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1956-05-09 第24回国会 衆議院 社会労働委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月九日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 佐々木秀世君    理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君    理事 野澤 清人君 理事 藤本 捨助君    理事 滝井 義高君       植村 武一君    加藤鐐五郎君       草野一郎平君    小林  郁君       田子 一民君    中村三之丞君       中山 マサ君    古川 丈吉君       岡本 隆一君    栗原 俊夫君       堂森 芳夫君    長谷川 保君       八木 一男君    横山 利秋君       吉川 兼光君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         労 働 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    石黒 拓爾君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 五月九日  委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として  勝間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(内閣提出第九四号)(参議院送付)     —————————————
  2. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより会議を開きます。この際お諮りいたします。駐留軍労務者の労働問題に関する件につき、来たる十一日金曜日午前十時より参考人を招致し、調査を進めたいと存じますが、参考人の選定及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木秀世

    佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  4. 佐々木秀世

    佐々木委員長 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。質疑を続行いたします。横山利秋
  5. 横山利秋

    横山委員 きのうに引き続きまして質問いたしたいと思います。  きのう主として御質問をいたしましたのは、本法改正についての基本的前提として、主として三点をあげて大臣のお返事をいただいたのであります。第一点は、労使の自主解決が尊重さるべきこと、第二点は、裁定完全実施という建前に立つべきであること、第三点は、労働者基本的権利というものが本来あるという建前において現行法禁止をされておること、この三点につきましては多少の問題がありますが、御趣旨として大臣の御了承を得たところであろうと存ずるのであります。そこで本日はその三点についていささか具体的にわたりまして、いま一歩大臣の所信を伺いたいと思うのであります。  最初は労働者基本的権利の問題であります。きのう大臣及び局長から本来憲法上保障されておる、つまり本来基本的権利があるこういう建前において禁止をされておる、こういう御答弁がございました。そこで本日の第一の質問は、それでは何がゆえに禁止をされておるのかという点から御質問をいたしたいと思うのであります。まずその点について、何がゆえに現行法はこれを禁止し、それから何がゆえに、この考え方を今後も通そうとなさっておられるのかという点についてお返事をいただきたいのであります。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公務員は、申すまでもなく、国家公共奉仕をする義務を持っておるものでありますから、その公共に向って罷業をするということは考えられない、私どもは、そういう立場から公務員罷業権を持つべきではない、こういうふうに承知をいたしておるわけであります。
  7. 横山利秋

    横山委員 私がお伺いをいたしておりますのは、現行法でありますが、公共企業体等労働関係法の適用を受ける労働者は何がゆえに禁止をされておるか、こうお伺いをいたしておるのであります。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公共企業体等労働関係法は、御承知のように三公社現業に適用されておるわけでありますが、五現業一般公務員と同様でありますから、このことは別として、三公社もやはり企業体ではありますけれども、全部の株式は国家が持っておる国家の特別なる機関でございますからして、これも国家機関という特殊な立場に働いておるものが国家公共に奉公するという立場で、同様に罷業権は持たない方がいい、こういう考え方であります。
  9. 横山利秋

    横山委員 労働者労働法上においてその基本的権利制限を受けるという点については、ある程度各国の労働法においても見られるところであります。しかしそれにはそれだけの理由がなくてはなりません。今大臣お話の中で注目せられることは国で雇用をされておるから禁止をされているのだ、こういうことでありますが、国で雇用されておるから禁止をされるということであるならば、今後何かの都合で国がその企業運営をいたすということになればことごとくその労働者基本的権利制限を受ける、こういうことになろうかと思います。これを労働者基本的権利を尊重する憲法建前でいきますと、憲法の他の条にあります社会的福祉その他によって制限をするという規定というものはあくまでも制限規定で特別な例外規定としてこれを制限するのでありますから、あなたの御答弁の国で雇用されておるからすべていかぬのだということは憲法上においては私は疑いがあると思います。いま少し労働者固有権利であるところの罷業権なり団結権なり、あるいは労働権というものが制限をされる具体的な納得のできる中心的な理由というものがなくてはならぬと思います。単に国に雇用されておる、国から給料をもらっておる、それでストライキ権がない、こういうことはいささか当を得ない御答弁であると思いますが、もう一回その具体的な理由をお伺いいたしたいと思う。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どものこの法律を制定いたしました当時の議会の考え方は、公務員というものは、今申しましたように公け、つまり国民全体に奉仕する義務を持っておる者が、その国民全体に向って罷業をするということは考えらるべきでない、こういうのが根本的な考え方であります。御承知のよりに諸外国では公務員身分上の取扱いについてはある国では日本と同じように制限をしておるところもあり、ある国は制限はないが、私どもが今申し上げましたような同様の考え方で全く罷業というふうなことは考えない、いろいろあるようでありますが、私どもは、ただいまの状況で、現在の日本においては、やはり今申し上げましたように、公けに奉仕する義務を持っておる公務員は、国民全体の奉仕者たる立場から、国民全体に対して罷業をするというふうなことはやるべきではない、こういうのが立法当時の精神もありますし、今日なお政府考えておる考え方であります。
  11. 横山利秋

    横山委員 この国民奉仕しておる立場、これが最後的なお話のようであります。国民奉仕をいたしますという意味は狭義の考え方と広義の考え方とがございます。民主社会において、私はかつての軍国主義のような言葉を言うつもりはございませんが、たとえば国鉄私鉄との間に国鉄労働者国民奉仕をし、私鉄労働者国民奉仕をしていない、こういう議論は私は成り立たないと思うのであります。いずれにしてもこれはあなたがかねがね私鉄争議に対しても、私鉄公共事業であると重ね重ね言っていらっしゃるところをみますと、この意味においては公共的な観念、義務というものがそれぞれの公共事業の中には存置しておるのではなかろうか、こう思われるのであります。問題はいろいろな規制をいたしますには定義がありますが、国に雇用をされているから制限をされるのか、ないしは国から給料をもらっているから制限をされるのか、こういう議論一般的には通らない議論だと思うのであります。しいて申しますればこの争議によって国家存立に非常に重大な影響を与えるであろう、こういう点が私は大臣答弁から出てくるのではないかと思っておりましたが、そうではなくして、単に国に雇用されている労働者国民奉仕する義務があるから、それだけでは憲法規定されておる基本的な権利制限するにはいささか当らない理論ではなかろうかと存じますが、いま一回その抽象的な国民奉仕する義務を持っておるから制限されるのだというあなたの議論に変りがないものかどうか念のためにお伺いをしておきます。
  12. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公共性を持つという点においては、鉄道というものは私鉄でも国鉄でも、あるいはガス、電気、みな公共性があることは当然なことでありますが、その公共性と同時に・今申しましたように公務員の従事しております仕事というものは、しばしば繰り返すようにこれは国全体国民全体の奉仕者として働くのでありますから、一般私設鉄道などに働かれる従業員とはそういう立場において私は異なると思います。従って公共性ということは同じであっても、私は一般公務員罷業権を持たないのが順当ではないかと思います。憲法二十八条の基本権立場からいかがかというお話でございますが私はもちろん憲法二十八条の労働基本権というものは当然これは尊重せられるべきものであると考えます。しかしながらその前提には、憲法十三条にある公共福祉というものがすべての人々の基本権に優先をするのである。従って私ども国家全体の利益のためには、やはり個人の持っておる基本権というものの抑制を受けることは当然である、こういうふうに考えております。
  13. 横山利秋

    横山委員 わかりました。そうしますと大臣は一言で申しますれば、国で雇用をされておるから、従って国に雇用されている人間には国民奉仕する義務があり、従ってこれに対しては罷業権制限される、こういうわけでございますね。そういたしますと、かりに国が時の与党の政策によって一つ会社国営にする、ないしは一つ国営会社民営に移すということによって、労働者の基本的な権利がなくなったりあるいは復活したりするものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  14. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 当初公共企業体というようなものがありませんでした時代にはすべてたとえば国鉄は運輸省の公務員でありました。公共企業体というものができまして特別な法律で取り扱われるようになってきた。そこで同じような形のものがやはり時の必要に迫られて出て参りましたときには、やはり同じような形態になるのではないかと存じますが、そのときのそういう企業体のでき工合によって違うと思いますが原則としてはやはり郵政にありましたものが電電公社というふうになったようなことで、場合によってはそういうものがあり得るかと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 大臣はいささか御自分答弁にまずい点があるようにお気づきになったのではなかろうかと思います。歴史的に見て公務員であった国鉄全逓等が戦後罷業権を持ってそして公務員でなくなった、公社になった国鉄労働者罷業権制限されておる。こういうことはこの歴史をつなぎ合せてみますと、あなたの所論には歴史的な矛盾が生ずるわけであります。本来、以前罷業権があったのが間違いであるとあなたがおっしゃればいざ知らず、この歴史的な流れを見ますと、公務員であったときに罷業権があって、公務員でなくなったときに罷業権がなくなる、こういうことなんです。以前間違っておって、これから私の筋を通していくんだとおっしゃるならば、もしも万一政府企業民営に移されたときに、立ちどころに罷業権を回復するということがあなたの持論でなくてはならぬと思うのです。そういう点で間違いないかと私は言っておるのであります。そういたしますと、いやそれでもあなたはお困りになるようであります。困るといたしましたならば、新しいそこに罷業権制限されるという企業形態を問わない理論というものがあなたの中で出てこなければならぬのであります。私がお問いしておるのは、先ほどのあなたの理論国営民営に移った場合には、立ちどころにこの罷業権が復活をする、こういうふうに理解をしてよろしいのか。それがまずければ、今までの公務員なるがゆえに、ないしは公共企業体なるがゆえに罷業権はない、そういろ議論に変更を加えられる意思がありやいなや、これについてお伺いいたします。
  16. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 国営事業民営に移されましたときには、これは一般の労働三法がそれのまま適用されるものであると解釈しております。
  17. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、参議院でたしかあなたがおっしゃったように思うのでありますが、その事業性格といいますか、その事業国営であると民営であるとを問わず、かりにそこの事業において、労働争議ができて罷業が行われる。その与える影響というものがどういう性格のものであるかは議論のほかであって、そしてもっぱら罷業権制限されるゆえんのものは、公務員であるかいなか、公共企業体職員であるかいなかによる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  18. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 その通りであります。
  19. 横山利秋

    横山委員 そこでお伺いをいたしたいのは、今の大臣議論にはずいぶん矛盾がありそうな気がいたすのであります。そういう御答弁を私は大臣から承わろうとは実は思っていなかったのであります。本来労働者には固有な罷業権がある、そこまではよろしかった。そのあとでなぜ制限がされるかという点については、少し大臣にお考えを願わなければならぬ点があるのではないかと思いますが、それはさておくといたしまして、関連して以下お伺いをいたしたいのは、大臣施政方針を本委員会でありましたかでお話をなすって、それに対する質問に対して、石炭及び電気産業に対するスト規制法が本年の七月でありましたかにおいて切れるごとになっておるのであります。それについて通常国会中にこれをどうするかということについて、自分としては考えたいという答弁をなすっておるのであります。本国会通常をもっていたしますならば、今月の十七日で終りになるわけです。今日いまだこれを延長するという正式なお話が何もございませんから、おそらく大臣といたしましてはこのスト規制法についてのお考えがまとまったかと思うのであります。先ほどからの議論をお伺いをいたしておりますと、ストライキ権制限をされるという根本原則というものは、国に雇用をされるかいなかということであって、事業性質いかんによるものではない、こういう全く御理解あるお話を承わったのであります。しかりといたしますならば、かつての労働大臣がこのような立法をいたしましたことは、倉石労働大臣として全く好ましからぬことであったと私は存ずるのであります。今日労働組合はそれぞれ自主的な、民主的な運営を確立いたし、ここに倉石さんが労働大臣になられて公労法改正し、基準法は改悪をしないという、労働者に非常に好評を博される立場を示された。第三の試練は、今やこのスト規制法についてあなたがどういう手を打たれるかいなかに非常な注目を払っておるのであります。通常国会中にこの措置について決意をするという——もうあと旬日を出でずして通常国会は終るのであります。この措置についての大臣のお考えを承わりたいと思います。
  20. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 国家企業及び公務員というものは、全体の争議行為禁止されておるわけでありますが、ただいまのいわゆるスト規制法につきましてはその争議行為手段制限を一部受けておる円いうことでありまして、それは別にまた論ぜられるでありましょうが、私どもがいわゆるスト規制法立法当時に考えましたのは、公共福祉を優先するという考え方で、部分的な一部の争議行為禁止することがよろしい、こういう建前でありまして、これは身分上の問題から出てくるものではございませんことは御承知通りであります。そこでいわゆるスト規制法につきまして、今あなたが御指摘になりましたのは何かの間違いではないかと思いますが、通常国会中に考えるということは私は考えておりません。研究はいたしておりますが、御承知のように八月の六日まで期限があるわけでありますから、ただいまの国会でこれをどうするというふうなことを政府考えておりません。
  21. 横山利秋

    横山委員 これは大臣のお考え違いであろうと思うのです。二月十日の本委員会において、わが党議員スト規制法についてどうするんだという質問に対して——私の言い方が悪かったら一つ了解を願いたいのですが、あなたの答弁は、通常国会中にこれを将来どうするかということについて決心をするつもりである——通常国会中に処理してしまうということをおっしゃったわけではないのであります。通常国会中にこのスト規制法措置については腹をきめる。そうしてどういうふうにするかについてお話をする、こういうふうにに御答弁をなさったのを、私は議事録の中から拝見をいたしております。あなたは先ほど、この法律というものが公務員スト規制とは違ったほんの一部の時限立法だ、こうおっしゃいました。しかし労働者にとって基本的な権利でありますこの罷業権制限されるということは、全部であれ、大部であれ、一部であれ、きわめて重大なことでありまして、この法律が制定されるときの前後の事情をすでに倉石労働大臣としてはよく御承知であろうと思うのであります。従ってこれについてはかりに一部であっても事は重大でございますから、全労働者があなたの新しい決心というものを注目をいたしておるところであります。ただいまの何げないお話のようでは——腹の中では深刻にお考えになっていらっしゃるかもしれませんけれども、重大な問題でございますから、二月の十日の本委員会であなたがなすった答弁について、あともう一週間もございませんから、この際本委員会に対する御報告をなさるべき段階であろうと私は思うのであります。もしもそうでなかったならば、二月の十日のあなたのお話は、まことにおざなりであって、国会の権威を傷つけることもおもんばかられると思いますから、明確に一つ答弁を願いたい。
  22. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 速記録を調べてみなければわかりませんが、私の気持としては、いつも申しておることは、いわゆるスト規制法というものについてどうするかという政府考え方をきめるのは、期限が切れるまでの間に考慮すればよいことだ、ことにいわゆる春季闘争の最中に行われました炭労の争議行為手段を私どもは目下つぶさに研究いたしておりますからして、そういうようなことも資料にして、どういうふうにするかということを考えたいと思うわけであります。私はこのスト規制法というものが制定されましたときにも本会議で申したのでありますがこのような法律外国に見せてそんなに自慢になる法律ではない。ことに今あなたは争議権というものは無制限に許さるべき権限を持っておるんではないかと聞き取れるような御意見でありましたが、私どもは、それじゃ困るんじゃないか。そこで電産の行動については、電気事業法等にすでに制限があります。それから石炭についても、他の法律によって一応の制限があるのでありますけれども、あのスト規制法が制定されました当時の状況を判断いたしますと、なおかつああいう法律が必要であった、こういう状況であの法律ができたわけでありますが、私は、こういう法律はなければないに越したことはないと思うのであります。従って、いかにすべきかということは目下検討中でありまして期限の切れるまでには何らかの考え方をきめたいと思っております。
  23. 横山利秋

    横山委員 大臣答弁にはいささか納得できないところがございますが、ちょうど大蔵大臣もお見えになりました。何かあとで他の委員会へお回りになるそうでありますから、一たんこれをあとに譲りまして、労働大臣大蔵大臣の御同席なさるところで、本改正案の一番中心的な点であります十六条並びに三十五条それから大臣がきのう得々とおっしゃった、給与総額の緩和の問題についてお尋ねをしたい。  大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、今回三十五条の改正で、「また政府当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」こうあります。これはきのうの労政局長の別の表現をもってすれば、単なるお経の文句ではないかというような表現ができるわけであります。法律というものは、どんなにことこまかくきめましても、これは抜け道がございます。また必ずしも法律をもってことこまかくきめるわけには参りますまい。それは不適当な場合もあるのであります。従いまして、こういうようね三十五条のできる限り努力しなければならないという文句というものは、ある場合によっては仏作って魂入れたという魂に匹敵するものではないかと存じます。また逆の面から言うならば、こういうおざなりの文句を作って、いや、私はできる限り努力をしたんだ、こういってそらっとぼけ得るようね、また文句でもあります。従って、この点については、一体政府決意、誠意というものがどの辺にあるかということが最も注目されるのであります。私はこの点について、鳩山内閣総理大臣とあなたがおっしゃった言葉を思い出します。鳩山内閣総理大臣は今次の春の労働者斗争に際して、本会議において、今後は仲裁裁定については尊重いたしますと言って、二度ならず、三たびにわたって力説をされたのであります。ところが大事な金庫番でありますあなたは、こともあろうに調停案が出た翌日に、新聞記者に語っていわくああいう調停案は実施不可能であって、受諾できないと発表をなさったのであります。後日これが問題になりまして、あなたにかわって労働大臣が、本会議において、大蔵大臣に聞いたところが、そのようなことは大臣は言わなんだ、こういった答弁をなさいました。それを聞いてまた新聞記者は怒ったものであります。ばかにするな、大蔵大臣は確かに言うた、こういうのであります。言ったか言わぬか、それは議論のあるところでありましょう。しかし少くとも天下の世論をあずかる新聞——まさか火のないところに煙は立たぬと私は存ずるのであります。従って大蔵大臣は、きのうも私は本委員会で言ったのでありますが、この公労法第一条に規定される趣旨から申しましても、政府首脳部というものは、調停なり仲裁——仲裁が出た場合においてはこれは当りまえのことであるけれども調停が出た場合においてもできる限り自主解決が行われるように、ある場合には、横に曲っているのも目をつぶって自主解決を促進すべきであるのに、何がゆえにそのような誤解を与えるような文句をお言いになったものか。もし新聞記事通りでないといたしましたならば、一体どういうつもりでその誤解を与えられたのか。ものを言うこと自体に私は問題があると思うのであります。逆にいやそれはえらいけれども、何とかしてやりたいとでもおっしゃるならば、私はまだしものところでありますが、法の趣旨というものは、全然あなたと逆行いたしておる。そこに今回のこの改正に当って、鳩山内閣総理大臣趣旨と、昨日労働大臣がお答えになった趣旨と、あなたが平素内蔵しておられる考え方とに、私は重大な矛盾があるのではないかと存ずるのであります。従って三十五条の改正案の「政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」というその気持というものは、一体大蔵大臣としてどのように考えておられるのか。抽象的な質問ではありますが、ここに本改正案根本があるわけでありますから、一つ率直に、十分な納得のできる御説明を大臣に願いたいと存ずるのであります。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 仲裁委員会裁定につきましては従来とても極力尊重して参っておるのであります。今回さらにかような字句が挿入されたのでありますが、これにつきましては、私は紛争当事者紛争の円満なる解決のために、政府としてはできる限り裁定を尊重するように努力をしたい、かように了解をいたしております。
  25. 横山利秋

    横山委員 誤解があったら御了承願いたいのですが、今の御答弁で、大蔵大臣は少し裁定というもののあり方について誤解があるのではないかと思うのであります。それは、できる限りという意味は一体どういろ意味でありましょうか。十の裁定が出た場合に、できる限りというのは、五つしかできないものを、六つか七つ、ないしは八つやるということができる限りであるのか、十の裁定を十するためにあらゆる努力をすることを・できる限りと称するものであるか、この点であります。昨日も、この点については私と労働大臣との間に議論が行われました。末広厳太郎博士や第一次裁定以来裁定を担当して参りました仲裁委員、それから労働法の学者が一致していっておりますことは、裁定というものは、大臣がきのうおっしゃったように裁判である。裁判というものは、出た答えについてまけるとか半分やるとかいう議論はないのであります。全部やるということが裁定理論だ。それが半分しかかりにできなかったら、これは裁定が行われなかったのであって、別な角度で給与の改善が行われた、こういうふうに見るべきであるというのが、労働法における通説なんであります。従って、あなたは今日までできる限りやって参ったとおっしゃるのでありますが、きのうも申し上げたように、今日までの裁定の中で、文字通り完全に実施できたものは、一件もないといって過言ではないのであります。私は、政府側が完全にできたといっております各仲裁裁定の歴史をことごとく調査をしてみました。調査をしてみましたけれども、それぞれ裁定主文には一項から四項までずっとございますが、この中で政府がやったというのは、たとえば四月から一万円に給料を上げるというのを、八月からないしは十月から上げて、これで裁定は尊重されたということは、裁定を実施したことにはならないのであります。その点労働大臣はもうとくと御承知のようでありますけれども大蔵大臣として、その点は深く御理解、再認識を願わなければならぬところであろうと思う。重ねて申し上げますが、裁定は一種の裁判であります。この裁判を半分削っては、尊重したことには相ならぬ。それは裁定は実現されなかったことであって、別の角度で給与の改善が行われた、こういうふうに見るべきであります。この私の所論に対しまして、大蔵大臣はどうお考えになるか、重ねてお伺いをいたします。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 裁定が実施されますようにできる限り努力をいたすのでありますが、その場合におきまして、完全に裁定自体が全部そのままで実施ができれば、またそれができるように努力をする。これはこうあるべきことです。しかしまた事情によっては、これは具体的なことになると、いろいろな項目がある。そういうふうな場合に、まずこういうふうな項目は実施ができる。その他は諸般の情勢の上から政府としては困難である、こういうことも実際問題としてあり得るのじゃないかと私は思います。しかし努力の目標はできるだけ裁定がそのまま実施されるように努力する、こういうことになると思います。
  27. 横山利秋

    横山委員 この場合の大臣のできる限り裁定を実施するということは、私の言うように百パーセント実施できるように努力する、こういう意味と理解して差しつかえありませんか。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まずさように努力すべきと考えるのでありますが、それがそのまますべて実施ができるか、これはそのときになって諸般の情勢を判断しなければならぬ、それかといって全然何もせぬ方がよいかということになると、そういうことにはならないのじゃないかと私は思います。
  29. 横山利秋

    横山委員 大臣はお忙しいようでありますから私は単刀直入にお伺いをいたします。あいまいな御答弁をされますと私も重ねて二度三度お伺いをしなければなりませんので、時間の不経済になりますから、一つ単刀直入に御答弁されることを私は望むものであります。今のお話では、私の答えになっておりません。私の要求いたしております質問の内容というものは、裁定というものは一種の裁判であるから、これが完全に実施されて裁定の実施になるのである、こう言っておる。もしそれが値引きをされた場合においては、これは別な角度で給与の改善が行われたと見るべきであろう、こういう建前に立っておるのであります。これはもう学界の通説になっておるのであります。末弘厳太郎博士初め各歴代の仲裁委員がその見解をとっておられるのであります。そういう点について、できる限り努力しなければならないという三十五条にいう文句は、裁定が百パーセント実施されるようにできる限り努力をする、こういう理解である。その点について大臣も御了承をなさっていられるか、こう言って聞いておるのであります。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私の率直な考えなんですが、どういうふうに裁定されてきますかいろいろ裁定の内容にもよるのじゃないかと思うのであります。いろいろの裁定の内容はおそらく幾つかの項目が上ってくるそれをすべて一緒でなくては——私は法律はあまり詳しくありませんから、裁定がどういうふうにされるか、全然一括したもの以外は手をつけられぬものであるか存じませんが、お話のように、かりに裁判の効果があるもし法律的にそうであるとするならば、そういうふうな考え方で実施しなくてはならぬと思いますが、もしそうでなくして、数項目ある、こういうふうなところは今までも諸般の情勢を考えてやる、それをやることによってやはりこれを受け出る人がそれだけ利益になる、また時期的な関係もある、そういういろいろな関係があると思います。そういう意味で御答弁申し上げたのであります。しかしもしも法律家の、また政府考えとしても、裁定は裁判である、手をつけてはいけないのだ、あるいは一部分の実施はいけない、ナッシング・オア・オールというお考えであるとすれば、私はお説の通りであると思います。
  31. 横山利秋

    横山委員 ちょっと最後の言葉がよくわかりませんでしたが、もう一回……。
  32. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ナッシングかオールかということでありますれば、そういう気持であるということで、政府もそう考え、すべてがそうならば、これはもうそういうふうに扱う以外に方法はない、こういうふうに考えております。
  33. 横山利秋

    横山委員 私は法の解釈の問題については別途労働大臣ほか関係者に聞かなければなりません。しかし、これは常識的に大蔵大臣に今お尋ねをいたしているのであります。それはなぜかといいますと、内閣総理大臣は本会議でこの改正に当って、今後は仲裁裁定を実施する、こういうことを二回も言っている。しかし総理大臣は最高責任者ではございますけれども大臣の中で事務的に最後にあなたが金庫番でありますから、あなたの意見が尊重されることになるだろうと思います。そのときに、あなたができる限り努力しなければならないというような文句をここに挿入したことによって、従来の政府大蔵省の考え方と今後の政府大蔵省の考え方の間に違う点があるのかないのかというのが一番私の常識的に聞きたい点であります。今のあなたの御答弁では、従来あなたが仲裁裁定に対しておっしゃったことと、今おっしゃったことと何ら変りはないのであります。それでは本改正案というものはまことに何にもならない。局長のおっしゃるようなお経の文句にすぎないのであります。ここに文句を挿入したことが抽象的であっても、今後は今までと違った私どもに誠意がございますから——誠意というものは口に言い表わすわけにはいかない、文字に言い表わすわけにはいかない、しかし私を信じて下さい、こういう文句が出てしかるべきである。あなたが今おっしゃったことは、ちっとも今までと変りません。こういうことでは、三十五条の改正は全くの死文ではないかと私は思うのであります。私のこの危惧の念について間違いがございましたら、大蔵大臣単刀直入に御説明を願いたいと思います。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私ども委員会裁定について、従来とてもできるだけ尊重いたしております。ただ諸般の情勢を考え裁定通りにいかなかったことも、これも事実としていかにも否定しません。しかし今後一そうその裁定についてこれを尊重することに努めていく、これはここで繰り返し申し上げる通りであります。
  35. 横山利秋

    横山委員 今の大蔵大臣答弁はきわめて不満足ではありますが、私の率直な質問に対する答えとして私は一応了承することにいたします。簡単な言葉ではございましたけれども大臣は今日までと今後について一つ違いを明らかになさいました。今日までの仲裁裁定は、値引きをして実施をしているのであります。完全実施をしたということは銭に関係のない、ちょっとしたことが完全実施されているだけでありまして事銭に関係したことにつきましては、完全に百。パーセント実施をされたことはございません。どうかこの点を大蔵大臣としては十分に認識をしてもらいたい。あなたも今のお話の中で努力はしたけれどもそういう結果だったということを認められ、その上に立って今後さらにこの三十五条の改正だよって魂を入れるのだ、こういうような理解をいたしまして、私は了承いたします。そこで、その点について労働大臣にお伺いいたしたいのであります。労働大臣はまた別な立場がございます。労働者の直接の担当大臣として本三十五条についてのしかるべき何かの御意見があろうかと存じますから、まずもって労働大臣の三十五条改正に対する見解を承わりたいと思います。
  36. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 仲裁裁定の取扱いについて大蔵当局のお話がございましたが従来も尊重して努力はされましたが、なおかつ今度こういう努力義務を入れましたのは、百パーセント実施できるという目標のもとに政府としては努力をしなければならない、こういうことであるのでありまして、大体実際にはこれからはこの三十五条の運用によって仲裁裁定というものは実施可能旭はないか、こういうふうに考えております。
  37. 横山利秋

    横山委員 具体的な内容についてはあとでお伺いいたしますとして、大蔵大臣にいま一点お伺いしたい点がございます。今回の改正によって日鉄法並びに専売公社法その他の法律改正が行われました。その主要な点は、裁定があった場合、裁定を実施するに必要な金額を予算の定めるところにより、大蔵大臣の承認ないしは運輸大臣の認可、郵政大臣の認可等を受けて給与として支給する、ここが一つの本改正の重要な問題点であろうかと存じます。ここで倉石労働大臣にも聞いてもらいたいのでありますが、第一の問題点であります「裁定があった場合」という意味であります。昨日私が第一点として御質問をいたしました点は、労使の自主解決ということが最もお互いに尊重されなければならぬ。これを調停委員会に持って行き、仲裁委員会に持って行き、国会に持って行き、そうして紛争が長引くばかりではいかぬ。従って自主解決ということを尊重しなければならぬ。その場合に今度の改正で、そういうことをあなたも私も百も理解したその上において、今度の改正案裁定があった場合に限定をされているのであります。これは一体いかなる意味でありましょうか。裁定というものは一番最後の問題であって、それ以前に調停案で相応な妥結をするというような場合、あるいは労使だけで話がついてもうえらい第三者に御迷惑をかけない、政府に迷惑をかけないように話をつけようということで自主的に話をきめた場合こそ最も尊重されなければならぬ。これが労働法の基本原則ではなかろうかと存ずるのであります。従ってここに今回あなたの方としておみやげだと言って出されたのが、第一の条件として、「裁定があった場合」でなくてはならぬのだという意味は、きのう倉石労働大臣のおっしゃった基本原則自主解決の場合とははなはだしく反するのではないか。自主解決した場合にはそのフェーバーは与えない。他人によって判断された場合にだけこのフェーバーを与えるということは論理が矛盾をしていやしないか。大蔵大臣にしても、この点については、何も裁定ばかりでない、労使との間に調停案によって調停が行われた、そして紛争解決をするという場合になぜこの改正点が適用できないのであるかどうか。この点についてはおそらく今日まで裁定が非常にもめたから、裁定のことだけ解決すればいいというような誤解がありはしないかと私は思うのであります。その点についての御答弁を願いたい点が第一点であります。私の想像しますところによりますと、これは本改正に当っての何か誤解がありはせぬか、こういう感じがしてならないのであります。  それから第二点として本改正点でお伺いいたしたいのでありますが、裁定を実施するに必要な金額であります。この「裁定を実施するために必要な金額」が一体どのくらいであるかについては、今日までもずいぶん議論のあるところであります。勝手にそれは一億だ、それは五億だといって政府がきめたために、国鉄総裁がこれだけ要るのだと言ったのを政府が勝手にきめて大紛争を起し、今日最高裁判所に提訴をされたままになっているのが第一次裁定の問題であります。この「裁定を実施するために必要な金額」というものは、私は少くとも裁定を出した仲裁委員長が今度の案でいきますと仲裁委員長ですが、仲裁委員長がみずから判断するのが最も妥当な金額、最終的にはそこできめた金額が適当であろうと思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと存ずるのであります。  それから第三点は、「予算の定めるところにより」とありますが、一体何をここできめるのでありましょうか。参議院の記録を見ますと、政府側の答弁はこれは何も意味がございません。「予算の定めるところ」とは予算総則によって全く他意なくきめるのであります、こういっておられるのであります。しかりといたしますならばなぜこういう「予算の定めるところ」と書く必要がございましょう。真にここで実現をする、こういう一つの道をあけるというならば、ここで一つ何か疑念を生ずるような文句を入れなければならぬという理由は一体どこにあるのでありましょうか。いろいろありますが、まずこの三点についてお伺いをいたしたい。重ねて申しておきますが、私ども給与総額制度の撤廃をかねがね主張しておったのでありますが、その撤廃は政府側としては御了承なさらずに、ここをもって魂を入れて仏を作るのだ、こういう意味合いのようであります。しかりといたしますならば、この改正点でいろいろな邪推をいたしますれば、ここに制限がある。その制限について実はこういうものはこのまま素通りさせておいて、あとで問題があったときにそいつをきゅっきゅっとひもをつけて縛れるようにしてあるのではないかという疑いが実に濃厚なんであります。これらの点についてその疑いを一つ晴らしていただきたいと思うのであります。
  38. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 お尋ねのうちの第一の点、私からお答えをいたす方がよいと思いますが、御承知のように従来でも公社の当事者間の話し合いで、当事者双方で意見が一致してまとまっておるのはそのままであるのであります。そういうような場合にもやはり主管の政府に向って一応の了解を得ておやりになっておるのが実例でありまして、従ってそういうふうに当事者間だけで話がまとまってしまうものはもちろんそれでけっこうでありますし、それは調停仲裁の問題にはなりませんが、それが当事者間の裁量では不可能なような要求が出た場合に、これはやはりいかんともいたし方がありませんので調停に出す、調停でなお当事者双方で満足をされない場合には仲裁に持ち込む、こういうことでございますからしてその点は従来の慣行等と将来も当然同じようなことになると思います。  その次の点については大蔵大臣からお答えする方がよろしいと思います。第二は何でございましたか……。
  39. 横山利秋

    横山委員 第二は改正案は「裁定があった場合において、その裁定を実施するために必要な金額」とこうある。必要な金額というのはだれがきめるのか、常識をもってすれば、私はこれだけの一万何千円のベースをやれと裁定を出した人が、それによって疑義ある場合においては仲裁委員会において判定をするのであるから、裁定を実施するために必要な金額の総額は幾らになるかという点については、裁定を出した御本人である仲裁委員長がきめるのだ、こう理解をするがこれでよろしいのであるかどうかという点が第一点。  それから第二点は、私はそこに必要な金額を予算の定めるところによりと書いてある予算の定めるところというのは一体何がゆえにこういう文句が必要なのであるか、参議院ではこれは何ら他意ございません、何も他意ございませんと言っておるが、そういう他意のないものを書くゆえんのものは何か。
  40. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 第二点は裁定に関連した諸般の手続の問題でございますので、むしろ労働当局からお答えいただいた方がよろしいかと思います。  第三点の予算の定めるところによりということの意味につきまして御疑問がおありのようでございますので、その点をお答えいたしたいと思います。これは業績賞与につきましても同じような規定になっておるかと存じますが、給与総額制限を例外的にはずす場合の規定なんでございます。この給与総額というのは予算の重要な内容をなしているわけでありまして、その意味におきまして実質的に予算を変更するという手続になるわけでございます。そこでその変更はやはり予算のときにするにあらずんば変更するのが不適当であるというような、予算は予算でしか直せぬというような一つ考え方があるわけでございます。従いましてその場合の手続もこれを予算総則中に掲げることが適当であるというような考え方をいたしておるわけでございます。この場合「予算の定めるところにより」ということは何ゆえ書いたかということでございますが、あるいは大蔵省に協議してもらうというような内容になるかとも存じまするし、そういう予算の内容を変更することの手続であるという意味において「予算の定めるところにより」という条文に相なっておりますことを御了承いただきたいと思います。
  41. 石黒拓爾

    ○石黒説明員 第二点の裁定を実施するために必要な金額につきましての御質問でございます。通常裁定におきましてはその裁定実施の所要金額は総額約何億円になるだろうということは理由書の中に書いてございます。しかし実際の裁定の実施の場面におきましては、約何億円を多少はみ出たりあるいは足りなかったりすることがもちろんございます。これは客観的に判断するより仕方がない。そうして客観的に判断すると申しますと、また争いの余地があるようにおとりになるかとも存じますが、これは現実に金を払うのですから国鉄なら四十何万の人に一人々々に幾ら払うかその総計でまさに客観的に出てくるわけでございます。認定権者が問題になりましたのは、第一回の国鉄裁定の際に流用可能の金額が幾らか、それをだれが認定するかということが問題になりまして、これはまさに争いの種になる点でございます。所要経費につきましては、これは客観的に算定されるということでよろしかろうと考えております。
  42. 横山利秋

    横山委員 第一点の最初労働大臣がお答えになった裁定があった場合ということについての答弁は、やや抽象的であります。私の質問いたしておりますのは、自主解決という意味が、最も尊重されるというあなたと私との共通点から見るならば、調停案の受諾あるいは双方の協定、それによって予算上資金上不可能な場合においても、自主解決尊重の建前から言うならば、今回の改正案による道を与えるべきではないのか、こういう点であります。
  43. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私はしばしば申し上げておりますように自主解決はわれわれも非常に望むところでございますがそのことはやはり経営当事者はその自主的解決をいたします場合にこの範囲ならば当事者だけの考えでできるというものもありましようし、もっと大きな予算を要求しなければならないような要求もあるでありましょう。そういう場合には、いたし方がありませんから調停にいたしておる。これが従来のやり方でありまして、その前に自主解決ができることを私どもはもちろん願うのでありますが今申し上げましたように、経営当事者の力ではやり得ないような大きな要求の場合にはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  44. 横山利秋

    横山委員 私はきわめて意外なことを労働大臣から承わるのであります。あなたは今公労法の解釈において、従来の経緯からとおっしやいましたが、重大な誤まりを犯しておると思うのであります。経営当事者は予算上質金上不可能なものといえども協定をし得る権利というものをここに与えられておるのであります。それを従来そういう権利が与えられておりながら、なかなか協定をしないという点についてはあなたの従来の経緯という見方は正しいと思う。しかしほんとうはそれではならぬのであります。少くとも国鉄なり専売の当局者が、これは経営者ではむずかしいので、政府の援助なり政府の認可なりが得られればこれでおれの方は妥結したいと思うけれども自分のところの今の経営だけでは少しむずかしいという場合がずいぶんございます。それさえもう一歩はみ出れば、もう一歩政府の認可さえ得られれば、そこで解決し得るものを、今あなたがおっしゃった従来の経緯というものは、そこで解決はよういたしませんで、調停委員会に出し、あるいは仲裁委員会に出して他人のところから自分の思うことを言ってもらうというしかけになっておることが、今日の公労法労働争議根本的な原因となっておると私は思うのです。今日の三公社なり五現業の経営当局者が腹をきめ、そうして政府がその点について百尺竿頭一歩を進めて法律上それは許されているのです。それさえやれば、もっともっと公共企業体争議というものは短時間に解決することを私は信じて疑わない。それをようしないのはなぜかということです。あなたが今おっしゃった経営当事者というものは、自分でできないことは承知してはならぬという判断を従来の経緯の中から身につけてしまっておられるから、そういうお言葉が出ると思うのです。従って本公労法に許されておる権利つまり経営当事者に、予算上、資金上多少は不可能であっても、大臣の認可さえ得れば実施し得る余地というものを活用しろとこの際言うべきでありましょう。そうして本改正案裁定があった場合においては、これだけの道を開いてやるということで、調停案受諾あるいは自主解決の場合においても——本来自主解決がとうといのであります。労働法の基本原則でありますからそのときにもこれを実施しろというふうにしてこそ、ほんとうに——長年続いております、一旦要求を出してから解決をいたしますまでに半年も一年もかかります。そのためにこそ与党の皆さんからも、一体どういうことだということでしばしば苦言を呈せられる。その苦言を解決するためにはあなたが従来の経緯をもう一ぺん新しい角度から見て、そうしてこれではいかぬ、経営当局者はここで腹をきめてもっと法律を運用しろというべきなのが今日の問題だと思うのであります。その点について重ねて一つ大臣の所見のほどをお伺いいたしたいと思います。
  45. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昨日の委員会でも申し上げましたように、かりに国鉄という政府機関が、組合側といろいろな話し合いをいたしまして、自主的にこれが解決できることは望ましいことでありますけれどもやはり民間産業でもさようでありますが、一般経営、経理内容が、ことに国鉄などは非常に赤字を生じたようなときには、御承知のようにやはり一般会計に援助を求めなければならない。あるいはまた専売は一定の益金を国庫に納入しなければならないという立場を持っておる関係で経営当事者としてもやはり組合側の要求だけをそのまま実施いたすということも困難でありましょう。また国鉄当事者が運営の責任者という立場で、このことは自分一存で決定をすることはよろしくないという見解を持ちましたときには、これを調停委員会に持ち出して、そして第三者の公平な判断を願うということは一般の民間産業などが中労委、地労委などを利用するのと同じことで、その事前に解決し得ることは望ましいことでありますけれども、やはり経営当事者の責任において自分自身で単独で決定することはよくないという認定をいたしましたときには、調停あるいは仲裁に出されることは当然なことではないかと思うのであります。
  46. 横山利秋

    横山委員 私は全くあなたの所論に反対であります。あなたは民間産業を例に出されました。民間産業は自分の勝手に借入金ができるのであります。あるいはまた自分の自主的な経営の転換なり、あるいは発展が自由にできるのであります。しかるところ、国鉄にしても専売にいたしましても、あるいはその他の五現業にいたしましても、それができないのであります。一つ一つ政府の認可なり許可を得なければならないのが今日の実情であることは御存じの通りであります。従って共通点であります自主解決の点については、民間産業は大いなるものを持っておる。三公社現業はそれを持っていないけれども、そこに政府の認可さえあれば、それができるのであります民間産業と同列に並ぶことができるのであります。従いましてそこに大臣の認可さえありますならば、調停に出なくてもよろしいのであります。仲裁に行かなくてもよろしいのであります。そういう点について、あなたはどうお考えになるかと聞いておるのであります。たとえば専売公社の総裁はこういう金を出してやりたいと思う。これが仲裁までかかれば必ずおれの言う通りになる、このくらいのことはおれとしてはあたりまえのことだと思う。けれども、今のあなたのような考え方政府の内部にございますから、おれの口からは言えぬというわけで、そこで解決し得べきものを、また仲裁さえすれば政府はうんと言うべきものとをわざわざ言わないで、調停から仲裁においてじんぜん二カ月ないし三カ月労働争議を継続させるような結果になっておるのであります。おそらく倉石労働六日は胸底奥深く三公社現業の労組というものは、相手は日の丸だからそこで抱き合って自分たちだけのことを考えておるという傾向がありはしないかという点を考慮してものを言っているのではないかと私は推察をいたします。私の推察が間違っておったらお許しを願いたいのでありますが、そういう傾向については今日とやかく言う人がありますけれども、私はこれまで三公社現業の当局者を私も片一方の当事者でございましたが、そうまで軽蔑する気にはなれないのであります。あの人たちはあの人なりに大いにがんばって、けんかもし、私も首を切られました。そういうことをやっておるのでありますから、その人たちの良識と善意というものをいま少し政府は尊重なさるべきではございませんか。今日まで日鉄法の改正といい、専売法電通法の改正といい一々大体においてその良識を尊重して幾分の権限を与えるという方向に法律改正の運用というのは回っております。また回らなければ、あれだけの大きな産業を支配し、運営をしていくということは不可能であります。全く労働法上では無能力者にすぎないようなのが今日の公社の総裁であり、あるいは当局者なのであります。この無能力者に一つの力を与え、そうして自主的に労働問題を解決させるということは、何人も首肯しておる原理なのであります。今ここに裁定があった場合には道を開いてやるとおっしゃるのだが、私はあなた方の考え方が全くあさはか、と思わざるを得ない。ここで一つ裁定のあった場合のみならず、調停及び調停案により承諾のあった場合、あるいは労使の間で自主的な協定があった場合に、この問題について自主解決尊重の精神からその道を与えるということに何の不都合なところがございましょうか。重ねて私は大臣答弁をお伺いいたしたいと思います。
  47. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 三公社が特別な政府機関であるという建前から申しましたならば、やはり私はそれぞれの政府機関としての監督を受けるのは当然だと思います。たとえば国鉄従業員の待遇をできるだけよくいたしたいということの結果、鉄道運賃にも響いてくるというふうなことになれば、一般国民経済にも重大な影響を持ってくることでありますから、やはりそういうことについて政府は広い視野からこの経営を見るのはあたりまえでありますが、経営当事者としてはそれぞれの企業経理の内容について、この程度のことはよかろうと考えましても、やはり政府機関である以上はそれぞれの主務大臣に相談をすることはあたりまえでありましょう。しかしなおかつ今まででもその範囲内で自主的に解決したものもあることは御承知通りでありますが、それが自主的に解決できないという場合を予想して調停あるいは仲裁というものを考えておるわけでありますから私はその点についてはかりに国鉄当事者が一定の妥結点を見出して話し合いがついたといたしましても、主務大臣の許可がない限りは、一応これは資金上支出不可能なものということにならざるを得ないと思いますのでやはり現在の段階において、私はただいまの機構のもとでなるべく自主的に話し合いが進められ、不可能な場合には、調停仲裁を申請するというやり方をやっていきたいと思っております。
  48. 横山利秋

    横山委員 大臣はどうもまだ私の言うことが隅から隅までわかっておられないと思う。現在の法律のもとにおいても、公社の総裁なり、あるいは経営当事者は、予算上、資金上不可能な協定に対しても、これを締結し得る権利を与えられておるのであります。それは御存じの通りだと思う。その権利をもっと運用をさせて、自主解決をさせるように大臣はお考えになったらどうかというのが第一点の問題であります。この点は現行法においてもできるけれども先ほどはしなくも労働大臣がおっしゃったように、公社の当局は自分の権限の中ではできない、大臣の認可を受けなければならないようなことについてはあまり締結をするなと言わぬばかりのことを、従来の過程に藉口しておっしゃっておるのであります。私の推測が間違っておって、単にあなたが従来の経過はこうだと言っただけであって、これをやってもらうのは何ら差しつかえないのだ、もっと法律をうまく運用しろ、こういうふうにおっしゃるならば、私は第一点については了承できるのであります。  それから第二段の問題は本改正案にございますように、給与総額制度の緩和の条項として、仲裁の場合においては、もう一ぺん予算の定めるところによって主務大臣の許可を受けて給与として支給することができるといっておられるのだけれども、この点についても、自主解決の点からいって、調停案による受諾なり、調停案解決するということが最近においては労使の間の非常な熱望になってきておる。時間を早く解決するという意味からも、あまり世間様に御迷惑をかけないという意味からいっても、そういう傾向になりておるときに、その傾向を知ってや知らずや、裁定だけではだめなんだぞと言わぬばかりのことは現在の事態というものに対して理解が乏しいのではないか。また自主解決の尊重という精神にあなたの方は乏しいのではないか、こういうことを申し上げておるのでありますから、その点を十分御理解の上最後の御答弁を願いたいと思います。
  49. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昨日もそういう点についてお話がございました。私の申し上げている自主的解決は、民間産業でも公社でも同様に希望いたしていることは、常に相互の立場を理解し合って話し合っているということによって自主的解決が促進されるのではないか、こういう一般的な方向を希望いたしていると私は申しているのでありますが、三公社においても同様であります。しかしながら三公社の場合に、先ほど申し上げましたような理由でございますから、今あなたの御指摘になりましたような予算上質金上不可能な支出を内容とする契約もこれはやればできないことはありません。できるわけであります。しかしそういうものは政府を拘束するものではない、こうなっているわけでありまして経営当事者が自由意思で決定されましたことは常に政府が拘束を受けるということになれば、政府はやはり予算措置をして国会に提出をしてそうして国民全体の代表であるこの国会の審議を願って、そこできめなければならぬ。しかしそれが拒否された場合には実施をすることは不可能であることは御承知通りでございます。そこで私ども考えております現在の段階では、私が自主的解決と申しておりますのは、常になるべくあらゆる機会を見て話し合いを進めて、紛争議を長くしないようにお互い協力し合おうじゃないかということでありまして、三公社等の紛争議を早く終結したいということは、あなたと同様にわれわれも希望いたすところでありますけれども、これに対して資金上予算上支出不可能なものも妥結したならばそのまま許可したらいいじゃないか、こういう御説については私どもとしてただいま賛成するわけにはいかないのであります。
  50. 横山利秋

    横山委員 聞けば聞くほど失望するばかりであります。そういうような考え方大臣が本改正について得々としておられるのでしたら就任当時公労法改正決意ありとおっしゃったことは、一体あなたの顔を見直さざるを得ないのであります。ようも長野へ行ったり故郷へ帰って私は公労法改正いたしますと言うて大だんびらを振り上げて、今のような御答弁でこれで能事終れりとなさるようなことであったら私はもう本改正案に対しての質疑の熱意を失うような気持がいたします。幸いに時間にもなりましたから大臣は腹がへっているからそういう御答弁をなさるんじゃないかと思いますから、御飯でも食べて力をつけてもらって、もう一ぺん御答弁を願いたいと存じます。  しかしせっかく大蔵大臣もおいでになりますから、大蔵大臣に意見かたがたお伺いをいたしたいことが一点ございます。それは大蔵大臣は金融財政その他を担当されまして私もいつも大蔵委員会でお目にかかってそちらの方ばかり御質問を申し上げているのでありますが、幸いにもきょうは労働問題に関連する大臣としてここにお見えになりました。最近あなたは大蔵省所管の労働者に対してどういうお考えなんでございましょう。春の問題におきましても、ろくろくあなたはあなたのところの関係の労働者に年度末のお金も出しもなさいません。それでおって、税務署の職員が大会の決議を持って行って、部屋に入れるといってドアに手をかけて、ドアがちょっとこわれたら、すぐそれを首切るというわけです。一方印刷局長さんはどえらい汚職をやって、それがばれそうになったら、さあっと辞表を出して、そうして多額の退職金をもらった。片一方はドアをこわしたばかりに——こわしたといったって、そうこわれていませんけれども、退職金もあなたはやらないのであります。一体罪の軽重をあなたはどうお考えになりますか。私はあえて井上印刷局長の死屍にむちうつようね気持はございません。しかし国民の批判というものは、今日あなたが国有財産の管理者として、どのくらい国民が国有財産に対して非難攻撃し、不信の念を増しているかしれないのであります。その問題の端緒となった印刷局長が辞表を出したら、ああそうかといって受け取って、そうしてそれに多額の退職金を与えて、あとのめんどうを見させておいて、そうしてドアがこわれただけの労働者には、すぐに首を切って、退職金も一文も払わぬ、こういうようなばかなことで大蔵省管下の労働者があなたを信頼していると思いますか。かてて加えて、大会で一時間かそこら出ておった者に対しては減俸、戒告ということを一体あなたは判こをついておられるかどうか、疑わざるを得ないのであります。今日国民の言うところを聞きますと、警察署と税務署へ行くのは一番いやだと言っているのであります。私は警察職員並びに税務職員に対してきわめて気の毒な念を禁じ得ないのであります。ともに給料は安い。税務職員に至っては、二千九百二十円当時は特別号俸が設定されて、他の一般職員よりもよかったのでありますけれども、今やどういうかげんか知らぬけれども歴代の大蔵大臣の怠慢か国税庁長官の不認識か知りませんけれども、その特別号俸というものは宙に浮いてしまって、消されてだんだん落ちていくばかりであります。従って全国の税務職員が怒るのはあたりまえであります。しかも公務員の中で結核の罹病者というものは税務職員が一番多いのであります。病院を立ててくれという要求もあなたは御存じでありましょう。一たん国税庁長官が約束をしながらその約束が履行できないで、診療所を建ててこれをごまかしておるのであります。そういうことも一体あなたは御存じでありましょうか。私は長官にもこの間御意見を申し上げました。しかし本来はあなたが最高責任者であります。罹病率が一番多くて、各地における欠員も、多少のアンバランスはございますけれども、全国において非常に欠員が多い。しかも先般の農業課税におきましては、石当りから反当りになったためにべらぼうもなく業務量がふえておるのであります。それはあなたは御存じのはずであります。一たんそういうような全国的の税務職員の憤り、怒り、不満が爆発したものは容易におさめられるものではない。しかも憤りの先頭に立っておる者が会わしてくれ大会の決議文を見てもらいたいといって来たものを、会わぬと言った人はだれでありましょうか。会わぬと言ったその人は二年間にわたって役所の職員を自分の官舎で女中がわりに使っている人じゃありませんか。あなたは御存じでございますか。今やそういう意味において大蔵省の首脳部は腐敗していると私は思うのであります。一方労働者はまさに純粋な不満純粋な不平を持ってきているのであります。一体それに対してあなたはどういうふうに報いておるのでありますか。税務職員の努力に対してどういうふうに報いておるのでありますか。私は一回大蔵委員会であなたにとくと労働問題について質問したいと思っておりましたが、なかなか機会がございませんでした。きょうはちょうどいい機会でありますから、あなたの税務職員に対する所信のほどを一つ明確にしていただきたいと思うのであります。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これはだれもがそうでありまして特に私が言うのもおかしな話なんですが働く人、特に公務員と申しても、自分の部下である公務員福祉を念願しないものはありはしませんですよ。ましてこういう働いている方々の当然の権利である労働運動についてかれこれ申し上げる、こういうことも考えておりません。健全なる発達をこいねがっております。先般労働紛議の際に今御指摘のような事態があったことは私も聞きました。これは国税庁の関係でありまして、むろん国税庁長官がやることなんであります。私は一応事情を報告を受けました、しかしその当時の状況としては国税庁長官の処置はやむを得ない、こういうふうに考えたわけであります。これは具体的な事実の問題であるので、今私がここで具体的な事実を一々申し上げるだけの記憶は持っておりませんが、これは国税庁長官をお呼びになってよく事実をおただし下さればなるほどと御納得できるだろうと思います。私も当時非常に考えたのでありますが、これはやはりこの際やむを得ないというわけで、決して無理をいたしておるわけではありません。また大蔵省のことについていろいろ御注意もありました。私はありがたく拝聴いたしておるのでありまして、今できるだけ従来のよくなかった点を改めることに最善を尽しておるわけであります。
  52. 横山利秋

    横山委員 いろいろと申し上げたいこともございますが、時間もありません。大臣が最後に今日の税務職員の待遇については考えておる、改善したい、こういうふうにおっしゃったことを私はしかと了承いたしておきたいと思うのであります。重ね重ね申しますが、私は死馬にむちうつという気持はありませんけれども、片一方は国民の大いなる非難を招いた人が辞表を出したなら、ああそうか、お前やめるかといって退職金を出しておいて、他の片一方は自分一人の問題ではない、全国数万人の労働者の代表としてたくさんの要望を持って会いたいといって来たのに、会わせない人はどういうことをしたのかということは私はよく知っておる。そういうふらちな人が会わないといって、会わしてくれないということからドアをこわしただけで、懲戒免官にするというようなばかげたことを総合的な見地に立っておられる大蔵大臣として一つ総合的に考えてもらいたい。時間もありませんから、大臣が最後におっしゃった言葉を今後に期待いたし委して私の午前中の質問を終ります。
  53. 佐々木秀世

    佐々木委員長 この際お諮りいたします。社会保障等に関する問題について来る十一日午前十時より参考人を招致し調査を進めたいと存じます。つきましては参考人の選定及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 佐々木秀世

    佐々木委員長 御異議ないものと認め、そのように決します。  次会は明十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十六分散会