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1956-05-24 第24回国会 衆議院 社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十四日(木曜日)     午後二時四十二分開議  出席小委員    小委員長 熊谷 憲一君       亀山 孝一君    野澤 清人君       藤本 捨助君    滝井 義高君  出席政府委員         厚生事務官         (薬務局長)  森本  潔君  小委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  薬価基準等に関する問題     —————————————
  2. 熊谷憲一

    熊谷委員長 これより社会労働委員会薬価基準等に関する小委員会を開会いたします。  まず製薬企業の実態について説明を聴取することにいたします。森本政府委員
  3. 森本潔

    森本政府委員 製薬企業の現状につきまして御説明いたします。お手元に参考資料がいっておると思いますが、これによって御説明申し上げたいと思います。  まず最初に、順序は逆になりますが、三番目の医薬品品目数について申し上げます。一番下にございますが、ここには現在わが国において薬がどのくらい作られておるかということが書いてございます。ここにございますように、薬の種類といたしましては、薬局方に記載されておる薬が一つ、それから国民医薬品集に収載されておる医薬品一つ、その二つを合せまして公定書医薬品と申しておりますが、そのほかに公定書外医薬品というのがございます。それから公定書外医薬品の中に、通常家庭薬といわれておるのがございますが、それが第四番目のところにあげてあります。法律上からいきまずと、公定書医薬品公定書外医薬品二つになるわけでございます。公定書につきましては薬局方国民医薬品集二つがある、公定書外は一本でありますが、通常いわれております家庭薬というのを特に別にして書いております。それで公定書薬局方に載っております薬の種類としましては六百二十七種類ございますが、これを社別商標別品目として掲載いたしますと、四千二百六十七品目になるわけであります。それから国民医薬品集の薬としましては、医薬品集に載っておるものが四百七十二種類、それが今申しましたように社別商標別にいたしますと八百八十一品目になります。それから公定書外医薬品でございますが、新しく公定書にない薬を作ります場合には、一々許可を受けて製造するわけでありますが、現在までに許可をとっているものは約六万種類ございます。ところが、この六万の中で現実に作られておられぬものが相当ありまして、現在作られておりますものは、この品目にございますように、家庭薬でないものが四千五百四十五、それから家庭薬と称されるものが九千百七十七ということになるのであります。それで、現実に作られております種類は、この品目数によってごらん願いますように、約二万種類薬がある、かようにお考え願っていいと思うのでございます。このようにたくさんの薬があるということでございます。  それから次に、それらの薬はどの程度生産されているかということでございますが、これは最初の一のところへ返っていただきまして、ここにございますように、昭和二十五年が合計いたしまして三百十九億でございます。以下生産額が向上いたしまして、昭和三十年、最近になりますと八百四十億という生産額でございます。この生産額を今申しました四種の種別に分けてみますと、薬局方に載っておりますものが百四十億、それから医薬品集に載っておりますものが四十三億、それから公定書外医薬品が五百九億、それから家庭薬と称されるものが百四十六億、こういうような数字になっております。  その次に二万もたくさん薬がある中で、どういう薬が一番たくさん作られておるかということは次の表によって御説明いたしますと、一応生産金額、これはメーカー価格でありますが、初め十億円以上のものをとってみますと、ここにございますように、一番多いのが総合ビタミン錠で、これが三十三億、それからストマイが十九億、なお、複合ストマイがございまして、これが十二億、合せて三十一億でございます。それからクロラムフェニコールが二十三億、パスが二十四億、ペニシリンが十四億、それからハッカゴム膏、これはこうやくみたいなものでありますが、これが二十七億、それから抗ヒスタミン含有錠が十一億。一応こういうものが生産量の一番多いものとなっております。これらを合せますと、七種類で約百五十億ぐらいになるのであります。  それから次に参りまして、これを作っておりまするところのメーカーの数はどのくらいあるだろうかということでございますが、昭和三十一年三月現在におきまして約三千、すなわち二千九百十四ヵ所ございます。ここで約二万種類のものを作っているわけでございますが、ところが、メーカーと申しましても、大中小いろいろなものがございます。その右にございます生産規模別製造所生産額というところをごらんになりますと、大きさから申しますと、九人以下のところが製造所総数の六九%、約七割が九人以下の小さな工場でございます。その生産額が四一%、だから大体家庭工業的な小企業で半分ぐらいが生産されておるという状況でございます。途中を略しまして、三百人以上の従業員を持っておる製造所は、個所数にしまして十二カ所、それからそれの生産金額が全体の約一割、それから五百人以上の従業員を持っているところになりますと、これも総数が十カ所でありまして、その生産金額が二六%ということでございます。でございますので、小ないメーカーが非常に多いということが一つと、それから百人以上の比較的大きな工場におきまして、生産額の六、七〇%を占めておる、こういう実情でございます。  それから次に参りまして、この歪さ上りました薬がどういうように扱われておるかという問題でございますが、これは七番目の医薬品流通系統図でごらん願いますように、二つ系統がございまして、一つ一般の薬、一つ家庭配置薬系統、この二つございます。それで一般の薬から申しますと、製造業者から元卸業者へ参ります。元卸業者から卸業者に参ります。大病院等は直接卸業者から入れる。それから卸業者小売業者薬局、それから医師向き販売業者に卸すわけでございます。それから医師向き販売業者、これは多くの場合小売業者薬局と兼ねておる場合が多いのでございますが、そこから病院診療所に持っていく。それから小売業者から一般消費者へいくというのが系統でございます。これは薬のみならず、一般商品流通系統と同じものでございます。法律上は別にこういう区別があるわけではございません。それから家庭配置薬につきましては、メーカーがございまして、それが配置業者に持っていく。配置業者消費者へ直接持っていく、こういう方法で回っております。  それで今申しましたこの流通系統にありますところのもの、すなわち医薬品販売業者の数でございますが、六番目にございますように、薬局が一万八千ほどございます。それから医薬品輸入販売業、これは外国のものを扱うのでございますが、これが三百六十三、それから医薬品販売業というのがございますが、これは先ほど申しました元卸、卸、それから薬局はのけまして、小売業、すべての各段階販売業者を含んでおるわけでございます。これの総数が約八万八千、全品目と申しますのは薬剤師がおる、あるいは管理薬剤師がおりまして、すべての医薬品を扱うところの販売業者であります。これが約四千五百、それから次の指定医薬品以外のものを扱う販売業者、これは薬剤師のおらぬところであります。これは指定医薬品と申しまして、薬剤師でなければ取り扱ってはいけない医薬品、その医薬品以外のものを取り扱う、通常薬種商といっております。これが約一万三千、限定品目と申しますのは医薬品として、蚊取り線香でありますとか、除虫剤のように特別な取扱いがそう必要でないもの、種目を限定して扱っておるわけであります。従って化粧品であるとか雑貨屋等で、他の商品と兼業して売っておる場合が多いのであります。これが非常に多くて約六万九千カ所、それから配置販売業登録を受けておるものが約千四百、こういう状況で、流通系統において関係しておるものは、今申しましたように非常に多いのでございます。  八番目に医薬品輸出入でございますが、これは昭和二十五年ごろから輸出入というものが実際始まったのであります。当時は輸出入とも約五億程度、それが逐年増加して、昭和三十年には輸出が三十億、輸入が三十五億という状況になっております。これは生産金額の大体四%であります。戦前におきましてのわが国輸出のパーセントを見ますと、生産額に対して二〇%ないし三〇%の輸出額があったのです。それにしても現在四%ですので、まだまだ戦前に復していないという状況であります。  それからどういうものが輸出されておるかという点でございますが、ここにございますように主力ビタミンスルファ剤ペニシリンストマイ家庭薬その他一般薬品というのであります。それから輸出先はどこであろうかということでございますが、これはやはりここにございますように中共台湾米国、この三カ所が大部分でございます。それで米国に出ます種目は大体ビタミン耳がおもであります。中共台湾その他につきましては各種のものが出ております。それからどこから輸入するのが多いかという点でありますが、これは米国からの輸入が一番多く、その次はドイツ、その他は少いのです。米国から輸入するおもなものはビタミン類であります。ビタミン耳以外のビタミン。これはわが国ではまだ十分作れませんので、ビタミンB1以外のビタミン類が大部分であります。もう一つは新しくできました抗生物質、これがアメリカから輸入されます。その他の国から入りますのは非常に種類が多いのでありますが、各種医薬品であります。  それから次に、この薬価の問題に関連して参りますが、薬が高くなったか安くなったかというような点でございます。この点につきましては、なかなか正確なつかみ方はできませんけれども、一応こういうような検討もしてみたわけでございます。まず一つ見方としましては、他の物価との比較の問題であります。これはここに書いてありませんが、昭和九−十一年を一としました場合の物価指数を見てみますと、一般卸売物価指数昭和二十八年におきまして三五一、それから消費財だけの卸売物価指数は三二七、それから医薬品価格指数は一六〇という一つの調べがございます。これによりますと、一般物価昭和二十八年におきましては、昭和九−十一年の基準年度に比べれば三百五十倍くらいになっております。ところが薬につきましては百六十倍程度値上りになっておりますので、値上り率が非常に少い、他の半分くらいであるという見方が非常に強いのであります。それから諸外国におきますところの物価との比較であります。これも全部のものは非常に困難でございますので、おもな医薬品だけちょっと調べてみますと、日本を一〇〇としてみますと、ペニシリンにつきましてはイギリスが一五〇、アメリカが一五〇、ストマイにつきましてはイギリスが七七、アメリカが一〇四、それからパスにつきましてはイギリスが一八七、アメリカが二一九、それからダイアジンはイギリスが二〇七、アメリカが二四七というように日、英、米それぞれの国につきまして卸売価格の比率を調べますと今のようになっておりまして、少くとも主要医薬品については、外国に比してわが国は高いという見当は出ないのではないかという感じがいたします。それからもう一つ見方がここにございます。表の中にあります医薬品卸売価格指数推移でございます。主要なものについてここにありますように、約十種類くらいあげておりますが、昭和二十八年を一〇〇といたしますと、一般的に申しますれば、これら主要医薬品につきましては昭和三十年におきまして約半値に下っておるのであります。ここに指数がございますように、極端なのは一七%、大部分は四〇ないし五〇という指数でございます。こういうように少くとも主要医薬品につきましては二、三年のうちに半値に下っておるという結論が出ておるのでございます。  それから次にございます薬価基準、これは健康保険薬価基準で、健康保険に使います薬価というものはどの程度下っておるかということを調べてみたのでありますが、昭和二十七年を一〇〇といたしますと、昭和三十年の薬価基準の平均の値下り指数は八三ということになっておるのでございます。他の一般物価指数、それから外国指数わが国だけの医薬品価格傾向というものから見まして、これが非常に値上りをしておるということはない、むしろ安くなっておるという感じがいたすのでございます。それでこれは、結局どういうことでこういうことになるかと申しますと、多くの医薬品が多くの会社で作られており、そうしてこれが品質の改良と安く売らなければならないという二つの点で競争しておるわけでありまして、これが極端に現われてきたものじゃないだろうかという考察をいたしております。  以上大体メーカーの数であるとか、薬の種類価格傾向等を申し上げたのでありますが、医薬品として大事なことは品質がまずよいか悪いかという問題であります。これは薬品最初製造許可する場合に、これが保健衛生上支障があるかないか、有効がどうかということを検査をして許可をする、それから市販されました後においても、あるものについては検定を行い、あるものについては抜き取り検査を行なって常時薬事監視をして品質の確保をはかるということでございまして、品質の面については今言ったような方法で監督しておる、こういう状況であります。  ざっと申し上げまして、あと一つ質問によってお答えした方がよいかと思います。
  4. 熊谷憲一

    熊谷委員長 それでは薬価一般情勢について御質問をお願いいたします。
  5. 滝井義高

    滝井委員 私はこの表の中で理由がわからないのですが、表の十二に医薬品卸売価格指数推移というのがありますね。多くの薬品昭和二十八年に比較して指数がほとんど半分以下になっておるのですが、非常に大衆が使い、人口に膾炙しておるビタミンが下っていないということなんです。そ、れから今後の日本医学において非常に大事なのは、死亡率の高い老人性疾患いわゆる血管破裂、特に脳の血管破裂、あるいは血圧が非常に高くなっておるというような場合に使う血止降下剤というものが値段が同じだということですね。こういうように一様に非常に使わなければならないビタミンや、今後日本医学界で非常に研究をされなければならない老人性疾患に用いる血圧降下剤、こういうものがどうして一体昭和二十八年から三十年とずっと同じなのかということです。むしろ外国から輸入されてくるペニシリンとかストマイというような、抗生物質的な、近代的医学に非常に貢献をしたものは、むしろ急激に安くなっていく。その理由は一体どういうところにあるのですか。
  6. 森本潔

    森本政府委員 これも私たち疑問に思いまして、一応検討したのでございますが、今まで考えられますことは、まず総合ビタミンでございますが、これは最近ビタミン種類がふえまして新しいビタミンが出ております。そして、昭和二十八年ごろのものと二十九年ごろのものと同じものではないのでございますね。とにかく、新しいビタンが発見されてといいますか作られておりますが、それが入っておるというわけでありまして、同じ薬ではなくして、むしろ新しいいい薬であって、そういうために値が下らぬ、こういう傾向じゃないかと思っております。それから昔の簡単なビタミン耳であるとかいうようなのであればおそらくこれは下ってきておると思いますが、新しいものがプラスされておるために下らぬのじゃないかという感じです。下の血圧降下剤の方はちょっとまだ原因がつかめません。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、ビタミン類が、たとえば総合ビタミンで、単にビタミン耳というような単純なものでない、複合的な形が出てきておる、しかもビタミンの純度が高くなってきておる、そういうことだとわかりますが、そうだとすれば、ペニシリンストマイというものはこれは非常に新製剤なんです。しかも健康保険においても新薬として使われておるのは多分一割か一割五分くらいあったと思うのですが、その中でほとんど八割くらいは抗生物質なんです。そうしますと、少くとも血圧降下剤ビタミンと同じ程度に使われておるわけですが、これがなぜ急激に、半分以下に下らなければならぬかということです。ビタミンよりもむしろストマイなんかの方がニュー・フェイスなのですよ。
  8. 森本潔

    森本政府委員 これもいろいろ原因があると思いますが、一番大きな原因量産じやないかと思います。最初日本ペニシリンが入りましたときは、ストマイにしても同様ですが、一グラム千円幾らしておりました。このときは生産量は非常に少いわけです。それが最近に至りましては供給過剰になるくらいになっておる。この量産ということが一つ。それから抗生物質メーカーの数がふえたということですね。量産をして、それ自体安くなる原因があった。さらに加えましてメーカーがふえたものですから、相互の間に競争が激しくなって、とにかくぎりぎりのところまで一あるいは採算割れ近くのところまで下げていった。こういうことだろうと考えております。
  9. 熊谷憲一

    熊谷委員長 私、ちょっと質問いたしますが、12と13を比較してみると、12はあなたの方で値段の下ったものばかりをお並べになったのかもしれませんが、二十八年度と三十年度を比較すると半分以下になっておるものが相当ある。ところが13を見ると、健康保険の方は割合に下っていない。これの原因はどこにあるのでしょうか。
  10. 森本潔

    森本政府委員 医薬品の中には、こ こに書いてありますような新薬でございますが、これは今申しましたような量産というような点で急激に下っております。それから、ここに書いてないような薬は、大体生産量が従来から固定しているわけでありまして、横ばい傾向というのが普通でございます。それで大部分の薬はもう横ばいあるいは若干の低下傾向というのが普通でございます。従いまし、て極端に下ったものと、それから緩慢なる低下を示しておるものとをつき合せまして、平均いたしました結果がこの13の薬価基準になっておるということになろうと思います。  それから、ちょっと申し落しましたが、薬価基準の中に書いてあります値下げ率の中には、こういう主要なものが落してございます。これは従来固定点数として一投の薬価基準と別な扱いとしておりますから、そういうものは入っておらぬということでございます。
  11. 熊谷憲一

    熊谷委員長 もう一つお尋ねいたしますが、中共が二十九年と三十年と比較して非常に減っていますが、これはどういう原因でしょう。
  12. 森本潔

    森本政府委員 これはいろいろございますけれども、一番大きな原因といたしましては、二十九年ごろの主力ペニシリンストマイだけで、これが量的にも金額的にも大きかったのであります。ところが中共の市場におきましては、アメリカイギリス等ペニシリンストマイに押されまして、あそこへの輸出がとまったわけでございます。その影響がここに端的に現われておると考えております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 医薬品輸出入関係ですが、いつか私お尋ねしたときには、輸入する品物は主として原料であるというふうに聞いておったんです。二十九年も三十五億ぐらいあるのですが、輸出はおそらく製品輸出しておると思うのですが、輸入関係はやはり製品ではなくして、その原料となるようなものを主として輸入しているのですか。
  14. 森本潔

    森本政府委員 これは大体バルクという形で輸入しているものが大部分でございます。バルクと申しますと、大体最後の形はでき上っておりまして、小分け前の段階でございます。その形で輸入しまして、こちらで小分けをして売る、こういう形でございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 そういたしますと、その輸入経路はどういう形で輸入せられることになるのですか。たとえばこの一般医薬流通系統図ですね、これから見ると、製造業者とは別に、貿易商輸入業者があってそれを輸入をしてくることになるのですか。その輸入経路をちょっと説明してくれませんか。そうして入ったものは、製造業者にどういう工合に、小分けする前の形から分けられることになるのか。
  16. 森本潔

    森本政府委員 この系統図で申しますと、製造業者というのがございます。これは多く輸入販売登録を受けております。従いましてこの製造業者輸入販売をいたしまして、自分のところで小分けをする、こういう格好になっております。それからあと一般医薬品同様に、こういう系統で流れていくわけであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そういたしますと、その小分けをする薬というものは、日本輸入をせられてから何ら手も加えずして、ペニシリンペニシリンの形で、大旨なタンクかなんかに入って、入ってくる。それをただ三十万単位の一〇CCなら一〇CCというぐあいに、あのビンに詰めるというだけを日本でやることになるわけですか。何か具体的なもので説明してみてくれませんかね。
  18. 森本潔

    森本政府委員 これは先ほど申し上げた通りバルクで入りまして、そこで小分けをいたしまして、今お話のような三十万単位とか十万単位に分けて小さい包装にして出される。あるいはビタミン等においては角度を変えて粉末のものを錠剤にするとかそういろ工程も入ります。
  19. 滝井義高

    滝井委員 そうしますとこれは薬の効能からいえば一つ製品として入ってくるのでしょう。ただ日本に入ってきた場合には、それをそのままバルクというのですか、小分けの前の粉末のようなものは、単なる加工を加えるだけであって、製造という意味のものではない、こういうことなんですか。
  20. 森本潔

    森本政府委員 今お話のように、最初から最後までにわたっての完全な製造形態でないわけでありまして、広い意味から申しますれば製造形態の一環ともいえるのであります。それで原料から最後のレッテルを張って出すまでが一つ製造工程になるわけであります。最後の一部分製造工程をやる。それから今言ったような粉末の状態から錠剤にして、さらに包装するという製造形態を一部やっておるわけであります。これは最初からでき上ったものを輸入するという考え方もあるわけでありますが、これをすると高くつきまして、結局要らぬ外貨をよそに出すわけでありますから、なるべく内地で加工できる、こういう形態のもので輸入させておるわけであります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 輸出を見ると主として後進国が多い。香港なんか中共かなんかに入れるためだと思うのですが、中共台湾米国にも相当ビタミン類輸出しているそうでありますが、沖縄、韓国というような比較的文化が日本より後進国が多いのであります。それらの国に輸出をする三十億というのは、やはりバルクというのですか、その前の形で出るのですか。それともきちりとした製品包装になった、われわれ末端の消費者が買うような形でいっておるのですか。
  22. 森本潔

    森本政府委員 これも二つの形がございまして、これは相手の方におきましてバルクでくれ、あと自分の方でちゃんと小分けをして、最終整理をするという設備なり能力を持った国とそれのない国と両方あるわけであります。アメリカのごときになりますと、大部分バルクしか輸出いたしません。それから沖縄でありますとか中共台湾になりますと、相当数最終製品の形で出すということになります。しかし最近におきましては最終製品で出すのはどの国もいやがりまして、自分の方で最後の仕上げの工程はやりたいというので、バルク輸入を欲しておるわけであります。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、アメリカバルクでとるということですが、アメリカ輸出するものはビタミンですが、そうすると私が今気づいたのは、日本の国で価格が非常に下らないのは、総合ビタミンと耳の末ですねへこのアメリカへの輸出がいわば出血輸出の形をとって、日本の国内でちょうど肥料と同じようにその出血輸出を補うためにある程度価格を保持しなければならぬというような関係はないのですか、ビタミン関係は。
  24. 森本潔

    森本政府委員 これは一般的に申しますと、大体国際競争をします場合には、多くの国は二重価格をとっております。国内品は普通の値段で売る。そうして輸出向きにつきましては、もう製造原価くらいな気持で売る、利潤を上げねい気持で一般的に二重価格制度が考えられておりますが、このアメリカ向きのビタミン耳につきましては二重価格制をとらなくても輸出がきくという状況であります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 日本の国内におけるビタミン耳の生産高の総額は幾らになりますか。
  26. 森本潔

    森本政府委員 約五億円でございます。
  27. 滝井義高

    滝井委員 私がお尋ねしたいのはアメリカとの関係です。ビタミン耳アメリカへの三十年度の輸出実績は二二%でしょう。そうすると輸出ビタミンの総計は十二億ですね。そうすると輸出額は三十年度で三十億ですから約六億六千万円程度アメリカに行っておるわけですね、二二%ですから。そうしますと、それがビタミンがほとんどだとするならば、三億か四億くらいおそらく行っておるんじやないか。あるいはもっといけば、五億くらい行っておるかもしれません。そうすると、ビタミンの約十二億の輸出の半額はアメリカに行っておるということですね。私の追及したいのは、ビタミン価格昭和二十八年以来一つも下っていないということが、アメリカに非常にビタミンが多く行っておるということに何か因果関係がないかということなのです。そういう点が知りたいのです。数字をちょっと見ていくと、何かそこに一つのなぞがありそうな感じがするからお聞きをするのです。
  28. 森本潔

    森本政府委員 ちょっとこれは今調べますので……。
  29. 滝井義高

    滝井委員 それからもう一つ、私はどうも製薬業のことを知らないのでありますが、風のつてに聞いておるのには、日本の製薬のほとんど七割、八割は大手十社で作っておるというようなことを聞いておったのです。ところがこの表の昭和二十九年度の実績を見てみますと、百人以上の従業員を有するところが六〇から七〇%、こういう生産高になっておりますね。そうしますと、どうも風のつてで聞いておるのが間違いのような感じがするのですが、この統計は間違いないでしょうね。
  30. 森本潔

    森本政府委員 ここに出ております数字は、統計上とりました数字で、それ自体は間違いないと思います。会社別にいたしますれば、また別な見方が出るかと思います。
  31. 滝井義高

    滝井委員 私は名前を出す必要はないと思うのですが、製造所というと、今後僕らが価格その他を見る上に、やはりちょっと見にくいところがあるのです。それで製薬企業、その資本別に、A会社ならA会社がたとえば十工場を持っておるとしますと、A会社の十の製造所がこれは一つ一つ出てきておるわけです。これは統計的に見ると、なかなか把握しにくい。だからたとえばAという会社、Bといろ会社、Cという会社、そういう資本を同じくしておる会社というものが大体何社あるかということです。そうしますと、そのABCDEというような十社でここに生産額は何ぼということが出てくると、大体日本製薬企業というものは、どういう会社がどれほどのものを製造しておるかという具体的なものがはっきり出てくる。私は十社くらいでほとんど大部分を作っておるということを聞いておったが、これを見てちょっと違う感じがしましたのでお尋ねしたのです。そういうのを、名前は要りませんから、この次にお願いします。
  32. 森本潔

    森本政府委員 その点につきましては^この前滝井先生に資料を出したのですが、その資料にございますように、いわゆる十社といわれておりますそれの生産額は、昭和二十九年におきまして約三百三十億、こういうことでございます。
  33. 熊谷憲一

    熊谷委員長 それでは次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会