当時といたしましては、一定のナトリウムに近い予定価格入札をしたと思います。それが結局落札をしたという関係になるわけであります。  それからもう一つの点でございますが、これは御了解を得たいと思いますのは、私の方では、先ほど申し上げましたように、一括に大量購入するという点が一つ問題点でありますのと、それから先ほど御説明を忘れましたが、各病院療養所の配給の機構でありますが、これは一括入札が終りましたら、入札業者が各病院療養所に直送いたしております。この点が中間小売あるいはその他を経過しないということで、一括荷作りをして直接行けるわけであります。こういう点が一つの利点になっておるんじゃないかというふうに思います。
  72. 森本潔

    森本政府委員 先ほどもちょっと御説明申し上げたのでありますが、このストマイ以上と、それからクロラムフェニコール以下と、薬価基準との差が相当違っております。それはこのストマイ以上のものでございますが、これはトの方と違っておりますのは、包装単位が非常に違っておるのでありまして、ストマイ以上は厚生省で買上げます場合の包装単位が大きい。それから薬価基準で買ますには小包装単位である。ここに一つ大きな差が出てくると思います。それからクロラムフェ二コール以下につきましては、厚生省の負い上げの包装単位薬価基準包装単位が同じ、でございます。従いまして、ストマイ以上ほどの差はクロラムフェニコール以下においてはないということが一つございます。それから全般に共通したことを申し上げますと、先ほど申しましたように、一年間の時差、これはいずれも借下りしておりますので、それが非常に大きな影響を持っているということができると思うのでございます。
  73. 野澤清人

    ○野澤小委員 だんだんと細部に入って拝聴したのですが、厚生省からいたんいた資料の中で、薬価基準の定め方についての解説が出ていますが、これは、今度おきめになったのですか、それも従来この通りやっておったのですか。
  74. 森本潔

    森本政府委員 これは昨年の十月にく施いたしましたところの方法でございます。これは最も新しい機会において実施したところのやり方でございます。それ前のやり方につきましては、品目数に若干異動がございましたり、それから調査対象が相違があった、この二点でございます。その他の点は大体従来と同じ考え方でございます。
  75. 野澤清人

    ○野澤小委員 そういたしますと、従来薬価基準をきめるときには、大体薬価の定め方、調査方法というようなものはこうして確立しておったのですか。
  76. 森本潔

    森本政府委員 先ほど申しましたような品目数、それから対象数、これは異動がございますが、その他の点につきましては、昭和二十七年にこの方式をとってこの調査を始めたと思うのでございますが、大体同じ方式で参っております。ただ今申しました細部の点につきましては、その年度について個所数等が変ることがございますが、全般的に考え方は変っておりません。
  77. 野澤清人

    ○野澤小委員 私の聞いているのは、調査方法の中に1から6まで入っていますが、たとえば摘出して代表的な何品目とるとか、あるいは四番目にあるように「調査品目について各機関が購入している購入金額購入数量購入平均単価及び購入条件」こういうことが非常に合理的にここに示されているのでございます。昨年の六月、七月と二回にわたって私質問したときには、こういう詳細な調査方法というものは全然述べておらなかった。そうして単に省内の課長クラスの人たちが相談をして薬価基準をきめる。必要があればこれはもらったものを私は提示しますが、とにかくこうした合理的な算定基準というむのはなかったと思うのです。今後はこうしていくのだというのなら納得するのですが、従来ともそうやられておったかどうか。さらに六番目に「調査は年三回実施し大調査一回、小調査二回とする。」こういうように出ていますが、十月以降それじゃ何回おやりになっているか、この点お尋ねしたい。
  78. 森本潔

    森本政府委員 先ほど申しましたように、この調査方法というものは、全国の各都道府県へ通知をいたしてやっておるのでございまして、そういう意味におきましては公けの方法でやっておるということでございます。そしてやり方は先ほど申しましたように、品目数対象数の点につきましては年ごとに相違がございますが、その他の点についてはこの考え方通りでございます。それから昨年の十月以後はまだやっておりません。
  79. 野澤清人

    ○野澤小委員 そうしますと説明されることと実態とは全く違うと思うのです。年に三回、大調査を一回・小調査を二回やる。そうすると昨年の十月から今日までというともう半年たつのですから、小調査もやっておらぬ、大調査もやっておらぬというと何もやっておらぬということにほるのではないかと思うのです。
  80. 森本潔

    森本政府委員 その点はこういう事情でございまして、昨年の十月、十一月と二カ月間に大調査をやりました。それで今度はそれを新しい薬価基準として出すわけでございます。それの集計と申しますか、それに基く新しい薬価基準ができておりませんので、その作業が済んでから次の小調査をやろうかと考えておりまして、この集計がもう少し早くできておりますれば小調査がその間にできたかと思いますが、まだその調査の結果が薬価基準に出ておらぬので、次の小調査を始めておらぬ、こういう状況であります。
  81. 野澤清人

    ○野澤小委員 そうしますと大調査をやったときの資料は全部おありになるのですね。
  82. 森本潔

    森本政府委員 それはございます。
  83. 野澤清人

    ○野澤小委員 そこでこの前の委員会のときの資料を要求した際には、繁用薬品を一つ拾い出してくれ、二、三百種というような話を申し上げたのですが、きょう出てきました資料を見るとごくわずかのものしか出てこないのです。ただ間に合わぬならそれでけっこうでありますけれども、ここに出されたものは実際に薬価基準厚生省買上価格との非常に差のあるものばかり指摘されているのです。それで繁用薬品ということになりますと一般薬が多いんですから、そういうものの利幅と、買い上げ価格薬価基準との差というものがきわめて僅小だと思うのです。そういう資料を出さずに、この資料だけ出しておいて、価格の差があり過ぎるじゃないか、あるいはまたバルクラインの取り方が違うじゃないか、矛盾があるじゃないかと滝井君から指摘されたような問題も起きてくると思うのです。たとえば四月一日から三十日までの一カ月間に調剤された処方せんによっての調査をやりまして、東京都内で二千百十四名についてその薬品を調べてみますと、使用された薬品というのが四百三十九種類なんです。そのうち自由診療に使われたのが四百十一種類、社会保険に使われたのが百八十三種類、共通なものが百五十五、それから自由のみに使われたものが二百五十六、社会保険だけに使われたのが二十八、そうすると百種類や二百種類は繁用薬品として一応あなたの方で算出してもらっても差しつかえないんじゃないか。日にちがなかったからやむを得ませんが、そうした普通薬と言われるものとこうした特殊なものとを比較対照しませんと流通形態ははっきりしないと思うのです。この資科を一応機会がありましたら出してもらいたいと思います。  それからもう一つ、これは私が専門家ですから、むしろあなたよりも詳しいはずなんです。それできようの説で、滝井君が質問していることについて非常なミスをやっていると思う。悪く言えばごまかしているんです。それはどういうことかと申し上げますと、国立病院、同診療所における買上価格薬価基準比較表というものの説明に、A価B価の二五%増しとか、B価C価の一〇%増しとか、いわゆる社会通念らしきものをここで羅列しておいて、今度は上の表の説明をしている。これは実際はそうじゃないんですね。A価B価C価D価というのは一つの建値ほんですから、その差額が三五労あるとか二〇%差があるとかいう説明の材料にはこれはならない。いわゆる市場価格なんですからね。そうすると薬価基準というものは、たとえばB価を必ずとるということならば理屈が合う、あるいはC価をとるということなら理屈は合うのですが、この薬価基準というものは、バルクラインの九〇%ということを基準にして大調査をされた結果の建値だと思うのです。そういう建値と購入価格の差を説明するのに、賢明な滝井さんでさえ大体了承しましょという話があったんですね。そうするとストマイから以下のものが二、三割の差がある、上はほとんど五割近い差がある。しかもその差が出てくるということは、調査期日が違うからということを局長が指摘されまして、昨年三月ごろのものだからこういう説明をされたようですけれども、大調査を十月、十一月に行なったとすればそのときの価格が出てこなければならぬ。そういうことで説明のつく問題ではないと思います。単に調査期間にずれがあったといって、それでは経済の指数、融資の状況を見ますと、実際に中小商工業者に多少資金が回ってきたのが昨年の十一月ごろからです。むしろ昨年あたりは極度に資金難で困っておるときです。困っておるときというものは企業者は背に腹はかえられず安売りをしておる、こういう状況、であります。市中銀行なり何なりに資金が潤沢になってくると正常な取引ができてくる、従ってむしろ一般のものは高くなってくる傾向を持つのです。それがこういうよろな差額ができるという根本原因はどこにあるかというと、これはしばしば通産省の方で従来問題になっておりますが、日本の官庁の購入方法として競争入札をするというこの競争入札に対する考え方というもの、これはひとり医薬品だけでなしに、競争入札の制度がよいか悪いかとうことよりも、その特長と欠陥といろものがはっきりとお互いに認識されなければ解決しない問題ではないか。そうしますと滝井さんの指摘されたように、どうしてそんなに安く入札できるのだろうということは、しろうとしても考えるのは当りまえであると思います。同時にまた商売人として、業者の立場からいうと、やむを得ない結果として競争していかなければほらぬ、ここに競争入札制度の長所と欠陥とがあると思うのですが、しかもまたその生産面においても、価格面においても、統制経済でないのであるから、統制はできない。それでは一体厚生省は何するのかということになると、企業なり、製造面だけは一応指導監督していく、今度はそれを販売する面になると、価格の調整もつかぬ、しかも一応商習慣によってA価B価C価D価というものができておるにかかわからず、お役所自体が大口需要者らしき立場において、先ほどお説にあったように、国立病院なり、療養所なりで一括購入する、できるだけ安く買いたいのだ。これは要するに厚生省みずからが生産を指導し強化させておきながら、今度はわざわざ企業自体の販売価格を乱す行為に重点を置いて、しかもセクショナリズムで厚生省が何ぼの入札価格で買い上げられておるものか薬務局は知らぬ、あるいは保険局の方でもどれだけの差ができておるのか、特別会計と一般会計との差も知らぬ。こういうふうにセクショナリズムで実際にたたかれて曲るのでありますから、そうしますと今度の薬価基準調査をしようという問題になってきますと、本質的な生産機構と販売機構とを分析していかなければならぬ。先ほども八田君から質問がありましたが、流通形態についての資料はとうてい困難だというお答えであります。私は、これは困難ではなくて、ある程度までできるんじゃないかと思います。それからメーカー自体の数にしましてもずいぶんたくさん出ていますけれども、東京、大阪、名古屋を通じて、純然たるメーカーというものは幾らもないと思うのです。私自身もメーカーであり、問屋をやっているのですかちよくわかっている。そうしますと、実際に製薬業者と一般に概念的にいわれますが、家庭薬の製造業者のように、人の作った品物をまぜ合せる業者あるいは包装する業者、こういうものがほとんど九割高占めておって、自分自身の技術や頭によって作っていくという業者はきわめて少いと思うのです。それを企業課あたりで引き抜きますと簡単に統計はできるはずです。数字の間違いは多少あったにしても傾向はわかる。この問題については、やはり単に表に現われたものだけで解決しようという努力よりも、根本から手当をしていかなければならぬ。実態としては、ここに流通形態の図がありますけれども、この系統図というものも、おそらくこれは薬務局で現在の商習慣を分析して適当に並べたものだと思うのです。実態はこんなものじゃないと思うのです。非常に複雑怪奇なんです。複雑怪奇なものを、委員に突っ込まれないようにもっともらしくここへ羅列したということです。体裁よく言うとうまく仕組んだのだが、実際はごまかしているんじゃないか。この根本を手当しないことには、幾ら議論しても始まらないと思うのです。  それからまた、先ほども滝井君から質問があった五十人未満の企業と五十人以上の企業との実態から考えてみて、大体一番上にあるもの、あるいは十人から五十人までの企業などにおいては、実際の技術的メーカーというのは注射薬以外にはねいと思うのです。それから下請と下請でないという考え方ですが、これは原料屋と製品屋とは違うということです。その区分もはっきりできると私は思うのです。それから少くとも流通形態を分析していこうというのには、企業全体の景気というようなものでなしに、純然たるメーカーならメーカー、あるいは問屋なら問屋、小売なら小売というものは、その働く従業員の負わなければならない指数というもむのが必ず出てくるはずです。たとえば問屋業でいうと、五十人使っている問屋業ならば一人が何ぼかせいだらいいか、それからまた、メーカーでいえば、五百名いるメーカーというものは一人の職工で何ぼかせいだらいいか、こういうことの指数も企業課あたりでは完全に出ねければならぬのです。そういうものを出したから、必ずしも安くしろというのじゃなく、企業を堅実に発達させるにはどうするのかという観点から、進歩的な考え方をするということを中心にしていくならば、業者も喜んで参画するんじゃないか。ところが現在のように競争入札でぐんぐんやられていくために、他の業者と競争になる。もうパスなんかは、実際今最低限度にきているのです。最低限度にきているにもかかわらず、厚生省としてはもっと安く買おうとする。そのしわ寄せが、他の開業医なりあるいは薬局なりにしわ寄せされるのは当りまえです。そういうふうに考えられますがと遠慮しながら言うていますが、現実は全く大衆にしわ寄せされている。それは開業医や薬局にばかりしわ寄せされているのではないのです。今度は企業全体のバランスがアンバランスになってくると、家庭薬などを出してしこたま搾取しないと、要するにしぼり取らないと、会社企業というものは成立しないということになってくるのですから、きょうの御説明の中で、パスやテトラサイクリン等の表を出されて説明された局長のお話も、これは相当極端な例だけを御説明されて、かえって誤まった観念をわれわれに植え付けるんじゃないかということが一点。  それから第二点としては、製薬業者の実態というものをもう少し解剖してもらいたい。それで単品メーカーあるいは多品種メーカーというような分け方もありましょうし、原料屋と製品屋という分け方もありましょう。それが困難ならば、私の方で手をかけると簡単にできますから、いつでもお手伝いしてあげます。滝井さんや八田さんのようなエキスパートに実態をもっと正しく知らせてむらいたい。そうしないというと、幾らついても、製薬企業というものはゴムまりと同じで、一カ所突けばどこかぶくれてくるのでありますから、こういう面についてもっとしっかりした資料がほしいと思う。なお建値と申しましたが、ABCDの価格説明は全くその通りでけっこうでありましょうが、実態というものはほとんどこれの四分の一です。ですから、一〇%くらい問屋がほしいのだというのが、上と下と圧迫されて、しかも大事業家から圧迫されてきますから、本町あたり道修町あたりの問屋が今実際に売買している口銭というものは一分か二分しかない。とても一〇%というものはない。こういう事態を引き起した原因はどこにあるかというと、競争入札が原因です。入札して、たたきにたたいていくのです。運輸省にしても郵政省にしてもその通りでありますが、実にものすごくたたく。たたくということは要するにセクショナリズムで、それを買う人は安く買いさえすれば功績になるが、しかし流通形態が健全に行われるはずのものが根本から破壊されていく、その動機を役所みずからが作っていくことなんです。これについて薬務局としては、単に生産ばかり規制といいますか、指導するのでなしに、卸や小売に対しても、統制までいかないにしても、調整ができるのではないか、こういう考え方でもっと堅実な流通形態を生む工夫をしてほしいと思う。  それから第三点といたしましては、こういう総体的な統計によって数量、金額等を当るということも必要ですが、社会保険を健全に発達させるという建前からは、何といっても薬価基準の本質的なものをお互いにはっきりと認識する必要があるのではないか。つまり、薬価基準というものはバルクライン、きめられるから、購入価格基準だ、従って、それになるべく近いもので買うのが建前だという考え方の人と、薬価基準というものは健康保険等で、これを利用しますときには、あくまで健康保険財政で支払いをするときの基準だ、医者からいうと請求価格だ、請求の標準価格であるという考え方の人とがあるが、請求の標準価格というものと購入価格というものは現実に差があるのです。それをどう調整するかということが薬価基準だと思う。ところが、薬価基準で差がある差があるということでだんだんこれを縮めていきますけれども、そういうことではなしにパスならばパスは、一円で買おうと二円で買おう三角四十銭で計算する、被保険者が調剤してもらったときに、その請求価格基準薬価基準だ、こういう考え方を一応立てたとすると、それならばその標準価格をきめるのにどうするかということで、初めて現実的な購入価格が参考資料になる。そうすると、全体を通じて一番必要なことは、薬価基準をどういう方法でだれがどこでどうしてきめていくかということで、この基本的な問題が解決しない限りは末端に入ってみてもしようがない。私は今まで官僚独善だといって、分業の論争のときにも言っておりましたが、実際に厚生大臣の名においてきめられるというけれども、このくらい不明朗なきめ方はないと私は思う。しかも説明は少量だ、大量だと言われておりますけれども、実際はあとう限り大量の包装でこの薬価基準がきめられておる。実際は一オンスで取引されておる。それが建値はほとんど五百グラムとか一キロで薬価基準がきめられておる。そうすると病院だけは非常な差があっても、薬局や開業医というものはむしろこの薬価基準よりも下回った価格で買わなければならない。私の方で申し上げましたことは、繁用薬品といって、少くとも安ナカだとか重曹だとか、そういう日常ひんぱんに医者が使われる薬品の薬価基準と、たとい入札にもせよその購入価格を比較していただくと、きわめて差が少いということです。この例のとり方からいきますと、非常な誤差が出てきますので、そういった点についても一応御考慮を願いたい。自分の希望だけを申し述べたようでありますが、今後もいろいろ間違った方向に説明されますと、これは大きな問題になってきますので、どうかそうした面から十分なる資料の提出と、説明については御注意をお願いしたいと思うわけであります。
  84. 滝井義高

    滝井委員 関連して。今去年の十月と十一月に調査をやったというお話でしたが、今年の二月か、三月ごろ薬価基準の改訂をやったはずです。それはいつの調査基礎にしたのですか。
  85. 館林宣夫

    館林説明員 昨年の四月の調査でございます。
  86. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、去年の四月に調査したのを一年後の今ごろそれを適用する、こういう形になるのですか。去年の四月の実績に基いて、今年の二月からそれを今度は薬価基準に持ってくる。そうすると去年の十一月、十二月に調査したものを今度は今年の十一月か十二月になると適用する。約一年くらいおくれるという形になる。そういうきめ方ですか。
  87. 館林宣夫

    館林説明員 普通調査の期間が一カ月ないし二カ月ございまして、それを集計いたしまして、実際にそれが効力を発生するにはやはり施行の日より前に官報に告示しなければなりません関係から、それが実際に適用せられますにはおおむね半年前後の期間を要するのが例でございます。
  88. 長谷川保

    ○長谷川(保)小委員 途中から参りましたので、すでにそういう点は同僚の委員から伺ってあるかとも思うのでありますが、私も質問であるか希望であるかわからぬようなことを伺います。  今の野澤委員のお話の点は非常に急所だと思うのです。私どもしろうとには今の製薬から販売、末端までの関係が十分つかめない。それがつかめないと、これは確かに迷路に入ってしまうのでありまして、その点、むずかしいことでございましょうが十分一つ御解明をいただく資料をいただきたい。また御説明をこの次に伺いたいと思うのでありますが、大ざっぱに伺いまして、今の原料屋、製造屋、いろいろな関係があると思いますが、大体比較的小さい規模の製造所というものは、大規模の製造所の下請になっているのでしょうか。今の野澤委員のお話で想像されるのでありますが、あるいは逆に小さい方がむしろ大きいところから原料を買っておるというような格好になりましょうか。あるいは両方の関係がありましょうか。普通一般のほかの工業関係のように・小さいものが大きいものの下請という関係になりますか、それとも逆の関係になりますか、どっちですか。
  89. 森本潔

    森本政府委員 最初に野澤先生からいろいろと今後研究すべき事項について御指導がございましたが、資料説明等に不十分な点がありますので、この点はなお研究していきたいと思います。  それから長谷川先生の今の御質問でありますが、小さな製造所におきましては、先ほど申しましたように、家庭薬あるいは家庭配置薬というようなものが大部分になっておるわけであります。従いまして、こういうところにおきましては、最初の原料は作らずにバルクで購入して参りまして、そこでいろいろと詰め合せて最終製品を作る、こういう形態が大部分であると考えております。しかしながら特殊のものについては、小工場においてもそれを専門に作っておるところはあると思いますが、それは比較的少かろうと考えております。
  90. 長谷川保

    ○長谷川(保)小委員 それでは、これも前にいただいたことがあるのでありますが、この大きい方の百人、三百人あるいは五百人以上の製造所の最近の貸借対照表及び損益計算書を、成績のごくよいところと中間と悪いところと大体三カ所ぐらいずつ次に資料として御提出いただきたいと思います。
  91. 森本潔

    森本政府委員 それは各社とも決算報告と申しますか、貸借対照表、財産目録等を公表いたしております。それを一度集めましてできるだけの資料を一応そろえたいと思います。
  92. 野澤清人

    ○野澤小委員 今長谷川さんから質問のあった大きいところから原料を買うかどうかという問題ですね。これは私の方がよく知っておりますので申し上げておきますが、大体医薬品系統というのは競争相手から原料を買わないのがしきたりです。従って他から原料を受けてそれを溶かしたり注射薬にしたりする業者、原料屋というものは別にありますから、たとえば私らが化学工業薬品を作っておると、そういうところに注文をして持っていって変形させる、こういうのが多いのですから、大メーカーから必ず買うということはほとんどあり得ません。そうかといって小メーカーが下請になっておるということもあり得ません。ただ原料が三種類あるとすると、別々の工場から買い集めてそれを化合させるというような操作はいたしますが、原料的に共通のものはきわめて少いと思いますので、念のために申し上げておきます。
  93. 長谷川保

    ○長谷川(保)小委員 ありがとうございました。
  94. 熊谷憲一

    熊谷委員長 次会は三十日午後一時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会