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1956-05-10 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 佐々木秀世君    理事 大坪 保雄君 理事 滝井 義高君       植村 武一君    加藤鐐五郎君       草野一郎平君    熊谷 憲一君       小島 徹三君    小林  郁君       高橋  等君    田中 正巳君       仲川房次郎君    中山 マサ君       古川 丈吉君    亘  四郎君       岡本 隆一君    堂森 芳夫君       長谷川 保君    森本  靖君       八木 一男君    横山 利秋君       吉川 兼光君    中原 健次君  出席国務大臣         労 働 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    石黒 拓爾君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(参議院送付)  国民健康保険法の一部を改正する法律案岡良  一君外二十五名提出衆法第二六号)     —————————————
  2. 佐々木秀世

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。横山君。
  3. 横山利秋

    横山委員 昨日の問題は主として十六条並びに三十五条、給与総額についての質問をいたしましたが、いささか疑念のあるところがございますので、その質問を少し継続をいたしたいと存じます。  きのう御質問をいたしました給与総額制度について「予算の定めるところにより」という文字がございます。その文字については、大蔵省側から、これは他意がない、こういうお話があったわけであります。他意がないということは、三十一年度の予算は一応決定をしておるのでありますが、今後お作りになります三十二年度の予算総則において、その他意がないという表現はいかなる表現において行われるものか、実は私はこの点について重大な関心を持たざるを得ないのであります。本改正案が円滑に実現をいたしますためには、他意がないのではなくして、いわゆる善意を持って予算総則が書かれなければならぬと私は確信をいたします。そういう意味合いにおいて、来たるべき予算案作成の場合に、予算総則にどういう表現をもってこの「予算の定めるところにより」という改正案趣旨がうたわれるものであるか、本日は大蔵省が来てはおりませんけれども、その法律改正主管省であるあなたの方から納得のいくような御説明を願いたいと思います。
  4. 石黒拓爾

    石黒説明員 御説明申し上げます。「予算の定めるところにより」という字句を入れました趣旨は、昨日大蔵省からも申し上げましたように、法律給与総額を緩和いたしましても、予算にその規定がなければ支出権が具体的に生じないために入れた規定でございます。具体的な規定といたしましては、これは字句にわたってまで大蔵省と打ち合したわけではございませんが、現在の三十一年度予算総則におきまして、例を国鉄にとりますと、予算総則第十七条に業績賞与規定がございます。これとほぼ同様の字句が入ることになるわけでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 十七条と同様な文句予算総則に入るだけで、本改正案趣旨が完璧になされるものであるかどうか、私は疑念を抱かざるを得ないのであります。大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、この予算の定めるところにより、たとえば大蔵大臣承認を受け、たとえば運輸大臣認可を受けて、そうして給与として支給するという、その大臣認可基準になるものは一体何であるか。大臣の、これは認める、いやこれは認めないという勝手な操作にまかされ得るものであるかどうか、その点予算総則の中において、大臣の勝手ほうだい裁量というものが許されないように規定するのが正しいのではないか、従来の経験からも私はこの点を心配するものでありますし、また解釈のいかんによっては、そういう総則十七条のごとき文章がうたわれましても、絵にかいたぼたもちに終るきらいがありますので、本改正について、予算総則の上において、あるいは大臣認可の上において、どういう道を開いておるのか、この点についてお伺いをいたします。
  6. 中西實

    中西政府委員 この認可基準と申しましても、これはいわゆる法律上の用語で言いますれば、法規裁量というものではないことははっきりいたしております。ただ今度の改正でも、条文に書きましたごとく、仲裁裁定は十分尊重するという、その精神のもとにこの認可その他も考えられていく、従ってわれわれとしましては、今度の改正で従来以上に相当円滑に処理がされるのではなかろうかというふうに考えております。     〔委員長退席亘委員長代理着席
  7. 横山利秋

    横山委員 今の局長お話は、好意を持っておるように見えて実は重大なる欠陥を持っておると私は存ずるのであります。なぜならば逆にこれを見ますと、あなたの言葉によりますと——私はその言葉自体に間違いがあると存ずるのでありますが、かりにその言葉をそのままにとってみましても、法規裁量ではない、自由裁量だ。しかりといたしますならば、勝手ほうだい大臣が認める認めない、こういうふうな認可をしてよろしいのであるかどうか。どこに大臣のその仲裁裁定尊重に対する突っかい棒があるかということがきわめて重大な疑念となって参るのでありますが、その点について、大臣が自分勝手に主観的に尊重したと申して、たとえば裁定十のものを一つしかやらない、一つしか金がないのだ、こういうふうな立場に立ったときに、それは話が違うのだといって、本改正案趣旨を生かすべき突っかい棒を労働省はどこに求めておるのでありますか。
  8. 中西實

    中西政府委員 この問題は、結局は運用、信頼の問題かと存じます。今度の改正、さらにまた仲裁裁定を出す今度の委員会権威ということから考えまして、従来以上十分にこれが尊重されて——むちろん法規裁量ではございませんけれども、しかしながら全く自由気ままに判定できるといろものではございません。もし拒否する、あるいは裁定と違うことをするということになれば、やはり客観的に相当ね理由かなければできるものではございません。従って建前としましては、これはもう仲裁裁定は尊重する——尊重するということは、大体そのまま実行するように努力する、こういうことで、おそらく今後の運営はわれわれとしまししも十分円滑にいくことを期待いたしております。
  9. 横山利秋

    横山委員 今の答弁大臣から答弁なさるのでしたら私は了承いたします。しかし法規解釈をなさる局長から、あなたの言葉をかりに例をとって言うならば、お経のような文句をお伺いしたところで何の足しにもならぬので、あなたは条文何条第何項によって、ないしはこういう規定が作られるから、これで安心をしてもらいたい、こういうお言葉を聞かなければ、これは絵にかいたぼたもちでありまして、何とでもなるのであります。政治家事務官僚の違いというものはそこで明確にしてもらわなければねらぬと思うのであります。重ねてお伺いをいたしますが、私はあなたの答弁に不満足でございますから、大臣自由裁量、勝手ほうだいということが防止し得る、こういう観点について法律的にお聞かせを願いたいと思います。
  10. 中西實

    中西政府委員 問題は仲裁裁定を尊重し得る客観的なものがあるかどうかということでございますが、今回の改正によりまして仲裁裁定を出しまする委員選任等につきまして、条文にもございまするように、労使の同意した名簿の中から総理大臣が国会の同意を得て任命される。形式的にもまた実質的にもきわめて権威のある委員会において、またその中の公益委員によって仲裁裁定が出されるということになりますれば、これは客観的にも十分に尊重しなければならないような裁定が出ることが期待されます。従ってこれに対しまして主管大臣は、一応会計法規上の建前から承認認可ということはいたしますけれども、しかしながらそれが十分に尊重されるということは期待されると思います。
  11. 横山利秋

    横山委員 まるきり見当の違った答弁をなさって、仲裁委員選出基準を、今やっております日鉄法改正にあたって御答弁をなさるということは、私はまことに白々しいにもほどがあると思います。私の要求しております問いということは、ここにいうところの本改正案の焦点となっていますところの給与総額緩和制度において、これはプラスだと大臣はきのうもおとといも言っておられるけれども、何がプラスだと私は言っておるのであります。このプラスのところは、考えようによっては、あなたの言うところによれば、大臣がかってほうだい認可をするのだ、こういうお話のようであります。それが間違っておったら、一つ説明をしてもらいたい。もしもあなたの言う通りであるとするならば、これは絵にかいたぼたもちであって、何にもプラスではないではないか。運輸大臣にしろ、労働大臣にしろ、あるいは大蔵大臣にしろ郵政大臣にしろ、この条項を善良なる立場においてこれを運営する突っかい棒になるものは何かといって聞いている。ところがその突っかい棒について何らの御説明もなくして、仲裁委員選出基準だということは、見当違いもはなはだしい。従って私の問いに対してまっすぐに答えてもらいたいのは、予算の定めるところにより大臣認可ないしは承認をする、こう言っておるのだが、それがゼロではない証拠を法律的に示してもらいたい、こう言っておるのであります。
  12. 石黒拓爾

    石黒説明員 自由裁量法規裁量か、自由裁量であれば、実質はゼロとひとしいではないかというような御議論と承わったのでございますが、判例におきましてもしばしば申しておりますごとく、自由裁量あるいは法規裁量ということは、あとから学者が結果的に見てつける名前でございまして、自由裁量というものは、無制限に何をやってもよろしい、あるいは法規裁量自由裁量というのは截然たる区別がそこにあるものだというものではない。自由裁量といえども、その裁量権の乱用にわたれば、それはいけないのだ、法規裁量といえども相当の裁量余地があることは当然であるということは、しばしば裁判所でも申しておる通りであり、私どもも同様でございます。従ってこの主務大臣認可または承認権につきましても、事柄の本質が、ここで自由裁量がこつ然として規則行為ないし法規裁量になるというふうに説明することは困難でございますが、同じく自由裁量のうちにおきましても、程度の差というものが非常にあるものであると考えております。この場合におきましては、明白に公労法第三十五条の努力義務をかぶった、そのもとにおける自由裁量でございますから、何が何でも理由もなしにゼロに削るというようなことは、とうていできないものであるというふうに考えております。
  13. 横山利秋

    横山委員 やはりそれもまた抽象的な議論であります。そうなりますと、物事を信頼しなければ、それはおよそ意味がないではないか、悪意を持ったらしょうがないじゃないかという立場に立つ議論のようであります。私もこれは了承するにやぶさかではございません。しかしながら、今日までの仲裁裁定歴史を振り返ってみますと、そこに争いのもとがあるようであります。明らかに対立する立場でありますから、片一方はいや、それはいかぬ、片一方はいや、いいんだということがあり得ることは、これを認めるにやぶさかではございません。しかしながらその歴史を認めるならば、ここに少しでも争い余地を少くしておくことが今日としては必要ではないかと思うのであります。従ってこの際自由裁量の疑いのある問題については、ある程度の自由裁量、勝手ほうだいということに制限を加え、そこに善意立場にあるんだという保証を与えることが必要なのではないか、その保証というものが、三十五条の改正のできるかぎだ、これだけでは私はやはり同じことになるのではないかと思うのであります。  それでは関連して少しお伺いしておきますが、大臣認可をするという対象というもの、大臣がここに銭があるという対象は、一体何をさして認可対象にするのでありますか。その予算対象は何に求むるのでありましょうか、その点をお伺いしたいのが第一点であります。  第二点は、運輸大臣なり郵政大臣認可ということになっているのでありますが、大蔵大臣承認ということになっております。こまかい問題で恐縮でございますが、これは常識上においてはそれぞれの主管省の違いかと存じますが、国の経営する企業においては大蔵大臣承認となっているのであります。その承認認可との間にどういうふうな法律的な違いを持って使用しておられるのかどうか、この点を第二番目にお伺いをいたしたいと存じます。
  14. 石黒拓爾

    石黒説明員 第一点の、認可するか、しないかについての検討対象となる範囲につきましては、これは法律的に申し上げますれば、裁定実施のための認可によって行われるべき流用または移用可能な財源の範囲ということでございます。そこで具体的に申しますならば、公社につきましては款項目節間の流用が非常に自由になっておりますから、純法律的に申しますれば、公社予算全体ということでございます。もちろんその中におきまして実体的に公社運営に支障があるかどうかというようなことから具体的な検討範囲もちろん狭まりますが、法律的にはそういうことになります。  第二点の、承認認可の相違につきましては、五現業は各財政法会計法特別会計法によりましてすべて承認という言葉を使っており、公社法はすべて認可という言葉を使っている、それをここに引いてきたものでございますが、どうしてそういう区別があるかと申しますれば、これは昔からの慣用句でございますが、公社政府そのものではございませんので、政府に対しては認可の申請をする。ところが五現業は、これは郵政大臣大蔵大臣、同じ閣僚同士でございますので、認可という言葉を使わずに、承認という言葉を使ったというだけのことであろうと考えます。
  15. 横山利秋

    横山委員 ついでにもう少しこまかい点をお伺いしておきます。  この日本国有鉄道法第四十四条第二項の前段、今日までありました条文においては、これは特別な給与として支給すると明記してあるのであります。今回は、どういうつもりか知りませんけれども給与として支給する、こうなっております。その特別でないという意味はいかなる意味であるかということが第一点。  第二番目に、少し根本的に触れるわけでありますが、労働大臣にお伺いいたしたいのは、このような第一回の改正、第二回の改正で、特別な給与なり、あるいは給与なり、そういう緩和措置を二段階にやってきておりますが、しかしこの際私は、根本的に大臣としてすでに腹中奥深く考えておられるところがあるのではないかと思います。それはいつかはこの給与総額制度を撤廃して、そうして公社労働組合との間に自主的な良識ある運営をなさせるべき段階になっているのではなかろうか、こう考えるわけであります。このような二段階改正というものは、いたずらにその複雑性を増して、その新しい条文ごとに新しい議論、新しい紛争を発展させるおそれなしとしないのであります。この際給与総額制度そのものを撤廃する意思がないかどうか、この点をお伺いいたします。
  16. 石黒拓爾

    石黒説明員 第一点の、給与という言葉と特別の給与との使いわけでありますが、特別の給与というのは、御承知のごとく業績賞与であり、どこまでも臨時的なものであり、能率に見合ったものでございます。今回ただ給与として支給できるということは、そういう臨時的な業績報奨的なものではない、基準内給与として出してもいいという意味でございます。
  17. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 給与総額の問題につきましては、公務員制度調査会などでも研究いたしました答申も出ておりますが、現在のところ私どもはこの制度を存置いたしておく万がよいと考えておるのでございます。
  18. 横山利秋

    横山委員 これに関連してお伺いしたいのでありますが、この四十四条第一の改正並びに今回の改正は、さかのぼりますと国鉄に関する仲裁裁定、専売もそうだったと思いますが、第一次の裁定の第四項でありましたか、報奨賞与金制度ないしは業績賞与制度にそもそもの淵源を発しておると思うのであります。それが仲裁委員会に何回何回も疑義をただし、労使の間に交渉が行われ、そうして今日に至っておるわけであります。一体政府一つの政策としてこの業績賞与制度なりあるいは今回の改正による制度なりを創設しますゆえんのものは、第一裁定のところにやはり起点を置いて、その裁定趣旨を生かそうというつもりから発したものであるかどうか、またそうでなくして、賃金制度労働条件の問題あるいは経営の合理化という新しい立場でこれを行おうとしたものであるかどうか、その点をまず第一にお伺いをいたします。
  19. 石黒拓爾

    石黒説明員 業績賞与制度の創設の件につきましては、これは仲裁委員会裁定にも、お説のごとくたびたびございますし、実体的にも公社企業運営合理的推進に資するということで創設されたものと考えております。今回の改正につきましては、これはもちろん裁定をできるだけ実施しようという意図に出たものであります。
  20. 横山利秋

    横山委員 しからばお伺いをいたしますが、前段現行法業績賞与制度については、第一次裁定から出発いたしたものであるといたしまするならば、この業績賞与について具体的に労使の間でどういうふうにこの業績賞与制度を実施していくかという点についての具体的な交渉をすることについては、あなたの方としてお認めになっておることであるかどうか。
  21. 石黒拓爾

    石黒説明員 業績賞与の額、支給方法等につきましては、もちろん団体交渉対象事項でございます。
  22. 横山利秋

    横山委員 少し観点を変えまして十八条並びに三条の点についてお伺いをいたしたいと存ずるのであります。  「第十七条に違反した職員身分」として、十八条に「前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする」こういう文章になっておる次第であります。そして現行法の「この法律によって有する一切の権利を失い、」という文句が削除をされました。この法律によって有する一切の権利を失うということは、どのような意味を持っておられるのでございましょうか。問題は今回の改正によって、不当労働行為を受けた組合の提訴の手続が新たに設置をされておる模様であります。このことは第十八条によって解雇されたものについても、解雇されたものについて提訴する手続をきめておるのでありますが、この十八条そのもの趣旨というものは、一体どういうところに存しておるものであるか、あらためて十八条の改正並びに現行法との違いについて一つ説明を願いたい。
  23. 中西實

    中西政府委員 今度の改正で「この法律によって有する一切の権利を失い、」という部分を削除いたしました。この条文は申すまでもなく、この十七条によって三公社現業職員にはそういう行為が禁止されております。これに違反した場合には、十八条によって解雇される。従来はその解雇の不当触りいろいろの訴えその他も全部一切の権利を失いということで——たとえば不当労働行為申し立てもできる、さらにまた苦情処理ということも考えられることにいたしたのでございますが、今回の改正で、これによって解雇されたものも不当労働行為手続によりまして二カ月以内の期間内に申し立てをいたしまして、そうして二カ月以内にこれに対する決定を出すという道を開きました。従ってこの法律によって有する権利の一切を失うという部分を削除しておきませんと、そのことが許されないことになりますので、これを削ったわけでございます。
  24. 横山利秋

    横山委員 御説明はわかりました。  もう一つ伺いしておきたいのは、ここに言うところの解雇という意味でございます。解雇ということは、俗にわれわれが常識上理解をされますことは、契約関係が解除されるというふうに理解できるものであります。たとえば労働問題の十七条のようなことにかりに該当いたしましても、これはどろぼうをしたとか人殺しをしたとか、そういう破廉恥行為ではないのでありまして、まああなたとはここに契約を解除する、就業権を剥奪する、こういうところに一つの限界があろうかと存ずるのでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  25. 中西實

    中西政府委員 大体においてはそういうことかと思いますが、この点につきましては、やはり学者によりましてこの解雇というものが、これは今も言われましたように団体行動として行われたものであるから、せいぜいその組織から排除するということでいいという解釈、それから見方によりますと三公社、五現業職員は公務に従事するものとみなすというような身分関係を持っておる、仕事の上においてそういう特殊な関係を持っておるものといたしまして、やはり違反行為に対しまして懲戒処分に類するものとして解雇せられるという見解をとっておりますが、われわれといたしましては、この解雇懲戒解雇とはまた別の解雇であるというふうに解釈しております。
  26. 横山利秋

    横山委員 今の局長懲戒解雇とは別の解雇であるという御説明は正しいことだと私は存ずるのであります。実は御承知のように私もこの条文によって解雇された人間であります。国鉄で二十年働いてそうして解雇を受けた。私は解雇それ自体を認めないのでありますから、大いにけんかをしたのでありますが、これに伴う国鉄当局の態度たるや全く言語道断でありました。なぜかといいますと、私は二十年働いたのでありますから、共済組合掛金を二十年かけておるわけです。共済組合は御承知のようにこれは保険制度であるはずであります。また、私は恩給もかけておりまして、恩給も十年くらい納めておるわけであります一体何の根拠があって、私の解雇処分に伴ってこの恩給とか共済組合掛金を一文も払わぬということがあり得るのでありましょうか。私は今もって不可解千万だと存ずるのであります。ただい中西局長お話によりますれば、これは強制懲戒解雇とは筋道が違う、私が先ほど申しましたようないわゆる契約がここで消滅する、かりにそういう観点に立ちますれば、少くとも私が納めておった金、どんなに譲っても自分が出しておった保険金の還付くらいはできるはずでありますが、この点について一つ常識豊かな倉石労働大臣常識的な御返事がまず承わりたいのであります。
  27. 中西實

  28. 横山利秋

    横山委員 常識豊かな倉石労働大臣御返事を求めておるのです。
  29. 中西實

    中西政府委員 今の十八条の解雇は、これはこの公労法の十八条の解雇です。それで公社法関係懲戒解雇というものが別にございますので、その意味において、この十八条の解雇はその懲戒解雇ではないということを申し上げたわけであります。ただこの十八条の解雇につきましても、恩給局その他の解釈は、一応取扱い懲戒解雇に準じた取扱いにするということで、従来やってきておるようでございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 それはまことに奇怪なる答弁を承わるのであります。たった一分前にあなたは、これは懲戒解雇見解は異なりますと、こう言って、今度は、いや、私の見解ではありませんけれども、あちら様ではこれは懲戒解雇だと言っている模様でありますと言う。一体あなたはこの一分の間に何をお考えになったか知りません。しかしながらどう考えてみても——じゃ一つ中西さんにお伺いをいたしますが、どういう理由でそういうような権利までも剥奪される根拠がこの中にあるかどうか。これはあなたの見解ではなしに——あなたはそういうことはおかしい、こうおっしゃるようでありますが、ほかの方はどういう見解でありましょうか。私は、少くともここに懲戒解雇をされるものとすると書いてあるならばいざ知らず、そうでなくて、解雇されるものとすると書き、しかも今回の改正案によって「この法律によって有する一切の権利を失い、」という文字が削除されたのであります。これは単なる契約の解除というふうにみなすべきなのが、この改正案趣旨からいっても客観的により妥当ではないか。もう一つは、解雇には、契約の解除によって、その会社からあるいは公社から、労働者が当然の権利としてもらうべき幾つかの問題がございますけれども、どうころんでみても、その労働者がここに数年間、場合によっては二十数年間納めておった掛金・納付金等々の金まで国家あるいは公社が剥奪し得る条件、そういう権利というものはみじんも私はないと存ずるのであります。こういう点について、一つ良識のある答弁をこの際お願いをいたしたい。
  31. 中西實

    中西政府委員 私は先ほどから、この十八条の解雇公社法による懲戒解雇とは違う解雇だというふうに申し上げておるのであります。しかしながらこの第十八条の解雇につきましては、これは十七条に「職員及びその組合」、こうございまして、やはり職員個人個人に禁止をいたしておるのであります。従ってこれに違反したものにつきましては、この公社という非常に公共度の高い事業に停廃を来たすということによりまして、この解雇懲戒解雇と同様に扱うということにつきましては、根拠があるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  32. 横山利秋

    横山委員 どうもあいまいな答弁模様でありまして、聞いておると、いささか局長苦しかろうと存じます。しかし、苦しかろうと私どもが想像いたしますゆえんのものは、中西さん、なかなかいいところを考えておられるようだと私ども善意に理解をするのであります。そういう善意に立って、もう大体のことがおわかりになったと思いますから、一つ労働大臣にお伺いいたしておきたいと思うのであります。  先ほどからるると私が言っておりますように、十八条によって解雇されたものについて——これはどろぼうしたのではありません。重ねて言いますが、破廉恥行為を犯しているものではありません。それぞれその個人の意思というよりも、その傘下にございます労働者全体の福祉の立場に立つのであります。見解は違う点はございましょう。公社の当局なり、それからあなた方として見解の違う場所もあるでありましょう。しかしながら、これは憲法に、あるいは労働法に保障された立場において、組合役員ないしは組合員が、組合のそれぞれの決議に従って行動したものであります。この行動をした人個人に対する処罰というものは、私どもとしては本来はこれを妥当と認めません。認めませんが、かりにここに法律があるという建前に立って最大限譲って、この法律を運用する立場に立つならば、それらの人々に対するあまりにも過酷な、あまりにもまた常識に反し、かつはまた、どう考えても剥奪すべからざる権利までも剥奪しておる。私はこれはいつかは、それぞれの労働者が裁判によって堂々と争うべき段階が来ると思うのでありますが、そういう点を考えないでも、一つ労働大臣として一回御検討なさって下さる余地がありはしないか、こう考えるのであります。大臣、いかがでございましょうか。
  33. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最終的には私はあなたと所見を異にいたします。あなたの今おっしゃいました、組合側の代表としてのお立場はよくわかります。しかしそのことによってなされる行為が法に禁止してある行為であった場合に解雇されるということは、これはやむを得ないことでありまして、それはやはり法秩序を維持するために、その代表されて行動された方が法を犯したということになれば、それが解雇の当然な理由とならなければならない。従って私は、最終的にはあなたと少し意見が違うと思います。
  34. 横山利秋

    横山委員 非常に含みの多い言葉をおっしゃったわけでありますが、最終的には見解が異なる。それじゃ一体初めごろと中ごろはどうでございましょうか。私は法律論という立場と、それから情理という立場の両方からあなたにただしておるわけであります。少くとも今日、日本の労働運動を民主的に、そうして自主的に運営しておるそれぞれの幹部は御存じのように、就職をして組合員になり、直ちに組合役員になって、数万なり数十万の労働者を指導しておるという人は、おそらくほとんどないと思うのであります。組合役員になる前に、あるいは組合員としてでも指導をする段階に至りますまでには、それぞれの職場、公社なら公社において、その公社の発展に尽力をし協力をして参りました忠実な労働者であります。そういう人々の今日までの功績をもすべて剥奪をして、そうして一文もやらぬ。基準法による一カ月分の予告手当だけである。こういうことは、その人今後の生活をおもんばかりましても、あるいは家族の立場をおもんばかりましても、一体それほどまでに追及しなければねらぬ問題であろうかどうかということを、私はつくづくと、客観的な立場に立っても考えなければならぬと存ずのであります。もとより本法は解雇を認めております。私は本法に対して根本的な疑義を持つものでありますが、本法を認めたといたしましても、おのずからなる限界というものがなければなりません。これは恩恵的に与えられる金、ないしは権利として与えられる金、ないしは本人が出しておる金、十年なり二十年なり積み立てておる金、こういう金と、いろいろあるのであります。そういういろいろある金の全部を国家が剥奪する、公社が剥奪するということが、一体ほんとうの意味で許されるかどうかということについては、私は大きな疑問を持ちます。あなたが最終的に、解雇そのものは認めなければ、ならぬのだ、法に違反したからだ——それを百歩も干歩む譲って私は認めますが、その認める立場に立ってもこれによって——この法律には書いてありませんよ、剥奪するんだということは。払わなくてもいいということは書いてないです。書いてないけれども、現実行為として支給されていないのです。支給されていないことについて多くの争いがあるのです。そういう点は、「この法律によって有する一切の権利を失い、且つ」というこの文章を今回削除したことによって、私はこの解釈いかんによって、かつ大臣善意によってある程度の解決ができるものと私は期待をいたしておるわけであります。どうかその意味において、私はここに即答を求めようとはいたしませんが、大臣善意に大いに期待をして、再度御答弁をお願いいたしたいと存ずるのであります。
  35. 中西實

    中西政府委員 ちょっと法律的に…(「あなたに聞いておりはしない」「いいことを言ってくれればあなたに答弁させるよ」と呼ぶ者あり)恩給法で、懲戒解雇については、御承知のように全く恩給権その他を剥奪しております。恩給につきましてもやはり掛金があるわけでございますが、懲戒解雇の場合にはこれを剥奪しておる。そのことが認められております限りは、この十八条の解雇は、公社法懲戒解雇ではございませんけれども懲戒的な解雇であるということになりますれば、やはり取扱いにおいて同じように受けるということも許されることじゃなかろうかというふうに考えます。
  36. 横山利秋

    横山委員 中西さん、私はあなたにそういう答弁を求めているのではないのです。私は今情理に立って大臣答弁を求めたのでありますから、要らねいことを横から口を出す必要はないのです。しかしかりにあなたの言うことを了といたしましても、あなたは恩給法について答弁をしておる。それじゃ共済組合法はどうなるのです。あれは一つの社会保障じゃありませんか、保険制度ではありませんか。その保険制度の、当然もらうべき権利の年金なり一時金を剥奪するという理由はどこにありますか。何もないです。かりに一時金なり年金を剥奪するにいたしましても、本人が出している掛金まで剥奪する必要がどこにありますか。掛金は、自分が働いて、汗とあぶらの中から毎月々々納める掛金ですよ。その掛金まで政府が剥奪し得るという理由があったら、お示しして下さい。あなたはおそらく答えられますまい。答えられないはずです。しかし、私はそういうことを言わないというのだ。あなたと水かけ論をやってもしようがないから、最後は大臣お得意の善意と良識だというのです。だから、もうあなたは答弁しなくていいのです。中西さんも石黒さんも答弁しなくてよいのです。中西さんの答弁を聞いておりても、大臣はおわかりでありましょう。私は全部主張し得る権利がある、こう言っておる。いわんや今回の改正によって、一切の権利を失いという文句をとったじゃないか。そこで、本人が不当に解雇されたという者についての訴えを一つ聞こうという気持に、あなたはなったのではないですか。なったら、少くともそういう不当に解雇された労働者なり、あるいは通常に解雇されても、そこに一縷の人間性をあなたはお認めになったと私は理解をいたしたわけです。そういう理解の上に立って、今大臣のお聞きの通り、私は今ここですぐに即答を求めようとするのではない、そういうところまで言っておるのでありますから、ここで一つ大臣倉石労政の妙味を発揮してもらいたいと私は質問をいたしておりますので、大臣みずから御答弁を願いたい。
  37. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が先ほどのお尋ねに対して、最終的には所見を異にすると申し上げましたのは、組合にかつて所属しておいでになって組合活動をしておいでになったあなたのお立場から、そういう御主張をなさることについては、十分なる理解を持っておる、こういう意味なんでありまして、そこのところまでは一緒なんでありますが、結論が違うということを遺憾に思う、こういうわけであります。そこで、今回のいわゆる春季闘争についての国鉄職員の処分のことにつきましても、これは国鉄がやったことでございますが、その当時私ども公労法による検討をいろいろいたしました。そこで、その処分のことにつきましては、どこまでもやはり十七条を尊重すべき建前でありますから、今度のこの十七条違反の行為をなされた者に対して、十八条の適用があることはやむを得ない。今のあなたのお話で、私ども組合側のリーダーのお立場、その運動のことは十分理解いたしますけれども、それなるがゆえに法を犯されるということは、私どもとしてはまことに遺憾千万であります。そこで国としては国民八千万を背中にしょっての行政をつかさどるわけでありますから、組合側のリーダーとしてのおやりになる行動がたといやむを得ざるに出た行動であっても、そのことが違法性を持つ以上は、国鉄当局が経営担当の責任者としてこの十八条による処分をなさるということはほんとうにやむを得ないことである、こういうふうに解釈をいたしておるわけでありまして、今大へんおほめにあずかりまして、人情をもって、返事しなくてもいいが、将来にでも研究しろというお話でありますが、私はもちろんそういう点について将来も研究課題であるとは存じますが、現在のところ私ども労政を担当する立場からは、先ほどあなたのおっしゃったような説に今にわかに賛成するわけにいきません。この十八条による解雇というものはやむを得ないことである、現在行われておるような処置が妥当ではないか、こう思っております。
  38. 横山利秋

    横山委員 将来検討をなさるという言質を得たのは、九牛の一毛くらいの倉石労政の妙味であるといたしますならば、私は遺憾千万に考えざるを得ないのであります。私はここであえて法律的な解釈について長時間を費そうと思いますならば、本問題において幾らも十分な資料をもって中西さんあるいは石黒さんと相対決する用意を整えてきます。しかしながらそういうことをおっしゃっても、最後には大臣の良識というものが物事を判断されると思って、時間を節約してあなたにお問いいたしておるわけであります。あなたは今現在の瞬間において妥当であるとこうおっしゃいました。私は、その判断というものは、法律的な見解に立たないで、今日の労働行政の中で今にわかにとおっしゃったものと思うのであります。しかしその判断についても、私は見解を異にいたしておるわけであります。いわんや法律的な解釈によって、この十八条によって解雇された職員に対して一銭も支給する必要はない、こういうことは私はいささかも納得することができないのであります。一体それでは基準法上による一カ月分の解雇予告手当を支給するゆえんは何でありましょうか。私は基準法に書いてあるからやるのだ、こういうことだけではいけない。基準法に書いてあること自体が一体いかなる意味でありましょうか。そうお考え願えれば、基準法の一カ月が限界であるか、あるいは私が最低線として言った本人のかけた掛金だけを戻すのが最低線であるか、あるいは保険制度であるから、共済組合の金は渡してやるというのが限界であるか、あるいはまた労働者にとって一番重要である解雇という問題、この問題だけに限定を置いて、それによってあとの本人の権利であるすべての金は支給する、こういうことが限界であるか、これはおのずから人によって判断は違いましょうが、何にもやる必要はないという理論というものは、とうてい今日の法律上の解釈からいたしましても成り立たないと私は思うのであります。今日は予告手当一カ月分だ、しかしながらそれは本法の客観的解釈からしてもすでに争いのあるということをいわなければなりません。そういう法律上の疑義が多く存しており、これは今日まで解雇を認める、認めないという議論がありましたために、表面に浮び上らなかった問題ではありませんか。大臣は先ほど私が自分の経歴をもって強く主張されるということをおっしゃいましたが、それは確かにそうかもしれません。しかし本法の欠陥というものを自分が体験していますために、よけいに欠陥を考えておるわけであります。しかしもう済んだことであります。これからの労働行政の十分な運用のために、この解釈だけによって右へでも左へでもなる状況になるのでありますから、ここは一つ大臣が十分に理解と認識をお持ちになる段階ではなかろうか。法律的な解釈もちろんだが、現在の労働情勢のもとに、今何もやらない方がいいのだという認識を倉石さんがお持ちになるとするならば、私はあなたの労働行政に対する認識と良識に対して失望を禁じ得ないのです。どうか一つこの点は、私は即刻に返事を求めようとはしないと申しましたが、近い将来において本条文解釈について格段の良識をお持ちいただくようにお願いをいたしまして、この問題に対する質問を終ることにいたします。次いで、同じくこれに関連をいたすのでありますが、最近において各官庁及び公社において、この十七条違反の行為についてそれぞれの公社法を適用して処罰をしておるという状況がございます。一体これは公労法に違反をしたというふうに労働省としては判断をせられておるものかどうか、まずそれからお伺いをいたしておきたい。
  39. 中西實

    中西政府委員 最近の各公社あるいは五現業における処分につきましては、われわれも一応の報告を受けており、実態につきまして直接調査したわけでございませんが、公社側なりあるいは現業理事者側の報告通りといたしますならば、一応この公労法十七条違反ということで、それをいかなる処分をするかということにつきましては、それぞれの理事者の労務管理上の判断にまかせて、われわれとしてはこれを注視をしておるという状況でございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、十七条に違反をしたからそれぞれの公社法を適用をした、こういうふうに解釈をしておられる、こういうわけでございますか。
  41. 中西實

    中西政府委員 具体的にどの事例か存じませんが、十七条違反として処分をしておりますものにつき一ましては、そういうふうに考えております。
  42. 横山利秋

    横山委員 今のあなたのお話で、十七条違反として処分をしているものはそうだと思う。しかしまあ中西さんも今日の公労法適用関係労働組合の実態をよく御存じであると思いますから、お言葉じりをとって私は申し上げるつもりはございません。少くとも労働運動の中で、それぞれの公社法によって処分を受けたものが最近において数限りなく多いということは御存じのところであろうと思います。その御存じのところのベースに立って御質問をいたすわけであります。労働運動をして、それについて処分をするのに、労働運動の処分というものは、公労法によって十八条に規定をされております解雇のみにあるのだというのが、本法立法以来の定説でございます。この点についてはずいぶんと今日まで学者の間で議論をされたのでありますが、まあ御用学者といわれる人すらもこの点については意見の一致を見たところでございます。しかるところその後に至りまして、各公社が盛んにそれぞれの公社法なりあるいは公務員法を適用いたすという状況が出て参ったのであります。私はかりに善意解釈をして、首を切るのは気の毒だ、従って懲戒で、まあ本人のためを思ってやっておるという善意がほんの少しあるくらいなことについては、了解するにやぶさかではないのです。しかしこれは、気違いに刃物と申す言葉がございますが、一たんそういうような法に反した法の適用をいたしますことによって、絶えざる紛争が最近において増大しておるということをおそれるものでございます。昨日大臣もお聞きのように、大蔵省においてはドアの取手がこわれたということで解雇処分が行われた、それから減俸が行われ、戒告が行われた、こういう事態というものは、私は見のがすことのできない法の乱用であると存ずるのでありますが、この点について労働大臣はどういうふうに事態を見ておられるものであるか、まずその点をお伺いいたします。
  43. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大蔵省の国税局の解雇のことについては私は詳しい報告は聞いておりませんが、そういう事実だけは承知いたしております。それぞれの法に反する行為をしたということであるならば、私は法秩序を維持する立場から大蔵大臣のとられた処置は妥当な処置である、こう思っております。
  44. 横山利秋

    横山委員 私のお伺いしていますのは、妥当であるかいなかについても争いがあります、争いがありますけれども、労働運動により起った紛争自体についての処分については十八条だけでないのか、どこにその規定があるのか。十八条には解雇あるいは懲戒、戒告ということが書いてあるか、これは書いてない。しかりといたしますればオール・オア・ナッシングである。これが学者の定説でないか、こう言っておるのであります。その定説に反して、労働運動に関する処分に対して公社法なりあるいはその他の規定を適用すること自体に本質的な誤まりがあるのではないか。しかもその誤まりを、かりに私は百歩も干歩も一万歩も譲って、解雇は気の毒だから一応本人のこらしめのためにやるという、かりに最初は善意に発したものであるにしても、もはやそれは気違いに刃物になって、びまんし蔓延し、そのためにあらぬ紛争が各所にあることについてどう思うか。大臣はそれはけっこうだ、どんどんこれからむそういう公社法なりあるいはそのほかの規定を適用して、十八条の行使は慎んで、そちらの方をどんどんやったらどうだ、こういうふうなお考えであるかどうか、こういうことをお伺いしておるのであります。
  45. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど御指摘になりましたのは国税庁の公務員のことだと思いますが、これは公社法とは関係ございませんで、一般の公務員で、従ってそれに相当した法による処置であろうと存じますが、公共企業体及び五現業の従業員については公労法によって律しておるのでありまして、そのことはあなたも御存じの通りであります。
  46. 横山利秋

    横山委員 大臣はどうも御存じないようであります。私も例を取り出したのがまずかったのでありますが、三公社現業においても公社法やそのほかの規定を適用して、十八条の解雇をしないでそれぞれの規定を適用しておる事実が非常に多いのであります。この点について私はお伺いしておるのであります。
  47. 中西實

    中西政府委員 この十七条の違反は職員及び組合、これが主体でありまして、それに違反した場合には十八条で解雇されるものとする。しかしながら十七条違反ということになりますれば、これは明らかに同時に公社法懲戒の各事由に相当するのであります。たとえば日本国有鉄道法三十一条の第一項の一号、二号、すなわち一号「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」二号「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」これに該当することになるのでございまして、従ってわれわれは十七条違反の行為は、これは同時に懲戒事犯にも当る行為であるというふうに解釈しております。
  48. 横山利秋

    横山委員 詭弁も一ついいかげんにしてもらいたいと思うのであります。やっぱりこの点に対しては法律的にそういう公社法を適用して労働問題の紛争を処理するということが妥当であるというあなたの見解であるならば、私は堂々とあなたと長時間にわたって論戦をいたそうと思うのであります。私はそういうことはあまりにも時間がかかるから、これもずっと譲ってその点についての乱用を慎しんだらどうか、こういう話をいたしておるのであります。またその意味において大臣質問をいたしておるのでありますから、さように一つ理解をしてもらいたいと思うのであります。繰り返し申しますけれども、こういう公社法なりあるいは五現業の諸君に対する適用をいたしますならば、ネコもしゃくしもちょっとのことでやってしまえということになると思うのであります。これが労働者に対して懲戒なりあるいは解雇なり戒告なりあるいは賃金カツトなりそういうものをやれば、労働者というものはおそろしがって何もようせぬ、こういう立場にもし倉石さんがお立ちになっておるとするならば、誤まりこれよりはなはだしきはないと私は存ずるのであります。押えつければそれで労働運動はやわらかくなる、あるいは懲戒してやれば後悔してもうようやらぬ、だからすべて労働問題は弾圧するに限る、こういう見解であるならば、もう私は本問題について根本的に見解を異にいたすのでありまするから、もう私は質問をいたしません。しかしながらあなたが今日までやってこられた道というものは、必ずしもそうでないような気がするのであります。従って十七条に対する十八条が、あるいはまた十八条を適用しないで懲戒、戒告、賃金カット等々についての運用について大臣の所信をただしておるのであります。重ねて申し上げますが、法律的には十八条は解雇オンリーである、そうして公社法を適用されるということは、法に違反をした行為である。労働法に反した行為である、それが第一点。第二点はかりにそれを一部の理屈があると認めましても、今日のこの乱用の状況についてますます労働者を怒らせ組合を強化させる、そうしてかえって紛争を増大するばかりになっておる、こういう状況について法運用の立場から、労働大臣はどうお考えになっておられるか、この点を最後にお伺いをいたしたいと思います。
  49. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お話を逆に考えて参りますと、この十七条に言うような多少なりとも怠業といったようなものは、それぞれの公社の責任者経営者が考えるようなことをやらないで、みんなやめさしてしまえ。十八条によってそれが法の運用として正しいのではないか、こういうふうに聞えのでありますが、私はそういうふうにやらないでもいいではないか、やはり経営担当者がそれぞれの公社法に盛っておる。今御指摘のような方法で比較的なるいものは懲戒をするなりやさしい処置で警告をするなりして健全な労働運動の方に持っていってもらうということがいいではないかと思うのでありますが、その点については今あなたに百歩を譲ってそれはいいとしても、それは乱用をさせないようにすべきではないかということでありますが、私も懲戒とか解雇とか今のあなたのお言葉を拝借して申せば、弾圧するということが労働運動を正常に戻すものであるとは断じて考えておりません。しかしこのことはもう私よりもあなたの方が先輩で労働運動については十分な体験を持っておられるのでありますが、終戦後日本の今日まで行われて参りました労働運動がやはり百年も百五十年もの体験を持っておる国の労働運動に比べてどういう方向に行っておったか、やはり私は非常に過激な点もあったんではないかと思うのです。従ってこれはやはり私どものねらいは堅実なる労働運動をやっていただきたい。ことに三公社現業は、政府と申しましても政府というものは代表させられておるだけであって、その、バックは国民公共なんでありますから、そういうことに対して私は政府としては、その国民公共の福祉を優先的に考えなければならない立場でありますから、その公共を代表しておる政府機関としてはどうしてもそういう違法な行為蚕でされた場合には、それは労働運動ではなくしてすでに違法な逸脱した行為なんでありますから、それを厳重に取り締るということは国民に対する政府の義務であると考えております。従ってその点においては遺憾ながらお考えが違うかもしれませんが、いたずらに自分が経営しやすいように経営当事者が乱用をして、いろいろなことをやることはもちろん好ましくないことでありますが、そういうことは経営側においても十分慎重に考慮し、慎重にやらなければならないことをわれわれが要望すると同様に、やはり組合側も、こういう法に禁止してある行動を慎んでいただいて、そうして健実な労働運動で組合側の御要望が達せられるようにやってもらいたい、こういう希望であります。
  50. 横山利秋

    横山委員 今大臣が最初に私に対して御答弁下さいましたものは、まことに私の質問に対する侮辱であります。最後におっしゃったことについては、私は共感を覚えるのでありますが、私も質問をする場合におきましては、こういう野党の立場でございますから、多少は御気分を悪くするようなことを申し上げるかもしれませんが、率直に一つ話をしてもらいたいと思うのであります。大臣が今いろいろと公共企業体の労働組合に対する所見をお述べになりました。しかしながらそれでは今大臣はこの公共企業体の労働組合の状態をほんとうはどういうふうに見ていらっしゃるのでありまするか。きのうもおとついも私は言ったのであります。公労法改正をするとあなたが決意をされて、それを天下に宣明せられた。その決意と今日ここにあります公労法改正案というものは、果してあなたが当時所信を抱き、天下の人たちがこれに対して了承をいたしたものと同じものでありますか。もしもそうであるとしたならば、まことにこれは大臣の所信が一体どこにあったか私は疑わざるを得ない。私はあなたが、自分があのときに考えた公労法改正であったけれども、しかしここにありますのは、きわめて不満足なものでありますとこうお答えになるのならば、倉石さんらしいと私は思っておるのであります。それが何ぞやまあこういう公式の委員会であればこそ私はおとついもきのうもきょうもまあ大臣としてはやむを得ない答弁であると思っておるのでありますが、ほんとうにこの改正案倉石労政の法改正の第一のものであって天下に誇るものであるとあなたが大言壮語をされるならば、私はあなたに対して軽蔑をいたします。そういうものではございますまい。しかもこれを今日与野党の中で、特に与党の中で、このくらいがせい一ぱいの改正案だ、こうおっしゃるならば、私はまたそれを認めましょうとこういうのです。そのかわりにこの解釈なり運用なりあるいは公労法関係労働組合公社の間において今日の法の中においても、やり得べきまたやり得る問題が各所、随所にある。それをあなたおやりになったかといって昨日から追究をいたしておるのであります。やれるものさえあなたはやっておらぬと切言をいたしておるのであります。この十八条一つにしたところで、私はもう少しあなたから率直な良識のある答弁が得られるものと期待をしておりました。こんなことぐらいこの改正案に対する野党の質問に対して答弁し切れないような大臣だったら、私は遺憾ながらこれではあなたの所信というものは、最後にはもう宙に消えてしまう、何にも実行しないということになりはせぬかということをおそれるのであります。どうか一つその意味において今後の御答弁に際してももう少し率直に、勇敢に答弁をされることを私は期待をいたしたいのであります。  中西局長にお伺いをいたしたいのでありますが、この日鉄法によって処分をされるあるいは専売法によって処分をされる者に対する救済措置はどういうふうにお考えでございましょうか。
  51. 中西實

    中西政府委員 今度の改正によりまして十八条の解雇につきましては、不当労働行為手続による申し入れができることにいたしました。  なお国鉄法の懲戒処分につきましては、苦情処理その他それぞれ労使双方の約束による話し合いの手続というものがあり得ると思います。
  52. 横山利秋

    横山委員 公社法によって処分をされた者に対して、苦情処理手続その他話し合いによる何かというのはどういう意味でありますか。私のお伺いしておるのは、今のあなた方の答弁によると、十八条によって解雇される以前の問題として法に内容がないから、これは公社法を適用するのだというような内容に受け取ったわけであります。しかりといたしますならば、解雇に対しては、不当労働行為の救済措置があるならば、当然にこれは懲戒とかあるいは減俸とかその他の処分についても救済措置が当然本法に含まれると理解しておるのでありますが、私の理解に間違いがありますか。
  53. 中西實

    中西政府委員 日本国有鉄道法第三十一条の懲戒につきまして、それが不当労働行為に該当するということで提訴するというならば、これは一般の、不当労働行為手続によって当然できることになります。
  54. 横山利秋

    横山委員 これはもちろんそういうような、いや労働争議によって処分をしたのではないという片一方争いと、いやこれは労働争議をやったために日鉄法によって処分されたのだという争いが必ず起るわけであります。そういう起った問題について、十八条によって処分された者と同様にそれらの人々には提訴権があるというふうに理解してよろしゅうございますか。——わかりました。  それからあわせてこまかい問題で恐縮でございますが、今日まで調停、仲裁あるいは不当労働行為について調停委員会仲裁委員会に提訴いたしたといたします。その場合にたしか受理の日が法律規定に明記されておらなかったと思うのでありますが、それによって二ヶ月以内とか、あるいは一ヶ月以内という法によって保障された制限規定が、実質上非常に延びておるのであります。これは一体労働省としてどういうふうにお考えでございましょうか。本来争議があって、調停なり仲裁委員会に提訴する。本来ならばその日から現実の事態というのは深刻になっておるのでありますから、その日から計算をすべきだと私は思っておるのでありますが、事実は書類を持ってきて、それから受理するかどうかをきめるまでにずいぶんの日にちがかかって、それだけ法によって保護されている一カ月ないし二カ月という期間が空費をされておるという点について、紛争の早期解決という観点に立てば非常に問題だと思うのであります。この点について労働省の考え方を承わりたいと思います。
  55. 石黒拓爾

    石黒説明員 調停、仲裁に係属した場合、二カ月というような期間の起算日は、法律上の調停ないし仲裁の係属理由の生じた日であります。従って双方の申請があったときには、その申請の日でございます。法律的にはそういうことになると思います。委員会の実際の扱いにおきましては、その申請がありました後に委員会を開いて検討した結果、始めようじゃないかという日を受理日付というふうにいたしておる例もあるようでございます。それは取り扱い上の問題でありまして、法律上の期間の進行とは直接には関係ございません。なおそのために期間が延びるという点につきましては、委員会としてはその都度労使の了解を得ておるように承知をしております。
  56. 横山利秋

    横山委員 あなたの御答弁は事実ではありますが、そこに問題がありますのは、法律上は書類を持っていった日から起算をする。しかし委員会委員会できめた日から起算をする。こういうことでございますね。それでは委員会法律違反をしておることではありませんか。あとの方の二カ月の期限が切れたのちに労使双方が延ばすことに同意するということは、調停なり仲裁委員会一つ頼む、こういう事情だから延ばしてくれるように、悪くはせぬから、こういう意味で、やむを得ずこれは了承するのでありまして、心から同意をいたしておるものではございません。従ってその点について法で規定いたしております二カ月という運用について、事実は法律に反した方法が行われておる。これを矯正なさるつもりがあるかどうかということをお伺いしておるのでありまして、石黒さんの言うように、書類を持っていった日から起算をするというのだったら、なぜそれをさせないかということを私はついておるのであります。
  57. 石黒拓爾

    石黒説明員 法律上の起算日が法律上の事由の生じた日であるという見解は、たびたび委員会に通告いたしてございます。委員会承知のはずでございます。実際上受理日をきめておるというのは、あくまでも実際上の取扱いにすぎないというふうに私どもは了解しております。
  58. 横山利秋

    横山委員 ちょっと今恐縮ですけれども、ほかのことを考えておりましたが、あなたの話によれば、委員会の起算は間違いである。こういうふうにおっしゃろうとしておるのですか。
  59. 石黒拓爾

    石黒説明員 委員会はその提訴があって、しばらくたってから委員会を開いて、本日受理と決定した、その日をもって法律上の起算日であると主張するならば、これは正確な法解釈とば申せないと思います。しかし本日を受理日とするという実際上の取扱いであって、法律上の期間の進行はまた別だ、こういうことであるならば、適当であるかどうかは御批判がございましょうけれども、私どもそこまでは干渉しないということであります。
  60. 横山利秋

    横山委員 納得ができないのであります。私の血のめぐりが悪いからかもしれませんけれども、あなたの方は書類を持っていった日がその起算日である、こう言っている。それで委員会が勝手にそれから一週間もたって書類をもらった。これはちょっときょうわからぬから次の委員会で正式にきめよう、これはちょっとわからぬ、ちょっと来てくれといって話を次の機会に聞く。話を聞いてそれではこれは判断がつかないから、もう一ぺん委員会をやってきめようというわけで、ずっと延ばすことがしばしばであります。そういうしばしばのことについて、私どもは書類を持っていった日を起算日だと解釈しております、こういうことをここでぬけぬけといって、それで法律解釈に誤まりがございませんでは、実体論としては済まないと思うのでありますが、それで済んでおるのだというて、そのままにするつもりか、それともそれを矯正する意思があるのかどうか、重ねてそれをお伺いしたい。
  61. 石黒拓爾

    石黒説明員 委員会のやっております事例の中の全部かどうか私正確には承知しませんが、一週間前に持っていったけれども、きょう受理というふうにしてきょうから起算するからそれでいいかといって、それでけっこうだと当事者が言えば、起算はその日からなるのが当然であります。そういうことはなしに、勝手に受理日をおくらした、そのために、委員会に成規の書類が到達して、二カ月たってから、なお委員会でまだ受理した日からは二カ月たっていないのだというようなことで、当事者の意思にかかわらず、自分で暖めておくというようなことが万一ございますれば、それはもちろん委員会の誤まりでございます。そういうようなことは当然苦情をお申し出になりました場合には、私どもの方も善処いたしたいと思いますが、従来は正式にそういうような苦情をお持ち込みになったような事例はないようでございます。なおその辺につきましていろいろと私ども承知しておらないようなこまごまとした紛争もあるかも存じませんが、そういう点につきましては、別の機会にお聞かせ願えれば、改正法の施行と同時に、その辺は議論余地がないようにいたしたいと考えております。
  62. 横山利秋

    横山委員 そういう御答弁を官僚的答弁と称するのであります。あなたは、私はよく知りませんがと言えた義理ではないのであります。百も承知の上で言うておられるのであります。調停委員会がきょうは済まぬけれども延ばしてもらえぬだろうか、今度委員会をやったときを受理日にしたいと思うから頼みますと言って書類を持って来たときに、向うからそう言われたときに、いやです、きょうです、こういうふうにがんばり得るものであるかどうか。たとい公社であれ、あるいは労働組合であれ、そう言って持って来て頼まれて、いやだ、絶対にきょうにしてもらわなければ私は承知できぬ、こういうものであるかどうか、お考えになればわかりそうなものであります。争ういう点をしやあしゃあとして、労使双方が承知をしておりますからそれはいやはやということでは、こっちの方がいやはやということになる。その点については一つ適切なる措置をすみやかにとられんことをお願いをしておきます。  委員長にお伺いをいたしますけれども、先ほどの御連絡によりますれば、本日は十二時半にやめていただきたい、こういう要望がどこかからありましたが、そのようでございますか。
  63. 亘四郎

    ○亘委員長代理 さようでございます。
  64. 横山利秋

    横山委員 さらにお伺いをいたしますが、本朝お願いをしておきました参考人を呼んでいただきたいという私の希望はどうなりましたか。
  65. 亘四郎

    ○亘委員長代理 御指名の参考人の方からの御連絡がありまして、三時ごろこちらに返事をするということでございます。
  66. 横山利秋

    横山委員 恐縮でございます。  三日間にわたって私は大臣並びに労働省の皆さんあるいは大蔵大臣に御質問をいたしましたが、重大なところにおいて、非常に解釈の不穏当なところ、があるように思います。同時にまた、就任当時に大臣のおっしゃったこと、あるいはまた一般世論労働者が受けた印象と異なるところがございます。同時にまた、答申をされた内容とここにございます改正案と異なるところがございます。ずっと質問をして参りましたけれども、その点については参考人に一つその間の事情も承わる必要が痛切に考えられますので、次会に参考人から本改正案の根幹となります答申をされた事情、その中における討論の内容、そういうものを承わってから、さらに重ねて政府当局に質問をいたすことにいたしまして、本日はこれにて私の質問は終ります。     —————————————
  67. 亘四郎

    ○亘委員長代理 この際岡良一君外二十五名提出の、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  まず提出者より趣旨説明を聴取いたします。堂森芳夫君。
  68. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま上程されました国民健康保険法の一部を改正する法律案の提案理由趣旨を簡単に説明申し上げます。  今日社会保障の中核でございますところの医療保障すなわち健康保険をさらに拡充して参るということは、社会保障の推進のためにも最も必要であることは皆様御了承の通りであります。現在医療保障の恩恵に浴していない三千万の国民に対しまして、これを医療保険に加入せしめることは、ただいまわれわれに課せられました大きな問題であると存ずるのであります。この事柄につきましては、さきに健康保険法の一部改正案の審議中においても力説し、政府もその必要を認められたところであります。この意味におきまして、今回本改正案を提案するわけでございますが、この法案の内容の概要は次の通りであります。  全国の市町村に国民健康保険を、約五千九百の市町村でございますが、来年度より三年の間に設立しなければならないと義務づけたことが、その一つの主要な点でございます。  第二点は、療養の給付及び療養費の支給に関しましては、昨年の改正によりましてその総額の二割すなわち十分の二を下らない金額を国庫が補助することに規定しておりますが、このたびわれわれは、療養の給付及び療養費の支給のみならず、広く保険給付の十分の三を下らない金額について国庫が補助をすることにいたしたわけであります。  次にその他本改正案に伴いまして関係法律の整理を行おうとするものが、その第三の点でございます。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いするものであります。
  69. 亘四郎

    ○亘委員長代理 本案に対する質疑その他につききしては、後日に譲ることといたします。  次会は明十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会