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1956-05-14 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十四日(月曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 佐々木秀世君    理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君    理事 野澤 清人君 理事 藤本 捨助君    理事 岡  良一君 理事 滝井 義高君       安  藤覺君    池田 清志君       石坂  繁君    植木庚子郎君       内田 常雄君    亀山 孝一君       熊谷 憲一君    小島 徹三君       小林  郁君    小山 長規君       田子 一民君    田中 正巳君       古川 丈吉君    坊  秀男君       吉田 重延君    亘  四郎君       赤松  勇君    石橋 政嗣君       受田 新吉君    多賀谷真稔君       長谷川 保君    前田榮之助君       楯 兼次郎君    松尾トシ子君       森本  靖君    八木 一男君       横山 利秋君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 五月十四日  委員小川半次君、大橋武夫君、荻野豊平君、加  藤鐐五郎君、川崎秀二君、高橋等君、八田貞義  君、林博君、阿部五郎君、岡本隆一君、栗原俊  夫君、多賀谷真稔君、西村力弥君、森本靖君及  び吉川兼光辞任につき、その補欠として坊秀  男君、石坂繁君、吉田重延君、内田常雄君、植  木庚子郎君、池田清志君、安藤覺君、小山長規  君、赤松勇君、楯兼次郎君、松尾トシ子君、勝  間田清一君、石橋政嗣君三宅正一君及び受田  新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君、石坂繁君、池田清志君、植木庚  子郎君、内田常雄君、小山長規君、坊秀男君及  び吉田重延辞任につき、その補欠として八田  貞義君、大橋武夫君、高橋等君、川崎秀二君、  加藤鐐五郎君、林博君、小川半次君及び荻野豊  平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十二日  国立病院等における看護婦の産休、病休のため  の定員確保に関する請願山崎始男紹介)(  第二一四四号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第二一七二号)  同(堂森芳夫紹介)(第二一七三号)  社会保険制度運営に関する請願床次徳二君  紹介)(第二一四五号)  中国人殉難者遺骨送還に関する請願山口喜  久一郎君外三名紹介)(第二一六一号)  老人福祉法制定等に関する請願田子一民君紹  介)(第二一六六号)  母子福祉資金等全額国庫負担に関する請願(櫻  内義雄君紹介)(第二一六七号)  療術既得権存続に関する請願春日一幸君紹  介)(第二一七八号)  国民健康保険法の一部改正に関する請願外十件  (山崎巖紹介)(第二一七九号)  同(三宅正一紹介)(第二一八〇号)  同(小泉純也君外五名紹介)(第二一八一号)  同外一件(福井順一紹介)(第二一八二号)  同外一件(川島正次郎紹介)(第二一八三  号)  同(夏堀源三郎君外二名紹介)(第二一八四  号)  同(正力松太郎紹介)(第二一八五号)  同(竹尾弌君紹介)(第二一八六号)  国民健康保険法改正に関する請願西村直己  君紹介)(第二一八七号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第二一八八号)  疾病保険統合のための調査会設置請願山崎  巖君紹介)(第二一九三号)  美容師法制定に関する請願江崎真澄紹介)  (第二二一一号)  労働者災害補償保険法保険料率改正等に関す  る請願石田宥全紹介)(第二二一五号)  美保航空基地駐留軍労働者失業対策確立に関  する請願赤澤正道紹介)(第二二二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(参議院送付)     —————————————
  2. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。横山君。
  3. 横山利秋

    横山委員 与党並びに政府側お願いをいたしておきますが、もう連日御質問をいたして参りましたが、まだ質問が非常に多いのであります。きょうはまた十時から待っておりますにかかわらず一時間半もおくれてきて、一時間で終ってもらいたいという御希望は、われわれとしては非常に不満にたえないのであります。この点については厳重に注意を喚起いたしておきたいと思うのであります。  さて大臣に引き続いて御質問をいたします。御要望もございますので、要点を御質問いたしますから、あいまいでなくさっぱりと答弁をして下さればすぐ終ろうかと思うのであります。そのつもりでお願いをいたします。  第一にお伺いをいたしたいことは、今回は公社職員に対する法律改正でありますので、ここに国家公務員の問題が残っておるわけであります。特に国家公務員が最近において最も心配をいたしておりますのは、この春の賃金闘争のときでもそうでありますが、業績賞与制度がございません。同時に全国税の国家公務員組織に対する処分、あるいは労働大臣傘下労働省職員における処分の問題が起っております。賃金支給も不十分であり、同時に労働者に対する処分がこのごろ非常に強まってきた、こう考えるのであります。この間もある労働者に聞きました、これは一人の労働者のみではございません、普遍的な感じのもののようでありますが、率直に申して大臣は、国家公務員公労法関係職員労働者民間労働者、その三つについて何かものの考え方として区別をしておいでなさるようだ、こういう感じを受けておる、組合役員に対する態度すらまでが、それぞれの民間労働者に対する態度とそれから公労法関係組合役員に対する態度と、国家公務員関係、官公労の諸君に対する態度が、みなそれぞれ違う、こう言っておるのであります。もしそういうことが印象として与えておれば、倉石さんの労働行政というものに対して不公平な面があるということになる、そうだといたしますならば私はあなたのために非常に惜しむものであります。どうしてそういう結果をもたらすか、法律上の食い違いがあるということは事実でありますが、しかしながら同じ労働者で、あり、しかも一番厳重な法律制限下にございます国家公務員に対する賃金給与労働条件、それから労働者に対するものの扱い方、考え方について、そういう不満、不平というものをあなた個人に抱いておることに対して、率直に一つこの機会を通じて、国家公務員労働者に対してあなたの所懐を述べていただきたいと思うのであります。こういうことが誤解なり何なりであるといたしますならば、私は非常にけっこうであると思うのであります。よしんば組合役員個々の人に、あなたがあいつはけしからぬやつだとか、あいつは話せるやつだとかいうことがありましょとも、一番制限下に置かれております国家公務員諸君に対しての率直なものの考え方を一度承わりたい、こう考えるわけであります。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は公務員であっても公務員でなくても、みな働いておられる方々に対しては同じつもりでおります。ただこの間の春季闘争お話がございましたが、この場合に国家公務員国家公務員法によって制限を受けておる、公共企業体公社現業従業員はその法律によって規制をされておる、従って違法な行為がないように望むのだが、違法な行為があればこれは政府としては取り締らなければならない、民間産業については個々争議には介入いたす意思はない、しかし民間産業労働組合といえども、違法なる行為があった場合には政府としてはこれは取り締らなければならないであろう、こういうことを申しておるのでありまして、私の気持としてはどなたに対しても変った考えは持っておりません。
  5. 横山利秋

    横山委員 それはお言葉通りに承わっておきます。ただしかしこういう点だけはあなたお考えにならぬでありましょうか。形の上に現われております問題は、春の年度末に対しての業績賞与支給が今回ほとんどない。ありましても非常な格差がついております。あなたとしては法律上の違いがあるのだからそういうことはやむを得ないのだという本質論をよくおっしゃるということを聞いたことがありますが、国家公務員諸君は無責任だ、こういうものの言い方をどっかでちらっと聞いたことがあります。このことは、労働者にもその権利義務両方とも労働法の上で与えることが組合自主性なり責任性を持たしめるゆえんではなかろうかと、私は逆説的にあなたに聞きたいのであります。今国家公務員公労法との違いというものは、罷業権両方とも禁止されておりますから、団体交渉権が明確にあるかないかということの違いであります。団体交渉権によって、これは権利であると同時にその調印したものについては労働者側がまた義務を負うものであります。争議権団結権に伴う義務国家公務員に与えるということが実は必要なのではないか、それによって国家公務員労働運動に対する義務性、一ぺんよろしいと言ったことに対して責任を負う、こういう義務を与えた方が、あなたの言う心配というものがなくなるのではないか、私はこう思うのでございます。決して私はその言葉じりを拾って逆説的に何か妙な言い方をしようというつもりではございません。私どもの過去の体験からいって、労働運動に対する義務権利とともに相伴うものだということが通説であるといたしましたならば、要求する。そうして要求した結果はあなたの方が勝手にきめる。勝手にきめたことについては責任を負わない、こういうふうな立場に放置しておくことがかえって悪いのではないか、私はこう考えるのであります。今日の国家公務員労働運動に対してもしあなたが不満なり何なりを持っていらっしゃるとしたら、それを解決するゆえんの根本的なものは実にそこにあるのではないか。しかも実態論としては、同じように団体交渉らしいものをしているのでありますから、それに調印をさせ、そこに義務を負わせる、こういうことはほんのあと一歩の解決で、ここに問題の解決のヒントが得られるのではなかろうか、こういうように考えるのでありますが、いかがでございますか。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 あんまり雑音を気にされない方がいいと思うのでありまして、私は国家公務員は無責任であるなどということを申したこともありませんし、そういうことを考えてはおりません。私は政府公務員制度及び給与担当大臣ということでありますから、一番親しみを感じているのは国家公務員であります。そこで、今のお話のように、国家公務員団体交渉権を置く方がいいではないかという御趣意のように存じますが、現在のところは現行法のままがいいと思います。
  7. 横山利秋

    横山委員 時間がありませんからあまり多くは申しませんが、私の言葉が、何かあなたが言われた言葉だからこそ言うというように考えられないで、本質的に国家公務員に対してよりよき労働運動、より健全な義務を負う労働運動、こういうことで与野党政府もみんな考えておるといたしましたならば、その解決の目標というものはそこに置く。そうしてかりに罷業権は禁止をいたすといたしたならば、そこに義務を負わせるという意味前進というもので解決が求められるべきではないか、こう考えるのでありますから、政府側としては、一つ国家公務員制度を今後とも御研究になる過程として、とくと私の申し上げる点を率直に御検討を願いたいと思います。  それから第二番目は、今日実態的に本法の改正一つ問題点となりました、二カ月以内の労働者公務員関係にもあるいは三公社現業の中にも実はたくさんいるのであります。数万おると言われておるのでありますが、この問題について審議会では、いろいろな討論の結果このような改正案になりました。私はこの問題それ自体法律上の問題について意見を有するのでありますが、時間がありませんからそれは別の機会にいたします。現行法のもとにおけるこの人たちについて処遇を改善する意図はないかということが私の質問したいところであります。つまり、たとえば三公社現業を例にとってみますと、これは本来は二カ月以内で解雇するというそういう条項の趣旨でありますが、これを何回も何回も繰り返して、今や一年二年三年と雇用されておるいわゆる二カ月以内の雇用労働者の数はべらぼうに多いのであります。そしてそういう人たち昇給がない、賞与がないのであります。そうして欠員があったら採用するという建前で、一年も二年も放置されているのであります。これは現行法を直すということもさはさりながら、その運用の上において大臣として注目を払うべき問題であろうと思います。三公社現業ばかりでなく、国家公務員の方にも常勤労働者非常勤労働者ですか、この食い違いのある二種ないしは三種の労働者がございますが、それは長期にわたって雇用されておりながら、その労働条件たるや全く放置されておる。今回、これらの人たち団体交渉対象になると思いますが、給与審議室というものをお作りになったのでありますが、そういうところでもすみやかにこれを取り上げて、そうしてこの人たち労働条件給与等について検討されて善処される気持がないかどうか、この点を一つ承わります。
  8. 中西實

    中西政府委員 二カ月以内の期間を定めて雇用されるものの種類がいろいろとございまして、全く臨時的な種類のものも数多くございます。しかしながら、もしもやっております仕事の内容等常勤のそれと全く同じのようなものが、単に形式的にに二カ月以内の期間を定めて雇用され、それが繰り返されておるということになりますれば、これはやはり労政の公平の立場から言いまして、常勤と同じような取扱いをされることが望ましいのじゃなかろうかというふうにわれわれは存じております。労働省の従来からの建前雇用の安定ということから、常用になり得るものはできるだけそういうふうに切りかえるようにということを希望しておるところでございます。ただ、当初に申し上げましたように、二カ月以内の期間を定めるものにつきましては、種類もいろいろございます。その種類に応じて措置されなければならないというふうに存じております。
  9. 横山利秋

    横山委員 局長言葉で私はけっこりだと思うのであります。ただお話の中の、一日も早く普通職員に切りかえるようにと切望するとおっしゃいましても、実際問題としては、予算定員なり何かによってこれは非常に困難な事情でございます。ですから私は実態最低線要望として、二カ月以内の職員も普通に昇給させなさい。一年も二年も三年もかかっておって昇給もさせないということはいけません。それは逐年労働者になっておるのです。それから賞与もやりなさい。ほんとうに二カ月でさようなら、あるいは季節的労働者でさようならというならいざ知らず、普通の職員と変りなく仕事している者に対しても、賞与をやりなさい、こう言っておるのであります。この点については私は必ずしも法律を変えなくても運用上できる、こういう方途を存じておるのであります。しかもさらに要望いたしたいのは、政府直轄公務員労働大臣の手元で善処ができると思うのでありますが、三公社現業については、やはり直接的には大臣善処は及ばないと思うのであります。この点について、これは国会与野党を問わず同感をされると思いますから、われわれの要望趣旨大臣から三公社現業の方にお伝えを願いたい、そうして大臣としてもその点について御尽力を願いたい、こう考えるのでございますが、いかがでありますか。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公務員制度調査会の答申によって、ただいま公務員制度検討をいたしておりますから、そういうことを十分研究いたしたいと思います。三公社現業にも相談をいたします。
  11. 横山利秋

    横山委員 次にお伺いをいたしたいのは、本改正法案がここで衆議院を通過する段階になって参りましたが、これに関連をいたしまして、地公労法諸君についても改正意思がないかということであります。今度の改正点については、私どもはもう三日、四日申し上げておりますように、不満な点が一ぱいございますが、かりにこの改正案ベース国会がきめるといたしましても、現行地公労法についてはこの改正点と同じベースから改正する必要があるのではないか、こういうことを考えるわけであります。たとえば今回の改正点組合員範囲について、地公労法では条例によってこれを定める、そうするとそれは公労法立場では、国会がきめる、こういう立場になるわけでありますが、現行法ではそうではございません。そうして今度の改正点のようにいたしますならば、地公労法においても、労使関係とその意見を尊重する制度に当然改めるべきだと存ずるのでございます。それから専従者の数の問題につきましても、今回の改正点と同じように地公労法は変えらるべき当然の理由があると存じます。それから団体交渉の問題につきましても、八条二項の改正点を同じように地公労法に適用さるべきだと信ずるのであります。それから解雇に対する救済措置についても、若干のニュアンスはございますが、本改正点によってなさるべきでありましょう。あるいは条例に抵触する云々の問題につきましても、地公労法の八条、九条でありますか、これらにつきましても、今回の改正点というものは同じようにベースを合せるべき点があると思います。それ以外に地公労法において改正すべき幾多の点があると思いますが、今申し上げましたような点は、公労法改正と合せて、政府意思国会意思で今度改正になりますならば、当然今度は改正すべき点になると考えるのであります。この点について政府側として、地公労法を将来少くとも今回の改正案ベースに合わせて改正をなさる用意があるか、この点をお伺いしておきたい。
  12. 中西實

    中西政府委員 実は公労法改正に当りまして、当然に地公労法も合せて同じような調子にしたいということは当初から考えておったわけであります。ただ地公労法におきましては、所管の官庁との話し合いもいろいろと困難がございます。この際は若干とも前進という意味で、この話し合いがつくまで待っておりますと、いつのことかわかりませんので、とりあえず切り離してやったわけであります。しかしながら今度の改正のおもなる点は、すでに地公労法では解決がついておる。たとえば交渉単位制度にしましても、地方公労法には当初からないのでございます。それから予算上、資金上の問題も地方公労法関係では給与総額というような制度もございません。従って大体においてはすでに今回の改正調子がとれておる。ただ今御指摘になりました点につきまして若干技術的に調十の合わないところはございます。しかしながらこれはそう大したことでもございませんので、将来の検討に待って、そうして機会がございますときに改訂をいたしたいと存じております。
  13. 横山利秋

    横山委員 はしなくもあなたが本改正案は非常な前進だと言うておられたにかかわらず、ここで馬脚を現わしたという感じがいたすのであります。大したことはございませんとおっしゃることは、本改正案が大したことはないということと同じような意味になってしまうのであります。もしもそうでなくして、本改正案は大したことだとおっしゃるなら、地公労法に対してもいわゆる大したことを当然おやりになるべきだと思うのでございます。どちらかの定義をあなたは選ぶべき段階にあると思うのであります。しかしそういうことを言うたとて、何の足しになるものではございません。どちらの見解があるにしろ、今回公労法改正した点については、すみやかなる機会地公労法についても同じような、ないしはそれ以上の改正をすべきであろう、そうでないと片ちんばになる。しかも先ほど私が例示をいたしましたような点は、そう角を立ててどうのこうのと政府部内あるいは国会内で争わるべき問題ではなかろうと思うのであります。大臣に率直な見解を承わりたいと思います。
  14. 中西實

    中西政府委員 大体地公労法と比べまして、(横山委員大臣答弁を願ったのであります」と呼ぶ)大きなところは今度の改正で、すでに改正済みであります。従って地公労法につきましては、先ほど申しましたように将来の機会検討して、改訂すべき点はしたいと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 次にお伺いをいたしたい点は、特に大臣答弁を求めたいところであります。それは業績賞与制度ができ、そして今度の仲裁についての改正がある。この間大臣は、公共企業体あり方についても、本来検討を加えなければなるまい、こうおつしゃいました。事実その通りであります。今日国鉄と申し、専売と申し、いかに労働努力して、増収にあるいは節約に意を用いましても政府経済政策なりあるいは時の社会事情なり、そういうことによってその努力は年末の収支決算においては数字上プラス、マイナスにたり、浮び上ってこないということが今日まで非常に多うございます。そういう点について大臣賃金なりあるいは業績賞与支給することに対しどういうお考えでございましょうか。本改正案なりあるいは前の改正案なりの業績賞与制度それ自体について、収支決算プラスにならなければいかぬとか、そういう独算制のものとで議論しなければいかぬとか、もしこういうような考えでありますならば、どんなに労働者が働いても、政府経済政策が非常にデフレ政策になった場合、あるいはたばこの売れ行きがパチンコの盛衰によって動く場合には、労働者努力というものは効果を現わしておっても、独算制の計算上には現われてこないのであります。従って私は今回の四十四条の第二項にございますあの文句をすなおに解釈して、少くともその中で企業努力によって増収があった、ないしは企業努力によって節約があったのを、それぞれ分離をして考えるべきである、こういうように解釈すべきだと考えておるわけでありますが、それとも大臣は、いやそうではない、これは独算制年度末の収支決算において黒字にならなければ、これは考えないというふうにお考えになっておるのかどうか、この点を承わりたいと思います。
  16. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は基本的に三公社というもののあり方について、個人的にはこういう制度については非常に研究を要する点が多いと考えておりますし、政府においても公共企業体というもののあり方については非常な関心を持って研究をいたしておるのでありますが、当初公共企業体を作りましたとぎには、いずれもみな独立採算制を希望いたしておったのであります。しかしたとえば今日の国鉄考えてみましても、国鉄の経理のあり方については、あなたも御存じのように、これは独立採算といういわゆる民間産業のコマーシャル・ベースから考えてみましたならば、今日の公共企業体運営というものには問題が多いと思います。しかしながら現在公共企業体というものが存置いたしておる以上は、やはり企業体内部独立採算と申しましても、なかなか困難でありましょう。そこで今お話業績手当などについては、御承知のように企業体内部においていろいろ企業努力をし、そうしてまた節約などをいたして企業努力が現われてきたときには、それがやはり業績手当の資料になる、こういう取扱いをいたしておるので、この点は基本的には問題がありましょうが、現在の状態ではこういうふうにやっていくよりいたし方がないのではないかと考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  次にお伺いをいたしたいのは八条の二項において、団体交渉範囲が列挙をされておるのであります。少くともこの八条二項における団体交渉対象というものは、その具体的なきめ方についてはすべて労使の間にゆだねられるべきではないか。そこで解決ができなければ調停、仲裁というのは申すに及ばざるところでありますが、ここはすべて、八条二項については、管理運営の問題はさておき、労使の協議、団体交渉にゆだねらるべきではないかと考えるのであります。どうしてそういう質問をあえていたすかと申しますと、八条二項に書いて、これは団体交渉対象としながら、ほかの法律でその労働条件を規定しているからであります。こういうことは私は全く当を得ないと思うのです。これは団体交渉対象だと、基本的な法律である公労法できめたならば、それについてまた別な規定を、公社法とか、あるいはそのほかの労働法関係のある法律によってこれを規定することには誤りがあるのではないか、こう考えるのであります。たとえば今日まで紛争を起しました例を申しますと、退職金制度がございます。退職金制度について、団体交渉対象と八条に見られておりますから、労使の間で数年間交渉いたし、それが調停案にもなり、そして政府善処を願って、先の国会にまでそれが持ち上りました。ところがそのまま放置されておるのであります。こういう点については、私は労使自主性を尊重すればいいではないか、もしそれがかりに百歩を譲って、予算上、資金上不可能な云々という問題になったときには、これは最終的にあなた方のおっしゃっておられるように、予算上の問題については、国会が公正な判断をいたし得るのでありますから、八条二項によって団体交渉にゆだねたとするならば、ほかの法律で規制をしておるという今日の状況は改めるべきではないか、こう考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
  18. 中西實

    中西政府委員 原則といたしましては、ただいま横山委員の言われた通りでございます。しかしながら、すでに三公社現業には、その公共性のゆえに、特に労使関係につきましても、公労法という特別な法律がございますように、やはり労働関係につきましても、必要に応じて法律できめられる、きめられないということはないんじゃなかろうか。仰せになりました退職金の問題は、かつて問題になりました。しかしながらたとえば恩給、今度変りました共済組合、これも法律できちっときめられて、実施されるということになっておるわけでございます。いいこと、悪いこと、いろいろございましょうが、やはり公共性のゆえに、ときに法律できめられるということも、かえって運用がスムーズにいく場合も考えられるのじゃないだろうか、こういうように考えます。
  19. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 横山委員に申し上げます。お願いした時間が来ておりますので、結論に入っていただきたいと思います。
  20. 横山利秋

    横山委員 あなたのおっしゃる意味もわからないわけではございません。しかし今日のそれぞれの公社法は、不必要にこれを縛っておる。どうしてそういうことが起ったかということを歴史的にお考えになれば、私の申し上げておる点は、原則的にあなたがおっしゃる通りに了解できるわけであります。たとえば日鉄法の例をとりますと、二十九、三十、三十一、三十三条等々、非常な制限がございます。これらの制限については、今後公務員法なり、あるいは公社法を検討する際に、原則的にはあなたのおっしゃったような八条二項によって団体交渉にゆだねた、こういう点でありますれば、できる限りこれは八条二項にすべてをゆだねていくように、そういう方向でもって今後の議論を展開していくべきではなかろうか、私はこういうふうに質問をいたしておるのでありますから、この点について簡単に答弁を願いたい。これが第一点。  第二点に、同じくこまかい問題でありますが、今度単位制度が廃止になりましたが、交渉委員制度は残っておる。しかしこの交渉委員運営については、労使の間できめるとして、すべてこれを交渉委員にゆだねた。このことは、端的に申せば、労使の間にゆだねたのでありますが、これが交渉委員の云々がきまらなければ団体交渉ができないという改正案趣旨ではないと存じますが、いかがでございましょうか。簡単にお答え下さればけっこうであります。
  21. 中西實

    中西政府委員 最初のお話でございますが、この三公社現業——五現業公務員でございますが、三公社につきましても、その職員は公務に従事する者とみなされております。そういうような関係で分限、服務につきましても一応法律できまっておるものと存じます。しかしながら建前としましては、漸次やはりこういった問題を、あるいは団体交渉というようなことできまっても、大した支障はないんじゃなかろうか。今の建前が、職員が公務に従事するものとみなすということで、非常に国家的な仕事というふうに取り扱っておりますので、その建前から言いますと、こういうこともやむを得ないのじゃないかというふうに考えます。  第二段の交渉委員の問題でございますが、これは本来団体交渉権というものがあるわけでございますが、それを秩序立てるために、交渉委員というものを選んでやるということでございます。従って交渉委員というものは、当然それぞれの母体から選ぶのでございますから、直ちに選ばれて、それが交渉委員となって交渉に当るということになる、その間に大した不都合はないんじゃなかろうかと考えます。
  22. 横山利秋

    横山委員 私の質問していますのは、交渉委員の数、任期、その他団体交渉の手続などがきまらなければ、団体交渉はできないのか、簡単に言えばそういうことであります。
  23. 中西實

    中西政府委員 今の数その他、これは改正案考えます場合に、鶏と卵の関係で、当初だけ若干困るなという話はしておったのであります。しかしながら、そこは従来から大体慣例というものができておりますので、従ってそうトラブルなしにそういうこともきまっていくんじゃなかろうか。従って初めからやはり人数その他等もあまり日時はかからずしてきまるんじゃないだろうか。ただ一番初めにおきましては、人数その他を定めるための団体交渉があり得るということは、われわれとしても予想しております。
  24. 横山利秋

    横山委員 少しひっかかる言葉をおっしゃいましたので、私の質問時間が長くならざるを得ない。この法律十条と十一条の関連というものは、あなたの解釈をなさる点と、私の解釈いたします点とは、ずいぶん法律的に違います。今度の十条の改正点は、公共企業体等を代表する交渉委員は当該公共企業体等が、組合を代表する交渉委員は当該組合指名した場合においては、名簿を相手方に提示しなければならぬ。名簿提示ということが要件になっているのであります。その要件を十条において規定をいたしているのでありますから、名簿を提示することによって要件はそろうべしと考えるのが、これが法律的な当然の解釈だと私は考えるのであります。私はあえてからんだものの言い方をしているのではございません。しかしあなたが従来の経過を頭にこびりつけて要らぬ心配をしているきらいがあると私は考えるのであります。しからば逆説的に言いますと、その十一条の交渉する人は、一体いかなる資格といかなる権限をもって交渉するか、こういうことになっていきます。これは非常な問題を内包するのであります。あなたがおっしゃったように、そう大したことでない、こうおっしゃるならば、十条によって団体交渉権がここに確立する、こういうふうに見るべきが正当であろうと私は考えているのでありますが、いかがですか。
  25. 中西實

    中西政府委員 先ほど申し上げましたように、十一条の団体交渉ということは、十条のこういった交渉委員の名簿を提示する、そのためには数をきめなければいけない。従ってそういった数等をきめるために、前段の団体交渉というものがあり得るというわけであります。
  26. 横山利秋

    横山委員 その団体交渉というのは、公労法にいう団体交渉でありますか。
  27. 中西實

    中西政府委員 十一条による団体交渉でございます。その団体交渉によって交渉委員というものがきまってくれば、交渉委員による団体交渉が始まるのであります。
  28. 横山利秋

    横山委員 私はここでやめたいのでありますが、ほんとうに委員長に申しわけないのでありますが、非常に問題のからんだような御答弁でありますので、非常に私は残念に思います。それでこの十一条による交渉というものは団体交渉である、しかしそれは公労法全体を通ずる団体交渉でないとかりに仮定いたしますと、十一条の交渉によって紛争ができ、処分ができたときには、それは不当労働行為としての提訴権がない、こういうふうにお考えでございましょうか。
  29. 中西實

    中西政府委員 それはあり得ると思います。
  30. 横山利秋

    横山委員 しかりといたしますならば、あなたの答弁は前後撞着矛盾もはなはだしいと言わなければなりません。私は率直に申して、もうそこまでくれば、あなたから満足のいく答弁があれば私はここで終るつもりでございますから、そのつもりでお答えをお願いします。——そういたしますと、十条の団体交渉も十一条の団体交渉も同じである、公労法による権利義務はすべて同じである、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  31. 中西實

    中西政府委員 団体交渉できまったあとの手続は同じでございます。団体交渉の内容は、その他をきめることが十一条の団体交渉でございます。きまったあとの労働条件その他についての交渉は、この交渉委員による団体交渉による、こう考えております。
  32. 横山利秋

    横山委員 どうもはっきりしないけれども、あなたは十一条による団体交渉、つまり数その他がきまる以前の団体交渉も不当労働行為の適用を受ける、こういっておるのであります。しかりといたしますれば、十一条の交渉も公労法の適用を受ける団体交渉じゃないかといったらそうだとおっしゃる。それならそうはっきりおっしゃい。そうすると十一条による交渉は普通の団体交渉と違わない、十一条についての交渉をしているだけであって、何ら普通の団体交渉とは違わない、こういうことでよろしいか。あなたがそうですと言えば、私はこれで質問を終るのです。
  33. 中西實

    中西政府委員 先ほどからそう申しておるのであります。
  34. 横山利秋

    横山委員 それでわかりました。これで終ります。
  35. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 森本君。
  36. 森本靖

    森本委員 先ほど横山君も申し上げましたように、細部のいろいろ小さい問題でまだ質問の事項が相当ありますけれども委員長からもいろいろ要請がありましたので、その点はまことに遺憾と考えますけれども、やむを得ず制限された時間で行いたいと思います。  今回の改正において単位制度が一応改正せられた形になりましたが、ここで問題になりますのは、今後公共企業体等の中においてそれぞれ第二組合というような形ができ上ってきた場合、これの団体交渉に関する拘束権と申しますか、そういう問題については労働省当局はどうお考えになりますか。非常に時間がありませんので、上っつらだけなでていくような質問になりますが、簡単に御説明願いたいと思います。
  37. 中西實

    中西政府委員 今度は組合ごとに交渉ができることになります。従って組合が複数になりますればそれぞれ十条、十一条の手続によって交渉ができるということであります。
  38. 森本靖

    森本委員 私が申し上げておりますのは、同一企業体にありまして甲の組合、乙の組合、それぞれ違う団体交渉によって結論を得たという場合に、その団体交渉において結論を得たもののその従業員に対する拘束権というものについてはどうなるかということを事務的に御説明願いたいということであります。
  39. 中西實

    中西政府委員 当局が一つでございますので、結論が違うようなものが出ることは予測できないのでありますが、協約その他の締結がございますれば、それぞれ構成員を拘束するということになります。
  40. 森本靖

    森本委員 私が聞いておりますのは、もしかりに当局が一つであるから違う問題が出ないというふうに言われておりますけれども、細部の問題についてはそういうことが出るおそれが多分にあることがあるわけであります。そういう場合に甲と乙という組合がそれぞれ違う団体交渉の結論を得た場合には、その得た結論に対する拘束権というものはどうなりますか。同一企業体において現にそういう事項がすでに起っておる公共企業体等もありますので、この際これを明確にしておいてもらいたい、こういうことであります。
  41. 中西實

    中西政府委員 原則はそれぞれの組合ごとの間の協約というものがそれぞれの構成員を拘束する。ただ労働組合法の十七条の一般拘束、つまり四分の三の多数にある協約が適用になるという場合は全体に及ぶという一般拘束力の規定がこの場合においては適用になると考えております。
  42. 森本靖

    森本委員 それからその次はもう一点、基本的の問題になりますけれども公共企業体労働組合における主要なる労働組合の任務というものは一体どの点にあるというふうに政府当局はお考えであるか、端的に御回答願いたい。
  43. 中西實

    中西政府委員 主要なる任務といいますとどういうことでしょうか。——一般労働組合の任務と特に違うところはなかろうと思います。
  44. 森本靖

    森本委員 何かあとの質問考えられて非常に慎重な答弁でありますが、公共企業体等の労働組合の主要なる任務というのは、すなわち当局と団体交渉を行うことが一番主要なる任務じゃないかというふうに考えられるのでありますが、その点はどうですか。
  45. 中西實

    中西政府委員 組合活動すべてをやるのが任務だと思います。当事者に対しまして交渉するということが大きな任務であることは言うまでもありません。
  46. 森本靖

    森本委員 簡単でいいのです。私の言っておるのは、労働組合を設立するということは、労働組合を設立して労働条件についてなるべくよろしい労働条件の獲得をするために相手方に対して団体交渉を行うことが一番主要なる任務じゃないかということを聞いておる。その通りならその通りでよいのです。
  47. 中西實

    中西政府委員 どこが主要かは何ですが、それも大きな組合としての任務だと思います。
  48. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、今回の改正案におきましてもそういう主要なる一番の任務であるところの団体交渉を行うところの交渉委員というものは、これは当該組合指名すればよろしいことで、指名すればよろしいということはそれは別に従業員でなぐとも、組合員でなくともよろしい、こういうことなのですね。
  49. 中西實

    中西政府委員 その点につきましては従来の解釈を変えておりません。従って職員でなければならないという制限考えておりません。
  50. 森本靖

    森本委員 そこでわれわれが非常に不審に感ずることは、それほど重要な任務を持つ労働組合として相手方に対する重要な任務を持つ交渉委員というものは、これはほとんど組合の代表にも匹敵する仕事を行うわけであります。そういう交渉委員というものが部外者であっても、職員でなくとも、よろしい、こういうことに従来通りなっておるにもかかわらず、従来のいわゆる法律によりますところの当該従業員でなければ組合員にも、それから役員にもなれない、こういうことを依然として改正をしておらぬわけであります。この点につきましては審議会においてもかなり組合側から要望があったと思いますが、なぜこの辺の改正を考慮されなかったかということは一番疑問に思うわけであります。この交渉委員あり方ということと組合員の問題ということの関連をどうお考えになっておるか、これは重要な問題ですから、一つ大臣からお答えを願いたいと思います。要するに私の言うのは交渉委員というものは当該労働組合にとって非常に重要な役割を持つものである。これを部外者がやってもかまわないということにしておきながら、一方においては組合員、さらに組合の役員については従業員でなければならぬということはどういうことか、簡単にお答えを願いたい。
  51. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のようにこの審議会の答申の場合にも、組合側と公益側、経営側との御意見が対立いたしまして、まちまちでありまして、交渉委員組合員でなければならないというふうな意見も出たのであります。そこで本法の草案を作りますときに、審議会意見がこの点で一致しておりませんでしたので、やむを得ず現行通りにいたした、こういうことは当初に御説明申し上げました通りであります。
  52. 森本靖

    森本委員 当初の説明はよくわかるのですが、ただ審議会意見通りとかどうとかということは除いたにいたしましても、労働大臣としてこの問題について考えた場合、労働組合としての一番重要な任務と責任を持つところの交渉委員というものは従業員でなくともよろしいということになっておりながら、その従業員でなくとも組合員もしくは役員になれるようにしてもらいたいという組合側からの要望をなぜ取り上げておらぬのか、そういうことでは非常に筋が通らないような気がするわけであります。そこで、理論的にこの問題の関連性はどうなるかということをお聞きしておるわけであります。
  53. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 今申し上げましたような結果でありますから、公社側と組合側との意見が対立してまとまっておりませんので、遺憾ながら現行法通りにいたしたいということであります。
  54. 森本靖

    森本委員 組合公社側との意見がまとまっておらないので、こういう答申になって、こういう改正になったということはよく承知をしておるわけであります。ただ私が聞いておるのは、労働大臣としては、私が今説明したところの内容を分析した場合に、そのときにおける説明をどう考えるか、この関連性の説明をどう説明せられるかということであります。審議会の答申とか、組合側の意見とか、あるいは公社側の意見とかいうことでなしに、現に一番重要な交渉委員というものを部外者が担当してもよろしいことになっておる。ところがそれよりもずっと責任の薄いところの組合員にはなってはならない、こういうことがはっきり明示されておるので、この関連性をどう考えるかということをお聞きしておるわけであります。
  55. 中西實

    中西政府委員 現行通りにいたしましたのは、今大臣から言われたのが最も大きな理由でございます。ただ理論的に団結権団体交渉権というのはやはり違うのでありまして、団体交渉組合の代表として委任を受けてもできる。しかしながら、いかなる構成で団結するかという問題につきましては、これはまた別個の観点から考えなければいけない。特に十七条で、公社関係あるいは公益関係争議行為ができません。従って、それとの関連におきまして、もしもこの四条三項がございませんければ、それに違反する外部の人については担保のしようがないのであります。従って、スト権を禁止しておるという建前をとっておる限りは、この四条三項というものはあってもやむを得ない。そこで理論的にもし申せということならば、そういう理屈もあるし、かたがた意見も合わなかったというわけで現行通りにしたわけであります。
  56. 森本靖

    森本委員 非常に回りくどい説明で要領を得ないのですが、その重要性ということについては、交渉委員と一般組合員とを考えた場合には、交渉委員の方が重要であるということははっきり認めざるを得ないと思うのです。ただあなたがおっしゃったように、団結権団体交渉権関係においてこれはこうなっておるということでありますが、それを一つ簡単に、つけたしは要りませんから、こういう理論的なことでこれはこうなっておるということを御説明願いたい。
  57. 中西實

    中西政府委員 今言いましたように、争議行為ができない、しかるにかかわらず、もしも外部の人が団体に入っておるという場合に、その争議行為に対してどういう保障があるか。職員ならば解雇されるというように、ちゃんと排除規定もございます。しかしながら外部の人に対してはそういった担保がないということになれば、極端に言いますれば、十七条というものが無視されておる、いかんとも仕方がないというような事態も生じますので、四条の三項というものはやはり重要じゃなかろうかと思います。
  58. 森本靖

    森本委員 そのことは、要するに役員になっている場合はそういうことも言えるのじゃないかと思うのですが、それじゃ組合員になれないということはどういう理由によってそうなるわけですか。
  59. 中西實

    中西政府委員 組合員といえどもやはり、役付であるとか役付でないということだけでなくて、そのことを除きましても相当の影響力を与え得る場合もあり得るわけであります。従って、十七条の関係から一応これを入れておくのが今の現状におきましては妥当じゃなかろうかというふうに考えます。
  60. 森本靖

    森本委員 組合員でも影響力がはなはだしいので、もしストをやった場合に処罰することができないというような理論ではおかしいと思うのです。最初にあなたがおっしゃったように、役員ということであるならば、罷業とかなんとかを行なった場合に処罰することができないということは当るかもしれません。しかし組合員になるということは、そういうことについてはほとんど当らないと思うのです。組合員ということでも、その組合員を代表して、その組合員の一番重要な問題を相手方に交渉する、団体交渉を行うということはもっとずっと重要であると思うのであります。その方はかまわないということになっておりながら、一般の組合員にもなれないということは理論的にどういうことであるかということを一つ明確にしてもらいたい。  役員ということについては、確かにあなたがおっしゃる通り罷業権が禁止せられておる。その場合に、その役員の責任を問うということになると問いようがない。だから、役員についてはその点も一応筋が通りますが、一般の組合員になれないということはどういうふうな理論的根拠があるかということをお聞きするわけであります。
  61. 中西實

    中西政府委員 団体交渉の場合におきましては、一定の手続で秩序ある話し合いということです。一方争議行為というものは十七条によって絶対に禁止しているわけでございます。従って、その違反のことについて影響力のある者、しかもそれを現実にやったという者に対しての担保につきましては、やはり理論的には心配があるわけでございます。
  62. 森本靖

    森本委員 委員長が時間を制限しておりますので、委員長の時間制限に協力いたしますけれども、今の答弁は非常におかしいと思うのです。一般平組合員にはそれだけの責任がないと私は思う。一組合員になっておって、その争議行為に重大な影響を及ぼすというようなことはあり得ないと思う。役員とかなんとかという場合にはそういうこともあり得るけれども、一般の平組合員の場合にはそういうような影響というようなものはほとんどない。あなたは秩序ある話し合いによって行うと言うけれども、それよりも、何十万という労働組合員を代表して行うところの交渉委員というものの任務の方がもっとずっと重要であろうということは事実なんです。その理論的な解明が、一般組合員でもやはり一緒であるということはちょっと理論的におかしいと思うのですが、その辺をどう考えるか。役員の点につきましてはわかりましたけれども、平組合員でもなれないということについての理論的な根拠をお示し願いたい。こういうことであります。
  63. 中西實

    中西政府委員 先ほどから申しておりますように、従来の例から見ましても、平組合員でも懲戒その他の処分を受けておる場合がございます。ピケその他の行為もございましょうし、これにつきましては、担保ということから考えまして、やはり平組合員に入れないというのが理論的には正しいかと思います。
  64. 森本靖

    森本委員 委員長、時間はまだ何ぼありますか。
  65. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 もうお約束の時間を九分過ぎております。
  66. 森本靖

    森本委員 私は、委員長が先ほど言った時間の制限には協力してこのくらいで打ち切りたいと思いますが、今の組合員の問題についてはどうしてもはっきりした答弁がないと思うのです。労働省当局としては、もう少しはっきりした理論的説明ができるように将来研究してもらいたいと思うむこれで終ります。
  67. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 他に御発言がありませんか。——田中君。
  68. 田中正巳

    ○田中(正)委員 この際動議を提出いたします。本案につきましては質疑も尽されておると思いますので、これにて質疑を打ち切り、直ちに討論採決せられんことを望みます。
  69. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 ただいまの動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 起立多数。よって本動議は可決せられました。質疑は打ち切られました。  これより直ちに討論に入ります。通告があります。これを許します。森本君。
  71. 森本靖

    森本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府提出の公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案に対しまして反対の討論を行うものであります。  この公共企業体労働関係法は、昭和二十三年、当時占領軍の強い示唆によりまして立法された法律であります。当時のことを考えてみまするに、当時は国鉄現業官庁の労働組合が日本の労働運動の主流をなしておりまして、活発なる労働運動が展開せられていたのであります。この活発なる官公労の労働運動を弾圧いたしまして、官公労の分裂をはかろうとして、当時の全逓等五現業には国家公務員法をもって政治活動の自由、争議権、さらには団体交渉権を一挙に奪い取ってしまったのであります。さらに国鉄、専売等に対しましては、この公労法をもちまして争議権を奪い、団体交渉権にも一種の制限措置を講じたのであります。このようにこの公労法は、制定当初からきわめて労働者に対する弾圧的な意図を持って立法せられたことは明らかであります。  その後政府はしばしば改正案を提出し、今日の公共企業体等労働関係法となったのでありますが、その改正がことごとく部分的であり、何ら本質的な解決をし得なかったということも事実であります。いやまた故意に根本的な改正をしなかったと言っても決して過言ではございません。今日三公社、五現業職員といえども、日本の情勢からいたしますならば、民間労働組合と同じく、一般の労働三法を適用いたしましても何ら不都合はなく、また当然の措置であります。そうすることが日本の正常なる労働運動公社並びに政府事業の発展に寄与することの第一条件であるということを私は深く信ずるものであります。かかる観点からいたしますならば、労働者の基本的権利を奪ったところのこの悪名の高い公労法を、政府が真剣に、まじめに考えまして改正をせんとするならば、この法律の廃止こそを提案すべきが至当であります。一歩後退をいたしまして改正をするにいたしましても、今回の政府の提出によるところの改正案には、遺憾ながら次の理由によりまして反対をせざるを得ないのであります。  その第一は仲裁裁定についてであります。今回第三十五条の改正案におきまして「政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」と政府努力義務をうたっておりますけれども、そのあとで「ただし、公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」とあり、従来と全く同一であり、何らの進歩はないのでありまして、従来通り政府が裁定の実施を無視できるような改正案であり、全く噴飯もので、いかに政府答弁しようとも、今回の改正案は単なる技術的なものであります。給与準則や給与総額制度に若干の改正を加えましても、根本的な解決には決してなっておらないのであります。  第二に、公共企業体労働委員会についてであります。この労働委員会争議権を剥奪されましたところの労働組合側にとりましては、最終的にたよらざるを得ないところの機関であります。だからこそこの委員会の構成と運営はきわめて重要であり、慎重に行わなければならないことはだれしも認めるところであります。  しかしながら今回の委員の構成は、労使それぞれ五名に対しまして、公益委員は五名となっており、その公益委員の選任方法は、委員候補者名簿から国会の同意を得まして、内閣総理大臣が任命することになっておるのでありますが、その際作成されるところの候補者名簿に記載される委員候補者は、単に労働大臣労使それぞれの委員意見を聞くにとどまり、その同意を必要としないことに改正をせられておるのであります。このことは現行任命制度に比べるならば、労働大臣の権限が強化され、委員会政府への隷属化が強くなっておるということは明らかであります。  このように本来公正であり、中立でなければならないところの公企体労働委員会が、時の政府によりまして干渉、支配を受けるおそれのある改正については、私たちは強く反対をせざるを得ないのであります。  これ以外に、組合員範囲あるいは役員の問題等がありますが、時間がございませんので省略いたしまして、最後に五現業従業員の政治活動の問題についてであります。およそ今日の三公社、五現業あり方を見てみますに、その運営または労働関係等が類似しております点、これを区別する理由は何ものも一ないのであります。特に五現業につきましては、その身分的な問題に関する団体交渉事項は、ほとんどがこの公労法によって国家公務員法の適用除外になっておるのであります。ところがただ政治活動の制限のみは依然として除外になっていないのであります。このことはよく考えてみますのに、政府与党の諸君が党利、党略に基いた考え方により、公正なる判断をなし得ないところに原因があるのであります。一体電電公社職員と、その委託を受けて同一の電話交換業務なり、電信業務を行なっておるところの郵政従業員とどれだけ何が違うというのか、判断に苦しむものであります。特に同一局舎におきまして同一事業に従事をしながら、一は公社職員だから政治活動を許し、一は郵政職員であるから制限をする。こんなばかげたことは今日の社会にあってはならないのであります。この矛盾撞着せる状態に故意に目をふさぎ、この政治活動制限解除に一指だに触れていないところの今回の改正案は、およそ無意味改正案といわざるを得ないのであります。今回この一点でも改正すれば、まだしも私たちのある程度の改正案に対する共感を呼ぶものでありますが、今回の改正案は以上申し上げましたごとく、何一つとして取り柄のない無意味改正案であります。  以上簡単に反対の要点を申し上げましたが、最後に私は今回の改正案が何ら進歩したものでなく、逆に三公社、五現業労働者諸君が、強い不満政府当局に対しまして強い不信を抱いておることを申し上げまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)
  72. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 大坪君。
  73. 大坪保雄

    ○大坪委員 私は自由民主党を代表して、簡単に本案に対して賛成の討論をいたします。  現行公労法政府の提案理由にも示してあるごとく、占領下の立法でありまして、いわゆる翻訳立法の典型的のものであって、その後若干の改正はなされましたが、今なおわが国の実情に適しない点が多く、技術的な不備、欠陥も随所に見かけられ、公共企業体等の労使関係に無用の紛争ないし摩擦を惹起せしめるきらいのあったことは、すでにしばしば指摘されているところであります。従いましてかかる不備、欠陥をできる限り是正いたしまして、これをわが国の実情に適合せしめ、健全にして合理的な労使慣行の確立を促進せしめることにつきましては、何人といえども異論のないところと考えるのでありまして、今回政府が各方面から検討の結果、その改正案を提案しましたことは私どもの大いに賛同するところで、社会党の諸君もまた御同感のことと思います。私どもといたしましては、公労法改正については三公社、五現業あり方そのものについて、さらに労働三法にも根本的の検討を加えて、これらとの関連につき、その調整の可否等、これが抜本的解決の方途にまで突き進んでもらいたかったと思うのでありますが、一応この程度の改正も今日の状況下においては、一進歩たるを失わないと思うのであります。  そこで今その改正点の二、三について見ますと、現行公労法におきましては、わが国の実情に適しない、アメリカからの直輸入制度たる交渉単位制度なるものを採用しておりまして、これがかえって関係者間に無用の紛議を惹起せしめておるきらいすらあったのでありますが、今回の改正によるわが国の労使関係の一般的慣行に従い、労働組合団体交渉の当事者とし、公共企業体等及び組合がそれぞれ指名する交渉委員によって、団体交渉を行うことといたしましたことは、今後団体交渉を円滑かつ合理的に進めていく上に、きわめて大きな意義を有するものと考えられるのであります。さらに三公社雇用される者は、日々雇い入れられる者を除いてはすべて本法上の職員といたしましたことは、労働関係の統一的な処理の上からいって適切な措置であると考えるものであります。なおこの点とも関連して、公共企業体等の職員以外の者がその組合組合員または役員であっても差しつかえないのではないかとの主張に対しましては、前述のごとき公共企業体等の特殊な性格からいってとうてい同意できないのであります。  次に従来の仲裁委員会及び中央、地方の調停委員会を整理統合して公共企業体等労働委員会を設け、その簡素かつ能率化をはかったことはきわめて適切な措置であると考えるものであります。特に今回の改正案によりますと、公益委員はその職務の重要性及び特殊性にかんがみ、その任命手続等に関する規定はきわめて重要であると考えられるのでありますが、今回これを労働大臣労使委員意見を十分に聞いた上で作成する委員候補者名簿の中から、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとされており、このように国民各層の代表者による国の最高機関たる国会において公益委員たるに適するかどうかについて慎重に検討した上でこれを任命するということは、その公正性、中立性を確保し、その権威を高める上においてきわめて適切な措置であると信じます。  なお、公益委員五名のうち二名以内は常勤とすることができるとされておることにつきましては、多少の反対があるようでありますが、三公社現業の事業が全国的かつ大規模であること、その問題の重要性にかんがみ、公共企業体等の職員の労働関係の状況、その他その事務処理上必要な事項を常時把握しておく必要があるということ等からいって、この改正案も妥当なものと認めるものであります。社会党の諸君の中には、公益委員政府の選任によるものであるから、政党政治制度の今日、政治的偏向があり、政府への隷属性を感ずるという点を心配されておる向きもあるようでありますが、これは思い過ぎでなければ偏見であろうと思います。自分が選んだ者でなければ安心できないということはいかがなものであろうかと思う次第であります。  さらに今回の改正案におきましては、仲裁裁定を尊重する上において、裁定実施のための政府努力義務を明定するとともに、各公社法等の給与準則、給与総額に関する規定を改めて、給与総額制度に弾力性を持たせることとし、仲裁裁定の実施確保措置を講じておりますことは、公共企業体等の労働関係の円滑かつ合理的な処理の上からいってきわめて当を得たもので、一昨十二日の本委員会における参考人藤林敬三君の供述されたごとく、まことに労働政策上一歩を進めたものと言うことができるのであります。  本法の改正に当っては、政府の説明によりますと、労、使、公益の各側を代表する委員をもって構成された臨時公労法審議会を設けてその意見を聴取した結果、各側委員意見の一致を見たものをほとんどすべて取り入れて作成されたものであるとのことでありますので、各方面大方の御賛同を受けることができるものと期待しております。もちろん、いかにりっぱな法律でありましても、それが適切に運用されない限り死文化することは申すまでもないところでありまして、この際特に、労使関係当事者はもちろんのこと、この法律運用に当るすべての関係者が、公共企業が、一般民間企業が最終的には利益を上げることを目的とするのと異なり、公務員法にも明示してあります通り、国民に奉仕することを最終の目的とするものであること、及びその事業が国民の経済生活並びに一般公共の安全に対しても広く深き関係を持つ重大なる性質を有するものなることを認識されて、本法の目的、趣旨に即した適切なる運用に努められ、公共企業体等における健全にして合理的なる労使慣行の確立に努力されることを切望いたし、また社会党の諸君も、臨時公労法審議会における労働側委員諸君も賛成されておる事実もありますので、この際欣然賛成されんことを望みまして、本改正法案に対する賛成の討論を終ります。(拍手)
  74. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後零時三十六分散会